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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133851
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20240926BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240926BHJP
   G21K 1/00 20060101ALI20240926BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20240926BHJP
   G01T 1/20 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
G01N23/18
G01N23/04
G21K1/00 X
G01T7/00 A
G01T1/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043846
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】冨永 浩太
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA08
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA03
2G001MA04
2G001PA11
2G001QA01
2G001SA04
2G001SA14
2G188AA25
2G188BB02
2G188CC22
2G188DD11
2G188DD17
2G188DD30
2G188GG09
(57)【要約】
【課題】X線の漏洩をより確実に防止できるX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置1は、搬送部5と、X線照射部6と、X線検出部7と、X線検出部7を収容する筐体9の下部9cと、X線検出部7の検出結果に基づき物品Gの検査を行う制御部10と、を備える。搬送部5は、X線照射部6からX線検出部7に至るX線を通過させる通過領域Xを挟んで並設された一対の搬送ユニット20,30を有する。通過領域XとX線検出部7との間にはプレート部材54が設けられており、プレート部材54は、筐体9の一部である第3壁部93に取り付けられる。プレート部材54の表面54cは第3壁部93の上面93aより低い位置に位置する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記物品に電磁波を照射する照射部と、
前記照射部から照射され前記物品を透過した前記電磁波を検出する検出部と、
前記検出部を収容する筐体と、
前記検出部の検出結果に基づき前記物品の検査を行う検査部と、を備え、
前記搬送部は、前記照射部から前記検出部に至る前記電磁波を通過させる通過領域を挟んで並設された一対の搬送ユニットを有し、
前記通過領域と前記検出部との間にはプレート部材が設けられており、
前記プレート部材は、前記筐体の一部である壁部に取り付けられ、前記プレート部材の表面は前記壁部の上面より低い位置に位置する、X線検査装置。
【請求項2】
前記筐体の前記壁部は、前記通過領域と前記検出部との間に位置する開口を有し、
前記プレート部材は、前記開口に嵌り込むと共に前記表面を含む突出板部と、前記突出板部から張り出すと共に前記壁部の裏面に対面するベース板部とを有し、
前記ベース板部に対して前記突出板部が突出する高さは、前記開口の周囲における前記壁部の厚みより小さい、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記ベース板部と前記壁部の裏面との間には弾性部材が介在する、請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記通過領域とプレート部材の間であって前記通過領域の側方には遮蔽ブロックが設けられている、請求項1~3の何れか一項に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、X線通過領域を挟んで並設された一対の搬送ユニットを有するX線検査装置が知られている。この装置では、X線照射部が一対の搬送ユニットの一方(上方)に設けられ、X線検出部が一対の搬送ユニットの他方(下方)に設けられている。X線照射部から照射されたX線が、物品を透過し、X線通過領域を通過してX線検出部に入射する。X線は、光に変換され、さらに電気信号に変換されて、制御部においてX線透過画像が生成される。特許文献2に記載された装置においても、上流側コンベアと下流側コンベアの間に隙間が設けられており、隙間の上にX線源があり、隙間の下に検出部がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-155561号公報
【特許文献2】特開2019-7859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置において、搬送ユニットはコンベア等からなるが、その下には隙間が存在する。例えば、X線検出部を収容する筐体とコンベアとの間に隙間が存在する。隙間からX線が漏れることを防止するため、搬送ユニットには、X線通過領域の近傍に遮蔽部材等が設けられる。特許文献2の装置においても、複数の遮蔽部材が設けられる。
【0005】
一方、X線通過領域とX線検出部との間に、X線検出部X線の透過を許容しつつ、例えば装置内部の防水性を高める等の目的で、プレート部材が設けられることがある。プレート部材の表面でX線が散乱すると、散乱X線が遮蔽部材と他の部材との間の僅かな隙間を抜けて漏洩する虞がある。
【0006】
本発明は、X線の漏洩をより確実に防止できるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係るX線検査装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される物品に電磁波を照射する照射部と、照射部から照射され物品を透過した電磁波を検出する検出部と、検出部を収容する筐体と、検出部の検出結果に基づき物品の検査を行う検査部と、を備える。搬送部は、照射部から検出部に至る電磁波を通過させる通過領域を挟んで並設された一対の搬送ユニットを有し、通過領域と検出部との間にはプレート部材が設けられており、プレート部材は、筐体の一部である壁部に取り付けられ、プレート部材の表面は壁部の上面より低い位置に位置する。
【0008】
このX線検査装置によれば、一対の搬送ユニットの間の通過領域と、検出部との間にはプレート部材が設けられている。プレート部材の表面が筐体の壁部の上面よりも低い位置に位置するため、当該表面で散乱したX線は、壁部の厚みが露出した部分(段差部)により阻止されて、更なる外部への漏洩は低減される。よって、X線の漏洩をより確実に防止できる。
【0009】
(2)上記(1)に係るX線検査装置では、筐体の壁部は、通過領域と検出部との間に位置する開口を有し、プレート部材は、開口に嵌り込むと共に表面を含む突出板部と、突出板部から張り出すと共に壁部の裏面に対面するベース板部とを有し、ベース板部に対して突出板部が突出する高さは、開口の周囲における壁部の厚みより小さくてもよい。この場合、ベース板部が壁部の裏面に当接したとしても(又は当接しそうなくらい近づいたとしても)、突出板部の表面は、壁部の上面よりも低い位置に確実に位置する。
【0010】
(3)上記(2)に係るX線検査装置では、ベース板部と壁部の裏面との間には弾性部材が介在してもよい。弾性部材は、例えば、プレート部材と壁部との間で密閉性を高める等の役割を果たす。弾性部材が介在する分、突出板部の表面は、壁部の上面よりも更に低い位置に位置する。
【0011】
(4)上記(1)~(3)の何れか1つに係るX線検査装置では、通過領域とプレート部材の間であって通過領域の側方には遮蔽ブロックが設けられていてもよい。この場合、上記の段差部に加えて遮蔽ブロックがX線を遮蔽する。よって、X線の漏洩対策がより万全となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、X線の漏洩をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置の正面図である。
図2図2は、図1のX線検査装置の斜視図である。
図3図3は、図1中の搬送部の平面図である。
図4図4は、通過領域を通る鉛直面でX線検査装置を切断した断面図である。
図5図5は、搬送部の下方に設けられた壁部、遮蔽ブロック及びプレート部材を示す断面図である。
図6図6は、図5の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1に示されるように、X線検査装置1は、装置本体2と、支持脚3と、シールドボックス(筐体)4と、搬送部5と、X線照射部6と、X線検出部7と、表示操作部(報知部)8と、制御部10と、を備えている。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。検査前の物品Gは、搬入コンベア20aによってX線検査装置1に搬入される。検査後の物品Gは、搬出コンベア30aによってX線検査装置1から搬出される。X線検査装置1によって不良品と判定された物品Gは、搬出コンベア30aの下流に配置された振分装置(図示省略)よって生産ライン外に振り分けられる。X線検査装置1によって良品と判定された物品Gは、当該振分装置をそのまま通過する。
【0016】
装置本体2は、制御部10等を収容している。支持脚3は、装置本体2を支持している。シールドボックス4は、装置本体2に設けられている。シールドボックス4は、外部へのX線の漏洩を防止する。シールドボックス4の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。シールドボックス4には、搬入口4a及び搬出口4bが形成されている。検査前の物品Gは、搬入コンベア20aから搬入口4aを介して検査領域Rに搬入される。検査後の物品Gは、検査領域Rから搬出口4bを介して搬出コンベア30aに搬出される。搬入口4a及び搬出口4bのそれぞれには、X線の漏洩を防止するX線遮蔽カーテン(図示省略)が設けられている。
【0017】
搬送部5は、シールドボックス4内に配置されている。搬送部5は、搬入口4aから検査領域Rを介して搬出口4bまで、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部5は、例えば、搬入口4aと搬出口4bとの間に掛け渡されたベルトコンベアである。
【0018】
装置本体2は、例えばX線等の電磁波を遮蔽可能な材料からなる筐体9を有する。図2に示されるように、筐体9は、前面に表示操作部8が設けられた上部9aと、上下方向に延びる背部9bと、背部9bから前方に突出する下部9cとを含む。搬送方向Aの下流側から見て、上部9aの第1壁部91、背部9bの第2壁部92及び下部9cの第3壁部93は前方に開放するU字状をなし(図4参照)、これらの壁部に囲まれた空間内に、搬入コンベア20a及び搬出コンベア30aのうちの通過領域X(後述する)の近傍部分が配置されている。シールドボックス4の前面は、メンテナンス時等に開閉される遮蔽カバー4cによって覆われている。
【0019】
図1及び図4に示されるように、X線照射部6は、例えば、筐体9の上部9a内に配置されている。X線照射部6は、搬送部5によって搬送される物品GにX線(電磁波)を照射する。X線照射部6は、例えば、X線を出射するX線管と、X線管から出射されたX線を搬送方向Aに垂直な面内において扇状に広げるコリメータと、を有している。
【0020】
X線検出部7は、筐体9の下部9c内に配置されている。X線検出部7は、X線照射部6により照射され物品Gを透過したX線を検出する。X線検出部7は、例えば、ラインセンサとして構成されている。具体的には、X線検出部7は、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列された複数のフォトダイオードと、各フォトダイオードに対してX線入射側に配置されたシンチレータと、を有している。この場合、X線検出部7では、シンチレータに入射したX線が光に変換され、各フォトダイオードに入射した光が電気信号に変換される。
【0021】
図1及び図2に示されるように、表示操作部8は、筐体9の上部9aに設けられ、前方を向いている。表示操作部8は、各種情報を表示する(すなわち、オペレータに運転状態を報知する)と共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部8は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部8を介して各種条件を入力することができる。表示操作部8は、X線検査装置1における各種の異常を報知する。筐体9の上部9a上には、同じく報知部として機能する報知灯11が立設されている。
【0022】
制御部10は、装置本体2内に配置されている。制御部10は、X線検査装置1の各部の動作を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部10には、X線検出部7から出力されてA/D変換された信号が入力される。制御部10は、X線検出部7から出力された信号に基づいて物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査を行う検査部として機能する。
【0023】
図3に示されるように、搬送部5は、一対の搬送ユニット20,30と、X線遮蔽ユニット40と、を有している。一対の搬送ユニット20,30は、X線照射部6からX線検出部7に至るX線(図1参照)の通過領域Xを挟んで並設されている。これにより、X線の検出感度の向上や、搬送部5のメンテナンス性の向上が図られている。なお、通過領域Xは、方向Bに沿って延在している。方向Bは、搬送部5の搬送する第1方向(すなわち、搬送方向A)及びX線照射部6とX線検出部7とが対向する第2方向(図1参照)の両方向に交差する第3方向である。
【0024】
搬送方向Aにおける上流側に配置された搬送ユニット20は、フレーム21と、複数の搬送ローラ22,23と、搬送ベルト24と、を有している。フレーム21は、モータボックス26を介して装置本体2(シールドボックス4)に取り付けられている。各搬送ローラ22,23は、フレーム21によって回転可能に支持されている。一例として、搬送方向Aにおける上流側に配置された搬送ローラ23は駆動ローラであり、搬送方向Aにおける下流側に配置された搬送ローラ22は従動ローラである。搬送ベルト24は、無端ベルトであり、複数の搬送ローラ22,23に架けられている。
【0025】
搬送方向Aにおける下流側に配置された搬送ユニット30は、フレーム31と、複数の搬送ローラ32,33と、搬送ベルト34と、を有している。フレーム31は、モータボックス36を介して装置本体2(シールドボックス4)に取り付けられている。各搬送ローラ32,33は、フレーム21によって回転可能に支持されている。一例として、搬送方向Aにおける下流側に配置された搬送ローラ32は駆動ローラであり、搬送方向Aにおける上流側に配置された搬送ローラ33は従動ローラである。搬送ベルト34は、無端ベルトであり、複数の搬送ローラ32,33に架けられている。
【0026】
X線遮蔽ユニット40は、第1X線遮蔽部材41と、第2X線遮蔽部材42と、を有している。第1X線遮蔽部材41及び第2X線遮蔽部材42は、それぞれ、金属からなる板材によって形成されている。第1X線遮蔽部材41は、搬送ユニット20のフレーム21に取り付けられている。第1X線遮蔽部材41は、方向Bにおける通過領域Xの一方の端部X1においてX線を遮蔽する。第2X線遮蔽部材42は、搬送ユニット30のフレーム31に取り付けられている。第2X線遮蔽部材42は、方向Bにおける通過領域Xの他方の端部X2においてX線を遮蔽する。
【0027】
制御部10は、例えばX線検査装置1の起動時に、X線を照射するようにX線照射部6を制御し、X線検出部7から出力された信号に基づいてX線透過画像を生成する。そして、制御部10は、生成したX線透過画像に基づいて、一対の搬送ユニット20,30のそれぞれが装着されているか否かを判定する。
【0028】
例えば、搬送ユニット20が装着されており、搬送ユニット30が装着されていない場合には、通過領域Xの端部X1においては第1X線遮蔽部材41によってX線が遮蔽され、通過領域Xの端部X2においてはX線が遮蔽されないから、制御部10は、生成したX線透過画像に基づいて、搬送ユニット20が装着されており、搬送ユニット30が装着されていないと判定することができる。また、搬送ユニット30が装着されており、搬送ユニット20が装着されていない場合には、通過領域Xの端部X2においては第2X線遮蔽部材42によってX線が遮蔽され、通過領域Xの端部X1においてはX線が遮蔽されないから、制御部10は、生成したX線透過画像に基づいて、搬送ユニット30が装着されており、搬送ユニット20が装着されていないと判定することができる。
【0029】
更に、一対の搬送ユニット20,30がいずれも装着されている場合には、通過領域Xの端部X1においては第1X線遮蔽部材41によってX線が遮蔽され、通過領域Xの端部X2においては第2X線遮蔽部材42によってX線が遮蔽されるから、制御部10は、生成したX線透過画像に基づいて、一対の搬送ユニット20,30がいずれも装着されていると判定することができる。また、一対の搬送ユニット20,30がいずれも装着されていない場合には、通過領域Xの両方の端部X1,X2においてX線が遮蔽されないから、制御部10は、生成したX線透過画像に基づいて、一対の搬送ユニット20,30がいずれも装着されていないと判定することができる。
【0030】
制御部10は、一対の搬送ユニット20,30のうちの少なくとも1つが装着されていないと判定した場合に、X線の照射を停止するようにX線照射部6を制御する。また、制御部10は、上述した判定の結果を表示するように表示操作部8を制御する。特に、制御部10は、一対の搬送ユニット20,30のうちの少なくとも1つが装着されていないと判定した場合に、装着されていない搬送ユニット(搬送ユニット20のみか、搬送ユニット30のみか、或いは搬送ユニット20,30の両方か)を特定して表示するように表示操作部8を制御する。
【0031】
続いて、図4図5及び図6を参照して、一対の搬送ユニット20,30間に形成された通過領域Xより下方、すなわち通過領域XとX線検出部7との間に設けられたX線(電磁波)の遮蔽に係る構成について説明する。図4に示されるように、筐体9の下部9cは、X線検出部7を収容する。下部9cのうち搬送部5に対面する壁部である第3壁部93には、X線を透過させるよう方向Bに延びる開口93eが形成されている。なお、図4では、X線照射部6、搬送ユニット20(搬送部5)、第3壁部93の開口93e、及びX線検出部7の位置関係をわかりやすくするため、後述するプレート部材54等からなる開口93eの閉鎖構造の図示は省略されている。
【0032】
図5及び図6に示されるように、通過領域XとX線検出部7(下部9c内で通過領域Xの下方に配置されている)との間にはプレート部材54が設けられている。プレート部材54は、X線等の電磁波を透過可能な材料からなる。プレート部材54は、例えばカーボンプレートである。なお、プレート部材54は、例えば樹脂製等であってもよい。上記開口93eは、通過領域XとX線検出部7との間に位置する。プレート部材54は、開口93eよりも大きな矩形平板状のベース板部54aと、ベース板部54aから突出し開口93e内に嵌り込む矩形の突出板部54bとを含む。プレート部材54は、X線の透過を許容すると共に、例えばメンテナンス時において洗浄水等が下部9cに入り込むことを防止する。突出板部54bは、平面視において開口93eよりも僅かに小さな長方形状を呈する。プレート部材54のベース板部54aは第3壁部93の裏面93bに対面しており、ベース板部54aと第3壁部93の裏面93bとの間には例えばガスケット(弾性部材)57が介在する。ガスケット57は、プレート部材54による(下部9cにおける)防水性及び防塵性を高める。
【0033】
プレート部材54及びガスケット57は、これらの下に配置された矩形板状の押さえ部材56及び複数の締結部材59によって第3壁部93に固定される。締結部材59の締結力により、ガスケット57は厚み方向に圧縮される。通過領域XとX線検出部7とを結ぶ平面を含むX線の照射領域には、これらの部材には開口が設けられるか、又は部材の厚みが薄くされている。プレート部材54の中央部の裏面には、方向Bに延びる座ぐり部54fが形成されており、上面に薄肉部54gが残されている。また押さえ部材56の中央部には、方向Bに延びる開口56eが形成されている。
【0034】
さらに、通過領域Xとプレート部材54の間であって通過領域Xの両側方(図5に示す左右の両側方)には、一対の遮蔽ブロック52,53が設けられている。遮蔽ブロック52及び遮蔽ブロック53は、それぞれ、搬送ローラ22と第3壁部93との間、及び、搬送ローラ32と第3壁部93との間において方向Bに延びる。遮蔽ブロック52,53は、方向Bの両端部の位置において取付ねじ55によって搬送ユニット20,30に固定されている。遮蔽ブロック52,53は、方向Bの両端部に設けられた端部ブロック52a,53aと、開口93eの搬送方向Aに交差する一対の縁部(方向Bに延びる縁部)に沿って延在する遮蔽壁52b,53aとを含む。これらは、搬送ユニット20,30と第3壁部93との間に形成された隙間Cにおいて、通過領域Xと開口93eとの間(プレート部材54のプレート部材54との間)の空間を可能な限り遮蔽している。
【0035】
図5に示されるように、プレート部材54は、筐体9の一部である第3壁部93に取り付けられている。ここで、図6に示されるように、ベース板部54aに対して突出板部54bが突出する高さHは、開口93eの周囲における第3壁部93の厚みTより小さい。突出板部54bの表面54cは、第3壁部93の上面93aより低い位置に位置している。すなわち、突出板部54bの表面54cは、第3壁部93の上面93aより下がって(引っ込んで)おり、開口93eの周面としての第3壁部93の厚みの一部が露出している。
【0036】
本実施形態のX線検査装置1によれば、一対の搬送ユニット20,30の間の通過領域XとX線検出部7との間にはプレート部材54が設けられている。プレート部材54の表面54cが第3壁部93の上面93aよりも低い位置に位置するため、当該表面54cで散乱したX線は、第3壁部93の厚みが露出した部分(段差部)により阻止されて、更なる外部への漏洩は低減される。よって、X線の漏洩をより確実に防止できる。特に、カーボンプレートの表面ではX線が散乱しやすく、散乱したX線が(例えば遮蔽ブロック52,53と第3壁部93の間の間隙を介して)隙間Cの方へと漏洩する可能性があるが、上記作用効果により、X線の外部への漏洩は低減される。
【0037】
ベース板部54aに対して突出板部54bが突出する高さHは、開口93eの周囲における第3壁部93の厚みTより小さい。これにより、ベース板部54aが第3壁部93の裏面93bに限りなく近づいた場合でも、突出板部54bの表面54cは、第3壁部93の上面93aよりも低い位置に確実に位置する。
【0038】
ガスケット57は、例えば、プレート部材54と第3壁部93との間で密閉性を高める等の役割を果たす。ガスケット57が介在する分、突出板部54bの表面54cは、第3壁部93の上面93aよりも更に低い位置に位置する。すなわち、上記した段差部(第3壁部93の厚みの一部)の露出面積が大きくなる。
【0039】
また上記の段差部に加えて、遮蔽ブロック52,53がX線を遮蔽する。よって、X線の漏洩対策がより万全となる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、ガスケット57等の弾性部材(介在部材)が省略されてもよい。プレート部材54が、上記とは別の形状を有してもよい。座ぐり部54fが形成されなくてもよい。プレート部材が、例えば開口93eに嵌り込む単一のブロック状をなしてもよい。プレート部材が、例えば第3壁部93の裏面93bに対面する単一の平板状をなしてもよい。
【0041】
照射部により照射され、検出部によって検出される電磁波はX線に限られない。
【符号の説明】
【0042】
1…X線検査装置、4…シールドボックス、5…搬送部、6…X線照射部(照射部)、7…X線検出部(検出部)、8…表示操作部(報知部)、9…筐体、10…制御部(検査部)、20,30…搬送ユニット(一対の搬送ユニット)、52,53…遮蔽ブロック、54…プレート部材、54a…ベース板部、54b…突出板部、54c…表面、57…ガスケット(弾性部材)、93…第3壁部(壁部)、93a…上面、93e…開口、H…高さ、T…厚み。
図1
図2
図3
図4
図5
図6