IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェンクの特許一覧

<>
  • 特開-除草システム 図1
  • 特開-除草システム 図2
  • 特開-除草システム 図3
  • 特開-除草システム 図4
  • 特開-除草システム 図5
  • 特開-除草システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133750
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】除草システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A01M21/00 A
A01M21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043698
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】503059921
【氏名又は名称】株式会社ジェンク
(72)【発明者】
【氏名】柳 富雄
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB30
2B121EA21
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】雑草や蔓植物の植生を遅らせることで、刈り取り回数を減らすことができる除草システムを提供する。
【解決手段】フェンス及び支柱が設けられた敷地における除草システムであって、雑草の植生防止手段と、蔓植物の巻き上がり防止手段とからなり、前記雑草の植生防止手段は、複数枚の防草用シールド板を少なくとも前記フェンス周囲に敷設してなり、前記蔓植物の巻き上がり防止手段は、下向きに拡開するメガホン状の防草器具を前記支柱又は該支柱を支持する支線の少なくとも一箇所に固定してなる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンス及び支柱が設けられた敷地における除草システムであって、雑草の植生防止手段と、蔓植物の巻き上がり防止手段とからなり、前記雑草の植生防止手段は、複数枚の防草用シールド板を少なくとも前記フェンス周囲に敷設してなり、前記蔓植物の巻き上がり防止手段は、下向きに拡開するメガホン状の防草器具を前記支柱又は該支柱を支持する支線の少なくとも一箇所に固定してなることを特徴とした除草システム。
【請求項2】
雑草の植生防止手段は、隣り合う防草用シールド板同士をオーバーラップして敷設してなる請求項1記載の除草システム。
【請求項3】
フェンスは雑草の植生防止手段における防草用シールド板上に設けた請求項1記載の除草システム。
【請求項4】
蔓植物の巻き上がり防止手段は、防草器具の内面に蔓植物の忌避剤を塗布してなる請求項1記載の除草システム。
【請求項5】
蔓植物の巻き上がり防止手段は、二つ以上の防草器具を同一向きに連設してなる請求項1記載の除草システム。
【請求項6】
転圧整地した地面にモジュールを設置すると共に、請求項1~5のうち何れか一項に記載した除草システムを用いた太陽光発電所の除草システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば太陽光発電所において、雑草や蔓植物などの植生を抑制する除草システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電所は、転圧整地後の地面に設けられ、基本的に無人であることから、雑草や蔓植物が植生しやすい環境にある。こうした不要植物が繁茂すれば、モジュール(太陽光パネル)に影がかかり発電効率を低下させるほか、メーター類や集電装置等についても、電柱の支持ワイヤー(支線)を伝って蔓植物が絡まることで停電や故障するおそれがある。なお、ツタやアケビなどの蔓植物は落葉性であるため、その落ち葉がモジュールの受光面に落ち重なればホットスポット現象の原因ともなる。
【0003】
一方、従前から様々な除草技術が存在する中、防除効果が高い除草剤は土壌汚染の懸念があるため、近隣に住宅や田畑がある場合には使用することができない。特に太陽光発電所については敷地内にモジュールが隙間なく並べて設置されているため、上空から散布することもできない。
【0004】
なお、屋外電気設備を対象とした除草技術の一例として、特許文献1には電柱の支線に取り付ける回転型蔓性植物巻き上がり防止装置が開示されている。当該装置によれば、支線に巻き上がってくる蔓植物をケース部内で回転する刃部により切断するもので、刃部は風雨または光発電を動力として回転するとされている。
【0005】
しかし、特許文献1の装置において、風雨を動力とするものにあっては、晴天続きの場合、その間は刃部が回転せず、蔓植物が生長して刃部に絡みついてしまい、以降の回転が阻止される恐れがある。逆に、光発電を利用するものは、雨天続きの場合に機能しなくなり、やはり刃部への蔓植物の絡みつきを許す結果となる。
【0006】
つまり、特許文献1の装置は天候に依存するため、蔓植物の切断除去が確実ではなく、ともすれば、回転停止状態にある刃部を足がかりとして蔓植物が支線を巻き上がっていくことも想定される。また、そもそも同装置は蔓植物以外の雑草対策にはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-325420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
立地条件や設備保護等の理由から従来の除草技術に有効な手段を見出せない場合、刈り取りによる除草作業を行うしかない。太陽光発電所の多くも、年に数回、定期的に刈り取り作業を行って設備を維持しているのが現状である。
【0009】
しかし、刈り取り作業を業者に依頼すれば費用がかかり、特に太陽光発電所のように広大な敷地の場合は費用が高額となる。
【0010】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、雑草や蔓植物の植生を遅らせることで、刈り取り回数を減らすことができる除草システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために本発明では、フェンス及び支柱が設けられた敷地における除草システムであって、雑草の植生防止手段と、蔓植物の巻き上がり防止手段とからなり、前記雑草の植生防止手段は、複数枚の防草用シールド板を少なくとも前記フェンス周囲に敷設してなり、前記蔓植物の巻き上がり防止手段は、下向きに拡開するメガホン状の防草器具を前記支柱又は該支柱を支持する支線の少なくとも一箇所に固定してなるという手段を用いた。
【0012】
当該手段によれば、複数枚の防草用シールド板を敷設してなる雑草の植生防止手段によって、雑草の種子が飛来したとしても防草用シールド板上では生育せず、また、防草用シールド板の敷設前に残された雑草についても遮光によって、それ以上成長しない。このように、防草用シールド板を敷設した少なくともフェンス周囲については雑草の植生を面で防止するのであるが、仮に、パネル外の場所に蔓植物が植生したとしても、敷地内の支柱やその支線に絡みついた蔓植物は当該巻き上がり防止手段によってツル(巻きひげ)が防草器具の内部に侵入し、固定側で反転することで、それ以上の巻き上がりを防止する。なお、防草用シールド板の材質は遮光性と耐候性を有するものから選択することが好ましく、1枚当たりの厚みや面積を限定するものではないが、敷設後に浮き上がったり剥がれたりせず、風によって吹き飛ばされないものから選択することができる。より好ましくは、将来、敷地の設備を撤去するのと同時に撤収しやすく、仮に一部が残ったとしても、経時的に安全な成分になる(生分解性を有するなど)素材を使用する。一方、メガホン状の防草器具については、成形が容易な合成樹脂を採用することができ、子供がそこからよじ登れない安全も考え、蔓植物の巻き上がりを確実に食い止められるように電柱や支柱等に固定できるものであれば、その素材自体は問わない。
【0013】
なお、雑草の植生防止手段は、隣り合う防草用シールド板同士をオーバーラップして敷設してなることが好ましい。防草用シールド板を隙間なく敷き詰めたとしても、目地を通じて、雑草の種子が入り込んで伸びること(いわゆる根性草)を避けきれないが、オーバーラップして敷設することによって、こうした目地をなくすことができるからである。
【0014】
また、敷地はフェンスで囲まれ、このフェンスを雑草の植生防止手段における防草用シールド板上に設けることが好ましい。フェンスは、塀や柵を含む概念であり、敷地内に部外者や動物が立ち入らないように防護するものであるが、蔓植物にとっては上に伸びる際の足がかりになることから、防草用シールド板上にフェンスを設けて、フェンス周囲において雑草や蔓植物の植生を防止するためである。
【0015】
一方、蔓植物の巻き上がり防止手段は、防草器具の内面に蔓植物の忌避剤を塗布してなることが好ましい。巻き上がってきた蔓植物を防草器具内で確実に下向きに反転させるためである。なお、本発明において忌避剤は、化学品などの環境汚染につながるような素材ではなく、天然素材を用いることが好ましい。この場合には忌避剤は防草器具の内面に塗布するだけであるから、土壌汚染の問題は生じない。
【0016】
また、蔓植物の巻き上がり防止手段は、二つ以上の防草器具を同一向きに連設してなることが好ましい。防草器具の連数だけ、蔓植物が支柱等を巻き上がっていく時間を遅らせることができるからである。
【0017】
さらに、転圧整地した地面にモジュールを設置すると共に、本除草システムを太陽光発電所に適用することで、従来のポリプロピレンなどの化学物質繊維にて除草技術を講じずとも、雑草や蔓植物の植生・繁茂を抑制でき、刈り取り頻度を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、転圧整地後の地面にフェンスや電柱等の支柱が立設される敷地において、雑草や蔓植物が植生したり繁茂したりする時間を遅らせ、刈り取り回数を減らすことができる。したがって、太陽光発電所のように広大な敷地を有する設備においても、従来よりも安価に設備を維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】太陽光発電所の俯瞰図
図2】フェンス周辺の断面図
図3】電柱周辺の断面図
図4】防草器具の概略図
図5】支線周辺の断面図
図6】モジュール周辺の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の適用対象の一つである太陽光発電所の俯瞰図であり、敷地周囲にはフェンスFが設けられ、その敷地内に複数のモジュールMと電柱Uとが設けられている。モジュールMは架台支柱Pによって支持されている。電柱Uにはメーター類や集電装置等の電気設備を収納したボックスBが固定されており、ワイヤー製の支線Wが地面に向けて斜めに架け渡されている。
【0021】
図2は、フェンスF周辺の断面図であって、粗骨材(砕石を含む)によって転圧整地した地面に、雑草の植生防止手段として防草用シールド板1を複数枚敷設している。この実施形態では、防草用シールド板1上にフェンスFを立設している。このようにフェンスFの周囲は防草用シールド板1によって雑草が植生しない(植生しにくい)環境としている。
【0022】
防草用シールド板1は、平板状のものを隙間なく敷き詰めるのが好ましいが、より好ましくは、合決り等によって、隣り合う防草用シールド板同士をオーバーラップして敷設する。こうすることで目地が解消され、雑草の種子がパネル間に入り込むことを防止することができるからである。
【0023】
なお、敷地外の除草については、上部が外側に傾斜した雑草遮蔽板2をフェンスFに沿って設けることにより、敷地外の蔓植物等の雑草が構内に入り込むことを防止することができる。
【0024】
図3は、電柱U周辺の断面図であり、該電柱Uには下向きに拡開するメガホン状の防草器具3を固定している。図4は、防草器具3の一例を示し、ドーナツ状に成形した合成樹脂板等の中心孔を菊割り状とし、内側に折り曲げるなどして電柱Uの外周に固定する固定部3aとしている。また、半径一箇所を切断して着脱部3bとすることで固定部3aの径を電柱Uの太さに応じて拡縮可能としている。こうした防草器具3によれば、電柱Uを巻き上がってくる蔓植物を防草器具3の内部で下向きに反転させ、巻き上がりを遅らせることができる。
【0025】
また、この実施形態では、電柱Uの二個所に防草器具3を同じ向きに連設しているので、蔓植物が電柱上部のボックスBや高圧線に到達するまでの時間を更に遅らせることができる。
【0026】
なお、防草器具3の取り付け位置や連数、その間隔(例えば100cm)は任意であり、図5に示すように、防草器具3を支線Wに設けてもよい。さらに、防草器具3の内面に雑草が忌避する天然素材等を使用した忌避剤を塗布しておくことで、蔓植物を電柱Uや支線Wから忌避し、仮に巻き上がろうとしても、防草器具3に侵入した時点で、より確実に下向きに反転させることができる。
【0027】
図6は、モジュールM周辺の断面図であり、転圧整地した設置面に対して上述した防草用シールド板1による雑草の植生防止手段と、その架台支柱Pに対して防草器具3による蔓植物の巻き上がり防止手段を併用している。モジュールMの下は影となることが多く、基本的に雑草の植生が遅いのであるが、モジュールMは太陽光発電所の最も重要な電気設備であるため、これを確実に防護するために、上述のように二つの防止手段を併用したものである。
【0028】
なお、本発明は実施形態として平地に適用する場合を示したが、その基本的な構成は法面に適用することを排除するものではない。
【符号の説明】
【0029】
M モジュール
F フェンス
U 電柱
W 支線
1 防草用シールド板
2 雑草遮蔽板
3 防草器具
3a 固定部
3b 着脱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6