(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133790
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】石油給湯機
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240926BHJP
F24H 15/20 20220101ALI20240926BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20240926BHJP
F24H 15/35 20220101ALI20240926BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20240926BHJP
F24H 15/128 20220101ALI20240926BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240926BHJP
【FI】
F24H15/196 302F
F24H15/20
F24H15/335
F24H15/35
F24H15/31
F24H15/128
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043755
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】竹原 正貴
(72)【発明者】
【氏名】星野 健太
(72)【発明者】
【氏名】及川 諒弥
【テーマコード(参考)】
3L024
3L034
【Fターム(参考)】
3L024CC21
3L024DD04
3L024DD13
3L024DD17
3L024DD27
3L024GG01
3L024GG41
3L024HH30
3L024HH31
3L034BA26
3L034BB03
(57)【要約】
【課題】本体内の熱交換器の温度を下げて孔食の発生を抑制できる石油給湯機を提供する
【解決手段】燃油を気化させる気化器2aと、気化器2aを予熱する加熱用ヒータ2bと、燃焼用空気を送風する燃焼ファン41と、気化器2aの温度を検出する気化温度検出手段2dと、気化器2aで気化させた燃油を燃焼させる燃焼部2eと、を備えるバーナ2と、給水管7からの給水を加熱して給湯管8から出湯する給湯回路5と、給湯回路5がバーナ2の燃焼熱で加熱される熱交換器52と、熱交換器52の温度を検出する熱交温度検出手段38と、加熱用ヒータ2bと燃焼ファン41を駆動する制御部22と、給湯回路5内の湯水の熱を本体外へ排熱する熱交排熱手段とを備え、制御部22は、気化器2aが予熱中に熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、熱交排熱手段により熱交換器52の温度を下げるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に、
燃油を気化させる気化器と、
前記気化器を予熱する加熱用ヒータと、
前記気化器に燃油を送油する燃油ポンプと、
前記気化器に燃焼用空気を送風する燃焼ファンと、
前記気化器の温度を検出する気化温度検出手段と、
前記気化器で気化させた燃油を燃焼させる燃焼部と、
を備えるバーナと、
給水管と給湯管とが接続され前記給水管からの給水を加熱して前記給湯管から出湯する給湯回路と、
前記給湯回路が前記バーナの燃焼熱で加熱される熱交換器と、
前記熱交換器の温度を検出する熱交温度検出手段と、
前記加熱用ヒータと前記燃油ポンプと前記燃焼ファンを駆動する制御部と、
を備え、
前記給湯回路内の湯水の熱を本体外へ排熱する熱交排熱手段と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記熱交排熱手段により前記熱交換器の温度を下げるようにした
ことを特徴とする石油給湯機。
【請求項2】
前記熱交排熱手段は、
前記熱交換器と熱的に結合した風呂熱交と、
浴槽と前記風呂熱交を湯水が循環可能に接続された風呂循環回路と、
前記風呂循環回路の途中に設置された風呂循環ポンプと、
前記浴槽の水の有無を検知する浴槽水検出手段と、
で構成され、
前記制御部は、
前記浴槽水検出手段が前記浴槽に湯水があることを検知している状態で、前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記風呂循環ポンプを駆動して前記熱交換器の温度を下げるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載した石油給湯機。
【請求項3】
前記熱交排熱手段は、前記燃焼ファンで構成され、
前記制御部は、
前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記燃焼ファンを駆動して前記熱交換器の温度を下げるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載した石油給湯機。
【請求項4】
前記熱交排熱手段は、
前記給湯管から分岐して本体外に連通した分岐管と、
前記分岐管を開閉する開閉弁と、
で構成され、
前記制御部は、
前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記開閉弁を開状態にして前記熱交換器の温度を下げるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載した石油給湯機。
【請求項5】
前記熱交排熱手段は、
前記熱交換器と熱的に結合した風呂熱交と、
浴槽と前記風呂熱交を湯水が循環可能に接続された風呂循環回路と、
前記風呂循環回路の途中に設置された風呂循環ポンプと、
前記浴槽の水の有無を検知する浴槽水検出手段と、
前記給湯管から分岐して前記風呂循環回路に連通した湯張り管と、
前記湯張り管を開閉する開閉弁と、
で構成され、
前記制御部は、
前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、
前記浴槽水検出手段が前記浴槽に湯水があることを検知している状態では、前記風呂循環ポンプを駆動し、
前記浴槽水検出手段が前記浴槽に湯水が無いことを検知している状態では、前記開閉弁を開状態にして、
前記熱交換器の温度を下げるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載した石油給湯機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記気化器の予熱状態が所定時間以上継続していることを条件として、前記熱交排熱手段により前記熱交換器の温度を低下させる
ことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1つに記載した石油給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油給湯機に関し、特にガス化バーナを搭載した石油給湯機の熱交換器に発生する孔食の防止に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の石油給湯機のバーナでは、灯油を気化させるための加熱用ヒータを搭載して灯油をガス化し、ガス化した灯油に放電することで着火するバーナが使用されている。
例えば、特許文献1には、本体下部に石油気化式の燃油を気化する気化器と、この気化器に備えられ燃油を気化可能な温度まで加熱する加熱用ヒータとしての気化器ヒータと、燃焼ファンと、燃油を圧送する電磁ポンプとを備えたバーナ(11)の燃焼ガスにより熱交換器(21)を加熱するものが示されている。
【0003】
特許文献1の石油給湯機では、バーナの着火前にバーナに搭載された加熱用ヒータに通電を開始してから、着火可能温度に達するまでに時間を要することから、予め加熱用ヒータに通電しておき、バーナ内の温度を220℃から250℃に加熱・維持し、運転スイッチが押された場合に直ちに着火できるようスタンバイしている。
そのため、バーナの熱が本体内の熱交換器の配管に伝わり、配管内の水温は50℃程度まで上昇するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配管内の水温が上昇すると、配管の金属表面で孔食(局部腐食)が発生やすくなり、孔食が発生すると漏水するなどの不具合が発生する虞があった。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、本体内の熱交換器の温度を下げて孔食の発生を抑制できる石油給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、本体内に、燃油を気化させる気化器と、前記気化器を予熱する加熱用ヒータと、前記気化器に燃油を送油する燃油ポンプと、前記気化器に燃焼用空気を送風する燃焼ファンと、前記気化器の温度を検出する気化温度検出手段と、前記気化器で気化させた燃油を燃焼させる燃焼部と、を備えるバーナと、給水管と給湯管とが接続され前記給水管からの給水を加熱して前記給湯管から出湯する給湯回路と、前記給湯回路が前記バーナの燃焼熱で加熱される熱交換器と、前記熱交換器の温度を検出する熱交温度検出手段と、前記加熱用ヒータと前記燃油ポンプと前記燃焼ファンを駆動する制御部と、を備え、前記給湯回路内の湯水の熱を本体外へ排熱する熱交排熱手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記熱交排熱手段により前記熱交換器の温度を下げるようにしたことを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記熱交排熱手段は、前記熱交換器と熱的に結合した風呂熱交と、浴槽と前記風呂熱交を湯水が循環可能に接続された風呂循環回路と、前記風呂循環回路の途中に設置された風呂循環ポンプと、前記浴槽の水の有無を検知する浴槽水検出手段と、で構成され、前記制御部は、前記浴槽水検出手段が前記浴槽に湯水があることを検知している状態で、前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記風呂循環ポンプを駆動して前記熱交換器の温度を下げるようにしたことを特徴とした。
【0009】
請求項3では、前記熱交排熱手段は、前記燃焼ファンで構成され、前記制御部は、前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記燃焼ファンを駆動して前記熱交換器の温度を下げるようにしたことを特徴とした。
【0010】
請求項4では、前記熱交排熱手段は、前記給湯管から分岐して本体外に連通した分岐管と、前記分岐管を開閉する開閉弁と、で構成され、前記制御部は、前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記開閉弁を開状態にして前記熱交換器の温度を下げるようにしたことを特徴とした。
【0011】
請求項5では、前記熱交排熱手段は、前記熱交換器と熱的に結合した風呂熱交と、浴槽と前記風呂熱交を湯水が循環可能に接続された風呂循環回路と、前記風呂循環回路の途中に設置された風呂循環ポンプと、前記浴槽の水の有無を検知する浴槽水検出手段と、前記給湯管から分岐して前記風呂循環回路に連通した湯張り管と、前記湯張り管を開閉する開閉弁と、で構成され、前記制御部は、前記気化器が予熱中に前記熱交温度検出手段が所定温度以上を検出した場合、前記浴槽水検出手段が前記浴槽に湯水があることを検知している状態では、前記風呂循環ポンプを駆動し、前記浴槽水検出手段が前記浴槽に湯水が無いことを検知している状態では、前記開閉弁を開状態にして、前記熱交換器の温度を下げるようにしたことを特徴とした。
【0012】
請求項6では、前記制御部は、前記気化器の予熱状態が所定時間以上継続していることを条件として、前記熱交排熱手段により前記熱交換器の温度を低下させることを特徴とした。
【発明の効果】
【0013】
この本発明によれば、孔食の発生を抑制できる石油給湯機を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態の石油給湯機の概略構成図
【
図2】本発明の第1の実施形態の石油給湯機のフローチャート
【
図3】本発明の第2の実施形態の石油給湯機のフローチャート
【
図4】本発明の第3の実施形態の石油給湯機のフローチャート
【
図5】本発明の第4の実施形態の石油給湯機の概略構成図
【
図6】本発明の第5の実施形態の石油給湯機の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかる第1の実施形態を図と
図2を参照して説明する。
【0016】
1は、第1の実施形態の給湯回路5、風呂循環回路25、湯張り管15を備えた潜熱回収型の石油給湯機の本体で、2は灯油を燃油として、燃油を燃焼させて上向きに火炎を発生させる加熱手段としての気化式のバーナである。
【0017】
2aは燃油を気化するアルミダイキャスト製の気化器、2bは気化器2aに備えられ燃油を気化可能な温度まで加熱する加熱用ヒータ、2dは気化器2aの温度を検出する気化温度検出手段としての気化温度センサ、2kは気化器2aで気化された気化ガスと一次空気とを予混合するアルミダイキャスト製の混合室、2eは混合室2kの上部で気化器2aの背面側に備えられ、混合室2kで予混合された予混合ガスを燃焼させる燃焼部、2hは気化器2aに燃油を噴霧するノズル、2cはノズル2hに送油管2gを介して燃油を圧送する電磁ポンプ、41は燃焼用空気を送風する燃焼ファンで、送風路41aを介して気化器2aの入口および空気室2nとに連通し、燃焼空気吸込口40より吸引した燃焼用空気を、気化器2aには予混合用の一次空気として供給し、空気室2nには燃焼部2eで燃焼される二次空気として供給するものである。
【0018】
52は燃焼室57内に収容された熱交換器で、この熱交換器52は、燃焼部2eの燃焼により発生した燃焼ガスの燃焼熱から顕熱を回収し一次受熱管53を流通する水を加熱するフィンチューブ式の一次熱交換器54と、一次熱交換器54を通過した後の燃焼ガスから潜熱を回収し二次受熱管55を流通する水を加熱する二次熱交換器56とから構成され、燃焼部2eの上方に一次熱交換器54が配置され、一次熱交換器54の上方に二次熱交換器56が配置されているものであり、一次熱交換器54、二次熱交換器56の順に通過した燃焼ガスは排気口43より石油給湯機1の外に排気されるものである。
【0019】
58は燃焼ガス中の水蒸気が二次熱交換器56の二次受熱管55を流通する水と熱交換して露点以下の温度となることにより生成されるドレンを回収するドレン受けで、ドレン受け58は、一次熱交換器54の上方且つ二次熱交換器56の下方に配置されているものである。
【0020】
60はドレン受け58で回収されたドレン水を中和器62に導くドレン配管である。
また、中和器62には、中和器62が満水となったときに本体外へドレン水を排水する排水口62bが備わる。
【0021】
7は給水源から供給される水を熱交換器52に流通させる給水管、8は熱交換器52で加熱された湯を流通させ、所定箇所に設けられた給湯栓3に湯を供給する給湯管、9は給水管7から分岐した給水バイパス管であり、一次受熱管53と二次受熱管55と給水管7と給湯管8と給水バイパス管9とで水が流通する給湯回路5を構成するものである。
【0022】
10は給湯管8と給水バイパス管9との接続部に設けられ、給湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合し、その混合比を可変できる混合弁、11は給水管7に設けられ給水温度を検出する温度検出手段としての給水温度センサ、12は給水管7に設けられ流量を検出する流量センサ、13は給湯管8に設けられ熱交換器52で加熱された湯の温度を検出する温度検出手段としての熱交出口温度センサであり、14は給湯管8に設けられ混合弁10で混合された湯の温度を検出する温度検出手段としての給湯温度センサである。
【0023】
風呂循環回路25は、燃焼室57に設置され熱交換器52と熱的に結合した風呂熱交換器24によって加熱された浴槽水を浴槽50へ流入する風呂戻り管34と、浴槽50内の浴槽水を風呂熱交換器24へ流入する風呂往き管33とで構成されている。
【0024】
27は風呂循環回路25内の浴槽水を強制循環させる風呂循環ポンプ、28は循環する浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、26は配管内の浴槽水が流動しているか検出する風呂流水スイッチ、29は浴槽50にある浴槽水の水位を検出する浴槽水検出手段としての水位センサである。
【0025】
湯張り管15は、一方端が給湯管8に設けられた混合弁10より下流側と接続し、他方端が風呂戻り管34および風呂往き管33と接続されており、16は湯張り管15内の湯水の流動を弁を開閉して制御する開閉弁としての湯張り弁、17は湯張り管15内を流動する湯水の流量を検出する湯張り流量センサ、18は湯張り管15内の湯水が逆流しないよう二重に設置された湯張り逆止弁である。
【0026】
4はスイッチ操作することで各種設定が可能なリモコンであり、給湯栓3から出湯が検知されたらバーナ2の燃焼を開始させ熱交換器52内の湯水を加熱する加熱動作を実施させる運転スイッチ21と、浴槽50に風呂設定温度の湯水を湯張り設定水位を満たすまで湯張りし、湯張り完了後にふろ温度が風呂設定温度から所定値低下していると判断したら浴槽水を加熱する保温運転を所定の保温時間だけ行う風呂自動運転を指示する風呂自動スイッチ36と、給湯設定温度や風呂設定温度を変更する温度変更スイッチ19と、現在時刻や設定した情報を表示するディスプレイ4aと、風呂自動スイッチ36が操作された時や温度変更スイッチ19で給湯設定温度または風呂設定温度が変更された時に、変更内容を音声で報知するスピーカ4bとが備えられている。
【0027】
38は一次受熱管53の途中に設置され熱交換器52の内部を流動する湯水の温度を検知する熱交温度センサである。
【0028】
22はマイコンで構成された制御部であり、リモコン4上の運転スイッチ21が押されオン状態となると、バーナ2の加熱用ヒータ2bに通電して予熱を開始して、気化温度検出手段2dの温度が燃油の着火可能温度(例えば、200℃)となるまで加熱し、給水流量センサ12が所定流量(例えば、2L/分)以上を検出して給湯要求があったと判断されたときに直ちに着火できるようにスタンバイ状態を維持する。
【0029】
そして、給湯栓3が開栓されて給湯設定温度での出湯要求を検知したら、燃油ポンプ2c、燃焼ファン41を駆動し、バーナ2での燃焼を開始する。
給湯栓3が閉栓され、給水流量センサ12が所定流量(例えば、1L/分)未満を検出し出湯要求が停止したら、燃油ポンプ2c、燃焼ファン41の駆動を停止し、バーナ2の燃焼を停止する。
加熱用ヒータ2bは、次の出湯要求に備えて予熱を続け、すなわち予熱状態で、燃油の着火可能温度(例えば、200℃)を維持する。
そして、再度、出湯要求があった場合にバーナ2の燃焼を開始する。一方、運転スイッチ21が押されオン状態となってから所定時間経過しても出湯要求がない場合は、加熱用ヒータ2bの通電を停止するものである。
【0030】
そのため、予熱状態を長時間継続している場合に、加熱用ヒータ2bの熱が熱交換器52に伝わり、熱交換器52内の湯水の温度が上昇し、熱交換器52を含む給湯回路5に孔食が発生する虞があった。
【0031】
本発明では、次のようにして給湯回路5内の湯水の熱を本体外へ排熱する熱交排熱手段を備えている。
すなわち、熱交換器52の湯水の熱を本体外の熱媒体と熱交換して熱交換器52の湯水の熱を排熱する手段(第1手段)と、熱交換器52の湯水を給水管7からの給水と置換して熱交換器52の湯水の熱を排熱する手段(第2手段)である。
【0032】
前述した第1手段は、さらに2通りの手段を説明する。
(第1手段のa)浴槽50に湯水があり、予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度(例えば、50℃)以上を検出した場合に、熱交換器52の風呂循環回路25の風呂循環ポンプ27を駆動して、浴槽50の湯水を熱媒体として熱交換器52の湯水の熱と熱交換して排熱する手段と、(第1手段のb)予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度(例えば、50℃)以上を検出した場合に、燃焼ファン41を駆動し、本体外部の空気を燃焼空気吸込口40から吸込み、燃焼室57および熱交換器52を通過して排気口43から排出することで、本体外部の空気を熱媒体として熱交換し、熱交換器52の湯水の熱を排熱する手段である。
前者は第1の実施形態として、
図2で具体的にフローを説明する。
後者は第2の実施形態として、
図3で具体的にフローを説明する。
【0033】
続いて、第2手段は、浴槽50に湯水が無いときに、湯張り管15の湯張り弁16を開弁し、給水管7からの給水を給湯回路5と湯張り管15と風呂循環回路25に流通させることにより、熱交換器52の湯水を給水管7からの給水と置換して熱交換器52の湯水の熱を排熱する手段である。
これを第3の実施形態として、
図4で具体的にフローを説明する。
【0034】
まず、第1の実施形態における作用について
図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
第1の実施形態では、熱交換器52の熱を本体の外へ排熱する熱交排熱手段の1つとして、予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度(例えば、50℃)以上を検出した場合に、熱交換器52の風呂循環回路25の風呂循環ポンプ27を駆動して、浴槽50の湯水を熱媒体として熱交換器52の湯水の熱と熱交換して排熱するものである。
【0036】
具体的には、制御部22は、リモコン4上の運転スイッチ21が押されオン状態となると、加熱用ヒータ2bの予熱を開始して、ステップS1で予熱開始からの経過時間が所定時間t0以上で、ステップS2で熱交換器52の熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上の場合、ステップS3で浴槽水の有無を水位センサ29で検出し、水ありと判断した場合は、ステップS4で風呂循環ポンプ27の駆動を開始する。
ステップS3で、浴槽水が無いと検出した場合は、ステップS1へ遷移する。
【0037】
ステップS5で、熱交換器52の熱交温度検出手段38が所定温度Th0より低い所定温度Th1(例えば、50℃-10℃=40℃)未満まで冷却されたかを判定し、この条件が成立した場合はステップS6で風呂循環ポンプ27を停止してステップS2へ遷移し、成立しない場合はステップS3へ遷移するものである。
【0038】
第1の実施形態によれば、水位センサ29が浴槽50に湯水があることを検知している状態で、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上を検出した場合、風呂循環ポンプ27を駆動して熱交換器52の温度を下げるようにしたので、浴槽50には一般に入浴に使用する温度(例えば、42℃)以下の前述した所定温度Th0(例えば、50℃)より低い温度の湯水によって熱交換器52の温度を下げることができるものである。
【0039】
これによって、熱交換器52の配管内の温度を下げて孔食の発生を抑制できるものである。
さらなる効果は、加熱用ヒータの熱を放熱で捨てることなく、浴槽水と熱交換できるため、浴槽50の残水を使って残り湯の沸き上げを行う場合、沸かし上げの時間が短縮できるものである。
【0040】
また、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱している時間が所定時間(例えば、2時間)以上継続していることを条件としたので、風呂循環ポンプ27の駆動による消費電力を抑制できる。
【0041】
次に、第2の実施形態について
図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
第2の実施形態の構成は第1の実施形態と同じである。
第2の実施形態では、熱交換器52の熱を本体の外へ排熱する熱交排熱手段の1つとして、予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度(例えば、50℃)以上を検出した場合に、燃焼ファン41を駆動し、本体外部の空気を燃焼空気吸込口40から吸込み、燃焼室57および熱交換器52を通過して排気口43から排出することで、本体外部の空気を熱媒体として熱交換し、熱交換器52の湯水の熱を排熱するものである。
【0043】
具体的には、制御部22は、リモコン4上の運転スイッチ21が押されオン状態となると、加熱用ヒータ2bの予熱を開始して、ステップS7で予熱開始からの経過時間が所定時間t0以上で、ステップS8で熱交換器52の熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上の場合、ステップS9で燃焼ファン41の駆動を開始する。
【0044】
ステップS10で、熱交換器52の熱交温度検出手段38が所定温度Th0より低い所定温度Th1(例えば、50℃-10℃=40℃)未満まで冷却されたかを判定し、この条件が成立した場合は燃焼ファン41を停止してステップS7へ遷移し、成立しない場合はステップS9へ遷移するものである。
【0045】
第2の実施形態によれば、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上を検出した場合、燃焼ファン41を駆動して熱交換器52の温度を下げるようにしたので、燃焼空気吸込口40から吸い込んだ空気をバーナ2内を経由して燃焼室57および熱交換器52を通過させ、排気口43より石油給湯機1の外に排気されるので、本体の外の比較的冷たい空気によって熱交換器52の温度を下げることができるものである。
【0046】
これによって、熱交換器52の配管内の温度を下げて孔食の発生を抑制できるものである。
【0047】
また、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱している時間が所定時間(例えば、2時間)以上継続していることを条件としたので、燃焼ファン41の駆動による消費電力を抑制できる。
【0048】
次に、第3の実施形態について
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
第3の実施形態の構成は第1の実施形態と同じである。
第3の実施形態では、熱交換器52の熱を本体の外へ排熱する熱交排熱手段として、予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度(例えば、50℃)以上を検出した場合に、浴槽50に湯水があるときは、風呂循環ポンプ27を駆動して浴槽50の湯水と熱交換する方法と、浴槽50に湯水が無いときは、湯張り管15の湯張り弁16を開弁し、給水管7からの給水を給湯回路5と湯張り管15と風呂循環回路25に流通させることにより、熱交換器52の湯水を給水管7からの給水と置換して熱交換器52の湯水の熱を排熱する方法を、浴槽50に湯水の有無に応じて選択的に行うものである。
【0050】
具体的には、制御部22は、リモコン4上の運転スイッチ21が押されオン状態となると、加熱用ヒータ2bの予熱を開始して、ステップS12で予熱開始からの経過時間が所定時間t0以上で、ステップS13で熱交換器52の熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上の場合、ステップS14で浴槽水の有無を水位センサ29で検出し、水ありと判断した場合は、ステップS15で風呂循環ポンプ27の駆動を開始し、湯張り管15の開閉弁である湯張り弁16を閉状態とする。
ステップS14で、浴槽水が無いと検出した場合は、ステップS16へ遷移して、風呂循環ポンプ27は停止し、湯張り管15の開閉弁である湯張り弁16を開状態とする。
【0051】
ステップS17で、熱交換器52の熱交温度検出手段38が所定温度Th0より低い所定温度Th1(例えば、50℃-10℃=40℃)未満まで冷却されたかを判定し、この条件が成立した場合はステップS18で風呂循環ポンプ27を停止し湯張り管15の開閉弁である湯張り弁16を閉状態としてステップS12へ遷移し、成立しない場合は、ステップS14へ遷移するものである。
【0052】
第3の実施形態によれば、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上を検出した場合、水位センサ29が浴槽50に湯水があることを検知しているときは、風呂循環ポンプ27を駆動して熱交換器52の温度を下げるようにし、水位センサ29が浴槽50に湯水が無いことを検知しているときは、湯張り管15の開閉弁である湯張り弁16を開状態としたので、給湯回路5と湯張り管15と風呂循環回路25の湯水が浴槽50内に排水され、給湯回路5と湯張り管15と風呂循環回路25の湯水が給水管7から流入する比較的温度の低い水で置き換わるので、熱交換器52の温度を下げることができるものである。
【0053】
これによって、熱交換器52の配管内の温度を下げて孔食の発生を抑制できるものである。
さらなる効果は、浴槽50に水がない場合は、熱交換器52で温まった湯水を浴槽50に排水するので、浴槽50の底に栓をしておけば、予熱時間が所定時間t0を経過するたび、熱交換器52の温度が所定温度Th0以上となれば、徐々に排水した湯水が浴槽50に溜まっていくため、次回の湯張りに要する熱量が削減でき、さらに、これによって浴槽50の湯水の水位が上昇し、浴槽50の循環口45よりも高い水位まで湯水が溜まると、今度は浴槽50に水がある場合として、浴槽水と熱交換できるため、次回の湯張りに要する熱量の削減ができるものである。
【0054】
また、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱している時間が所定時間(例えば、2時間)以上継続していることを条件としたので、所定時間までは給水管7からの給水の比較的温度の低い水に置き換わらないので、給湯栓3を開栓したときの使用感に変化はなく、また、浴槽50以外の本体外へ排水する湯水を節約できるものである。
【0055】
なお、
図5に示すように、潜熱回収型の石油給湯機100では、給湯管8の途中と中和器62の導入口62aの間に開閉弁70を備えた分岐管72を設け、
図3のフローチャートのステップS9の燃焼ファンの駆動を開閉弁70の開状態に置き換え、ステップS11の燃焼ファンの停止を、開閉弁70の閉状態に置き換えることでもよい。
これにより、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上を検出した場合、開閉弁70を開状態にして熱交換器52の湯水を中和器62の排水口62bから本体外部へ排水し、熱交換器52を給水管7からの水に置き換え、熱交換器52の温度を下げるようにしたので、熱交換器52の温度を下げることができるものである。
これによって、熱交換器52の孔食の発生を抑制できるものである。
【0056】
なお、
図6に示すように、石油給湯機200の給湯管8の途中に開閉弁70を備えた分岐管72を設け、分岐管72の他端は本体の外部と連通するようにし、
図3のフローチャートのステップS9の燃焼ファンの駆動を開閉弁70の開状態に置き換え、ステップS11の燃焼ファンの停止を、開閉弁70の閉状態に置き換えることでもよい。
これにより、加熱用ヒータ2bが気化器2aを予熱中に熱交温度検出手段38が所定温度Th0(例えば、50℃)以上を検出した場合、開閉弁70を開状態にして熱交換器52の湯水を本体外部へ排水し、熱交換器52を給水管7からの水に置き換え、熱交換器52の温度を下げるようにしたので、熱交換器52の温度を下げることができるものである。
これによって、熱交換器52の孔食の発生を抑制できるものである。
【0057】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1、100、200 :石油給湯機
2 :バーナ
2a :気化器
2b :加熱用ヒータ
2c :燃油ポンプ
2d :気化温度検出手段
2e :燃焼部
5 :給湯回路
7 :給水管
8 :給湯管
15 :湯張り管
22 :制御部
25 :風呂循環回路
27 :風呂循環ポンプ
38 :熱交温度検出手段
41 :燃焼ファン
50 :浴槽
52 :熱交換器
70 :開閉弁
72 :分岐管
Th0、Th1 :所定温度
t0 :所定時間