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特開2024-133760粉粒体排出機構および粉粒体処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133760
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】粉粒体排出機構および粉粒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/00 20060101AFI20240926BHJP
   F26B 17/20 20060101ALI20240926BHJP
   B29B 13/02 20060101ALI20240926BHJP
   B29C 31/02 20060101ALI20240926BHJP
   B01F 29/62 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 23/60 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/45 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/93 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/94 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/31 20220101ALI20240926BHJP
   B01F 35/222 20220101ALI20240926BHJP
【FI】
F26B17/00 B
F26B17/20 B
B29B13/02
B29C31/02
B01F29/62
B01F23/60
B01F35/75
B01F35/45
B01F35/93
B01F35/94
B01F35/31
B01F35/222
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043712
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】吉村 信也
【テーマコード(参考)】
3L113
4F201
4G035
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB06
3L113AC10
3L113AC68
3L113AC75
3L113BA02
3L113CA06
3L113CB06
3L113DA07
4F201AC04
4F201AK04
4F201AR07
4F201BA04
4F201BA06
4F201BN09
4F201BQ02
4F201BQ07
4F201BQ34
4F201BQ35
4F201BQ42
4F201BQ45
4F201BQ52
4G035AB48
4G035AE13
4G035AE15
4G036AA18
4G037AA12
4G037CA11
4G037DA30
4G037EA05
(57)【要約】
【課題】粉粒体処理容器の排出口に開閉蓋を取り付け、外部の動力を用いずに開閉できる技術を提供する。
【解決手段】粉粒体処理容器10は、側面部11に設けられた排出口113と、側面部11の外周面を軸方向に延びる支持シャフト116と、支持シャフト116に固定され、排出口113を周方向一方側から開閉可能な開閉蓋117と、開閉蓋117を周方向他方側へ付勢する第1弾性部材122とを有する。粉粒体処理容器10が、周方向一方側へ回転する時、支持シャフト116に固定された係合部材は、ガイド部材80のレール部82よりも径方向外側の第2空間880を移動し、スロープ83に接触した時に径方向内側へ押出す。一方、周方向他方側へ回転する時、係合部材はスロープ83に接触して押し上げられ、径方向内側の第1空間870へ移動し、開閉蓋117が第1弾性部材122の弾性力に逆らって旋回することにより、排出口113が開放される。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って略筒状に拡がる側面部と、前記側面部の軸方向一方側の開口を覆う第1端面部と、前記側面部の軸方向他方側の開口を覆う第2端面部と、を含み、粉粒体を内部空間に収容可能な、粉粒体処理容器と、
前記粉粒体処理容器を、前記側面部が略水平となるように、かつ、前記中心軸を中心として周方向に回転可能となるように支持する、フレームと、
前記粉粒体処理容器を周方向に回転させる、回転駆動機構と、
前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部の軸方向一方側に設けられ、前記フレームに支持される、ガイド部材と、
を有し、
前記粉粒体処理容器は、
前記側面部に設けられ、前記内部空間に在る前記粉粒体を前記粉粒体処理容器の外部空間へ排出するための排出口と、
前記排出口を周方向一方側から開閉可能な、開閉蓋と、
少なくとも一部が前記ガイド部材と同じ軸方向位置に位置する、係合部材と、
を有し、
前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向一方側へ回転する時、前記開閉蓋により前記排出口が閉塞され、
前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向他方側へ回転する時、前記係合部材の移動により、前記開閉蓋が、前記中心軸と平行な回転軸を中心として周方向一方側へ旋回することによって、前記排出口が開放される、粉粒体排出機構。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体排出機構であって、
前記ガイド部材は、
前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部よりも軸方向一方側において周方向に延びる、レール部と、
前記レール部よりも径方向内側に形成される第1空間と、
前記レール部よりも径方向外側に形成される第2空間と、
前記レール部の周方向一方側の端部に固定される不動端部を中心として、前記不動端部と対向する可動端部が径方向に移動可能であり、かつ、前記不動端部から前記可動端部へ向かって、重力により下方かつ周方向一方側へ傾斜する、スロープと、
前記スロープの前記可動端部の下方への移動を制限する、スロープ支持台と、
を有し、
前記粉粒体処理容器は、
前記排出口と、
前記側面部の外周面に沿って配置され、軸方向に延びる、支持シャフトと、
前記支持シャフトに固定される、前記開閉蓋と、
前記支持シャフトに固定され、前記開閉蓋よりも軸方向一方側において、少なくとも一部が前記レール部と同じ軸方向位置に位置する、前記係合部材と、
前記開閉蓋と前記係合部材とを、前記回転軸を中心として旋回可能に支持する、旋回支持部と、
前記側面部の外周面に固定され、前記開閉蓋を周方向他方側へ付勢する、第1弾性部材と、
を有し、
前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向一方側へ回転する時、前記係合部材は、前記第2空間を移動し、前記スロープの径方向外側の面に接触した時に前記スロープを径方向内側へ押出し、かつ、前記開閉蓋は、前記第1弾性部材の弾性力によって周方向他方側へ付勢され、これにより、前記排出口が閉塞され、
前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向他方側へ回転する時、前記係合部材は、前記スロープの径方向内側の面に接触した時に押されて前記第1空間へ移動し、これにより、前記開閉蓋が前記第1弾性部材の弾性力に逆らって前記回転軸を中心として周方向一方側へ旋回することによって、前記排出口が開放される、粉粒体排出機構。
【請求項3】
請求項2に記載の粉粒体排出機構であって、
前記係合部材は、
前記開閉蓋よりも軸方向一方側において前記支持シャフトと相互回転不能に固定され、前記支持シャフトに直交する方向に延びる、アームと、
前記アームに相互回転不能に固定され、前記中心軸と平行な旋回軸の方向に、かつ、前記アームよりも軸方向一方側へ延びる、旋回シャフトと、
前記レール部と同じ軸方向位置において、前記旋回シャフトの周囲に軸支され、前記旋回軸を中心として自転可能な、ローラと、を有し、
前記旋回支持部は、前記側面部の外周面に固定され、前記支持シャフトを、前記回転軸を中心として回転可能に支持することによって、前記開閉蓋と前記係合部材とを、前記回転軸を中心として旋回可能に支持する、粉粒体排出機構。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の粉粒体排出機構であって、
前記粉粒体処理容器および前記ガイド部材を軸方向一方側から見た時に、前記粉粒体処理容器の下端部を、基準である0度とすると、前記中心軸を中心とする時計回りの角度が、0度以上、かつ、90度以下の位置に、前記レール部の少なくとも一部が設けられている、粉粒体排出機構。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の粉粒体排出機構であって、
前記ガイド部材は、
前記スロープよりも径方向内側において保持され、軸方向他方側の端部が径方向に移動可能である、第2弾性部材
をさらに有する、粉粒体排出機構。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載の粉粒体排出機構であって、
前記粉粒体処理容器と、
前記フレームと、
前記回転駆動機構と、
前記ガイド部材である、一方側ガイド部材と、
前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部の軸方向他方側に設けられ、前記フレームに支持される、他方側ガイド部材と、
を有し、
前記他方側ガイド部材は、
前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部よりも軸方向他方側において周方向に延びる、他方側レール部と、
前記他方側レール部よりも径方向内側に形成される、第3空間と、
前記他方側レール部よりも径方向外側に形成される、第4空間と、
前記他方側レール部の周方向一方側の端部に固定される不動端部を中心として、前記不動端部と対向する可動端部が径方向に移動可能であり、かつ、前記不動端部から前記可動端部へ向かって、重力により下方かつ周方向一方側へ傾斜する、他方側スロープと、
前記他方側スロープの前記可動端部の下方への移動を制限する、他方側スロープ支持台と、
を有し、
前記粉粒体処理容器は、
前記排出口と、
前記支持シャフトと、
前記開閉蓋と、
前記係合部材である一方側係合部材と、
前記支持シャフトに固定され、前記開閉蓋よりも軸方向他方側において、少なくとも一部が前記他方側レール部と同じ軸方向位置に位置する、他方側係合部材と、
前記開閉蓋と前記一方側係合部材と前記他方側係合部材とを、前記回転軸を中心として旋回可能に支持する、前記旋回支持部と、
前記第1弾性部材と、
を有し、
前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向一方側へ回転する時、前記他方側係合部材は、前記第4空間を移動し、前記他方側スロープの径方向外側の面に接触した時に前記他方側スロープを径方向内側へ押出し、かつ、前記開閉蓋は、前記第1弾性部材の弾性力によって周方向他方側へ付勢され、これにより、前記排出口が閉塞され、
前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向他方側へ回転する時、前記他方側係合部材は、前記他方側スロープの径方向内側の面に接触した時に押されて前記第3空間へ移動し、これにより、前記開閉蓋が前記第1弾性部材の弾性力に逆らって前記回転軸を中心として周方向一方側へ旋回することによって、前記排出口が開放される、粉粒体排出機構。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の粉粒体排出機構と、
前記粉粒体処理容器の周方向の回転を制御する、制御部と、
を有し、
前記回転駆動機構は、
それぞれ前記中心軸と平行な自転軸を中心として自転可能に支持される複数のローラと、
前記制御部からの信号に基づき、前記複数のローラの少なくとも1つを、前記自転軸を中心として回転させるモータと、
を有し、
前記側面部は、前記複数のローラに接触し、前記ローラの回転に伴って摩擦力を受けることにより、周方向に回転する、粉粒体処理装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の粉粒体排出機構と、
前記内部空間に収容される前記粉粒体を加熱する加熱機構と、
を有し、
前記加熱機構は、
前記粉粒体処理容器の前記内部空間に収容される赤外線ヒータを含む、粉粒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体または粒体からなる材料(以下「粉粒体」と称する)を内部空間に収容して処理した後、後続の装置へ排出する粉粒体排出機構と、当該粉粒体排出機構を有する粉粒体処理装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、さまざまな産業分野において、粉粒体をドラム式の容器内で撹拌して処理した後、後続の装置へ排出する装置が用いられている。このような装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-156560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の粉粒体処理装置(1)は、略水平に配置される粉粒体処理容器(10)と、加熱機構(30)と、回転駆動機構(40)と、を有する。粉粒体処理容器(10)は、略筒状に拡がる側面部(11)と、内部空間(100)から粉粒体を排出するための排出口(111,113)と、側面部(11)の内壁に沿って板状に延びる撹拌板(114)と、ガイド板(115)と、を有する。ガイド板(115)は、側面部(11)の内壁における排出口(111)の周方向一方側の周縁部から、内部空間(100)の中心へ近づく方向に突出する。加熱機構(30)は、粉粒体処理容器(10)の内部空間に収容される粉粒体を加熱する。回転駆動機構(40)は、粉粒体処理容器(10)を周方向に回転させて、粉粒体処理容器(10)の内部空間(100)に在る粉粒体を撹拌する。
【0005】
ガイド板(115)は、排出口(111)を覆う方向に傾斜する。これにより、粉粒体処理容器(10)を周方向一方側へ回転させると、内部空間(100)に在る粉粒体は、ガイド板(115)によって、排出口(111)から離れる方向に誘導される。この結果、粉粒体の排出が抑制される。一方、粉粒体処理容器(10)を周方向他方側へ回転させると、内部空間(100)に在る粉粒体は、重力による流動とガイド板(115)による誘導とによって排出口(111)へ案内される。この結果、粉粒体の排出が許容される。すなわち、粉粒体処理容器(10)の回転方向によって、粉粒体の排出の許容および抑制の切り替えを行うことができる。
【0006】
しかしながら、粉粒体として、樹脂ペレット等の帯電性が高い材料を用いる場合、撹拌時に静電気を帯びて、容器の内側に付着することがある。この場合、容器の内側に付着した粉粒体が回転に伴って排出口の上部付近まで移動し、粉粒体の排出を抑制すべきタイミングで落下して、排出口から排出される虞がある。
【0007】
そこで、このような予期しないタイミングでの粉粒体の排出を抑制するために、排出口に開閉蓋を取り付けて、外部の動力を用いて開閉蓋の開閉を制御することが考えられる。しかしながら、この場合、配線の設置が難しく、設備が複雑化する虞がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、排出口に開閉蓋を取り付けつつも、外部の動力を用いずに、粉粒体を排出すべきタイミングで開閉蓋を開放状態に切り替えることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、粉粒体排出機構であって、粉粒体処理容器と、フレームと、回転駆動機構と、ガイド部材と、を有する。前記粉粒体処理容器は、中心軸に沿って略筒状に拡がる側面部と、前記側面部の軸方向一方側の開口を覆う第1端面部と、前記側面部の軸方向他方側の開口を覆う第2端面部と、を含み、粉粒体を内部空間に収容可能である。前記フレームは、前記粉粒体処理容器を、前記側面部が略水平となるように、かつ、前記中心軸を中心として周方向に回転可能となるように支持する。前記回転駆動機構は、前記粉粒体処理容器を周方向に回転させる。前記ガイド部材は、前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部の軸方向一方側に設けられ、前記フレームに支持される。前記粉粒体処理容器は、排出口と、開閉蓋と、係合部材と、を有する。前記排出口は、前記側面部において、前記内部空間に在る前記粉粒体を前記粉粒体処理容器の外部空間へ排出するために設けられる。前記開閉蓋は、前記排出口を周方向一方側から開閉可能である。前記係合部材は、少なくとも一部が前記ガイド部材と同じ軸方向位置に位置する。前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向一方側へ回転する時、前記開閉蓋により前記排出口が閉塞される。前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向他方側へ回転する時、前記係合部材の移動により、前記開閉蓋が、前記中心軸と平行な回転軸を中心として周方向一方側へ旋回することによって、前記排出口が開放される。
【0010】
本願の第2発明は、第1発明の粉粒体排出機構であって、前記ガイド部材は、レール部と、第1空間と、第2空間と、スロープと、スロープ支持台と、を有する。前記レール部は、前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部よりも軸方向一方側において周方向に延びる。前記第1空間は、前記レール部よりも径方向内側に形成される。前記第2空間は、前記レール部よりも径方向外側に形成される。前記スロープは、前記レール部の周方向一方側の端部に固定される不動端部を中心として、前記不動端部と対向する可動端部が径方向に移動可能であり、かつ、前記不動端部から前記可動端部へ向かって、重力により下方かつ周方向一方側へ傾斜する。前記スロープ支持台は、前記スロープの前記可動端部の下方への移動を制限する。前記粉粒体処理容器は、前記排出口と、支持シャフトと、前記開閉蓋と、前記係合部材と、旋回支持部と、第1弾性部材と、を有する。前記支持シャフトは、前記側面部の外周面に沿って配置され、軸方向に延びる。前記開閉蓋は、前記支持シャフトに固定される。前記係合部材は、前記支持シャフトに固定され、前記開閉蓋よりも軸方向一方側において、少なくとも一部が前記レール部と同じ軸方向位置に位置する。前記旋回支持部は、前記開閉蓋と前記係合部材とを、前記回転軸を中心として旋回可能に支持する。前記第1弾性部材は、前記側面部の外周面に固定され、前記開閉蓋を周方向他方側へ付勢する。前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向一方側へ回転する時、前記係合部材は、前記第2空間を移動し、前記スロープの径方向外側の面に接触した時に前記スロープを径方向内側へ押出し、かつ、前記開閉蓋は、前記第1弾性部材の弾性力によって周方向他方側へ付勢され、これにより、前記排出口が閉塞される。前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向他方側へ回転する時、前記係合部材は、前記スロープの径方向内側の面に接触した時に押されて前記第1空間へ移動し、これにより、前記開閉蓋が前記第1弾性部材の弾性力に逆らって前記回転軸を中心として周方向一方側へ旋回することによって、前記排出口が開放される。
【0011】
本願の第3発明は、第2発明の粉粒体排出機構であって、前記係合部材は、アームと、旋回シャフトと、ローラと、を有する。前記アームは、前記開閉蓋よりも軸方向一方側において前記支持シャフトと相互回転不能に固定され、前記支持シャフトに直交する方向に延びる。前記旋回シャフトは、前記アームに相互回転不能に固定され、前記中心軸と平行な旋回軸の方向に、かつ、前記アームよりも軸方向一方側へ延びる。前記ローラは、前記レール部と同じ軸方向位置において、前記旋回シャフトの周囲に軸支され、前記旋回軸を中心として自転可能である。前記旋回支持部は、前記側面部の外周面に固定され、前記支持シャフトを、前記回転軸を中心として回転可能に支持することによって、前記開閉蓋と前記係合部材とを、前記回転軸を中心として旋回可能に支持する。
【0012】
本願の第4発明は、第2発明または第3発明の粉粒体排出機構であって、前記粉粒体処理容器および前記ガイド部材を軸方向一方側から見た時に、前記粉粒体処理容器の下端部を、基準である0度とすると、前記中心軸を中心とする時計回りの角度が、0度以上、かつ、90度以下の位置に、前記レール部の少なくとも一部が設けられている。
【0013】
本願の第5発明は、第2発明から第4発明までのいずれか1発明の粉粒体排出機構であって、前記ガイド部材は、前記スロープよりも径方向内側において保持され、軸方向他方側の端部が径方向に移動可能である、第2弾性部材をさらに有する。
【0014】
本願の第6発明は、第2発明から第5発明までのいずれか1発明の粉粒体排出機構であって、前記粉粒体処理容器と、前記フレームと、前記回転駆動機構と、前記ガイド部材である一方側ガイド部材と、前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部の軸方向他方側に設けられ、前記フレームに支持される、他方側ガイド部材と、を有する。前記他方側ガイド部材は、他方側レール部と、第3空間と、第4空間と、他方側スロープと、他方側スロープ支持台と、を有する。前記他方側レール部は、前記粉粒体処理容器の下部の少なくとも一部よりも軸方向他方側において周方向に延びる。前記第3空間は、前記他方側レール部よりも径方向内側に形成される。前記第4空間は、前記他方側レール部よりも径方向外側に形成される。前記他方側スロープは、前記他方側レール部の周方向一方側の端部に固定される不動端部を中心として、前記不動端部と対向する可動端部が径方向に移動可能であり、かつ、前記不動端部から前記可動端部へ向かって、重力により下方かつ周方向一方側へ傾斜する。前記他方側スロープ支持台は、前記他方側スロープの前記可動端部の下方への移動を制限する。前記粉粒体処理容器は、前記排出口と、前記支持シャフトと、前記開閉蓋と、前記係合部材である一方側係合部材と、他方側係合部材と、前記旋回支持部と、前記第1弾性部材と、を有する。前記他方側係合部材は、前記支持シャフトに固定され、前記開閉蓋よりも軸方向他方側において、少なくとも一部が前記他方側レール部と同じ軸方向位置に位置する。前記旋回支持部は、前記開閉蓋と前記一方側係合部材と前記他方側係合部材とを、前記回転軸を中心として旋回可能に支持する。前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向一方側へ回転する時、前記他方側係合部材は、前記第4空間を移動し、前記他方側スロープの径方向外側の面に接触した時に前記他方側スロープを径方向内側へ押出し、かつ、前記開閉蓋は、前記第1弾性部材の弾性力によって周方向他方側へ付勢され、これにより、前記排出口が閉塞される。前記粉粒体処理容器が、前記中心軸を中心として周方向他方側へ回転する時、前記他方側係合部材は、前記他方側スロープの径方向内側の面に接触した時に押されて前記第3空間へ移動し、これにより、前記開閉蓋が前記第1弾性部材の弾性力に逆らって前記回転軸を中心として周方向一方側へ旋回することによって、前記排出口が開放される。
【0015】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の粉粒体排出機構と、前記粉粒体処理容器の周方向の回転を制御する、制御部と、を有する粉粒体処理装置であって、前記回転駆動機構は、それぞれ前記中心軸と平行な自転軸を中心として自転可能に支持される複数のローラと、前記制御部からの信号に基づき、前記複数のローラの少なくとも1つを、前記自転軸を中心として回転させるモータと、を有し、前記側面部は、前記複数のローラに接触し、前記ローラの回転に伴って摩擦力を受けることにより、周方向に回転する。
【0016】
本願の第8発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の粉粒体排出機構と、前記内部空間に収容される前記粉粒体を加熱する加熱機構と、を有する粉粒体処理装置であって、前記加熱機構は、前記粉粒体処理容器の前記内部空間に収容される赤外線ヒータを含む。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1発明~第8発明によれば、粉粒体処理容器の排出口に開閉蓋を取り付けて、粉粒体処理容器が周方向他方側へ回転する時のみ、開閉蓋を開放する構成とする。これにより、予期しないタイミングでの粉粒体の排出を抑制できる。また、外部の動力を用いずに開閉蓋を開閉することができるため、当該外部の動力を得るための配線の設置が不要となる。その結果、設備の複雑化を抑制でき、コスト削減にも繋がる。
【0018】
特に、本願の第3発明によれば、粉粒体処理容器の旋回シャフトを、ローラを介してレール部に接触させる構成とすることによって、レール部の摩耗や劣化を抑制できる。
【0019】
特に、本願の第5発明によれば、スロープの可動端部付近の部位が、係合部材に押出されて径方向内側へ移動した場合でも、第2弾性部材の弾性力によって、スロープの可動端部付近の部位を径方向外側へ付勢することにより、スロープを元の姿勢に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】粉粒体処理装置の構成を概念的に示した図である。
図2】粉粒体処理装置の側面図である。
図3】粉粒体処理装置の正面図である。
図4】粉粒体処理容器の斜視図である。
図5】制御部と各部との接続を示したブロック図である。
図6】粉粒体処理容器の横断面図である。
図7】粉粒体処理容器およびガイド部材の部分斜視図である。
図8】粉粒体処理容器およびガイド部材の正面図である。
図9】粉粒体処理容器の周方向他方側への回転時の様子を軸方向一方側から見た模式図である。
図10】粉粒体処理容器の周方向一方側への回転時の様子を軸方向一方側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素は、あくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0022】
なお、本願では、後述する粉粒体処理容器の記載において、水平方向に延びる粉粒体処理容器の中心軸と平行な方向を「軸方向」、中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、粉粒体処理容器の「軸方向」のうち、後述するヒータ入出口が設けられる第1端面部の側を「軸方向一方側」とし、第1端面部と対向する第2端面部の側を「軸方向他方側」として、各部の形状や位置関係を説明する。また、粉粒体処理容器を軸方向一方側から見た時に、中心軸を中心とする反時計回りを「周方向一方側」とし、中心軸を中心とする時計回りを「周方向他方側」として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これらの定義により、本発明に係る粉粒体排出機構および粉粒体処理装置の製造時や使用時の向きを限定する意図はない。また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0023】
<1.粉粒体処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る粉粒体処理装置1の構成を概念的に示した図である。なお、図1では、後述するフレーム71の一部およびキャスター72の図示を省略している。この粉粒体処理装置1は、プラスチック製品の製造工程において、処理対象物となる粉粒体の貯留、撹拌、加熱乾燥、および排出を適宜行う装置である。粉粒体とは、例えば、プラスチックの原料となる樹脂ペレット9である。
【0024】
粉粒体処理装置1は、樹脂ペレット9を粉粒体処理容器10に収容し、粉粒体処理容器10の内部空間100において、樹脂ペレット9を撹拌しつつ、加熱乾燥させた後、後工程に在る下流側装置75へ排出する。本実施形態では、下流側装置75として、射出成形機が用いられる。ただし、下流側装置75として、射出成形機の替わりに、例えば、押出成形機、ブロー成形機、または圧縮成形機等が用いられてもよい。また、下流側装置75として、射出成形機の手前にさらに図示を省略したホッパ等が介在してもよい。
【0025】
図2は、粉粒体処理装置1の側面図である。図3は、粉粒体処理装置1の正面図である。図1図3に示すように、本実施形態の粉粒体処理装置1は、粉粒体処理容器10、供給装置20、加熱機構30、回転駆動機構40、輸送機構50、制御部60、フレーム71、キャスター72、およびガイド部材80を有する。ただし、図1図3では、粉粒体処理容器10の一部、輸送機構50の一部、およびガイド部材80の図示を省略している。また、粉粒体処理容器10、回転駆動機構40、フレーム71、およびガイド部材80によって、「粉粒体排出機構」が形成されている。
【0026】
粉粒体処理容器10は、樹脂ペレット9を内部空間100に収容可能なドラム式の容器である。粉粒体処理容器10の材料には、後述するローラ120および第1弾性部材122を除き、例えば、ステンレス等の金属が用いられる。粉粒体処理容器10は、供給装置20から供給される樹脂ペレット9を受け入れ、内部空間100において撹拌しつつ、加熱乾燥させた後、下方へ排出する。図4は、粉粒体処理容器10の斜視図である。図4に示すように、本実施形態の粉粒体処理容器10は、中心軸90に沿って軸方向に略水平に配置される。ただし、粉粒体処理容器10は、水平面に対して若干傾斜していてもよい。粉粒体処理容器10は、側面部11と、第1端面部12と、第2端面部13と、を有する。
【0027】
側面部11は、中心軸90に沿って略円筒状に拡がる。第1端面部12は、側面部11の軸方向一方側の開口を覆う。第2端面部13は、側面部11の軸方向他方側の開口を覆う。上記のとおり、粉粒体処理容器10の内部には、樹脂ペレット9を収容して撹拌し、加熱乾燥させるための空間である、内部空間100が設けられている。さらに、側面部11には、加熱乾燥後の樹脂ペレット9を排出するための排出口(後述する内側排出口111および外側排出口113)が設けられている。粉粒体処理容器10のより詳細な構造については、後述する。
【0028】
供給装置20は、加熱乾燥前の樹脂ペレット9を粉粒体処理容器10の内部空間100へ供給するための装置である。図1図3に示すように、供給装置20は、粉粒体処理容器10よりも上方に設置されている。供給装置20は、供給ホッパ21、搬送管22、排気管23、および供給管24を有する。
【0029】
供給ホッパ21は、側壁部211、底部212、および天板部213を含む。側壁部211は、鉛直方向に延びる略円筒状の立体形状を有する。底部212は、側壁部211の下端部から下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の部位である。底部212の下端部には、開口214が設けられている。天板部213は、側壁部211の上部を覆う。なお、供給ホッパ21の形状は、他の形状であってもよい。例えば、供給ホッパ21の側壁部211は、矩形の筒状であってもよい。
【0030】
搬送管22および排気管23は、それぞれ供給ホッパ21に接続され、供給ホッパ21の内部空間に連通する配管部である。搬送管22の下流側の端部は、供給ホッパ21の側壁部211に接続されている。排気管23の上流側の端部は、供給ホッパ21の天板部213に接続されている。また、供給ホッパ21と排気管23との接続部には、パンチングメタルプレート25が設けられている。パンチングメタルプレート25は、樹脂ペレット9の通過を規制するとともに、気体の通過を許容する複数の貫通孔を有する。
【0031】
供給ホッパ21に加熱乾燥前の樹脂ペレット9を貯留する時には、図示を省略したブロワ等の気力発生手段により、搬送管22および排気管23の内部に気流を発生させる。具体的には、図1中に矢印A1,A2で示したように、搬送管22から供給ホッパ21を通って排気管23へ向かう気流を発生させる。そうすると、搬送管22の上流側に設けられた材料供給源から、搬送管22を通って供給ホッパ21へ、樹脂ペレット9が搬送される。この時、供給ホッパ21から排気管23への樹脂ペレット9の移動は、パンチングメタルプレート25により遮られる。このため、樹脂ペレット9が、排気管23へ流れ込むことはない。これにより、供給装置20の内部空間に樹脂ペレット9が貯留される。ただし、樹脂ペレット9は、作業者が供給ホッパ21内に手動で投入してもよい。
【0032】
供給ホッパ21の底部212の下方には、供給管24が接続されている。供給管24の内部空間は、開口214を介して、供給ホッパ21の内部空間に連通する。供給管24の位置は、上下方向および左右方向に調整可能とされる。供給管24の下端部は、粉粒体処理容器10の後述する投入口(貫通孔350)と着脱可能に接続される。なお、図2では、理解容易のため、粉粒体処理容器10から取り外された状態の加熱機構30の貫通孔350に供給管24が取り付けられた様子の一部を、二点鎖線にて図示している。
【0033】
本実施形態では、開口214の上部には、ダンパ215が設けられている。供給装置20の内部空間に樹脂ペレット9が貯留された後、作業者が手動でダンパ215を操作することによって、開口214を開閉する。ただし、開口214は、例えば、ボールバルブやスライドゲートのような他の方式のものによって、または電動あるいは空圧によって開閉してもよい。
【0034】
加熱機構30は、粉粒体処理容器10の内部空間100に収容される樹脂ペレット9を加熱し、乾燥させる装置である。図2に示すように、加熱機構30は、摺動部材31、スライドレール32、鉛直板部33、赤外線ヒータ34、およびフランジ部35を有する。摺動部材31、スライドレール32、鉛直板部33、およびフランジ部35の材料には、例えば、ステンレス等の金属が用いられる。
【0035】
摺動部材31は、略水平に板状に拡がる。摺動部材31の下面には、図示を省略したローラが固定されている。また、粉粒体処理装置1のフレーム71は、第1補助板713を含む。第1補助板713は、略水平に板状に拡がる。第1補助板713の上面には、スライドレール32が固定されている。スライドレール32は、軸方向に延びる。摺動部材31のローラは、スライドレール32に嵌合しつつ、スライドレール32に沿って軸方向に移動可能である。これにより、摺動部材31に支持される鉛直板部33、赤外線ヒータ34、およびフランジ部35は、摺動部材31とともにスライドレール32に沿って軸方向に移動可能となっている。
【0036】
鉛直板部33は、摺動部材31の軸方向一方側の端部付近の上面に固定され、鉛直上向きに延びる。鉛直板部33の上端部には、赤外線ヒータ34が固定される。赤外線ヒータ34は、鉛直板部33の軸方向他方側において、軸方向に棒状に延びる。ここで、図4に示すように、粉粒体処理容器10の第1端面部12には、ヒータ入出口110が設けられている。ヒータ入出口110は、第1端面部12を軸方向に貫通する。ヒータ入出口110は、赤外線ヒータ34が通過可能な大きさを有する。
【0037】
赤外線ヒータ34が、摺動部材31、鉛直板部33、およびフランジ部35とともに、スライドレール32に沿って軸方向他方側へ摺動すると、赤外線ヒータ34は、粉粒体処理容器10の外部空間から内側へ挿入され、内部空間100に収容される。このように、本実施形態では、粉粒体処理容器10の内部空間100に対して、赤外線ヒータ34を容易に出し入れすることができるため、粉粒体処理容器10の内部空間100を目視したり清掃等を行ったりする際の作業性が向上する。
【0038】
本実施形態の赤外線ヒータ34には、カーボンヒータが用いられる。赤外線ヒータ34が粉粒体処理容器10の内部空間100に収容された状態で、赤外線ヒータ34のスイッチ341をオンにすると、赤外線ヒータ34から放射される熱により、樹脂ペレット9が加熱される。これにより、樹脂ペレット9が乾燥する。ただし、赤外線ヒータ34には、ハロゲンヒータや、その他の種類のヒータが用いられてもよい。
【0039】
フランジ部35は、赤外線ヒータ34の軸方向一方側の端部付近から周囲に拡がる。フランジ部35は、軸方向に見た時に、ヒータ入出口110よりも大きい。また、フランジ部35の軸方向他方側の端面には、円環状の樹脂部材(図示省略)が固定されている。樹脂部材の材料には、例えば、テフロン(登録商標)が用いられる。樹脂部材は、軸方向に見た時に、ヒータ入出口110の周囲に全周に亘って設けられている。このため、加熱機構30の赤外線ヒータ34が粉粒体処理容器10の内部空間100に収容されると同時に、樹脂部材が第1端面部12に接触する。これにより、ヒータ入出口110を隙間なく閉塞することができる。なお、粉粒体処理容器10が周方向に回転する時には、第1端面部12は、樹脂部材に接触しつつ、摺動する。
【0040】
さらに、フランジ部35には、貫通孔350が設けられている。貫通孔350は、ヒータ入出口110と軸方向に重なる位置において、フランジ部35を軸方向に貫通する。これにより、ヒータ入出口110がフランジ部35の樹脂部材によって閉塞される時にも、貫通孔350を介して粉粒体処理容器10の内部空間100へのアクセスが可能となる。
【0041】
貫通孔350は、粉粒体処理容器10の内部空間100へ樹脂ペレット9を投入するための投入口となる。具体的には、供給ホッパ21から粉粒体処理容器10の内部空間100へ樹脂ペレット9を投入する際には、供給ホッパ21の開口214および供給管24と、貫通孔350とを介して、樹脂ペレット9が供給される。ただし、投入口の位置は、これに限定されない。例えば、投入口は、側面部11に設けられてもよい。また、内部空間100への樹脂ペレット9の投入は、作業者が手動で行ってもよい。
【0042】
図1図3に示すように、回転駆動機構40は、複数(本実施形態では、4つ)のローラ41、複数(本実施形態では、2つ)の連結軸42、複数(本実施形態では、4つ)の支持台43、およびモータ44を有する。
【0043】
2つの連結軸42はそれぞれ、軸方向に柱状に延びる。また、2つの連結軸42は、軸方向に見た時に、互いに左右方向に間隙を隔てて配置されている。各連結軸42の両端部には、それぞれ1つのローラ41が固定されている。また、フレーム71は、第2補助板714を含む。第2補助板714は、略水平に板状に拡がる。第2補助板714の上面には、4つの支持台43がそれぞれ固定されている。
【0044】
各支持台43には、貫通孔430が設けられている。貫通孔430は、支持台43を軸方向に貫通する。また、貫通孔430には、ボールベアリング45の外輪が固定されている。連結軸42は、貫通孔430を貫通しつつ、ボールベアリング45の内輪に固定される。これにより、連結軸42、および連結軸42に固定された2つローラ41は、それぞれ支持台43に対して回転可能に支持される。連結軸42およびローラ41は、軸方向に延びる自転軸411を中心として自転可能に支持される。
【0045】
すなわち、4つのローラ41はそれぞれ、中心軸90と平行な自転軸411を中心として自転可能に支持される。さらに、2つの連結軸42のうちの1つには、モータ44が接続される。モータ44は、制御部60からの信号に基づき、当該連結軸42と、連結軸42に固定された2つローラ41とを、自転軸411を中心として回転させる。ただし、モータ44は、制御部60からの信号に基づき、複数のローラ41の少なくとも1つを、自転軸411を中心として回転させるように構成されていればよい。
【0046】
粉粒体処理容器10は、4つのローラ41の上側に載置される。そして、粉粒体処理容器10の側面部11は、4つのローラ41にそれぞれ接触する。モータ44が接続された連結軸42と、連結軸42に固定された2つローラ41とが回転すると、粉粒体処理容器10は、当該2つローラ41の回転に伴って摩擦力を受けることにより、中心軸90を中心として周方向に回転する。一方、モータ44が接続されていない連結軸42に固定された2つローラ41は、粉粒体処理容器10の回転に伴い従動回転する。なお、本実施形態のモータ44は、正方向および逆方向の2方向に回転することができる。これにより、粉粒体処理容器10は、軸方向一方側から見て、時計回り(周方向他方側)および反時計回り(周方向一方側)の双方に回転することができる。
【0047】
また、粉粒体処理容器10は、4つのローラ41の上側に載置されつつ、側面部11が略水平となるように支持される。上記のとおり、4つのローラ41は、2つの連結軸42および4つのボールベアリング45を介して、4つの支持台43に支持されている。各支持台43は、フレーム71の第2補助板714の上面に固定されている。すなわち、フレーム71は、粉粒体処理容器10を、側面部11が略水平となるように、かつ、中心軸90を中心として周方向に回転可能となるように支持する。また、回転駆動機構40は、粉粒体処理容器10を周方向に回転させる。
【0048】
輸送機構50は、加熱乾燥後の樹脂ペレット9を、下流側装置75へ輸送するための装置である。輸送機構50は、輸送管51と、バルブ52と、ブロワ53と、を有する。輸送管51は、フレーム71の下端口719と下流側装置75とを繋ぐ配管である。バルブ52は、下端口719を、開放状態と閉鎖状態との間で切り替える。バルブ52を開放すると、フレーム71のシュート716に集積された樹脂ペレット9が、下端口719から輸送管51内へ排出される。一方、バルブ52を閉鎖すると、下端口719からの樹脂ペレット9の排出が停止される。
【0049】
制御部60は、粉粒体処理装置1の各部を動作制御する制御手段である。図5は、制御部60と、粉粒体処理装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図5に示すように、制御部60は、CPU等の演算処理部601、メモリ602、および記憶装置603を有するコンピュータにより構成されている。制御部60は、供給装置20のブロワ、加熱機構30のスイッチ341、回転駆動機構40のモータ44、および輸送機構50のバルブ52と、それぞれ電気的に接続されている。制御部60は、記憶装置603に予め記憶されたプログラムPおよびオペレーションデータDに基づき、上記の各部の駆動を制御する。これにより、粉粒体処理装置1における樹脂ペレット9の貯留、撹拌、加熱乾燥、および排出の各処理が進行する。
【0050】
粉粒体処理容器10、供給装置20、加熱機構30、回転駆動機構40、輸送機構50、制御部60、およびガイド部材80は、粉粒体処理装置1の外枠体を形成しているフレーム71に搭載される。フレーム71は、配置台711、複数の支柱712、第1補助板713、第2補助板714、カバー715、およびシュート716を含む。配置台711、複数の支柱712、第1補助板713、第2補助板714、カバー715、およびシュート716は、粉粒体処理容器10とは直接的に接触しない。すなわち、これらの各部は、粉粒体処理容器10の回転に影響を与えない。
【0051】
配置台711は、略水平に板状に拡がる。各支柱712は、配置台711の上面に固定され、上方へ鉛直方向に延びる。第1補助板713および第2補助板714はそれぞれ、複数の支柱712に固定され、略水平に板状に拡がる。上記のとおり、第1補助板713の上面には、加熱機構30のスライドレール32が固定される。第2補助板714は、第1補助板713よりも軸方向他方側に配置される。第2補助板714の上面には、回転駆動機構40の4つの支持台43がそれぞれ固定されている。
【0052】
カバー715は、複数の支柱712の上方に固定される。カバー715は、粉粒体処理容器10の上方および側方を覆う。カバー715の内壁には、ガイド部材80が固定される。すなわち、ガイド部材80は、フレーム71に支持される。
【0053】
シュート716はそれぞれ、複数の支柱712に直接的または別の部材を介して間接的に固定される。シュート716は、粉粒体処理容器10の直ぐ下方に位置する。シュート716は、シュート側壁部717およびシュート底部718を含む。シュート側壁部717は、鉛直方向に延びる略四角筒状の立体形状を有する。シュート底部718は、シュート側壁部717の下端部から下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の部位である。シュート底部718の下端部には、下端口719が形成されている。粉粒体処理容器10から排出された樹脂ペレット9は、シュート716の内部空間を落下し、下端口719から排出され、輸送管51を介して下流側装置75へ輸送される。
【0054】
配置台711の下面には、複数のキャスター72が固定されている。本実施形態では、配置台711の下面の角部において、それぞれキャスター72が固定されている。これにより、フレーム71全体が、水平方向に移動可能となっている。
【0055】
ガイド部材80の詳細な構造については、後述する。
【0056】
<2.粉粒体処理容器およびガイド部材の詳細な構造>
続いて、粉粒体処理容器10およびガイド部材80の詳細な構造について、説明する。
【0057】
図6は、粉粒体処理容器10を、中心軸90に対して直交する方向に切断したものを、軸方向一方側から見た横断面図である。図7は、ガイド部材80、および粉粒体処理容器10のうちのガイド部材80に近接する部位を、図6の白抜き矢印A3の方向から見た部分斜視図である。図4図6、および図7に示すように、粉粒体処理容器10は、2つの内側排出口111、2つの周壁部112、2つの外側排出口113、4つの撹拌板114、2つの誘導板115、2つの支持シャフト116、2つの開閉蓋117、4つのアーム118、4つの旋回シャフト119、4つのローラ120、4つの旋回支持部121、および4~18つ程度の第1弾性部材122をさらに有する。
【0058】
すなわち、粉粒体処理容器10は、側面部11において、互いに周方向に180度程度離れた、2つの樹脂ペレット9の排出機構(内側排出口111,周壁部112,および外側排出口113)を有し、各排出機構(1つの内側排出口111,1つの周壁部112,および1つの外側排出口113)に対して、1つの誘導板115、1つの支持シャフト116、1つの開閉蓋117、2つのアーム118、2つの旋回シャフト119、2つのローラ120、2つの旋回支持部121、および2~9つ程度の第1弾性部材122を有している。そして、粉粒体処理容器10を軸方向に見た時に、これらの2つの樹脂ペレット9の排出機構に係る構造が、中心軸90を中心とした点対象となっている。
【0059】
ただし、粉粒体処理容器10の側面部11に形成される樹脂ペレット9の排出機構に係る構造の数や位置は、これに限定されない。すなわち、粉粒体処理容器10において設けられる内側排出口111、周壁部112、外側排出口113、撹拌板114、誘導板115、支持シャフト116、開閉蓋117、アーム118、旋回シャフト119、ローラ120、旋回支持部121、および第1弾性部材122の数は、それぞれ1つであってもよく、2つ以上であってもよい。また、図6では、支持シャフト116、開閉蓋117、アーム118、旋回シャフト119、ローラ120、および旋回支持部121については、理解容易のため、軸方向一方側から見た正面図を図示している。
【0060】
2つの内側排出口111はそれぞれ、側面部11の周方向の一部を径方向に貫通する。また、2つの周壁部112はそれぞれ、径方向突出部101と周方向延伸部102とを有する。図6のように、軸方向一方側から見た時に、径方向突出部101は、側面部11のうち、内側排出口111の反時計回りの手前側(周方向他方側)の周縁部から、径方向外側へ突出する。周方向延伸部102は、径方向突出部101の径方向外側の端部から、反時計回り(周方向一方側)へ周方向に拡がる。2つの外側排出口113はそれぞれ、側面部11と周方向延伸部102との径方向の間に形成された空間のうち、反時計回りの先側(周方向一方側)に形成される出口である。
【0061】
外側排出口113は、本発明における「排出口」に相当する。すなわち、粉粒体処理容器10は、側面部11に設けられ、内部空間100に在る樹脂ペレット9を粉粒体処理容器10の外部空間へ排出するための排出口を有する。内側排出口111、周壁部112、および外側排出口113は、側面部11における、軸方向一方側の端部付近から軸方向他方側の端部付近までの広い範囲に亘って、形成される。そして、内側排出口111と、側面部11と周方向延伸部102との径方向の間に形成された空間と、外側排出口113とによって、粉粒体処理容器10の内部空間100に在る樹脂ペレット9を外部空間へ排出するための排出経路が形成される。
【0062】
図6に示すように、4つの撹拌板114はそれぞれ、粉粒体処理容器10の側面部11の内壁に沿って板状に延びる。撹拌板114の材料には、例えば、ステンレス等の金属が用いられる。ただし、撹拌板114の材料には、ある程度の耐熱性を有していれば、ステンレス以外の金属または非金属素材が用いられてもよい。撹拌板114の軸方向一方側の端部は、第1端面部12に溶接により固定される。撹拌板114の軸方向他方側の端部は、第2端面部13に溶接により固定される。ただし、撹拌板114の固定方法は、これに限定されない。例えば、撹拌板114は、側面部11から中心軸90へ向かって突出する別の部材に、ねじ止めや溶接等によって固定されてもよい。撹拌板114を有することにより、粉粒体処理容器10の回転時に、粉粒体処理容器10の内部空間100に在る樹脂ペレット9を十分に撹拌することができる。
【0063】
ここで、撹拌板114と側面部11の内壁との間には、隙間200が形成されている。これにより、仮に隙間200が無い場合に撹拌板114と側面部11の内壁との境界付近に溜まりがちであった樹脂ペレット9を、隙間200を通って、うまく落下させることができる。この結果、樹脂ペレット9が撹拌板114に保持されたまま内部空間100に残り、樹脂ペレット9が長時間に亘って加熱されることに起因する、品質の劣化を抑制できる。なお、撹拌板114は、側面部11の内壁に対して直交してもよく、傾斜していてもよい。また、撹拌板114は、曲面で形成されてもよく、例えば、軸方向のみならず周方向にも拡がるスクリュー状であってもよい。
【0064】
2つの誘導板115はそれぞれ、側面部11の内壁における、内側排出口111の時計回りの手前側(周方向一方側)の周縁部から、粉粒体処理容器10の内部空間100の中心O(中心軸90)へ近づく方向に突出する。また、2つの誘導板115はそれぞれ、内側排出口111を覆う方向に傾斜している。
【0065】
2つの支持シャフト116はそれぞれ、側面部11の外周面(外壁)に沿って配置される。上記のとおり、2つの外側排出口113はそれぞれ、軸方向一方側の端部付近から軸方向他方側の端部付近までの広い範囲に亘って、形成されている。各支持シャフト116は、1つの外側排出口113に沿って軸方向に柱状に延びる部材である。すなわち、各支持シャフト116は、中心軸90と平行な回転軸91に沿って延びる。また、本実施形態の各支持シャフト116は、1つの外側排出口113の僅かに周方向一方側を、軸方向に延びる。
【0066】
2つの開閉蓋117はそれぞれ、軸方向に帯状かつ板状に延びる部材である。2つの開閉蓋117はそれぞれ、1つの支持シャフト116における軸方向の両端部よりも内側において、支持シャフト116に固定される。各開閉蓋117は、1つの外側排出口113に重ねた時に、外側排出口113よりも大きい。また、上記のとおり、各支持シャフト116は、1つの外側排出口113の僅かに周方向一方側に配置される。このため、2つの開閉蓋117はそれぞれ、1つの外側排出口113を、周方向一方側から開閉可能である。
【0067】
各支持シャフト116における軸方向一方側の端部付近には、1つのアーム118が固定される。アーム118は、長手方向に薄板状に延びる部材である。また、各アーム118は、支持シャフト116に直交する方向に延びる。より具体的には、各アーム118は、長手方向の両端部付近にそれぞれ、各アーム118を厚み方向に貫通する貫通孔を有する。各アーム118の一方の端部付近の貫通孔には、支持シャフト116の軸方向一方側の端部が挿入され、ボルト等を用いて固定される。これにより、各アーム118は、開閉蓋117よりも軸方向一方側において、支持シャフト116に固定される。また、各アーム118は、支持シャフト116に、軸方向に延びる固定部材のキー103を用いて、互いに相対回転不能に固定される。
【0068】
各アーム118の他方の端部付近の貫通孔には、1つの旋回シャフト119の軸方向他方側の端部が挿入され、圧入等により固定される。各旋回シャフト119は、中心軸90と平行な旋回軸92の方向に延びる部材である。また、各旋回シャフト119は、アーム118よりも軸方向一方側へ延びる。また、各旋回シャフト119は、アーム118に、軸方向に延びる固定部材のキー(図示省略)用いて、互いに相対回転不能に固定される。
【0069】
各旋回シャフト119の軸方向一方側の端部付近の周囲には、1つのローラ120が固定されている。各ローラ120は、ガイド部材80の後述するレール部82と同じ軸方向位置において、旋回シャフト119の周囲に自転可能に軸支される。これにより、各ローラ120は、旋回軸92を中心として自転可能である。
【0070】
各支持シャフト116に固定される1つのアーム118と、当該1つのアーム118に固定される1つの旋回シャフト119と、当該1つの旋回シャフト119に固定される1つのローラ120と、によって、本発明の「係合部材」が形成されている。すなわち、本発明の「係合部材」は、支持シャフト116に固定され、開閉蓋117よりも軸方向一方側において、少なくとも一部がレール部82と同じ軸方向位置に位置する。すなわち、「係合部材」は、少なくとも一部がガイド部材80と同じ軸方向位置に位置する。
【0071】
上記のとおり、本実施形態では、各支持シャフト116の軸方向他方側にも、同様の構成が、粉粒体処理容器10の中心Oを含む横断面に対して対称に設けられている。すなわち、粉粒体処理容器10は、上記の係合部材である一方側係合部材230と、開閉蓋117よりも軸方向他方側において支持シャフト116に固定される他方側係合部材240と、を有する。他方側係合部材240は、開閉蓋117よりも軸方向他方側において、少なくとも一部が後述する他方側レール部と同じ軸方向位置に位置する。
【0072】
側面部11の外周面における、各外側排出口113の僅かに周方向一方側には、2つの旋回支持部121が、互いに軸方向に間隔を隔てて固定されている。当該2つの旋回支持部121のうちの一方は、開閉蓋117よりも軸方向一方側に配置される。当該2つの旋回支持部121のうちの他方は、開閉蓋117よりも軸方向他方側に配置される。各旋回支持部121には、貫通孔210が設けられている。各貫通孔210は、旋回支持部121を軸方向に貫通する。また、各貫通孔210には、図示を省略したボールベアリングの外輪が固定される。また、支持シャフト116は、各貫通孔210を貫通しつつ、ボールベアリングの内輪に固定される。
【0073】
これにより、1つの支持シャフト116における軸方向の両端部付近に設けられた2つの旋回支持部121は、当該1つの支持シャフト116を、上記のボールベアリングを介して、回転軸91を中心として自転可能に支持する。この結果、当該2つの旋回支持部121は、当該1つの支持シャフト116に固定された1つの開閉蓋117と、当該1つの支持シャフト116に固定された2つの係合部材(一方側係合部材230および他方側係合部材240)とを、回転軸91を中心として旋回可能に支持する。
【0074】
側面部11の外周面における、各開閉蓋117の周方向一方側には、2~9つ程度の第1弾性部材122が配置されている。これらの第1弾性部材122は、互いに軸方向に間隙を隔てて、それぞれ側面部11の外周面に固定されている。本実施形態の各第1弾性部材122には、ねじりばねが用いられる。各第1弾性部材122の一方のアーム部301は、側面部11の外周面に固定される。各第1弾性部材122の他方のアーム部302は、開閉蓋117に固定される。これにより、各第1弾性部材122は、一方のアーム部301と他方のアーム部302とが互いに離れようとする弾性力により、開閉蓋117を周方向他方側へ付勢する。
【0075】
図8は、粉粒体処理容器10およびガイド部材80を軸方向一方側から見た正面図である。上記のとおり、ガイド部材80は、フレーム71の内壁に固定される。また、図7および図8に示すように、ガイド部材80は、粉粒体処理容器10が周方向に回転して、外側排出口113が下部に来た時に、当該外側排出口113よりも軸方向一方側に近接する位置に、配置される。ただし、ガイド部材80が配置される位置は、これに限定されない。ガイド部材80は、粉粒体処理容器10の下部の少なくとも一部の軸方向一方側に設けられ、フレーム71に支持されていればよい。
【0076】
ガイド部材80は、ガイド部本体81と、レール部82と、スロープ83と、スロープ支持台84と、第2弾性部材85と、を有する。ガイド部本体81、レール部82、スロープ83、およびスロープ支持台84の材料には、例えば、ステンレス等の金属が用いられる。
【0077】
ガイド部本体81は、フレーム71の内壁に、例えば、ボルト等を用いて固定される枠体である。図8に示すように、ガイド部本体81は、レール部82に沿って周方向に延びる。ガイド部本体81は、レール部82、スロープ83、スロープ支持台84、および第2弾性部材85を、それぞれ支持する。
【0078】
レール部82は、ガイド部本体81の軸方向他方側の端面に固定され、周方向に延びる。レール部82は、粉粒体処理容器10が周方向に回転して、外側排出口113が下部に来た時に、当該外側排出口113よりも軸方向一方側に近接する位置から、周方向他方側へ延びる。図8に示すように、本実施形態のレール部82は、粉粒体処理容器10およびガイド部材80を軸方向一方側から見た時に、粉粒体処理容器10の下端部123を、基準である0度とすると、中心軸90を中心とする時計回りの角度θが、0度の付近から90度の付近まで延びる。
【0079】
ただし、レール部82の構造は、これに限定されない。レール部82は、粉粒体処理容器10の下部の少なくとも一部よりも軸方向一方側において、周方向に延びていればよい。そして、粉粒体処理容器10およびガイド部材80を軸方向一方側から見た時に、粉粒体処理容器10の下端部123を、基準である0度とすると、中心軸90を中心とする時計回りの角度θが、0度以上、かつ、90度以下の位置に、レール部82の少なくとも一部が設けられていればよい。
【0080】
図7に示すように、レール部82の径方向内側には、レール部82と粉粒体処理容器10との間に、空間が存在する。以下では、当該空間を「第1空間870」と称することとする。すなわち、第1空間870は、レール部82よりも径方向内側に形成された空間である。また、レール部82の径方向外側、かつ、ガイド部本体81の軸方向他方側にも、空間が存在する。以下、当該空間を「第2空間880」と称することとする。すなわち、第2空間880は、レール部82よりも径方向外側に形成された空間である。
【0081】
上記のとおり、粉粒体処理容器10のローラ120は、レール部82と同じ軸方向位置において、旋回シャフト119の周囲に自転可能に軸支される。また、後述するとおり、粉粒体処理容器10が中心軸90を中心として周方向他方側へ回転する時、ローラ120は、レール部82に接触して自転しながら、第1空間870において周方向他方側へ移動する。このように、粉粒体処理容器10の旋回シャフト119を、ローラ120を介してレール部82に接触させる構成とすることによって、レール部82の摩耗や劣化を抑制できる。
【0082】
ガイド部本体81における、レール部82の周方向一方側の端部付近には、ヒンジピン86が固定される。ヒンジピン86は、ガイド部本体81に固定され、軸方向他方側へ延びる。また、ヒンジピン86には、スロープ83が固定される。スロープ83は、軸方向に対して直交し、薄板状に拡がる部材である。これにより、スロープ83は、ヒンジピン86を中心として、図8の矢印A4の方向に傾斜可能となる。
【0083】
また、スロープ83は、ヒンジピン86に固定される不動端部831(固定端辺)に対して、不動端部831に対向する可動端部832(可動端辺)が、重力により傾斜する。すなわち、スロープ83は、レール部82の周方向一方側の端部に固定される不動端部831を中心として、不動端部831と対向する可動端部832が径方向に移動可能であり、かつ、不動端部831から可動端部832へ向かって、重力により下方かつ周方向一方側へ傾斜する。
【0084】
スロープ支持台84は、ガイド部本体81の周方向一方側の端部付近における、軸方向他方側の端面に固定される。スロープ支持台84は、径方向に対して45度程度、傾斜しつつ、薄板状に拡がる部材である。上記のとおり、スロープ83が重力により傾斜すると、スロープ支持台84に接触して停止する。すなわち、スロープ支持台84は、スロープ83を下方から支持し、スロープ83の傾斜を制限する。ただし、スロープ支持台84は、旋回シャフト119およびローラ120の軸方向位置よりも軸方向一方側に位置する。このため、スロープ支持台84は、旋回シャフト119およびローラ120の移動に干渉することは無い。
【0085】
また、スロープ支持台84には、第2弾性部材85が固定されている。本実施形態の第2弾性部材85には、板ばねが用いられる。第2弾性部材85は、スロープ83およびスロープ支持台84の径方向内側に配置されている。第2弾性部材85は、軸方向一方側の端部付近において、スロープ支持台84の径方向内側の端面に、ボルト等を用いて固定される。一方、第2弾性部材85の軸方向他方側の端部は固定されない。これにより、第2弾性部材85は、スロープ83よりも径方向内側において保持され、軸方向他方側の端部が径方向に移動可能である。
【0086】
後述するとおり、粉粒体処理容器10が中心軸90を中心として周方向一方側へ回転する時、ローラ120は、第2空間880を周方向一方側へ移動し、スロープ83に接触した時に、スロープ83を径方向内側へ押出す。この時、スロープ83の可動端部832付近の部位が、ローラ120に押出されて径方向内側へ移動して、第2弾性部材85に接触する。これにより、第2弾性部材85の弾性力によって、スロープ83の可動端部832付近の部位を径方向外側へ付勢することにより、スロープ83を元の姿勢に戻すことができる。
【0087】
なお、本実施形態では、粉粒体処理容器10の軸方向他方側にも、別のガイド部材(以下「他方側ガイド部材」と称する)が、粉粒体処理容器10の中心Oを含む横断面に対して対称に設けられている。他方側ガイド部材は、粉粒体処理容器10の下部の少なくとも一部の軸方向他方側に設けられ、フレーム71に支持される。そして、本発明の「粉粒体排出機構」は、粉粒体処理容器10と、回転駆動機構40と、フレーム71と、上記のガイド部材80である一方側ガイド部材と、さらに当該他方側ガイド部材と、によって形成されている。
【0088】
また、当該他方側ガイド部材は、他方側ガイド部本体と、他方側レール部と、他方側スロープと、他方側スロープ支持台と、他方側第2弾性部材と、を有する。他方側レール部は、粉粒体処理容器10の下部の少なくとも一部よりも軸方向他方側において周方向に延びる。他方側スロープは、他方側レール部の周方向一方側の端部に固定される不動端部を中心として、不動端部と対向する可動端部が径方向に移動可能であり、かつ、不動端部から可動端部へ向かって、重力により下方かつ周方向一方側へ傾斜する。他方側スロープ支持台は、他方側スロープの可動端部の下方への移動を制限する。
【0089】
他方側レール部の径方向内側には、他方側レール部と粉粒体処理容器10との間に、空間が存在する。以下では、当該空間を「第3空間」と称することとする。すなわち、第3空間は、他方側レール部よりも径方向内側に形成された空間である。また、他方側レール部の径方向外側、かつ、他方側ガイド部本体の軸方向他方側にも、空間が存在する。以下、当該空間を「第4空間」と称することとする。すなわち、第4空間は、他方側レール部よりも径方向外側に形成された空間である。
【0090】
図9は、粉粒体処理容器10の周方向他方側への回転時の様子を軸方向一方側から見た模式図である。なお、理解容易のため、図9では、ガイド部材80を二点鎖線にて図示している。また、粉粒体処理容器10の内部空間100に在る樹脂ペレット9の一部を図示している。上記のとおり、本実施形態の粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として時計回りに(周方向他方側へ)回転する時、内部空間100に在る樹脂ペレット9は、粉粒体処理容器10の側面部11に対して、相対的に反時計回りに(周方向一方側へ)移動する。この時、粉粒体処理容器10の内側の各誘導板115は、側面部11の内壁における、内側排出口111の時計回りの手前側(周方向一方側)の周縁部から、内部空間100の中心O(中心軸90)へ近づき、かつ、内側排出口111を覆う方向に傾斜しているため、樹脂ペレット9は、重力による流動と誘導板115による誘導とによって、内側排出口111へ案内される。そして、樹脂ペレット9は、外側排出口113の手前まで移動する。
【0091】
また、一方側係合部材230のローラ120は、ガイド部材80(一方側ガイド部材)のスロープ83の径方向内側の面に接触する。ここで、上記のとおり、スロープ83は、スロープ支持台84によって下方から支持され、スロープ83の下方への傾斜が制限されている。このため、ローラ120は、スロープ83の径方向内側へ押され、第1空間870へ移動し、レール部82に接触して自転しながら、第1空間870を周方向他方側へ移動する。また、ローラ120は、レール部82の周方向他方側の端部82Eに至るまで、第1空間870を周方向他方側へ移動する。
【0092】
同様に、粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として時計回りに(周方向他方側へ)回転する時、他方側係合部材240のローラは、他方側スロープの径方向内側の面に接触した時に押され、第3空間へ移動し、他方側レール部に接触して自転しながら、第3空間を周方向他方側へ移動する。また、他方側係合部材240のローラは、他方側レール部の周方向他方側の端部に至るまで、第3空間を周方向他方側へ移動する。
【0093】
一方側係合部材230のローラ120が、径方向内側へ押されることによって、ローラ120を自転可能に軸支する旋回シャフト119と、旋回シャフト119が固定されたアーム118と、アーム118が固定された支持シャフト116に固定された開閉蓋117とが、第1弾性部材122の弾性力に逆らって、回転軸91を中心として周方向一方側へ旋回する。すなわち、粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として時計回りに(周方向他方側へ)回転する時、一方側係合部材230の移動により、開閉蓋117が、回転軸91を中心として周方向一方側へ旋回する。同様に、他方側係合部材240のローラが、径方向内側へ押されることによって、開閉蓋117が、第1弾性部材122の弾性力に逆らって、回転軸91を中心として周方向一方側へ旋回する。すなわち、粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として時計回りに(周方向他方側へ)回転する時、他方側係合部材240の移動により、開閉蓋117が、回転軸91を中心として周方向一方側へ旋回する。
【0094】
これにより、外側排出口113が開放される。この結果、外側排出口113の手前まで移動していた樹脂ペレット9が、外側排出口113を介して、下方へ排出される。なお、一方側係合部材230のローラ120が、レール部82の周方向他方側の端部82Eを通過すると、当該ローラ120は、再び径方向外側へ移動する。同時に、他方側係合部材240のローラも、再び径方向外側へ移動する。そして、一方側係合部材230のローラ120を自転可能に軸支する旋回シャフト119と、旋回シャフト119が固定されたアーム118と、アーム118が固定された支持シャフト116に固定された開閉蓋117と、他方側係合部材240とが、第1弾性部材122の弾性力によって、回転軸91を中心として周方向他方側へ再び旋回する。この結果、外側排出口113が閉塞され、外側排出口113からの樹脂ペレット9の排出が停止される。
【0095】
図10は、粉粒体処理容器10の周方向一方側への回転時の様子を軸方向一方側から見た模式図である。なお、理解容易のため、図10では、ガイド部材80を二点鎖線にて図示している。また、粉粒体処理容器10の内部空間100に在る樹脂ペレット9の一部を図示している。上記のとおり、本実施形態の粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として反時計回りに(周方向一方側へ)回転する時、内部空間100に在る樹脂ペレット9は、粉粒体処理容器10の側面部11に対して、相対的に時計回りに(周方向他方側へ)移動する。この時、粉粒体処理容器10の内側の各誘導板115は、側面部11の内壁における、内側排出口111の時計回りの手前側(周方向一方側)の周縁部から、内部空間100の中心O(中心軸90)へ近づき、かつ、内側排出口111を覆う方向に傾斜しているため、内部空間100に在る樹脂ペレット9は、誘導板115によって、内側排出口111から離れる方向に誘導される。これにより、樹脂ペレット9は、内側排出口111へ落下しにくくなる。すなわち、粉粒体処理容器10が前方から見て反時計回りに(周方向一方側へ)回転する場合には、内側排出口111を含む排出経路からの樹脂ペレット9の排出が抑制される。
【0096】
また、一方側係合部材230のローラ120は、第2空間880を周方向一方側へ移動する。そして、ローラ120は、スロープ83の径方向外側の面に、周方向他方側から接触した時に、スロープ83を径方向内側へ押出す。これにより、ローラ120は、径方向内側へ移動することなく、そのまま周方向一方側へ移動することができる。なお、スロープ83の可動端部832付近の部位が、ローラ120によって押出されることで、径方向内側へ移動して、第2弾性部材85に接触するが、第2弾性部材85の弾性力によって、径方向外側へ付勢される。これにより、スロープ83は、一方側係合部材230が通過した後、再び元の姿勢に戻る。
【0097】
同様に、粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として反時計回りに(周方向一方側へ)回転する時、他方側係合部材240のローラは、第4空間を周方向一方側へ移動する。そして、他方側係合部材240のローラは、他方側スロープの径方向外側の面に接触した時に、他方側スロープを径方向内側へ押出す。これにより、他方側係合部材240のローラは、径方向内側へ移動することなく、そのまま周方向一方側へ移動することができる。
【0098】
すなわち、ローラ120を含む一方側係合部材230は、径方向内側へ押されて移動することは無く、径方向外側の空間に維持される。このため、ローラ120を自転可能に軸支する旋回シャフト119と、旋回シャフト119が固定されたアーム118と、アーム118が固定された支持シャフト116に固定された開閉蓋117とが、第1弾性部材122の弾性力に逆らって、回転軸91を中心として周方向一方側へ旋回することは無い。同様に、他方側係合部材240も、径方向内側へ押されて移動することは無く、径方向外側の空間に維持される。このため、開閉蓋117は、第1弾性部材122の弾性力によって周方向他方側へ付勢されたまま維持される。この結果、外側排出口113は閉塞され、外側排出口113からの樹脂ペレット9の排出は停止される。すなわち、粉粒体処理容器10が、中心軸90を中心として反時計回りに(周方向一方側へ)回転する時、開閉蓋117により外側排出口113が閉塞される。
【0099】
本実施形態では、上記のように、外側排出口113に開閉蓋117を取り付けて、粉粒体処理容器10を周方向他方側へ回転させる時のみ、粉粒体処理容器10の一方側係合部材230が、ガイド部材80のレール部82の径方向内側へ移動することで、また、粉粒体処理容器10の他方側係合部材240が、他方側ガイド部材の他方側レール部の径方向内側へ移動することで、開閉蓋117を開放する構成とすることによって、予期しないタイミングでの樹脂ペレット9の排出を抑制できる。また、外部の動力を用いずに開閉蓋117を開閉することができるため、当該外部の動力を得るための配線の設置が不要となる。これにより、設備の複雑化を抑制でき、コスト削減にも繋がる。
【0100】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0101】
上記の実施形態において、粉粒体処理装置1は、樹脂ペレット9を粉粒体処理容器10に収容して撹拌しつつ、加熱乾燥させた後、排出するものであった。しかしながら、粉粒体処理装置1は、樹脂ペレット9を粉粒体処理容器10に収容して、撹拌して混合した後、排出するものであってもよい。すなわち、加熱機構30は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0102】
また、本発明の粉粒体処理装置1は、樹脂ペレット9以外の粉粒体を処理対象とするものであってもよい。例えば、樹脂ペレット9に代えて、医薬品、化学製品、食品、建材等の様々の分野で用いられる粉粒体を処理対象としてもよい。
【0103】
粉粒体排出機構および粉粒体処理装置の細部の構成については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 粉粒体処理装置
9 樹脂ペレット
10 粉粒体処理容器
11 側面部
12 第1端面部
13 第2端面部
20 供給装置
30 加熱機構
34 赤外線ヒータ
40 回転駆動機構
41 ローラ
42 連結軸
43 支持台
44 モータ
45 ボールベアリング
50 輸送機構
60 制御部
71 フレーム
75 下流側装置
80 ガイド部材
81 ガイド部本体
82 レール部
83 スロープ
84 スロープ支持台
85 第2弾性部材
86 ヒンジピン
90 中心軸
91 回転軸
92 旋回軸
100 (粉粒体処理容器の)内部空間
111 (粉粒体処理容器の)内側排出口
112 (粉粒体処理容器の)周壁部
113 (粉粒体処理容器の)外側排出口
116 支持シャフト
117 開閉蓋
118 アーム
119 旋回シャフト
120 ローラ
121 旋回支持部
122 第1弾性部材
123 (粉粒体処理容器の)下端部
230 一方側係合部材
240 他方側係合部材
411 (回転駆動機構の)自転軸
831 (スロープの)不動端部
832 (スロープの)可動端部
870 第1空間
880 第2空間
O (粉粒体処理容器の内部空間の)中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10