(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133761
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/04 20210101AFI20240926BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20240926BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
F24C7/04 A
H05B6/12 304
F24C7/02 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043715
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】本間 満
(72)【発明者】
【氏名】和田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】関 真人
(72)【発明者】
【氏名】松崎 浩二
【テーマコード(参考)】
3K151
3L086
3L087
【Fターム(参考)】
3K151CA44
3L086AA01
3L086AA11
3L086AA12
3L086AA13
3L086BB15
3L086CB20
3L086DA24
3L087AA01
3L087AA02
3L087AA03
3L087AA04
3L087BB20
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】 理庫内の食品状態変化を動画として記憶保存し、調理後にユーザが動画を見たり編集したりできる加熱調理器を提供する。
【解決手段】 本体と、該本体内に設けた調理庫と、該調理庫内の食品を加熱するヒータと、前記調理庫内を撮影して映像信号を出力するカメラと、ユーザが操作する操作部と、前記操作部の入力に応じて前記ヒータと前記カメラを制御する制御部と、前記カメラが撮影した所定時間分の映像信号を動画データとして保存する記憶装置と、を備えた加熱調理器。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
該本体内に設けた調理庫と、
該調理庫内の食品を加熱するヒータと、
前記調理庫内を撮影して映像信号を出力するカメラと、
ユーザが操作する操作部と、
前記操作部の操作に応じて、前記ヒータと前記カメラを制御する制御部と、
前記カメラが撮影した所定時間分の映像信号を動画データとして保存する記憶装置と、
を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記記憶装置が前記本体に着脱可能であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記動画データを外部記憶装置に送信する通信装置を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記操作部の操作に応じて、前記記憶装置に保存する前記動画データのフレームレートを設定するfps制御部を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱調理器において、
前記操作部で調理設定を行う際に、前記フレームレートをユーザが設定できることを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項4に記載の加熱調理器において、
前記操作部で調理設定を行う際に、設定された調理メニューに応じて、前記フレームレートが自動設定されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記操作部の操作に応じて、前記動画データの解像度を設定する画質制御部を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記カメラが撮影した映像信号を表示する表示部を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項9】
請求項8に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、過去の動画データに基づき、過去の調理工程を再現するように、前記表示部で調理手順を案内することを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記制御部は、過去の動画データに基づき、過去の調理工程を改善するように、前記ヒータを制御することを特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記記憶装置に保存される動画データは、加熱開始から加熱停止までの動画データ、または、調理の後半の動画データであることを特徴とする加熱調理器。
【請求項12】
請求項11に記載の加熱調理器において、
前記記憶装置に保存された動画データは、古いものから順に、または、ユーザの選択により削除されることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理庫内の食品を撮影するカメラを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器の調理庫は、魚などの食品の上下両面を、調理庫内の上下に配置した熱源(シーズヒータやガスバーナーなど)により同時加熱するものが主流となっており、上下熱源の火力を個別に制御することで、多様なメニューの自動調理を実現している。このような自動調理を実現するため、調理庫内にはサーミスタ等の温度センサが備えられ、温度センサの検出値をもとにメニューに応じた火力制御が行われている。また、調理庫は、加熱調理器の正面側に開口部があり、その開口部を覆うようにドアが設けられ、ドア開閉により食品の出し入れを行う構成が一般的である。このドアは、耐熱性と意匠性の両面から正面側にガラス板を配置したものが多く、そのガラス板に調理庫内を観察する覗き窓の役割を担わせるものが多かった。
【0003】
近年、調理過程の映像をSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に投稿し、広く交流や共感を求めるユーザが増えつつある。そのようなユーザは、自身で準備したカメラやスマートフォン等を用い、ドアの覗き窓から調理庫内の食品の静止画や動画を撮影することが多かった。
【0004】
ここで、調理庫ドアにカメラを内蔵した加熱調理器として、特許文献1の例がある。同文献には、ドアの外面を構成する前板とドアの内面を構成するフレームの間にカメラと照明を備え、前板とフレームの少なくとも一方を不透光性材で構成することで、加熱調理器の庫外から庫内に入射する光の影響を低減し、質の高い加熱庫内の画像を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の加熱調理器は、ドア内蔵カメラで撮影中の映像を携帯端末の画面にリアルタイム表示することで、調理中の食品の現状を使用者に確認させるものにすぎない。そのため、特許文献1では、ドア内蔵カメラで撮影した映像を保存したり、食品の現状確認以外の用途に保存映像を使用したりすることに言及がなかった。
【0007】
そこで、本発明は、調理庫内の食品状態変化を動画として記憶保存し、調理後にユーザが動画を見たり編集したりできる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、本体と、該本体内に設けた調理庫と、該調理庫内の食品を加熱するヒータと、前記調理庫内を撮影して映像信号を出力するカメラと、ユーザが操作する操作部と、前記操作部の入力に応じて前記ヒータと前記カメラを制御する制御部と、前記カメラが撮影した所定時間分の映像信号を動画データとして保存する記憶装置と、を備えた加熱調理器としたことでる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器によれば、食品の調理過程を撮影した調理庫内の映像を、調理後にユーザが見たり編集したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の加熱調理器の実施例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、加熱調理器の一例として、調理庫を備えたビルトインタイプのIHクッキングヒータを例示するが、調理庫内を撮影するカメラを備えた調理器であれば、ビルトインタイプのガスコンロや据え置きタイプのIHクッキングヒータ、オーブンレンジ、トースター、フィッシュロースター、ジャー炊飯器などにも、本発明を適用することができる。
【実施例0012】
まず、本発明の実施例1に係る加熱調理器100の全体構成を概説した後、グリル庫5の詳細構造を説明する。
【0013】
<加熱調理器100の全体構成>
本実施例の加熱調理器100は、上面に載置した金属鍋の鍋底に渦電流を発生させ、渦電流によるジュール熱によって金属鍋自体を発熱させるIH(Induction Heating)機能と、調理庫内に収納した食品をヒータの放射熱で加熱するグリル機能を備えた調理器である。なお、各図に示すように、以下では、加熱調理器100に相対した使用者の視線を基準として、前後・上下・左右の各方向を定義する。
【0014】
図1は、加熱調理器100の斜視図、
図2は、
図1に示すA-A線で加熱調理器100を切断した正面断面図、
図3は、
図1に示すB-B線で加熱調理器100を切断した正面断面図、
図4は、
図1に示すC-C線で加熱調理器100を切断した側面断面図、
図5は、加熱調理器100の分解斜視図である。
【0015】
各図に示すように、加熱調理器100は、本体1、トッププレート2、加熱コイル3、基板4、グリル庫5、ファン装置6等を備えた調理器である。
【0016】
本体1は、誘導加熱調理器100を設置する空間(所定の左右幅・前後幅・高さ)に対応して外郭を有する金属筐体であり、上方が開放された箱状(凹状)を呈している。この本体1の上部は耐熱ガラス製のトッププレート2で覆われており、本体1の内部には、加熱コイル3、基板4、グリル庫5、ファン装置6等が内蔵されている。
【0017】
トッププレート2の上面には金属鍋の載置位置を示す鍋載置部21が三箇所に描かれている。また、トッププレート2の上面前側には、グリル機能の使用時に後述するカメラ56で撮影した映像を表示等するための表示部22と、加熱調理器100を操作するための操作部23が配置されている。表示部22や操作部23の操作部分(図示せず)は、例えば静電容量方式のタッチパネルで構成される。トッププレート2の後部には、後述するグリル庫5の排気ダクト55や、後述する吸気開口部H1を起点とする風路の出口である、排気開口部H2が設けられており、この上面を排気カバー24で覆っている。
【0018】
加熱コイル3は、鍋載置部21の下方に設けられており、鍋載置部21に載置した金属鍋を誘導加熱する。
【0019】
基板4上には、加熱コイル3に高周波電流を供給したり、ファン装置6を駆動したりする際に用いる、集積回路、インバータ回路、コンデンサ、抵抗器等が配置されている。
【0020】
グリル庫5は、本体1の正面左側に設けられている。このグリル庫5には、前後にスライドして食品(図示せず)を設置するための投入口(図示せず)を設けており、該投入口を覆うドア50を配置している。
【0021】
本体1の正面右側には、ドア50正面の広い面に略平らになるように位置合わせした正面パネル1aと、主電源をオンオフする電源スイッチ1bを配置している。なお、正面パネル1aはカンガルーポケット状にして、グリル庫5の加熱設定を行う操作部としてもよい。
【0022】
<グリル庫5の構成>
図2と
図3に示すように、本実施例のグリル庫5は、食品を出し入れする開口を前面に設けた、箱型の調理庫51を備えている。この調理庫51は、例えば、アルミニウム合金製の板をプレス加工によりそれぞれ所定の形状に成形した複数の部材をビスねじ等で組み立てて構成したものである。
【0023】
この調理庫51では、架台51aに載置した深皿状の調理パン53に食品を入れて調理を行う。調理パン53は、例えば、アルミニウム等の材料により上面視矩形状に形成された深皿であり、表面にフッ素コート剤などがコーティングされたものである。
【0024】
調理庫51内には、調理パン53を挟むように、ヒータ52(上ヒータ52a、下ヒータ52b)を設置しており、両ヒータのオンオフを個別制御することで、調理パン53内の食品の上下面を同時に、あるいは、交互に加熱することができる。ヒータ52は、例えば、調理庫51の上下壁面の外方に配置した面状の電熱ヒータ、または、調理庫51内に配置したシーズヒータである。なお、ヒータ52は、それぞれ前後あるいは左右に複数に分割した構成にすれば、調理庫51内の加熱分布を制御して食品の温度上昇を任意に制御できる。
【0025】
このグリル庫5では、調理庫51の左右下側に設けた一対のドアレール54により、調理庫51の前面開口を封鎖するためのドア50が前後方向にスライドして移動する構造となっている。調理パン53を載置するための架台51aは、ドアレール54を利用したドア50のスライドと連動して前後方向にスライドする。
【0026】
調理庫51の背面側上方には調理庫51内の油煙や蒸気などを排出する排気ダクト55を設けており、トッププレート2の後方に設けた排気開口部H2から排気する構成(
図3参照)となっている。
【0027】
図2に示すように、調理庫51の左側壁面の外方にはカメラ56を設けており、調理パン53内で加熱調理される食品などをカメラ56で撮像することができる。カメラ56は通風ダクト57内に設置しており、この通風ダクト57は基板カバー40内の空気を取り込む構成となっている。調理庫51はヒータ52による調理過程で温度上昇し、その熱漏洩に伴ってカメラ56が加熱されるが、通風ダクト57内を流れる冷却風により過熱防止できる。なお、
図3に示すように、本実施例では、調理パン53の前後方向の略中央にカメラ56を配置しているため、ドア内蔵カメラで調理庫内を前方から撮影する特許文献1とは異なり、調理パン53内の後側に置いた食品も、前側に置いた食品と同等の品質で撮像することができる。
【0028】
また、実施例1では、
図3に示すように、カメラ56と同じ調理庫51の壁面に例えばLEDなどの照明58を配置している。照明58は、カメラ56の映像を鮮明に撮るために設置されるものである。よって、調理庫51における照明58の設置位置、設置数量、光量などは、調理庫51の形状やカメラ56の位置により適宜配置されるものである。また、本実施例では、単にカメラ56や照明58を調理庫51の外方の通風ダクト57内に設置した構成であるが、庫内側にガラスなどを配置して、カメラ56や照明58の温度上昇を抑えた構造であっても差し支えない。
【0029】
<調理庫動画の保存システム>
図6は、実施例1の加熱調理器100の機能ブロック図である。ここに示すように、調理庫51に対しては、ヒータ52と、カメラ56と、照明58が設けられており、これらは制御部42を用いて制御される。カメラ56の出力である映像信号は、表示部22でリアルタイム表示されるとともに、映像信号のフレームレートを調整するfps制御部43を介して、例えばフラッシュメモリやハードディスク等の記憶装置44に動画データとして保存される。また、通信装置45は、ユーザの住居内に設置されたルータを介してネットワークと接続可能であるため、記憶装置44に保存された動画データは、通信装置45を介して、外部サーバ200や携帯端末300に送信することができる。なお、制御部42、fps制御部43、記憶装置44、通信装置45は、基板4、表示基板22a、操作基板23aのいずれかに設けてもよいし、別途に本体内に設置してもよい。
【0030】
外部サーバ200は、加熱調理器100の動作を管理する、例えばクラウド上の仮想サーバなどであり、ネットワークを介して、ユーザの携帯端末300とも通信可能である。外部サーバ200は、ネットワーク中のルータに含まれる情報処理部など、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングを行う情報処理部を含んでもよい。
【0031】
携帯端末300は、例えばスマートフォン等であり、外部記憶装置301と、種々の情報を表示可能な表示画面を含む表示装置(図示せず)と、ユーザの操作を受け付け可能な操作部(図示せず)とを含む。表示装置は、外部記憶装置301に保存された動画データの「表示部」となる。操作部は、例えば、表示装置の表示画面に重ねて設けられたタッチセンサである。なお、携帯端末300は、スマートフォン等に限定されず、携帯可能なパーソナルコンピュータやタブレットでもよい。
【0032】
<グリル調理の動作>
次に、グリル調理中に調理庫51内を撮影した動画を保存するシステムについて、
図1から
図6を参照しながら具体的に説明する。ここでは、調理庫51の調理パン53に載置された食品(図示せず)を加熱調理する場合を例に説明する。
【0033】
まず、ユーザは、ドア50を前方に引いて調理庫51の前面開口を開放し、食品を載置した調理パン53を調理庫51に入れた後、操作部23を操作して調理温度や調理時間等を設定するとともに、撮影する調理動画のフレームレートを設定し、操作部23のスタートボタン(図示せず)を押してグリル調理を開始する。そして、調理の開始とともに、本体1のファン装置6が駆動し、上ヒータ52a或いは下ヒータ52bが通電し、食品が加熱される。また、調理庫51内の照明58が点灯し、カメラ56による撮影が開始される。
【0034】
ここで、カメラ56のフレームレートの初期値は、例えば一般的なテレビ放送と同等の30fpsとしており、ユーザが任意のフレームレートに設定し直すことができる。調理時間が長いほど、撮影する調理動画のデータ量が大きくなるため、監視カメラ程度のフレームレート3~5fpsにしたり、撮影時間範囲を例えば調理の後半のみに限定したりするなど任意に設定ができる。ここで、調理動画のデータ容量の低減を図る設定により、記憶装置44の使用容量を抑える設定が望ましい。記憶装置44の最大記憶容量に対し、調理1回当たりの動画容量が大きい場合、保存できる回数が限られることとなる。調理中は、操作部23の設定に合わせて、カメラ56の映像信号をfps制御部43で調整し、記憶装置44に保存する。
【0035】
或いは加熱調理器100に予め設定された自動調理メニューを操作部23で設定した場合、加熱中に食品の形状や色合い等の状態変化が少ない調理前半はフレームレートを初期値より小さく、例えば煙の発生や焼き色の変化などの状態変化が生じやすい調理後半は初期値のフレームレートとした撮影設定とするような撮影条件を予め決めておいてもよい。また、この撮影設定を自動調理メニューの初期値としてユーザが各フレームレートや各時間範囲を調整できる構成としてもよい。
【0036】
調理の開始により、調理庫51内の調理パン53の温度が上昇して食品が加熱されるとともに、その熱気により調理庫51の雰囲気温度も上昇する。熱気は、カメラ56や照明58が配置された壁面側にも流れ、カメラ56や照明58の温度を上昇させる。
【0037】
ここで、
図4から自明なように、ファン装置6を駆動すると、インペラの吸い込み側にある吸気ダクト60内が負圧となり、吸気開口部H1から外気を吸い込む流れを構成する。ファン装置6から吹き出る空気は、基板台41と基板カバー40の間に配置した基板4に向かって流れ、更に流れの下流側に配置した、グリル庫5の通風ダクト57に流れ込む。通風ダクト57は、調理庫51の側方のカメラ56と照明58を収納した風路であり、基板4を介した空気がカメラ56と照明58に送風されるため、カメラ56と照明58を十分に冷却しながら、調理庫51内を撮影することができる。なお、本実施例において、カメラ56と照明58の冷却方法は関係なく、調理開始から終了まで調理庫51内の映像信号を安定して表示部22で確認できる構成であればよい。
【0038】
調理中の調理庫51内の様子はトッププレート2の表示部22に投影され、ユーザが他のキッチン作業をしながらでも調理庫51内の状況を把握できる。万一、当初の操作部での加熱設定と食品の仕上がり具合で差異がある場合、ドア50を引いて調理パン53を取り出すことがある。このような場合、加熱を停止するとともに、動画データの記録を停止させることで、ドア50が開放されるまでの一連の調理動画が記憶装置44に保存することができる。あるいは、ドア50に開閉スイッチを設け、ドア50の開いた際に録画を停止するように、ドア50開閉と録画を連動させてもよいし、録画のON/OFFは別途操作部23で切り替える構成としてもよい。
【0039】
調理の終了時には、例えば操作基板23aから報知音が流れユーザに終了を伝える。この際、一連の調理過程を撮影した動画データを記憶装置44に保存する。
【0040】
加熱調理器100は通信装置45を介して外部サーバ200と通信可能となっており、録画した動画データは操作部23で外部サーバ200の外部記憶装置201にコピーや移動して保管できる。あるいは、動画データを保存した後、自動的に加熱調理器100の記憶装置44から外部サーバ200の外部記憶装置201にコピーや移動させてもよい。外部記憶装置201は、記憶装置44に比べて記憶容量が大きい為、調理毎の動画データを大量に保存することができる。あるいは、記憶装置44は、動画データが蓄積された際、古い動画データから順に削除したり、或いは、ユーザが操作部23により選択したものを削除したりして、最大記憶容量に達しないように構成してもよい。
【0041】
本実施例では、調理開始前に、操作部23により調理動画のフレームレートを任意に設定できるため、調理後に通信装置45を介してコピーや移動させる動画データの容量を任意に設定し、例えばデータ移動が短時間で行えるように、フレームレートや調理撮影時間を決めることができる。
【0042】
外部サーバ200は携帯端末300と通信可能となっているため、外部記憶装置201から外部記憶装置301に動画データをコピーすることにより、携帯端末300の表示装置で調理動画を閲覧できる。また、携帯端末300に一般的な動画編集ソフトをインストールし、調理動画を編集することも可能である。ユーザは編集した動画をSNSに投稿したり、メールに添付したりして、家族や友人、あるいは他人との交流を深めることもできる。なお、加熱調理器100の記憶装置44から通信装置45を介して、携帯端末300の外部記憶装置301に動画データをコピーや移動することもできる。
【0043】
本発明に示す加熱調理器における調理庫動画の保存システムは、食品の調理過程を撮影した調理庫51内の動画を、容易にユーザの携帯端末300の外部記憶装置301にコピー或いは移動させ、調理後にユーザがその動画を見たり編集したりすることができる。また、ユーザは多様な調理動画を趣味の一環としてコレクションし、楽しむことができる。
【0044】
(変形例)
図7は、実施例1の変形例を示す機能ブロック図であり、加熱調理器100側のみを示している。
図7は、調理動画のデータ容量を制御する
図6のfps制御部43を、画質制御部46に置換したものである。画質制御部46では、カメラ56の映像信号の解像度を小さくして記憶装置44に保存する。つまり、表示部22での表示よりも画質が悪化する一方、データ容量を小さく抑えることができる。データのコピーや移動が容易になり、ユーザが扱いやすくなる。尚、
図6のfps制御部43と組み合わせ、ユーザが任意に動画の画質を調整する構成であってもよい。
【0045】
(他の変形例)
図8は、実施例1の変形例を示す機能ブロック図である。
図8は加熱調理器100の記憶装置44を、本体から着脱可能な記録媒体としたものである。本実施例では、記憶装置44が格納される収納部44aを設けており、記憶装置44が加熱調理器100から取り外し可能である。本変形例の構成によれば、加熱調理器100の収納部44aから取出した記憶装置44を、そのまま携帯端末300に挿入することで容易に動画データのコピーや移動ができ、利便性が向上する。
【0046】
ここで、記憶装置44が格納される収納部44aは、例えば本体1の正面パネル1aに設ければ、取り付けや取り出しが容易となることは言うまでもない。また、収納部44aに格納される記憶装置44以外に、別途本体内に主記憶装置(図示せず)を配し、記憶装置44が無くとも調理動画を保存できる構成としてもよい。
【0047】
したがって、
図8の加熱調理器100では、通信機能を有さず、サーバ200や携帯端末300と通信可能でなくてもよい。すなわち、本変形例では、サーバ200を省略してもよい。この場合は、加熱調理器100単独で「調理庫動画の保存システム」が構成される。
【0048】
以上で説明したように、本実施例の加熱調理器100によれば、調理庫51内をカメラ56で撮影した映像信号を、任意のデータ容量になるように調理前に設定して記憶装置44に保存することができ、ユーザが動画データをサーバ200や携帯端末300で管理し、調理後にユーザがその動画を見たり編集したりして、例えばSNS上での情報共有を通じて調理を楽しむことができる。
すなわち、本実施例では、過去の調理過程を示す動画データを基準として、操作部23で例えば以前のトースト調理時の焼き色より焦げ目を強くしたり、調理庫51の前後方向の焼きムラを低減したりするなど設定ができる。つまり、調理の目標を設定する上での基準が明確となり、その基準に対して例えば焼き色の濃淡や焼きムラなどの修正が容易となる。
これにより、過去に調理したメニューと同じメニューを調理する際、過去の仕上がりに対する改善が容易にでき、ユーザの好みにあった美味しい料理を作ることができる。また、ユーザが以前の失敗を繰り返し難くなり、食材の無駄を低減でき、調理時の負担が低減される。
本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。