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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133685
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】充電システム、バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20240925BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240925BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/10 B
H02J7/10 H
H02J7/00 X
H02J7/00 Y
H02J7/04 L
H02J7/10 L
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111276
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2020208636の分割
【原出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀 智貴
(72)【発明者】
【氏名】加納 隼人
(57)【要約】
【課題】レートの異なる複数の充電器に対応可能なバッテリパックを提供する。
【解決手段】バッテリパックは、装着部と、バッテリと、電圧検出部と、電流取得部と、次回電流算出部と、第1の充電停止部と、第2の充電停止部と、を備える。第1の充電停止部は、電流取得部により取得された充電電流値が完了電流値以上である場合に、第1の条件が成立したことに応じて、バッテリの充電を停止する。第1の条件は、電圧検出部により検出された電圧値が完了電圧値以上となり、且つ、次回電流算出部により算出された次回電流値が完了電流値未満になることである。第2の充電停止部は、電流取得部により取得された充電電流値が完了電流値未満である場合に、第1の条件と異なる第2の条件が成立したことに応じて、バッテリの充電を停止する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器に装着されるように構成された装着部と、
前記装着部に接続されたバッテリと、
前記バッテリの電圧値を検出するように構成された電圧検出部と、
現在の処理サイクルにおいて前記バッテリへ流れる充電電流値を取得するように構成された電流取得部と、
前記電流取得部により取得された前記充電電流値に基づいて、次の処理サイクルにおける前記充電電流値の許容値である次回電流値を算出するように構成された次回電流算出部と、
前記電流取得部により取得された前記充電電流値が完了電流値以上である場合に、第1の条件が成立したことに応じて、前記バッテリの充電を停止するように構成された第1の充電停止部であって、前記第1の条件は、前記電圧検出部により検出された前記電圧値が完了電圧値以上となり、且つ、前記次回電流算出部により算出された前記次回電流値が前記完了電流値未満になることである、第1の充電停止部と、
前記電流取得部により取得された前記充電電流値が前記完了電流値未満である場合に、前記第1の条件と異なる第2の条件が成立したことに応じて、前記バッテリの充電を停止するように構成された第2の充電停止部と、を備える、
バッテリパック。
【請求項2】
前記第1の充電停止部により前記バッテリの充電が停止された時における前記バッテリの開放電圧値に相当する目標電圧値を算出するように構成された目標電圧算出部を更に備え、
前記第2の条件は、前記第2の充電停止部により充電が停止された時における前記バッテリの開放電圧値が、前記目標電圧値と一致するように設定されている、
請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記バッテリの温度を検出するように構成された温度検出部を更に備え、
前記目標電圧算出部は、前記温度検出部により検出された前記温度、及び/又は前記バッテリの劣化度合に基づいて、前記目標電圧値を算出するように構成されている、
請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記第2の条件は、前記電圧検出部により検出された前記電圧値が、判定値以上であることであり、
前記判定値は、前記目標電圧値に補正値を加算した値に相当し、
前記補正値は、(Vset-Vtg)×Inow/Icutに相当し、前記Vsetは、前記完了電圧値に相当し、前記Vtgは前記目標電圧値に相当し、前記Inowは、前記電流取得部により取得された前記充電電流値に相当し、前記Icutは、前記完了電流値に相当する、
請求項2又は3に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電可能なバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、比較的大型の高レート充電器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-80406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような高レート充電器よりも充電時間が長くなってもよいので、安価な充電器を望むユーザがいる。耐熱性等の低い安価な充電器を実現するためには、安価な部品を用い、充電電流値を小さくする必要がある。充電電流値が比較的小さい低レートの充電器でバッテリパックを充電する場合、高レートの充電器でバッテリパックを充電する場合よりも、バッテリパックの内部抵抗による電圧降下量が小さくなる。したがって、バッテリパックは、所定の充電容量まで低レートの充電器で充電する場合に、高レートの充電器と異なる充電制御をする必要がある。
【0005】
本開示の1つの局面は、レートの異なる複数の充電器に対応可能なバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面のバッテリパックは、装着部と、バッテリと、電圧検出部と、電流取得部と、次回電流算出部と、第1の充電停止部と、第2の充電停止部と、を備える。装着部は、充電器に装着されるように構成される。バッテリは、装着部に接続される。電圧検出部は、バッテリの電圧値を検出するように構成される。電流取得部は、現在の処理サイクルにおいてバッテリへ流れる充電電流値を取得するように構成される。次回電流算出部は、電流取得部により取得された充電電流値に基づいて、次の処理サイクルにおける充電電流値の許容値である次回電流値を算出するように構成される。第1の充電停止部は、電流取得部により取得された充電電流値が完了電流値以上である場合に、第1の条件が成立したことに応じて、バッテリの充電を停止するように構成される。第1の条件は、電圧検出部により検出された電圧値が完了電圧値以上となり、且つ、次回電流算出部により算出された次回電流値が完了電流値未満になることである。第2の充電停止部は、電流取得部により取得された充電電流値が完了電流値未満である場合に、第1の条件と異なる第2の条件が成立したことに応じて、バッテリの充電を停止するように構成される。
【0007】
本開示の1つの局面のバッテリパックは、充電電流値が完了電流値以上である場合、第1の条件が成立したことに応じて、充電を停止する。また、上記バッテリパックは、充電電流値が完了電流値未満である場合、第1の条件と異なる第2の条件が成立したことに応じて、充電を停止する。すなわち、比較的小さい充電電流値で充電する場合に、比較的大きい充電電流値で充電する場合と異なる充電制御が実行される。したがって、レートの異なる複数の充電器に対応可能なバッテリパックを実現することができる。
【0008】
第1の充電停止部によりバッテリの充電が停止された時におけるバッテリの開放電圧値に相当する目標電圧値を算出するように構成された目標電圧算出部を更に備えてもよい。
第2の条件は、第2の充電停止部により充電が停止された時におけるバッテリの開放電圧値が、目標電圧値と一致するように設定されている。
【0009】
比較的小さい充電電流値の電流でバッテリを充電する場合、比較的大きい充電電流値の電流でバッテリを充電する場合よりも、バッテリの内部抵抗による電圧降下量が小さくなる。そのため、比較的小さい充電電流値の電流でバッテリを充電する場合、比較的大きい充電電流値の電流でバッテリを充電する場合と同じ完了電圧値で充電を終了すると、充電停止したときの開放電圧値が、目標電圧値よりも大きくなる。すなわち、バッテリの充電容量が大きくなる。そこで、バッテリの状態に基づいて、目標電圧値が算出される。そして、比較的小さい充電電流値の電流でバッテリを充電する場合、充電停止時における開放電圧値が目標電圧値と一致するように第2の条件が設定される。これにより、比較的小さい充電電流値の電流でバッテリを充電した場合における充電完了時の開放電圧値を、比較的大きい充電電流値の電流でバッテリを充電した場合における充電完了時の開放電圧値と一致させることができる。
【0010】
バッテリの温度を検出するように構成された温度検出部を更に備えてもよい。目標電圧算出部は、温度検出部により検出された温度、及び/又はバッテリの劣化度合に基づいて、目標電圧値を算出してもよい。
温度及び/又はバッテリの劣化度合いに基づいて、目標電圧値を算出することにより、バッテリの過充電を抑制し、バッテリを適切に保護することができる。
【0011】
第2の条件は、電圧検出部により検出された電圧値が、判定値以上であることであってもよい。判定値は、目標電圧値に補正値を加算した値に相当する。補正値は、(Vset-Vtg)×Inow/Icutに相当する。Vsetは、完了電圧値に相当する。Vtgは目標電圧値に相当する。Inowは、電流取得部により取得された充電電流値に相当する。Icutは、完了電流値に相当する。
【0012】
現在の充電電流値における電圧降下量が補正値として算出され、算出された補正値を目標電圧値に加算した値が判定値として算出される。これにより、第2の条件の成立に応じて充電が完了したときの開放電圧値を目標電圧値に一致させることができる。
【0013】
本開示の別の1つの局面の充電システムは、以下の項目A-1、項目A-2であってもよい。
[項目A-1]
リチウムイオンバッテリを含むバッテリパックと、
前記バッテリパックに接続されるように構成された高レート充電器と、
前記バッテリパックに接続されるように構成された低レート充電器と、を備え、
前記高レート充電器が出力可能な最大電流値は、完了電流値以上であり、
前記低レート充電器が出力可能な最大電流値は、前記完了電流値未満であり、
前記完了電流値は、前記リチウムイオンバッテリの定電流定電圧充電の充電完了時における充電電流値に相当する、
充電システム。
【0014】
本開示の別の1つの局面の充電システムによれば、バッテリパックには高レート充電器と低レート充電器の両方が接続可能であり、バッテリパックを充電するために、高レート充電器と低レート充電器のどちらも使用することができる。
【0015】
[A-2]
前記バッテリパックは、
前記バッテリの状態に基づいて、要求電流値を算出するように構成された要求電流算出
部と、
前記要求電流算出部により算出された前記要求電流値を、前記バッテリパックに接続された前記高レート充電器又は前記低レート充電器へ出力するように構成された要求出力部と、を備え、
前記高レート充電器及び前記低レート充電器は、
充電器の状態に基づいて、上限電流値を算出するように構成された上限電流算出部と、
前記上限電流算出部により算出された前記上限電流値と、前記バッテリパックから出力された前記要求電流値とのうちの小さい方の電流値を有する電流を出力する電流出力部と、を備える、
A-1に記載の充電システム。
【0016】
高レート充電器及び低レート充電器は、上限電流値と要求電流値とのうちの小さい方の電流値を有する電流を出力することにより、充電器の過熱及びバッテリパックの過充電を抑制し、充電器及びバッテリパックの両方を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る充電システムのバッテリパックと高レート充電器とを示す図である。
図2】本実施形態に係る充電システムのバッテリパックと低レート充電器を示す図である。
図3】本実施形態に係る充電システムの電気的構成を示すブロック図である。
図4】出力可能な最大電流値が完了電流値以上の充電器で、第1の条件が成立したことに応じて充電を終了した場合における、バッテリ電圧値及び充電電流値の時間変化を示す。
図5】出力可能な最大電流値が完了電流値未満の充電器で、第1の条件が成立したことに応じて充電を終了した場合における、バッテリ電圧値及び充電電流値の時間変化を示す。
図6】出力可能な最大電流値が完了電流値未満の充電器で、第2の条件が成立したことに応じて充電を終了した場合における、バッテリ電圧値及び充電電流値の時間変化を示す。
図7】バッテリパックと高レート充電器又は低レート充電器が実行する充電制御処理を示すフローチャートである。
図8】劣化度とバッテリ温度とに応じた目標電圧値のテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
<1.構成>
<1-1.システム構成>
本実施形態に係る充電システム1について、図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る充電システム1は、バッテリパック100と、高レート充電器200と、低レート充電器300と、を備える。
バッテリパック100は、後述する充電可能なバッテリ30を備える。バッテリ30は、直列接続された複数のバッテリセルを含む、例えば、リチウムイオンバッテリである。バッテリパック100は、バッテリ側装着部20と、バッテリ側端子部10と、を備える。
【0020】
バッテリ側装着部20は、バッテリパック100の下面に設けられており、高レート充電器200及び低レート充電器300に装着されるように構成されている。バッテリ側端子部10は、バッテリ側装着部20に設けられており、後述する複数の端子を備える。ま
た、バッテリ側装着部20は、図示しない電動作業機に装着されるように構成されている。バッテリ側装着部20が電動作業機に装着されている場合、バッテリパック100は電動作業機へ電力を供給し、電動作業機はバッテリパック100から受けた電力で駆動する。電動作業機は、インパクトドライバ、丸鋸などの電動工具、草刈機、トリマーなどの園芸工具、レーザー墨出し器、ライトなどを含む。
【0021】
高レート充電器200及び低レート充電器300は、電源コードを備え、電源コードは、商用電源等の外部電源に接続される。高レート充電器200及び低レート充電器300は、外部電源から供給された電力から、バッテリ30に供給する電力を生成する。
【0022】
高レート充電器200は、バッテリ30を高レートで充電する充電器である。高レート充電器200の出力可能な最大電流値は、完了電流値Icut以上であり、高レート充電器200は、完了電流値Icut以上の値の電流でバッテリパック100を充電できる。完了電流値Icutは、バッテリ30を定電流定電圧充電した場合における充電完了時の充電電流値に相当する。
【0023】
低レート充電器300は、バッテリ30を低レートで充電する充電器である。低レート充電器300の出力可能な最大電流値は、完了電流値Icut未満であり、低レート充電器300は、完了電流値Icut未満の値の電流でしかバッテリパック100を充電できない。
【0024】
高レート充電器200は、充電器側装着部220と、充電器側端子部210と、を備える。充電器側装着部220は、高レート充電器200の上面に設けられており、充電器側端子部210は、充電器側装着部220に設けられている。また、低レート充電器300は、充電器側装着部320と、充電器側端子部310と、を備える。充電器側装着部320は、低レート充電器300の上面に設けられており、充電器側端子部310は、充電器側装着部320に設けられている。
【0025】
充電器側装着部220は、充電器側装着部320と同じ形状に構成されている。また、充電器側端子部210及び充電器側端子部310は、後述する複数の端子を備える。充電器側端子部210が備える複数の端子のそれぞれは、充電器側端子部310が備える複数の端子のそれぞれと同じ形状に構成されている。充電器側装着部220,320は、バッテリ側装着部20が装着されるように構成されている。充電器側端子部210,310は、充電器側装着部220,320にバッテリ側装着部20が装着された場合に、バッテリ側端子部10と接続されるように構成されている。
【0026】
高レート充電器200の体格は、低レート充電器300よりも大きい。高レート充電器200は、低レート充電器300よりも出力可能な最大電流値が大きい。そのため、高レート充電器200の内部には、低レート充電器300よりも、耐熱性等が高い高価な大型の部品が用いられている。そのため、高レート充電器200は、低レート充電器300よりも大型になる。
<1-2.電気的構成>
次に、バッテリパック100、高レート充電器200及び低レート充電器300の電気的構成について、図3を参照して説明する。高レート充電器200の電気的構成は、低レート充電器300の電気的構成と同じである。
【0027】
<1-2-1.バッテリパックの電気的構成>
まず、バッテリパックの電気的構成について説明する。バッテリパック100は、バッテリ30と、バッテリMicro Control Unit(以下、MCU)50と、Analog Front End(以下、AFE)40と、レギュレータ61と、遮断素子62と、バッテリシャント抵抗6
3と、第1温度検出回路35と、充電制御回路71と、放電制御回路72と、第1検出回路73と、第1通信回路74と、を備える。
【0028】
バッテリ側端子部10は、6個の端子を含む。具体的には、バッテリ側端子部10は、第1正極端子11と、第1負極端子12と、第1充電端子13と、放電端子14と、第1検出端子15と、第1通信端子16と、を備える。
【0029】
第1正極端子11は、第1正極ライン18を介して、バッテリ30の正極に接続されている。第1負極端子12は、第1負極ライン19を介して、バッテリ30の負極に接続されている。第1充電端子13は、充電制御回路71に接続されている。放電端子14は、放電制御回路72に接続されている。第1検出端子15は、第1検出回路73に接続されている。第1通信端子16は、第1通信回路74に接続されている。
【0030】
レギュレータ61は、バッテリ30の正極に接続されており、バッテリ30の電力を受けて、バッテリMCU50、AFE40等のバッテリパック100内の各種回路に供給する電源を生成する。
【0031】
遮断素子62は、第1正極ライン18上に設けられている。遮断素子62は、第1正極ライン18の導通を遮断できる素子であり、Field Effect Transistor(FET)、Self Control Protector(SCP)などである。
【0032】
バッテリシャント抵抗63は、第1負極ライン19上に設けられており、バッテリ30へ流入する充電電流の値及びバッテリ30から流出する放電電流の値を検出し、検出した電流値をAFE40へ出力する。第1温度検出回路35は、バッテリ30のバッテリ温度を検出し、検出したバッテリ温度をバッテリMCU50へ出力する。
【0033】
AFE40は、アナログ回路であり、バッテリMCU50と、Serial Peripheral Interface(SPI)通信を実行するように構成されている。AFE40は、バッテリMCU
50からの指令に従って、バッテリ30に含まる各バッテリセルのセル電圧値とバッテリ30のバッテリ電圧値を検出する。また、AFE40は、複数のバッテリセルの残容量を均等化させるセルバランス処理を実行する。さらに、AFE40は、検出したセル電圧値、バッテリ電圧値を、入力された電流値等をデジタル信号に変換し、変換した各デジタル信号をバッテリMCU50へ送信する。また、AFE40は、入力された各種値に基づいてバッテリ30の状態を判定し、バッテリ30の充電を停止すべき場合(例えば、過充電状態である場合)に、充電停止信号を充電制御回路71へ送信する。充電制御回路71は、AFE40から充電停止信号が入力された場合に、第1充電端子13から充電器へ放電停止信号を出力する。
【0034】
バッテリMCU50は、CPU50a、メモリ50b及びI/O等を備えたマイクロコンピュータを含む。バッテリMCU50は、放電制御回路72、第1検出回路73、及び第1通信回路74に接続されている。
【0035】
第1検出回路73は、第1検出端子15の電位に基づいて、バッテリパック100に対する充電器又は電動作業機の接続又は非接続を検出し、接続信号又は非接続信号をバッテリMCU50へ出力する。第1検出回路73は、バッテリパック100に接続された充電器の電源がオフになっていても、充電器の接続を検出する。
【0036】
第1通信回路74は、半二重のシリアル通信を実行する、Universal Asynchronous Receiver/Transmitter(UART)である。第1通信回路74は、第1通信端子16を介し
て、データの送受信を行う。
【0037】
バッテリMCU50は、第1検出回路73から接続信号が入力されると、省エネモードからアクティブモードへ移行する。バッテリMCU50は、バッテリパック100が充電器に接続されている場合には、バッテリ30の充電制御を実行し、バッテリパック100が電動作業機に接続されている場合には、バッテリ30の放電制御を実行する。
【0038】
具体的には、バッテリMCU50は、AFE40から受信したセル電圧、バッテリ電圧、電流値、及び第1温度検出回路35から入力された温度に基づいて、バッテリ30の充電制御及び放電制御を実行する。
【0039】
バッテリMCU50は、充電器のレートに応じて、異なる充電制御を実行する。具体的には、図4に示すように、バッテリMCU50は、高レート充電器200でバッテリ30を充電する場合には、定電流定電圧充電を実行し、第1の条件が成立したことに応じて充電を停止する。第1の条件は、バッテリ電圧値Vnowが完了電圧値Vset以上となり、且つ、次回電流値Inextが完了電流値Icut未満になることである。
【0040】
この場合、バッテリ30は、完了電流値Icutよりも大きい一定の充電電流値Inowで充電されて、バッテリ電圧値が完了電圧値Vsetに到達する。バッテリ電圧値Vnowが完了電圧値Vsetに到達すると、バッテリ電圧値Vnowは完了電圧値Vsetで一定となるように、充電電流値Inowが減少する。そして、次回電流値Inextが完了電流値Icut未満になると、充電が停止する。次回電流値Inextは、現在の処理サイクルにおける充電電流値Inowに基づいて算出される値であって、次の処理サイクルにおける充電電流値の許容値に相当する。また、充電完了時における開放電圧値が、狙いの目標電圧値Vtgに相当する。
【0041】
ここで、図5に示すように、低レート充電器300でバッテリ30を充電する場合に、第1の条件が成立したことに応じて充電を停止すると、最初から充電電流値Inowが完了電流値Icutよりも小さいため、バッテリ電圧値Vnowが完了電圧値Vsetに到達した時点で充電が停止する。充電完了時における開放電圧値は、目標電圧値Vtgよりも大きくなる。すなわち、低レート充電器300でバッテリ30を充電する場合に、第1の条件が成立したことに応じて充電を停止すると、高レート充電器200でバッテリ30を充電する場合よりも、バッテリ30の充電容量が大きくなる。
【0042】
充電完了時の開放電圧値は、充電完了時のバッテリ電圧値Vnowからバッテリ30の内部抵抗による電圧降下量を引いた値に相当する。低レート充電器300でバッテリ30を充電する場合における充電電流値は、高レート充電器200でバッテリ30を充電する場合における充電電流値よりも小さい。したがって、低レート充電器300でバッテリ30を充電する場合は、高レート充電器200でバッテリ30を充電する場合よりも、バッテリ30の内部抵抗による電圧降下量が小さい。そのため、低レート充電器300でバッテリ30を充電する場合に、バッテリ電圧値Vnowが完了電圧値Vset以上となった時点で充電を停止すると、充電完了時の開放電圧値が目標電圧値Vtg+ΔVocvになる。ΔVocvは、高レート充電器200による充電時の電圧降下量と低レート充電器300による充電時の電圧降下量との差分に相当する。
【0043】
そこで、バッテリMCU50は、低レート充電器300でバッテリ30を充電する場合に、第1の条件と異なる第2の条件が成立したことに応じて充電を停止する。図6に示すように、第2の条件は、低レート充電器300による充電完了時における開放電圧値が、目標電圧値Vtgと一致するように設定されている。
【0044】
具体的には、バッテリMCU50は、バッテリ電圧値Vnowが判定値Vb以上になっ
たことに応じて、充電を停止する。判定値Vbは、目標電圧値Vtgに補正値ΔVaを加算した値である。補正値ΔVaは、低レート充電器300により充電電流値Inowの電流で充電している場合の電圧降下量に相当し、ΔVa=(Vset-Vtg)×Inow/Icutで表される。これにより、低レート充電器300によるバッテリ30の充電完了時における開放電圧値及び充電容量が、高レート充電器200によるバッテリ30の充電管廊時における開放電圧値及び充電容量と一致する。
【0045】
また、バッテリMCU50は、バッテリパック100に電動作業機が接続されており、且つ、バッテリ30が放電不可能な状態(例えば、過放電状態、過温状態)であると判定した場合は、バッテリ30からの放電を禁止する放電禁止信号を放電制御回路72へ出力する。放電制御回路72は、バッテリMCU50から入力された放電禁止信号を、放電端子14から電動作業機へ出力する。また、バッテリMCU50は、バッテリ30が放電可能な状態であると判定している場合、放電制御回路72へウォッチドッグパルス信号(一定周期のパルス信号)を出力する。放電制御回路72は、ウォッチドッグパルス信号が入力されない場合、放電禁止信号を、放電端子14から電動作業機へ出力する。
【0046】
さらに、バッテリMCU50は、放電禁止信号を電動作業機へ出力しても放電が停止されない場合に、遮断素子62を操作して、第1正極ライン18の導通を遮断する。例えば、遮断素子62がFETである場合、バッテリMCU50は、FETをオフにする。また、遮断素子62がSCPである場合、バッテリMCU50は、SCPのヒューズを溶断させる。
【0047】
バッテリMCU50は、過放電状態になるとシャットダウンする。バッテリMCU50がシャットダウンしているときに、バッテリパック100が充電器に接続されると、充電器から放電端子14を介して補助電源が供給される。レギュレータ61は、放電端子14を介して補助電源を受けて、バッテリMCU50へ供給する電源を生成して供給する。バッテリMCU50は、レギュレータ61から電源を受けると、シャットダウン状態から起動する。
【0048】
<1-2-2.充電器の電気的構成>
高レート充電器200及び低レート充電器300は、充電器MCU400と、スイッチング電源回路410と、FET420と、インターロック回路430と、第2温度検出回路440と、充電器シャント抵抗450と、第2検出回路460と、第2通信回路470と、を備える。
【0049】
充電器側端子部210,310は、第2正極端子411と、第2負極端子412と、第2充電端子413と、電源端子414と、第2検出端子415と、第2通信端子416と、を備える。
【0050】
第2正極端子411は、第1正極端子11に接続されるように構成されている。第2負極端子412は、第1負極端子12に接続されるように構成されている。第2充電端子413は、第1充電端子13に接続されるように構成されている。電源端子414は、放電端子14に接続されるように構成されている。第2検出端子415は、第1検出端子15に接続されるように構成されている。第2通信端子416は、第1通信端子16に接続されるように構成されている。
【0051】
スイッチング電源回路410は、第2正極ライン480を介して第2正極端子411に接続されているとともに、第2負極ライン490を介して第2負極端子412に接続されている。スイッチング電源回路410は、充電器MCU400からの制御指令に応じて動作し、充電電流を出力する。
【0052】
FET420は、第2正極ライン480上に設けられている。充電器シャント抵抗450は、第2負極ライン490上に設けられている。充電器シャント抵抗450は、スイッチング電源回路410からバッテリパック100へ流出する充電電流の値を検出し、検出した値を充電器MCU400へ出力する。第2温度検出回路44は、スイッチング電源回路410の温度を充電器温度として検出し、検出した充電器温度を充電器MCU400へ出力する。
【0053】
インターロック回路430は、第2充電端子413に接続されており、第2充電端子413を介して充電停止信号が入力された場合に、スイッチング電源回路410の動作を停止させる。
【0054】
充電器MCU400は、CPU400a、メモリ400b及びI/O等を備えたマイクロコンピュータを含む。充電器MCU400は、第2検出回路460及び第2通信回路470に接続されている。
【0055】
第2検出回路460は、第2検出端子415の電位に基づいて、充電器に対するバッテリパック100の接続又は非接続を検出し、接続信号又は非接続信号を充電器MCU400へ出力する。
【0056】
第2通信回路470は、半二重のシリアル通信を実行する、Universal Asynchronous Receiver/Transmitter(UART)である。第2通信回路470は、第2通信端子416
を介して、データの送受信を行う。
【0057】
充電器MCU400は、バッテリ30の充電制御を実行する。また、充電器MCU400は、インターロック回路430がスイッチング電源回路410の動作を停止させることができなかった場合に、FET420をオフにして、スイッチング電源回路410からバッテリパック100への電力の供給を停止する。
【0058】
<2.処理>
次に、バッテリMCU50及び充電器MCU400が実行する充電制御について、図7のフローチャートを参照して説明する。バッテリMCU50及び充電器MCU400は、バッテリ側装着部20が、充電器側装着部220又は充電器側装着部320に装着されると、本処理を開始する。
【0059】
まず、S200では、充電器MCU400が、充電電流値Inowの初期値として、0Aを設定する。
続いて、S210では、充電器MCU400が、現在の処理サイクルにおける充電電流値Inowをバッテリパック100へ通知する。
【0060】
続いて、S220では、充電器MCU400が、充電器温度を取得する。
続いて、S230では、充電器MCU400が、S220において取得した充電器温度に応じて、現在の上限電流値Icg_limitを決定する。例えば、充電器MCU40
0は、高レート充電器200又は低レート充電器300が過熱状態にならないように、充電器温度が閾値を超える場合は、上限電流値Icg_limitを低減する。
【0061】
一方、S10では、バッテリMCU50が、バッテリパック100に装着されている充電器から充電電流値Inowを受信する。
続いて、S20では、バッテリMCU50が、現在の処理サイクルにおけるバッテリ電圧値Vnow、及びバッテリ温度を取得する。
【0062】
続いて、S30では、バッテリMCU50が、バッテリ30の状態に応じて、完了電圧値Vsetを算出する。具体的には、バッテリMCU50は、バッテリ30の劣化度及び/又はバッテリ温度に応じて、完了電圧値Vsetを算出する。劣化度とバッテリ温度とに応じた完了電圧値Vsetのテーブルを予めメモリ50bに格納しておき、テーブルを用いて、完了電圧値Vsetを算出してもよい。
【0063】
続いて、S40では、バッテリMCU50は、バッテリ30の状態に応じて、完了電流値Icutを算出する。具体的には、バッテリMCU50は、バッテリ30の劣化度及び/又はバッテリ温度に応じて、完了電流値Icutを算出する。バッテリMCU50は、予めメモリ50bに格納したテーブルを用いて、完了電流値Icutを算出してもよい。なお、バッテリ30の劣化度は、バッテリパック100が使用される都度更新されて、メモリ50bに格納される。
【0064】
続いて、S50では、バッテリMCU50は、充電電流値Inowに基づいて、次回電流値Inextを算出する。詳しくは、バッテリMCU50は、バッテリ電圧値Vnowと完了電圧値Vsetとを比較し、次回電流値Inextとして、充電電流値Inowを継続するか、充電電流値Inowを減少させるか又は増加させるかを決める。そして、バッテリMCU50は、次回電流値Inextとして、充電電流値Inow算出する、あるいは、充電電流値Inowを減少させた値又は増加させた値を算出する。
【0065】
続いて、S60及びS70では、バッテリMCU50は、第1の条件が成立するか否か判定する。詳しくは、S60において、バッテリ電圧値Vnowが、完了電圧値Vset以上か否か判定する。バッテリ電圧値Vnowが完了電圧値Vset以上であると判定した場合は、S70の処理へ進み、バッテリ電圧値Vnowが完了電圧値Vset未満であると判定した場合は、S80の処理へ進む。
【0066】
S70では、次回電流値Inextが完了電流値Icut未満か否か判定する。次回電流値Inextが完了電流値Icut未満であると判定した場合は、第1の条件が成立しているので、S110へ進み、充電を完了する。次回電流値Inextが完了電流値Icut以上であると判定した場合は、S80の処理へ進む。
【0067】
S80~S100では、バッテリMCU50は、第2の条件が成立するか否か判定する。詳しくは、S80において、充電電流値Inowが完了電流値Icutよりも小さいか否か判定する。充電電流値Inowが完了電流値Icutよりも小さい場合は、S90の処理へ進む。一方、充電電流値Inowが完了電流値Icut以上である場合は、第1の条件及び第2の条件を満たさないため、S120の処理へ進み、充電制御を継続する。
【0068】
S90では、バッテリMCU50は、目標電圧値Vtgを算出する。具体的には、バッテリ30の劣化度及び/又はバッテリ温度に応じて、目標電圧値Vtgを算出する。バッテリMCU50は、劣化度の増加に応じて、目標電圧値Vtgを減少させる。また、バッテリMCU50は、バッテリ温度が適正範囲よりも低い又は高い場合は、バッテリ温度が適正範囲内である場合よりも、目標電圧値Vtgを減少させる。例えば、図8に示すように、劣化度とバッテリ温度とに応じた目標電圧値Vtgのテーブルを予めメモリ50bに格納しておき、テーブルを用いて、目標電圧値Vtgを算出する。ここで算出される目標電圧値Vtgは、第1の条件の成立に応じてバッテリ30の充電を完了した時におけるバッテリ30の開放電圧値に相当する。
【0069】
続いて、S100では、バッテリMCU50は、補正値ΔVaを算出し、S90で算出した目標電圧値Vtgに補正値ΔVaを加算して判定値Vbを算出する。そして、バッテ
リMCU50は、バッテリ電圧値Vnowが判定値Vb以上か否か判定する。
【0070】
バッテリ電圧値Vnowが判定値Vb以上であると判定した場合は、第2の条件が成立しているので、S110の処理へ進み、充電を完了する。バッテリ電圧値Vnowが判定値Vb未満であると判定した場合は、第1の条件及び第2の条件を満たさないため、S120の処理へ進み、充電制御を継続する。
【0071】
ここで、判定値Vbは完了電圧値Vsetよりも小さいため、充電電流値Inowが完了電流値Icutよりも小さい場合は、第1の条件が成立する前に第2の条件が成立して、充電が停止される。一方、充電電流値Inowが完了電流値Icut以上である場合は、第2の条件の成立の判定はされず、第1の条件の成立のみ判定され、第1の条件が成立したことに応じて、充電が停止される。
【0072】
続いて、S120では、S50において算出した次回電流値Inextを、バッテリパック100に接続されている充電器へ送信する。その後、S10の処理へ戻り、次の処理サイクルを開始する。バッテリMCU50は、充電が完了するまで、S10~S120の処理を繰り返し実行する。
【0073】
一方、S240では、充電器MCU400が、バッテリパック100から送信された次回電流値Inextを受信する。
S250では、充電器MCU400が、受信した次回電流値Inextが、S230で決定した上限電流値Icg_limitよりも大きいか否か判定する。次回電流値Ine
xtが上限電流値Icg_limit以下であると判定した場合は、S260の処理へ進
み、次回電流値Inextが上限電流値Icg_limitよりも大きいと判定した場合
は、S270の処理へ進む。
【0074】
S260では、充電器MCU400は、次回電流値Inextの電流がバッテリパック100へ出力されるように、スイッチング電源回路410へ制御指令を出力し、S280の処理へ進む。
【0075】
S270では、充電器MCU400は、電源上限値Icg_limitの電流がバッテ
リパック100へ出力されるように、スイッチング電源回路410へ制御指令を出力し、S280の処理へ進む。
【0076】
S280では、充電器MCU400は、現在の出力電流値を充電電流値Inowとして設定する。その後、充電器MCU400は、S210の処理へ戻り、次の処理サイクルを開始する。充電器MCU400は、S210~S280の処理を繰り返し実行し、次回電流値Inextが0になった場合に、充電処理を終了する。
【0077】
<3.効果>
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)充電電流値Inowが完了電流値Icut以上である場合、第1の条件が成立したことに応じて、充電が停止される。また、充電電流値Inowが完了電流値Icut未満である場合、第1の条件と異なる第2の条件が成立したことに応じて、充電が停止される。すなわち、比較的小さい充電電流値Inowで充電する場合に、比較的大きい充電電流値Inowで充電する場合と異なる充電制御が実行される。したがって、バッテリパック100は、高レート充電器200及び低レート充電器300の両方に対応することができる。
【0078】
(2)比較的小さい充電電流値Inowの電流でバッテリ30を充電する場合、充電完
了時における開放電圧値が目標電圧値Vtgと一致するように、第2の条件が設定される。これにより、比較的小さい充電電流値Inowの電流でバッテリ30を充電した場合における充電完了時の開放電圧値を、比較的大きい充電電流値Inowの電流でバッテリ30充電した場合における充電完了時の開放電圧値と一致させることができる。
【0079】
(3)バッテリ30の状態に基づいて目標電圧値Vtgを算出することにより、バッテリ30の過充電を抑制し、バッテリ30を適切に保護することができる。
(4)充電電流値Inowでの電圧降下量が補正値ΔVaとして算出され、補正値ΔVaを目標電圧値Vtgに加算した値が判定値Vbとして算出される。これにより、第2の条件の成立に応じて充電を完了したときの開放電圧値を目標電圧値Vtgに一致させることができる。
【0080】
(他の実施形態)
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0081】
(a)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0082】
(b)上述したバッテリパックの他、当該バッテリパックを構成要素とする充電システム、当該バッテリパックのMCUが実行するプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、当該バッテリパックが実行する充電制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1…充電システム、10…バッテリ側端子部、11…第1正極端子、12…第1負極端子、13…第1充電端子、14…放電端子、15…第1検出端子、16…第1通信端子、18…第1正極ライン、19…第1負極ライン、20…バッテリ側装着部、35…第1温度検出回路、50…バッテリMCU、61…レギュレータ、62…遮断素子、63…バッテリシャント抵抗、71…充電制御回路、72…放電制御回路、73…第1検出回路、74…第1通信回路、100…バッテリパック、200…高レート充電器、210,310…充電器側端子部、220,320…充電器側装着部、300…低レート充電器、410…スイッチング電源回路、411…第2正極端子、412…第2負極端子、413…第2充電端子、415…第2検出端子、416…第2通信端子、420…FET、430…インターロック回路、440…第2温度検出回路、450…充電器シャント抵抗、460…第2検出回路、470…第2通信回路、480…第2正極ライン、490…第2負極ライン、400…充電器MCU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンバッテリを含むバッテリパックに接続されるように構成された高レート充電器と、
前記バッテリパックに接続されるように構成された低レート充電器と、を備え、
前記高レート充電器が出力可能な電流の最大値は、完了電流値以上であり、
前記低レート充電器が出力可能な電流の最大値は、前記完了電流値未満であり、
前記完了電流値は、前記リチウムイオンバッテリを定電流定電圧充電した場合における充電完了時の充電電流の大きさに相当する、
充電システム。
【請求項2】
前記高レート充電器及び前記低レート充電器は、充電器制御部であって、
充電器の状態に基づいて上限電流値を算出し、
算出された前記上限電流値と前記バッテリパックから要求された前記充電電流の大きさに相当する要求電流値のうちの小さい方の値を有する前記充電電流を前記バッテリパックへ出力する、
ように構成された、充電器制御部を備える、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電器制御部は、
前記充電器の温度を取得するように構成されており、
前記充電器の状態は、前記充電器制御部により取得された前記充電器の温度である、
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の充電器システムが備える高レート充電器又は低レート充電器に接続されるように構成されたリチウムイオンバッテリを含むバッテリパックであって、バッテリ制御部を備え、
前記バッテリ制御部は、
前記リチウムイオンバッテリの電圧値を取得し、
現在の処理サイクルにおける前記充電電流の大きさに相当する充電電流値を取得し、
取得された前記充電電流値に基づいて、次の処理サイクルにおいて許容される前記充電電流の大きさに相当する要求電流値を算出し、
取得された前記充電電流値が前記完了電流値以上である場合に、第1の条件が成立したことに応じて、前記リチウムイオンバッテリの充電を停止し、
前記バッテリ制御部により取得された前記充電電流値が前記完了電流値未満である場合に、第2の条件が成立したことに応じて、前記リチウムイオンバッテリの充電を停止する、ように構成されており、
記第1の条件は、前記バッテリ制御部により取得された前記電圧値が完了電圧値以上となり、且つ、前記バッテリ制御部により算出された前記要求電流値が前記完了電流値未満になることに基づいて成立し、
前記第2の条件は、前記第1の条件と異なる、
バッテリパック。
【請求項5】
前記バッテリ制御部は、算出された前記要求電流値を、前記バッテリパックに接続された前記高レート充電器又は前記低レート充電器へ出力するように構成されている、
請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記バッテリ制御部は、目標電圧値を算出するように構成されており、
前記目標電圧値は、前記第1の条件が成立したことに応じて前記リチウムイオンバッテリの充電が停止された時における、前記リチウムイオンバッテリの開放電圧値に相当し、
前記第2の条件は、前記第2の条件が成立したことに応じて前記リチウムイオンバッテリの充電が停止された時における前記開放電圧値が、前記目標電圧値と一致するように設定されている、
請求項4又は5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記バッテリ制御部は、
前記リチウムイオンバッテリの温度を取得し、
取得された前記温度、及び/又は前記リチウムイオンバッテリの劣化度合に基づいて、前記目標電圧値を算出する、ように構成されている、
請求項6に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記第2の条件は、前記バッテリ制御部により取得された前記電圧値が判定値以上であることに基づいて成立し、
前記判定値は、前記目標電圧値に補正値を加算した値に相当し、
前記補正値は、(Vset-Vtg)×Inow/Icutに相当し、前記Vsetは、前記完了電圧値に相当し、前記Vtgは前記目標電圧値に相当し、前記Inowは、前記バッテリ制御部により取得された前記充電電流値に相当し、前記Icutは、前記完了電流値に相当する、
請求項6又は7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記バッテリ制御部は、
前記リチウムイオンバッテリの温度を取得し、
取得された前記温度、及び/又は前記リチウムイオンバッテリの劣化度合に基づいて、前記完了電流値を算出する、ように構成されている
請求項4~8のいずれか1項に記載のバッテリパック。