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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133776
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240926BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L25/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043739
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 明久
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA09
4M118CA01
4M118EA14
4M118GC07
4M118GD04
4M118HA25
4M118HA30
(57)【要約】
【課題】撮像素子の裏面側に接合された半導体チップを被覆する絶縁膜の平坦化を容易に行う。
【解決手段】本開示の半導体装置は、第1の半導体基板と、第2の半導体基板と、被覆部材とを有する。本開示の半導体装置が有する第2の半導体基板は、その第1の半導体基板に接合されるとともに接合される面とは異なる面に突部を備える。本開示の半導体装置が有する被覆部材は、その第1の半導体基板に接合されたその第2の半導体基板を覆う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板に接合されるとともに接合される面とは異なる面に突部を備える第2の半導体基板と、
前記第1の半導体基板に接合された前記第2の半導体基板を覆う被覆部材と
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記突部は、前記第2の半導体基板と同じ部材により構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記突部は、前記第2の半導体基板より高い熱伝導率の部材を含んで構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記突部は、前記第2の半導体基板のエッチングを抑制する部材を含んで構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記突部は、炭化シリコン、窒化アルミニウム及び窒化シリコンの何れかを含んで構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記突部は、高さが前記第2の半導体基板の厚さより小さい形状に構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記突部は、前記第2の半導体基板の端部に沿った壁状に構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の半導体基板は、複数の前記突部を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記突部は、自身の高さと隣接する他の前記突部までの距離との比率が0.01以下の形状に構成される請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記突部は、幅が0.5mm以下の形状に構成される請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
複数の前記第2の半導体基板を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
複数の前記第2の半導体基板は、前記第1の半導体基板に接合される際の接合面からそれぞれの前記突部の先端までの高さが略等しい形状に構成される請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2の半導体基板の前記突部が配置される側の面に接合される第3の半導体基板を更に有する請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入射光に応じた画像信号を生成する画素が2次元行列状に配置された撮像素子に画像信号を処理するロジック回路を有する半導体チップが積層されて構成された半導体装置が使用されている。このような半導体装置に使用される撮像素子には、半導体基板の裏面側に入射光が照射される裏面照射型の撮像素子が適用される。この撮像素子の表面側に半導体チップの表面側が接合されて積層される。この撮像素子及び半導体チップの接続方法には、それぞれの配線領域に配置された銅(Cu)のパッド同士が接合されて電気的な接続を得るCu-Cu接続が使用されている。
【0003】
一方、撮像素子の裏面側には、カラーフィルタや入射光を集光するオンチップレンズを配置する等の工程が必要となる。そこで、撮像素子の表面側に接合された半導体チップの裏面側にシリコンウェハー等の支持基板を接着して天地を反転させ、撮像素子の裏面側の工程を実行することにより生成される半導体装置(固体撮像装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/087764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、半導体チップの裏面側に支持基板を接着するための酸化膜が形成される。この酸化膜を平坦化して支持基板を加熱圧着することにより酸化膜を介して半導体チップと支持基板とが接合される。しかしながら、撮像素子より半導体チップの面積が小さいため、撮像素子の裏面側には、半導体チップが配置されない領域が存在する。このため半導体チップを被覆して形成される酸化膜には比較的大きな段差が形成され、平坦化が困難になるという問題がある。
【0006】
そこで、本開示では、撮像素子の裏面側に接合された半導体チップを被覆する絶縁膜の平坦化を容易に行う半導体装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る半導体装置は、第1の半導体基板と、上記第1の半導体基板に接合されるとともに接合される面とは異なる面に突部を備える第2の半導体基板と、上記第1の半導体基板に接合された上記第2の半導体基板を覆う被覆部材とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。
図3A】従来の技術における被覆部材の構成の一例を表す図である。
図3B】従来の技術における被覆部材の構成の一例を表す図である。
図4】本開示の第1の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る突部の形状の一例を示す図である。
図6A】本開示の第1の実施形態に係る材料膜の段差と突部の形状との関係を示す図である。
図6B】本開示の第1の実施形態に係る材料膜の研磨レートと突部の形状との関係を示す図である。
図7A】本開示の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図7B】本開示の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図7C】本開示の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図7D】本開示の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図7E】本開示の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図8A】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8B】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8C】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8D】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8E】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8F】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8G】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図8H】本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図9A】本開示の第1の実施形態に係る突部の他の構成例を示す図である。
図9B】本開示の第1の実施形態に係る突部の他の構成例を示す図である。
図10A】本開示の第2の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。
図10B】本開示の第2の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。
図11A】本開示の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図11B】本開示の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図11C】本開示の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図12A】本開示の第2の実施形態に係る突部の他の構成例を示す図である。
図12B】本開示の第2の実施形態に係る突部の他の構成例を示す図である。
図13】本開示の第3の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。
図14A】本開示の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図14B】本開示の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。
図15】本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。
図16】本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の他の構成例を示す図である。
図17】本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の他の構成例を示す図である。
図18】本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。説明は、以下の順に行う。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.第4の実施形態
【0010】
(1.第1の実施形態)
[半導体装置の構成]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。同図は、半導体装置10の構成例を表す図である。同図の半導体装置10は、被写体の撮像を行って画像信号を生成する撮像素子100の表面側に半導体チップ20及び21が積層され、第3の半導体基板350が更に積層されて構成される例を表したものである。この第3の半導体基板350は、前述の支持基板に該当する。同図の点線が第3の半導体基板350の形状を表す。半導体チップ20には、例えば、撮像素子100により生成された画像信号を処理する回路を備える半導体チップが該当する。また、半導体チップ21には、例えば、AI(Artificial Intelligence)処理を行う回路を備える半導体チップが該当する。この半導体チップ20等を撮像素子100に積層することにより、半導体装置10を小型化することができる。なお、同図の撮像素子100は、第1の半導体基板110を備える。
【0011】
[半導体装置の断面の構成]
図2は、本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す断面図である。同図は、半導体装置10の構成例を表す模式断面図である。同図の半導体装置10は、撮像素子100と、半導体チップ20と、被覆部材330と、第3の半導体基板350とを備える。
【0012】
撮像素子100は、第1の半導体基板110と、配線領域120と、カラーフィルタ191と、オンチップレンズ192とを備える。
【0013】
第1の半導体基板110は、入射光の光電変換を行う光電変換部を有する複数の画素が配置される半導体の基板である。第1の半導体基板は、例えば、シリコン(Si)により構成することができる。
【0014】
配線領域120は、第1の半導体基板110の表面側に形成されて配線が配置される領域である。配線領域120は、絶縁層121及び配線122を備える。配線122は、電気信号を伝達する導体である。この配線122は、銅(Cu)やタングステン(W)により構成することができる。絶縁層121は、配線122等を絶縁するものである。この絶縁層121は、例えば、SiOにより構成することができる。また、絶縁層121は、後述する第2の半導体基板210の配線領域220の絶縁層221と接合させるための酸化膜接合層を構成する。絶縁層121の表面には、パッド125が配置される。このパッド125は、絶縁層121に埋め込まれる形状の電極である。パッド125は、Cuにより構成することができる。パッド125は、第2の半導体基板210の配線領域220のパッド225と接合されるパッドである。
【0015】
カラーフィルタ191は、入射光のうちの所定の波長の光を透過する光学的なフィルタである。また、オンチップレンズ192は、入射光を集光するレンズである。
【0016】
半導体チップ20は、第2の半導体基板210と、配線領域220と、突部250とを備える。
【0017】
第2の半導体基板210は、撮像素子100により生成された画像信号を処理する回路が配置される半導体の基板である。この第2の半導体基板210は、例えば、Siにより構成することができる。
【0018】
配線領域220は、第2の半導体基板210の表面側に形成され、配線222及び絶縁層221を備える。絶縁層221は、絶縁層121と同様に、SiOにより構成することができる。また、配線領域220には、絶縁層221の表面に埋め込まれる形状のパッド225が配置される。撮像素子100に半導体チップ20が接合される際、絶縁層121及び221が接着されて接合される。この際、パッド125及び225が接合され、撮像素子100及び半導体チップ20の間の信号の伝達の用に供される。このような接続方法は、Cu-Cu接続と称される。
【0019】
突部250は、第2の半導体基板210の裏面側に配置される突出する領域である。この突部250は、後述する被覆部材330が半導体チップ20の裏面側に配置される際に形成される段差を緩和するものである。同図は、複数の突部250が配置される例を表したものである。
【0020】
同図の突部250は、第2の半導体基板210より高い熱伝導率の部材により構成することができる。具体的には、突部250は、炭化シリコン(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)及び窒化シリコン(SiN)により構成することができる。
【0021】
また、同図の突部250は、被覆部材330をドライエッチングする際の第2の半導体基板210のエッチングを抑制する部材により構成することもできる。この第2の半導体基板210のエッチングを抑制する部材は、エッチングストッパとも称される。具体的には、突部250は、酸化アルミニウム(Al)、SiC、AlN及びSiNにより構成することができる。
【0022】
被覆部材330は、半導体チップ20の裏面側を被覆するものである。同図の被覆部材330は、第2の半導体基板210の裏側の表面及び側面並びに第1の半導体基板110の表面側の配線領域120を更に被覆する。この被覆部材330は、例えば、SiO、SiON、SiCHO、SiN及びSOG(Spin on Glass)等の無機材料やシリコン樹脂、シロキサン樹脂及びポリイミド樹脂等の有機材料により構成することができる。
【0023】
第3の半導体基板350は、半導体チップ20の裏面側に積層されて、撮像素子100及び半導体チップ20を支持する基板である。この第3の半導体基板350には、シリコンのウェハー等を適用することができる。同図の第3の半導体基板350は、被覆部材330を介して半導体チップ20裏面側に接合される。
【0024】
図3A及び3Bは、従来の技術における被覆部材の構成の一例を表す図である。同図は、半導体基板400に複数の第2の半導体基板210が接合された状態において被覆部材330の材料膜401がCVD(Chemical Vapor Deposition)等により成膜された状態を表す。同図に表したように材料膜401の表面には、大きな段差が形成される。次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等により材料膜401の表面を研削し、材料膜401の表面を平坦化して第3の半導体基板350を接合させる。
【0025】
図3Bは、平坦化後の被覆部材330を表したものである。同図は、段差部分のため平坦化ができず、第2の半導体基板210の近傍に盛り上がりを生じる場合の例を表したものである。被覆部材330の平坦化が十分でない場合、第3の半導体基板350の接合強度が低下することとなる。このように、第2の半導体基板210により形成される段差のため、被覆部材330の平坦化は困難となる。
【0026】
[突部の構成]
図4は、本開示の第1の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。同図は、突部250の構成例を表す平面図である。同図は、半導体チップ20の第2の半導体基板210の裏面に配置される突部250の構成例を表したものである。同図の突部250は、平面視において矩形の形状に構成される例を表したものである。また、同図は、突部250が3行3列に配置される例を表したものである。
【0027】
[突部の形状]
図5は、本開示の第1の実施形態に係る突部の形状の一例を示す図である。同図は、第1の半導体基板110に接合された第2の半導体基板210に被覆部材330の材料膜401が配置された状態を表す。同図の、「a」は、第2の半導体基板210の接合面からの高さ、すなわち配線領域120を含む第2の半導体基板210の厚さを表す。また、「b」は、突部250の高さを表す。また、「c」は突部250の幅を表す。また、「d」は、隣接する突部250までの距離を表す。また、「Δh」は、突部250の近傍の材料膜401の段差を表す。
【0028】
同図に表したように、第2の半導体基板210の表面側に複数の突部250を配置することにより、突部250の間の材料膜401を薄くすることができる。これは、材料膜401をCVD等により成膜する際の段差被覆性(ステップカバレッジ)が低下するためである。なお、突部250は、高さ(b)が第2の半導体基板210の接合面からの高さ(a)より小さい形状に構成することができる。
【0029】
図6Aは、本開示の第1の実施形態に係る材料膜の段差と突部の形状との関係を示す図である。同図は、図5の(Δh)と突部250高さ及び隣接する突部250までの距離の比率(b/d)との関係を表すグラフである。同図の横軸は、比率(b/d)を表す。また、同時の縦軸は、図5の段差(Δh)を表す。単位は、[μm]である。同図に表したように、比率(b/d)が0.01より小さい領域において、段差(Δh)を縮小することができる。
【0030】
図6Bは、本開示の第1の実施形態に係る材料膜の研磨レートと突部の形状との関係を示す図である。同図は、CMPにおける材料膜401の研磨レート及び図5の突部250の幅(c)との関係を表すグラフである。同図の横軸は、幅(c)を表す。単位は、[μm]である。また、同時の縦軸は、研磨レートを表す。単位は、[nm/s]である。同図に表したように、突部250の幅(c)が500μmを超える場合には、研磨レートが低下する。このため、突部250の幅(c)は、500μm以下にすると好適である。
【0031】
[半導体チップの製造方法]
図7A-7Eは、本開示の第1の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。同図は、半導体チップ20の製造工程の一例を表す図である。まず、第2の半導体基板210の元基板である半導体基板403に絶縁層221を配置する(図7A)。次に、半導体基板403の裏面側を研削して薄肉化する(図7B)。次に、半導体基板403の裏面側に突部250の材料膜404を配置する(図7C)。次に、材料膜404のエッチングを行って突部250を形成する(図7D)。次に、半導体基板403をダイシングして個片化する(図7E)。これにより、半導体チップ20を形成することができる。
【0032】
[半導体装置の製造方法]
図8A-8Hは、本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。同図は、半導体装置10の製造工程の一例を表す図である。まず、第1の半導体基板110の元基板である半導体基板400に絶縁層121を形成する(図8A)。次に、半導体チップ20を配置する(図8B)。次に被覆部材330の材料膜401を配置する(図8C)。次に、材料膜401を研削して平坦化する(図8D)。次に、半導体基板400の天地を反転させて第3の半導体基板350に接合する(図8E)。次に、半導体基板400を研削して薄肉化する(図8F)。次に半導体基板400の裏面側にカラーフィルタ191及びオンチップレンズ192を配置する(図8G)。次に、半導体基板400及び第3の半導体基板350をダイシングして個片化する(図8H)。これにより、半導体装置10を製造することができる。
【0033】
[突部の他の構成]
図9A及び9Bは、本開示の第1の実施形態に係る突部の他の構成例を示す図である。図9Aは、図4と同様に、突部250の構成例を表す平面図である。同図の突部250は、第2の半導体基板210の端部に沿った壁状に構成される点で、図4の突部250と異なる。
【0034】
図9Bは、突部250の構成例を表す模式断面図である。同図には、第1の半導体基板110、被覆部材330及び第3の半導体基板350を更に記載した。
【0035】
このように、本開示の第1の実施形態の半導体装置10は、第1の半導体基板110の表面側に自身の表面側が接合されて積層される第2の半導体基板210の裏面側に突部を形成する。これにより、第2の半導体基板210の裏面を覆う形状に配置される被覆部材330の段差を緩和することができる。このため、被覆部材330を平坦化するための研削を容易に行うことができる。
【0036】
(2.第2の実施形態)
上述の第1の実施形態の半導体装置10は、第2の半導体基板210より高い熱伝導率の部材や被覆部材330をドライエッチングする際の第2の半導体基板210のエッチングを抑制する部材により構成される突部250を備えていた。これに対し、本開示の第2の実施形態の半導体装置10は、第2の半導体基板210と同じ部材により構成される突部250を備える点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0037】
[突部の構成]
図10A及び10Bは、本開示の第2の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。図10Aは、図4と同様に、突部250の構成例を表す平面図である。同図の突部250は、半導体チップ20の第2の半導体基板210と同じ部材により構成される点で、図4の突部250と異なる。
【0038】
図10Bは、図9Bと同様に突部250の構成例を表す模式断面図である。同図には、第1の半導体基板110、被覆部材330及び第3の半導体基板350を更に記載した。同図の突部250は、第2の半導体基板210の一部により構成される例を表したものである。
【0039】
[半導体チップの製造方法]
図11A-11Cは、本開示の第2の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。同図は、図7A-7Eと同様に、半導体チップ20の製造工程の一例を表す図である。まず、図7Aと同様に、第2の半導体基板210の元基板である半導体基板403に絶縁層221を配置する(図11A)。次に、半導体基板403の裏面側の一部を研削して突部250を形成する(図11B)。これは、例えば、半導体基板400の裏面側にダイシングスリットを形成することにより行うことができる。次に、半導体基板403をダイシングして個片化する(図11C)。これにより、半導体チップ20を形成することができる。
【0040】
[突部の他の構成]
図12A及び12Bは、本開示の第2の実施形態に係る突部の他の構成例を示す図である。図12Aは、図9Aと同様に、突部250の構成例を表す平面図である。また、図12Bは、図9Bと同様に、突部250の構成例を表す模式断面図である。同図の突部250は、第2の半導体基板210の一部により構成される点で、図12A及び12Bの突部250と異なる。
【0041】
これ以外の半導体装置10の構成は本開示の第1の実施形態における半導体装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
このように、本開示の第2の実施形態の半導体装置10は、第2の半導体基板210と同じ部材により構成される突部250を備える。これにより、突部250の製造工程を簡略化することができる。
【0043】
(3.第3の実施形態)
上述の第2の実施形態の半導体装置10は、第2の半導体基板210と同じ部材により構成される突部250を備えていた。これに対し、本開示の第3の実施形態の半導体装置10は、第2の半導体基板210より高い熱伝導率の部材やドライエッチングの際の第2の半導体基板210のエッチングを抑制する部材を含む突部250を備える点で、上述の第2の実施形態と異なる。
【0044】
[突部の構成]
図13は、本開示の第3の実施形態に係る突部の構成例を示す図である。同図は、10Bと同様に、突部250の構成例を表す模式断面である。同図は、10Bと同様に、突部250の構成例を表したものである。同図の突部250は、第2の半導体基板210の一部により構成される突部250の表面に第2の半導体基板210より高い熱伝導率の部材により構成される被覆膜255が配置される例を表したものである。なお、被覆膜255は、第2の半導体基板210のエッチングを抑制する部材により構成することもできる。また、これらの部材が積層されて構成された被覆膜255を使用することもできる。
【0045】
[半導体チップの製造方法]
図14A及び14Bは、本開示の第3の実施形態に係る半導体チップの製造方法の一例を示す図である。同図は、図11A-11Cと同様に、半導体チップ20の製造工程の一例を表す図である。まず、図11A及び11Bの工程を実行する。次に、半導体基板403の裏面側に被覆255の材料膜405を配置する(図14A)。次に、半導体基板403をダイシングして個片化する(図14B)。これにより、半導体チップ20を形成することができる。
【0046】
これ以外の半導体装置10の構成は本開示の第2の実施形態における半導体装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
このように、本開示の第3の実施形態の半導体装置10は、第2の半導体基板210と同じ部材及び高熱伝導率部材の被覆膜255により構成される突部250を備える。
【0048】
(4.第4の実施形態)
半導体装置10のバリエーションについて説明する。
【0049】
[半導体装置の構成]
図15は、本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。同図は、図10Bと同様に、半導体装置10の構成例を表す模式断面図である。同図の半導体装置10は、複数の半導体チップ(半導体チップ20及び21)を備える場合の例を表したものである。
【0050】
[半導体装置の他の構成]
図16は、本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の他の構成例を示す図である。同図は、図15と同様に、半導体装置10の構成例を表す模式断面図である。同図の半導体装置10は、メモリチップ300を更に備える場合の例を表したものである。
【0051】
メモリチップ300は、半導体メモリ素子が配置される半導体チップである。同図のメモリチップ300は、撮像素子100と同じサイズに構成される例を表したものである。メモリチップ300は、第4の半導体基板310と、配線領域320とを備える。また、メモリチップ300は、撮像素子100の表面側に接合される。このメモリチップ300の表面側の配線領域320に半導体チップ20及び21が接合される。
【0052】
図17は、本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の他の構成例を示す図である。同図は、図16と同様に、半導体装置10の構成例を表す模式断面図である。同図の半導体装置10は、半導体チップ20の第2の半導体基板210と半導体チップ21の第2の半導体基板230との厚さが異なる点で、図16の半導体装置10と異なる。
【0053】
同図に表したように、半導体チップ20の突部250及び半導体チップ21の突部251の高さを調整して接合面から突部の端部までの高さを揃えることができる。これにより、被覆部材330の段差の増加を防ぐことができる。
【0054】
図18は、本開示の第4の実施形態に係る半導体装置の他の構成例を示す図である。同図は、図16と同様に、半導体装置10の構成例を表す模式断面図である。同図の半導体装置10は、チップ23を更に備える点で、図16の半導体装置10と異なる。
【0055】
チップ23は、第2の半導体基板210より高い熱伝導率の部材により構成されるチップである。このチップ23は、撮像素子100及びメモリチップ300の放熱経路を構成するものである。なお、同図の半導体チップ22は、突部251に被覆膜255が配置される例を表したものである。これらチップ23及び半導体チップ22により半導体装置10の放熱能力を向上させることができる。
【0056】
また、チップ23を空き領域に配置することにより、被覆部材330の段差を更に縮小することができる。
【0057】
これ以外の半導体装置10の構成は本開示の第1の実施形態における半導体装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0059】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0060】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板に接合されるとともに接合される面とは異なる面に突部を備える第2の半導体基板と、
前記第1の半導体基板に接合された前記第2の半導体基板を覆う被覆部材と
を有する半導体装置。
(2)
前記突部は、前記第2の半導体基板と同じ部材により構成される前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記突部は、前記第2の半導体基板より高い熱伝導率の部材を含んで構成される前記(1)に記載の半導体装置。
(4)
前記突部は、前記第2の半導体基板のエッチングを抑制する部材を含んで構成される前記(1)に記載の半導体装置。
(5)
前記突部は、炭化シリコン、窒化アルミニウム及び窒化シリコンの何れかを含んで構成される前記(1)に記載の半導体装置。
(6)
前記突部は、高さが前記第2の半導体基板の厚さより小さい形状に構成される前記(1)から(5)の何れかに記載の半導体装置。
(7)
前記突部は、前記第2の半導体基板の端部に沿った壁状に構成される前記(1)から(6)の何れかに記載の半導体装置。
(8)
前記第2の半導体基板は、複数の前記突部を備える前記(1)から(5)の何れかに記載の半導体装置。
(9)
前記突部は、自身の高さと隣接する他の前記突部までの距離との比率が0.01以下の形状に構成される前記(8)に記載の半導体装置。
(10)
前記突部は、幅が0.5mm以下の形状に構成される前記(8)に記載の半導体装置。
(11)
複数の前記第2の半導体基板を有する前記(1)から(10)の何れかに記載の半導体装置。
(12)
複数の前記第2の半導体基板は、前記第1の半導体基板に接合される際の接合面からそれぞれの前記突部の先端までの高さが略等しい形状に構成される前記(11)に記載の半導体装置。
(13)
前記第2の半導体基板の前記突部が配置される側の面に接合される第3の半導体基板を更に有する前記(1)から(12)の何れかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0061】
10 半導体装置
20~22 半導体チップ
23 チップ
100 撮像素子
110 第1の半導体基板
210、230 第2の半導体基板
250、251 突部
255 被覆膜
300 メモリチップ
310 第4の半導体基板
330 被覆部材
350 第3の半導体基板
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18