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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133877
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】自動液体供給システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 5/12 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A47K5/12 A
A47K5/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043877
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣川 洋充
(72)【発明者】
【氏名】板頭 伸明
(72)【発明者】
【氏名】石田 駿平
(57)【要約】
【課題】初期設定の手間を軽減することができる自動液体供給システムを提供する。
【解決手段】自動水石鹸供給システム10は、水石鹸を吐出する吐出部20と、使用者等の手を検知する検知部30と、吐出部20に連通した液体用チューブ55を有し、液体用チューブ55を介して吐出部20へ液体を供給する液体供給部50と、液体供給部50に電力を供給する電源部70と、液体供給部50を制御する制御部80と、を備えており、制御部80は、検知部30が使用者を検知すると、液体供給部50が吐出部20へ第1所定量の水石鹸を供給する第1制御と、電源部70を起動してから第1所定時間が経過するまでに検知部30が第2所定時間以上の間、検知状態であった場合、液体供給部50が吐出部20へ第1所定量よりも多い第2所定量の水石鹸を供給する第2制御と、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部と、
使用者を検知する検知部と、
前記吐出部に連通した液体供給路を有し、前記液体供給路を介して前記吐出部へ前記液体を供給する液体供給部と、
前記液体供給部に電力を供給する電源部と、
前記液体供給部を制御する制御部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記検知部が使用者を検知すると、前記液体供給部が前記吐出部へ第1所定量の前記液体を供給する第1制御と、
前記電源部を起動してから第1所定時間が経過するまでに前記検知部が第2所定時間以上の間、検知状態であった場合、前記液体供給部が前記吐出部へ前記第1所定量よりも多い第2所定量の前記液体を供給する第2制御と、
を有している自動液体供給システム。
【請求項2】
前記制御部が前記第2制御を実行する際に使用され、前記検知部の検知範囲内に着脱自在に配置する検知対象物を備えている請求項1に記載の自動液体供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電源部を停止した後、第3所定時間以上経過した後に前記電源部を再起動した場合、前記第2制御を実行する請求項1及び2のいずれか一項に記載の自動液体供給システム。
【請求項4】
前記第2所定量は、前記液体供給路を少なくとも充填する量である請求項1及び2のいずれか一項に記載の自動液体供給システム。
【請求項5】
前記液体供給部は、前記液体を貯留する貯留部と、前記液体を前記貯留部から前記液体供給路を介して前記吐出部へ送る際に駆動する液体用ポンプと、を有しており、
前記制御部は、前記液体用ポンプの駆動時間によって前記貯留部から前記液体供給路を介して前記吐出部へ送る前記液体の量を決定する請求項1に記載の自動液体供給システム。
【請求項6】
前記液体は、水石鹸であり、
前記液体供給部は、前記水石鹸を貯留する貯留部を備えている請求項1に記載の自動液体供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は自動液体供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の自動水石鹸供給システムを開示している。この自動水石鹸供給システムは、吐出部、検知部、水石鹸供給部、及び制御部を備えている。水石鹸供給部は、貯留部、供給路、及びポンプを有している。貯留部は水石鹸を貯留する。供給路は、貯留部と吐出部とを連通する。ポンプは、貯留部に貯留した水石鹸を供給路に供給する。この自動水石鹸供給システムは、検知部が使用者等の手を検知すると、ポンプが駆動し、貯留部から供給路に所定量の水石鹸を供給し、所定量の水石鹸を吐出部から吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-42479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動水石鹸供給システムは、施工直後等、供給路に水石鹸が充填される状態になるまで、検知部が使用者等の手を検知しても、貯留部から供給路に所定量の水石鹸を供給するだけで吐出部から水石鹸を吐出しない。このため、この自動水石鹸供給システムは、検知部が使用者等の手を検知すると、所定量の水石鹸を吐出部から吐出する状態にするために、検知部に施工者等が何度も手をかざして供給路に水石鹸を充填する初期設定を必要としている。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、初期設定の手間を軽減することができる自動液体供給システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の自動液体供給システムは、液体を吐出する吐出部と、使用者を検知する検知部と、前記吐出部に連通した液体供給路を有し、前記液体供給路を介して前記吐出部へ前記液体を供給する液体供給部と、前記液体供給部に電力を供給する電源部と、前記液体供給部を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記検知部が使用者を検知すると、前記液体供給部が前記吐出部へ第1所定量の前記液体を供給する第1制御と、前記電源部を起動してから第1所定時間が経過するまでに前記検知部が第2所定時間以上の間、検知状態であった場合、前記液体供給部が前記吐出部へ前記第1所定量よりも多い第2所定量の前記液体を供給する第2制御と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の自動水石鹸供給システムを取り付けた手洗ユニットを示す正面図である。
図2】実施形態1の自動水石鹸供給システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1の自動水石鹸供給システムの第1制御を示すフローチャートである。
図4】実施形態1の自動水石鹸供給システムの第2制御の一部を示すフローチャートである。
図5】実施形態1の自動水石鹸供給システムの再起動時の制御の一部を示すフローチャートである。
図6】実施形態1の自動水石鹸供給システムの吐出部にタグを取り付けた状態を示す斜視図である。
図7】実施形態1の自動水石鹸供給システムの吐出部にカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
図8】実施形態1の自動水石鹸供給システムの吐出部にシールを張り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の自動液体供給システムである自動水石鹸供給システムを具体化した実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
実施形態1の自動水石鹸供給システム10は、図1に示すように、手洗ユニット1に取り付けられる。手洗ユニット1は、カウンター3、3個の手洗鉢5、及び3個の自動水栓用吐水部7を有している。カウンター3はトイレ室の壁面に取り付けられている。カウンター3は、壁面に取り付けられた状態における平面視において、長方形状である。つまり、カウンター3の壁面に沿った方向の長さは、カウンター3の壁面に直交する方向の長さよりも長い。3個の手洗鉢5は、壁面に沿った方向に等間隔に並んでカウンター3に取り付けられている。3個の自動水栓用吐水部7は、手洗鉢5毎にカウンター3に取り付けられている。
【0009】
自動水石鹸供給システム10は、図1及び図2に示すように、3個の吐出部20、各吐出部20に設けられた検知部30、筐体40、液体供給部50、エア供給部60、電源部70、及び制御部80を備えている。3個の吐出部20は、手洗鉢5毎にカウンター3に取り付けられている。各吐出部20は、各自動水栓用吐水部7の隣に並んでいる。
【0010】
各吐出部20は、図1図2図6から図8に示すように、吐出部本体21、及び吐出管23を有している。吐出部本体21は、カウンター3の上面から上方に立ち上っている。吐出部本体21は、上端が閉じて下端が開放した略円管状である。吐出部本体21は、下部側面に検知部30の窓部30Aを配置している。
【0011】
吐出管23は、吐出部本体21の上部側面であって、検知部30の窓部30Aの上方に基端部を接続している。吐出管23は、略円管形状である。吐出管23は基端部から先端部に向けて略直線状に延びている。吐出管23は基端部から先端部に向けて僅かに上方に傾斜している。吐出管23の先端部は徐々に下方に向けて湾曲している。吐出管23の先端は吐出口23Aが開口している。吐出口23Aは斜め下方を向いている。
【0012】
検知部30は、窓部30Aを吐出部本体21の下部側面に露出させつつ、吐出部本体21内に設けられている。検知部30は、赤外線式センサである。検知部30は、窓部30Aを介して、吐出管23の吐出口23Aよりも下方の領域を検知領域にしている。検知部30は、吐出管23の吐出口23Aの下方に差し出された使用者等の手を検知することができる。
【0013】
筐体40は、図1に示すように、カウンター3の下方の床面上に設置されている。筐体40は、図2に示すように、液体供給部50、エア供給部60、電源部70、制御部80を収納している。液体供給部50は、貯留部51、液体用ポンプ53、及び液体用ポンプ53に接続した液体用チューブ55を有している。貯留部51は水石鹸を貯留する。貯留部51は、図示しない流入口を上端部に形成し、図示しない流出口を下端部に形成している。貯留部51の流入口は、筐体40の上面に開口しており、着脱自在な蓋部材51Bによって閉じられている(図1参照)。貯留部51は、流入口から水石鹸を流入させて貯留し、貯留した水石鹸を流出口から流出させる。
【0014】
図2は、1個の吐出部20に対する自動水石鹸供給システム10の構成を示している。このため、図2は、1個の液体用ポンプ53、及び1本の液体用チューブ55を示しているのみである。液体用チューブ55は液体供給路を形成している。液体用ポンプ53及び液体用チューブ55は、吐出部20の数に応じて変化する。実施形態1の自動水石鹸供給システム10のように3個の吐出部20を備えている場合、自動水石鹸供給システム10は、各吐出部20に対応して3個の液体用ポンプ53、及び各液体用ポンプ53に接続した液体用チューブ55を有している。液体用チューブ55は樹脂製である。
【0015】
液体用ポンプ53は、非自吸式のギアポンプである。液体用ポンプ53は、流入ポート53A、及び流出ポート53Bを具備している。液体用ポンプ53の流入ポート53Aは、貯留部51の流出口51Aに接続した流入管57の下流端部を接続している。流入管57は樹脂製である。実施形態1の自動水石鹸供給システム10において、貯留部51の流出口51Aに接続した流入管57は、図示しないが、3本に分岐しており、各分岐した流入管57の各下流端部を3個の液体用ポンプ53の流入ポート53Aの夫々に接続している。液体用ポンプ53の流出ポート53Bは、液体用チューブ55の上流端部を接続している。液体用チューブ55は、吐出部20の吐出部本体21の下端開口から吐出部本体21内に延びている。液体用チューブ55の下流端部は、吐出部本体21内において、後述する空気用チューブ65の下流端部に接続している。液体用ポンプ53は、液体用チューブ55を介して水石鹸を吐出部20に向けて圧送し、水石鹸を吐出部20に供給する。
【0016】
エア供給部60は、図2に示すように、エアポンプ63、及びエアポンプ63に接続した空気用チューブ65を有している。図2は、1個の吐出部20に対する自動水石鹸供給システム10の構成を示している。このため、図2は、1個のエアポンプ63、及び1本の空気用チューブ65を示しているのみである。空気用チューブ65は、空気供給路を形成している。エアポンプ63及び空気用チューブ65は、吐出部20の数に応じて変化する。実施形態1の自動水石鹸供給システム10のように3個の吐出部20を備えている場合、自動水石鹸供給システム10は、各吐出部20に対応して3個のエアポンプ63、及び各エアポンプ63に接続した空気用チューブ65を有している。
【0017】
エアポンプ63は、流出ポート63Bを具備している。エアポンプ63の流出ポート63Bは、空気用チューブ65の上流端部を接続している。空気用チューブ65は、吐出部20の吐出部本体21の下端開口から吐出部本体21内に延びている。空気用チューブ65の下流端部は、吐出部本体21内において、液体用チューブ55の下流端部に接続している。つまり、空気供給路は、吐出部本体21内において、液体供給路に合流している。エアポンプ63は、吐出部20に向けて圧縮した空気を圧送し、圧縮した空気を吐出部20に供給する。
【0018】
吐出部20は、液体供給路と空気供給路の合流した部分から延び、吐出部本体21内、吐出管23内を通って吐出口23Aに連通する泡流路25を形成している。自動水石鹸供給システム10は、吐出部本体21内の空気供給路と液体供給路の合流した部分において、水石鹸及び空気を混合して泡状にし、吐出管23の吐出口23Aから泡状の水石鹸を吐出する。
【0019】
電源部70は、電源プラグ71を先端部に設けた電源コード73を繋げている。電源プラグ71はトイレ室の壁面に設けられたコンセントに差し込まれる。電源部70は、筐体40に設けられた図示しない電源スイッチを有している。電源部70は、電源プラグ71をコンセントに差し込むことによって、交流電源に接続する。電源部70は、電源プラグ71をコンセントに差し込んだ状態において、電源スイッチを操作することによって、起動したり停止したりする。電源部70は、起動すると、交流から直流に変換した電力を液体用ポンプ53、エアポンプ63、制御部80、及び検知部30へ供給する。制御部80は、液体用ポンプ53、及びエアポンプ63の動作を制御する。制御部80は、検知部30から信号線81を介して検知信号を受信する。制御部80は、検知部30から受信した検知信号に基づいて、液体用ポンプ53、及びエアポンプ63へ信号線83を介して制御信号を送信する。
【0020】
次に、3個の吐出部20を備えた自動水石鹸供給システム10の動作について説明する。
【0021】
<初期設定について>
3個の吐出部20を備えた自動水石鹸供給システム10をトイレ室の手洗いユニットに取り付ける際、施工者等は、筐体40に設けられた電源スイッチをON操作して電源部70を起動する前に、図6に示すように、各吐出部20の吐出管23にタグ100を掛ける。この際、タグ100は検知部30の窓部30Aから所定距離だけ離す。この所定距離は、検知部30の検知領域内であり、例えば20mmである。タグ100は、平板状であり、検知対象部110と、引掛け部120とを有している。検知対象部110は、縦長の略矩形状であり、角部が円弧状である。引掛け部120は、検知対象部110の上端部から上方に延びている、引掛け部120の上端縁の外形は、半円弧状である。引掛け部120は、縦長の長円状の開口120Aが形成されている。この開口120Aは、上端内周縁及び下端内周縁が半円弧状である。開口120Aの上端及び下端の内径は、吐出管23の外径に略等しい。タグ100は、検知対象物に対応する。
【0022】
施工者等は、各吐出部20の吐出管23にタグ100を掛けた後、電源部70の電源プラグ71をトイレ室の壁面に設けられたコンセントに差し込み、筐体40に設けられた電源スイッチをON操作する。これによって、図3に示すように、自動水石鹸供給システム10の電源部70は起動する(ステップS1)。電源部70は、各液体用ポンプ53、各エアポンプ63、制御部80、及び各検知部30へ電力の供給を開始する。自動水石鹸供給システム10は、電源部70から制御部80へ起動信号を送信し、ステップS2に移行する。
【0023】
ステップS2に移行すると、制御部80は、各検知部30からの検知信号に基づいて、各検知部30が検知領域内のタグ100を検知したか否かを判定する。ステップS2において、制御部80は、各検知部30が吐出部20の吐出管23に掛けたタグ100を検知したと判定(ステップS2におけるYes)し、自動水石鹸供給システム10は、ステップS5に移行する。
【0024】
ステップS5に移行すると、制御部80は、ステップS1において電源部70からの起動信号を受信してから、ステップS2において各検知部30からの検知信号を受信するまでに第1所定時間(例えば、5秒間)を経過したか否かを判定する。ステップS5において、制御部80は、起動信号を受信してから第1所定時間が経過するまでに検知部30から検知信号を受信したと判定(ステップS5におけるNo)し、自動水石鹸供給システム10は、ステップS11に移行する(図4参照)。
【0025】
ステップS11に移行すると、図4に示すように、制御部80は、各検知部30からの検知信号が第2所定時間(例えば、2.5秒間)以上、継続的に受信したか否かを判定する。つまり、制御部80は、各検知部30の検知状態が第2所定時間以上であるか否かを判定する。ステップS11において、制御部80は、各検知部30の検知状態が第2所定時間以上であると判定(ステップS11におけるYes)し、自動水石鹸供給システム10は、ステップS12に移行する。
【0026】
ステップS12に移行すると、制御部80は、検知信号を送信した各検知部30を有する各吐出部20に対応する液体用ポンプ53及びエアポンプ63を所定時間(例えば、8秒間)、駆動する。このように、制御部80は、液体用ポンプ53が吐出部20へ第2所定量(例えば、15ml)の水石鹸を供給する第2制御を実行する。第2所定量は、3個の吐出部20に対応する各液体供給路の中で最も長い液体供給路を少なくとも充填する量である。このように、この自動水石鹸供給システム10は、各吐出部20に対応する液体供給路の全てに水石鹸を充填することができる。この後、施工者等は、各吐出部20の吐出管23からタグ100を取外し、自動水石鹸供給システム10の初期設定を終了する。ここで言う「充填」とは、液体供給路に水石鹸を完全に充満させた状態に限らない。つまり、「充填」とは、液体用ポンプ53が吐出部20へ第1所定量の水石鹸を供給すると、その分の水石鹸が泡状になって吐出口23Aから吐出するように液体供給路に水石鹸が貯留された状態であればよい。
【0027】
ステップS11において、制御部80が各検知部30の検知状態が第2所定時間未満であると判定する(ステップS11におけるNo)と、自動水石鹸供給システム10は、ステップS6に移行する。ステップS6以降の自動水石鹸供給システム10の動作については、後述する。
【0028】
<電源部70の再起動による初期設定について>
上述した初期設定において、施工者等が電源部70を起動する前に各吐出部20の吐出管23にタグ100を掛け忘れる等により、検知部30の検知が電源部70の起動から第1所定時間を経過してしまい初期設定ができなかった場合、以下に説明するように、この自動水石鹸供給システム10は、電源部70を再起動することによって初期設定をやり直すことができる。
【0029】
施工者等は、検知部30が使用者等の手を検知していない状態(ステップS2においてNo)において、電源部70の電源スイッチをОFF操作(ステップS3)して電源部70を停止する。自動水石鹸供給システム10は、電源部70から制御部80へ停止信号を送信し、ステップS4に移行する。施工者等は、電源スイッチをOFF操作した後に各吐出部20の吐出管23にタグ100を検知部30の窓部30Aから所定距離だけ離して掛ける。施工者等は、電源スイッチをOFF操作してから第3所定時間(例えば、10秒間)以上、経過した後に電源スイッチをON操作して電源部70を再起動する(ステップS4におけるYes)。自動水石鹸供給システム10は、電源部70から制御部80へ再起動信号を送信し、ステップS21に移行する(図5参照)。
【0030】
ステップS21に移行すると、制御部80は、図5に示すように、電源部70から停止信号を受信してから、電源部70から再起動信号を受信するまでに第3所定時間以上経過しているか否かを判定する。制御部80は、電源部70から停止信号を受信してから第3所定時間以上経過して電源部70から再起動信号を受信したと判定(ステップS21におけるYes)し、自動水石鹸供給システム10は、ステップS11に移動する(図4参照)。
【0031】
ステップS11に移動すると、上述したように、制御部80は、各検知部30の検知状態が第2所定時間以上であると判定(ステップS11におけるYes)し、自動水石鹸供給システム10は、ステップS12に移行する。ステップS12に移行すると、制御部80は、第2所定量の水石鹸を供給する第2制御を実行する。この後、施工者等は、各吐出部20の吐出管23からタグ100を取外し、自動水石鹸供給システム10の初期設定を終了する。
【0032】
<通常使用について>
以下の説明において、1個の吐出部20を備えた自動水石鹸供給システム10の動作を説明する。複数の吐出部20を備えている場合、制御部80は、各吐出部20に対応する検知部30からの検知信号に基づいて、対応する液体用ポンプ53、及びエアポンプ63の夫々を制御する。
【0033】
この自動水石鹸供給システム10は、初期設定を終了すると、ステップS2に移行する。ステップS2に移行すると、上述したように、制御部80は、検知部30からの検知信号に基づいて、検知部30が検知領域内の物体(例えば、使用者等の手)を検知したか否かを判定する。ステップS2において、制御部80は、検知部30が使用者等の手を検知しないと判定(ステップS2におけるNo)すると、ステップS3に移行する。ステップS3に移行すると、制御部80は、電源部70が停止しているか否かを判定する。ステップS3において、制御部80は、電源部70が停止していないと判定(ステップS3におけるNo)すると、ステップS2に移行する。このように、電源部70が起動した状態において、検知部30が使用者等の手を検知していないと、ステップS2及びステップS3の処理を繰り返す。
【0034】
ステップS2において、制御部80は、検知部30が使用者等の手を検知したと判定(ステップS2におけるYes)すると、ステップS5に移行する。ステップS5に移行すると、上述したように、制御部80は、ステップS1において電源部70からの起動信号を受信してから、ステップS2において検知部30からの検知信号を受信するまでに第1所定時間(例えば、5秒間)を経過したか否かを判定する。初期設定を終えた後であるため、ステップS5において、制御部80は、起動信号を受信してから第1所定時間が経過した後に検知部30から検知信号を受信したと判定(ステップS5におけるYes)し、自動水石鹸供給システム10は、ステップS6に移行する。
【0035】
ステップS6に移行すると、制御部80は、検知信号を送信した検知部30を有する吐出部20に対応する液体用ポンプ53及びエアポンプ63を所定時間(例えば、0.8秒間)、駆動する。このように、制御部80は、液体用ポンプ53が吐出部20へ第1所定量(例えば、1.5ml)の水石鹸を供給する第1制御を実行する。第1所定量は、水石鹸を泡状にして手洗いをする際に必要十分な水石鹸の量である。このように、この自動水石鹸供給システム10は、初期設定後に検知部30が使用者等の手を検知すると、液体用ポンプ53が吐出部20へ第1所定量の水石鹸を供給し、吐出部20の吐出管23の吐出口23Aから泡状の水石鹸を吐出する。自動水石鹸供給システム10は、ステップS6からステップS2に戻る。
【0036】
以上説明したように、実施形態1の自動水石鹸供給システム10は、水石鹸を吐出する吐出部20と、使用者等の手を検知する検知部30と、吐出部20に連通した液体用チューブ55を有し、液体用チューブ55を介して吐出部20へ液体を供給する液体供給部50と、液体供給部50に電力を供給する電源部70と、液体供給部50を制御する制御部80と、を備えており、制御部80は、検知部30が使用者を検知すると、液体供給部50が吐出部20へ第1所定量の水石鹸を供給する第1制御と、電源部70を起動してから第1所定時間が経過するまでに検知部30が第2所定時間以上の間、検知状態であった場合、液体供給部50が吐出部20へ第1所定量よりも多い第2所定量の水石鹸を供給する第2制御と、を有している。
【0037】
この自動水石鹸供給システム10は、制御部80が第2制御を実行すると、液体供給部50が吐出部20へ第1所定量よりも多い第2所定量の水石鹸を供給するため、初期設定の手間を軽減することができる。
【0038】
実施形態1の自動水石鹸供給システム10は、制御部80が第2制御を実行する際に使用され、検知部30の検知範囲内に着脱自在に配置するタグ100を備えている。この自動水石鹸供給システム10は、施工者等が検知部30に手をかざさなくても、タブを検知部30が検知して、制御部80が第2制御を実行するため、初期設定の手間を軽減することができる。
【0039】
実施形態1の自動水石鹸供給システム10の制御部80は、電源部70を停止した後、第3所定時間以上経過した後に電源部70を再起動した場合、第2制御を実行する。この自動水石鹸供給システム10は、初期設定を実行できなかった場合、電源部70を再起動することによって初期設定をし直すことができる。
【0040】
実施形態1の自動水石鹸供給システム10における第2所定量は、液体供給路を少なくとも充填する量である。この自動液体供給システムは、液体供給路を少なくとも充填する量である第2所定量の水石鹸を液体供給路に充填するため、使用者等の手を検知部30にかざすと確実に泡状の水石鹸を吐出口23Aから吐出することができる。
【0041】
実施形態1の液体供給部50は、水石鹸を貯留する貯留部51と、水石鹸を貯留部51から液体用チューブ55を介して吐出部20へ送る際に駆動する液体用ポンプ53と、を有しており、制御部80は、液体用ポンプ53の駆動時間によって貯留部51から液体用チューブ55を介して吐出部20へ送る液体の量を決定する。この自動水石鹸供給システム10は、第1所定量、及び第2所定量の水石鹸を液体用ポンプ53の駆動時間によって決定するため、各所定量の変更を容易に行うことができる。
【0042】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、検知対象物はタグ100である。これに対し、検知対象物は、図7に示すように、カバー200であってもよい。このカバー200は、カバー本体210、帯部220、及び引掛け部230を備えている。カバー本体210は、一側面が開口した中空の六面体であり、この開口を吐出部本体21の側面に配置した窓部30Aに向けて取り付ける。帯部220は、カバー本体210の左右側壁から延びており、カバー200を吐出部20に取り付ける際、吐出部本体21の側面の周りに巻かれ、カバー本体210の位置を固定する。引掛け部230は、カバー本体210から上方に延びており、カバー200を吐出部20に取り付ける際、引掛け部230の上部に形成された円形の開口230Aに吐出部20の吐出管23を挿通し、カバー本体210の上下方向の位置決めを行う。このカバー200は、吐出部20に取り付けた際、吐出部本体21に設けられた検知部30の窓部30Aに対向する対向面が検知部30の検知対象になる。このため、このカバー200は、検知対象であるカバー本体210の対向面を窓部30Aから一定の距離に配置することができるため、確実に検知部30が検知することができる。
【0043】
(2)実施形態1では、検知対象物はタグ100である。これに対し、検知対象物は、図8に示すように、吐出部本体21に設けられた検知部30の窓部30Aを覆うように張り付けられるシール材300であってもよい。この場合、自動水栓供給システムの吐出部20を製造する工程において、窓部30Aにシール材300を張り付けておけばよく、施工現場の手間を軽減することができる。シール材300は、初期設定を終了した後、窓部30Aから剥がせばよい。このように、検知対象物をシール材300にすることによって、施工現場の手間の軽減、及びシール材300による窓部30Aの表面保護を両立することができる。検知部30は、窓部30Aに張り付けられたシール材300も検知領域に含むものにする。
【0044】
(3)実施形態1では、自動液体供給システムは自動水石鹸供給システム10である。これに対し、自動液体供給システムは、電気温水器を備えた自動温水供給システムであってもよい。この場合、電気温水器で温まる前の初期冷水を排水することができる。
(4)実施形態1では、自動水石鹸供給システム10は水石鹸を泡状にして吐出部20の吐出口23Aから吐出させた。これに対し、自動水石鹸供給システムは、液体の水石鹸を吐出部の吐出口から吐出させてもよい。
(5)実施形態1では、自動水石鹸供給システム10は、タグ100を用いて初期設定を行った。これに対し、タグ等の検知対象物を用いず電源部を起動してから第1所定時間が経過するまでに第2所定時間以上の間、施工者等が手を検知部にかざして初期設定を行ってもよい。
(6)実施形態1では、自動水石鹸供給システム10は、電源スイッチを操作して、電源部70の起動及び停止を行った。これに対し、自動水石鹸供給システムは、コンセントに対して電源部の電源プラグを差し込んだり、抜いたりすることによって、電源部の起動及び停止を行ってもよい。
【0045】
(7)実施形態1では、自動水石鹸供給システム10は、電源部70を停止してから第3所定時間以上経過して再起動することによって、初期設定をやり直すことができる。これに対し、自動水石鹸供給システムは、このような条件によって初期設定を行うようにしなくてもよい。
(8)実施形態1では、第2所定量は、液体供給路を少なくとも充填する量である。これに対し、第2所定量は、第1所定量よりも多ければよい。
(9)実施形態1では、自動水石鹸供給システム10は、液体用ポンプ53の駆動時間によって吐出部20へ送る水石鹸の量を決定している。これに対し、自動水石鹸供給システムは、ポンプの回転数をカウントしたり、流量計を用いたり、その他の手段によって、吐出部へ送る水石鹸の量を決定してもよい。
(10)実施形態1では、自動水石鹸供給システム10は、3個の吐出部20を備えている。これに対し、自動水石鹸供給システムは、吐出部を1個、2個、及び4個以上のいずれかの個数を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…自動水石鹸供給システム、20…吐出部、30…検知部、55…液体用チューブ(液体供給路)、50…液体供給部、70…電源部、80…制御部、100,200,300…検知対象物(100…タグ、200…カバー、300…シール材)、53…液体用ポンプ
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図8