(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013379
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/10 20130101AFI20240125BHJP
G06F 16/182 20190101ALI20240125BHJP
G06F 16/28 20190101ALI20240125BHJP
【FI】
G06F21/10
G06F16/182
G06F16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115430
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸愛
(72)【発明者】
【氏名】小林 啓洋
(72)【発明者】
【氏名】八百 健嗣
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175AA01
(57)【要約】
【課題】変更される可能性のあるコンテンツの変更を、ブロックチェーンを用いて管理するための技術が提供されることが望まれる。
【解決手段】ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得する取得部と、前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御する出力制御部と、を備える、データ処理装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得する取得部と、
前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御する出力制御部と、
を備える、データ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理装置は、
前記第2の学習済みモデルの精度に対して前記変更がどの程度貢献したかを示す貢献度に基づいて、前記変更に関わった変更者への報酬額を算出する処理部を備える、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記貢献度が高いほど、前記報酬額を高く算出する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記貢献度は、前記第1の学習済みモデルの精度から前記第2の学習済みモデルの精度への増加値が高いほど大きく算出される、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記第1の学習済みモデルは、トークン付与範囲を含み、
前記第1の学習済みモデルに対応する所有者は、前記第1の学習済みモデルに含まれる前記トークン付与範囲に与えられる権利であるトークンの所有者である、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記第1の学習済みモデルは、変更可能なパラメータと、変更不可能なプログラムとを含み、
前記トークン付与範囲は、前記変更不可能なプログラムに該当する、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記変更可能なパラメータの変更による前記第2の学習済みモデルの精度に対する貢献度に基づいて、前記報酬額を算出する、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記プログラムは、識別器の前段に前記識別器への入力データに対する前処理を行う前処理部を有し、
前記変更可能なパラメータは、前記前処理に用いられるパラメータを含む、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記プログラムは、識別器の後段に前記識別器からの出力データに対する加工を行う出力加工部を有し、
前記変更可能なパラメータは、前記加工に用いられるパラメータを含む、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記変更者への前記報酬額の支払いの実行が制御される、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記トークンの値段と販売者への分配率とに応じた金額の前記販売者への支払いの実行が制御される、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記トークンの販売者から前記トークンの購入者への前記トークンの所有者の変更が実行される、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記トークンの値段と前記プログラムの著作権者への分配率とに応じた金額の前記著作権者への支払いの実行が制御される、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
前記変更履歴は、前記変更が行われたときの前記トークンの所有者に関する情報、前記変更が行われた日時を示すタイムスタンプ、前記変更に関わった変更者に関する情報、および、変更内容の少なくともいずれか一つを含む、
請求項5~13のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
前記取得部は、前記第1の学習済みモデルの前記ストレージ装置への登録要求を取得し、
前記出力制御部は、前記登録要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置への前記第1の学習済みモデルの記録を制御する、
請求項1~14のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項16】
前記学習済みモデルは、学習済みAIモデルである、
請求項1~14のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項17】
前記ブロックチェーンは、イーサリアムである、
請求項1~14のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項18】
前記ストレージ装置は、分散型ストレージ装置である、
請求項1~14のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項19】
ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得することと、
前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御することと、
を備える、データ処理方法。
【請求項20】
コンピュータを、
ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得する取得部と、
前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御する出力制御部と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データを記録するデータベース技術の一つとしてブロックチェーン技術が知られている。ブロックチェーン技術が用いられることによって、データに対する高い耐改ざん性が確保され得る。以下では、ブロックチェーン技術によってデータが記録されるデータベース自体をブロックチェーンとも言う。ブロックチェーン技術は各種の分野において用いられている。
【0003】
例えば、ブロックチェーンを用いたデジタルコンテンツ(以下、単に「コンテンツ」とも言う。)の分散型配信システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。かかる技術においては、分散型配信システムにコンテンツが登録され、コンテンツに関連する電子トークン(以下、単に「トークン」とも言う。)が作成される。コンテンツ管理システムは、デジタル通貨によるコンテンツの売買が行われると、コンテンツの権利移転(すなわち、トークンの移動)を行うことができる。
【0004】
このとき、コンテンツの流通条件(例えば、コンテンツの価格に関する条件、コンテンツの購入によって与えられる権利に関する条件、コンテンツの販売によって得られる収益に関する条件など)がスマートコントラクト(自動契約システム)に反映されていれば、スマートコントラクトによってコンテンツの売買および権利移転が自動的に履行され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブロックチェーンを用いてコンテンツを管理する技術としては、完成済みのコンテンツ(すなわち、変更される可能性のないコンテンツ)を管理することが一般的には想定されている。したがって、一般的には、変更される可能性のあるコンテンツの変更を、ブロックチェーンを用いて管理することについては想定されていない。変更される可能性のあるコンテンツの例としては、学習済みモデルなどが挙げられる。
【0007】
そこで、変更される可能性のあるコンテンツの変更を、ブロックチェーンを用いて管理するための技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得する取得部と、前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御する出力制御部と、を備える、データ処理装置が提供される。
【0009】
前記データ処理装置は、前記第2の学習済みモデルの精度に対して前記変更がどの程度貢献したかを示す貢献度に基づいて、前記変更に関わった変更者への報酬額を算出する処理部を備えてもよい。
【0010】
前記処理部は、前記貢献度が高いほど、前記報酬額を高く算出してもよい。
【0011】
前記貢献度は、前記第1の学習済みモデルの精度から前記第2の学習済みモデルの精度への増加値が高いほど大きく算出されてもよい。
【0012】
前記第1の学習済みモデルは、トークン付与範囲を含み、前記第1の学習済みモデルに対応する所有者は、前記第1の学習済みモデルに含まれる前記トークン付与範囲に与えられる権利であるトークンの所有者であってもよい。
【0013】
前記第1の学習済みモデルは、変更可能なパラメータと、変更不可能なプログラムとを含み、前記トークン付与範囲は、前記変更不可能なプログラムに該当してもよい。
【0014】
前記処理部は、前記変更可能なパラメータの変更による前記第2の学習済みモデルの精度に対する貢献度に基づいて、前記報酬額を算出してもよい。
【0015】
前記プログラムは、識別器の前段に前記識別器への入力データに対する前処理を行う前処理部を有し、前記変更可能なパラメータは、前記前処理に用いられるパラメータを含んでもよい。
【0016】
前記プログラムは、識別器の後段に前記識別器からの出力データに対する加工を行う出力加工部を有し、前記変更可能なパラメータは、前記加工に用いられるパラメータを含んでもよい。
【0017】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記変更者への前記報酬額の支払いの実行が制御されてもよい。
【0018】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記トークンの値段と販売者への分配率とに応じた金額の前記販売者への支払いの実行が制御されてもよい。
【0019】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記トークンの販売者から前記トークンの購入者への前記トークンの所有者の変更が実行されてもよい。
【0020】
前記トークンの販売契約成立に基づいて、前記トークンの値段と前記プログラムの著作権者への分配率とに応じた金額の前記著作権者への支払いの実行が制御されてもよい。
【0021】
前記変更履歴は、前記変更が行われたときの前記トークンの所有者に関する情報、前記変更が行われた日時を示すタイムスタンプ、前記変更に関わった変更者に関する情報、および、変更内容の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0022】
前記取得部は、前記第1の学習済みモデルの前記ストレージ装置への登録要求を取得し、前記出力制御部は、前記登録要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置への前記第1の学習済みモデルの記録を制御してもよい。
【0023】
前記学習済みモデルは、学習済みAIモデルであってもよい。
【0024】
前記ブロックチェーンは、イーサリアムであってもよい。
【0025】
前記ストレージ装置は、分散型ストレージ装置であってもよい。
【0026】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得することと、前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御することと、を備える、データ処理方法が提供される。
【0027】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、ストレージ装置に記録された第1の学習済みモデルの変更要求を取得する取得部と、前記変更要求が取得されたことに基づいて、前記ストレージ装置に記録された前記第1の学習済みモデルの第2の学習済みモデルへの変更が行われるように前記ストレージ装置を制御するとともに、前記変更に係る変更履歴がブロックチェーンに記録されるように前記ブロックチェーンを制御する出力制御部と、として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、変更される可能性のあるコンテンツの変更を、ブロックチェーンを用いて管理するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の機能構成例を示す図である。
【
図2】学習済みAIモデルデータ580の構成例を示す図である。
【
図4】インデックス341の構成例を示す図である。
【
図5】学習済みAIモデル変更履歴342の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るクライアント端末10の機能構成例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20の機能構成例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るイーサリアム端末30の機能構成例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置40の機能構成例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置50の機能構成例を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の全体的な動作の例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によるトークン販売および移動の動作の例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1による貢献度算出の動作の例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル登録シーケンスの例を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行されるトークン移動シーケンスの例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル変更シーケンスの例を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
(1.実施形態の詳細)
本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0032】
(1-1.データ処理システムの構成)
まず、
図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るデータ処理システムの構成例について説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の機能構成例を示す図である。
図1に示されるように、データ処理システム1は、クライアント端末(著作権者)10-1と、クライアント端末(販売者)10-2と、クライアント端末(購入者)10-3と、クライアント端末(変更者)10-4と、アプリケーションサーバ20と、イーサリアム端末30と、分散型ストレージ装置40と、分散型ストレージ装置50とを備える。
【0034】
クライアント端末(著作権者)10-1、クライアント端末(販売者)10-2、クライアント端末(購入者)10-3、クライアント端末(変更者)10-4、アプリケーションサーバ20、イーサリアム端末30、分散型ストレージ装置40および分散型ストレージ装置50それぞれは、インターネット60に接続されている。
【0035】
そして、クライアント端末(著作権者)10-1、クライアント端末(販売者)10-2、クライアント端末(購入者)10-3、クライアント端末(変更者)10-4、アプリケーションサーバ20、イーサリアム端末30、分散型ストレージ装置40および分散型ストレージ装置50は、インターネット60を介して互いに通信可能である。
【0036】
以下の説明においては、クライアント端末(著作権者)10-1、クライアント端末(販売者)10-2、クライアント端末(購入者)10-3およびクライアント端末(変更者)10-4を、特に区別せずに、「クライアント端末10」と称する場合がある。
【0037】
(分散型ストレージ装置50)
分散型ストレージ装置50は、ストレージ装置の例に該当する。
図1に示されるように、分散型ストレージ装置50は、コンテンツデータの例としての学習済みAI(Artificial Intelligence)モデルデータ580を記憶する。
図2を参照しながら、学習済みAIモデルデータ580の構成例について説明する。
【0038】
図2は、学習済みAIモデルデータ580の構成例を示す図である。
図2に示されるように、学習済みAIモデルデータ580は、学習済みAIモデル名称581と、変更不可能なプログラム530と、変更可能なパラメータ520と、学習済みAIモデルID582とが対応付けられて構成される。
【0039】
ここで、学習済みAIモデル名称581は、学習済みAIモデルの名称である。学習済みAIモデルは、どのような機械学習アルゴリズムを用いて作成されてもよい。例えば、学習済みAIモデルを作成するための機械学習アルゴリズムは、サポートベクタマシンであってもよいし、ニューラルネットワークであってもよいし、他の機械学習アルゴリズムであってもよい。なお、学習済みAIモデルは、単に「学習済みモデル」とも換言され得る。
【0040】
変更不可能なプログラム530は、学習済みAIモデルのうち、変更不可能なプログラムである。一方、変更可能なパラメータ520は、学習済みAIモデルのうち、変更可能なパラメータである。変更不可能なプログラム530および変更可能なパラメータ520については、
図11を参照しながら後に詳細に説明する。学習済みAIモデルID582は、学習済みAIモデルを識別するための情報(ID:IDentification)である。
図1に戻って説明を続ける。
【0041】
(分散型ストレージ装置40)
分散型ストレージ装置40は、ストレージ装置の例に該当する。
図1に示されるように、分散型ストレージ装置40は、学習済みAIモデルのメタデータ441を記憶する。一例として、メタデータ441には、学習済みAIモデルデータの場所情報が含まれる。
図3を参照しながら、メタデータ441の構成例について説明する。
【0042】
図3は、メタデータ441の構成例を示す図である。
図3に示されるように、メタデータ441は、学習済みAIモデル名称4411と、説明4412と、学習済みAIモデルデータの場所情報4413と、学習済みAIモデルID4414とが対応付けられて構成される。
【0043】
ここで、学習済みAIモデル名称4411は、学習済みAIモデルの名称である。
【0044】
説明4412は、学習済みAIモデルの説明である。例えば、説明4412は、学習済みAIモデルの用途を示す情報を含み得る。あるいは、説明4412は、学習済みAIモデルの使い方を示す情報を含み得る。例えば、説明4412は、文字列によって表現される。
【0045】
学習済みAIモデルデータの場所情報4413は、学習済みAIモデルデータの場所を示す情報である。例えば、学習済みAIモデルデータの場所情報4413は、学習済みAIモデルデータのURI(Uniform Resource Identifier)によって表現される。
【0046】
学習済みAIモデルID4414は、学習済みAIモデルを識別するための情報である。
図1に戻って説明を続ける。
【0047】
(イーサリアム端末30)
イーサリアム端末30は、コンピュータによって実現される。イーサリアム端末30は、イーサリアムとしての機能を有する。ここで、イーサリアムは、ブロックチェーンとしての機能の他、スマートコントラクト344(自動契約システム)という機能を有する。
【0048】
ブロックチェーンは、ブロックチェーン技術によってデータが記録されるデータベース自体を意味し得る。かかるデータベースに記録されるデータは、ブロックチェーンに関わる他の端末との間において共有される。
図1に示された例では、イーサリアム端末30が記憶するデータベースの例として、インデックス341が示されている。
【0049】
なお、一般的なブロックチェーン技術では、データベースを構成するブロックに記録されるデータに、前ブロックのハッシュ値が組み込まれるのが一般的である。しかし、本発明の実施形態では、ブロックに記録されるデータに、前ブロックのハッシュ値が組み込まれることが必ずしも前提とされない。一方、一般的なブロックチェーン技術における改ざん検知の手法が、本発明の実施形態に係るデータベースにおける改ざん検知にも適用されてよい。これによって、データベースに記録されるデータに対する高い耐改ざん性が確保され得る。
【0050】
図4を参照しながら、インデックス341の構成例について説明する。インデックス341には、学習済みAIモデルが作成されたときに最初にデータが追加され、学習済みAIモデルに対応するトークンが移動するたびにインデックス341にデータが追加される場合を想定する。
【0051】
図4は、インデックス341の構成例を示す図である。
図4に示されるように、インデックス341は、トークンID3411と、著作権者ID3412と、トークン所有者アドレス3413と、タイムスタンプ3414と、メタデータの場所情報3415と、学習済みAIモデルID3416と、学習済みAIモデル変更履歴の場所情報3417とが対応付けられて構成される。
【0052】
ここで、トークンID3411は、学習済みAIモデルに対応するトークンを識別するための情報である。トークンは、学習済みAIモデルにおけるトークン付与範囲に与えられる権利である。本発明の実施形態において、トークン付与範囲は、
図11を参照しながら後に説明するように、学習済みAIモデルのうち、変更不可能なプログラムである場合を想定する。なお、トークンは、NFT(Non-Fungible Token)であってもよいし、FT(Fungible Token)であってもよい。
【0053】
著作権者ID3412は、学習済みAIモデルに対応する著作権者を識別するための情報である。より詳細に、著作権者ID3412は、学習済みAIモデルのうち、変更不可能なプログラムの著作権者を識別するための情報である。
【0054】
トークン所有者アドレス3413は、トークンの所有者によって用いられるクライアント端末10のアドレスである。インデックス341に最初に追加されるデータのトークン所有者アドレス3413は、トークンの最初の所有者によって用いられるクライアント端末10のアドレスである。また、インデックス341に追加されるデータのトークン所有者アドレス3413は、トークンの移動先の所有者によって用いられるクライアント端末10のアドレスである。
【0055】
タイムスタンプ3414は、インデックス341にデータが追加される日時を示す情報である。
【0056】
メタデータの場所情報3415は、学習済みAIモデルデータのメタデータの場所を示す情報である。例えば、メタデータの場所情報3415は、学習済みAIモデルデータのメタデータのURIによって表現される。
【0057】
学習済みAIモデルID3416は、学習済みAIモデルを識別するための情報である。
【0058】
学習済みAIモデル変更履歴の場所情報3417は、学習済みAIモデル変更履歴の場所を示す情報である。例えば、学習済みAIモデル変更履歴の場所情報3417は、学習済みAIモデル変更履歴のURIによって表現される。
【0059】
図5を参照しながら、学習済みAIモデル変更履歴342の構成例について説明する。学習済みAIモデル変更履歴342には、学習済みAIモデルが変更されるたびにデータが追加される場合を想定する。
【0060】
図5は、学習済みAIモデル変更履歴342の構成例を示す図である。
図5に示されるように、学習済みAIモデル変更履歴342は、学習済みAIモデルID3421と、変更時トークン所有者アドレス3422と、変更日時タイムスタンプ3423と、貢献度3424と、報酬額3425と、変更内容3426と、変更者アドレス3427とが対応付けられて構成される。
【0061】
ここで、学習済みAIモデルID3421は、学習済みAIモデルを識別するための情報である。
【0062】
変更時トークン所有者アドレス3422は、学習済みAIモデルが変更されたときのトークン所有者に関する情報の例に該当する。より詳細に、変更時トークン所有者アドレス3422は、学習済みAIモデルが変更されたときの学習済みAIモデルに対応するトークンの所有者によって用いられるクライアント端末10のアドレスである。
【0063】
変更日時タイムスタンプ3423は、学習済みAIモデルが変更された日時を示すタイムスタンプである。
【0064】
貢献度3424は、変更による学習済みAIモデルの精度に対する貢献度である。より詳細に、学習済みAIモデルが変更された場合に、変更前の学習済みAIモデルの精度と比較して、変更後の学習済みAIモデルの精度が増加することが想定される。そこで、後にも説明するように、貢献度3424は、変更前の学習済みAIモデルの精度から変更後の学習済みAIモデルの精度への増加値に基づいて算出される。
【0065】
報酬額3425は、学習済みAIモデルの変更者に支払われる報酬額である。後にも説明するように、報酬額3425は、変更による学習済みAIモデルの精度に対する貢献度に基づいて算出される。
【0066】
変更内容3426は、学習済みAIモデルの変更内容である。例えば、変更内容3426としては、学習済みAIモデルのうち、変更可能なパラメータのどのパラメータを変更したかを示す情報などが想定される。
【0067】
変更者アドレス3427は、学習済みAIモデルの変更に関わった変更者に関する情報の例に該当する。より詳細に、変更者アドレス3427は、変更者によって用いられるクライアント端末(変更者)10-4のアドレスである。
【0068】
図1に戻って説明を続ける。イーサリアム端末30は、
図1に示されるように、インデックス341に含まれるトークン所有者アドレスと一致するアドレスに紐づくウォレットに関する情報を記憶する。例えば、ウォレットに関する情報には、トークン所有者の口座に関する情報が含まれる。さらに、ウォレットに関する情報には、トークン所有者の口座残高が含まれる。
【0069】
スマートコントラクト344には、学習済みAIモデルのユーザごとの流通条件が設定されている。より詳細に、学習済みAIモデルの流通条件は、学習済みAIモデルの価格に関する条件、学習済みAIモデルの購入によって与えられる権利に関する条件、学習済みAIモデルの販売によって得られる収益に関する条件などを含み得る。スマートコントラクト344は、これらの流通条件に従って、学習済みAIモデルに対応するトークンの販売契約を自動的に成立させる。
【0070】
(アプリケーションサーバ20)
アプリケーションサーバ20は、コンピュータによって実現される。アプリケーションサーバ20は、学習済みAIモデルに関する各種の処理を実行する。
図1に示されるように、アプリケーションサーバ20は、学習済みAIモデルに対応する値段情報241を記憶する。例えば、アプリケーションサーバ20は、値段情報241に関する処理を実行する。
図6を参照しながら、値段情報241の構成例について説明する。
【0071】
図6は、値段情報241の構成例を示す図である。
図6に示されるように、値段情報241は、学習済みAIモデルID2411と、トークンの値段2412と、トークンID2413とが対応付けられて構成される。
【0072】
ここで、学習済みAIモデルID2411は、学習済みAIモデルを識別するための情報である。トークンの値段2412は、学習済みAIモデルに含まれるトークン付与範囲に与えられる権利であるトークンの現在の売値である。トークンID2413は、トークンを識別するための情報である。
図1に戻って説明を続ける。
【0073】
(クライアント端末10)
クライアント端末10は、コンピュータによって実現される。クライアント端末10は、ユーザによって用いられる。ここでは、ユーザの例として、学習済みAIモデルのうち変更不可能なプログラムの著作権者、販売者および購入者を想定する。すなわち、クライアント端末10の例として、クライアント端末(著作権者)10-1、クライアント端末(販売者)10-2、クライアント端末(購入者)10-3およびクライアント端末(変更者)10-4を想定する。
【0074】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の構成例について説明した。以下の説明においては、
図7~
図11を参照しながら、クライアント端末10、アプリケーションサーバ20、イーサリアム端末30、分散型ストレージ装置40および分散型ストレージ装置50それぞれの機能構成例について説明する。
【0075】
(1-2.クライアント端末10の構成)
まず、
図7を参照しながら、本発明の実施形態に係るクライアント端末10の機能構成例について説明する。
【0076】
図7は、本発明の実施形態に係るクライアント端末10の機能構成例を示す図である。
図7に示されるように、本発明の実施形態に係るクライアント端末10は、操作部110と、制御部120と、記憶部130と、通信部140と、出力部150とを備える。以下では、これらのブロックの機能について説明する。
【0077】
(操作部110)
操作部110は、ユーザによって入力される操作を受け付ける。ここで、操作部110の形態は特に限定されない。例えば、操作部110は、マウスであってもよいし、キーボードを含んでもよいし、タッチパネルを含んでもよいし、他の入力デバイスを含んでもよい。
【0078】
(制御部120)
制御部120は、クライアント端末10の全体の動作を制御する。例えば、制御部120は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部130により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。
【0079】
このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、このブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0080】
(記憶部130)
記憶部130は、各種情報を記憶することが可能なメモリによって構成される。本発明の実施形態では、記憶部130が、不揮発性のメモリである場合を主に想定する。しかし、記憶部130は、揮発性のメモリであってもよい。
【0081】
(通信部140)
通信部140は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部140は、インターネット60に接続され、インターネット60を介して他の装置と通信を行う。なお、通信部140は、通信インタフェースにより実現され得る。
【0082】
(出力部150)
出力部150は、制御部120による制御に従って、ユーザによって知覚される情報を出力する。
【0083】
例えば、出力部150は、ユーザの視覚によって知覚される知覚情報の表示を行う。このとき、出力部150は、表示装置により実現され得る。表示装置によって表示される知覚情報は、表示装置によって表示される画像などであり得る。ここで、表示装置の形態は特に限定されない。例えば、表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよいし、ランプなどの表示装置であってもよい。
【0084】
あるいは、出力部150は、ユーザの聴覚によって知覚される聴覚情報を出力する。このとき、出力部150は、スピーカにより実現され得る。スピーカによって出力される聴覚情報は、スピーカによって出力される音であり得る。
【0085】
以上、本発明の実施形態に係るクライアント端末10の機能構成例について説明した。
【0086】
(1-3.アプリケーションサーバ20の構成)
続いて、
図8を参照しながら、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20の機能構成例について説明する。
【0087】
図8は、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20の機能構成例を示す図である。
図8に示されるように、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20は、制御部220と、記憶部240と、通信部260とを備える。以下では、これらのブロックの機能について説明する。
【0088】
(制御部220)
制御部220は、アプリケーションサーバ20の全体の動作を制御する。例えば、制御部220は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部240により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。
【0089】
このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。制御部220は、取得部221と、処理部222と、出力制御部223とを備える。これらのブロックの機能については、後に詳細に説明する。
【0090】
(記憶部240)
記憶部240は、各種情報を記憶することが可能なメモリによって構成される。本発明の実施形態では、記憶部240が、不揮発性のメモリである場合を主に想定する。しかし、記憶部240は、揮発性のメモリであってもよい。例えば、記憶部240は、値段情報241(
図6)を記憶する。
【0091】
(通信部260)
通信部260は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部260は、インターネット60に接続され、インターネット60を介して他の装置と通信を行う。なお、通信部260は、通信インタフェースにより実現され得る。
【0092】
以上、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20の機能構成例について説明した。
【0093】
(1-4.イーサリアム端末30の構成)
続いて、
図9を参照しながら、本発明の実施形態に係るイーサリアム端末30の機能構成例について説明する。
【0094】
図9は、本発明の実施形態に係るイーサリアム端末30の機能構成例を示す図である。
図9に示されるように、本発明の実施形態に係るイーサリアム端末30は、制御部320と、記憶部340と、通信部360とを備える。以下では、これらのブロックの機能について説明する。
【0095】
(制御部320)
制御部320は、イーサリアム端末30の全体の動作を制御する。例えば、制御部320は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部340により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。
【0096】
このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0097】
(記憶部340)
記憶部340は、各種情報を記憶することが可能なメモリによって構成される。本発明の実施形態では、記憶部340が、不揮発性のメモリである場合を主に想定する。しかし、記憶部340は、揮発性のメモリであってもよい。例えば、記憶部340は、インデックス341(
図4)および学習済みAIモデル変更履歴342(
図5)を記憶する。
【0098】
(通信部360)
通信部360は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部360は、インターネット60に接続され、インターネット60を介して他の装置と通信を行う。なお、通信部360は、通信インタフェースにより実現され得る。
【0099】
以上、本発明の実施形態に係るイーサリアム端末30の機能構成例について説明した。
【0100】
(1-5.分散型ストレージ装置40の構成)
続いて、
図10を参照しながら、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置40の機能構成例について説明する。
【0101】
図10は、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置40の機能構成例を示す図である。
図10に示されるように、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置40は、制御部420と、記憶部440と、通信部460とを備える。以下では、これらのブロックの機能について説明する。
【0102】
(制御部420)
制御部420は、分散型ストレージ装置40の全体の動作を制御する。例えば、制御部420は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部440により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。
【0103】
このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0104】
(記憶部440)
記憶部440は、各種情報を記憶することが可能なメモリによって構成される。本発明の実施形態では、記憶部440が、不揮発性のメモリである場合を主に想定する。しかし、記憶部440は、揮発性のメモリであってもよい。例えば、記憶部440は、メタデータ441(
図3)を記憶する。
【0105】
(通信部460)
通信部460は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部460は、インターネット60に接続され、インターネット60を介して他の装置と通信を行う。なお、通信部460は、通信インタフェースにより実現され得る。
【0106】
以上、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置40の機能構成例について説明した。
【0107】
(1-6.分散型ストレージ装置50の構成)
続いて、
図11を参照しながら、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置50の機能構成例について説明する。
【0108】
図11は、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置50の機能構成例を示す図である。
図11に示されるように、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置50は、制御部510と、記憶部550と、通信部560とを備える。以下では、これらのブロックの機能について説明する。
【0109】
(制御部510)
制御部510は、分散型ストレージ装置50の全体の動作を制御する。例えば、制御部510は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部550により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。
【0110】
このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。制御部510は、貢献度算出部512を備える。貢献度算出部512の機能については、後に詳細に説明する。
【0111】
(記憶部550)
記憶部550は、各種情報を記憶することが可能なメモリによって構成される。本発明の実施形態では、記憶部550が、不揮発性のメモリである場合を主に想定する。しかし、記憶部550は、揮発性のメモリであってもよい。例えば、記憶部550は、学習済みAIモデル540を記憶する。学習済みAIモデル540は、変更可能なパラメータ520と、変更不可能なプログラム530とを含んで構成される。
【0112】
変更不可能なプログラム530は、トークン付与範囲に該当し、識別器532を含んでいる。識別器532には、識別器のパラメータ533が設定されている。そして、識別器532は、識別器532への入力データに対応する出力データを識別結果として出力する。変更不可能なプログラム530は、識別器532の前段に前処理部531を備え、識別器532の後段に出力加工部534を備える。
【0113】
前処理部531は、識別器のパラメータ533が設定された識別器532への入力データに対する前処理を行う。このとき、前処理部531によって行われる前処理には、パラメータ(すなわち、前処理部のパラメータ521)が用いられる。前処理部のパラメータ521は、変更可能なパラメータ520に含まれ得る。
【0114】
さらに、出力加工部534は、識別器のパラメータ533が設定された識別器532からの出力データに対する加工を行う。このとき、出力加工部534によって行われる加工には、パラメータ(すなわち、出力加工部のパラメータ522)が用いられる。出力加工部のパラメータ522は、変更可能なパラメータ520に含まれ得る。
【0115】
(通信部560)
通信部560は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部560は、インターネット60に接続され、インターネット60を介して他の装置と通信を行う。なお、通信部560は、通信インタフェースにより実現され得る。
【0116】
以上、本発明の実施形態に係る分散型ストレージ装置50の機能構成例について説明した。
【0117】
(1-7.全体的な動作)
続いて、
図12を参照しながら(適宜
図1~
図11も参照しながら)、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の全体的な動作の例について説明する。
【0118】
図12は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の全体的な動作の例を示すフローチャートである。
図12に示されるように、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1は、学習済みAIモデルのメタデータを定義する(S11)。
【0119】
より詳細に、著作権者は、学習済みAIモデルを作成すると、学習済みAIモデル名称、学習済みAIモデル、学習済みAIモデルの説明および著作権者IDとを含んだ情報をクライアント端末(著作権者)10-1における操作部110に入力する。クライアント端末(著作権者)10-1において、通信部140は、学習済みAIモデルIDと学習済みAIモデルとを分散型ストレージ装置50に送信する。
【0120】
分散型ストレージ装置50において、通信部560は、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと学習済みAIモデルとを受信すると、制御部510は、学習済みAIモデルIDと学習済みAIモデル(変更不可能なプログラム530および変更可能なパラメータ520)とが対応付けられた学習済みAIモデルデータを、学習済みAIモデルデータ580(
図2)に追加する。通信部560は、追加した学習済みAIモデルデータの場所情報をクライアント端末(著作権者)10-1に返信する。
【0121】
さらに、クライアント端末(著作権者)10-1において、制御部120は、分散型ストレージ装置50から学習済みAIモデルの場所情報を取得すると、著作権者によって入力された情報を含んだ登録要求が、アプリケーションサーバ20に送信されるように通信部140を制御する。
【0122】
続いて、アプリケーションサーバ20において、取得部221は、クライアント端末(著作権者)10-1から登録要求を取得する。出力制御部223は、取得部221によって登録要求が取得されたことに基づいて、分散型ストレージ装置50への学習済みAIモデルの記録を制御する。より詳細に、処理部222は、学習済みAIモデルに対して学習済みAIモデルIDを発行する。
【0123】
また、アプリケーションサーバ20において、処理部222が、学習済みAIモデルIDを発行すると、出力制御部223は、学習済みAIモデル名称と、学習済みAIモデルの説明と、学習済みAIモデルの場所情報とを含んだ学習済みAIモデル情報と、学習済みAIモデルIDとが分散型ストレージ装置40に送信されるように通信部260を制御する。
【0124】
分散型ストレージ装置40において、通信部460が、学習済みAIモデル情報と、学習済みAIモデルIDとを受信すると、制御部420は、学習済みAIモデル名称と、学習済みAIモデルの説明と、学習済みAIモデルの場所情報と、学習済みAIモデルIDとが対応付けられたデータを、メタデータ441(
図3)に追加する。通信部460は、アプリケーションサーバ20にメタデータの場所情報を返信する。
【0125】
アプリケーションサーバ20は、分散型ストレージ装置40からメタデータの場所情報を受信すると、学習済みAIモデルIDと、メタデータの場所情報と著作権者IDとを、イーサリアム端末30に送信する。
【0126】
イーサリアム端末30において、通信部360が、分散型ストレージ装置40から、著作権者IDと、学習済みAIモデルIDと、メタデータの場所情報とを受信すると、制御部320は、学習済みAIモデルに含まれるトークン付与範囲に与えられる権利であるトークンを発行する(S12)。上記したように、学習済みAIモデルは、変更可能なパラメータ520と変更不可能なプログラム530とを含み、トークン付与範囲は、変更不可能なプログラム530に該当する。これによって、変更不可能なプログラム530という固定のプログラムに対してトークンが付与され得る。
【0127】
イーサリアム端末30において、制御部320は、トークンを識別するためのトークンIDを作成し、トークンIDと、著作権者IDと、トークン所有者アドレス=「空欄」と、タイムスタンプ=「現在日時」と、メタデータの場所情報と、学習済みAIモデルIDと、学習済みAIモデル変更履歴の場所情報=「空欄」とが対応付けられたデータを、インデックス341(
図4)に追加する。
【0128】
続いて、学習済みAIモデルの販売者は、クライアント端末(販売者)10-2の操作部110に対して、学習済みAIモデルに対応する所有者(すなわち、変更不可能なプログラム530に付与されたトークンの所有者)になることを所望することを入力する。これによって、イーサリアム端末30において、制御部320は、インデックス341に追加されたデータのトークン所有者アドレス3413に「クライアント端末(販売者)10-2のアドレス」を登録する。
【0129】
続いて、学習済みAIモデルに対応するトークンの販売契約が成立したとする(S13)。ここでは、スマートコントラクト344が、流通条件に従って、学習済みAIモデルに対応するトークンの販売契約を自動的に成立させる場合を想定する。しかし、スマートコントラクト344の代わりに、販売者と購入者とが直接交渉をして、学習済みAIモデルに対応するトークンの販売契約を成立させてもよい。
【0130】
イーサリアム端末30において、制御部320は、トークンの販売契約成立に基づいて、購入者にトークンを割り当てる(S14)。より詳細に、制御部320は、トークンの販売契約成立に基づいて、トークンの販売者からトークンの購入者にトークン所有者を変更する。さらに詳細に、制御部320は、トークンの販売契約成立に基づいて、トークン所有者アドレス3413=「クライアント端末(購入者)10-3のアドレス」と、タイムスタンプ3414=「現在日時」とが対応付けられたデータを、インデックス341(
図4)に追加する。
【0131】
続いて、変更者は、学習済みAIモデルを変更する(S15)。このとき、変更者は、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520と、変更内容とを、クライアント端末(変更者)10-4の操作部110に入力する。クライアント端末(変更者)10-4において、通信部140は、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520と、変更内容と、クライアント端末(変更者)10-4のアドレスとを含んだ変更要求を、アプリケーションサーバ20に送信する。
【0132】
アプリケーションサーバ20においては、取得部221は、変更要求を取得する。出力制御部223は、変更要求が取得されたことに基づいて、分散型ストレージ装置50に記録された学習済みAIモデル(第1の学習済みAIモデル)の、他の学習済みAIモデル(第2の学習済みAIモデル)への変更が行われるように分散型ストレージ装置50を制御する。
【0133】
さらに、出力制御部223は、変更要求が取得されたことに基づいて、その変更に係る学習済みAIモデル変更履歴がイーサリアム端末30に記録されるようにイーサリアム端末30を制御する。これによって、変更される可能性のある学習済みAIモデルの変更を、イーサリアム端末30を用いて管理することが可能となる。
【0134】
より詳細に、出力制御部223は、変更要求が取得されたことに基づいて、変更要求に含まれる、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とが、分散型ストレージ装置50に送信されるように通信部260を制御する。
【0135】
分散型ストレージ装置50において、通信部560が、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とを受信すると、制御部510は、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とが対応付けられたデータを、学習済みAIモデルデータ580(
図2)に追加する。
【0136】
また、分散型ストレージ装置50においては、貢献度算出部512が、変更後の学習済みAIモデルの精度に対して、当該変更がどの程度貢献したかを示す貢献度を算出する。貢献度の算出については、
図14を参照しながら後に詳細に説明する。分散型ストレージ装置50において、通信部560は、学習済みAIモデルIDと貢献度とをアプリケーションサーバ20に送信する。
【0137】
取得部221は、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと貢献度とを取得する。処理部222は、貢献度に応じた報酬額を算出する。報酬額の算出についても、
図14を参照しながら後に詳細に説明する。そして、出力制御部223は、学習済みAIモデルIDと貢献度と報酬額と変更内容とクライアント端末(変更者)10-4のアドレスとが、イーサリアム端末30に送信されるように通信部260を制御する。
【0138】
続いて、イーサリアム端末30において、制御部320が、学習済みAIモデル変更履歴を記録する(S16)。より詳細に、通信部360が、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと、貢献度と、報酬額と、変更内容と、クライアント端末(変更者)10-4のアドレスとを受信すると、制御部320は、インデックス341から現在のトークン所有者アドレス3413を取得する。
【0139】
制御部320は、学習済みAIモデルIDと、変更時トークン所有者アドレス=「現在のトークン所有者アドレス3413」と、貢献度と、報酬額と、変更内容と、変更者アドレス=「クライアント端末(変更者)10-4のアドレス」とが対応付けられたデータを、学習済みAIモデル変更履歴342(
図5)に追加する。さらに、制御部320は、インデックス341(
図4)の学習済みAIモデル変更履歴の場所情報3417に、学習済みAIモデル変更履歴342への追加データの場所を記録する。
【0140】
S16が実行された後には、S13に再び動作が移行される。このようにして、S13~S16が繰り返し実行される。なお、S15およびS16は、繰り返しのたびに必ず実行されなければならない訳ではなく、必要に応じて実行されればよい。したがって、S13およびS14が実行された後、S15およびS16がスキップされて、S13およびS14が再度実行されてもよい。
【0141】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1の全体的な動作の例について説明した。
【0142】
(1-8.トークン販売および移動)
続いて、
図13を参照しながら(適宜
図1~
図11も参照しながら)、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によるトークン販売および移動の動作の例について説明する。
【0143】
図13は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によるトークン販売および移動の動作の例を示すフローチャートである。なお、かかるトークン販売および移動の動作の説明は、
図12を参照しながら説明した、S13およびS14についての説明をより詳細化した内容を含む。
【0144】
図13に示されるように、学習済みAIモデルに対応するトークンの販売契約が成立したとする(S21)。上記したように、ここでは、スマートコントラクト344が、トークンの販売契約を自動的に成立させる場合を想定する。販売契約の成立によって、販売者と購入者とが決定される(トークン販売者アドレスとトークン購入者アドレスも決定される。トークン販売者アドレスは、クライアント端末(販売者)10-2のアドレスであり、トークン購入者アドレスは、クライアント端末(購入者)10-3のアドレスである)。しかし、販売者と購入者とが直接交渉をして、トークンの販売契約を成立させてもよい。さらに、各種の支払いもスマートコントラクト344によって実行される場合を想定する。しかし、各種の支払いも、購入者の操作に従って実行されてもよい。
【0145】
さらに、スマートコントラクト344は、学習済みAIモデル変更履歴342(
図5)の報酬額3425を確認する(S22)。これによって、変更者に支払われるべき報酬額がスマートコントラクト344によって取得される。また、スマートコントラクト344は、学習済みAIモデルに対応する現在のトークンの値段情報241(
図6)を確認する。これによって、学習済みAIモデルに対応する現在のトークンの値段がスマートコントラクト344によって取得される。
【0146】
スマートコントラクト344は、現在のトークンの値段と、あらかじめ決められた販売者への分配率とに基づいて、販売者に支払われるべき金額を算出する。より詳細に、スマートコントラクト344は、現在のトークンの値段と、あらかじめ決められた販売者への分配率との乗算に基づいて、販売者に支払われるべき金額を算出する。なお、販売者への分配率は、現在のトークンの値段に対する販売者への分配額の割合であってよい。
【0147】
さらに、スマートコントラクト344は、現在のトークンの値段と、あらかじめ決められた著作権者への分配率とに基づいて、著作権者に支払われるべき金額を算出する。より詳細に、スマートコントラクト344は、現在のトークンの値段と、あらかじめ決められた著作権者への分配率との乗算に基づいて、著作権者に支払われるべき金額を算出する。なお、著作権者への分配率は、現在のトークンの値段に対する著作権者への分配額の割合であってよい。
【0148】
スマートコントラクト344は、報酬額と現在のトークンの値段との合計によって、購入者が支払うべき金額を算出する。そして、スマートコントラクト344は、購入者から購入者が支払うべき金額の代金を受け取る(S23)。より詳細に、スマートコントラクト344は、トークン購入者アドレスに紐づく購入者の口座残高から購入者が支払うべき金額を減算するように口座を管理するシステムを制御する。
【0149】
さらに、スマートコントラクト344は、販売者に支払われるべき金額の販売者への支払いの実行を制御する(S24)。より詳細に、スマートコントラクト344は、販売者に支払われるべき金額が、トークン販売者アドレスに紐づく販売者の口座残高に加算されるように口座を管理するシステムを制御する。
【0150】
また、スマートコントラクト344は、著作権者に支払われるべき金額の著作権者への支払いの実行を制御する(S25)。より詳細に、スマートコントラクト344は、著作権者IDに対応する著作権者に支払われるべき金額が著作権者の口座残高に加算されるように口座を管理するシステムを制御する。
【0151】
さらに、スマートコントラクト344は、変更者に支払われるべき報酬額の変更者への支払いの実行を制御する(S26)。より詳細に、スマートコントラクト344は、変更者に支払われるべき報酬額が、変更者アドレスに紐づくクライアント端末(販売者)10-2のアドレス変更者の口座残高に加算されるように口座を管理するシステムを制御する。
【0152】
制御部320は、トークンの販売契約成立に基づいて、販売者から購入者にトークンを移動する(S27)。より詳細に、制御部320は、トークンの販売契約成立に基づいて、トークンの販売者からトークンの購入者にトークン所有者を変更する。さらに詳細に、制御部320は、トークンの販売契約成立に基づいて、トークン所有者アドレス3413=「クライアント端末(購入者)10-3のアドレス」と、タイムスタンプ3414=「現在日時」とが対応付けられたデータを、インデックス341(
図4)に追加する。
【0153】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によるトークン販売および移動の動作の例について説明した。
【0154】
(1-9.貢献度算出)
続いて、
図14を参照しながら(適宜
図1~
図11も参照しながら)、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1による貢献度算出の動作の例について説明する。
【0155】
図14は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1による貢献度算出の動作の例を示すフローチャートである。なお、かかる貢献度算出の動作の説明は、
図12を参照しながら説明した、S15およびS16についての説明をより詳細化した内容を含む。
【0156】
図14に示されるように、分散型ストレージ装置50において、制御部510は、学習済みAIモデルを変更する(S31)。より詳細に、制御部510は、アプリケーションサーバ20から受信された、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とが対応付けられたデータを、学習済みAIモデルデータ580(
図2)に追加する。
【0157】
また、分散型ストレージ装置50においては、貢献度算出部512が、変更後の学習済みAIモデルを評価することにより変更後の学習済みAIモデルの精度を算出する(S32)。例えば、貢献度算出部512は、変更後の学習済みのAIモデルに対して、評価用データを入力させ、その評価用データに対応する出力データの正答率の高さを、変更後の学習済みAIモデルの精度として算出してもよい。貢献度算出部512は、変更後の学習済みAIモデルの精度に対して、当該変更がどの程度貢献したかを示す貢献度を算出する(S33)。
【0158】
例えば、貢献度算出部512は、変更前の学習済みモデルの精度から変更後の学習済みモデルの精度への増加値が高いほど、貢献度を大きく算出してもよい。分散型ストレージ装置50において、通信部560は、学習済みAIモデルIDと貢献度とをアプリケーションサーバ20に送信する。
【0159】
取得部221は、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと貢献度とを取得する。処理部222は、貢献度に基づいて、変更に関わった変更者への報酬額を算出する(S34)。ここで、貢献度と報酬額との関係は、限定されない。例えば、処理部222は、貢献度が高いほど、報酬額を高く算出してもよい。そして、出力制御部223は、学習済みAIモデルIDと貢献度と報酬額と変更内容とクライアント端末(変更者)10-4のアドレスとが、イーサリアム端末30に送信されるように通信部260を制御する。
【0160】
イーサリアム端末30において、制御部320は、貢献度および報酬額を、学習済みAIモデルID、変更時トークン所有者アドレス=「現在のトークン所有者アドレス3413」、変更内容、変更者アドレス=「クライアント端末(変更者)10-4のアドレス」に対応付けて、学習済みAIモデル変更履歴342(
図5)として記録する(S35)。さらに、制御部320は、インデックス341(
図4)の学習済みAIモデル変更履歴の場所情報3417に、学習済みAIモデル変更履歴342への追加データの場所情報を記録する。
【0161】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1による貢献度算出の動作の例について説明した。
【0162】
(1-10.学習済みAIモデル登録シーケンス)
続いて、
図15を参照しながら(適宜
図1~
図11も参照しながら)、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル登録シーケンスの例について説明する。
【0163】
図15は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル登録シーケンスの例を示す図である。なお、紙面の都合上、
図15には、装置間でのデータ送受信の一部が省略されている他、
図15には、装置間を送受信されるデータの一部が省略されている。
【0164】
著作権者は、学習済みAIモデルを作成すると、学習済みAIモデル名称、学習済みAIモデル、学習済みAIモデルの説明および著作権者IDとを含んだ情報をクライアント端末(著作権者)10-1における操作部110に入力する。クライアント端末(著作権者)10-1において、通信部140は、学習済みAIモデルIDと学習済みAIモデルとを分散型ストレージ装置50に送信する(S38)。
【0165】
分散型ストレージ装置50において、通信部560は、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと学習済みAIモデルとを受信すると、制御部510は、学習済みAIモデルIDと学習済みAIモデル(変更不可能なプログラム530および変更可能なパラメータ520)とが対応付けられた学習済みAIモデルデータを、学習済みAIモデルデータ580(
図2)に追加する。通信部560は、学習済みAIモデルデータの場所情報をアプリケーションサーバ20に返信する(S39)。
【0166】
さらに、クライアント端末(著作権者)10-1において、取得部221が、分散型ストレージ装置50から学習済みAIモデルの場所情報を取得すると、出力制御部223は、著作権者によって入力された情報を含んだ登録要求が、アプリケーションサーバ20に送信されるように通信部260を制御する(S40)。
【0167】
アプリケーションサーバ20において、取得部221は、クライアント端末(著作権者)10-1から登録要求を取得する。処理部222は、取得部221によって登録要求が取得されたことに基づいて、学習済みAIモデルに対して学習済みAIモデルIDを発行する(S41)。
【0168】
また、アプリケーションサーバ20において、処理部222が、学習済みAIモデルIDを発行すると、出力制御部223は、学習済みAIモデル名称と、学習済みAIモデルの説明と、著作権者IDと、学習済みAIモデルの場所情報とを含んだ学習済みAIモデル情報と、学習済みAIモデルIDとが分散型ストレージ装置40に送信されるように通信部260を制御する(S42)。
【0169】
分散型ストレージ装置40において、通信部460が、学習済みAIモデル情報と、学習済みAIモデルIDとを受信すると、制御部420は、学習済みAIモデル名称と、学習済みAIモデルの説明と、学習済みAIモデルの場所情報と、学習済みAIモデルIDとが対応付けられたデータを、メタデータ441(
図3)に追加する(S43)。通信部460は、アプリケーションサーバ20にメタデータの場所情報を返信する(S44)。
【0170】
アプリケーションサーバ20は、分散型ストレージ装置40からメタデータの場所情報を受信すると、学習済みAIモデルIDと、メタデータの場所情報と、著作権者IDとを、イーサリアム端末30に送信する(S45)。
【0171】
イーサリアム端末30において、通信部360が、分散型ストレージ装置40から、学習済みAIモデルIDと、メタデータの場所情報と、著作権者IDとを受信すると、制御部320は、学習済みAIモデルに含まれるトークン付与範囲に与えられる権利であるトークンを発行する(S46)。
【0172】
イーサリアム端末30において、制御部320は、トークンを識別するためのトークンIDを作成し、トークンIDと、著作権者IDと、トークン所有者アドレス=「空欄」と、タイムスタンプ=「現在日時」と、メタデータの場所情報と、学習済みAIモデルIDと、学習済みAIモデル変更履歴の場所情報=「空欄」とが対応付けられたデータを、インデックス341(
図4)に追加する。
【0173】
イーサリアム端末30において、通信部360は、学習済みAIモデル登録が成功した場合には、OK通知をアプリケーションサーバ20に送信する(S47)。さらに、アプリケーションサーバ20において、通信部260が、OK通知を受信すると、OK通知をクライアント端末(著作権者)10-1に送信する(S48)。
【0174】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル登録シーケンスの例について説明した。
【0175】
(1-11.トークン移動シーケンス)
続いて、
図16を参照しながら(適宜
図1~
図11も参照しながら)、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行されるトークン移動シーケンスの例について説明する。
【0176】
図16は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行されるトークン移動シーケンスの例を示す図である。なお、紙面の都合上、
図16には、装置間でのデータ送受信の一部が省略されている他、
図16には、装置間を送受信されるデータの一部が省略されている。
【0177】
クライアント端末(販売者)10-2において、制御部120は、トークンの販売契約成立に基づいて、販売者から購入者にトークンを移動する。より詳細に、制御部320は、トークン購入者アドレスと、トークンIDとを含んだトークン移動要求がアプリケーションサーバ20に送信されるように通信部260を制御する(S50)。
【0178】
アプリケーションサーバ20において、取得部221が、トークン移動要求を取得すると、処理部222は、トークン移動要求に含まれるトークンIDをキーとして、イーサリアム端末30のインデックス341(
図4)を検索して(S51)、インデックス341に、当該トークンIDと同じトークンIDが存在するかを判定する(S52)。イーサリアム端末30において、通信部360は、存在確認が成功した場合には、OK通知をアプリケーションサーバ20に送信する(S53)。
【0179】
処理部222は、トークンIDに対応する学習済みAIモデルIDを値段情報241(
図6)から取得し、取得した学習済みAIモデルIDをキーとして、分散型ストレージ装置40のメタデータ441(
図3)を検索して(S54)、メタデータ441に、当該学習済みAIモデルIDと同じ学習済みAIモデルIDが存在するかを判定する(S55)。分散型ストレージ装置40において、通信部460は、存在確認が成功した場合には、OK通知をアプリケーションサーバ20に送信する(S56)。
【0180】
アプリケーションサーバ20において、通信部260によってOK通知が受信された場合、出力制御部223は、トークン購入者アドレスとトークンIDと学習済みAIモデルIDとを含んだトークン移動依頼が、イーサリアム端末30に送信されるように通信部260を制御する(S57)。
【0181】
イーサリアム端末30においては、通信部360によってトークン移動依頼が受信されると、制御部320は、販売者から購入者にトークンを移動する(S58)。より詳細に、制御部320は、トークンID=「トークン移動依頼に含まれるトークンID」と、学習済みAIモデルID=「トークン移動依頼に含まれる学習済みAIモデルID」と、トークン所有者アドレス3413=「トークン購入者アドレス」と、タイムスタンプ3414=「現在日時」とが対応付けられたデータを、インデックス341(
図4)に追加する。
【0182】
イーサリアム端末30において、通信部360は、トークン移動が成功した場合には、OK通知をアプリケーションサーバ20に送信する(S59)。さらに、アプリケーションサーバ20において、通信部260が、OK通知を受信すると、OK通知をクライアント端末(販売者)10-2に送信し(S60)、OK通知をクライアント端末(購入者)10-3に送信する(S61)。
【0183】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行されるトークン移動シーケンスの例について説明した。
【0184】
(1-12.学習済みAIモデル変更シーケンス)
続いて、
図17を参照しながら(適宜
図1~
図11も参照しながら)、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル変更シーケンスの例について説明する。
【0185】
図17は、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル変更シーケンスの例を示す図である。なお、紙面の都合上、
図17には、装置間でのデータ送受信の一部が省略されている他、
図17には、装置間を送受信されるデータの一部が省略されている。
【0186】
クライアント端末(変更者)10-4において、通信部140は、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520と、変更内容と、クライアント端末(変更者)10-4のアドレスとを含んだ変更要求を、アプリケーションサーバ20に送信する(S70)。
【0187】
出力制御部223は、変更要求が取得されたことに基づいて、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とを含んだ貢献度算出依頼が、分散型ストレージ装置40に送信されるように通信部260を制御する(S71)。分散型ストレージ装置40において、通信部460は、貢献度算出依頼を分散型ストレージ装置50に送信する(S72)。
【0188】
分散型ストレージ装置50において、通信部560が、貢献度算出依頼を受信すると、貢献度算出部512が、変更後の学習済みAIモデルの精度に対して、当該変更がどの程度貢献したかを示す貢献度を算出する(S73)。分散型ストレージ装置50において、通信部560は、学習済みAIモデルIDと貢献度とをアプリケーションサーバ20に送信する(S74)。
【0189】
取得部221は、アプリケーションサーバ20から、学習済みAIモデルIDと貢献度とを取得する。処理部222は、貢献度に応じた報酬額を算出する(S75)。出力制御部223は、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とを含んだ変更依頼が、分散型ストレージ装置50に送信されるように通信部260を制御する(S76)。
【0190】
分散型ストレージ装置50において、通信部560によって変更依頼が受信されると、制御部510は、学習済みAIモデルを変更する(S77)。より詳細に、制御部510は、学習済みAIモデルIDと、変更者によって変更された後の変更可能なパラメータ520とが対応付けられたデータを、学習済みAIモデルデータ580(
図2)に追加することにより、学習済みAIモデルを変更する。
【0191】
分散型ストレージ装置50において、通信部560は、学習済みAIモデル変更が成功した場合には、OK通知をアプリケーションサーバ20に送信する(S78)。アプリケーションサーバ20において、通信部260によってOK通知が受信された場合、出力制御部223は、学習済みAIモデルIDと貢献度と報酬額と変更内容とクライアント端末(変更者)10-4のアドレスとを含んだデータ記録依頼が、イーサリアム端末30に送信されるように通信部260を制御する(S79)。
【0192】
続いて、イーサリアム端末30において、制御部320は、学習済みAIモデル変更履歴を記録する(S80)。より詳細に、通信部360が、アプリケーションサーバ20から、データ記録依頼を受信すると、制御部320は、インデックス341から現在のトークン所有者アドレス3413を取得する。
【0193】
制御部320は、学習済みAIモデルIDと、変更時トークン所有者アドレス=「現在のトークン所有者アドレス3413」と、貢献度と、報酬額と、変更内容と、変更者アドレス=「クライアント端末(変更者)10-4のアドレス」とが対応付けられたデータを、学習済みAIモデル変更履歴342(
図5)に追加する。さらに、制御部320は、インデックス341(
図4)の学習済みAIモデル変更履歴の場所情報3417に、学習済みAIモデル変更履歴342への追加データの場所を記録する。
【0194】
イーサリアム端末30において、通信部360は、データ記録が成功した場合には、OK通知をアプリケーションサーバ20に送信する(S81)。さらに、アプリケーションサーバ20において、通信部260が、OK通知を受信すると、OK通知をクライアント端末(変更者)10-4に送信する(S82)。
【0195】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1によって実行される学習済みAIモデル変更シーケンスの例について説明した。
【0196】
(1-13.効果)
以上に説明したように、本発明の実施形態に係るデータ処理システムによれば、分散型ストレージ装置50に記録された学習済みAIモデルの変更要求を取得する取得部221と、変更要求が取得されたことに基づいて、分散型ストレージ装置50に記録された学習済みAIモデルの変更が行われるように分散型ストレージ装置50を制御するとともに、変更履歴がブロックチェーンに記録されるようにブロックチェーンを制御する出力制御部223と、を備える、アプリケーションサーバ20が提供される。
【0197】
かかる構成によれば、変更される可能性のある学習済みAIモデルの変更を、ブロックチェーンを用いて管理することが可能となる。
【0198】
以上、本発明の実施形態に係るデータ処理システム1が奏する効果について説明した。
【0199】
(2.ハードウェア構成例)
続いて、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20のハードウェア構成例について説明する。
【0200】
以下では、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、アプリケーションサーバ20のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、アプリケーションサーバ20のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0201】
なお、クライアント端末10、イーサリアム端末30、分散型ストレージ装置40および分散型ストレージ装置50それぞれのハードウェア構成も、アプリケーションサーバ20のハードウェア構成と同様に実現され得る。
【0202】
図18は、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0203】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0204】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0205】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0206】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0207】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0208】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0209】
以上、本発明の実施形態に係るアプリケーションサーバ20のハードウェア構成例について説明した。
【0210】
(3.まとめ)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0211】
1 データ処理システム
10 クライアント端末
20 アプリケーションサーバ
220 制御部
221 取得部
222 処理部
223 出力制御部
240 記憶部
260 通信部