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  • 特開-部品組付構造 図1
  • 特開-部品組付構造 図2
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  • 特開-部品組付構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133841
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】部品組付構造
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/26 20060101AFI20240926BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20240926BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01D11/26 D
F16B1/02 R
G01D11/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043825
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 靖文
(72)【発明者】
【氏名】大石 博之
(72)【発明者】
【氏名】松下 圭治
(57)【要約】
【課題】位置決め精度の向上を図る部品組付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】部品組付構造は、基部21に位置決めピン22が設けられる被組付部品11と、位置決めピン22に嵌合する第1孔部41を有する第1部品12と、位置決めピン22に嵌合する第2孔部42を有する第2部品13とを備える。位置決めピン22は、基部21側に位置する第1軸部31と、先端側に位置して第1軸部31より小径の第2軸部32とを有し、第1部品12は、第1孔部41が第1軸部31に嵌合することで被組付部品11に位置決めされ、第2部品13は、第2孔部42が第2軸部32に嵌合することで被組付部品11に位置決めされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に位置決めピンが設けられる被組付部品と、
前記位置決めピンに嵌合する第1孔部を有する第1部品と、
前記位置決めピンに嵌合する第2孔部を有する第2部品と、
を備え、
前記位置決めピンは、前記基部側に位置する第1軸部と、先端側に位置して前記第1軸部より小径の第2軸部とを有し、
前記第1部品は、前記第1孔部が前記第1軸部に嵌合することで前記被組付部品に位置決めされ、
前記第2部品は、前記第2孔部が前記第2軸部に嵌合することで前記被組付部品に位置決めされる、
部品組付構造。
【請求項2】
前記第1軸部および前記第2軸部は、それぞれ軸方向に沿って外径が同じである、
請求項1に記載の部品組付構造。
【請求項3】
前記第1軸部と前記第2軸部との間に円錐台形状をなす傾斜部が設けられる、
請求項1または請求項2に記載の部品組付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用表示装置は、筐体と、ディスプレイと、文字板と、導光板と、見返しとを備える。車両用表示装置は、筐体にディスプレイと文字板が組み付けられ、筐体に設けられたピンに導光板の孔と見返しの孔とが嵌合することで組み付けられる。このような部品組付構造としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献1は、メータケースの支柱に突起を設け、導光板の孔と文字板の孔を突起に貫通させることで、支柱に対して導光板と文字板を位置決めするものである。特許文献2は、カウンターに突起を設け、L金具3の孔3aを突起に挿通させた状態で、突起にバネ板ナットを圧入することで、L金具を突起に固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-271102号公報
【特許文献2】特開2004-148011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、支柱の突起に導光板の孔と文字板の孔を順に嵌合して組み付ける。この場合、支柱の突起は、外径が軸方向に同じ寸法であるため、支柱の突起に導光板の孔を嵌合させるとき、突起の外周面が削られて損傷するおそれがある。すると、支柱の突起に文字板の孔を嵌合させるとき、適切に嵌合することができなかったり、ガタついて高精度な位置決めが困難となったりする。また、特許文献2は、カウンターの突起に挿通したL金具をバネ板ナットにより固定する。この場合、カウンターの突起は、円錐台形状をなすため、L金具の高精度な位置決めが困難となる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、部品の位置決め精度の向上を図る部品組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る部品組付構造は、基部に位置決めピンが設けられる被組付部品と、前記位置決めピンに嵌合する第1孔部を有する第1部品と、前記位置決めピンに嵌合する第2孔部を有する第2部品と、を備え、前記位置決めピンは、前記基部側に位置する第1軸部と、先端側に位置して前記第1軸部より小径の第2軸部とを有し、前記第1部品は、前記第1孔部が前記第1軸部に嵌合することで前記被組付部品に位置決めされ、前記第2部品は、前記第2孔部が前記第2軸部に嵌合することで前記被組付部品に位置決めされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る部品組付構造は、被組付部品の位置決めピンに大径の第1軸部と小径の第2軸部を設けることで、第1部品の第1孔部を第1軸部に嵌合させるとき、第1部品の第1孔部が第2軸部の外面を傷つけることが抑制され、第2部品の第2孔部を第2軸部に適正に嵌合させて第2部品を被組付部品に位置決めすることができ、その結果、部品の位置決め精度の向上を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る部品組付構造を表す断面図である。
図2図2は、係る部品組付構造を表す図1のII-II断面図である。
図3図3は、被組付部品を表す斜視図である。
図4図4は、被組付部品に第1部品が組み付けられた状態を表す斜視図である。
図5図5は、被組付部品に対する第1部品の組付方法を表す断面図である。
図6図6は、被組付部品に対する第2部品の組付方法を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、第3方向のうち、第1方向を第1面内方向Xと称し、第2方向を第2面内方向Yと称し、第3方向を軸心方向Zと称する。第1面内方向Xと第2面内方向Yと軸心方向Zとは、相互に略直交する。そして、軸心方向Zは、被組付部品と第1部品と第2部品の組付方向である。
【0011】
[実施形態]
<部品>
図1は、本実施形態に係る部品組付構造を表す断面図、図2は、係る部品組付構造を表す図1のII-II断面図である。本実施形態の部品組付構造は、車載計器10に適用される。
【0012】
図1および図2に示すように、車載計器10は、被組付部品11と、第1部品12と、第2部品13とを備える。本実施形態の部品組付構造を車載計器10に適用した場合、ケースが被組付部品11に相当し、カバーガラスが第1部品12に相当し、フロントカバー(見返し)が第2部品13に相当する。また、第1部品12としては、ルータ部品やプレス部品のように、誘い込み形状(テーパ形状)が付けられない部品が適用され、一般的に、位置決めピン材料より硬度の高い材料で構成された部材が適用される。さらに、第2部品13としては、高い位置決め精度が必要とされる中間部品が適用される。
【0013】
被組付部品11は、基部21と、位置決めピン22とを有する。基部21は、表面側の取付面21aに位置決めピン22が一体に設けられる。位置決めピン22は、軸心方向Zに沿って設けられ、軸心Oを中心とする円柱形状をなす。位置決めピン22は、第1軸部31と、第2軸部32とを有する。第1軸部31は、軸方向(軸心方向Z)に沿って外径が同じであり、第2軸部32は、軸方向(軸心方向Z)に沿って外径が同じである。第1軸部31は、外径d1であり、第2軸部32は、外径d2である。第2軸部32の外径d2は、第1軸部31の外径d1より小径である。そのため、第1軸部31と第2軸部32は、外径d1>外径d2である。
【0014】
第1部品12は、第1孔部41を有する。第1孔部41は、第2面内方向Yにおける一方に開口する切欠形状をなすが、第2面内方向Yにおける一方に開口しない長孔形状、または、真円形状であってもよい。第1孔部41は、位置決めピン22における第1軸部31に嵌合する。第1孔部41は、第1面内方向Xにおける寸法が内径d11である。第1孔部41の内径d11は、位置決めピン22における第1軸部31の外径d1と同じ寸法、または、若干小さい寸法である。すなわち、第1部品12は、第1孔部41が第1軸部31に嵌合(または、圧入)することで、被組付部品11に位置決めされるように組み付けられる。
【0015】
第2部品13は、第2孔部42を有する。第2孔部42は、第2面内方向Yに長い長孔形状をなすが、真円形状であってもよい。第2孔部42は、位置決めピン22における第2軸部32に嵌合する。第2孔部42は、第1面内方向Xにおける寸法が内径d12である。第2孔部42の内径d12は、位置決めピン22における第2軸部32の外径d2と同じ寸法、または、若干小さい寸法である。そのため、第2部品13は、第2孔部42が第2軸部32に嵌合(または、圧入)することで、被組付部品11に位置決めされるように組み付けられる。
【0016】
すなわち、第1部品12は、第1孔部41の内径d11が、被組付部品11における位置決めピン22の第1軸部31の外径d1と同径であるが、被組付部品11における位置決めピン22の第2軸部32の外径d2より大きい。
【0017】
<被組付部品>
図3は、被組付部品を表す斜視図である。
【0018】
図3に示すように、被組付部品11は、基部21と、位置決めピン22とを有する。基部21は、第1面内方向Xと第2面内方向Yに沿って長い板形状をなす。基部21は、軸心方向Zの一方側に第1面内方向Xおよび第2面内方向Yに沿って平面形状をなす取付面21aが設けられる。また、基部21は、軸心方向Zの一方側で第2面内方向Yの一方側に段部21bが設けられる。段部21bは、取付面21a上に第1面内方向Xに沿って設けられ、取付面21aとの間に軸心方向Zに沿う端面21cが形成される。一方、基部21は、軸心方向Zの他方側に四角枠形状をなす枠部21dが設けられる。
【0019】
位置決めピン22は、第1軸部31と、第2軸部32とを有する。第1軸部31は、基部21側に設けられ、第2軸部32は、先端側に設けられる。位置決めピン22は、第1軸部31の先端側に先細になるような円錐台形状をなす先端部33が設けられる。また、位置決めピン22は、第1軸部31と第2軸部32との間に円錐台形状をなす傾斜部34が設けられる。そして、基部21は、取付面21aにおける位置決めピン22の周囲にリング形状をなす凹部21eが設けられる。
【0020】
<第1部品>
図4は、被組付部品に第1部品が組み付けられた状態を表す斜視図である。
【0021】
図4に示すように、第1部品12は、板形状をなし、第1孔部41が設けられる。第1孔部41は、第1部品12の略中央部から第2面内方向Yにおける一方に開口する切欠形状をなす。第1部品12は、第2面内方向Yにおける一方側の端面43の形状が被組付部品11における段部21bの端面21cとほぼ同様の形状をなす。第1孔部41は、位置決めピン22における第1軸部31に嵌合する。第1部品12は、第1孔部41が第1軸部31に嵌合することで、被組付部品11に対して第1面内方向Xの位置決めがなされる。このとき、第1部品12は、端面が段部21bの端面21cに当接することで、被組付部品11に対する第2面内方向Yの位置決めがなされる。
【0022】
<第2部品>
図1および図2に示すように、第2部品13は、板形状をなし、第2孔部42が設けられる。第2孔部42は、第2部品13の略中央部から第2面内方向Yに沿って長い長孔形状をなす。第2部品13は、第2孔部42における軸心方向Zの一方側に被覆部44が設けられる。被覆部44は、第2孔部42と同様に、第2面内方向Yに沿って長い形状をなす。第2孔部42は、位置決めピン22における第2軸部32に嵌合する。第2部品13は、第2孔部42が第2軸部32に嵌合することで、被組付部品11に対して第1面内方向Xの位置決めがなされる。
【0023】
<部品の組付方法>
図5は、被組付部品に対する第1部品の組付方法を表す断面図、図5は、被組付部品に対する第2部品の組付方法を表す断面図である。
【0024】
図5に示すように、まず、被組付部品11に対して第1部品12を組み付ける。すなわち、被組付部品11における位置決めピン22の第1軸部31に対して、第1部品12の第1孔部41を嵌合させる。この場合、第1部品12の第1孔部41の内径d11は、被組付部品11の第2軸部32の外径d2より大きい。つまり、第1部品12の第1孔部41を位置決めピン22の第1軸部31に嵌合させるとき、第1孔部41の内周面と第2軸部32の外周面との間に隙間ができる。そのため、第1部品12は、第1孔部41の内周面が第2軸部14の外周面に強く接触することはなく、第1軸部31の外周面が第1孔部41に削られて損傷することがなくなる。そして、第1部品12は、第1孔部41が被組付部品11における位置決めピン22の第1軸部31に適正に嵌合する。第1部品12は、第1孔部41が第1軸部31に嵌合することで、被組付部品11に対して第1面内方向Xの位置決めがなされるように被組付部品11に組み付けられる。
【0025】
図6に示すように、次に、被組付部品11に対して第2部品13を組み付ける。すなわち、被組付部品11における位置決めピン22の第2軸部32に対して、第2部品13の第2孔部42を嵌合させる。この場合、位置決めピン22の第1軸部31は、外周面が損傷されていないことから、第2部品13は、第2孔部42が被組付部品11における位置決めピン22の第2軸部32に適正に嵌合する。第2部品13は、第2孔部42が第2軸部32に嵌合することで、被組付部品11に対して第1面内方向Xの位置決めがなされるように被組付部品11に組み付けられる。
【0026】
なお、第1部品12の第1孔部41と第2部品13の第2孔部42が真円形状であれば、第1部品12および第2部品13は、被組付部品11に対して第2面内方向Yの位置決めもなされる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る部品組付構造(車載計器10)は、基部21に位置決めピン22が設けられる被組付部品11と、位置決めピン22に嵌合する第1孔部41を有する第1部品12と、位置決めピン22に嵌合する第2孔部42を有する第2部品13とを備え、位置決めピン22は、基部21側に位置する第1軸部31と、先端側に位置して第1軸部31より小径の第2軸部32とを有し、第1部品12は、第1孔部41が第1軸部31に嵌合することで被組付部品11に位置決めされ、第2部品13は、第2孔部42が第2軸部32に嵌合することで被組付部品11に位置決めされる。
【0028】
本実施形態に係る部品組付構造によれば、被組付部品11の位置決めピン22に大径の第1軸部31と小径の第2軸部32を設けることで、第1部品12の第1孔部41の内径d11が被組付部品11における位置決めピン22の第2軸部32の外径d2より大きくなる。すると、第1部品12の第1孔部41を第1軸部31に嵌合させるとき、第1部品12の第1孔部41が第2軸部32に接触して外面を傷つけることが抑制され、第2部品13の第2孔部42を第2軸部32に適正に嵌合させて第2部品13を被組付部品11に位置決めすることができ、その結果、部品の位置決め精度の向上を図ることができる。
【0029】
また、本実施形態に係る部品組付構造は、第1軸部31および第2軸部32がそれぞれ軸方向に沿って外径が同じである。そのため、第1部品12の第1孔部41を位置決めピン22の第1軸部31に適正に嵌合させることができると共に、第2部品13の第2孔部42を位置決めピン22の第2軸部32に適正に嵌合させることができる。また、第1軸部31に対して第1部品12が嵌合し、第2軸部32に対して第2部品13が嵌合するため、第1部品12および第2部品13のガタ調整を個別に行うことができる。
【0030】
また、本実施形態に係る部品組付構造は、第1軸部31と第2軸部32との間に円錐台形状をなす傾斜部34が設けられる。そのため、第2部品13の第2孔部42が傾斜部34により案内されることで、位置決めピン22の第2軸部32に円滑に嵌合させることができる。
【0031】
上述した本実施形態の部品組付構造は、例えば、車両用表示装置に適用可能である。この場合、筐体が被組付部品に相当し、導光板が第1部品に相当し、文字板が第2部品に相当する。
【0032】
なお、上述した本発明の実施形態に係る部品組付構造は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0033】
本実施形態に係る部品組付構造は、以上で説明した実施形態、参考例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 車載計器
11 被組付部品
12 第1部品
13 第2部品
21 基部
22 位置決めピン
31 第1軸部
32 第2軸部
33 先端部
34 傾斜部
41 第1孔部
42 第2孔部
X 第1面内方向
Y 第2面内方向
Z 軸心方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6