(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133857
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよび電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240926BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043853
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 透典
(72)【発明者】
【氏名】徳永 翔平
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩慶
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 優
(72)【発明者】
【氏名】沢木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】友田 侑希
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA04
5H770AA21
5H770DA03
5H770HA02Y
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA11
5H770QA13
5H770QA28
5H770QA35
(57)【要約】
【課題】構成の簡略化や小型化、更にシールド効果に貢献可能な半導体モジュールや電力変換装置を提供する。
【解決手段】半導体モジュール2のケース20に重畳して設けられている回路基板3と、半導体モジュール2の複数相の電流を出力する複数個の導体4と、それぞれ磁電変換部5aおよびシールド部5bを別体で有している複数個の電流センサ5と、を備えたものとする。電流センサ5それぞれは、磁電変換部5aが、回路基板3の一端側面3aに実装され、シールド部5bにおいては、基台部50の両端から当該基台部50を交差する方向の一方側に延出している一対の側壁部51,52が、当該回路基板3の他端側面3bから一端側面3aに貫通し、当該一対の側壁部51,52間に磁電変換部5aが位置する。基台部50は、ケース20と回路基板3との両者間に介在する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュールのケースに重畳して設けられている回路基板と、
前記半導体モジュールの複数相の電流を出力する複数個の導体と、
それぞれ磁電変換部およびシールド部を別体で有している複数個の電流センサと、
を備え、
前記ケースは、駆動基板が敷設されているケース本体と遮蔽カバーとを有して成り、
前記複数個の電流センサそれぞれは、
前記磁電変換部が、前記回路基板における前記ケースの反対側である一端側面に、実装されており、
前記シールド部が、基台部と、当該基台部における互いに対向する方向の両端から当該基台部を交差する方向の一方側に延出している一対の側壁部と、を備えており、
前記基台部が、前記ケース本体と前記回路基板の他端側面との間に介在しており、
前記一対の側壁部が前記回路基板の他端側面から一端側面に貫通し、当該一対の側壁部間に前記磁電変換部が位置しており、
前記基台部と前記回路基板の他端側面との間に、前記複数個の導体のうち何れかが貫通している、
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記ケース本体は、前記複数個の電流センサの各シールド部の基台部と対向している対向部位に、それぞれ凹状のケース溝穴が設けられており、
前記複数個の電流センサの各シールド部は、それぞれ前記基台部側が前記ケース溝穴内に係合することにより、前記ケース本体に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における対向方向側の側壁部内側面それぞれに、凹状の側壁部溝穴が設けられており、
前記側壁部溝穴内に、前記回路基板における前記磁電変換部の実装位置の外周側のうち前記一対の側壁部側の外周縁部が係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における対向方向側の側壁部内側面それぞれに、モールド材料をコーティングして形成されたモールド層が設けられており、
前記モールド層は、凹状のモールド層溝穴が設けられており、
前記モールド層溝穴内に、前記回路基板における前記磁電変換部の実装位置の外周側のうち前記一対の側壁部側の外周縁部が係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における対向方向側の側壁部内側面それぞれに、または/および当該一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面それぞれに、モールド材料をコーティングして形成されたモールド層が設けられており、
前記側壁部内側面側のモールド層または/および前記側壁部外側面側のモールド層に、前記一対の側壁部における配列方向に突出し弾性を有している弾性突出部が設けられており、
前記弾性突出部が、前記回路基板の一端側面における前記磁電変換部の実装位置の外周側のうち前記一対の側壁部側に係止することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における前記回路基板の一端側面から突出している一端側面突出部位において、当該一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に、当該離反方向側に突出している突出部が設けられており、
前記一端側面突出部位を支持する支持台が、前記回路基板の一端側面に支持されており、
前記支持台は、
前記一対の側壁部における延出方向の各先端部に跨って延在している梁部と、
前記梁部の延在方向の両端からそれぞれ前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に沿って前記回路基板の一端側面側に延出し、当該延出方向の先端部が当該一端側面に支持されている一対の支柱部と、を備え、
前記一対の支柱部における対向方向側の支柱部内側面それぞれに、凹状の支柱部溝穴が設けられており、
前記突出部が、前記支柱部溝穴内に係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に、モールド材料をコーティングして形成されたモールド層が設けられており、
前記モールド層は、当該モールド層から突出しているモールド層突出部が設けられており、
前記一対の側壁部における前記回路基板の一端側面から突出している一端側面突出部位を支持する支持台が、当該回路基板の一端側面に支持されており、
前記支持台は、
前記一対の側壁部における延出方向の各先端部に跨って延在している梁部と、
前記梁部の延在方向の両端からそれぞれ前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に沿って前記回路基板の一端側面側に延出し、当該延出方向の先端部が当該一端側面に支持されている一対の支柱部と、を備え、
前記一対の支柱部における対向方向側の支柱部内側面それぞれに、凹状の支柱部溝穴が設けられており、
前記モールド層突出部が、前記支柱部溝穴内に係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記一対の側壁部における前記回路基板の他端側面から突出している他端側面突出部位を支持する支持台が、当該回路基板の他端側面に支持されており、
前記支持台は、
前記基台部に沿って延在している梁部と、
前記梁部の延在方向の両端からそれぞれ前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面側に沿って前記回路基板の他端側面側に延出し、当該延出方向の先端部が当該他端側面に支持されている一対の支柱部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記一対の側壁部は、互いに近接する方向に傾斜して、それぞれの延出方向の先端部の両者間が互いに近接し、当該両者間にスリット状の間隙部を形成していることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の半導体モジュール。
【請求項10】
請求項1~8の何れかに記載の半導体モジュールを備え、複数相の電流を出力することが可能なことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールおよび電力変換装置に係るものであって、例えば当該半導体モジュールを備えているインバータ等に適用可能な電流センサ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば複数相の交流電力を出力するインバータ等の電力変換装置においては、当該電力変換装置の筐体(以下、単に筐体と適宜称する)内に、スイッチング素子等を搭載した半導体モジュール(パワー半導体モジュール等)や、当該半導体モジュールを制御する回路基板等を収容したり、その他に必要部品等を適宜収容した構成が挙げられる。
【0003】
また、電力変換装置の出力は、例えば半導体モジュールの出力端子に接続されている導体に流れる電流(三相の出力電流等)を電流センサにより検出し、その検出結果に応じて適宜制御することが可能である。
【0004】
電流センサとしては、例えば
図15に示すように、複数個の磁電変換部71やコネクタ72が実装されているセンサ用基板73と、半導体モジュールの導体(出力端子)に接続するための接続用導体74と、シールド効果(磁束安定化や、周辺部品からの磁界の抑制等の効果)を目的としたシールド部75と、をモールド部材76によって一体化したモジュール構造のセンサ7が知られている。
【0005】
このようなモジュール構造のセンサ7によれば、当該半導体モジュールの導体に流れる電流を検出して適宜制御することは可能であるが、当該モジュール構造によっては、筐体内での配置構成や支持構成等が制限され、装置の複雑化や大型化(例えば、組立工数や部品点数の増加)を招くおそれがある。例えば、センサ7によって検出した検出結果を回路基板に送信するためには、例えばコネクタ72と回路基板との間を接続する信号用ケーブル等が、必要になる。
【0006】
特許文献1では、スイッチング素子等を収容する半導体モジュールケース(特許文献1では、符号10で示す端子側)に、複数個の電流センサを埋め込むように一体化(一体樹脂成形)した構成が提案されている。
【0007】
特許文献2では、回路基板に複数個の磁電変換部を実装し、当該回路基板の外周縁側(特許文献2では、符号30sで示す回路基板側面側)にシールド部を対向配置した構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-343820号公報
【特許文献2】国際公開2018/230030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示すように単に磁電変換部を半導体モジュールケースに一体化させた構成の場合、シールド部を備えていないため、所望のシールド効果が得られないおそれがある。また、各電流センサの検出結果を利用するには、当該各電流センサにコネクタ(特許文献1では、符号14,15で示す信号処理回路,外部出力端子)やコネクタケーブル等を設ける必要があるため、装置の複雑化や大型化を招くおそれもある。
【0010】
特許文献2に示すように単に回路基板の外周縁側にシールド部を対向配置した構成の場合、所望のシールド効果が得られる可能性はある。しかしながら、シールド部を筐体(特許文献2では、符号10で示す筐体)に支持するための支持部材(特許文献2では、符号25で示す支持部材)を、例えば回路基板の外周側に配置する必要がある。このため、特許文献1同様に、製品の複雑化や大型化を招くおそれがある。
【0011】
本発明は、前述のような技術的課題に鑑みてなされたものであって、装置の簡略化や小型化、更にシールド効果に貢献可能な半導体モジュールおよび電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る半導体モジュールの一態様は、半導体モジュールのケースに重畳して設けられている回路基板と、前記半導体モジュールの複数相の電流を出力する複数個の導体と、それぞれ磁電変換部およびシールド部を別体で有している複数個の電流センサと、を備え、前記ケースは、駆動基板が敷設されているケース本体と遮蔽カバーとを有して成るものである。そして、前記複数個の電流センサそれぞれは、前記磁電変換部が、前記回路基板における前記ケースの反対側である一端側面に、実装されており、前記シールド部が、基台部と、当該基台部における互いに対向する方向の両端から当該基台部を交差する方向の一方側に延出している一対の側壁部と、を備えており、前記基台部が、前記ケース本体と前記回路基板の他端側面との間に介在しており、前記一対の側壁部が前記回路基板の他端側面から一端側面に貫通し、当該一対の側壁部間に前記磁電変換部が位置しており、前記基台部と前記回路基板の他端側面との間に、前記複数個の導体のうち何れかが貫通している、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、前記ケース本体は、前記複数個の電流センサの各シールド部の基台部と対向している対向部位に、それぞれ凹状のケース溝穴が設けられており、前記複数個の電流センサの各シールド部は、それぞれ前記基台部側が前記ケース溝穴内に係合(嵌入)することにより、前記ケース本体に支持されていることを特徴としても良い。
【0014】
また、前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における対向方向側の側壁部内側面それぞれに、凹状の側壁部溝穴が設けられており、前記側壁部溝穴内に、前記回路基板における前記磁電変換部の実装位置の外周側のうち前記一対の側壁部側の外周縁部が係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴としても良い。
【0015】
また、前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における対向方向側の側壁部内側面それぞれに、モールド材料をコーティングして形成されたモールド層が設けられており、前記モールド層は、凹状のモールド層溝穴が設けられており、前記モールド層溝穴内に、前記回路基板における前記磁電変換部の実装位置の外周側のうち前記一対の側壁部側の外周縁部が係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴としても良い。
【0016】
また、前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における対向方向側の側壁部内側面それぞれに、または/および当該一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面それぞれに、モールド材料をコーティングして形成されたモールド層が設けられており、前記側壁部内側面側のモールド層または/および前記側壁部外側面側のモールド層に、前記一対の側壁部における配列方向に突出し弾性を有している弾性突出部が設けられており、前記弾性突出部が、前記回路基板の一端側面における前記磁電変換部の実装位置の外周側のうち前記一対の側壁部側に係止することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴としても良い。
【0017】
また、前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における前記回路基板の一端側面から突出している一端側面突出部位において、当該一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に、当該離反方向側に突出している突出部が設けられており、前記一端側面突出部位を支持する支持台が、前記回路基板の一端側面に支持されており、前記支持台は、前記一対の側壁部における延出方向の各先端部に跨って延在している梁部と、前記梁部の延在方向の両端からそれぞれ前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に沿って前記回路基板の一端側面側に延出し、当該延出方向の先端部が当該一端側面に支持されている一対の支柱部と、を備え、前記一対の支柱部における対向方向側の支柱部内側面それぞれに、凹状の支柱部溝穴が設けられており、前記突出部が、前記支柱部溝穴内に係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴としても良い。
【0018】
また、前記複数個の電流センサの各シールド部は、前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に、モールド材料をコーティングして形成されたモールド層が設けられており、前記モールド層は、当該モールド層から突出しているモールド層突出部が設けられており、前記一対の側壁部における前記回路基板の一端側面から突出している一端側面突出部位を支持する支持台が、当該回路基板の一端側面に支持されており、前記支持台は、前記一対の側壁部における延出方向の各先端部に跨って延在している梁部と、前記梁部の延在方向の両端からそれぞれ前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面に沿って前記回路基板の一端側面側に延出し、当該延出方向の先端部が当該一端側面に支持されている一対の支柱部と、を備え、前記一対の支柱部における対向方向側の支柱部内側面それぞれに、凹状の支柱部溝穴が設けられており、前記モールド層突出部が、前記支柱部溝穴内に係合することにより、前記各シールド部が前記回路基板に支持されていることを特徴としても良い。
【0019】
また、前記一対の側壁部における前記回路基板の他端側面から突出している他端側面突出部位を支持する支持台が、当該回路基板の他端側面に支持されており、前記支持台は、前記基台部に沿って延在している梁部と、前記梁部の延在方向の両端からそれぞれ前記一対の側壁部における離反方向側の側壁部外側面側に沿って前記回路基板の他端側面側に延出し、当該延出方向の先端部が当該他端側面に支持されている一対の支柱部と、を備えていることを特徴としても良い。
【0020】
また、前記一対の側壁部は、互いに近接する方向に傾斜して、それぞれの延出方向の先端部の両者間が互いに近接し、当該両者間にスリット状の間隙部を形成していることを特徴としても良い。
【0021】
また、前記半導体モジュールを備え、複数相の電流を出力することが可能なことを特徴とする電力変換装置としても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上示したように本発明によれば、装置の簡略化や小型化、更にシールド効果に貢献可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例による電力変換装置1を説明するための概略構成図((A)は半導体モジュール2を省略して描写した電力変換装置10の概略斜視図、(B)は回路基板3側から臨んだ電力変換装置10の概略構成図、(C)は(A)を電流センサ5側から臨んだ図)。
【
図2】電力変換装置1における半導体モジュール2の一例を説明するための概略構成図((A)はフランジ部25を有する半導体モジュール2の概略斜視図、(B)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1の要部)。
【
図3】電力変換装置1における半導体モジュール2の他例を説明するための概略構成図((A)はケース溝穴28を有する半導体モジュール2において遮蔽カバー2bを省略して描写した概略斜視図、(B)は(A)の部分拡大図)。
【
図4】実施例3によるシールド部5cを説明するための概略構成図。
【
図5】シールド部5cを適用した場合の電流センサ5を説明するための概略構成図(
図1(C)に相当する図)。
【
図6】実施例3によるシールド部5dを説明するための概略構成図。
【
図7】実施例4による電力変換装置1Aおよびシールド部5bの支持構成を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1A用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Aの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Aの要部)。
【
図8】実施例5による電力変換装置1Bおよびシールド部5bの支持構成を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1B用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Bの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Bの要部)。
【
図9】実施例6による電力変換装置1Cおよびシールド部5bの支持構成を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1C用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Cの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Cの要部)。
【
図10】実施例7による電力変換装置1Dおよびシールド部5bの支持構成を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1D用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Dの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Dの要部)。
【
図11】梁部80のスナップフィット構造の一例を説明するための概略構成図(図示X軸方向の一方側から臨んだ図)。
【
図12】実施例8による電力変換装置1Eおよびシールド部5bの支持構成を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1E用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Eの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Eの要部)。
【
図13】電力変換装置1Eの変形例を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1E用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Eの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Eの要部)。
【
図14】実施例9による電力変換装置1Fおよびシールド部5bの支持構成を説明するための概略構成図((A)は電力変換装置1F用に設計変更したシールド部5b、(B)はシールド部5bを除いた状態における回路基板3の一端側面3a側の要部、(C)は図示Y軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Fの要部、(D)は図示Z軸方向の一方側から臨んだ電力変換装置1Fの要部)。
【
図15】一般的なセンサ7を適用した場合の電力変換装置70の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態の半導体モジュールおよび電力変換装置は、単にモジュール構造のセンサを用いた構成や、単なる特許文献1,2に示すような構成とは、全く異なるものである。
【0025】
すなわち、本実施形態は、半導体モジュールのケース(以下、単にケースと適宜称する)に重畳して設けられている回路基板と、当該半導体モジュールの複数相の電流を出力する複数個の導体と、それぞれ磁電変換部およびシールド部を別体で有している複数個の電流センサと、を備えたものである。前記複数個の電流センサそれぞれは、前記磁電変換部が、前記回路基板の一端側面に実装されているものとする。
【0026】
前記シールド部においては、当該シールド部の基台部が、前記ケースと前記回路基板の他端側面との間に介在しているものとする。また、前記基台部の両端から当該基台部を交差する方向の一方側に延出している一対の側壁部が、前記回路基板の他端側面から一端側面に貫通し、当該一対の側壁部間に前記磁電変換部が位置しているものとする。そして、前記基台部と前記回路基板の他端側面との間に、前記複数個の導体のうち何れかが貫通しているものとする。
【0027】
このような本実施形態によれば、電流センサの磁電変換部が回路基板に実装されており、当該電流センサの検出結果を回路基板に対して直接的に送信できるため、例えば特許文献1のように回路基板と各電流センサとの間にコネクタやコネクタケーブル等を設ける必要は無い。
【0028】
また、シールド部の基台部が、ケースと回路基板との両者間に介在(すなわち、当該両者間のデッドスペースとなり得る空隙部を有効利用)できるため、例えば特許文献2のように回路基板の外周側に支持部材を設ける必要は無い。
【0029】
ゆえに、本実施形態によれば、半導体モジュールや電力変換装置の簡略化や小型化、更に所望のシールド効果に貢献可能となる。
【0030】
本実施形態の半導体モジュールおよび電力変換装置は、前述のように回路基板とケースとの両者間に形成され得る空隙部を有効利用した構成であれば良く、多様な設計変更が可能である。すなわち、種々の分野(例えば電力変換装置分野、半導体モジュール分野、センサ分野,シールド分野,磁電変換分野等)の技術常識を適宜適用し、必要に応じて先行技術文献等を適宜参照して設計変形することが可能である。
【0031】
なお、以下の実施例では、例えば互いに同様の内容について、同一符号を引用する等により、詳細な説明を適宜省略しているものとする。また、便宜上、後述の回路基板3の一端側面3aに沿って各電流センサ5が配列されている方向や側壁部51,52の配列方向を図示X軸方向、回路基板3の一端側面3aに沿って図示X軸方向に交差する方向を図示Y軸方向、回路基板3の厚さ方向を図示Z軸方向、と必要に応じて適宜称する。
【0032】
≪実施例≫
図1~
図3は本実施例による電力変換装置1を説明するための概略構成図である。
図1~
図3に示す電力変換装置1は、複数相(
図1では三相)の交流電力を出力することが可能なインバータ等を示すものであって、図外の筐体内に収容してなるものである。
【0033】
電力変換装置1は、ケース20内に後述のスイッチング素子SW等を収容している半導体モジュール2と、当該ケース20に重畳するように配置されて電力変換装置1の電流出力を制御(スイッチング素子のオンオフ制御等)する回路基板(プリント基板等の制御基板)3と、前記半導体モジュール2の電流出力側に接続されている複数個(
図1,
図3では三相の出力電流に対応して3個)の帯状の導体(バスバー等)4と、各導体4それぞれに対応して設けられ当該対応する導体4に流れる電流(以下、単に対応導体電流と適宜称する)をそれぞれ検出することが可能な複数個(
図1では3個)の電流センサ5と、を主な要素として備えている。
【0034】
半導体モジュール2は、前述のように複数相の交流電力を出力することが可能であって、ケース20に対して回路基板3を適宜重畳できる態様であれば良く、その一例としては、
図2,
図3に示すような構成が挙げられる。
【0035】
図2,
図3の半導体モジュール2の場合、扁平形状のケース20内に、複数個(
図2では3個)の駆動基板21が収容され、当該各駆動基板21には、複数個のスイッチング素子SWやプレスフィット端子21a等がそれぞれ実装されている。また、各駆動基板21のP側,N側には、P側接続導体22,N側接続導体23の一端側がそれぞれ接続され、当該P側接続導体22,N側接続導体23の他端側がケース20の外周側方向(
図1では後述するように回路基板3の外周側方向)に延出している。また、各駆動基板21の電流出力側には、導体4の一端側がそれぞれ接続され、当該導体4の他端側がケース20の外周側方向に延出している。P側接続導体22,N側接続導体23,導体4の各他端側には、例えば電力変換装置1の図外の負荷側部品(フィルタ等)や端子台等に接続するための接続孔24が、それぞれ設けられている。
【0036】
ケース20は、例えば樹脂等を用いて成形可能なものであって、トレイ状(底が浅い形状)のケース本体2aと、当該ケース本体2aの開口側を遮蔽可能な遮蔽カバー2bと、を有した構成となっている。ケース本体2aは、矩形状の底部2abと、当該底部2abの四方を包囲するように立設している周壁2acと、を有しており、当該底部2abの内壁面側に各駆動基板21が並んで敷設されている。
【0037】
底部2abの外周縁側には、ケース20を例えば図外の筐体の内壁面に螺子等(図示省略)により取付固定するための複数個(
図2,
図3では8個)の取付孔2adが、それぞれ所定間隔を隔てて設けられている。周壁2acには、ケース20(ケース本体2a)と回路基板3との両者を重畳した状態で螺子等により締結固定するための複数個(
図2,
図3では8個)の締結穴部2aeが、それぞれ所定間隔を隔てて設けられている。なお、締結穴部2aeは、ケース本体2aに設ける代わりに、遮蔽カバー2bに設けた構成にしてもよい。
【0038】
図2のケース本体2aの場合、底部2abにおける導体4側に、当該導体4の延出方向に突出した形状のフランジ部25を有した構成となっている。これにより、ケース20と回路基板3との両者を重畳した状態(以下、単に重畳状態と適宜称する)においては、当該両者間の導体4側に空隙部(例えば後述の実施例1では空隙部26)が形成され易くなる。
【0039】
遮蔽カバー2bには、プレスフィット端子21aをプレスフィットさせて貫通自在な端子孔2baが、複数個設けられている。このような遮蔽カバー2bによれば、ケース本体2aの開口側を遮蔽した状態(以下、単に遮蔽状態と適宜称する)において、螺子等を用いて当該ケース本体2aに締結固定しなくても、プレスフィット端子21aを端子孔2baにプレスフィットさせた構造を利用して固定することが可能となる。
【0040】
回路基板3は、当該回路基板3における後述の磁電変換部5aの実装位置の外周側のうち図示X軸方向側(以下、単に実装位置X軸方向側と適宜称する)に、当該回路基板3の図示Z軸方向に貫通(一端側面3a,他端側面3bを貫通)しているスリット状の切り欠き孔31が、それぞれ設けられている。この切り欠き孔31は、後述のシールド部5bの側壁部51,52に対応して位置(
図1では回路基板3の外周縁部で側壁部51,52が貫通できるように位置)するように、設けられている。
【0041】
また、
図1の回路基板3の場合、切り欠き孔31の他に、当該回路基板3を重畳状態でケース20に取付固定(螺子等により締結穴部2aeに取付固定)するための取付孔32が、複数個(
図1では8個)設けられている。また、前記のような切り欠き孔31を設けたことにより、回路基板3における実装位置X軸方向側の外周縁部30が、図示Y軸方向に延在した形状となっている。
【0042】
回路基板3には、磁電変換部5a以外の必要部品を適宜実装しても良い。例えば、回路基板3に図外のコネクタを実装する場合には、当該コネクタを介して、磁電変換部5aに電源を供給したり、当該磁電変換部5aの検出信号を他の基板(制御基板等)に送信できるようにした構成が挙げられる。
【0043】
導体4は、回路基板3の他端側面3bに沿って延在した形状であって、当該導体4の一端側が、半導体モジュール2のケース20内における駆動基板21の電流出力側に接続され、当該導体4の他端側は、当該ケース20の周壁2acを貫通して回路基板3の外周側方向(
図1(B)では図示下方向)に延出した形状となっている。
図1~
図3では、各導体4が、所定間隔を隔てて平行となるように延在して並んで配列した構成となっている。
【0044】
電流センサ5は、磁電変換部5aおよびシールド部5bを別体で有しており、対応導体電流を検出できる構成となっている。磁電変換部5aは、回路基板の一端側面3aにおける対応導体電流を検出できる位置に、実装されているものである。
図1に示す磁電変換部5aの場合、対応する導体4に対し回路基板3を挟んで対向(
図1(C)では図示Z軸方向において回路基板3を挟んで対向)して位置するように、一端側面3aに実装されている。この磁電変換部5aは、前記のように対応導体電流を検出できる態様であれば良く、その一例としては、ホール素子等が挙げられる。
【0045】
シールド部5bは、平板状の基台部50と、当該基台部50における互いに対向する方向の両端(
図1では長手方向の両端)から当該基台部50を交差する方向(図示Z軸方向)の一方側に延出している一対の側壁部51,52と、有しており、所望のシールド効果(磁束安定化や、周辺部品からの磁界の抑制等の効果)が得られるように構成されている。このシールド部5bは、シールド効果を得ることが可能な態様であれば良く、その一例としては、強磁性材料等を適宜成形して成るものが挙げられる。
【0046】
図1に示すシールド部5bの場合、基台部50と側壁部51,52によりコ字状を成す形状となっている。また、シールド部5bは、側壁部51,52それぞれの延出方向の先端部54側が、それぞれ切り欠き孔31を介して、回路基板3の他端側面3bから一端側面3aに貫通している。基台部50においては、前述したように、重畳状態のケース20と回路基板3との両者間における導体4側の空隙部に介在させることが可能である。
【0047】
図1に示すシールド部5bのように、回路基板3に対して側壁部51,52を図示Z軸方向に貫通させた状態(以下、貫通姿勢状態と適宜称する)にすることにより、当該側壁部51,52間に磁電変換部5aが位置することとなる。また、当該側壁部51,52間における基台部50と回路基板3の他端側面3bとの間には、導体4が貫通した状態となる。
【0048】
以上のような電力変換装置1によれば、電流センサ5が磁電変換部5aおよびシールド部5bの両者を別体で有している構成であるため、
図15に示すようなセンサ7を用いた場合と比較すると、モールド部材76が不要となり、当該電力変換装置1の筐体内での当該両者それぞれの配置構成や支持構成において自由度が高くなり、周辺部品の配置構成や支持構成の自由度も高くなる。
【0049】
また、電流センサ5の磁電変換部5aが回路基板3に実装されているため、特許文献1に示すようなコネクタやコネクタケーブル等が無くても、当該電流センサ5の検出結果を回路基板3に送信できる。
【0050】
また、貫通姿勢状態のシールド部5bの基台部50を、重畳状態のケース20と回路基板3との両者間における導体4側の空隙部に介在、すなわち当該両者間のデッドスペースとなり得る空隙部を有効利用できる。また、当該シールド部5bにおいては、ケース20または/および回路基板3に対して適宜支持することが可能であり、特許文献2に示すような支持部材は不要となる。
【0051】
ゆえに、電力変換装置1によれば、当該電力変換装置1の構成の簡略化や小型化を図ることが容易になり、所望のシールド効果が得られ易くなる可能性がある。前記のような簡略化や小型化により、電力変換装置1の組立性向上化(例えば組立工数や部品点数の抑制),軽量化,低コスト化等も期待できる。
【0052】
なお、電力変換装置1は、
図1~
図3において三相の交流電力を出力する各導体4の全てに対して電流センサ5をそれぞれ設けた構成のように描写されているが、これに限定されるものではない。例えば、複数相(例えば二相)の交流電力を出力する構成であれば良く、各導体4のうち少なくとも2個それぞれに電流センサ5を設けた構成(すなわち、対応する導体4と電流センサ5との組み合わせが、少なくとも2個)であれば、本実施例と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0053】
また、電流センサ5のシールド部5bの支持構成は、適宜設定することが可能である。例えば、後述の実施例1,2のようにシールド部5bをケース20に支持、または/および後述の実施例4~9のように回路基板3に支持する支持構成が挙げられる。
【0054】
また、電力変換装置1の各種構成要素は目的の作用効果(例えば所望のシールド効果等)を奏することが可能な態様であれば、適宜設計変更しても良い。
【0055】
例えば、後述の実施例4~9に示す電力変換装置1A~1Fのように、電流センサ5において、シールド部5bを適宜設計変更した態様が挙げられる。また、回路基板3における実装位置X軸方向側において、
図1に示したようなスリット状の切り欠き孔31を設ける替わりに、後述の切り欠き部34や貫通孔35等を設けることにより、シールド部5bを貫通姿勢状態にできるようにした態様も挙げられる。
【0056】
<実施例1>
実施例1によるシールド部5bの支持構成の一例を、特に
図2(B)に基づいて説明する。
図2(B)の場合、貫通姿勢状態のシールド部5bの基台部50が、ケース20のフランジ部25と回路基板3との間の空隙部26において、当該フランジ部25に重畳するように支持されている。
【0057】
図2(B)に示すように、基台部50を空隙部26に介在させながらシールド部5bを貫通姿勢状態にするには、例えば以下に示す態様が挙げられる。まず、基台部50と空隙部26との両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、かつ側壁部51,52と切り欠き孔31との両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、シールド部5bをケース20の外周縁部側に配置する。次に、当該シールド部5bを図示Y軸方向のケース20側に移動させることにより、当該基台部50を空隙部26内に受容し、側壁部51,52を切り欠き孔31内に受容することが挙げられる。この場合、切り欠き孔31は、シールド部5bを図示Y軸方向に案内移動させる案内孔として、機能することになる。
【0058】
基台部50とフランジ部25との両者においては、当該両者間に接着剤を介在させて接着しても良く、あるいはケース本体2aを樹脂成形する際に一体化(一体樹脂成形)させても良い。
【0059】
以上示した実施例1によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、デッドスペースとなり得る空隙部26を有効利用しながら、当該シールド部5bをケース20に対して支持できる。
【0060】
なお、
図2(B)では、回路基板3の他端側面3bとケース20の遮蔽カバー2bとの両者が接しているように描かれているが、実際には当該両者の間には空間が設けられている。
【0061】
<実施例2>
実施例2によるシールド部5bの支持構成の他例を、特に
図3に基づいて説明する。
図3に示すケース20の場合、ケース本体2aの開口縁面27のうち、貫通姿勢状態のシールド部5bにおける基台部50と対向する部位(以下、単に対向部位と適宜称する)に、凹状のケース溝穴28が設けられている。このケース溝穴28は、貫通姿勢状態におけるシールド部5bの基台部50側を係合(嵌入)可能な形状であり、当該ケース溝穴28内に空隙部29が形成されている。
図3に示すケース溝穴28の場合、周壁2acを図示Y軸方向に貫通して延在し、当該図示Y軸方向側の両端が開口した形状となっている。
【0062】
図3に示すようにシールド部5bの基台部50側をケース溝穴28に係合させながら当該シールド部5bを貫通姿勢状態にするには、例えば以下に示す態様が挙げられる。まず、基台部50とケース溝穴28との両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、かつ側壁部51,52と切り欠き孔31との両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、シールド部5bをケース20の外周縁部側に配置する。次に、当該シールド部5bを図示Y軸方向のケース20側に移動させることにより、当該基台部50をケース溝穴28内に受容し、側壁部51,52を切り欠き孔31に受容することが挙げられる。この場合、ケース溝穴28は、シールド部5bを図示Y軸方向に案内移動させる案内溝として、機能することになる。
【0063】
このシールド部5bの基台部50側とケース溝穴28との両者においては、当該両者間に接着剤を介在させて接着しても良く、あるいはケース本体2aを樹脂成形する際に一体化(一体樹脂成形)させても良い。
【0064】
以上示した実施例2によれば、実施例1と同様の作用効果を奏する他に、以下のことが言える。すなわち、シールド部5bを支持する際に位置決めし易くなり、位置ズレの抑制も可能となる。
【0065】
<実施例3>
シールド部5bは、例えば
図1~
図3ではコ字状を成す形状となっているが、シールド効果を発揮できる態様であれば良く、適宜設計変更することが可能である。その一例として、
図4,5の三角形状を成すシールド部5cや
図6の多角形状を成すシールド部5dのように、設計変更することが挙げられる。
【0066】
図4のシールド部5cは、側壁部51,52が互いに近接する方向(以下、単に近接方向と適宜称する)に傾斜して、三角形状を成している。これにより、シールド部5cの側壁部51,52の両者は、基台部50側から先端部54側に近づくに連れて互いに近接し、当該両者の先端部54間にスリット状の間隙部56を形成している。この間隙部56により、シールド部5cに誘起され得る磁界を、抑制し易くなる。
【0067】
このようなシールド部5cによれば、電流センサ5のシールド部5bの替わりとして適宜適用できる。例えば
図5に示すように電流センサ5に構成されているシールド部5cの場合、シールド部5bと同様に、側壁部51,52の先端部54側を、それぞれ回路基板3の切り欠き孔31を介して、当該回路基板3の他端側面3bから一端側面3aに貫通させることが可能となる。そして、このように切り欠き孔31を介して貫通した側壁部51,52により、当該側壁部51,52間に磁電変換部5aが位置させることができる。
【0068】
図6に示すシールド部5dは、シールド部5cの変形例を示すものであり、シールド部5cと同様に側壁部51,52が互いに近接方向に傾斜して、多角形状(
図6では五角形状)を成しているものである。
図6に示すシールド部5dの側壁部51,52の両者の場合、基台部50側から先端部54側に近づくに連れて段階的に近接(
図6では側壁部51,52の中央部が折曲されて近接)することにより、当該両者の先端部54間にスリット状の間隙部56を形成している。このようなシールド部5dにおいても、シールド部5cと同様に、電流センサ5のシールド部5bの替わりとして適宜適用できる。
【0069】
以上示した実施例3によれば、実施例1,2と同様の作用効果を奏する他に、以下のことが言える。すなわち、間隙部56による磁界抑制効果が得られ、所望のシールド効果を発揮し易くなる。また、電力変換装置1の筐体内での電流センサ5の占有スペースを低減でき、電力変換装置1の構成の小型化等に貢献できる可能性がある。
【0070】
<実施例4>
図7は、実施例4による電力変換装置1Aを説明するための概略構成図であって、電流センサ5において、シールド部5bを適宜設計変更した場合の支持構成の一例を示すものである。
【0071】
電力変換装置1Aは、回路基板3における実装位置X軸方向側に切り欠き部34が設けられており、この切り欠き部34を介して、シールド部5bを貫通姿勢状態にできる態様になっている。
【0072】
電力変換装置1Aのシールド部5bには、側壁部51,52における対向方向側の側壁部内側面51a,52aそれぞれに、凹状の側壁部溝穴57が設けられている。この側壁部溝穴57は、シールド部5bの貫通姿勢状態において、回路基板3の外周縁部30が係合(嵌入)可能な形状となっている。
【0073】
図7に示す電力変換装置1Aの場合、各側壁部溝穴57が、それぞれ側壁部51,52を図示Y軸方向に貫通して延在し、当該図示Y軸方向側の両端が開口した形状となっている。また、回路基板3における実装位置X軸方向側の外周縁部30は、図示Y軸方向に延在した形状となっている。
【0074】
図7に示すような側壁部溝穴57と外周縁部30の両者を係合させてシールド部5bを貫通姿勢状態にするには、例えば、まず当該両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、シールド部5bを回路基板3の外周縁部側に配置してから、当該シールド部5bを図示Y軸方向の回路基板3側に移動させることにより、外周縁部30を側壁部溝穴57内に受容することが挙げられる。この場合、側壁部溝穴57は、シールド部5bを図示Y軸方向に案内移動させる案内溝として、機能することになる。
【0075】
以上示した実施例4によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、側壁部溝穴57に外周縁部30が係合することにより、当該シールド部5bが回路基板3に支持されることとなる。
【0076】
<実施例5>
図8は、実施例5による電力変換装置1Bを説明するための概略構成図であって、電流センサ5において、シールド部5bにモールド層6を設けた場合の支持構成の一例を示すものである。
【0077】
電力変換装置1Bは、電力変換装置1Aと同様に、回路基板3における実装位置X軸方向側に切り欠き部34が設けられており、この切り欠き部34を介して、シールド部5bを貫通姿勢状態にできる態様になっている。
【0078】
電力変換装置1Bのシールド部5bにおいては、当該シールド部5bの表面に、樹脂等のモールド材料をコーティングして形成されたモールド層6が、設けられている。
【0079】
電力変換装置1Bのモールド層6の場合、側壁部内側面51a,52a側それぞれに、凹状のモールド層溝穴61が設けられている。このモールド層溝穴61は、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、回路基板3の外周縁部30が係合(嵌入)可能な形状となっている。
【0080】
図8に示す電力変換装置1Bのモールド層6の場合、各モールド層溝穴61が、それぞれモールド層6の側壁部内側面51a,52a側を図示Y軸方向に貫通して延在し、当該図示Y軸方向側の両端が開口した形状となっている。また、回路基板3における実装位置X軸方向側の外周縁部30は、図示Y軸方向に延在した形状となっている。
【0081】
図8に示すようなモールド層溝穴61と外周縁部30の両者を係合させてシールド部5bを貫通姿勢状態にするには、例えば、まず当該両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、シールド部5bを回路基板3の外周縁部側に配置してから、当該シールド部5bを図示Y軸方向の回路基板3側に移動させることにより、外周縁部30をモールド層溝穴61内に受容することが挙げられる。この場合、モールド層溝穴61は、シールド部5bを図示Y軸方向に案内移動させる案内溝として、機能することになる。
【0082】
以上示した実施例5によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、モールド層溝穴61に外周縁部30が係合することにより、当該シールド部5bが回路基板3に支持されることとなる。したがって、実施例5によれば、実施例4と同様の作用効果を奏することが可能となる。また、シールド部5b自体は、実施例4に示したような側壁部溝穴57を設けるための加工が不要であるため、当該シールド部5bによる所望のシールド効果を発揮し易くなり、当該シールド部5bの支持構成の自由度が高くなる可能性もある。
【0083】
なお、電力変換装置1Bにおいては、
図8に示したような態様に限定されるものではなく、適宜設計変更することが可能である。例えば、シールド部5bの表面のうち少なくとも側壁部内側面51a,52aにモールド層6に設け、当該側壁部内側面51a,52a側のモールド層6にモールド層溝穴61を設けた態様であれば、本実施例5と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0084】
<実施例6>
図9は、実施例6による電力変換装置1Cを説明するための概略構成図であって、電流センサ5において、シールド部5bにモールド層6を設けた場合の支持構成の他例を示すものである。
【0085】
電力変換装置1Cは、回路基板3における実装位置X軸方向側に貫通孔35が設けられており、この貫通孔35を介して、シールド部5bを貫通姿勢状態にできる態様になっている。
【0086】
電力変換装置1Cのシールド部5bにおいては、電力変換装置1Bと同様に、当該シールド部5bの表面にモールド層6が設けられている。
【0087】
電力変換装置1Cのモールド層6の場合、側壁部内側面51a,52a側それぞれに、および側壁部51,52における離反方向側の側壁部外側面51b,52b側それぞれに、図示X軸方向に突出した形状で弾性を有している弾性突出部62が、設けられている。この弾性突出部62は、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、回路基板3の一端側面3aにおける実装位置X軸方向側(
図9では外周縁部30側)に係止可能な形状となっている。
【0088】
図9に示す電力変換装置1Cのモールド層6の場合、弾性突出部62が図示Z軸方向に弾性変形(例えば
図9(A)では、矢印P方向で90°回動するように弾性変形)することが可能であり、当該弾性変形方向先の部位には、当該弾性変形した弾性突出部62を受容可能な凹部63が、設けられている。
【0089】
図9に示すような弾性突出部62を回路基板3の一端側面3aに係止させてシールド部5bを貫通姿勢状態にするには、例えば、まずシールド部5bを回路基板3の他端側面3b側に配置してから、当該シールド部5bにおける側壁部51,52それぞれの先端部54側を、貫通孔35を介して、回路基板3の他端側面3bから一端側面3aに貫通させることが挙げられる。この場合、弾性突出部62においては、貫通孔35を通過する際に弾性変形(他端側面3bに当接して弾性変形)させて凹部63に受容された状態にし、当該貫通孔35を通過後に弾性復帰させて一端側面3aに係止することが挙げられる。これにより、弾性突出部62と回路基板3との衝突を緩和または回避することが可能である。
【0090】
以上示した実施例6によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、弾性突出部62を回路基板3の一端側面3aに係止することにより、当該シールド部5bが回路基板3に支持されることとなる。したがって、実施例6によれば、実施例4,5と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0091】
なお、電力変換装置1Cにおいては、
図9に示したような態様に限定されるものではなく、適宜設計変更することが可能である。例えば、シールド部5bの表面のうち、少なくとも側壁部内側面51a,52aまたは/および側壁部外側面51b,52bにモールド層6を設け、当該側壁部内側面51a,52a側または/および側壁部外側面51b,52b側におけるモールド層6の所望の位置に弾性突出部62を設けた態様であれば、本実施例6と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0092】
<実施例7>
図10は、実施例7による電力変換装置1Dを説明するための概略構成図であって、支持台8Dを用いた場合のシールド部5bの支持構成の一例を示すものである。
【0093】
電力変換装置1Dは、電力変換装置1と同様に、回路基板3における実装位置X軸方向側に切り欠き孔31が設けられており、この切り欠き孔31を介して、シールド部5bを貫通姿勢状態にできる態様になっている。
【0094】
電力変換装置1Dのシールド部5bは、側壁部51,52のうち、貫通姿勢状態の場合に回路基板3の一端側面3aから突出する部位(以下、単に一端側面突出部位と適宜称する)の側壁部外側面51b,52bそれぞれに、図示X軸方向に突出した形状の突出部58が、設けられている。この突出部58は、シールド部5bの貫通姿勢状態において、後述の支柱部溝穴84に係合(嵌入)可能な形状となっている。
【0095】
支持台8Dは、貫通姿勢状態のシールド部5bにおける側壁部51,52の一端側面突出部位を支持するものであって、回路基板3の一端側面3aに支持されているものである。この支持台8Dは、シールド部5bにおける側壁部51,52の各先端部54に跨って延在している梁部80と、当該梁部80の延在方向(図示X軸方向)の両端に設けられた一対の支柱部81,82と、を備えている。
【0096】
支柱部81,82は、梁部80の両端から、それぞれ側壁部外側面51b,52bに沿って一端側面3a側に延出し、当該延出方向の各先端部83が当該一端側面3aに支持されている。支柱部81,82における対向方向側の支柱部内側面81a,82aそれぞれには、突出部58と対向する位置に、凹状の支柱部溝穴84が設けられている。
【0097】
支柱部81,82の各先端部83と一端側面3aとの両者は、適宜支持固定することが可能であり、例えば、後述の
図14に示すような螺子89b等を用いて締結固定したり、図外の半田や接着剤等を用いて固定することが挙げられる。
【0098】
図10に示す各先端部83の場合、支柱部81,82の離反方向側に延出した形状のフランジ部83aが設けられている。このようなフランジ部83aにより、各先端部83と回路基板3の一端側面3aとの接触面積(支持面積)を大きくでき、支持固定し易くなる。
【0099】
図10に示す電力変換装置1Dの場合、各突出部58が、それぞれ側壁部外側面51b,52bにおいて、図示Y軸方向に延在した形状となっている。また、各支柱部溝穴84が、それぞれ支柱部内側面81a,82aにおいて、図示Y軸方向に延在し、当該図示Y軸方向の一方側が開口して開口部85を有した形状となっている。
【0100】
図10に示すような支持台8Dにより、シールド部5bを支持しながら貫通姿勢状態にするには、例えば、まず突出部58と支柱部溝穴84との両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、シールド部5bを回路基板3の外周縁部側に配置してから、当該シールド部5bを図示Y軸方向の回路基板3側に移動させることにより、突出部58を支柱部溝穴84内に受容(開口部85側から受容)することが挙げられる。この場合、支柱部溝穴84は、シールド部5bを図示Y軸方向に案内移動させる案内溝として、機能することになる。
【0101】
以上示した実施例7によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、当該シールド部5bが支持台8Dを介して回路基板3に支持されることとなる。したがって、実施例7によれば、実施例4~6と同様の作用効果を奏することが可能となる。また、支持台8Dを用いたことにより、シールド部5bの支持構成において所望の機械的強度等が得られ易くなる。
【0102】
なお、電力変換装置1Dにおいては、
図10に示したような態様に限定されるものではなく、適宜設計変更することが可能である。例えば、突出部58,支柱部溝穴84の両者を、それぞれ図示Y軸方向における先端部83側で互いに対向する位置に設けたり、当該図示Y軸方向における梁部80と先端部83との間で互いに対向する位置に設けた場合であっても、シールド部5bの貫通姿勢状態において当該両者を互いに係合できる態様であれば、本実施例7と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0103】
また、梁部80は、例えば
図11に示すように適宜設計変更することにより、当該梁部80における図示Y軸方向の開口部85側の側端縁部80aを、貫通姿勢状態のシールド部5bにおける先端部54に対してスナップフィット式に係止させることが可能となる。
【0104】
図11に示す梁部80の場合、図示Z軸方向に弾性変形可能なスナップフィット構造であって、側端縁部80aの一端側面3a側には、当該一端側面3a側に突出した形状の鍵爪部80bが設けられている。この鍵爪部80bは、貫通姿勢状態のシールド部5bの先端部54における側端縁部54aに対し、スナップフィット式に係止可能な形状となっている。このようなスナップフィット構造の梁部80によれば、貫通姿勢状態のシールド部5bが支持台8Dから離脱しないように、抑制し易くなる。
【0105】
<実施例8>
図12は、実施例8による電力変換装置1Eを説明するための概略構成図であって、支持台8Eを用いた場合のシールド部5bの支持構成の一例を示すものである。
【0106】
電力変換装置1Eは、電力変換装置1Dと同様に、回路基板3における実装位置X軸方向側に切り欠き孔31が設けられており、この切り欠き孔31を介して、シールド部5bを貫通姿勢状態にできる態様になっている。
【0107】
電力変換装置1Eのシールド部5bは、電力変換装置1Cと同様に、当該シールド部5bの表面にモールド層6が設けられている。また、モールド層6の側壁部外側面51b,52b側それぞれに、図示X軸方向に突出した形状のモールド層突出部62aが、設けられている。このモールド層突出部62aは、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、後述の支柱部溝穴84aに係合(嵌入)可能な形状となっている。
【0108】
支持台8Eは、支持台8Dと同様に、側壁部51,52の一端側面突出部位を支持するものであって、回路基板3の一端側面3aに支持されている。この支持台8Eの支柱部内側面81a,82aそれぞれには、モールド層突出部62aが対向する位置に、凹状の支柱部溝穴84aが設けられている。
【0109】
図12に示す電力変換装置1Eの場合、各モールド層突出部62aが、それぞれモールド層6の側壁部外側面51b,52b側において、図示Y軸方向に延在した形状となっている。また、各支柱部溝穴84aが、それぞれ支柱部内側面81a,82aにおいて、図示Y軸方向に延在し、当該図示Y軸方向の一方側が開口して開口部85aを有した形状となっている
図12に示すような支持台8Eにより、シールド部5bを支持しながら貫通姿勢状態にするには、例えば、まずモールド層突出部62aと支柱部溝穴84aとの両者が図示Y軸方向に並んで延在するように、シールド部5bを回路基板3の外周縁部側に配置してから、当該シールド部5bを図示Y軸方向の回路基板3側に移動させることにより、モールド層突出部62aを支柱部溝穴84a内に受容(開口部85a側から受容)することが挙げられる。この場合、支柱部溝穴84aは、シールド部5bを図示Y軸方向に案内移動させる案内溝として、機能することになる。
【0110】
以上示した実施例8によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、当該シールド部5bが支持台8Eを介して回路基板3に支持されることとなる。したがって、実施例8によれば、実施例7と同様の作用効果を奏することが可能となる。また、シールド部5b自体は、実施例7のような突出部58を設けるための加工は不要であるため、実施例7と比較すると、当該シールド部5bによる所望のシールド効果を発揮し易くなり、当該シールド部5bの支持構成の自由度が高くなる可能性もある。
【0111】
なお、電力変換装置1Eにおいては、
図12に示したような態様に限定されるものではなく、適宜設計変更することが可能である。例えば、モールド層突出部62aにおいて、電力変換装置1Cの弾性突出部62と同様に図示Z軸方向に弾性変形できるようにし、当該弾性変形したモールド層突出部62aを受容可能な凹部をモールド層6に適宜設けることが挙げられる。これにより、例えば
図13に示す電力変換装置1Eのように、回路基板3における実装位置X軸方向側に貫通孔35が設けられており、この貫通孔35を介してシールド部5bを貫通姿勢状態にする態様(シールド部5bにおける側壁部51,52それぞれの先端部54側を回路基板3の他端側面3bから一端側面3aに貫通させる態様)であっても、モールド層突出部62aを弾性変形または弾性復帰させることにより、モールド層突出部62aと回路基板3との衝突を緩和または回避することが可能となる。
【0112】
<実施例9>
図14は、実施例9による電力変換装置1Fを説明するための概略構成図であって、支持台8Fを用いた場合のシールド部5bの支持構成の一例を示すものである。
【0113】
電力変換装置1Fは、
図13の電力変換装置1Eと同様に、回路基板3における実装位置X軸方向側に貫通孔35が設けられており、この貫通孔35を介して、シールド部5bを貫通姿勢状態にできる態様になっている。
【0114】
支持台8Fは、シールド部5bの側壁部51,52のうち、貫通姿勢状態の場合に回路基板3の他端側面3bから突出する部位(以下、単に他端側面突出部位と適宜称する)を支持するものであって、当該他端側面3bに支持されているものである。この支持台8Eは、シールド部5bにおける基台部50に沿って図示X軸方向に延在している梁部86と、当該梁部86の延在方向(図示X軸方向)の両端に設けられた一対の支柱部87,88と、を備えている。
【0115】
支柱部87,88は、梁部86の両端から、それぞれ側壁部外側面51b,52bに沿って他端側面3b側に延出し、当該延出方向の各先端部89が当該他端側面3bに支持されている。
図14に示す支柱部87,87の各先端部89の場合、支柱部87,87の離反方向側に延出した形状のフランジ部89aが設けられている。このようなフランジ部89aにより、各先端部89と回路基板3の他端側面3bとの接触面積(支持面積)を大きくでき、支持固定し易くなる。
図14に示す電力変換装置1Eの場合、各先端部89のフランジ部89aと他端側面3bとの両者は、当該両者を貫通する螺子89bによって、締結固定されている。
【0116】
図14に示すような支持台8Fにより、シールド部5bを支持しながら貫通姿勢状態にするには、例えば、まずシールド部5bにおける側壁部51,52それぞれの先端部54側を、貫通孔35(支持台8Fを取り外した状態の貫通孔35)を介して、回路基板3の他端側面3bから一端側面3aに貫通させた状態にしてから、
図14(C)に示すように支持台Fを他端側面3bに支持固定することが挙げられる。
【0117】
以上示した実施例9によれば、シールド部5bが貫通姿勢状態の場合において、当該シールド部5bが支持台8Fを介して回路基板3に支持されることとなる。したがって、実施例9によれば、実施例7,8と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0118】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0119】
例えば、実施例1~9は、それぞれ別々に適用しても良く、互いに適宜組み合わせて適用しても良い。具体例としては、電力変換装置1A~1Fにおいて、シールド部5bの替わりにシールド部5c,5dを適宜適用することが挙げられる。
【0120】
また、電力変換装置1A~1Fにおいて、適宜設計変更しておくことにより、貫通姿勢状態におけるシールド部5bの基台部50側を空隙部(空隙部26や空隙部29)に介在させてケース20に適宜支持(例えばフランジ部25やケース溝穴28に支持)できるようにし、これにより当該実施例1,2と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0121】
この場合、電力変換装置1C,1E,1Fは、ケース20と回路基板3との両者を重畳状態にする前に、シールド部5bの基台部50側を空隙部に介在させたりケース20に支持しておき、その後に当該両者を重畳状態にして当該シールド部5bを貫通姿勢状態にすることが挙げられる。また、電力変換装置1Fは、貫通姿勢状態におけるシールド部5bの基台部50側を支持台8Eの梁部86側と共に空隙部に介在させたりケース20に支持できるように、適宜設計変更(例えば空隙部29に介在させる場合には、支持台8Eの図示X軸方向の寸法等を適宜設計変形)することが挙げられる。
【符号の説明】
【0122】
1,1A~1F…電力変換装置
1a…対向面
10…電力変換装置
11…筐体
12…ザグリ部
13…挟持プレート
2…半導体モジュール
20…ケース
2a…ケース本体
2b…遮蔽カバー
26,29…空隙部
28…ケース溝穴
3…回路基板
30…外周縁部
4…導体
5…電流センサ
5a…磁電変換部
5b~5d…シールド部
50…基台部
51,52…側壁部
55,6…モールド部
61…モールド層溝穴
62…弾性突出部
62a…モールド層突出部
56…間隙部
57…側壁部溝穴
58…突出部
8D~8F…支持台
80,86…梁部
81,82,87,88…支柱部
84,84a…支柱部溝穴