(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013381
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】射出成形システム、射出成形システムから流出する二酸化炭素の回収方法、及び射出成形機への二酸化炭素の収集装置と回収装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115433
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
(72)【発明者】
【氏名】平野 峻之
(72)【発明者】
【氏名】鼎 佑介
(72)【発明者】
【氏名】中▲崎▼ 友喜
(72)【発明者】
【氏名】日原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】原 政樹
(72)【発明者】
【氏名】梅田 光秀
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AG03
4F206AR20
4F206JA07
4F206JB22
4F206JB28
4F206JL02
4F206JN27
4F206JQ04
4F206JQ05
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の排出量を抑制することができる射出成形システムを提供する。
【解決手段】射出成形システム1は、金型Mが取り付けられる射出成形機2と、金型MのキャビティCまたは射出成形機2の内部にある二酸化炭素含有ガスが流出し得る少なくとも一つの流出部F1~F3の近傍に取り付けられ、少なくとも一つの流出部F1~F3から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置4と、少なくとも一つの収集装置4から収集した二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置5と、を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が取り付けられる射出成形機と、
前記金型のキャビティまたは前記射出成形機の内部にある二酸化炭素含有ガスが流出し得る少なくとも一つの流出部の近傍に取り付けられ、前記少なくとも一つの流出部から流出する前記二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置と、
前記少なくとも一つの収集装置から収集した前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置と、を有する射出成形システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの流出部は複数の流出部であり、前記少なくとも一つの収集装置はすべての前記流出部から二酸化炭素を収集する一つの収集装置であり、前記少なくとも一つの回収装置は一つの回収装置である、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項3】
前記一つの収集装置は、
各流出部の近傍に配置された複数の吸い込み口と、前記回収装置に接続された接続端部と、を有する吸い込み管と、
前記吸い込み管に設けられ、前記二酸化炭素含有ガスを前記吸い込み口から吸引して、前記接続端部から前記回収装置に供給するポンプと、を有する、請求項2に記載の射出成形システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの収集装置は、各々が少なくとも一つの前記流出部から二酸化炭素を収集する複数の収集装置であり、前記少なくとも一つの回収装置は複数の回収装置であり、前記複数の回収装置の各々は前記複数の収集装置の各々と組み合わされている、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項5】
前記複数の収集装置の各々は、
前記流出部の近傍に配置された吸い込み口と、前記収集装置と組み合わされた前記回収装置に接続された接続端部と、を有する吸い込み管と、
前記吸い込み管に設けられ、前記二酸化炭素含有ガスを前記吸い込み口から吸引して、前記接続端部から、前記収集装置と組み合わされた前記回収装置に供給するポンプと、を有する、請求項4に記載の射出成形システム。
【請求項6】
前記射出成形機は、固定金型が取り付けられる固定盤と、可動金型が取り付けられる可動盤と、を有し、
前記吸い込み口は前記固定盤と前記可動盤との間に設けられている、請求項3または5に記載の射出成形システム。
【請求項7】
前記射出成形機は、射出される材料を供給するホッパを有し、
前記吸い込み口は前記ホッパの近傍に設けられている、請求項3または5に記載の射出成形システム。
【請求項8】
前記吸い込み口は前記金型の大気連通部の近傍に設けられている、請求項3または5に記載の射出成形システム。
【請求項9】
前記大気連通部は前記金型のベント開口である、請求項8に記載の射出成形システム。
【請求項10】
前記金型はカウンタープレッシャー法に用いられ、
前記大気連通部は減圧弁を介して前記キャビティに接続された大気開放端である、請求項8に記載の射出成形システム。
【請求項11】
前記流出部の近傍に設けられた入口側二酸化炭素センサを有し、前記入口側二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素の濃度が基準値を超えたときに前記回収装置が起動する、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項12】
前記回収装置の出口に設けられた出口側二酸化炭素センサを有し、前記入口側二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素の濃度と、前記出口側二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素の濃度とに基づき、二酸化炭素の回収量または二酸化炭素の濃度減少量を算出する、請求項11に記載の射出成形システム。
【請求項13】
前記少なくとも一つの回収装置は、アミン水溶液を含侵させたフィルタと、前記フィルタの温度を調整するフィルタ温度調整装置と、を有する、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項14】
前記射出成形機は、前記金型を冷却する冷却水が循環する循環配管と、前記循環配管上に設置され、前記冷却水の温度を調整する冷却水温度調整装置と、を有し、
前記循環配管は、前記射出成形機からの出口部と前記冷却水温度調整装置との間に前記フィルタを加熱する加熱部を有し、前記フィルタ温度調整装置は前記加熱部である、請求項13に記載の射出成形システム。
【請求項15】
前記少なくとも一つの回収装置は、
水酸化ナトリウム水溶液の供給部と、
前記供給部から供給された前記水酸化ナトリウム水溶液に前記二酸化炭素含有ガスを供給し、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を前記水酸化ナトリウム水溶液に吸収させる吸収部と、
を有する、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項16】
以下の工程
(A)金型が取り付けられた射出成形機における前記金型のキャビティまたは前記射出成形機の内部から流出する二酸化炭素含有ガスを、前記二酸化炭素含有ガスが流出する少なくとも一つの流出部の近傍に取り付けられた少なくとも一つの収集装置で収集すること
(B)前記少なくとも一つの収集装置から収集した前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を、少なくとも一つの回収装置で回収すること
を有する、射出成形システムから流出する二酸化炭素の回収方法。
【請求項17】
以下の工程
(A)金型が取り付けられる射出成形機における前記金型のキャビティまたは前記射出成形機の内部から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置を、前記二酸化炭素含有ガスが流出する少なくとも一つの流出部の近傍に設けること
(B)前記少なくとも一つの収集装置から収集した前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置を設けること
を有する、射出成形機への二酸化炭素の収集装置と回収装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形システム、射出成形システムから流出する二酸化炭素の回収方法、及び射出成形機への二酸化炭素の収集装置と回収装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の運転時には、金型内に高温高圧のガスが発生することがある。特許文献1には、高温環境下で、二酸化炭素を含むガスが樹脂から発生することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出成形機の運転時に発生する二酸化炭素は、回収されることなく大気放出されている。一方、近年では、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素の排出量の低減が求められている。本開示は二酸化炭素の排出量を抑制することができる射出成形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様による射出成形システムは、二酸化炭素含有ガスが流出し得る少なくとも一つの流出部の近傍に取り付けられ、当該少なくとも一つの流出部から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置と、当該少なくとも一つの収集装置から収集した二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、二酸化炭素の排出量を抑制することができる射出成形システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】第1の実施形態に係る射出成形システムの概略正面図である。
【
図1B】第1の実施形態に係る射出成形システムの概略側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る射出成形システムの二酸化炭素の収集装置と回収装置の構成を示す概念図である。
【
図5】変形例に係る射出成形システムの二酸化炭素の収集装置と回収装置の構成を示す概念図である。
【
図6】第1の実施形態に係る射出成形システムの運転方法を示すフロー図である。
【
図7】第2の実施形態に係る射出成形システムの二酸化炭素の収集装置と回収装置の構成を示す概念図である。
【
図8】第2の実施形態に係る射出成形システムの運転方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1A,1Bはそれぞれ、第1の実施形態に係る射出成形システム1の概略正面図と概略側面図を示している。
図2は、金型の近傍の拡大図を、
図3は、二酸化炭素の収集装置4と回収装置5の構成を概念的に示している。
【0009】
<全体構成>
図1A、
図1Bを参照すると、射出成形システム1は、金型Mが取り付けられるようにされた射出成形機2と、一つの二酸化炭素収集装置4(以下、収集装置4という場合がある)と、一つの二酸化炭素回収装置5(以下、回収装置5という場合がある)と、収集装置4及び回収装置5の制御装置6と、を有している。射出成形機2は、金型Mを型締めする型締装置21と、射出される材料を溶融して射出する射出装置31と、から概略構成されている。
【0010】
<型締装置21>
型締装置21は、ベッド22上に固定され固定金型M1が取り付けられる固定盤23と、ベッド22上をスライド可能な型締ハウジング25と、ベッド22上をスライド可能で可動金型M2が取り付けられる可動盤24と、を備えている。固定盤23と型締ハウジング25は複数本のタイバー26によって連結されている。可動盤24と型締ハウジング25の間には、金型Mを開閉するための型締機構27が設けられている。型締機構27はトグル機構から構成されている。図示は省略するが、型締機構27は直圧式の型締機構、つまり油圧式の型締シリンダから構成してもよい。
【0011】
<射出装置31>
射出装置31は基台32上に設けられている。射出装置31は、加熱シリンダ33と、加熱シリンダ33に収容されたスクリュ34と、スクリュ34を駆動する駆動機構35と、を備えている。スクリュ34は駆動機構35によって回転駆動されるとともに軸方向Xに駆動される。駆動機構35はカバー36で覆われている。加熱シリンダ33の後端部近傍に、射出される材料を供給するホッパ37が設けられている。ホッパ37は射出される材料が供給される材料供給開口37Aを備えている。加熱シリンダ33の先端には射出ノズル38が設けられている。
【0012】
射出装置31はノズルタッチ装置39を備えている。ノズルタッチ装置39は射出装置31を前進させ、それによって射出ノズル38が金型MのスプルーブッシュM3(
図2参照)にタッチする。ノズルタッチ装置39は駆動機構35と固定盤23とを連結している。ノズルタッチ装置39は、たとえば油圧シリンダを用いた機構、あるいは、ボールねじを用いた機構によって構成される。
【0013】
<金型M>
図2を参照すると、固定金型M1と可動金型M2との間には樹脂が充填されるキャビティCが形成される。金型Mが閉まっているとき、キャビティC内のガスは金型Mに設けられたベント開口から放出される。ベント開口の位置や数は金型Mの大きさや構成によって変わるが、固定金型M1と可動金型M2の少なくともいずれかに少なくとも一つのベント開口(金型Mの大気連通部の一例)が設けられている。本実施形態では、固定金型M1と可動金型M2にそれぞれ一つのベント開口M4,M5が設けられている。ベント開口M4,M5は安全カバーで覆われている場合もあるが、大気開放されている。
【0014】
<二酸化炭素の収集装置4>
図1A、
図1Bを参照すると、射出成形機2の運転中、金型MのキャビティCの内部や射出成形機2の内部には二酸化炭素含有ガスが存在している。この二酸化炭素含有ガスは、金型Mや射出成形機2の特定の部位(以下、流出部という)から外部に流出し得る。収集装置4は、流出部の近傍に取り付けられ、流出部から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する。
【0015】
二酸化炭素含有ガスの流出部は主として、固定金型M1と可動金型M2との間の隙間(パーティングライン)、ホッパ37の材料供給開口37A、金型Mのベント開口M4,M5である。固定金型M1と可動金型M2の間との隙間を金型流出部F1、ホッパ37の材料供給開口37Aをホッパ流出部F2,金型Mのベント開口M4,M5をベント流出部F3という。
【0016】
金型流出部F1からは、主に型開き時に二酸化炭素含有ガスが流出する。キャビティCには樹脂の燃焼によって二酸化炭素含有ガスが発生、蓄積することがあり、この二酸化炭素含有ガスが型開き時に金型Mの外部に流出する。ただし、焼けの発生を抑制する目的で成形中に金型Mを一時的に開く運転を行う場合があり、この場合には運転中にも固定金型M1と可動金型M2との間から二酸化炭素含有ガスが流出することがある。特に、型締装置21が油圧式の場合、金型Mが閉まっているときにも油の反力によって多少の型開きが生じることがある。
【0017】
キャビティCに発生する二酸化炭素の量は樹脂の焼けの程度に依存し、焼けの程度が大きい場合は二酸化炭素の量も多く、焼けの程度が小さい場合は二酸化炭素の量も少ない。
【0018】
ホッパ流出部F2からは、主に射出材料の計量時に発生する二酸化炭素含有ガスが流出する。すなわち、射出材料の計量時には加熱シリンダ33の内部で射出材料がスクリュ34で可塑化されるが、その際に二酸化炭素含有ガスが発生する。ホッパ流出部F2は加熱シリンダ33の内部と連通しているため、発生した二酸化炭素含有ガスが逆流してホッパ流出部F2から流出する。ホッパ流出部F2から流出する二酸化炭素含有ガスの量は他の流出部F1,F3と比べて多い。
【0019】
上述の通り、金型Mが閉まっているとき、キャビティC内のガスはベント流出部F3から排出される。すなわち、キャビティCに蓄積した二酸化炭素含有ガスは、ベント流出部F3から流出する。ベント流出部F3から単位時間に流出する二酸化炭素含有ガスの量は少ないが、二酸化炭素含有ガスは金型Mが閉まっているときに連続的または間欠的に流出する可能性がある。ベント流出部F3から流出する二酸化炭素の量は樹脂の焼けの程度に依存する。
【0020】
本実施形態の収集装置4は、上述したすべての流出部F1~F3から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する一つの収集装置4である。しかし、上述したすべての流出部F1~F3からの二酸化炭素含有ガスを収集することは必須ではない。収集装置4は少なくとも一つの流出部から流出する二酸化炭素含有ガスを収集するものであればよい。
【0021】
図3を参照すると、収集装置4は、二酸化炭素含有ガスを吸い込む吸い込み管41と、吸い込み管41に設けられた吸引ポンプ42と、を有している。吸い込み管41は各流出部F1~F3の近傍に配置された吸い込み部431~433と、回収装置5に接続された接続端部44と、を有する。吸い込み部431は金型流出部F1の近傍に、吸い込み部432はホッパ流出部F2の近傍に、吸い込み部433はベント流出部F3の近傍に設けられている。ベント開口M4,M5(
図1A参照)は近接しているので一つの吸い込み部433を共用しているが、各々に専用の吸い込み部を設けてもよい。
【0022】
吸い込み管41は、吸い込み部431~433にそれぞれ接続された入口側吸い込み管411~413と、接続端部44に接続された出口側吸い込み管414と、を有している。3つの入口側吸い込み管411~413は合流して、一つの出口側吸い込み管414になっている。吸い込み管41は、ビニールチューブ、鋼製パイプ等で形成することができる。吸引ポンプ42は出口側吸い込み管414に設けられている。吸引ポンプ42は真空ポンプであり、二酸化炭素含有ガスを各吸い込み部431~433から吸引して回収装置5に供給する。
【0023】
図4A,4Bはそれぞれ吸い込み部431の概略正面図と概略側面図を示している。吸い込み部431は概ね円筒形の形状を有している。吸い込み部431は射出成形機2及び金型Mから離間しているので、射出成形機2の運転に影響を及ぼす可能性は低い。吸い込み部431の先端は開口となっており、後端は入口側吸い込み管411に接続されている。吸い込み部431は固定具46によって射出成形機2の本体に固定され、最も吸い込み流量が大きくなる角度で金型流出部F1(
図3参照)と相対している。
【0024】
図1A、
図1Bを参照すると、吸い込み部431は金型Mの上方に設けられている。しかし、吸い込み部431が金型流出部F1の近傍にある限り、吸い込み部431の設置位置は限定されない。これは、真空吸引ポンプ42が吸い込み部431の近傍のガスを強制的に吸引するためである。吸い込み部431は金型Mの下方に設置してもよい。二酸化炭素の比重は空気の比重より大きいため、自重で降下する二酸化炭素を効率的に収集することができる。金型流出部F1は金型Mの4面に沿って形成されるため、4面の金型流出部F1を覆うカバーを設け、このカバーに吸い込み部431を接続してもよい。あるいは吸い込み部431を金型流出部F1に沿った細長い形状としてもよい。
【0025】
吸い込み部432も吸い込み部431と同様に構成されている。ただし、吸い込み部432は材料供給開口37Aの端部にほぼ鉛直方向に取り付けられている。これによって、ホッパ37への材料供給が影響を受けにくくなる。
【0026】
吸い込み部433も吸い込み部431と同様に構成されている。吸い込み部433はベント流出部F3(ベント開口M4,M5)(
図2,3参照)に近接して配置可能であるため、設置角度や設置位置に関して大きな制約はない。
【0027】
上述の通り、吸い込み部433はベント流出部F3の近傍に設けられているが、「近傍」は吸い込み部433をベント開口M4,M5に直接密着させる構成を含む。金型Mの外側表面はそれほど高温にならないので、吸い込み部433を耐熱チューブで形成して、直接ベント開口M4,M5に固定することができる。これによって、二酸化炭素含有ガスの収集効率を高めることができる。この場合、ベント開口M4,M5にそれぞれ一つの吸い込み部を取り付け、可動金型M2のベント開口M5に接続される入口側吸い込み管は、可撓性のあるものを用いることが好ましい。
【0028】
図3を参照すると、吸い込み部431~433の近傍には各々、入口側二酸化炭素センサA1~A3が設けられている。入口側二酸化炭素センサA1は、
図4A、
図4Bに示すように金型流出部F1に相対する吸い込み部431の内壁に設けられている。入口側二酸化炭素センサA2は、吸い込み部431の入口側二酸化炭素センサA1と同様に、ホッパ流出部F2に相対する吸い込み部432の内壁に設けられている。ベント流出部F3の近傍の入口側二酸化炭素センサA3は、
図2に示すように金型Mの内壁に設けられている。具体的は、固定金型M1または可動金型M2の内壁に取付用の凹部M6を設け、凹部M6に入口側二酸化炭素センサA3が設けられている。入口側二酸化炭素センサA3は吸い込み部433の内壁に設けてもよい。
【0029】
入口側二酸化炭素センサA1~A3は、吸い込み部431~433から吸引される二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を測定する。入口側二酸化炭素センサA1~A3で測定された二酸化炭素の濃度は制御装置6に送られる。
【0030】
<二酸化炭素回収装置5>
図3を参照すると、回収装置5は、収集装置4から収集した二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収ないし除去する。回収装置5は複数の流出部F1~F3で共有されている。回収装置5は、アミン水溶液を含侵させたフィルタ52を有している。フィルタ52は保持容器51に取り付けられた網部材53に支持されている。保持容器51の入口端には吸い込み管41の接続端部44が接続され、出口端には排出管54が接続されている。
【0031】
アミンの二酸化炭素吸収効率は温度依存性があるため、回収装置5はフィルタ52の温度を調整するフィルタ温度調整装置55を有している。フィルタ温度調整装置55としては、射出成形機2が元来備える金型Mの冷却装置を利用している。金型Mの冷却装置は、金型Mを冷却する冷却水が循環する循環配管56と、循環配管56上に設置され、冷却水の温度を調整する冷却水温度調整装置57と、を有している。金型Mを冷却した冷却水は温水(例えば、60℃程度)となって射出成形機2の本体の出口部28から排出され、冷却水温度調整装置57で冷却されて再び射出成形機2の本体に戻され、金型Mを冷却する。冷却水温度調整装置57は一般的な熱交換器であってよい。
【0032】
循環配管56は射出成形機2の本体の出口部28と冷却水温度調整装置57との間で保持容器51を貫通しており、循環配管56のうち保持容器51の内部にある部分がフィルタ52を加熱する加熱部58となる。加熱部58はフィルタ温度調整装置55を構成する。この構成によれば、既存の設備をフィルタ温度調整装置55として利用できるため、コストの増加を抑制することができる。
【0033】
フィルタ52の温度は、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素をフィルタ52が吸収可能な温度範囲に調整される。好適な温度範囲はアミンの種類に依存する。一般的にはフィルタ52の温度が高すぎると、捕捉した二酸化炭素がフィルタ52から離脱する。好ましくは、フィルタ52の温度は、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素がフィルタ52に最大量吸収される温度に調整される。
【0034】
フィルタ52の温度調整のため、保持容器51をバイパスするバイパスライン59を循環配管56に設け、バイパスライン59の口径を調整することでフィルタ52の温度を調整することができる。あるいは、循環配管56のうちバイパスライン59の分岐部と合流部との間の区間、またはバイパスライン59に弁60を設け、弁60の開度を調整することでフィルタ52の温度を調整することもできる。
【0035】
フィルタ52は二酸化炭素を捕捉し、それ以外の気体を透過させるため、フィルタ52を通過した二酸化炭素含有ガス(以下、フィルタ通過ガスという)は実質的には、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素だけが除去されたガスとなっている。フィルタ通過ガスは排出管54から大気に排出される。排出管54には、フィルタ通過ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を測定する出口側二酸化炭素センサA4が設置されている。出口側二酸化炭素センサA4は排出管54の内壁に設けられている。出口側二酸化炭素センサA4で測定された二酸化炭素の濃度は制御装置6に送られる。
【0036】
図5は二酸化炭素回収装置5の代替構成を示している。回収装置7は、水酸化ナトリウム水溶液の供給部71と、二酸化炭素の吸収部72と、を有している。供給部71は、例えば塩化ナトリウム水溶液の電気分解によって、水酸化ナトリウム水溶液を生成し、吸収部72に供給する。
【0037】
吸収部72では、供給部71から供給された水酸化ナトリウム水溶液に二酸化炭素含有ガスが供給される。水酸化ナトリウムと二酸化炭素の反応により、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとを含む水溶液が生成される。これによって、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素が水酸化ナトリウム水溶液に吸収される。二酸化炭素の取り出しが必要な場合は、例えば塩化ナトリウム水溶液の電気分解によって生成された塩酸を炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを含む水溶液に供給し、気体の二酸化炭素を取り出す。
【0038】
<二酸化炭素の回収方法>
図6には、射出成形システム1から流出する二酸化炭素の回収方法を概略フローで示している。なお、二酸化炭素の回収方法では
図1A、
図1B、
図2、
図3についても適宜参照するものとする。まず、スタートとして、射出成形機2に金型Mを取り付け、射出成形機2の運転を開始する(ステップS1)。
【0039】
次に、各吸い込み部431~433の近傍に設けられた入口側二酸化炭素センサA1~A3(
図3参照)で二酸化炭素濃度を測定する(ステップS2)。ホッパ流出部F2とベント流出部F3の近傍の入口側二酸化炭素センサA2.A3は連続的に二酸化炭素濃度を測定する。金型流出部F1の近傍の入口側二酸化炭素センサA1は、少なくとも型開き時に二酸化炭素濃度を測定すればよい。しかし、前述のように型開きしていないときでも二酸化炭素が流出する可能性があるので、連続的に二酸化炭素濃度を測定してもよい。
【0040】
各入口側二酸化炭素センサA1~A3の測定値は制御装置6(
図1A参照)に送られる。制御装置6はいずれかの入口側二酸化炭素センサA1~A3の二酸化炭素濃度の測定値があらかじめ定められた基準値(以下、流出基準値という)を超えているか否かを判定する(ステップS3)。いずれかの入口側二酸化炭素センサA1~A3の二酸化炭素濃度の測定値が流出基準値を超えている場合(ステップS3でYESの場合)は、収集装置4(具体的には吸引ポンプ42)(
図1B、3参照)を起動する(ステップS4)。いずれの入口側二酸化炭素センサA1~A3でも二酸化炭素濃度の測定値が流出基準値を超えていない場合(ステップS3でNOの場合)は、フローは再びステップS2に戻り、二酸化炭素濃度の監視を続ける。
【0041】
ステップS4で収集装置4(
図3参照)を起動した場合、二酸化炭素含有ガスが収集装置4で収集され、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素が回収装置5(
図3参照)で回収される(ステップS5)。二酸化炭素以外のガスは捕捉されることなく、フィルタ52を通過する。この間、排出管54に設けられた出口側二酸化炭素センサA4で二酸化炭素濃度を測定する。出口側二酸化炭素センサA4の測定値は制御装置6(
図1A参照)に送られる。
【0042】
制御装置6は、各吸い込み部431~433に設けられた入口側二酸化炭素センサA1~A3(
図3参照)と排出管54に設けられた出口側二酸化炭素センサA4(
図3参照)の測定値から、二酸化炭素の回収量と濃度低下値の少なくともいずれかを算出する。二酸化炭素の回収量は、各二酸化炭素センサの濃度測定値から重量換算して求めることができる。重量を積算すれば、一定の時間の二酸化炭素の総回収値を算出することができる。制御装置6の表示部61(
図1A参照)に二酸化炭素の総回収量と濃度低下値の少なくともいずれかを表示することで、二酸化炭素が回収されたことを視覚的に認識することができる。
【0043】
制御装置6は出口側二酸化炭素センサA4の二酸化炭素濃度があらかじめ定められた基準値(以下、性能基準値という)以下であるか否かを監視する(ステップS6)。性能基準値は流出基準値より小さい値に設定される。二酸化炭素濃度が性能基準値以下である場合(ステップS6でYESの場合)、制御装置6は、フィルタ52は健全な状態で引き続き使用することができると判断し、処理をステップS2に戻す。二酸化炭素濃度が性能基準値を超えている場合(ステップS6でNOの場合)は、制御装置6はフィルタ52が寿命に達したと判断し、フィルタ52の交換を促すメッセージを表示部61に表示する(ステップS7)。
【0044】
なお、寿命に達したと判断されたフィルタ52は廃棄処分され、新しいフィルタ52が装着される。
【0045】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る射出成形システム1の、二酸化炭素の収集装置4と回収装置5の構成を概念的に示している。本実施形態では、射出成形機2の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
本実施形態では、複数の収集装置4A~4Cと複数の回収装置5A~5Cが設けられている。複数の収集装置4A~4Cは、各々が少なくとも一つの流出部から流出する二酸化炭素を収集する構成となっていればよい。また、回収装置5A~5Cは、すべての流出口F1~F3から流出する二酸化炭素が、いずれかの回収装置で回収される構成となっていればよい。本実施形態では、複数の回収装置5A~5Cの各々が複数の収集装置4A~4Cの各々と組み合わされている。二酸化炭素回収装置5は
図3に示す構成、
図5に示す構成のいずれも用いることができる。
【0047】
収集装置4Aは吸い込み管451を、収集装置4Bは吸い込み管452を、収集装置4Cは吸い込み管453を有している。吸い込み管451は、流出部F1の近傍に配置された吸い込み部431と接続端部441とを有する。吸い込み管452は、流出部F2の近傍に配置された吸い込み部432と接続端部442とを有する。吸い込み管453は、流出部F3の近傍に配置された吸い込み部433と接続端部443とを有する。接続端部441~443は各々、収集装置4A~4Cと組み合わされた回収装置5A~5Cに接続されている。回収装置5A~5Cには各々排出管541~543が接続されている。
【0048】
各収集装置4A~4Cは各々、吸い込み管451~453に設けられた吸引ポンプ421~423を有している。吸引ポンプ421~423は各々、二酸化炭素含有ガスを吸い込み部431~433から吸引して、収集装置4A~4Cと組み合わされた回収装置5A~5Cに供給する。吸い込み部431~433の構成は第1の実施形態と同様である。入口側二酸化炭素センサA1~A3は、第1の実施形態と同様、各収集装置4A~4Cの吸い込み部431~433に設けられている。出口側二酸化炭素センサA4~A6は各々、排出管541~543に設けられている。
【0049】
図8には、射出成形システム1から流出する二酸化炭素の回収方法を概略フローで示している。基本的な動作フローは第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。ここでは、金型流出部F1とホッパ流出部F2から流出する二酸化炭素含有ガスを処理する場合について述べるが、ベント流出部F3から流出する二酸化炭素含有ガスを処理する場合も同様である。
【0050】
射出成形機2が運転を開始したら(ステップS11)、金型流出部F1とホッパ流出部F2(
図7参照)の近傍に設けられた入口側二酸化炭素センサA1,A2で二酸化炭素濃度を測定する(ステップS12,S22)。以降のステップS13~S17とステップS23~S27は第1の実施形態のステップS3~S7と同じである。フィルタ52の寿命の判定は個々のフィルタ52ごとに行われる。
【0051】
本実施形態では、流出部ごとに二酸化炭素含有ガスの収集、二酸化炭素含有ガスからの二酸化炭素の回収が行われるため、二酸化炭素の回収量も流出部ごとに求められる。従って、制御装置6の表示部61(
図1A参照)には流出部ごとに二酸化炭素の総回収値や濃度低下値を表示することができる。また、どの流出部からどの程度の二酸化炭素が流出しているかも把握することができる。例えば、流出量が多い流出部からの二酸化炭素含有ガスを処理するフィルタ52は大型のものを使用するなどの対策も立てやすく、フィルタ52の交換作業の効率化につながる。
【0052】
(特定の射出成形法における効果)
発泡成形法の一つである物理発泡法では、成形品の重量の1~3%程度のガスを意図的に樹脂に導入する。導入ガスとしては窒素ガスと二酸化炭素ガスが代表的なものである。しかし、導入ガスのうち半分程度は樹脂に取り込まれずに外部に放出される。従って、物理発泡法では一般的な射出成形法と比べてより多くの二酸化炭素が流出する可能性があり、本開示は物理発泡法に好適に適用可能である。
【0053】
また、本開示は、発泡成形法の一つであるカウンタープレッシャー法にも好適に適用可能である。
図9はカウンタープレッシャー法に用いられる金型Mを示す。固定金型M1にはキャビティCに連通する流路101が設けられ、流路101は固定金型M1の外部で流路102に接続されている。流路102は高圧気体源103に接続されている。流路102から流路104が分岐し、流路102と流路104にそれぞれ弁105と減圧弁106が設けられている。流路104の先端は大気開放端107とされている。
【0054】
カウンタープレッシャー法では、弁105を開き高圧気体源103からキャビティC内に高圧の気体を充填した後、樹脂材料を射出する。その後弁105を閉じ、減圧弁106を開き、大気開放端107から気体を排出し、キャビティCの圧力を強制的に降下させる。
【0055】
大気開放端107からは注入された高圧気体だけでなく、キャビティCに発生した二酸化炭素含有ガスも同時に放出される。従って、減圧弁106に接続された大気開放端107(金型Mの大気連通部の一例)の近傍に二酸化炭素の吸い込み部434を設けることで、大気開放端107から流出する二酸化炭素含有ガスを効率的に収集することができる。なお、「近傍」は大気開放端107に密着して二酸化炭素の吸い込み部434を設けることを含む。
【0056】
(射出成形機2への二酸化炭素の収集装置4と回収装置5の設置方法)
本開示によれば、既存の射出成形機2に収集装置4と回収装置5を設置することもできる。具体的には、金型MのキャビティCまたは射出成形機2の内部から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置4を、少なくとも一つの流出部F1~F3の近傍に設ける。そして、少なくとも一つの収集装置4から収集した二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置5を設ける。この方法によれば、既存の射出成形機2に特段の変更を及ぼすことなく、二酸化炭素の排出量を抑制することができる射出成形システム1を構成することができる。
【0057】
(付記)本明細書は以下の開示を含む。
[構成1]
金型が取り付けられる射出成形機と、
前記金型のキャビティまたは前記射出成形機の内部にある二酸化炭素含有ガスが流出し得る少なくとも一つの流出部の近傍に取り付けられ、前記少なくとも一つの流出部から流出する前記二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置と、
前記少なくとも一つの収集装置から収集した前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置と、を有する射出成形システム。
[構成2]
前記少なくとも一つの流出部は複数の流出部であり、前記少なくとも一つの収集装置はすべての前記流出部から二酸化炭素を収集する一つの収集装置であり、前記少なくとも一つの回収装置は一つの回収装置である、構成1に記載の射出成形システム。
[構成3]
前記一つの収集装置は、
各流出部の近傍に配置された複数の吸い込み口と、前記回収装置に接続された接続端部と、を有する吸い込み管と、
前記吸い込み管に設けられ、前記二酸化炭素含有ガスを前記吸い込み口から吸引して、前記接続端部から前記回収装置に供給するポンプと、を有する、構成2に記載の射出成形システム。
[構成4]
前記少なくとも一つの収集装置は、各々が少なくとも一つの前記流出部から二酸化炭素を収集する複数の収集装置であり、前記少なくとも一つの回収装置は複数の回収装置であり、前記複数の回収装置の各々は前記複数の収集装置の各々と組み合わされている、構成1に記載の射出成形システム。
[構成5]
前記複数の収集装置の各々は、
前記流出部の近傍に配置された吸い込み口と、前記収集装置と組み合わされた前記回収装置に接続された接続端部と、を有する吸い込み管と、
前記吸い込み管に設けられ、前記二酸化炭素含有ガスを前記吸い込み口から吸引して、前記接続端部から、前記収集装置と組み合わされた前記回収装置に供給するポンプと、を有する、構成4に記載の射出成形システム。
[構成6]
前記射出成形機は、固定金型が取り付けられる固定盤と、可動金型が取り付けられる可動盤と、を有し、
前記吸い込み口は前記固定盤と前記可動盤との間に設けられている、構成3または5に記載の射出成形システム。
[構成7]
前記射出成形機は、射出される材料を供給するホッパを有し、
前記吸い込み口は前記ホッパの近傍に設けられている、構成3または5に記載の射出成形システム。
[構成8]
前記吸い込み口は前記金型の大気連通部の近傍に設けられている、構成3または5に記載の射出成形システム。
[構成9]
前記大気連通部は前記金型のベント開口である、構成8に記載の射出成形システム。
[構成10]
前記金型はカウンタープレッシャー法に用いられ、
前記大気連通部は減圧弁を介して前記キャビティに接続された大気開放端である、構成8に記載の射出成形システム。
[構成11]
前記流出部の近傍に設けられた入口側二酸化炭素センサを有し、前記入口側二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素の濃度が基準値を超えたときに前記回収装置が起動する、構成1から10のいずれか1項に記載の射出成形システム。
[構成12]
前記回収装置の出口に設けられた出口側二酸化炭素センサを有し、前記入口側二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素の濃度と、前記出口側二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素の濃度とに基づき、二酸化炭素の回収量または二酸化炭素の濃度減少量を算出する、構成11に記載の射出成形システム。
[構成13]
前記少なくとも一つの回収装置は、アミン水溶液を含侵させたフィルタと、前記フィルタの温度を調整するフィルタ温度調整装置と、を有する、構成1から12のいずれか1項に記載の射出成形システム。
[構成14]
前記射出成形機は、前記金型を冷却する冷却水が循環する循環配管と、前記循環配管上に設置され、前記冷却水の温度を調整する冷却水温度調整装置と、を有し、
前記循環配管は、前記射出成形機からの出口部と前記冷却水温度調整装置との間に前記フィルタを加熱する加熱部を有し、前記フィルタ温度調整装置は前記加熱部である、構成13に記載の射出成形システム。
[構成15]
前記少なくとも一つの回収装置は、
水酸化ナトリウム水溶液の供給部と、
前記供給部から供給された前記水酸化ナトリウム水溶液に前記二酸化炭素含有ガスを供給し、前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を前記水酸化ナトリウム水溶液に吸収させる吸収部と、
を有する、構成1から12のいずれか1項に記載の射出成形システム。
[方法1]
以下の工程
(A)金型が取り付けられた射出成形機における前記金型のキャビティまたは前記射出成形機の内部から流出する二酸化炭素含有ガスを、前記二酸化炭素含有ガスが流出する少なくとも一つの流出部の近傍に取り付けられた少なくとも一つの収集装置で収集すること
(B)前記少なくとも一つの収集装置から収集した前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を、少なくとも一つの回収装置で回収すること
を有する、射出成形システムから流出する二酸化炭素の回収方法。
[方法2]
以下の工程
(A)金型が取り付けられる射出成形機における前記金型のキャビティまたは前記射出成形機の内部から流出する二酸化炭素含有ガスを収集する少なくとも一つの収集装置を、前記二酸化炭素含有ガスが流出する少なくとも一つの流出部の近傍に設けること
(B)前記少なくとも一つの収集装置から収集した前記二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を回収する少なくとも一つの回収装置を設けること
を有する、射出成形機への二酸化炭素の収集装置と回収装置の設置方法。
【符号の説明】
【0058】
1 射出成形システム
2 射出成形機
4,4A~4C 収集装置
5,5A~5C 回収装置
6 制御装置
23 固定盤
24 可動盤
41,451~453 吸い込み管
42,421~423 吸引ポンプ
431~433 吸い込み部
44,441~443 接続端部
52 フィルタ
55 フィルタ温度調整装置
56 循環配管
57 冷却水温度調整装置
58 加熱部
71 水酸化ナトリウム水溶液の供給部
72 二酸化炭素の吸収部
A1~A6 二酸化炭素センサ
F1 金型流出部
F2 ホッパ流出部
F3 ベント流出部
M 金型
M1 固定金型
M2 可動金型
M4,M5 ベント開口