(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133722
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】リンカーを用いた固定化トランスポソームを使用するタグメンテーション
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240925BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240925BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C12N15/09 Z ZNA
C12Q1/6869 Z
C40B40/06
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024113339
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2022157874の分割
【原出願日】2018-02-20
(31)【優先権主張番号】62/461,620
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】グレース デサンティス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エム. グロス
(72)【発明者】
【氏名】ジアン-セン リ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー モレル
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー スラッター
(72)【発明者】
【氏名】ケビン シェン
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ スノー
(57)【要約】
【課題】リンカーを用いた固定化トランスポソームを使用するタグメンテーションの提供。
【解決手段】本開示は、標的核酸を処理するための方法、組成物、およびキット(固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を使用して、核酸(例えば、DNA)をフラグメント化およびタグ化するための方法および組成物を含む)に関する。本開示は、トランスポザーゼ、第1のトランスポゾン、および第2のトランスポゾンを含むトランスポソーム複合体を提供し、ここで上記第1のトランスポゾンは、(a)第1のトランスポゾン末端配列を含む3’部分および(b)上記第1のトランスポゾン末端配列の5’末端において第1のアダプター配列を含み、上記第2のトランスポゾンは、上記第1のトランスポゾン末端配列の少なくとも一部に相補的な第2のトランスポゾン末端配列を含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願への参照による援用
本出願は、2017年2月21日に出願された米国仮特許出願番号第62/461,620号に基づく優先権の利益を主張しており、この仮特許出願は、その全体が参考として本明細書によって援用される。
【0002】
配列表への参照
本開示は、電子フォーマットの配列表を含む。この配列表は、2017年2月20日に作成されたサイズが約7KBのILLINC-398WO_Sequence_Listing.txtと題するファイルとして提供される。この配列表の電子形式中の情報は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0003】
背景
分野
本開示は、核酸を処理するための方法、組成物、およびキット(固体支持体上に固定化されたトランスポソーム複合体を使用して、核酸(例えば、DNA)をフラグメント化およびタグ化するための方法および組成物を含む)に関する。
【背景技術】
【0004】
核酸サンプルの次世代配列決定(NGS)に関する現在のプロトコルは、慣用的には、DNAまたはRNAを、フラグメント化した配列決定可能なテンプレートのライブラリーへと変換するサンプル調製プロセスを使用する。サンプル調製法はしばしば、複数の工程および材料の移動、ならびにフラグメント化をもたらすために高価な機器を要し、従って、しばしば困難であり、単調で長く、高価で、効率が悪い。
【0005】
1つのアプローチにおいて、核酸フラグメントライブラリーは、2つのトランスポゾン末端配列(一方は、タグ配列に連結される)およびトランスポザーゼがトランスポソーム複合体を形成する、トランスポソームベースの方法を使用して調製され得る。そのトランスポソーム複合体は、溶液中の標的核酸をフラグメント化およびタグ化して、配列決定機に供する準備ができた(sequencer-ready)タグメンテーションしたライブラリーを生成するために使用される。そのトランスポソーム複合体は、固体表面上に(例えば、その2つの末端配列のうちの一方の5’末端において追加されたビオチンを通じて)固定化され得る。固定化トランスポソームの使用は、実習(hannds-on)および全体的なライブラリー調製時間、コスト、および試薬の必要条件を低減する、サンプルインプットの必要条件を低下させる、ならびにライブラリー調製の出発点として未精製または分解したサンプルの使用を可能にすることによって、液相アプローチを超える顕著な利点を提供する。均一なフラグメントサイズおよびライブラリー収量を生じる固体表面上のトランスポソームの固定化のための例示的な転移手順およびシステムは、WO2014/108810およびWO2016/189331(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)に詳細に記載される。
【0006】
PCT公開番号WO2016/189331およびUS 2014/093916A1に記載されるある種のビーズベースのタグメンテーション方法において、トランスポソームは、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を使用して、磁性ビーズに結合される。プロトコルのその後のPCR増幅工程の間に、ビオチン-ストレプトアビジン結合は、熱変性によって破壊され、それによって、ビオチン化タグメンテーション生成物が溶液へと放出される。目的の配列とのアンプリコン、または標的アンプリコンは、所望であれば、例えば、ハイブリダイゼーション捕捉によって富化され得、配列決定され得る。
【0007】
しかし、固定化トランスポソームを使用してタグメンテーションによって調製されるライブラリーが、一般的ハイブリダイゼーション捕捉法を使用してゲノムのある種の領域に関して富化される場合、例えば、溶液ベースのトランスポソームアプローチを使用して生成されるライブラリーに関する富化と比較して、ゲノムにおけるある種の領域に関してより低いリード富化が達成され得る。
【0008】
さらに、支持体に結合したトランスポソーム複合体の安定性は、トランスポソーム複合体を支持体に接続するために使用されるリンカー構築物に依存して変動する。貯蔵時にまたはライブラリー調製の間に複合体が支持体から除去される場合、得られたライブラリーの品質および効率が影響を及ぼされる。従って、改善された安定性を有する固定化トランスポソーム複合体およびタグメンテーションライブラリー生成の改善された効率、翻って、得られたライブラリーの増大したリード富化を示す関連法が必要である。得られたライブラリーのリード富化を改善する組成物および方法もまた、必要である。
本開示は、改変されたリンカーおよび構成要素の配置を有する支持体に結合したトランスポソーム複合体に関する。本開示は、このような改変された複合体を使用して、配列決定する準備ができた核酸ライブラリーを生成するための方法および組成物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2014/108810号
【特許文献2】国際公開第2016/189331号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/093916号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
本開示は、核酸を処理するための方法、組成物、およびキット(固体支持体上のトランスポソーム複合体を使用してDNAをフラグメント化およびタグ化するための方法および組成物を含む)に関する。
【0011】
本開示は、トランスポザーゼ、第1のトランスポゾン、および第2のトランスポゾンを含むトランスポソーム複合体を提供し、ここで上記第1のトランスポゾンは、(a)第1のトランスポゾン末端配列を含む3’部分および(b)上記第1のトランスポゾン末端配列の5’末端において第1のアダプター配列を含み、上記第2のトランスポゾンは、上記第1のトランスポゾン末端配列の少なくとも一部に相補的な第2のトランスポゾン末端配列を含む。代表的には、上記第1のトランスポゾン末端配列および第2のトランスポゾン末端配列は、一緒にアニールしてトランスポザーゼによって認識される二本鎖トランスポゾン末端配列を形成し、これらの組み合わせは、機能的トランスポソーム複合体を形成する。
【0012】
いくつかの局面において、上記トランスポソーム複合体は、第1のトランスポゾン(および従って複合体)を上記固体支持体に接続し得る切断可能なリンカーを含む。このような局面において、切断可能なリンカーの第1の末端は、上記第1のアダプター配列の5’末端に結合され、いくつかの局面において、上記切断可能なリンカーの第2の末端は、親和性エレメントに結合される。上記親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに(共有結合により、または非共有結合により)結合し得る。いくつかの局面において、上記親和性エレメントは、上記固体支持体上の親和性結合パートナーに(共有結合により、または非共有結合により)結合され、固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を提供する。これらの複合体は、5’-リンカートランスポソーム複合体および固体支持体に結合した5’-リンカートランスポソーム複合体である。
【0013】
他の局面において、上記トランスポソーム複合体は、第2のトランスポゾン(および従って上記複合体)を上記固体支持体に接続し得る3’リンカーを含む。このような局面において、上記リンカーの第1の末端は、上記第2のトランスポゾンの3’末端に結合され、上記リンカーの第2の末端は、親和性エレメントに結合される。上記親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに(共有結合によりまたは非共有結合により)結合し得る。いくつかの局面において、上記親和性エレメントは、上記固体支持体上の親和性結合パートナーに(共有結合により、または非共有結合により)結合され、固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を提供する。いくつかの局面において、上記リンカーは、切断可能なリンカーである。これらの複合体は、3’-リンカートランスポソーム複合体および固体支持体に結合した3’-リンカートランスポソーム複合体である。
【0014】
いくつかの局面において、本開示は、改変されたオリゴヌクレオチドに関する。いくつかの局面において、上記改変されたオリゴヌクレオチドは、第1のトランスポゾンおよび第2のトランスポゾンを含み、ここで上記第1のトランスポゾンは、(a)第1のトランスポゾン末端配列を含む3’部分および(b)上記第1のトランスポゾン末端配列の5’末端において第1のアダプター配列を含み、上記第2のトランスポゾンは、上記第1のトランスポゾン末端配列の少なくとも一部に相補的な、これにアニールされる第2のトランスポゾン末端配列を含み、ここで切断可能なリンカーの第1の末端は、上記第1のアダプター配列の5’末端に結合され、いくつかの局面において、上記切断可能なリンカーの第2の末端は、親和性エレメントに結合される。
【0015】
他の局面において、上記改変されたオリゴヌクレオチドは、第1のトランスポゾンおよび第2のトランスポゾンを含み、ここで上記第1のトランスポゾンは、(a)第1のトランスポゾン末端配列を含む3’部分、および(b)上記第1のトランスポゾン末端配列の5’末端において第1のアダプター配列を含み、上記第2のトランスポゾンは、上記第1の末端配列の少なくとも一部に相補的な、これにアニールされる第2のトランスポゾン末端配列を含み、そしてここでリンカーの第1の末端は、上記第2のトランスポゾンの3’末端に結合され、上記リンカーの第2の末端は、親和性エレメントに結合される。いくつかの局面において、上記リンカーは、切断可能なリンカーである。
【0016】
3’-リンカートランスポソーム複合体のいくつかの実施形態において、上記親和性エレメントおよびリンカーは、本明細書で記載されるとおりの式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(I(a))、(I(b))、または(I(c))の構造を有する。いくつかの局面において、上記親和性エレメントは、上記第2のトランスポゾンの3’末端に共有結合的に連結され、ここで上記親和性エレメントおよびリンカーは、式(I)の構造:
【化1】
を有し、ここで:
AEは、親和性エレメントであり;
Yは、C
2-6アルキレンであり;
X
1は、O、NR
1、またはSであり;
ここでR
1は、HまたはC
1-10アルキルであり;
nは、1、2、3、4、5、および6からなる群より選択される整数であり;
X
2は、O、CH
2、またはSであり;
R
aは、Hまたは-OHであり;そして
Zは、R
aがHである場合に非存在であるか、またはR
aがHまたはOHである場合にCH
2であり;
ここで
【化2】
は、上記第2のトランスポゾンへの接続点のマークである。
【0017】
いくつかの局面において、本明細書で記載されるリンカーは、5’リンカーであり、ここで式(I)の中のホスフェート基は、上記第1のトランスポゾンの末端ヌクレオチドの5’位における末端ホスフェート基である。いくつかの局面において、本明細書で記載されるリンカーは、3’リンカーであり、ここで式(I)の中のホスフェート基は、上記第2のトランスポゾンオリゴヌクレオチド(例えば、3’末端ヌクレオチド)の3’ヒドロキシルに接続される。
【0018】
他の局面において、本開示は、二本鎖標的核酸からタグ化核酸フラグメントのライブラリーを生成するための方法を提供し、上記方法は、上記標的を、本明細書で記載されるとおりの固体支持体に結合したトランスポソーム複合体とともにインキュベートする工程を包含する。いくつかの局面において、上記方法は、上記標的を、上記固定化されたトランスポソーム複合体で、上記標的がフラグメント化され、上記第1のトランスポゾンの3’末端が上記標的フラグメントの5’末端に繋がれる条件下で処理して、複数の5’タグ化標的フラグメントを生成する工程を包含する。いくつかの実施形態において、複数のトランスポソーム複合体が使用される。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記5’タグ化標的フラグメントのうちの1またはこれより多くを増幅する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記5’タグ化標的フラグメントまたはその増幅生成物のうちの1またはこれより多くを配列決定する工程をさらに包含する。
【0020】
従って、本開示のいくつかのさらなる実施形態は、タグ化核酸フラグメントのライブラリーを生成するための方法に関し、上記方法は、
固体支持体であって、上記固体支持体に固定化された本明細書に記載されるトランスポソーム複合体を含む固体支持体を提供する工程;および
上記固体支持体と、二本鎖標的核酸とを、上記標的核酸を複数の標的フラグメントにフラグメント化し、そして上記第1のトランスポゾン3’末端を上記標的フラグメントの5’末端に繋げるために十分な条件下で接触させて、複数の5’タグ化標的フラグメントを提供する工程、
を包含する。
【0021】
いくつかの局面において、上記方法は、上記5’タグ化標的フラグメントを増幅する工程をさらに包含する。
【0022】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書で記載される方法によって生成される5’タグ化標的フラグメントのライブラリーを提供する。
【0023】
本開示は、本明細書で記載されるとおりの改変されたオリゴヌクレオチド、トランスポソーム複合体、および固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を調製するための方法をさらに提供する。いくつかの局面において、このような方法は、トランスポザーゼを、本明細書で記載されるとおりの第1のおよび第2のトランスポゾンで、上記複合体を形成するために適した条件下で処理する工程を包含する。固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を調製するための方法は、本明細書で記載されるとおりのトランスポソーム複合体を、親和性結合パートナーを含む固体支持体とともに、上記親和性エレメントが上記親和性結合パートナーと(共有結合により、または非共有結合により)結合するために十分な条件下でインキュベートする工程を包含する。
【0024】
本明細書で記載される組成物および方法のいくつかの実施形態において、上記トランスポソーム複合体は、2つの集団を含み、ここで各集団における上記第1のアダプター配列は、異なる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、トランスポソーム複合体の一実施形態をビーズ表面に付着させるための方法の例示的工程を図示する。
【0026】
【
図2】
図2は、フローセル上でのクラスター形成を通じて、ビーズ表面上での例示的なタグメンテーションプロセスの模式図を図示する。
【0027】
【
図3】
図3は、ビーズ表面上に固定化されたトランスポソーム複合体を使用して、DNAをフラグメント化およびタグ化し、続いて、夾雑するオフターゲットリードをもたらす標的富化を行うための方法の例示的工程を示す。
【0028】
【
図4】
図4は、酵素により切断可能なリンカーを使用してビーズ表面上で固定化されたトランスポソーム複合体を使用して、DNAをフラグメント化およびタグ化し、続いて、標的富化を行うための方法の例示的工程を示す。
【0029】
【
図5A】
図5Aは、タグメンテーションおよびその後の増幅のために固体表面に結合されたトランスポゾン配列のビオチン化5’末端の例を示す。
【0030】
【
図5B】
図5Bは、タグメンテーションおよびその後の増幅のために固体表面に結合されたトランスポゾン配列のビオチン化3’末端の例を示す。
【0031】
【
図6A】
図6Aは、2種の異なる3’-ビオチン化リンカーを有するトランスポソーム複合体を使用するストレプトアビジンビーズベースの固相タグメンテーションからのライブラリー収量を比較する。
【0032】
【
図6B】
図6Bは、4ヶ月間の時間効果(aging)後の式(I(a))の3’-ビオチン化リンカーを有するトランスポソーム複合体を使用するストレプトアビジンビーズベースの固相タグメンテーションから調製したサンプルライブラリーの加速安定性データを、その同じ複合体の非時間効果バッチ(コントロール)から調製したサンプルライブラリーと比較して示す。
【0033】
【
図6C】
図6Cは、4ヶ月間および8ヶ月間の時間効果後の式(I(c))の3’-ビオチン化リンカーを有するトランスポソーム複合体から調製したサンプルライブラリーの加速安定性データを、非時間効果の複合体(コントロール)から調製したサンプルライブラリーと比較して示す。
【0034】
【
図7A】
図7Aは、ストレプトアビジンビーズベースの固相ライブラリー調製(ここでビーズは、3’-ビオチン化リンカーを通じてそのビーズに固定化されたトランスポソーム複合体を含む)を使用して複合体密度の関数としてDNA分子の標的挿入物サイズを示す。
【0035】
【
図7B】
図7Bは、活性亢進Tn5トランスポザーゼおよび3’-ビオチン化リンカーを含む固定化トランスポソーム複合体を有するストレプトアビジンビーズ、ならびに100nMの複合体密度を使用する、SPRI条件の関数としてDNA分子の標的挿入物サイズを示す折れ線グラフである。
【0036】
【
図7C】
図7Cは、活性亢進Tn5トランスポザーゼおよび3’-ビオチン化リンカーを含む固定化トランスポソーム複合体を有するストレプトアビジンビーズ、ならびに600nMの複合体密度を使用する、SPRI条件の関数としてDNA分子の標的挿入物サイズを示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
フラグメント化した核酸のライブラリーはしばしば、次世代配列決定(NGS)適用における使用のためにゲノム核酸から作られる。本開示は、固定化転移ライブラリー調製法のための方法、組成物、およびキットを提供する。上記固定化転移ライブラリー調製法は、他のライブラリー調製法と比較して迅速であり、かつグロスサンプルまたは非精製サンプル(例えば、血液、喀痰、細胞抽出物など)および精製サンプル(例えば、精製されたゲノム核酸)の両方からライブラリーを調製するにあたって有効である。一般に、トランスポソームは、共有結合または非共有結合の結合パートナー(例えば、親和性エレメントおよび親和性結合パートナー)を使用して、基材(例えば、スライドまたはビーズ)上に固定化される(
図1)。例えば、トランスポソーム複合体は、トランスポソーム複合体に結合したビオチン化リンカーを通じて上記ストレプトアビジン被覆ビーズ上に固定化される。その標的核酸は、その固定化トランスポソーム複合体によって捕捉され、その核酸は、フラグメント化およびタグ化される(「タグメンテーション」)。そのタグ化されたフラグメントは、増幅され、目的のアンプリコンは、必要に応じて、捕捉され(例えば、ハイブリダイゼーションプローブを介して)、そのタグ化されたフラグメントは、配列決定される。
【0038】
固体支持体に連結したトランスポソーム複合体をライブラリー調製のために使用することは、ライブラリー調製プロセスへと入るサンプルインプットの正規化、および富化または配列決定工程の前にライブラリーアウトプットの正規化の必要性を低減する。これらの複合体を使用することはまた、種々のサンプルインプット濃度が使用される場合にすら、液相法と比較してより一致した挿入物サイズを有するライブラリーを生成する。しかし、ビオチン化リンカーを有するある種のトランスポソーム複合体は、低減した安定性を有することが観察された。さらに、ある種の支持体に結合した複合体の構成は、オフターゲット生成物を生じる;特に、5’タグ化標的フラグメントのアンプリコンのハイブリダイゼーションおよび捕捉は、固定化された核酸となおハイブリダイズされる核酸のフラグメントによって夾雑され得る(
図3)。この非効率性は、試薬の浪費、ならびにオフターゲットフラグメントおよび配列決定データを伴う配列決定機器またはフローセルを生じ得る。本出願は、ライブラリー品質という課題に対処し、オフターゲット捕捉を低減する種々のトランスポソーム複合体デザイン、および改善された化学的安定性を示す改変されたリンカーを有する複合体を開示する。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法によって得られる核酸ライブラリーは、標的配列の核酸配列を決定するために任意の適切な核酸配列決定プラットフォームを使用して配列決定され得る。いくつかの点で、目的の配列は、1またはこれより多くの先天的または遺伝性の障害、病原性、抗生物質耐性、または遺伝的改変と相関または関連する。配列決定は、短い縦列反復配列、一塩基多型、遺伝子、エキソン、コード領域、エキソーム、またはこれらの一部の核酸配列を決定するために使用され得る。よって、本明細書で記載される方法および組成物は、がんおよび疾患の診断、予後、および治療剤、DNAフィンガープリント適用(例えば、DNAデータバンキング、犯罪ケースワーク)、メタゲノム研究および創薬、アグリゲノム適用、ならびに病原体同定およびモニタリングにおいて有用であるが、これらに限定されない配列決定可能なライブラリーを作ることに関する。
【0040】
標的核酸(例えば、DNA)を、次世代配列決定の準備ができたアダプター改変テンプレートに変換するために必要とされる工程の数は、トランスポザーゼ媒介性フラグメント化およびタグ化の使用によって最小化され得る。このプロセスは、「タグメンテーション(tagmentation)」と本明細書でいわれ、しばしば、特定の目的のためにデザインされた選択肢的なさらなる配列とともに、一本鎖アダプター配列および二本鎖トランスポゾン末端配列領域を含むトランスポゾン対と複合体化されたトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体による、標的核酸の改変を含む。タグメンテーションは、標的核酸の同時のフラグメント化および二重鎖核酸フラグメントの両方の鎖の5’末端へのアダプターの連結を生じる。トランスポソーム複合体が、支持体に結合されている場合、その得られたフラグメントは、タグメンテーション反応の後に(5’連結トランスポソーム複合体の場合には直接的に、または3’連結トランスポソーム複合体の場合にはハイブリダイゼーションを介して、のいずれかで)固体支持体に結合される。
【0041】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願および他の刊行物は、別段述べられなければ、それらの全体において参考として援用される。本明細書中の用語に関して複数の定義が存在するということが起こる場合、別段述べられなければ、この節の用語が優先する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、状況が明らかに別段規定しなければ、複数形への言及を含む。別段示されなければ、質量分析法、NMR、HPLC、プロトン化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法が使用される。「または(or)」または「および(and)」の使用は、別段述べられなければ、「および/または(and/or)」を意味する。さらに、用語「含む、包含する(including)」および他の形態(例えば、「含む、包含する(include)」、「含む、包含する(includes)」、および「含まれる、包含される(included)」)の使用は、限定されない。本明細書で使用される場合、移行句の中であろうが、請求項の本文の中であろうが、用語「含む、包含する(comprise(s))」および「含む、包含する(comprising)」は、非限定の意味(open-ended meaning)を有すると解釈されるべきである。すなわち、これらの用語は、文言「少なくとも~を有する(having at least)」または「少なくとも~を含む(including at least)」と同義に解釈されるべきである。プロセスの状況において使用される場合、用語「含む、包含する」とは、そのプロセスが少なくとも記載される工程を包含するが、さらなる工程を包含していてもよいことを意味する。化合物、組成物、またはデバイスの状況において使用される場合、用語「含む、包含する」とは、その化合物、組成物、またはデバイスが少なくとも記載される特徴または構成要素を含むが、さらなる特徴または構成要素をも含んでいてもよいことを意味する。
【0042】
本明細書で使用される節の見出しは、体系化する目的に過ぎず、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0043】
化学用語
本明細書で使用される場合、「アルキル(alkyl)」とは、完全に飽和した(すなわち、二重結合も三重結合も含まない)直線状または分枝状の炭化水素鎖をいう。そのアルキル基は、1~20個の炭素原子を有し得る(本明細書で現れる場合は常に、数値範囲(例えば、「1~20(1 to 20)」とは、その所定の範囲の中の各整数に言及する;例えば、「1~20個の炭素原子(1 to 20 carbon atoms)」とは、そのアルキルが、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個を含めて20個までの炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義はまた、数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の存在もまた、網羅する)。アルキル基はまた、1~9個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり得る。そのアルキル基は、「C1-4アルキル」または類似の呼称として指定され得る。例示に過ぎないが、「C1-6アルキル」は、アルキル鎖の中に1~6個の炭素原子が存在し、すなわち、そのアルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群より選択されることを意味する。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、決してこれらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ(alkoxy)」とは、式-ORであって、ここでRは、上記で定義されるとおりのアルキルであるもの(例えば、C1-9アルコキシ)をいい、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アリール(aryl)」とは、環骨格の中に炭素のみを含む芳香族環または環系(すなわち、2個の隣接する炭素原子を共有する2個またはこれより多くの縮合環)をいう。アリールが環系である場合、その系の中の全ての環は、芳香族である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有し得るが、本定義はまた、数値範囲が指定されない用語「アリール」の存在を網羅する。いくつかの実施形態において、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。アリール基は、「C6-10アリール」、「C6ないしC10アリール」または類似の呼称として指定され得る。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アズレニル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「アラルキル(aralkyl)」または「アリールアルキル(arylalkyl)」とは、置換基として、アルキレン基を介して接続されるアリール基であり(例えば、「C7-14アラルキル」など)、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、およびナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合には、アルキレン基は、低級アルキレン基(すなわち、C1-6アルキレン基)である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル(carbocyclyl)」とは、環系の骨格の中に炭素原子のみを含む非芳香族環または環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2個またはこれより多くの環は、縮合、架橋、またはスピロ接続された様式で一緒に接続され得る。カルボシクリルは、環系の中の少なくとも1個の環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有し得る。従って、カルボシクリルは、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルを含む。カルボシクリル基は、3~20個の炭素原子を有し得るが、本定義はまた、数値範囲が指定されない用語「カルボシクリル」の存在を網羅する。カルボシクリル基はまた、3~10個の炭素原子を有する中程度のサイズのカルボシクリルであり得る。カルボシクリル基はまた、3~6個の炭素原子を有するカルボシクリルであり得る。カルボシクリル基は、「C3-6カルボシクリル」または類似の呼称として指定され得る。カルボシクリル環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(bicycle[2.2.2]octanyl)、アダマンチル、およびスピロ[4.4]ノナニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「Ca~Cb(Ca to Cb)」または「Ca-b」であって、ここで「a」および「b」が整数であるものは、特定された基の中の炭素原子の数に言及する。すなわち、その基は、「a」個から「b」個まで(両端を含む)の炭素原子を含み得る。従って、例えば、「C1~C4アルキル」または「C1-4アルキル」基とは、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、すなわち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-および(CH3)3C-をいう。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「共有結合される(covalently attached)」または「共有結合される(covalently bonded)」とは、原子間での電子対の共有によって特徴づけられる化学的結合の形成をいう。例えば、共有結合されたポリマー被覆とは、他の手段、例えば、接着または静電的相互作用を介する表面への結合と比較して、化学的結合を基材の官能化された表面と形成するポリマー被覆をいう。表面に共有結合的に結合されるポリマーがまた、共有結合的な結合に加えて、例えば、物理的吸着によって結合され得ることは、認識される。
【0050】
用語「ハロゲン(halogen)」または「ハロ(halo)」とは、本明細書で使用される場合、元素周期表の7族の放射性安定原子、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素のうちのいずれか1種を意味し、フッ素および塩素が好ましい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール(heteroaryl)」とは、環骨格の中に1個またはこれより多くのヘテロ原子(すなわち、炭素以外の元素(窒素、酸素および硫黄が挙げられるが、これらに限定されない))を含む芳香族環または環系(すなわち、2個の隣接する原子を共有する2個またはこれより多くの縮合環)をいう。ヘテロアリールが環系である場合、その系の中の全ての環は、芳香族である。ヘテロアリール基は、5~18個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成する原子数)を有し得るが、本定義はまた、数値範囲が指定されない用語「ヘテロアリール」の存在を網羅する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5~10個の環員または5~7個の環員を有する。ヘテロアリール基は、「5~7員のヘテロアリール」、「5~10員のヘテロアリール」、または類似の呼称として指定され得る。ヘテロアリール環の例としては、フリル、チエニル、フタラジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル(isoquinlinyl)、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソインドリル、およびベンゾチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」とは、環骨格の中に少なくとも1個のヘテロ原子を含む非芳香族の環式環または環系を意味する。ヘテロシクリルは、縮合、架橋またはスピロ接続様式で一緒に繋がれ得る。ヘテロシクリルは、環系の中の少なくとも1個の環が芳香族でないことを条件として、任意の飽和度を有し得る。ヘテロ原子は、環系の中の非芳香族または芳香族いずれかの環の中に存在し得る。ヘテロシクリル基は、3~20個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成する原子の数)を有し得るが、本定義はまた、数値範囲が指定されない用語「ヘテロシクリル」の存在を網羅する。ヘテロシクリル基はまた、3~10個の環員を有する中程度のサイズのヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基はまた、3~6個の環員を有するヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基は、「3~6員のヘテロシクリル」または類似の呼称として指定され得る。好ましい6員の単環式ヘテロシクリルにおいて、ヘテロ原子は、O、NまたはSのうちの1~3個までから選択され、好ましい5員の単環式ヘテロシクリルにおいて、ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択される1個または2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例としては、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル、チエパニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリジニル(pyrrolidionyl)、4-ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,3-ジオキシニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニル、1,3-オキサチアニル、1,4-オキサチイニル(1,4-oxathiinyl)、1,4-オキサチアニル、2H-1,2-オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジニル、1,3-ジオキソリル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオリル、1,3-ジチオラニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3-オキサチオラニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ-1,4-チアジニル、チアモルホリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリジニル、およびテトラヒドロキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、置換された基は、置換されていない親基から、その中で1個またはこれより多くの水素原子が別の原子または基で交換されることから得られる。別段示されなければ、基が「置換され(substituted)」ていると考えられる場合、その基は、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、C1-C6ヘテロアルキル、C3-C7カルボシクリル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、C3-C7-カルボシクリル-C1-C6-アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、3~10員のヘテロシクリル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、3~10員のヘテロシクリル-C1-C6-アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、アリール(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、アリール(C1-C6)アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、5~10員のヘテロアリール(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、5~10員のヘテロアリール(C1-C6)アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで必要に応じて置換される)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシ(C1-C6)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C1-C6)アルキル(例えば、-CF3)、ハロ(C1-C6)アルコキシ(例えば、-OCF3)、C1-C6アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C1-C6)アルキル、ニトロ、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、およびオキソ(=O)から独立して選択される1個またはこれより多くの置換基で置換されることが意味される。基が「必要に応じて置換される」と記載される場合は常に、その基は、上記の置換基で置換され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、トランスポソーム複合体は、1またはこれより多くのポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)、例えば、トランスポゾン末端配列を含むポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)を介して、支持体に固定化される。いくつかの実施形態において、トランスポソーム複合体は、トランスポゾン配列の末端に付加したリンカーを介して、例えば、トランスポザーゼ酵素を固体支持体に連結して、固定化され得る。いくつかの実施形態において、トランスポザーゼ酵素およびトランスポゾンポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)の両方が、固体支持体に固定化される。固体支持体への分子(例えば、核酸、酵素)の固定化に言及する場合、用語「固定化される(immobilized)」、「付着される(affixed)」および「結合される(attached)」とは、本明細書で交換可能に使用され、両用語が、明示的であっても状況によってであっても、別段示されなければ、直接的なまたは間接的な、共有結合的または非共有結合的な結合を包含することが意図される。本開示のある種の実施形態において、共有結合的な結合が好ましいものであり得るが、一般に、必要とされることは、分子(例えば、核酸、酵素)が、支持体を使用することが意図される条件下で、例えば、核酸増幅および/もしくは配列決定を要する適用において、支持体に固定化または結合されたままであることが全てである。場合によっては、ビーズベースのタグメンテーションにおいて、トランスポソームは、リガンド対(例えば、親和性エレメントおよび親和性結合パートナー)を介してビーズ表面に結合され得る。
【0055】
トランスポソームおよびトランスポザーゼ
トランスポゾンベースの技術は、例えば、NEXTERATM XTおよびFLEX DNAサンプル調製キット(Illumina, Inc.)の作業フローに例示されるように、DNAをフラグメント化するために利用され得、ここで標的核酸(例えば、ゲノムDNA)は、標的を同時にタグ化およびフラグメント化(「タグメンテーション(tagmentation)」)するトランスポソーム複合体で処理され、それによって、フラグメントの末端で特有のアダプター配列でタグ化されたフラグメント化核酸分子の集団を作り出す。
【0056】
転移反応は、1またはこれより多くのトランスポゾンがランダム部位でまたはほぼランダム部位で標的核酸へと挿入される反応である。転移反応における構成要素は、トランスポザーゼ(または本明細書で記載されるとおりの核酸をフラグメント化およびタグ化し得る他の酵素、例えば、インテグラーゼ)および酵素に結合する二本鎖トランスポゾン末端配列を含むトランスポゾンエレメント、ならびに2つのトランスポゾン末端配列のうちの一方に結合されるアダプター配列を含む。その二本鎖トランスポゾン末端配列のうちの一方の鎖は、標的核酸の一方の鎖に移され、相補的なトランスポゾン末端配列鎖は、移されない(すなわち、移されないトランスポゾン配列)。そのアダプター配列は、必要とされるかまたは所望である場合、1またはこれより多くの機能的配列(例えば、プライマー配列)を含み得る。
【0057】
「トランスポソーム複合体(transposome complex)」とは、少なくとも1種のトランスポザーゼ酵素およびトランスポゾン認識配列から構成される。いくつかのこのようなシステムにおいて、トランスポザーゼは、トランスポゾン認識配列に結合して、転移反応を触媒し得る機能的複合体を形成する。いくつかの局面において、そのトランスポゾン認識配列は、二本鎖トランスポゾン末端配列である。そのトランスポザーゼ、またはインテグラーゼは、標的核酸の中のトランスポザーゼ認識部位に結合し、トランスポゾン認識配列を標的核酸の中に挿入する。いくつかのこのような挿入事象において、トランスポゾン認識配列(または末端配列)のうちの一方の鎖は、標的核酸へと移され、切断事象も生じる。本開示のトランスポザーゼとともに使用するために容易に適合され得る例示的な転移手順およびシステムは、例えば、PCT公開番号WO10/048605、米国特許公開番号2012/0301925、米国特許公開番号2012/13470087、または米国特許公開番号2013/0143774(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0058】
本明細書で提供されるある種の実施形態とともに使用され得る例示的なトランスポザーゼとしては、以下が挙げられる(または以下によってコードされる):Tn5トランスポザーゼ(Reznikoffら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 2000, 266, 729-734を参照のこと)、Vibrio harveyi(Agilentによって特徴づけられかつSureSelect QXT製品において使用されるトランスポザーゼ)、R1およびR2末端配列を含むMuAトランスポザーゼおよびMuトランスポザーゼ認識部位(Mizuuchi, K., Cell, 35: 785, 1983; Savilahti, H,ら, EMBO
J., 14:4893, 1995)、Staphylococcus aureus Tn552(Colegio, O.ら, J. Bacteriol., 183:2384-8, 2001; Kirby, C.ら, Mol. Microbiol., 43:173-86, 2002)、Ty1(Devine & Boeke,
Nucleic Acids Res., 22:3765-72, 1994およびPCT公開番号WO95/23875)、トランスポゾンTn7(Craig, N.L., Science, 271:1512, 1996; Craig, N.L.,
Curr. Top. Microbiol. Immunol., 204:27-48, 1996)、Tn/OおよびIS10(Kleckner N.ら, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 204:49-82, 1996)、Marinerトランスポザーゼ(Lampe, D.J.ら, EMBO J., 15:5470-9, 1996)、Tc1(Plasterk, R.H.,
Curr. Top. Microbiol. Immunol., 204:125-43, 1996)、Pエレメント(Gloor, G.B., Methods Mol. Biol., 260:97-114, 2004)、Tn3(Ichikawa & Ohtsubo, J. Biol. Chem., 265:18829-32, 1990)、細菌挿入配列(Ohtsubo & Sekine, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 204:1-26, 1996)、レトロウイルス(Brownら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:2525-9, 1989)、および酵母のレトロトランスポゾン(Boeke & Corces, Ann. Rev. Microbiol. 43:403-34, 1989)。より多くの例としては、include IS5、Tn10、Tn903、IS911、およびトランスポザーゼファミリー酵素の操作されたバージョン(Zhangら, (2009) PLoS Genet. 5:e1000689. Epub Oct. 16; Wilson C.ら (2007) J. Microbiol. Methods 71:332-5)が挙げられる。本明細書で記載される方法はまた、単一のトランスポザーゼだけではなく、トランスポザーゼの組み合わせを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、トランスポザーゼは、Tn5、MuA、もしくはVibrio harveyiトランスポザーゼ、またはこれらの活性変異体である。他の実施形態において、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼまたはその活性変異体である。いくつかの実施形態において、Tn5トランスポザーゼは、活性亢進Tn5トランスポザーゼ(例えば、Reznikoffら, PCT公開番号WO2001/009363、米国特許第5,925,545号、同第5,965,443号、同第7,083,980号、および同第7,608,434号、ならびにGoryshin and Reznikoff, J. Biol. Chem. 273:7367, 1998を参照のこと)、またはその活性変異体である。いくつかの局面において、Tn5トランスポザーゼは、PCT公開番号WO2015/160895(本明細書に参考として援用される)に記載されるとおりのTn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態において、Tn5トランスポザーゼは、融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、Tn5トランスポザーゼ融合タンパク質は、融合された伸長因子Ts(Tsf)タグを含む。いくつかの実施形態において、Tn5トランスポザーゼは、野生型配列に対してアミノ酸54、56および372において変異を含む活性亢進Tn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態において、活性亢進Tn5トランスポザーゼは、融合タンパク質であり、必要に応じて、ここでその融合されたタンパク質は、伸長因子Ts(Tsf)である。いくつかの実施形態において、認識部位は、Tn5タイプトランスポザーゼ認識部位である(Goryshin and Reznikoff, J. Biol. Chem., 273:7367, 1998)。一実施形態において、活性亢進Tn5トランスポザーゼと複合体を形成するトランスポザーゼ認識部位が使用される(例えば、EZ-Tn5TMトランスポザーゼ, Epicentre Biotechnologies, Madison, Wis.)。
【0060】
いくつかの実施形態において、トランスポソーム複合体は、2分子のトランスポザーゼのダイマーである。いくつかの実施形態において、トランスポソーム複合体は、ホモダイマーであり、ここで2分子のトランスポザーゼは、同じタイプの第1のおよび第2のトランスポゾンに各々結合される(例えば、各モノマーに結合されたその2つのトランスポゾンの配列が、同じであり、「ホモダイマー(homodimer)」を形成する)。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される組成物および方法は、トランスポソーム複合体の2つの集団を使用する。いくつかの実施形態において、各集団中のトランスポザーゼは、同じである。いくつかの実施形態において、各集団中のトランスポソーム複合体は、ホモダイマーであり、ここで第1の集団は、各モノマーにおいて第1のアダプター配列を有し、第2の集団は、各モノマーにおいて異なるアダプター配列を有する。
【0061】
いくつかの実施形態において、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態において、トランスポザーゼ複合体は、第1のおよび第2のモノマーを含むトランスポザーゼ(例えば、Tn5トランスポザーゼ)ダイマーを含む。各モノマーは、第1のトランスポゾンおよび第2のトランスポゾンを含み、ここでその第1のトランスポゾンは、その3’末端において第1のトランスポゾン末端配列および第1のアダプター配列を含み(ここでダイマーの各モノマーにおけるアダプター配列は、同じであるかまたは異なる)、上記第2のトランスポゾンは、第1のトランスポゾン末端配列に少なくとも部分的に相補的な第2のトランスポゾン末端配列を含む。5’切断可能なリンカー局面のうちのいくつかの実施形態において、第1のトランスポゾンは、その5’末端において親和性エレメントに接続された切断可能なリンカーを含む。3’リンカーの局面のうちのいくつかの実施形態において、第2のトランスポゾンは、その3’末端において親和性エレメントに接続されたリンカー(必要に応じて切断可能)を含む。従って、好ましい実施形態において、各モノマーからの1個のトランスポゾンは、親和性エレメントを含む。しかし、いくつかの実施形態において、2個のモノマーのうちの一方のみが、親和性エレメントを含む。
【0062】
アダプター配列
本明細書で記載される方法の実施形態のうちのいずれかにおいて、第1のトランスポゾンは、第1のアダプター配列を含む。いくつかの実施形態において、二次アダプターは、二次アダプターキャリアを使用して、本明細書で記載されるとおりのタグ化フラグメントに付加され、二次アダプターキャリアは、プライマー配列および二次アダプター配列を含む。アダプター配列は、ユニバーサル配列、プライマー配列、インデックス配列、捕捉配列、バーコード配列(例えば、計数またはエラー矯正のために使用される)、切断配列、配列決定関連配列、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1またはこれより多くの機能的配列を含み得る。いくつかの実施形態において、アダプター配列は、プライマー配列を含む。他の実施形態において、アダプター配列は、プライマー配列およびインデックス配列またはバーコード配列を含む。プライマー配列はまた、ユニバーサル配列であり得る。本開示は、使用され得るアダプター配列のタイプに限定されず、当業者は、ライブラリー調製および次世代配列決定のために有用であり得るさらなる配列を認識する。
【0063】
タグメンテーション反応によって核酸フラグメントの5’末端に移されるアダプター配列(例えば、第1のアダプター配列)は、例えば、ユニバーサル配列を含み得る。ユニバーサル配列は、2またはこれより多くの核酸フラグメントに共通するヌクレオチド配列の領域である。必要に応じて、その2またはこれより多くの核酸フラグメントはまた、配列差異のある領域を有する。複数の核酸フラグメントの異なるメンバーに存在し得るユニバーサル配列は、ユニバーサル配列に相補的な単一のユニバーサルプライマーを使用して、複数の異なる配列の複製または増幅を可能にし得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される組成物および方法は、トランスポソーム複合体の2つの集団を使用する。いくつかの実施形態において、各集団は、異なるプライマー配列を有するアダプター配列を含む。いくつかの実施形態において、第1の集団は、A14プライマー配列を含み、第2の集団は、B15プライマー配列を含む。
【0065】
親和性エレメントおよび親和性結合パートナー
親和性エレメントは、本明細書で使用される場合、共有結合により、または非共有結合により、親和性結合パートナーに結合するために使用され得る部分である。いくつかの局面において、親和性エレメントは、トランスポソーム複合体上にあり、親和性結合パートナーは、固体支持体上にある。
【0066】
いくつかの実施形態において、親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに結合し得るか、またはこれに非共有結合により結合され、それによって、トランスポソーム複合体を固体支持体に非共有結合により結合する。このような実施形態において、親和性エレメントは、例えば、ビオチンを含むかまたはビオチンであり、親和性結合パートナーは、アビジンもしくはストレプトアビジンを含むか、またはアビジンもしくはストレプトアビジンである。他の実施形態において、親和性エレメント/結合パートナーの組み合わせは、FITC/抗FITC、ジゴキシゲニン/ジゴキシゲニン抗体、もしくはハプテン/抗体を含むか、またはFITC/抗FITC、ジゴキシゲニン/ジゴキシゲニン抗体、もしくはハプテン/抗体である。さらに適切な親和性の対としては、ジチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-アビジン、ビオチン-アビジン、ジチオビオチン-スクシニル化アビジン、イミノビオチン-スクシニル化アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、およびビオチン-スクシニル化アビジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
いくつかの実施形態において、親和性エレメントは、化学反応を介して親和性結合パートナーに結合し得るか、または固体支持体上の親和性結合パートナーとの反応によって共有結合的に結合され、それによって、固体支持体上のトランスポソーム複合体に共有結合的に結合する。いくつかの局面において、親和性エレメント/結合パートナーの組み合わせは、アミン/カルボン酸を含むか、またはアミン/カルボン酸である(例えば、標準的なペプチドカップリング反応を介して、当業者に公知の条件下で結合する(例えば、EDCまたはNHS媒介性カップリング))。2つの構成要素の反応は、親和性エレメントおよび結合パートナーを、アミド結合を通じて繋ぐ。あるいは、親和性エレメントおよび結合パートナーは、2つのクリック化学パートナー(例えば、アジド/アルキン(これが反応して、トリアゾール連結を形成する))であり得る。
【0068】
切断可能なリンカー
2つの分子実態を連結する結合を壊す能力は、最初のハイブリダイゼーションの間にゲノムワイドオフターゲット捕捉を生じる可能性を崩壊させて、オフターゲットハイブリダイゼーション生成物の捕捉を低減する有効なツールであり得る。本明細書で定義される場合、切断可能なリンカーは、切断可能な結合を通じて一緒に繋がれる2つの機能的先端(head)を有する分子である。この2つの機能的先端は、そのリンカーを他の部分に結合するように働く;この場合、切断可能なリンカーは、第1のトランスポゾン配列の5’末端を親和性エレメントに接続する。切断可能なリンカーの切断条件および生物学的適用に従って分類されるそれらリンカーの概観は、Wagnerら, Bioorg. Med. Chem. 20, 571-582 (2012)(これは本明細書に参考として援用される)によって列挙される。
【0069】
本明細書で使用されるとおりの切断可能なリンカーは、化学的または物理的手段(例えば、光分解、化学的切断、熱切断、または酵素による切断のような)を通じて切断され得るリンカーである。いくつかの実施形態において、その切断は、生化学的、化学的、酵素的、求核性、還元感受性の薬剤または他の手段によってであり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、種々の手段によってフラグメント化され得るヌクレオチドまたはヌクレオチド配列を含み得る。例えば、切断可能なリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ部位;RNAseで切断可能な少なくとも1個のリボヌクレオチド;ある種の化学的薬剤の存在下で切断可能なヌクレオチドアナログ;過ヨウ素酸塩(例えば)での処理によって切断可能なジオール連結;化学的還元剤で切断可能なジスルフィド基;光化学的切断を受けやすい可能性がある切断可能な部分;およびペプチダーゼ酵素または他の適切な手段によって切断可能なペプチドを含み得る。例えば、米国特許公開番号2012/0208705および2012/0208724、ならびにPCT公開番号WO 2012/061832(これらの各々は、その全体において参考として援用される)を参照のこと。
【0071】
光切断可能な(PC)リンカーは、光切断誘導性の精製、タンパク質工学、化合物および生体分子の光活性化、ならびに多重アッセイのための光切断可能なマスタグ化(photocleavable mass tagging)のような種々の適用において使用されてきた。PCリンカーは、特定の波長(300~350nm)のUV光によって切断可能である光不安定性の官能基を含み得る。そのPCリンカーとしては、例えば、適切なスペクトル範囲内のUV光に曝される場合に切断され得る10原子ユニットを含み得る。このような光切断可能なリンカーおよびホスホロアミダイト試薬は、Integrated DNA technologies(IDT)、Ambergen、およびGlen
Researchから市販されている。光切断可能なヌクレオチド組成物の使用は、米国特許第7,057,031号、同第7,547,530号、同第7,897,737号、同第7,964,352号および同第8,361,727号(これらは、それらの全体において本明細書に参考として援用される)に詳細に記載される。
【0072】
いくつかの実施形態において、切断は、切断可能なヌクレオチドまたは核塩基を切断可能なリンカーの中に組み込むことによって酵素によって媒介される。このような核塩基またはヌクレオチド部分の例としては、ウラシル、ウリジン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、チミジン-ダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、デオキシイノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、5-メチルシチジン、デオキシウリジン、5,6-ジヒドロキシチミン、チミングリコール、5-ヒドロキシ-5-メチルヒダントイン(5-hydroxy-5-methylhydanton)、ウラシルグリコール、6-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロチミン、メチルタートロニルウレア(methyl tartronyl urea)(1,2)、または無塩基部位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、完全な切断を可能にするために十分な数の切断可能なヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、1~10個の切断可能なヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、少なくとも1個の切断可能なヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の切断可能なヌクレオチドを含む。好ましい実施形態において、切断可能なリンカーは、1個またはこれより多くのウラシルヌクレオチドおよび必要に応じて他の標準的DNA塩基を含む。いくつかの実施形態において、PCR後のさらなる酵素工程が、切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオシド位置において切断可能なリンカーを切断する。このような酵素の例としては、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG(ウラシル-N-グリコシラーゼまたはUNGともいわれる))、ホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)、RNaseH、Endo III、Endo IV、Endo V、Endo VIII、Klenow、またはアピラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、核酸の中のウラシル塩基を切断する酵素およびAPヌクレアーゼを含む酵素のブレンドが使用される。酵素の有効濃度は、0.025
U/μl~10 U/μlの範囲に及び得る。好ましい実施形態において、酵素のブレンドは、ウラシルDNAグリコシラーゼおよびEndo IVである。本明細書で記載される方法における使用のための市販の酵素混合物としては、UDEM(Epicentre Biotechnologies)が挙げられる。さらに別の実施形態において、酵素のブレンドは、ウラシルDNAグリコシラーゼおよびEndo VIIIである(USER(New England Biolabs)またはUracil Cleavage System(Sigma Aldrich)として市販されている)。切断は、例えば、小さなオリゴヌクレオチドを捕捉しないで残すビーズベースの方法論を使用する標的核酸の除去のような核酸精製の間に、当業者に公知の多くの方法によって除去され得る短いオリゴヌクレオチド上に5’親和性エレメント(例えば、ビオチン部分)を残す。その切断は、親和性エレメント(例えば、ビオチン)と5’タグ化標的フラグメントとの間の連結を壊す。好ましい実施形態において、切断可能なリンカーは、トランスポゾン二重鎖のトランスポゾン末端配列 の5’末端に隣接して結合される。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、ビオチンに連結される。他の実施形態において、ビオチンは、ストレプトアビジン被覆ビーズに付着される。
【0074】
トランスポソーム複合体および3’リンカーを有するトランスポゾン
他の局面において、リンカーは、第2のトランスポゾンの3’末端に接続され、ここでそのリンカーは、第2のトランスポゾンを固体支持体に接続し得る。第1のおよび第2のトランスポゾンが、トランスポソーム複合体の一部である場合、リンカーは、その複合体を固体支持体に接続するように働く。このような局面において、リンカーの第1の末端は、第2のトランスポゾンの3’末端に結合され、リンカーの第2の末端は、親和性エレメントに結合される。親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに(共有結合により、または非共有結合により)結合し得る。いくつかの局面において、親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに(共有結合により、または非共有結合により)結合され、固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を提供する。いくつかの局面において、リンカーは、切断可能なリンカーである。これらの複合体は、3’-リンカートランスポソーム複合体および支持体に結合した3’-リンカートランスポソーム複合体である。いくつかの実施形態において、親和性エレメントは、ビオチンであり、親和性結合パートナーは、ストレプトアビジンである。
【0075】
一実施形態において、リンカーは、第2のトランスポゾンの3’末端に共有結合により結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは、第2のトランスポゾン末端配列の3’末端に共有結合により結合される。例えば、本明細書で記載されるリンカーは、第2のトランスポゾンの3’末端ヒドロキシ基に共有結合によりかつ直接的に結合され得るので、-O-連結を形成し得るか、または別の基(例えば、ホスフェートまたはエステル)を通じて共有結合され得る。あるいは、本明細書で記載されるリンカーは、第2のトランスポゾンまたは第2のトランスポゾン末端配列のホスフェート基に、共有結合により結合され得る(例えば、ホスフェート基を介して3’ヒドロキシルに共有結合により結合され得るので、-O-P(O)3-連結を形成し得る)。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるトランスポソーム複合体は、リンカーを介して固体支持体に固定化される。いくつかのこのような実施形態において、親和性エレメントは、ビオチンであり、固体支持体は、ストレプトアビジンを含む。いくつかのさらなる実施形態において、固体支持体は、ビーズを含むかまたはビーズである。一実施形態において、ビーズは、常磁性ビーズである。
【0077】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、式(I)の構造:
【化3】
を有し、ここで:
AEは、親和性エレメントであり;
Yは、C
2-6アルキレンであり;
X
1は、O、NR
1、またはSであり;
ここでR
1は、HまたはC
1-10アルキルであり;
nは、1、2、3、4、5、および6からなる群より選択される整数であり;
X
2は、O、CH
2またはSであり;
R
aは、Hまたは-OHであり;そして
Zは、R
aがHである場合に非存在であるか、またはR
aがHもしくはOHである場合にCH
2であり;
ここで
【化4】
は、第2のトランスポゾンへの接続点のマークである。
【0078】
式(I)のいくつかの実施形態において、AEは、必要に応じて置換されたビオチンまたはアミノ基である。他の実施形態において、AEは、必要に応じて置換されたビオチンである。このような実施形態において、ビオチンは、C1-4アルキルで必要に応じて置換される。他の実施形態において、AEは、ビオチンである。
【0079】
式(I)のいくつかの実施形態において、Yは、C2-6アルキレンである。他の実施形態において、Yは、C2-5アルキレンである。他の実施形態において、Yは、C2-4アルキレンである。他の実施形態において、Yは、C2-3アルキレンである。他の実施形態において、Yは、非分枝状アルキレンである。他の実施形態において、Yは、C2アルキレンである。他の実施形態において、Yは、C3アルキレンである。他の実施形態において、Yは、C4アルキレンである。他の実施形態において、Yは、エチレンである。他の実施形態において、Yは、プロピレンである。他の実施形態において、Yは、ブチレンである。
【0080】
式(I)のいくつかの実施形態において、X1は、NR1であり、ここでR1は、HまたはC1-10アルキルである。いくつかのこのような実施形態において、R1は、Hである。いくつかの実施形態において、R1は、C1-3アルキルである。他の実施形態において、X1は、Oである。他の実施形態において、X1は、Sである。
【0081】
式(I)のいくつかの実施形態において、nは、1である。他の実施形態において、nは、2である。他の実施形態において、nは、3である。他の実施形態において、nは、4である。
【0082】
式(I)のいくつかの実施形態において、X2は、CH2である。いくつかの他の実施形態において、X2は、Oである。他の実施形態において、X2は、Sである。
【0083】
式(I)のいくつかの実施形態において、Raは、Hである。他の実施形態において、Raは、-OHである。
【0084】
式(I)のいくつかの実施形態において、Zは、非存在であり、Raは、Hである。いくつかの実施形態において、Zは、CH2であり、Raは、Hである。いくつかの実施形態において、Zは、CH2であり、Raは、OHである。
【0085】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、式(I’)の構造:
【化5】
を有し、ここでAE、Y、X
1、n、X
2は、式(I)に関して本明細書で記載されるとおりに定義され、Zは、非存在であるかまたはCH
2である。
【0086】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、式(Ia)の構造:
【化6】
を有し、ここでX
1、n、X
2、R
a、およびZは、式(I)に関して本明細書で記載されるとおりに定義される。いくつかの実施形態において、R
aは、Hである。
【0087】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、式(Ib)の構造:
【化7】
を有し、ここでAEは、式(I)に関して本明細書で定義されるとおりであり;nは、1または2である。
【0088】
式(Ib)のうちのいくつかの局面において、AEは、必要に応じて置換されたビオチンまたはアミノ基である。いくつかの実施形態において、AEは、ビオチンである。
【0089】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、式(Ic)の構造:
【化8】
を有し、ここでAEは、式(I)に関して本明細書で定義されるとおりであり;X
2は、OまたはCH
2であり;nは、1または2であり;そしてZは、非存在であるか、またはCH
2である。
【0090】
式(Ic)のいくつかの実施形態において、AEは、必要に応じて置換されたビオチンまたはアミノ基である。いくつかの実施形態において、AEは、ビオチンである。いくつかの実施形態において、X2は、Oである。いくつかの実施形態において、X2は、CH2である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。いくつかの実施形態において、Zは、非存在である。いくつかの実施形態において、Zは、CH2である。いくつかの実施形態において、nは、1であり、X2は、Oであり、そしてZは、非存在である。いくつかの実施形態において、nは、1であり、X2は、CH2であり、Zは、CH2である。
【0091】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、以下からなる群:
【化9】
より選択される構造を有する。
【0092】
いくつかの実施形態において、リンカーおよび親和性エレメントは、構造(I(c))を有する。
【0093】
いくつかの実施形態において、アダプター配列は、プライマー配列を含む。いくつかの実施形態において、プライマー配列は、A14またはB15プライマー配列である。いくつかの実施形態において、プライマー配列は、P5プライマー配列またはP7プライマー配列である。いくつかの実施形態において、トランスポザーゼは、ダイマーであり、各モノマーは、本明細書で記載されるとおりのアダプター配列を有するトランスポゾン二重鎖に結合され、ここで各モノマーの中のアダプター配列は、同じである。トランスポザーゼがダイマーである実施形態において、一方のまたは両方のモノマーは、トランスポソーム複合体を固体支持体に接続するリンカーを含む。各モノマーは、アダプター配列を有する第1のトランスポゾンを含む。
【0094】
固体支持体
用語「固体表面(solid surface)」、「固体支持体(solid support)」および他の文法的等価物は、トランスポソーム複合体の結合に適切であるか、または適切であるように改変され得る任意の材料に言及する。当業者によって認識されるように、可能な基材の数は複数である。可能な基材としては、ガラスおよび改変または官能化されたガラス、プラスチック(アクリル物質、ポリスチレンならびにスチレンおよび他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、TEFLON(登録商標)などが挙げられる)、ポリサッカリド、ナイロンまたはニトロセルロース、セラミック、樹脂、シリカまたはシリカベースの材料(ケイ素および改変ケイ素を含む)、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバー束、ビーズ、常磁性ビーズ、および種々の他のポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
いくつかのこのような実施形態において、トランスポソーム複合体は、本明細書で記載されるとおりのリンカーを介して固体支持体上に固定化される。いくつかのさらなる実施形態において、固体支持体は、チューブ、プレートのウェル、スライド、ビーズ、もしくはフローセル、またはこれらの組み合わせを含むか、あるいはチューブ、プレートのウェル、スライド、ビーズ、もしくはフローセル、またはこれらの組み合わせである。いくつかのさらなる実施形態において、固体支持体は、ビーズを含むかまたはビーズである。一実施形態において、ビーズは、常磁性ビーズである。
【0096】
本明細書で示される方法および組成物において、トランスポソーム複合体は、固体支持体に固定化される。一実施形態において、固体支持体は、ビーズである。適切なビーズ組成としては、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、ソリアゾル(thoria sol)、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックスまたは架橋デキストラン(例えば、セファロース)、セルロース、ナイロン、架橋ミセルおよびTEFLON(登録商標)、ならびに固体支持体に関して本明細書で概説される任意の他の材料が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態において、マイクロスフェアは、磁性マイクロスフェアまたはビーズ(例えば、常磁性粒子、スフェアまたはビーズ)である。ビーズは、球形である必要はなく;不規則な粒子が使用されてもよい。代わりにまたはさらに、ビーズは、多孔性であり得る。ビーズサイズは、ナノメートル(例えば、100nm)からミリメートル(例えば、1mm)までの範囲に及び、約0.2ミクロンから約200ミクロンまでのビーズが好ましく、約0.5~約5ミクロンが特に好ましいが、いくつかの実施形態において、より小さなまたはより大きなビーズが使用されてもよい。ビーズは、親和性結合パートナーで被覆され得、例えば、ビーズは、ストレプトアビジン被覆され得る。いくつかの実施形態において、ビーズは、ストレプトアビジン被覆常磁性ビーズ、例えば、Dynabeads MyOneストレプトアビジンC1ビーズ(Thermo Scientificカタログ番号65601)、Streptavidin MagneSphere Paramagnetic粒子(Promegaカタログ番号#Z5481)、Streptavidin Magneticビーズ(NEBカタログ番号#S1420S)およびMaxBead Streptavidin(Abnovaカタログ番号U0087)である。固体支持体はまた、スライド、例えば、フローセルまたはトランスポソーム複合体が上に固定化され得るように改変された他のスライドであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、親和性結合パートナーは、1000~約6000pmol/mg、または約2000~約5000pmol/mg、または約3000~約5000pmol/mg、または約3500~約4500pmol/mgという密度において、固体支持体またはビーズ上に存在する。
【0098】
一実施形態において、固体表面は、サンプルチューブの内表面である。一例において、サンプルチューブは、PCRチューブである。別の実施形態において、固体表面は、捕捉膜である。一例において、その捕捉膜は、ビオチン捕捉膜(例えば、Promega Corporationから入手可能)である。別の例において、捕捉膜は、濾紙である。本開示のいくつかの実施形態において、固体支持体は、不活性基材またはマトリクス(例えば、ガラススライド、ポリマービーズなど)から構成され、例えば、分子(例えば、ポリヌクレオチド)への共有結合的な結合を可能にする層の適用または反応性基を含む中間物質の被覆によって官能化されている。このような支持体の例としては、不活性基材(例えば、ガラス、特にWO2005/065814およびUS2008/0280773(これらの内容は、それらの全体において本明細書に参考として援用される)に記載されるとおりのポリアクリルアミドヒドロゲル)上で支持されたポリアクリルアミドヒドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。タグメンテーションしたDNAライブラリーの構築のために固体表面上でDNAをタグメンテーションする(フラグメント化およびタグ化する)方法は、WO2016/189331およびUS2014/0093916A1(これらは、それらの全体において本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0099】
本開示のいくつかのさらなる実施形態は、本明細書で記載されるように固体支持体上に固定化されたトランスポソーム複合体を含む固体支持体に関連し、ここでそのリンカーおよび親和性エレメントは、本明細書で記載されるとおりの式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(I(a))、(I(b))、または(I(c))の構造を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるトランスポソーム複合体は、親和性エレメントを介して固体支持体に固定化される。いくつかのこのような実施形態において、固体支持体は、親和性結合パートナーとしてのストレプトアビジンを含み、親和性エレメントは、ビオチンである。いくつかのさらなる実施形態において、固体支持体は、ビーズを含むかまたはビーズである。一実施形態において、ビーズは、常磁性ビーズである。
【0100】
いくつかの実施形態において、トランスポソーム複合体は、固体支持体(例えば、ビーズ)上に特定の密度または密度範囲において固定化される。ビーズ上の複合体の密度は、その用語が本明細書で使用される場合、固定化反応の間の溶液中のトランスポソーム複合体の濃度に言及する。その複合体密度は、その固定化反応が定量的であると仮定する。複合体が特定の密度で一旦形成された後、その密度は、表面に結合したトランスポソーム複合体のバッチに関して一定のままである。得られたビーズは希釈され得、その希釈された溶液中の複合体の得られる濃度は、希釈率によって除算されたビーズの好ましい密度である。希釈ビーズストックは、それらの調製からの複合体密度を保持するが、その複合体は、希釈した溶液中で低い濃度で存在する。希釈工程は、ビーズ上の複合体の密度を変化させないので、ライブラリー収量に影響を及ぼすが、挿入物(フラグメント)サイズには影響を及ぼさない。いくつかの実施形態において、その密度は、約5nM~約1000nMの間、または約5~150nMの間、または約10nM~800nMの間である。他の実施形態において、密度は、約10nM、または約25nM、または約50nM、または約100nM、または約200nM、または約300nM、または約400nM、または約500nM、または約600nM、または約700nM、または約800nM、または約900nM、または約1000nMである。いくつかの実施形態において、密度は、約100nMである。いくつかの実施形態において、密度は、約300nMである。いくつかの実施形態において、密度は、約600nMである。いくつかの実施形態において、密度は、約800nMである。いくつかの実施形態において、密度は、約100nMである。いくつかの実施形態において、密度は、約1000nMである。
【0101】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、ビーズまたは常磁性ビーズであり、10,000個を超える、20,000個、30,000個、40,000個、50,000個、または60,000個のトランスポソーム複合体が各ビーズに結合されている。
【0102】
固体支持体に結合したトランスポソーム複合体の異なる密度は、異なる長さ(例えば、異なる挿入物サイズ)のフラグメントを生じる。例えば、
図7A、7B、および7Cに示されるように、種々の複合体密度が種々の挿入物サイズをもたらす。挿入物サイズは、約50bp~約1000bp、または約100~約600bp、または約175~約200bp、または約500bpであり得る。
【0103】
改変されたオリゴヌクレオチドおよび固定化されたトランスポソーム複合体の調製法
本開示は、本明細書に記載されるとおりの、改変されたオリゴヌクレオチド、トランスポソーム複合体、および固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を調製するための方法をさらに提供する。いくつかの局面において、このような方法は、トランスポザーゼを、本明細書で記載されるとおりの第1のおよび第2のトランスポゾンで、複合体を形成するために適した条件下で処理する工程を包含する。固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を調製するための方法は、本明細書で記載されるとおりのトランスポソーム複合体を、親和性結合パートナーを含む固体支持体とともに、親和性エレメントが親和性結合パートナーと(共有結合により、または非共有結合により)結合するために十分な条件下でインキュベートする工程を包含する。
【0104】
いくつかの実施形態において、改変されたオリゴヌクレオチドを調製するための方法がある。いくつかの局面において、親和性エレメントに接続されたリンカーを有する改変されたオリゴヌクレオチドを調製するための方法は、当該分野で公知である。本明細書で企図されるある種の方法は、第1の反応性官能基(L-FG1)を含むリンカー(または切断可能なリンカー)試薬と、第2の反応性官能基(N-FG2)を含むヌクレオチドとを反応さる工程を包含し、それによって、その第1のおよび第2の反応性官能基が反応して、そのリンカーとヌクレオチドとの間に共有結合(CB)を有するリンカー-ヌクレオチド生成物(L-(CB)-N)を形成する。いくつかの実施形態において、そのリンカー試薬は、AE部分を含む(AE-リンカー-FG1)。他の実施形態において、そのリンカー試薬は、リンカー構造の一部を含み、AEは、第2のカップリング反応を通じて導入されて、完全なAE-リンカー構造を生成する。
【0105】
その第1の反応性官能基は、例えば、カルボキシル、活性化カルボキシル(例えば、エステル、NHSエステル、アシルハライド、無水物など)、アジド、アルキン、ホルミル、またはアミノであり得る。いくつかの実施形態において、第1の反応性官能基は、活性化カルボキシル、好ましくはNHSエステルである。
【0106】
第2の反応性官能基は、ヌクレオチド上の任意の適切な位置に存在し得る。いくつかの実施形態において、第2の反応性官能基は、ヌクレオチドの3’ヒドロキシル位置または5’ホスフェート位置に、天然の置換基の代わりにもしくはつなぎ(tether)(例えば、アルキレンまたはヘテロアルキレン基)、またはヌクレオチドヒドロキシルの場合にはホスフェート基を介してそこに付加してのいずれかで存在する。いくつかの実施形態において、第2の反応性官能基は、C2-10-アルキルアミノ基を含む。いくつかの実施形態において、第2の反応性官能基は、ヘキシルアミノ基を含む。いくつかの実施形態において、第2の反応性官能基は、-OP(O)3-(CH2)6-NH2である。いくつかの実施形態において、第2の反応性官能基は、ヌクレオチドの3’ヒドロキシルを通じて、ホスフェートつなぎを介してヌクレオチドに接続される。
【0107】
改変されたヌクレオチドは、リンカーを結合する前に、オリゴヌクレオチドの一部であり得、この場合、ヌクレオチドは、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端に存在し得る。あるいは、リンカーは、ヌクレオチドにまず結合され、改変されたヌクレオチドは、標準的手段によってオリゴヌクレオチドを合成するにあたって出発物質として使用される。
【0108】
いくつかの実施形態において、式(I)のリンカーは、ヌクレオチド(例えば、シチジン)の3’位に接続される。いくつかの実施形態において、改変されたヌクレオチドを作製するための方法は、式(II)の化合物と式(III)の化合物であって:
【化10】
ここでAE、Y、n、X
2、R
a、およびZは、本明細書で定義されるとおりであり;
-C(O)X
3は、活性化エステル(例えば、エステル、アシルハライド、エステル無水物、またはNHSエステル)であり;そして
X
4は、-OHまたは-NH
2基である、
式(II)の化合物と式(III)の化合物とを反応させて、[式(I)]-ヌクレオチドの化合物を形成する工程を包含する。
【0109】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、AE-(CH2)4C(O)-O-NHSであり、式(III)の化合物は、H2N-(CH2)6-OP(O)(O-)O-ヌクレオチドであり、そして生成物は、AE-(CH2)4C(O)-NH-(CH2)6-OP(O)(O-)O-ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、ホスフェートは、ヌクレオチド(例えば、シチジン)の3’ヒドロキシル基に接続される。いくつかの実施形態において、[式(I)]-ヌクレオチドの化合物(またはAE-(CH2)4C(O)-NH-(CH2)6-OP(O)(O-)O-ヌクレオチド)は、さらなるヌクレオチドと反応して、[式(I)]-オリゴヌクレオチド(またはAE-(CH2)4C(O)-NH-(CH2)6-OP(O)(O-)O-オリゴヌクレオチド)を形成する。いくつかの実施形態において、第2のトランスポゾンは、[式(I)]-オリゴヌクレオチド(またはAE-(CH2)4C(O)-NH-(CH2)6-OP(O)(O-)O-オリゴヌクレオチド)である。
【0110】
本開示はまた、本明細書で記載される改変されたオリゴヌクレオチドを使用してトランスポソーム複合体を調製するための方法に関する。このような方法は、トランスポザーゼ、第1のトランスポゾン、および第2のトランスポゾン(本明細書で定義されるとおり)を混合する工程を包含し、ここで第1のおよび第2のトランスポゾン末端配列は、互いにアニールされて、トランスポソーム複合体を形成する。本明細書で記載される場合、第1のおよび第2のトランスポゾンのうちの一方は、親和性エレメントを(第1のトランスポゾンの場合には5’末端に;第2のトランスポゾンの場合には3’末端に)含む。いくつかの実施形態において、その方法は、親和性エレメントを、親和性結合パートナーを含む固体支持体に結合する工程をさらに包含する。その結合は、トランスポソーム複合体の形成前または形成後に行われ得る。
【0111】
配列決定フラグメントの調製-タグ化フラグメントの増幅
いくつかの局面において、標的核酸から配列決定フラグメントを調製するための方法が提供され、上記方法は、本明細書で記載されるとおりの固体支持体上に固定化された本明細書に記載されるトランスポソーム複合体を含む固体支持体を提供する工程;その固体支持体と標的核酸とを、その標的核酸をフラグメント化し、第1のトランスポゾンをそのフラグメントの5’末端に連結する条件下で接触させる工程を包含し、それによって、そのフラグメントは、固体支持体上に固定化される。いくつかの局面において、その方法は、そのフラグメント化された核酸を増幅する工程をさらに包含する。ある実施形態において、そのフラグメント条件は、トランスポソーム複合体を使用して、その標的核酸をフラグメント化およびタグ化することによって、タグメンテーションするために適した条件である。
【0112】
本明細書で記載される方法のいくつかの実施形態において、フラグメント化およびタグ化の後に、その方法は、トランスポザーゼを5’タグ化標的フラグメントから除去して、非複合体化5’タグ化標的フラグメントを提供する工程をさらに包含する。トランスポザーゼの除去は、化学的条件(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような変性剤での処理)下で達成され得る。このような方法は、5’タグ化標的フラグメントの完全二重鎖化したバージョンを生成する工程をさらに包含し得る。その完全二重鎖を生成する工程は、そのアニールされた(しかし連結されていない)第2のトランスポゾン(AE-リンカー-第2のトランスポゾン)を5’タグ化標的フラグメントから除去する工程、およびその5’タグ化標的フラグメントを伸長して、完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントを生成する工程を包含し得る。その生成する工程は、例えば、非複合体化5’タグ化標的フラグメントを、第2のトランスポゾンを選択的に変性するために十分な温度へと加熱し、そのフラグメントの残りの二重鎖領域を無傷なままにすることによって達成され得る。伸長する工程は、dNTPおよび適切なポリメラーゼの存在下で達成され得る。あるいは、その生成する工程は、非複合体化5’タグ化標的フラグメントを単一のヌクレオチド(dNTPs)およびポリメラーゼの存在下でインキュベートすることによって、一反応において達成され得る。いくつかの実施形態において、そのインキュベートする工程は、そのアニールされた第2のトランスポゾンを変性し、その残りの二重鎖を伸長するために十分な1またはこれより多くの温度において加熱する工程を包含する。他の実施形態において、ポリメラーゼは、鎖置換ポリメラーゼであり、これは、第2のトランスポゾンを除去し、残りの二重鎖を伸長して、完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントを生成するように働く。適切なポリメラーゼとしては、KAPA HiFi、Pfu、および類似の酵素が挙げられる。適切なポリメラーゼとしては、鎖置換ポリメラーゼ(例えば、Bst、Bsu Vent、Klenow、および類似の酵素)が挙げられる。
【0113】
いくつかの局面において、その方法は、完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントを増幅する工程をさらに包含する。その増幅する工程は、任意の適切な増幅法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅法(RCA)、または多置換増幅法(multiple displacement amplification)(MDA)によって行われ得る。いくつかの実施形態において、増幅する工程は、PCRによって行われる。いくつかの実施形態において、増幅および伸長する工程は、dNTPとポリメラーゼの存在下で反応させることによって、一反応工程において行われる。
【0114】
いくつかの実施形態において、その増幅する工程は、1またはこれより多くの二次アダプター配列をその完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントに付加して、配列決定フラグメントを形成するように働く。その増幅する工程は、各末端にプライマー配列を含む完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントを、二次アダプターキャリア、単一のヌクレオチド、およびポリメラーゼとともに、その標的フラグメントを増幅しその二次アダプターキャリア(またはその相補体)を組み込むために十分な条件下でインキュベートすることによって達成され、ここでその二次アダプターキャリアは、プライマー配列に対する相補体および二次アダプター配列を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは、プライマー配列、インデックス配列、バーコード配列、精製タグ、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは、プライマー配列を含む。いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは、インデックス配列を含む。いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは、インデックス配列およびプライマー配列を含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントは、各末端において異なるプライマー配列を含む。このような実施形態において、各二次アダプターキャリアは、その2種のプライマー配列のうちの一方に対する相補体を含む。いくつかの実施形態において、2種のプライマー配列は、A14プライマー配列およびB15プライマー配列である。
【0117】
いくつかの実施形態において、複数の二次アダプターが増幅によって付加される。いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは各々、2種のプライマー配列のうちの一方を含む。いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは各々、複数のインデックス配列のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、二次アダプターキャリアは、P5プライマー配列を有する二次アダプターおよびP7プライマー配列を有する二次アダプターを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、配列決定フラグメントは、フローセル上に沈積される。いくつかの実施形態において、配列決定フラグメントは、フローセルまたは表面にグラフト化された相補的プライマーにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態において、配列決定フラグメントの配列は、アレイ配列決定法または次世代配列決定法(例えば、合成時配列決定(sequencing-by-synthesis))によって検出される。
【0119】
P5およびP7プライマーは、種々のIlluminaプラットフォームで配列決定するために、Illumina, Inc.によって販売される市販のフローセルの表面上で使用される。そのプライマー配列は、米国特許公開番号2011/0059865 A1(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)に記載される。P5およびP7プライマーの例(これは、5’末端においてアルキン末端化され得る)は、以下:
P5: AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC(配列番号1)
P7: CAAGCAGAAGACGGCATACGAG*AT(配列番号2)
およびこれらの誘導体を含む。
【0120】
いくつかの例では、P7配列は、G*位置において改変されたグアニン、例えば、8-オキソ-グアニンを含む。他の例では、上記*は、G*と隣接する3’Aとの間の結合がホスホロチオエート結合であることを示す。いくつかの例では、P5および/またはP7プライマーは、非天然のリンカーを含む。必要に応じて、P5およびP7プライマーのうちの一方または両方は、ポリTテールを含み得る。そのポリTテールは、一般に、上記で示される配列の5’末端に、例えば、5’塩基と末端アルキンユニットとの間に位置するが、いくつかの場合には、3’末端に位置し得る。そのポリT配列は、任意の数のTヌクレオチド(例えば、2~20個)を含み得る。P5およびP7プライマーが例として示される一方で、任意の適切な増幅プライマーが本明細書で示される例の中で使用され得ることは、理解されるべきである。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記方法の増幅工程は、PCRまたは等温増幅法を含む。いくつかの実施形態において、上記方法の増幅工程は、PCRを含む。
【0122】
図面の説明
図1は、トランスポソーム複合体を調製し、これを固体表面(例えば、ビーズ)に、第1のトランスポゾンの5’末端に連結した親和性エレメントを通じて付着させるための方法の例示的工程を図示する。この例において、アニールした第1のおよび第2のトランスポゾン(トランスポゾン末端配列を含むアニールされた二本鎖領域および一本鎖領域を含むオリゴヌクレオチド)の2つの集団(130aおよび130b)(ここで各集団において、第1のトランスポゾンは、2種のアダプター配列のうちの一方および5’末端における親和性エレメント(110、ここで*は、親和性エレメントを示す)(例えば、ビオチン)を含む)、例えば、2種のアダプター配列(例えば、A14およびB15のようなプライマー配列)を含む複数のビオチン化された第1のおよび第2のトランスポゾンが、生成される。示されるように、テンプレート核酸に移される二重鎖トランスポゾン配列の鎖は、第1のトランスポゾンであり、これは親和性エレメント(例えば、ビオチン)を有する。工程115において、オリゴヌクレオチドの各集団(130aおよび130b)は、トランスポザーゼモノマー(例えば、Tn5(135))と代表的には別個の反応において複合体化されて、トランスポソーム複合体(140)の2種の別個の集団を作り、各々は、異なるアダプター配列(例えば、A14およびB15のようなプライマー配列)を有する。複合体の2つの集団が形成された後、それらは、基材(この例では、ビーズ)上に固定化される(120)。いくつかの実施形態において、その2つの集団は、固定化の前に合わされ、各集団からの複合体を含む固体表面またはビーズを生じる。他の実施形態において、その2つの集団は、別個に固定化され、2種の固体表面またはビーズを生じ、各々は、2種の複合体タイプの内の一方を含む。トランスポソーム複合体形成の後、トランスポソーム140は、親和性結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)で被覆された表面145に結合される。
【0123】
図2は、本明細書で記載される5’リンカーストラテジーを使用するトランスポソームの固定化の後の、ビーズ表面上でのタグメンテーションおよびライブラリー調製プロセス200を例示する。プロセス200において示されるのは、ビーズに結合されたトランスポソーム140を有するビーズ205である。DNA210は、ビーズのサンプルに付加される。DNA210は、トランスポソーム140と接触する場合、そのDNAは、タグメンテーションされ(フラグメント化およびタグ化され)、そしてビーズ205にトランスポソーム140を介して結合される。結合しそしてタグメンテーションしたDNAは、ビーズなしアンプリコン215のプールを生成するためにPCR増幅され得る。そのPCR工程は、二次アダプター配列(例えば、プライマー配列(例えば、P5およびP7))を組み込むために使用され得る。アンプリコン215は、フローセル220の表面に、例えば、フローセル表面上の相補的プライマーにグラフト化またはハイブリダイズすることによって、移され得る。クラスター生成プロトコル(例えば、ブリッジ増幅プロトコルまたはクラスター生成のために使用され得る任意の他の増幅プロトコル)は、フローセルの表面上に複数のクラスター225を生成するために使用され得る。クラスターは、タグメンテーションされたDNAのクローン性増幅生成物である。クラスターは、ここで配列決定プロトコルにおける次の工程の準備ができる。ビーズ表面上でのタグメンテーションプロセスの例は、PCT公開番号WO2016/189331(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)に詳細に記載される。
【0124】
図3は、5’連結トランスポソーム複合体を使用する場合に生じ得る論点を図示する。工程300は、ゲノムDNA315を有するビーズ305上で固定化したトランスポソーム複合体140のタグメンテーションプロセス、続いて、非標的核酸の捕捉を含め、その後の増幅および標的富化を絵入りで図示する。タグメンテーションしたゲノムDNAの固定化したライブラリーは、310に示される。タグメンテーションしたDNAを有するストレプトアビジン被覆捕捉ビーズは、洗浄緩衝液(例えば、5% SDS、100mM Tris-HCl pH7.5、100mM NaCl、および0.1% Tween 20を含む)を使用して洗浄され得(320)、それによって、トランスポザーゼをトランスポソーム複合体から変性させる。次いで、その上清は、洗浄工程の後に、ストレプトアビジン被覆常磁性粒子(例えば、ビーズ)の磁性捕捉を介して除去され得、その固定化タグメンテーションされたライブラリーを含む捕捉ビーズは、保持され得、100mM Tris-HCl pH7.5、100mM NaCl、0.1% Tween 20を使用してさらに洗浄される。その結合したオリゴヌクレオチドは、完全な相補性を有する結合した二重鎖を形成するために、330において伸長される。
【0125】
340において、標的増幅は、サーマルサイクリングを介して進んで、そのタグメンテーションしたDNAを当業者に公知の方法によって増幅する。例えば、PCR試薬(例えば、最小限でも、PCR緩衝液、デオキシ-ヌクレオチド、二価カチオン、およびDNAポリメラーゼを含む混合物)および効率的増幅に必要とされる添加物の溶液は、ビーズ含有溶液に添加され得、その捕捉ビーズに結合したタグメンテーションDNAは、当業者に公知の方法論であるサーマルサイクリング(例えば、10回のサーマルサイクル)によって増幅され得る。350において、その増幅されたタグメンテーションDNAは、例えば、精製カラム(例えば、Zymoスピンカラム)を使用して必要に応じて精製および溶離され得る。その増幅されたタグメンテーションDNAはまた、SPRIまたはAmpure XPビーズ(Beckman Coulter)を使用して必要に応じて精製され得、精製方法は、本開示に限定されない。
【0126】
工程360において、そのタグメンテーションライブラリーは、NEXTERA Rapid Capture enrichmentプロトコル(Illumina)または任意の他の標的捕捉法に記載されるとおりのプロトコルを使用して富化され得る。ライブラリー調製の開始からのそのビオチン化ゲノムフラグメントは、増幅後混合物(370)の中に存在し、ビオチン化標的プローブ(380)と競合し得、標的富化の間に全ゲノムハイブリダイゼーションプローブとして働き得る。この段階でのこれらビオチン化ゲノムフラグメントの存在は、富化の効率を損ない得る。さらに、ビオチン化ゲノムフラグメントは、ポリメラーゼプライミングによるPCR増幅およびタグメンテーション反応において消費されなかった遊離ビオチン化アダプターの伸長の間に生成され得、それによって、さらなるオフ-ターゲット捕捉プローブを標的富化工程に付加する。
【0127】
本開示は、この問題に対するいくつかの解決策を提供する。本明細書で記載される1つのアプローチにおいて、1またはこれより多くの切断可能なリンカーは、親和性エレメントと第1のトランスポゾンのアダプター配列との間に含められる。一旦、タグメンテーションが完了し、そのタグメンテーション核酸が増幅された後、その切断可能なリンカーが切断され得、ビオチン化部分を放出し、オフターゲット捕捉を最小化または排除し得る。この改変は、オフ-ターゲット捕捉を徹底的にかつ驚くべきことに減少し、他のビーズベースのタグメンテーション方法論と比較して富化を改善する。第2に、その親和性エレメントは、第2のトランスポゾンの3’末端に移され、必要に応じて切断可能なリンカーを通じて結合される。
【0128】
図4は、切断可能なリンカーを使用して固体表面上に固定化されたトランスポソーム複合体を使用して、DNAをフラグメント化およびタグ化する方法400の工程を絵で図示する。
図4を参照すると、工程410、420、430、440、および450は、増幅後混合物(470)に存在するビオチン化ゲノムフラグメントが、切断可能なリンカー(例えば、1個またはこれより多くのウラシルを含むリンカー)を含むことを除いて、
図3に関して記載されるとおりである(それぞれ、310、320、330、340、および350)。工程460において、ビオチンは、適切な切断剤を使用してリンカーを切断することによって、ゲノムフラグメントから切断される。ウラシルの例に関しては、切断は、ウラシル切断酵素(例えば、EpicentreのUracil DNA Excision Mix)で達成される。富化工程480の間に、オフ-ターゲットゲノムフラグメントは、もはやビオチン化されていないので、ビオチン化標的プローブのようには捕捉されない(490)。このようにして、上記方法は、切断可能なリンカーなしの5’連結アプローチと比較した場合、オフ-ターゲット捕捉を減少し、標的富化の効率を増大する。
【0129】
5’末端においてビオチンのような親和性エレメントを含むアダプター配列を使用するビーズベースのタグメンテーションアプローチは、
図5Aに示される。簡潔には、アダプターオリゴヌクレオチド501および502という2タイプの5’末端の親和性エレメントは、トランスポソームの2つの集団を表面に(例えば、一方はA14アダプター配列を有し、一方はB15アダプター配列を有する)結合するために使用される。MEおよびME’は、トランスポゾン末端配列である。そのタグメンテーション事象は、標的核酸(例えば、ゲノムDNA)から5’タグ化フラグメントを作る。そのフラグメントのうちのいくつかは、示されるように、一方の鎖の5’末端においてA14を、フラグメントの他方の鎖の5’末端においてB15を含む。フラグメントは、完全二重鎖またはアンプリコン(必要に応じて二次アダプター(例えば、P5およびP7のようなプライマー配列ならびに/または最も下の図で示されるとおりのインデックス配列)を含む)を調製するために、増幅(例えば、PCR)によって、必要に応じて二次アダプターキャリアの存在下で、伸長および/または反応する。ビオチン/ストレプトアビジンが使用される場合、親和性結合は、PCRの間に壊され、溶液中にビオチン化フラグメントアンプリコンを残し、これは、その後の富化の努力を複雑にし得る。あるいは、
図5Bにおいて、親和性エレメントおよびリンカーの結合は、第2のトランスポゾン上の3’位に変更される。この場合、その親和性エレメントおよびリンカーは、相補的トランスポゾン末端配列503(ME’配列)の3’末端に結合される。この構成において、第1のトランスポゾン501および502は、親和性エレメントを含まない。このプロセスを用いると、そのタグメンテーション事象は、標識されていないフラグメント化ゲノムDNAを作る。なぜなら第1のトランスポゾン(これは親和性エレメントを欠く)は、そのフラグメントに移され、その親和性エレメントは、第1のトランスポゾンへの第2のトランスポゾンのハイブリダイゼーションに起因して接続されるに過ぎないからである。そのアダプター配列A14-ME、ME、B15-ME、ME’、A14、B15、およびMEは、以下に提供される:
A14-ME: 5′-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3′ (配列番号3)
B15-ME: 5′-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3′ (配列番号4)
ME’: 5′-phos-CTGTCTCTTATACACATCT-3’ (配列番号5)
A14: 5′-TCGTCGGCAGCGTC-3′ (配列番号6)
B15: 5′-GTCTCGTGGGCTCGG-3’ (配列番号7)
ME: AGATGTGTATAAGAGACAG (配列番号8)
【0130】
標的核酸
標的核酸は、DNA、RNA、cDNAなどを含む任意のタイプであり得る。例えば、その標的核酸は、精製された核酸を含め、種々の精製状態にあり得る。しかし、その核酸は、完全に精製する必要もまたは精製する必要も全くなく、生物学的サンプルの一部(例えば、生のサンプル溶解物、体液、血液、血漿または血清)であり得るか、またはさもなければタンパク質、他の核酸種、他の細胞構成要素、および/または任意の他の夾雑物質と混合され得る。いくつかの実施形態において、その生物学的サンプルは、適切にはインビボで見出されるものと同じ割合で存在する、核酸(例えば、DNA)、タンパク質、他の核酸種、他の細胞構成要素、および/または任意の他の夾雑物質の混合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、その構成要素は、無傷の細胞において見出されるものと同じ割合で見出される。本明細書で提供される方法は、核酸またはDNAがタグメンテーションプロセスを通じて固体支持体に結合されることを可能にすることから、他の夾雑物質は、タグメンテーションが起こった後に、その固体支持体を洗浄することによって除去され得る。その生物学的サンプルは、例えば、粗製細胞溶解物または全細胞を含み得る。例えば、本明細書で示される方法において固体支持体に適用される粗製細胞溶解物は、核酸を他の細胞構成要素から単離するために旧来から使用される分離工程のうちの1またはこれより多くに供されている必要はない。
【0131】
従って、いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、任意の供給源から精製された核酸を含み得るのみならず、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、粘液、喀痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引物、糞便、および浸軟組織(macerated tissue)、またはこれらの溶解物、または核酸もしくはDNA物質を含む任意の他の生物学的標本において見出されるとおりの非精製核酸をも含み得る。標的核酸は、組織サンプル、腫瘍サンプル、がん細胞、または生検サンプルに由来し得る。
【0132】
標的核酸は、任意の種に由来してもよいし、種の混合物に由来してもよい。例えば、標的核酸は、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、または他の家畜)、または他の種(例えば、魚類、細菌、ウイルス、真菌まあたは古細菌)に由来してもよい。核酸は、環境サンプル(例えば、土壌または水)に由来してもよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、標的核酸は、DNAである。1つのこのような実施形態において、DNAは、二本鎖である。いくつかのさらなる実施形態において、二本鎖DNAは、ゲノムDNAを含む。いくつかの他の実施形態において、標的核酸は、RNAもしくはその誘導体、またはcDNAである。
【0134】
いくつかの実施形態において、生物学的サンプル(生のサンプルまたは抽出物)は、本明細書で記載されるタグメンテーション法の前に、標的核酸を精製するために加工処理される。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、生のサンプルまたは生のサンプル溶解物(例えば、血液または唾液)である。いくつかの実施形態において、処理法は、生のサンプル、生のサンプル溶解物、または予め加工処理されたサンプル(例えば、血液または唾液サンプル)を提供する工程、そのサンプルと溶解緩衝液およびプロテイナーゼKとを混合する工程、その混合物をインキュベートして、そのサンプル中の細胞を溶解し、DNAをその細胞から放出させる工程を包含し、それによって標的核酸が本明細書に記載されるタグメンテーション法のために提供される。
【0135】
生のサンプルもしくは生のサンプル溶解物(例えば、血液)中の構成要素、または予め加工処理されたサンプル(例えば、Oragene収集チューブの中に集められた唾液)中の添加物(収集チューブの中の安定化剤)は、タグメンテーション反応を阻害し得る。従って、本明細書で提供されるのは、生のサンプル、生のサンプル溶解物、または予め加工処理されたサンプルを処理して、この問題を克服するための方法である。いくつかの実施形態において、その方法は、生のサンプル、生のサンプル溶解物、または予め加工処理されたサンプル(例えば、血液または唾液サンプル)を提供する工程、そのサンプルと溶解緩衝液、プロテイナーゼK、およびDNA精製ビーズ(例えば、SPRIビーズ、カルボキシル基を含むビーズであって、ここでそのビーズは、必要に応じて磁性ビーズである)とを混合する工程、その混合物をインキュベートして、そのサンプル中の細胞を溶解し、その細胞からDNAを放出し、それによって、そのDNAをDNA精製ビーズもしくはSPRIビーズ上に捕捉する工程、およびその捕捉されたDNAを含むビーズをその混合物から分離する工程を包含する。その分離する工程は、上清中に存在する潜在的なタグメンテーションインヒビターを除去するように働く。その方法はさらに、必要に応じてその捕捉されたDNAを含むビーズを洗浄する工程、およびそのDNAをビーズから溶離して、標的核酸を提供する工程を包含する。
【0136】
配列決定法
本明細書で提供される方法のうちのいくつかは、核酸を分析するための方法を包含する。このような方法は、標的核酸のテンプレート核酸のライブラリーを調製する工程、配列データをテンプレート核酸のライブラリーから得る工程、およびその標的核酸の配列表示をアセンブリする工程を包含する。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法は、合成時配列決定(SBS)が挙げられるが、これらに限定されない次世代配列決定作業フローにおいて使用され得る。本開示の方法によって生成される核酸ライブラリーとともに使用するのに容易に適合され得る、例示的なSBS手順、流体システム、および検出プラットフォームは、例えば、Bentleyら, Nature 456:53-59 (2008)、WO 04/018497;US 7,057,026;WO 91/06678;WO 07/123744;US 7,329,492;US 7,211,414;US 7,315,019;US 7,405,281、およびUS 2008/0108082(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0137】
いくつかのSBS実施形態は、ヌクレオチドを伸長生成物へと組み込む際に放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出プロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrentから市販される電気的検出器および関連技術(Guilford, CT, a Life Technologies subsidiary)またはUS 2009/0026082 A1;US 2009/0127589 A1;US 2010/0137143 A1;もしくはUS 2010/0282617 A1(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)に記載される分離法およびシステムを使用し得る。
【0138】
別の有用な配列決定技術は、ナノポア配列決定法(例えば、Deamerら Trends Biotechnol. 18, 147-151 (2000); Deamerら Acc. Chem. Res. 35:817-825 (2002); Liら Nat. Mater. 2:611-615(2003)(それらの開示は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと)である。本明細書で記載される方法は、使用される配列決定機器のいかなる特定のタイプにも限定されない。
【実施例0139】
以下の実施例は、本明細書で提供される開示を説明するように供するのであって、限定するものではない。
【0140】
実施例1:酵素により切断可能なヌクレオチドを有するリンカーを使用する、固体表面上でのタグメンテーション
トランスポゾンを、2セットのオリゴヌクレオチド(配列番号9~11のうちのいずれか1種(改変されたA14-ME)および配列番号12~14のうちのいずれか1種(改変されたB15-ME)として表される)をアニールすることによって形成し、それらはともに、19塩基のモザイク末端(ME)配列(配列番号8、小文字で示される)にわたって、相補的異なモザイク末端配列(ME’;配列番号5)と塩基対を形成する。配列番号9~配列番号14によって表されるオリゴヌクレオチドを、5’ビオチン化して、ストレプトアビジン被覆常磁性ビーズへのその後の表面結合を可能にした。そのアニールしたトランスポゾンを、50μMの各ビオチン化オリゴヌクレオチドと50μMのME’(配列番号5)とを、10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA、および25mM NaClの存在下で合わせることによって調製し、95℃において10分間加熱し、室温へと2時間にわたって冷却した。次いで、そのアニールしたトランスポゾンをトランスポザーゼ酵素と最終濃度2μMにおいて混合し、37℃で一晩インキュベートした。
【0141】
切断可能なヌクレオチド部分を有する切断可能なリンカー配列の例は、配列番号9~14の中に提供される。配列番号9~14として表示される配列は、19塩基のモザイク末端(ME)配列(小文字で示される)ならびにリード1およびリード2配列、A14およびB15(斜体で示される)を含む。配列番号9および配列番号12として表示される配列は、一連のチミン残基(太字)の後に3個のウラシルヌクレオチド(下線)を含む。同様に、配列番号10および配列番号13として表示される配列は、一連のチミン残基の3’側に3個のウラシルヌクレオチドを含む。配列番号11および配列番号14は、一連のチミン残基の後に1個のウラシルヌクレオチドを含む。本明細書で言及されるように、チミン残基は、切断可能なリンカーの一部であり、ビオチンを、トランスポゾンおよび/またはアダプター配列の5’側にある切断可能な部分に接続するように働く。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、1~10個の切断可能なウラシルヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、その切断可能なリンカーは、少なくとも1個の切断可能なウラシルヌクレオチドを含む。ある実施形態において、その切断可能なリンカーは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の切断可能なウラシルヌクレオチドを含む。配列番号8は、19塩基のモザイク末端(ME)配列であり、配列番号5は、その相補体である。
【化11】
【0142】
トランスポソームが一旦形成された後、そのトランスポソームを、ストレプトアビジン被覆ビーズに付着させた。次いで、そのビーズを、HT1緩衝液(Illumina)中のトランスポソームの希釈溶液で洗浄した。HT1は、ビオチン-ストレプトアビジンがビーズに結合するために必要とされる高塩を含む。ビーズおよびトランスポソームを、ミキサーで1時間にわたって混合している間にインキュベートした。混合の後に、ビーズを、15% グリセロールおよび他の緩衝化剤(例えば、Tris)を含む貯蔵緩衝液中で再懸濁した。
【0143】
次に、タグメンテーションを行った。例えば、タグメンテーション溶液を、その固定化したトランスポソームを含むサンプルに添加し、55℃において約15分間インキュベートした。そのタグメンテーション反応は、DNA(例えば、約50pg~5μgのDNA)およびタグメンテーション緩衝液を含んだ。一例において、そのタグメンテーション緩衝液は、米国特許第9,080,211号、同第9,085,801号、および同第9,115,396号(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)に記載されるように、タグメンテーション反応が起こるために必要な構成要素を含む(例えば、10mM
Trisアセテート(pH7.6)、5mM 酢酸マグネシウム、および10% ジメチルホルムアミドを含む緩衝液)。タグ化DNAフラグメントの固定化ライブラリーを生成した。
【0144】
実施例2:タグメンテーションDNAのPCR増幅および酵素による切断
タグメンテーションDNAをストレプトアビジン被覆捕捉ビーズ上に有するストレプトアビジン被覆捕捉ビーズ(実施例1に記載されるとおり)を、5% SDS、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、および0.1% Tween 20を含む洗浄緩衝液を使用して洗浄し(例えば、3回)、それによって、トランスポソーム複合体のトランスポザーゼ酵素を変性した。その上清を、ストレプトアビジン被覆常磁性粒子(例えば、ビーズ)の磁性捕捉を介する洗浄工程後に除去し、固定化したタグメンテーションライブラリーを含むビーズを保持し、さらに、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、および0.1% Tween 20を使用して洗浄した。
【0145】
DNAフラグメントのギャップ充填(ME’配列の5’末端とのフラグメントの3’末端との間のギャップを埋めること(例えば、
図5Bを参照のこと))を、例えば、NEMミックス(NEXTERA Rapid Capture Kit, Illumina)を添加し、72℃において3分間インキュベートすることによって行った。
【0146】
サーモサイクリングを介する標的増幅を行って、当業者に公知の方法によってタグメンテーションDNAを増幅した。いくつかの例では、PCR試薬の溶液(例えば、最小限でも、PCR緩衝液、デオキシヌクレオチド、二価カチオン、DNAポリメラーゼを含むマスターミックス(例えば、NEMミックス(NEXTERA Rapid Capture Kit, Illumina))および効率的増幅に必要とされる添加剤を、ビーズに添加し、そのビーズに結合したタグメンテーションDNAを、サーマルサイクリング(例えば、10回のサーマルサイクル)によって増幅した。
【0147】
その増幅したタグメンテーションDNAを含む上清を、反応チャンバから除去し、新しい反応チャンバ(例えば、チューブ、ウェルなど)に移した。その増幅したフラグメント混合物を、切断可能なリンカー中の塩基を切断する1種またはこれより多くの酵素で処理した。公知のヌクレオチド骨格を壊す酵素の数のうちのいずれか1種は、オフターゲット生成物を消化して、ゲノムへのオフターゲットハイブリダイゼーションを防止するために使用され得る。適切な酵素の例としては、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG(UNGともいわれる))、ホルムアミド-ピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)、RNAseH、Endo IV、Endo VIII、Klenow、またはアピラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
その増幅されたタグメンテーションDNAを、SPRIまたはAmpure XPビーズ(Beckman Coulter)を使用して精製した。その精製法は、本開示に限定されない。そのタグメンテーションライブラリーを、NEXTERA Rapid Capture enrichmentプロトコル(Illumina)または任意の他の標的捕捉法に記載されるプロトコルを使用して富化し得る。その富化したDNAライブラリーは、ここで配列決定の準備ができる。
【0149】
実施例3:ウラシルを含む切断可能なリンカーの酵素による切断を使用するリード富化
簡潔には、50ngのNA12878ゲノムDNA(Coriell Institute)を、試験される各条件に使用した。コントロール反応として、DNAを、タグメンテーションし、ライブラリーを調製し、製造業者の推奨に従ってNEXTERA Rapid Capture Enrichment(Illumina)プロトコル後に富化した。ウラシル含有切断可能リンカーである配列番号9および配列番号13を使用した。
【0150】
簡潔には、各50μL 反応物は、5×タグメンテーション緩衝液、50ng DNA、配列番号9および配列番号13に記載される切断可能ウラシルリンカーを有する5μLの250nMのトランスポソーム結合体化Dynal常磁性ビーズ(Life Technologies)を含んだ。反応物を、55℃において15分間インキュベートし、続いて、15μLのStop Tagment(ST)緩衝液を添加し、次いで、室温においてさらに5分間インキュベートした。サンプルを、磁石上に置き、上清を除去した。そのビーズを、50μL NEM(Illumina)中に再懸濁し、72℃において5分間インキュベートし、続いて、10℃へと冷却した。サンプルを磁石上に置き、その上清を除去し、HT2洗浄緩衝液(Illumina)中で洗浄した。
【0151】
PCR反応を、40μLのEPM、10μLの各インデックスプライマー(例えば、P5’-インデックス-A14’およびP7’-インデックス-B15’)および水を添加することによって準備した。PCR増幅を、以下のように行った:72℃、3分間;98℃、30秒間、続いて、98℃、10分間;65℃、30秒間;72℃、60秒間を10サイクル。そのPCR生成物を、5μLのUSER酵素ミックス(1 U/μl-NEB部品番号M5505L)で処理し、37℃において30分間インキュベートし、続いて、SPRIベースの(Solid Phase Reversible Immobilization)常磁性AMPure XPビーズ(Beckman Coulterカタログ番号A63880)を使用して製造業者の推奨に従ってサイズ選択した。まず、100μLのUSER処理したPCR生成物を、55μL 水および105μL 常磁性ビーズと混合した。そのサンプルを、5分間磁石から外して置き、5分間磁石上に置き、続いて、その上清を第2のサイズ選択へと除去した(250μL 上清+30μl 常磁性ビーズ)。そのビーズを、80% エタノール中で洗浄し、風乾し、25μl RSB(Illumina)中で溶離した。
【0152】
USER酵素処理し、サイズ選択したサンプルの富化を、TruSight One probe panel(Illumina)を使用してNEXTERA Rapid Capture Enrichmentキットのプロトコルに従って、製造業者の推奨(Illumina)に従って行った。そのサンプルを、HiSeq 2500で製造業者の推奨(Illumina)に従って配列決定した。
【表1】
【0153】
表1に示されるように、溶液ベースのタグメンテーションおよび富化(例えば、NEXTERA Rapid Capture)を行ったところ、70% リード富化が生じた。ウラシル含有リンカーを介して、しかし酵素による切断処理なしでビーズに付着したトランスポソームを使用したところ、その%リード富化は、45%で有意に低かった。しかし、リンカー中のウラシルが酵素処理を介して切断される場合、その富化は、67%に増大した。それによって、非固定化の、または溶液ベースの、タグメンテーション、および富化のレベルまで富化が取り戻された。
【0154】
実施例4:ウラシルリンカーの酵素による切断ありおよびなしでの6-plexおよび12-plexエキソーム富化
以下の実施例は、TruSeq Rapid Exome Kit(Illumina)と比較して、2個のチミンと3個のウラシル(2T3U)のリンカーと比較して、酵素による切断なしおよび酵素による切断ありで(2T3U+ENZ)、5個のチミン(5T)のリンカーを使用するエキソーム富化実験を示す。
【0155】
実験手順は、7.5μL トランスポソーム固定化ビーズを使用し、ギャップ充填工程を省略したことを除いて、実施例3に関して記載されるとおりであった。富化を、TruSeq Rapid Exomeキット(Illumina)を使用して行った。配列決定を、HiSeq 2500で製造業者の推奨(Illumina)に従って行った。
【表2】
【0156】
表2に示されるように、酵素による切断ありの2T3Uリンカーのみが、TruSeq
Rapid Exomeキット(Illumina)または5T残基での標準的な表面ベースのタグメンテーションを使用する溶液ベースのNEXTERAに匹敵する富化指標(enrichment metrics)を示した。
【0157】
実施例5:5’ビオチン化および3’ビオチン化アダプターオリゴヌクレオチド法の比較
ある種のビーズベースのタグメンテーションアプローチは、
図5Aに示されるとおりの5’末端においてビオチン化されているアダプター配列を使用する。簡潔には、その5’ビオチン化アダプターオリゴヌクレオチド501および502は、トランスポソームを表面に結合する。そのタグメンテーション事象は、5’ビオチン化し、フラグメント化した全ゲノムDNAを作り、それは、その後の富化工程を夾雑し得る。一実施形態において、ビオチンの結合を、
図5Bに示されるように、トランスポソームを表面に結合するために、相補鎖(第2のトランスポゾン)上の3’位に変更する。簡潔には、そのオリゴヌクレオチド501および502は、ビオチンを含まない。この例では、ビオチンを、相補鎖(ME’配列)上のトランスポゾン末端配列503に結合する。この構成において、そのタグメンテーション事象は、ビオチンなしのゲノムDNAフラグメントを作る。
【0158】
さらに別の実施形態において、リンカーは、3’オリゴヌクレオチド503とビオチンとの間にある。これは、固体表面上で起こり得る転移活性に関するいかなる立体障害をも低減するのに役立ち得る。
【0159】
以下の実施例は、配列決定ライブラリーの調製における式(I(a))のリンカー(グリセロールタイプリンカー)を有する3’ビオチン化オリゴヌクレオチドの使用を示す。コントロール反応として、DNAを、タグメンテーションし、ライブラリーを調製し、NEXTERA Rapid Capture Enrichmentプロトコルに従って、製造業者の推奨(Illumina)に従って富化した。タグメンテーションし、増幅したDNAを、エキソームパネルを使用するXgen Lockdownハイブリダイゼーション捕捉キットプロトコル(Integrated DNA Technologies, IDT)を使用して、製造業者の推奨されるプロトコルに従って富化したことを除いて、実施例3に記載される実験プロトコルに倣った。基本的には、決して最適ではない富化が全体的に観察された。なぜなら最適には及ばないブロッキングオリゴヌクレオチドを、Xgen lockdownキットで供給される推奨ユニバーサルブロッキングオリゴヌクレオチドの代用として使用したからである。しかし、その実験の焦点は、最適なブロッキングプローブを要することではなく、実験の焦点において測定可能な変化を観察することができることだけである。最適には及ばないブロッキングオリゴヌクレオチドは、その実験の焦点に影響を及ぼすとは予測されない。
【表3】
【0160】
表3に認められるように、5’ビオチンとウラシルリンカー+酵素切断は、コントロールおよび3’ビオチン(リンカーありまたはなし)と比較して、有意に低い富化を示した。5’ビオチンとウラシルリンカー+酵素切断法に伴うその低いリード富化は、酵素ミックスによる不完全な切断の結果であり得る。3’接続での実験は、溶液ベースのコントロールに匹敵するリード富化を達成することが示された。
【0161】
実施例6:小さな挿入物(150~200bp)のためのPビオチン化ビーズの調製
工程1.トランスポゾンのアニール
A14-MEおよびB15-MEを各々、ME’-リンカー-ビオチンオリゴ(以下で考察される調製物)にアニールしたところ、2種の二本鎖複合体が生じ、両方とも、トランスポザーゼによって特異的に認識されるモザイク末端(ME)および二次アダプターを付加するためにPCRにおいて使用されるA14またはB15配列を有した。そのA14-ME、B15-ME、およびME’オリゴを、200nMへと再懸濁した。96ウェルPCRプレートにおいて、以下の表4に示される調製物を、2個のウェルに添加した(1個のウェルは、A14:ME’、および1個のウェルは、B15-ME’)。そのウェルプレートを、サーマルサイクラーの中に10分間、95℃で入れ、次いで、サーマルサイクラーから出し、室温のベンチに2時間置いた。
【表4】
【0162】
工程2.トランスポソーム形成
Tn5トランスポザーゼを上記のアニールしたトランスポゾンに添加したところ、A14-ME/ME’-リンカー-ビオチンおよびB15-ME/ME’-リンカー-ビオチン複合体を含むトランスポソーム複合体を形成した。先の工程から調製したアニールしたオリゴを使用して、96ウェルPCRプレートにおいて以下の反応を設定した。A14-ME用に1個のウェルおよびB15-ME用に1個のウェルであった。各ウェルを、サーマルサイクラーの中で37℃において一晩インキュベートし、トランスポソーム複合体の2つの集団を提供した;次いで、その2個のウェルの内容物を一緒に混合した。混合工程の後、約220μLを除去し、別のウェルに添加した。約220μLの標準貯蔵緩衝液(合計440μL)を添加した。
【表5】
【0163】
工程3.ストレプトアビジンビーズ装填
ビオチン連結を含む上記で形成したトランスポソーム複合体を、ストレプトアビジンビーズに付加した。そのビーズ上の複合体の密度は、タグメンテーション生成物における挿入物サイズを制御するために調整され得る。そのストレプトアビジンビーズを、十分混合した。約200μLのストレプトアビジンビーズを、1.5mlチューブの中に入れ、チューブ磁石上に置いた。そのビーズを、1mL HT1で2回洗浄し、次いで、そのビーズを再懸濁し、洗浄の間にスピンダウンした。2回目の洗浄の後に、そのビーズを600μLのHT1で十分に再懸濁した。400μLの上記で作製したトランスポソーム複合体を、HT1入りのチューブに添加した。その混合物をロータリーミキサーで1時間混合し、磁石上に置き、その上清を除去した。その混合物を、500μLの15% 標準貯蔵緩衝液中で再懸濁した。そのビーズを、1000nM トランスポソーム複合体の存在下で装填し、その得られた1000nM 密度複合体を、溶液中400nMの濃度に希釈して貯蔵した。従って、そのストック溶液は、複合体密度1000nMを有するビーズを含み、400nM 濃度へと希釈した。この希釈工程は、ビーズ上の複合体の密度を変化させるのではなく、ストック溶液中の複合体の最終濃度のみを変化させる。
【0164】
工程4.タグメンテーション
DNAサンプルを、タグメンテーションして、ビーズ装填トランスポソームを使用することによってフラグメントを作製し、トランスポゾン配列を切断しそのDNAサンプルに添加した。96ウェルPCRプレートにおいて、5×Mgタグメンテーション緩衝液(10μL)、DNA(>50ng; 10μL)、dH2O(20μL)、およびトランスポソームビーズ(工程3におけるとおり調製;10μL)を合わせた。その混合物を十分に混合し、55℃において5分間、続いて、2分間、20℃においてインキュベートした。そのタグメンテーションプロセスを、SDSでの処理によるトランスポザーゼ酵素の不活性化によって停止した。10μLのSDSを添加し、上記の工程からの反応混合物と十分に混合した。次いで、その混合物をベンチ上で5分間、室温においてインキュベートし、磁性撹拌機上に置いた。その溶液が一旦透明になった後、その上清を除去した。
【0165】
工程5.タグメンテーションの洗浄停止
そのSDSを、ビーズから洗い流して、PCR用のサンプルを調製した。その反応混合物を、タグメンテーションを停止した後に、磁石から外し、100μLの洗浄緩衝液を添加した。そのサンプルを、20秒間、1600rpmにおいてボルテックスにかけた。次いで、それを磁性撹拌機上に再び置き、その溶液が一旦透明になった後、その上清を除去した。その洗浄工程を合計で3回反復した。その洗浄が一旦完了した後、全ての上清を除去し、そのサンプルを磁性撹拌機から外した。
【0166】
工程6.PCR
工程5からのサンプルを、A14およびB15を認識するプライマーとともにPCR増幅し、二次アダプターを添加した。そのプライマーはまた、インデックス配列および配列決定プライマー(P5およびP7)を含んだ。表6に示されるマスターミックスを、各サンプルウェルに添加した。そのビーズを、マスターミックス中で再懸濁し、表7に示されるプログラムを使用してサーモサイクラーの中に置いた。この工程は、移されない/ビオチン化された鎖を除去し、伸長し、そしてP5およびP7全てを1プロセスで導入するために増幅するように働いた。
【表6】
【表7】
【0167】
そのサンプルをサーモサイクラーから外し、磁性撹拌機上に置いた。次いで、そのサンプルのうちの45μLを、PCRプレートからMIDIプレートへと移した。77μLの水をMIDIプレートサンプルに添加し、88μLのAmpure SPRIビーズを各サンプル/水に添加した。その混合物を十分に混合し、室温において5分間インキュベートし、次いで、磁性撹拌機上に置いた。その溶液が一旦透明になった後、そのサンプルのうちの200μLを、その同じMIDIプレート上の新しいウェルに添加した。20μLのAmpure SPRIビーズを添加し、そのサンプルを十分に混合し、室温において5分間静置した。次いで、それを磁性撹拌機上に再び置いた。
【0168】
その溶液が一旦透明になった後、その上清を除去し、廃棄した。そのプレートを磁性撹拌機上に静置し、200μLの80% エタノールを、ペレットを壊さないようにして添加した。そのエタノールを、後に除去した。そのエタノール洗浄工程を、合計でさらに2回反復した。その洗浄が一旦完了した後、任意の過剰なエタノールを、その撹拌機上にプレートがある間にピペットで除去した。そのサンプルを室温において5分間乾燥させた。27μlの水を添加し、十分に混合した。そのサンプルを室温において2分間静置し、磁性撹拌機上に戻して置いた。そのサンプルのうちの25μlをきれいなプレートに移し、-20℃で貯蔵した。
【0169】
実施例7.A14-MEおよびB15-MEトランスポゾン
A14-MEおよびB15-MEトランスポゾンを、3’ビオチンを含むME’に各々アニールした。その3’ビオチンを、ME’にカップリングして、3’-(I(a))および3’-(I(c))リンカーを形成した。そのアニーリング反応物は、NaCl緩衝液を使用して、25μL容積にあった。その得られた二本鎖トランスポゾンを、トランスポザーゼと、37℃において一晩の反応で各々複合体化した。トランスポソーム複合体を形成した後、そのA14およびB15トランスポソーム複合体を等容積で一緒に混合し、ストレプトアビジンビーズ上に濃度300nMで装填し、密度300nMで結合した複合体を得た。一旦ビーズに結合した後、その(I(a))および(I(c))の300nM 密度の混合物を、濃度120nMへとさらに希釈した。従って、そのビーズは、300nM 密度をなお有するが、その複合体は、希釈溶液中に濃度120nMで存在する。その希釈工程は、ビーズ上の複合体の密度を変化させないので、ライブラリー収量には影響を及ぼすが、挿入物サイズには影響を及ぼさない。
【0170】
その得られた2タイプのビーズ連結トランスポソーム、3’-(I(a))および3’-(I(c))を、25℃において28日間および56日間貯蔵した。アレニウスの式は、これらを4ヶ月(28日間)および8ヶ月(56日間)へと加速されると推定する。その加速された時間が終了した後、その2タイプのビーズ連結トランスポソームを、上記で考察されるとおりのタグメンテーションおよびライブラリー調製工程を通じて採取して、そのトランスポソームの活性を評価した。
【0171】
そのビーズ連結トランスポソーム複合体を、マグネシウムベースの緩衝液とともにgDNAに添加し、55℃において5分間置いた。一旦完了した後、SDS緩衝液をその反応物に添加し、その混合物を室温において5分間インキュベートさせた。次いで、その混合物を磁性撹拌機上に置き、NaClおよびTris緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、PCRマスターミックスとインデックス配列を含む二次アダプターキャリアをビーズに添加し、十分に再懸濁した。次いで、そのサンプルをPCR増幅して、さらなるアンプリコンを作った。PCRの後、SPRIクリーンアップを行って、過剰なキャリアを除去した。そのサンプルを、BioAnalyzer上で泳動して、活性(ライブラリー調製法の収量)を測定した。
図6Aに示されるように、式(I(a))および(3’-(I(a));グリセロールリンカー)および式(I(c))(3’-(I(c));ヘキシルリンカー)という3’-ビオチン化リンカーを有するトランスポソーム複合体を使用するストレプトアビジンビーズベースの固相タグメンテーションからのライブラリー収量を、比較した。リンカー3’-(I(c))は、顕著なライブラリー収量を提供した。リンカー3’-(I(a))は、低い収量を提供したが、なお配列決定可能な収量であった。図の中のLSCラインは、任意の下限仕様限界であった。
【0172】
図6Bは、4ヶ月間の時間効果(25℃において28日間の加速貯蔵条件)後の3’-(I(a))リンカーを有するトランスポソーム複合体を使用するストレプトアビジンビーズベースの固相タグメンテーションから調製したサンプルライブラリーの加速安定性データを、4℃において28日間のその同じリンカーの時間効果に供していないコントロールから調製したサンプルライブラリーと比較して、図示する。
図6Cは、4ヶ月間および8ヶ月間の時間効果(25℃において28日間および56日間の加速貯蔵条件)後の3’-(I(c))リンカーを有するトランスポソーム複合体から調製したサンプルライブラリーの加速貯蔵データを、それぞれ、4℃において28日間および56日間のその同じリンカーの時間効果に供していないコントロールから調製したサンプルライブラリーと比較して、示す。
【0173】
実施例8.A14-MEおよびB15-MEトランスポゾン
A14-MEおよびB15-MEトランスポゾンを、3’ビオチンを含むME’に各々アニールした。その3’ビオチンを、3’-(I(c))リンカーを通じてME’にカップリングした。そのアニーリング反応物は、NaCl緩衝液を使用して、25μL容積にあった。その得られた二本鎖トランスポゾンを、トランスポザーゼに、37℃において一晩の反応で各々結合させた。トランスポソームを形成した後、そのA14およびB15トランスポソーム複合体を等容積で一緒に混合し、ストレプトアビジンビーズ上に種々の密度(10nM~800nM)で装填した。
【0174】
種々の密度のビーズ連結トランスポソームを、マグネシウムベースの緩衝液とともにgDNAに添加し、55℃において5分間置いた。一旦完了した後、SDS緩衝液をその反応物に添加し、室温において5分間インキュベートした。次いで、その混合物を磁性撹拌機上に置き、NaClおよびTris緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、PCRマスターミックスとインデックス配列を含む二次アダプターキャリアをビーズに添加し、十分に再懸濁した。次いで、PCR反応をサンプル上で実施して、そのフラグメントを増幅した。PCRの後、SPRIサイズ選択を種々のSPRI比で行ったところ、異なる挿入物サイズを生じた。そのサンプルを、BA上およびHiSeq 2500 Rapid Outputで泳動して、活性を測定した。
【0175】
図7Aは、ストレプトアビジンビーズベースの固相ライブラリー調製を使用するビーズ密度の関数としてDNA分子の標的挿入物サイズを示す。ここでそのビーズは、3’-(I(c))を通じてそのビーズに結合した固定化トランスポソーム複合体を含む。
図7Bは、活性亢進Tn5トランスポザーゼおよび3’-(I(c))リンカーを含む固定化トランスポソーム複合体を有するストレプトアビジンビーズを、複合体密度100nMで使用するSPRI条件の関数としてDNA分子の標的挿入物サイズを示す;そして
図7Cは、活性亢進Tn5トランスポザーゼおよび3’-(I(c))リンカーを含む固定化トランスポソーム複合体を有するストレプトアビジンビーズを、複合体密度600nMで使用するSPRI条件の関数としてDNA分子の標的挿入物サイズを示す。
【0176】
実施例9.血液および唾液の一体化抽出プロトコル
新鮮な全血を、Flex Lysis Reagentキット(Illumina,カタログ番号20015884)を使用して加工処理した。新鮮な全血をEDTA収集チューブへと集め、加工処理する前に4℃において貯蔵した。溶解マスターミックスを、各サンプルに関して以下の容積を混合することによって調製した:7μlのBlood Lysis Buffer、2μlのプロテイナーゼK、および31μlのヌクレアーゼ非含有水。各サンプルに関して、10μlの血液、40μlの溶解マスターミックス、および20μlのSPRIビーズを、96ウェルPCRプレートの1ウェルに添加し、その溶液を10回ピペッティングすることによって混合した。そのプレートをシールし、10分間、56℃において加熱したふた付きのサーマルサイクラーでインキュベートした。次いで、そのプレートを、板状の磁石の上に5分間置き、その上清を廃棄し、150μlの80% エタノールを添加した。30秒間磁石上でインキュベートした後、そのエタノールを廃棄し、そのプレートを磁石から外した。そのビーズを30μlの水の中で再懸濁すると、ライブラリー調製の準備ができた。
【0177】
唾液を、Oragene DNA Saliva Collectionチューブ(DNA Genotek,カタログ番号OGR-500、OGD-510)の中に集め、それらを、少なくとも1時間、50℃においてインキュベートして、その細胞を溶解し、その後、ボルテックスにかけることによって徹底的に混合した。各サンプルに関して、20μlの水および30μlの唾液を、96ウェルPCRプレートの1ウェルに添加し、ピペッティングすることによってゆっくりと混合した。次いで、20μlのSPRIビーズをそのサンプルウェルに添加し、その溶液を10回ピペッティングすることによって、そのビーズを徹底的に混合した。そのプレートを、5分間、室温においてインキュベートし、その後、板状の磁石の上に5分間置いた。その上清を除去し、150μlの80% エタノールを、そのビーズペレットに添加した。次いで、そのプレートを、磁石上に30秒間静置させ、その後、エタノールを除去し、次いで、プレートを磁石から外した。そのビーズを30μlの水の中に再懸濁したところ、ライブラリー調製の準備ができた。
【0178】
多くの実施形態が記載されてきた。にも拘わらず、種々の改変が行われ得ることは、理解される。よって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
例えば、本願発明は以下を提供する。
(項目1)
(i)トランスポザーゼ、
(ii)以下:
(a)第1のトランスポゾン末端配列を含む3’部分;および
(b)該第1のトランスポゾン末端配列の5’末端において第1のアダプター配列
を含む第1のトランスポゾン;
(iii)該第1のトランスポゾン末端配列の少なくとも一部に相補的な第2のトランスポゾン末端配列を含む第2のトランスポゾン;ならびに
(iv)該第1のまたは第2のトランスポゾンに結合され、親和性エレメントを含む、リンカー、
を含む、トランスポソーム複合体。
(項目2)
前記リンカーは、前記第2のトランスポゾンの3’末端において前記第2のトランスポゾンに結合される、項目1に記載の複合体。
(項目3)
前記リンカーの第2の末端は、前記親和性エレメントに結合される、項目2に記載の複合体。
(項目4)
前記リンカーおよび親和性エレメントは、式(I)の構造:
【化12】
を有し、ここで:
AEは、該親和性エレメントであり;
Yは、C
2-6アルキレンであり;
X
1は、O、NR
1、またはSであり;
ここでR
1は、HまたはC
1-10アルキルであり;
nは、1~6の整数であり;
X
2は、O、CH
2、またはSであり;
R
aは、Hまたは-OHであり;そして
Zは、R
aがHであるときに非存在であるか、またはR
aがHもしくはOHであるときにCH
2であり;
ここで
【化13】
は、該第2のトランスポゾンへの接続点のマークである、
項目3に記載の複合体。
(項目5)
式(I)中のホスフェート基は、前記第2のトランスポゾンの末端ヌクレオチドの3’ヒドロキシルに接続される、項目4に記載の複合体。
(項目6)
AEは、必要に応じて置換されたビオチンもしくはアミノ基を含むか、または必要に応じて置換されたビオチンもしくはアミノ基である、項目4または5に記載の複合体。
(項目7)
AEは、ビオチンである、項目6に記載の複合体。
(項目8)
Yは、C
2-6アルキレン、C
2-5アルキレン、C
2-4アルキレン、またはC
2-3アルキレンである、項目4~7のいずれか1項に記載の複合体。
(項目9)
Yは、エチレン、プロピレン、またはブチレンである、項目8に記載の複合体。
(項目10)
X
1は、NR
1であり、そしてここでR
1は、HまたはC
1-10アルキルである、項目4~9のいずれか1項に記載の複合体。
(項目11)
R
1は、Hである、項目10に記載の複合体。
(項目12)
nは、1または2である、項目4~11のいずれか1項に記載の複合体。
(項目13)
X
2は、CH
2である、項目4~12のいずれか1項に記載の複合体。
(項目14)
X
2は、Oである、項目4~12のいずれか1項に記載の複合体。
(項目15)
R
aは、Hであり、Zは、非存在である、項目4~14のいずれか1項に記載の複合体。
(項目16)
R
aは、Hであり、Zは、CH
2である、項目4~14のいずれか1項に記載の複合体。
(項目17)
R
aは、-OHであり、Zは、CH
2である、項目4~14のいずれか1項に記載の複合体。
(項目18)
前記リンカーおよび親和性エレメントは、式(I’)の構造:
【化14】
を有し、ここでZは、非存在であるか、またはCH
2である、項目4に記載の複合体。
(項目19)
前記リンカーおよび親和性エレメントは、式(Ia)の構造:
【化15】
を有する、項目4に記載の複合体。
(項目20)
前記リンカーおよび親和性エレメントは、式(Ib)または(Ic)の構造:
【化16】
を有し、ここで
nは、1または2であり;
X
2は、OまたはCH
2であり;そして
Zは、非存在であるか、またはCH
2である、
項目4に記載の複合体。
(項目21)
前記リンカーおよび親和性エレメントは、以下からなる群:
【化17】
【化18】
より選択される構造を有する、項目4に記載の複合体。
(項目22)
前記トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼである、項目1~21のいずれか1項に記載の複合体。
(項目23)
前記Tn5トランスポザーゼは、野生型Tn5トランスポザーゼもしくは活性亢進Tn5トランスポザーゼ、またはその変異体であり、ここで該トランスポザーゼは、精製タグに必要に応じて結合体化される、項目22に記載の複合体。
(項目24)
前記第1のトランスポゾン末端配列および前記第2のトランスポゾン末端配列は、MEおよびME’である、項目22または23に記載の複合体。
(項目25)
前記第1のアダプター配列は、プライマー配列を含む、項目1~24のいずれか1項に記載の複合体。
(項目26)
前記第1のアダプター配列は、A14またはB15を含む、項目25に記載の複合体。
(項目27)
前記第1のアダプターは、第1のプライマー配列を含む、項目25に記載の第1の複合体、ならびに該第1のアダプターは、第2のプライマー配列を含む、項目25に記載の第2の複合体。
(項目28)
前記第1のプライマー配列は、A14を含み、前記第2のプライマー配列は、B15を含む、項目27に記載の複合体。
(項目29)
第1のトランスポゾンおよび第2のトランスポゾンを含む改変されたオリゴヌクレオチドであって、ここで該第1のトランスポゾンは、(a)第1のトランスポゾン末端配列を含む3’部分、および(b)該第1のトランスポゾン末端配列の5’末端において第1のアダプター配列を含み、該第2のトランスポゾンは、該第1のトランスポゾン末端配列の少なくとも一部に相補的でありかつこれにアニールされる第2のトランスポゾン末端配列を含み、そしてここでリンカーの第1の末端は、該第2のトランスポゾンの3’末端に結合され、該リンカーの第2の末端は、親和性エレメントに結合される、改変されたオリゴヌクレオチド。
(項目30)
前記リンカーおよび親和性エレメントは、項目1~28のいずれか1項に記載されるとおり、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(I(a))、(I(b))、または(I(c))の構造を有する、項目29に記載の改変されたオリゴヌクレオチド。
(項目31)
前記親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに結合され、それによって、前記複合体は、該固体支持体に結合される、項目1~28のいずれか1項に記載の複合体。
(項目32)
前記親和性エレメントは、ビオチンであり、前記親和性結合パートナーは、ストレプトアビジンである、項目31に記載の複合体。
(項目33)
前記固体支持体は、ビーズまたは常磁性ビーズである、項目31または32に記載の複合体。
(項目34)
タグ化核酸フラグメントのライブラリーを二本鎖標的核酸から生成するための方法であって、該方法は、該標的核酸を、項目31~33のいずれか1項に記載の結合した複合体とともに、該標的核酸を複数の標的フラグメントへとフラグメント化し、そして前記第1のトランスポゾンの3’末端を該標的フラグメントの5’末端に繋ぐために十分な条件下でインキュベートして、複数の5’タグ化標的フラグメントを生成する工程を包含する方法。
(項目35)
前記5’タグ化標的フラグメントのうちの1またはこれより多くを増幅する工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記増幅する工程は、完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントを生成および/または増幅することを包含する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記増幅することは、各末端にプライマー配列を含む少なくとも1つの完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントを、二次アダプターキャリア、単一のヌクレオチド、およびポリメラーゼとともに、該標的フラグメントを増幅し、該二次アダプターキャリアを組み込むために十分な条件下でインキュベートする工程であって、ここで該二次アダプターキャリアは、該プライマー配列に対する相補体および二次アダプター配列を含む工程を包含し、それによって、配列決定フラグメントのライブラリーを生成する、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
前記二次アダプターキャリアは、プライマー配列、インデックス配列、バーコード配列、精製タグ、またはこれらの組み合わせを含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記二次アダプターキャリアは、インデックス配列およびプライマー配列を含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記完全二重鎖化した5’タグ化標的フラグメントは、各末端において異なるプライマー配列を含み、必要に応じて、ここで該異なるプライマー配列は、A14およびB15である、項目36~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記二次アダプターキャリアは各々、2種のプライマー配列のうちの一方および複数のインデックス配列のうちの1種を含み、必要に応じてここで該2種のプライマー配列は、P5プライマー配列およびP7プライマー配列である、項目38~40のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
前記フラグメントは、フローセルまたは固体支持体にグラフト化された相補的プライマーにハイブリダイズされる、項目34~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記5’タグ化標的フラグメントまたはその増幅生成物のうちの1またはこれより多くを配列決定する工程さらに包含する、項目34~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
固体支持体に結合したトランスポソーム複合体を調製するための方法であって、該方法は、トランスポザーゼを、項目29または30に記載の改変されたオリゴヌクレオチドで、トランスポソーム複合体において該トランスポザーゼおよび改変されたオリゴヌクレオチドを結合するために十分な条件下で処理する工程を包含する方法。
(項目45)
前記トランスポソーム複合体を、親和性結合パートナーを含む固体支持体とともに、前記親和性エレメントが該親和性結合パートナーと結合するために十分な条件下でインキュベートする工程をさらに包含する、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記リンカーは、切断可能なリンカーである、項目1に記載のトランスポソーム複合体。
(項目47)
前記切断可能なリンカーは、前記第1のアダプター配列の5’末端に結合される、項目46に記載のトランスポソーム複合体。
(項目48)
前記リンカーは、前記第1のトランスポゾンの5’末端に結合され、該リンカーは、切断可能なリンカーである、項目1に記載のトランスポソーム複合体。
(項目49)
前記親和性エレメントは、固体支持体上の親和性結合パートナーに結合される、項目48に記載の複合体。
(項目50)
前記固体支持体は、チューブ、プレートのウェル、スライド、ビーズ、またはフローセルであり、必要に応じて、ここで該固体支持体は、常磁性ビーズである、項目49に記載の複合体。
(項目51)
前記親和性エレメントは、ビオチンであり、前記親和性結合パートナーは、ストレプトアビジンである、項目49または50に記載の複合体。
(項目52)
前記アダプター配列は、ユニバーサル配列、プライマー配列または配列決定関連配列からなる群より選択される1またはこれより多くの配列を含む、項目49~51のいずれか1項に記載の複合体。
(項目53)
配列決定用のサンプルを調製するための方法であって、該方法は、
項目49~52のいずれか1項に記載の複合体を提供する工程;
核酸を、該複合体にタグメンテーションに適した条件下で適用する工程であって、それによって、該標的核酸のフラグメントを前記固体支持体に固定化する工程;
該固定化されたタグメンテーションした核酸を増幅する工程;
前記切断可能な部分を切断する工程;および
標的化した増幅核酸に関して富化する工程であって、それによって配列決定用のサンプルを調製する工程、
を包含する方法。
(項目54)
前記切断可能なリンカーは、光切断可能なまたは酵素により切断可能なヌクレオチドを含み、必要に応じて、ここで該切断可能なヌクレオチドは、ウラシル、ウリジン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、チミジン-ダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジンまたは5-メチルシチジンであり、必要に応じて、ここで該切断可能なヌクレオチドは、ウラシルである、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記切断は、酵素で達成され、該酵素は、(a)グリコシラーゼであって、必要に応じて、ここで該グリコシラーゼは、ウラシルDNAグリコシラーゼ、MUG、SMUG、TDG、もしくはMBD4からなる群より選択され、必要に応じて、ここで該グリコシラーゼは、ウラシルDNAグリコシラーゼである、グリコシラーゼであるか、または(b)脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼであって、必要に応じて、ここで該APエンドヌクレアーゼは、Endo VIII、Endo IVまたはEndo Vからなる群より選択され、必要に応じて、ここで該APエンドヌクレアーゼは、Endo VIIIであるAPエンドヌクレアーゼである、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記固体支持体は、ビーズを含み、必要に応じて、ここで該ビーズは、常磁性ビーズである、項目53~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目57)
前記核酸は、(a)DNAであって、必要に応じて、ここで該DNAは、二本鎖であり、必要に応じて、ここで該二本鎖DNAは、ゲノムDNAであり、必要に応じて、ここで該ゲノムDNAは、単一の細胞、組織、腫瘍、血液、血漿、尿もしくは無細胞核酸を含む群から選択されるDNAであるか、あるいは(b)RNAもしくはその誘導体またはcDNAである、項目53~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
前記増幅工程は、PCRもしくは等温増幅法のうちの1またはこれより多くを含むか、または該増幅工程は、PCRである、項目53~57のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
トランスポゾン配列は、ユニバーサル配列、プライマー配列または配列決定関連配列を含む群から選択される1またはこれより多くのアダプター配列をさらに含む、項目53~58のいずれか1項に記載の方法。