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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133836
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20240926BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H10B12/00 621
H10B12/00 671Z
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
H01L29/78 626A
H01L29/78 618C
H10B12/00 681A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043819
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】塚越 隆行
(72)【発明者】
【氏名】菅原 大地
【テーマコード(参考)】
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
5F083AD06
5F083AD15
5F083AD24
5F083GA06
5F083HA02
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA42
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR04
5F083PR05
5F083PR40
5F083ZA28
5F110AA06
5F110AA08
5F110BB06
5F110BB11
5F110CC09
5F110DD05
5F110FF03
5F110HK04
5F110HK07
5F110HM12
5F110NN03
5F110NN22
5F110NN23
5F110NN74
5F110QQ03
5F110QQ04
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】しきい値電圧を高くする。
【解決手段】半導体装置は、絶縁層の中に形成され、上下方向に延びる酸化物半導体と、酸化物半導体の上端に接する第1電極と、酸化物半導体の下端に接する第2電極と、絶縁膜を介して酸化物半導体の一部を包囲するゲート電極とを備え、酸化物半導体は、上端及びその下方の第1端を含む第1部分と、第1部分の下方に位置し、第2端及びその下方の第3端を含む第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分と、を含み、上下方向に沿って延在し、かつ、酸化物半導体の延伸軸を含む断面において、上下方向と垂直な方向の幅は、上端において第1値であり、第1端において第1値以下の第2値であり、第2端において第2値より小さい第3値であり、第3端において第3値以下の第4値であり、第3部分では、断面において、上端からの距離の増加量に対する幅の減少割合が、第1部分の減少割合及び第2部分の減少割合より大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の中に形成され、上下方向に延びる酸化物半導体と、
前記酸化物半導体の上端に接する第1電極と、
前記酸化物半導体の下端に接する第2電極と、
前記絶縁層の中に形成され、絶縁膜を介して前記酸化物半導体の一部を包囲するゲート電極と、を備え、
前記酸化物半導体は、
前記上端及びこの上端の下方の第1端を含む第1部分と、
この第1部分の下方に位置し、第2端及びこの第2端の下方の第3端を含む第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分と、を含み、
前記上下方向に沿って延在し、かつ、前記酸化物半導体の延伸軸を含む断面において、前記上下方向と垂直な方向の幅は、前記上端において第1値であり、前記第1端において前記第1値以下の第2値であり、前記第2端において前記第2値より小さい第3値であり、前記第3端において前記第3値以下の第4値であり、
前記第3部分では、前記断面において、前記上端からの距離の増加量に対する前記幅の減少割合が、前記第1部分の前記減少割合及び前記第2部分の前記減少割合より大きい、
半導体装置。
【請求項2】
前記第3部分は、下方に向いた第1段差面を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1段差面は、下方から見たときに環状に形成されている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3部分は、下方に向かって先細り形状を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2値と前記第3値との差は、2nm以上である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記酸化物半導体は、
前記第2部分の下方に位置し、前記下端とこの下端の上方の第4端とを含む第4部分と、
前記第2部分と前記第4部分とを接続する第5部分と、を含み、
前記断面において、前記幅は、前記第4端において前記第4値より大きい第5値であり、前記下端において前記第5値以下の第6値であり、
前記第5部分では、前記断面において、前記上端からの距離の増加に対して前記幅が増加する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第5部分は、上方に向いた第2段差面を有する、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2段差面は、上方から見たときに環状に形成されている、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第5部分は、上方に向かって先細り形状を有する、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第5値と前記第4値との差は、2nm以上である、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極は、前記第3部分の一部又は全部を包囲する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート電極は、前記第3部分を包囲しない、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ゲート電極は、前記第5部分の一部又は全部を包囲する、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ゲート電極は、前記第5部分を包囲しない、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項15】
請求項1に記載の前記半導体装置と、
前記第1電極又は前記第2電極に接続される第1キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極と対向する第2キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に設けられる誘電膜と、を備える、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の中には、酸化物半導体によって形成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2022/0085212号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開US2010/0181614号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開US2010/0140671号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の酸化物半導体では、ドナーである酸素欠損の濃度が高いことが多い。このため、酸化物半導体を電界効果トランジスタのチャネルに用いる場合、しきい値電圧が負となり、ノーマリーオンの特性になる。
【0005】
本開示は、しきい値電圧を高くすることが可能な半導体装置及び半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、絶縁層と、前記絶縁層の中に形成され、上下方向に延びる酸化物半導体と、前記酸化物半導体の上端に接する第1電極と、前記酸化物半導体の下端に接する第2電極と、前記絶縁層の中に形成され、絶縁膜を介して前記酸化物半導体の一部を包囲するゲート電極と、を備え、前記酸化物半導体は、前記上端及びこの上端の下方の第1端を含む第1部分と、この第1部分の下方に位置し、第2端及びこの第2端の下方の第3端を含む第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分と、を含み、前記上下方向に沿って延在し、かつ、前記酸化物半導体の延伸軸を含む断面において、前記上下方向と垂直な方向の幅は、前記上端において第1値であり、前記第1端において前記第1値以下の第2値であり、前記第2端において前記第2値より小さい第3値であり、前記第3端において前記第3値以下の第4値であり、前記第3部分では、前記断面において、前記上端からの距離の増加量に対する前記幅の減少割合が、前記第1部分の前記減少割合及び前記第2部分の前記減少割合より大きい。
【0007】
本開示に係る半導体記憶装置は、前記半導体装置と、前記第1電極又は前記第2電極に接続される第1キャパシタ電極と、前記第1キャパシタ電極と対向する第2キャパシタ電極と、前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に設けられる誘電膜と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るメモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図であり、YZ面に平行な断面の一部を示す。
図3】第1実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、酸化物半導体層の延伸軸を含む断面を示す。
図4】第1実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、XY面に平行な断面を示す。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図13】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図14】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図15】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図16】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図17】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図18】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図19】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図20】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図21】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図22】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図23】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図24】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図25】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図26】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図27】第1実施形態に係る酸化物半導体層の表面に流れるオン電流Ionのくびれ量に対する変化を示す図である。
図28】第1実施形態に係る電界効果トランジスタのしきい値電圧のくびれ量に対する変化を示す図である。
図29】第2実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、酸化物半導体層の延伸軸を含む断面を示す。
図30】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図31】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図32】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図33】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図34】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図35】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図36】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図37】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図38】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図39】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図40】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図41】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図42】第1実施形態に係る半導体装置の変形例を説明するための断面模式図であり、酸化物半導体層の延伸軸を含む断面を示す。
図43】第1実施形態に係る半導体装置の変形例を説明するための断面模式図であり、酸化物半導体層の延伸軸を含む断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。各図面には、X軸、Y軸及びZ軸を示すことがある。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、X軸の矢印方向をX軸+方向、矢印とは逆方向をX軸-方向と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、Z軸+方向及びZ軸-方向を、それぞれ「上方」及び「下方」と呼ぶこともある。また、X軸、Y軸又はZ軸にそれぞれ直交する面を、YZ面、ZX面又はXY面と呼ぶことがある。また、Z軸方向を「上下方向」と呼ぶことがある。「上方」、「下方」及び「上下方向」は、あくまで図面内での相対的位置関係を示す用語であり、鉛直方向を基準とした向きを定める用語ではない。
【0011】
本明細書において「接続」とは物理的な接続だけでなく電気的な接続も含み、特に指定する場合を除き、直接接続だけでなく間接接続も含む。
【0012】
第1実施形態に係る半導体記憶装置101は、OS-RAM(Oxide Semiconductor-Random Access Memory)であって、メモリセルアレイを備える。
【0013】
図1に示すように、メモリセルアレイは、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WLと、複数のビット線BLと、を含む。
【0014】
図1には、複数のワード線WLの一例として、ワード線WL、ワード線WLn+1及びワード線WLn+2が示される(ここで、nは正の整数である)。また、図1には、ビット線BLの一例として、ビット線BL、ビット線BLm+1及びビット線BLm+2が示される(ここで、mは正の整数である)。なお、複数のメモリセルMCの個数は、図1に示す個数に限定されない。
【0015】
複数のメモリセルMCは、例えばマトリクス状に配列されることにより、メモリセルアレイを形成する。メモリセルMCは、電界効果トランジスタ(FET)であるメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPと、を含む。
【0016】
行方向に沿って設けられる一連のメモリセルMCは、自己の属する行(例えば第n行)に対応するワード線WL(例えばワード線WL)に接続される。列方向に沿って設けられる一連のメモリセルMCは、自己の属する列(例えば第m+2列)に対応するビット線BL(例えばビット線BLm+2)に接続される。
【0017】
詳細には、メモリセルMCに含まれるメモリトランジスタMTRのゲートは、当該メモリセルMCの属する行に対応するワード線WLに接続される。メモリトランジスタMTRのソース又はドレインの一方は、当該メモリセルMCの属する列に対応するビット線BLに接続される。
【0018】
メモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMCPの一方の電極は、当該メモリセルMCに含まれるメモリトランジスタMTRのソース又はドレインの他方に接続される。メモリセルMCの他方の電極は、特定の電位を供給する電源線(図示しない)に接続される。
【0019】
メモリセルMCは、対応するワード線WLの電位に基づくメモリトランジスタMTRのスイッチングにより、対応するビット線BLを流れる電流によるメモリキャパシタMCPへの電荷の蓄積によってデータを保持可能に構成される。
【0020】
図2に示すように、半導体記憶装置101は、半導体基板10と、回路11と、キャパシタ20と、半導体装置30と、導電体33と、絶縁層34、35、45及び63と、を備える。
【0021】
キャパシタ20は、導電体21と、絶縁膜22(「誘電膜」の一例)と、導電体23と、キャパシタ電極24(「第1キャパシタ電極」の一例)及びキャパシタ電極25(「第2キャパシタ電極」の一例)と、を含む。
【0022】
半導体装置30は、電界効果トランジスタ40(「半導体素子」の一例)と、電界効果トランジスタ40の上方に設けられる上部電極50(「第1電極」の一例)と、電界効果トランジスタ40の下方に設けられるITO層32(「第2電極」の一例)と、を含む。上部電極50は、タングステン(W)又は窒化チタン(TiN)などの導電層51と、ITO層52と、を含む。
【0023】
電界効果トランジスタ40は、チャネルに相当する酸化物半導体層70(「酸化物半導体」の一例)と、ゲート電極に相当する導電層42(「ゲート電極」の一例)と、導電層42と酸化物半導体層70との間に設けられるゲート絶縁膜43と、を含む。
【0024】
回路11は、半導体記憶装置101の複数のメモリセルMCすなわちキャパシタ20及び電界効果トランジスタ40のうち、所定のメモリセルMCを選択するためのデコーダ、ビット線BLに接続されるセンスアンプ、SRAMから構成されるレジスタなどの周辺回路を構成する。回路11は、CMOSプロセスで形成されたPチャネル型電界効果トランジスタ(Pch-FET)及びNチャネル型電界効果トランジスタ(Nch-FET)の電界効果トランジスタを有するCMOS回路を含んでよい。
【0025】
回路11の電界効果トランジスタは、例えば単結晶シリコン基板などの半導体基板10を用いて形成可能である。Pch-FET及びNch-FETは、半導体基板10にチャネル領域とソース領域とドレイン領域とを有し、半導体基板10の表面に近接した領域において半導体基板10の表面と略平行なX軸方向又はY軸方向にキャリアを流すためのチャネルを有する、いわゆる、横型の電界効果トランジスタである。なお、半導体基板10はP型乃至N型の導電型を有していてもよい。なお、図2は、便宜のため、回路11の電界効果トランジスタの一例を図示する。
【0026】
キャパシタ20は、メモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMCPである(図1参照)。図2には、4つのキャパシタ20を図示しているが、キャパシタ20の個数は、4つに限定されない。
【0027】
本実施形態では、キャパシタ20は、半導体基板10の上方に設けられる。キャパシタ20におけるキャパシタ電極24は、導電体21及びITO層32に接続される。キャパシタ電極25は、キャパシタ電極24と対向する。絶縁膜22は、キャパシタ電極24とキャパシタ電極25との間に設けられる。
【0028】
キャパシタ20は、ピラー型キャパシタなどの3次元キャパシタである。なお、本実施形態のキャパシタとして、電荷を蓄積可能な構成を備える他のキャパシタを採用してもよい。
【0029】
導電体21は、ITO層32の下方の端面に当接し、当該端部から下方に延びる形状を有する。キャパシタ電極24は、ITO層32及び導電体21を覆うように形成される。絶縁膜22は、キャパシタ電極24を覆うように形成される。キャパシタ電極25は、絶縁膜22の下方の一部を包囲し、導電体23の上方の端面と当接する下端を有する。
【0030】
導電体21は、アモルファスシリコンなどの材料を含んでよい。絶縁膜22は、酸化ハフニウムなどの材料を含んでよい。導電体23並びにキャパシタ電極24及び25は、タングステン(W)及び窒化チタン(TiN)などの材料を含んでよい。
【0031】
導電体33は、回路11と半導体装置30とを電気的に接続する配線を含む。導電体33は、ビア配線を含んでよく、例えば図2に示されるようにZ軸方向に延伸し、ワード線WLと半導体基板10上に設けられる回路11とを接続するビア配線を有する。導電体33は、例えば銅を含む。
【0032】
絶縁層34は、複数のキャパシタ20間に設けられる。絶縁層34は、例えばシリコンと酸素とを含有するシリコン酸化膜である。
【0033】
絶縁層35は、絶縁層34の上方に設けられる。絶縁層35は、例えばシリコンと窒素とを含有するシリコン窒化膜である。
【0034】
半導体装置30は、キャパシタ20の上方に設けられる。半導体装置30におけるITO層32は、インジウム-錫-酸化物(ITO)などの金属酸化物を含む。
【0035】
電界効果トランジスタ40は、メモリセルMCのメモリトランジスタMTRに相当する(図1参照)。電界効果トランジスタ40は、ITO層32の上方に設けられる。
【0036】
電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層70は、ITO層32に対して半導体基板10から離れる方向すなわち上方に位置する。ITO層52は、酸化物半導体層70に対して半導体基板10から離れる方向すなわち上方に位置する。このような構成を備えることにより、電界効果トランジスタ40は、半導体基板10の表面に略垂直なZ軸方向(上下方向)に延伸するチャネルを有する、いわゆる、縦型のトランジスタである。
【0037】
また、酸化物半導体層70は、酸素欠損がドナーとなる半導体であり、金属元素として、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、ガリウム(Ga)と、を含む。詳細には、酸化物半導体層70は、インジウム、ガリウム及び亜鉛の酸化物すなわちIGZO(InGaZnO)である。なお、酸化物半導体層70は、他の種類の酸化物半導体であってもよい。
【0038】
酸化物半導体層70は、絶縁層45の中に形成され、z軸方向すなわち上下方向に延びる柱状体である。酸化物半導体層70は、電界効果トランジスタ40のチャネルを形成する。酸化物半導体層70は、アモルファス構造を有する。
【0039】
図3には、酸化物半導体層70の縦断面70cが示される。縦断面70cは、上下方向に沿って延在する。縦断面70cは、酸化物半導体層70の延伸軸70dを含む。縦断面70cは、例えばYZ面に平行である。
【0040】
図4には、半導体記憶装置101の横断面45aを上方から見たときの断面模式図が示される。横断面45aは、ITO層52と絶縁層45との界面に位置し、XY面と平行な断面(以下、横断面と称することがある。)である。
【0041】
延伸軸70dは、酸化物半導体層70の上端70aにおけるXY面と平行な断面(以下、上端断面と称することがある。)に含まれる1点と、酸化物半導体層70の下端70bにおけるXY面と平行な断面(以下、下端断面と称することがある。)に含まれる1点と、を通る軸である。具体的には、延伸軸70dは、例えば、上端断面の中心点と、下端断面の中心点とを通る軸である。
【0042】
本実施形態では、酸化物半導体層70の横断面の形状は、楕円である。なお、酸化物半導体層70の横断面の形状は、円であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0043】
図3及び図4に示すように、上部電極50のITO層52は、酸化物半導体層70の上端70aに接続され、電界効果トランジスタ40のソースまたはドレインの一方として機能する。ITO層32は、酸化物半導体層70の下端70bに接続され、電界効果トランジスタ40のソースまたはドレインの他方として機能する。
【0044】
酸化物半導体層70は、部分71、72、73、74及び75(それぞれ「第1部分」、「第2部分」、「第3部分」、「第4部分」及び「第5部分」の一例)を含む。部分71、73、72、75及び74は、上方から下方に向かってこの順に連続して設けられる。
【0045】
縦断面70cの形状は、酸化物半導体層70の上端70aと酸化物半導体層70の下端70bとの間がくびれている。具体的には、部分72、73及び75は、上端70aと下端70bとの間に位置するくびれ部となっている。
【0046】
酸化物半導体層70は、全周にわたってくびれている。つまり、YZ面に平行な縦断面70cに限らず、上下方向に沿って延在し、延伸軸70dを含む縦断面(例えば、延伸軸70dを含み、ZX面に平行な断面)においても、縦断面70cと同様に上端70aと下端70bとの間がくびれている。
【0047】
酸化物半導体層70における部分71は、上端70aと下方の第1端701とを含む。縦断面70cにおいて、上下方向と垂直な方向(y軸方向)の幅(以下、横幅と称することがある。)の大きさは、上端70aにおいてw1(「第1値」の一例)であり、第1端701においてw1以下のw2(「第2値」の一例)である。
【0048】
本実施形態では、w2はw1より小さい。縦断面70cのうち部分71に含まれるものは、上方から下方に向かって横幅が単調に減少する。なお、縦断面70cのうち部分71に含まれるものは、横幅が一定であってもよい。この場合、w2とw1とは、同じとなる。
【0049】
部分72は、上方の第2端702と下方の第3端703とを含む。縦断面70cにおいて、横幅の大きさは、第2端702においてw2より小さいw3(「第3値」の一例)であり、第3端703においてw3以下のw4(「第4値」の一例)である。w2とw3との差は、例えば、2nm以上である。w2とw3との差は、4nm以上であるとより好ましい。
【0050】
本実施形態では、w4はw3より小さい。縦断面70cのうち部分72に含まれるものは、上方から下方に向かって横幅が単調に減少する。なお、縦断面70cのうち部分72に含まれるものは、横幅が一定であってもよい。この場合、w4とw3とは、同じとなる。
【0051】
部分73は、部分71と部分72とを接続する。詳細には、部分73の上方の端は、部分71の第1端701に接続される。部分73の下方の端は、部分72の第2端702に接続される。
【0052】
本実施形態では、部分73は、下方に向いた段差面73a(「第1段差面」の一例)を有する。段差面73aは、XY面と略平行であり、下方から見たときに環状に形成されている。
【0053】
部分73の上方の端すなわち第1端701は、段差面73aより上方に位置すればよい。部分73の下方の端すなわち第2端702は、段差面73aより下方に位置すればよい。第1端701と第2端702との間の距離は、ゼロに限りなく近い微小なものであってもよい。
【0054】
部分73では、縦断面70cにおいて、上端70aからの距離の増加量に対する横幅の減少割合(以下、横幅減少割合と称することがある。)は、部分71に含まれる縦断面70cの横幅減少割合、及び部分72に含まれる縦断面70cの横幅減少割合より大きい。
【0055】
縦断面70cのうち部分73に含まれるものの横幅減少割合は、例えば、部分73を全体としてみたときの横幅減少割合である。具体的には、上端70aからの距離が第1端701から第2端702まで増加する間に横幅がw2からw3まで減少するので、横幅減少割合は、w2からw3を差し引いた値を、上端70aから第2端702までの距離と上端70aから第1端701までの距離との差で除したものとなる。
【0056】
同様に、部分71に含まれる縦断面70cの横幅減少割合は、例えば、部分71を全体としてみたときの横幅減少割合である。具体的には、横幅減少割合は、w1からw2を差し引いた値を、上端70aから第1端701までの距離で除したものとなる。
【0057】
同様に、部分72に含まれる縦断面70cの横幅減少割合は、例えば、部分72を全体としてみたときの横幅減少割合である。具体的には、横幅減少割合は、w4からw3を差し引いた値を、上端70aから第3端703までの距離と上端70aから第2端702までの距離との差で除したものとなる。
【0058】
部分74は、上方の第4端704と下端70bとを含む。縦断面70cにおいて、横幅の大きさは、第4端704においてw4より大きいw5(「第5値」の一例)であり、下端70bにおいてw5以下のw6(「第6値」の一例)である。w5とw4との差の大きさは、例えば、2nm以上である。w5とw4との差は、4nm以上であるとより好ましい。
【0059】
本実施形態では、w6はw5より小さい。縦断面70cのうち部分74に含まれるものは、上方から下方に向かって横幅が単調に減少する。なお、縦断面70cのうち部分74に含まれるものは、横幅が一定であってもよい。この場合、w6とw5とは、同じとなる。
【0060】
部分75は、部分72と部分74とを接続する。詳細には、部分75の上方の端は、部分72の第3端703に接続される。部分75の下方の端は、部分74の第4端704に接続される。
【0061】
部分75では、縦断面70cにおいて、上端70aからの距離の増加に対して横幅が増加する。
【0062】
具体的には、部分75は、上方に向いたテーパー面75a(「第2段差面」の一例)を有する。テーパー面75aは、XY面に対して所定の角度で傾いた面であって、延伸軸70dに近い部分ほど上端70aに近づく面である。テーパー面75aは、上方から見たときに環状に形成されている。つまり、部分75は、上方に向かって先細り形状を有する。
【0063】
くびれ部の一部は、上端70aの面積S7(「第7値」の一例)及び下端70bの面積S8(「第8値」の一例)より小さい断面積を有する。なお、くびれ部の全部が、面積S7及び面積S8より小さい断面積を有してもよい。
【0064】
また、くびれ部の一部は、横幅w1及び横幅w6より小さい横幅を有する。なお、くびれ部の全部が、横幅w1及び横幅w6より小さい横幅を有してもよい。
【0065】
導電層42は、絶縁層45の中に形成される。導電層42の周囲には、ゲート絶縁膜43が形成される。ゲート絶縁膜43は、例えば、例えばシリコンと窒素とを含有するシリコン窒化膜(Si)である。導電層42は、電界効果トランジスタ40のゲート電極を構成するとともに、ワード線WL(図1参照)として機能する。
【0066】
導電層42は、ゲート絶縁膜43を介して酸化物半導体層70の一部を包囲する。本実施形態では、導電層42は、ゲート絶縁膜43を介して部分72の一部を包囲し、部分71、73、74及び75を包囲しない。
【0067】
なお、導電層42は、部分72の全部を包囲してもよい。このとき、導電層42は、部分73の一部及び部分75の一部の少なくとも一方をさらに包囲してもよい。また、導電層42は、酸化物半導体層70において包囲しない部分を残しておけば、部分73の全部をさらに包囲してもよいし、部分75の全部をさらに包囲してもよい。
【0068】
[半導体装置の製造方法]
以下、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例として半導体装置30の製造方法について説明する。なお、図5図7図9図11図13図15図17図19図21図23及び図25には、図4に示す切断線A―Aにおける断面図が示される。図6図8図10図12図14図16図18図20図22図24及び図26には、図4に示す切断線B―Bにおける断面図が示される。
【0069】
まず、図5及び図6に示すように、上下方向に延びる犠牲アモルファスシリコン層81が形成される。犠牲アモルファスシリコン層81は、半導体チップ80の上方の表面に設けられた絶縁層45cの穴部45bに形成される。絶縁層45cは、絶縁層45(図3参照)の下方の一部に相当する。そして、半導体チップ80の絶縁層45cの上方の面が犠牲アモルファスシリコン層81の上方の面とともに化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)される。
【0070】
次に、図7及び図8に示すように、絶縁層45cがエッチバック(Etch Back)されることにより、絶縁層45cの上方の一部が除去され、犠牲アモルファスシリコン層81の上方の一部が露出する。
【0071】
次に、図9及び図10に示すように、犠牲アモルファスシリコン層81がウェットエッチングされることによって、犠牲アモルファスシリコン層81の露出している部分が細径化される。
【0072】
次に、図11及び図12に示すように、露出している絶縁層45c及び犠牲アモルファスシリコン層81の上方にゲート絶縁膜43を形成する。ゲート絶縁膜43の上方に導電層42を形成する。そして、導電層42の上方にSiOなどの絶縁層82を形成する。
【0073】
次に、図13及び図14に示すように、ワード線(Word Line)加工用のマスク材83を絶縁層82の上方に形成する。そして、フォトリソグラフィによってマスク材83の一部を除去する。これにより、絶縁層82の一部が露出する。
【0074】
次に、図15及び図16に示すように、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)によって、マスク材83が開口している部分の絶縁層82、導電層42、ゲート絶縁膜43及び絶縁層45cが除去される。これにより、Y軸方向に沿って延び、上方が開口する複数の溝部45dが形成される。複数の溝部45dによって導電層42がX軸方向に分断され、Y軸方向に沿って延伸するワード線となる部分が形成される。そして、マスク材83が除去される。
【0075】
次に、図17及び図18に示すように、SiO又はSiOCなどのWL埋め込み絶縁膜84が複数の溝部45dに形成される。そして、半導体チップ80の表面が化学機械研磨される。
【0076】
次に、図19及び図20に示すように、導電層42がエッチングされる。これにより、導電層42の上方の一部が除去される。
【0077】
次に、図21及び図22に示すように、導電層42の上方に絶縁膜が形成されることにより、導電層42を包囲するゲート絶縁膜43が形成される。そして、半導体チップ80の表面が化学機械研磨される。
【0078】
次に、図23及び図24に示すように、エッチングによって犠牲アモルファスシリコン層81が除去され、犠牲アモルファスシリコン層81が元々あったスペースに酸化物半導体層70が形成される。そして、半導体チップ80の表面の上方にITO層52及び導電層51がこの順に形成される。
【0079】
次に、図25及び図26に示すように、酸化物半導体層70の上方にランディングパッドである上部電極50が形成される。詳細には、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングによって、ランディングパッドが形成される部分を残して導電層51、ITO層52及び酸化物半導体層70が除去される。除去された導電層51、ITO層52及び酸化物半導体層70が元々あったスペースに、絶縁層45eが形成される。絶縁層45eは、絶縁層45(図3参照)の上方の一部を含む。そして、半導体チップ80の表面が化学機械研磨される。なお、酸化物半導体層70をパターニングした後に絶縁層45eを酸化物半導体層70の周囲に形成し、その後、ITO層52及び導電層51の形成及びパターニングを行って上部電極50を形成しても良い。
【0080】
(効果)
図27は、第1実施形態に係る酸化物半導体層の表面に流れるオン電流Ionのくびれ量に対する変化を示す図である。なお、縦軸は、単位を「A」とするオン電流Ionを対数で示す。横軸は、単位を「nm」とするくびれ量を示す。なお、オン電流Ionのシミュレーションは、導電層51とITO層52との間において、150kΩの抵抗値を有するTiO層(図2及び図3に図示しない)が設けられる条件で行った。
【0081】
くびれ量は、例えば、部分71の下方の第1端701における横断面の半径(短半径又は長半径)と、部分72の上方の第2端702における横断面の半径(短半径又は長半径)との差(以下、第1差と称することがある。)である。具体的には、w2からw3を差し引いた値を2で除したものである。なお、くびれ量は、部分74の上方の第4端704における半径(短半径又は長半径)と、部分72の下方の第3端703における半径(短半径又は長半径)との差(以下、第2差と称することがある。)であってもよい。第2差は、具体的には、w5からw4を差し引いた値を2で除したものである。本実施形態では、第1差と第2差とは、同じである。
【0082】
図27に示すように、電流変化I2及びI3は、ゲート電極に相当する導電層42に印加される電圧が2ボルト及び3ボルトのときのオン電流Ionのくびれ量に対する変化をそれぞれ示す。くびれ量を大きくすると、チャネルが薄くなるため酸化物半導体層70における部分73の電気抵抗が大きくなるが、オン電流Ionの低下が抑制されている。
【0083】
図28は、第1実施形態に係る電界効果トランジスタのしきい値電圧のくびれ量に対する変化を示す図である。なお、縦軸は、単位を「V」とするしきい値電圧Vthを示す。横軸は、単位を「nm」とするくびれ量を示す。しきい値電圧Vthは、酸化物半導体層70に所定の電流を流すのに必要なゲート電極の電圧である。
【0084】
図28に示すように、電圧変化V10及びV16は、酸化物半導体層70に10-10アンペア及び10-16アンペアの電流を流すのに必要なしきい値電圧Vthのくびれ量に対する変化をそれぞれ示す。
【0085】
くびれ量がゼロのときは、ゲート電極に相当する導電層42に印加される電圧がゼロボルトのときでも電流が流れるノーマリーオン特性となっている。くびれ量を大きくすると、チャネルが薄くなるので、空乏層が薄くなりしきい値電圧Vthを高くすることができる。すなわち、くびれ量を大きくする(例えば3nm以上)ことによって、しきい値電圧Vthをゼロボルトより高くすることができるので、ノーマリーオフ特性の電界効果トランジスタ40を実現することができる。
【0086】
また、酸化物半導体層70の横幅を一律に小さくするのではなく、ITO層52と当接する部分71の横幅を、部分73の横幅より大きくする構成により、ITO層52及び部分71の接触面積を大きくすることができる。これにより、ITO層52と部分71すなわち酸化物半導体層70の上端70aとの接触抵抗を低減することができる。
【0087】
同様に、例えば、ITO層32と当接する部分74の横幅を、部分73の横幅より大きくする構成により、ITO層32及び部分74の接触面積を大きくすることができる。これにより、ITO層32と部分74すなわち酸化物半導体層70の下端70bとの接触抵抗を低減することができる。
【0088】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る電界効果トランジスタ140について説明する。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0089】
図29に示すように、電界効果トランジスタ140は、図3に示す電界効果トランジスタ40と比べて、ゲート絶縁膜143がITO層32及び52と当接する点で第1実施形態に係る電界効果トランジスタ40と異なる。
【0090】
本実施形態では、ゲート絶縁膜143は、筒形状を有する。つまり、ゲート絶縁膜143のXY面と平行な横断面は、リング状である。ゲート絶縁膜143の上端及び下端はそれぞれITO層52及び32と当接する。
【0091】
ゲート絶縁膜143の内部には、酸化物半導体層70が設けられる。なお、本実施形態では、酸化物半導体層70の部分73は、下方に向かって先細りのテーパー面73bを有する。
【0092】
[半導体装置の製造方法]
以下、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例として半導体装置30の製造方法について説明する。なお、図30図32図34図36図38及び図40には、図4に示す切断線A―Aにおける断面図が示される。図31図33図35図37図38図39及び図41には、図4に示す切断線B―Bにおける断面図が示される。
【0093】
まず、図30及び図31に示すように、半導体チップ80の上方の表面には、下方から上方に向かって絶縁層45c、導電層42、絶縁層86及び絶縁層45eが形成される。そして、半導体チップ80には、反応性イオンエッチングによって上方が開口する穴部45bが形成される。
【0094】
次に、図32及び図33に示すように、フッ酸系の薬液を用いて絶縁層45c及び45eをそれぞれエッチングするRIE post wetによって、絶縁層45c及び45eにおける穴部45bの径が拡大される。
【0095】
次に、図34及び図35に示すように、穴部45bの内壁にゲート絶縁膜143が形成される。
【0096】
次に、図36及び図37に示すように、反応性イオンエッチングによって穴部45bの底のゲート絶縁膜143が除去される。
【0097】
次に、図38及び図39に示すように、穴部45bの内部空間に酸化物半導体層70が形成される。そして、半導体チップ80の表面が化学機械研磨される。
【0098】
次に、酸化物半導体層70の上方に上部電極50が形成される(図23図26参照)。
【0099】
なお、図40及び図41に示すように、上下方向に延びるコア絶縁膜87が酸化物半導体層70の内部に形成されてもよい。図40及び図41の構造は、穴部45bの内部空間に酸化物半導体層70及びコア絶縁膜87をこの順に埋め込むことにより形成することができる。
【0100】
このように、コア絶縁膜87が酸化物半導体層70の内部に形成される構成により、隙間を埋めることができるので、ボイドの発生を抑制することができる。また、コア絶縁膜87を通じて酸化物半導体層70に酸素供給をすることができる。
【0101】
また、図36及び図37に示す反応性イオンエッチングの際に、絶縁層86の上方の面に当接しているゲート絶縁膜143も除去されやすい。特に、絶縁層86の上方の面に当接しているゲート絶縁膜143の角部143aが除去されやすい。これに対して、導電層42の上方に絶縁層86を形成する構成により、ゲート絶縁膜143の角部143aが除去されても、導電層42が露出することを抑制することができる。これにより、酸化物半導体層70と導電層42とが短絡する可能性を低減することができる。
【0102】
また、図25及び図26に示す酸化物半導体層70にコア絶縁膜が形成されてもよい。この場合、酸化物半導体層70とITO層52との間に絶縁膜が挟まることがある。これに対して、図42及び図43に示すように、ITO層52の下方の面に、下方に向かって尖る凸部52aを形成する構成であってもよい。これにより、ITO層52と部分71すなわち酸化物半導体層70の上端70aとの接触抵抗を低減することができる。図42及び図43は、図4に示す切断線A―A及び切断線B―Bにおける断面図が示される。
【0103】
(a)第1実施形態及び第2実施形態では、酸化物半導体層70は、部分71、72、73、74及び75を含む構成について説明したが、これに限定するものではない。酸化物半導体層70は、部分73と部分75のうち一方を含まない構成であっても良い。また、酸化物半導体層70は、部分71及び73を含まない構成であってもよいし、部分74及び75を含まない構成であってもよい。
【0104】
(b)第1実施形態では、部分73が、XY面と略平行な段差面73aを有する構成について説明したが、これに限定するものではない。部分73は、下方に向いたテーパー面を有する構成であってもよい。
【0105】
(c)第2実施形態では、部分73が、下方に向かって先細りのテーパー面73bを有する構成について説明したが、これに限定するものではない。部分73は、XY面と略平行な段差面を有する構成であってもよい。
【0106】
(d)第1実施形態及び第2実施形態では、部分75がテーパー面75aを有する構成について説明したが、これに限定するものではない。部分75は、XY面と略平行な段差面を有する構成であってもよい。
【0107】
(e)実施形態では、電界効果トランジスタ40がSGT(Surrounding Gate Transistor)である構成について説明したが、これに限定するものではない。電界効果トランジスタ40は、ボトムゲート型構造などの他の構造を有する構成であってもよい。
【0108】
(f)実施形態では、電界効果トランジスタ40がOS-RAMに用いられる構成について説明したが、これに限定するものではない。電界効果トランジスタ40は、OS-RAM以外の半導体装置に適用することも可能である。
【0109】
(g)本開示に係る半導体装置は、
絶縁層と、
前記絶縁層の中に形成され、上下方向に延びる酸化物半導体と、
前記酸化物半導体の上端に接する第1電極と、
前記酸化物半導体の下端に接する第2電極と、
前記絶縁層の中に形成され、絶縁膜を介して前記酸化物半導体の一部を包囲するゲート電極と、を備え、
前記酸化物半導体は、前記上下方向に沿って延在し、かつ、前記酸化物半導体の延伸軸を含む断面において、前記上下方向と垂直な方向の幅が、前記上端及び前記下端においてそれぞれ第1値及び第6値を有し、
前記酸化物半導体は、前記上端と前記下端との間に位置し、少なくとも一部の前記幅が前記第1値及び前記第6値より小さいくびれ部を含む。
【0110】
(h)本開示に係る半導体装置は、
絶縁層と、
前記絶縁層の中に形成され、上下方向に延びる酸化物半導体と、
前記酸化物半導体の上端に接する第1電極と、
前記酸化物半導体の下端に接する第2電極と、
前記絶縁層の中に形成され、絶縁膜を介して前記酸化物半導体の一部を包囲するゲート電極と、を備え、
前記酸化物半導体は、前記上端の面積及び前記下端の面積がそれぞれ第7値及び第8値を有し、
前記酸化物半導体は、前記上端と前記下端との間に位置し、少なくとも一部の前記上下方向と垂直な断面の断面積が前記第7値及び前記第8値より小さいくびれ部を含む。
【0111】
(i)本開示に係る半導体装置は、
絶縁層と、
前記絶縁層の中に形成され、上下方向に延びる酸化物半導体と、
前記酸化物半導体の上端に接する第1電極と、
前記酸化物半導体の下端に接する第2電極と、
前記絶縁層の中に形成され、絶縁膜を介して前記酸化物半導体の一部を包囲するゲート電極と、を備え、
前記酸化物半導体は、前記上端と前記下端との間がくびれている。
【0112】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0113】
10…半導体基板
11…回路
20…キャパシタ
21、23、33…導電体
22…絶縁膜
24、25…キャパシタ電極
30…半導体装置
32…ITO層(第2電極)
34、35、63…絶縁層
40…電界効果トランジスタ
42…導電層(ゲート電極)
42a…穴部
43…ゲート絶縁膜
45、45c、45e…絶縁層
45a…横断面
45b…穴部
45d…溝部
50…上部電極(第1電極)
51…導電層
52…ITO層
52a…凸部
70…酸化物半導体層(酸化物半導体)
70a…上端
70b…下端
70c…縦断面
70d…延伸軸
71…部分(第1部分)
72…部分(第2部分)
73…部分(第3部分)
73a…段差面(第1段差面)
73b…テーパー面(第1段差面)
74…部分(第4部分)
75…部分(第5部分)
75a…テーパー面(第2段差面)
76…くびれ部
80…半導体チップ
81…犠牲アモルファスシリコン層
82、86…絶縁層
83、85…マスク材
84…WL埋め込み絶縁膜
87…コア絶縁膜
101…半導体記憶装置
140…電界効果トランジスタ
143…ゲート絶縁膜
143a…角部
701…第1端
702…第2端
703…第3端
704…第4端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43