(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133733
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】応力集中低減機能を有する支持構造体を有する非空気式タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B60C7/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113968
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2022578656の分割
【原出願日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】63/045,339
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リマイ、ベンジャミン イー.
(72)【発明者】
【氏名】プロトナー、ブラッドレー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ブランドン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ラスク、ティモシー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハイデット、アンドゥ ヴイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非空気式タイヤ及び非空気式タイヤの作製方法を提供する。
【解決手段】支持構造体200は、下部リング110と上部リング120との間に延在する。支持構造体は、第1の面及び第1の面に対向する第2の面と、第1の軸方向縁部及び第2の軸方向縁部とを含む。第1及び第2の軸方向縁部は、第1の面を第2の面から離間させる。第1の縁部及び第2の縁部のうちの少なくとも1つは、支持構造体に非矩形断面を提供する幾何学的形状を有してもよい。第1の面及び第2の面のうちの少なくとも1つは、25ミクロン未満の表面粗さを有してもよい。支持構造体は、直交軸方向縁部を有さなくてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気式タイヤであって、
第1の直径を有する下部リングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングであって、前記下部リングと実質的に同軸である、上部リングと、
前記下部リングと前記上部リングとの間に延在する複数のスポークであって、前記複数のスポークの各々が、
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、
第1の軸方向縁部及び第2の軸方向縁部であって、前記第1の面を前記第2の面から離間させる、第1の軸方向縁部及び第2の軸方向縁部と、を含む、複数のスポークと、
を備え、
前記第1の軸方向縁部及び前記第2の軸方向縁部のうちの少なくとも1つが、前記スポークに非矩形断面を提供する幾何学的形状を有し、
前記複数のスポークの各々ごとに前記非空気式タイヤの周方向のスポーク厚さが前記スポークの長さに沿って変化する、非空気式タイヤ。
【請求項2】
前記幾何学的形状が、前記第1の面と前記第2の面との間にわたる連続的な曲面である、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項3】
前記第1の軸方向縁部及び前記第2の軸方向縁部の各々が直線部分を含む、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項4】
前記幾何学的形状が、前記1の軸方向縁部の前記直線部分と前記第1の面との間、または、前記第2の軸方向縁部の前記直線部分と前記第2の面との間に延びる曲面を含む、請求項3に記載の非空気式タイヤ。
【請求項5】
前記複数のスポークの各々が前記下部リングと前記上部リングとの間に、前記非空気式タイヤの前記周方向のスポーク厚さが低減された中間点を有し、前記中間点から前記下部リングと前記上部リングとの各々に向けて前記スポーク厚さが徐々に増加するようにテーパ状に形成された、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤに関する。より詳細には、本開示は、応力集中低減機能を有する支持構造体を有する非空気式タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが非膨張状態又は膨張不足状態で走行することを可能にする様々なタイヤの構造が開発されている。非空気式タイヤは膨張を必要としないが、「ランフラットタイヤ」は、パンクし、加圧空気が完全に又は部分的に失われた後に、長期間、比較的高速で動作し続けることができる。非空気式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、又は下部リングを上部リングに接続する他の支持構造体を含み得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、非空気式タイヤは、第1の直径を有する下部リングと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングと、を含む。上部リングは、下部リングと実質的に同軸である。複数のスポークは、下部リングと上部リングとの間に延在している。複数のスポークの各々は、第1の面及び第1の面に対向する第2の面と、第1の軸方向縁部及び第2の軸方向縁部とを含む。第1及び第2の軸方向縁部は、第1の面を第2の面から離間させる。第1の縁部及び第2の縁部のうちの少なくとも1つは、スポークに非矩形断面を提供する幾何学的形状を有する。
【0004】
別の実施形態では、非空気式タイヤを作製する方法は、第1の直径を有する下部リングを提供することと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングを提供することと、上部リングを下部リングと実質的に同軸になるように配置することとを含む。方法は、非矩形断面を有する複数のスポークを形成することを更に含む。複数のスポークの各々は、第1の面及び第1の面に対向する第2の面と、第1の軸方向縁部及び第2の軸方向縁部とを含む。第1及び第2の軸方向縁部は、第1の面を第2の面から離間させる。第1の縁部及び第2の縁部のうちの少なくとも1つは、スポークに非矩形断面を提供する幾何学的形状を有する。方法は、複数のスポークを使用して下部リングと下部リングとを互いに取り付けることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面では、以下の詳細な説明と共に、特許請求される本発明の例示的実施形態を説明する構造が例解される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素は、多数の構成要素に置き換えられ得、多数の構成要素として示されている要素は、単一の構成要素に置き換えられ得ることが理解されるべきである。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が例解のために誇張されている場合がある。
【
図1】非空気式タイヤの一実施形態の正面図である。
【
図2】
図1の非空気式タイヤの拡大部分正面図である。
【
図3】
図2の3-3に沿った非空気式タイヤの図である。
【
図4】
図2の非空気式タイヤのスポークの4-4断面図である。
【
図5A】非空気式タイヤ用のスポークの代替実施形態の断面図である。
【
図5A-1】代替的なスポークの実施形態を示す非空気式タイヤの正面図である。
【
図5B】非空気式タイヤ用のスポークの代替実施形態の断面図である。
【
図5B-1】代替的なスポークの実施形態を示す非空気式タイヤの正面図である。
【
図5C】非空気式タイヤ用のスポークの代替実施形態の断面図である。
【
図5C-1】ウェビングを利用する非空気式タイヤの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下は、本明細書において採用される選択用語の定義を含む。定義は、用語の範囲内にあり、及び実装のために使用され得る構成要素の様々な例又は形式を含む。例は、限定的であることを意図しない。用語の単数形及び複数形は、いずれも定義の範囲内であり得る。
【0007】
「軸方向の」及び「軸方向に」は、タイヤの回転軸と平行する方向を指す。
【0008】
「周方向の」及び「周方向に」は、軸方向に対して垂直であるトレッドの表面の外周部に沿って延在する方向を指す。
【0009】
「径方向の」及び「径方向に」は、タイヤの回転軸に対して垂直である方向を指す。
【0010】
本明細書で使用するとき、「トレッド」は、通常の膨張度及び通常の荷重において、道路又は地面と接触するタイヤの部分を指す。
【0011】
以下の説明で使用される同様の用語によって一般的なタイヤ構成要素が説明されるが、当然のことながら、用語は若干異なる含意を有するため、当業者は、以下の用語のうちのいずれか1つが、一般的なタイヤ構成要素の説明に使用される別の用語と単に交換することができるとは見なさないであろうことを理解されたい。
【0012】
本明細書では、方向は、タイヤの回転軸を基準にして述べられる。「上向きの」及び「上向きに」という用語は、タイヤのトレッドに向かう一般方向を指し、「下向きの」及び「下向きに」は、タイヤの回転軸に向かう一般方向を指す。したがって、「上部の」及び「下部の」又は「頂部の」及び「底部の」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、「上部の」又は「頂部の」要素は、「下部」又は「底部」の要素よりもトレッドに近い位置に離間配置される。加えて、「上」又は「下」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、別の要素の「上」にある要素は、他の要素よりもトレッドに近い。
【0013】
「内側の」及び「内側に」という用語は、タイヤの赤道面に向かう一般方向を指し、「外側の」及び「外側に」は、タイヤの赤道面から離れ、タイヤの側部に向かう一般方向を指す。したがって、「内部」及び「外部」など相対的な方向用語が要素と関連して使用されるとき、「内部」要素は、「外部」要素よりもタイヤの赤道面の近くに離間配置される。
【0014】
図1及び
図2は、非空気式タイヤ100の一実施形態の正面図である。非空気式タイヤ100は、第1の直径を有する下部リング110と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リング120とを含む。上部リング120は、下部リング110と実質的に同軸である。図示の実施形態では、下部リング110は、ハブ130に取り付けられるように示されている。
【0015】
周方向トレッド140は、上部リング120の周りに配置されている。トレッド140は、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、スタッド、及び他の要素などのトレッド要素を含んでもよい。剪断バンド若しくは他の剪断要素又は補強構造(図示せず)が、上部リング120とトレッド140との間に配置されてもよい。代替的な実施形態では、別々のトレッドが省略されてもよく、代わりに、トレッド要素が上部リングに直接形成されてもよい。
【0016】
図示の実施形態では、複数のスポーク200は、下部リング110と上部リング120との間に延在している。この実施形態では、複数のスポーク200の各々の設計は実質的に同一である。したがって、複数のスポーク200の更なる説明は、単一のスポークを参照して行われる。しかしながら、代替的な実施形態では、複数のスポークは、異なる設計を有するスポークを含んでもよい。
【0017】
図3及び
図4を参照すると、スポーク200は、非空気式タイヤ100のほぼ径方向に沿って第1の端部205と第2の端部210との間に延在してスポーク長さLを画定する。第1の端部205は下部リング110に取り付けられている。第2の端部210は上部リング120に取り付けられている。スポーク端部205、210が下部リング110及び上部リング120に取り付けられ得る方法の非限定的な例としては、接着剤、成形、又は機械的締結具が挙げられる。代替的に、スポーク200、並びに下部リング110及び上部リング120のうちの少なくとも1つは、単一の一体構造であってもよい。
【0018】
図示の実施形態では、第1の端部205及び第2の端部210は、それぞれ、下部リング110及び上部リング120に直接取り付けられている。代替的な実施形態では、第1の端部205又は第2の端部210は、それぞれ、下部リング110及び上部リング120に間接的に取り付けられていてもよい。例えば、第1の端部205及び/又は第2の端部210は、ダンパ、スペーサ、又は任意の所望の構造によって、それぞれの下部リング110及び外部120リングに取り付けられていてもよい。
【0019】
スポーク200はまた、非空気式タイヤ100のほぼ軸方向に沿って第1の縁部215と第2の縁部220との間に延在し、スポーク幅Wを画定する。図示の実施形態では、スポーク幅Wは、下部リング110及び上部リング120の両方の幅よりも小さく、下部リング110の幅は上部リング120の幅に等しい。代替的な実施形態では、スポークの幅は、下部リング又は上部リングの幅よりも大きくてもよく、等しくてもよく、又は小さくてもよい。別の代替的な実施形態では、下部リングの幅は、上部リングの幅よりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。
【0020】
図示の実施形態では、スポーク幅Wは、スポーク長さLに沿って一定である。代替的な実施形態では、スポーク200の幅Wは、スポーク長さLに沿って変化してもよい。このような可変幅は、スポーク200に所望の性能特性を提供することができる。例えば、スポーク200は、第1の端部205と第2の端部210との間の中間点から始まり、第1及び第2の端部205、210におけるスポーク幅Wが中間点におけるスポーク幅よりも大きくなるように、外側に向かってテーパ状になっていてもよい。この例によれば、中間点は、幅低減部分を画定する。このテーパ状の構成は、
図3に点線を用いて想像線で示されている。中間点の低減された幅は、中間点でのスポーク200の曲がり/撓みを促進することができ、これは、特定の用途において望ましい特性であり得る。代替的な実施形態では、幅低減部分は、スポーク200の長さLに沿った任意の所望の点に配置されてもよい。別の代替的な実施形態では、スポーク200は、複数の幅低減部分を有してもよい。
【0021】
スポーク200は、
図4に最もよく示されているように、第1の面230及び第2の面235を含む。図示の実施形態では、第1の面230及び第2の面235の各々は、軸方向に直線状に延在し、非空気式タイヤ100の軸方向と実質的に平行に延在する。代替的な実施形態では、第1の面又は第2の面は、軸方向に非直線的に延在してもよい。別の代替的な実施形態では、第1の面又は第2の面は、非空気式タイヤの軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0022】
第1及び第2の縁部215、220は、第1の面230を第2の面235から離間させる。スポーク200は、非空気式タイヤ100の周方向に沿って第1の面230と第2の面235との間に延在して、スポーク厚さTを画定する。図示の実施形態では、スポーク厚さTはスポーク長さLに沿って一定である。一例では、スポーク厚さTは0.050~0.062インチの間である。しかしながら、スポークは任意の所望の厚さを有してもよい。
【0023】
代替的な実施形態では、スポーク200の厚さTは、スポーク長さLに沿って変化してもよい。このような可変厚さは、スポーク200に所望の性能特性を提供することができる。例えば、スポーク200は、第1の端部205と第2の端部210との間の中間点から始まり、第1及び第2の端部205、210におけるスポーク厚さTが中間点におけるスポーク厚さよりも大きくなるように、外側に向かってテーパ状になっていてもよい。この例によれば、中間点は、厚さ低減部分を画定する。このテーパ状の構成は、
図2においてスポークの1つに点線を用いて想像線で示されている。中間点の相対的に低減された厚さは、中間点でのスポーク200の曲がり/撓みを促進することができ、これは特定の用途において望ましい特性であり得る。代替的な実施形態では、厚さ低減部分は、スポーク200の長さLに沿った任意の所望の点に配置されてもよい。別の代替的な実施形態では、スポーク200は、複数の厚さ低減部分を有してもよい。
【0024】
図示の実施形態では、スポーク200の第1の縁部215及び第2の縁部220は、スポーク200に非矩形断面を与える幾何学的形状を有する。これらの実施形態の各々において、縁部はテーパ状になっていると説明されてもよい。
図4は、縁部が丸みを帯びている一例を示す。言い換えると、第1の縁部215a及び第2の縁部220aのそれぞれの幾何学的形状は、半円断面を有する連続的な曲面である。連続的な曲面の曲率半径は、スポークの厚さの半分(すなわち、0.5T)であってもよい。しかしながら、連続的な曲面の曲率半径は、任意の所望の値であってもよい。
【0025】
直交する軸方向縁部を有する矩形断面を有する既知のスポークは、スポークの破損をもたらす可能性がある亀裂に成長する可能性がある表面欠陥(例えば、引っ掻き傷、溝、切れ目)に敏感であり得る。
図4に示されるスポーク200の第1及び第2の縁部215a、220aの連続的な曲面の幾何学的形状は、直交軸方向縁部を排除し、非矩形断面を有するスポーク200を提供する。この構成は、そのような軽微な欠陥に対するスポーク200の感度を低下させ、スポーク200の疲労寿命を向上させ、それによって、既知のスポーク設計よりもスポーク200の堅牢性を高めることができる。
【0026】
図5A~
図5Cは、利用され得る代替的な縁部の幾何学的形状を示す。これらの実施形態は単に例示的なものであり、矩形断面よりも複雑な追加の幾何学的形状を採用してもよいことを理解されたい。
図5Aに示される実施形態では、第1の縁部215b及び第2の縁部220bの幾何学的形状は、半楕円形の断面を有する連続的な曲面である。別の代替的な実施形態では、第1又は第2の縁部215、220の幾何学的形状は、複数の半径によって画定される連続的な曲面であってもよい。更に別の代替実施形態では、第1又は第2の縁部215、220は、任意の所望の断面を有する連続的な曲面であってもよい。更に別の代替的な実施形態では、第1及び第2の縁部215、220のうちの1つのみの幾何学的形状は、連続的な曲面として提供されてもよい。
【0027】
図5B及び
図5Cに示されるように、第1及び第2の縁部215、220の幾何学的形状は、連続的な曲面ではなく、それぞれの直線部分255、260を含んでもよい。この場合、
図5Bに示すように、第1の縁部215c及び第2の縁部220cの幾何学的形状は、直線部分255、260と面230、235との間に曲面を含む。言い換えると、第1及び第2の縁部215c、220cは、丸みを帯びた角部を有する。別の例では、
図5Cに示すように、第1の縁部215d及び第2の縁部220dの幾何学的形状は、直線部分255、260と面230、235との間に直線的な表面を含む。言い換えると、第1及び第2の縁部215d、220dは面取りされた角部を有する。
【0028】
前述の例の各々において、第1の縁部及び第2の縁部215、220の幾何学的形状は、既知のスポーク設計の直交軸方向縁部を排除する。使用される特定の幾何学的形状にかかわらず、直交軸方向縁部のないスポークを提供することにより、疲労寿命が向上し、表面欠陥に対するスポークの感度が低下し、したがってスポークの堅牢性が向上する。
【0029】
第1の縁部又は第2の縁部215、220の幾何学的形状は、前述の連続的な曲面を含む、前述の幾何学的形状のうちのいずれか1つの任意の所望の組合せであってもよい。第1及び第2の縁部215、220の幾何学的形状は、任意の所望の製造プロセスを使用して形成されてもよい。第1及び第2の縁部214、220の幾何学的形状を形成するために使用され得る製造プロセスの非限定的な例としては、圧延、ショットピーニング、ハイドロフォーミング、フローフォーミング、又はロールフォーミングが挙げられる。
【0030】
一例によれば、第1の縁部又は第2の縁部215、220の幾何学的形状は、レーザ切断、スカイビング、又は任意の他の所望の切断プロセスを使用して縁部を最初に形成することによって提供されてもよい。次いで、切断された縁部は、所望の滑らかさを有する丸みを帯びた縁部を提供するために、圧延プロセス、ショットピーニングプロセス、又はその両方でその後処理されてもよい。代替的な実施形態では、第1の縁部又は第2の縁部は、事前に縁部を形成することなく、圧延プロセス、ショットピーニングプロセス、又はその両方で処理されてもよい。
【0031】
スポーク200の堅牢性を更に向上させるために、スポーク200の面230、235又は縁部215、220に特定の表面粗さを設けてもよい。一例では、スポーク200の平均表面粗さは、25ミクロン未満、好ましくは1.6ミクロン未満、理想的には0.8ミクロン未満である。これらの特定の粗さ値は、非空気式タイヤ100の径方向に沿って、また非空気式タイヤ100の軸方向に沿ってスポーク200の表面粗さを測定するときに考慮される。別の実施形態では、非空気式タイヤ100の軸方向Aではなく、非空気式タイヤ100の径方向に沿ってスポーク200の表面粗さを測定するときに、特定の粗さ値が考慮される。例えば、そのような一実施形態では、表面は、軸方向に比較的平滑であり、径方向に比較的粗くてもよい。単一方向に表面を平滑化することにより、より時間消費が少なく、よりコストがかからない場合がある。更に別の実施形態では、非空気式タイヤ100の径方向ではなく、非空気式タイヤ100の軸方向に沿ってスポーク200の表面粗さを測定するときに、特定の粗さ値が考慮される。
【0032】
特定の表面粗さは、任意の所望の製造プロセスを用いてスポーク200に付与されてもよい。特定の表面粗さを付与するために使用され得る製造プロセスの例としては、ショットピーニング、レーザショックピーニング、低塑性バニシング、機械加工、研削、研磨、又はラッピングが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、表面粗さは、等方性エッチングプロセスによって、又は化学処理によって提供されてもよい。25ミクロン未満の表面粗さを有するスポーク200を提供するために前述のプロセスのいずれかを使用することにより、スポークを通して伝播しスポークの破損をもたらす可能性があるスポーク上の表面欠陥が排除されるか、又は少なくとも実質的に低減される。25ミクロン未満の特定の表面粗さは、スポーク200の疲労寿命を向上させる。したがって、25ミクロン未満の表面粗さを提供することにより、スポーク200の堅牢性を改善することができる。1.6ミクロン未満、又は0.8ミクロン未満の粗さを提供することにより、これらの利点を更に高めることができる。
【0033】
図1に示される例示的な一実施形態では、スポーク200は、実質的にU字形である。
図6Aに示される別の例示的実施形態では、スポーク200は、実質的にV字形である。U字形スポークと比較して、V字形スポークは、下部リング110と上部リング120との間により顕著な点を有する。
図6Bに示す更に別の例示的な実施形態では、スポーク200は、2つ以上の屈曲部を有する蛇行形状である。他の例示的な実施形態では、スポーク200は、任意の所望の形状(例えば、直線スポーク)であってもよい。スポーク200の形状は、所望の性能特性を提供するように選択されてもよい。
【0034】
スポーク200は、任意の所望の材料から製造されてもよい。例えば、スポーク200は、4140、4340、1080、1075、又は1095などの高強度鋼から製造されてもよい。別の例として、スポーク200は、炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維で強化されたものなどの強化ポリマー/プラスチックから製造されてもよい。スポーク200は、材料の単一のストリップから製造されてもよく、又は後に一緒に固定される材料の複数のストリップとして形成されてもよい。スポーク200には、スポークの性能特性を向上させ、物理的保護、耐食性、又は振動減衰を提供するためのコーティングが設けられてもよい。
【0035】
図1~
図6は、スポークを有する非空気式タイヤの実施形態を示すが、スポークの代わりに他の支持構造体を使用してもよいことを理解されたい。例えば、
図7は、下部リング110、上部リング120、及び上部リングと下部リングとの間に延在するウェビング300を有する非空気式タイヤ100の一実施形態を示す。スポークの代わりにウェビングを使用すること以外は、
図7の非空気式タイヤは、それ以外は、
図1~6に関して上述した非空気式タイヤ100と実質的に同じである。言い換えれば、ウェビング300は、上述の縁部幾何学的形状のいずれかを有してもよい。同様に、ウェビング300は、上述のスポーク材料のいずれかから構成されてもよい。
【0036】
図7に示されるウェビング300の幾何学的形状は、単なる例示である。ウェビングは、任意の幾何学的形状を有してもよいことを理解されたい。他の代替実施形態(図示せず)では、スポーク又はウェビング以外の支持構造体が採用されてもよい。
【0037】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲まで、「含む(comprising)」という用語が特許請求項で移行句として採用される際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が採用される範囲において(例えば、A又はBなど)、「A、又はB、又はAとBとの両方とも」を意味することが意図されている。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が採用されるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、「と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0038】
本出願をその実施形態の記述によって例解し、またその実施形態をかなり詳細に説明てきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形式でも限定することは、出願人らの本意ではない。追加の利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、図示及び説明される、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例解的な実施例に限定されない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような詳細からの逸脱がなされ得る。