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特開2024-133885タイミングベルト及びタイミングベルトの交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133885
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】タイミングベルト及びタイミングベルトの交換方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 35/06 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B65G35/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043887
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キャリアコンベヤを牽引ベルトにて縦に循環するリバースソータコンベヤ装置に使用される駆動ベルト(タイミングベルト)の取付固定穴が損傷した場合に当該駆動ベルトの交換を迅速かつ容易に行うことができるリバースソータコンベヤ装置の駆動ベルト及び駆動ベルトの交換方法を提供する。
【解決手段】キャリアコンベヤを固定する駆動ベルト(タイミングべルト)に所定のピッチで設けられているキャリアコンベヤ取付に必要な数のキャリアコンベヤの固定ピンの取付固定穴106bについて、キャリアコンベヤの取付に必要な数の取付固定穴を設けるだけで無くピッチを細かくした予備の固定ピンの取付固定穴を設けておくことにより、その取付固定穴が損傷して使えなくなった場合、キャリアコンベヤの取付位置をずらし予備に設けた取付固定穴に固定ピンを付け替える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送台車を牽引ベルトにて縦に循環するリバースソータコンベヤ装置に使用される当該搬送台車を固定するタイミングベルトに、所定のピッチで設けられている搬送台車の取付に必要な数の搬送台車の固定ピンを取付ける取付固定穴を、搬送台車の取付に必要な数の取付固定穴を設けるだけで無くピッチを細かくした予備の取付固定穴を設けたことを特徴とするタイミングベルト。
【請求項2】
1)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷したタイミングベルトの取付固定穴に取付けていた搬送台車(20a)を、搬送台車に設けられた固定ピン(42a、41a)をタイミングベルト(106、107)の当該リバースソータコンベヤ装置の全長の両端部である頭尾部で当該タイミングベルト(106、107)の搬送台車の固定ピンの取付固定穴(106b)から取り外しタイミングベルト(106、107)から取り外す工程、
2)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した搬送台車の固定ピンを外したタイミングベルト(106、107)において、タイミングべルトの搬送台車の固定ピンが取り外された取付固定穴(106b)の部分を、リバースソータの全長の内の少し頭尾部から離れた直線部分の作業がし易い場所に、人が介入して手で移動させる工程、
3)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した搬送台車の搬送方向下流隣の搬送台車(20b)も、タイミングベルト(106、107)を搬送台車の幅方向へ広げながら、搬送台車の固定ピン(42a、41a)を取付固定穴(106b)から取り外す工程、
4)取り外した搬送台車(20a)をタイミングベルト(106)の下流側の予備の取付固定穴(106b1)に移して、対角にある搬送台車下部ローラの固定ピン(42a、41a)2点を、タイミングベルト(107)を搬送台車の幅方向へ広げながら、取付ける工程、
5)工程3と4を繰り返しながら、タイミングベルト全周に取りついている全台の搬送台車を下流側の予備の取付固定穴に移して、タイミングベルトに取り付けることを特徴とするリバースソータコンベヤ装置におけるタイミングベルトの交換方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に配置された2つの直線路を含むループ状の搬送路内で複数の搬送体を循環させながら、複数の搬送体のいずれかの搬送体に物品(搬送物)を載せ込むとともに、搬送体に載置された物品を目的の払出し部に払い出すリバースソータコンベヤ装置に使用する駆動ベルト(タイミングベルト)及び駆動ベルト(タイミングべルト)の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仕分けコンベヤ装置として、配置形状による分類では、ライン形仕分けコンベヤと、ループ形仕分けコンベヤとがあり、分岐形式では、水平押出し形、コンベヤ送出し形、傾斜滑降形などがある。このうち、ループ形仕分けでコンベヤ送出し形の中にベルトキャリア式仕分けコンベヤ装置がある(JIS B 8825参照)。
【0003】
ベルトキャリア式仕分けコンベヤ装置は、無端状に配置した多数の搬送台車(搬送体)を搬送路に沿って移動させるものである。この仕分けコンベヤ装置の各搬送台車は、搬送台車の移動方向に直交する方向に走行するコンベヤ(クロスソータコンベヤ)を有する。クロスソータコンベヤを搬送台車が有することで、搬送台車は、移動過程で搬送物を載せ込む又は搬送物を払い出すことが可能となる。
【0004】
このような仕分けコンベヤ装置には、例えば上下に配置した2つの直線路と、2つの直線路の両端部を接続する曲線路とを含むループ状の搬送路内で、搬送台車を循環させるリバースソータコンベヤ装置が提供される。
以下、2つの直線路のうち、一方の直線路を往路、他方の直線路を復路と称する。リバースソータコンベヤ装置として、例えば往路では搬送台車の搬送面が上方に向いた状態で移動し、復路では搬送台車の搬送面が下方に向いた状態に反転して移動するリバースソータコンベヤ装置がある。このリバースソータコンベヤ装置では、搬送台車は、往路から復路へと移動する間に180°反転され、復路から往路へと移動する間にさらに180°反転される。したがって、搬送台車は、復路から往路まで移動したときには、搬送物の載せ込みを可能としている。その一方で、搬送台車が復路を移動する過程では、搬送面が下方に向いた状態となるので、搬送物の載せ込みや搬送物の搬送を行うことは不可能である。
したがって、復路において搬送台車が反転されるリバースソータコンベヤ装置では、搬送物を搬送台車に載せ込む投入コンベヤ装置、搬送台車に載せ込まれた搬送物を払い出す払出しコンベヤ装置や払出しシュートは、往路に配置するしかなく、また、払出しコンベヤ装置や払出しシュートは、投入コンベヤ装置に対して往路内の下流側に配置するしかない。したがって、復路において搬送台車が反転されるリバースソータコンベヤ装置では、払出しコンベヤ装置や払出しシュートの設置数が制限されてしまう。その結果、搬送物を細かく仕分けることができないという問題を有している。
【0005】
一方、搬送方向の前後の端部に備えたターンユニットに、それぞれ両側に対をなすスプロケットホイールを配置し、当該これらのスプロケットホイール間に、両側一対のチェーンを掛け回し、これらのチェーンの間に、品物Wを搬送する複数のカートを配置し、各カートの前部左側の走行輪の回転軸と、左側のチェーンとを、左側連結ピンにて回転自在に接続する。また、各カートの後部右側の走行輪の回転軸と、右側のチェーンとを、右側連結ピンにて回転自在に接続する。両側のスプロケットホイールを、両側の連結ピンの離間寸法と同じ寸法だけ搬送方向にずらして配置するリバースソータコンベヤ装置も提供されている(特許文献1参照)。
このようなリバースソータコンベヤ装置は、往路だけでなく、復路においても搬送物を搬送することができ、また、多くの払出しコンベヤ装置や払出しシュートを設置できるという利点を有している。
【0006】
また、上記特許文献1に使用されているチェーン及びスプロケットからなる搬送手段のかわりに、従来プルファーにおいて問題となっていた金属粉、機械油等の生地への混入を回避、無端生地コンベアの重量の軽減、省エネ、金属チェーン及びスプロケットを用いていた場合に発生する騒音の低下等、種々の効果を得ることを可能とした樹脂製の無端ベルト及びプーリを使用したプルファーも提供されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07-112813号公報
【特許文献2】特開2006-204221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1においては、両側のスプロケットホイール間に金属チェーンを掛け搬送手段としているため、コンベアの重量の軽減、稼働時の騒音低下効果を得ることができない。
また、チェーンとカートの取付けは、チェーンにカートに設けられた連結ピンを回転自在に接続する構造となっており、チェーンに過度の負荷が掛かりチェーンが破損した場合には、破損したチェーン部分の交換取付に手間が掛かりチェーンを交換するのに長時間を要する。
これに対して前記特許文献2(図6及び7を参照)においては、樹脂製の無端ベルト及びプーリを使用しているためコンベアの重量の軽減、稼働時の騒音低下効果を得ることができるが、無端ベルトと生地受けの取付けは、一般的タイミングベルトのような形状とされており、その内周面に多数の係合突起が一定ピッチで設けられていると共にその長さ方向で一定の間隔をあけて生地受けの支持部材のピンを取付ける取付孔が設けられている無端ベルトの該取付孔に生地受けの支持部材のピンを差し込み生地受けを取付けている。
このため、無端ベルトに過度な荷重がかかり支持部材のピンにより取付孔が損傷した場合は、無端ベルト自体を交換する必要があるため、取り換えに長時間が掛かり、コストも掛かってしまう。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、キャリアコンベヤ(以下搬送台車)を牽引ベルトにて縦に循環するリバースソータコンベヤ装置に使用される当該搬送台車を固定する駆動ベルト(以下タイミングベルト)が、搬送台車に乗せられた仕分け荷のリバースソータコンベヤ装置の搬送台車が往路から復路へ、または、復路から往路へ移動する部分において、搬送台車の下面と隣合う搬送台車に乗っている仕分け荷の上部との接触による、仕分け荷の挟み込みなどで過度な負荷が掛かり搬送台車の固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した場合に当該タイミングベルトの交換を迅速かつ容易に行うことができるリバースソータコンベヤ装置のタイミングベルト及びタイミングベルトの交換方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため、 本発明者らは上記課題を下記の手段により解決した。
〔1〕搬送台車を牽引ベルトにて縦に循環するリバースソータコンベヤ装置に使用される当該搬送台車を固定するタイミングベルトに、所定のピッチで設けられている搬送台車の取付に必要な数の搬送台車の固定ピンを取付ける取付固定穴を、搬送台車の取付に必要な数の取付固定穴を設けるだけで無くピッチを細かくした予備の取付固定穴を設けたことを特徴とするタイミングベルト。
〔2〕
1)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷したタイミングベルトの取付固定穴に取付けていた搬送台車(20a)を、搬送台車に設けられた固定ピン(42a、41a)をタイミングベルト(106、107)の当該リバースソータコンベヤ装置の全長の両端部である頭尾部で当該タイミングベルト(106、107)の搬送台車の固定ピンの取付固定穴(106b)から取り外しタイミングベルト(106、107)から取り外す工程、
2)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した搬送台車の固定ピンを外したタイミングベルト(106、107)において、タイミングべルトの搬送台車の固定ピンが取り外された取付固定穴(106b)の部分を、リバースソータの全長の内の少し頭尾部から離れた直線部分の作業がし易い場所に、人が介入して手で移動させる工程、
3)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した搬送台車の搬送方向下流隣の搬送台車(20b)も、タイミングベルト(106、107)を搬送台車の幅方向へ広げながら、搬送台車の固定ピン(42a、41a)を取付固定穴(106b)から取り外す工程
4)取り外した搬送台車(20a)をタイミングベルト(106)の下流側の予備の取付固定穴(106b1)に移して、対角にある搬送台車下部ローラの固定ピン(42a、41a)2点を、タイミングベルト(107)を搬送台車の幅方向へ広げながら、取付ける工程、
5)工程3と4を繰り返しながら、タイミングベルト全周に取りついている全台の搬送台車を下流側の予備の取付固定穴に移して、タイミングベルトに取り付けることを特徴とするリバースソータコンベヤ装置におけるタイミングベルトの交換方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リバースソータコンベヤ装置の駆動中に、搬送台車を固定するタイミングベルトが、搬送台車に乗せられた仕分け荷の挟み込みなどで過度な負荷が掛かり搬送台車の固定ピンを取付ける取付固定穴が損傷した場合に、搬送台車の取付位置をずらし予備に設けた取付固定穴に固定ピンを付け替えることにより、タイミングベルトを交換することなく迅速かつ容易に復旧させることができる。
タイミングベルト自体を交換することなく迅速かつ容易に復旧させることができるのでリバースソータコンベヤ装置のメンテナンスを含めた全体コストが安価になる。また、交換も迅速かつ容易にできるので復旧時間のロスを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のリバースソータコンベヤ装置の一例を示す上面図である。
図2図1に示すリバースソータコンベヤ装置の側面図である。
図3図1におけるA-A端面断面図である。
図4】搬送台車の側面図である。
図5】(a)駆動側スプロケットの近傍の説明図、(b)従動側スプロケットの近傍の説明図である。
図6】(a)タイミングベルトとスプロケットホイールとの関係を示す側面図、(b)(a)におけるZ部の拡大図である。
図7】(a)従来のタイミングベルトの一部を表す側面図、(b)本発明のタイミングベルトの一部を表す側面図である。
図8】スプロケットホイールの一例を示す斜視図である。
図9】(a)タイミングベルトと搬送台車の関係示す図、(b)(a)におけるY部の拡大図である。
図10】タイミングベルト交換の工程を表す工程図で、工程(a)で搬送台車がタイミングベルトから取り外された状態を表す。(b)搬送台車が外されたタイミングベルトを直線部分の作業がし易い場所に、人が介入して手で移動させる工程、(c)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷したタイミングベルトの位置における搬送台車の下流隣の搬送台車を取り外す工程、(d)取り外した搬送台車をタイミングベルトの予備の取付固定穴を利用しタイミングベルトに取り付ける工程。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のリバースソータコンベヤ装置の一例を、本願発明の駆動ベルトの説明に必要な範囲で説明する。
図1は本実施形態のリバースソータコンベヤ装置の一例を示す上面図、図2図1に示すリバースソータコンベヤ装置の側面図である。
図1及び図2に示すように本発明のリバースソータコンベヤ装置10は、リバースソータコンベヤ装置10全体の機枠をなす上フレーム71及び下フレーム72の各々に沿って上下方向に配置した2つの直線路を含むループ状の搬送路内で、複数のキャリアコンベヤ(以下、搬送台車)20を反転させずに循環させる。
リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20を搬送路内で循環させる過程で、投入コンベヤ装置15から搬送物100を目的の搬送台車20に載せ込む。また、リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20を搬送路内で循環させる過程で、搬送台車20に載せ込んだ搬送物100を払出しコンベヤ装置16や払出しシュート17に払い出す。
なお、図1における符号18は、投入コンベヤ装置15から載せ込まれた搬送物100が搬送台車20から落下することを防止する落下防止板である。
【0014】
ここで、図1において、投入コンベヤ装置15は、上下方向に配置した2つの直線路のうち、上段側に設けた直線路(往路)を走行する搬送台車20に搬送物100を投入することを目的としている。また、払出しコンベヤ装置16は、下段側に設けた直線路(復路)を走行する搬送台車20から搬送物100を払い出すことを目的としている。
さらに、払出しシュート17は、往路を走行する搬送台車20から搬送物100を払い出すことを目的としている。しかしながら、投入コンベヤ装置15、払出しコンベヤ装置16及び払出しシュート17を配置する位置や、配置する数は、適宜設定されるものである。
【0015】
以下、往路における搬送台車20の移動方向をX方向とした場合について説明する。
【0016】
図1から図10に示すように、リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20、機枠21、駆動装置22を含む。
【0017】
搬送台車20は、側部フレーム31,32、懸架部材33,34及びクロスソータコンベヤ35を有する。側部フレーム31,32及び懸架部材33,34は、搬送台車20の骨格をなす部材である。
【0018】
側部フレーム31は、搬送台車20の移動方向における先端側に且つ搬送台車20の移動方向に直交するように配置される。また、側部フレーム32は、搬送台車20の移動方向における後端側に且つ搬送台車20の移動方向に直交するように配置される。
【0019】
懸架部材33は、搬送台車20の幅方向における一端側(図3中右端側)に、側部フレーム31,32に跨って懸架される。懸架部材34は、搬送台車20の幅方向における他端側(図3中左端側)に、側部フレーム31,32に跨って懸架される。つまり、懸架部材33,34は、長手方向が搬送台車20の移動方向に沿った方向となる。
【0020】
落下防止板36は、側部フレーム31に固定され、前段の搬送台車20との間に生じる空間の一部を遮蔽して、搬送物100が落下することを防止する(図4)。
落下防止板37は、側部フレーム32に固定され、後段の搬送台車20との間に生じる空間の一部を遮蔽して、搬送物100が落下することを防止する(図4)。
【0021】
懸架部材33は、搬送台車20の移動方向における先端側となる端部に、ガイドローラ40を軸支する。また、懸架部材33は、搬送台車20の移動方向における後端側となる端部に、ガイドローラ対41を軸支する。ガイドローラ対41の軸部41a(以下固定ピン)は、後述する駆動タイミングベルト107に軸支される。なお、ガイドローラ40の回転中心と、ガイドローラ対41の回転中心とは、同一の高さである。
【0022】
懸架部材34は、搬送台車20の移動方向における先端側となる端部に、ガイドローラ対42を軸支する。ここで、ガイドローラ対42の軸部42a(以下固定ピン)は、後述する駆動タイミングベルト106に軸支される。また、懸架部材34は、搬送台車20の後端側となる端部に、ガイドローラ43を軸支する。なお、ガイドローラ対42の回転中心とガイドローラ43の回転中心とは、同一の高さである。ここで、懸架部材33に軸支されるガイドローラ40は、懸架部材34に軸支されるガイドローラ対42と同軸線上に軸支されている。同様にして、懸架部材33に軸支されるガイドローラ対41は、懸架部材34に軸支されるガイドローラ43と同軸線上に軸支されている。
【0023】
ガイドローラ40及びガイドローラ対41は、搬送台車20が往路を移動する過程では、フレーム71の内側に配置された支持部材75の上面を転動する。ガイドローラ40及びガイドローラ対41は、搬送台車20が復路を移動する過程では、フレーム72の内側に配置された支持部材87の上面を転動する。なお、搬送台車20が往路から復路へと移動する過程では、ガイドローラ40は機枠21に設けたガイドレール125(図5(a))に入りこみ、該ガイドレールに沿って移動する。
【0024】
一方、ガイドローラ対42及びガイドローラ43は、搬送台車20が往路を移動する過程では、フレーム71の内側に配置された支持部材76の上面を転動する。ガイドローラ対42及びガイドローラ43は、搬送台車20が復路を移動する過程では、フレーム72の内側に配置された支持部材88の上面を転動する。なお、搬送台車20が復路から往路へと移動する過程では、ガイドローラ43は、機枠21に設けたガイドレール126(図5(b))に入りこみ、該ガイドレール126(図5(b))に沿って移動する。
【0025】
クロスソータコンベヤ35は、駆動プーリ46、従動プーリ47、複数のプーリ48及び無端ベルト49を含む。駆動プーリ46は、搬送台車20の幅方向における一端側で、側部フレーム31,32に跨って軸支される。駆動プーリ46は、例えば駆動モータが内蔵されたモータプーリである。
【0026】
従動プーリ47は、搬送台車20の幅方向において、駆動プーリ46が軸支される一端とは反対側となる端部側で、側部フレーム31,32に跨って軸支される。複数のプーリ48は、駆動プーリ46及び従動プーリ47との間に配置される。ここで、駆動プーリ46、従動プーリ47及び複数のプーリ48は、各プーリの回転軸方向が、搬送台車20の移動方向に平行となるように配置される。また、駆動プーリ46、従動プーリ47及び複数のプーリ48は、各プーリの頂点が同一の水平面上に位置するように各々配置される。
【0027】
無端ベルト49は、駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられる。無端ベルト49が駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられた状態では、駆動プーリ46及び従動プーリ47間に配置された複数のプーリ48は、無端ベルト49の上部(搬送物が載置される部分)を下方から支持する。無端ベルト49が駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられることで、無端ベルト49は、搬送台車20の幅方向に沿った方向に走行する。
【0028】
機枠21は、リバースソータコンベヤ装置10の骨格をなす部材である。機枠21は、2つの梯子枠状のフレーム71,72と、これらフレーム71,72を上下方向に所定の間隔を開けて保持する支持材73とを有する。
【0029】
フレーム71は、長さの異なる2種類のフレーム構成部材(例えばチャンネルなど)を用いた長尺の梯子状枠部材である。フレーム71の長手方向における複数箇所には、梯子の踏面にあたる補強材74が水平に渡した長尺側のフレーム2辺の下端で、搬送台車20の移動に邪魔にならない位置にて2辺に直交して固定される。補強材74は、例えばチャンネルやアングルなどである。フレーム71は、短手方向(又は幅方向)の両端部で、且つフレーム71における搬送台車20の幅方向の内側に、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ40及びガイドローラ対41が転動する支持部75と、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ対42及びガイドローラ43が転動する転動する支持部76を有している。
【0030】
フレーム72は、長さの異なる2種類のフレーム構成部材(例えばチャンネルなど)を用いた長尺の梯子状部材である。フレーム72の長手方向における複数箇所には、梯子の踏面にあたる補強材86が水平に渡した長尺側のフレーム2辺の下端で、搬送台車20の移動に邪魔にならない位置にて邪魔にならない位置にて2辺に直交して固定される。補強材86は、例えばチャンネルやアングルなどである。フレーム72は、短手方向(又は幅方向)の両端部で、且つフレーム72における搬送台車20の幅方向の内側に、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ40及びガイドローラ対41が転動する支持部87と、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ対42及びガイドローラ43が転動する支持部88を有している。
【0031】
駆動装置22は、駆動モータ101、駆動側スプロケット102,103、従動側スプロケット104,105、駆動タイミングベルト106,107を含む。
【0032】
駆動モータ101は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における右側縁に配置される。駆動モータ101は、例えばホローシャフト(中空軸)を回転軸としたホローシャフト型のモータである。ホローシャフトの内部には、両端部に駆動プーリ111,112を固着した回転軸113が嵌入される。なお、回転軸113は、両端部を保持する軸受け部材(図示省略)を介して機枠21に軸支される。
【0033】
駆動側スプロケット102は、従動プーリ115を一端に保持した回転軸116に固定される。なお、回転軸116は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における右側縁に軸支される。なお、符号117は、駆動プーリ111及び従動プーリ115に巻き掛けられるタイミングベルトである。
【0034】
駆動側スプロケット103は、従動プーリ118を一端に保持した回転軸119に固定される。なお、回転軸119は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における左側縁に軸支される。なお、符号120は、駆動プーリ112及び従動プーリ118に巻き掛けられるタイミングベルトである。
【0035】
なお、駆動側スプロケット103は、駆動側スプロケット102に対して、機枠21の長手方向における中心側に、所定量ずれて配置される。なお、所定量とは、搬送台車20のガイドローラ対42の回転中心からガイドローラ対41の回転中心までの往路の移動方向Xにおける距離である。
【0036】
従動側スプロケット104は、機枠21の長手方向において、駆動側スプロケット102が配置される一端とは反対側の端部で、且つ機枠21の幅方向における右側縁で軸支される。従動側スプロケット105は、機枠21の長手方向において、駆動側スプロケット103が配置される一端とは反対側の端部で、且つ機枠21の幅方向における左側縁で軸支される。なお、従動側スプロケット104は、従動側スプロケット105に対して機枠21の長手方向における中心側に、所定量ずれて配置される。なお、所定量とは、搬送台車20のガイドローラ対41の回転中心からガイドローラ対42の回転中心までの往路の移動方向Xにおける距離である。
【0037】
駆動タイミングベルト106は、駆動側スプロケット102及び従動側スプロケット104に巻き掛けられる。駆動タイミングベルト106は、複数の位置の隣り合う歯と歯の間に銜える形で、搬送台車20のガイドローラ対42の固定ピン42aを軸支する。
【0038】
また、駆動タイミングベルト107は、駆動側スプロケット103及び従動側スプロケット105に巻き掛けられる。駆動タイミングベルト107は、複数の位置の隣り合う歯と歯の間に銜える形で、搬送台車20のガイドローラ対41の固定ピン41aを軸支する。
【0039】
つまり、駆動モータ101が駆動すると、駆動プーリ111,112が回転する。駆動プーリ111及び従動プーリ115には、タイミングベルト117が巻き掛けられ、駆動プーリ112及び従動プーリ118には、タイミングベルト120が巻き掛けられている。その結果、従動プーリ115,118が各々回転する。また、従動プーリ115と駆動側スプロケット102は回転軸116に固定されている。また、従動プーリ118と、駆動側スプロケット103は回転軸119に固定されている。したがって、従動プーリ115の回転により、駆動側スプロケット102が回転する。また、従動プーリ118の回転により駆動側スプロケット103が回転する。なお、駆動側スプロケット102の回転方向と、駆動側スプロケット103の回転方向とは同一方向である。したがって、タイミングベルト106,107は、同一方向に移動する。その結果、搬送台車20が、タイミングベルト106,107の走行方向と同一方向に移動する。
【0040】
図6(a)タイミングベルトとスプロケットホイールとの関係を示す側面図、(b)(a)におけるZ部の拡大図、図7(a)従来のタイミングベルトの一部を表す側面図、(b)本発明のタイミングベルトの一部を表す側面図である。
駆動タイミングベルト106(107)は、駆動側スプロケット102(103)と従動側スプロケット104(105)に巻き掛けている。
駆動タイミングベルト106は、その内周面にその長さ方向に多数の係合突起106aが一定間隔で設けられている。
また、タイミングベルト106には、その長さ方向で一定ピッチで搬送台車20のガイドローラ対42の固定ピン42aを軸支する取付固定穴106bが設けられていている。
当該取付固定穴106bは、リバースソータコンベヤ装置に使用される搬送台車の台数に対応した数で設けられている。
なお、106cは係合突起の底部分、106dは係合突起の歯先部分、106eは当該歯先部分に設けられた切り込み部である。
この切れ込み部106eは、タイミングベルト106の屈曲性を高める。
なお、駆動タイミングベルト107の構成はタイミングベルト106と同一であるので説明を省略する。
従来のタイミングベルトは、図7(a)で記載されているように、タイミングベルトには、例えばリバースソータコンベヤ装置に使用される搬送台車の台数に対応した取付固定穴106bをピッチPaが750mmで最小限で設けていた。
なお、ピッチPaを750mmとしているのは搬送台車の横幅に対応して設けているためである。
これに対して図7(b)の本発明の実施態様のタイミングベルトに設けられた取付固定穴106b(106b1~106b4)のピッチPbは150mmで設けている。
この例ではタイミングベルトの取付固定穴106bの数は1つの搬送台車あたり106b-I~106b-Vの5つである。搬送台車20bの取付固定穴106b-Vが損傷した場合、搬送台車20bと搬送台車20aをそれぞれの固定ピンを外してタイミングベルトから取り外し、搬送台車20bの固定ピンを搬送方向下流側の搬送台車20aを以前に取り付けていた取付固定穴106b-Iに取り付けるようにする。同様に、搬送台車20aの下流側の搬送台車を取り外して搬送台車20aの固定ピンを搬送方向下流側の搬送台車を以前に取り付けていた取付固定穴106b-Iに取り付けることを繰り返すことで、搬送台車をタイミングベルトへ取り付ける。
これにより、損傷して使用できなくなったタイミングベルトの取付固定穴から搬送台車の固定ピンを予備の取付固定穴に付け替えることができる。
また、タイミングベルトを駆動側と従動側の両スプロケットから取り外す作業が手間であり、損傷したタイミングベルトを交換するための新品を手配しても納期が長くすぐに入手できない場合があったが、タイミングベルト本体を交換する必要がなく、復旧時間の短縮とコスト削減ができる。
このように、従来のタイミングベルトと異なりタイミングベルト本体を交換することなく、106b-Vが損傷しても106b-I~106b-IVの4回分が取付固定穴の
損傷時における固定ピンの取付位置変更の予備として残され、同回数分だけタイミングベルト交換を省くことができる。
なお、予備の取付固定穴については、本発明の実施態様においてはピッチPbは150mmとしているが搬送台車の長さやタイミングベルトの強度等を考慮して決めることが望ましい。
【0041】
リバースソータコンベヤ装置10に用いられる駆動側スプロケット(102、103)及び従動側スプロケット104(105)は、同一形状のスプロケットホイールが使用されていて同一形状の構造なので、ここの説明においては、単にスプロケットとして説明する。
スプロケットホイール150は、当該スプロケットホイール150の回転軸に固着されているボス151、当該ボス151に一定間隔で取り付けられた一対の円板部材からなるプレート152、及び当該プレート152の円周面に設けられた噛合部材であるパイプ154で構成されている。
【0042】
ボス151は、スプロケットホイール150の回転軸に固着される部材であるで、151は、例えばSS400などの一般構造圧延鋼を用いて削り出しや鋳造にて製造される。
【0043】
プレート152は、円板形状の部材で、例えば熱間圧延鋼板を用いて製造される。プレート152は、回転中心と同軸となる開口152aの外周部に、プレート152の回転中心を中心とする同一円上に、所定角度ピッチ間隔(例えば60°間隔)で、軽減孔152bを複数有する。プレート152が複数の軽減孔152bを有することで、プレート152が軽量化される。
【0044】
パイプ154は、例えば円筒形状の部材で構成され、複数のパイプ154が、タイミングベルトの歯と噛み合う歯部として機能する。なお、複数のパイプの配置間隔(所定角度ピッチ間隔)は、タイミングベルトのピッチに依存して決定されるものである。
【0045】
図9(a)タイミングベルトと搬送台車の関係を示す図、(b)搬送台車の側面に基づいて、タイミングベルト106(107)と搬送台車20との関係について説明する。
タイミングベルト106の取付固定穴106bに搬送台車20に設けられているガイドローラ対42の固定ピン42aを挿入し、タイミングベルト107の取付固定穴106bに搬送台車20に設けられてガイドローラ対41の固定ピン41aを挿入し、搬送台車20をタイミングベルト106とタイミングベルト107間に取付ける
このように、タイミングベルト106とタイミングベルトとタイミングベルト107とで搬送台車20に設けられている固定ピン41aと固定ピン42aの位置を対角状に異ならせることで、搬送台車20が往路から復路に移動するときには、搬送台車20は駆動タイミングベルト106,107に軸支されるガイドローラ対41,42及びガイドレール125によってガイドされるガイドローラ40の3点にて姿勢が水平に保持されて移動する。その結果、往路から復路に移動する搬送台車20は反転せずに、円弧状の移動軌跡にて平行移動する。
【0046】
同様に、搬送台車20が復路から往路に移動するときには、搬送台車20はタイミングベルト106,107に軸支されるガイドローラ対41,42及びガイドレール126によってガイドされるガイドローラ43の3点にて姿勢が水平に保持されて移動する。その結果、復路から往路に移動する搬送台車20は反転せずに、円弧状の移動軌跡にて平行移動する。
【0047】
図10に基づいて、本発明の実施態様であるタイミングベルトの交換方法について説明する。
図10は、タイミングベルト106の取付固定穴106bが損傷した場合を例として説明する。
1)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷したタイミングベルトの取付固定穴に取付けていた搬送台車(20a)を、搬送台車に設けられた固定ピン(42a、41a)をタイミングベルト(106、107)の当該リバースソータコンベヤ装置の全長の両端部である頭尾部で当該タイミングベルト(106、107)の搬送台車の固定ピンの取付固定穴(106b)から固定ピンを取り外す(10(a))。
2)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した搬送台車の固定ピンを外したタイミングベルト(106、107)において、タイミングべルトの搬送台車の固定ピンが取り外された取付固定穴(106b)の部分を、リバースソータの全長の内の少し頭尾部から離れた直線部分の作業がし易い場所に、人が介入して手で移動させる(10(b))。
3)固定ピンを連結するための取付固定穴が損傷した搬送台車の搬送方向下流隣の搬送台車(20b)も、タイミングベルト(106、107)を搬送台車の幅方向へ広げながら、搬送台車の固定ピン(42a、41a)を取付固定穴(106b)から取り外す(10(c))。
4)取り外した搬送台車(20a)をタイミングベルト(106)の下流側の予備の取付固定穴(106b1)に移して、対角にある搬送台車下部ローラの固定ピン(42a、41a)2点を、タイミングベルト(107)を搬送台車の幅方向へ広げながら、取付ける(10(d))。
5)前記3)と4)を繰り返しながら、タイミングベルト全周に取りついている全台の搬送台車を下流側の予備の取付固定穴に移して、タイミングベルトに取り付ける。
【0048】
本発明の、タイミングベルトによれば、リバースソータコンベヤ装置の駆動中に、搬送台車を固定するタイミングベルトが、搬送台車に乗せられた仕分け荷のリバースソータコンベヤ装置の搬送台車が往路から復路へ、または、復路から往路へ移動する部分において、搬送台車の下面と隣合う搬送台車に乗っている仕分け荷の上部との接触による、仕分け荷の挟み込みなどで過度な負荷が掛かり搬送台車の固定軸を取付けるための取付固定穴が損傷した場合に、搬送台車の取付位置をずらし予備に設けた取付固定穴に固定軸を付け替えることにより、タイミングベルトを交換することなく迅速かつ容易に復旧させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 バースソータコンベヤ装置
15 投入コンベヤ装置
16 払出しコンベヤ装置
17 払出しシュート
20 搬送台車、
41a ローラ対41の固定ピン(軸部)
42a ローラ対42の固定ピン(軸部)
35 クロスソータコンベヤ
102,103 駆動側スプロケット
104,105 従動側スプロケット、
106,107 タイミングベルト
106a 係合突起
106b 取付固定穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10