(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133772
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】粉体補給装置および粉体補給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240926BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G03G15/08 322C
G03G21/00 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043735
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】糸山 元幸
(72)【発明者】
【氏名】成松 正恭
(72)【発明者】
【氏名】福本 章平
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA12
2H077AB02
2H077AB03
2H077AB13
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077BA02
2H077DA15
2H077DA36
2H077DA64
2H077DA78
2H077DA93
2H077EA03
2H077GA04
2H270KA22
2H270LA71
2H270LA79
2H270LA87
2H270MB28
2H270MB33
2H270RA10
2H270RB04
2H270RC11
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 トナーなどの粉体が収容される収容部内の当該粉体が補給対象要素へ補給される状態にあるかどうかに拘らず、当該収容部内の粉体の残量を常に正確に検知する。
【解決手段】 本発明に係るトナー補給装置38によれば、収容部としてのホッパ100(本体部102)には、ホッパ100内のトナー残量を検知するためのトナー残量センサ(112)が設けられる。このトナー残量センサ(112)が収容されるセンサケース(114、116)の窓部(114a、116a)は、ワイパ118によって清掃されるが、ワイパ118は、ホッパ100内のトナーを現像装置50へ補給するための搬送スクリュ110と共通のホッパモータ130により駆動される。特に、トナーカートリッジ(382)からホッパ100内にトナーが補給される際に、ホッパモータ130の駆動頻度に応じて、トナー残量の判定基準となるトナー残量判定閾値(Hbt)が設定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粉体が収容される第1収容部、
前記第1収容部に設けられるとともに当該第1収容部内の所定の領域に検知領域を形成する検知部を有し、当該検知領域における前記粉体を含む何らかの物体の有無に応じた検知信号を出力する検知手段、
前記検知部の表面を摺擦することにより当該検知部の表面を清掃する清掃部材、
前記第1収容部内の前記粉体を補給対象要素へ補給する補給部材、
前記清掃部材と前記補給部材とを一括して駆動させる第1駆動手段、
前記検知信号に基づいて、前記検知領域における前記粉体の有無を判定する判定手段、および、
前記第1駆動手段の状態に応じて、前記判定手段による判定基準を設定する設定手段を備える、粉体補給装置。
【請求項2】
前記設定手段は、所定の第1期間ごとに、当該第1期間における前記第1駆動手段の駆動頻度に応じた前記判定基準を設定する、請求項1に記載の粉体補給装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記検知領域における前記粉体を含む何らかの物体の有無に応じた2値の前記検知信号を出力し、
前記判定手段は、所定の第2期間ごとに、当該第2期間における前記検知信号が前記2値の一方を示す頻度に基づいて、前記粉体の有無を判定する、請求項1に記載の粉体補給装置。
【請求項4】
前記第1駆動手段によって駆動され、前記第1収容部内の前記粉体を攪拌する攪拌部材をさらに備える、請求項1に記載の粉体補給装置。
【請求項5】
前記清掃部材は、前記攪拌部材に設けられる、請求項4に記載の粉体補給装置。
【請求項6】
前記補給対象要素における前記粉体の消費量に基づいて、前記第1駆動手段を制御する第1制御手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記第1制御手段による前記第1駆動手段の制御状態に基づいて、当該第1駆動手段の状態を認識する、請求項1に記載の粉体補給装置。
【請求項7】
内部に前記粉体が収容される第2収容部、
前記第2収容部内の前記粉体を前記第1収容部へ補給する第2補給部材、
前記第2補給部材を駆動させる第2駆動手段、および、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記第2駆動手段を制御する第2制御手段をさらに備える、請求項1に記載の粉体補給装置。
【請求項8】
前記粉体は、トナーを含む、請求項1から7までのいずれかに記載の粉体補給装置。
【請求項9】
内部に粉体が収容される第1収容部、
前記第1収容部内に設けられるとともに当該第1収容部内の所定の領域に検知領域を形成する検知部を有し、当該検知領域における前記粉体を含む何らかの物体の有無に応じた検知信号を出力する検知手段、
前記検知部の表面を摺擦することにより当該検知部の表面を清掃する清掃部材、
前記第1収容部内の前記粉体を補給対象要素へ補給する補給部材、および、
前記清掃部材と前記補給部材とを一括して駆動させる第1駆動手段を備える粉体補給装置の制御方法であって、
前記検知信号に基づいて、前記検知領域における前記粉体の有無を判定する判定ステップ、および、
前記第1駆動手段の状態に応じて、前記判定ステップによる判定基準を設定する設定ステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉体補給装置および粉体補給装置の制御方法に関し、特に、電子写真方式の画像形成装置におけるトナーなどの粉体を現像装置などの補給対象要素へ補給する、粉体補給装置および粉体補給装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、粉体としてのトナーが収容されたトナーボトルから当該トナーを一時的に収容するトナー収容部を介して当該トナーが補給対象要素としての現像装置へ補給される。トナー収容部内には、当該トナー収容部内のトナーを現像装置への排出口に向けて搬送する搬送部材が設けられる。併せて、トナー収容部内には、当該トナー収容部内のトナーの有無を検知する、厳密には自身が設けられた位置(高さ位置)におけるトナーの有無を検知する、トナー検知手段が設けられる。このトナー検知手段によりトナー収容部内にトナーがないことが検知されたときに、換言すればトナー収容部内のトナーの残量が所定量に満たない不十分な状態にあるときに、トナーボトルから当該トナー収容部内へトナーが補給される。さらに、トナー収容部内には、当該トナー収容部内に収容されたトナーを攪拌する攪拌部材が設けられる。この攪拌部材によりトナーが攪拌されることで、トナーの流動性が保たれる。加えて、撹拌部材には、トナー検知手段の検知面を清掃する清掃部材が設けられる。この清掃部材が設けられた攪拌部材が駆動されると、清掃部材がトナー検出手段の検知面を摺擦し、これにより、当該検知面に付着したトナーが掻き落とされ、つまり当該検知面が清掃される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、トナー検知手段の検知面が清掃部材により清掃されるときに(その瞬間に)、当該清掃部材がトナー検知手段の検知面を横切る。このため特に、トナー収容部内のトナーの残量が不十分であるときに、トナー検知手段の検知面を清掃部材が横切ると、厳密にはそのタイミングでトナー検知手段の出力信号がサンプリングされると、当該トナー収容部内のトナーの残量が所定量に達していて十分な状態にあるものと誤検知される場合がある。またたとえば、トナー収容部内のトナーが攪拌部材により攪拌されると、当該トナーが飛散し(舞い上がり)、とりわけトナー収容部内のトナーの残量が不十分であるときに、この飛散したトナーがトナー検知手段により検知されることで、トナー収容部内のトナーの残量が十分であるものと誤検知される虞がある。さらに、特許文献1には明記されていないが、装置全体の低コスト化を図るために、攪拌部材は、搬送部材と共通のモータなどの駆動源により駆動されるものと思われる。このような構成においては、搬送部材が駆動されるときに、つまりトナー収容部内のトナーが現像装置へ補給されるときに、これと連動して、攪拌部材が駆動される。要するに、特許文献1に開示された技術では、トナー収容部内のトナーが現像装置へ補給される状態にあるときに、当該トナー収容部内のトナーの残量についての検知精度が低下する。言い換えれば、トナー収容部内のトナーが現像装置へ補給される状態にあるかどうかによって、当該トナー収容部内のトナーの残量についての検知精度が変わる。
【0005】
そこで、本開示は、トナーなどの粉体が収容される収容部内の当該粉体が補給対象要素へ補給される状態にあるかどうかに拘らず、当該収容部内の粉体の残量を常に正確に検知することができる、新規な粉体補給装置および粉体補給装置の制御方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本開示は、粉体補給装置に係る第1の開示、および、粉体補給装置の制御方法に係る第2の開示を含む。
【0007】
このうちの粉体補給装置に係る第1の開示は、第1収容部、検知手段、清掃部材、補給部材、第1駆動手段、判定手段および設定手段を備える。第1収容部の内部には、粉体が収容される。検知手段は、検知部を有する。検知部は、第1収容部内に設けられ、当該第1収容部内の所定の領域に、たとえば自身が設けられた位置(高さ位置)における水平な領域に、検知領域を形成する。そして、検知手段は、検知部により形成された検知領域における粉体を含む何らかの物体の有無に応じた検知信号を出力する。清掃部材は、検知手段の検知部の表面を摺擦することにより、当該検知部の表面を清掃する。補給部材は、第1収容部内の粉体を補給対象要素へ補給する。第1駆動手段は、清掃部材と補給部材とを一括して駆動させる。言い換えれば、清掃部材と補給部材とは、互いに連動して駆動される。さらに、判定手段は、検知手段から出力される検知信号に基づいて、検知部により形成される検知領域における粉体の有無を判定する。そして、設定手段は、第1駆動手段の状態に応じて、つまり第1駆動手段が駆動しているかどうかに応じて、換言すれば清掃部材と補給部材との駆動状態に応じて、判定手段による判定基準を設定する。
【0008】
なお、設定手段は、たとえば所定の第1期間ごとに、当該第1期間における第1駆動手段の駆動頻度に応じた判定基準を設定する。
【0009】
またたとえば、検出手段は、前述の検知領域における粉体を含む何らかの物体の有無に応じた2値の検知信号を出力する。この場合、判定手段は、所定の第2期間ごとに、当該第2期間における検知信号が2値の一方を示す頻度に基づいて、粉体の有無を判定してもよい。ここで言う第2期間は、前述の第1期間と等価(共通)であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0010】
さらに、本第1の開示においては、攪拌部材が、備えられてもよい。この攪拌部材は、第1駆動手段によって駆動され、つまり清掃部材と補給部材とに連動して駆動される。そして、攪拌部材は、第1収容部内の粉体を攪拌する。
【0011】
この攪拌部材が設けられる場合、清掃部材は、当該攪拌部材に設けられてもよい。
【0012】
加えて、本第1の開示においては、第1制御手段が、さらに備えられてもよい。第1制御手段は、補給対象要素における粉体の消費量(消費度合)に基づいて、第1駆動手段を制御する。この場合、設定手段は、第1制御手段による第1駆動手段の制御状態に基づいて、当該第1駆動手段の状態を認識してもよい。
【0013】
また、本第1の開示においては、第2収容部、第2補給部材、第2駆動手段および第2制御手段が、さらに備えられてもよい。第2収容部の内部には、粉体が収容される。そして、第2補給部材は、第2収容部内の粉体を第1収容部へ補給する。第2駆動手段は、第2補給部材を駆動させる。言い換えれば、第2補給部材は、清掃部材と補給部材とは独立して(別個に)駆動される。そして、第2制御手段は、判定手段による判定結果に基づいて、第2駆動手段を制御する。
【0014】
本第1の開示における粉体は、たとえばトナーを含む。この場合、補給対象要素は、たとえば現像装置である。
【0015】
本開示のうちの粉体補給装置の制御方法に係る第2の開示は、判定ステップおよび設定ステップを含む。ここで、粉体補給装置は、第1収容部、検知手段、清掃部材、補給部材、第1駆動手段、判定手段および設定手段を備える。第1収容部の内部には、粉体が収容される。検知手段は、検知部を有する。検知部は、第1収容部内に設けられ、当該第1収容部内の所定の領域に、たとえば自身が設けられた位置における水平な領域に、検知領域を形成する。そして、検知手段は、検知部により形成された検知領域における粉体を含む何らかの物体の有無に応じた検知信号を出力する。清掃部材は、検知手段の検知部の表面を摺擦することにより、当該検知部の表面を清掃する。補給部材は、第1収容部内の粉体を補給対象要素へ補給する。第1駆動手段は、清掃部材と補給部材とを一括して駆動させる。言い換えれば、清掃部材と補給部材とは、互いに連動して駆動される。その上で、判定ステップでは、検知手段から出力される検知信号に基づいて、検知部により形成される検知領域における粉体の有無を判定する。そして、設定ステップでは、第1駆動手段の状態に応じて、つまり第1駆動手段が駆動しているかどうかに応じて、換言すれば清掃部材と補給部材との駆動状態に応じて、判定ステップによる判定基準を設定する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、粉体が収容される第1収容部内の当該粉体が補給対象要素へ補給される状態にあるかどうかに拘らず、当該第1収容部内の粉体の残量を常に正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施例に係る画像形成装置の内部の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施例における現像装置の内部構造を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施例における画像形成部の一部の要素を抽出して示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例における中間ホッパの内部構造を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施例における中間ホッパの内部構造を示す別の図である。
【
図6】
図6は、第1実施例における中間ホッパの内部構造を示すさらに別の図である。
【
図7】
図7は、第1実施例における中間ホッパを後方から見た図である。
【
図8】
図8は、第1実施例に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1実施例におけるホッパモータ状態記憶領域の構成を概念的に示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施例におけるホッパモータ状態記憶領域の一状態の例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施例におけるトナー残量判定閾値テーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図12】
図12は、第1実施例におけるトナー残量判定タスクの一部分の流れを示すフロー図である。
【
図13】
図13は、第1実施例におけるトナー残量判定タスクの残りの部分の流れを示すフロー図である。
【
図14】
図14は、第1実施例における対ホッパ補給タスクの一部分の流れを示すフロー図である。
【
図15】
図15は、第1実施例における対ホッパ補給タスクの別の一部分の流れを示すフロー図である。
【
図16】
図16は、第1実施例における対ホッパ補給タスクの残りの部分の流れを示すフロー図である。
【
図17】
図17は、本開示の第2実施例における中間ホッパの内部構造を示す図である。
【
図18】
図18は、第2実施例における中間ホッパの内部構造の別の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
本開示の第1実施例について、
図1に示される画像形成装置10を例に挙げて説明する。
【0019】
本第1実施例に係る画像形成装置10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する、いわゆる複合機(MFP)である。なお、
図1は、使用可能な状態に設置された画像形成装置10の内部の構成を画像形成装置10の前方側から見た図である。すなわち、
図1における上下方向は、画像形成装置10の上下方向に対応する。そして、
図1における左右方向は、画像形成装置10の左右方向に対応する。さらに、
図1の紙面の手前側は、画像形成装置10の前方に対応する。そして、
図1の紙面の奥側は、画像形成装置10の後方に対応する。
【0020】
この画像形成装置10の上部には、画像読取手段としての画像読取部12が設けられる。画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿が載置される原稿台14を有する。原稿台14は、概略矩形平板状のガラスなどの透明部材により形成され、その両主面を水平方向に沿わせるように設けられる。そして、原稿台14の下方に、画像読取ユニット16が設けられる。詳しい説明は省略するが、画像読取ユニット16は、光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを有し、原稿台14の上面に画像形成装置10の前後方向に沿って延伸する直線状の画像読取位置Prを有する。さらに、原稿台14の下方には、画像読取ユニット16の画像読取位置Prを画像形成装置10の左右方向に沿って移動(走査)させるための不図示の駆動機構が設けられる。すなわち、原稿台14に原稿が載置された状態で、画像読取ユニット16の画像読取位置Prが駆動機構により移動されることで、当該原稿の画像が読み取られ、いわゆる固定読み方式により読み取られる。なお、画像形成装置10の前後方向は、主走査方向と呼ばれる。そして、画像形成装置10の左右方向は、副走査方向と呼ばれる。
【0021】
また、原稿台14の上方には、原稿台14に載置された原稿を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねる自動原稿送り装置(ADF)18が設けられる。自動原稿送り装置18は、原稿台14の上面を外部に露出させる状態と、原稿台14の上面を覆う状態とに、遷移可能に設けられる。このため、自動原稿送り装置18は、不図示のヒンジなどの適当な可動支持部材を介して画像形成装置10の本体(筐体)に結合される。なお、
図1は、自動原稿送り装置18が原稿台14の上面を覆った状態を示す。また、自動原稿送り装置18は、
図1に示される如く原稿台14の上面を覆った状態にあるときに、それ本来の機能を発揮する。
【0022】
自動原稿送り装置18は、原稿載置トレイ20を有する。この原稿載置トレイ20には、原稿が、厳密にはシート状の原稿が、載置可能であり、とりわけ複数枚の原稿が積層状に載置可能である。詳しい説明は省略するが、自動原稿送り装置18は、原稿載置トレイ20に載置された原稿を1枚単位で(1枚ずつ)取り込み、自動原稿送り装置18内の原稿搬送路22を搬送させる。その途中で、原稿は、画像読取位置Prを通過し、厳密には固定された状態にある画像読取位置Prを通過する。これにより、原稿の画像が読み取られ、いわゆる流し読み方式で読み取られる。その後、原稿は、原稿排出トレイ24に排出される。
【0023】
画像読取部12の下方には、画像形成手段としての画像形成部26が設けられる。この画像形成部26は、不図示のシート状の画像記録媒体、たとえば用紙に、前述の読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を形成する画像形成処理、いわゆる印刷を、担う。この印刷は、公知の電子写真方式により行われる。また、画像形成部26は、カラーの印刷を行うために、タンデム方式を採用する。
【0024】
具体的には、画像形成部26は、互いに異なる複数の色、たとえばイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の、不図示の単色トナー像を個別に形成するための4つの単色トナー像形成手段としてのプロセスユニット(「画像形成ステーション」と呼ばれることもある。)28,28,…を有する。併せて、画像形成部26は、各プロセスユニット28,28,…による単色トナー像の形成に必要な露光を行う露光手段としての露光装置30を有する。さらに、画像形成部26は、各プロセスユニット28,28,…により形成された各単色トナー像を後述する中間転写ベルト32上に順次転写し、この中間転写ベルト32上に転写されたトナー像を用紙に転写するための転写手段としての転写ユニット34を有する。加えて、画像形成部26は、用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させるための定着手段としての定着装置36を有する。さらに加えて、画像形成部26は、各プロセスユニット28,28,…の後述する各現像装置50,50,…に不図示のトナーを個別に補給するための4つのトナー補給装置38,38,…を有する。
【0025】
転写ユニット34は、中間転写ベルト(「1次転写ベルト」と呼ばれることもある。)32、中間転写ベルト32を回転させる駆動ローラ39、および、駆動ローラ39とともに中間転写ベルト32を張架する従動ローラ40を有する。さらに、転写ユニット34は、中間転写ベルト32の内側における各プロセスユニット28,28,…と対応する位置に設けられた4つの中間転写ローラ(「1次転写ローラ」と呼ばれることもある。)42,42,…、転写部材としての転写ローラ(「2次転写ローラ」と呼ばれることもある。)44などを有する。
【0026】
中間転写ベルト32は、駆動ローラ39および従動ローラ40によって張架される。駆動ローラ39は、不図示の中間転写ベルト用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において反時計回りに回転する。これに伴い、中間転写ベルト32が同じ方向へ回転(周回移動)するとともに、従動ローラ40もまた同じ方向へ回転する。中間転写ベルト32における駆動ローラ39と従動ローラ40との間の領域のうちの下側の領域32aは、水平方向に沿って張架されており、この水平方向に沿って張架された領域32aと対向するように、各プロセスユニット28,28,…が配置される。この中間転写ベルト32における各プロセスユニット28,28…が配置された領域32aは、中間転写領域と呼ばれる。この中間転写領域32aにおいては、中間転写ベルト32は、画像形成装置10の左側から右側へ向かって移動し、つまり副走査方向に沿って移動する。
【0027】
なお、中間転写ベルト32は、可撓性を持つ無端帯状体であり、カーボンブラックなどの導電性材料が適宜に配合された合成樹脂(たとえばポリイミドあるいはポリカーボネート)製である。また、詳しい説明は省略するが、従動ローラ40は、中間転写ベルト32に適宜の張力を付与することにより、中間転写ベルト32の弛みを防止する機能を兼ね備える。
【0028】
各プロセスユニット28,28,…は、中間転写ベルト32の中間転写領域32aの下方において、中間転写領域32aにおける中間転写ベルト32の移動方向に沿って、つまり副走査方向に沿って、一定の間隔を置いて設けられる。前述したように、これら各プロセスユニット28,28,…は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の単色トナー像を中間転写ベルト32上に個別に形成する。なお、
図1を含む各図からは分からないが、各プロセスユニット28,28,…は、中間転写領域32aにおける中間転写ベルト32の移動方向の上流側から下流側へ向かって(
図1における左側から右側へ向かって)、イエロー用、マゼンタ用、シアン用およびブラック用の順番で設けられる。ただし、この順番は、一例であり、これに限定されない。また、各プロセスユニット28,28,…は、互いに異なる色の単色トナー像を中間転写ベルト32に形成する以外は、互いに同じ構造である。
【0029】
それぞれのプロセスユニット28は、感光体ドラム46、帯電装置48、現像装置50、クリーニング装置52、不図示の除電装置などを有する。
【0030】
感光体ドラム46は、後述する静電潜像および単色トナー像を担持する像担持体であり、アルミニウムなどの導電性材料により形成された円筒状の基体を有する。この基体の表面(外周面)には、感光層が形成される。そして、感光体ドラム46は、中間転写領域32aにおいて、基体の表面を中間転写ベルト32の外側面に当接させるように設けられ、この状態で、不図示のドラム用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において時計回りに回転する。なお、感光体ドラム46は、中間転写ベルト32の移動速度に合わせた速度で回転し、厳密には基体の周速度が中間転写ベルト32の移動速度よりも僅かに、たとえば0.1%~0.3%ほど、低い速度で回転する。これは、感光体ドラム46の表面に後述する如く形成された単色トナー像が中間転写ベルト32の外側面に転写され易くするためであり、換言すれば当該単色トナー像が感光体ドラム46の表面から中間転写ベルト32の外側面に適切に転写されない現象、とりわけ文字の中抜け現象を、防止するためである。
【0031】
帯電装置48は、感光体ドラム46の表面を所定の電位に帯電する、帯電手段である。この帯電装置48によって所定の電位に帯電された感光体ドラム46の表面は、前述の露光装置30により露光される。露光装置30は、各プロセスユニット28,28,…の並びの下方に設けられ、それぞれのプロセスユニット28の感光体ドラム46の表面を、その下方から露光し、つまり印刷に供される画像データに応じた態様の光を感光体ドラム46の表面に照射する。これにより、感光体ドラム46の表面に、印刷に供される画像データに応じた態様の静電潜像が形成される。なお、露光装置30は、たとえば光源としての不図示のレーザダイオードや、偏向手段としてのポリゴンミラーなどを有するレーザスキャニングユニットであるが、これに代えて、光源としてのLEDが並べられたLEDアレイを有するLEDユニットが、露光装置30として採用されてもよい。
【0032】
現像装置50は、感光体ドラム46の表面に形成された静電潜像を現像する、現像手段の一例である。すなわち、現像装置50は、後述する如くトナーを撹拌することによって、当該トナーを帯電させ、この帯電されたトナーを感光体ドラム46上の静電潜像に付着させることで、当該静電潜像を単色トナー像に顕像化する、現像を行う。
【0033】
この現像装置50による現像によって顕像化された単色トナー像は、感光体ドラム46の表面と中間転写ベルト32の外側面との当接位置において、感光体ドラム46の表面から中間転写ベルト32の外側面に転写され、いわゆる中間転写(1次転写)される。そのために、中間転写ベルト32を挟んで感光体ドラム46と対向するように、中間転写ローラ42が設けられる。中間転写ローラ42は、自身の表面(外周面)を中間転写ベルト32の内側面に当接させるように設けられ、中間転写ベルト32が回転することによる駆動力を受けて回転し、つまり
図1において反時計回りに回転する。そして、中間転写ローラ42に不図示の中間転写電源から所定の中間転写電圧が印加されることで、感光体ドラム46の表面と中間転写ベルト32の外側面との間に転写電界が形成される。この転写電界の作用によって、感光体ドラム46上の単色トナー像が中間転写ベルト32上へ転写される。
【0034】
このような要領により、中間転写ベルト32上にイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の単色トナー像が個別に形成される。そして、これら4つの色の単色トナー像が互いに重なり合うことで、中間転写ベルト32上にカラーのトナー像が形成される。
【0035】
中間転写ベルト32上に形成された(カラーの)トナー像は、中間転写ベルト32と転写ローラ44との当接部分である転写ニップ部Ntにおいて、用紙に転写される。具体的には、転写ローラ44は、中間転写ベルト32を挟んで駆動ローラ39と対向する位置において、当該駆動ローラ39との間で中間転写ベルト32を押圧するように設けられる。そして、転写ローラ44は、中間転写ベルト32が回転することによる駆動力を受けて回転し、つまり
図1において時計回りに回転する。その上で、不図示の転写バイアス電源から駆動ローラ39へトナーの帯電極性と同極性の転写バイアス電流が印加される。これにより、中間転写ベルト32と転写ローラ44との間に、つまり転写ニップ部Ntに、転写電界が形成される。この状態で、転写ニップ部Ntを用紙が通過すると、中間転写ベルト32上のトナー像が当該用紙上へ転写される。
【0036】
クリーニング装置52は、感光体ドラム46上から中間転写ベルト32上に単色トナー像が転写された後の感光体ドラム46上の残留トナーを除去する、クリーニング手段である。そして、不図示の除電装置は、クリーニング装置52による残留トナー除去後の感光体ドラム46上の静電気を除去する、除電手段である。この除電手段による静電気の除去後、前述の帯電装置48による帯電以降の工程が繰り返される。
【0037】
定着装置36は、後述する用紙搬送路54に沿って搬送される用紙の搬送方向における転写ニップ部Ntよりも下流側に設けられる。前述したように、定着装置36は、用紙上のトナー像を当該用紙に定着させ、詳しくはトナー像を加熱して溶融し、さらには押圧することにより、当該トナー像を用紙に定着(熱定着)させる。そのために、定着装置36は、加熱ベルト56、加熱ローラ58、定着ローラ60、加圧ローラ62などを有する。
【0038】
加熱ベルト56は、可撓性を持つ無端帯状体であり、熱伝導性の高い合成樹脂(たとえばポリイミドあるいはポリカーボネート)製である。この加熱ベルト56は、加熱ローラ58および定着ローラ60によって張架される。加熱ローラ58は、熱伝導性の高い円筒状の基体(熱伝導層)を有し、その内部に熱源が設けられる。熱源は、ハロゲンランプなどのランプヒータであり、不図示のヒータ加熱用電源からの加熱用電力の供給を受けて加熱される。定着ローラ60は、円柱状のローラ部材であり、芯金と、芯金を覆う弾性層と、を有する。すなわち、加熱ローラ58および定着ローラ60は、互いに平行を成した状態で延伸するとともに、加熱ベルト56を張架し、つまり加熱ベルト56に内接する。そして、定着ローラ60は、不図示の加熱ベルト用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において反時計回りに回転する。これに伴い、加熱ベルト56が定着ローラ60と同じ方向へ回転(周回移動)し、加熱ローラ58もまた定着ローラ60と同じ方向へ回転する。
【0039】
加圧ローラ62は、円柱状のローラ部材であり、芯金と、芯金を覆う弾性層と、弾性層を覆う離型層と、を有する。そして、加圧ローラ62は、加熱ベルト56を挟んで定着ローラ60と対向する位置において、当該定着ローラ60との間で加熱ベルト56を押圧するように設けられる。すなわち、加圧ローラ62は、定着ローラ60の回転軸方向に沿って延伸するように、換言すれば加熱ベルト56の回転軸方向に沿って延伸するように、設けられる。この加圧ローラ62は、加熱ベルト56が回転することによる駆動力を受けて回転し、つまり
図1において時計回りに回転する。この加圧ローラ62による加熱ベルト56の押圧部分である定着ニップ部Nfは、後述する用紙搬送路54中に位置する。この定着ニップ部Nfを用紙が通過することにより、当該用紙上のトナー像が加熱されて溶融し、さらには押圧されて、当該用紙に定着される。
【0040】
なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、定着装置36は、加熱ベルト56の表面温度(定着温度)を検出するための温度センサを有する。この温度センサによる検出結果に基づいて、前述の熱源による加熱ローラ58の加熱温度が制御され、ひいては加熱ベルト56の表面温度が制御される。温度センサとしては、たとえばサーミスタが用いられるが、これに限らない。また、定着装置36として、加熱ベルト56が設けられずに、定着ローラ60が加熱ローラ58を兼ねるとともに、当該定着ローラ60と加圧ローラ62との直接的な当接部分が定着ニップ部Nfとされる構成のものが、採用されてもよい。
【0041】
それぞれのトナー補給装置38は、自身に対応する現像装置50の上方に設けられる。このトナー補給装置38については、後で詳しく説明するが、トナー補給装置38は、トナーカートリッジ382を有する。トナーカートリッジ382は、画像形成装置10に対して任意に着脱可能であり、そのために、画像形成装置10には、トナーカートリッジ382が装着される装着部63が設けられる。
【0042】
さらに、画像形成部26の下方に、換言すれば画像形成装置10内の下部に、給紙手段としての給紙部64が設けられる。給紙部64は、給紙カセット66を有し、この給紙カセット66には、複数枚の用紙が積層状に収容可能である。併せて、給紙部64は、ピックアップローラ68を有する。そして、給紙部64は、給紙カセット66に収容された用紙をピックアップローラ68により1枚単位で取り出し、用紙搬送路54へ供給する。
【0043】
用紙搬送路54は、給紙部64から転写ニップ部Ntおよび定着ニップ部Nfを介して排紙トレイ70への排紙口72へ至るように設けられる。そして、用紙搬送路54の適宜の位置には、給紙部64から排紙口72へ向けて当該用紙搬送路54に沿って用紙を搬送させるための複数の搬送ローラ(厳密にはローラ対)74,74,…が設けられる。なお、各搬送ローラ74,74,…のうち、用紙搬送路54における用紙の搬送方向の転写ニップ部Ntよりも上流側であって、転写ニップ部Ntに最も近い位置に設けられた搬送ローラ74aは、用紙を転写ニップ部Ntへ突入させるタイミングを計るためのレジストローラ(「ペーパストップローラ」と呼ばれることもある。)である。また、各搬送ローラ74,74,…のうち、用紙搬送路54における用紙の搬送方向の最下流側に設けられた、つまり排紙口72の近傍に設けられた、搬送ローラ74bは、排紙口72を介して排紙トレイ70へ用紙を排出するための排紙ローラである。なお、排紙トレイ70は、画像読取部12と画像形成部26との間に設けられ、いわゆる胴内空間に設けられるが、これに限定されない。
【0044】
加えて、画像形成装置10内には、両面印刷用の搬送路76が設けられる。この両面印刷用の搬送路76は、一旦、定着ニップ部Nfを通過した用紙を、つまり印刷された後の用紙を、取り込んで、改めて当該用紙を印刷に供するための搬送路である。すなわち、両面印刷用の搬送路76に取り込まれた用紙は、当該搬送路76を経由して改めて用紙搬送路54に供給され、詳しくはレジストローラ74aの上流側に供給される。これにより、レジストローラ74aの上流側に供給される用紙は、その表裏が反転された状態となる。そして、この表裏が反転された用紙に対して印刷が行われ、いわゆる両面印刷が実現される。この両面印刷用の搬送路76の適宜の位置にも搬送ローラ(厳密にはローラ対)78が設けられる。
【0045】
また、画像形成装置10の右側面には、手差しトレイ80が設けられる。この手差しトレイ80には、複数枚の用紙が積層状に載置可能である。給紙部64は、この手差しトレイ80が用紙の供給元として指定された場合は、当該手差しトレイ80から用紙を1枚単位で用紙搬送路54へ供給する。
【0046】
さらにまた、給紙部64は、不図示のオプションの給紙カセットを有する場合がある。このオプションの給紙カセットは、給紙カセット66の下方に設けられる。そして、給紙部64は、オプションの給紙カセットが用紙の供給元として指定された場合は、当該オプションの給紙カセットから用紙を1枚単位で用紙搬送路54へ供給する。なお、オプションの給紙カセットからの用紙を用紙搬送路54へ供給するためのオプション用搬送ローラ(厳密にはローラ対)82が適宜の位置に設けられる。
【0047】
さて、現像装置50に注目すると、現像装置50は、
図2に示されるように、第1室502および第2室504という2つの空間から成るトナー収容室506を有する。このトナー収容室506は、現像装置50の筐体507によって形成される。
【0048】
第1室502および第2室504は、互いに平行を成して画像形成装置10の前後方向に沿って延伸する細長い空間である。これら第1室502および第2室504は、仕切り壁508によって互いに仕切られるとともに、それぞれの前後方向における端部近傍に設けられた不図示の2つの連通部を介して互いに連通する。第1室502には、第1搬送部材としての第1搬送スクリュ510が設けられ、第2室504には、第2搬送部材としての第2搬送スクリュ512が設けられる。そして、これら第1室502および第2室504には、トナーを含む不図示の現像剤が収容される。現像剤は、トナーの他にキャリアを含む2成分系の現像剤である。なお、トナーは、非磁性体であり、キャリアは、磁性体である。
【0049】
第1搬送スクリュ510および第2搬送スクリュ512は、不図示の現像用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、厳密には不図示の駆動力伝達部材としての適当なギアを介して当該駆動力を受けて回転する。これにより、第1室502および第2室504内の現像剤が、第1室502および第2室504間を前述の2つの連通部を介して巡回するように搬送される。その際、現像剤は、つまり当該現像剤に含まれるトナーおよびキャリアは、攪拌されて、その摩擦により帯電する。
【0050】
このようにして帯電した現像剤は、第2室504の上方に設けられた現像ローラ514内の不図示の磁石による磁力により現像ローラ514の表面に吸着される。現像ローラ514は、自身の表面を感光体ドラム46の表面に近接させた状態で設けられ、前述の現像用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば感光体ドラム46とは反対方向へ回転し、つまり
図2において反時計回りに回転する。この現像ローラ514が回転することに伴って、現像ローラ514の表面の現像剤が感光体ドラム46の表面の近傍にまで運ばれる。その際、現像ローラ514の表面の現像剤の厚さが、層規制ブレード516により一様に規制される。そして、現像ローラ514の表面の現像剤のうちのトナーのみが、感光体ドラム46の表面の静電潜像に付着して、当該静電潜像がトナー像に顕像化され、つまり現像が行われる。このとき、現像ローラ514には、不図示の現像バイアス電源から適当な現像バイアス電圧が印加される。その後、現像ローラ514の表面の現像剤は、現像ローラ514が回転することに伴って、さらに第2室504へ向けて運ばれ、第2室504へ戻される。第2室504へ戻された現像剤は、改めて第2室504および第1室502間を搬送されながら攪拌される。
【0051】
この現像装置50による現像が行われることで、現像装置50内のトナーが、厳密にはトナー収容室506内のトナーが、消費される。このトナーの消費分を補うために、
図2に白抜きの矢印518で示されるように、現像装置50内に、詳しくは第1室502内に、前述のトナー補給装置38によりトナーが補給される。また、トナーの補給先となる第1室502の後方側の端部近傍の上部には、当該トナーの受入口520が設けられる。
【0052】
このトナー補給装置38による現像装置50内へのトナーの補給要領について、より詳しく説明すると、現像装置50の適宜の位置に、たとえば第1室502の下方に、現像装置50(厳密には第1室502)内の現像剤に含まれるトナーの濃度(キャリアに対するトナーの質量比)を検出するためのトナー濃度検出手段としてのトナー濃度センサ530が設けられる。このトナー濃度センサ530は、いわゆる透磁率センサであり、現像剤の透磁率を測定することにより、当該現像剤に含まれるキャリアのかさ密度を検出し、ひいてはトナー濃度を検出する。このトナー濃度センサ530によるトナー濃度検出値が所定の基準下限値を下回ったときに、トナー補給装置38による現像装置50内へのトナー補給が開始される。そして、トナー濃度センサ530によるトナー濃度検出値が基準下限値よりも高い所定の基準値と等価になると、トナー補給装置38による現像装置50内へのトナー補給が停止される。これにより、現像装置50内のトナー濃度が一定の範囲内に保たれ、ひいては現像装置50によるトナーの消費分が補われる。なお、トナー濃度センサ530は、画像形成装置10の前後方向において、受入口520から離れた位置に設けられる。また、トナー濃度センサ530は、第2室504の下方に設けられてもよい。
【0053】
さらに、トナー補給装置38に注目すると、トナー補給装置38は、
図3に示されるように、トナーカートリッジ382、トナーカートリッジ382が結合されるトナー補給部384、および、トナー補給部384と現像装置50との間に設けられる中間ホッパ(以下、単に「ホッパ」と称する。)100を有する。なお、
図3は、画像形成部26を構成する各要素のうちのトナー補給装置38および現像装置50を抽出して示す図である。
【0054】
トナーカートリッジ382は、細長い概略直方体状の筐体386を有し、この筐体386内、言わばトナーカートリッジ382内(厳密には新品のトナーカートリッジ382内)には、トナーが充填されている。このトナーカートリッジ382は、前述(
図1)の装着部63に装着されることで、トナー補給部384に結合される。また、トナーカートリッジ382は、不図示の排出口を有する。このトナーカートリッジ382の排出口は、トナーカートリッジ382がトナー補給部384に結合されたときに、ホッパ100の後述する受入口104と対向するように設けられる。さらに、トナーカートリッジ382内には、搬送スクリュ388が設けられる。この搬送スクリュ388は、後述するトナーモータ390からの駆動力を受けて回転することで、トナーカートリッジ382内のトナーをトナーカートリッジ382の排出口へ向けて搬送し、ひいては当該排出口およびホッパ100の受入口104を介してホッパ100へ補給する。
【0055】
ホッパ100は、トナーカートリッジ382から補給されたトナーが一時的に収容される本体部102を有する。そして、ホッパ100は、本体部102内のトナーを現像装置50内へ補給する。すなわち、トナーカートリッジ382内のトナーは、ホッパ100を介して現像装置50内へ補給される。
【0056】
このホッパ100について、
図4~
図7を参照してさらに詳しく説明する。なお、
図4は、ホッパ100の本体部102を含むホッパ100の内部構造を示す図である。また、
図5は、ホッパ100を画像形成装置10の前方側から見た図であり、とりわけ本体部102の内部構造を示す図である。さらに、
図6は、
図5におけるA-A矢視断面図であり、つまり本体部102の内部構造を画像形成装置10の右方側から見た図である。そして、
図7は、ホッパ100を画像形成装置10の後方側から見た図である。
【0057】
本体部102は、ホッパ100の筐体により形成され、これを画像形成装置10の前方側または後方側から見ると概略U字状であり(特に
図5参照)、画像形成装置10の横方から見ると上下方向に長い概略矩形状である(特に
図6参照)。そして、本体部102の上部の適宜の位置に、トナーカートリッジ382から補給されるトナーを受け入れる受入口104が設けられる。前述したように、トナーカートリッジ382がトナー補給部384に結合されると、受入口104は、トナーカートリッジ382の排出口と対向する。
【0058】
また、本体部102内には、当該本体部102内に収容されたトナーを攪拌するための攪拌部材106が設けられる。この攪拌部材106は、画像形成装置10の前後方向に沿って延伸する回転軸106aによって支持されるとともに、回転軸106aを中心として回転可能に設けられる。そして、攪拌部材106は、後述するホッパモータ130からの駆動力を受けて回転することで、本体部102内のトナーを攪拌する。この攪拌部材106により本体部102内のトナーが攪拌されることによって、当該トナーの流動性が保たれる。なお、攪拌部材106は、本体部102内のトナーを攪拌するのに好適な形状とされ、たとえば概略格子状とされる。また、攪拌部材106を支持する回転軸106aは、本体部102内の中央部よりも少し下方の位置に設けられる。
【0059】
さらに、本体部102の下方に、厳密には当該本体部102の真下から画像形成装置10の前方側へ少しずれた位置に、トナーの排出口108が設けられる(特に
図6参照)。この排出口108は、現像装置50のトナーの受入口520と連通する。
【0060】
併せて、本体部102の下方に、搬送スクリュ110が設けられる。この搬送スクリュ110は、その回転中心がおおむね画像形成装置10の前後方向に沿って延伸するように、換言すれば本体部102の下方の位置から排出口108の上方の位置に向かって延伸するように、設けられる。また、搬送スクリュ110は、その回転中心が画像形成装置10の前方に向かって少し上方へ傾斜するように設けられる。この搬送スクリュ110もまた、後述するホッパモータ130からの駆動力を受けて回転する。この搬送スクリュ110が回転することにより、本体部102内のトナーが排出口108に向けて搬送され、ひいては当該排出口108および現像装置50の受入口520を介して現像装置50内へ補給される。すなわち、トナーカートリッジ382からホッパ100の本体部102内に補給されたトナーは、
図4に破線の矢印111で示されるような経路で現像装置50内へ補給される。
【0061】
加えて、本体部102内には、当該本体部102内のトナーの残量を検知するためのトナー残量センサ112が設けられる。このトナー残量センサ112は、たとえば透過型の光電センサであり、一対の発光素子112aおよび受光素子112bを有する。これら発光素子112aおよび受光素子112bは、本体部102内の上部寄りの位置であって、つまり攪拌部材106よりも上方の位置であって、互いに同じ高さ位置に設けられる。また、発光素子112aおよび受光素子112bは、画像形成装置10の前後方向において互いに距離を置いて対向するように設けられる。このように設けられた発光素子112aおよび受光素子112bは、これら両者間を結ぶ直線状の光伝播路を形成し、換言すれば当該発光素子112aおよび受光素子112bが設けられた高さ位置において水平な検知領域を形成する。
【0062】
したがって、受光素子112bの出力信号に基づくことで、厳密には受光素子112bの出力信号に増幅処理などの適当な信号処理が施された後のトナー残量検知信号Saに基づくことで、本体部102内のトナーの量、言わばトナー残量を、検知することができる。なお、トナー残量検知信号Saは、2値信号である。具体的にはたとえば、発光素子112aおよび受光素子112b間の光伝播路上にトナーを含む何らかの物体が存在して当該光伝播路が遮断される場合、つまりトナー残量センサ112によってトナーを含む何らかの物体が検知された場合は、トナー残量検知信号Saは、Highレベルとなる。一方、発光素子112aおよび受光素子112b間の光伝播路上にトナーを含め何らの物体も存在せず当該光伝播路が遮断されない場合、つまりトナー残量センサ112によってトナーを含め何らの物体も検知されない場合は、トナー残量検知信号Saは、Lowレベルとなる。このようなトナー残量センサ112は、受光素子112bの出力信号からトナー残量検知信号Saを生成するための回路や、発光素子112aを駆動するための回路などの、適宜の回路を含む。
【0063】
また、発光素子112aおよび受光素子112bは、個別のセンサケース114および116内に収容される。そして、発光素子112aが収容されるセンサケース114の受光素子112bと対向する部分には、当該発光素子112aからの発光光に対して透過特性を有する平板状の窓部114aが設けられる。これと同様に、受光素子112bが収容されるセンサケース116の発光素子112aと対向する部分には、当該受光素子112bによる受光光に対して透過特性を有する平板状の窓部116aが設けられる。なお、発光素子112a(およびセンサケース114)は、たとえば画像形成装置10の前方側に設けられ、受光素子112b(およびセンサケース116)は、画像形成装置10の後方側に設けられるが(特に
図6参照)、これに限らない。
【0064】
さらに、本体部102内の上部であって、各センサケース114および116間の位置には、各センサケース114および116の窓部114aおよび116aの外側面を清掃するためのワイパ118が設けられる。このワイパ118は、概略矩形平板状の部材であり、その一側縁部を基部として、当該基部を画像形成装置10の前後方向に沿わせた状態で設けられる。また、ワイパ118の基部には、画像形成装置10の前後方向に沿って延伸する回転軸118aが設けられる。すなわち、ワイパ118は、回転軸118aによって支持されるとともに、当該回転軸118aを中心として回転可能に設けられる。そして、ワイパ118は、攪拌部材106および搬送スクリュ110と共通の駆動源である後述するホッパモータ130からの駆動力を受けて回転し、厳密には
図5に矢印120で示されるように、一定の範囲内で揺動する。
【0065】
このようにしてワイパ118が揺動する途中で、ワイパ118の側縁部のうちの基部に対して直角な2つの側縁部の一方が、発光素子112aが収容されるセンサケース114の窓部114aに対向し、当該2つの側縁部の他方が、受光素子112bが収容されるセンサケース116の窓部116aに対向する。そして、センサケース114の窓部114aに対向するワイパ118の側縁部には、当該側縁部に沿って可撓性部材118bが設けられ、この可撓性部材118bは、センサケース114の窓部114aを摺擦し、これにより、窓部114aが清掃される。これと同様に、センサケース116の窓部116aに対向するワイパ118の側縁部にも、当該側縁部に沿って可撓性部材118cが設けられ、この可撓性部材118cは、センサケース116の窓部116aを摺擦し、これにより、窓部116aが清掃される。なお、可撓性部材118bおよび118cは、たとえばニトリルゴム製であるが、ウレタンゴムやシリコンゴムなどの他の素材製であってもよい。また、ワイパ118の中央部には、その一方主面から他方主面へ貫通する貫通孔118dが設けられる。この貫通孔118dが設けられることで、ワイパ118上へのトナーの堆積が防止される。
【0066】
前述したように、攪拌部材106、搬送スクリュ110およびワイパ118は、互いに共通の駆動源であるホッパモータ130からの駆動力を受けて駆動されるが、このホッパモータ130は、たとえば本体部102の上方の適当な位置に設けられ、詳しくは画像形成装置10の後方寄りの位置に設けられる。なお、ホッパモータ130は、たとえば直流モータであるが、これに限らない。
【0067】
このホッパモータ130の駆動力は、とりわけ
図7に示されるように、ウォームギア140、第1の中間ギア142および第2の中間ギア144を介して、ワイパ用駆動ギア146へ伝達される。ワイパ用駆動ギア146は、案内ピン146aを有し、この案内ピン146aは、概略棒状の連結部材148に設けられた直線状の長孔である案内孔148aと係合される。そして、連結部材148の一方端部は、ワイパ118の回転軸118aに固定される。この構成によれば、ワイパ用駆動ギア146が回転すると、これに伴って、案内ピン146aが連結部材148の案内孔148aに沿って案内された状態でワイパ用駆動ギア146の回転軸を中心として回転する。これにより、連結部材148の他方端部側が上下方向に沿って移動し、その結果、ワイパ118が前述の如く揺動する。
【0068】
さらに、ワイパ用駆動ギア146へ伝達された駆動力は、攪拌部材用駆動ギア150へ伝達される。この攪拌部材用駆動ギア150が回転することに伴い、攪拌部材106が前述の如く回転する。
【0069】
加えて、攪拌部材用駆動ギア150へ伝達された駆動力は、第3の中間ギア152を介して搬送スクリュ用駆動ギア154へ伝達される。そして、搬送スクリュ用駆動ギア154が回転することに伴い、搬送スクリュ110が前述の如く回転する。
【0070】
ここで、
図8を参照して、画像形成装置10の電気的な構成について説明する。
【0071】
図8に示されるように、画像形成装置10は、制御部200を有する。そして、制御部200に、バス202を介して、画像読取部12、自動原稿送り装置18、画像形成部26および給紙部64が接続される。併せて、制御部200には、バス202を介して、操作ユニット204、補助記憶部206、通信部208などが接続される。なお、画像形成装置10は、これら以外にも、種々の要素を備えるが、ここでは、本開示の本旨に直接的に関係しない要素についての図示および説明は省略してある。また、画像読取部12、自動原稿送り装置18、画像形成部26および給紙部64については、前述した通りある。特に、画像形成部26は、トナーモータ390、ホッパモータ130、トナー残量センサ112およびトナー濃度センサ530を有する。
【0072】
制御部200は、画像形成装置10全体の制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部200は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU200aを、有する。併せて、制御部200は、CPU200aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部200bを有する。主記憶部200bは、たとえば不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU200aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。そして、RAMは、CPU200aが制御プログラムに従う処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0073】
操作ユニット204は、不図示のタッチパネル付きのディスプレイを有する。タッチパネル付きのディスプレイは、不図示のユーザによる操作を受付可能な操作受付手段の一例としてのタッチパネルと、各種の情報を表示する表示手段の一例としてのディスプレイと、が一体的に組み合わされた構成品である。また、操作ユニット204は、タッチパネル付きのディスプレイの他に、不図示のLEDなどの適宜の発光手段、および、不図示の押しボタンなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。
【0074】
補助記憶部206は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部206には、前述の読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部206は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部206は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0075】
通信部208は、通信手段の一例である。すなわち、通信部208は、不図示のLAN回線を介しての双方向の通信処理を担う。なお、通信部208は、LAN回線と有線により接続されてもよいし、無線により接続されてもよい。また、通信部208は、不図示の公衆交換電話網を介しての双方向の通信処理をも担う。
【0076】
ところで、ワイパ118が各センサケース114および116の窓部114aおよび116aの外側面を清掃する際、当該ワイパ118は、短時間ではあるが、発光素子112aおよび受光素子112b間の光伝播路を横切り、つまり当該光伝播路を遮断する。ここでたとえば、ワイパ118が一往復するのに要する時間、言わば揺動周期は、約2秒であるのに対して、トナー残量検知信号Saのサンプリング周期Taは、0.02秒(20ms)であり、ワイパ118の揺動周期よりも遙かに短い。したがって、ワイパ118が発光素子112aおよび受光素子112b間の光路伝播路を横切っている最中に、トナー残量検知信号Saがサンプリングされる場合がある。このため特に、ホッパ100(本体部102)内のトナー残量が所定量(発光素子112aおよび受光素子112bの高さ位置)に満たない不十分な状態にあるときに、つまり本来ならばトナー残量検知信号SaがLowレベルであるときに、ワイパ118が駆動されると、Highレベルのトナー残量検知信号Saがサンプリングされる場合がある。ゆえに、ワイパ118が駆動されているときには、単にトナー残量検知信号Saのレベルのみからホッパ100内のトナー残量を正確に検知することはできない。
【0077】
また、ワイパ118が駆動されているときは、これと連動して、攪拌部材106も駆動される。この攪拌部材106が駆動されると、つまり攪拌部材106によりホッパ100内のトナーが撹拌されると、ホッパ100内で当該トナーが飛散する(舞い上がる)。そして特に、ホッパ100内のトナー残量が不十分な状態にあるときに、この飛散したトナーにより発光素子112aおよび受光素子112b間の光伝播路が遮断されて、本来ならばLowレベルであるトナー残量検知信号SaがHighレベルとなり、このHighレベルのトナー残量検知信号Saがサンプリングされる虞がある。このこともまた、単にトナー残量検知信号Saのレベルのみからホッパ100内のトナー残量を正確に検知することができない要因となる。
【0078】
さらに、ワイパ118および攪拌部材106が駆動されているときには、これと連動して、搬送スクリュ110も駆動される。要するに、ワイパ118、攪拌部材106および搬送スクリュ110の駆動源であるホッパモータ130が駆動されているかどうかによって、換言すればホッパ100内から現像装置50内へトナーが補給されている状態にあるかどうかによって、ホッパ100内のトナー残量についての検知精度が変わる。
【0079】
この不都合を回避するために、本第1実施例においては、次のような要領によりホッパ100内のトナー残量が検知される。
【0080】
すなわちたとえば、ホッパ100内から現像装置50内へトナーが補給されている状態にあるとき、つまりホッパモータ130が駆動されているときは、制御部200は、ホッパ100内のトナー残量を確認するトナー残量確認モードとなる。このトナー残量確認モードにおいては、所定のトナー残量確認期間にわたって、トナー残量検知信号Saがサンプリングされる。このトナー残量確認期間は、たとえば2秒であり、つまりトナー残量検知信号Saのサンプリング回数に換算して100(=2秒/0.02秒)回分である。なお、2秒というトナー残量確認期間は、ワイパ118の揺動周期とおおむね等価である。
【0081】
そして、このトナー残量確認期間における100回のサンプリングのうちHighレベルのトナー残量検知信号Saがサンプリングされた回数、言わばHighレベル回数Haが、カウントされる。さらに、Highレベル回数Haと、所定のトナー残量判定閾値Hatとが、互いに比較される。この比較において、Highレベル回数Haがトナー残量判定閾値Hat以上(Ha≧Hat)である場合に、ホッパ100内のトナー残量が十分であるものと判定される。この場合、ホッパモータ130が駆動中であることを条件として、改めて同じ要領によりトナー残量が確認される。一方、Highレベル回数Haがトナー残量判定閾値Hat未満(Ha<Hat)である場合は、ホッパ100内のトナー残量が不十分であるものと判定される。この場合、制御部200は、トナー残量確認モードから次に説明する対ホッパ補給モードへ遷移する。
【0082】
なお、トナー残量判定閾値Hatは、たとえば80であり、この値は、トナー残量確認期間における100回のサンプリングのうちワイパ118により発光素子112aおよび受光素子112b間の光伝播路が遮断される回数(約30回)を考慮して、実験(実測)により定められる。また、トナー残量確認モードによるトナー残量の確認が行われている最中に、ホッパモータ130が停止されると、制御部200は、当該トナー残量確認モードによると残量の確認を中断して、トナー残量確認モードから対ホッパ補給モードへ遷移する。そして、後述する如く改めて対ホッパ補給モードからトナー残量確認モードへ遷移する場合は、制御部200は、中断されていたところから当該トナー残量確認モードによるトナー残量の確認を再開する。さらに、ホッパモータ130が停止される際には、ワイパ118が発光素子112aおよび受光素子112b間の光伝播路を遮断しない位置にある状態で、ホッパモータ130が停止される。
【0083】
対ホッパ補給モードにおいては、トナーモータ390が駆動されることで、トナーカートリッジ382内からホッパ100内へトナーが補給される。一方、ホッパモータ130については、駆動される場合もあれば、駆動されない場合もあり、つまり前述のトナー濃度センサ530によるトナー濃度検出値に応じて、換言すれば現像装置50内のトナーの消費度合に応じて、適宜に制御される。
【0084】
また、対ホッパ補給モードにおいても、所定のトナー残量確認期間にわたって、トナー残量検知信号Saがサンプリングされる。この対ホッパ補給モードにおけるトナー残量確認期間は、たとえば1秒であり、つまりトナー残量検知信号Saのサンプリング回数に換算して50(=1秒/0.02秒)回分である。そして、このトナー残量確認期間における50回のサンプリングのうちHighレベルのトナー残量検知信号Saがサンプリングされた回数であるHighレベル回数Hbがカウントされる。さらに、Highレベル回数Hbと、所定のトナー残量判定閾値Hbtとが、互いに比較される。ただし、この対ホッパ補給モードにおけるトナー残量判定閾値Hbtは、ホッパモータ130の駆動頻度に応じて適宜に設定される。
【0085】
そのために、対ホッパ補給モードにおいては、所定のホッパモータ状態確認期間が経過するごとに、ホッパモータ130の状態が確認され、つまりホッパモータ130が駆動されているかどうかの確認が行われる。この確認は、制御部200自身によるホッパモータ130の制御状態に基づいて行われる。そして、確認結果は、
図9に示されるホッパモータ状態記憶領域600にFIFO方式で記憶される。具体的にはたとえば、ホッパモータ130が停止中である場合は、0という値が記憶され、ホッパモータ130が駆動中である場合は、1という値が記憶される。なお、ホッパモータ状態記憶領域600は、たとえば主記憶部200bのRAM内に設けられるが、補助記憶部206内に設けられてもよい。また、ホッパモータ状態確認期間は、トナー残量確認期間よりも短く、たとえば0.2秒であり、つまりトナー残量検知信号Saのサンプリング回数に換算して10(=0.2秒/0.02秒)回分であり、換言すればトナー残量確認期間の5分の1(整数分の1)の長さである。したがって、トナー残量確認期間中に5回分のホッパモータ130の状態の確認結果が得られ、ホッパモータ状態記憶領域600にFIFO方式で記憶される。
【0086】
そして、トナー残量確認期間中に得られた5回分のホッパモータ130の状態の確認結果が合計され、その合計値Σに応じて、トナー残量判定閾値Hbtが設定される。たとえば、
図10に示されるように、第1回~第3回の確認結果が1であり、第4回~第5回の確認結果が0である、とする。この場合、全5回分の確認結果の合計値Σは、3となる。この合計値Σは、所定のホッパモータ状態判定閾値Σtと比較される。この比較において、合計値Σがホッパモータ状態判定閾値Σtよりも大きい場合(Σ>Σt)、ホッパモータ130の駆動頻度が高く、言わばホッパモータ130がおおむね駆動状態にあるものと見なされる。そして、トナー残量判定閾値Hbtとして、所定のホッパモータ駆動時判定閾値Honが設定される。一方、合計値Σがホッパモータ状態判定閾値Σt以下(Σ≦Σt)である場合は、ホッパモータ130の駆動頻度が低く、言わばホッパモータ130がおおむね停止状態にあるものと見なされる。そして、トナー残量判定閾値Hbtとして、所定のホッパモータ停止時判定閾値Hoffが設定される。要するに、ホッパモータ130の駆動頻度に応じたトナー残量判定閾値Hbtが設定される。
【0087】
なお、ホッパモータ状態判定閾値Σtは、たとえば1である。したがって、全5回分の確認結果の合計値Σが3である場合は、トナー残量判定閾値Hbtとしてホッパモータ駆動時判定閾値Honが設定される。ホッパモータ状態判定閾値Σtについては、1という値に限らず、また、任意に設定可能とされてもよい。
【0088】
このような要領によりトナー残量判定閾値Hbtが設定された上で、トナー残量確認期間におけるHighレベル回数Hbと、当該トナー残量判定閾値Hbtとが、互いに比較される。この比較において、Highレベル回数Hbがトナー残量判定閾値Hbt以上(Hb≧Hbt)である場合に、トナー残量が十分であるものと判定される。この場合、トナーモータ390が停止され、つまりトナーカートリッジ382内からホッパ100内へのトナー補給が停止される。そして、制御部200は、対ホッパ補給モードからトナー残量確認モードへ遷移する。一方、Highレベル回数Hbがトナー残量判定閾値Hbt未満(Hb<Hbt)である場合は、依然としてトナー残量が不十分であるものと判定される。この場合、トナーカートリッジ382内からホッパ100内へのトナー補給が継続される。そして改めて、トナー残量確認期間にわたってトナー残量検知信号Saがサンプリングされることを含め、前述と同じ要領によりトナー残量が判定される。
【0089】
ただし、対ホッパ補給モードにおいては、所定の制限時間Tbが設けられており、たとえトナー残量が不十分である場合でも、この制限時間Tbが経過すると、その時点で、トナーモータ390が停止され、つまりトナーカートリッジ382内からホッパ100内へのトナー補給が停止される。そして、制御部200は、一旦、対ホッパ補給モードからトナー残量確認モードへ遷移する。なお、制限時間Tbは、たとえば5秒であるが、これに限らず、また、任意に設定可能とされてもよい。
【0090】
さらに、ホッパモータ駆動時判定閾値Honおよびホッパモータ停止時判定閾値Hoffについては、
図11に示されるように、トナー残量判定閾値テーブル700に記憶されている。なお、
図11は、トナー残量確認期間が1秒である場合の一例を示し、詳しくはホッパモータ駆動時判定閾値Honが40であり、ホッパモータ停止時判定閾値Hoffが25である場合の例を示す。これらの値は、たとえば実験により定められる。また、ホッパモータ駆動時判定閾値Honの方が、ホッパモータ停止時判定閾値Hoffよりも大きい。
【0091】
前述したように、本第1実施例によれば、ホッパモータ130が駆動されているときに、つまりホッパ100内から現像装置50内へトナーが補給されている状態にあるときに、トナー残量確認モードによりホッパ100内のトナー残量が確認される。そして、このトナー残量確認モードによりホッパ100内のトナー残量が不十分であると判定されると、当該トナー残量確認モードから対ホッパ補給モードへ移行され、トナーモータ390が駆動されることで、トナーカートリッジ382内からホッパ100内へトナーが補給される。また、対ホッパ補給モードにおいては、ホッパモータ130の駆動頻度に応じて、ホッパ100内のトナー残量の判定基準となるトナー残量判定閾値Hbtが設定される。これにより、ホッパモータ130が駆動されているかどうかに拘らず、つまりホッパ100内から現像装置50内へトナーが補給されている状態にあるかどうかに拘らず、ホッパ100内のトナー残量を常に正確に検知(判定)することが可能となる。そして、ホッパ100内のトナー残量が十分な状態になると、あるいは、所定の制限時間Tbが経過すると、トナーモータ390が停止され、つまりトナーカートリッジ382内からホッパ100内へのトナー補給が停止され、対ホッパ補給モードからトナー残量確認モードへ移行される。なお、トナー残量確認モードおよび対ホッパ補給モードの両方による処理が同時に行われることはなく、当該トナー残量確認モードおよび対ホッパ補給モードのいずれかによる処理が選択的に行われる。
【0092】
より具体的にはたとえば、制御部200がトナー残量確認モードにあるとき、制御部200を構成するCPU200aは、前述の制御プログラムに含まれるトナー残量確認プログラム従って、トナー残量確認タスクを実行する。このトナー残量確認タスクの流れを、
図12および
図13に示す。なお、トナー残量確認タスクは、繰り返し連続的に実行される。
【0093】
このトナー残量確認タスクによれば、CPU200aは、まず、ステップS1において、後述する対ホッパ補給タスク実行中フラグFが0であるかどうかを判定する。この対ホッパ補給タスク実行中フラグFは、後述する対ホッパ補給タスクが実行中であるかどうかを表す指標であり、換言すれば制御部200が対ホッパ補給モードにあるかどうかを表す指標である。たとえば、後述する対ホッパ補給タスクが実行中である場合は、つまり制御部200が対ホッパ補給モードにある場合は、この対ホッパ補給タスク実行中フラグFに1が設定される。一方、対ホッパ補給タスクが実行中でない場合は、つまり制御部200が対ホッパ補給モードにない場合は、この対ホッパ補給タスク実行中フラグFに0が設定される。なお、画像形成装置10の起動直後は、つまりトナー残量確認タスクが最初に実行されるときは、対ホッパ補給タスク実行中フラグFには、その初期値としての0が設定された状態にある。
【0094】
ステップS1において、対ホッパ補給タスク実行中フラグFが0ではなく、1である場合、つまり後述する対ホッパ補給タスクが実行中である場合、CPU200aは、トナー残量確認タスクを終了する。一方、対ホッパ補給タスク実行中フラグFが0である場合、つまり対ホッパ補給タスクが実行中でない場合は、CPU200aは、処理をステップS3へ進める。
【0095】
ステップS3において、CPU200aは、自身によるホッパモータ130の制御状態に基づいて、ホッパモータ130が駆動中であるかどうかを判定する。ここで、ホッパモータ130が駆動中でない場合、つまりホッパモータ130が停止中である場合は、CPU200aは、トナー残量確認タスクを終了する。一方、ホッパモータ130が駆動中である場合は、CPU200aは、処理をステップS5へ進める。
【0096】
ステップS5において、CPU200aは、トナー残量検知信号Saをサンプリングする。そして、CPU200aは、処理をステップS7へ進める。
【0097】
ステップS7において、CPU200aは、トナー残量検知信号Saのサンプリング周期Taを計測するための不図示のタイマをリセットした上で、スタートさせる。なお、タイマは、たとえばCPU200aにより構成されるソフトウェアタイマであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアタイマであってもよい。このステップS7の実行後、CPU200aは、処理をステップS9へ進める。
【0098】
ステップS9において、CPU200aは、トナー残量検知信号Saのサンプリング回数Caをカウントするための不図示のカウンタによるカウント値をインクリメントする。このサンプリング回数Ca用のカウンタは、たとえばCPU200aにより構成されるソフトウェアカウンタであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアカウンタであってもよい。また、サンプリング回数Ca用のカウンタは、画像形成装置10の起動直後に、つまりトナー残量確認タスクが最初に実行されるときに、リセットされる。そして、CPU200aは、処理をステップS11へ進める。
【0099】
ステップS11において、CPU200aは、前述のステップS5でサンプリングされたトナー残量検知信号SaがHighレベルであるかどうかを判定する。ここで、トナー残量検知信号SaがHighレベルである場合、CPU200aは、処理をステップS13へ進める。一方、トナー残量検知信号SaがHighレベルでない場合、つまりトナー残量検知信号SaがLowレベルである場合は、CPU200aは、ステップS13をスキップして、処理を後述するステップS15へ進める。
【0100】
ステップS13において、CPU200aは、Highレベル回数Haをカウントするための不図示のカウンタによるカウント値をインクリメントする。このHighレベル回数Ha用のカウンタもまた、CPU200aにより構成されるソフトウェアカウンタであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアカウンタであってもよい。そして、Highレベル回数Ha用のカウンタもまた、画像形成装置10の起動直後に、つまりトナー残量確認タスクが最初に実行されるときに、リセットされる。このステップS13の実行後、CPU200aは、処理をステップS15へ進める。
【0101】
ステップS15において、CPU200aは、現在のサンプリング回数Caと所定のタスク終了判定閾値Catとを互いに比較することで、トナー残量確認期間が経過したかどうかを判定する。すなわち、タスク終了判定閾値Catは、100であり、現在のサンプリング回数Caが当該100というタスク終了判定閾値Cat以上(Ca≧Cat)であるかどうかを確認することで、2秒(=0.02秒×100)というトナー残量確認期間が経過したかどうかを判定する。ここで、現在のサンプリング回数Caがタスク終了判定閾値Cat以上でない場合、つまりトナー残量確認期間が経過していない場合、CPU200aは、処理をステップS17へ進める。一方、現在のサンプリング回数Caがタスク終了判定閾値Cat以上である場合は、つまりトナー残量確認期間が経過した場合は、CPU200aは、処理を後述するステップS19へ進める。
【0102】
ステップS17において、CPU200aは、サンプリング周期Taを計測するためのタイマによる計測時間が当該サンプリング周期Taと等価になるのを、つまりサンプリング周期Taが経過するのを、待つ。そして、サンプリング周期Taが経過すると、CPU200aは、処理をステップS3へ戻す。
【0103】
これに対して、CPU200aは、ステップS15からステップS19へ処理を進めた場合、当該ステップS19において、サンプリング回数Ca用のカウンタをリセットし、つまりサンプリング回数Caのカウント値を0とする。そして、CPU200aは、処理をステップS21へ進める。
【0104】
ステップS21において、CPU200aは、現在のHighレベル回数Haと所定のトナー残量判定閾値Hatとを互いに比較する。ここで、Highレベル回数Haがトナー残量判定閾値Hat未満(Ha<Hat)である場合、つまりホッパ100内のトナー残量が不十分である場合、CPU200aは、処理をステップS23へ進める。一方、Highレベル回数Haがトナー残量判定閾値Hat以上(Ha≧Hat)である場合、つまりホッパ100内のトナー残量が十分である場合は、CPU200aは、処理を後述するステップS25へ進める。なお前述したように、トナー残量判定閾値Hatは、たとえば80である。
【0105】
ステップS23において、CPU200aは、対ホッパ補給タスク実行中フラグFに1を設定する。これにより、対ホッパ補給タスクが実行されることとなり、つまりトナー残量確認モードから対ホッパ補給モードへ移行されることとなる。このステップS23の実行後、CPU200aは、処理をステップS25へ進める。
【0106】
ステップS25において、CPU200aは、Highレベル回数Ha用のカウンタをリセットし、つまりHighレベル回数Haのカウント値を0とする。そして、CPU200aは、処理をステップS27へ進める。
【0107】
ステップS27において、CPU200aは、サンプリング周期Taが経過するのを待つ。そして、サンプリング周期Taが経過すると、CPU200aは、トナー残量確認タスクを終了する。
【0108】
また、制御部200が対ホッパ補給モードにあるとき、CPU200aは、前述の制御プログラムに含まれる対ホッパ補給プログラム従って、対ホッパ補給タスクを実行する。このホッパ補給タスクの流れを、
図14~
図16に示す。なお、対ホッパ補給タスクもまた、繰り返し連続的に実行される。
【0109】
この対ホッパ補給タスクによれば、CPU200aは、まず、ステップS101において、対ホッパ補給タスク実行中フラグFが1であるかどうかを判定する。ここで、対ホッパ補給タスク実行中フラグFが1ではなく、0である場合、CPU200aは、対ホッパ補給タスクを終了する。一方、対ホッパ補給タスク実行中フラグFが1である場合は、CPU200aは、処理をステップS103へ進める。
【0110】
ステップS103において、CPU200aは、トナーモータ390の駆動を開始させる。そして、CPU200aは、処理をステップS105へ進める。
【0111】
ステップS105において、CPU200aは、対ホッパ補給モードの制限時間Tbを計測するための不図示のタイマをリセットした上で、スタートさせる。この制限時間Tb用のタイマもまた、CPU200aにより構成されるソフトウェアタイマであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアタイマであってもよい。このステップS105の実行後、CPU200aは、処理をステップS107へ進める。なお前述したように、制限時間Tbは、たとえば5秒である。
【0112】
ステップS107において、CPU200aは、サンプリング回数Cbをカウントするための第1カウンタをリセットし、つまり第1カウンタによるサンプリング回数Cbのカウント値を0とする。そして、CPU200aは、処理をステップS109へ進める。なお、第1カウンタもまた、CPU200aにより構成されるソフトウェアカウンタであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアカウンタであってもよい。
【0113】
ステップS109において、CPU200aは、Highレベル回数Hb用のカウンタをリセットし、つまりHighレベル回数Hbのカウント値を0とする。そして、CPU200aは、処理をステップS111へ進める。なお、Highレベル回数Hb用のカウンタもまた、CPU200aにより構成されるソフトウェアカウンタであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアカウンタであってもよい。
【0114】
ステップS111において、CPU200aは、前述の第1カウンタとは別個にサンプリング回数Cdをカウントするための第2カウンタをリセットし、つまり第2カウンタによるサンプリング回数Cdのカウント値を0とする。そして、CPU200aは、処理をステップS113へ進める。なお、第2カウンタもまた、CPU200aにより構成されるソフトウェアカウンタであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアカウンタであってもよい。
【0115】
ステップS113において、CPU200aは、トナー残量検知信号Saをサンプリングする。そして、CPU200aは、処理をステップS115へ進める。
【0116】
ステップS115において、CPU200aは、前述のトナー残量検知信号Saのサンプリング周期Taを計測するためのタイマをリセットした上で、スタートさせる。そして、CPU200aは、処理をステップS117へ進める。
【0117】
ステップS117において、CPU200aは、前述の第1カウンタによるトナー残量検知信号Saのサンプリング回数Cbのカウント値をインクリメントする。そして、CPU200aは、処理をステップS119へ進める。
【0118】
ステップS119において、CPU200aは、前述のステップS113でサンプリングされたトナー残量検知信号SaがHighレベルであるかどうかを判定する。ここで、トナー残量検知信号SaがHighレベルである場合、CPU200aは、処理をステップS121へ進める。一方、トナー残量検知信号SaがHighレベルでない場合、つまりトナー残量検知信号SaがLowレベルである場合は、CPU200aは、ステップS121をスキップして、処理を後述するステップS123へ進める。
【0119】
ステップS121において、CPU200aは、Highレベル回数Hb用のカウンタによるカウント値をインクリメントする。そして、CPU200aは、処理をステップS123へ進める。
【0120】
ステップS123において、CPU200aは、第2カウンタによりカウントされた現在のサンプリング回数Cdと所定のホッパモータ状態確認判定閾値Cdtとを互いに比較することで、前述のホッパモータ状態確認期間が経過したかどうかを判定する。すなわち、ホッパモータ状態確認判定閾値Cdtは、10であり、現在のサンプリング回数Cdが当該10というホッパモータ状態確認判定閾値Cdt以上(Cd≧Cdt)であるかどうかを確認することで、0.2秒(=0.02秒×10)というホッパモータ状態確認期間が経過したかどうかを判定する。ここで、現在のサンプリング回数Cdがホッパモータ状態確認判定閾値Cdt以上でない場合、つまりホッパモータ状態確認期間が経過していない場合、CPU200aは、処理をステップS125へ進める。一方、現在のサンプリング回数Cdがホッパモータ状態確認判定閾値Cdt以上である場合は、つまりホッパモータ状態確認期間が経過した場合は、CPU200aは、処理を後述するステップS127へ進める。
【0121】
ステップS125において、CPU200aは、サンプリング周期Taが経過するのを待つ。そして、サンプリング周期Taが経過すると、CPU200aは、処理をステップS113へ戻す。
【0122】
これに対して、CPU200aは、ステップS123からステップS127へ処理を進めた場合、当該ステップS127において、自身によるホッパモータ130の制御状態に基づいて、ホッパモータ130の状態を確認し、つまりホッパモータ130が駆動中であるかどうかを確認する。そして、CPU200aは、処理をステップS129へ進める。
【0123】
ステップS129において、CPU200aは、ステップS127における確認結果をホッパモータ状態記憶領域600(
図9および
図10参照)にFIFO方式で記憶する。そして、CPU200aは、処理をステップS131へ進める。
【0124】
ステップS131において、CPU200aは、第1カウンタによりカウントされた現在のサンプリング回数Cbと所定のトナー残量確認判定閾値Cbtとを互いに比較することで、トナー残量確認期間が経過したかどうかを判定する。すなわち、トナー残量確認判定閾値Cbtは、50であり、現在のサンプリング回数Cbが当該50というトナー残量確認判定閾値Cbt以上(Cb≧Cbt)であるかどうかを確認することで、1秒(=0.02秒×50)というトナー残量確認期間が経過したかどうかを判定する。ここで、現在のサンプリング回数Cbがトナー残量確認判定閾値Cbt以上でない場合、つまりトナー残量確認期間が経過していない場合、CPU200aは、処理をステップS133へ進める。一方、現在のサンプリング回数Cbがトナー残量確認判定閾値Cbt以上である場合は、つまりトナー残量確認期間が経過した場合は、CPU200aは、処理を後述するステップS135へ進める。
【0125】
ステップS133において、CPU200aは、サンプリング周期Taが経過するのを待つ。そして、サンプリング周期Taが経過すると、CPU200aは、処理をステップS111へ戻す。
【0126】
これに対して、CPU200aは、ステップS131からステップS135へ処理を進めた場合、当該ステップS135において、ホッパモータ状態記憶領域600に記憶されたトナー残量確認期間中の全5回分の確認結果の合計値Σと、所定のホッパモータ状態判定閾値Σtとを、互いに比較する。ここで、トナー残量確認期間中の全5回分の確認結果の合計値Σがホッパモータ状態判定閾値Σtよりも大きい場合(Σ>Σt)、CPU200aは、処理をステップS137へ進める。一方、トナー残量確認期間中の全5回分の確認結果の合計値Σがホッパモータ状態判定閾値Σt以下(Σ≦Σt)である場合は、CPU200aは、処理を後述するステップS139へ進める。なお前述したように、ホッパモータ状態判定閾値Σtは、たとえば1である。
【0127】
ステップS137において、CPU200aは、トナー残量判定閾値Hbtとしてホッパモータ駆動時判定閾値Honを設定する。そして、CPU200aは、処理をステップS141へ進める。なお前述したように、ホッパモータ駆動時判定閾値Honは、たとえば40である(
図11参照)。
【0128】
これに対して、CPU200aは、ステップS135からステップS139へ処理を進めた場合、当該ステップS139において、トナー残量判定閾値Hbtとしてホッパモータ停止時判定閾値Hoffを設定する。そして、CPU200aは、処理をステップS141へ進める。なお前述したように、ホッパモータ停止時判定閾値Hoffは、たとえば25である(
図11参照)。
【0129】
ステップS141において、CPU200aは、現在のHighレベル回数Hbと、ステップS137またはステップS139で設定されたトナー残量判定閾値Hbtとを、互いに比較する。ここで、Highレベル回数Hbがトナー残量判定閾値Hbt以上(Hb≧Hbt)である場合、つまりホッパ100内のトナー残量が十分である場合、CPU200aは、処理をステップS143へ進める。一方、Highレベル回数Hbがトナー残量判定閾値Hbt未満(Hb<Hbt)である場合、つまりホッパ100内のトナー残量が不十分である場合は、CPU200aは、処理を後述するステップS147へ進める。
【0130】
ステップS143において、CPU200aは、トナーモータ390を停止させる。そして、CPU200aは、処理をステップS145へ進める。
【0131】
ステップS145において、CPU200aは、対ホッパ補給タスク実行中フラグFに0を設定する。これにより、トナー残量確認タスクが実行されることとなる。これをもって、CPU200aは、対ホッパ補給タスクを終了する。
【0132】
これに対して、CPU200aは、ステップS141からステップS147へ処理を進めた場合、当該ステップS147において、制限時間Tbを計測するためのタイマによる計測時間が当該制限時間Tbを経過したかどうかを判定する。ここで、制限時間Tbが経過した場合、CPU200aは、処理をステップS143へ進める。一方、制限時間Tbが経過していない場合は、CPU200aは、処理をステップS149へ進める。
【0133】
ステップS149において、CPU200aは、サンプリング周期Taが経過するのを待つ。そして、サンプリング周期Taが経過すると、CPU200aは、処理をステップS107へ戻す。
【0134】
以上のように、本第1実施例によれば、ホッパモータ130が駆動されているときに、つまりホッパ100内から現像装置50内へトナーが補給されている状態にあるときに、トナー残量確認モードによりホッパ100内のトナー残量が確認される。そして、このトナー残量確認モードによりホッパ100内のトナー残量が不十分であると判定されると、当該トナー残量確認モードから対ホッパ補給モードへ移行され、トナーモータ390が駆動されることで、トナーカートリッジ382内からホッパ100内へトナーが補給される。また、対ホッパ補給モードにおいては、ホッパモータ130の駆動頻度に応じて、ホッパ100内のトナー残量の判定基準となるトナー残量判定閾値Hbtが設定される。これにより、ホッパモータ130が駆動されているかどうかに拘らず、つまりホッパ100内から現像装置50内へトナーが補給されている状態にあるかどうかに拘らず、ホッパ100内のトナー残量を常に正確に検知することが可能となる。そして、ホッパ100内のトナー残量が十分な状態になると、あるいは、所定の制限時間Tbが経過すると、トナーモータ390が停止され、つまりトナーカートリッジ382内からホッパ100内へのトナー補給が停止され、対ホッパ補給モードからトナー残量確認モードへ移行される。
【0135】
なお、ワイパ118の揺動周期(たとえば2秒)トナー残量検知信号Saのサンプリング周期Ta(たとえば0.02秒)、トナー残量確認モータにおけるトナー残量確認期間(たとえば2秒)、対ホッパ補給モータにおけるトナー残量確認期間(たとえば1秒)、ホッパモータ状態確認期間(たとえば0.2秒)、制限時間Tb(たとえば5秒)などの各期間の値は、本第1実施例で説明した値に限定されず、適宜に定められてもよい。また、トナー残量確認モードにおけるトナー残量判定閾値Hat(たとえば80)、対ホッパ補給モードにおけるホッパモータ駆動時判定閾値Hon(たとえば40)、ホッパモータ停止時判定閾値Hoff(たとえば25)、ホッパモータ状態判定閾値Σt(たとえば1)などの値についても、本第1実施例で説明した値に限定されず、適宜に定められてもよい。
【0136】
そして、トナー残量センサ112を成す発光素子112aおよび受光素子112bについては、それらの構造によっては、たとえば外部に対する密閉性や絶縁性、機械的強度が比較的に高い場合には、センサケース114および116内に収容されなくてもよく、つまり当該センサケース114および116が設けられなくてもよい。この場合、発光素子112aについては、それ全体またはその発光部が、本体部102内の空間に露出された状態で設けられ、当該発光素子112aの発光部が、ワイパ118により直接的に清掃される。これと同様に、受光素子112bについても、それ全体またはその受光部が、本体部102内の空間に露出された状態で設けられ、当該受光素子112bの受光部が、ワイパ118により直接的に清掃される。また、トナー残量センサ112は、透過型の光電センサに限らず、反射型などの他の検知方式の光電センサであってもよい。さらに、トナー残量センサ112は、光電センサ以外のセンサであってもよい。
【0137】
加えて、本第1実施例においては、トナー濃度センサ530によるトナー濃度検出値に基づいて、現像装置50内のトナーの消費度合が求められたが、これに限らない。たとえば、印刷に供される画像データに含まれる画素データから印字率が求められ、ひいては現像装置50内のトナーの消費度合が求められてもよい。要するに、適当な手段により現像装置50内のトナーの消費度合が求められてもよい。
【0138】
また、トナー残量確認モードにおいては、Highレベル回数Haとトナー残量判定閾値Hatとが互いに比較されることで、ホッパ100内のトナー残量が判定されたが、これに限らない。たとえば、トナー残量確認期間における全サンプリング回数に対するHighレベル回数Haの割合(比率)や、トナー残量確認期間におけるサンプリングのうちLowレベルのトナー残量検知信号Saがサンプリングされた回数、言わばLowレベル回数に基づいて、ホッパ100内のトナー残量が判定されてもよい。このことは、対ホッパ補給モードにおけるホッパ100内のトナー残量の判定要領についても、同様である。
【0139】
本第1実施例におけるホッパ100の本体部102は、本開示に係る第1収容部の一例である。そして、本第1実施例におけるトナー残量センサ112(発光素子112aおよび受光素子112b)は、本開示に係る検知手段の一例であり、厳密には各センサケース114および116と協働して、本開示に係る検知手段の一例を構成する。さらに、本第1実施例における発光素子112aの発光部および受光素子112bの受光部は、本開示に係る検知部の一例であり、厳密には各センサケース114および116の窓部114aおよび116aと協働して、本開示に係る検知部の一例を構成する。
【0140】
そして、本第1実施例におけるワイパ118は、本開示に係る清掃部材の一例であり、本第1実施例における搬送スクリュ110は、本開示に係る補給部材の一例である。また、本第1実施例におけるホッパモータ130は、本開示に係る第1駆動手段の一例である。この第1駆動手段の一例としてのホッパモータ130は、制御部200によって制御されるが、このホッパモータ130を制御する制御部200は、本開示に係る第1制御手段の一例である。さらに、本第1実施例における対ホッパ補給タスクのステップS141を実行するCPU200a、厳密にはCPU200aを含む制御部200は、本開示に係る判定手段の一例である。また、本第1実施例における対ホッパ補給タスクのステップS135~ステップS139を実行するCPU200aは、厳密にはCPU200aを含む制御部200は、本開示に係る設定手段の一例である。
【0141】
加えて、本第1実施例における対ホッパ補給モータのトナー残量確認期間(たとえば1秒)は、本開示に係る第1期間の一例である。また、本第1実施例における対ホッパ補給モータのトナー残量確認期間は、本開示に係る第2期間の一例でもある。
【0142】
さらに、本第1実施例におけるトナーカートリッジ382、厳密には筐体386は、本開示に係る第2収容部の一例である。そして、本第1実施例におけるトナーカートリッジ382(筐体386)内の搬送スクリュ388は、本開示に係る第2補給部材の一例である。また、本第1実施例におけるトナーモータ390は、本開示に係る第2駆動手段の一例である。この第2駆動手段の一例としてのトナーモータ390は、制御部200によって制御されるが、このトナーモータ390を制御する制御部200は、本開示に係る第2制御手段の一例である。
【0143】
[第2実施例]
次に、本開示の第2実施例について、
図17および
図18を参照して説明する。なお、
図17は、ホッパ100の内部構造を示す図であり、この
図17においては、ホッパ100の図示を省略してある。そして、
図18は、
図17に示されるのとは別の状態にあるホッパ100の内部構造を示す図である。
【0144】
これらの
図17および
図18に示されるように、本第2実施例においては、攪拌部材106にワイパ118が取り付けられる。そして、攪拌部材106が回転すると、これに伴って、ワイパ118もまた攪拌部材106の回転軸106aを中心として回転する。その過程で、ワイパ118により各センサケース114および116の窓部114aおよび116aの外側面が清掃される。
【0145】
このような構成の本第2実施例においても、第1実施例と同様の要領によりホッパ100内のトナー残量が検知されることで、当該トナー残量を常に正確に検知することが可能となる。
【0146】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本開示を適用することができる。
【0147】
たとえば、各実施例においては、タンデム方式のカラーの画像形成部26を採用する画像形成装置10を例に挙げたが、ロータリ方式のカラーの画像形成部を採用する画像形成装置にも、本開示を適用することができる。さらに、モノクロの画像形成装置にも、本開示を適用することができる。
【0148】
また、現像剤は、2成分系に限らず、キャリアを含まない1成分系の現像剤であってもよい。
【0149】
加えて、各実施例における画像形成装置10は、複合機であるが、プリンタ専用機やコピー専用機、ファクス専用機などの当該複合機以外の画像形成装置にも、本開示を適用することができる。
【0150】
そして、本開示は、トナー以外の粉体を補給対象要素へ補給する装置にも、適用することができる。
【0151】
また、本開示は、粉体補給装置という装置の形態に限らず、粉体補給装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【符号の説明】
【0152】
10 … 画像形成装置
26 … 画像形成部
38 … トナー補給装置
50 … 現像装置
100 … ホッパ
102 … 本体部
106 … 攪拌部材
110 … 搬送スクリュ
112 … トナー残量センサ
112a … 発行素子
112b … 受光素子
118 … ワイパ
114,116 … センサケース
114a,116a … 窓部
130 … ホッパモータ
200 … 制御部
200a … CPU
200b … 主記憶部
382 … トナーカートリッジ
386 … 筐体
388 … 搬送スクリュ
390 … トナーモータ