(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133868
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H01L21/78 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043865
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古市 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】高野 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】右田 達夫
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA36
5F063BA17
5F063CB02
5F063CB05
5F063CB30
5F063CC02
5F063CC10
5F063DE02
5F063DE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】歩留まり及び生産性を向上させる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、配線層としての周辺回路を有する第1の基板10a上に、境界部を介して隣り合う複数の半導体セル21aを含む第2の基板20aを所定の間隔をおいて実装し、第1の基板及び第2の基板の積層方向から見て、第1の基板上であって第2の基板同士の間隔に相当する間隙部及び第2の基板の境界部を、第1の基板に積層方向に凹部を形成して第1の基板の表面に段差13を形成し、第1の基板と、第2の基板とを、覆うように封止部材30aを形成し、段差の内側の部分を積層方向にダイシングソーDS2を押し当てて切断し、半導体セルを個片化する。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層を有する第1の基板上に、境界部を介して隣り合う複数の半導体セルを含む第2の基板を所定の間隔をおいて実装し、
前記第1の基板、及び前記第2の基板の積層方向から見て、前記第1の基板上であって前記第2の基板同士の前記間隔に相当する間隙部、及び前記第2の基板の前記境界部を、前記第1の基板に前記積層方向に凹部を形成して前記第1の基板の表面に段差を形成し、
前記第1の基板と、前記第2の基板と、を覆うように封止部材を形成し、
前記段差の内側の部分を前記積層方向に切断することで前記半導体セルを個片化することを含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記間隙部、及び前記境界部のそれぞれの内側に、前記第2の基板を前記第1の基板に実装するためのアライメントマークを形成することをさらに含み、
前記段差を形成することは、
前記間隙部、及び前記境界部に配置される前記アライメントマークを削除することを含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の基板のうち、前記半導体セルは前記第2の基板の基板面と平行な第1方向に隣り合って配置されている、
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の基板のうち、前記半導体セルは前記第2の基板の基板面と平行な第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向にそれぞれ隣り合って配置されている、
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体セルを個片化することは、
前記第1の基板の前記積層方向に所定深さの凹部を形成し、
前記第1の基板の基板面と反対の底面を前記凹部が開口するまで研磨することを含む、
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
外周部に段差を有する第1の基板と、
前記第1の基板の前記段差より内側の第1の上面に実装される半導体セルと、
前記段差と、前記半導体セルと、を覆う封止部材と、
を備え、
前記段差は、前記第1の基板の前記第1の上面から屈曲した第1の側面と、前記第1の側面の下端部から外側に向けて前記第1の上面と略平行に延在する第2の上面とを有し、
前記第1の基板、及び前記半導体セルの積層方向から見て、前記半導体セルは、外側を向く4つの側面を有しており、
前記4つの側面のうち少なくとも1つの側面が、前記第1の側面と同一平面になるように位置し、残りの3つの側面のうち少なくとも1つの側面が、前記第1の側面より内側に位置する、
半導体装置。
【請求項7】
前記半導体セルは、前記積層方向に複数積層されている、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体セルは、前記第1の基板の前記第1の上面に形成された電極を介して、前記第1の基板に実装されている、
請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが封止された半導体装置の製造工程において、樹脂フィルムに貼付された半導体チップをピッカー等でピックアップし、基板に実装することがある。
【0003】
このとき、例えば半導体チップが薄く、かつ細長い形状を有している場合には、ピックアップの際に半導体チップが傾く、または破損する場合がある。これにより半導体装置の電気的な接続が阻害され、歩留まりが低下することがある。また、半導体チップを個々に基板に実装するため、処理時間が長くなり、生産性が低下することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0290509号明細書
【特許文献2】米国特許第9837377号明細書
【特許文献3】米国特許第6737743号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、半導体装置の歩留まり、及び生産性を向上させることが可能な半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置の製造方法は、配線層を有する第1の基板上に、境界部を介して隣り合う複数の半導体セルを含む第2の基板を所定の間隔をおいて実装し、前記第1の基板、及び前記第2の基板の積層方向から見て、前記第1の基板上であって前記第2の基板同士の前記間隔に相当する間隙部、及び前記第2の基板の前記境界部を、前記第1の基板に前記積層方向に凹部を形成して前記第1の基板の表面に段差を形成し、前記第1の基板と、前記第2の基板と、を覆うように封止部材を形成し、前記段差の内側の部分を前記積層方向に切断することで前記半導体セルを個片化することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施形態にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図1B】実施形態にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図2】実施形態にかかる半導体装置の製造方法において、基板に実装される複合セル基板の構成を模式的に示す上面図。
【
図3A】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図3B】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図4】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順における、基板及び複合セル基板の位置合わせについて説明する模式図。
【
図5A】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図5B】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図6A】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図6B】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図7A】実施形態の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図7B】実施形態の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図8A】実施形態の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図8B】実施形態の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図9A】実施形態の変形例3にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図9B】実施形態の変形例3にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図10】実施形態の変形例4にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図11A】実施形態の変形例5にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図11B】実施形態の変形例5にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図12A】実施形態の変形例6にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部、及び半導体装置の適用例を例示する図。
【
図12B】実施形態の変形例6にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部、及び半導体装置の適用例を例示する図。
【
図13】実施形態の変形例7にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図14】実施形態の変形例7にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図15A】実施形態の変形例7にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図15B】実施形態の変形例7にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図15C】実施形態の変形例7にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図16A】実施形態の変形例8にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図16B】実施形態の変形例8にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図17A】実施形態の変形例8にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図17B】実施形態の変形例8にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図。
【
図18A】比較例にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【
図18B】比較例にかかる半導体装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[実施形態]
以下、
図1~
図6を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(半導体装置の構成例)
図1A、Bは、実施形態にかかる半導体装置1aの構成例を示す図である。
図1Aは、半導体装置1aのXZ断面図である。
図1AのXZ断面図は、
図1Bに示すX-X線に対応するものである。
図1Bは、
図1Aに示すA-A線におけるXY断面図である。また、
図1Bにおいて鎖線で示す輪郭は、
図1AにおけるB-B線で切断したセル21aの外形に対応している。
【0011】
なお、本明細書では、半導体装置1aの基板10aの底面150が向く方向を下方とし、基板10aからの視点で、セル21aが積層されている方向を上方とする。即ち、半導体装置1aの上下方向をZ方向に沿う積層方向と呼ぶ。また、X方向は、基板10aの面の向きに沿う方向であり、X方向、及びZ方向は互いに直交する方向である。また、X軸、Z軸の矢印が示す方向をそれぞれXの正方向、及びZの正方向とし、矢印の反対方向をそれぞれXの負方向、及びZの負方向とする。また、Y方向は、
図1A、Bにおいて、X方向、及びZ方向と互いに直交する方向である。
【0012】
本実施形態において、半導体装置1aは、3次元に配置されるメモリセルを備える3次元不揮発性メモリとして構成される。
図1A、Bに示すように、半導体装置1aは、基板10a、セル21a、及び封止部材30aを備える。セル21aは、3次元不揮発性メモリに限らず揮発性メモリ、イメージセンサ、ロジック回路等どのようなものであってもよい。
【0013】
第1の基板としての基板10aは、例えばシリコン基板等であり、図示せぬトランジスタを含む、配線層としての周辺回路を有する。これらの周辺回路は、絶縁層で覆われている。具体的には、基板10a上に形成されたトランジスタは、図示せぬコンタクトを介して上層配線に接続され、上層配線は、さらに端子12に接続される。端子12は、絶縁層の上面、即ち基板10aの上面140aに露出する。換言すると、基板10aには、上面140aから所定の深さまで周辺回路が形成されていることとなる。上面140aは第1の上面の一例である。
【0014】
基板10aは、積層方向から見て矩形状に形成されている。基板10aの外周部の一部には、基板10aがZの負方向に向かって所定位置まで掘り下げられることにより、段差13が形成されている。段差13は、基板10aの上面140aから屈曲した第1の側面としての側面131と、側面131の下端部から外側に向けて上面140aと略平行に延在する第2の上面としての上面132と、を有する。
【0015】
半導体セルとしてのセル21aは、シリコン基板等の小片である。図示はしないが、セル21aには、複数の導電層が絶縁層を介して積層される積層体が設けられており、積層体中には、マトリクス状にメモリセルが配置されている。導電層は図示せぬコンタクトを介して積層方向に延びる配線に接続され、配線は、端子23に接続される。端子23は、セル21aの基板面210aに露出する。
【0016】
セル21aは、積層方向から見て矩形状に形成されており、外側を向き、かつ互いに隣り合う側面211a~214によってその周縁が規定されている。セル21aは、基板10aの上面140aに、その基板面210aを対向させた状態で配置されている。
【0017】
セル21aの基板面210aに露出する端子23は、基板10aの上面140aに露出する端子12と接合されている。即ち、セル21aと、基板10aとは、端子12、及び23bを介して電気的に接続されている。
【0018】
セル21aは基板10aに接合する方式で形成されている。
【0019】
また、積層方向から見て、セル21aの側面211a、及び側面211aと隣り合う側面212の2つの面は、基板10aの側面131と同一平面になるように位置している。また、積層方向から見て、側面211aと対向する側面213、及び側面212と対向する側面214は、基板10aの側面131より内側に位置している。
【0020】
ここで、セル21aの長辺に相当する側面211a、及び側面213の長さは、例えば12mm以上である。一方、セル21aの短辺に相当する側面212、及び側面214の長さは、例えば3mm以内である。即ち、セル21aの短辺と長辺との比は1:4以上である。また、セル21aのZ方向の厚みは、例えば40μm以内である。
【0021】
封止部材30aは、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性の樹脂膜である。封止部材30aは、段差13、及びセル21aの全体を覆っている。
【0022】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図2~
図6を用いて、実施形態の半導体装置1aの製造方法について説明する。
【0023】
図2は、実施形態にかかる半導体装置1aの製造方法において、基板10aに実装される複合セル基板20aの構成を模式的に示す上面図である。実施形態にかかる半導体装置1aの製造方法では、
図3Aの処理に先立ち、
図2で示す複合セル基板20aを準備する。
【0024】
第2の基板としての複合セル基板20aは、例えばシリコン基板等の小片であり、その面上に複数のセル21aを有するものである。具体的には
図2に示すように、複合セル基板20aには、セル21aが間隔を隔てて配置されている。当該間隔を、境界部24と称する。
【0025】
境界部24は、隣り合うセル21a同士を隔てるものであり、例えばL1の幅を有している。境界部24の内側には、複合セル基板20aを基板10aに実装するためのアライメントマーク22-1~22-4(以下、「アライメントマーク22」と呼ぶ場合がある)が形成されている。
【0026】
アライメントマーク22-1~22-4のうち、アライメントマーク22-2、及び22-4は、互いにXの正負方向に離間し、X方向に沿って一列に並ぶように配置されている。また、アライメントマーク22-1、及び22-3は、互いにYの正負方向に離間し、Y方向に沿って一列に並ぶように配置されている。アライメントマーク22-1~22-4には、例えば銅(Cu)等が埋め込まれている。
【0027】
次に、
図3~
図6を用いて、上述の複合セル基板20aを用いた半導体装置1aの製造方法について説明する。
図3A、B、
図5A、B、及び
図6A、Bは、実施形態にかかる半導体装置1aの製造方法の手順の一部を順に例示する図である。また、
図4は、
図3A、B、
図5A、B、及び
図6A、Bに示す手順における、基板10a、及び複合セル基板20aの位置合わせについて説明する模式図である。
【0028】
図3A、Bは、実施形態にかかる半導体装置1aの製造方法の手順のうち、基板10aに、複合セル基板20aを実装させる工程について説明する図である。
図3Aは、基板10aの上面図であって、実装予定領域PR1に複合セル基板20aが実装される様子を示している。また、
図3Bは、
図3AにおけるC-C線のXZ断面図である。
【0029】
まず、複合セル基板20aの実装に先立ち、基板10aに図示せぬ周辺回路を形成し、絶縁層で覆う。また、基板10aの上面に設けられた複合セル基板20aの実装予定領域PR1~2のそれぞれに、端子12を露出させる。実装予定領域PR1~2は、基板10aの上面に、X方向、及びY方向に所定の間隔をおいて配置されている。これにより、隣り合う実装予定領域PR間には、所定の間隔に相当する間隙部14-1~14-4(以下、「間隙部14」と呼ぶ場合がある)が形成される。
【0030】
間隙部14-1~14-4の内側であって実装予定領域PR1~2それぞれの近傍に、複合セル基板20aを実装するためのアライメントマーク11-1~11-4(以下、「アライメントマーク11」と呼ぶ場合がある)を形成する。
【0031】
例えば、実装予定領域PR1に複合セル基板20aを実装する際には、実装予定領域PR1に対応するアライメントマーク11-1~11-2が用いられる。アライメントマーク11-1~11-2は、対応する実装予定領域PR1の外側に、互いに対角を成すように配置される。
【0032】
このとき例えば、実装予定領域PR1と、実装予定領域PR1のXの負方向側に配置される実装予定領域PR2と、の間隙部14-2において、実装予定領域PR1に対応するアライメントマーク11-1と、実装予定領域PR2に対応するアライメントマーク11-4とは、Y方向に沿って一列に並ぶように配置される。このように、実装予定領域PR1~2のそれぞれに対応するアライメントマーク11のそれぞれは、一列に並ぶように配置される場合がある。また、アライメントマーク11-1~11-4のそれぞれには、例えば銅(Cu)等が埋め込まれる。
【0033】
図4は、基板10a及び複合セル基板20aの位置合わせについて説明する図である。
図4の上段には、基板10aの実装予定領域PR1に実装される複合セル基板20aの上面図、
図4の下段には、基板10aの上面図が示されている。
【0034】
基板10aに複合セル基板20aを実装する際には、上下の2視野を撮像可能な図示せぬ位置合わせ装置が用いられる。
図4に示すように、複合セル基板20aは、その上下の面が反転された状態で、位置合わせ装置により保持される。これにより、複合セル基板20aのアライメントマーク22-1~22-4の形成面と、基板10aのアライメントマーク11-1~11-2の形成面と、が対向する。そして、アライメントマーク11-1~11-2と、アライメントマーク22-1~22-4と、が位置合わせ装置によりそれぞれ撮像される。
【0035】
撮像された画像に基づいて、アライメントマーク11-1~11-2、及び22-1~22-4それぞれの位置座標が検出される。これにより、アライメントマーク11-1~11-2の中心点C1、アライメントマーク22-1、及び22-3の中心点C2、並びに、アライメントマーク22-1、及び22-3の中心点C3の座標がそれぞれ算出される。そして、中心点C1~C3が上下に重なるように、基板10a、及び複合セル基板20aの位置合わせが行われる
【0036】
このようにして基板10a、及び複合セル基板20aの位置合わせが成功し、端子12と、端子23とが接合されると、基板10a、及び複合セル基板20aが電気的に接続される。
【0037】
図5A、Bは、実施形態にかかる半導体装置1aの製造方法の手順のうち、段差13を形成する工程について説明する図である。
図5Aは、基板10aの上面図であって、ダイシングラインDL1に沿って段差13が形成される様子を示している。また、
図5Bは、
図5AにおけるC-C線のXZ断面図である。なお、
図5Aにおいては、説明の便宜上、アライメントマーク11-1~4、及び22-1~4のように、段差13の形成後においては必ずしも視認することができない構成も描かれているものとする。
【0038】
図5Aに示すように、基板10aの間隙部14-1~14-4と、複合セル基板20aの境界部24とを、積層方向に切削して凹部を形成し、基板10aの上面140aに段差13を形成する。
【0039】
具体的にはまず、基板10aの間隙部14-1を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL1-10に沿って、Zの正方向の側から所定深さで基板10aを切削する。このとき、ダイシングラインDL1-10と、間隙部14-1に並ぶアライメントマーク11-2と、が上下に重なるようにダイシングソーDS1を押し当てる。これにより、段差13の形成に伴い、アライメントマーク11-2が切削される。
【0040】
ここで所定深さとは、Zの正方向側から基板10aを見て、周辺回路が形成されている深さを超える深さである。アライメントマーク11-2が切削されていれば、必ずしも周辺回路が形成されている深さを超えなくてもよい。基板10aがY方向に沿って所定深さで切削されることにより、基板10aに形成される周辺回路がX方向に分割されることとなる。
【0041】
同様に、基板10aの間隙部14-2を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL1-11に沿って、基板10aを切削する。このとき、ダイシングラインDL1-11と、間隙部14-2に並ぶアライメントマーク11-1、及び11-4と、が上下に重なるようにダイシングソーDS1を押し当てる。これにより、段差13の形成に伴い、アライメントマーク11-1、及び11-4が切削される。
【0042】
同様に、基板10aの間隙部14-3を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL1-12に沿って、基板10aを切削する。これにより、アライメントマーク11-3が切削される。
【0043】
次に、複合セル基板20aの境界部24を通り、Y方向にそれぞれ延びるダイシングラインDL1-20に沿って、基板10aを切削する。このとき、ダイシングラインDL1-20と、境界部24に一列に並ぶアライメントマーク22-1、及び22-3と、が上下に重なるように、ダイシングソーDS1を押し当てる。これにより、段差13の形成に伴い、アライメントマーク22-1、及び22-3が切削される。
【0044】
またこのとき、
図5Bに示すように、段差13の形成に伴い、複合セル基板20aに設けられた隣り合うセル21aがX方向に分割され、セル21aの側面211aが露出する。これにより、積層方向から見て、セル21aの側面211aと、段差13の側面131と、が同一平面上に位置することとなる。
【0045】
同様に、境界部24を通り、X方向にそれぞれ延びるダイシングラインDL1-30に沿って、基板10aを切削する。このとき、ダイシングラインDL1-30と、境界部24に一列に並ぶアライメントマーク22-2、及び22-4と、が上下に重なるように、ダイシングソーDS1を押し当てる。これにより、段差13の形成に伴い、アライメントマーク22-2、及び22-4が切削される。
【0046】
またこのとき、図示はしないが、段差13の形成に伴い、複合セル基板20aに設けられた隣り合うセル21aがY方向に分割され、セル21aの側面212が露出する。これにより、積層方向から見て、セル21aの側面212と、段差13の側面131と、が同一平面上に位置することとなる。
【0047】
さらに、間隙部14-4を通り、X方向に延びるダイシングラインDL1-40に沿って基板10aを積層方向に切削する。
【0048】
以上のような
図5A、Bの処理を施すことで、基板10a上をX方向及びY方向に延び、かつ所定深さを有する段差13が形成される。
【0049】
なお、段差13を形成する際には、境界部24の幅と略同一の幅のダイシングソーDS1を用いるが、これに限定されない。例えば、間隙部14-2等と略同一の幅のダイシングソーを用いてもよい。
【0050】
図6A、Bは、実施形態にかかる半導体装置1aの製造方法の手順のうち、セル21aを個片化する工程について説明する図である。
図6Aは、基板10aの上面図であって、ダイシンラインDL2に沿ってセル21aが個片化される様子を示している。
図6Bは、
図6AにおけるC-C線のXZ断面図である。
【0051】
図6Bの上段の図に示すように、セル21aの個片化に先立ち、基板10aと、複合セル基板20aと、を覆うように封止部材30aを形成する。これにより、基板10a、複合セル基板20a、及び段差13が封止部材30aにより覆われる。
【0052】
図6A、及び
図6Bの下段の図に示すように、段差13の内側の部分を通り、X方向、及びY方向にそれぞれ延びるダイシングラインDL2に沿ってZの正方向の側からダイシングソーDS2を押し当て、基板10aを積層方向に切断する。これにより、セル21aが個片化される。
【0053】
基板10aを切断する際には、段差13の幅より狭い幅のダイシングソーDS2を用いる。これにより、セル21aは、側面に封止部材30aを残した状態で個片化される。
【0054】
以上により、実施形態の半導体装置1aが製造される。
【0055】
なお、上述の段差13の形成、及びセル21aの個片化には、ダイシングソーDS1~2によるブレード加工に替えて、例えばレーザ加工、及びプラズマ加工等が用いられてもよい。
【0056】
(比較例)
図18A、Bを用いて、比較例の半導体装置について説明する。
図18A、Bは、比較例にかかる半導体装置の製造方法の一部を例示する図である。
【0057】
図18Aに示すように、比較例の半導体装置の製造工程においては、ピッカー等によってダイシングテープDPから個々にピックアップされたセル21xが、実装対象の基板に実装される。ダイシングテープDPからセル21xをピックアップする際に、セル21xに割れVが生じたり、セル21xが傾いたりする場合がある。セル21xの膜厚が薄く、またセル21xの短辺に対して長辺が長いことから、水平方向のバランスを保ち難いためである。このようなピックアップ不良が生ずると、セル21xと、実装対象の基板と、の間の電気的な接続が阻害され、半導体装置の歩留まりが低下する場合がある。
【0058】
また、比較例の半導体装置の製造工程においては、セル21xの実装に長い処理時間を要することがある。実装対象の基板に対し、セル21xを個々に位置合わせする必要があるためである。これにより、半導体装置の生産性が低下する場合がある。
【0059】
また、
図18Bに示すように、比較例の半導体装置の製造工程においては、実装対象の基板10xに、セル21xを実装する際に、基板10xに形成されたアライメントマーク11xと、セル21xに形成されたアライメントマーク22xと、が用いられる。このとき、アライメントマーク11x、及びアライメントマーク22xの形成箇所において、基板10x、及びセル21xの当接面にボイドQが発生することがある。
【0060】
アライメントマーク11x、及び22xは、端子等と比較して基板面に露出する表面積が大きい。また、アライメントマーク11x、及び22xに埋め込まれている銅(Cu)等は、基板10x、及びセル21xの基板面を形成する絶縁膜等と比較して軟質である。
そのため、基板10a、及びセル21xの基板面を研磨すると、アライメントマーク11x、及び22xに埋め込まれた銅(Cu)、及び銅(Cu)の周縁部の絶縁膜等に、それぞれディッシング(Dishing)、及びシニング(Thinning)と呼ばれる窪みが生じることがある。アライメントマーク11x、及び22xの形成箇所が過剰に研磨されるためである。
【0061】
このような窪みを有する基板10x、及びセル21xが当接され、熱処理等が行われると、当接面にボイドQが形成される。ボイドQの形成により、半導体装置の信頼性が低下することがある。
【0062】
(概括)
実施形態の半導体装置1aの製造方法によれば、境界部24を介して隣り合う複数のセル21aを有する複合セル基板20aを、基板10aに所定の間隔で実装する。基板10aと、複合セル基板20aと、を覆うように封止部材30aを形成し、基板10aを積層方向に切断して、セル21aを個片化する。
【0063】
このように、複数のセル21aを有する複合セル基板20aを基板10aに実装し、後にセル21aを個片化するため、セル21aを個々にピックアップする必要がない。これにより、セル21aのピックアップ不良を回避できるため、半導体装置1aの歩留まりを向上させることができる。また、基板10aに対し、セル21aを個々に位置合わせする必要がないため、半導体装置1aの生産性を向上させることができる。
【0064】
また、実施形態の半導体装置1aの製造方法によれば、基板10aに複合セル基板20aを実装した後、基板10aの間隙部14、及び複合セル基板20aの境界部24を、積層方向に所定深さで切削して段差13を形成する。そして、封止部材30aを形成し、段差13の内側を積層方向に切断してセル21aを個片化する。
【0065】
これにより、段差13の形成に伴い露出したセル21aの側面211a~212、及び基板10aの側面131に対するダイシングソーDS2の接触時間が低減する。そのため、ダイシングソーDS2によりセル21a、及び基板10aへ及ぶダメージを低減することができる。
【0066】
また段差13の形成により、段差13に落とし込むように封止部材30aの脚部が形成されるため、基板10a、及びセル21aと、封止部材30aとの密着性がより向上する。
【0067】
また、実施形態の半導体装置1aの製造方法によれば、基板10aの間隙部14、及び複合セル基板20aの境界部24の内側には、それぞれアライメントマーク11、及びアライメントマーク22が形成されている。そして、段差13が形成される際には、アライメントマーク11、及び22が切削される。
【0068】
これにより、基板10a、及び複合セル基板20aの当接面からアライメントマークが除去されるため、ボイドQの形成が回避され、その結果として半導体装置1aの信頼性を向上させることができる。
【0069】
また、実施形態の半導体装置1aの製造方法によれば、アライメントマーク11-1~11-2は、複合セル基板20aの実装領域の外側に対角を成して形成されている。また、アライメントマーク22-1~22-4は、複合セル基板20aのうち、それぞれXY方向に離間した位置に形成されている。
【0070】
このように、基板10aに比較的面積の大きな複合セル基板20aを実装させることにより、例えばアライメントマーク11-1及び11-2の間の距離、アライメントマーク22-1及び22-3の間の距離、並びにアライメントマーク22-2及び22-4の間の距離を、それぞれ広く確保することができる。これにより、基板10aに対する複合セル基板20aの位置合わせの精度を向上させることができる。
【0071】
(変形例1)
図7A、Bを用いて実施形態の変形例1の半導体装置1bの製造方法について説明する。
図7A、Bは、実施形態の変形例1にかかる半導体装置1bの製造方法の手順の一部を例示する図である。
図7Aは、変形例1の半導体装置1bの製造方法における、
図5Aに対応する上面図である。また、
図7Bは、変形例1の半導体装置1bにおける、
図1Bに対応するXY断面図である。なお、
図7Aにおいては、説明の便宜上、アライメントマーク11-1、11-2、22-1、及び22-3のように、段差13の形成後においては必ずしも視認することができない構成も描かれているものとする。
【0072】
変形例1の半導体装置1bの製造方法においては、複合セル基板20bのうち、セル21aが、境界部24を介してX方向またはY方向のいずれかにのみ並んで配置されている点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0073】
図7Aに示すように、複合セル基板20bは、Y方向にのみ延びる境界部24と、境界部24を介してX方向に2つ隣り合って配置されたセル21aを有している。また、境界部24の内側には、アライメントマーク22-1、及び22-3が形成されている。
【0074】
変形例1の半導体装置1bの製造方法においては、Y方向にのみ延びる境界部24を通るダイシングラインDL1-20に沿って基板10aを積層方向に切削し、段差13を形成する。封止部材30aにより基板10a、及び複合セル基板20bを覆い、段差13の内側の部分を積層方向に切断する。このような手順を経て、2つの半導体装置1bが製造される。
【0075】
図7Bに示すように、上述のようにして製造された半導体装置1bにおいては、積層方向から見て、セル21aの側面211aの1面のみが、側面131と同一平面になるように位置し、側面212~214は、側面131より内側に位置する。
【0076】
変形例1の半導体装置1bの製造方法、及び半導体装置1bによれば、上述の実施形態の半導体装置1aの製造方法及び半導体装置1aと同様の効果を奏する。
【0077】
(変形例2)
図8A、Bを用いて実施形態の変形例2の半導体装置1cの製造方法について説明する。
図8A、Bは、実施形態の変形例2にかかる半導体装置1cの製造方法の手順の一部を例示する図である。
図8Aは、変形例2にかかる半導体装置1cの製造方法における、
図5Aに対応する上面図である。
図8Bは、変形例2の半導体装置1cにおける、
図1Bに対応するXY断面図である。なお、
図8Aにおいては、説明の便宜上、アライメントマーク11-1、11-2、22-5~22-10のように、段差13の形成後においては必ずしも視認することができない構成も描かれているものとする。
【0078】
変形例2の半導体装置1cの製造方法においては、複合セル基板20cのうち、セル21aが、境界部24を介してX方向またはY方向に3つ以上並んで配置されている点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0079】
図8Aに示すように、複合セル基板20bは、X方向、及びY方向に延びる境界部24と、境界部24を介してX方向に3つ、及びY方向に2つ隣り合って配置されたセル21aを有している。また、境界部24の内側には、アライメントマーク22-5~10が形成されている。
【0080】
変形例2の半導体装置1cの製造方法においては、Y方向に複数延びる境界部24を通るダイシングラインDL1-20~21のそれぞれに沿って、基板10aを積層方向に切削し、段差13を形成する。封止部材30aにより基板10a、及び複合セル基板20bを覆い、段差13の内側の部分を積層方向に切断する。このような手順を経て、6つの半導体装置1cが製造される。
【0081】
図8Bに示すように、上述のようにして製造された半導体装置1cにおいては、積層方向から見て、セル21aの側面211a~213の3つの面が、側面131と同一平面になるように位置する。また、側面214は、側面131より内側に位置する。
【0082】
変形例2の半導体装置1cの製造方法、及び半導体装置1cによれば、上述の実施形態の半導体装置1aの製造方法及び半導体装置1aと同様の効果を奏する。
【0083】
(変形例3)
図9A、Bを用いて実施形態の変形例3の半導体装置1d、及び1eについて説明する。
図9Aは、実施形態の変形例3にかかる半導体装置1dの構成例を示す図である。
図9Bは、実施形態の変形例3にかかる半導体装置1eの構成例を示す図である。
【0084】
変形例3の半導体装置1d、及び1eにおいては、基板10a上に、半導体セルとしての複数のセル21が積層されている点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0085】
図9Aに示すように、変形例3の半導体装置1dにおいては、基板10aの上面140aに、同一形状を有する複数のセル21a~21cが積層されている。セル21a~21cの内部には、積層方向に配線40が延び、配線40は、端子23、端子12を介して基板10aと接続されている。このとき、積層方向から見て、セル21aの側面211a、セル21bの側面211b、及びセル21cの側面211cと、段差13の側面131と、が同一平面になるように配置されている。
【0086】
また、
図9Bに示すように、変形例3の半導体装置1eにおいては、基板10aの上面140aに、異なる形状を有する複数のセル21a、及び21dが積層されている。このとき、積層方向から見て、セル21aの側面211a、及びセル21dの側面211dと、段差13の側面131と、が同一平面になるように配置されている。
【0087】
変形例3の半導体装置1d、及び1eによれば、上述の実施形態の半導体装置1aの製造方法及び半導体装置1aと同様の効果を奏する。
【0088】
(変形例4)
図10を用いて、実施形態の変形例4の半導体装置1fについて説明する。
図10は、実施形態の変形例4にかかる半導体装置1fの構成例を示す図である。
【0089】
変形例4の半導体装置1fにおいては、バンプを介して基板10bと、セル21eと、が接合されている点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0090】
基板10bの上面140b、及びセル21eの基板面210bには、それぞれ電極としてのバンプ16、及びバンプ25がアレイ状に配置されている。バンプ16、及びバンプ25は、半田50を介して接合されている。これにより、基板10bと、セル21eと、が電気的に接続される。
【0091】
また、基板10bと、セル21eとの間には、接着剤60が充填されている。接着剤60は、例えば、例えばNCF(Non Conductive Film)、NCP(Non Conductive Paste)、モールド材等のエポキシ樹脂により構成される。これにより、基板10bと、セル21eと、の実装面が保護される。
【0092】
変形例4の半導体装置1fによれば、その他、上述の実施形態の半導体装置1aの製造方法及び半導体装置1aと同様の効果を奏する。
【0093】
(変形例5)
図11A、Bを用いて実施形態の変形例5の半導体装置の製造方法について説明する。
図11A、Bは、実施形態の変形例5にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する図である。
【0094】
変形例5の半導体装置の製造方法においては、セル21aを個片化する際に、ダイシングソーDS2によるブレード加工に加えて、研磨加工を用いる点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0095】
図11Aに示すように、変形例5にかかる半導体装置の製造方法においては、段差13の形成後、基板10aと、複合セル基板20aと、を封止部材30aで覆う。そして、基板10aの切断に替え、段差13の内側部分を所定深さまで切削して段差13の内側に凹部15を形成する。そして、
図11Bに示すように、基板10aの底面150を、凹部15が開口するまで研磨する。これにより、セル21aを個片化する。
【0096】
変形例5の半導体装置の製造方法において、所定深さとは、半導体装置が製造される際に、最終的に基板10aに要求される厚みと一致する値であるものと想定するが、これに限定されない。即ち、所定深さは、基板10aの厚みを超えない深さであれば任意の値でよいものとする。
【0097】
半導体装置の製造の際には、基板10aの切断前に、基板10aの底面150を研磨して厚みを調整する場合がある。このような場合、基板10aの薄膜化により半導体装置の強度が低下し、ダイシングソーDS2による切断の際に、半導体装置が破損する場合がある。そこで、最終的に基板10aに要求される厚みと一致する深さまで予め基板10aを切削し、その後、基板10aの底面150を研磨することにより基板10aを切断する。これにより、半導体装置の破損が抑制される。
【0098】
変形例5の半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態の半導体装置の製造方法及び半導体装置と同様の効果を奏する。
【0099】
(変形例6)
図12A、Bを用いて実施形態の変形例6の半導体装置1gの製造方法について説明する。
図12A、Bは、実施形態の変形例6にかかる半導体装置1gの製造方法の手順の一部、及び半導体装置1gの適用例を例示する図である。
図12Aは、変形例6にかかる半導体装置1gの製造方法における
図6Bに対応するXZ断面図である。
図12Bは、変形例6にかかる半導体装置1gの適用例について説明する図である。
【0100】
変形例6の半導体装置1gの製造方法においては、複合セル基板20aが、封止部材30bによって完全に覆われない点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0101】
図12Aに示すように、変形例6の半導体装置1gの製造方法においては、
図5の処理の後、複合セル基板20aの上面200と一致する高さで封止部材30bを形成する。そして、段差13の内側の部分を積層方向に切断することによりセル21aを個片化する。このようにして製造された半導体装置1gは、セル21aの上面が露出することとなる。
【0102】
図12Bに示すように、このようにして製造された半導体装置1gは、それぞれを順次X方向にずらしつつ積層し、一括で封止した半導体パッケージとして適用可能である。このとき封止部材30bは、例えば半導体装置1gの底面150と、下方に配置された半導体装置1gの上面140aとの間に配置されることとなる。これにより、Zの正負方向にかかる応力に対して、積層された複数の半導体装置1gが互いに支持される。またこのとき、封止部材30bとして、樹脂膜に替えて例えばスペーサ等が用いられてもよい。
【0103】
(変形例7)
図13~
図15を用いて実施形態の変形例7の半導体装置1hの製造方法、及び半導体装置1hについて説明する。
【0104】
図13~14は、変形例7にかかる半導体装置1hの製造方法の手順の一部を例示する図である。
図13は、変形例7にかかる半導体装置1hの製造方法における、
図5Aに対応する上面図である。
図14は、変形例7にかかる半導体装置1hの製造方法における、
図6Aに対応する上面図である。なお、
図13においては、説明の便宜上、アライメントマーク22-1~4のように、段差13の形成後においては必ずしも視認することができない構成も描かれているものとする。また、
図14においても同様に、アライメントマーク11-1~4のように、基板10aの切断後においては必ずしも視認することができない構成が描かれているものとする。
【0105】
変形例7の半導体装置1hの製造方法においては、段差13の形成の際に、複合セル基板20aの境界部24のみを積層方向に切削して凹部を形成する点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0106】
図13に示すように、具体的にはまず、複合セル基板20aの境界部24を通り、Y方向にそれぞれ延びるダイシングラインDL1-20に沿って、基板10aを切削する。これにより、段差13の形成に伴い、アライメントマーク22-1、及び22-3が切削される。
【0107】
同様に、境界部24を通り、X方向にそれぞれ延びるダイシングラインDL1-30に沿って、基板10aを切削する。これにより、段差13の形成に伴い、アライメントマーク22-2、及び22-4が切削される。
【0108】
次に、図示はしないが、基板10aと、複合セル基板20aと、を覆うように封止部材30aを形成する。
【0109】
その後、
図14に示すように、基板10aの間隙部14-1を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL2-10に沿って、基板10aを積層方向に切断する。このとき、ダイシングラインDL2-10と、アライメントマーク11-2と、が上下に重なるようにダイシングソーDS2を押し当てる。これにより、アライメントマーク11-2が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0110】
同様に、基板10aの間隙部14-2を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL2-11に沿って、基板10aを積層方向に切断する。このとき、ダイシングラインDL2-11と、間隙部14-2に並ぶアライメントマーク11-1、及び11-4と、が上下に重なるようにダイシングソーDS2を押し当てる。これにより、アライメントマーク11-1、及び11-4が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0111】
同様に、基板10aの間隙部14-3を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL2-12に沿って、基板10aを積層方向に切断する。このとき、ダイシングラインDL2-12と、アライメントマーク11-3と、が上下に重なるようにダイシングソーDS2を押し当てる。これにより、アライメントマーク11-3が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0112】
さらに、間隙部14-4を通り、X方向に延びるダイシングラインDL2-40に沿って基板10aを積層方向に切断する。これにより、基板10aがY方向に分割される。
【0113】
以上により、セル21aが個片化される。このような手順を経て、半導体装置1hが製造される。
【0114】
【0115】
図15Aに示すように、上述のようにして製造された半導体装置1hの基板10aは、側面101~104によりその外周部が構成される。側面101~104のうち、互いに隣り合う側面101、102にのみ、段差13が形成されている。段差13は、側面131を有している。したがって、
図15B、Cに示すように、積層方向から見て、側面131と、セル21aの側面211a~212と、が、それぞれ同一平面になるように位置することとなる。
【0116】
(変形例8)
図16~
図17を用いて実施形態の変形例8の半導体装置1iの製造方法について説明する。
図16~
図17は、変形例8の半導体装置1iの製造方法の手順の一部を例示する図である。
図16Aは、変形例8にかかる半導体装置1iの製造方法における、
図5Aに対応する上面図である。
図16Bは、
図16AにおけるC-C線のXZ断面図である。また
図17Aは、変形例8にかかる半導体装置1iの製造方法における、
図6Aに対応する上面図である。
図17Bは、
図16AにおけるD-D線のXZ断面図である。なお、
図16Aにおいては、説明の便宜上、アライメントマーク22-1~4のように、複合セル基板20aの切断後においては必ずしも視認することができない構成も描かれているものとする。また、
図17Aにおいても同様に、アライメントマーク11-1~4、22-1~4のように、基板10aの切断後においては必ずしも視認することができない構成も描かれているものとする。
【0117】
変形例8の半導体装置1iの製造方法においては、段差13を形成しない点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0118】
基板10aと、複合セル基板20aと、を接続する。
図16Aに示すように、複合セル基板20aの境界部24を通るダイシングラインDL1-20、及び1-30に沿って複合セル基板20aを積層方向に切削する。このとき、
図16Bに示すように、基板10aの表面には凹部が形成されない。またこのとき、複合セル基板20aに形成されたアライメントマーク22-1~4を削除してもよい。複合セル基板20aの切削には、例えば、レーザ加工、プラズマ加工、あるいはダイシングソーによるブレード加工等が用いられる。そして、基板10aと、複合セル基板20aと、を覆うように封止部材30aを形成する。
【0119】
封止材30aの形成後、
図17A,Bに示すように、基板10aの間隙部14-1を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL2-10に沿って、基板10aを積層方向に切断する。これにより、アライメントマーク11-2が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0120】
同様に、基板10aの間隙部14-2を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL2-11に沿って、基板10aを積層方向に切断する。これにより、アライメントマーク11-1、及び11-4が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0121】
同様に、基板10aの間隙部14-3を通り、Y方向に延びるダイシングラインDL2-12に沿って、基板10aを積層方向に切断する。これにより、アライメントマーク11-3が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0122】
次に、複合セル基板20aの境界部24を通り、Y方向にそれぞれ延びるダイシングラインDL2-20に沿って、基板10aを積層方向に切断する。複合セル基板20aに形成されたアライメントマーク22-1、及び22-3が残っている場合は、ダイシングラインDL2-20と、アライメントマーク22-1、及び22-3と、が上下に重なるように、ダイシングソーDS2を押し当てる。これにより、アライメントマーク22-1、及び22-3が除去されると共に、基板10aがX方向に分割される。
【0123】
同様に、境界部24を通り、X方向に延びるダイシングラインDL2-30に沿って、基板10aを積層方向に切断する。複合セル基板20aに形成されたアライメントマーク22-2、及び22-4が残っている場合は、ダイシングラインDL2-30と、アライメントマーク22-2、及び22-4と、が上下に重なるように、ダイシングソーDS2を押し当てる。これにより、これにより、アライメントマーク22-2、及び22-3が除去されると共に、基板10aがY方向に分割される。
【0124】
さらに、間隙部14-4を通り、X方向に延びるダイシングラインDL2-40に沿って基板10aを積層方向に切断する。これにより、基板10aがY方向に分割される。
【0125】
以上により、セル21aが個片化される。このような手順を経て、半導体装置1iが製造される。
図17Bに示すように、上述のようにして製造された半導体装置1iにおいては、基板10aの外周部に段差13は形成されない。
【0126】
(その他の変形例)
上述の実施形態、及び変形例では、実装予定領域PR1、実装予定領域PR2には基板10aにアライメントマークが配置されていない。しかし、実装予定領域PR1、実装予定領域PR2のうち、所定のダイシングラインと重なる部分にアライメントマークが配置されていてもよい。基板10aのアライメントマークと、複合セル基板20aのアライメントマークと、が対応する位置にあり、互いに接合していてもよい。このようにアライメントマークが配置されていても、段差13の形成の際、または、基板10aの個片化の際には、これらのアライメントマークは除去される。
【0127】
上述の実施形態、及び変形例では、段差13の形成に伴って、アライメントマーク11等が除去されることとした。しかし、アライメントマーク11等は、基板10aの切断の際に、除去されてもよい。
【0128】
上述の実施形態、及び変形例では、基板10aの上面140aに沿う方向には、1つのセル21aが配置されることとしたが、セル21aの配置はこれらに限定されない。例えば、基板10aの上面140aに沿う方向に2つのセル21aが配置されてもよい。そして、基板10aの外周部に形成された段差13の側面131と、それぞれのセル21aの側面と、が同一平面上に配置されていてもよい。
【0129】
上述の実施形態、及び変形例では、段差13の形成後、基板10a、及び複合セル基板20aの少なくとも一部を封止部材30a、または30bで覆うこととした。しかし、封止部材30a、または30bで覆わなくともよい。このようにして製造された半導体装置のそれぞれを積層した後、一括で封止してもよい。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1a~1g…半導体装置、10a、10b…基板、11…アライメントマーク、12…端子、13…段差、14…間隙部、15…凹部、16…バンプ、20‥複合セル基板、21a~21e…セル、22…アライメントマーク、23…端子、30a、30b…封止部材、50…半田、60…接着剤、131…側面、132…上面、140a,140b…上面、210a、210b…基板面、211a、211b、211c、211d…側面、212~214…側面、DS1、DS2…ダイシングソー。