(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133694
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】フィラメント装置への熱送達を制御するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A61M37/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024111520
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2021577612の分割
【原出願日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】62/868,580
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
3.JAVASCRIPT
4.PASCAL
(71)【出願人】
【識別番号】519337536
【氏名又は名称】パスポート テクノロジーズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PassPort Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】5580 Morehouse Drive,Suite 120,San Diego,California 92121,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウロス カスカク
(72)【発明者】
【氏名】アルジュン シン ブンガル
(72)【発明者】
【氏名】メガ チョーダリー シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】安達 博敏
(72)【発明者】
【氏名】ジョー フゥア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱切除のために送達されるエネルギを制御するためのシステム100および方法を提供する
【解決手段】装置は、導電性フィラメントのアレイを含む導電性部材と、電流を導電性/抵抗性部材に複数の電気パルスで供給するように構成された電源と、電源に接続された処理回路とを含むことができる。処理回路は、供給電流値を第1の電流密度以上かつ第2の電流密度以下に制御し、パルス長を第1のパルス長以上かつ第2のパルス長未満に制御し、供給電流値を第1の時点において第3の電流密度を有し、第2の時点において第4の電流密度を有するように制御するように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの前記膜の一部分を切除するための装置であって、前記装置が、
導電性フィラメントのアレイを含み、前記導電性フィラメントのアレイを流れる電流に基づいて熱エネルギを発生させ、前記熱エネルギをポレータに隣接して配置された生体膜に提供するように構成されたポレータと、
前記電流を前記ポレータに複数のパルスで提供するように構成された電源回路と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記電源回路が、電源に接続された制御回路を備え、前記制御回路が、前記複数のパルスの1つ以上のパラメータを制御するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記制御回路が、ポレータ熱ウォームアッププロセスを実行すべく、前記1つ以上のパラメータを制御する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記制御回路が、ポレータ熱減速プロセスを実行すべく、前記1つ以上のパラメータを制御する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記制御回路が、ポレータの熱プロセスおよび維持プロセスを実行すべく、前記1つ以上のパラメータを制御する、請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上のパラメータは、前記パルスのうちの少なくとも1つの電流の振幅を表す電流値を含む、請求項2記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上のパラメータは、前記複数のパルスのうちの少なくとも一部の周波数を表す周波数値を含む、請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上のパラメータは、前記複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルス幅を表すパルス幅値を含む、請求項2記載の装置。
【請求項9】
前記制御回路が、前記複数のパルスの電流値を、制御された電流値が第1の電流密度以上かつ第2の電流密度以下となるように制御し、前記第2の電流密度は前記第1の電流密度より高い、請求項2記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路が、第1の時点において第3の電流密度を有し、第2の時点において第4の電流密度を有するように電流値を制御し、前記第3の電流密度および前記第4の電流密度は前記第1の電流密度と前記第2の電流密度との間にあるかまたはこれらと等しく、前記第4の電流密度は前記第3の電流密度より低く、前記第2の時点は前記第1の時点より遅い、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記制御回路が、前記複数のパルスのパルス長を第1のパルス長以上かつ第2のパルス長未満となるように制御し、前記第2のパルス長は前記第1のパルス長より長い、請求項2記載の装置。
【請求項12】
前記制御回路が、溶融によるフィラメント破損の可能性を最小限に抑えながら前記膜の一部をフラッシュ蒸発させるべく、供給電流値を制御するようにさらに構成されている、請求項2記載の装置。
【請求項13】
前記制御回路が、前記導電性フィラメントのアレイの断面積に対する電流の供給比を決定し、第1の閾値と該第1の閾値より大きい第2の閾値との間で前記供給比を制御するようにさらに構成されている、請求項2から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記制御回路が、溶融によるフィラメント破損の可能性を最小限に抑えながら前記膜の一部をフラッシュ蒸発させるべく、前記複数のパルスの連続パルス間のパルス長およびパルス周期を組み合わせて制御するようにさらに構成されている、請求項2から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記電源回路が、
前記導電性フィラメントのアレイの温度を監視し、
溶融によるフィラメント破損または開回路状態となることを防止すべく、前記導電性フィラメントのアレイの温度を制御する
ようにさらに構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記電源が、前記導電性フィラメントのアレイの抵抗に少なくとも部分的に基づいて、前記導電性フィラメントのアレイの温度を監視するようにさらに構成されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記電源回路が、受信された測定温度情報に少なくとも部分的に基づいて、前記導電性フィラメントのアレイの温度を監視するようにさらに構成されている、請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、前記電源回路に温度情報を提供するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記電源回路は、導電性部材により膜表面に加えられる圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定するようにさらに構成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の微細穿孔装置。
【請求項20】
前記第2のパルス長は、当該パルス長以下で前記微細穿孔装置のユーザが無痛微細穿孔を受ける最大パルス長に対応する、請求項11記載の微細穿孔装置。
【請求項21】
熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの前記膜の一部分を切除するための方法であって、前記方法が、
請求項1から20までのいずれか1項記載の装置を前記膜に適用するステップと、
前記導電性フィラメントのアレイに提供される電気パルスを、前記導電性フィラメントのアレイを加熱して少なくとも1つの微細孔を形成するのに十分な深さの前記膜の一部分を切除するように制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの膜の一部分を切除し、前記導電性フィラメントのアレイに提供される前記電気パルスを、前記導電性フィラメントのアレイを加熱して、少なくとも1つの微細孔を形成するのに十分な深さの前記膜の一部分を切除するように制御するための、請求項1から20までのいずれか1項記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切除される組織へのエネルギ送達および/または伝達のためのコンジットとして金属フィラメントを使用した熱組織切除またはフラッシュ蒸発に関する。より具体的には、本開示は、電気エネルギを、組織を切除するための熱に変換することに関する。
【0002】
発明の背景
皮膚の穿孔の間、金属フィラメントを介して電気エネルギを提供し、生成された熱エネルギ(熱)を皮膚の表面から皮膚に伝達することにより、高温にされた金属フィラメントを使用して、皮膚を切除することができる。皮膚への熱エネルギの迅速な導入により、皮膚の1つ以上の外層の温度が急速に上昇し、皮膚の少なくとも一部分が切除される。瞬時(またはほぼ瞬時)の切除により、角質層(皮膚により保護された体内への異物の侵入および体液の損失を防止する皮膚の最も外側の保護層)が皮膚から除去されることが保証される。角質層の除去により、金属フィラメントを通して提供される電気エネルギに比例した深さを有する開口(「細孔」と称される場合もある)が提供される。
【0003】
表皮は、水性でありかつ処方された活性医薬成分のためのコンジットとして作用することができる皮膚の層である。金属フィラメントを通して提供される電気エネルギが十分に大きく、十分に迅速に送達される場合、結果として生じる熱により角質層が切除され、表皮の少なくとも一部が露出する。より多くのエネルギを皮膚に提供することにより、より多くの表皮(例えば水分)が蒸発し、より深い孔がもたらされるであろう。より深くかつより多数の細孔によって常により高い流動速度の達成がもたらされるわけではない(例えば、一部の製剤は間質液中に見出される分子に影響を受けるので、細孔が過度に多いと流動速度が減衰する場合がある)が、多くの場合、より深い細孔によって、処方された活性医薬品のより高い流動速度を促進(または提供)することができ、これにより、皮膚を介して処方された活性医薬品の十分に望ましい供給または濃度が提供される。
【0004】
発明の概要
本明細書に開示する方法および装置またはデバイスは、それぞれ幾つかの態様を有し、そのうちの1つだけがその望ましい属性を単独で担うわけではない。本開示の範囲を限定することなく、例えば以下の特許請求の範囲により表されるように、そのより顕著な特徴をここで簡潔に論じるものとする。この論を検討した後、特に「詳細な説明」と題されたセクションを読んだ後、記載した特徴がデータ認証サービスを含む利点をどのように提供するかが理解されるであろう。
【0005】
一実施形態は、熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの膜の一部分を切除するための装置を含む。この装置は、例えば、導電性フィラメントのアレイを含み、導電性フィラメントのアレイを流れる電流に基づいて熱エネルギを発生させ、熱エネルギを隣接して配置された生体膜に提供するように構成されたポレータを含むことができる。また、この装置は、電流をポレータに複数のパルスで提供するように構成された電源回路も含むことができる。このような装置の種々の実施形形態は、以下に示される1つ以上の特徴を含む、1つ以上の他の特徴を含むことができる。
【0006】
熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの膜の一部分を切除するための装置の幾つかの実施形態では、電源回路は、電源に接続された制御回路を含み、制御回路は、複数のパルスの1つ以上のパラメータを制御するように構成されている。幾つかの実施形態では、制御回路は、ポレータ熱ウォームアッププロセスを実行すべく、1つ以上のパラメータを制御する。幾つかの実施形態では、制御回路は、ポレータ熱減速プロセスを実行すべく、1つ以上のパラメータを制御する。幾つかの実施形態では、制御回路は、ポレータの熱プロセスおよび維持プロセスを実行すべく、1つ以上のパラメータを制御する。幾つかの実施形態では、1つ以上のパラメータは、パルスのうちの少なくとも1つの電流の振幅を表す電流値を含む。
【0007】
熱エネルギを生体膜に送達して、装置の微細孔を生じさせるのに十分な深さの膜の一部分を切除するための装置の幾つかの実施形態では、1つ以上のパラメータは、複数のパルスのうちの少なくとも一部の周波数を表す周波数値を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のパラメータは、複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルス幅を表すパルス幅値を含む。幾つかの実施形態では、制御回路は、複数のパルスの電流値を、制御された電流値が第1の電流密度以上かつ第2の電流密度以下となるように制御し、第2の電流密度は、第1の電流密度より高い。幾つかの実施形態では、制御回路は、第1の時点において第3の電流密度を有し、第2の時点において第4の電流密度を有するように電流値を制御し、第3の電流密度および第4の電流密度は第1の電流密度と第2の電流密度との間にあるかまたはこれらに等しく、第4の電流密度は第3の電流密度より低く、第2の時点は第1の時点より遅い。幾つかの実施形態では、制御回路は、複数のパルスのパルス長を第1のパルス長以上かつ第2のパルス長未満となるように制御し、第2のパルス長は第1のパルス長より長い。幾つかの実施形態では、制御回路は、溶融によるフィラメント破損の可能性を最小限に抑えながら膜の一部をフラッシュ蒸発させるべく、供給電流値を制御するようにさらに構成されている。
【0008】
上記で論じている実施形態はいずれも、本明細書に記載する1つ以上の特徴または他の特徴を含むことができる。幾つかの実施形態では、制御回路は、導電性フィラメントのアレイの断面積に対する電流の供給比を決定し、第1の閾値と第1の閾値より大きい第2の閾値との間で供給比を制御するようにさらに構成されていることができる。幾つかの実施形態では、制御回路は、溶融によるフィラメント破損の可能性を最小限に抑えながら皮膚表面をフラッシュ蒸発させるべく、複数のパルスの連続パルス間のパルス長およびパルス周期を組み合わせて制御するようにさらに構成されている。幾つかの実施形態では、電源回路は、導電性フィラメントのアレイの温度を監視し、溶融によるフィラメント破損または開回路状態となることを防止すべく、導電性フィラメントのアレイの温度を制御するようにさらに構成されている。幾つかの実施形態では、電源は、導電性フィラメントのアレイの抵抗に少なくとも部分的に基づいて、導電性フィラメントのアレイの温度を監視するようにさらに構成されている。幾つかの実施形態では、電源回路は、受信された測定温度情報に少なくとも部分的に基づいて、導電性フィラメントのアレイの温度を監視するようにさらに構成されている。幾つかの実施形態では、この装置は、電源回路に温度情報を提供するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに含む。幾つかの実施形態では、電源回路は、導電性部材により皮膚表面に加えられる圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定するようにさらに構成されている。幾つかの実施形態では、第2のパルス長は、当該パルス長以下で装置のユーザが無痛微細穿孔を受ける最大パルス長に対応する。
【0009】
別の革新は、熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの膜の一部分を切除するための方法である。この方法は、上記で特定した特徴のいずれかを有する装置を膜に適用することと、導電性フィラメントのアレイに提供される電気パルスを、導電性フィラメントのアレイを加熱して少なくとも1つの微細孔を形成するのに十分な深さの膜の一部分を切除するように制御することとを含むことができる。
【0010】
これらの図面および本明細書における関連する説明は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供されるものであり、限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】幾つかの実施形態に係る熱切除システムの一例を示す図である。
【
図1B】幾つかの実施形態に係る
図1Aの熱切除システムの制御ユニットの一例を示す機能ブロック図である。
【
図2A】幾つかの実施形態に係る
図1Aの熱切除システムの一部でありうるフィラメントアレイのフィラメントの一例を示す斜視図である。
【
図2B】幾つかの実施形態に係る断面および電流方向を示す、フィラメントアレイのフィラメントの一例を示す斜視図である。
【
図3A】幾つかの実施形態に係る熱切除システム、例えば、
図1Aに示されている熱切除システムの複数のフィラメントを含むフィラメントアレイの代表例を示す上面図である。
【
図3B】幾つかの実施形態に係るフィラメントアレイ、例えば、
図3Aに示されているフィラメントアレイの一部を示す電気的模式図である。
【
図3C】1つ以上のフィラメント破損を有するフィラメントアレイの代表例の上面図である。
【
図4】フィラメントアレイに印加された2つの電流密度からのx軸上での時間(秒)の関数としてのy軸上での温度(ケルビン)を示すグラフである。
【
図5】例示的な実施形態に係るフィラメントアレイに送達されるエネルギの電流密度およびパルス長に対する、
図1Aのフィラメントアレイの細孔形成性能結果(経表皮水分損失により測定)を示す表である。
【
図6】フィラメントアレイのフィラメント当たりのエネルギ(x軸)の関数としての経表皮水分損失(TEWL)(y軸)を示すグラフである。
【
図7】フィラメントアレイの実施形態にパルスにより提供されるエネルギ(x軸)に対するTEWL(y軸)の関係を示すパルスプロファイルを示すグラフである。
【
図8】幾つかの実施形態に係るフィラメントアレイのフィラメント温度(y軸)を示すグラフであり、フィラメント温度は、複数のパルスの形態でフィラメントアレイにエネルギを提供することにより生じる。
【
図9】幾つかの実施形態に係るフィラメントアレイの動作の異なる位相に関連して、経時的にフィラメントアレイに提供されるエネルギを制御する電流および電圧信号を示すグラフである。
【
図10】幾つかの実施形態に係るフィラメントアレイの動作温度プロファイルを示す時間(x軸)の関数としての温度(y軸)のグラフである。
【
図11A】例示的な実施形態に係る
図1Bのフィラメントアレイについての2つの異なるエネルギ送達プロファイルの温度曲線を示すグラフである。
【
図11B】例示的な実施形態に係る
図1Bのフィラメントアレイについての2つの異なるエネルギ送達プロファイルの温度曲線を示すグラフである。
【0012】
詳細な説明
特定の実施形態および例示を以下に開示するが、本発明の主題は、具体的に開示する実施形態を超えて、他の代替的な実施形態および/または使用ならびにその修正および等価物に及ぶ。このため、本願の範囲は、以下に記載する特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示する任意の方法またはプロセスにおいて、方法またはプロセスの作動または動作を、任意の適切な順序で実行することができ、必ずしも任意の特定の開示の順序に限定されない。種々の動作を、特定の実施形態の理解の助けとなしうるように複数の別個の動作として順に説明したところがあるが、説明の順序は、これらの動作が順序に依存することを示唆していると解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載する構造、システムおよび/または装置を、統合されたコンポーネントとしてまたは別個のコンポーネントとして具現化することができる。種々の実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様および利点を説明する。必ずしもこのような態様または利点の全てが、任意の特定の実施形態により達成されるわけではない。このため、例えば、種々の実施形態は、本明細書で教示されまたは示唆されうるような他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示する1つの利点または利点群を達成しまたは最適化するように実施可能である。
【0013】
以下の詳細な説明において、本開示の一部を成す添付の図面を参照する。詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載する例示的な実現形態は、限定を意味するものではない。本明細書で提示する主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実現形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書で一般的に説明し、図面に示す本開示の態様は、広範な種々の構成で配置し、置換し、組み合わせ、設計することができ、その全てが明示的に企図されたものであって本開示の一部を成すことが容易に理解されるであろう。
【0014】
本明細書で使用する用語は、特定の実現形態を説明する目的のためのみのものであり、本開示の限定を意図するものではない。特定の数の特許請求の範囲の構成要素が意図される場合、このような意図は特許請求の範囲において明示的に列記され、当該列記がない場合、このような意図は存在しないことが理解されるであろう。例えば、本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、特に断らない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用する場合、「および/または」なる用語は、関連する列記された項目のうちの1つ以上の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含む。本明細書で使用する場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および「含んでいる(including)」なる用語は、記述された特徴、整数、ステップ、動作、構成要素および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、構成要素、コンポーネントおよび/またはこれらの群の存在または追加を排除しないこともさらに理解されるであろう。構成要素のリストに続く場合、「~のうちの少なくとも1つ」などの表現は、構成要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の構成要素を修飾するものではない。
【0015】
図1Aに、幾つかの実施形態に係る例示的な熱切除システム100(本明細書において、「アプリケータ」と称される場合もある)を示す。種々の実施形態では、熱切除システム100は、微小穿孔装置であってよい。示されている熱切除システム100は、熱切除システム100の種々のコンポーネントを少なくとも部分的に取り囲むハウジング125を含む。ハウジング125の一部は、ユーザの手に保持されるように構成された本体部分115であることができる。また、熱切除システム100は、ユーザインタフェースも含むことができる。種々の実施形態では、ユーザインタフェースは、熱切除システム100のユーザ、例えば、熱切除システム100の本体部分115を自身の手に保持しているユーザに情報を表示するように配置されたディスプレイ105を含むことができる。また、熱切除システム100は、1つ以上の制御部110も含むことができる。種々の実施形態では、ユーザインタフェースは、1つ以上の制御部110も含むことができる。この実施形態では、1つ以上の制御部110は、熱切除システム100の本体部分115を保持しているユーザの手からアクセス可能である。ポレータ120は、熱切除システム100の一端に配置されている。熱切除システム100には、ポレータ120の種々の実施形態を使用することができる。
図1Aに示されている例示的なポレータ120は、生体膜への直接の接触を介して熱エネルギを送達して、微細孔を形成するのに十分な深さの膜の一部分を切除するように動作可能な1つ以上のフィラメント200を含むフィラメントアレイ104を含む。
【0016】
図1Bは、例示的な実施形態に係る熱切除のために構成されたアプリケータ100、例えば、
図1Aの熱切除システムのコンポーネントの一部を示す機能ブロック
図102である。機能ブロック
図102は、本明細書に記載する種々の機能を実装しかつ/または制御するように構成可能なコンポーネントの例を示す。したがって、参照を容易にするために、機能ブロック
図102を、本明細書において、アプリケータ100の制御ユニット102と称する場合がある。例えば、制御ユニット102は、ポレータ120、具体的には、フィラメントアレイ104に提供される電流を制御することができる。本明細書における
図1Bの説明に関して、一部の項目番号は、
図1Aに関連して説明した態様を指す。幾つかの実現形態では、制御ユニット102は、
図1Bに示されている各コンポーネントを含まない。幾つかの実現形態では、制御ユニット102は、図示を明確にするために
図1Bに示されていない追加のコンポーネントを含む。また、アプリケータのコンポーネントは全て、
図1Bに示されている制御ユニット102には示されていない。例えば、制御ユニット102は、アプリケータ100のフィラメントアレイ104(
図1Bに図示せず)に電流を提供するように構成されている。
【0017】
示されている制御ユニット102は、制御ユニット102の動作を制御するプロセッサ204を含む。プロセッサ204を、中央処理装置(CPU)またはハードウェアプロセッサまたはマイクロプロセッサユニット(MPU)とも称する場合がある。制御ユニットは、メモリユニット206をさらに含む。メモリユニット206は、読み出し専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)の両方を含むことができ、プロセッサ204に命令および/またはデータを提供することができ、プロセッサ204からの命令および/またはデータを記憶するためのリポジトリとして機能することができる。また、メモリユニット206の一部は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)も含むことができる。プロセッサ204は、典型的には、メモリユニット206内に記憶されたプログラム命令または受信された命令および/もしくはデータに基づいて、論理演算および算術演算を実行する。メモリユニット206内の命令は、本明細書に記載方法を実施するために実行可能であってよい。さらに、以下に記載される特定の方法の使用が可能となるように、制御ユニット102は、メモリユニット206を利用して、熱切除システム100内の他のコンポーネントに関する情報を記憶する、例えば、特定の設定値、閾値、ポレータへの電力の提供に使用される情報および/または熱切除システム100内のコンポーネントについての動作特性を記憶することができる。幾つかの実施形態では、ポレータへの電力の提供に使用される情報は、電気パルスをポレータに提供して、ポレータのフィラメントの加熱に使用可能な情報、例えば、ポレータへの電力の提供のための1つ以上のプロセスを含む。ついで、制御ユニット102は、メモリユニット206に関連してプロセッサ204を利用して、記憶されたデータを分析し、熱切除システム100内の1つ以上の他のコンポーネントについての種々のセット、カテゴリ、特性またはその他のものを決定しかつ/または識別することができる。
【0018】
プロセッサ204は、1つ以上のプロセッサで実装される処理システムのコンポーネントを含んでよく、または当該コンポーネントであってもよい。1つ以上のプロセッサを、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、コントローラ、状態機械、ゲートロジック、別個のハードウェアコンポーネント、専用ハードウェア有限状態機械、または情報の計算もしくは他の操作を実行することができる任意の他の適切なエンティティの任意の組み合わせにより実装することができる。
【0019】
また、処理システムは、ソフトウェアを記憶するための非一時的機械可読媒体を含むことができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと称されるかどうかにかかわらず、任意のタイプの命令を意味するように広く解釈されるべきである。命令は、コード(例えば、ソースコードフォーマット、バイナリコードフォーマット、実行可能コードフォーマット、または任意の他の適切なフォーマットのコード)を含むことができる。命令は、1つ以上のプロセッサにより実行される際に、本明細書に記載する種々の機能を処理システムに実行させるためのものである。プロセッサ204は、動作およびデータ通信を制御するためのパケットを生成するためのパケット生成器をさらに備えることができる。
【0020】
制御ユニット102は、ネットワークコンポーネント、例えば、制御ユニット102と遠隔地との間でデータの送受信を可能にする送信器210および受信器212を含むことができる。送信器210および受信器212を、トランシーバまたはネットワークインタフェース214に組み込むことができる。ネットワークインタフェース214(ならびに/または送信器210および受信器212)は、無線または有線の通信リンクを備えることができる通信リンク216を介して通信することができる。幾つかの実現形態では、通信リンク216は、制御ユニット102および/または熱切除システム100の使用の監視および/または追跡に使用されるモバイルデバイスまたは他のユーザデバイスへのリンクを備えることができる。ネットワークインタフェース214は、プロセッサ204と共に動作して、通信リンク216を介して通信する。
【0021】
制御ユニット102は、ハウジング125により少なくとも部分的に取り囲まれている。ハウジング125は、制御ユニット102のコンポーネントを環境から保護し、取り扱いが安全でありかつユーザの使用が容易である便利なパッケージを提供する。
【0022】
また、制御ユニット102は、1つ以上のエネルギ蓄積装置218も含む。エネルギ蓄積装置218は、1つ以上のバッテリ、キャパシタまたは類似のエネルギ蓄積コンポーネントを備えることができる。エネルギ蓄積装置218は、制御ユニット102が動作中(例えば、熱切除システム100中で動作中)に、制御ユニット102のコンポーネントにエネルギを提供する。
【0023】
幾つかの実現形態では、制御ユニット102は、制御ユニット102の1つ以上のコンポーネントの動作または状態を監視するように構成された1つ以上の回路またはセンサ224を含む。例えば、センサ224は、エネルギ蓄積装置218の充電状態および/または正常状態を検出することができる。付加的にかつ/または代替的に、センサ224は、制御ユニット102の誤動作を示す制御ユニット102の1つ以上のコンポーネントの状態を検出することができる。例えば、センサ224は、1つ以上のフィラメントが「溶断された」時点または開回路状態にある時点もしくは劣化して開回路状態に近づいている時点を検出することができる。代替的にまたは付加的に、センサ224は、過度に高い電圧もしくは過度に低い電圧もしくは電流がフィラメントに伝達されている時点、および/またはフィラメントの温度が所望の閾値を上回るもしくは下回るもしくは所望の閾値にある時点を検出することができる。幾つかの実現形態では、センサ224は、プロセッサ204の動作を監視するように構成されていることができる。センサ224が、過電圧もしくは過温度状態を検出した場合またはプロセッサ204が非応答であると判定した場合には、センサ224は出力を生成することができる。幾つかの実現形態では、センサ224からの出力を、送信器210またはネットワークインタフェース214を介して、通信リンク216上で通信することができる。幾つかの実現形態では、センサ224からの出力を、制御ユニット102の別のコンポーネント、例えば、プロセッサ204または以下でさらに記載されるユーザインタフェース222に内部通信することができる。
【0024】
幾つかの実現形態では、制御ユニット102が初期化された場合および/または熱切除システム100が起動された場合、センサ224は、全ての接続が適切であり、熱切除システム100の全てのコンポーネントが適切な動作状態にあることを保証するために、初期チェックを実行する。したがって、制御ユニット102は、熱切除システム100の初期チェックを実行して、何らかの誤動作が存在するか否かを判定することができる。制御ユニット102内でまたは制御ユニット102により誤動作が検出されない場合には、制御ユニット102は、フィラメントに電流を提供し始める。誤動作が検出された場合には、制御ユニット102は、フィラメントへの電流の提供を防止することができる。したがって、センサ224は、安全回路内で機能するかまたは安全回路として作動し、誤動作状態での熱切除システム100の動作を防止することができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、センサ224および/またはプロセッサ204は、導電性部材の温度を監視することができる。プロセッサ204は、フィラメント破損を防止するために、導電性部材の温度をさらに制御することができる。ここで、フィラメント破損は、1つ以上のフィラメントの溶融をもたらしまたは開回路状態にする。幾つかの実施形態では、温度は、導電性部材の抵抗を特定するセンサ224に基づいて測定される。ここで、フィラメント破損を防止するために温度を制御することは、導電性部材が皮膚表面および空気の少なくとも一方と接触している間に、フィラメント破損を防止するために、温度を制御することを含む。
【0026】
また、制御ユニット102は、電流発生器220も含む。電流発生器220は、本明細書に記載されているように、フィラメントに提供される電流信号を発生させる。幾つかの実現形態では、電流信号は、1つ以上のパルスを含むことができる。幾つかの実現形態では、このパルスは、フィラメントの温度を制御し、皮膚に細孔を形成するために、1つ以上の持続時間(例えば、期間)、振幅などを有するように変更される。幾つかの実現形態では、電流信号は、周期的パルスであることができる。幾つかの実現形態では、電流信号は一定の振幅を有することができ、一方、他の実現形態では、電流信号は2つ以上の異なる振幅のパルスを含むことができる。幾つかの実現形態では、電流信号は一定の周波数を有し、一方、他の実現形態では、電流信号は2つ以上の異なる周波数でのパルスのセットを含む。例えば、電流発生器220は、制御ユニット102を介して、異なる期間の間に異なる特性でフィラメントアレイ104に伝達される電流信号を発生させることができる。第1の期間の間、第1のセットの属性を有する電流信号を発生させることができる。例えば、単一のパルスとして、または同じもしくは類似の振幅を有する2つ以上のパルスとして、かつ/または特定の周波数を有するパルスのセットとして、である。第2の期間(例えば、後続の期間)の間、第2のセットの属性を有する電流信号を発生させることができる。例えば、第1の期間の間に発生されるパルスの振幅とは異なる振幅を有する1つ以上のパルスとして、かつ/または第1の期間の間に発生されるパルスとは異なる周波数を有する1つ以上のパルスとして、である。
【0027】
幾つかの実現形態では、センサ224またはプロセッサ204からのコマンドを使用して検出された状態に基づいて、プロセッサ204は、電流信号の発生および電流信号のフィラメントへの伝達を可能にしまたは中断する。幾つかの実現形態では、電流信号の発生および伝達を中断することは、電流信号を終了させることまたは電流信号を低減することを含む。
【0028】
幾つかの実現形態では、パルスは、1VAC~42VACの関連電圧を有することができる。例えば、種々の実現形態では、パルスは、1VAC、2VAC、3VAC、4VAC、5VAC、6VAC、7VAC、8VAC、9VAC、10VAC、11VAC、12VAC、13VAC、14VAC、15VAC、16VAC、17VAC、18VAC、19VAC、20VAC、21VAC、22VAC、23VAC、24VAC、25VAC、26VAC、27VAC、28VAC、29VAC、30VAC、31VAC、32VAC、33VAC、34VAC、35VAC、36VAC、37VAC、38VAC、39VAC、40VAC、41VACまたは42VACの交流電圧を有することができる。幾つかの実現形態では、電圧は、42VAC超であることができる。幾つかの実現形態では、パルスの持続時間は、1ms、2ms、3ms、4ms、5ms、6ms、7ms、8ms、9ms、10ms、11msまたは12msであることができる。幾つかの実現形態では、パルスの持続時間は、12ms超であることができる。パルスの持続時間が長くなるにつれて(例えば、パルスの持続時間は、16msに近づくにつれて)、患者は、電流がどれだけ低くても、熱を感じ始める場合がある。幾つかの実現形態では、パルスは、用途要求に基づいて調整可能な長さまたは期間を有することができる。
【0029】
一部の態様では、制御ユニット102は、ユーザインタフェース222をさらに備える。ユーザインタフェース222は、キーパッドおよび/またはディスプレイを備えることができる。ユーザインタフェース222により、ユーザが制御ユニット102および/または熱切除システム100の動作を制御することができる。ユーザインタフェース222は、制御ユニット102のユーザに情報を伝達しかつ/またはユーザから入力を受け取る任意の構成要素またはコンポーネントを含むことができる。
【0030】
制御ユニット102は、入出力(I/O)回路コンポーネント228をさらに備える。幾つかの実現形態では、I/O回路228は、熱切除システム100内の1つ以上の他のコンポーネント、例えば、フィラメントへの制御ユニット102の接続を可能にするコンポーネントを備えることができる。幾つかの実施形態では、I/O回路228は、制御ユニット102を他のコンポーネントに物理的に接続するコネクタ(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ、専用コネクタまたは任意の他のコネクタ)を含む。幾つかの実現形態では、I/O回路228は、制御ユニット102および/または他のコンポーネント間の不適切な接続を検出するコンポーネントを備える。
【0031】
制御ユニット102の種々のコンポーネント同士を、バスシステム226により接続することができる。バスシステム226はデータバスを含むことができ、データバスに加えて、例えば電力バス、制御信号バスおよびステータス信号バスを含むことができる。当業者であれば、制御ユニット102の種々のコンポーネント同士を接続しまたは何らかの他の機構を使用して、互いに入力を受容しもしくは提供することができると理解するであろう。
【0032】
多数の別個のコンポーネントが
図1Bに示されているが、当業者であれば、これらのコンポーネントの1つ以上を、上記の機能に関してだけでなく、他のコンポーネントに関して上記の機能の実装のためにも使用可能であることを認識するであろう。例えば、プロセッサ204を、プロセッサ204に関して上記の機能の実装のためだけでなく、電流発生器220および/またはセンサ224に関して上記の機能の実装のためにも使用することができる。
図1Bに示されている各コンポーネントを、複数の別個の構成要素を使用して実装することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、制御ユニット102のうちの1つ以上のコンポーネントは、熱切除システム100を乱用しまたは不適切に使用することができないように、制御ユニット102のロックを提供することができる。付加的にまたは代替的に、制御ユニット102のうちの1つ以上のコンポーネントは、熱切除システム100の使用回数または熱切除システム100により提供される用量をカウントしかつ/または次回の用量に関する注意を提供することができる。幾つかの実施形態では、ネットワークインタフェース214を、必要に応じて、処方された医薬品の補充に関して医師もしくは薬局と通信しまたは用量を変更するなどに使用することができる。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース222は、熱切除システム100のパーソナライズ化を提供し、音声プロンプト、誘導灯などを提供して、熱切除システム100の操作を簡単化することができる。
【0034】
図1Aの熱切除システム100では、制御ユニット102の電流発生器220により発生されてフィラメントアレイ104に印加される電流信号により、フィラメントアレイ104が加熱され、エネルギ/熱送達媒体として作用する。フィラメントアレイ104は、皮膚の少なくとも表面(すなわち、角質層)を切除するのに十分な量のエネルギ/熱を皮膚に提供する。幾つかの実施形態では、フィラメントアレイ104により皮膚に伝達されるエネルギ/熱の量は、フィラメントアレイ104に送達される電流を変化させることによりまたはフィラメントアレイ104がエネルギを皮膚に伝達する時間量を変化させることにより変化する。例えば、電流発生器220は、フィラメントアレイ104がエネルギを皮膚に伝達する時間量を変化させることができる。幾つかの実施形態では、この時間量を、フィラメントアレイ104が皮膚と接触している時間量を変化させることによりかつ/またはフィラメントアレイ104に送達される電流のパルス長を変化させることにより変化させることができる。例えば、電流発生器220は、電流信号のパルス長を変化させることができる。皮膚切除を実行するために、フィラメントアレイ104に印加される電流は、フィラメントアレイ104の温度を、角質層および表皮の融点を超えるが、フィラメントアレイ104の融点未満である温度とすることができる。幾つかの実施形態では、フィラメントアレイ104による切除のための目標温度は、約123℃または実質的に123℃であってよい。
【0035】
図2Aは、例示的な実施形態に係る
図1Aの熱切除システム100のフィラメントアレイ104のフィラメント200の斜視図である。示されているように、フィラメント200は、3次元形状を有し、高さ201、長さ203、および幅205を有する。フィラメント200は、導電性材料(例えば、ステンレス鋼または別の金属もしくは類似の導電性材料)から形成されるかまたはこれを含む。幾つかの実施形態では、フィラメント200は、マイクロフィラメントまたは類似のフィラメントであることができる。例えば、フィラメント200は、幅50μm、厚さ15μm、および長さ400μmであることができる。示されているフィラメント200は、概ね矩形のブロックまたはプリズムの形状を有するが、フィラメント200は、任意の他の形状、例えば台形形状を有することができる。また、フィラメントの形状は、蛇行ストリップ、楕円形、円形もしくは楕円形リングであってもよく、変化する幅を有してよく、または「x」形もしくは星形であってもよいが、これらに限定されない。フィラメントの断面207の形状は、正方形、長方形、台形、楕円形、三日月形であってよいが、これらに限定されない。フィラメントは、平面状(X寸法およびY寸法が1平面内にある場合または実質的に1平面内にある場合)または3次元(3D)であることができ、端部の2つのアンカーポイント間の長さのある部分で曲げることができる。
【0036】
フィラメント200は、フィラメント200から皮膚に十分なエネルギを伝達させて、角質層を切除し、表皮を露出させることにより、皮膚に細孔を形成することができる。フィラメント200から皮膚に伝達されるエネルギの量は、皮膚とフィラメント200との間の温度差、フィラメント200の材料、皮膚の特性(例えば、皮膚層の皮膚の種類、形態、弾性、水和性および熱力学的パラメータ)に基づくことができ、また、フィラメント200と皮膚との間の接触/圧力にも基づくことができる。幾つかの実施形態では、フィラメント200と皮膚との間の接触力を大きくするために、バキューム(vacuum)を使用することができる。例えば、フィラメントアレイ104を備えるポレータは、バキュームに接続されると、皮膚を孔または構造に向かって「吸引」し、フィラメント200と皮膚との間の接触を大きくする孔または他の構造を含むことができる。幾つかの実施形態では、フィラメント200の一部が曲げられ、フィラメントアレイが概して整列される平面から突出し、このため、過圧点を形成することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、制御ユニット102は、導電性部材(例えば、フィラメントアレイ104)により皮膚表面に加えられた圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定することができる。例えば、幾つかの実施形態では、制御ユニット102は、少なくとも1つのセンサ224から情報を受け取り、受け取った情報を使用して、導電性部材により皮膚表面に加えられた圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定することができる。幾つかの実施形態では、制御ユニット102は、プロセッサ204の情報を使用して、例えば測定された圧力情報とメモリに記憶された1つ以上の圧力値(例えば閾値)とを比較することにより、導電性部材により皮膚表面に加えられた圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定することができる。
【0038】
図2Bは、例示的な実施形態に係る断面207および電流方向209を示す、
図2Aのフィラメント200の斜視図である。示されているように、断面207は台形であり、電流は電流方向209にフィラメント200を流れる。フィラメント200の断面207は、任意の形状(例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、別の多角形など)であってよい。種々の実施形態では、電流は、フィラメント200の断面207に対して実質的に垂直な方向であることができる。フィラメント200および断面207を流れる電流に基づいて、電流密度/流動を、次の等式1、すなわち
電流密度=I/A
(等式1)
式中、
・I-フィラメント200を流れる電流、および
・A-フィラメント200の断面積、
に従って決定することができる。
【0039】
等式1に基づき、電流密度を維持するために、フィラメント200の断面積が大きくなるにつれて、対応する電流を増大させなければならない。フィラメント200の長さが長くなるにつれて、フィラメント200の抵抗は相応に大きくなり、フィラメント200の質量増大に対して電圧および電力を増大させる場合がある。
【0040】
フィラメント200の電流密度を使用して、以下でさらに詳細に説明するように、痛みを与えずまたはフィラメントアレイ104に損傷を与えずに、実行可能な細孔を形成するフィラメントアレイ104の動作範囲を識別することができる。皮膚に形成される細孔の深さは、フィラメント200を介して皮膚に送達されるエネルギに比例する。
【0041】
幾つかの実施形態では、制御ユニット102は(例えば、プロセッサ204を介して)、フィラメント200の断面積に対する電流信号の供給比を決定する。さらに、制御ユニット102は、供給比を第1の閾値と第2の閾値との間で制御し、第2の閾値は第1の閾値よりも大きい。幾つかの実施形態では、第1の閾値および/または第2の閾値は予め決定され、メモリ(例えば制御ユニット102のメモリ206)に記憶することができる。幾つかの実施形態では、第1の閾値および/または第2の閾値は、例えば、フィラメントまたは皮膚の特性(例えば温度)を測定するセンサからの情報を使用して、動作中に動的に変更可能である。幾つかの実施形態では、第1の閾値および/または第2の閾値はダウンロード可能であり、システムのメモリ、例えば制御ユニット102のメモリ206に記憶される。
【0042】
図3Aは、例示的な実施形態に係る
図2の複数のフィラメント200を備えた
図1Aの熱切除システム100の代表的なフィラメントアレイ104の上面図である。フィラメントアレイ104は、導電性支持部材または構造300の間に配設された複数のフィラメント200を含む。
図3Aには示されていないが、導電性支持部材300は、電源に接続されていてよい。
図3Aは、フィラメントアレイ104の構造の構成/設計の一実施形態を示すが、このようなフィラメントアレイは、この構成/設計に限定されない。代わりに、本明細書で論じているように、フィラメントアレイの他の構成/設計も可能である。
【0043】
幾つかの実施形態では、導電性支持部材300は、銅または類似の導電性材料製である。幾つかの実施形態では、導電性支持部材300は、フィラメント200と同じ材料である。幾つかの実施形態では、導電性支持部材300は、フィラメント200とは異なる材料である。
図3Bに示しているように、導電性支持部材300aは、フィラメント200a~200k(ここで、1<kである)を中間に配設したフィンガまたは類似の突出部301を含む。図示していないが、対応する導電性支持部材300bは、導電性支持部材300aのフィンガ301およびインタリーブされたフィンガ301と共に存在することができる。
【0044】
導電性支持部材300は、導電性支持部材300のフィンガ間の適所にフィラメント200を保持することにより、フィラメント200に構造的支持を提供する。付加的にかつ/または代替的に、導電性支持部材300は、フィラメント200を電源に導電的に接続する。
【0045】
図3Bは、例示的な実施形態に係る
図3Aのフィラメントアレイ104の一例を示す模式図である。
図3Bに、導電性支持部材300aを、導電性支持部材300aと導電性支持部材300bとの間に配設されたフィラメント200のバンク(バンク1)と共に示す。フィラメント200のn個のバンクが存在する場合、フィラメント200のn個のバンクを支持するためのm個の導電性支持部材300が存在し、ここで、1≦n<mである。図示のように、導電性支持部材300a~300mは、フィラメント200のn個の各バンクと電源との間の導電的接続を提供し、導電性支持部材300a上および300m上にそれぞれ「+」および「-」記号で示されている。
【0046】
幾つかの実施形態では、フィラメント200がエネルギ(例えば、熱エネルギ)を皮膚に提供する時間量を制御しまたは変化させるために熱切除システム100の1つ以上のコンポーネントを使用することは、フィラメント200を通して提供される電流量(例えば、振幅)を制御することよりも単純かつ効率的でありうる。例えば、このような時間量の制御により、フィラメント200に送達される電流量を制御しまたは変化させるシステムに比べて利用するコンポーネントを少なくすることができる。一方、フィラメント200がエネルギを皮膚に提供する時間量を制御しまたは変化させた場合、制御ユニット102は、皮膚の最上層、例えば角質層および/または表皮の損傷(例えば、火傷または乾燥)を発生させうる皮膚の温度の緩慢な上昇を防止することができる。皮膚の最上層を損傷することにより、皮膚の壊死した組織の炭化/乾燥層が形成されてしまう。この壊死した組織の層は、フィラメント200から皮膚のより深い層(例えば、表皮)への熱分布を妨げる場合があり、処方された活性医薬品の送達のための実行可能な細孔の形成を妨げる場合がある。さらに、皮膚の損傷は、痛みを引き起こしまたは痛みと捉えられる、皮膚における神経反応を誘発する場合がある。したがって、フィラメントに(例えば、電気パルスで)エネルギを提供する持続時間またはフィラメント200が皮膚と接触する持続時間は、好ましくは、皮膚にこのような損傷を引き起こしうる時間未満とされる。
【0047】
さらに、フィラメントを通してより多量の電流を提供することにより、フィラメントを通る比較的少量の電流を提供するのと比較して、より短い期間でフィラメントが目標温度に達することができる。また、より多くの電流により、所望の細孔径の形成に必要な時間が短縮され、このため、フィラメントからの熱に対する神経反応のリスクを低減しまたは排除し、切除に関連する痛みを低減しまたは排除する。
【0048】
電流発生器220および制御ユニット102が、ポレータ120のフィラメントアレイ104に大電流を供給すると、フィラメントアレイ104内の個々のフィラメント200は、急速な温度上昇を受ける。フィラメント200(およびこれに対応するフィラメントアレイ)のこの温度上昇により、目標細孔径の形成に必要な時間を短縮することができる。このため、加熱および/または乾燥による熱に対する神経反応のリスクを低減しまたは排除し、切除に関連する痛みを低減しまたは排除することができる。
【0049】
上記のように、フィラメント200は、電源から表面、例えば患者の皮膚にエネルギ/熱を伝達する。各フィラメント200は、皮膚へのエネルギ/熱伝達に影響を及ぼしうる1つ以上の特性を有する。例えば、フィラメント200は、フィラメントに使用される材料およびフィラメントの機械的形状に応じた電気抵抗を有する。フィラメントに供給されるエネルギおよびフィラメントにより供給されるエネルギの量は、フィラメント200に印加される電流(すなわち、電流発生器220により発生される電流に基づく)、フィラメント200の電気抵抗、およびフィラメントのサイズに基づいている。フィラメントに供給されるエネルギは、次の等式2および等式3を使用して計算することができる。すなわち、
E=P*t=I*U*t=I2*Rf
*t=U2/Rf
*t
(等式2)
Rf=ρ*l/(w*h)
(等式3)
式中、
・E-エネルギ、
・P-電力、
・t-時間、
・I-フィラメント200を流れる電流、
・U-フィラメント200端部での電圧、
・Rf-フィラメント200の抵抗、
・ρ-フィラメント200の固有材料抵抗、
・l-フィラメント200の長さ、
・w-フィラメント200の幅、および
・h-フィラメント200の高さ(厚さ)、
である。
【0050】
フィラメントアレイ104に供給されるエネルギおよびフィラメントアレイ104により供給されるエネルギの量は、フィラメントアレイ104に印加される電流(すなわち、電流発生器220により発生された電流に基づく)およびフィラメントアレイ104の全体的な抵抗に基づいている。フィラメントアレイ104の全体的な抵抗は、フィラメントアレイ104のフィラメント200を平均することにより決定される。フィラメントアレイ104に供給されるエネルギおよびフィラメントアレイ104により供給されるエネルギは、次の等式4および等式5を使用して算出することができる。すなわち、
E=P*t=I*U*t=I2*Ra
*t=U2/Ra
*t
(等式4)
Ra=Rf/Nfb
*Nb
(等式5)
式中、
・E-エネルギ、
・P-電力、
・t-時間、
・I-フィラメントアレイ104を流れる電流、
・U-フィラメントアレイ104コンタクトでの電圧、および
・Ra-(バンク構成およびアレイ構成に応じた)フィラメントアレイ104の平均抵抗、
である。
【0051】
図3Cは、例示的な実施形態に係る1つ以上のフィラメント破損302および304を受けている
図3Aのフィラメントアレイ104の上面図である。フィラメントアレイ104のフィラメント200のうちの1つ以上が損傷しかつ/または破壊された場合、フィラメント破損が生じ、その結果、損傷しまたは破壊されたフィラメント200は、発生させた電流を電流発生器220から皮膚に伝導することができなくなる。例えば、フィラメント200のうちの1つが、切断されまたは破壊されまたは溶融し、その結果、フィラメント200が導電性支持部材300の2つのフィンガ301を接続しない場合、そのフィラメント200は、破壊されているか溶断されているかまたは他の状態で破損していることになる。したがって、破損状態にあるとき、フィラメント200は、導電性支持部材300のフィンガ301間の開回路として有効に作用する。フィラメント破損302および304は、破損したフィラメント200が接続されている導電性支持部材300の各フィンガ301間に導電性経路をもはや提供しない個々の破損したフィラメント200に対応する。
【0052】
幾つかの実施形態では、2つのフィンガ301間のフィラメントバンク内のフィラメント200のうちの1つの破損により、フィラメント破損のカスケードが引き起こされる場合がある。例えば、フィラメントバンク1内の第1のフィラメント200aが破損した場合、フィラメントバンク1内の残りのフィラメント200は、破損したフィラメント200aを通る経路の損失のために、電力流の増大を受ける。フィラメントバンク1内の残りのフィラメント200を通るこの電力流の増大により、残りのフィラメント200のうちの1つ以上が同様に破損するリスクが高まる。フィラメント200aのみの破損では、フィラメントバンク1の残りのフィラメント200におけるカスケード(アバランシェ)効果は開始されないかもしれないが、バンク1における相当数のフィラメント200(例えば、バンク1におけるフィラメント200の約5%)が破損した場合、フィラメント破損のカスケードが生じうる。したがって、最終的には、バンク1内の全てのフィラメント200が破損し、完全なカスケード破損または開放破損が生じるであろう。最初のフィラメント破損と結果として生じる完全なカスケード破損との間で経過する時間量は、以下に記載する3つの手法のうちの1つでは放散されないフィラメント200に供給される電流/エネルギの量により定められる。
【0053】
幾つかの実施形態では、フィラメント200は冷却され、これにより、フィラメント200に供給されたエネルギが放散される。このような放散を発生させる3つの手法は、(1)空気中への熱の放射、(2)フィラメントアレイ104(例えば、銅構造)への熱の伝導、および(3)皮膚への熱の伝導、を含む。フィラメント200から空気中への熱の放射は、フィラメントアレイ104または皮膚への熱伝導と比較して、比較的少量の熱損失である。したがって、放射熱損失は、一般的には無視することができる。
【0054】
導電性支持構造300への熱の(戻り)伝導は、比較的大きい。導電性支持構造300が実質的に金属であり、高い熱伝導性を有するためである。導電性支持構造300への伝導による熱損失の量は、物理学の熱法則および公知の材料特性を使用して定量化することができ、本明細書では詳細には説明しないものとする。
【0055】
上記のように、皮膚への熱伝導は、皮膚層の皮膚の種類、形態、弾性、水和性および熱力学的パラメータのうちの少なくとも1つ以上を含む皮膚の種々の特性によって定まり、またフィラメントアレイ104と皮膚との間の接触/圧力によっても定まる。皮膚の関連する特性は、穿孔中に変化する場合がある。なぜなら、皮膚の異なる層が、熱伝導に影響を及ぼす異なる特性または特徴を有しうるためである。例えば、乾燥した角質層(皮膚についての異なる実体の間で変化するコンシステンシおよび厚さを有する層状構造を有する)は、フィラメントアレイ104により切除されるにつれて、一般的にはより水和され、乾燥した角質層とは異なる特性を有する表皮が露出される。
【0056】
前述したように、フィラメント200の電気抵抗(ひいては達成される温度)は、フィラメント200のサイズおよび/または形状ならびにフィラメント200に送達されるエネルギ(すなわち、電流発生器220から発生された電流)に比例する。種々のサイズ、形状およびエネルギに対応するために、上記の等式1により定義された電流密度を使用して、これらの関係を正規化することができる。等式1により定義された電流密度、フィラメント200の破損をもたらす動作制約、および角質層の切除をもたらす動作制約に基づいて、望ましい電流密度の範囲が定義される。電流密度の定義された範囲から、フィラメント200に送達された場合に痛みを与えずまたはフィラメントアレイに損傷を与えずに存続可能な細孔を形成する電流密度が識別される。
【0057】
図4は、例示的な実施形態に係る
図1Aのフィラメント200に印加される電流密度を示すグラフ400である。グラフ400は、時間(s(秒)、x軸)の関数としての温度(K(ケルビン)、y軸)を含む。グラフ400は、3本の曲線を示す。曲線A(1.3mA/μm
2)は、角質層の切除をもたらす最低動作の制約を表す。このため、1.3mA/μm
2を下回る電流密度では、角質層の切除を生じさせる温度がもたらされない。曲線B(3.56mA/μm
2)は、フィラメント200の破損をもたらしまたはその電流密度を有するフィラメントアレイ104が皮膚に適用された場合、痛みを引き起こす動作制約を表す。このため、3.56mA/μm
2を上回る電流密度では、フィラメント温度を制御できず、フィラメント破損、完全なカスケード破損および/または痛みが引き起こされる。曲線402は、曲線Aと曲線Bとの間にあり、フィラメント破損または痛みを引き起こすことなく、角質層の切除をもたらすのに十分な例示的な電流密度を表す。このため、曲線Aと曲線Bとの間の領域は、フィラメントアレイ104を損傷しまたは破壊することなくまたは皮膚に痛みを引き起こさずもしくは皮膚を損傷することなく、切除をもたらす電流密度を表す。
【0058】
幾つかの実施形態では、熱切除システム100の制御ユニット102は、フィラメント200における電流密度が第1の電流密度(例えば、曲線Aにより表される電流密度)以上となるよう、電流発生器220が電流信号を発生させるべく(例えば、プロセッサ204を介して)制御するように構成されている。さらに、電流信号を、フィラメント200における電流密度が第2の電流密度(例えば、曲線Bにより表される電流密度)以下であるように発生させることができる。上記のように、曲線Bの電流密度は、曲線Aの電流密度より大きい。
【0059】
図5は、例示的な実施形態に係るフィラメントアレイ104に送達されるエネルギの電流密度およびパルス長に対する、
図1Aのフィラメントアレイ104の細孔形成性能結果を示す表500である。表500の列は、フィラメントアレイ104に提示される発生された電流信号のパルス長を表す種々のパルス長(ミリ秒)を示す。表500の行は、フィラメントアレイ104内のフィラメント200の平均電流密度を表す種々の電流密度(mA/μm
2)を示す。表500の本体部分は、電流密度とパルス長との特定の組み合わせにより、特定の性能結果が生じることを示す。
【0060】
表500に示されている性能結果から、パルス長と電流密度との組み合わせにより、角質層を通って表皮まで細孔を形成しながら、フィラメントアレイ104の熱力学的安定性がもたらされることが示される。フィラメントアレイ104での一貫した温度および最適化されたスイッチング(500μs当たり2回未満の切り換えであって、最適化されたスイッチングとは、制御ユニット(CPU)204がフィラメントアレイ104に送達される電流を変調するプロセスを指す)により、熱力学的安定性を定量化した。例えば、フィラメントアレイに提供される電流を、一連のパルスでオンおよびオフにスイッチングする。このスイッチングは、フィラメントの温度を比較的一定に維持し、温度が溶融点/溶断点/破壊点に到達しないようにし、一方、所望の効果のために十分に熱くなるようにフィラメントアレイを加熱するために行われる。これを、適切なパルスパラメータを使用し(例えば、設定し)、センサ224からの読み取り値と比較することにより行うことができる。また、表500に示されている性能結果は、角質層を通って表皮まで細孔を形成しながらのフィラメントアレイ104のエネルギ調節/補償がパルス長と電流密度との組み合わせに必要であることも示している。表500における性能結果のために、フィラメントアレイ104内のフィラメント200を、幅50μm、厚さ15μmおよび長さ400μmとし、ステンレス鋼製とした。
【0061】
表500に示されているように、0.5ms~16msのパルス長と0.81mA/μm2の電流密度との組み合わせは、追加の温度調節なしに、空気中で安全である。同様に、0.5ms~10msのパルス長と1.33mA/μm2の電流密度との組み合わせは、追加の温度調節なしに、空気中で安全である。一方、上で論じているように、1.5mA/μm2未満の電流密度は、角質層を通って表皮まで細孔を形成するには不十分となる場合がある。1.5mA/μm2未満の電流密度では、フィラメント200からの熱は、切除が生じるより速く皮膚に吸収され、放散される。このため、パルス長と電流密度とのこれらの組み合わせは、所望の細孔を形成するには不十分となる場合がある。
【0062】
0.5ms~2msのパルス長と2.00mA/μm2の電流密度との組み合わせにより、熱伝導が非常に低い空気中であっても、(皮膚またはフィラメントアレイ104の)更なる温度調節なしに、角質層を通って表皮まで細孔が形成される。同様に、0.5ms~1msのパルス長と2.67mA/μm2の電流密度との組み合わせにより、(皮膚またはフィラメントアレイ104の)更なる温度調節なしに、角質層を通って表皮まで細孔が形成される。
【0063】
12ms~16msのパルス長と1.33mA/μm2の電流密度との組み合わせおよび4msのパルス長と2.00mA/μm2の電流密度との組み合わせでは、空気中で何らかの形態の温度制御または補正(すなわち、温度調節)が必要であるが、動物の皮膚上では追加の温度調節をまったく行うことなく、細孔が形成される。
【0064】
0.5ms~8msのパルス長と3.23mA/μm2の電流密度との組み合わせによれば、角質層に細孔が形成されるが、動物の皮膚上で追加の温度調節が必要であり、空気中では失敗する。0.5ms~16msのパルス長と2.93mA/μm2の電流密度との組み合わせによっても角質層に細孔が形成されるが、動物の皮膚上で追加の温度調節が必要であり、空気中では失敗する。2ms~16msのパルス長と2.67mA/μm2の電流密度との組み合わせにより、動物の皮膚上で追加の温度調節を伴って角質層に細孔が形成されるが、空気中では失敗する。6ms~16msのパルス長と2.00mA/μm2の電流密度との組み合わせによれば、動物の皮膚上で追加の温度調節を伴って角質層が切除されるが、空気中では失敗する。10ms~16msのパルス長と3.23mA/μm2の電流密度との組み合わせでは、皮膚上および空気中での温度調節を伴っても、両方とも失敗した。
【0065】
図6は、例示的な実施形態に係るフィラメントアレイのフィラメント当たりのエネルギの関数としての経表皮水分損失(TEWL)を示すグラフである。
【0066】
図7は、例示的な実施形態に係る
図1Aのフィラメントアレイにパルスを介して送達されるエネルギ(x軸)に対する経表皮水分損失(TEWL)(y軸)の関係を示すパルスプロファイルを示すグラフである。TEWLは、薬剤送達(皮膚へのAPIの拡散)と相関する。
図7に、より低いエネルギについて、フィラメントの溶断を防止するために、制御ユニット(例えば、CPU)により変調される必要のある高い電流密度を有するパルスではなく、長い無中断パルスを用いる方が良いことを示す。より高いエネルギ送達のために、特定の(例えば、最適な)電流密度を使用することができまたは決定された最適な電流密度よりわずかに高いもしくはわずかに低い電流密度を使用することができる。
【0067】
図8は、例示的な実施形態に係るフィラメントアレイ104に送達されるエネルギパルスの制御に関する
図1Aのフィラメントアレイ104のフィラメント温度制御を示すグラフ800である。グラフ800に、x軸に沿った時間の関数としてのy軸に沿ったフィラメント温度を示す。また、グラフ800に、x軸に沿った時間の関数としてのy軸に沿った電流振幅も示す。異なる平均幅の3つのフィラメントアレイについてのフィラメント温度(曲線807、808および809)が、フィラメントアレイ104に印加される定振幅電流信号(曲線801)に対して示されている。また、グラフ800は、フィラメント200についての最高温度810(例えば、フィラメント200が破損する温度以上の温度)を含む。
【0068】
本明細書において記載しているように、フィラメントアレイ104は、制御ユニット102から発生された電流信号(曲線801で表される)を受け取ることができる。発生された電流信号を、一連のパルスまたはパルス列として受け取ることができる。幾つかの実施形態では、第1の期間802の間に、期間802の間の曲線801の直線部分により示される一定の振幅を有する電流信号が受け取られる。期間802の間では、電流信号は「パルス化」されず、むしろ常に「オン」のままであることができる。また、期間802の間、電流信号が「オン」であることに応答して、曲線807、808および809により表されるフィラメント温度は比較的一貫して上昇する。上記のように、これは、フィラメント200を通過する電流信号によるものであり、フィラメント200の材料の抵抗または抵抗率に基づくことができる。幾つかの実施形態では、示されている温度上昇の勾配または速度は、フィラメントアレイ104内のフィラメント200の材料により定められる。示されているように、電流信号がフィラメントアレイ104に印加される限り、フィラメントアレイ104のフィラメント200の温度は上昇する。示されているように、温度が曲線807、808および809により表されるフィラメント200は、種々の材料を含むことができ、その結果、定電流信号を考慮して、曲線807、808および809により示される種々の温度値が得られる。フィラメントの寸法変化により抵抗および加熱速度が異なる場合も同様である。
【0069】
幾つかの実施形態では、フィラメントアレイ104の各フィラメント200の温度が実質的に一貫して上昇する期間802は、始動期間またはウォームアップ期間に対応する。始動期間中、フィラメントアレイ104は、フィラメントアレイ104内のフィラメント200を、角質層を通して細孔が形成されるであろう所望の温度閾値までまたは実質的に所望の温度閾値まで加熱することにより、皮膚に細孔を形成する準備を行う。上記のように、曲線807、808および809がピークに達する温度は、最高温度810未満である。したがって、フィラメント200の温度が、所望の温度閾値(例えば、制御ユニット102のセンサ224により決定される)に達すると、制御ユニット102は、電流発生器220を無効にすることができる。
【0070】
幾つかの実施形態では、第2の期間804の間、電流信号は、パルス波形を有する。
図8に示されているように、電流信号は「オン」と「オフ」との間で交互にまたはパルス状になる。また、期間804の間、現在の信号がパルス波形であることに応答して、曲線807、808および809により表されるフィラメント温度は、電流信号曲線801の「オン」または「オフ」状態に対して変動する。上記のように、これは、フィラメント200を通過する電流信号によるものであり、フィラメント200の材料の抵抗または抵抗率に基づくことができる。幾つかの実施形態では、示されている温度変動の勾配または速度は、フィラメントアレイ104内のフィラメント200の材料により定められる。示されているように、電流信号が「オン」である場合、フィラメントアレイ104のフィラメント200の温度は上昇する。電流信号が「オフ」である場合、フィラメント200の温度は低下する。電流オンおよびオフの制御を、センサ(温度もしくは抵抗の直接の測定またはフィラメント内に分散されたエネルギおよび電力の間接的な測定)を介して、一定にプログラムされたシーケンスにより行うことができる。
【0071】
幾つかの実施形態では、フィラメントアレイ104の各フィラメント200の温度が電流信号に応答して変動する期間804は、フィラメント200の温度が目標温度またはその付近に維持される維持期間に対応する。したがって、フィラメント200の温度が、閾値温度を下回る(例えば、制御ユニット102のセンサ224により測定される)と、制御ユニット102は、電流発生器220を起動させることができる。電流発生器220は、フィラメント200の温度が所望の温度閾値に達するまで作動することができ、所望の温度閾値に達した時点で、電流発生器220は上記のように無効化される。したがって、維持期間804の間、フィラメントアレイ104は、自身の内部のフィラメント200を所望の温度閾値までまたは実質的に所望の温度閾値まで定期的に加熱/冷却することにより、皮膚内に細孔を形成するための温度またはその付近に維持される。このようにして、電流発生器220の起動/停止を繰り返すことができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、第3の期間806の間、電流信号は「オフ」にされ、フィラメントアレイ104により受け取られない。第3の期間806の間、フィラメント200は、曲線807、808および809により表されるように冷却され、それぞれ、第3の期間806の終わりに比較的一定のレベルまで徐々に下がる。幾つかの実施形態では、第3の期間806は、フィラメント200の温度が「冷却」期間中に冷却される停止期間に対応する。冷却期間の後、フィラメントを所望の温度にするために、別のパルス列を発生させることができ、この後続のパルス列は前のパルス列と同じかまたは異なる。
【0073】
制御ユニット102は、グラフ800内の曲線807、808および809のフィラメント温度をもたらす電流信号を発生させるように、電流発生器220を制御することができる。したがって、電流発生器220は、フィラメントアレイ104の温度を切除温度(例えば、123℃)まで上昇させるための電流信号を発生させることができる。ついで、電流発生器220は、フィラメントアレイ104の温度を所望の範囲内および/または切除温度付近に維持するために、電流信号をパルスで発生させることができる。
【0074】
図9は、例示的な実施形態に係るフィラメントアレイ104に送達されるエネルギを制御する電流および電圧信号の曲線901および903それぞれを経時的に示すグラフ900である。グラフ900は、x軸に沿った時間の関数としてのy軸の電圧および電流を示す。曲線901は、電流信号によりフィラメントアレイ104に印加される電流を表す。曲線903は、フィラメントアレイ104の電圧を表す。また、グラフ900は、4つの相または段階902、904、906および908を示す。
【0075】
曲線901は、電流信号が周期的パルスで印加され、初期パルスが約100~700μs、後続パルスが約800~1200μs、1300~1700μs、1800~2100μs、2300~2600μs、2700~2900μs、3000~3300μs、3400~3600μsおよび3700~3900μsで印加されることを示す。各パルスは、電流信号の立ち上がり、プラトーおよび立ち下がりを含む。曲線903は、フィラメントアレイ104の電圧が電流信号の周期的パルス中にもパルスを発生させることを示す。電流信号の立ち上がりおよび立ち下がり期間中、電圧にも対応する時間で立ち上がりおよび立ち下がりが見られる。電流信号のプラトー期間中、電圧にもプラトーが見られる。
【0076】
第1の段階902は、ウォームアップ段階に対応する。その間、初期電流パルスにより、第1の段階902の間の電圧の上昇により示されるように、フィラメントアレイ104の温度を上昇させる。第2の段階904は、減速段階に対応する。その間、フィラメントの破損開放(溶断)を防止するために、初期電流パルスの振幅を小さくすることができる。第3の段階906は、維持段階に対応する。その間、電流信号の後続パルス(および電圧の後続パルス)が発生する。第3の段階906は、切除を可能にするため、フィラメントアレイ104の温度が維持されるように、電流信号がパルス化される維持段階に対応させることができる。第3の段階906の間のパルスは、フィラメントアレイ104の温度がフィラメント200の破損温度を超えず、切除が起こらない温度を下回らないことを保証するために発生される。
【0077】
また、第3の段階906は、2つの段階908も含む。2つの段階908は、温度調節期間に対応する。電流901および電圧903は、予めプログラムされた維持パルス形成(スイッチング)においてシステムがどのような挙動を呈するかを表す。これは、全てのフィラメント(およびフィラメントアレイ)が正確な寸法で製造される場合に良好である。例えば、製造プロセスのためにその一部が変動する場合、このエネルギ送達が過度に多いまたは過度に少ない場合があり、その結果、温度がスパイラル状になり、制御不能になりまたは冷却に遅延が生じ、細孔を形成するためのエネルギ送達が不十分になる場合がある。ウォームアップから維持のための減速までの各スイッチングは、フィードバックループにより制御される。温度(またはエネルギ)閾値に達すると、システムは次の状態となる。すなわち、曲線905は、フィラメントアレイに提供される電流(またはエネルギ)がフィラメントを溶断してしまうことを防止し、温度を一定に維持するために一時停止されるべきであると、センサ224が判定した実現形態を表す。すなわち、曲線905は、センサ224を使用して、フィラメントアレイに提供される電流を制御するフィードバックループを使用することを表す。この場合、これは、この例で使用されたパルス列全体の間に2回であった。
【0078】
制御ユニット102は、グラフ900に示されている電流信号を発生させるように、電流発生器220を制御することができる。例えば、
図8に関して上で説明したように、電流発生器は、初期パルス中および段階902中に電流信号を発生させて、フィラメントアレイ104の温度を、切除温度(例えば、123℃)までまたは実質的に切除温度まで上昇させることができる。ついで、電流発生器220は、フィラメントアレイ104の温度を所望の範囲内および/または切除温度付近に維持するように、電流信号をパルスとして発生させることができる。これらの維持パルスは、段階906の間に示されるパルスに対応させることができる。段階904の間、電流発生器220は、オフのままであるかまたは初期パルスの電流レベルを低下させることができる。これらの段階の間の電流は、同じ振幅でもよくまたはそうでなくてもよい。
【0079】
幾つかの実施形態では、熱切除システム100の制御ユニット102は、1つ以上のパルスを有する電流信号を発生させるべく、(例えば、プロセッサ204を介して)電流発生器220を制御するように構成されている。電流発生器220は、電流信号のパルス長を第1のパルス長(すなわち、維持パルス長)以上かつ第2のパルス長(すなわち、ウォームアップパルス長)未満へ制御するように構成されていることができ、第2のパルス長は、第1のパルス長より長い。
【0080】
幾つかの実施形態では、熱切除システム100の制御ユニット102は、第1の時点(ウォームアップ段階の間)に、第3の電流密度(例えば、ウォームアップ段階での電流密度)を有するように、供給電流値を制御するように構成されている。熱切除システム100の制御ユニット102は、第2の時点(メンテナンス段階の間)に、第4の電流密度(例えば、維持段階での電流密度)を有するように、供給電流値を制御するように構成されており、第3の電流密度および第4の電流密度は、第1の電流密度(例えば曲線Aの電流密度)と第2の電流密度(例えば曲線Bの電流密度)との間にあるかまたはこれらと等しい。第4の電流密度は第3の電流密度より小さく、第2の時点は第1の時点より遅い。
【0081】
幾つかの実施形態では、制御ユニット102は、フィラメント200の破損の可能性を最小限に抑えまたは低減しながら、角質層の表皮までの切除または穿孔を可能にするために、例えばプロセッサ204および/または電流発生器220を介して、ウォームアップ段階および維持段階中に、電流信号および電流密度を制御することができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、制御ユニット102は、溶融によるフィラメント破損の可能性を最小限に抑えながら皮膚表面を切除しまたはフラッシュ蒸発させるべく、例えば、プロセッサ204および/または電流発生器220を介して、電流信号のパルス長およびパルス信号の連続パルス間のパルス周期同士を組み合わせて制御することができる。
【0083】
図10は、例示的な実施形態に係る
図1Aのフィラメントアレイ104の動作温度プロファイルを示すグラフ1000である。曲線1001は、示されている動作温度プロファイルを表し、曲線1003により示されている経時的な温度変化を概ね追跡する。また、グラフ1000は、3つの相1002、1004および1006も含む。
【0084】
曲線1050は、フィラメントアレイ上での電圧であり、オンまたはオフに切り替えられる電流のオン/オフ段階に対応する。曲線1051は、計算された温度である。相1002は、最も高い電流を有するウォームアップ相であり、1004は、わずかに低い電流を有する減速相であり、このため、温度上昇が遅くなる。1004セグメントにおける曲線1050は、電流がより低くても、1002におけるよりも高いことに留意されたい。これは、フィラメントアレイ104の抵抗が温度上昇により上昇したためである。セグメント1002とセグメント1004との間での曲線1050の急激な降下は、電流およびこれに応じて電圧が低下した時点の瞬間(および特定の温度)を指すが、フィラメントの温度は、その短時間の瞬間には比較的一定であった。所望の温度に達すると、システムは、維持段階に入る。維持段階では、電圧(曲線1050)は、一定(一定温度に対応する)であり、スイッチングされる(曲線の空いている部分)。
【0085】
図11Aおよび
図11Bは、それぞれ、グラフ1100および1150であり、例示的な実施形態に係る
図1Bのフィラメントアレイに対する2つの異なるエネルギ送達プロファイルの温度曲線を示す。グラフ1100は、低流動エネルギ送達プロファイルを示す。低流動エネルギ送達プロファイルは、低電流ウォームアップ段階とこれに続く低温閾値段階とを含む。低流動エネルギ送達プロファイルは、フィラメントアレイ104を通る低電流を含む場合があり、これは、皮膚へのエネルギの伝達に使用されるより長いパルスに起因する痛みを引き起こす場合がある。このようなより長いパルスでは、より低い電流であっても、皮膚の炭化および閉じた細孔がもたらされる場合がある。さらに、低流動エネルギ送達プロファイルは、制御するのがより容易であるが、より長いパルスをももたらす低温閾値を利用することができる。より多くの塊およびより低い品質(例えば、深さがより浅い)細孔において、同じエネルギを送達する必要があるためである。
【0086】
グラフ1150は、高流動エネルギ送達プロファイルを示す。高流動エネルギ送達プロファイルは、高電流ウォームアップ段階とこれに続く高温閾値段階とを含む。高流動エネルギ送達プロファイルは、暴走効果をもたらす場合があり、フィラメントアレイ104の破損をもたらすフィラメントアレイ104を通る高電流を含む場合がある。一方、高流動エネルギ送達プロファイルは、低流動エネルギ送達プロファイルより速く、低流動エネルギ送達プロファイルより良好な細孔(例えば、より深い細孔)を形成することができる。さらに、高流動エネルギ送達プロファイルは、低流動エネルギ送達プロファイルと比較して、破損リスクを高めるが、より短いパルスおよびより良い細孔性能をもたらす高温閾値を利用することができる。
【0087】
電力/総エネルギを上記の制約内に維持しながら、送達プロファイルおよびパルス構造は、細孔の品質およびサイズにも影響を及ぼすことができる。例えば、
図11Aのプロファイルでは、フィラメントの安全性および温度の沈み込みを保証するために、スイッチングが使用される。このスイッチングは、フィラメントのわずかな冷却に役立ちうる。急速な加熱(ウォームアップ期間1002)および高温閾値を有し、ほんのわずかなスイッチングの瞬間を有する状態が存在する場合、フィラメントの安全性を保ち、また、痛み応答の低減または排除およびより良好なエネルギ効率を含むより効率的なプロセスを保証するために、エネルギ送達の急速な側にあるように、最適なエネルギ流動が提供される。
【0088】
角質層を加熱し、切除に必要なエネルギを迅速に送達し、ついで、表皮層の蒸発とのバランスを維持するためにエネルギ流動を低下させるために、フィラメントアレイ104のウォームアップ段階中に高いエネルギ流動を有することが有益である場合がある。より低いエネルギ流動を、電流信号の変調された電流レベルもしくは電流信号に基づく変調された負荷サイクルまたはこれら2つの組み合わせにより達成することができる。幾つかの実施形態では、フィードバックシステムにより、例えば、制御ユニット102のセンサ224からの電気的測定値に基づいて、フィラメント200の温度に比例するフィラメント200の抵抗を計算することができる。
【0089】
フィードバックシステムを、制御ユニット102の1つ以上のコンポーネントにより実装することができる。フィードバックシステムは、以下の様式で動作する。初期電流(例えば、電流発生器220により発生される)は、急速加熱相において高く、最終的に低減され、センサ224のうちの1つにより決定されるように設定された目標に到達するフィラメントの温度によりトリガされる。フィラメント200を最終温度に緩和する(加熱速度を減速する)中間相が、高い初期電流に続く。最後に、維持相により、電流発生器220および制御ユニット102が、フィラメント200に送り込まれる電流と、細孔の表皮蒸発(生成)に使用されるエネルギとの間のエネルギのバランスをとることが可能となる。電流流動は、これらの相で可変であり、電流発生器220によりパルス毎に設定することができる。通常、電流流動は、フィラメント加熱動力学により、急速加熱相で最高であり、維持相中で最低である。レベルは、フィラメントの数、アレイの電気的トポグラフィおよびフィラメント220の形状により定められる。電流送達の一時停止/変化のためのトリガは、時間、フィラメントの温度、送達される個々のエネルギもしくは累積エネルギまたはこれらの組み合わせによることができる。
【0090】
本明細書に記載する実施形態は、フィラメント200と皮膚との間の接触により、熱の適切な伝達が提供され、接触が均一であると仮定している。接触を保証する手法の1つは、皮膚に向かって外側に突出する3D構造を有するフィラメント200を設計し、製造することである。フィラメントの3D構造により、皮膚とのより良好な接触を容易にすることができる。接触を、フィラメントアレイ104の表面全体とではなく、フィラメント200の表面と生じさせることができるためである。付加的にまたは代替的に、前述のように、皮膚をフィラメント200と接触させるバキュームまたはフィラメント200上に引っ張るバキュームを導入することができる。バキュームは、皮膚とフィラメント200との間の良好で均一な接触を提供することができる。幾つかの実施形態では、フィラメント200の約1cm2の接触活性領域を有するポレータについて、最小真空(minimum vacuum)は、上記のエネルギ範囲に基づいて実行可能な細孔を形成するために、約5mmHgである必要がある。この場合、パルスは長すぎず、カスケード破損にフィラメント200を向かわせる危険性も無いであろう。
【0091】
ある範囲のフィラメントアレイプローブ設計間で一貫した熱切除を送達するために、プローブから皮膚へのエネルギ送達が密接に測定される。本発明の実施形態は、皮膚-プローブ接触部位の表面におけるフィラメントアレイの温度を直接に制御し、エネルギ送達を動的に調節することを目的とする。
【0092】
当業者であれば、以下に記載する、本明細書に開示した実施形態に関連する種々の例示的なロジックブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップを、電子ハードウェア、コンピュータ可読媒体上に記憶されてハードウェアプロセッサにより実行可能なソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装可能であることを認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に示すために、種々の例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路およびステップを、その機能の点から全般的に上述した。このような機能をハードウェアまたはソフトウェアとして実装するか否かは、特定の用途およびシステム全体に課される設計上の制約により定められる。当業者であれば、説明した機能を特定の用途ごとに種々の手法で実装することができるが、このような実装の決定は、本発明の範囲から逸脱するものと解釈されるべきではない。
【0093】
本明細書に開示した実施形態に関連して説明した種々の例示的なロジックブロック、モジュールおよび回路を、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス、個別ゲートもしくはトランジスタロジック、個別ハードウェアコンポーネント、または本明細書に記載した機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせにより、実装しまたは実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。また、プロセッサを、計算デバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のこのような構成としても実装することができる。
【0094】
本明細書に開示した実施形態に関連して説明した方法またはアルゴリズムのステップを、ハードウェアとして直接に、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュールとして、またはその2つの組み合わせとして具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野において公知の任意の他の形式の記憶媒体に存在させることができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサにより記憶媒体から情報が読み出されかつ記憶媒体に情報が書き込まれるように、プロセッサに接続される。代替例では、記憶媒体はプロセッサと一体であってよい。プロセッサおよび記憶媒体をASIC内に存在させることもできる。
【0095】
上記の詳細な説明は、種々の実施形態に適用される本開発の新規な特徴を図示し、記載し、指摘したものであるが、示されている装置または方法の形態および詳細における種々の省略、置換および変更が本開発の精神から逸脱することなく当業者によりなされうることが理解されるであろう。理解されるように、本開発は、幾つかの特徴が他の特徴とは別個に使用されまたは実施されうるため、本明細書で説明した特徴および利益の全てを提供しない形態として具現化されることがある。特許請求の範囲と等価の意味内および範囲内にある全ての変更は、その範囲内に包含されるものとする。
【0096】
当業者であれば、これらのサブシステムそれぞれを、各種の技術およびハードウェアを使用して相互接続し、制御可能に接続できること、ならびに本開示が任意の特定の接続方式または接続ハードウェアに限定されないことを認識するであろう。
【0097】
この技術は、多数の他の汎用または専用計算システム環境または構成で動作可能である。本発明との共用に適しうる周知の計算システム、環境および/または構成の例は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯デバイスまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、マイクロコントローラまたはマイクロコントローラベースのシステム、プログラマブル消費者向け電子製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散型計算環境などを含むが、これらに限定されない。
【0098】
本明細書で使用する場合、命令とは、システム内の情報を処理するためのコンピュータ実装ステップを指す。命令は、ソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアに実装することができ、システムのコンポーネントにより実行される任意のタイプのプログラムされたステップを含む。
【0099】
マイクロプロセッサは、任意の従来の汎用シングルチップまたはマルチチップマイクロプロセッサ、例えば、Pentium(登録商標)プロセッサ、Pentium(登録商標)Proプロセッサ、8051プロセッサ、MIPS(登録商標)プロセッサ、Power PC(登録商標)プロセッサまたはAlpha(登録商標)プロセッサであってよい。加えて、マイクロプロセッサは、任意の従来の専用マイクロプロセッサ、例えばデジタル信号プロセッサまたはグラフィックプロセッサであることができる。マイクロプロセッサは、典型的には、従来のアドレス線、従来のデータ線、および1つ以上の従来の制御線を有する。
【0100】
本システムは、種々のオペレーティングシステム、例えば、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)、MacOS(登録商標)もしくはMicrosoft Windows(登録商標)、または特注の指定OSと組み合わせて使用することができる。
【0101】
システムの制御は、任意の従来のプログラミング言語、例えば、C、C++、BASIC、Pascal、NET(例えば、C#)、またはJavaで記述することができ、従来のオペレーティングシステム下で実行することができる。C、C++、BASIC、Pascal、Java、およびFORTRANは、多くの商用コンパイラを使用して実行可能なコードを作成することができる業界標準プログラミング言語である。システムの制御を、インタプリタ言語、例えばPerl、PythonまたはRubyを使用して記述することもできる。他の言語、例えばPHP、JavaScriptなども使用することができる。
【0102】
前述した記載は、本明細書に開示したシステム、装置および方法の特定の実施形態を詳述したものである。ただし、前述のものがテキストにどのように詳細に現れても、システム、装置および方法を、多くの手法で実施できることが理解されるであろう。また、前述したように、本発明の特定の特徴または態様を説明する際の特定の用語の使用は、その用語が関連付けられる技術の特徴または態様の任意の特定の特徴を含むことに限定されるようにその用語が本明細書で再定義されることを暗示するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0103】
記載した技術の範囲から逸脱することなく種々の修正および変更を行えることが当業者に理解されるであろう。このような修正および変更は、実施形態の範囲に該当することが意図される。また、1つの実施形態に含まれる部分が他の実施形態と交換可能であり、示されている実施形態からの1つ以上の部分が任意の組み合わせで他の示されている実施形態に含まれうることも当業者に理解されるであろう。例えば、本明細書に記載したかつ/または図面に示した種々のコンポーネントは、いずれも、他の実施形態と組み合わせ、交換しまたは他の実施形態から除外することができる。
【0104】
本明細書における実質的に任意の複数のかつ/または単数の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数へかつ/または単数から複数へと変換することができる。種々の単数/複数の置換は、明確性の目的で、本明細書において明示的に記載したところがある。
【0105】
本明細書で使用する場合、「備える(comprising)」なる用語は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「~により特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであって、言及されていない構成要素または方法ステップの追加を排除しない。
【0106】
本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数は、全ての場合において「約」なる用語により修飾されるものと理解されるべきである。したがって、逆のことが示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載した数値パラメータは、本発明により達成が求められる所望の特性に応じて変化しうる近似である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効数字の数および通常の四捨五入手法を考慮して解釈されるべきである。
【0107】
上記の記載は、本開発の幾つかの方法および材料を開示したものである。ここでの開発は、方法および材料の修正ならびに製造方法および製造装置の改変を受ける傾向にある。このような修正は、本明細書に開示されている本開示の考察または本開発の実施から当業者に明らかとなるであろう。したがって、この開発は、本明細書に開示した特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲に具現化されている本開発の真の範囲および精神に該当する全ての修正および代替を包含することを意図するものである。
【0108】
当業者により理解されるように、幾つかの実施形態では、以下の資料で説明する方法を、コンピュータネットワーク上で実行することができる。コンピュータネットワークは、中央サーバを有する。中央サーバは、プロセッサ、データ記憶装置、例えばデータベースおよびメモリ、ならびに端末および任意の他の所望のネットワークアクセスポイントまたは手段を含むネットワークの種々の部分との有線または無線での通信を可能にする通信機構を有する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの前記生体膜の一部分を切除するための装置であって、
導電性フィラメントのアレイを含み、前記導電性フィラメントのアレイを流れる電流に基づいて熱エネルギを発生させ、前記熱エネルギをポレータに隣接して配置された前記生体膜に提供するように構成されたポレータと、
前記電流を前記ポレータに複数のパルスで提供するように構成された電源回路と、
前記導電性フィラメントのアレイと前記生体膜との間の接触力を大きくするように構成されたバキュームと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記ポレータは、前記生体膜を孔に向かって吸引して、前記導電性フィラメントのアレイと前記生体膜との間の接触力を大きくするように、前記バキュームに接続された孔を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記電源回路が、電源に接続された制御回路を備え、前記制御回路が、前記複数のパルスの1つ以上のパラメータを制御するように構成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記導電性フィラメントのアレイの1つ以上の特性および前記生体膜の1つ以上の特性に基づいて、前記複数のパルスの前記1つ以上のパラメータを制御する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記導電性フィラメントのアレイによって前記生体膜に加えられる圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定するように構成されている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記装置は少なくとも1つのセンサを備え、前記制御回路は、前記導電性フィラメントのアレイによって前記生体膜に加えられる圧力が第1の圧力閾値以上であるかどうかを判定するために、前記少なくとも1つのセンサから情報を受け取るように構成されている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記制御回路は、測定された圧力情報をメモリに記憶された1つ以上の圧力値と比較するように構成されている、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
熱エネルギを生体膜に送達して、微細孔を生じさせるのに十分な深さの前記生体膜の一部分を切除するための装置であって、
導電性フィラメントのアレイを含み、前記導電性フィラメントのアレイを流れる電流に基づいて熱エネルギを発生させ、前記熱エネルギをポレータに隣接して配置された前記生体膜に提供するように構成されたポレータと、
前記電流を前記ポレータに複数のパルスで提供するように構成された電源回路と、
を備え、
前記電源回路が、電源に接続された制御回路を備え、前記制御回路が、前記複数のパルスの1つ以上のパラメータを制御するように構成されており、前記制御回路が、
前記複数のパルスの前記1つ以上のパラメータのうちのパルス長を、0.5ms~16msの範囲内に、かつ、
前記複数のパルスの前記1つ以上のパラメータのうちの、前記導電性フィラメントのアレイの電流密度を、1.33mA/μm
2
~3.23mA/μm
2
の範囲内に
維持するように構成されている、
装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記複数のパルスを形成するために前記電流のオンおよびオフをスイッチングし、前記制御回路は、500μsあたり2回未満で前記電流をスイッチングするように構成されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記パルス長を、0.5ms~4msの範囲内に、かつ、前記導電性フィラメントのアレイの前記電流密度を、1.5mA/μm
2
~2.93mA/μm
2
の範囲内に維持するように構成されている、請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記導電性フィラメントのアレイの温度を監視し、温度調整期間中に、前記パルス長または前記導電性フィラメントのアレイの前記電流密度を変更するように構成されている、請求項8または9記載の装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記パルス長を、2ms~6msの範囲内に、かつ、前記導電性フィラメントのアレイの前記電流密度を、1.33mA/μm
2
~2.67mA/μm
2
の範囲内に維持するように構成されている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記導電性フィラメントのアレイの前記電流密度を、1.5mA/μm
2
~2.67mA/μm
2
の範囲内に維持するように構成されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記導電性フィラメントのアレイは、ステンレス鋼製のフィラメントを有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記導電性フィラメントのアレイの一部は曲げられており、前記導電性フィラメントのアレイが整列される平面から突出している、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【外国語明細書】