(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133786
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】バスバモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240926BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240926BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240926BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240926BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240926BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/298
H01M50/569
H01M50/209
H01M50/503
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043750
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 広尊
(72)【発明者】
【氏名】村田 遼介
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA20
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD03
5H040DD08
5H040DD10
5H040JJ02
5H040NN03
5H043AA13
5H043AA17
5H043AA19
5H043CA04
5H043CA05
5H043FA04
5H043JA07F
5H043JA13F
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】突起物の迂回に好適なものとすること。
【解決手段】第2バスバ20は、一方の電極端子BC2に対して接続させる平板状の第1電気接続部21と、他方の電極端子に対して接続させる平板状の第2電気接続部22と、これらを繋ぎ、かつ、突起物Bproの周りを電池モジュールBM上で迂回するU字状の迂回部23と、を有し、収容ケース40は、第1バスバ10を収容する第1バスバ収容部41と、第1電気接続部21を収容する第2バスバ収容部42と、第2電気接続部22を収容する第3バスバ収容部43と、電池モジュールに対向配置させた底壁45に沿わせて電線32を案内する電線収容部44と、を有し、電線収容部は、第1バスバ収容部と第2バスバ収容部と第3バスバ収容部に隣設させ、かつ、配列方向に延在させ、電線は、底壁の一方の壁面45aに沿って配列方向に配索させ、第2バスバは、底壁の他方の壁面45b側に迂回部を配置させること。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールにおける一列に並べられた複数の電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続させる導電部材であり、複数の前記電池セルの配列方向で空間を空けて隣り合う前記電極端子の組み合わせ毎にその一対の電極端子を繋ぐバスバと、
前記バスバに対して物理的且つ電気的に接続させる端子金具を電線の一方の端末に備え、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットに対して前記電線の他方の端末側を電気的に接続させる端子付き電線と、
前記バスバと前記端子付き電線を収容する絶縁性の収容ケースと、
を備え、
複数の前記バスバは、前記配列方向に延在させて前記一対の電極端子を繋ぐ第1バスバと、前記電池モジュールが前記空間に備える突起物の周りを前記電池モジュール上でU字状に迂回させ、前記突起物を避けて前記一対の電極端子を繋ぐ第2バスバと、に大別され、
前記第2バスバは、前記一対の電極端子の内の一方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第1電気接続部と、その内の他方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第2電気接続部と、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部を繋ぎ、かつ、前記突起物の周りを前記電池モジュール上で迂回するU字状の迂回部と、を有し、
前記収容ケースは、前記第1バスバを収容する第1バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第1電気接続部を収容する第2バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第2電気接続部を収容する第3バスバ収容部と、前記電線を収容し且つ前記電池モジュールに対向配置させた底壁に沿わせて前記電線を前記電池監視ユニット側に案内する電線収容部と、を有し、
前記電線収容部は、前記第1電気接続部及び前記第2電気接続部の平面に対する直交方向と前記配列方向とに直交する方向で前記第1バスバ収容部と前記第2バスバ収容部と前記第3バスバ収容部に隣設させ、かつ、前記配列方向に延在させ、
前記電線は、前記底壁の一方の壁面に沿って前記配列方向に配索させ、
前記第2バスバは、前記底壁の他方の壁面側に前記迂回部を配置させることを特徴としたバスバモジュール。
【請求項2】
前記収容ケースは、前記底壁の前記他方の壁面に間隔を空けて対向配置させ、前記底壁の前記他方の壁面との間に前記迂回部を収めるカバー部を有することを特徴とした請求項1に記載のバスバモジュール。
【請求項3】
前記第2バスバは、前記配列方向における一方の第1方向側と他方の第2方向側とで非対称形状に成形され、
前記収容ケースは、前記第1電気接続部に対して前記端子金具を物理的且つ電気的に接続させた前記端子付き電線の前記電線を前記配列方向で前記第1方向側に傾けて前記電線収容部に引き入れさせる第1電線導出路と、前記第2電気接続部に対して前記端子金具を物理的且つ電気的に接続させた前記端子付き電線の前記電線を前記配列方向で前記第1方向側に傾けて前記電線収容部に引き入れさせる第2電線導出路と、を有し、
前記第2バスバ収容部は、前記第1方向側の端部に前記第1電線導出路を連結させ、かつ、前記第2方向側の端部から室外に前記迂回部を突出させ、
前記第3バスバ収容部は、前記第1方向側の端部に前記第2電線導出路を連結させ、かつ、前記第2方向側の端部から室外に前記迂回部を突出させることを特徴とした請求項1又は2に記載のバスバモジュール。
【請求項4】
電池モジュールにおける一列に並べられた複数の電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続させる導電部材であり、複数の前記電池セルの配列方向で空間を空けて隣り合う前記電極端子の組み合わせ毎にその一対の電極端子を繋ぐバスバと、
前記バスバに対して物理的且つ電気的に接続させる端子金具を電線の一方の端末に備え、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットに対して前記電線の他方の端末側を電気的に接続させる端子付き電線と、
前記バスバと前記端子付き電線を収容する絶縁性の収容ケースと、
を備え、
複数の前記バスバは、前記配列方向に延在させて前記一対の電極端子を繋ぐ第1バスバと、前記電池モジュールが前記空間に備える突起物の周りを前記電池モジュール上でU字状に迂回させ、前記突起物を避けて前記一対の電極端子を繋ぐ第2バスバと、に大別され、
前記第2バスバは、前記一対の電極端子の内の一方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第1電気接続部と、その内の他方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第2電気接続部と、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部を繋ぎ、かつ、前記突起物の周りを前記電池モジュール上で迂回するU字状の迂回部と、を有し、かつ、前記配列方向における一方の第1方向側と他方の第2方向側とで非対称形状に成形され、
前記収容ケースは、前記第1バスバを収容する第1バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第1電気接続部を収容する第2バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第2電気接続部を収容する第3バスバ収容部と、前記電線を収容し且つ前記電池モジュールに対向配置させた底壁に沿わせて前記電線を前記電池監視ユニット側に案内する電線収容部と、前記第1電気接続部に対して前記端子金具を物理的且つ電気的に接続させた前記端子付き電線の前記電線を前記配列方向で前記第1方向側に傾けて前記電線収容部に引き入れさせる第1電線導出路と、前記第2電気接続部に対して前記端子金具を物理的且つ電気的に接続させた前記端子付き電線の前記電線を前記配列方向で前記第1方向側に傾けて前記電線収容部に引き入れさせる第2電線導出路と、を有し、
前記電線収容部は、前記第2バスバの平面に対する直交方向と前記配列方向とに直交する方向で前記第1バスバ収容部と前記第2バスバ収容部と前記第3バスバ収容部に隣設させ、かつ、前記配列方向に延在させ、
前記第2バスバ収容部は、前記第1方向側の端部に前記第1電線導出路を連結させ、かつ、前記第2方向側の端部から室外に前記迂回部を突出させ、
前記第3バスバ収容部は、前記第1方向側の端部に前記第2電線導出路を連結させ、かつ、前記第2方向側の端部から室外に前記迂回部を突出させることを特徴としたバスバモジュール。
【請求項5】
前記端子金具は、前記第1電気接続部又は前記第2電気接続部への積層配置が可能で、かつ、雄螺子部を有する前記電極端子に螺合させた雌螺子部材によって前記第1電気接続部又は前記第2電気接続部と共締め固定される平板状の端子接続部を有することを特徴とした請求項4に記載のバスバモジュール。
【請求項6】
前記第2バスバは、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部と前記迂回部とを同一の平面上に有する平板状に成形され、
前記第1電気接続部と前記第2電気接続部は、各々、前記第2バスバの平面に対する直交方向と前記配列方向とに直交する方向の対辺の間隔が共通で且つ板厚が共通であり、前記配列方向に対する直交断面の断面積が同じ矩形の平板状に形成され、
前記迂回部は、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部を繋ぐ迂回経路上の中心軸に対する直交方向の板幅を前記第1電気接続部と前記第2電気接続部の前記対辺の間隔よりも狭くし、かつ、板厚を前記第1電気接続部と前記第2電気接続部の前記板厚よりも厚くして、前記中心軸に対する直交断面の断面積を前記第1電気接続部と前記第2電気接続部の前記断面積と同等の大きさに合わせた平板状に形成されることを特徴とした請求項1、2又は4に記載のバスバモジュール。
【請求項7】
前記第1バスバは、前記配列方向に対する直交方向を板幅とする板状に形成され、
前記第1電気接続部と前記第2電気接続部と前記迂回部のそれぞれの前記断面積は、前記第1バスバにおける前記配列方向に対する直交断面の断面積と同等の大きさに合わせることを特徴とした請求項6に記載のバスバモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスバモジュールは、隣り合う電池セルの電極端子同士を物理的且つ電気的に接続させるバスバを備える。この種のバスバモジュールについては、例えば、下記の特許文献1から3に開示されている。また、その特許文献2及び3に記載のバスバモジュールは、そのバスバに対して物理的且つ電気的に接続され、このバスバを電池監視ユニット(電池セルの電池状態を監視する監視装置)に対して電気的に接続させる端子付き電線を備えている。尚、特許文献1には、バスバに切り込みやスリットを形成し、このバスバを折曲げ易くすることによって、隣り合う電池セルの電極端子間の位置ずれに対応させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-243689号公報
【特許文献2】特開2015-133223号公報
【特許文献3】特開2021-002524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の電池セルが配列された電池モジュールにおいては、例えば、隣り合う電池セル間の隔壁や排気ダクトなどの多様な構造物も具備されており、その構造物の一部や構造物そのものが突起物として露出しているものがある。このため、バスバモジュールにおいては、その突起物が電極端子の間に存在している場合、この突起物を避けたバスバでその電極端子同士を繋ぐ必要がある。そして、この場合には、そのバスバの迂回経路上で端子付き電線との干渉を避ける必要も生じる。
【0005】
そこで、本発明は、突起物の迂回に好適なバスバモジュールを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電池モジュールにおける一列に並べられた複数の電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続させる導電部材であり、複数の前記電池セルの配列方向で空間を空けて隣り合う前記電極端子の組み合わせ毎にその一対の電極端子を繋ぐバスバと、前記バスバに対して物理的且つ電気的に接続させる端子金具を電線の一方の端末に備え、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットに対して前記電線の他方の端末側を電気的に接続させる端子付き電線と、前記バスバと前記端子付き電線を収容する絶縁性の収容ケースと、を備え、複数の前記バスバは、前記配列方向に延在させて前記一対の電極端子を繋ぐ第1バスバと、前記電池モジュールが前記空間に備える突起物の周りを前記電池モジュール上でU字状に迂回させ、前記突起物を避けて前記一対の電極端子を繋ぐ第2バスバと、に大別され、前記第2バスバは、前記一対の電極端子の内の一方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第1電気接続部と、その内の他方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第2電気接続部と、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部を繋ぎ、かつ、前記突起物の周りを前記電池モジュール上で迂回するU字状の迂回部と、を有し、前記収容ケースは、前記第1バスバを収容する第1バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第1電気接続部を収容する第2バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第2電気接続部を収容する第3バスバ収容部と、前記電線を収容し且つ前記電池モジュールに対向配置させた底壁に沿わせて前記電線を前記電池監視ユニット側に案内する電線収容部と、を有し、前記電線収容部は、前記第1電気接続部及び前記第2電気接続部の平面に対する直交方向と前記配列方向とに直交する方向で前記第1バスバ収容部と前記第2バスバ収容部と前記第3バスバ収容部に隣設させ、かつ、前記配列方向に延在させ、前記電線は、前記底壁の一方の壁面に沿って前記配列方向に配索させ、前記第2バスバは、前記底壁の他方の壁面側に前記迂回部を配置させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、電池モジュールにおける一列に並べられた複数の電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続させる導電部材であり、複数の前記電池セルの配列方向で空間を空けて隣り合う前記電極端子の組み合わせ毎にその一対の電極端子を繋ぐバスバと、前記バスバに対して物理的且つ電気的に接続させる端子金具を電線の一方の端末に備え、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットに対して前記電線の他方の端末側を電気的に接続させる端子付き電線と、前記バスバと前記端子付き電線を収容する絶縁性の収容ケースと、を備え、複数の前記バスバは、前記配列方向に延在させて前記一対の電極端子を繋ぐ第1バスバと、前記電池モジュールが前記空間に備える突起物の周りを前記電池モジュール上でU字状に迂回させ、前記突起物を避けて前記一対の電極端子を繋ぐ第2バスバと、に大別され、前記第2バスバは、前記一対の電極端子の内の一方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第1電気接続部と、その内の他方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第2電気接続部と、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部を繋ぎ、かつ、前記突起物の周りを前記電池モジュール上で迂回するU字状の迂回部と、を有し、かつ、前記配列方向における一方の第1方向側と他方の第2方向側とで非対称形状に成形され、前記収容ケースは、前記第1バスバを収容する第1バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第1電気接続部を収容する第2バスバ収容部と、前記第2バスバの前記第2電気接続部を収容する第3バスバ収容部と、前記電線を収容し且つ前記電池モジュールに対向配置させた底壁に沿わせて前記電線を前記電池監視ユニット側に案内する電線収容部と、前記第1電気接続部に対して前記端子金具を物理的且つ電気的に接続させた前記端子付き電線の前記電線を前記配列方向で前記第1方向側に傾けて前記電線収容部に引き入れさせる第1電線導出路と、前記第2電気接続部に対して前記端子金具を物理的且つ電気的に接続させた前記端子付き電線の前記電線を前記配列方向で前記第1方向側に傾けて前記電線収容部に引き入れさせる第2電線導出路と、を有し、前記電線収容部は、前記第2バスバの平面に対する直交方向と前記配列方向とに直交する方向で前記第1バスバ収容部と前記第2バスバ収容部と前記第3バスバ収容部に隣設させ、かつ、前記配列方向に延在させ、前記第2バスバ収容部は、前記第1方向側の端部に前記第1電線導出路を連結させ、かつ、前記第2方向側の端部から室外に前記迂回部を突出させ、前記第3バスバ収容部は、前記第1方向側の端部に前記第2電線導出路を連結させ、かつ、前記第2方向側の端部から室外に前記迂回部を突出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るバスバモジュールは、電池モジュールの電極端子の間に突起物が存在している場合でも、その突起物を避ける第2バスバを設定することによって、この電池モジュールに組み付けることができる。一方、このバスバモジュールは、その突起物を避けるために第2バスバの迂回部が端子付き電線の電線の配索経路に寄せられることになるが、その電線の電線収容部の底壁を境にして、その底壁の一方の壁面側に電線を配策し、その底壁の他方の壁面側に迂回部を配置することによって、迂回部と電線の干渉を防ぐことができる。従って、本発明に係るバスバモジュールは、突起物を迂回するに好適なものとなる。また、本発明に係るバスバモジュールは、第2バスバ収容部にて、第1方向側の端部に第1電線導出路を連結させ、かつ、第2方向側の端部から室外に迂回部の一端側を突出させる。そして、このバスバモジュールは、第3バスバ収容部にて、第1方向側の端部に第2電線導出路を連結させ、かつ、第2方向側の端部から室外に迂回部の他端側を突出させる。つまり、第2バスバ収容部の端子付き電線においては、その電線が第1電線導出路から電線収容部に渡される。また、第3バスバ収容部の端子付き電線においては、その電線が第2電線導出路から電線収容部に渡される。一方、第2バスバの迂回部においては、その一端側が第1電線導出路からずらした場所に配置され、かつ、その他端側が第2電線導出路からずらした場所に配置される。このため、このバスバモジュールは、迂回部と端子付き電線の電線との干渉を防ぐことができる。従って、本発明に係るバスバモジュールは、突起物を迂回するに好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、電池モジュールに組み付けた実施形態のバスバモジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、電池モジュールに組み付ける前の実施形態のバスバモジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、電池モジュールに組み付けた実施形態のバスバモジュールを正面から見た平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のバスバモジュールを背面から見た平面図である。
【
図8】
図8は、収容ケースを正面側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、収容ケースを正面から見た平面図である。
【
図10】
図10は、収容ケースを背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るバスバモジュールの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
本発明に係るバスバモジュールの実施形態の1つを
図1から
図11に基づいて説明する。
【0012】
図1から
図4の符号1は、本実施形態のバスバモジュールを示す。バスバモジュール1は、複数の電池セルBCが1列に並べられた電池モジュールBMに組み付けることによって、この電池モジュールBMと共に電池パックBPを構成する(
図1から
図3)。電池パックBPとは、例えば、回転機を駆動源として備える車両(電気自動車やハイブリッド車両等)に搭載されるものであり、その回転機に対する給電等に供される。
【0013】
電池セルBCは、セル本体BC1と正負それぞれの電極端子BC2とを備える(
図2及び
図3)。ここで示す電池セルBCは、セル本体BC1が6つの外壁面を持つ方体状に形成されており、このセル本体BC1の6つの外壁面の内の1つに正負それぞれの電極端子BC2が間隔を空けて配置されている。電池モジュールBMは、その複数の電池セルBCの配列方向にそれぞれの電池セルBCの一方の電極端子BC2が1列に並べられた第1電極端子群BC3と、その配列方向にそれぞれの電池セルBCの他方の電極端子BC2が1列に並べられた第2電極端子群BC4と、を有する(
図2)。
【0014】
電極端子BC2は、セル本体BC1の外壁面に設けた板状又は方体状のものであってよく、セル本体BC1の外壁面から突出させた柱状の極柱であってもよい。板状又は方体状の電極端子BC2の場合には、その電極端子BC2に対して、後述するバスバを溶接等で物理的且つ電気的に接続させる。また、極柱としての電極端子BC2の場合には、その電極端子BC2に雄螺子部が設けられているので、後述するバスバの貫通孔に電極端子BC2を挿通させ、その電極端子BC2の雄螺子部に雌螺子部材を螺合して、この電極端子BC2にバスバを物理的且つ電気的に接続させる。ここでは、極柱としての電極端子BC2を例に挙げている。
【0015】
バスバモジュール1は、複数の電池セルBCの電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続させる導電部材であり、この複数の電池セルBCの配列方向で空間を空けて隣り合う電極端子BC2の組み合わせ毎にその一対の電極端子BC2を繋ぐバスバを備える。この複数のバスバは、複数の電池セルBCの配列方向に延在させて一対の電極端子BC2を繋ぐ第1バスバ10と、電池モジュールBMが前記空間に備える突起物Bproの周りを電池モジュールBM上でU字状に迂回させ、その突起物Bproを避けて一対の電極端子BC2を繋ぐ第2バスバ20と、に大別される(
図2から
図4)。以下において特段の言及も無く一対の電極端子BC2と記した場合、その一対の電極端子BC2とは、複数の電池セルBCの配列方向で空間を空けて隣り合う2つの電極端子BC2のことを示している。
【0016】
ここで示すバスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)は、金属製の板状の導電部材であり、例えば、銅又は銅合金等の金属板を母材にしたプレス成形によって形作られる。
【0017】
第1バスバ10は、複数の電池セルBCの配列方向に対する直交方向を板幅とする板状に形成される。第1バスバ10は、一対の電極端子BC2の内の一方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第1電気接続部11と、その内の他方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第2電気接続部12と、を有する(
図3から
図5)。この第1電気接続部11と第2電気接続部12は、矩形の平板状に形成されている。この第1電気接続部11と第2電気接続部12には、極柱としての電極端子BC2を挿通させる貫通孔11a,12aが形成されている(
図4及び
図5)。
【0018】
この第1バスバ10は、その第1電気接続部11と第2電気接続部12を複数の電池セルBCの配列方向で繋ぐ連結部13を有する(
図3から
図5)。この連結部13は、その配列方向における一対の電極端子BC2の一方と他方との間の空間に配置される。
【0019】
第1電気接続部11と第2電気接続部12と連結部13は、それぞれの板幅が均等で且つそれぞれの板厚が均等の板状に形成されている。つまり、第1バスバ10は、複数の電池セルBCの配列方向に対する直交断面の断面積が第1電気接続部11と第2電気接続部12と連結部13のそれぞれで均等な大きさになっている。
【0020】
ここで、電池モジュールBMにおいては、例えば、車両走行等に伴って電池セルBCが熱膨張や熱収縮を起こした際に、一対の電極端子BC2にてその一方と他方の間隔(以下、「電極間ピッチ」という。)が複数の電池セルBCの配列方向で変化する。連結部13は、その電極間ピッチの変化に第1バスバ10を追従させるべく、その配列方向での撓み変形を行い得るものとして形成される。例えば、この連結部13は、その撓み変形が可能な凸状の山型形状に形成される。この例示の連結部13は、複数の電池セルBCの配列方向で向かい合う第1電気接続部11と第2電気接続部12のそれぞれの端辺から突出させた矩形の平板状の立壁部と、このそれぞれの立壁部における突出方向側の端辺同士を連結させた矩形の平板状の頂上部と、を有している。
【0021】
第2バスバ20は、一対の電極端子BC2の内の一方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第1電気接続部21と、その内の他方に対して物理的且つ電気的に接続させる平板状の第2電気接続部22と、を有する(
図3、
図4及び
図6)。この第1電気接続部21と第2電気接続部22は、矩形の平板状に形成されている。この第1電気接続部21と第2電気接続部22には、極柱としての電極端子BC2を挿通させる貫通孔21a,22aが形成されている(
図4及び
図6)。
【0022】
ここで、電池モジュールBMにおいては、一対の電極端子BC2にてその一方と他方の間の空間に突起物Bproが配置されることもある。その突起物Bproとは、電池モジュールBMが備える構造物(例えば、隣り合う電池セルBC間の隔壁や排気ダクトなど)の一部、電池モジュールBMが備える構造物そのものである。この例示では、その2つの電極端子BC2の間の空間に雄螺子部材の頭部が突起物Bproとして存在している。このような突起物Bproが存在している場合には、その一対の電極端子BC2を第1バスバ10で繋ごうとすると、この第1バスバ10の連結部13が突起物Bproに干渉してしまう。このため、この場合には、その一対の電極端子BC2を電気的に接続させるためのバスバとして第1バスバ10を適用することができない。そこで、このバスバモジュール1においては、その突起物Bproに適応させた第2バスバ20を用いる。
【0023】
この第2バスバ20は、第1電気接続部21と第2電気接続部22を繋ぎ、かつ、突起物Bproの周りを電池モジュールBM上で迂回するU字状の迂回部23を有する(
図4及び
図6)。この迂回部23は、例えば、この第2バスバ20を第1電極端子群BC3の一対の電極端子BC2に適用する場合、第1電気接続部21と第2電気接続部22から第2電極端子群BC4側に向けて突出させる。また、この迂回部23は、例えば、この第2バスバ20を第2電極端子群BC4の一対の電極端子BC2に適用する場合、第1電気接続部21と第2電気接続部22から第1電極端子群BC3側に向けて突出させる。
【0024】
この第2バスバ20においては、先の電極間ピッチの変化に追従させるべく、その迂回部23を複数の電池セルBCの配列方向で撓み変形させ得るものとして形成する。例えば、迂回部23は、下記の如き形状に形成することによって、その撓み変形を可能にする。先ず、ここで示す第2バスバ20においては、第1電気接続部21及び第2電気接続部22と同一の平面上に迂回部23が形成されている。つまり、この例示の第2バスバ20は、第1電気接続部21と第2電気接続部22と迂回部23とを同一の平面上に有する平板状に成形されている。次に、この第2バスバ20においては、第1電気接続部21と第2電気接続部22の対辺(第2バスバ20の平面に対する直交方向と複数の電池セルBCの配列方向とに直交する方向の対辺)の間隔よりも迂回部23の板幅(第1電気接続部21と第2電気接続部22を繋ぐ迂回経路上の中心軸に対する直交方向の板幅)を狭くしている。これにより、この第2バスバ20においては、電極間ピッチの変化に伴い第1電気接続部21と第2電気接続部22が受けた力を迂回部23の撓み変形によって吸収しつつ、その電極間ピッチの変化に追従させることができる。
【0025】
一方、この第2バスバ20においては、第1電気接続部21と第2電気接続部22の対辺の間隔よりも迂回部23の板幅を狭くすることで、第1電気接続部21と第2電気接続部22と迂回部23のそれぞれの場所の間で電気的な抵抗値にずれが生じる可能性がある。そこで、この第2バスバ20においては、第1電気接続部21と第2電気接続部22と迂回部23のそれぞれの場所の間での電気的な抵抗値のずれを小さなものに抑えるべく、第1電気接続部21と第2電気接続部22と迂回部23を下記の如き形状とする(図示略)。先ず、第1電気接続部21と第2電気接続部22は、各々、第2バスバ20の平面に対する直交方向と複数の電池セルBCの配列方向とに直交する方向の対辺の間隔が共通で且つ板厚が共通であり、その配列方向に対する直交断面の断面積が同じ矩形の平板状に形成されている(貫通孔の存在する部分を除く)。次に、迂回部23は、第1電気接続部21と第2電気接続部22を繋ぐ迂回経路上の中心軸に対する直交方向の板幅を第1電気接続部21と第2電気接続部22の前記対辺(第2バスバ20の平面に対する直交方向と複数の電池セルBCの配列方向とに直交する方向の対辺)の間隔よりも狭くし、かつ、板厚を第1電気接続部21と第2電気接続部22の板厚よりも厚くして、その中心軸に対する直交断面の断面積を第1電気接続部21と第2電気接続部22の前記断面積と同等の大きさに合わせた平板状に形成されている。この迂回部23の板幅と板厚は、電極間ピッチの変化に追従させるための撓み変形を行い得るものに設定する。これにより、この第2バスバ20においては、電気的な抵抗値のずれを小さなものに抑えつつ、電極間ピッチの変化に追従させることができる。
【0026】
例えば、その第1電気接続部21と第2電気接続部22と迂回部23のそれぞれの断面積は、第1バスバ10における配列方向に対する直交断面の断面積と同等の大きさに合わせる。これにより、このバスバモジュール1は、第1バスバ10と第2バスバ20の間での通電性能のずれを抑えることができる。
【0027】
バスバモジュール1は、そのバスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)に対して物理的且つ電気的に接続させる端子金具31を電線32の一方の端末に備え、電池セルBCの電池状態(電圧、電流、温度等)を監視する電池監視ユニットに対して電線32の他方の端末側を電気的に接続させる端子付き電線30を備える(
図2、
図3及び
図7)。
【0028】
このバスバモジュール1は、第1バスバ10に対して物理的且つ電気的に接続させる第1バスバ10毎の端子付き電線30を備えると共に、第2バスバ20の第1電気接続部21に対して物理的且つ電気的に接続させる端子付き電線30と、第2バスバ20の第2電気接続部22に対して物理的且つ電気的に接続させる端子付き電線30と、を備える。それぞれの端子付き電線30は、全ての第1バスバ10と第2バスバ20に対して共通のものを適用してもよく、後述する電線32の配索経路に応じたものを第1バスバ10と第2バスバ20に対して適宜使い分けてもよい。但し、この例示では、第2バスバ20の第1電気接続部21に対して物理的且つ電気的に接続させる端子付き電線30と、第2バスバ20の第2電気接続部22に対して物理的且つ電気的に接続させる端子付き電線30と、に共通のものを用いる。
【0029】
端子金具31は、第1電気接続部11,21又は第2電気接続部12,22への積層配置が可能で、かつ、雄螺子部を有する電極端子BC2に螺合させた雌螺子部材によって第1電気接続部11,21又は第2電気接続部12,22と共締め固定される平板状の端子接続部31aを有する(
図7)。この端子接続部31aは、矩形の平板状に形成されている。そして、この端子接続部31aは、2箇所の対辺の内の1つを複数の電池セルBCの配列方向に沿わせた形で第1電気接続部11,21又は第2電気接続部12,22に積層させる。この端子接続部31aには、極柱としての電極端子BC2を挿通させる貫通孔31bが形成されている。
【0030】
また、この端子金具31は、電線32の一方の端末に対して物理的且つ電気的に接続させる電線接続部31cを有する(
図7)。この例示の電線接続部31cは、一対のバレル片を電線32の一方の端末の剥き出しの芯線に対して加締め圧着させる圧着部として形成されている。
【0031】
この電線接続部31cは、端子接続部31aの四隅の内の1つから突出させる。この電線接続部31cは、例えば、この端子付き電線30を第1電極端子群BC3の電極端子BC2に適用する場合、その端子接続部31aの四隅の内の1つから第2電極端子群BC4側に向けて突出させる。また、この電線接続部31cは、例えば、この端子付き電線30を第2電極端子群BC4の電極端子BC2に適用する場合、その端子接続部31aの四隅の内の1つから第1電極端子群BC3側に向けて突出させる。
【0032】
ここで示す電線接続部31cは、端子接続部31aの四隅の内の1つから当該端子接続部31aと同一の平面上で且つ当該端子接続部31aの2組の対辺のそれぞれの向かい合う方向に対して各々傾倒させた状態で突出させる。この電線接続部31cは、自身から引き出させた電線32を複数の電池セルBCの配列方向における一方の第1方向側に向けて配策する場合、その第1方向側に向けて傾けた状態で突出させる。また、この電線接続部31cは、自身から引き出させた電線32を複数の電池セルBCの配列方向における他方の第2方向側に向けて配策する場合、その第2方向側に向けて傾けた状態で突出させる。
【0033】
バスバモジュール1は、バスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)と端子付き電線30を収容する絶縁性の収容ケース40を備える(
図1から
図4及び
図8から
図11)。この収容ケース40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このバスバモジュール1においては、第1電極端子群BC3側と第2電極端子群BC4側とに各々収容ケース40が設けられている。
【0034】
この収容ケース40は、第1バスバ10を収容する第1バスバ収容部41と、第2バスバ20の第1電気接続部21を収容する第2バスバ収容部42と、第2バスバ20の第2電気接続部22を収容する第3バスバ収容部43と、を有する(
図2から
図4及び
図8から
図11)。
【0035】
第1バスバ10は、第1バスバ収容部41に収容され、この第1バスバ収容部41の中で一対の電極端子BC2に組み付けられる。端子付き電線30は、その第1バスバ収容部41の中で端子金具31の端子接続部31aを第1バスバ10の第1電気接続部11又は第2電気接続部12に積層させる。
【0036】
第2バスバ20の第1電気接続部21は、第2バスバ収容部42に収容され、この第2バスバ収容部42の中で一対の電極端子BC2の内の一方に組み付けられる。端子付き電線30は、その第2バスバ収容部42の中で端子金具31の端子接続部31aを第2バスバ20の第1電気接続部21に積層させる。また、この第2バスバ20の第2電気接続部22は、第3バスバ収容部43に収容され、この第3バスバ収容部43の中で一対の電極端子BC2の内の他方に組み付けられる。端子付き電線30は、その第3バスバ収容部43の中で端子金具31の端子接続部31aを第2バスバ20の第2電気接続部22に積層させる。
【0037】
更に、この収容ケース40は、端子付き電線30の電線32を収容する電線収容部44を有している(
図2、
図3、
図8及び
図9)。この電線収容部44には、第1電極端子群BC3側の収容ケース40の場合、その第1電極端子群BC3の電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続させる全ての端子付き電線30の電線32が収容される。また、この電線収容部44には、第2電極端子群BC4側の収容ケース40の場合、その第2電極端子群BC4の電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続させる全ての端子付き電線30の電線32が収容される。
【0038】
ここで、この例示では、突起物Bproが第1電極端子群BC3側にだけ存在している。このため、第1電極端子群BC3側の収容ケース40の電線収容部44は、その突起物Bproの周りを電池モジュールBM上でU字状に迂回させている。
【0039】
この電線収容部44は、電池モジュールBMに対向配置させた底壁45を有しており、この底壁45に沿わせて電線32を電池監視ユニット側に案内する(
図3、
図4及び
図8から
図11)。この電線収容部44は、第1電気接続部11,21及び第2電気接続部12,22の平面に対する直交方向と複数の電池セルBCの配列方向とに直交する方向で第1バスバ収容部41と第2バスバ収容部42と第3バスバ収容部43に隣設させ、かつ、その配列方向に延在させる。この電線収容部44は、第1電極端子群BC3側の収容ケース40の場合、第1バスバ収容部41と第2バスバ収容部42と第3バスバ収容部43に対して第2電極端子群BC4側に隣設させる。また、この電線収容部44は、第2電極端子群BC4側の収容ケース40の場合、第1バスバ収容部41と第2バスバ収容部42と第3バスバ収容部43に対して第1電極端子群BC3側に隣設させる。
【0040】
バスバモジュール1においては、この電線収容部44の位置に第2バスバ20の迂回部23が存在する。このため、このバスバモジュール1は、その迂回部23と電線収容部44の電線32との干渉を塞ぐべく、次のように構成されている。
【0041】
先ず、電線収容部44において、電線32は、その底壁45の一方の壁面45aに沿って複数の電池セルBCの配列方向に配索させる(
図3、
図8及び
図9)。例えば、第2バスバ20と当該第2バスバ20の隣の第1バスバ10に接続するそれぞれの端子付き電線30においては、その電線32がその配列方向における一方の第1方向側に向けて配索されている。次に、第2バスバ20は、その底壁45の他方の壁面45b側に迂回部23を配置させる(
図4、
図10及び
図11)。これにより、このバスバモジュール1は、第2バスバ20の迂回部23と電線収容部44の電線32の干渉を防ぐことができる。ここで示す電線収容部44においては、突起物Bproの周りを電池モジュールBM上でU字状に迂回させている部分で底壁45の他方の壁面45bに沿って迂回部23を配置させている。このため、このバスバモジュール1においては、その迂回部分の底壁45の一方の壁面45a側で配索経路を必要以上に延ばすことのない電線30の配索が可能になる。この例示のバスバモジュール1は、その底壁45の他方の壁面45bを電池モジュールBMに対向配置させた状態で当該電池モジュールBMに組み付けられる。
【0042】
収容ケース40は、その底壁45の他方の壁面45bに間隔を空けて対向配置させ、この底壁45の他方の壁面45bとの間に迂回部23を収めるカバー部46を有している(
図4、
図10及び
図11)。このカバー部46は、回転軸としてのリビングヒンジ46aを介して電線収容部44に連結されている。よって、このカバー部46は、底壁45の他方の壁面45bに対向配置させた閉状態とその他方の壁面45bに対向配置させない開状態との間での回動動作が可能になっている。
【0043】
更に、このバスバモジュール1は、第2バスバ20の迂回部23と端子付き電線30の端子金具31の電線接続部31cとの干渉を防ぎ、かつ、その迂回部23と電線接続部31cから引き出された電線32との干渉を防ぐべく、次のように構成されている。
【0044】
収容ケース40は、第2バスバ20の第1電気接続部21に対して端子金具31を物理的且つ電気的に接続させた端子付き電線30の電線32を複数の電池セルBCの配列方向でその第1方向側に傾けて電線収容部44に引き入れさせる第1電線導出路47と、第2バスバ20の第2電気接続部22に対して端子金具31を物理的且つ電気的に接続させた端子付き電線30の電線32を複数の電池セルBCの配列方向でその第1方向側に傾けて電線収容部44に引き入れさせる第2電線導出路48と、を有している(
図3、
図8及び
図9)。
【0045】
ここで、端子金具31は、第2バスバ収容部42に収容された端子接続部31aにおける電線収容部44側で且つ先の第1方向側の隅部から当該端子接続部31aと同一の平面上で電線接続部31cを次のように傾けて突出させる。この電線接続部31cは、その隅部から電線収容部44側で且つ先の第1方向側に傾けて突出させる。この電線接続部31cは、第1電線導出路47に配置され、この第1電線導出路47の中で電線32を電線収容部44側で且つ先の第1方向側に向けて引き出させる。よって、第2バスバ収容部42は、複数の電池セルBCの配列方向で室内の電極端子BC2の重心位置よりも第1方向側に第1電線導出路47を連結させ、かつ、その配列方向で室内の電極端子BC2の重心位置よりも第2方向側から室外に第2バスバ20の迂回部23を突出させる。ここで示す第2バスバ収容部42は、その第1方向側の端部に第1電線導出路47を連結させ、かつ、先の第2方向側の端部から室外に第2バスバ20の迂回部23を突出させている。その迂回部23は、第2バスバ収容部42から室外に引き出されたその先で電線収容部44の底壁45の他方の壁面45b側に配置される。
【0046】
また、端子金具31は、第3バスバ収容部43に収容された端子接続部31aにおける電線収容部44側で且つ先の第1方向側の隅部から当該端子接続部31aと同一の平面上で電線接続部31cを次のように傾けて突出させる。この電線接続部31cは、その隅部から電線収容部44側で且つ先の第1方向側に傾けて突出させる。この電線接続部31cは、第2電線導出路48に配置され、この第2電線導出路48の中で電線32を電線収容部44側で且つ先の第1方向側に向けて引き出させる。よって、第3バスバ収容部43は、複数の電池セルBCの配列方向で室内の電極端子BC2の重心位置よりも第1方向側に第2電線導出路48を連結させ、かつ、その配列方向で室内の電極端子BC2の重心位置よりも第2方向側から室外に第2バスバ20の迂回部23を突出させる。ここで示す第3バスバ収容部43は、その第1方向側の端部に第2電線導出路48を連結させ、かつ、先の第2方向側の端部から室外に第2バスバ20の迂回部23を突出させている。その迂回部23は、第3バスバ収容部43から室外に引き出されたその先で電線収容部44の底壁45の他方の壁面45b側に配置される。
【0047】
第2バスバ20は、第2バスバ収容部42と第3バスバ収容部43からそれぞれに複数の電池セルBCの配列方向で電極端子BC2の重心位置よりも第2方向側から室外に突出させる。このため、この第2バスバ20は、配列方向における一方の第1方向側と他方の第2方向側とで非対称形状に成形される。
【0048】
このバスバモジュール1は、そのような第2バスバ20の形状と、第2バスバ収容部42と第3バスバ収容部43における第2バスバ20の迂回部23の引出口の位置と、端子付き電線30の端子金具31の形状と、第2バスバ収容部42に対する第1電線導出路47の配置と、第3バスバ収容部43に対する第2電線導出路48の配置と、によって、第2バスバ20の迂回部23と端子付き電線30の端子金具31の電線接続部31cとの干渉を防ぎ、かつ、その迂回部23と電線接続部31cから引き出された電線32との干渉を防ぐことができる。
【0049】
尚、収容ケース40は、第1バスバ10の第1電気接続部11又は第2電気接続部12に対して端子金具31を物理的且つ電気的に接続させた端子付き電線30の電線32を複数の電池セルBCの配列方向でその第1方向側又は第2方向側に傾けて電線収容部44に引き入れさせる電線導出路49を有している(
図3、
図8及び
図9)。
【0050】
ところで、この例示のバスバモジュール1は、電線収容部44の底壁45の他方の壁面45bを電池モジュールBMに対向配置させた状態で当該電池モジュールBMに組み付けられている。バスバモジュール1は、この形態のみに限定するものではなく、電線収容部44の底壁45の一方の壁面45aを電池モジュールBMに対向配置させた状態で当該電池モジュールBMに組み付けてもよい。
【0051】
バスバモジュール1は、第1電極端子群BC3のそれぞれの電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続させるバスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)と、この第1電極端子群BC3に対応させたそれぞれのバスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)に対して物理的且つ電気的に接続させる端子付き電線30と、この第1電極端子群BC3に対応させたそれぞれのバスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)とそれぞれの端子付き電線30を収容する収容ケース40と、を備える。更に、このバスバモジュール1は、第2電極端子群BC4のそれぞれの電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続させるバスバ(第1バスバ10)と、この第2電極端子群BC4に対応させたそれぞれのバスバ(第1バスバ10)に対して物理的且つ電気的に接続させる端子付き電線30と、この第2電極端子群BC4に対応させたそれぞれのバスバ(第1バスバ10)とそれぞれの端子付き電線30を収容する収容ケース40と、を備える。ここで示すバスバモジュール1においては、第1電極端子群BC3側の収容ケース40と第2電極端子群BC4側の収容ケース40とが互いに連結されて1つの収容部材を構成している。よって、ここで示すバスバモジュール1は、その収容部材と、第1電極端子群BC3側のバスバ(第1バスバ10、第2バスバ20)と、第1電極端子群BC3側の端子付き電線30と、第2電極端子群BC4側のバスバ(第1バスバ10)と、第2電極端子群BC4側の端子付き電線30と、を備えている。
【0052】
以上示したように、本実施形態のバスバモジュール1は、電池モジュールBMの電極端子BC2の間に突起物Bproが存在している場合でも、その突起物Bproを避ける第2バスバ20を設定することによって、この電池モジュールBMに組み付けることができる。一方、このバスバモジュール1は、その突起物Bproを避けるために第2バスバ20の迂回部23が端子付き電線30の電線32の配索経路に寄せられることになるが、その電線32の電線収容部44の底壁45を境にして、その底壁45の一方の壁面45a側に電線32を配策し、その底壁45の他方の壁面45b側に迂回部23を配置することによって、迂回部23と電線32の干渉を防ぐことができる。従って、本実施形態のバスバモジュール1は、突起物Bproを迂回するに好適なものとなる。
【0053】
また、本実施形態のバスバモジュール1は、第2バスバ収容部42にて、第1方向側の端部に第1電線導出路47を連結させ、かつ、第2方向側の端部から室外に迂回部23の一端側を突出させる。そして、このバスバモジュール1は、第3バスバ収容部43にて、第1方向側の端部に第2電線導出路48を連結させ、かつ、第2方向側の端部から室外に迂回部23の他端側を突出させる。つまり、第2バスバ収容部42の端子付き電線30においては、その端子金具31の電線接続部31cと当該電線接続部31cから引き出された電線32とが第1電線導出路47を通り、その電線32が第1電線導出路47から電線収容部44に渡される。また、第3バスバ収容部43の端子付き電線30においては、その端子金具31の電線接続部31cと当該電線接続部31cから引き出された電線32とが第2電線導出路48を通り、その電線32が第2電線導出路48から電線収容部44に渡される。一方、第2バスバ20の迂回部23においては、その一端側が第1電線導出路47からずらした場所に配置され、かつ、その他端側が第2電線導出路48からずらした場所に配置される。このため、このバスバモジュール1は、迂回部23と端子付き電線30の電線接続部31cとの干渉を防ぐことができ、かつ、迂回部23と端子付き電線30における電線接続部31cから引き出された電線32との干渉を防ぐことができる。従って、本実施形態のバスバモジュール1は、突起物Bproを迂回するに好適なものとなる。
【0054】
また、本実施形態のバスバモジュール1は、第1電気接続部11,21及び第2電気接続部12,22の平面に対する直交方向と複数の電池セルBCの配列方向とに直交する方向で電線収容部44を第1バスバ収容部41と第2バスバ収容部42と第3バスバ収容部43に隣設させ、かつ、第2バスバ20に平板状のものを用いている。そして、このバスバモジュール1は、電線収容部44の底壁45の一方の壁面45a側に電線32を配策し、その底壁45の他方の壁面45b側に迂回部23を配置している。このため、本実施形態のバスバモジュール1は、第1電気接続部11,21及び第2電気接続部12,22の平面に対する直交方向の高さを低く抑えることができる。従って、このバスバモジュール1は、電池パックBPの低背化に寄与するものとなる。更に、このバスバモジュール1は、端子付き電線30の端子金具31に端子接続部31aが平板状のものを用いているので、電池パックBPの更なる低背化を可能にする。
【0055】
また、本実施形態のバスバモジュール1は、迂回部23を撓み変形が可能なものとして形成しておくことで、第2バスバ20を電極間ピッチの変化に追従させることができる。そして、このバスバモジュール1は、先に示したように、第1電気接続部21の断面積と第2電気接続部22の断面積と迂回部23の断面積を同等の大きさに合わせて第2バスバ20の各部での電気的な抵抗値のずれを抑制しており、第2バスバ20の通電性能の低下を抑えながらも、この第2バスバ20を電極間ピッチの変化に追従させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 バスバモジュール
10 第1バスバ
20 第2バスバ
21 第1電気接続部
22 第2電気接続部
23 迂回部
30 端子付き電線
31 端子金具
31a 端子接続部
32 電線
40 収容ケース
41 第1バスバ収容部
42 第2バスバ収容部
43 第3バスバ収容部
44 電線収容部
45 底壁
45a 一方の壁面
45b 他方の壁面
46 カバー部
47 第1電線導出路
48 第2電線導出路
BC 電池セル
BC2 電極端子
BM 電池モジュール
Bpro 突起物