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特開2024-133828半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133828
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240926BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043809
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北本 克征
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR07
5F083PR40
5F083ZA01
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】コンタクトとピラーとの接触によるコンタクトの形成不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、階段部から外れた積層体内を、積層体の積層方向に延びる第1のピラーと、階段部を積層方向に延びる第2のピラーと、を備え、第1及び第2のピラーは、積層方向に延びる半導体層と、半導体層の側壁を覆う第2の絶縁層と、第2の絶縁層の側壁を覆う第3の絶縁層と、第2及び第3の絶縁層とは異種の材料を含み、第2及び第3の絶縁層の間に介在される第4の絶縁層と、をそれぞれ含み、第2のピラーは、少なくとも一部において第1のピラーの第3の絶縁層よりも厚い第3の絶縁層を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、
前記階段部から外れた前記積層体内を、前記積層体の積層方向に延びる第1のピラーと、
前記階段部を前記積層方向に延びる第2のピラーと、を備え、
前記第1及び第2のピラーは、
前記積層方向に延びる半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層とは異種の材料を含み、前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される第4の絶縁層と、をそれぞれ含み、
前記第2のピラーは、
少なくとも一部において前記第1のピラーの前記第3の絶縁層よりも厚い前記第3の絶縁層を含む、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の導電層のうち、前記積層体の最上層の導電層、または前記最上層の導電層および前記最上層の導電層と前記積層方向に連続する少なくとも1つの導電層を貫通して前記積層方向と交差する第1の方向に前記積層体内を延び、前記最上層の導電層を含む1つ以上の導電層を前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に選択的に分離する分離層と、
前記1つ以上の導電層が階段状に加工された前記階段部の領域を前記積層方向に延びる第3のピラーと、を更に備え、
前記第2のピラーは、
前記複数の導電層のうち、前記1つ以上の導電層よりも下層の導電層が階段状に加工された前記階段部の領域に配置されており、
前記第3のピラーは、
前記積層方向に延びる前記半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う前記第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う前記第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される前記第4の絶縁層と、を含み、
前記第3のピラーは、
前記第2のピラーの前記少なくとも一部の前記第3の絶縁層よりも薄い前記第3の絶縁層を含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記積層方向と前記積層方向に交差する第1の方向とに延び、前記積層方向および前記第1の方向に交差する第2の方向に前記積層体を分割する複数の板状部と、
前記階段部と前記積層方向に重なる位置の前記複数の板状部の前記第2の方向の両側に、前記複数の板状部に隣接して前記第1の方向に配列される複数の第4のピラーと、を更に備え、
前記第4のピラーは、
前記積層体の高さ方向の全体に亘って前記積層方向に延びる第5の絶縁層を含み、
前記第2のピラーは、
前記第2の方向両側の前記複数の板状部に隣接する位置を除く前記階段部に分散して配置される複数の第2のピラーを含む、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記階段部を前記積層方向に延びる第5のピラーを更に備え、
前記積層体は、
前記複数の導電層のうち下層側の導電層と前記複数の第1の絶縁層のうち下層側の第1の絶縁層とを含み、前記下層側の導電層が階段状に加工された第1の階段部を有する第1の積層体と、
前記複数の導電層のうち上層側の導電層と前記複数の第1の絶縁層のうち上層側の第1の絶縁層とを含んで前記第1の積層体の上方に配置され、前記上層側の導電層が階段状に加工された第2の階段部を有する第2の積層体と、を有しており、
前記第2のピラーは、
前記第1の階段部に配置され、
前記第5のピラーは、
前記積層方向に延びる前記半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う前記第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う前記第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される前記第4の絶縁層と、を含んで、前記1つ以上の導電層が階段状に加工された領域を除く前記第2の階段部に配置され、
前記第2のピラーの前記少なくとも一部の前記第3の絶縁層よりも薄く、前記第3のピラーの前記第3の絶縁層よりも厚い前記第3の絶縁層を含む、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記積層体は、
前記複数の導電層のうち下層側の導電層と前記複数の第1の絶縁層のうち下層側の第1の絶縁層とを含み、前記下層側の導電層が階段状に加工された第1の階段部を有する第1の積層体と、
前記複数の導電層のうち上層側の導電層と前記複数の第1の絶縁層のうち上層側の第1の絶縁層とを含んで前記第1の積層体の上方に配置され、前記上層側の導電層が階段状に加工された第2の階段部を有する第2の積層体と、を有しており、
前記第2のピラーは、
前記第1の積層体の高さ位置を前記積層方向に延びる第1のサブピラーと、
前記第2の積層体の高さ位置を前記積層方向に延び、前記第1のサブピラーの上端部に下端部で接続される第2のサブピラーと、を含み、
前記第1のサブピラーは、
前記第2のサブピラーの前記第3の絶縁層よりも厚い前記第3の絶縁層を含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の第1の絶縁層が階段状に加工された階段部を有する積層体を形成し、
前記階段部から外れた前記積層体内を、前記積層体の積層方向に延びる第1のホールを形成し、
前記階段部を前記積層方向に延びる第2のホールを形成し、
前記第1及び第2のホールの側壁をそれぞれ覆う第3の絶縁層を形成し、
前記第1のホールの側壁を覆う前記第3の絶縁層の厚さを減じ、
前記第1のホールの厚さが減じた前記第3の絶縁層と、前記第2のホールの前記第3の絶縁層とを介して、前記第1及び第2のホールの側壁をそれぞれ覆う第4の絶縁層を形成し、
前記第3及び第4の絶縁層とは異種の材料を含み、前記第3及び第4の絶縁層の間に介在される第5の絶縁層を前記第1及び第2のホールにそれぞれ形成し、
前記第1及び第2のホールにそれぞれ形成された前記第3乃至第5の絶縁層を介して、前記第1及び第2のホールの側壁をそれぞれ覆う半導体層を形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2のホール内に前記第3の絶縁層を形成するときは、
前記第1のホール内に前記第3の絶縁層を形成した後も、前記第2のホール内への前記第3の絶縁層の形成を継続して、前記第2のホール内の前記第3の絶縁層を前記第1のホール内の前記第3の絶縁層よりも厚く形成する、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の第1の絶縁層のうち、前記積層体の最上層の第1の絶縁層、または前記最上層の第1の絶縁層および前記最上層の第1の絶縁層と前記積層方向に連続する少なくとも1つの第1の絶縁層が階段状に加工された前記階段部の領域を前記積層方向に延びる第3のホールを形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記第3の絶縁層を形成するときは、前記第3のホールの側壁にも前記第3の絶縁層を形成し、
前記第1のホールの前記第3の絶縁層の厚さを減じるときは、前記第3のホールの側壁を覆う前記第3の絶縁層の厚さも減じ、
前記第1及び第2のホール内に前記第4の絶縁層を形成するときは、前記第3のホールの厚さが減じた前記第3の絶縁層を介して、前記第3のホールの側壁にも前記第4の絶縁層を形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記第5の絶縁層を形成するときは、前記第3及び第4の絶縁層の間に介在される前記第5の絶縁層を前記第3のホールにも形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記半導体層を形成するときは、前記第3のホールに形成された前記第3乃至第5の絶縁層を介して、前記第3のホールの側壁にも前記半導体層を形成する、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記積層体を形成するときは、
前記複数の第1及び第2の絶縁層のうち下層側の第1及び第2の絶縁層を含み、前記下層側の第1の絶縁層が階段状に加工された第1の階段部を有する第1の積層体を形成し、
前記複数の第1及び第2の絶縁層のうち上層側の第1及び第2の絶縁層を含んで前記第1の積層体の上方に配置され、前記上層側の第1の絶縁層が階段状に加工された第2の階段部を有する第2の積層体を形成して、前記第1及び第2の積層体を有する前記積層体を形成し、
前記第1及び第2のホールを形成するときは、
前記第1の階段部に分散させて複数の第2のホールを形成し、
前記最上層の第1の絶縁層を含む1つ以上の第1の絶縁層が階段状に加工された領域を除く前記第2の階段部を前記積層方向に延びる第5のホールを形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記第3の絶縁層を形成するときは、
前記第5のホールの側壁にも前記第3の絶縁層を形成し、
前記第1、第3、及び第5のホール内に前記第3の絶縁層を形成した後、前記第2のホール内への前記第3の絶縁層の形成を継続して、前記第2のホール内の前記第3の絶縁層を前記第1、第3、及び第5のホール内の前記第3の絶縁層よりも厚く形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記第4の絶縁層を形成するときは、
前記第5のホールの前記第3の絶縁層を介して、前記第5のホールの側壁にも前記第4の絶縁層を形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記第5の絶縁層を形成するときは、
前記第3及び第4の絶縁層の間に介在される前記第5の絶縁層を前記第5のホールにも形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記半導体層を形成するときは、
前記第5のホールに形成された前記第3乃至第5の絶縁層を介して、前記第5のホールの側壁にも前記半導体層を形成する、
請求項8に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記積層体を形成するときは、
前記複数の第1及び第2の絶縁層のうち下層側の第1及び第2の絶縁層を含み、前記下層側の第1の絶縁層が階段状に加工された第1の階段部を有する第1の積層体を形成し、
前記複数の第1及び第2の絶縁層のうち上層側の第1及び第2の絶縁層を含んで前記第1の積層体の上方に配置され、前記上層側の第1の絶縁層が階段状に加工された第2の階段部を有する第2の積層体を形成して、前記第1及び第2の積層体を有する前記積層体を形成し、
前記第2のホールを形成するときは、
前記第1の積層体の高さ位置を前記積層方向に延びる第1のサブホールを形成し、
前記第2の積層体の高さ位置を前記積層方向に延び、前記第1のサブホールの上端部に下端部で接続される第2のサブホールを形成して、前記第1及び第2のサブホールを有する前記第2のホールを形成し、
前記第1のサブホールを形成するときは、
前記第1のサブホールの側壁を覆う第6の絶縁層を形成し、
前記第1及び第2のホール内に前記第3の絶縁層を形成するときは、
前記第1のサブホール内には前記第6の絶縁層を介して前記第3の絶縁層を形成する、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、複数の導電層が積層された積層体中に3次元にメモリセルを形成する。これらの導電層を引き出すため、複数の導電層が階段状に加工された部分にそれぞれ接続される複数のコンタクトが配置される。また、積層体には積層体を支持する複数のダミーのピラーが配置される。これらのコンタクトとピラーとの間で接触が生じると、コンタクトの形成不良が起きる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-057623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、コンタクトとピラーとの接触によるコンタクトの形成不良を抑制することができる半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、前記階段部から外れた前記積層体内を、前記積層体の積層方向に延びる第1のピラーと、前記階段部を前記積層方向に延びる第2のピラーと、を備え、前記第1及び第2のピラーは、前記積層方向に延びる半導体層と、前記半導体層の側壁を覆う第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の側壁を覆う第3の絶縁層と、前記第2及び第3の絶縁層とは異種の材料を含み、前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される第4の絶縁層と、をそれぞれ含み、前記第2のピラーは、少なくとも一部において前記第1のピラーの前記第3の絶縁層よりも厚い前記第3の絶縁層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置のブロック図。
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの構成の一例を示す等価回路図。
図3】実施形態1にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す断面図。
図4】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図5】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図6】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図7】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図8】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図9】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図10】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図11】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図12】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図13】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図14】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図15】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図16】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図17】実施形態1および比較例にかかる柱状部に接触するコンタクトホールが形成された場合の例を示す断面図。
図18】実施形態1の変形例1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すXY断面図。
図19】実施形態1の変形例1にかかる半導体記憶装置の構成の他の例を示すXY断面図。
図20】実施形態1の変形例2にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すXY断面図。
図21】実施形態1の変形例2及び比較例にかかる柱状部に接触するスリットSTが形成された場合の例を示す断面図。
図22】実施形態1の変形例3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図23】実施形態1の変形例3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図24】実施形態1の変形例3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図25】実施形態2にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図26】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図27】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図28】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図29】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図30】実施形態3にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図31】実施形態3にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図32】実施形態3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図33】実施形態3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図34】実施形態3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図35】実施形態3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図36】その他の実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態]
以下、図面を参照して本明細書の全般の実施形態に共通する構成について説明する。
【0009】
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置のブロック図である。図1に示すように、半導体記憶装置は、入出力回路310、ロジック制御回路320、ステータスレジスタ330、アドレスレジスタ340、コマンドレジスタ350、シーケンサ360、レディ/ビジー回路370、電圧発生回路380、メモリセルアレイ510、ロウデコーダ520、センスアンプモジュール530、データレジスタ540、及びカラムデコーダ550を備える。
【0010】
入出力回路310は、半導体記憶装置を制御する不図示のメモリコントローラ等の外部装置との信号DQの入出力を制御する。入出力回路310は、図示しない入力回路と出力回路とを備える。
【0011】
入力回路は、外部装置から受信した書き込みデータWD等のデータDATを、データレジスタ540に送信し、アドレスADDをアドレスレジスタ340に送信し、コマンドCMDをコマンドレジスタ350に送信する。
【0012】
出力回路は、ステータスレジスタ330から受信したステータス情報STS、データレジスタ540から受信した読み出しデータRD等のデータDAT、及びアドレスレジスタ340から受信したアドレスADDを外部装置に送信する。
【0013】
ロジック制御回路320は、外部装置から例えばチップイネーブル信号CEn、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、及びリードイネーブル信号REnを受信する。また、ロジック制御回路320は、受信した信号に応じて、入出力回路310及びシーケンサ360を制御する。
【0014】
ステータスレジスタ330は、例えばデータの書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作におけるステータス情報STSを一時的に保持し、外部装置に動作が正常に終了したか否かを通知する。
【0015】
アドレスレジスタ340は、入出力回路310を介して外部装置から受信したアドレスADDを一時的に保持する。また、アドレスレジスタ340は、ロウアドレスRAをロウデコーダ520へ転送し、カラムアドレスCAをカラムデコーダ550に転送する。
【0016】
コマンドレジスタ350は、入出力回路310を介して外部装置から受信したコマンドCMDを一時的に保存し、シーケンサ360に転送する。
【0017】
シーケンサ360は、半導体記憶装置全体の動作を制御する。より具体的には、シーケンサ360は、コマンドレジスタ350が保持するコマンドCMDに応じて、例えばステータスレジスタ330、レディ/ビジー回路370、電圧発生回路380、ロウデコーダ520、センスアンプモジュール530、データレジスタ540、及びカラムデコーダ550等を制御し、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を実行する。
【0018】
レディ/ビジー回路370は、シーケンサ360の動作状況に応じて、レディ/ビジー信号R/Bnを外部装置に送信する。
【0019】
電圧発生回路380は、シーケンサ360の制御に応じて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な電圧を発生させ、発生した電圧を例えばメモリセルアレイ510、ロウデコーダ520、及びセンスアンプモジュール530等に供給する。ロウデコーダ520及びセンスアンプモジュール530は、電圧発生回路380から供給された電圧をメモリセルアレイ510内のメモリセルに印加する。
【0020】
メモリセルアレイ510は、複数のブロックBLK(BLK0~BLKn)を含んでいる。nは2以上の整数である。ブロックBLKは、ビット線及びワード線に関連付けられた複数のメモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位となる。メモリセルは、例えばトランジスタとして構成され、不揮発性データを保持する。
【0021】
このようなメモリセルを備えることにより、実施形態の半導体記憶装置は、例えばNAND型不揮発性メモリとして構成される。
【0022】
ロウデコーダ520は、ロウアドレスRAをデコードする。また、ロウデコーダ520は、デコード結果に基づいて、いずれかのブロックBLKを選択する。また、ロウデコーダ520は、必要な電圧をブロックBLKに印加する。
【0023】
センスアンプモジュール530は、読み出し動作のときには、メモリセルアレイ510から読み出されたデータをセンスする。また、センスアンプモジュール530は、読み出しデータRDをデータレジスタ540に送信する。書き込み動作のときには、センスアンプモジュール530は、書き込みデータWDをメモリセルアレイ510に送信する。
【0024】
データレジスタ540は、複数のラッチ回路を備える。ラッチ回路は、書き込みデータWD及び読み出しデータRRDを保持する。例えば、書き込み動作において、データレジスタ540は、入出力回路310から受信した書き込みデータWDを一時的に保持し、センスアンプモジュール530に送信する。また例えば、読み出し動作において、データレジスタ540は、センスアンプモジュール530から受信した読み出しデータRDを一時的に保持し、入出力回路310に送信する。
【0025】
カラムデコーダ550は、例えば書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作の際、カラムアドレスCAをデコードし、デコード結果に応じてデータレジスタ540内のラッチ回路を選択する。
【0026】
なお、メモリセルアレイ510の周辺に配置される回路群を周辺回路とも呼ぶ。周辺回路は、ロウデコーダ520、センスアンプモジュール530、データレジスタ540、及びカラムデコーダ550を少なくとも含む。周辺回路に、ステータスレジスタ330、アドレスレジスタ340、コマンドレジスタ350、及びシーケンサ360を含めてもよく、更に、入出力回路310、ロジック制御回路320、レディ/ビジー回路370、及び電圧発生回路380を含めてもよい。
【0027】
このように、実施形態の半導体記憶装置は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ510と、複数のメモリセルを動作させる周辺回路とを備える。
【0028】
図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイ510の構成の一例を示す等価回路図である。
【0029】
メモリセルアレイ510は、上述のように複数のブロックBLKを備える。複数のブロックBLKはそれぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。複数のストリングユニットSUはそれぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。複数のメモリストリングMSの一端はそれぞれ、ビット線BLを介してセンスアンプモジュール530等の周辺回路に接続される。複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路に接続される。
【0030】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン選択トランジスタSTDと、複数のメモリセルMCと、ソース選択トランジスタSTSとを備える。以下、ドレイン選択トランジスタSTD、及びソース選択トランジスタSTSを、単に選択トランジスタ(STD、STS)と呼ぶことがある。
【0031】
メモリセルMCは、例えばゲート絶縁層に電荷蓄積層を含む電界効果型トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。メモリセルMCの閾値電圧は電荷蓄積層中の電荷量に応じて変化する。閾値電圧を1つ、または複数設けることで、メモリセルMCが1ビット、または複数ビットのデータを記憶可能であってよい。1つのメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1つのブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0032】
選択トランジスタ(STD、STS)は例えば電界効果型トランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS)のゲート電極にはそれぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS)が接続される。ドレイン選択トランジスタSTDに接続されるドレイン選択線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1つのストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース選択トランジスタSTSに接続されるソース選択線SGSは、1つのブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0033】
ワード線WL及び選択ゲート線(SGD,SGS)の一端はそれぞれ、ロウデコーダ520等の周辺回路に接続される。
【0034】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0035】
(半導体記憶装置の構成例)
図3は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す断面図である。ただし、図3においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0036】
図3に示すように、半導体記憶装置1は、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、複数のワード線WL、及び選択ゲート線SGD,SGSを備える。また、半導体記憶装置1は、選択ゲート線SGDの上方に、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAを備える。
【0037】
電極膜EL上には、絶縁層150を介してソース線SLが配置されている。絶縁層150中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。これにより、上述の電圧発生回路380(図1参照)から、電極膜EL及びプラグPGを介してソース線SLにソース電位を印加することができる。
【0038】
ソース線SL上には1つ以上の選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、及び1つ以上の選択ゲート線SGDがこの順に積層されている。複数のワード線WLが延びる方向の中央部にはメモリ領域MRが配置され、複数のワード線WLが延びる方向の端部には階段領域SRが配置されている。
【0039】
メモリ領域MRには、ワード線WL等を積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルMC(図2参照)が形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルMCが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0040】
このように、メモリ領域MRは、上述のメモリセルアレイ510(図2参照)に相当する物理構成の一例である。また、ピラーPLは、メモリセルMC等が直列に接続された上述のメモリストリングMS(図2参照)に相当する物理構成の一例である。
【0041】
半導体記憶装置1の物理構成において、ピラーPLは、ピラーPLの上方に配置されるビット線BLを介して、周辺回路CBAに電気的に接続されている。
【0042】
階段領域SRでは、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工されて終端している。これらのワード線WL等によって構成される各段のテラス部分には、各階層のワード線WL等に接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0043】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが個々に引き出される。これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルMCに対し、そのメモリセルMCと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0044】
複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGS、ピラーPL、並びにコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WL等の周囲にも広がっている。
【0045】
絶縁層50上方の半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む上述のロウデコーダ520、センスアンプモジュール530(図1参照)等の周辺回路CBAが配置されている。
【0046】
コンタクトCCからメモリセルMCに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。また、ピラーPLの高さ方向に並ぶメモリセルMCから読み出されたデータは、周辺回路CBAのセンスアンプモジュール530に読み出される。これにより、周辺回路CBAはメモリセルMCの電気的な動作を制御する。
【0047】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、複数のワード線WL等を覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0048】
次に、図4及び図5を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。図4及び図5は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す図である。
【0049】
より詳細には、図4(a)は、半導体記憶装置1のメモリ領域MRを含むY方向に沿う断面図である。図4(a)においては、絶縁層60下方及び絶縁層40上方の構造が省略されている。
【0050】
図4(b)は、任意のワード線WLの高さ位置におけるピラーPLのXY断面図である。図4(c)は、図4(b)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRmのXY断面図である。図4(d)は、図4(b)(c)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRtのXY断面図である。
【0051】
図4(e)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0052】
図5(a)~図5(c)は、半導体記憶装置1の階段領域SRを含むY方向に沿う断面図であって、図5(a)は階段領域SRが備える階段部SPsにおける断面を示しており、図5(b)は階段領域SRが備える階段部SPbにおける断面を示しており、図5(c)は階段領域SRが備える階段部SPaにおける断面を示している。ただし、図5(a)~図5(c)においては、絶縁層60下方及び絶縁層40上方の構造が省略されている。
【0053】
なお、図4及び図5に示す図はあくまでも模式図であり、図4(a)及び図5(a)~図5(c)の各断面図と、図4(e)のXY断面図と、に示す各構成の個数およびレイアウトは必ずしも一致しない。
【0054】
また、本明細書において、X方向およびY方向は共に、ワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、ワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0055】
また、本明細書においては、階段領域SRにおける各段のワード線WLのテラス面が向いた方向を上方向と規定する。
【0056】
図4(a)に示すように、ソース線SLは、絶縁層60上に、例えば下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbがこの順に積層された多層構造を有する。なお、中間ソース線BSLは、積層体LMのメモリ領域MR下方に配置される。
【0057】
下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。
【0058】
ソース線SL上には積層体LMが配置される。積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを備える。
【0059】
第1の積層体としての積層体LMaは、ソース線SLの上方に配置されている。積層体LMaの最下層のワード線WLの更に下層には、絶縁層OLを介して複数の選択ゲート線SGS0,SGS1が、積層体LMaの上層側からこの順に配置される。第2の積層体としての積層体LMbは、積層体LMa上に配置されている。積層体LMbの最上層のワード線WLの更に上層には、絶縁層OLを介して複数の選択ゲート線SGD0,SGD1が、積層体LMbの上層側からこの順に配置される。
【0060】
ただし、積層体LMにおけるこれらの導電層としてのワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSの積層数は任意である。ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。第1の絶縁層としての絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0061】
それぞれの積層体LMa,LMbの最上層の絶縁層OLは、例えば積層体LMa,LMb中の他の絶縁層OLよりも厚い。積層体LMaの最上層の絶縁層OLは、積層体LMbの最下層のワード線WLと接しており、積層体LMbの最上層の絶縁層OL上には、絶縁層52,53がこの順に配置されている。絶縁層52,53は、上述の絶縁層50の一部を構成しており、絶縁層53の上面は、周辺回路CBA側の絶縁層40の下面と接している。
【0062】
図4(e)に示すように、積層体LMに設けられた階段領域SRは、上述のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工されることで、階段部SPs,SPb,SPaを有することとなる。
【0063】
階段部SPsは、積層体LMの最上層部分、つまり、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分である。階段部SPbは、積層体LMの選択ゲート線SGDを除く上層部分、つまり、積層体LMbのワード線WLが階段状に加工された部分である。階段部SPaは、積層体LMの下層部分、つまり、積層体LMaのワード線WLと選択ゲート線SGSとが階段状に加工された部分である。
【0064】
階段部SPs,SPb,SPaは、この順に、メモリ領域MRから遠ざかるように階段領域SR内に配置される。すなわち、メモリ領域MRから遠ざかるにつれて、階段部SPs,SPb,SPaのテラス部分の高さ位置は下降していく。
【0065】
なお、階段部SPs,SPb,SPaのうち、積層体LMaに設けられた階段部SPaは第1の階段部の一例であり、積層体LMbに設けられた階段部SPs,SPbは第2の階段部の一例である。
【0066】
図4(a)(e)に示すように、積層体LMは、複数の板状部PTによってY方向に分割されている。
【0067】
すなわち、板状部PTのそれぞれは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。このように、板状部PTは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。また、板状部PTは、積層体LM及び上部ソース線DSLbを貫通し、メモリ領域MRでは中間ソース線BSLに到達している。板状部PTのそれぞれは、酸化シリコン層等の絶縁層54の単体として構成されている。
【0068】
また、板状部PTは、例えば上端部から下端部に向かってY方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、板状部PTは、例えば上端部と下端部との間の所定位置においてY方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。
【0069】
メモリ領域MRと階段領域SRの階段部SPsとにおいて、Y方向に隣接する板状部PT間には、積層体LMの上層部分を貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の分離層SHEが配置されている。これらの分離層SHEは、選択ゲート線SGD0,SGD1を貫通し、選択ゲート線SGD1直下の絶縁層OLに到達する酸化シリコン層等の絶縁層56である。
【0070】
換言すれば、積層体LMの上層部分を貫通するこれらの分離層SHEが、板状部PT間でメモリ領域MR及び階段部SPsをX方向に延びることで、積層体LMの上層部分が上述の選択ゲート線SGD0,SGD1に区画される。
【0071】
なお、Y方向に隣接する板状部PT間の領域は、上述の1つ分のブロックBLK(図2参照)に相当する物理構成の一例である。また、隣接する板状部PT間で、分離層SHEによって選択ゲート線SGD0,SGD1のパターンに区画される領域は、上述のストリングユニットSU(図2参照)に相当する物理構成の一例である。
【0072】
図4(a)に示すように、メモリ領域MRには、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のピラーPLが分散して配置されている。
【0073】
複数の第1のピラーとしてのピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0074】
また、ピラーPLは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、ピラーPLは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0075】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LM内を積層方向に延びるメモリ層ME、積層体LM内を貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、ピラーPL上端部のキャップ層CP、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。
【0076】
図4(b)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。より詳細には、メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置を除くピラーPLの側面に配置されている。また、メモリ層MEは、下部ソース線DSLa深さまで到達するピラーPLの底面にも配置されている。
【0077】
チャネル層CNはメモリ層MEの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLa深さに到達している。より詳細には、チャネル層CNは、メモリ層MEを介してピラーPLの側面および底面に配置されている。ただし、チャネル層CNの一部は、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。
【0078】
また、複数のピラーPLのそれぞれは、チャネル層CNと接続されるキャップ層CPを上端部に有する。キャップ層CPは、絶縁層52中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層53中に配置されるビット線BLと接続される。ビット線BLは、ワード線WLの引き出し方向と交差するよう、例えばY方向に沿う方向に積層体LMの上方を延びる。
【0079】
なお、図4(a)においては、分離層SHEによって分離されたそれぞれの区画内において、一方のピラーPLにのみプラグCHが接続されている。それ以外のピラーPLは、図4(a)に示す断面とは異なる位置で、図4(a)に示すビット線BLと並行してY方向に沿う方向に延びる他のビット線BLに、図4(a)には不図示のプラグCHを介して接続される。
【0080】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CN及びキャップ層CPは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0081】
以上のような構成によって、ピラーPL側面の個々のワード線WLと対向する部分には、それぞれメモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0082】
また、上記のような構成によって、ピラーPLの側面がワード線WLの上層に配置される選択ゲート線SGD0,SGD1と対向する部分には、選択ゲートSTDがそれぞれ形成される。また、ピラーPLの側面がワード線WLの下層に配置される選択ゲート線SGS0,SGS1と対向する部分には選択ゲートSTSがそれぞれ形成される。
【0083】
選択ゲート線SGD,SGSから所定の電圧がそれぞれ印加されることにより、選択ゲートSTD,STSがオンまたはオフして、その選択ゲートSTD,STSが属するピラーPLのメモリセルMCを選択状態または非選択状態とすることができる。
【0084】
図4(e)に示すように、複数のピラーPLの幾つかは、上述の分離層SHEと重なり合う位置に配置される場合がある。分離層SHEと重なった部分においては、ピラーPLの一部構成が欠損することとなるため、このようなピラーPLは、メモリセルMC等の機能を有さないダミーのピラーとなっていてよい。
【0085】
これにより、これらのピラーPL配置の周期性を維持して、メモリ領域MR内に高密度にピラーPLを配置することができる。ピラーPL配置の周期性が維持されることで、ピラーPL間の寸法変換差が小さくなる等、ピラーPLの加工精度を向上させることもできる。
【0086】
図5(a)~図5(c)に示すように、階段領域SRにおいて、階段部SPs,SPb,SPaは絶縁層51で覆われている。絶縁層51は、例えば積層体LMの最上層の高さ位置に到達し、絶縁層52,53は絶縁層51の上面をも覆っている。上述のように、絶縁層51もまた、図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0087】
また、階段領域SRにおいて、ソース線SLは、中間ソース線BSLに替えて、上部ソース線DSLbと下部ソース線DSLaとの間に介在される中間絶縁層SCOを備えている。中間絶縁層SCOは例えば酸化シリコン層等である。このため、板状部PTは、階段領域SRにおいては、絶縁層51、積層体LM、及び上部ソース線DSLbを貫通して、中間絶縁層SCOに到達している。
【0088】
また、階段領域SRには、コンタクトCC及び複数の柱状部HRm,HRt,HRsが配置されている。後述するように、これらの柱状部HRm,HRt,HRsは、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持ち、半導体記憶装置1の機能には寄与しない。
【0089】
個々のコンタクトCCは、絶縁層51を貫通して、階段部SPs,SPb,SPaの各段を構成する絶縁層OL直下のワード線WLまたは選択ゲート線SGD,SGSに接続されている。
【0090】
個々のコンタクトCCは、例えば上端部から下端部に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、コンタクトCCは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において径および断面積が最大となるボーイング形状を有する。
【0091】
また、コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層55と、絶縁層55の内側に充填されるタングステン層等の導電層25とを有する。導電層25は、絶縁層52中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層53中に配置される上層配線MXと接続される。この上層配線MXは、上述の周辺回路CBA(図3参照)と電気的に接続されている。
【0092】
図4(e)に示すように、選択ゲート線SGD0,SGD1に接続されるコンタクトCCは、上述の分離層SHEによって分離された選択ゲート線SGD0,SGD1のそれぞれの区画に配置される。すなわち、1つのレイヤの選択ゲート線SGDに接続されるコンタクトCCは、分離層SHE同士で挟まれた領域、及び分離層SHEと板状部PTとで挟まれた領域のそれぞれに配置される。
【0093】
また、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された上述の階段部SPb,SPaでは、例えば上記に述べたとおり、メモリ領域MRから遠ざかるにつれて、階段部SPb,SPaのテラス面を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGSが1層ずつ下層側へと移り変わっていくほか、Y方向に向かってもレイヤが移り変わるよう階段部SPb,SPaが構成される場合もある。
【0094】
すなわち、X方向の同じ位置に並ぶテラス面を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGSのレイヤが、Y方向に相互に異なる場合がある。図4(e)には、ワード線WL及び選択ゲート線SGSの積層方向に連続する3つのレイヤのテラス面が、X方向の同じ位置に並ぶ例を示している。このため、図4(e)に示す例では、各レイヤのワード線WL及び選択ゲート線SGSに接続するため、コンタクトCCもX方向の同じ位置に3つずつ並んで配置されている。
【0095】
以上のような構成により、各層のワード線WL、及びワード線WLの上下層の選択ゲート線SGD,SGSを電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CBAから、上層配線MX、コンタクトCC、及びワード線WL等を介してメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0096】
図5(a)に示すように、階段部SPsは、積層体LMbの選択ゲート線SGDと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分である。階段部SPsには、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数の柱状部HRmが分散して配置されている。
【0097】
複数の第3のピラーとしての柱状部HRmは、板状部PT及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRmは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0098】
また、柱状部HRmは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRmは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0099】
複数の柱状部HRmのそれぞれは、上述のピラーPLと同じ層構造を有する。しかし、複数の柱状部HRmは、全体としてフローティング状態となっており、上述のように、半導体記憶装置1において電気的な機能を有してはいない。
【0100】
また、柱状部HRmが、上記のように、板状部PT及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ配置されることで、ピラーPLと同様の層構造を有する柱状部HRmが、板状部PT及びコンタクトCCと接触することによる影響が抑制される。
【0101】
ピラーPLと同じ層構造として、柱状部HRmは、積層体LM内を積層方向に延びるダミー層MEd,CNd,CRdを有する。
【0102】
図4(c)に示すように、ダミー層MEdは、柱状部HRmの外周側から、ダミー層BKd,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有する。つまり、ダミー層MEdは上述のピラーPLのメモリ層MEに相当する。また、ダミー層MEdに含まれるダミー層BKd,CTd,TNdは、それぞれピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNに相当する。
【0103】
ただし、ダミー層MEdは、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至る柱状部HRmの側面に途切れることなく配置される。ダミー層MEdは柱状部HRmの下端部にも配置されている。
【0104】
ダミー層CNdは、ダミー層MEdの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して下部ソース線DSLa深さに到達している。ダミー層CNdは、上述のピラーPLのチャネル層CNに相当する。
【0105】
ただし、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至るダミー層CNdの側面にはダミー層MEdが配置されており、ダミー層CNdは、直接的には中間絶縁層SCOと接していない。ダミー層CNdの更に内側にはダミー層CRdが充填されている。ダミー層CRdは、上述のピラーPLのコア層CRに相当する。
【0106】
図4(b)(c)に示すように、柱状部HRmのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置におけるピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径よりも大きい。
【0107】
また、ピラーPLのコア層CRと、これに対応する柱状部HRmのダミー層CRdとを除く各層の厚さは、積層体LMの同じ高さ位置において略等しい。つまり、ピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、トンネル絶縁層TN、及びチャネル層CNのそれぞれの厚さは、これらに対応する柱状部HRmのダミー層BKd,CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さと略一致している。
【0108】
一方、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRmのダミー層CRdのXY平面に沿う方向の断面積および径は、これに対応するピラーPLのコア層CRの断面積および径よりも大きい。
【0109】
図5(a)に示すように、複数の柱状部HRmのそれぞれは、上端部にダミー層CPdを有する。ダミー層CPdは、上述のピラーPLのキャップ層CPに相当する。なお、柱状部HRmがダミー層CPdを有していなくともよい。
【0110】
柱状部HRmに含まれる各層は、対応するピラーPLの各層と同種の材料を含む。つまり、ダミー層MEdのダミー層BKd,TNd、並びにダミー層CRdは、例えば酸化シリコン層等である。ダミー層CTdは例えば窒化シリコン層等である。ダミー層CNd,CPdは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。ここで、ダミー層CNd等に含まれる半導体層は、例えば他のダミー層MEd,CRdに含まれる材料よりもヤング率が高く、硬くて変形し難い性質を有する。
【0111】
図5(b)(c)に示すように、階段部SPbは、積層体LMbに含まれる各層のうち、ワード線WLと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分である。また、階段部SPaは、積層体LMaに含まれる各層のうち、ワード線WLと絶縁層OLと、または、選択ゲート線SGSと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分である。
【0112】
階段部SPb,SPaには、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する柱状部HRt,HRsが配置されている。
【0113】
複数の第2のピラーとしての柱状部HRtは、板状部PTに隣接する位置を除く、階段部SPb,SPaの全体に亘って分散して配置されている。このとき、複数の柱状部HRtは、コンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRtは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0114】
また、柱状部HRtは、積層体LMaを貫通する第1のサブピラーとしての部分と、積層体LMbを貫通する第2のサブピラーとしての部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRtは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0115】
複数の柱状部HRtのそれぞれもまた、上述のピラーPLと同じ層構造を有する。さらに、複数の柱状部HRtもまた、全体としてフローティング状態となっており、上述のように、半導体記憶装置1において電気的な機能を有してはいない。
【0116】
また、柱状部HRtが、上記のように、板状部PTに隣接することなく、また、コンタクトCCとの干渉を回避しつつ配置されることで、ピラーPLと同様の層構造を有する柱状部HRtが、板状部PT及びコンタクトCCと接触することによる影響が抑制される。
【0117】
ピラーPLと同じ層構造として、柱状部HRtは、積層体LM内を積層方向に延びるダミー層MEt,CNd,CRdを有する。
【0118】
図4(d)に示すように、ダミー層MEtは、柱状部HRtの外周側から、ダミー層BKt,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有する。つまり、ダミー層MEtは上述のピラーPLのメモリ層MEに相当する。また、ダミー層MEtに含まれるダミー層BKt,CTd,TNdは、それぞれピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNに相当する。
【0119】
ただし、ダミー層MEtは、対応するピラーPLのブロック絶縁層BKよりも厚いダミー層BKtを有している。また、ダミー層MEtは、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至る柱状部HRtの側面に途切れることなく配置される。ダミー層MEtは柱状部HRtの下端部にも配置されている。
【0120】
ピラーPLのチャネル層CNに相当するダミー層CNdは、ダミー層MEtの内側で、上述の柱状部HRmのダミー層CNdと同様、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して下部ソース線DSLa深さに到達している。
【0121】
ただし、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至るダミー層CNdの側面にはダミー層MEtが配置されており、ダミー層CNdは、直接的には中間絶縁層SCOと接していない。ダミー層CNdの更に内側には、ピラーPLのコア層CRに相当するダミー層CRdが充填されている。
【0122】
図4(b)~図4(d)に示すように、柱状部HRtのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置における柱状部HRmのXY平面に沿う方向の断面積および径と略等しい。したがって、柱状部HRtのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置におけるピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径よりも大きい。
【0123】
また、ピラーPLのブロック層BKと、これに対応する柱状部HRtのダミー層BKtとを除く各層の厚さは、積層体LMの同じ高さ位置において略等しい。つまり、ピラーPLの電荷蓄積層CT、トンネル絶縁層TN、及びチャネル層CNのそれぞれの厚さは、これらに対応する柱状部HRtのダミー層CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さと略一致している。また、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRtのダミー層CRdのXY平面に沿う方向の断面積および径は、これに対応するピラーPLのコア層CRの断面積および径と略等しい。
【0124】
一方、柱状部HRtが積層方向の全体に亘って有するダミー層BKtの厚さは、これに対応するピラーPLのブロック絶縁層BKよりも厚い。同様に、柱状部HRtのダミー層BKtの厚さは、上述の柱状部HRmのダミー層BKdよりも厚い。
【0125】
ここで、一例として、積層体LMaと積層体LMbとを貫通する部分のそれぞれにおいてテーパ形状またはボーイング形状を有する柱状部HRtの、積層体LMbを貫通する部分の下端部の径が110nmである場合、ピラーPLのブロック絶縁層BK及び柱状部HRmのダミー層BKdよりも、柱状部HRtのダミー層BKtを5nm以上10nm以下の範囲で厚くなるよう構成することができる。
【0126】
図5(b)(c)に示すように、複数の柱状部HRtのそれぞれもまた、ピラーPLのキャップ層CPに相当するダミー層CPdを上端部に有する。なお、柱状部HRtがダミー層CPdを有していなくともよい。
【0127】
柱状部HRtに含まれる各層は、対応するピラーPLの各層と同種の材料を含む。つまり、ダミー層MEtのダミー層BKt,TNd、並びにダミー層CRdは、例えば酸化シリコン層等である。ダミー層CTdは例えば窒化シリコン層等である。ダミー層CNd,CPdは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0128】
なお、ピラーPLのトンネル絶縁層TN及び柱状部HRm,HRtのダミー層TNdは第2の絶縁層の一例である。また、ピラーPLの電荷蓄積層CT及び柱状部HRm,HRtのダミー層CTdは第4の絶縁層の一例である。ピラーPLのブロック絶縁層BK、柱状部HRmのダミー層BKd、及び柱状部HRtのダミー層BKtは第3の絶縁層の一例である。
【0129】
階段部SPb,SPaにおいて、第4のピラーとしての柱状部HRsは、板状部PTのY方向両側に、板状部PTに隣接してX方向に沿う方向に配列されている。個々の柱状部HRsは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0130】
また、柱状部HRsは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRsは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0131】
柱状部HRsのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置における柱状部HRm,HRtのXY平面に沿う方向の断面積および径と略等しい。したがって、柱状部HRsのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置におけるピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径よりも大きい。
【0132】
個々の柱状部HRsは、酸化シリコン層等の第5の絶縁層としての絶縁層57の単体である。したがって、柱状部HRsは他の構成に対して電気的な影響を及ぼし得ず、隣接する板状部PTとの干渉が許容されている。階段部SPb,SPaにおいて、柱状部HRmに替えて柱状部HRsが板状部PTに隣接する位置に配置されるのはこのためである。
【0133】
より詳細には、板状部PTにおいて、絶縁層51中に配置される部位は、積層体LM中に配置される部位よりもテーパ形状またはボーイング形状の度合いが大きくなる傾向にある。つまり、板状部PTがテーパ形状である場合、絶縁層51中において、板状部PTの上端部の幅と下端部の幅との差が大きくなりやすい。板状部PTがボーイング形状である場合、絶縁層51中において、板状部PTの最大幅と、板状部PTの上下端の幅との差が大きくなりやすい。
【0134】
また、絶縁層51内を積層体LMの積層方向に延びる距離が長いほど、板状部PTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いがいっそう大きくなりやすい。つまり、階段領域SRにおいて、積層体LMの上層側の各層が階段状に加工された階段部SPsよりも、積層体LMの下層側の各層が階段状に加工された階段部SPb、更には階段部SPaにおいて、板状部PTのテーパ形状またはボーイング形状がより顕著になりやすい。
【0135】
上記のように、板状部PTの最大幅が増大する傾向にある階段部SPb,SPaにおいて、柱状部HRtが板状部PTに隣接して配置されないため、板状部PTとの干渉が抑制される。
【0136】
また、上述のように、柱状部HRtは、原則として、コンタクトCCとの干渉が回避されるよう上端部の配置が決定されている。
【0137】
ただし、柱状部HRtは積層方向に長く延びている。同じく、階段部SPb,SPaに配置されるコンタクトCCもまた、積層体LMの下層部分である積層体LMaの各層に接続するために、積層方向に長く延びる。したがって、柱状部HRt及びコンタクトCCの少なくとも一方に位置ずれが生じたり、他の層からの応力等によって傾斜してしまったりすることがある。
【0138】
このため、柱状部HRtの下部構造において、コンタクトCCとの干渉が生じうる。また、柱状部HRtとコンタクトCCとがボーイング形状を有する場合、少なくともいずれのボーイング形状の最大径部分が、他方の柱状部HRtまたはコンタクトCCと干渉してしまうこともあり得る。
【0139】
上述のように、柱状部HRtは、比較的厚いダミー層BKtを最外周に有している。したがって、柱状部HRtとコンタクトCCとが干渉した場合でも、柱状部HRtにおけるコンタクトCCとの接触部分を酸化シリコン層等であるダミー層BKt内に留めることが可能となる。よって、柱状部HRtとコンタクトCCとが接触することによる影響が抑制される。
【0140】
以上のように、階段領域SRのうち、より下層側の階段部SPb,SPaにおいては、絶縁層57である柱状部HRsを板状部PTの近傍に配置して、板状部PTとの干渉を許容する構成となっている。また、階段部SPb,SPaにおいては、コンタクトCCとの干渉による影響が緩和される柱状部HRtを分散して配置させている。
【0141】
一方、積層体LM最上層の階段部SPsにおいては、板状部PT及びコンタクトCCとの干渉を抑制することが容易であるため、ピラーPLと同じ層構造を有し、ヤング率の高い半導体層のダミー層CNdを含む柱状部HRmが、板状部PTの近傍を含めた階段部SPs全域に分散して配置される。これにより、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際の支持機能を高めることができる。
【0142】
なお、上述のように、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRm,HRt,HRsのXY平面に沿う方向の断面積は、例えばピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積よりも大きい。また、複数の柱状部HRm間のピッチ、複数の柱状部HRt間のピッチ、及び複数の柱状部HRs間のピッチは、例えば複数のピラーPL間のピッチよりも大きく、積層体LMにおけるワード線WLの単位面積あたりの柱状部HRm,HRt,HRsの配置密度は、ワード線WLの単位面積あたりのピラーPLの配置密度よりも低い。
【0143】
このように、例えば柱状部HRm,HRt,HRsに比べて、ピラーPLの断面積を小さく構成し、狭ピッチとすることで、所定サイズの積層体LM内に高密度に多数のメモリセルMCを形成することができ、半導体記憶装置1の記憶容量を高めることができる。一方、柱状部HRm,HRt,HRsは、専ら積層体LMを支持するために用いられるので、例えばピラーPLのように断面積が小さく狭ピッチの精密な構成としないことで、製造負荷を減らすことができる。
【0144】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図6図16を用いて、実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。図6図16は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0145】
まずは、図6に、ワード線WLが形成される前の積層体LMの下層部分である積層体LMsa、及び積層体LMsaに各種構成が形成される様子を示す。図6は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0146】
図6(a)に示すように、支持基板SS上に、下部ソース線DSLa、中間犠牲層SCNもしくは中間絶縁層SCO、及び上部ソース線DSLbをこの順に形成する。
【0147】
支持基板SSとしては、シリコン基板等の半導体基板、セラミック基板等の絶縁基板、またはアルミナ基板等の導電性基板等を使用することができる。支持基板SSの上面側には、上述の絶縁層60(図3参照)が形成されていてもよい。
【0148】
中間犠牲層SCNは、後にメモリ領域MRとなる支持基板SS上の領域に形成され、中間絶縁層SCOは、後に階段領域SRとなる支持基板SS上の領域に形成される。中間犠牲層SCNは、例えば窒化シリコン層等であり、後にポリシリコン層等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる層である。中間絶縁層SCOは、上述の通り、例えば酸化シリコン層等である。
【0149】
また、上部ソース線DSLb上に、複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された第1の積層体としての積層体LMsaを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電材料に置き換えられてワード線WLまたは選択ゲート線SGSとなる犠牲層として機能する。
【0150】
図6(b)に示すように、積層体LMsaの一部領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工して、階段部SPsaを形成する。第1の階段部としての階段部SPsaは、フォトレジスト層等のマスクパターンのスリミングと、積層体LMsaの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで形成される。
【0151】
すなわち、積層体LMsaの上面にマスクパターンを形成し、例えば露出部分の絶縁層NLと絶縁層OLとを1層ずつエッチング除去する。また、酸素プラズマ等による処理で、マスクパターンの端部を後退させて積層体LMsaの上面を新たに露出させ、絶縁層NLと絶縁層OLとを更に1層ずつエッチング除去する。このような処理を複数回繰り返すことで階段部SPsaが形成される。
【0152】
図6(c)に示すように、階段部SPsaを覆い、積層体LMsaの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。絶縁層51は、階段部SPsaの外側領域にも形成される。
【0153】
図6(d)に示すように、積層体LMsaを積層方向に延びる複数のメモリホールMHa及び複数のホールHLaを例えば一括形成する。メモリホールMHaは、後にメモリ領域MRとなる領域に形成され、ピラーPLの下部構造となる部分である。第1のサブホールとしてのホールHLaは、後に階段領域SRとなる領域に形成され、柱状部HRm,HRt,HRsのいずれかの下部構造となる部分である。
【0154】
より詳細には、複数のメモリホールMHaは、積層体LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達している。複数のホールHLaは、絶縁層51、積層体LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達している。
【0155】
図6(e)に示すように、これらのメモリホールMHa及びホールHLa内をアモルファスシリコン層等の犠牲層26で充填する。
【0156】
これにより、後にメモリ領域MRとなる領域には、複数のメモリホールMHaに犠牲層26が充填されたピラーPLcが形成される。また、後に階段領域SRとなる領域には、複数のホールHLaに犠牲層26が充填された柱状部HRcが形成される。
【0157】
次に、図7及び図8に、ワード線WLが形成される前の積層体LMの上層部分である積層体LMsbが形成される様子を示す。
【0158】
図7及び図8は、上述の図6と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0159】
図7(a)に示すように、積層体LMsa上と階段部SPsaの絶縁層51上とを覆い、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された第2の積層体としての積層体LMsbを形成する。積層体LMsbの犠牲層NLは、後に導電層に置き換えられてワード線WLまたは選択ゲート線SGDとなる。
【0160】
図7(b)に示すように、積層体LMsbの一部領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工して、階段部SPsb,SPssを形成する。第2の階段部としての階段部SPsb,SPssは、上述の図7(b)に示した処理と同様、フォトレジスト層等のマスクパターンのスリミングと、積層体LMsbの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで形成される。
【0161】
このとき、階段部SPsaの最上段と階段部SPsbの最下段とを近接させて階段部SPsb,SPssを形成する。これにより、階段部SPsa,SPsb,SPssが積層体LMsa,LMsbの下層側から上層側へと連続的に連なるように配置される。また、階段部SPsbを覆う絶縁層51上の積層体LMsbが除去されることにより、階段部SPsaに形成された柱状部HRcの上端部が絶縁層51の上面に露出する。
【0162】
図7(c)に示すように、階段部SPsb,SPssを覆うとともに、階段部SPsaに形成済みの絶縁層51を覆う絶縁層51を形成する。これにより、絶縁層51は、積層体LMsbの上面の高さまで達する。
【0163】
図8(a)に示すように、積層体LMsbの高さ位置を積層方向に延びる複数のメモリホールMHb及び複数のホールHLbを例えば一括形成する。メモリホールMHbは、後にメモリ領域MRとなる領域に配置され、ピラーPLの上部構造となる部分である。第2のサブホールとしてのホールHLbは、階段部SPsa,SSPsb,SSPssと積層方向に重なる位置に配置され、柱状部HRm,HRt,HRsのいずれかの上部構造となる部分である。
【0164】
より詳細には、複数のメモリホールMHbは、積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成されたピラーPLcの上端部にそれぞれ到達している。複数のホールHLbは、絶縁層51及び積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成された柱状部HRcの上端部にそれぞれ到達している。
【0165】
図8(b)に示すように、メモリホールMHb及びホールHLbを介して、これらの下端部にそれぞれ接続されるピラーPLc及び柱状部HRcから犠牲層26を除去する。
【0166】
これにより、複数のメモリホールMHb底にそれぞれメモリホールMHaが開口し、絶縁層51、積層体LMsb,LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHが形成される。
【0167】
また、複数のホールHLb底にそれぞれホールHLaが開口し、絶縁層51、積層体LMsb,LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のホールHLが形成される。
【0168】
次に、図9図13に、メモリホールMH及びホールHL内に多層構造等の構造が形成される様子を示す。
【0169】
図10を除く図9図12の(a)は、上述の図8等と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。図10を除く図9図12の(b)~(d)は、それぞれ任意の絶縁層NLの高さ位置における、第1のホールとしてのメモリホールMH、柱状部HRmに加工されることとなる第3のホールとしてのホールHL、及び柱状部HRtに加工されることとなる第2のホールとしてのホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0170】
すなわち、図10を除く図9図12の(c)は、階段部SPssに形成されたホールHLの拡大断面図であり、図10図12の(d)は、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLの拡大断面図である。
【0171】
同様に、図13(A)は、上述の図8等と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。図13(Bb)~図13(Eb)、図13(Bc)~図13(Ec)、及び図13(Bd)~図13(Ed)は、それぞれ任意の絶縁層NLの高さ位置における、メモリホールMH、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、及び柱状部HRtに加工されることとなるホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0172】
図9(a)に示すように、階段部SPss,SPsb,SPsaに形成されたホールHL、及び後にメモリ領域MRとなる領域に形成されたメモリホールMHは、それぞれ積層体LMsbの上面に開口している。
【0173】
図9(b)~図9(d)に示すように、積層体LMsbの上面に開口したこれらのメモリホールMH及びホールHLの側壁に酸化シリコン層等の絶縁層BKbを形成する。第3の絶縁層としての絶縁層BKbは、メモリホールMH内において一部がブロック絶縁層BKとなり、一部のホールHL内において一部がダミー層BKdとなり、他の一部のホールHL内において全体がダミー層BKtとなる層である。ただし、絶縁層BKbは、最終的にピラーPLが有することとなるブロック絶縁層BKよりも厚く形成されている。
【0174】
なお、これらの絶縁層BKbは、積層体LMsbの上面、並びにメモリホールMH及びホールHLの底面にも形成される。
【0175】
図10は、後に階段領域SRとなる領域のY方向に沿う断面図である。より詳細には、図10は、階段部SPsbの断面図であり、上述の図5(b)に相当する部分である。したがって、図10に示す断面の紙面左右方向の両端部近傍には、後に板状部PTが形成されることとなる。また、図10に示す複数のホールHLのうち、紙面左右方向両端部のホールHLは、柱状部HRsに加工され、後に形成される板状部PTと隣接することとなる。
【0176】
以下の図10に示す処理では、複数のホールHLのうち、後に柱状部HRm,HRtとなるホールHL、及び後にメモリ領域MRとなる領域に形成済みのメモリホールMHをレジストパターン等で保護したうえで、後に形成される板状部PTと隣接することとなる第4のホールとしてのホールHLを加工して柱状部HRsを形成する。
【0177】
しかし、レジストパターン形成時に液状のレジストが深穴のホールHL及びメモリホールMH内に流入するのは好ましくない。レジストの露光および現像の際に、ホールHL及びメモリホールMH内のレジストが除去されずに残ってしまう恐れがあるためである。そこで、例えばレジストパターンの形成前に、これらのホールHL及びメモリホールMHへのレジスト液の流入を抑制する層を形成する。
【0178】
図10(a)に示すように、階段部SPsbに開口する複数のホールHLの側壁および底面には、上述の図9の処理により、それぞれ絶縁層BKbが形成されている。これらのホールHLを覆うCVD-カーボン層81を形成する。図示はしないが、CVD-カーボン層81は、後にメモリ領域MRとなる領域に形成されたメモリホールMHをも覆っている。
【0179】
また、複数のホールHLのうち、紙面左右方向両端部のホールHLと積層方向に重なる位置に開口を有するレジストパターン71を、CVD-カーボン層81を介して積層体LMsb上に形成する。図示はしないが、レジストパターン71は、後にメモリ領域MRとなる領域に形成されたメモリホールMHと積層方向に重なる位置にも形成される。
【0180】
ここで、CVD-カーボン層81は、例えばカーボン含有ガスを用いた化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等により形成される有機系層である。CVD-カーボン層81は、例えば同じ有機系層であるフォトレジスト層等よりも硬度が高く、かつ、酸素プラズマを用いたアッシング等により除去することが可能である。
【0181】
CVD-カーボン層81の形成時、ステップカバレッジを調整することで、ホールHL内へと進入することなく、これらのホールHLの上面を覆うCVD-カーボン層81を形成することが可能である。このように、CVD-カーボン層81を介在させて、レジストパターン71を形成することで、ホールHLへのレジスト液の流入を抑制することができる。
【0182】
図10(b)に示すように、レジストパターン71をマスクとしてCVD-カーボン層81をエッチング加工し、CVD-カーボン層81から紙面左右方向両端部のホールHLを露出させる。なお、レジストパターン71とCVD-カーボン層81は、いずれも同種の材料から構成される有機系層等である。このため、CVD-カーボン層81の上記加工時、レジストパターン71も同様にエッチング除去されることにより、CVD-カーボン層81の加工が終了した時点でレジストパターン71が消失していていもよい。
【0183】
図10(c)に示すように、CVD-カーボン層81から露出したホールHL内に、酸化シリコン層等の絶縁層57を充填する。このとき、絶縁層57は、ホールHLの側壁および底面に形成された絶縁層BKbを介してホールHL内に充填されることとなる。これにより、後に形成される板状部PTと隣接することとなる位置に柱状部HRsが形成される。
【0184】
なお、ホールHL内に充填される絶縁層57の体積に比して、絶縁層BKbは薄く、また、これらの絶縁層BKb,57は、いずれも同種の酸化シリコン層等である。このため、絶縁層57の充填後、これらの絶縁層BKb,57は明確な界面を有さなくともよく、相互に判別不能であってもよい。これ以降、これらのホールHLに形成された絶縁層BKbの図示を省略する。
【0185】
その後、残ったCVD-カーボン層81は、例えば酸素プラズマを用いたアッシング等によって除去される。
【0186】
図11(a)に示すように、複数のメモリホールMH、及び階段部SPssに形成されたホールHLを覆うCVD-カーボン層82を形成する。CVD-カーボン層82からは、階段部SPsb,SPsaに残ったホールHLが露出している。CVD-カーボン層82からは、階段部SPsb,SPsaに形成された柱状部HRsの上面も露出しているが、柱状部HRsは例えば単一層の絶縁層57となっているため、以降の処理の影響を受けない。
【0187】
なお、CVD-カーボン層82の上記のようなパターンは、例えば図示しないレジストパターン等を用いてCVD-カーボン層82をパターニングすることで得られる。
【0188】
図11(d)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成され、CVD-カーボン層82から露出したホールHLの側壁に、更に酸化シリコン層等を形成し、上述の絶縁層BKbよりも厚いダミー層BKtを形成する。ダミー層BKtは、積層体LMsbの上面、及び階段部SPsb,SPsaのホールHLの底面にも形成される。
【0189】
図11(b)(c)に示すように、CVD-カーボン層82で覆われたメモリホールMH、及び階段部SPssのホールHLには、追加の酸化シリコン層等は形成されず、これらのメモリホールMH及びホールHL内には、絶縁層BKbが元の層厚のまま維持される。
【0190】
その後、CVD-カーボン層82は、例えば酸素プラズマを用いたアッシング等によって除去される。
【0191】
図12(a)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLを覆うCVD-カーボン層83を形成する。CVD-カーボン層83からは、複数のメモリホールMH、及び階段部SPssに形成されたホールHLが露出している。
【0192】
図12(b)(c)に示すように、CVD-カーボン層83から露出したメモリホールMH、及び階段部SPssに形成され、CVD-カーボン層83から露出したホールHLの側壁の絶縁層BKbをスリミングして薄層化する。このようなスリミングは、例えばウェット処理等により行うことができる。
【0193】
これにより、メモリホールMHの側壁にはブロック絶縁層BKが形成される。また、階段部SPssのホールHLの側壁には、ダミー層BKdが形成される。
【0194】
メモリホールMH等を形成する際、メモリホールMHの側壁が凹凸を有して形成されてしまう場合がある。上記のように、一旦、ブロック絶縁層BKよりも厚い絶縁層BKbを形成し、それをスリミングにより適正なブロック絶縁層BKの層厚に薄層化することで、メモリホールMHの側壁の凹凸が転写されたブロック絶縁層BKの内壁面の凹凸を軽減することができる。
【0195】
図12(d)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成され、CVD-カーボン層83で覆われたホールHLは、ダミー層BKtのスリミング処理を受けない。このため、階段部SPsb,SPsaのホールHL内には、ダミー層BKtが元の層厚のまま維持される。
【0196】
その後、CVD-カーボン層83は、例えば酸素プラズマを用いたアッシング等によって除去される。
【0197】
以上のように、階段部SPsb,SPsaのホールHLに対する酸化シリコンの追加形成、及びメモリホールMH及び階段部SPssのホールHLにおける絶縁層BKbのスリミング等の処理により、ダミー層BKtと、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdとには所定の層厚差が生じている。
【0198】
一例として、積層体LMsbを貫通するホールHLbの下端部の径が110nmである場合、上述のように、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdよりも、ダミー層BKtを5nm以上10nm以下の範囲で厚く形成することができる。
【0199】
図13(A)に示すように、CVD-カーボン層83が除去された後、ブロック絶縁層BKが形成されたメモリホールMH、及びダミー層BKd,BKtがそれぞれ形成されたホールHLが積層体LMsbの上面に再び開口する。
【0200】
図13(Bb)~図13(Bd)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に窒化シリコン層等を形成する。これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BKを介して電荷蓄積層CTが形成される。また、ホールHLの側壁には、ダミー層BKdまたはダミー層BKtを介して、ダミー層CTdがそれぞれ形成される。これらの第5の絶縁層としての電荷蓄積層CT及びダミー層CTdは、積層体LMsbの上面等にも形成される。
【0201】
図13(Cb)~図13(Cd)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に酸化シリコン層等を形成する。
【0202】
これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK及び電荷蓄積層CTを介してトンネル絶縁層TNが形成される。またこれにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNを含むメモリ層MEが形成される。
【0203】
また、ホールHLの側壁には、ダミー層BKdまたはダミー層BKt、及びダミー層CTdを介して、ダミー層TNdがそれぞれ形成される。これにより、ホールHLの側壁には、ダミー層BKdもしくはダミー層BKt、ダミー層CTd、及びダミー層TNdを含むダミー層MEdまたはダミー層MEtがそれぞれ形成される。
【0204】
なお、これらの第4の絶縁層としてのトンネル絶縁層TN及びダミー層TNdは、積層体LMsbの上面等にも形成される。
【0205】
図13(Db)~図13(Dd)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層を形成する。これにより、メモリホールMHの側壁には、メモリ層MEを介してチャネル層CNが形成される。また、ホールHLの側壁には、ダミー層MEdまたはダミー層MEtを介して、ダミー層CNdがそれぞれ形成される。これらのチャネル層CN及びダミー層CNdは、積層体LMsbの上面等にも形成される。
【0206】
図13(Eb)~図13(Ed)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHL内に残った空隙に酸化シリコン層等を充填する。
【0207】
メモリホールMHは、XY平面に沿う方向の断面積および径が、ホールHLの断面積および径よりも小さい。また、側壁にダミー層BKtを含む多層構造が形成されたホールHL内の空隙は、側壁にダミー層BKdを含む多層構造が形成されたホールHL内の空隙よりも小さく、例えばメモリホールMH内に残った空隙と略同じ大きさである。
【0208】
このため、メモリホールMH、及び側壁にダミー層BKtを含むホールHL内の空隙は、側壁にダミー層BKdを含むホールHLよりも速く、酸化シリコン層等により充填される。
【0209】
側壁にダミー層BKdを含む多層構造が形成され、残った空隙が最も大きいホールHLは、酸化シリコン層等により充填されるまで最も長時間を要する。したがって、メモリホールMH、及び側壁にダミー層BKtを含むホールHL内が、酸化シリコン層等によって略完全に充填された後も、側壁にダミー層BKdを含むホールHLが略完全に酸化シリコン層等により充填されるまで、酸化シリコン層等の充填処理を継続する。
【0210】
以上により、メモリホールMH内にはコア層CRが形成され、ホールHL内にはダミー層CRdが形成される。これらのコア層CR及びダミー層CRdは、積層体LMsbの上面等にも形成される。
【0211】
なお、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdと、ダミー層BKtとの層厚差は、上述のように、例えばダミー層BKtが形成されるホールHLのうち、積層体LMsb部分を貫通するホールHLbの下端部の径に応じて規定することができる。これにより、他より厚いダミー層BKtが形成されたホールHL内に順次、ダミー層CTd,TNd,CNd等を形成していく際に、全ての層が形成されないままホールHLbの下端部が閉塞し、例えば積層体LMsa部分を貫通するホールHLa内にボイド等が生じてしまうことを抑制することができる。
【0212】
次に、積層体LMsbの上面に順に形成されたメモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRを処理して、上端部にキャップ層CPを有するピラーPLが形成される様子を図14に示す。
【0213】
図14は、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図であり、上述の図4(a)に相当する部分である。したがって、図14に示す断面の紙面左右方向の両端部近傍には、後に板状部PTが形成されることとなる。
【0214】
図14(a)に示すように、積層体LMsb上面のコア層CRをエッチバックして、積層体LMsb上面から除去する。このとき、コア層CRに対して余剰のエッチバックを行って、メモリホールMH上端部のコア層CRをメモリホールMHの深さ方向に後退させる。これにより、メモリホールMH上端部のコア層CRが除去され、例えば除去されたコア層CRと略同じ径を有する窪みDNが形成される。
【0215】
図14(b)に示すように、メモリホールMH上端部の窪みDNに半導体層CPbを形成する。半導体層CPbは、後にキャップ層CPとなる層である。半導体層CPbは、積層体LMsbの上面にも形成される。
【0216】
図14(c)に示すように、CMP等によって、積層体LMsb上面の半導体層CPbを除去し、メモリホールMHの上端部にキャップ層CPを形成する。また、CMP等によって薄くなった積層体LMsb最上層の絶縁層OLを積み増す。
【0217】
これにより、キャップ層CPを含む上端部が最上層の絶縁層OLに埋没したピラーPLが形成される。ただし、この時点で、メモリ層MEはピラーPLの側壁全体を覆っており、チャネル層CNの側面は露出した状態となっていない。
【0218】
なお、後に階段領域SRとなる領域においても、図14に示す上記処理が並行して行われることで、上端部にそれぞれダミー層CPdを有する柱状部HRm,HRtが形成される。ただし、これらの柱状部HRm,HRtは、半導体記憶装置1の機能に寄与しないダミーの構成であるため、柱状部HRm,HRtにダミー層CPdが形成されなくともよい。この場合、柱状部HRm,HRtの窪みDNを酸化シリコン層等で埋め戻すことができる。
【0219】
また、柱状部HRsは、全体が例えば絶縁層57の単体で構成されており、柱状部HRsの上端部には上述の窪みDNは形成されない。よって、キャップ層CPに相当する構成も形成されない。
【0220】
次に、図15及び図16に、ソース線SL及びワード線WLが形成される様子を示す。図15及び図16は、上述の図14と同様、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図である。図15及び図16は、上述の図14と同様、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図である。
【0221】
図15(a)に示すように、積層体LMsb,LMsa、及び上部ソース線DSLbを貫通し、中間犠牲層SCNに到達するスリットSTを形成する。また、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層54sを形成する。
【0222】
スリットSTは、テーパ形状またはボーイング形状のY方向縦断面を有し、積層体LMsa,LMsb内をX方向に沿う方向にも延びている。したがって、図示しない階段領域SRにおいては、スリットSTの下端部は中間絶縁層SCOに到達する。
【0223】
このとき、複数の絶縁層NL,OLが交互に積層された積層体LMsa,LMsbと、酸化シリコン層等の単体である絶縁層51との硬度の違いから、スリットSTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いは、絶縁層51で覆われた階段部SPss,SPsb,SPsaにおいて、より顕著となる。
【0224】
また、階段部SPssから階段部SPsb、更に階段部SPsaへと向かうほど、スリットSTが、絶縁層51内を積層体LMsa,LMsbの積層方向に延びる距離が増す。したがって、階段部SPssから階段部SPsaへと向かうほど、スリットSTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いが高まっていく。
【0225】
図15(b)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTを介して、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLbに挟まれた中間犠牲層SCNを除去する。
【0226】
これにより、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にギャップ層GPsが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0227】
このとき、スリットSTの側壁は絶縁層54sで保護されているので、積層体LMsa,LMsb内の絶縁層NLまでもが除去されてしまうことが抑制される。また、図示しない階段領域SRにおいて、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間には犠牲層SCNがなく、ギャップ層GPsは形成されない。
【0228】
図15(c)に示すように、スリットSTを介してギャップ層GPs内に適宜、薬液を流入させて、ギャップ層GPs内に露出したメモリ層MEのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(図13(Eb)参照)を順次、除去する。これにより、ピラーPLの一部側壁からメモリ層MEが除去され、内側のチャネル層CNの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0229】
図15(d)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTから、例えばアモルファスシリコン等の原料ガスを注入し、ギャップ層GPsをアモルファスシリコン等で充填する。また、支持基板SSを加熱処理して、ギャップ層GPs内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0230】
これにより、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0231】
このとき、図示しない階段領域SRにおいては、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にはギャップ層GPsが形成されていない。このため、例えば柱状部HRm,HRtのダミー層MEdが除去されることはなく、また、中間ソース線BSLの形成も行われない。
【0232】
ダミーピラーである柱状部HRm,HRtは、ソース線SLと電気的な導通を有さないことが好ましい。上述のように、メモリ領域MRを除く階段領域SRでは、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLb間に、中間犠牲層SCNに替えて中間絶縁層SCOを配置しておくことで、柱状部HRm,HRtがソース線SLと導通することが抑制される。
【0233】
図16(a)に示すように、スリットST側壁の絶縁層54sを一旦除去する。
【0234】
図16(b)に示すように、スリットSTから積層体LMsa,LMsb内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMga,LMgbが形成される。
【0235】
なお、複数のギャップ層GPを含む積層体LMga,LMgbは脆弱な構造となっている。後にメモリ領域MRとなる領域では、複数のピラーPLがこのような脆弱な積層体LMga,LMgbを支持する。一方、階段部SPss,SPsb,SPsaにおいては、複数の柱状部HRm,HRt,HRsがこれらの積層体LMga,LMgbを支持する。これらのうち、ヤング率の高い半導体層等であるダミー層CNdを有する柱状部HRm,HRtによって、より強固に積層体LMga,LMgbを支持することができる。
【0236】
このようなピラーPL及び柱状部HRm,HRt,HRsの支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMga,LMgbを支持するが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0237】
図16(c)に示すように、スリットSTから積層体LMga,LMgbの内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LMga,LMgbのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WL等を形成する。これにより、複数のワード線WL等と複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを含む積層体LMが形成される。
【0238】
なお、積層体LMbの最上層および最上層から2番目の導電層29は、後にこれらを貫通する分離層SHEが形成されることで、複数の選択ゲート線SGDのパターンに区画される。
【0239】
以上のように、中間犠牲層SCNから中間ソース線BSLを形成する処理、及び絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0240】
その後、スリットST内に絶縁層54を充填して板状部PTを形成する。また、積層体LMbの最上層の導電層29を含む1つまたは複数の導電層29を貫通する溝を形成し、溝内に絶縁層56を充填することで、これらの導電層29を選択ゲート線SGDのパターンに区画する分離層SHEを形成する。
【0241】
また、絶縁層51を貫通し、階段部SPs,SPb,SPaの各段を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ到達する複数のコンタクトホールを一括して形成し、コンタクトホール内に絶縁層55及び導電層25を形成する。これにより、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ接続されるコンタクトCCが形成される。
【0242】
続いて、積層体LMの上面および階段領域SRを覆う絶縁層51の上面に絶縁層52を形成し、絶縁層52を貫通して、コンタクトCCに接続されるプラグV0を形成する。また、絶縁層52を貫通して、ピラーPLに接続されるプラグCHを形成する。更に、絶縁層52上に絶縁層53を形成し、プラグV0,CHに接続される上層配線MX及びビット線BL等を形成する。また、絶縁層53の上面には周辺回路CBAと電気的な導通を取るための電極パッド等が形成される。
【0243】
なお、例えばデュアルダマシン法等を用いることにより、プラグV0,CH、上層配線MX、及びビット線BL等を一括して形成してもよい。
【0244】
また、積層体LMが形成された支持基板SSとは別体の半導体基板SB上に、周辺回路CBAを形成し、絶縁層40で覆う。絶縁層40中には、周辺回路CBAを絶縁層40の表面に引き出すコンタクト、ビア、配線等を形成し、絶縁層40の上面に形成された電極パッド等と接続される。
【0245】
続いて、支持基板SSと半導体基板SBとを、それぞれが有する絶縁層50,40で貼り合わせ、絶縁層50,40中の電極パッドを接続する。その後、支持基板SSを研削除去してソース線SLを露出させ、プラグPGが形成された絶縁層60を介して、電極膜ELが接続される。
【0246】
以上により、実施形態1の半導体記憶装置1が製造される。
【0247】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程において、積層体中の犠牲層を導電層に置き換えて、導電層と絶縁層とが積層された積層体を形成することがある。この場合、リプレース処理中に複数のギャップ層を含む脆弱な積層体を支持するため、例えば階段領域に柱状部が配置されることがある。柱状部は、例えば積層体を貫通するホール内に酸化シリコン層等の絶縁層が充填された構造を有する。
【0248】
しかしながら、柱状部を絶縁層等から構成した場合、その後の製造工程における熱的な処理によって、柱状部を構成する絶縁層が収縮することがある。また、複数の柱状部の収縮により、これらの柱状部が配置された領域全体が、ピラーにより支持されるメモリ領域等の他の領域に比べて積層体の積層方向に沈み込んでしまうことがある。つまり、製造途中の半導体記憶装置の上面が凹凸を有することとなってしまう。
【0249】
これにより、例えばリソグラフィ技術を用いた処理等において、沈み込みが起きた領域で照準が合わずに正常な露光がされないことがある。また、例えばホールまたは溝等に埋め込んだ導電材を積層体上面から研磨除去する処理等において、沈み込みが起きた領域に導電材の研磨残りが発生してしまったりすることがある。
【0250】
そこで、例えば酸化シリコン層等よりもヤング率が高くて硬い材料で柱状部を構成することが考えられる。この場合、例えば柱状部の層構造をヤング率の高いチャネル層等を含むピラーの層構造と統一すれば、柱状部およびピラーを一括形成することができ簡便である。
【0251】
しかしながら、積層体のリプレース処理を行うスリットを形成する際、または、ワード線等に接続されるコンタクトホールを階段領域に形成する際などに、これらのスリットまたはコンタクトホールが柱状部と接触することがある。
【0252】
スリットと柱状部との接触は、これらのスリットまたは柱状部を形成する際に位置ずれが生じたり、階段部を覆う絶縁層中でスリットの幅が広がってしまったり、半導体記憶装置の各構成間に応力が働いて柱状部が傾斜してしまったりすることにより生じうる。
【0253】
コンタクトホールと柱状部との接触は、これらのコンタクトホールまたは柱状部を形成する際に位置ずれが生じたり、半導体記憶装置の各構成間に応力が働いて、コンタクトホールまたは柱状部が傾斜してしまったりすることにより生じうる。
【0254】
上記のように、例えば柱状部をピラーと同じ層構造とした場合には、スリットまたはコンタクトホールと柱状部との接触による複数のワード線間の耐圧低下の課題が生じる。
【0255】
すなわち、ピラーの電荷蓄積層には、複数の導電層を含む積層体を形成する際にリプレース対象となる犠牲層と同種の材料が用いられることがある。柱状部に電荷蓄積層に相当する窒化層等が含まれていると、積層体のリプレース処理を行うスリットを形成する際、スリットと柱状部とが接触して柱状部の窒化層がスリット内に露出してしまう懸念が生じる。この場合、スリットを介してリプレース処理を行うと、露出部分を介して柱状部の窒化層までもが導電層で置き換えられてしまい、複数のワード線間で耐圧が不足してしまう恐れがある。
【0256】
また、コンタクトホールの形成条件は窒化層に対する選択比が低く、コンタクトホールが接触することで柱状部の窒化層が除去されてしまう懸念がある。その後、コンタクトホール内に導電層が充填されると、窒化層が除去されて生じた柱状部の空隙内にも導電層が充填されて、やはり複数のワード線間で耐圧が不足してしまう場合がある。
【0257】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、柱状部HRtは、ピラーPLのブロック絶縁層BKよりも厚いダミー層BKtを含む。これにより、例えばコンタクトCCとの接触が生じた場合でも、窒化シリコン層等である柱状部HRtのダミー層CTdが除去されてしまうことが抑制される。その様子を図17に示す。
【0258】
図17は、実施形態1及び比較例にかかる柱状部HRt,HRxに接触するコンタクトホールCLが形成された場合の例を示す断面図である。
【0259】
図17(a)に示すように、比較例の柱状部HRxは、ピラーPLの各層に対応するダミー層MEx,CNx,CRxを備えている。柱状部HRxのダミー層MExに含まれるダミー層TNx,CTx,BKxはいずれも、例えばピラーPLのトンネル絶縁層TN、電荷蓄積層CT、及びブロック絶縁層TNと略等しい厚さをそれぞれ有する。
【0260】
このような柱状部HRxに接触するようにコンタクトホールCLxが形成された場合、コンタクトホールCLxは、柱状部HRxの比較的薄いダミー層BKxを突き破って、窒化シリコン層等であるダミー層CTxにまで到達しうる。上述のように、コンタクトホールCLxの形成条件は窒化シリコン層に対する選択比が低い場合があるため、コンタクトホールCLxがダミー層CTxに到達すると、柱状部HRx内の深さ方向にダミー層CTxのエッチング除去が進行してしまう。
【0261】
図17(b)に示すように、コンタクトホールCLx内に絶縁層55x及び導電層25xを順次形成して、コンタクトCCxが形成される。このとき、ダミー層CTxが除去されて生じた柱状部HRx内の空隙に、導電層25xの一部が充填されてしまう場合がある。このような導電層25xは、コンタクトCCxの接続対象のワード線WLのみならず、複数のワード線WLの高さ位置に跨るように、柱状部HRx内を深さ方向に延びる。よって、複数のワード線WL間で耐圧が不足してしまうこととなる。
【0262】
図17(c)に示すように、実施形態1の柱状部HRtは、比較的厚いダミー層BKtを有している。このため、柱状部HRtに接触するようにコンタクトホールCLが形成された場合であっても、コンタクトホールCLは、柱状部HRtの比較的厚いダミー層BKt内に留まり、ダミー層CTdにまで到達してしまうことが抑制されうる。
【0263】
図17(d)に示すように、コンタクトホールCL内に絶縁層55及び導電層25を順次形成して、コンタクトCCが形成されても、コンタクトCCの導電層25が柱状部HRt内にまで進入することが抑制されるので、複数のワード線WL間の耐圧が維持される。
【0264】
このように、上記構成によれば、コンタクトCCと柱状部HRtとの接触によるコンタクトCCの形成不良を抑制することができる。
【0265】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、柱状部HRmは、柱状部HRtのダミー層BKtよりも薄いダミー層BKdを含む。柱状部HRmが配置される階段部SPsでは、コンタクトCCは、積層体LMの比較的浅い位置に配置される選択ゲート線SGDに接続される。このため、柱状部HRmとコンタクトCCとの接触リスクは低く、比較的薄いダミー層BKdを有するよう柱状部HRmを構成することができる。
【0266】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、階段部SPaと積層方向に重なる位置の複数の板状部PTのY方向の両側に、複数の板状部PTに隣接してX方向に沿う方向に配列される複数の柱状部HRsを備える。
【0267】
上述のように、積層体LMの下層側のワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された階段部SPb,SPaでは、板状部PTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いが高まって、板状部PTのY方向の幅が増す。このため、板状部PTに隣接する位置に、絶縁層57の単体等である柱状部HRsを配置する。これにより、板状部PTとの干渉を許容しつつ、柱状部HRsにより積層体LMga,LMgbを支持することができる。
【0268】
実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法によれば、メモリホールMH及び階段部SPsb,SPsaのホールHL側壁をそれぞれ覆う絶縁層BKbを形成し、メモリホールMHの側壁を覆う絶縁層BKbの厚さを減じる。これにより、ピラーPLのブロック絶縁層BKよりも厚く、柱状部HRtのダミー層BKtを形成することができる。
【0269】
実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法によれば、メモリホールMH内に絶縁層BKbを形成した後、階段部SPsb,SPsaのホールHL内への絶縁層の形成を継続して、ホールHL内のダミー層BKtをメモリホールMH内の絶縁層BKbよりも厚く形成する。
【0270】
このように、メモリホールMH内の絶縁層BKbのスリミングに加え、階段部SPsb,SPsaのホールHL内に絶縁層を追加形成することで、ピラーPLのブロック絶縁層BKに対する柱状部HRtのダミー層BKtの層厚差を任意に制御することができる。よって、ピラーPLのブロック絶縁層BKの厚さに依存することなく、ダミー層BKtを所望の厚さに形成することができる。
【0271】
(変形例1)
次に、図18及び図19を用いて、実施形態1の変形例1の半導体記憶装置1a,1bについて説明する。変形例1の半導体記憶装置1a,1bにおいては、階段部SPs,SPb,SPaにおける柱状部HRm,HRtの配置位置が、上述の実施形態1とは異なる。
【0272】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0273】
上述の実施形態1では、コンタクトCCとの接触リスクが比較的低い階段部SPsには柱状部HRmを配置し、コンタクトCCとの接触リスクが比較的高い階段部SPb,SPaには柱状部HRtを配置することとした。
【0274】
しかし、絶縁層51中における板状部PTのY方向の拡幅の度合い、半導体記憶装置1の各構成間の応力の高低等によって、それぞれの階段部SPs,SPb,SPaにおける柱状部HRm,HRtとコンタクトCCとの接触リスクは変動しうる。したがって、コンタクトCCとの接触リスク等に応じて、柱状部HRm,HRtの配置位置を適宜異ならせてもよい。
【0275】
図18は、実施形態1の変形例1にかかる半導体記憶装置1aの構成の一例を示すXY断面図である。より詳細には、図18は、半導体記憶装置1aの選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0276】
図18に示すように、階段部SPbにおけるコンタクトCCとの接触リスクが比較的低い場合等には、階段部SPsに加えて階段部SPbにも柱状部HRmを配置してもよい。この場合、上述の実施形態1と同様、例えば板状部PTと隣接する位置には柱状部HRsを配列し、それらの位置を除く階段部SPb全体に柱状部HRmを分散して配置することができる。
【0277】
図19は、実施形態1の変形例1にかかる半導体記憶装置1bの構成の他の例を示すXY断面図である。より詳細には、図19は、半導体記憶装置1bの選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0278】
図19に示すように、階段部SPsにおけるコンタクトCCとの接触リスクが比較的高い場合等には、階段部SPb,SPaに加えて階段部SPsにも柱状部HRtを配置してもよい。この場合、上述の実施形態1と同様、例えば板状部PTと隣接する位置を含めた階段部SPs全体に柱状部HRtを分散して配置することができる。
【0279】
なお、図19に示す例では、板状部PTと隣接する一部領域を除き、階段部SPs,SPb,SPaの全体に亘って、同一の構成を有する柱状部HRtが配置されることとなる。これにより、柱状部HRmと柱状部HRtとを作り分ける処理が不要となり、半導体記憶装置1bの製造プロセスを簡素化することも可能である。
【0280】
したがって、階段部SPsにおけるコンタクトCCとの接触リスクが比較的高い場合に限らず、階段部SPs,SPb,SPaの全体に亘って柱状部HRtを配置することとしてもよい。
【0281】
変形例1の半導体記憶装置1aによれば、1つ以上の選択ゲート線SGDが階段状に加工された階段部SPsを含む積層体LMbの階段部SPs,SPbに分散して配置される複数の柱状部HRmを含む。これにより、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0282】
変形例1の半導体記憶装置1bによれば、Y方向両側の複数の板状部PTに隣接する一部領域を除く階段部SPs,SPb,SPaに分散して配置される複数の柱状部HRtを含む。これにより、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0283】
(変形例2)
次に、図20及び図21を用いて、実施形態1の変形例2の半導体記憶装置1cについて説明する。変形例2の半導体記憶装置1cにおいては、階段部SPbの全体に亘って柱状部HRtが分散して配置されている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0284】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0285】
上述の実施形態1では、板状部PTがY方向に拡幅されて、板状部PTとの接触リスクが高い階段部SPb,SPaにおいて、板状部PTと隣接する位置には柱状部HRsを配置することとした。しかし、上述のように、比較的厚いダミー層BKtを有する柱状部HRtによっても、板状部PTとの接触による不具合が抑制されうる。
【0286】
したがって、階段部SPbにおいて、または、階段部SPb,SPaの両方において、板状部PTと隣接する位置にも柱状部HRtを配置することも可能である。
【0287】
図20は、実施形態1の変形例2にかかる半導体記憶装置1cの構成の一例を示すXY断面図である。より詳細には、図20は、半導体記憶装置1cの選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0288】
図20に示すように、階段部SPbにおいては、板状部PTと隣接する位置に柱状部HRsは配置されず、階段部SPbの全体に亘って柱状部HRtが分散して配置されている。
【0289】
このように、図20には、階段部SPbには柱状部HRsを配置せず、板状部PTとの接触リスクが最も高い階段部SPaには柱状部HRsを配置する例を示した。しかし、板状部PTの拡幅の度合い、板状部PTとの接触リスクの高低等に応じて、階段部SPaにも柱状部HRsを配置することなく、階段部SPaの全体に亘って柱状部HRtを配置することも可能である。
【0290】
変形例2の半導体記憶装置1cによれば、Y方向両側の複数の板状部PTに隣接する位置を含む階段部SPbに分散して配置される複数の柱状部HRtを含む。このような構成によっても、柱状部HRtとスリットSTとの接触による不具合を抑制することができる。その様子を図21に示す。
【0291】
図21は、実施形態1の変形例2及び比較例にかかる柱状部HRt,HRxに接触するスリットSTが形成された場合の例を示す断面図である。
【0292】
図21(a)に示すように、比較例の柱状部HRxに接触するようにスリットSTが形成された場合、スリットSTは、柱状部HRxの比較的薄いダミー層BKxを突き破って、窒化シリコン層等であるダミー層CTxにまで到達しうる。
【0293】
図21(b)に示すように、スリットSTを介して熱リン酸等の除去液を流入させて、リプレース前の積層体の絶縁層NLを除去する。このとき、柱状部HRxのダミー層BKxとスリットSTとが接触していると、除去液によってダミー層BKxまでもが一部、または柱状部HRxの全体に亘って除去されてしまう。これにより、柱状部HRx内に空隙GPxが生じうる。
【0294】
図21(c)に示すように、スリットSTを介して導電材の原料ガスを注入し、絶縁層NLが除去されて生じたギャップ層GPに充填する。これにより、ワード線WL等が形成される。このとき、柱状部HRxとスリットSTとが接触しており、かつ、柱状部HRx内にダミー層BKxが除去された空隙GPxが生じていると、この空隙GPx内にも導電層CTwが形成されてしまう。このような導電層CTwは、複数のワード線WLの高さ位置に跨るように、柱状部HRx内を深さ方向に延びる。よって、複数のワード線WL間で耐圧が不足してしまうこととなる。
【0295】
図21(d)に示すように、変形例2の柱状部HRtは、上述の実施形態1の柱状部HRtと同様、比較的厚いダミー層BKtを有している。このため、柱状部HRtに接触するようにスリットSTが形成された場合であっても、スリットSTは、柱状部HRtの比較的厚いダミー層BKt内に留まり、ダミー層CTdにまで到達してしまうことが抑制されうる。
【0296】
図21(e)に示すように、スリットSTを介して熱リン酸等の除去液を流入させて、リプレース前の積層体の絶縁層NLを除去する。このとき、スリットSTが柱状部HRtのダミー層CTdに到達していなければ、ダミー層CTdが除去されてしまうことが抑制される。
【0297】
図21(f)に示すように、スリットSTを介して導電材の原料ガスを注入し、絶縁層NLが除去されて生じたギャップ層GPに充填する。このときにも、柱状部HRt内には空隙等は生じておらず、また、そもそもスリットSTが柱状部HRtのダミー層CTdにまで到達していないので、柱状部HRt内に導電層が形成されてしまうことが抑制される。よって、複数のワード線WL間の耐圧が維持される。
【0298】
変形例2の半導体記憶装置1cによれば、その他、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0299】
(変形例3)
次に、図22図24を用いて、実施形態1の変形例3の半導体記憶装置について説明する。変形例3の半導体記憶装置は、上述の実施形態1とは製造方法が異なる。
【0300】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0301】
上述の実施形態1では、柱状部HRtのダミー層BKtを形成する際、酸化シリコンの追加形成を行うことした。しかし、酸化シリコンの追加形成を行うことなく、絶縁層BKbのスリミングをスキップするだけであっても、ピラーPLのブロック絶縁粗BKよりも厚いダミー層を外周部に有する柱状部を形成することができる。以下に、このような製造方法の詳細のフローを示す。
【0302】
図22図24は、実施形態1の変形例3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0303】
図22及び図23の(a)は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。図22及び図23の(b)~(d)は、それぞれ任意の絶縁層NLの高さ位置における、メモリホールMH、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、及び柱状部HRnに加工されることとなる第2のホールとしてのホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0304】
柱状部HRnは、上述の実施形態1の柱状部HRtに替えて、変形例3の半導体記憶装置が有することとなる構成である。
【0305】
同様に、図24(A)は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。図24(Bb)~図24(Eb)、図24(Bc)~図24(Ec)、及び図24(Bd)~図24(Ed)は、それぞれ任意の絶縁層NLの高さ位置における、メモリホールMH、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、及び柱状部HRnに加工されることとなるホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0306】
図22(a)は、上述の実施形態1の図9(a)に相当し、階段部SPss,SPsb,SPsaに形成されたホールHL、及び後にメモリ領域MRとなる領域に形成されたメモリホールMHが、それぞれ積層体LMsb及び絶縁層51の上面に開口している。
【0307】
図22(b)~図22(d)に示すように、積層体LMsbの上面に開口したこれらのメモリホールMH及びホールHLの側壁に酸化シリコン層等の絶縁層BKbを形成する。
【0308】
図23(a)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLを覆うCVD-カーボン層83を形成する。CVD-カーボン層83からは、複数のメモリホールMH、及び階段部SPssに形成されたホールHLが露出している。
【0309】
図23(b)(c)に示すように、CVD-カーボン層83から露出したメモリホールMH、及び階段部SPssに形成され、CVD-カーボン層83から露出したホールHLの側壁の絶縁層BKbをスリミングして薄層化する。
【0310】
これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BKが形成される。また、階段部SPssのホールHLの側壁には、ダミー層BKdが形成される。
【0311】
図23(d)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成され、CVD-カーボン層83で覆われたホールHLは、絶縁層BKbのスリミング処理を受けない。このため、階段部SPsb,SPsaのホールHL内には、絶縁層BKbが元の層厚のまま維持される。つまり、柱状部HRnにおいては、絶縁層BKbがそのままダミー層BKnとなる。
【0312】
その後、CVD-カーボン層83は、例えば酸素プラズマを用いたアッシング等によって除去される。
【0313】
以上のように、メモリホールMH及び階段部SPssのホールHLにおける絶縁層BKbのスリミング処理により、ダミー層BKnと、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdとには所定の層厚差が生じている。
【0314】
一例として、積層体LMsbを貫通するホールHLbの下端部の径が110nmである場合、上述の実施形態1と同様、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdよりも、ダミー層BKnが5nm以上10nm以下の範囲で厚く形成されていることが好ましい。
【0315】
図24(A)に示すように、CVD-カーボン層83が除去された後、ブロック絶縁層BKが形成されたメモリホールMH、及びダミー層BKd,BKnがそれぞれ形成されたホールHLが積層体LMsbの上面に再び開口する。
【0316】
図24(Bb)~図24(Bd)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に窒化シリコン層等を形成する。これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BKを介して電荷蓄積層CTが形成される。また、ホールHLの側壁には、ダミー層BKdまたはダミー層BKnを介して、ダミー層CTdがそれぞれ形成される。
【0317】
図24(Cb)~図24(Cd)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に酸化シリコン層等を形成する。
【0318】
これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK及び電荷蓄積層CTを介してトンネル絶縁層TNが形成される。またこれにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNを含むメモリ層MEが形成される。
【0319】
また、ホールHLの側壁には、ダミー層BKdまたはダミー層BKn、及びダミー層CTdを介して、ダミー層TNdがそれぞれ形成される。これにより、ホールHLの側壁には、ダミー層BKdもしくはダミー層BKn、ダミー層CTd、及びダミー層TNdを含むダミー層MEdまたはダミー層MEnがそれぞれ形成される。
【0320】
図24(Db)~図24(Dd)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層を形成する。これにより、メモリホールMHの側壁には、メモリ層MEを介してチャネル層CNが形成される。また、ホールHLの側壁には、ダミー層MEdまたはダミー層MEnを介して、ダミー層CNdがそれぞれ形成される。
【0321】
図24(Eb)~図24(Ed)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHL内に残った空隙に酸化シリコン層等を充填する。
【0322】
以上により、メモリホールMH内にはコア層CRが形成され、ホールHL内にはダミー層CRdが形成される。
【0323】
その後、これらのメモリホールMH及びホールHLに対して、上述の図14の処理を行うことで、上端部にキャップCPを有するピラーPL、及び上端部にそれぞれダミー層CPdを有する柱状部HRm,HRnが形成される。
【0324】
ただし、変形例3においても、ホールHLに対するダミー層CPdの形成をスキップし、ダミー層CPdを有さない柱状部HRm,HRnを形成してもよい。
【0325】
なお、変形例3においては、柱状部HRnのダミー層BKnは、酸化シリコン層等の追加形成を行うことなく形成される。このため、上述の図22(b)~図22(d)に示す処理において、上述の実施形態1の場合よりも厚く絶縁層BKbを形成してもよい。この場合であっても、他より厚いダミー層BKnが形成されたホールHL内に順次、ダミー層CTd,TNd,CNd等を形成していく際に、ホールHLbの下端部が閉塞し、下方のホールHLa内にボイド等が生じてしまうことを抑制することができる。
【0326】
このように、上述の図22(b)の絶縁層BKbを厚く形成し、メモリホールMH等において所望の層厚のブロック絶縁層BKが得られるようスリミングを行うことで、ピラーPLのブロック絶縁層BK及び柱状部HRmのダミー層BKdと、柱状部HRnのダミー層BKnとの層厚差を所望の値に維持することが容易となる。
【0327】
変形例3の半導体記憶装置によれば、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0328】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、それぞれの階段部SPs,SPb,SPaに、ピラーPLのブロック絶縁層BKに相当する最外周のダミー層の厚さがそれぞれ異なる柱状部が配置されている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0329】
以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0330】
(半導体記憶装置の構成例)
図25は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2の構成の一例を示す図である。
【0331】
より詳細には、図25(a)は、任意のワード線WLの高さ位置における柱状部HRmのXY断面図である。図25(b)は、図25(a)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRnのXY断面図である。図25(c)は、図25(a)(b)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRtのXY断面図である。
【0332】
図25(d)は、図25(a)~図25(c)に示す断面と同じ高さ位置におけるピラーPLのXY断面図である。
【0333】
図25(e)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0334】
実施形態2の半導体記憶装置2は、上述の図3に示す実施形態1の半導体記憶装置1と概ね同様の概略構成を有する。また、半導体記憶装置2は、メモリ領域MRにおいて、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様の構成を有する。また、半導体記憶装置2は、階段領域SRにおいて、上述の柱状部HRm,HRt,HRsに加えて柱状部HRnを有する点を除き、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と類似する構成を有する。
【0335】
図25(e)に示すように、実施形態2の半導体記憶装置2は、階段領域SRに配置される柱状部HRm,HRn,HRt,HRsを備えている。
【0336】
柱状部HRmは、上述の実施形態1と同様、例えば階段部SPsの全体に亘って分散して配置されている。柱状部HRsは、上述の実施形態1と同様、例えば階段部SPb,SPa内を延びる板状部PTのY方向両側の板状部PTに隣接する位置に配置されている。
【0337】
柱状部HRtは、板状部PTに隣接する位置を除く階段部SPaの全体に亘って分散して配置されている。
【0338】
第5のピラーとしての柱状部HRnは、板状部PTに隣接する位置を除く階段部SPbの全体に亘って分散して配置されている。このとき、複数の柱状部HRnは、コンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRnは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0339】
柱状部HRnもまた、他の柱状部HRm、HRt,HRsと同様、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する。
【0340】
柱状部HRnは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRnは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0341】
図25(a)~図25(d)に示すように、ピラーPL及び柱状部HRm,HRtは上述の実施形態1と同様に構成されており、ピラーPLが備える各層に対する柱状部HRm,HRtが備える各層の厚さもまた、上述の実施形態1で説明した通りである。
【0342】
階段部SPbに配置される柱状部HRnは、外周側から順に、ピラーPLのメモリ層MEに相当するダミー層MEn、ピラーPLのチャネル層CNに相当する半導体層等のダミー層CNd、及びピラーPLのコア層CRに相当する酸化シリコン層等のダミー層CRdを備えている。柱状部HRnが、ピラーPLのキャップ層CPに相当する半導体層等のダミー層を備えていてもよい。
【0343】
柱状部HRnのダミー層MEnは、外周側から順に、ピラーPLのブロック層BKに相当する酸化シリコン層等のダミー層BKn、ピラーPLの電荷蓄積層CTに相当する窒化シリコン層等のダミー層CTd、及びピラーPLのトンネル絶縁層TNに相当する酸化シリコン層等のダミー層TNdを備えている。
【0344】
柱状部HRnのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置における柱状部HRm,HRtのXY平面に沿う方向の断面積および径と略等しい。したがって、柱状部HRnのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMの同じ高さ位置におけるピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径よりも大きい。
【0345】
また、柱状部HRnのダミー層CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さは、これらに対応する柱状部HRm,HRtのダミー層CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さと略一致している。したがって、柱状部HRnのダミー層CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さは、これらに対応するピラーPLの電荷蓄積層CT、トンネル絶縁層TN、及びチャネル層CNのそれぞれの厚さと略一致している。
【0346】
一方、柱状部HRnの第3の絶縁層としてのダミー層BKnの厚さは、これに対応するピラーPLのブロック絶縁層BK、及び柱状部HRmのダミー層BKdよりも厚く、柱状部HRtのダミー層BKtよりも薄い。
【0347】
ここで、一例として、柱状部HRnの積層体LMbを貫通する部分の下端部の径が110nmである場合、5nm以上10nm以下の範囲内で、ダミー層BKnがブロック絶縁層BK及びダミー層BKdに対して層厚差を有するとともに、ダミー層BKtに対しても所定の層厚差を有していることが好ましい。
【0348】
したがって、柱状部HRtのXY平面に沿う方向のダミー層CRdの断面積および径は、ピラーPLのコア層CR、及び柱状部HRmのダミー層CRdの断面積および径よりも小さく、柱状部HRtのダミー層CRdの断面積および径よりも大きい。
【0349】
このように、実施形態2の半導体記憶装置2においては、階段部SPs,SPb,SPaのうち、コンタクトCCとの接触リスクが増していく下層側ほど、これらに配置される柱状部HRm,HRn,HRtのダミー層BKd、BKn,BKtの厚さが増していく。
【0350】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図26図29を用いて、実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法について説明する。
【0351】
個々にダミー層BKd、BKn,BKtの厚さが異なる上述の柱状部HRm,HRn,HRtは、上述の実施形態1及び変形例3に示した手法を適宜適用することで形成することができる。すなわち、上述の実施形態1及び変形例3によれば、スリミングを行ってダミー層を形成する手法と、スリミングを行わずにダミー層を形成する手法と、スリミングを行わずに酸化シリコン層等の追加形成を行ってダミー層を形成する手法とを採り得る。
【0352】
以下の図26図29に示す例では、スリミングを行ってダミー層を形成する手法を適用して柱状部HRmを形成し、スリミングを行わずにダミー層を形成する手法を適用して柱状部HRnを形成し、スリミングを行わずに酸化シリコン層等の追加形成を行ってダミー層を形成する手法を適用して柱状部HRtを形成することとする。
【0353】
図26図29は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0354】
図26図28の(a)は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。図26図28の(b)~(d)は、それぞれ任意の絶縁層NLの高さ位置における、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、柱状部HRnに加工されることとなる第5のホールとしてのホールHL、及び柱状部HRtに加工されることとなるホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0355】
同様に、図29(A)は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。図29(Bb)~図29(Eb)、図29(Bc)~図29(Ed)、及び図29(Bb)~図29(Ed)は、それぞれ任意の絶縁層NLの高さ位置における、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、柱状部HRnに加工されることとなるホールHL、及び柱状部HRtに加工されることとなるホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0356】
図26(a)は、上述の実施形態1の図9(a)に相当し、階段部SPss,SPsb,SPsaに形成されたホールHL、及び後にメモリ領域MRとなる領域に形成されたメモリホールMHが、それぞれ積層体LMsb及び絶縁層51の上面に開口している。
【0357】
図26(b)~図26(d)に示すように、積層体LMsbの上面に開口したこれらのホールHLの側壁に酸化シリコン層等の絶縁層BKbを形成する。このとき、図示しないメモリホールMHの側壁にも絶縁層BKbが形成される。
【0358】
図27(a)に示すように、複数のメモリホールMH、及び階段部SPss,SPsbに形成されたホールHLを覆うCVD-カーボン層84を形成する。CVD-カーボン層84からは、階段部SPsaに形成されたホールHLが露出している。
【0359】
図27(d)に示すように、階段部SPsaに形成され、CVD-カーボン層84から露出したホールHLの側壁に、更に酸化シリコン層等を形成し、上述の絶縁層BKbよりも厚いダミー層BKtを形成する。
【0360】
図27(a)~図27(c)に示すように、CVD-カーボン層84で覆われた階段部SPss,SPsbのホールHLには、追加の酸化シリコン層等は形成されず、これらのホールHL内には、絶縁層BKbが元の層厚のまま維持される。このとき、図示しないメモリホールMH内にも元の層厚の絶縁層BKbが維持される。
【0361】
その後、CVD-カーボン層84は、例えば酸素プラズマを用いたアッシング等によって除去される。
【0362】
図28(a)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLを覆うCVD-カーボン層83を形成する。CVD-カーボン層83からは、複数のメモリホールMH、及び階段部SPssに形成されたホールHLが露出している。
【0363】
図28(b)に示すように、及び階段部SPssに形成され、CVD-カーボン層83から露出したホールHLの側壁の絶縁層BKbをスリミングして薄層化する。このとき、図示しないメモリホールMH側壁の絶縁層BKもスリミングされる。
【0364】
これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BKが形成される。また、階段部SPssのホールHLの側壁には、ダミー層BKdが形成される。
【0365】
図28(c)(d)に示すように、階段部SPsb,SPsaに形成され、CVD-カーボン層83で覆われたホールHLは、絶縁層BKbのスリミング処理を受けない。
【0366】
このため、階段部SPsbのホールHL内には、絶縁層BKbが元の層厚のまま維持される。つまり、柱状部HRnにおいては、絶縁層BKbがそのままダミー層BKnとなる。また、階段部SPsaのホールHL内には、絶縁層BKbよりも厚いダミー層BKtが元の層厚のまま維持される。
【0367】
その後、CVD-カーボン層83は、例えば酸素プラズマを用いたアッシング等によって除去される。
【0368】
以上のように、メモリホールMH及び階段部SPssのホールHLにおける絶縁層BKbのスリミング処理により、階段部SPsbのホールHLのダミー層BKnと、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdとには所定の層厚差が生じている。また、階段部SPsaのホールHLにおける酸化シリコン層等の追加形成により、階段部SPsbのホールHLのダミー層BKnと、階段部SPsaのホールHLのダミー層BKtとにも所定の層厚差が生じている。
【0369】
一例として、積層体LMsbを貫通するホールHLbの下端部の径が110nmである場合、5nm以上10nm以下の範囲内で、ダミー層BKn,BKtが共にブロック絶縁層BK及びダミー層BKdに対して層厚差を有するとともに、ダミー層BKn,BKt間にも所定の層厚差が生じていることが好ましい。
【0370】
図29(A)に示すように、CVD-カーボン層83が除去された後、ブロック絶縁層BKが形成されたメモリホールMH、及びダミー層BKd,BKn,BKtがそれぞれ形成されたホールHLが積層体LMsbの上面に再び開口する。
【0371】
図29(Bb)~図29(Bd)に示すように、これらのホールHLのそれぞれの側壁に窒化シリコン層等を形成する。これにより、ホールHLの側壁には、ダミー層BKd、ダミー層BKn、またはダミー層BKtを介して、ダミー層CTdがそれぞれ形成される。このとき、図示しないメモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BKを介して電荷蓄積層CTが形成される。
【0372】
図29(Cb)~図29(Cd)に示すように、これらのホールHLのそれぞれの側壁に酸化シリコン層等を形成する。このとき、図示しないメモリホールMHの側壁にも酸化シリコン層等が形成される。
【0373】
これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK及び電荷蓄積層CTを介してトンネル絶縁層TNが形成される。またこれにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNを含むメモリ層MEが形成される。
【0374】
また、ホールHLの側壁には、ダミー層BKd、ダミー層BKn、またはダミー層BKt、及びダミー層CTdを介して、ダミー層TNdがそれぞれ形成される。これにより、ホールHLの側壁には、ダミー層BKd、ダミー層BKn、もしくはダミー層BKt、ダミー層CTd、及びダミー層TNdを含むダミー層MEd、ダミー層MEn、またはダミー層MEtがそれぞれ形成される。
【0375】
図29(Db)~図29(Dd)に示すように、これらのホールHLのそれぞれの側壁に、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層を形成する。このとき、図示しないメモリホールMHの側壁にも半導体層が形成される。
【0376】
これにより、メモリホールMHの側壁には、メモリ層MEを介してチャネル層CNが形成される。また、ホールHLの側壁には、ダミー層MEd、ダミー層MEn、またはダミー層MEtを介して、ダミー層CNdがそれぞれ形成される。
【0377】
図29(Eb)~図29(Ed)に示すように、これらのホールHL内に残った空隙に酸化シリコン層等を充填する。このとき、図示しないメモリホールMH内に残った空隙にも酸化シリコン層等が充填される。
【0378】
以上により、メモリホールMH内にはコア層CRが形成され、ホールHL内にはダミー層CRdが形成される。
【0379】
その後、これらのメモリホールMH及びホールHLに対して、上述の図14の処理を行うことで、上端部にキャップCPを有するピラーPL、及び上端部にそれぞれダミー層CPdを有する柱状部HRm,HRn,HRtが形成される。
【0380】
ただし、実施形態2においても、ホールHLに対するダミー層CPdの形成をスキップし、ダミー層CPdを有さない柱状部HRm,HRn,HRtを形成してもよい。
【0381】
なお、実施形態2においては、柱状部HRtのダミー層BKtが、酸化シリコン層等の追加形成を行って形成される。そこで、ダミー層BKtを有するホールHLの閉塞を抑制するため、上述の図26(b)に示す処理においては、絶縁層BKbを、例えば上述の実施形態1の変形例3ほど厚くは形成しないことが好ましい。
【0382】
これにより、ピラーPLのブロック絶縁層BK及び柱状部HRmのダミー層BKdと柱状部HRnのダミー層BKnとの層厚差は、ブロック絶縁層BK及びダミー層BKdと柱状部HRtのダミー層BKtとの層厚差より小さくなってよい。
【0383】
(概括)
実施形態2の半導体記憶装置2によれば、柱状部HRnは、柱状部HRtのダミー層BKtよりも薄く、柱状部HRmのダミー層BKdよりも厚いダミー層BKnを含む。
【0384】
これにより、例えばそれぞれの階段部SPs,SPb,SPaにおけるコンタクトCCとの接触リスクの高低に応じて、所望の層厚のダミー層BKd,BKn,BKtを有する柱状部HRm,HRn,HRtを配置することができる。これにより、コンタクトCCと柱状部HRn,HRtとの接触によるコンタクトCCの形成不良を抑制することができる。
【0385】
なお、実施形態2においても、階段部SPs,SPb,SPaにおける柱状部HRm,HRn,HRtの配置位置を、例えば上述の実施形態1の変形例1と同様、適宜、変更することができる。
【0386】
また、実施形態2においても、階段部SPs,SPb,SPaのうち、板状部PTに隣接する位置に配列される柱状部HRsの配置範囲を、例えば上述の実施形態1の変形例2と同様、適宜、変更することができる。
【0387】
[実施形態3]
以下、図面を参照して実施形態3について詳細に説明する。実施形態3は、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とで、ピラーPLのブロック絶縁層BKに相当する最外周のダミー層の厚さが異なる柱状部を備える点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0388】
以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0389】
(半導体記憶装置の構成例)
図30及び図31は、実施形態3にかかる半導体記憶装置3の構成の一例を示す図である。
【0390】
より詳細には、図30(a)~図30(c)は、半導体記憶装置3の階段領域SRを含むY方向に沿う断面図であって、図30(a)は階段部SPsにおける断面を示しており、図30(b)は階段部SPbにおける断面を示しており、図30(c)は階段部SPaにおける断面を示している。ただし、図30(a)~図30(c)においては、絶縁層60下方及び絶縁層40上方の構造が省略されている。
【0391】
図31(Aa)は、積層体LMbの任意のワード線WLの高さ位置におけるピラーPLのXY断面図であり、図31(Ba)は、積層体LMaの任意のワード線WLの高さ位置におけるピラーPLのXY断面図である。
【0392】
図31(Ab)は、図31(Aa)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRmのXY断面図であり、図31(Bb)は、図31(Ba)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRmのXY断面図である。
【0393】
図31(Ac)は、図31(Aa)(Ab)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRmtのXY断面図であり、図31(Bc)は、図31(Ba)(Bb)に示す断面と同じ高さ位置における柱状部HRmtのXY断面図である。
【0394】
図31(C)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0395】
なお、図30及び図31に示す図はあくまでも模式図であり、図30(a)~図30(c)の各断面図と、図31(C)のXY断面図と、に示す各構成の個数およびレイアウトは必ずしも一致しない。
【0396】
実施形態3の半導体記憶装置3は、上述の図3に示す実施形態1の半導体記憶装置1と概ね同様の概略構成を有する。また、半導体記憶装置3は、メモリ領域MRにおいて、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様の構成を有する。
【0397】
図30(a)及び図31(C)に示すように、階段部SPsには、上述の実施形態1と同様、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数の柱状部HRmが分散して配置されている。
【0398】
図30(b)(c)及び図31(C)に示すように、階段部SPb,SPaには、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する柱状部HRmt,HRsが配置されている。
【0399】
複数の柱状部HRsは、上述の実施形態1と同様、板状部PTのY方向両側の板状部PTに隣接する位置に配列されている。
【0400】
複数の第2のピラーとしての柱状部HRmtは、板状部PTに隣接する位置を除く、階段部SPb,SPaの全体に亘って分散して配置されている。このとき、複数の柱状部HRmtは、コンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRmtは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0401】
また、柱状部HRmtは、積層体LMaを貫通する第1のサブピラーとしての柱状部LHRtと、積層体LMbを貫通する第2のサブピラーとしての柱状部UHRmとを有する。これらの柱状部LHRt,UHRmは共に、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、これらの柱状部LHRt,UHRmは共に、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0402】
柱状部LHRt,UHRmのそれぞれもまた、上述のピラーPLと同じ層構造を有する。さらに、これらの柱状部LHRt,UHRmもまた、全体としてフローティング状態となっており、上述のように、半導体記憶装置3において電気的な機能を有してはいない。
【0403】
ピラーPLと同じ層構造として、柱状部LHRtは、積層体LMa内を積層方向に延びるダミー層MEt,CNd,CRdを有する。また、柱状部UHRmは、積層体LMb内を積層方向に延びるダミー層MEd,CNd,CRdを有する。
【0404】
図31(Ac)(Bc)に示すように、ダミー層MEdは、柱状部UHRdの外周側から、ダミー層BKd,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有し、ダミー層MEtは、柱状部LHRtの外周側から、ダミー層BKt,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有する。
【0405】
図31(Aa)~図31(Ac)に示すように、柱状部UHRmのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMbの同じ高さ位置における柱状部HRmのXY平面に沿う方向の断面積および径と略等しく、積層体LMbの同じ高さ位置におけるピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径よりも大きい。
【0406】
また、柱状部UHRmのダミー層BKd,CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さは、これらに対応するピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、トンネル絶縁層TN、及びチャネル層CNのそれぞれの厚さ、及び柱状部HRmのダミー層BKd,CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さと略一致している。
【0407】
また、積層体LMbの同じ高さ位置において、柱状部UHRmのダミー層CRdのXY平面に沿う方向の断面積および径は、これに対応するピラーPLのコア層CRの断面積および径よりも大きく、柱状部HRmのダミー層CRdの断面積および径と略等しい。
【0408】
このように、柱状部HRmtは、積層体LMbを貫通する柱状部UHRmにおいて、柱状部HRmと略等しい構成を有している。
【0409】
図31(Ba)~図31(Bc)に示すように、柱状部LHRtのXY平面に沿う方向の断面積および径は、積層体LMaの同じ高さ位置における柱状部HRmのXY平面に沿う方向の断面積および径と略等しく、積層体LMaの同じ高さ位置におけるピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積および径よりも大きい。
【0410】
また、柱状部LHRtのダミー層CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さは、これらに対応するピラーPLの電荷蓄積層CT、トンネル絶縁層TN、及びチャネル層CNのそれぞれの厚さ、及び柱状部HRmのダミー層CTd,TNd,CNdのそれぞれの厚さと略一致している。
【0411】
一方で、柱状部LHRtのダミー層BKtは、対応するピラーPLのブロック絶縁層BKの厚さ、及び柱状部HRm及び柱状部UHRmのダミー層BKdよりも厚い。
【0412】
これにより、積層体LMaの同じ高さ位置において、柱状部LHRtのダミー層CRdのXY平面に沿う方向の断面積および径は、これに対応する柱状部HRmのダミー層CRdの断面積および径よりも小さく、例えばピラーPLのコア層CRの断面積および径と略等しい。
【0413】
このように、柱状部HRmtは、積層体LMaを貫通する柱状部LHRtにおいて、上述の実施形態1の柱状部HRtと略等しい構成を有している。
【0414】
上述のように、コンタクトCCとの接触リスクは柱状部HRmtの下方側ほど増加する。したがって、柱状部HRmtの積層体LMbを貫通する柱状部UHRmと、積層体LMaを貫通する柱状部LHRtとのうち、積層体LMaを貫通する柱状部LHRtにおいてダミー層BKtを厚くすることによっても、コンタクトCCと接触した場合の不具合を抑制することができる。
【0415】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図32図35を用いて、実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法について説明する。図32図35は、実施形態3にかかる半導体記憶装置3の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0416】
まずは、図32に、積層体LMsa,LMsbに各種構成が形成される様子を示す。図32は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0417】
図32(a)に示すように、支持基板SS上に、下部ソース線DSLa、中間犠牲層SCNもしくは中間絶縁層SCO、及び上部ソース線DSLbをこの順に形成する。また、上部ソース線DSLb上に積層体LMsaを形成する。また、積層体LMsaの一部領域に階段部SPsaを形成する。また、階段部SPsaを覆い、積層体LMsaの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。
【0418】
また、後にメモリ領域MRとなる領域に、積層体LMsaを積層方向に延びる複数のメモリホールMHaを形成し、また、後に階段領域SRとなる領域に、例えばメモリホールMHaと一括して、積層体LMsaを積層方向に延びる複数のホールHLaを形成する。
【0419】
また、複数のホールHLaのうち、後に階段部SPbとなる領域および階段部SPsaに形成された第1のサブホールとしてのホールHLaの側壁および底面にダミー層BKtの一部となる第7の絶縁層としての絶縁層BKaを形成する。
【0420】
図32(b)に示すように、これらのメモリホールMHa及びホールHLa内をアモルファスシリコン層等の犠牲層26で充填する。
【0421】
これにより、後にメモリ領域MRとなる領域には、複数のメモリホールMHaに犠牲層26が充填されたピラーPLcが形成される。また、後に階段部SPsとなる領域には、複数のホールHLaに犠牲層26が充填された柱状部HRcが形成される。
【0422】
また、後に階段部SPbとなる領域および階段部SPsaには、複数のホールHLaに絶縁層BKaと犠牲層26とが形成された柱状部HReが形成される。
【0423】
図32(c)に示すように、積層体LMsa上に積層体LMsbを形成し、積層体LMsbの一部領域に階段部SPsb,SPssを形成する。また、階段部SPsb,SPss,SPsaを覆い、積層体LMsbの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。
【0424】
また、後にメモリ領域MRとなる領域に、積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成されたピラーPLcの上端部にそれぞれ到達する複数のメモリホールMHbを形成し、また、後に階段領域SRとなる領域に、例えばメモリホールMHbと一括して、絶縁層51及び積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成された柱状部HRc,HReの上端部にそれぞれ到達する複数のホールHLbを形成する。
【0425】
次に、図33図35に、メモリホールMH及び残ったホールHL内に多層構造が形成される様子を示す。
【0426】
図33(A)は、上述の図32と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0427】
図33(Bb)~図33(Bd)及び図33(Cb)~図33(Cd)、並びに図34及び図35の(Ab)~(Ad)及び(Bb)~(Bd)は、それぞれ積層体LMsbの任意の絶縁層NLの高さ位置における、メモリホールMH、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、及び柱状部HRmtに加工されることとなる第2のホールとしてのホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0428】
図33(Be)~図33(Bg)及び図33(Ce)~図33(Cg)、並びに図34及び図35の(Ae)~(Ag)及び(Be)~(Bg))は、それぞれ積層体LMsaの任意の絶縁層NLの高さ位置における、メモリホールMH、柱状部HRmに加工されることとなるホールHL、及び柱状部HRmtに加工されることとなるホールHLのY方向の拡大断面図である。
【0429】
図33(A)に示すように、メモリホールMHb及びホールHLbを介して、これらの下端部にそれぞれ接続されるピラーPLc及び柱状部HRc,HReから犠牲層26を除去する。
【0430】
これにより、複数のメモリホールMHb底にそれぞれメモリホールMHaが開口して、複数のメモリホールMHが形成される。また、複数のホールHLb底にそれぞれホールHLaが開口して、複数のホールHLが形成される。これらのホールHLのうち、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLの下部構造であるホールHLa内には絶縁層BKaが形成されている。
【0431】
なお、これ以降、これらのメモリホールMH及びホールHLの全体に対して同様の処理が行われる。
【0432】
図33(Bb)~図33(Bg)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLの側壁に酸化シリコン層等の絶縁層BKbを形成する。絶縁層BKbは、最終的にピラーPLが有することとなるブロック絶縁層BKよりも厚く形成されている。
【0433】
このとき、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLの下部構造であるホールHLaの側壁には、既に形成済みの絶縁層BKaを介して絶縁層BKbが形成される。これにより、下層側のホールHLaの側壁には、上層側の第2のサブホールとしてのホールHLbの絶縁層BKbよりも厚く、絶縁層BKa,BKbが形成される。
【0434】
図33(Cb)~図33(Cg)に示すように、メモリホールMH及びホールHLの側壁の絶縁層BKbをスリミングして薄層化する。これにより、メモリホールMHの側壁にはブロック絶縁層BKが形成され、ホールHLの側壁にはダミー層BKdが形成される。
【0435】
このとき、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLの下部構造であるホールHLaにおいては、既に形成済みの絶縁層BKaの層厚を維持しつつ、絶縁層BKaを覆う絶縁層BKbをスリミングする。これにより、ホールHLaには、絶縁層BKa及びダミー層BKdが形成され、これらの絶縁層BKa及びダミー層BKdがダミー層BKtとなる。
【0436】
このように、階段部SPsb,SPsaに形成されたホールHLの下部構造であるホールHLaに予め絶縁層BKaを形成しておくことで、ピラーPLのブロック絶縁層BK及び柱状部HRmのダミー層BKdよりも厚いダミー層BKtを形成することができる。この場合、下層側のホールHLaにのみ厚いダミー層BKtが形成されることとなるので、積層体LMsb部分を貫通するホールHLbの下端部の径に制約されることなく、所望の厚さにダミー層BKtを形成することができる。
【0437】
図34(Ab)~図34(Ag)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に窒化シリコン層等を形成する。これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BKを介して電荷蓄積層CTが形成される。また、階段部SPssのホールHL及び階段部SPsb,SPsaの上層側のホールHLbの側壁には、ダミー層BKdを介して、ダミー層CTdがそれぞれ形成される。
【0438】
また、階段部SPsb,SPsaのホールHLのうち、下層側のホールHLaの側壁には、ダミー層BKtを介してダミー層CTdが形成される。
【0439】
図34(Bb)~図34(Bg)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に酸化シリコン層等を形成する。
【0440】
これにより、メモリホールMHの側壁には、ブロック絶縁層BK及び電荷蓄積層CTを介してトンネル絶縁層TNが形成され、これらの層を含むメモリ層MEが形成される。また、階段部SPssのホールHL及び階段部SPsb,SPsaの上層側のホールHLbの側壁には、ダミー層BKd及びダミー層CTdを介して、ダミー層TNdがそれぞれ形成され、これらの層を含むダミー層MEdがそれぞれ形成される。
【0441】
また、階段部SPsb,SPsaのホールHLのうち、下層側のホールHLaの側壁には、ダミー層BKt,CTdを介してダミー層TNdが形成される。これにより、ホールHLaの側壁には、ダミー層BKt、ダミー層CTd、及びダミー層TNdを含むダミー層MEtが形成される。
【0442】
図35(Ab)~図35(Ag)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHLのそれぞれの側壁に、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層を形成する。これにより、メモリホールMHの側壁には、メモリ層MEを介してチャネル層CNが形成される。また、階段部SPssのホールHL及び階段部SPsb,SPsaの上層側のホールHLbの側壁には、ダミー層MEdを介して、ダミー層CNdがそれぞれ形成される。
【0443】
また、階段部SPsb,SPsaのホールHLのうち、下層側のホールHLaの側壁には、ダミー層MEtを介して、ダミー層CNdが形成される。
【0444】
図35(Bb)~図35(Bg)に示すように、これらのメモリホールMH及びホールHL内に残った空隙に酸化シリコン層等を充填する。これにより、メモリホールMH内にはコア層CRが形成され、ホールHL内にはダミー層CRdが形成される。
【0445】
その後、これらのメモリホールMH及びホールHLに対して、上述の図14の処理を行うことで、上端部にキャップCPを有するピラーPL、及び上端部にそれぞれダミー層CPdを有する柱状部HRm,HRmtが形成される。
【0446】
ただし、実施形態3においても、ホールHLに対するダミー層CPdの形成をスキップし、ダミー層CPdを有さない柱状部HRm,HRmtを形成してもよい。
【0447】
(概括)
実施形態3の半導体記憶装置3によれば、柱状部HRmtの下部構造である柱状部LHRtは、柱状部HRmtの上部構造である柱状部UHRmのダミー層BKdよりも厚いダミー層BKtを含む。このような構成によっても、柱状部HRmtとスリットSTとの接触による不具合を抑制することができる。
【0448】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1~3及び変形例1~3では、ピラーPLは、チャネル層CNの側面でソース線SLと接続していることとしたが、これに限られない。例えばピラー底面のメモリ層を除去してチャネル層の下端部でソース線と接続するようにピラーを構成してもよい。
【0449】
また、上述の実施形態1~3及び変形例1~3では、積層体LMは、2つの積層体LMa,LMbを含む2Tier構造を有することとした。しかし、積層体のTier数は1Tierであってもよく、あるいは、3Tier以上であってもよい。
【0450】
また、上述の実施形態1~3及び変形例1~3では、階段領域SRが、積層体LMのX方向の端部に配置されることとした。しかし、積層体の中央部を階段状に掘り下げることで、積層方向から見た積層体の中央部に階段領域を配置してもよい。このような階段領域においても、上述の実施形態1~3及び変形例1~3の構成を適用することができる。
【0451】
また、上述の実施形態1~3及び変形例1~3では、積層体LMの上方に周辺回路CBAを配置することとした。しかし、周辺回路は、積層体の下方または積層体と同じ階層に配置されてもよい。
【0452】
周辺回路を積層体の下方に配置する場合には、例えば絶縁層で覆われた周辺回路を有する半導体基板の絶縁層上に、ソース線および積層体を形成することができる。周辺回路を積層体と同じ階層に配置する場合には、周辺回路が形成される半導体基板上の周辺回路とは異なる位置に、積層体を形成することができる。
【0453】
以下、図36に、半導体記憶装置の他の構成例として、積層体の中央部に階段領域を有し、積層体の下方に周辺回路を有する半導体記憶装置を示す。
【0454】
図36は、その他の実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す断面図である。ただし、図36においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0455】
図36に示すように、その他の実施形態の半導体記憶装置は、基板SB上に、周辺回路CUA、及び複数のワード線WL等をこの順に備える。
【0456】
基板SBは、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板SB上にはトランジスタTR及び配線等を含む上述のロウデコーダ520、センスアンプモジュール530(図1参照)等の周辺回路CUAが配置されている。
【0457】
周辺回路CUAは、酸化シリコン膜等の絶縁層40で覆われている。絶縁層40上にはソース線SLが配置されている。ソース線SLの上方には、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが積層されている。
【0458】
複数のワード線WL等は絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。
【0459】
複数のワード線WL等には、複数のメモリ領域MR、階段領域SRc、及び貫通コンタクト領域TPが配置されている。
【0460】
メモリ領域MRには、複数のワード線WL等を積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルMC(図2参照)が形成される。これにより、その他の実施形態の半導体記憶装置もまた、複数のメモリセルMCが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0461】
階段領域SRcは、複数のワード線WL等が積層方向に擂り鉢状に掘り下げられた複数の階段部を含む。階段部の各段は、各階層のワード線WL等により構成される。各階層のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSは、階段領域SRcのY方向側の端部を介して、階段領域SRcを挟んだX方向両側で電気的な導通を保っている。
【0462】
複数の階段部のうち少なくとも1つの階段部の各段のテラス部分には、各階層のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。 これらのコンタクトCCは、選択ゲート線SGDの更に上方の上層配線等を介して周辺回路CUAに電気的に接続される。
【0463】
貫通コンタクト領域TPには、複数のワード線WL等を貫通する貫通コンタクトC4が配置されている。貫通コンタクトC4は、下方の基板SB上に配置された周辺回路CUAと、複数のワード線WLに設けられたコンタクトCCとを接続する。コンタクトCCからメモリセルMCに印加される各種電圧は、貫通コンタクトC4等を介して周辺回路CUAにより制御される。
【0464】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0465】
1,1a,1b,1c,2,3…半導体記憶装置、BKd,BKn,BKt,CNd,CRd,CTd,TNd…ダミー層、CC…コンタクト、CN…チャネル層、CR…コア層、CT…電荷蓄積層、HRm,HRmt,HRn,HRs,HRt,LHRt,UHRm…柱状部、LM,LMa,LMb,LMga,LMgb,LMsa,LMsb…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、PL…ピラー、PT…板状部、SPa,SPb,SPs…階段部、SR,SRc…階段領域、SGD,SGS…選択ゲート線、ST…スリット、STD,STS…選択ゲート、TN…トンネル絶縁層、WL…ワード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36