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特開2024-133780化粧料用組成物およびそれに紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133780
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】化粧料用組成物およびそれに紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240926BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240926BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/39
A61K8/46
A61K8/73
A61K8/27
A61K8/29
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043743
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野村 沙恵佳
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳祐
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD092
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB23
4C083BB36
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD33
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】本発明は、ポリオキシエチレン系界面活性剤や紫外線吸収剤を配合せず安全性や環境適合性を高め、かつ紫外線防御効果、使用感に優れた化粧料用組成物を得ること、および化粧料用組成物に紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料を得ることを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、下記(A)から(E)を必須成分として含有することで、内相である油相中に紫外線散乱剤を高濃度に配合することで、紫外線防御効果が高いだけでなく、塗布時のきしみ感のなさやさっぱりとしていて伸びが良いなどの使用感に優れた水中油型の日焼け止め化粧料を提供できる。
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)アミノ酸系界面活性剤
(C)多糖類
(D)アルキル変性水溶性高分子
(E)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)~(E)を含む化粧料用組成物。
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)アミノ酸系界面活性剤
(C)多糖類
(D)アルキル変性水溶性高分子
(E)水
【請求項2】
(A)は重合度が3~15のポリグリセリンと炭素数が12~22の脂肪酸がエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用組成物。
【請求項3】
(A)と(B)を10:1~1:1の比率にて組み合わせることを特徴とする請求項1、2に記載の化粧料用組成物。
【請求項4】
(C)と(D)を1:5~5:1の比率にて組み合わせることを特徴とする請求項1、2に記載の化粧料用組成物。
【請求項5】
さらに(F)紫外線散乱剤を含むことを特徴とする請求項1、2に記載の日焼け止め化粧料。
【請求項6】
さらに(F)紫外線散乱剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の日焼け止め化粧料。
【請求項7】
さらに(F)紫外線散乱剤を含むことを特徴とする請求項4に記載の日焼け止め化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用組成物およびそれに紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤や化粧料においては、望まれる効果・効能を発揮し、かつ、好ましい使用感を付与し、更には、製品の安定性を保証するために、種々の界面活性剤が乳化剤として使用されてきた。これらの界面活性剤としては、主にポリオキシエチレン基を親水基に持つ界面活性剤が汎用されてきた。しかしながら、ポリオキシエチレン系界面活性剤は、エチレングリコールの残存や、それに起因する皮膚刺激性等の問題が生じる場合があり、現在、医薬品および化粧品市場においては安全性に優れ、皮膚刺激性が少ない、界面活性剤が望まれている。
【0003】
近年では上記に加え、環境への適合性についても求められている。特に、日焼け止め化粧料に汎用的に配合されている紫外線吸収剤はサンゴ礁への有害性が指摘されているため、紫外線吸収剤を配合せず、紫外線散乱剤のみを配合した日焼け止め化粧料の需要が高まっている。
【0004】
日焼け止め化粧料は日常的に使用することが想定される、さっぱりとした使用感が好まれるため、水中油型の日焼け止め化粧料が好まれている。一般的に、紫外線散乱剤を配合した乳化物は油中水型であれば、紫外線散乱剤を油相に配合することで高濃度に配合が可能であり、調製も容易である。一方、水中油型の場合、紫外線散乱剤を水相に配合すると、調製は容易であるもののきしみや白化といった使用感が悪くなる傾向にある。そのため、使用感を改良するためには内相である油相に配合する必要があり、かつ紫外線防御効果を高めるためには紫外線散乱剤を高濃度に配合しなければならず、製剤化が困難な現状にある。これまで、水中油型の日焼け止め化粧料としては、アニオン性界面活性剤と高級アルコール、モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを組み合わせたもの(特許文献1)や、アニオン性界面活性剤とグリセリン脂肪酸エステル、水膨潤性粘土鉱物、コレステロール及び又はフィトステロールを組み合わせたもの(特許文献2)が報告されている。しかしながら、いずれも紫外線吸収剤が併用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020―063239号公報
【特許文献2】特開2018-070477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、ポリオキシエチレン系界面活性剤や紫外線吸収剤を配合せず安全性や環境適合性を高め、かつ紫外線防御効果、使用感に優れた日焼け止め化粧料を得ることである。そのため、予め化粧料用組成物を調製し、それに紫外線散乱剤を高濃度に配合した日焼け止め化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)アミノ酸系界面活性剤、(C)多糖類、(D)アルキル変性水溶性高分子、(E)水を特定の比率にて混合することで化粧料用組成物を調製し、該組成物の内相である油相中に紫外線散乱剤を高濃度に配合しても、安定性良好な水中油型の日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料用組成物の内相である油相中に紫外線散乱剤を高濃度に配合することができ、紫外線防御効果が高いだけでなく、塗布時のきしみ感のなさやさっぱりとしていて伸びが良いなどの使用感に優れた水中油型の日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態をより詳細に説明する。
本発明に用いる(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、重合度が3~15のポリグリセリンと炭素数が12~22の脂肪酸がエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする。日焼け止め化粧料中の配合量としては、0.1~10.0%であり、好ましくは、0.5~7.0%、更に好ましくは1.0~4.0%である。
【0010】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪酸は、炭素数12~22の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上からなる。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪酸を構成する炭素数12~22の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等を挙げることができ、中でも、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びリシノレイン酸が好適である。なお、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪酸を構成する脂肪酸は、本発明の目的とする効果が達成される範囲で、縮合していてもよい。
【0011】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンとしては、その平均重合度が3~15であることが好ましい。より好ましくはポリグリセリンの平均重合度が3~12であり、さらに好ましくは平均重合度が3~10である。
【0012】
本発明における(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、目的とする用途により特に限定されるものではないが、公知の方法にて製造することができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば「NIKKOL Tetraglyn 1-SV」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Tetraglyn 1-OV」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Hexaglyn 1-SV」、(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Hexaglyn 5-SV」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Hexaglyn PR-15」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Decaglyn 1-SV」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Decaglyn 3-SV」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Decaglyn 5-SV」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL Decaglyn 5-ISV」(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明に用いる(B)アミノ酸系界面活性剤は、皮膚に対する作用が緩和で生分解性に優れるアシルアミノ酸型界面活性剤であることを特徴とする。例えば、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン、アシルサルコシン塩、アシルメチルタウリン塩等を挙げることができ、中でも、アシルメチルタウリン塩が好適である。具体的には、カプロイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩、パルミトイルメチルタウリン塩、ステアロイルメチルタウリン塩、オレオイルメチルタウリン塩等が挙げることができる。日焼け止め化粧料中の配合量としては、0.01~10.0%であり、好ましくは、0.05~5.0%、更に好ましくは0.1~3.0%である。
【0014】
本発明における(B)アミノ酸系界面活性剤は、目的とする用途により特に限定されるものではないが、公知の方法にて製造することができる。アミノ酸系界面活性剤の市販品としては、例えば「NIKKOL CMT-30」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL LMT」(日光ケミカルズ社製)、「NIKKOL SMT」(日光ケミカルズ社製)等である。
【0015】
本発明に用いる(C)多糖類は海藻、種子、樹液、果実、微生物発酵等から得られる高分子物質であり、例えばアルギン酸、カラギーナン、寒天、グアーガム、クインシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、アラビアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ガッティガム、トラガカントガム、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、セルロース等が挙げることができ、中でもローカストビーンガムが好適である。日焼け止め化粧料中の配合量としては、0.01~5.0%であり、好ましくは、0.05~3.0%、更に好ましくは0.1~1.0%である。
【0016】
本発明に用いる(D)アルキル変性水溶性高分子はアルキル化多糖類であり、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム等が挙げることができ、中でもヒドロキシプロピルグアーガムが好適である。
【0017】
本発明における(D)アルキル変性水溶性高分子のアルキル置換度は、0.01~2、好ましくは0.1~2、更に好ましくは0.5~2である。日焼け止め化粧料中の配合量としては、0.01~5.0%であり、好ましくは、0.05~3.0%、更に好ましくは0.1~1.0%である。
【0018】
本発明において、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルと(B)アミノ酸系界面活性剤は10:1~1:1の範囲内で配合することを特徴とし、好ましくは(A):(B)=8:1~1:1であり、更に好ましくは(A):(B)=5:1~1:1である。
【0019】
本発明において、(C)多糖類と(D)アルキル変性水溶性高分子は1:5~5:1の範囲内で配合することを特徴とし、好ましくは(C):(D)=1:5~3:1であり、更に好ましくは(C):(D)=1:5~2:1である。
【0020】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び(B)アミノ酸系界面活性剤、(C)多糖類、(D)アルキル変性水溶性高分子のいずれかが欠けた場合では、油相中に紫外線散乱剤を高濃度に配合することができず、紫外線防御効果が高い水中油型の日焼け止め化粧料は得られない。
【0021】
本発明における(E)水の日焼け止め化粧料中の配合量としては、10.0~90.0%であり、好ましくは、20.0~90.0%、更に好ましくは20.0~80.0%である。
【0022】
本発明における(F)紫外線散乱剤は特に限定されるものではないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等が挙げられる。紫外線防御効果の観点から、酸化チタン、酸化亜鉛であることが好適である。日焼け止め化粧料中への配合は、油相あるいは水相のいずれかの相への配合でもよく、水相及び油相の両相へ配合しても良い。水中油型の乳化物の場合、紫外線散乱剤を水相に配合すると、その配合量によってはきしみや白化といった使用感が悪くなる傾向にあることから、油相へ配合することが好適である。日焼け止め化粧料中の配合量としては、1.0~50.0%であり、好ましくは、5.0~50.0%、更に好ましくは5.0~40.0%である。
【0023】
本発明において、(F)紫外線散乱剤は特に限定されるものではないが、分散性及び分散体の経時安定性を向上させる観点から、ビーズミルなどの分散機により紫外線散乱剤すなわち微粒子金属酸化物を油に分散させたものを用いるとよい。また、分散性を向上させるために微粒子金属酸化物はその表面が水酸化アルミニウム、脂肪酸、シリコーン等により被覆されていても良いし、分散体中に界面活性剤を含有していてもよい。微粒子金属酸化物の油分散体の市販品としては、例えば、「MHLP50TIJN」(KOBOディスパテック社製)、「MHLP50ZJEJN」(KOBOディスパテック社製)、「MHLP65ZISJ」(KOBOディスパテック社製)、「SSQP40TIJ」(KOBOディスパテック社製)、「SSQP50ZJEJ」(KOBOディスパテック社製)等である。
【0024】
本発明の化粧料用組成物およびそれに紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料は、(A)~(F)成分と油性成分のみで構成されてもよく、あるいは本発明の効果を損なわない範囲において一般に化粧品や皮膚外用剤に使用される、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、色素、香料などを併用することができる。
【0025】
油性成分としては、一般に化粧品に使用される油性成分ならいずれも好適に使用できる。具体的には、イソオクタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、オクタン酸、イソオクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸、スクワランや流動パラフィン等の炭化水素油、イソオクタン酸セチルやトリエチルヘキサノイン等のエステル油、ジイソノニルエーテルやジカプリリルエーテル等のエーテル油、オリーブ油やホホバ油、シア脂等の動植物油、ジフェニルジメチコンやジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0026】
活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、ルシノール等の美白剤、アミノ酸等のNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミド等の肌荒れ防止剤、レチノール、ビタミンA酸等の抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体等が挙げられる。
【0027】
保湿成分としては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明品をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例0029】
<実施例1.化粧料用組成物の調製方法>
表1に記載の本発明品に係る成分を含有した化粧料用組成物を調製した。調製方法としては、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70~80℃の湯浴中で均一溶解させ、(C)多糖類及び(D)アルキル変性水溶性高分子を添加し、混合した。更に、(B)アミノ酸系界面活性剤と(E)水を70~80℃の湯浴中で均一溶解させ、(A)及び(C)、(D)の混合物に添加し、混合した。その後、撹拌しながら冷却し、系の温度が40℃ になったところで撹拌を中止し混合物を取り出し、化粧料用組成物1-1~1-5と比較品1-1~1-3を得た。表中の各成分の数値は質量%を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
<実施例2.化粧料用組成物1-1~1-5及び比較品1-1~1-3に紫外線散乱剤を配合した水中油型日焼け止め化粧料の評価>
(1)調製方法
表2に示す水中油型日焼け止め化粧料を調製した。第1相と第2相を構成する各成分をそれぞれ測りとり、70~80℃の湯浴中で第1相を構成する各成分を均一になるまで撹拌した。更に、第2相を70~80℃の湯浴中で構成する各成分を撹拌し均一分散した。次に、70~80℃の加熱下で第2相をホモミキサーによって撹拌し、均一化した。第1相を第2相に添加し、ホモミキサーによって撹拌し、均質化した。その後、室温まで撹拌しながら冷却し、水中油型日焼け止め化粧料を得た。表中の各成分の数値は質量%を示す。
(2)安定性評価
評価方法は、調製直後および50℃1か月保管後に、下記評価基準に沿って、目視による外観観察及び肌へ塗布した時の使用感を確認した。
≪評価基準:外観観察≫
〇:油浮き、クリーミング等の分離や粉の凝集が認められない
×:油浮き、クリーミング等の分離や粉の凝集が認められた
≪評価基準:使用感≫
〇:伸びが良く肌なじみが良い
×:伸びが悪く肌なじみが悪い
(3)結果
本発明品の化粧料用組成物に紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料は、調製直後は分離が認められず均一な外観を示した。更に、50℃1ヶ月保管後も同様に安定であった。また、使用感においても伸びが良く肌なじみが良いものであった。一方、比較品の化粧料用組成物に紫外線散乱剤を配合した日焼け止め化粧料は、調製直後に粉の凝集が認められたものもあり、更には50℃1ヶ月保管後には全て分離した。
【0032】
【表2】
【0033】
以下に、化粧料用組成物の使用感良好な応用例1を示す。配合量は質量%である。日焼け止め化粧料である応用例2、3は、いずれも実施例2の評価方法により優れた安定性と使用感が確認できた。
【0034】
応用例1:化粧料用組成物(保湿クリームタイプ)
第1相:スクワラン 25.0(質量%)
ホホバ種子油 1.0
パルミチン酸エチルへキシル 6.0
セタノール 2.5
第2相:化粧料用組成物1-1 2.5
ヒドロキシプロリン 0.2
1,3-ブチレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
ペンチレングリコール 1.0
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
防腐剤 適量
水 残量
合計 100.0
調製方法:実施例2に同じ。
結果:調製直後、保管後ともに均一であり、使用感も良好であった。
【0035】
応用例2:サンスクリーンジェルクリーム
第1相:SSQP50ZJEJ 20.00(質量%)
SSQP40TIJ 20.00
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 5.00
セトステアリルアルコール 2.50
第2相:化粧料用組成物1-2 3.50
1,3-ブチレングリコール 5.00
EDTA-2Na 0.05
防腐剤 適量
水 残量
合計 100.0
調製方法:実施例2に同じ。
結果:調製直後、保管後ともに均一であり、使用感も良好であった。
【0036】
応用例3:ファンデーション
第1相:MHLP65ZISJ 20.00(質量%)
SSQP40TIJ 12.00
エチルヘキサン酸セチル 5.00
セトステアリルアルコール 2.50
第2相:SYMPHOLIGHT WW-E 12.18
SYMPHOLIGHT RW-TE 0.28
SYMPHOLIGHT YW-TE 1.40
SYMPHOLIGHT BW-TE 0.14
ラウリン酸ポリグリセリル-10 0.30
1,3-ブチレングリコール 6.00
第3相:水 5.00
第4相:化粧料用組成物1-5 4.50
プロパンジオール 5.00
防腐剤 適量
水 残量
合計 100.0
※SYMPHOLIGHT WW-E:酸化チタン、アルミナ、シリカ(日揮触媒化成社製)
※SYMPHOLIGHT RW-TE:酸化鉄、シリカ(日揮触媒化成社製)
※SYMPHOLIGHT YW-TE:酸化鉄、シリカ(日揮触媒化成社製)
※SYMPHOLIGHT BW-TE:酸化鉄、シリカ(日揮触媒化成社製)
調製方法:70~80℃の湯浴中で第1相を均一になるまで撹拌した。第2相を3本ローラーを用いて分散し、第3相を第2相に添加して均一混合した。更に、第4相を70~80℃の湯浴中で撹拌し均一分散した。次に、70~80℃の加熱下で第4相をホモミキサーによって撹拌し、均一化した。第1相を第4相に添加し、ホモミキサーによって撹拌し、均質化した。その後、撹拌しながら冷却し、35℃になったところで第3相と第2相の混合物を添加して撹拌し、調製終了とした。
結果:調製直後、保管後ともに均一であり、使用感も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明品の化粧料用組成物を使用することで、使用感良好な化粧料が得られ、さらに紫外線散乱剤を高濃度に配合することができ、塗布時のきしみ感のなさやさっぱりとしていて伸びが良いなどの使用感に優れた水中油型の日焼け止め化粧料を提供することができる。