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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133848
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】固定台
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240926BHJP
   F26B 5/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01C15/00 105R
F26B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043839
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】520307713
【氏名又は名称】関西電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤森 真弥
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC48
3L113DA30
(57)【要約】
【課題】測量装置の日常メンテナンスなどの際に、測量装置が転倒するのを確実に防止する。
【解決手段】測量装置101を固定するための固定台1であって、測量装置101の底部103が載置される載置面5を有する台本体2と、測量装置101の底部103を載置面5に設けられた固定エリアFAに固定する固定具3と、測量装置101を乾燥させる乾燥装置4とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量装置を固定するための固定台であって、
前記測量装置の底部が載置される載置面を有する台本体と、
前記測量装置の底部を前記載置面に設けられた固定エリアに固定する固定具と、
前記測量装置に気体を吹き付けて乾燥させる乾燥装置とを備えることを特徴とする固定台。
【請求項2】
前記乾燥装置は、前記載置面に前記気体の吹出口を備える請求項1に記載の固定台。
【請求項3】
前記吹出口は、
前記載置面における前記固定エリアの内側に設けられ、前記測量装置の底面に対して前記気体を吹き出す内側吹出口と、
前記載置面における前記固定エリアの外側に設けられ、前記測量装置の側面に対して前記気体を吹き出す外側吹出口とを備える請求項2に記載の固定台。
【請求項4】
前記測量装置の底部は、平面視で多角形状であり、
前記固定具は、
前記固定エリアに配置された前記測量装置の底部の各辺に沿って延び、前記固定エリアを囲繞する複数の位置決めバーと、
各位置決めバーに設けられ、前記載置面との間で前記測量装置の底部を把持する複数の爪部材とを備える請求項1~3のいずれか1項に記載の固定台。
【請求項5】
前記複数の位置決めバーの一部が、前記載置面に揺動可能に設けられた揺動部材であり、
前記揺動部材の揺動操作によって、前記複数の位置決めバーによって囲繞された前記固定エリアの側方が開閉可能である請求項4に記載の固定台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量装置の日常メンテナンスなどの際に使用される固定台に関する。
【背景技術】
【0002】
トランシットなどの測量装置は、複数のレンズ部品などを備えた精密機器である(例えば、特許文献1を参照)。そのため、測量装置に対しては、校正などの精密な定期メンテナンスとは別に、現場での使用後に簡易的な日常メンテナンスが実施されるのが通例である。
【0003】
日常メンテナンスでは、装置の異常や汚れ、損傷等の有無が確認されるのが一般的である。そして、日常メンテナンスの終了後に、測量装置は所定のケースに収納されて保管される。
【0004】
このような日常メンテナンスは、三脚等から取り外された測量装置を机上にそのまま置いた状態で行う場合がある。この場合、測量装置の底部が机と接触する。また、雨天使用後は、日常メンテナンスとして測量装置の乾燥作業も併せて行う。乾燥作業では、机上に置かれた測量装置の水滴をウエス等で拭き取った後、そのまま机上に放置して自然乾燥させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-153541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、測量装置は、頭部が非常に大きいのに対し、底部(マウント部)は三脚の頭部に搭載できるように非常に小さい。そのため、日常メンテナンス時に測量装置を机上にそのまま置くと、人(作業者)などが不意に測量装置に接触した際に、測量装置が机上で転倒して破損するおそれがある。特に測量装置を自然乾燥させる場合は、測量装置が机上に放置される時間が長くなるため、測量装置の机上での転倒リスクが高くなる。
【0007】
本発明は、測量装置の日常メンテナンスなどの際に、測量装置が転倒するのを確実に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 上記の課題を解決するために創案された本発明は、測量装置を固定するための固定台であって、測量装置の底部が載置される載置面を有する台本体と、測量装置の底部を載置面に設けられた固定エリアに固定する固定具と、測量装置に対して気体を吹き付けて乾燥させる乾燥装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、机上などの任意の位置に固定台を配置し、固定台の載置面の固定エリアに固定具を用いて測量装置を固定すれば、測量装置が転倒するのを確実に防止できる。また、固定台は、測量装置に対して気体を吹き付けて乾燥させる乾燥装置を備えるため、測量装置の乾燥時間を自然乾燥させる場合に比べて大幅に短縮できる。その結果、測量装置が濡れている場合でも、測量装置を転倒リスクのないケースなどの安全な場所に早期に収納できる。
【0010】
(2) 上記(1)の構成において、乾燥装置は、載置面に気体の吹出口を備えることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、測量装置に下方から効率よく気体を吹き付けて乾燥させることができる。また、載置面上方の構成を簡素化できるため、測量装置を固定エリアに配置する際に邪魔になる部材が減り、配置作業が容易となる。
【0012】
(3) 上記(2)の構成において、吹出口は、載置面における固定エリアの内側に設けられ、測量装置の底面に対して気体を吹き出す内側吹出口と、載置面における固定エリアの外側に設けられ、測量装置の側面に対して気体を吹き出す外側吹出口とを備えることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、測量装置の底面および側面を効率よく乾燥させることができる。特に、測量装置が、測量装置の中心を地面の測点(ポイント)に合わせるための光学系(レンズ)を底面側に備える場合には、当該光学系を内側吹出口から吹き出される気体により効率よく乾燥させることができるという利点がある。
【0014】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかの構成において、測量装置の底部は、平面視で多角形状であり、固定具は、固定エリアに配置された測量装置の底部の各辺に沿って延び、固定エリアを囲繞する複数の位置決めバーと、各位置決めバーに設けられ、載置面との間で測量装置の底部を把持する複数の爪部材とを備えることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、位置決めバーおよび爪部材によって、測量装置を固定エリアに正しく位置決めして確実に固定することができる。
【0016】
(5) 上記(4)の構成において、複数の位置決めバーの一部が、載置面に揺動可能に設けられた揺動部材であり、揺動部材の揺動操作によって、複数の位置決めバーによって囲繞された固定エリアの側方が開閉可能であることが好ましい。
【0017】
揺動部材とされた位置決めバーの揺動操作によって、複数の位置決めバーによって囲繞された固定エリアの側方を開いた状態とすれば、その開口部を通じて測量装置を固定エリア内に移動させることができる。この際、測量装置を載置面に沿って滑らせながら固定エリアの外側から内側に移動させることができるため、測量装置の重量が大きくなった場合に特に有利である。なお、測量装置を固定エリア内に移動させた後は、揺動部材とされた位置決めバーの揺動操作によって、複数の位置決めバーによって囲繞された固定エリアの側方を再び閉じた状態とすれば、測量装置は固定エリアに確実に固定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測量装置の日常メンテナンスなどの際に、測量装置が転倒するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】測量装置の一例を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る固定台の平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】固定台に測量装置を固定した状態における固定具周辺の縦断面図である。
図5】固定台に測量装置を固定する手順を説明するための固定台の平面図である。
図6】固定具の変形例を示す断面図である。
図7】固定具の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態では、測量装置101としてトランシットを例示する。なお、測量装置101は、特に限定されるものではなく、レベル、トータルステーションなどの他の測量装置であってもよい。
【0022】
測量装置101は、旋回部などを含む頭部102と、頭部102を支持する底部103とを備える。底部103は、三脚の頭部に搭載されるマウント部とされる。底部103の高さおよび幅は、頭部102の高さおよび幅に比べて小さい。
【0023】
測量装置101の底部103は、平面視で三脚の頭部の形状に対応した三角形状(多角形状)の板状体である(図5を参照)。測量装置101の底部103の上面には、三角形状の三つの角部に対応する位置に、測量装置101の頭部102の姿勢を調整するための整準ネジ104が設けられている。測量装置101の底部103の下面側には、測量装置101の中心を地面の測点に合わせるためのレンズ(図示省略)が設けられている。
【0024】
図2および図3に示すように、本実施形態に係る固定台1は、上記の測量装置101の底部103を固定するものであって、台本体2と、固定具3と、乾燥装置4とを備える。
【0025】
台本体2は、測量装置101の底部103が載置される載置面5と、載置面5の下面に設けられた複数の脚部6とを備える。
【0026】
載置面5は、平面視で矩形状の板状体である。載置面5は、例えば、木製、樹脂製、金属製などとすることができるが、測量装置101を支持するのに十分な剛性が確保できる材質であれば特に限定されない。載置面5の厚みTは、例えば、5~12mmである。載置面5の一辺の長さL1,L2は、例えば、300mm~400mmである。ただし、載置面5の大きさは、固定された測量装置101が平面視で載置面5の外側に食み出さない大きさとすることが好ましい。なお、平面視における載置面5の形状は、特に限定されるものではなく、円形などの他の形状であってもよい。
【0027】
載置面5の上面には、測量装置101の底部103を固定するための所定の固定エリアFAが設けられている。固定エリアFAは、測量装置101の底部103の平面視形状に対応した三角形状である。
【0028】
載置面5の上面には、測量装置101の底部103を保護するためのクッション材7が貼り付けられている。クッション材7としては、例えば、フェルトや不織布などが利用できる。
【0029】
脚部6は、載置面5の四隅に計四つ設けられているが、脚部6の位置や数は特に限定されない。固定台1を水平な机上に置いた場合、載置面5は、脚部6によって水平に支持される。この状態で、机上を基準とした載置面5の上面(厳密には、本実施形態では、クッション材7の上面)の高さHは、例えば、机上から20mm~40mmである。この際、載置面5の下面は、脚部6によって机上から上方に離れ、載置面5の下面と机の上面との間には空間が形成される。この空間を利用して後述するファン11が配置されている。脚部6は、例えば、ゴムなどのクッション材から構成される。
【0030】
固定具3は、測量装置101の底部103を固定エリアFAに固定するためのものである。固定具3は、固定エリアFAを囲繞する複数の位置決めバー8と、各位置決めバー8に一つずつ設けられた複数の爪部材9とを備える。
【0031】
位置決めバー8は、直線状に延びる棒状体である。複数の位置決めバー8は、固定エリアFAに配置された測量装置101の底部103の各辺に沿って延びる。詳細には、本実施形態では、固定エリアFAは、測量装置101の底部103の平面視形状に対応した三角形状である。そして、三つの位置決めバー8が、三角形状の固定エリアFAの各辺に沿って配置されている。つまり、三つの位置決めバー8が、三角形状の固定エリアFAの周囲を区画している。なお、隣接する位置決めバー8の長手方向の端部同士は、接触していてもよいが、本実施形態では隙間を介して非接触となっている。
【0032】
爪部材9は、測量装置101の隣接する整準ネジ104の間に挿入可能なように、各位置決めバー8の上面から固定エリアFA側に突出するように設けられている。詳細には、図4に示すように、爪部材9は、測量装置101の隣接する整準ネジ104の間で、底部103上面と頭部102下面との間に挿入される。この状態で、爪部材9は、測量装置101の底部103の上面に乗り上げ、載置面5との間で測量装置101の底部103を把持する。なお、本実施形態では、爪部材9の先端部9aは、測量装置101の底部103の上面に乗り上げやすいように、上方に僅かに反っている。つまり、爪部材9の先端部9aは、先端側に向かって載置面5からの離間距離が漸次大きくなるようになっている。
【0033】
位置決めバー8および爪部材9は、測量装置101に傷が付かないように、樹脂製又は木製であることが好ましい。
【0034】
図2および図5に示すように、本実施形態では、一つの位置決めバー8は、載置面5に揺動可能に設けられた揺動バー(揺動部材)8aである。揺動バー8aの長手方向の一端部は、載置面5に固定された揺動軸10によって支持されている。この状態で、揺動バー8aは、揺動軸10を中心として揺動可能となっている。なお、残りの二つの位置決めバー8は、固定エリアFAの二辺に沿った位置で載置面5に固定された不動バー(不動部材)8bである。
【0035】
揺動バー8aは、揺動操作(矢印R方向の操作)によって、長手方向が固定エリアFAの一辺に沿った固定位置P1と、長手方向の他端部が固定エリアFA外に退避した退避位置P2との間を移動する。揺動バー8aを退避位置P2に位置させると、揺動バー8aに対応する位置で、固定エリアFAの側方に開口部が形成される。この開口部を通じて、図5に示すように、測量装置101の底部103を、載置面5に沿って矢印M方向に滑らせながら、固定エリアFAの外側(底部103を実線で図示した位置)から内側(底部103を一点鎖線で図示した位置)に移動させることができる。この移動過程で、測量装置101の底部103の側面を残りの二つの不動バー8bの側面と接触させることで、測量装置101の底部103を固定エリアFAに正確に位置決めできる。このように位置決めした後に、揺動バー8aを固定位置P1に移動させると、測量装置101の底部103の三つの側面に揺動バー8aおよび不動バー8bの各側面が接触するとともに、測量装置101の底部103の上面に三方向から各爪部材9が乗り上げる。これにより、測量装置101の水平方向移動および上下方向移動が規制され、測量装置101が固定エリアFAに確実に固定される。なお、説明の便宜上、図5では、測量装置101のうち、底部103および整準ネジ104のみを図示している。
【0036】
本実施形態では、爪部材9の先端部9aは、測量装置101の底部103を載置面5に沿って固定エリアFAまで移動させる際に整準ネジ104と干渉しないように、平面視で三角形状をなす。つまり、隣接する不動バー8bに設けられた爪部材9の間の離間距離(最短距離)Dは、測量装置101の整準ネジ104の直径よりも大きくなっている。
【0037】
図2および図3に示すように、乾燥装置4は、測量装置101に対して気体を吹き付けて乾燥させるものである。乾燥装置4は、載置面5の下面側に設けられたファン11と、載置面5に設けられた吹出口12とを備える。
【0038】
ファン11は、羽根を回転させて、乾燥用の気体(例えば、空気)Gを送り出す装置である。ファン11は、気体Gとして、温風を送り出すものであってもよいが、本実施形態では、加熱効果のない送風を送り出すように構成されている。送風とする理由は、加熱に伴う測量装置101の膨張によって、測量誤差が生じるのを防止するためである。
【0039】
ファン11は、載置面5の下面に取り付けられた容器13内に配置されている。容器13は、底部13aと側部13bとを有する有底筒状体である。容器13の上端開口部は、載置面5の下面によって塞がれている。つまり、ファン11は、容器13と載置面5とによって囲まれた空間内に収納されている。容器13の底部13aには、気体Gの吸込口14が設けられている。吸込口14には、図示は省略するが、容器13内へのゴミの侵入を防止するためのフィルタ(メッシュ)が取り付けられている。
【0040】
吹出口12は、ファン11から送り出される気体Gを上方に向かって吹き出す開口部である。吹出口12は、載置面5における固定エリアFAの内側に設けられた内側吹出口12aと、載置面5における固定エリアFAの外側に設けられた外側吹出口12bとを備える。なお、内側吹出口12aおよび外側吹出口12bは、載置面5のうち、容器13の側部13bの上端面が載置面5と接触する位置よりも内側に設けられている。内側吹出口12aおよび外側吹出口12bは、容器13内の空間と載置面5の上方空間とを連通するように、載置面5を表裏に貫通している。内側吹出口12aおよび外側吹出口12bには、図示は省略するが、容器13内へのゴミの侵入を防止するためのフィルタ(メッシュ)が設けられている。
【0041】
内側吹出口12aは、測量装置101の底部103の下面に対して気体Gを吹き出す開口部である。この気体Gの供給により、測量装置101の中心を地面の測点に合わせるためのレンズを備える測量装置101の底部103の下面を含む部分を効率よく乾燥させることができる。本実施形態では、内側吹出口12aは、平面視で円形状であり、固定エリアFAの中心に一つ形成されている。なお、内側吹出口12aの位置、形状、数などは特に限定されない。例えば、内側吹出口12aを固定エリアFAの内側に複数設けてもよい。
【0042】
外側吹出口12bは、測量装置101の頭部102の側面に対して気体Gを吹き出す開口部である。この気体Gの供給により、測量装置101の頭部102の側面を含む部分を効率よく乾燥させることができる。本実施形態では、外側吹出口12bは、平面視で直線スリット状であり、固定エリアFAを取り囲む所定の矩形状エリアの各辺に沿って四つ形成されている。なお、外側吹出口12bの位置、形状、数などは特に限定されない。例えば、外側吹出口12bは、平面視で円形状であり、固定エリアFAを取り囲む所定の円形状エリアの円周上に間隔を置いて複数形成されていてもよい。
【0043】
乾燥装置4によって気体Gを吹き付けて測量装置101を乾燥させることにより、測量装置101の乾燥時間を自然乾燥させる場合に比べて大幅に短縮できる。具体的には、自然乾燥させる場合の乾燥時間は約20~30分であり、乾燥装置4を用いた場合の乾燥時間は自然乾燥させる場合の約1/2となる。
【0044】
なお、本発明に係る固定台は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
上記の実施形態において、吹出口12は、載置面5の上方で竜巻状の旋回流が形成されるように、気体Gを吹き出すものであってもよい。竜巻状の旋回流を形成する構成としては、例えば、気流方向を調整するために、吹出口12にフィンを設けたり、吹出口12の向きを傾斜させたりすることが挙げられる。このようにすれば、気体Gが測量装置101を取り巻くように流れ、測量装置101の乾燥ムラを防止する効果が期待できる。
【0046】
上記の実施形態では、測量装置101の固定作業を容易にする観点から、位置決めバー8が載置面5に対して揺動する場合を説明したが、位置決めバー8は、固定エリアFA内に測量装置101の底部103を配置できる態様であれば特に限定されない。例えば、位置決めバー8は、載置面5に対して直線状に往復動するものであってもよいし、載置面5に対して着脱可能なものであってもよい。ただし、これらの変形例に係る態様の場合、位置決めバー8が載置面5に対して揺動可能な場合に比べて、測量装置101の固定作業が煩雑になる傾向にある。
【0047】
上記の本実施形態において、乾燥装置4は、ファン11の駆動時間を制御するタイマーをさらに備えていてもよい。このようにすれば、タイマーで設定した駆動時間が経過すると、ファン11が停止し、測量装置101に対する気体Gの吹き付けが自動的に終了する。
【0048】
上記の実施形態において、爪部材9は、測量装置101の底部103の厚みに応じて、爪部材9の高さ位置を調整可能な調整機構を備えていることが好ましい。これにより、固定対象となる測量装置101の底部103の厚みが変化しても、調整機構によって爪部材9の高さ位置が調整され、爪部材9と載置面5との間で底部103を確実に把持できる。調整機構としては、例えば、図6および図7に示すように、爪部材9の可動範囲を調整するストッパー15,16を備えたものが挙げられる。爪部材9の対応可動範囲(最も低い位置と最も高い位置との高低差)は、例えば8~15mmであることが好ましい。
【0049】
図6に示す例では、ストッパー15は、鍔状の頭部17と、頭部17に接続されたネジ部18と、ネジ部18が挿通されたスプリング19とを備える。頭部17は、位置決めバー8の上面に対応する位置で爪部材9の上面に当接可能である。ネジ部18は、爪部材9の貫通孔20に挿通されるとともに、位置決めバー8に設けられたネジ孔21に対する押込み量が調整可能となっている。スプリング19は、爪部材9の下面と位置決めバー8の上面(図例では、上面の凹部底面)の間に挿入されるとともに、位置決めバー8からの反力を受けて爪部材9を頭部17側(上方側)に押圧するようになっている。このようなスプリング19の押圧力により、爪部材9は、押し上げられて頭部17の下面に常に接触した状態となっている。ネジ部18の先端側には、抜け止め用のナット22が取り付けられている。貫通孔20は、爪部材9の可動を許容するよう、ネジ部18の直径よりも大きいことが好ましく、例えば、ネジ部18の直径よりも大きい長径を有する長孔で構成される。
【0050】
爪部材9の可動域は、頭部17の下面と位置決めバー8の上面との間の隙間の大きさにより規制される。頭部17と位置決めバー8との間の隙間の大きさは、ネジ孔21に対するネジ部18の押込み量により調整される。例えば、測量装置101の底部103の厚みが大きい場合は、ネジ部18の押込み量を相対的に小さくして爪部材9を図中の実線で示す状態とする。一方、例えば、測量装置101の底部103の厚みが小さい場合は、ネジ部18の押込み量を相対的に大きくして爪部材9を図中の一点鎖線で示す状態とする。
【0051】
なお、頭部17を指で回転させてネジ部18の押込み量を調整しやすいように、頭部17の周面にはローレット加工が施されていることが好ましい。同様に頭部17の操作性を向上させる観点からは、頭部17は、例えば直径が20mm程度、厚さが5mm程度の大きさであることが好ましい。スプリング19は設けなくてもよい。ただし、スプリング19を設けると、頭部17と位置決めバー8との間の隙間の大きさを管理しやすくなるという利点がある。
【0052】
図7に示す例では、ストッパー16は、鍔状の頭部23と、頭部23に接続された軸部24と、軸部24が挿通されたスプリング25とを備える。頭部23は、位置決めバー8の上面に対応する位置で爪部材9の上面に当接可能である。軸部24は、爪部材9の貫通孔20に挿通されるとともに、位置決めバー8に固定されている。スプリング25は、頭部23の下面と爪部材9の上面との間に挿入されるとともに、頭部23からの反力を受けて爪部材9を位置決めバー8側(下方側)に押圧するようになっている。
【0053】
爪部材9の可動域は、スプリング25の伸縮により調整される。例えば、測量装置101の底部103の厚みが小さい場合は、スプリング25が相対的に伸びて爪部材9が図中の実線で示す状態となる。一方、例えば、測量装置101の底部103の厚みが大きい場合は、スプリング25が相対的に縮んで爪部材9が図中の一点鎖線に示す状態となる。
【符号の説明】
【0054】
1 固定台
2 台本体
3 固定具
4 乾燥装置
5 載置面
6 脚部
7 クッション材
8 位置決めバー
8a 揺動バー
8b 不動バー
9 爪部材
9a 先端部
10 揺動軸
11 ファン
12 吹出口
12a 内側吹出口
12b 外側吹出口
13 容器
13a 底部
13b 側部
14 吸込口
15 ストッパー
16 ストッパー
17 頭部
18 ネジ部
19 スプリング
20 貫通孔
21 ネジ孔
22 ナット
23 頭部
24 軸部
25 スプリング
101 測量装置
102 頭部
103 底部
104 整準ネジ
D 離間距離
FA 固定エリア
G 乾燥用気体
P1 固定位置
P2 退避位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7