(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133876
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】特徴検討支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/907 20190101AFI20240926BHJP
【FI】
G06F16/907
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043875
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】393024315
【氏名又は名称】栗田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】栗田 洋
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175DA02
5B175HB03
(57)【要約】
【課題】ユーザが設定した特徴要素に係わる検討対象表現の部位を抽出して再構成した再構成表現と上記設定特徴要素に係わる評価を提示することにより、検討対象の特徴の検討を支援する。
【解決手段】1又は複数設定された特徴要素との関連度に基づいて抽出された検討対象表現の部位を分離して検討対象表現を再構成した再構成表現を生成する再構成手段と、前記設定された特徴要素を評価して評価指標を生成する評価手段と、前記再構成表現と前記評価指標とを提示する検討支援表現を生成する検討支援表現生成手段と、を含む特徴検討支援システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声、テキスト、画像から選ばれる少なくとも一つを含む媒体による検討対象の表現を利用して該検討対象の特徴の検討を支援するシステムであって、
a)1又は複数設定された特徴要素との関連度に基づいて抽出された前記表現の部位を分離して前記表現を再構成した再構成表現を生成する再構成手段と、
b)前記設定された特徴要素を評価して評価指標を生成する評価手段と、
c)前記再構成表現と前記評価指標とを提示する検討支援表現を生成する検討支援表現生成手段と、
を含み、
前記検討支援表現をユーザに提示することにより、前記検討対象の特徴の検討を支援することを特徴とする特徴検討支援システム。
【請求項2】
前記検討支援表現は、前記特徴要素を設定する特徴設定手段を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の特徴検討支援システム。
【請求項3】
前記評価は、前記設定された特徴要素を含む内部資料に基づく評価であることを特徴とする請求項1に記載の特徴検討支援システム。
【請求項4】
前記評価は、前記設定された特徴要素から形成された検索式によって検索された外部資料の分析に基づく評価であることを特徴とする請求項1に記載の特徴検討支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検討対象となるアイデアの特徴について、検討対象を音声、テキストあるいは画像で表現したもの(以下、検討対象表現という)を利用して検討するユーザに対して、検討対象表現を加工した表現(以下、再構成表現という)や特徴の評価を提示することにより、そのユーザの検討作業を支援するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、研究者、技術者等のユーザが自身のアイデアを検討対象として検討する場合に利用する技術の一つとして、そのアイデアの特徴として設定した要素(以下、特徴要素という)に関連するキーワードを含む検索式によって情報検索できる特許文献データベースがある。特許文献データベースを提供するサービスの中には、ユーザによるアイデアの特徴を検討する利便性を高めるために、検索された特許文献の表示においてキーワード部位の色付けをするなどして強調して提示する技術が採用されているものもある。
【0003】
しかしながら、検討対象自体における特徴を示す部位が提示されていないため、キーワードを設定する基礎となった特徴要素と検索された特許文献のキーワード部位に含まれる特徴とを比較して検討することは一定の調査スキルや熟練を要する難易度の高い作業であった。
【0004】
ここで検索された特許文献に含まれる特徴が自身のアイデアの特徴要素と一致している場合やそのアイデアの特徴要素のいずれにおいても類似する特許文献が発見されなかった場合は、自身のアイデアの特徴を検討することは容易である。しかし、一定程度の類似がある特徴を含む特許文献が検索された場合は、検索された文献のキーワードを含む部位と比較して自身のアイデアの特徴を検討することは難しい。
さらには、自身のアイデアが複数の特徴を有している場合において、複数の特徴のすべてを満たす特許文献が検索されなくても、それぞれの特徴について一致もしくは一定程度の類似がある特徴を含む特許文献が複数検索された場合は、自身のアイデアの特徴の検討はさらに難しい。
【0005】
特徴要素毎に、検討対象表現における特徴に関連するの部位を他の部位と分離して提示すると共に、参考となる評価指標をともに提示することにより、その特徴についての検討を支援するシステムが求められていた。
【0006】
特許文献1には、作業工程の検討において、作業工程を記録した動画における説明の個所と説明された対象が撮影された個所とで異なる特徴要素に基づいて動画の場面を切り分け、説明場面と被説明場面とに分類する情報処理装置およびプログラムが開示されている。
しかしながら、作業工程自体の特徴を基準に動画の場面を切り分けたものではないので、その作業工程自体の特徴を検討するための支援としては十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、音声、テキスト、画像から選ばれる少なくとも一つを含む媒体による検討対象表現を利用して検討対象の特徴を検討する際に、ユーザが設定した1又は複数の特徴要素(以下、設定特徴要素という)に係わる検討対象表現の部位を抽出して再構成した再構成表現と上記設定特徴要素に係わる評価を提示することにより、検討対象の特徴の検討を支援するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の観点では、音声、テキスト、画像から選ばれる少なくとも一つを含む媒体による検討対象の表現を利用して該検討対象の特徴の検討を支援するシステムであって、
a)1又は複数設定された特徴要素との関連度に基づいて抽出された前記表現の部位を分離して前記表現を再構成した再構成表現を生成する再構成手段と、
b)前記設定された特徴要素を評価して評価指標を生成する評価手段と、
c)前記再構成表現と前記評価指標とを提示する検討支援表現を生成する検討支援表現生成手段と、
を含み、
前記検討支援表現をユーザに提示することにより、前記検討対象の特徴の検討を支援することを特徴とする特徴検討支援システムが提供される。
【0010】
ここで、前記検討支援表現は、前記特徴要素を設定する特徴設定手段を含んでいる、としてもよい。
【0011】
ここで、評価は、前記設定された特徴要素を含む内部資料に基づく評価である、としてもよい。
ここで内部資料とは、アイデアを考案したユーザ等がシステムに提供した検討対象表現や設定のためユーザ自身が入力した特徴要素のように検討の主体となるユーザに属する資料を指す用語として用いる。
【0012】
あるいは、前記評価は、前記設定された特徴要素から形成された検索式によって検索された外部資料の分析に基づく評価である、としてもよい。
外部資料の分析に基づく評価の一例として、検索されたデータのデータ数の多寡、設定特徴要素に類似する部位を含むデータの絶対数や出現率といったものが所定の基準値を超えるか否かによる強弱評価がある。類似する部位を含むデータの絶対数や出現率の大小により、特徴性の「強さ」又は「弱さ」を評価することが可能である。
ここで外部資料とは、検索でヒットした文献のように検討の主体となるユーザに属さない外部に属する資料を指す用語として用いる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特徴検討支援システムは、検討対象表現を利用して検討対象の特徴を検討する際に、ユーザが設定した設定特徴要素に係わる検討対象表現の部位を抽出して再構成した再構成表現と設定特徴要素に係わる評価を提示することにより、ユーザによる検討対象の特徴の検討を支援するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1のシステムを示した全体図である。
【
図2】
図2は、検討対象表現データの構成の一例を示したブロック図である。
【
図3】
図3は、特徴要素設定の動作の一例を示したフローチャートである。
【
図4】
図4は、特徴要素入力方式選択の誘導をする音声の一例である。
【
図5】
図5は、検討対象表現の認識提示の一例を示したブロック図である。
【
図6】
図6は、特徴要素設定データの構成の一例を示したブロック図である。
【
図7】
図7は、検討対象表現の再構成動作の一例を示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、抽出された関連部位の関連部位データの構成を示したブロック図である。
【
図9】
図9は、再構成表現の一例を示したイメージ図である。
【
図10】
図10は、調査・分析部の動作の一例を示したフローチャートである。
【
図11】
図11は、高類似度文献データのデータ構成を示したブロック図である。
【
図12】
図12は、調査・分析結果データの構成の一例を示したブロック図である。
【
図13】
図13は、評価部の機能構成を示したブロック図である。
【
図14】
図14は、本実施例の特徴検討支援システムによる支援動作の一例の概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで示す各機能構成部の動作は、予め組み込まれたファームウエア等の制御プログラムをシステムの回路のプロセッサで実行し、システムの構成要素となる各種デバイスと協働することにより実現される。また、これらのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該プロセッサによって記録媒体から読み出され、特徴検討者等のユーザが操作することによって実行される。
【実施例0016】
図1は、本発明の実施例1のシステムを示した全体図である。通信ネットワーク1001を介して、サーバ1002とユーザ側のインタフェース装置1003から構成される。
【0017】
サーバ1002は、検討対象表現取得部1004、記憶部1005、特徴要素設定部1006、検討対象再構成部1007、調査・分析部1008、評価部1009、そして特徴検討支援表現生成部1010という機能構成部から構成される。
【0018】
検討対象表現取得部1004は、インタフェース装置1003から送信された検討対象表現データを受信して、記憶部1005に保存する。
【0019】
特徴要素設定部1006は、インタフェース装置1003から送信された特徴要素設定データを受信して記憶部1005に保存する。
【0020】
検討対象再構成部1007は、記憶部1005に保存された検討対象表現データを特徴要素設定データに含まれる特徴要素との関連度に基づいて、関連度の高い部位を抽出し、他の部位と分離して再構成した再構成表現データを生成し、記憶部1005に保存する。
【0021】
ここで関連度の高さは、以下の方式により判断するものとする。既知の学習済モデルにより特徴要素の分散表現を生成し、所定の単位に分割した再構成表現の部位について同様に分散表現を生成する。そして、それぞれの再構成表現の部位について生成した分散表現と特徴要素との類似度を計算する。計算された類似度が一定の値を超える場合を関連度が高いと判断するのである。
本願発明の関連度はこの方式によるものに限定されるものではなく特徴要素を抽出するための出所となる部位およびその近傍を関連度の高い部位とする方式など適宜採用可能である。
【0022】
調査・分析部1008は、特徴要素設定部1006により設定された特徴要素から生成された検索式によって先行技術文献を検索し、当該特徴要素との関連の強い部位を文献毎に抽出する等の予め設定した調査・分析を実行し、その調査・分析結果を記憶部1005に保存する。
【0023】
評価部1009は、外部情報である先行技術文献に基づく調査・分析結果から導かれる特徴性の強さを示す指標である強弱指標を特徴要素の評価として生成し、記憶部1005に保存する。
ここでは評価として上記強弱指標を採用しているが、本発明で採用可能な評価はこれに限定されるものではない。内部情報である特徴要素自体や特徴要素に関連するの概念的広さを指標化した広狭指標や上記強弱指標と広狭指標とを並列させて同時提示する評価など適宜変更されうる。
【0024】
外部情報を参照して生成される強弱指標や内部資料を参照して生成される広狭指標が特徴要素の評価の構成可能なことを示したが、本発明で採用可能な評価の構成はこれらに限定されるものではなく、上記とは異なる観点による評価指標が評価の構成として適宜採用されうる。
【0025】
検討支援表現生成部1010は、特徴要素設定データ、再構成表現データそして強弱指標と広狭指標から構成される評価を記憶部1005から呼び出して、特徴検討支援表現データを生成し、記憶部1005に保存する。
【0026】
インタフェース装置1003は検討対象表現入力部1011、特徴要素設定部1012そして特徴検討支援表現提示部1013から構成される。
ここでは、インタフェース装置としてスマートフォンが採用される。このスマートフォンに予めインストールした検討支援アプリが起動されることにより、上記機能構成部が実現される。
【0027】
本実施例では、インタフェース装置としてスマートフォンが採用されたが、本発明で採用可能なインタフェース装置はこれに限定されるものではない。後で説明するユーザからのアクションを検知するマイク、カメラ等のデバイスと、ユーザに対して検討支援の提示をする表示装置、スピーカー等のデバイスを備えたパソコン、VRヘッドセット等を適宜採用可能である。
【0028】
検討対象表現入力部1011は、所定の検討対象ファイル指定インタフェースをユーザに提示し、ユーザからの所定の指定アクションを検知して、検討対象表現ファイルを取得し、検討対象を識別するための検討対象IDと指定された検討対象表現を識別するコンテンツIDを付して、サーバ1002に送信する。
【0029】
特徴要素設定部1012は、所定の特徴要素設定インタフェースをユーザに提示し、ユーザからのテキスト入力、音声入力もしくはテキスト認識された検討対象表現の部位選択から選ばれる少なくとも1つの方式により特徴要素をテキストとして取得し、検討対象を識別するための検討対象IDと特徴要素を識別する特徴要素IDを付して特徴要素設定データを生成し、サーバ1002に送信する。
【0030】
特徴検討支援表現提示部1013は、予め設定した検討対象を特定した検討開始アクションを検知して、サーバ1002から特徴検討支援表現データを取得して、所定の特徴検討支援表現をユーザに提示する。
【0031】
ここで特徴検討支援表現1013は、再構成表現を提示する再構成表現提示部1014、評価を提示する評価提示部1015、特徴要素を提示する特徴要素提示部1016から構成されるウインドウ表示である。
【0032】
特徴要素提示部1016は、ユーザのアクションによる入力を受け入れて、設定特徴要素を再設定できるように設けられている。
【0033】
ここでは、ウインドウ表示によって特徴検討支援表現が提示されているが、音声読み上げによる提示であってもよい。さらには設定特徴要素の再設定をユーザによる音声入力からのテキスト変換によって行ってもよい。
【0034】
図2は、検討対象表現データの構成の一例を示したブロック図である。
検討対象表現データを特定するコンテンツID2001、検討対象表現が表現する検討対象を特定する検討対象ID2002、更新日付2003、データ形式2004そして検討対象表現が収められたファイルであるコンテンツ2005という構成である。
【0035】
データ2006は、テキストで表現されたコンテンツC1のデータである。データ2007は、画像で表現されたコンテンツC2のデータである。データ2008は、音声で表現されたコンテンツC3のデータである。
【0036】
図3は、特徴要素設定の動作の一例を示したフローチャートである。
特徴要素設定開始ステップ3001において、インタフェース端末1003による予め設定したユーザアクションの検知をトリガにして、特徴要素入力部1012がこれから設定する特徴要素を特定とする番号「n」を「1」として起動する。
【0037】
ここで特徴要素設定開始のユーザアクションとしては特定のキーワードを含む発話を採用する。インタフェース装置のマイクに向けて発声された「検討対象K1について特徴要素設定開始」という発話を検知すると特徴要素設定の動作が開始される。
【0038】
第n特徴要素入力インタフェース提示ステップ3002において、特徴要素入力部1012は、インタフェース装置に備えられたスピーカーからユーザによる特徴要素入力方式の選択を誘導する音声を出力する。
【0039】
図4は、特徴要素入力方式選択の誘導をする音声の一例である。
特徴要素入力方式選択の誘導シナリオ4001が、特徴要素入力部1012によって、インタフェース装置に備えられたスピーカーを介して出力される。誘導シナリオ4001は、「第n特徴要素の設定を開始します」という発話音声4002、「入力方式を選択してください」という発話音声4003、「直接入力ですか」という発話音声4004、そして「選択入力ですか」という発話音声4005から構成される。
ここでは音声により提示された誘導シナリオが採用されているが、本発明で採用可能な提示はこれに限定されるものではない。特徴要素入力方式選択メニューの画像提示や動画により形成されたエージェントによる動作を伴う発話による提示などが本発明において適宜採用されうる。
【0040】
ユーザが「選択入力ですか」という発話音声4005に対してインタフェース装置に備えられたスピーカーを通して「ハイ」と音声で答えると、入力方式選択ステップ3003において、特徴要素入力部1012によって、特徴要素入力部の動作が検討対象表現認識提示ステップ3004に移行する。ここで検討対象表現認識提示は、検討対象表現の要約や認識結果のテキストをインタフェース装置の表示装置に表示する動作である。
【0041】
図5は、検討対象表現の認識提示の一例を示したブロック図である。
認識提示5001は、コンテンツIDがC1であるテキストコンテンツの要約テキスト5002、コンテンツIDがC2である画像コンテンツの画像認識テキスト5003そしてコンテンツIDがC3である音声コンテンツの音声認識テキストを表示することにより実行される。
ここではインタフェース装置の表示装置による検討対象表現のテキスト提示が採用されているが、検討対象表現の認識提示はこれに限定されるものではない。インタフェース装置のスピーカーを介したテキスト読上げ音声による提示や動画により形成されたエージェントによる動作を伴う発話による提示などが本発明において適宜採用されうる。
【0042】
選択入力が選択された場合の動作についての説明を続ける。
特徴部位指定ステップ3005において、ユーザが、提示されたものから特徴要素とする部位を指定する。ここでは、提示されたテキストの部位に対して、端末インタフェースに設けた方式の指定アクションを加えることによって行うこととする。
ここでは指定アクションとして、部位の始点にタッチした後に部位の終点にタッチすることにより、行うこととするが、本発明に採用可能な指定アクションはこれに限定されるものではない。パソコンにおけるマウスクリックやキーボードによる特定キーの押下げなどが、適宜採用採用されうる。
また、音声による検討対象表現の認識提示がされた場合、上記始点及び終点に相当する読上げのタイミングでユーザによる「ここから」、「ここまで」等の発話による指定アクションが採用される。
【0043】
指定部位編集ステップ3006において、ユーザは、特徴要素入力部1012によって抽出され、提示された指定部位に対して所望の編集を加え、特徴要素を作成する。ここで編集とは、不要部分の削除、テキストの加筆等により、ユーザの意図する特徴要素と指定部位との乖離を、特徴御要素入力部1012に設けた機能により、修正する作業である。
【0044】
ユーザが「直接入力ですか」という発話音声4004に対してインタフェース装置に備えられたスピーカーを通して「ハイ」と音声で答えると、入力方式選択ステップ3003において、特徴要素入力部1012によって、特徴要素入力部の動作が直接入力ステップ3007に移行する。
【0045】
直接入力ステップ3005において、ユーザが、端末インタフェースに設けた方式の入力アクションを加えることによって行うこととする。ここでは、端末インタフェースに設けられたマイクによって、ユーザが特徴要素としたいものを音声発話することによって行われる。
ここでは音声発話によって特徴要素を入力する方式が採用されているが、本発明で採用可能な入力アクションはこれに限定されるものではない。特徴要素入力部1012によって表示された入力ボックスにユーザがキーボード等の入力デバイスを操作して入力する方式などが適宜採用されうる。
【0046】
判断ステップ3008において、特徴要素入力部1012によって、ユーザに対して特徴要素のすべてを入力したか、否かの問いかけ表現を提示し、ユーザからの意思表示アクションを促す。
ここで意思表示アクションとして、音声発話が採用される。「YES」と端末インタフェース装置のマイクに発話すれば、すべてを入力したことになり、特徴要素入力部1012の動作はサーバへ送信ステップ3009に移行する。
ユーザが「NO」と端末インタフェース装置のマイクに発話すれば、まだすべてを入力していないことになり、特徴要素入力部1012の動作は、n=n+1とインクリメントした上で第n特徴要素入力インタフェース提示ステップ3002に移行する。
【0047】
サーバへ送信ステップ3009において、特徴要素入力部によって、入力された特徴要素すなわち設定特徴要素のすべてを含む特徴要素設定データが生成され、サーバ1002に送信される。
【0048】
設定ステップ3010において、特徴要素設定部1006によって、サーバに送信された特徴要素設定データが検討対象K1について特徴要素設定として記憶部1005に保存される。
【0049】
図6は、特徴要素設定データの構成の一例を示したブロック図である。
特徴要素設定データは、設定特徴要素を特定する特徴要素ID6002、設定の対象となる検討対象を特定する検討対象ID6002、この設定特徴要素を選択入力する元となった検討対象表現を特定する選択元所在6003そして設定特徴要素の内容となる特徴要素コンテンツ6004という項目からなり、複数の設定特徴要素データを含む構成である。ここでは、設定特徴要素データ6005から設定特徴要素6008までのデータセットとして構成されている。
ここで選択元所在6003として、検討対象表現データのコンテンツIDが採用されている。また、特徴要素コンテンツ6004として、特徴要素となるテキストのテキストファイルが採用されている。第n特徴要素データは、特徴要素IDが「Tn」の特徴要素データとなる。
【0050】
図7は、検討対象表現の再構成動作の一例を示したフローチャートである。
特徴要素設定又は特徴要素修正が完了すると、検討対象再構成部1007が起動してスタートステップ7001となる。ここで検討対象再構成部1007は、特徴要素データを特定とする番号「n」を「1」として起動する。
【0051】
第n特徴要素データ取得ステップ7002において、検討対象再構成部1007によって、特徴要素IDが「Tn」である第n特徴要素データが記憶部1005に格納された特徴要素設定データから取得される。
【0052】
特徴要素関連部位抽出ステップ7003において、検討対象再構成部1007によって、第n特徴要素データに含まれる特徴要素コンテンツとの関連度が所定の値を超える検討対象表現の関連部位が抽出される。
特徴要素コンテンツとの関連度は、特徴要素コンテンツの分散表現と、検討対象表現の部位の分散表現とを比較して計算する既知の類似度を計算することにより行う。
【0053】
ここでは類似度の計算は以下の手順で行われる。
まず、テキストとして認識された検討対象表現(以下、検討対象表現テキストという。)を段落又は文の単位で複数の部位に分割し、それぞれの部位について分散表現を生成する。次に、それぞれの分散表現と特徴要素コンテンツの分散表現との類似度を計算し、所定の類似度を越える部位を関連部位として抽出する。類似度として、分散表現同士のコサイン類似度を採用するものとする。
本発明で採用可能な関連度の計算は、類似度の計算に限定されるものではない。例えば、ユーザが特徴要素設定部1006の動作の特徴部位指定ステップ3005において指定アクションを加えた部位からの文字数でカウントされた距離を基準にして関連度を生成してもよい。
【0054】
抽出部位保存ステップ7004において、検討対象再構成部1007によって、抽出された検討対象表現テキストの関連部位が特徴要素を特定する特徴要素ID、関連部位の所在と関連付けて保存される。
【0055】
図8は、抽出された関連部位の関連部位データの構成を示したブロック図である。
再構成表現ID8001、検討対象を特定する検討対象ID8002、いずれの特許要素に関連しているかを特定する特徴要素ID8003、いずれの検討対象表現のどの部位かを特定する関連部位の所在8004そして抽出された検討対象表現テキストの関連部位のテキストファイルで格納される第n特徴要素関連部位コンテンツ8005という構成である。
【0056】
判断ステップ7005において、検討対象再構成部1007によって、設定されたすべての特徴要素について関連部位の抽出が行われたかの判断がされ、「NO」すなわち「すべてでない」場合は、特徴要素を特定する番号「n」を「n+1」にインクリメントして第n特徴要素データ取得ステップ7002に動作が移行する。「YES」すなわち「すべて抽出している」場合は、再構成表現合成ステップ7006に動作が移行する。
【0057】
再構成表現合成ステップ7006において、検討対象再構成部1007によって、特徴要素毎に特徴要素関連部位のテキスト(以下、特徴要素関連部位テキストという)をその他の部位と分離して提示する再構成表現を合成する。
【0058】
図9は、再構成表現の一例を示したイメージ図である。
再構成表現9001は、第1特徴要素についての再構成表現部分9002、第2特徴要素についての再構成表現部分9003、第3特徴要素についての再構成表現部分9004そして第4特徴要素についての再構成表現部分9005から構成される。それぞれの再構成表現部分について、特徴要素関連部位テキスト9006とその他の部位9007とが分離して提示される。
【0059】
再構成表現保存ステップ7007において、合成された再構成表現が記憶部1005に保存される。
【0060】
図10は、調査・分析部1008の動作の一例を示したフローチャートである。
特徴要素設定又は特徴要素修正が完了すると、検討対象再構成部1007と同様に調査・分析部1008も起動して調査・分析開始ステップ10001となる。調査・分析部1008も、特徴要素データを特定とする番号「n」を「1」として起動する。
【0061】
第n特徴要素データ取得ステップ10002において、調査・分析部1008によって、特徴要素IDが「Tn」である第n特徴要素データが記憶部1005に格納された特徴要素設定データから取得される。
【0062】
検索式生成ステップ10003において、調査・分析部1008によって、既知の自然語処理方法により第n特徴要素に含まれる単語を抽出し、それらの単語から所定の頻出単語を切り捨てて、検索キーとなる単語から構成される検索式を生成する。
【0063】
検索実行ステップ10004において、調査・分析部1008によって、上記生成された検索式により予め設定した文献データベースから検索式にマッチする文献を検索する。
【0064】
検索キーを含む領域抽出ステップ10005において、調査・分析部1008によって、上記検索キーとなる単語を含む部位を上記検索でヒットした文献毎に抽出領域として抽出する。
【0065】
抽出領域と特徴要素との類似計算ステップ10006において、調査・分析部1008によって、上記抽出領域と特徴要素との類似度を計算する。
【0066】
高類似度文献データ生成ステップ10007において、調査・分析部1008によって、上記類似度計算において所定の値を超える文献を高類似度文献と判断し、その類似度、抽出領域を含む高類似度文献データを生成し、記憶部1005に保存する。
【0067】
図11は、高類似度文献データのデータ構成を示したブロック図である。
保存する高類似度文献データを特定する文献ID11001、いずれの調査・分析であるかを特定する調査分析ID11002、文献にアクセスするための文献の所在11003、類似度1104そして上記検索キーとなる単語を含む部位のテキストファイルである抽出領域コンテンツ11005によって、高類似度文献データは構成されている。
【0068】
判断ステップ10008において、調査・分析部1008によって、すべての特徴要素について高類似度文献データ生成が行われたかどうかの判断が行われ、「NO」すなわち「すべてでない」場合は、特徴要素を特定する番号「n」を「n+1」にインクリメントして第n特徴要素データ取得ステップ10002に動作が移行する。「YES」すなわち「すべて行われている」場合は、調査・分析結果データ生成ステップ10009に動作が移行する。
【0069】
調査・分析結果データ生成ステップ10009において、調査・分析部1008によって、特徴要素毎に高類似度文献の抽出数、上記検索でヒットした文献の数に対する高類似文献の割合である高類似文献出現率、最も高い類似度を示した文献の類似度である最大類似度を求め、それらの値を含む調査・分析結果データを生成する。
【0070】
図12は、調査・分析結果データの構成の一例を示したブロック図である。
いずれの調査・分析であるかを特定する調査分析ID12001、いずれの特徴要素についての調査・分析であるかを特定する特徴要素ID12002、高類似度文献抽出数12003、高類似度文献出現率12004そして最大類似度12005によって、調査・分析結果データは構成されている。
本発明で採用可能な調査・分析結果データに含まれる特徴性に関する構成はこれに限定されるものではない。検討対象の特徴要素が他の文献に現れる特徴要素と比較して強い特徴性を示しているかどうかに関するものであれば適宜採用可能である。
【0071】
調査・分析結果保存ステップ10010において、調査・分析部1008によって、高類似度文献データおよび調査分析結果データが記憶部1005に保存される。
【0072】
図13は、評価部1009の機能構成を示したブロック図である。
評価部1009は、強弱評価部13001と広狭評価部13002という異なる基準から生成される評価を生成する機能構成部から構成されている。
【0073】
強弱評価部13001は、外部資料である検索ヒット文献の調査・分析結果に所定の基準を当てはめ生成した特徴の強弱指標を生成する。
強弱指標生成の一例として、最大類似度12005が所定の値を超える高い値を示した場合、強弱評価部13001はそれだけで「弱い」という指標を生成する。高類似度文献が少なくても決定的に高い類似を示す文献が存在すれば、その特徴要素は特徴を有しているといい難いという論理からである。決定的に高い類似を示す文献が存在しない場合、高類似文献数12003が所定の値を超える高い値を示す場合、「中」という指標を強弱評価部13001は生成する。高類似文献数が所定の値を超えていなくても、高類似文献出現率12004が所定の値を超える高い値を示す場合も、「中」を生成する。決定的に高い類似を示す文献が存在せず、高類似度文献抽出数も高類似度文献出現率も所定の値を越えない場合、「強い」という指標を、強弱評価部13001は、生成する。
【0074】
広狭評価部13002は、内部資料である特徴要素を構成するテキスト自体の構文及び単語を分析して概念の広さ示す広狭指標を生成する。構文及び単語の分析については、既知モデルを採用し、このモデルによって生成された単語数、単語の概念の上位下位の値を所定の方式で加工して広狭指標して生成する。
広狭指標生成の一例として、単語数が所定の値を超える場合に、広狭評価部13002は「狭い」という指標を生成する。単語数が所定の値を超えていない場合、、広狭評価部13002は「広い」という指標を生成する。
広狭評価については、研究者により様々な方式が提案されており、本発明の広狭評価として既知の方式が適宜採用されうる。内部資料に基づく評価の他の方式として、技術的範囲の広さを出力する学習済みモデルによる出力値の比較による広狭評価がある。広狭評価は、前記設定された特徴要素に該当する技術的範囲と前記抽出された前記検討対象表現の部位の技術的範囲とを比較しての評価であり、設定特徴要素の技術的範囲が前記抽出された検討対象表現の部位の技術的範囲より広いか否かで、その設定特徴要素は「広い」又は「狭い」と評価することが可能である。
【0075】
図14は、本実施例の特徴検討支援システムによる支援動作の一例の概要を示したフローチャートである。
検討対象入力ステップ14001において、インタフェース端末1003を操作するユーザによって、所定の検討対象ファイルをサーバ1002に送信する。
【0076】
特徴要素設定ステップ14002において、インタフェース端末1003を操作するユーザよって、検討したい特徴要素すべてを含む特徴要素設定データがサーバ1002に送信される。
【0077】
調査・分析ステップ14003において、サーバ1002によって、送信された特徴要素設定データに含まれる設定特徴要素により検索された文献をベースとして調査・分析が行われ、調査分析結果データが生成され、保存される。
【0078】
評価ステップ14005において、サーバ1002によって、特徴要素の特徴性の強さを示す強弱指標と特徴要素がカバーする範囲の広さを示す広狭指標を評価として生成する。
【0079】
ここでは、評価として検索による外部資料に基づく強弱指標と 内部資料に基づく広狭指標を採用しているが、本発明で採用可能な評価はこれに限定されるものでない。評価を構成する指標として、これらの基準とは異なる指標が適宜変更されうる。
【0080】
検討支援表現生成・提示ステップ14006において、サーバ1002によって、再構成表現を提示する再構成表現提示部、評価を提示する評価提示部、特徴要素を提示する特徴要素提示部から構成される検討支援表現が生成され、インタフェース装置1003によってユーザに提示される。
【0081】
特徴検討ステップ14007において、ユーザによって、提示された検討支援表現の検討がされる。
ここでユーザは、検討の材料となる特徴要素自体、その特徴要素のベースとなった検討対象表現の部位そして評価を構成する指標が共に提示されるので、検討の材料となる情報を整理する煩雑さから解放され、検討が容易になる。
【0082】
検討終了判断ステップ14008において、ユーザによって、設定した特徴要素でよいか、否かの判断がされる。検討終了とユーザが判断するのであれば、予め設定した「YES」のアクションをインタフェース装置1003に加え、検討終了14009となる。
設定した特徴要素について修正して再検討を望むのであれば、予め指定した「NO」のアクションをインタフェース装置1003に加え、特徴要素修正ステップ1310に動作は移行する。
【0083】
特徴要素修正ステップ14010において、ユーザは、インタフェース装置1003によって提示された特徴要素に直接にアクションを加えるか、修正する特徴要素を指定して差し替える特徴要素の表現を入力することによって行われる。
特徴要素修正の方式としては、以下の通り画面上の編集、音声入力、これらの組合せが可能である。すなわち、画面表示により提示された特徴要素に対する直接編集方式、修正された特徴要素のテキスト入力方式あるいはインタフェース装置に設けられたマイクによる音声入力方式、以上の方式の組合せが採用可能な方式である。
【0084】
特徴要素修正が行われると、システムの動作は検討対象表現再構成14003から繰り返される、
ユーザが検討に満足するまで、従来であれば煩雑であった特徴要素設定、検討、特徴要素修正そして再検討という動作を、本発明のシステムの支援を受けることにより効率的に繰り返すことが可能となる。このように特徴要素修正と特徴検討のサイクルを繰り返すことの煩雑さが回避されることにより、特徴検討の支援効果が高まる。