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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133791
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】塗料容器用蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20240926BHJP
   B05C 11/11 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B65D47/06 300
B05C11/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043756
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】521497349
【氏名又は名称】林 穰二
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】林 穰二
【テーマコード(参考)】
3E084
4F042
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC04
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC04
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA20
3E084KA20
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD30
4F042AB00
4F042CA03
4F042DH10
4F042FA20
4F042FA30
(57)【要約】
【課題】塗料容器の内部の塗料の乾燥を防ぎつつも塗料を必要分量だけ容易に取り出すことが可能で、且つ単純な形状である塗料容器用蓋。
【解決手段】上方が開口し内部83に塗料9を溜める塗料容器8のための塗料容器用蓋100aであって、平面形でその外周が塗料容器8の内周より小さい蓋本体部1aと、塗料容器8の開口81の縁82にその全周に亘って嵌合可能な蓋外周部2aと、伸縮可能で且つ可撓性を有し蓋本体部1aの外周端13aから蓋外周部2aまで伸びる伸縮部3と、を備え、蓋本体部1aには上方に突出し当該蓋本体部1aを上下に貫通した噴出孔12aを有する噴出部11aが設けられ、蓋外周部2aが縁82に嵌合された状態で蓋本体部1aが塗料容器8の内部83の底85まで下降可能であることを特徴とする塗料容器用蓋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し内部に塗料を溜める塗料容器のための塗料容器用蓋であって、
平面形でその外周が前記塗料容器の内周より小さい蓋本体部と、前記塗料容器の開口の縁にその全周に亘って嵌合可能な蓋外周部と、伸縮可能で且つ可撓性を有し前記蓋本体部の外周端から前記蓋外周部まで伸びる伸縮部と、を備え、
前記蓋本体部には上方に突出し当該蓋本体部を上下に貫通した噴出孔を有する噴出部が設けられ、
前記蓋外周部が前記縁に嵌合された状態で前記蓋本体部が前記塗料容器の前記内部の底まで下降可能であることを特徴とする塗料容器用蓋。
【請求項2】
前記伸縮部の全体又は一部が蛇腹状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の塗料容器用蓋。
【請求項3】
上方が開口し内部に塗料を溜める塗料容器のための塗料容器用蓋であって、
平面形でその外周が前記塗料容器の内周より小さい蓋本体部と、前記塗料容器の前記内部から当該塗料容器の内側面にその全周に亘って圧接される蓋外周部と、前記蓋本体部の外周端から上方に折れ曲がり前記蓋外周部まで伸びる蓋立上部と、を備え、
前記蓋本体部には上方に突出し当該蓋本体部を上下に貫通した噴出孔を有する噴出部が設けられ、
前記蓋外周部が前記噴出部の上端より高い位置で前記塗料容器の前記内側面に圧接された状態で前記塗料容器の前記内部の底まで下降可能であることを特徴とする塗料容器用蓋。
【請求項4】
前記蓋立上部の全体又は一部が階段状に段差を成して形成されることを特徴とする請求項3に記載の塗料容器用蓋。
【請求項5】
前記噴出部に長尺な取っ手を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗料容器用蓋。
【請求項6】
前記噴出孔を上方から覆い当該噴出孔を蓋締めする長期保管用蓋を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗料容器用蓋。
【請求項7】
前記長期保管用蓋の内周面と、前記噴出部の外周面と、には雌ねじ、雄ねじが施され、前記長期保管用蓋は前記噴出部に螺合可能であることを特徴とする請求項6に記載の塗料容器用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に塗料を溜める塗料容器のための塗料容器用蓋であって、塗料容器の内部の塗料の乾燥を防ぎつつも塗料を必要分量だけ容易に取り出すことが可能な塗料容器用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される塗料用の容器が知られている。特許文献1に記載される塗料用の容器は、塗料を収容する容器本体の上下方向途中位置で塗料を上から覆うと共に塗料の通過を制限する小穴が複数形成されかつ容器本体の傾きに追従して傾く中蓋と、中蓋と容器本体との間に設けられている弾性復元力によって中蓋を途中位置に復帰させるバネとを備えており、中蓋を下方に押下げ刷毛に塗料を浸けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013―59898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載される塗料用の容器は、当該容器の内部の塗料の表面全体が常に中蓋の複数の小穴を通って循環する空気に触れるため、容器の内部の塗料の乾燥を防ぐことができない。
【0005】
また、塗料用の容器は、バネが常に上下方向に向かって伸縮可能とするためにバネの下端を塗料用の容器の底に固定することと、バネの上端を中蓋の下面に固定することと、が必要であり、そのような構造の容器を作成することは難しい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、塗料容器の内部の塗料の乾燥を防ぎつつも塗料を必要分量だけ容易に取り出すことが可能で、且つ単純な形状である塗料容器用蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に掛かる塗料容器用蓋は、上方が開口し内部に塗料を溜める塗料容器のための塗料容器用蓋であって、平面形でその外周が前記塗料容器の内周より小さい蓋本体部と、前記塗料容器の開口の縁にその全周に亘って嵌合可能な蓋外周部と、伸縮可能で且つ可撓性を有し前記蓋本体部の外周端から前記蓋外周部まで伸びる伸縮部と、を備え、前記蓋本体部には上方に突出し当該蓋本体部を上下に貫通した噴出孔を有する噴出部が設けられ、前記蓋外周部が前記縁に嵌合された状態で前記蓋本体部が前記塗料容器の前記内部の底まで下降可能であることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記伸縮部の全体又は一部が蛇腹状に形成されることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために本発明に掛かる塗料容器用蓋は、上方が開口し内部に塗料を溜める塗料容器のための塗料容器用蓋であって、平面形でその外周が前記塗料容器の内周より小さい蓋本体部と、前記塗料容器の前記内部から当該塗料容器の内側面にその全周に亘って圧接される蓋外周部と、前記蓋本体部の外周端から上方に折れ曲がり前記蓋外周部まで伸びる蓋立上部と、を備え、前記蓋本体部には上方に突出し当該蓋本体部を上下に貫通した噴出孔を有する噴出部が設けられ、前記蓋外周部が前記噴出部の上端より高い位置で前記塗料容器の前記内側面に圧接された状態で前記塗料容器の前記内部の底まで下降可能であることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記蓋立上部の全体又は一部が階段状に段差を成して形成されることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記噴出部に長尺な取っ手を備えることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記噴出孔を上方から覆い当該噴出孔を蓋締めする長期保管用蓋を備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記長期保管用蓋の内周面と、前記噴出部の外周面と、には雌ねじ、雄ねじが施され、前記長期保管用蓋は前記噴出部に螺合可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る塗料容器用蓋によると、蓋外周部を塗料容器の開口の縁に嵌合させた状態で蓋本体部を下方に押下げることで、塗料容器の内部の塗料が蓋本体部によって下方に押されて行き場を失った塗料が噴出部の噴出孔から当該蓋本体部の上方に溢れ出し、蓋本体部の上方の噴出部と伸縮部との間に塗料が溜まる。蓋本体部を押し下げ当該蓋本体部の下面が塗料に着水した状態であるとき、伸縮部と塗料容器の内側面との間には空気が密閉された空間が形成される。従って、蓋本体部を下方に押下げることを止めることで、伸縮部と塗料容器の内側面との間の空間の浮力によって蓋本体部は若干ながら上方へ浮き上がり噴出孔内部の塗料の表面が下方に下がる。つまり、蓋本体部を下方に押下げることを止めることで、塗料が噴出部の噴出孔から蓋本体部の上方に溢れ出すことがなく、また、塗料容器を若干傾けても塗料が噴出孔からこぼれることがない。よって、蓋本体部の上方の噴出部と伸縮部との間に必要量だけの塗料を容易に取り出すことができる。
【0015】
また、蓋本体部を押し下げ当該蓋本体部の下面が塗料に着水した状態であるとき、塗料容器の内部の塗料は伸縮部と塗料容器の内側面との間の空間と、噴出孔と、によって空気に触れる。前述のように伸縮部と塗料容器の内側面との間の空間の空気は密閉され循環しないため、塗料が循環する空気に触れることで乾燥するのは噴出孔からのみであり、塗料の乾燥を大幅に防ぐことができる。
【0016】
さらに、伸縮部の全体又は一部が蛇腹状に形成されることで、蓋本体部の上方の噴出部と伸縮部との間に溜まった塗料に刷毛やローラー等の塗料を塗るための塗布道具を浸けた後に、塗布道具を伸縮部の蛇腹状の部分で擦ることで塗布道具に付いた余分な塗料を落とすことができる。
【0017】
本発明に係る塗料容器用蓋によると、蓋外周部を塗料容器の内側面に圧接させた状態で塗料容器用蓋を下方に押下げることで、塗料容器の内部の塗料が蓋本体部によって下方に押されて行き場を失った塗料が噴出部の噴出孔から当該蓋本体部の上方に溢れ出し、蓋本体部の上方の噴出部と蓋立上部との間に塗料が溜まる。塗料容器用蓋を押し下げ蓋本体部の下面が塗料に着水した状態であるとき、蓋立上部と塗料容器の内側面との間には空気が密閉された空間が形成される。従って、塗料容器用蓋を下方に押下げることを止めることで、蓋立上部と塗料容器の内側面との間の空間の浮力によって蓋本体部は若干ながら上方へ浮き上がり噴出孔内部の塗料の表面が下方に下がる。つまり、塗料容器用蓋を下方に押下げることを止めることで、塗料が噴出部の噴出孔から蓋本体部の上方に溢れ出すことがなく、また、塗料容器を若干傾けても塗料が噴出孔からこぼれることがない。よって、蓋本体部の上方の噴出部と蓋立上部との間に必要量だけの塗料を容易に取り出すことができる。
【0018】
また、塗料容器用蓋を押し下げ蓋本体部の下面が塗料に着水した状態であるとき、塗料容器の内部の塗料は蓋立上部と塗料容器の内側面との間の空間と、噴出孔と、によって空気に触れる。前述のように蓋立上部と塗料容器の内側面との間の空間の空気は密閉され循環しないため、塗料が循環すう空気に触れることで乾燥するのは噴出孔からのみであり、塗料の乾燥を大幅に防ぐことができる。
【0019】
さらに、蓋立上部の全体又は一部が階段状に段差を成して形成されることで、蓋本体部の上方の噴出部と蓋立上部との間に溜まった塗料に刷毛やローラー等の塗料を塗るための塗布道具を浸けた後に、塗布道具を蓋立上部の段差で擦ることで塗布道具に付いた余分な塗料を落とすことができる。
【0020】
さらに、作業者は長尺な取っ手を掴み蓋本体部を上下させる又は塗料容器用蓋を上下させることができ、塗料によって手を汚すことがない。
【0021】
さらに、長期保管用蓋によって噴出孔を蓋締めすることで、蓋本体部の下方に溜まる塗料を長期保管することができる。
【0022】
さらに、長期保管用蓋を噴出部に螺合させて噴出孔を蓋締めすることで、蓋本体部の下方に溜まる塗料をより密閉することができ、転倒等の衝撃でも噴出孔を蓋締めが緩むことがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態に係る塗料容器用蓋を塗料容器に取付けた様子を示す断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る塗料容器用蓋によって塗料を取り出した様子を示す断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る塗料容器用蓋によって塗料を最後まで使用する様子を示す断面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る塗料容器用蓋を塗料容器に取付けた様子を示す断面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る塗料容器用蓋によって塗料を取り出した様子を示す断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る塗料容器用蓋によって塗料を最後まで使用する様子を示す断面図である。
図7】本発明の第三実施形態に係る塗料容器用蓋を示す断面図である。
図8】本発明の第三実施形態に係る塗料容器用蓋を示す断面図である。
図9】本発明の長期保管用蓋を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る塗料容器用蓋について、以下、図面を参照しつつ第一実施形態乃至第三実施形態を説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の第一実施形態乃至第三実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0025】
初めに、第一実施形態の塗料容器用蓋100aについて説明する。塗料容器用蓋100aが用いられる塗料容器8は、図1に示すように、上方に開口し、内部83に塗料9を溜めた円形のバケツ状の容器であり、上方に開口するためにその上端の全周に亘って縁82を有している。尚、塗料容器8の開口81の縁82は当該塗料容器8の外側に向かって丸め込むように曲げ加工が施されその断面が円形状に形成されている。
【0026】
塗料容器用蓋100aは、図1に示すように、塗料容器8に対して上方から取付け固定されるポリエチレン製の蓋であり、蓋本体部1aと、蓋外周部2aと、伸縮部3と、を備える。
【0027】
蓋本体部1aは、図1に示すように、外周が塗料容器8の内部83の内周より小さい平面形であり、塗料容器8の上方から塗料容器8の内部83の底85まで降下させることができるように形成されている。そして、蓋本体部1aの中央に上方に突出し当該蓋本体部1aを上下に貫通した噴出孔12aを有する噴出部11aが設けられている。
【0028】
蓋外周部2aは、図1に示すように、塗料容器8の開口81の縁82を包み込むように外側から囲い嵌め込む形状であり、塗料容器8の縁82に対して上方から押し付け当該縁82にその全周に亘って嵌合させることで、塗料容器用蓋100aを塗料容器8に固定することができる。
【0029】
伸縮部3は、図1に示すように、蓋本体部1aの外周端13aから蓋外周部2aまで伸びる部分でありその全体が蛇腹状に形成される。伸縮部3は蛇腹状に形成されることで伸縮可能であり且つ柔軟性を有し、また、ポリエチレン製であるため可撓性を有している。
【0030】
そして、塗料容器用蓋100aは、図1に示すように塗料容器8に取付け固定された状態から蓋本体部1aを塗料容器8の底85に向かって下方に押すことで、図2に示すように伸縮部3が下方に伸びて蓋本体部1aが塗料容器8の下方へと移動する。この時、蓋本体部1aによって下方に押された塗料容器8の内部83の塗料9は、行き場を失って噴出部11aの噴出孔12aを通って蓋本体部1aの上方に溢れ出し、蓋本体部1aの上方の噴出部11aと伸縮部3との間71に溜まることになる。
【0031】
図2に示すように、蓋本体部1aを押し下げ当該蓋本体部1aの下面14aが塗料9に着水した状態であるとき、伸縮部3と塗料容器8の内側面84との間には空気が密閉される空間72が形成される。従って、蓋本体部1aを下方に押下げることを止めることで、伸縮部3と塗料容器8の内側面84との間の空間72の浮力によって蓋本体部1aは若干ながら上方へ浮き上がり噴出孔12aを満たしていた塗料9の表面91が下方に下がる。よって、塗料容器8を若干傾けても塗料9が噴出孔12aからこぼれないようになっている。
【0032】
また、図2に示すように、蓋本体部1aを押し下げ当該蓋本体部1aの下面14aが塗料9に着水した状態であるとき、塗料容器8の内部83の塗料9は、伸縮部3と塗料容器8の内側面84との間の空間72と、噴出孔12aの内部と、で空気に接することになる。このとき、前述のように伸縮部3と塗料容器8の内側面84との間の空間72は密閉されているためこの空間72に面する塗料9の表面92から塗料9が乾燥することはなく、噴出孔12aの内部に形成される塗料9の表面91からのみ塗料9は乾燥するため、塗料9の乾燥を大幅に防ぐことができる。
【0033】
そして、図示しない刷毛やローラー等の塗料を塗るための塗布道具を蓋本体部1aの上方の噴出部11aと伸縮部3との間71に溜まった塗料9に浸し、塗布道具を伸縮部3の蛇腹に擦ることで塗布道具に付いた余分な塗料9を落とし、塗布道具によって塗料9を図示しない対象物に塗ることができる。
【0034】
尚、図3に示すように伸縮部3は蓋本体部1aが塗料容器8の内部83の底85に着くまで伸縮可能であり、蓋本体部1aが塗料容器8の内部83の底85に着いた状態で蓋本体部1aの上方の噴出部11aと伸縮部3との間71の塗料9がなくなった場合は、塗料容器8から塗料容器用蓋100aを取り外すことで塗料9を余すことなく使用することができる。
【0035】
次に、第二実施形態の塗料容器用蓋100bについて説明する。塗料容器用蓋100bが用いられる塗料容器8は既述の第一実施形態で説明した塗料容器8と同じであるため説明は省略する。
【0036】
塗料容器用蓋100bは、図4に示すように、塗料容器8に対して上方から取付け固定されるポリエチレン製の蓋であり、蓋本体部1bと、蓋外周部2bと、蓋立上部4と、を備える。
【0037】
蓋本体部1bは、図4に示すように、外周が塗料容器8の内部83の内周より小さい平面形であり、塗料容器8の上方から塗料容器8の内部83の底85まで降下させることができるように形成されている。そして、蓋本体部1bの中央に上方に突出し当該蓋本体部1bを上下に貫通した噴出孔12bを有する噴出部11bが設けられている。
【0038】
蓋外周部2bは、図4に示すように、下方に開口するC字状に形成されており、且つポリエチレン製であるため可撓性を有している。そして、蓋外周部2bの外周が塗料容器8の内部83の内周より大きく形成されることで、蓋外周部2bの外側の辺である外周辺21bの外側の面が塗料容器8の内側面84にその全周に亘って面で圧接するように形成されており、蓋外周部2bが塗料容器8の内側面84に圧接することで、塗料容器用蓋100bを塗料容器8に取付けることができる。
【0039】
蓋立上部4は、図4に示すように、蓋本体部1bの外周端13bから噴出部11bの上端15bより高く上方に折れ曲がり蓋外周部2bまで伸びる部分であり、階段状に形成された段差の階段部41を有している。
【0040】
そして、塗料容器用蓋100bは、図4に示すように塗料容器8に取付けられた状態から塗料容器用蓋100bを塗料容器8の底85に向かって下方に押すことで、図5に示すように塗料容器用蓋全体100bが下方へと移動する。この時、蓋本体部1bによって下方に押された塗料容器8の内部83の塗料9は、行き場を失って噴出部11bの噴出孔12bを通って、蓋本体部1bの上方に溢れ出し、蓋本体部1bの上方の噴出部11bと蓋立上部4との間73に溜まることになる。
【0041】
図5に示すように、塗料容器用蓋100bを押し下げ蓋本体部1bの下面14bが塗料9に着水した状態であるとき、蓋立上部4と塗料容器8の内側面84との間には空気が密閉される空間74が形成される。従って、塗料容器用蓋100bを下方に押下げることを止めることで、蓋立上部4と塗料容器8の内側面84との間の空間74の浮力によって塗料容器用蓋100bは若干ながら上方へ浮き上がり噴出孔12bを満たしていた塗料9の表面93が下方に下がる。よって、塗料容器8を若干傾けても塗料9が噴出孔12bからこぼれないようになっている。
【0042】
また、図5に示すように、塗料容器用蓋100bを押し下げ蓋本体部1bの下面14bが塗料9に着水した状態であるとき、塗料容器8の内部83の塗料9は、蓋立上部4と塗料容器8の内側面84との間の空間74と、噴出孔12bの内部と、で空気に接することになる。このとき、前述のように蓋立上部4と塗料容器8の内側面84との間の空間74は密閉され循環しないため、この空間74に面する塗料9の表面94から塗料9が乾燥することはなく、噴出孔12bの内部に形成される塗料9の表面93からのみ塗料9は乾燥するため、塗料9の乾燥を大幅に防ぐことができる。
【0043】
そして、図示しない刷毛やローラー等の塗料9を塗るための塗布道具を蓋本体部1bの上方の噴出部11bと蓋立上部4との間73に溜まった塗料9に浸し、塗布道具を蓋立上部4の階段部41に擦ることで塗布道具に付いた余分な塗料9を落とし、塗布道具によって塗料9を図示しない対象物に塗ることができる。
【0044】
尚、図6に示すように蓋本体部1bが塗料容器8の内部83の底85に着いた状態で蓋本体部1bの上方の噴出部11bと蓋立上部4との間73の塗料9がなくなった場合は、塗料容器8から塗料容器用蓋100bを取り外すことで塗料9を余すことなく使用することができる。
【0045】
次に、第三実施形態の塗料容器用蓋100cについて説明する。塗料容器用蓋100cが用いられる塗料容器8は既述の第一実施形態で説明した塗料容器8と同じであるため説明は省略する。また、塗料容器用蓋100cは第二実施形態で説明した塗料容器用蓋100bに新たな要素を付加したものであり塗料容器用蓋100bと同じ部分についての説明は省略する。
【0046】
塗料容器用蓋100cは、取っ手5と、長期保管用蓋6と、をさらに備える。取っ手5は、図7及び図8に示すように、長尺な棒状の部材が略C字型に折り曲げられ、その両端が噴出部11bに回動可能なように固定されている。取っ手5は作業者が当該取っ手5を掴み下方に押し込むことで塗料9によって手を汚すことなく塗料容器用蓋100cを下方に押下げることが可能であり、反対に、取っ手5を掴み上方に引っ張ることで塗料9によって手を汚すことなく塗料容器用蓋100cを上方に引き上げることが可能となる。
【0047】
尚、取っ手5は、図8に示すように、回動させて寝かした状態であるとき、塗料容器用蓋100cの蓋外周部2bに当接するように長尺に形成されることで、取っ手5の掴む部分に塗料9が付着することを防止している。つまり、作業者が取っ手5を掴むことで間接的に塗料9によって手を汚すことが無いようになされている。
【0048】
長期保管用蓋6は、図7に示すように、噴出孔12bを上方から蓋締めする蓋体であり、蓋本体部1bの下方の塗料9を使い切ることなく作業を終え、蓋本体部1bの下方の塗料9を保管する場合に当該長期保管用蓋6によって噴出孔12bを蓋締めすることで、塗料9の長期保管を可能とするものである。
【0049】
長期保管用蓋6の内周面には、図9の(a)に示すように、雌ネジ96が形成されており、噴出部11bの外周面には、図9の(a)に示すように、雄ネジ95が形成されている。そして、図9の(a)に示すように、長期保管用蓋6の雌ネジ96を噴出部11bの雄ネジ95に螺合させることで、長期保管用蓋6によって蓋本体部1bの下方の塗料9を確実に密閉することができる。
【0050】
また、塗料容器用蓋100cがその開口81を覆う図示しない蓋を有していた場合、長期保管用蓋6によって噴出部11bを蓋締めし、さらに、塗料容器用蓋100cが有していた開口81を覆う図示しない蓋によって塗料容器用蓋100cを蓋締めることで、蓋本体部1bの上方の噴出部11bと蓋立上部4との間73にある塗料9も長期保管を可能である。
【0051】
尚、取っ手5及び長期保管用蓋6は既述の第一実施形態で説明した塗料容器用蓋100aにも適応可能であり、塗料容器用蓋100aに取っ手5を適応した場合、取っ手5を操作することで移動するのは蓋本体部1aとなる。
【0052】
また、長期保管用蓋6は、図9の(b)に示すように上方に長尺な形状であっても良く、この場合、蓋本体部1bの上方の噴出部11bと蓋立上部4との間73に大量の塗料9が残っている状態でも長期保管用蓋6の上方を指でつまみ噴出部11bに螺合させることで、作業者の指を塗料で汚すことなく蓋本体部1bの下方の塗料9を確実に密閉することができる。
【0053】
また、本書で説明した塗料容器用蓋100a、塗料容器用蓋100b及び塗料容器用蓋100cは、ポリエチレン製であるが、本発明はこれに限定されることはなく、他の素材であっても良い。
【0054】
また、本書で説明した塗料容器8はその内側面84が面一になるように縁82が外側に向かって曲がっているが、縁82が内側に曲がっている塗料容器でも良い。その場合、縁82に勘合される蓋外周部2aにおいては、縁82に勘合可能なように適宜適切な形状に形成され、塗料容器8の内側面84に圧接される蓋外周部2bを有する塗料容器用蓋100b、100cにおいては、当該塗料容器用蓋100b、100cを少し曲げた状態で開口81から塗料容器8の内部83に挿入し適切な姿勢で蓋外周部2bを塗料容器8の内側面84に圧接させ塗料容器用蓋100b、100cを塗料容器8に取付けることができる。
【0055】
また、本書で説明した塗料容器8は円形のバケツ状の容器であったが、方形状等の形状であっても良い。
【0056】
また、塗料容器用蓋100aの伸縮部3はその全体が蛇腹状に形成されていたが、本発明はこれに限定されることはなく、蓋外周部2aが塗料容器8の縁82に嵌合した状態で蓋本体部1aが塗料容器8の内部83の底85まで届くのであれば、伸縮部3の一部のみが蛇腹状であっても良い。
【0057】
また、塗料容器用蓋100b、100cの蓋立上部4は一段の階段部41によって階段状に形成されていたが、本発明はこれに限定されることはなく、複数の段差によって階段状に形成されても良い。
【0058】
また、塗料容器用蓋100b、100cの蓋外周部2bが下方に開口するC字状に形成されているのは、塗料容器8の内部83の内周が下方に向かって狭くなるテーパー状に形成されていることで、塗料容器用蓋100b、100cを下方に押下げたときにその塗料容器8の内部83の内周の変化に対応しつつ当該蓋外周部2bを塗料容器8の内側面84に面で圧接し続けるためであり、本発明はこれに限定されることなく、蓋外周部2bの形状は塗料容器8の内側面84に圧接し続ける形状であれば良い。尚、塗料容器用蓋100b、100cが塗料容器8の内部83で回転してしまうことを防ぐために、蓋外周部2bは面で塗料容器8の内側面84に圧接する形状であるのが望ましい。
【符号の説明】
【0059】
100a 塗料容器用蓋
1a 蓋本体部
11a 噴出部
12a 噴出孔
13a 蓋本体部の外周端
2a 蓋外周部
3 伸縮部
100b 塗料容器用蓋
1b 蓋本体部
11b 噴出部
12b 噴出孔
13b 蓋本体部の外周端
2b 蓋外周部
4 蓋立上部
100c 塗料容器用蓋
5 取っ手
6 長期保管用蓋
8 塗料容器
81 開口
82 縁
83 内部
84 内側面
85 底
9 塗料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9