IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

<>
  • 特開-物品把持システム 図1
  • 特開-物品把持システム 図2
  • 特開-物品把持システム 図3
  • 特開-物品把持システム 図4
  • 特開-物品把持システム 図5
  • 特開-物品把持システム 図6
  • 特開-物品把持システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133813
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】物品把持システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
G01G19/387 Z
G01G19/387 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043786
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
(57)【要約】
【課題】処理能力を維持しつつ、トレーの目標収容重量を増加させることが可能な物品把持システムを提供する。
【解決手段】物品把持システム100は、トレーTに収容された物品Bの重量情報を取得する計量機40と、容器30に収容された物品群の一部を把持すると共に当該把持を解除することにより物品BをトレーTへ排出する複数の把持部21と、複数の把持部21のそれぞれが把持する物品Bの重量を計量する計量部と、計量機40により取得された重量情報と目標収容重量とに基づいて目標排出重量を算出する算出部61Aと、計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品Bの重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の把持部21の把持を解除させる制御部61Bと、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーに収容された物品の重量情報を取得する重量情報取得部と、
容器に収容された物品群の一部を把持すると共に、当該把持を解除することにより物品を前記トレーへ排出する複数の把持部と、
複数の前記把持部のそれぞれが把持する物品の重量を計量する計量部と、
前記重量情報取得部により取得された前記重量情報と、前記トレーに収容すべき前記物品の目標収容重量と、に基づいて、前記把持部が前記トレーに排出する物品の目標排出重量を算出する算出部と、
前記計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が前記目標排出重量となる複数の前記把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の前記把持部の把持を解除させる制御部と、を備える、物品把持システム。
【請求項2】
前記重量情報取得部は、搬送されている前記トレーを計量することにより、当該トレーに収容されている物品の前記重量情報を取得する、請求項1に記載の物品把持システム。
【請求項3】
前記重量情報取得部は、
容器に収容された物品群の一部を把持すると共に、当該把持を解除することにより物品を前記トレーへ排出する複数の他の把持部と、
複数の前記他の把持部のそれぞれが把持する物品の重量を計量する他の計量部と、
前記他の計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が中間目標重量となる複数の前記他の把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の前記他の把持部の把持を解除させる他の制御部と、有しており、
前記中間目標重量を前記重量情報として取得する、請求項1に記載の物品把持システム。
【請求項4】
前記算出部は、
順次に搬送されている複数の前記トレーそれぞれの前記重量情報と、前記トレーに収容すべき前記物品の目標収容重量と、に基づいて、複数の前記トレーそれぞれへの前記目標排出重量を、複数の前記トレーの搬送順に第1~第N目標排出重量(Nは2以上の整数)として算出し、
前記制御部は、
把持している各物品の重量の合計が目標排出重量となる複数の前記把持部の組合せを選択する処理を、前記目標排出重量を前記第1~第k目標排出重量(kは2以上でN以下の整数)として実行し、当該組合せとして第1~第k組合わせを選択し、
選択した当該組合せに係る複数の前記把持部の把持を解除させる処理を、前記第1~第k組合わせの順に実行する、請求項1又は2に記載の物品把持システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記目標排出重量となる複数の前記把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の前記把持部の把持を解除させる前に、前記計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が中間目標重量となる複数の前記把持部の組合せを選択し、選択した前記組合せに係る複数の前記把持部の把持を解除させ、
前記重量情報取得部は、前記中間目標重量を前記重量情報として取得する、請求項1に記載の物品把持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、物品把持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品把持システムに関する技術として、例えば特許文献1には、物品群から一部の物品を把持して排出する物品排出システムが記載されている。特許文献1に記載された物品排出システムでは、物品群の一部を複数の把持器(把持部)により把持し、重量取得部(計量部)により把持器のそれぞれが把持する物品の重量値を計量する。当該計量結果を用いた組合せ計算の計算結果に基づき所定の把持器による把持を解除し、一定量(目標収容重量)の物品をトレーへ排出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-001808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような物品把持システムでは、トレーに収容すべき物品の目標収容重量が大きくなると、組合せ計算に用いられる把持部の数を増やす必要がある。この場合、選択し得る複数の把持部の組合せパターンが減少し、処理能力が悪化するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、処理能力を維持しつつ、トレーの目標収容重量を増加させることが可能な物品把持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る物品把持システムは、トレーに収容された物品の重量情報を取得する重量情報取得部と、容器に収容された物品群の一部を把持すると共に、当該把持を解除することにより物品をトレーへ排出する複数の把持部と、複数の把持部のそれぞれが把持する物品の重量を計量する計量部と、重量情報取得部により取得された重量情報と、トレーに収容すべき物品の目標収容重量と、に基づいて、把持部がトレーに排出する物品の目標排出重量を算出する算出部と、計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の把持部の把持を解除させる制御部と、を備える。
【0007】
この物品把持システムでは、トレーに収容されている物品の重量情報を事前に取得し、取得した重量情報と目標収容重量から目標排出重量を算出する。そして、組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部の組合せを選択する。よって、組合わせ計算の基準となる重量を目標収容重量よりも小さくすることができ、目標収容重量が大きい場合であっても、組合せ計算に用いられる把持部の数を増やす必要性を抑え、選択し得る複数の把持部の組合せパターンを十分に確保することが可能となる。すなわち、本発明の一側面によれば、処理能力を維持しつつ、トレーの目標収容重量を増加させることが可能となる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の物品把持システムでは、重量情報取得部は、搬送されているトレーを計量することにより、当該トレーに収容されている物品の重量情報を取得してもよい。この場合、重量情報の取得を具体的に実現できる。
【0009】
(3)上記(1)に記載の物品把持システムでは、重量情報取得部は、容器に収容された物品群の一部を把持すると共に、当該把持を解除することにより物品をトレーへ排出する複数の他の把持部と、複数の他の把持部のそれぞれが把持する物品の重量を計量する他の計量部と、他の計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が中間目標重量となる複数の他の把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の他の把持部の把持を解除させる他の制御部と、有しており、中間目標重量を重量情報として取得してもよい。この場合、重量情報の取得を具体的に実現できる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)の何れか一項に記載の物品把持システムでは、算出部は、順次に搬送されている複数のトレーそれぞれの重量情報と、トレーに収容すべき物品の目標収容重量と、に基づいて、複数のトレーそれぞれへの目標排出重量を、複数のトレーの搬送順に第1~第N目標排出重量(Nは2以上の整数)として算出し、制御部は、把持している各物品の重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部の組合せを選択する処理を、目標排出重量を第1~第k目標排出重量(kは2以上でN以下の整数)として実行して、第1~第k目標排出重量を実現する複数の当該組合せを含む組合せパターンを取得してもよい。この場合、複数のトレーへ効率よく物品を排出することが可能となる。
【0011】
(5)上記(1)に記載の物品把持システムでは、制御部は、目標排出重量となる複数の把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の把持部の把持を解除させる前に、計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品の重量の合計が中間目標重量となる複数の把持部の組合せを選択し、選択した組合せに係る複数の把持部の把持を解除させ、重量情報取得部は、中間目標重量を重量情報として取得してもよい。この場合、重量情報の取得を具体的に実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、処理能力を維持しつつ、トレーの目標収容重量を増加させることが可能な物品把持システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態に係る物品把持システムを示す模式図である。
図2図2は、図1の物品把持装置を示す正面図である。
図3図3は、図1の装置コントローラの機能ブロックを示す図である。
図4図4は、図3の制御部による処理例を示すフローチャートである。
図5図5は、トレー番号と重量情報と目標収容重量と目標排出重量との関係の例を示す表である。
図6図6は、第2実施形態に係る物品把持システムを示す模式図である。
図7図7は、第3実施形態に係る物品把持システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において同一又は相当する要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1に示されるように、物品把持システム100は、荒盛り装置10、計量機40及び物品把持装置1を備える。荒盛り装置10は、搬送部11により搬送されている空のトレーTに、略一定量の物品Bを排出する。搬送部11は、複数のトレーTを順次に搬送する。搬送部11としては、ベルトコンベア、トップチェーンコンベア及び回転テーブル等、様々な搬送機構を適用することが可能である(以下の搬送部において同様)。荒盛り装置10としては、例えばスクリューフィーダ等である。物品Bは、例えば、スパゲティ等の麺類、ペンネ等の糖類を多く含む食品等である。物品Bは、高い粘性を有する他の食品でもよい。トレーTは、上方に向けて開放され、物品群が載置されて収容される容器である。
【0016】
計量機40は、搬送部11の下流側に配置されている。計量機40は、トレーTに収容された物品Bの重量に関する重量情報(以下、単に「トレーTの重量情報」ともいう)を取得する。具体的には、計量機40は、荒盛り装置10から排出された物品Bを収容した複数のトレーTについて、順次に搬送しながら計量する。これにより、複数のトレーTの重量情報を取得する。ここでの複数のトレーTの重量情報は、複数のトレーTに収容されている各物品Bの重量を、トレーTの搬送順に第1~第N重量(Nは2以上の整数)として含む。Nは、計量機40による計量位置から物品把持装置1による物品Bの投下位置までの間に存在し得るトレーTのトレー数に対応する。計量機40は、取得した重量情報を物品把持装置1へ送信する。
【0017】
物品把持装置1は、計量機40の下流側に配置されている。図1及び図2に示されるように、物品把持装置1は、計量機40で計量済みで且つ搬送部2により搬送されているトレーTに対して、当該トレーTに既に収容されている物品Bの重量に応じた重量の物品Bを投下(排出)する。搬送部2は、複数のトレーTを順次に搬送する。物品把持装置1は、複数の把持部21を含む把持ユニット20と、物品群が載置される容器30と、容器30を移動させる容器駆動部31と、把持ユニット20の下方に配置された集合シュート8と、集合シュート8の下方に配置されたタイミングホッパ9と、把持ユニット20及び容器駆動部31を制御する装置コントローラ61と、を備える。把持ユニット20、容器30及び容器駆動部31は、例えば直方体状の本体フレーム80に取り付けられている。
【0018】
把持ユニット20は、左右に一対並設されている。把持ユニット20は、本体フレーム80に対して固定的に設けられている。把持ユニット20では、複数の把持部21が水平方向に並ぶように配置されている。各把持部21は、例えば複数の把持爪24を有しており、複数の把持爪24を閉じることで、容器30に収容された物品群の一部を把持する。各把持部21は、複数の把持爪24を駆動する把持部駆動部25を含む。把持部駆動部25は、例えば、モータ又は流体圧を駆動源として把持爪24を開閉させる。各把持部21は、当該把持を解除することにより物品BをトレーTへ排出する。
【0019】
把持ユニット20は、複数の把持部21のそれぞれが把持する物品Bの重量を計量する複数の計量部(不図示)を有する。各把持部21と各計量部とは、一体的に組み立てられている。計量部は、計測した物品Bの重量値を装置コントローラ61に出力する。容器30は、上方に向けて開放され、物品群が載置されて収容される直方体状の容器である。容器30は、容器駆動部31の保持部15に載置されている。容器駆動部31は、保持部15に載置された容器30を、水平な姿勢を維持しつつ鉛直方向及び水平方向に移動させる。
【0020】
集合シュート8は、把持ユニット20の把持部21が把持を解除して落下させた物品を集合させる。集合シュート8は、例えば下方に向かって先細りの四角錐台状の筒体である。集合シュート8は、上側及び下側に開口を有する。集合シュート8は、投入された物品Bを受けて下側に滑走させる。集合シュート8は、下側の開口により構成された排出口8Eを介して、当該物品を下方に排出(投下)する。タイミングホッパ9は、開閉可能なゲート91を有する。タイミングホッパ9は、ゲート91を閉鎖状態とすることで、集合シュート8から排出された物品Bを一時的に貯留する。タイミングホッパ9は、ゲート91を開放状態とすることで、一時的に貯留した物品BをトレーTへ排出する。ゲート91の開閉タイミング(物品Bの排出タイミング)は、例えば搬送部2の搬送速度及び/又はトレー位置検出センサ等を利用して適宜に設定することができる。
【0021】
装置コントローラ61は、CPUに加えて、ROM、RAM等のメモリを有する。装置コントローラ61は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、物品把持装置1の各種構成の動作の制御を行う。装置コントローラ61は、計量器により計量された物品の重量値に基づいて組合せ計算(マッチング計算)を行う。組合せ計算は、複数の把持部21のそれぞれにより把持された物品の重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標排出重量(後述)となる重量値の組合せを求める処理である。装置コントローラ61は、組合せ計算の結果に基づいて目標排出重量となる重量値の組合せに対応する複数の把持部21を選択し、選択した複数の把持部21の把持を解除する制御を実施する。
【0022】
物品把持装置1では、一例として、装置コントローラ61の制御により次の動作を実行する。まず、容器30を一の把持ユニット20に近づくように上方へ移動させ、一の把持ユニット20の把持部21により容器30内の物品群から一部の物品Bを把持させる。容器30を一の把持ユニット20から離れるように下方へ移動させる。当該把持部21により把持された物品Bの各重量値を計量し、組合せ計算を実施する。容器30を水平方向に移動させ、一の把持ユニット20の下方から他の把持ユニット20の下方へ容器30を移動させる。組合せ計算の結果に基づいて、目標排出重量となる重量値の組合せに対応する複数の把持部21による物品Bの把持を解除し、物品Bを落下させる。落下した物品Bは、集合シュート8に投下され、集合シュート8内を下側に滑走し、下側の開口からタイミングホッパ9へ投入される。タイミングホッパ9に投入された物品Bは、その内部を下側に滑走し、ゲート91が閉鎖状態の場合に一時的に貯留される。ゲート91が開放状態となると、タイミングホッパ9に一時的に貯留された物品Bは、搬送部2の搬送面上のトレーTへ向けて排出される。
【0023】
図3に示されるように、装置コントローラ61は、算出部61A及び制御部61Bを有する。算出部61Aは、計量機40により取得されたトレーTの重量情報と、トレーTに収容すべき物品Bの目標収容重量と、に基づいて、把持部21がトレーTに排出する物品Bの目標排出重量を算出する。目標収容重量は、一定値であり、予め設定されて制御部61Bに記憶されている。算出部61Aは、目標収容重量と複数のトレーTの重量情報との差分により、目標排出重量を算出する。具体的には、算出部61Aは、複数のトレーTに収容されている各物品Bの第1~第N重量と目標収容重量との差分に基づいて、複数のトレーTそれぞれへの目標排出重量を、複数のトレーTの搬送順に第1~第N目標排出重量として算出する。目標排出重量は、トレーTの重量情報に応じて変化する値である。第1~第N目標排出重量は、少なくとも一部が互いに異なる値である。
【0024】
制御部61Bは、計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品Bの重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の把持部21の把持を解除させる。具体的には、制御部61Bは、一対の把持ユニット20の何れか一方において、把持している各物品Bの重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択する処理を、目標排出重量を第1~第k目標排出重量(kは2以上でN以下の整数)として実行して、第1~第k目標排出重量を実現する第1~第k組合せを含む組合せパターンを取得する。kは、選択可能な組合せの数の最大値である。つまり、組合せパターンは、取り得る最大数の組合せを含むパターンである。
【0025】
組合せパターンを取得する処理の一例として、制御部61Bは、図4に示されるように、まず、kを初期値(=1)とする(ステップS1)。第1~第k目標排出重量を実現する第1~第k組合せを含む組合せパターンを取得可能かどうかを判定する(ステップS2)。上記ステップS2でYESの場合、第1~第k目標排出重量を実現する第1~第k組合せを含む組合せパターンを取得する。kがNか否かを判定する(ステップS4)。上記ステップS4でNOの場合、kをカウントアップ(k=k+1)した後、上記ステップS2の処理へ戻る(ステップS5)。上記ステップS2でNO又は上記ステップS4でYESの場合、処理を終了する。
【0026】
制御部61Bは、一対の把持ユニット20の何れか一方において、取得した組合せパターンの第1~第k組合せに係る複数の把持部21の把持解除を、その順に実行させる。これにより、順次に搬送される複数のトレーTに対して、第1~第k目標排出重量の物品Bをその順に投下させる。制御部61Bは、一対の把持ユニット20の何れか一方における上述の各処理を、一対の把持ユニット20の何れか他方においても同様に実行する。制御部61Bは、一対の把持ユニット20の何れか一方における上述の各処理と、何れか他方における上述の各処理とを、交互に繰り返すように実施する。
【0027】
物品把持システム100では、空のトレーTに荒盛り装置10から略一定量の物品Bが排出されて収容された後、計量機40により当該トレーTの重量情報が取得されて物品把持装置1へ送信される。そして、物品把持装置1において、当該トレーT内の物品Bの重量が目標収容重量となる目標排出重量が算出され、その目標排出重量の物品Bが当該トレーTへ投下される。具体的には、算出部61Aにより第1~第N目標排出重量が算出され、制御部61Bにより、第1~第k目標排出重量を実現可能な第1~第k組合せの組合せパターンが取得される。取得した組合せパターンの第1~第k組合せに係る複数の把持部21の把持がその順に解除され、第1~第k目標排出重量の物品Bが複数のトレーTに順に投下される。このような物品Bの複数のトレーTへの投下が、一方の把持ユニット20と他方の把持ユニット20とで交互に繰り返し実施される。以上により、目標収容重量の物品BがトレーTに収容される。
【0028】
図5は、トレー番号と重量情報と目標収容重量と目標排出重量との関係の例を示す表である。図5中のトレー番号は、搬送されている複数のトレーTについて物品把持装置1に近い順で付された番号である。図5に示される例では、番号1~番号5までのトレーTの重量情報が計量機40で計量されている。その結果、目標収容重量との差分から算出部61Aにより、第1~第5目標排出重量が算出されている。図5に示される例では、組合せ計算の結果、第1~第4組合せの組合せパターンが一方の把持ユニット20で取得されており、番号1~番号4のトレーTには、一方の把持ユニット20から物品Bが投下される。番号5以降のトレーTには、他方の把持ユニット20が対応予定とされる。
【0029】
以上、物品把持システム100では、トレーTに収容されている物品Bの重量情報を事前に取得し、取得した重量情報と目標収容重量から目標排出重量を算出する。そして、組合せ計算を行い、把持している各物品Bの重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択する。よって、組合わせ計算の基準となる重量を目標収容重量よりも小さくすることができ、目標収容重量が大きい場合であっても、組合せ計算に用いられる把持部21の数を増やす必要性を抑え、選択し得る複数の把持部21の組合せパターンを十分に確保することが可能となる。すなわち、物品把持システム100によれば、処理能力を維持しつつ、トレーTの目標収容重量を増加させることが可能となる。事前に物品Bが収容されているトレーTの重量を取得し、目標収容重量との差分に基づき組合せ計算することで、大きな目標収容重量の場合でも、組合せ数を確保し、正確な計量が可能となる。
【0030】
物品把持システム100では、重量情報取得部としての計量機40は、搬送されているトレーTを計量することにより、当該トレーTに収容されている物品Bの重量情報を取得する。この場合、トレーTの重量情報の取得を具体的に実現することが可能となる。
【0031】
物品把持システム100では、算出部61Aは、複数のトレーTの搬送順に第1~第N目標排出重量として算出する。制御部61Bは、把持している各物品Bの重量の合計が目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択する処理を、目標排出重量を第1~第k目標排出重量として実行して、第1~第k目標排出重量を実現する複数の当該組合せを含む組合せパターンを取得する。この場合、複数のトレーTへ効率よく物品Bを排出することが可能となる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明し、重複する説明は省略する。
【0033】
図6に示されるように、第2実施形態に係る物品把持システム200が第1実施形態と異なる点は、荒盛り装置10及び計量機40(図1参照)を備えず、物品把持装置1とは別の他の物品把持装置201を更に備えた点である。物品把持装置201は、物品把持装置1の上流側に配置され、搬送部2により搬送されている空のトレーTに中間目標重量の物品Bを排出する。物品把持装置201は、搬送部2上において物品把持装置1による物品Bの投下位置よりも搬送方向の上流側に物品Bを投下する。
【0034】
物品把持装置201は、容器に収容された物品群の一部を把持すると共に、当該把持を解除することにより物品Bをトレーへ排出する複数の他の把持部と、複数の他の把持部のそれぞれが把持する物品Bの重量を計量する他の計量部と、を有する。物品把持装置201は、他の計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品Bの重量の合計が中間目標重量となる複数の他の把持部の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の他の把持部の把持を解除させる装置コントローラ(他の制御部)261を有する。物品把持装置201は、トレーTに排出する物品Bの重量である中間目標重量を、トレーTの重量情報として取得して装置コントローラ61へ送信する。
【0035】
以上、物品把持システム200においても、処理能力を維持しつつトレーTの目標収容重量を増加できる等の上記作用効果を奏する。また、トレーTの重量情報の取得を具体的に実現することが可能となる。本実施形態では、物品把持装置201が重量情報取得部を構成する。
【0036】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明し、重複する説明は省略する。
【0037】
図7に示されるように、第3実施形態に係る物品把持システム300が第1実施形態と異なる点は、荒盛り装置10及び計量機40(図1参照)を備えず、物品把持装置1に代えて物品把持装置301を備えた点である。
【0038】
物品把持装置301は、装置コントローラ61に代えて装置コントローラ361を有する以外は、物品把持装置1(図1参照)と同様に構成されている。装置コントローラ361は、装置コントローラ61の各処理に加えて、次の処理を実行する。すなわち、装置コントローラ361は、目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択し、選択した当該組合せに係る複数の把持部21の把持を解除させる前に、計量部による計量結果を用いた組合せ計算を行い、把持している各物品Bの重量の合計が中間目標重量となる複数の把持部21の組合せを選択し、選択した組合せに係る複数の把持部21の把持を解除させる。装置コントローラ361は、中間目標重量をトレーTの重量情報として取得する。これにより、物品把持装置301は、空のトレーTに中間目標重量の物品Bを排出した後、当該トレーTに目標排出重量の物品Bを排出し、合わせて目標収容重量となる物品BをトレーTに収容する。
【0039】
一例として、装置コントローラ361では、一対の把持ユニット20の何れか一方において、中間目標重量となる複数の把持部21の組合せを選択し、選択した組合せに係る複数の把持部21の把持を解除させる。これにより、空のトレーTに中間目標重量の物品Bを排出し、中間目標重量をトレーTの重量情報として取得する。その後、装置コントローラ361では、一対の把持ユニット20の何れか他方において、目標排出重量となる複数の把持部21の組合せを選択し、選択した組合せに係る複数の把持部21の把持を解除させる。これにより、当該トレーTに目標排出重量の物品Bを排出し、その結果、目標収容重量の物品Bが収容されたトレーTを得る。
【0040】
以上、物品把持システム300においても、処理能力を維持しつつトレーTの目標収容重量を増加できる等の上記作用効果を奏する。また、トレーTの重量情報の取得を具体的に実現することが可能となる。本実施形態では、物品把持装置301の装置コントローラ361が重量情報取得部を構成する。
【0041】
(変形例)
以上、実施形態について説明してきたが、本発明の一態様は上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。上記実施形態では、手作業により物品Bを空のトレーTに収容し、当該物品Bの重量情報を重量情報取得部により取得してもよい。
【符号の説明】
【0042】
21…把持部、30…容器、40…計量機(重量情報取得部)、61A…算出部、61B…制御部、100,200,300…物品把持システム、201…物品把持装置(重量情報取得部)、361…装置コントローラ(制御部)、B…物品、T…トレー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7