(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133744
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】浴室暖房乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/10 20060101AFI20240926BHJP
F24D 15/00 20220101ALI20240926BHJP
F26B 9/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
D06F58/10 A
F24D15/00 B
F26B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043685
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】呉 成浩
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真弘
(72)【発明者】
【氏名】土田 晃宏
【テーマコード(参考)】
3B168
3L072
3L113
【Fターム(参考)】
3B168AA24
3B168AB23
3B168AB29
3B168AB30
3B168AB32
3B168AC12
3B168AE04
3B168AE07
3B168BA43
3B168BA45
3B168BA55
3B168BA59
3B168BA70
3B168JM01
3B168JM02
3B168JM03
3L072AF01
3L072AG01
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC16
3L113AC67
3L113AC78
3L113BA14
3L113DA10
(57)【要約】
【課題】浴室内の空気を加熱する加熱手段に供給される温水の温度が異なっても、好適に浴室内の衣類の乾燥を行うことができる浴室暖房乾燥機を提供する。
【解決手段】換気ファンモータ16は、浴室1内の空気を排出する。循環ファンモータ13は、浴室1内の空気を循環する。熱交換器12は、温水を用いて浴室1内の空気を加熱する。温水温度センサ28は、熱交換器12に供給される温水の温度Tkを検出する。浴室内湿度センサ24は、浴室内相対湿度Hrを検出する。電装基板19は、脱衣室リモコン22による衣類乾燥運転の開始の指示に基づいて衣類乾燥運転を行っている期間中に、温水温度センサ28により検出された温水の温度Tkと、浴室内湿度センサ24により検出された浴室内相対湿度Hrとに基づいて、換気ファンモータ16、循環ファンモータ13、熱交換器12の少なくともいずれかを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が衣類乾燥運転の開始を指示するための操作手段と、
浴室内の空気を排出する換気送風手段と、
前記浴室内の空気を循環する循環送風手段と、
温水を用いて前記浴室内の空気を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段に供給される前記温水の温度を検出する温水温度検出手段と、
前記浴室内の相対湿度を検出する浴室内湿度検出手段と、
前記操作手段による前記衣類乾燥運転の開始の指示に基づいて前記衣類乾燥運転を行っている期間中に、前記温水温度検出手段により検出された前記温水の温度と、前記浴室内湿度検出手段により検出された前記浴室内の相対湿度とに基づいて、前記換気送風手段、前記循環送風手段及び前記加熱手段のうち少なくともいずれかを制御する制御手段と、を備える浴室暖房乾燥機。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記衣類乾燥運転を行っている期間中において、前記循環送風手段を運転すると共に、
前記温水温度検出手段により検出された前記温水の前記温度が所定温度より大きいか、又は、前記浴室内湿度検出手段により検出された前記浴室内の前記相対湿度が所定湿度より大きい場合に、前記換気送風手段を運転し、
前記温水温度検出手段により検出された前記温水の前記温度が前記所定温度以下であり、前記浴室内湿度検出手段により検出された前記浴室内の前記相対湿度が前記所定湿度以下である場合に、前記換気送風手段を非運転とするように制御する請求項1記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項3】
前記浴室内の温度を検出する浴室内温度検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記衣類乾燥運転を行っている期間中、所定時間毎に、前記浴室内温度検出手段により検出された前記浴室内の温度と、前記浴室内湿度検出手段により検出された前記浴室内の前記相対湿度と、前記温水温度検出手段により検出された前記温水の温度とに基づいて、衣類乾燥率を推定し、前記衣類乾燥率に基づいて前記換気送風手段、前記循環送風手段及び前記加熱手段のうち少なくともいずれかを制御する請求項1記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記衣類乾燥率が所定目標値以上となったと判断した場合に、前記衣類乾燥運転を停止するように制御する請求項3記載の浴室暖房乾燥機。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記衣類乾燥率が所定目標値以上となったと判断した場合に、予め定められた時間で延長運転をした後、前記衣類乾燥運転を停止するように制御する請求項3記載の浴室暖房乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に一般家庭における浴室の暖房、換気、及び、浴室内又は浴室に干した洗濯物の乾燥に使用される浴室暖房乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内に干した衣類の乾燥状態を推定して適切に自動乾燥運転を行う浴室暖房乾燥機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の浴室暖房乾燥機は、例えば、浴室内の空気を本体内に取り込み、取り込んだ空気を熱交換器によって加熱して温風とする。この温風が循環ファンモータによって浴室に送風される。浴室暖房乾燥機は、このようにして浴室内の空気を循環させることで、浴室内の温度を上げて相対湿度を下げる。また、浴室暖房乾燥機は、浴室内より取り込んだ空気の一部を換気ファンモータにより外部へ排出する。これにより、浴室暖房乾燥機は、浴室の換気を行うことでも、浴室内の湿度を下げている。
【0004】
さて、この従来の浴室暖房乾燥機では、熱交換器の熱源として温水が用いられている。この温水を熱交換器に供給する熱源機として、従来はガスボイラー(ガス給湯器)が想定されており、従来の浴室暖房乾燥機は、約80℃の温水が熱交換器へ供給されることを前提として構成されている。
【0005】
一方、温水を生成可能な熱源機として、種々のものが考えられ得る。例えば、エコキュート(登録商標)として知られる自然冷媒ヒートポンプ給湯器や、エネファーム(登録商標)として知られる家庭用燃料電池コジェネレーションシステム等がある。
【0006】
家庭用燃料電池コジェネレーションシステムでは、発電時に発生する熱を利用して給湯に利用する温水を生成するが、給湯ユニットのタンクが温水で満杯となると発電を停止しなければならないため、温水を捨てる必要があった。浴室暖房乾燥機は、この捨てる必要のあった温水を熱交換機に利用すれば、家庭用燃料電池コジェネレーションシステムのエネルギー効率を高めることにもつなげることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、自然冷媒ヒートポンプ給湯器から供給可能な温水の温度は、約60℃~65℃であり、家庭用燃料電池コジェネレーションシステムから供給可能な温水の温度は、約40℃~45℃である。即ち、使用する熱源機の種別によって、熱交換器に供給される温水の温度が大きく異なる。
【0009】
従来の浴室暖房乾燥機は、例えば温度の低い温水が熱交換器に供給されると、浴室へ送風される温風の温度も低くなるため、衣類乾燥完了まで時間が長くなるといった課題があった。また、従来の浴室暖房乾燥機は、熱交換器に供給される温水の温度を考慮せずに衣類乾燥完了の判定を行っているため、その温水の温度によって、その判定にばらつきが生じる課題があった。
【0010】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、浴室内の空気を加熱する加熱手段に供給される温水の温度が異なっても、好適に浴室内の衣類の乾燥を行うことができる浴室暖房乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本開示のある態様の浴室暖房乾燥機は、操作手段と、換気送風手段と、循環送風手段と、加熱手段と、温水温度検出手段と、浴室内湿度検出手段と、制御手段と、を備える。操作手段は、使用者が衣類乾燥運転の開始を指示するためのものである。換気送風手段は、浴室内の空気を排出する。循環送風手段は、浴室内の空気を循環する。加熱手段は、温水を用いて浴室内の空気を加熱する。温水温度検出手段は、加熱手段に供給される温水の温度を検出する。浴室内湿度検出手段は、浴室内の相対湿度を検出する。制御手段は、操作手段による衣類乾燥運転の開始の指示に基づいて衣類乾燥運転を行っている期間中に、温水温度検出手段により検出された温水の温度と、浴室内湿度検出手段により検出された浴室内の相対湿度とに基づいて、換気送風手段、循環送風手段及び加熱手段のうち少なくともいずれかを制御する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の浴室暖房乾燥機によれば、浴室内の空気を加熱する加熱手段に供給される温水の温度が異なっても、好適に浴室内の衣類の乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室暖房乾燥機を浴室に設置した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同浴室暖房乾燥機の側断面を示す構成図である。
【
図3】
図3は、同浴室暖房乾燥機を衣類乾燥運転させる場合に、電装基板が実行する処理の一部を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同浴室暖房乾燥機を衣類乾燥運転させる場合に、電装基板が実行する処理の
図3からの続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0015】
まず、本発明の一実施形態に係る浴室暖房乾燥機100の概略構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室暖房乾燥機100を浴室1に設置した状態を示す斜視図である。
図2は、浴室暖房乾燥機100の側断面を示す構成図である。
【0016】
浴室暖房乾燥機100は、浴室1の天井面4から天井裏空間7に埋め込まれて設置され、浴室1の暖房、換気、及び浴室1内又は浴室1に干した衣類26の乾燥に使用される。
【0017】
図1に示す通り、浴室1は、浴槽2と、その浴槽2と壁などで分断されていない空間である洗い場空間3とを備えており、浴室1の天井面4には、点検口5及び開口部6が設けられている。そして、
図2に示す浴室1の天井裏空間7に、浴室暖房乾燥機100を形成する本体8が設けられ、浴室暖房乾燥機100は、開口部6を介して浴室1に連通してい
る。
【0018】
なお、
図1に示す通り、点検口5は洗い場空間3の直上、開口部6は浴槽2の直上に位置している。また、
図2に示す通り、浴室1には、浴室暖房乾燥機100の直下に物干しバー25が設置され、物干しバー25に乾燥対象となる衣類26が設置可能である。
【0019】
また、
図1及び
図2に示す通り、浴室1と壁を隔てて隣接する脱衣室21には、浴室暖房乾燥機100を脱衣室21内から操作し運転状態を表示する脱衣室リモコン22が設けられている。この脱衣室リモコン22が、本発明の操作手段に該当する。
【0020】
脱衣室リモコン22は、浴室暖房乾燥機100に設けられた後述の電装基板19と接続されており、使用者は、脱衣室リモコン22を操作することにより、浴室暖房乾燥機100に対して運転内容を指示できる。例えば、使用者が脱衣室リモコン22を操作して、浴室暖房乾燥機100に対して衣類乾燥運転の開始を指示する。浴室暖房乾燥機100は、この指示に基づき、浴室1内に干された衣類26を乾燥する衣類乾燥運転を開始する。
【0021】
また、脱衣室リモコン22は、電装基板19より浴室暖房乾燥機100の運転状態を示す情報を受信することで、その情報に基づいて浴室暖房乾燥機100の運転状態を表示する。
【0022】
図2に示す通り、浴室暖房乾燥機100には、本体8の天井面4側を覆うパネル9が、浴室1の天井面4と接するようにして設置されている。パネル9は、吸込口10と吹出口11とを有している。吸込口10は、浴室1の空気を本体8の内部に取り込む口である。吹出口11は、本体8の内部から浴室1へ空気を吹き出す口である。
【0023】
吹出口11は、風向板15が設けられる。風向板15は、吹出口11から吹き出される空気の風向を変化させるものである。風向板15には、モータ、好ましくはステッピングモータが接続されており、このモータを駆動することによって、風向板15の向きを変化させる。よって、吹出口11から吹き出される空気は、浴室1の任意の方向へ送風することができる。
【0024】
浴室暖房乾燥機100の本体8の内部には、熱交換器12と、循環ファンモータ13と、換気ファンモータ16と、ダンパ18とが少なくとも設けられている。また、本体8は、電装基板19と、浴室内温度センサ23と、浴室内湿度センサ24と、温水温度センサ28とを有している。
【0025】
熱交換器12は、吸込口10の近傍に設置され、吸込口10より本体8の内部に取り込まれた浴室1の空気を、熱源として温水を用いて加熱する。この熱交換器12が、本発明の加熱手段に相当する。
【0026】
熱交換器12にて使用される温水は、
図1に示す通り、浴室暖房乾燥機100とは別に設けられた熱源機30により生成される。熱源機30は、水を加熱して温水を生成するもので、例えば屋外に設けられる。
【0027】
熱源機30により生成された温水は、温水供給用配管31を介して熱交換器12に供給される。熱交換器12は、供給された温水と、浴室1より取り込まれた空気との間で熱交換を行い、浴室1より取り込まれた空気を加熱する。
【0028】
熱交換器12によって熱が奪われ冷却された水は、排水用配管32を介して熱源機30に戻され、熱源機30により再び加熱されて、熱交換器12で用いられる温水として、繰
り返し利用される。
【0029】
なお、温水供給用配管31の途中に温水供給バルブが設けられてもよい。浴室暖房乾燥機100は、浴室1より取り込まれた空気を加熱したい場合に、温水供給バルブを開放することで、熱交換器12に温水を供給して、熱交換器12における熱交換が行われるように、熱交換器12を制御してもよい。また、浴室暖房乾燥機100は、温水供給バルブの開度を調整することで熱交換器12に供給される温水の流量を調整し、熱交換器12によって熱交換される熱量を制御してもよい。
【0030】
また、浴室暖房乾燥機100は、浴室1より取り込まれた空気の加熱を停止したい場合に、温水供給バルブを閉止することで、熱交換器12への温水の供給を停止して、熱交換器12における熱交換を停止するように制御してもよい。
【0031】
ここで、熱源機30は、例えば、ガスボイラー(ガス給湯器)、自然冷媒ヒートポンプ給湯器、家庭用燃料電池コジェネレーションシステム等の種々のものが使用可能である。ガスボイラーは、ガスを燃焼させたときに生じる熱で水を加熱し、温水を生成するもので、約80℃の温水を供給可能である。
【0032】
自然冷媒ヒートポンプ給湯器は、冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプによって水を加熱して温水を生成するもので、約60℃~65℃の温水を供給可能である。家庭用燃料電池コジェネレーションシステムは、都市ガスやLPガス(液化石油ガス)から水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることによって発電すると共に、発電によって生じる熱を利用して水を加熱し、温水を生成するものである。家庭用燃料電池コジェネレーションシステムは、約40℃~45℃の温水を供給可能である。
【0033】
このように、熱交換器12に供給可能な温水の温度Tkは、使用する熱源機30の種類によって異なる。浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の空気を加熱する熱交換器12に供給される温水の温度Tkが異なっても、好適に浴室内の衣類26の乾燥を行うことができるように構成される。
【0034】
例えば、浴室暖房乾燥機100は、熱交換器12に供給される温水の温度Tkに基づいて制御を行う。温水温度センサ28は、
図2に示す通り、温水供給用配管31の下流側(熱交換器12との接続箇所近傍)に設置され、熱交換器12に供給される温水の温度Tkを検出する。温水温度センサ28にて検出された温水の温度Tkを示す情報は、電装基板19に入力される。この温水温度センサ28が、本発明の温水温度検出手段に該当する。
【0035】
循環ファンモータ13は、本体8内部を循環する空気の流れに対して、熱交換器12よりも下流側に設置される。循環ファンモータ13のファンは、例えばシロッコファンを用い、循環ファンモータ13のモータはDCモータを用いている。
【0036】
循環ファンモータ13が運転されることにより、吸込口10より本体8の内部に浴室1の空気が取り込まれる。この取り込まれた空気は、熱交換器12により加熱されて温風となる。その温風が、循環ファンモータ13の運転によって吹出口11までを繋ぐ通風路14を通って吹出口11に到達し、吹出口11から浴室1へ吹き出される。
【0037】
このように、循環ファンモータ13は、その運転によって浴室1内の空気を循環する。循環ファンモータ13が、本発明の循環送風手段に該当する。浴室暖房乾燥機100は、循環ファンモータ13を運転して浴室1内の空気を循環させながら、その循環する空気を熱交換器12により加熱することで、浴室1内の温度である浴室内温度Trを上昇させることができる。
【0038】
換気ファンモータ16は、浴室1より本体8の内部に取り込まれた空気を屋外へ排出するもので、換気部17に設けられている。この換気ファンモータ16が、本発明の換気送風手段に該当する。
【0039】
換気部17は、浴室暖房乾燥機100を構成する一要素であり、本体8の点検口5側の外部にねじ止めされて設けられている。換気部17と本体8とは、開口を介して連通している。また、換気部17は、屋外に設けられた外壁口(図示せず)とダクトを介して連通する排気口33を有している。
【0040】
換気ファンモータ16が運転されると、吸込口10より本体8の内部に浴室1の空気が取り込まれる。この取り込まれた空気は、本体8と換気部17とを連通する開口を介して換気部17に到達する。そして、換気部17に到達した空気は、換気ファンモータ16によって、排気口33から排気され、ダクトを介して外壁口より屋外に排出される。このようにして、換気ファンモータ16は、浴室1内の空気を屋外に排出することで、浴室1の換気を行う。
【0041】
ダンパ18は、本体8と換気部17とを連通する開口に設けられ、その開口形状又は開口面積を調節する。浴室暖房乾燥機100は、ダンパ18により、本体8と換気部17とを連通する開口の開口形状又は開口面積を調整することで、浴室1から排出される空気の量を変更できる。
【0042】
なお、ダンパ18は、必ずしも設けられなくてもよい。また、浴室暖房乾燥機100は、本体8内部に換気ファンモータ16を有するものであってもよく、また、外部に設けられた換気装置と浴室暖房乾燥機100とを、ダクト配管を介して連通する構成であってもよい。
【0043】
浴室内温度センサ23は、浴室1内の温度である浴室内温度Trを検出するセンサであり、本発明の浴室内温度検出手段に該当する。浴室内湿度センサ24は、浴室1内の相対湿度である浴室内相対湿度Hrを検出するセンサであり、本発明の浴室内湿度検出手段に該当する。浴室内温度センサ23により検出される浴室内温度Trを示す情報及び浴室内湿度センサ24により検出される浴室内相対湿度Hrを示す情報は、電装基板19に入力される。
【0044】
なお、浴室暖房乾燥機100は、浴室内温度センサ23及び浴室内湿度センサ24に代えて、1つのセンサで浴室内温度Trと浴室内相対湿度Hrとを検出する浴室内温湿度センサを用いてもよい。この場合、この浴室内温湿度センサが、本発明の浴室内温度検出手段に該当し且つ浴室内湿度検出手段に該当する。
【0045】
電装基板19は、浴室暖房乾燥機100の動作を制御するもので、本発明の制御手段に該当する。電装基板19は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートにより構成される。
【0046】
CPUは、演算処理装置であり、プログラムに従って各種演算や処理を実行する。ROMは、CPUにより実行されるプログラムや、そのプログラムによって参照されるパラメータ等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMは、プログラムで使用されるデータを一時的に格納する揮発性のメモリである。
【0047】
入出力ポートは、電装基板19に入力される情報を受信し、また、電装基板19から各
種要素へ制御信号を出力するための回路である。例えば、入出力ポートは、脱衣室リモコン22より、使用者から指示された運転内容を受信する。また、入出力ポートは、温水温度センサ28より熱交換器12へ供給される温水の温度Tkを示す情報を受信し、浴室内温度センサ23より浴室内温度Trを示す情報を受信し、浴室内湿度センサ24より浴室内相対湿度Hrを示す情報を受信する。
【0048】
また、入出力ポートは、脱衣室リモコン22に対して運転状態を示す情報を出力し、また、熱交換器12、循環ファンモータ13及び換気ファンモータ16のそれぞれに対して、制御信号を出力する。
【0049】
電装基板19は、使用者から指示された運転内容、熱交換器12へ供給される温水の温度Tk、浴室内温度Tr及び浴室内相対湿度Hrと、ROMに記憶されたプログラム及びパラメータとに基づいて、浴室暖房乾燥機100の制御を行う。また、電装基板19は、少なくとも熱交換器12、循環ファンモータ13及び換気ファンモータ16を制御し、また、脱衣室リモコン22に対して運転状態を示す情報を出力する。
【0050】
例えば、電装基板19は、脱衣室リモコン22より衣類乾燥運転開始指示を受信すると、
図3及び
図4を参照して後述する衣類乾燥運転を実行するための処理を実行する。電装基板19は、その処理を実行することにより、熱交換器12へ供給される温水の温度Tk、浴室内温度Tr及び浴室内相対湿度Hrに基づいて、熱交換器12、循環ファンモータ13及び換気ファンモータ16等を制御する。
【0051】
電装基板19は、また、タイマー20を備えている。タイマー20は、経過時間を計測するものである。電装基板19は、タイマー20を用いて、衣類乾燥運転において衣類乾燥率DF(
図4参照)を測定する時間間隔である測定間隔taを計測する。また、電装基板19は、タイマー20を用いて、衣類乾燥運転において最後に実行される延長運転(
図4参照)を開始してからの経過時間を計測する。
【0052】
なお、本実施形態において、浴室暖房乾燥機100の本体8に浴室1をサウナ空間とすることができる加湿手段を設けてもよい。
【0053】
次いで、以上説明した通りに構成された浴室暖房乾燥機100が衣類乾燥運転する場合の動作について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、浴室暖房乾燥機100を衣類乾燥運転させる場合に、電装基板19が実行する処理の一部を示すフローチャートであり、
図4は、その処理の
図3からの続きを示すフローチャートである。
【0054】
電装基板19は、脱衣室リモコン22より衣類乾燥運転の開始の指示を受信すると、
図3及び
図4に示す処理を開始する。その処理が開始されると、電装基板19は、まず、循環ファンモータ13と、換気ファンモータ16とをオンし、それらを運転する(S1)。また、電装基板19は、S1の処理において、換気ファンモータ16を運転することに伴い、ダンパ18を所定の開口形状又は開口面積となるように制御する。
【0055】
また、S1の処理では、熱交換器12に温水を供給する温水供給用配管31に、温水供給バルブが設けられている場合は、温水供給バルブの開放も行う。
【0056】
循環ファンモータ13及び換気ファンモータ16を運転することにより、浴室暖房乾燥機100は、吸込口10より浴室1内の空気を吸い込み、本体8の内部に取り込む。このとき、本体8の内部に取り込まれた浴室1内の空気は、熱交換器12によって温水との間で熱交換が行われ、加熱される。加熱された空気は、循環ファンモータ13の運転により、通風路14を介して吹出口11まで到達し、吹出口11から温風として浴室1へ吹き出
される。
【0057】
このように、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の空気を熱交換器12にて加熱しながら循環させることで、浴室内温度Trを上昇させることができる。
【0058】
また、浴室暖房乾燥機100は、換気ファンモータ16の運転により、本体8の内部に取り込まれた空気の一部を、ダンパ18により形成された開口、換気部17及び排気口33を介して、屋外に排出する。これにより、浴室1内の空気が換気されるので、浴室暖房乾燥機100は、高湿度状態にある浴室1内の湿度を下げることができる。
【0059】
また、浴室1内の空気を換気することで、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内が熱交換器12による加熱によって過剰に高温となることを抑制できる。これにより、浴室1内が過剰に高温となって、浴室1内に干された衣類26が傷んだり、浴室1に入室した使用者に不快感を与えたりすることを抑制できる。
【0060】
次いで、電装基板19は、浴室内温度センサ23により検出された浴室内温度Trと、浴室内湿度センサ24により検出された浴室内相対湿度Hrと、温水温度センサ28により検出された熱交換器12へ供給される温水の温度Tkとを読み込む(S2)。
【0061】
電装基板19は、S2の処理において、読み込んだ浴室内温度Tr、浴室内相対湿度Hr、熱交換器12へ供給される温水の温度Tkに基づいて、循環ファンモータ13、換気ファンモータ16及び熱交換器12のうち少なくともいずれか1つを制御する。
【0062】
例えば、電装基板19は、循環ファンモータ13による浴室1内の空気の循環風量を制御することで、浴室内温度Trが目標の温度となるように制御してもよい。
【0063】
また、電装基板19は、換気ファンモータ16による浴室1内の空気の排気風量を制御して、浴室1内の空気の換気量を制御することで、浴室内温度Trが目標の温度となり、及び/又は、浴室内相対湿度Hrが目標の湿度となるように制御してもよい。この場合、電装基板19は、ダンパ18の開口形状若しくは開口面積を制御することで、浴室1内の空気の換気量を制御することも可能である。
【0064】
また、電装基板19は、熱交換器12へ供給される温水の温度Tkに基づいて、熱交換器12に供給される温水の流量を制御することで、熱交換器12により熱交換される熱量を制御してもよい。
【0065】
電装基板19は、S2の処理に次いで、タイマー20を参照し、衣類乾燥率DF(
図4参照)を測定する時間間隔である測定間隔ta(例えば、1分間程度)が経過しているかを判断する(S3)。この測定間隔taが、本発明の所定時間に該当する。S3の判断の結果、測定間隔taが経過していないと判断される間は(S3:No)、読込時間間隔(例えば、1秒間程度)毎にS2の処理を実行し、浴室内温度Tr、浴室内相対湿度Hr、熱交換器12へ供給される温水の温度Tkの読み込みを繰り返す。
【0066】
一方、電装基板19は、S3の判断の結果、測定間隔taが経過したと判断すると(S3:Yes)、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが、所定温度T1よりも大きいかを判断する(S4)。ここで、所定温度T1は、47℃~77℃の範囲内で設定される一の温度であり、好ましくは67℃~77℃の範囲内で設定される一の温度であり、より好ましくは70℃付近で設定される一の温度である。
【0067】
S4の判断の結果、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが、所定温度T1以下で
あると判断される場合(S4:No)、熱交換器12に対して温度の低い温水が供給されていることを意味する。そこで、電装基板19は、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1以下かを判断する(S5)。ここで、所定湿度H1は、20%~60%の範囲内で設定される一の湿度であり、好ましくは40%~60%の範囲内で設定される一の湿度であり、より好ましくは50%付近で設定される一の湿度である。
【0068】
S5の判断の結果、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1よりも大きいと判断される場合(S5:No)、電装基板19は、循環ファンモータ13のみならず換気ファンモータ16をもオンする(S6)。これにより、循環ファンモータ13と換気ファンモータ16とが運転されるので、浴室1内の空気の加熱と、浴室1の換気とが実行される。
【0069】
一方、S5の判断の結果、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1以下であると判断される場合(S5:Yes)、電装基板19は、循環ファンモータ13のみをオンし、換気ファンモータ16をオフする(S8)。これにより、循環ファンモータ13は運転される一方、換気ファンモータ16は非運転とされ、浴室1内の空気の加熱が継続されつつ、浴室1の換気が停止される。
【0070】
電装基板19がS6及びS7の処理を実行するのは、上記の通り、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが低い場合である。例えば、熱交換器12へ温水を供給する熱源機30として、自然冷媒ヒートポンプ給湯器や家庭用燃料電池コジェネレーションシステムが用いられる場合に、比較的低い温度の温水が熱交換器12へ供給されることとなる。この場合、熱交換器12において熱交換される熱量も少なくなるため、吹出口11から吹き出される空気の温度は、熱源機30にガスボイラーを用いる場合と比較して低いものとなり、浴室内温度Trが上がりにくい。
【0071】
そこで、熱交換器12へ供給される温水の温度Tkが所定温度T1よりも低い場合、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1以上であれば、電装基板19は、浴室1内の湿度を下げることを目的に、換気ファンモータ16をオンし、浴室1を換気する。浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の湿度が下がることで、浴室1内に干された衣類26の乾燥を進めることができる。
【0072】
一方、熱交換器12へ供給される温水の温度Tkが所定温度T1よりも低い場合、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1よりも低くなると、電装基板19は、換気ファンモータ16をオフして浴室1の換気を停止し、浴室1内の熱量が排出されることを抑制する。これにより、熱交換器12に低い温度の温水が供給される場合であっても、浴室内温度Trを短時間で上昇させることができる。よって、浴室暖房乾燥機100は、浴室1の換気を継続する場合と比べ、浴室1内に干された衣類26の乾燥に係る時間を短縮できる。
【0073】
なお、S5の判断処理は、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1未満かを判断するものであってもよい。この場合、電装基板19は、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1以上であると判断するとS6の処理を実行し、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1未満であると判断するとS7の処理を実行する。
【0074】
S6又はS7の処理の後、電装基板19は、
図4に示すS8の処理へ移行する。また、電装基板19は、S4の判断の結果、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが、所定温度T1よりも大きいと判断される場合も(S4:Yes)、
図4に示すS8の処理へ移行する。
【0075】
熱交換器12へ温水を供給する熱源機30としてガスボイラーを使用した場合、その温水の温度Tkは約80℃と高いものになる。熱交換器12に供給される温水の温度Tkが
所定温度T1よりも大きい場合は、S4:Yesの分岐を進むことにより、S1の処理の設定がそのまま継続され、循環ファンモータ13及び換気ファンモータ16がいずれも運転され続ける。
【0076】
この場合、浴室暖房乾燥機100は、熱交換器12にて浴室1内の空気に対して多くの熱量が投入されるため、吹出口11より高温の温風が吹き出されることになる。しかしながら、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の換気を継続して行うので、湿度の高い空気の屋外への排出と共に、浴室内温度Trが上がり過ぎることを抑制できる。これにより、浴室1内が過剰に高温となって、浴室1内に干された衣類26が傷んだり、浴室1に入室した使用者に不快感を与えたりすることを抑制できる。
【0077】
なお、S4の判断処理は、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが所定温度T1以上かを判断するものであってもよい。この場合、電装基板19は、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが所定温度T1以上であると判断するとS8の処理へ移行し、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが所定温度T1未満であると判断するとS5の処理へ移行する。
【0078】
次いで
図4を参照し、S8以降の処理を説明する。S8~S11の処理は、衣類乾燥率DFを算出するための処理である。まず、電装基板19は、浴室1内の絶対湿度である浴室内絶対湿度Xrを算出する(S8)。浴室内絶対湿度Xrは、S2の処理により読み込まれた浴室内温度Trに対応する飽和水蒸気量と、S2の処理により読み込まれた浴室内相対湿度Hrとから算出される。
【0079】
次いで、電装基板19は、乾燥性能Dxを算出する(S9)。乾燥性能Dxは、次のようにして算出される。即ち、電装基板19は、S2の処理により読み込まれた浴室内温度Tr及び浴室内相対湿度Hrを用いて、浴室内比エンタルピーIrを算出する。浴室内比エンタルピーIrは空気の持っている熱量と考えることができ、浴室内の空気が一様だとすると、浴室内比エンタルピーIrと衣類近傍比エンタルピーIcは等しいと考えられる。
【0080】
ここで衣類近傍相対湿度Hcについて考えると、衣類乾燥運転中、乾燥対象である衣類26内部の水分は空気中に発散し続けているため、衣類近傍相対湿度Hcは100%であると考えられる。そして、浴室内比エンタルピーIrと衣類近傍比エンタルピーIcと衣類近傍相対湿度Hcとの関係より、衣類近傍絶対湿度Xcが推定される。
【0081】
これらの手順によって、乾燥性能Dxは(式1)のように算出できる。
【0082】
Dx=(Xc-Xr) ・・・(式1)
ここで、浴室内温度Trと浴室内相対湿度Hrとが読み込まれてから、乾燥性能Dxを算出するまでにいくつかの演算が必要であるが、浴室内温度Trと浴室内相対湿度Hrから乾燥性能Dxを直接算出できるような演算式を用いてもよい。
【0083】
次いで、電装基板19は、乾燥性能Dxを経過時間tで積分した、乾燥性能積分値DPを(式2)より算出する(S10)。
【0084】
DP=∫Dxt ・・・(式2)
そして、電装基板19は、乾燥対象である衣類26の状況と、浴室1内の温湿度環境と、熱交換器12へ供給される温水の温度Tkとを加味した事前検証及び解析を実施することで得られた推定式(式3)より、衣類乾燥率DFを算出する(S11)。ここで、(式3)における、α、β、γ、δ、ε、ζ、ηはそれぞれ定数である。
【0085】
DF=αt+βTr+γXr+δDP+(DP-ε)2+ζ+ηTk ・・・(式3)
これにより、衣類26の重量等の状況の違いがあったり、熱交換器12へ温水を供給する熱源機30として、供給する温水の温度Tkの異なる種々のものが使用されたりしても、浴室暖房乾燥機100は、乾燥完了判定のばらつきを生じにくくすることができる。よって、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の衣類26を良好に乾燥できる。
【0086】
ここで、電装基板19は、吹出口11に設けられた風向板15を周期的な動作となるように制御し、その周期を、衣類乾燥率DFを推定する周期と同等とする、という方法を取ってもよい。
【0087】
例えば、電装基板19は、まず、風向板15を初期位置LS(例えば、衣類26の中央付近に吹出口11から吹き出される空気が当たる位置)へ移動させる。次いで、電装基板19は、風向板15を特定の位置L1(例えば、衣類26の片方の端部付近に吹出口11から吹き出される空気が当たる位置)に移動させる。
【0088】
更に、電装基板19は、風向板15を別の位置L2(例えば、衣類26のもう一方の端部付近に吹出口11から吹き出される空気が当たる位置)に移動させる。その後、電装基板19は、風向板15を再び初期位置LSに戻し、同様の動作を繰り返す。これにより、風向板15は、周期的に衣類26の全体に吹出口11より吹き出される空気が行き渡るように動作することとなる。
【0089】
この周期が、衣類乾燥率DFを推定する測定間隔taとされることにより、衣類乾燥率DFを推定するときの風向板15の位置が毎回ほぼ同じになるため、衣類乾燥率DFの推定値のばらつきを小さくできる。
【0090】
また、S10の処理は、算出した衣類乾燥率DFに基づいて、循環ファンモータ13、換気ファンモータ16及び熱交換器12のうち少なくともいずれか1つを制御してもよい。例えば、電装基板19は、衣類乾燥率DFの変化量に応じて、循環ファンモータ13を制御して浴室1内の空気の循環風量を調整したり、熱交換器12に供給される温水の流量を調整したりしてもよい。これにより、電装基板19は、熱交換器12によって浴室1内の空気に含ませる熱量を制御できる。また、電装基板19は、衣類乾燥率DFの変化量に基づいて、換気ファンモータ16を制御して浴室1内の空気の排出量を調整してもよい。これにより、電装基板19は、浴室1内の相対湿度の減少量を制御してもよい。
【0091】
S11の処理にて衣類乾燥率DFを算出した後、電装基板19は、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF(例えば、100%)以上であるかを判断する(S12)。目標乾燥率TDFが、本発明の所定目標値に該当する。S12の判断の結果、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF未満であると判断される場合(S12:No)、電装基板19は、S2の処理(
図3参照)に戻り、S2~S12の処理を繰り返し実行する。
【0092】
一方、S12の判断の結果、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以上であると判断される場合(S12:Yes)、電装基板19は、延長運転を開始する(S13)。延長運転は、衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以上と判断しても運転を停止せず、衣類乾燥運転を継続するものである。
【0093】
なお、S12の判断処理は、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF(例えば、99.9%)よりも大きいかを判断するものであってもよい。この場合、電装基板19は、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以下であると判断するとS2の処理(
図3参照)に戻り、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDFよりも大きいと判断するとS1
3の処理へ移行する。
【0094】
S13の処理により延長運転が開始されると、電装基板19は、タイマー20を用いて、延長運転を開始してからの経過時間を判断し、その経過時間が、予め設定された延長運転時間te(例えば、15~30分程度)経過したかを判断する(S14)。その結果、延長運転を開始してからの経過時間が延長運転時間teを経過していないと判断される場合は(S14:No)、S14の判断を繰り返し実行する。
【0095】
そして、延長運転を開始してからの経過時間が延長運転時間teを経過したと判断されると(S14:Yes)、電装基板19は、循環ファンモータ13及び換気ファンモータ16をオフして、衣類乾燥運転を停止する(S15)。また、S15の処理では、熱交換器12に温水を供給する温水供給用配管31に温水供給バルブが設けられている場合に、電装基板19は、その温水供給バルブの閉止も行う。
【0096】
これにより、浴室暖房乾燥機100は、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以上となって衣類26が乾燥したと判断した後も、予め定められた延長運転時間teだけ延長運転を行う。よって、衣類26が乾燥した後も衣類乾燥運転が継続されるので、浴室暖房乾燥機100は、ランニングコストが余剰にかかることにはなるが、衣類26を過乾燥状態とすることができ、乾燥の程度を良化させることができる。
【0097】
なお、延長運転時間teは、使用者が脱衣室リモコン22を操作して変更可能に構成されてもよい。これにより、使用者が延長運転時間teを調整できるので、使用環境や使用者の好み等に合わせて、衣類乾燥運転通しての運転時間や、衣類乾燥運転終了時の衣類26の乾燥程度を調整することができる。
【0098】
S15の処理の後、電装基板19は、使用者に衣類乾燥運転終了を報知して(S16)、衣類乾燥運転に係る一連の処理を終了する。報知の方法としては、音声で報知する方法や、脱衣室リモコン22で運転終了のランプ(図示せず)を点灯させる方法、又は、運転中に点灯していたランプを消灯するという方法などがある。S16の処理により、衣類乾燥運転が停止した場合、使用者に衣類乾燥運転終了を報知することとなるので、衣類乾燥終了後に浴室内に衣類26を放置することを防ぐことができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る浴室暖房乾燥機100によれば、次の効果を奏する。
【0100】
(1)使用者が脱衣室リモコン22を操作し、衣類乾燥運転の開始を指示すると、浴室暖房乾燥機100は、循環ファンモータ13によって浴室1内の空気を循環する。循環する浴室1内の空気は、熱交換器12により、熱源機30より供給される温水との間で熱交換が行われ、浴室1内の空気が加熱される。また、浴室1内の空気の一部は、換気ファンモータ16によって屋外に排出され、浴室1の換気が行われる。ここで、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが温水温度センサ28により検出され、浴室内相対湿度Hrが浴室内湿度センサ24により検出される。そして、これら検出された熱交換器12に供給される温水の温度Tkと浴室内相対湿度Hrとに基づいて、換気ファンモータ16、循環ファンモータ13、熱交換器12のうち少なくともいずれかが、電装基板19により制御される。これにより、浴室暖房乾燥機100は、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが異なっても、その温水の温度Tkと浴室内相対湿度Hrとを考慮しながら、衣類乾燥に関わる制御が行われるので、好適に浴室1内の衣類26の乾燥を行うことができる。
【0101】
(2)浴室暖房乾燥機100は、衣類乾燥運転を行っている期間中において、電装基板19の制御により、循環ファンモータ13が運転されると共に換気ファンモータ16が次
のように制御される。即ち、温水温度センサ28により検出された熱交換器12に供給される温水の温度Tkが所定温度T1より大きいか、又は、浴室内湿度センサ24により検出された浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1より大きい場合に、換気ファンモータ16が運転される。一方、温水温度センサ28により検出された熱交換器12に供給される温水の温度Tkが所定温度T1以下であり、浴室内湿度センサ24により検出された浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1以下である場合に、換気ファンモータ16が非運転とされる。
【0102】
これにより、例えば、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが低い場合、浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1以上であれば、換気ファンモータ16の運転によって浴室1が換気される。よって、浴室1内の湿度が下がり、浴室1内に干された衣類26の乾燥を進めることができる。一方、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが低い場合に浴室内相対湿度Hrが所定湿度H1よりも低くなると、換気ファンモータ16が非運転とされることで浴室1の換気が停止される。これにより、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の熱量が排出されることを抑制し、浴室内温度Trを短時間で上昇させることができるので、浴室1の換気を継続する場合と比べ、浴室1内に干された衣類26の乾燥に係る時間を短縮できる。
【0103】
これに対し、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが高い場合、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の換気を継続して行うので、湿度の高い空気の屋外への排出と共に、浴室内温度Trが上がり過ぎることを抑制できる。これにより、浴室1内が過剰に高温となって、浴室1内に干された衣類26が傷んだり、浴室1に入室した使用者に不快感を与えたりすることを抑制できる。
【0104】
(3)浴室暖房乾燥機100は、浴室内温度センサ23が設けられ、浴室内温度Trが検出される。そして、浴室暖房乾燥機100は、電装基板19によって、衣類乾燥運転を行っている期間中、測定間隔ta毎に、浴室内温度Trと、浴室内相対湿度Hrと、熱交換器12に供給される温水の温度Tkとに基づいて、衣類乾燥率DFが推定される。そして、推定された衣類乾燥率DFに基づいて、換気ファンモータ16及び循環ファンモータ13の運転停止やそれらの風量、また、熱交換器12への温水の流量や、その供給の停止等が、電装基板19によって制御される。このように、浴室暖房乾燥機100は、衣類26の重量等の状況の違いがあったり、使用する熱源機30の種類によって熱交換器12に供給される温水の温度Tkが異なったりしても、衣類乾燥率DFを用いることで、乾燥の判定のばらつきを生じにくくできる。よって、浴室暖房乾燥機100は、浴室1内の衣類26を良好に乾燥できる。
【0105】
(5)浴室暖房乾燥機100は、電装基板19により、推定した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以上となって衣類26が乾燥したと判断された後も、予め定められた延長運転時間teだけ延長運転して衣類乾燥運転を継続して行う。これにより、浴室暖房乾燥機100は、衣類26を確実に乾燥した状態で衣類乾燥運転を停止させることができる。よって、浴室暖房乾燥機100は、衣類26を過乾燥状態とすることができ、乾燥の程度を良化させることができる。
【0106】
そのほか、浴室暖房乾燥機100は、発明を実施するための形態の説明の中で記載した通り、各々の構成に対し、その構成に対応した効果を享受できる。
【0107】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、以下に説明する変形例を含む各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加しあるいはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形
して構成するようにしても良い。また、各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0108】
上記実施形態において、浴室暖房乾燥機100は、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以上であると判断される場合に、延長運転を開始する場合について説明した。これに対し、浴室暖房乾燥機100は、算出した衣類乾燥率DFが目標乾燥率TDF以上であると判断される場合に、延長運転を行うことなく、衣類乾燥運転を停止してもよい。これにより、浴室1の衣類26が適切に乾燥したと判断される状態で衣類乾燥運転を停止することとなるので、衣類26が未乾燥及び過乾燥状態になるのを防ぎ、適切な乾燥運転を行いつつ必要以上にランニングコストがかかることを抑制できる。
【0109】
上記実施形態において、浴室暖房乾燥機100は、衣類乾燥運転として、短時間(例えば、1~2時間程度)で浴室1の衣類26を乾燥させる短時間型衣類乾燥運転と、熱交換器12の出力を小さくし時間をかけて衣類乾燥運転を行う省エネ型衣類乾燥運転とを有するものであってもよい。そして、浴室暖房乾燥機100は、短時間型衣類乾燥運転と、省エネ型衣類乾燥運転とのそれぞれで、熱交換器12に供給される温水の温度Tkと、浴室内温度Tr及び浴室内相対湿度Hrとに基づいて、循環ファンモータ13、換気ファンモータ16及び熱交換器12のうち少なくともいずれかを電装基板19により制御されるものであってよい。短時間型衣類乾燥運転と省エネ型衣類乾燥運転との選択は、例えば、使用者が脱衣室リモコン22を操作することによって行われる。これにより、浴室暖房乾燥機100は、熱交換器12に供給される温水の温度Tkが異なっても、使用者の好みや必要に応じて短時間型衣類乾燥運転と省エネ型乾燥運転との両方を実行できる。よって、浴室暖房乾燥機100は、使用者に対して、衣類26の乾燥にかかる時間を重視するか、ランニングコストを重視するかの選択の幅を広げることができる。
【0110】
上記実施形態において、浴室暖房乾燥機100は、風向板15を周期的な動作となるように制御し、その周期を、衣類乾燥率DFを推定する周期と同等とする場合についても説明した。これに対し、浴室暖房乾燥機100は、風向板15の位置がある特定の位置LTになった場合に衣類乾燥率DFを推定する構成としてもよい。これにより、衣類乾燥率DFを推定する際の風向が一意に定まるため、更に推定値のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0111】
上記実施形態において、浴室暖房乾燥機100は、衣類乾燥運転期間中、測定間隔ta毎に算出した衣類乾燥率DFに基づいて、使用者に現状の乾燥程度を報知するように、電装基板19の制御が行われてもよい。報知の方法としては、音声で報知する方法や、脱衣室リモコン22に乾燥の程度を表示する方法などがある。これにより、使用者が衣類26に直接触れなくとも、簡単に衣類26の乾燥状態を確かめることができる。
【0112】
上記実施形態において、浴室暖房乾燥機100は、衣類乾燥運転が終了するまでの残時間を算出し、使用者に残時間を報知するように、電装基板19の制御が行われてもよい。報知の方法としては、音声で報知する方法や、脱衣室リモコン22に残時間を表示する方法などがある。これにより、使用者は乾燥運転の終了予定時間を認識でき、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示に係る浴室暖房乾燥機は、浴室内の空気を加熱する加熱手段に供給される温度の温水が異なっても、好適に浴室内の衣類の乾燥を行うものであるので、浴室のみでなく、浴室以外の乾燥室などを利用して衣類の乾燥を行う乾燥機等として有用である。
【符号の説明】
【0114】
1 浴室
2 浴槽
3 洗い場空間
4 天井面
5 点検口
6 開口部
7 天井裏空間
8 本体
9 パネル
10 吸込口
11 吹出口
12 熱交換器
13 循環ファンモータ
14 通風路
15 風向板
16 換気ファンモータ
17 換気部
18 ダンパ
19 電装基板
20 タイマー
21 脱衣室
22 脱衣室リモコン
23 浴室内温度センサ
24 浴室内湿度センサ
25 物干しバー
26 衣類
28 温水温度センサ
30 熱源機
31 温水供給用配管
32 排水用配管
33 排気口
100 浴室暖房乾燥機
DF 衣類乾燥率
DP 乾燥性能積分値
Dx 乾燥性能
Hr 浴室内相対湿度
H1 所定湿度
TDF 目標乾燥率
Tk 温水の温度
Tr 浴室内温度
T1 所定温度
Xr 浴室内絶対湿度
ta 測定間隔
te 延長運転時間