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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133892
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/025 20060101AFI20240926BHJP
   B60P 3/34 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B60P3/025 B
B60P3/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043898
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】新保 宙羅
(57)【要約】      (修正有)
【課題】換気扇が設けられた荷箱を搭載する車両において、停車状態では、より広く荷箱を利用でき、走行状態では、法規等の要件を満たす車両を提供する。
【解決手段】荷箱6が搭載された車両であり、車体に設置される基部枠体10と、基部枠体10に対して昇降自在に連結された上部枠体20と、上部枠体20の上昇に伴って、基部枠体10に対して回動すると共に、換気扇45が設けられた側壁部材40Rと、を備え、上部枠体20は、基部枠体10の上部側を閉塞する下降端と、基部枠体10から上方側に離間する上昇端との間で昇降でき、上部枠体20が上昇するに伴って、上部枠体20及び基部枠体10の間に側面開口部23が形成されるものであり、側壁部材40Rは、上部枠体20が上昇端に達した際に、側面開口部23を閉塞するように立設されることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷箱が搭載された車両であって、
車体側に設置される基部枠体と、
前記基部枠体の上端側に設けられ、前記基部枠体に対して昇降自在に連結された上部枠体と、
前記上部枠体の上昇に伴って、前記基部枠体に対して回動すると共に、少なくとも1つの換気扇が設けられた少なくとも1つの側壁部材と、
を備え、
前記上部枠体は、前記基部枠体の上部側を閉塞する下降端と、前記基部枠体から上方側に所定の間隔を空けて離間する上昇端と、の間で昇降できるものであり、
前記上部枠体が上昇するに伴って、前記上部枠体及び前記基部枠体の間に側面開口部が形成されるものであり、
前記側壁部材は、前記上部枠体が上昇端に達した際に、前記側面開口部を閉塞するように立設されること、を特徴とする車両。
【請求項2】
前記上部枠体は、下方側に所定の収容空間を有しており、
前記換気扇を備える側壁部材は、前記上部枠体が前記下降端に位置する際に、前記収容空間において略水平状態となるように収容されること、を特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記上部枠体は、下方側に所定の収容空間を有しており、
前記側壁部材は、前記上部枠体が下降するに伴って、回動しながら前記上部枠体の下方側に略水平状態となるように収容されるものであり、
前記換気扇は、前記上部枠体が下降するに伴って、前記側壁部材と一体的に回動しながら前記収容空間に収容されること、を特徴とする請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱が搭載された車両に関する。さらに詳しくは、換気扇を有する荷箱が搭載された移動販売等に用いられる車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理施設等が収容された屋根付きの車室(荷箱に相当)を有する移動販売用の出張調理サービスシステム(車両)が知られている(例えば、特許文献1)。上述した特許文献1に記載の車両は、火を使った調理等にも対応可能なように荷箱に換気扇が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-199274公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動販売用車両等においては、走行状態における車両の地上高の制限や、車両からの荷箱の突出制限などが関連法規(例えば、道路交通法)等で定められている。そのため、走行状態において、荷箱は、上述した制限を満たす必要がある。しかしながら、上述した特許文献1に記載の車両は、荷箱から車幅方向外側に換気扇が突出して設けられているため、走行状態において、上述した制限を満たさない懸念がある。
【0005】
一方、停車状態においては、上記のような制限は課されていない。そのため、停車状態においては、より広く荷箱を利用でき、走行状態においては、関連法規等の制限を満たす車両が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、換気扇が設けられた荷箱を搭載する車両において、停車状態では、より広く荷箱を利用でき、走行状態では、法規等の要件を満たす車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の車両は、荷箱が搭載された車両であって、車体側に設置される基部枠体と、前記基部枠体の上端側に設けられ、前記基部枠体に対して昇降自在に連結された上部枠体と、前記上部枠体の上昇に伴って、前記基部枠体に対して回動すると共に、少なくとも1つの換気扇が設けられた少なくとも1つの側壁部材と、を備え、前記上部枠体は、前記基部枠体の上部側を閉塞する下降端と、前記基部枠体から上方側に所定の間隔を空けて離間する上昇端と、の間で昇降できるものであり、前記上部枠体が上昇するに伴って、前記上部枠体及び前記基部枠体の間に側面開口部が形成されるものであり、前記側壁部材は、前記上部枠体が上昇端に達した際に、前記側面開口部を閉塞するように立設されること、を特徴とするものである。
【0008】
上述した車両は、上部枠体が基部枠体に対して昇降自在に連結されているので、上部枠体を上昇させることにより、荷箱における荷室を上方側に拡張することができる。そのため、上述した車両は、停車状態において、例えば、荷室内で、調理したものを販売する場合など、作業者のスペースを広くとることができる。これにより、上述した車両は、荷室内での作業性を向上させることができる。また、上述した車両は、上部枠体の上昇に伴って、換気扇が設けられた側壁部材を立設することができるので、上部枠体の上昇による拡張スペースを有効に利用しながら、換気扇を設置できる。また、上述した車両は、側壁部材を基部枠体に対して回動できるので、上部枠体の下降に伴って、側壁部材を換気扇と共に基部枠体及び上部枠体の間に収容することができる。これにより、上述した車両は、停車状態では、より広く荷箱を利用でき、走行状態では、法規(例えば、道路交通法)等の要件を満たすものとすることができる。ここで、上述した車両は、例えば、キッチンカー等の移動販売用車両として好ましく利用できる。
【0009】
(2)上述した本発明の車両において、前記上部枠体は、下方側に所定の収容空間を有しており、前記換気扇を備える側壁部材は、前記上部枠体が前記下降端に位置する際に、前記収容空間において略水平状態となるように収容されること、を特徴とするとよい。
【0010】
上述した車両は、かかる構成とすることにより、上部枠体が下降端に位置する際に、換気扇を備える側壁部材を、上部枠体の下方側の収容空間内に収容できる。ここで、側壁部材の基部枠体に対しての回動は、例えば、上部枠体を下降させる前に予め行うものや、上部枠体と連動(同期)させて行うものなど、上部枠体と干渉しない範囲の各種のタイミングで行うことができる。また、上部枠体が下降端に位置する際に、側壁部材が略水平状態となることにより、換気扇が上方向きとなって、収容空間内に効率良く収容される。これにより、上述した車両は、荷箱内の空間を広くとることができる。
【0011】
(3)上述した本発明の車両において、前記上部枠体は、下方側に所定の収容空間を有しており、前記側壁部材は、前記上部枠体が下降するに伴って、回動しながら前記上部枠体の下方側に略水平状態となるように収容されるものであり、前記換気扇は、前記上部枠体が下降するに伴って、前記側壁部材と一体的に回動しながら前記収容空間に収容されること、を特徴とするとよい。
【0012】
上述した車両は、かかる構成とすることにより、上部枠体の下降に伴って、上部枠体の下方側に形成された収容空間内に換気扇が回動しながら収容される。また、上部枠体が下降端に達した際に、側壁部材が略水平状態となることにより、換気扇が上方向きとなって、収容空間内に効率良く収容される。これにより、上述した車両は、荷箱内の空間を広くとることができる。
【0013】
(4)上述した本発明の車両において、前記上部枠体における天井面には、前記側壁部材の回転軸線と交差する方向にレールが敷設されており、前記側壁部材は、上端側に設けられたスライド部材が、前記レールと摺動可能に嵌合されていること、を特徴とするとよい。
【0014】
上述した車両は、かかる構成とすることにより、上部枠体の上昇に伴って、側壁部材を立設でき、上部枠体の下降に伴って、側壁部材を畳むことができる。そのため、上述した車両は、停車状態において、上部枠体を上昇させて、荷箱を上下方向に拡張しつつ、側壁部材を立設させて、換気扇を設置できる。他方、上述した車両は、走行状態とする際に、上部枠体を下降させて、荷箱を縮小させつつ、側壁部材を畳むことにより、関連法規等の要件を満たす荷箱サイズとすることができる。
【0015】
(5)上述した本発明の車両は、前記側壁部材が、車幅方向の少なくとも一方側又は前記車両の後端側に設けられており、前記側壁部材の立設に伴って、前記換気扇の排気側が、車幅方向外側又は前記車両の後方外側に向くように配置されること、を特徴とするとよい。
【0016】
上述した車両は、かかる構成とすることにより、停車中の車両において、車両の外側の各種の方向に向けて、換気扇を配置できる。そのため、上述した車両は、荷箱内の調理器具等の配置に応じて、換気扇を各種の位置に配置できる。
【0017】
(6)上述した本発明の車両は、前記車両の前後方向両側に上下伸縮ユニットが設けられており、前記上部枠体及び前記基部枠体の双方は、前記車両の前後方向両端側に一対のレールが車幅方向に沿って敷設されており、一対の前記上下伸縮ユニットは、それぞれ一対のリンク部材と、それぞれの前記リンク部材の一端側に設けられたスライド部材と、
を備え、それぞれの前記スライド部材は、前記基部枠体及び前記上部枠体のうちのいずれか一方のレールに摺動可能に嵌合されており、前記リンク部材の他端側は、前記スライド部材が嵌合された前記レールとは異なる側に位置する前記基部枠体及び前記上部枠体のいずれか一方に回動可能に支持されていること、を特徴とするとよい。
【0018】
上述した車両は、かかる構成とすることにより、簡素な構造で上部枠体を基部枠体に対して昇降動させることができる。
【0019】
(7)上述した本発明の車両において、前記上部枠体の天井面には、少なくとも1つの把持部が設けられていること、を特徴とするとよい。
【0020】
上述した車両は、かかる構成とすることにより、把持部を掴んで押し上げれば、上部枠体を容易に上昇させることができ、把持部を掴んで引っ張ることにより、上部枠体を容易に下降させることができる。これにより、上述した車両は、荷箱の拡張と、側壁部材を収容した収容状態(法規等を満たす状態)との切り替えを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、換気扇が設けられた荷箱を搭載する車両において、停車状態では、より広く荷箱を利用でき、走行状態では、法規等の要件を満たす車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る車両を構成する荷箱を右後方側から見た斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両を構成する荷箱を左後方側から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両の右側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両を構成する荷箱において上部枠体を上昇端まで上昇させた一部切欠き斜視図である。
図5図4を下方側から見た一部切欠き斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る車両の動作説明図である。
図7】本発明の一実施形態に係る車両の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図1図7を参照して、本発明の一実施形態に係る車両1の詳細を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。また、図3以外の図面においては、車両1を省略し荷箱6のみ描いていることに留意されたい。また、図4においては、左側の側壁部材40Lの一部を省略して描いていることに留意されたい。また、本実施形態では、車両1が、キッチンカー等の換気扇を備える移動販売用軽トラックである場合を例として説明する。
【0024】
図3に示すように、車両1は、運転室2、荷台3、前輪4,4(一方側のみ図示)、後輪5,5(一方側のみ図示)、及び荷箱6等を備えている。車両1は、エンジンやモータ等の駆動源(図示せず)を有しており、当該駆動源の動力を前輪4,4や後輪5,5に伝達することにより走行するものとされている。
【0025】
運転室2は、車両1における車体1Aの前方側に設けられ、運転席及び助手席(共に図示せず)を備えている。また、運転室2には、前記の他、アクセル、ブレーキ、及びハンドルなどの操作機器(図示せず)等が設けられている。
【0026】
荷台3は、運転室2の後方側に設けられている。荷台3は、平坦状に形成され、後述する荷箱6を搭載(積載)することができる。本実施形態では、荷台3に荷箱6が着脱自在に搭載されている。なお、荷台3と荷箱6とが一体的に形成されていてもよい。
【0027】
図1及び図2に示すように、荷箱6は、直方体形状の箱体として形成されている。荷箱6は、車体1A(図3参照)側に設置される基部枠体10と、基部枠体10の上端側に設けられる上部枠体20と、側壁部材40L,40R等を備えている。
【0028】
基部枠体10は、矩形状の箱体として形成されている。基部枠体10は、底板11と、底板11上の四辺に立設された側壁12A,12B,12C,12D(総称して側壁12とも称する)と、側壁12の上端側を支持する側壁支持枠13等を備えている。側壁12は、鉄やアルミニウム等の金属や繊維強化樹脂等を素材とした板状部材で形成されている。
【0029】
側壁12A(図4参照)は、車両1の前方側に位置し、運転室2と隣接して立設されている。側壁12Dは、車両1の後方側に立設され、窓18が開口されている。
【0030】
側壁12Bは、車両1の車幅方向右側に立設され、側壁12Cは、車両1の車幅方向左側に立設されている。図2に示すように、側壁12Cには、販売のための窓15が設けられている。窓15の下方には、商品受け渡しや商品を陳列するためのテーブル16が、外側に突出するように設けられている。テーブル16は、矩形状をなし、長手方向の基端側が車両前後方向に沿って設けられた回転軸(図示せず)に回動可能に支持されている。テーブル16は、前記回転軸を中心に下方側に回転することにより、折り畳んで車幅内に収まるように収納できる。
【0031】
側壁支持枠13は、筒状の角柱を側壁12の上端に合わせて矩形状に組み合わせることにより形成されている。側壁支持枠13における側壁12A及び側壁12Dと対応する部分(車両前後方向両側)の上面には、後述する上下伸縮ユニット30の一部を構成するレール31,31が車幅方向に沿って敷設されている。
【0032】
上部枠体20は、基部枠体10の上端側に設けられており、基部枠体10に対して昇降自在に連結されている。上部枠体20は、本実施形態では、矩形状の箱体として形成されており、天井面21と、天井面21の四方を取り囲む側壁22等を備えている。したがって、本実施形態では、上部枠体20における側壁22に囲まれた内側に収容空間7が形成されている。天井面21の車両前後方向両端側には、後述する上下伸縮ユニット30の一部を構成する一対のレール35,35(図4及び図6参照)が車幅方向に沿って敷設されている。
【0033】
図6に示すように、上部枠体20には、基部枠体10に対して上下動するための一対の上下伸縮ユニット30,30(一方側のみ図示)が接続されている。なお、上下伸縮ユニット30,30は、それぞれ車両前後方向両側において、対称に設けられているため、以下では、特に区別が必要でない場合、一方側(車両後方側)の上下伸縮ユニット30について説明し、他方側(車両前方側)の上下伸縮ユニット30の説明は省略する。
【0034】
上下伸縮ユニット30は、側壁支持枠13の上面側に敷設されたレール31と、天井面21の裏面側(荷室内部側)に敷設されたレール35と、を備えている。上下伸縮ユニット30は、前記の他、上下一対の回転軸32U,32Dと、一対のスライド部材33U,33Dと、一対のリンク部材34A,34B等を備えている。
【0035】
回転軸32Uは、上部枠体20の上端側における車幅方向右側に設けられ、適宜のブラケット(図示せず)を介して支持されている。すなわち、回転軸32Uは、上部枠体20に支持されている。回転軸32Dは、基部枠体10の上端側(側壁支持枠13)における車幅方向右側に設けられ、適宜のブラケット(図示せず)を介して支持されている。すなわち、回転軸32Dは、基部枠体10に支持されている。
【0036】
上述したように、レール31は、側壁支持枠13の上面側において、回転軸32U,32Dと交差する方向(本実施形態では、車幅方向)に沿って敷設されている。また、レール35は、天井面21の裏面側において、回転軸32U,32Dと交差する方向(本実施形態では、車幅方向)に沿って敷設されている。
【0037】
スライド部材33Uは、上部枠体20に敷設されたレール35に摺動可能に嵌合されている。したがって、スライド部材33Uは、レール35に沿って車幅方向に移動することができる。スライド部材33Dは、側壁支持枠13上に敷設されたレール31に摺動可能に嵌合されている。したがって、スライド部材33Dは、レール31に沿って車幅方向に移動することができる。
【0038】
リンク部材34A,34Bは、例えば、円筒状の支柱として形成されている。リンク部材34Aは、一端側(上端側)が回転軸32Uに回動可能に支持されている。したがって、リンク部材34Aは、回転軸32Uを中心として上下方向に回転することができる。リンク部材34Aは、他端側(下端側)がスライド部材33Dに対して回動可能に接続されている。したがって、リンク部材34Aは、他端側が、スライド部材33Dと共に車幅方向に移動できる。これにより、リンク部材34Aの回転軸32U周りの回動が許容される。
【0039】
リンク部材34Bは、一端側(下端側)が回転軸32Dに回動可能に支持されている。したがって、リンク部材34Bは、回転軸32Dを中心として上下方向に回転することができる。リンク部材34Bは、他端側(下端側)がスライド部材33Uに対して回動可能に接続されている。したがって、リンク部材34Bは、他端側が、スライド部材33Uと共に車幅方向に移動できる。これにより、リンク部材34Bの回転軸32D周りの回動が許容される。
【0040】
したがって、上下伸縮ユニット30,30は、リンク部材34A,34Bの回動に伴って、上下方向に伸縮することができる。また、図6に示すように、上下伸縮ユニット30,30の収縮に伴って、上部枠体20は、実線位置の上昇端と、二点鎖線位置の下降端との間で自在に昇降動することができる。このように、上述した車両1は、リンク部材34A,34Bを用いた構成とすることにより、簡素な構造で上部枠体20を基部枠体10に対して昇降動させることができる。
【0041】
ここで、上部枠体20は、上昇端において、基部枠体10から所定の間隔を空けて離間するものとされ、下降端において、基部枠体10の上部側を閉塞するものとされている。また、上部枠体20は、下降端に位置する場合において、車両1の高さが、関連法規における規定を満たすものとされている。また、上部枠体20が上昇するに伴って、上部枠体20及び基部枠体10の間に側面開口部23が形成される。
【0042】
また、図5に示すように、上部枠体20の天井面21には、一対の把持部24,24(取手24,24とも称する)が設けられている。したがって、上部枠体20が上昇側にある場合において、作業者が把持部24,24を掴んで引っ張ることにより、上部枠体20を下降させることができる。また、上部枠体20が下降側にある場合において、作業者が把持部24,24を押し上げることにより、上部枠体20を上昇させることができる。このように、上述した車両1は、把持部24を掴んで押し上げれば、上部枠体20を容易に上昇させることができ、把持部24を掴んで引っ張ることにより、上部枠体20を容易に下降させることができる。これにより、上述した車両1は、荷箱6の拡張と、側壁部材40L,40Rの収容状態との切り替えを容易に行うことができる。
【0043】
側壁部材40Lは、図2及び図6に示すように、車両1の車幅方向左側に設けられている。側壁部材40Lは、板状部材で形成されている。側壁部材40Lは、図6に示すように、一端側(下端側)が、車両前後方向に沿って設けられた回転軸42に回動可能に支持されている。したがって、側壁部材40Lは、回転軸42周りに回動することができる。また、側壁部材40Lは、他端側(上端側)に、スライダ41を備えている。
【0044】
スライダ41は、レール35に摺動可能に嵌合されており、レール35に沿って車幅方向に移動できる。スライダ41には、スライダ41及び側壁部材40Lに対して、回動可能にブラケット43が取り付けられている。これにより、側壁部材40Lの回転軸42周りの回動が許容される。
【0045】
図7に示すように、側壁部材40Lは、上部枠体20が上昇端に達した際に、立設状態となって、車両1の左側の側面開口部23を閉塞するものとされている。側壁部材40Lは、上部枠体20の昇降に伴って、立設状態と、略水平状態となる収容状態との間で回動することができる。すなわち、側壁部材40Lは、上部枠体20の昇降動と同期しながら立設状態と収容状態との間で回動することができる。また、側壁部材40Lは、上部枠体20の下降に伴って、荷箱6の内側方向に倒れ込んで略水平状態となり、上部枠体20と基部枠体10との間に形成される収容空間7内に収容される。
【0046】
図1及び図3に示すように、側壁部材40Rは、車両1の車幅方向右側に設けられている。側壁部材40Rは、板状部材で形成されており、一端側(下端側)が、回転軸32Dに回動可能に支持されている。したがって、側壁部材40Lは、回転軸32D周りに回動することができる。また、側壁部材40Rは、他端側(上端側)に、スライダ41(図6参照)及びブラケット43を備えている。なお、スライダ41及びブラケット43は、上述した側壁部材40L側のものと同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
図1に示すように、側壁部材40Rは、中央付近に一対の換気扇45,45を備えている。換気扇45,45には、それぞれ排気側に突出するフード46が設けられている。換気扇45,45は、本実施形態では、車両前後方向に並設されている。
【0048】
図7に示すように、側壁部材40Rは、上部枠体20が上昇端に達した際に、立設状態となって、車両1の右側の側面開口部23を閉塞するものとされている。側壁部材40Rは、上部枠体20の昇降に伴って、立設状態と、略水平状態となる収容状態との間で回動することができる。すなわち、側壁部材40Rは、上部枠体20の昇降動と同期しながら立設状態と収容状態との間で回動することができる。また、側壁部材40Rは、上部枠体20が下降するに伴って、回動しながら上部枠体20の下方側の収容空間7内に略水平状態となるように収容される。
【0049】
また、換気扇45,45(フード46,46を含む)は、上部枠体20が下降するに伴って、側壁部材40Rと一体的に回動しながら収容空間7に収容される。ここで、上部枠体20が、下降端に位置する場合は、収容空間7内に換気扇45,45が収容されるので、車両1の高さ、及び荷箱6における車幅方向の幅が、関連法規における規定を満たすものとされている。
【0050】
なお、上部枠体20が上昇するに伴って、車両前後方向両側に形成される側面開口部23は、側板47(図1及び図2参照)で覆う(閉塞する)ことができる。側板47は、後から覆うものや、例えば、上部枠体20の上昇に伴ってスライドするものなど各種の形態のものが利用できる。また、側板47は、必要に応じて設ければよい。
【0051】
以上が、本発明の一実施形態に係る車両1の構成であり、次に本発明の車両1を構成する荷箱6の伸縮動作について、図6及び図7を参照しながら以下に説明する。
【0052】
図6に示すように、作業者が、下降端(二点鎖線位置)にある上部枠体20を押し上げることにより、上下伸縮ユニット30,30のリンク部材34A,34Bが伸長し、上部枠体20が上昇端に達する。これに伴い、図7に示すように、側壁部材40L,40Rが、上方側に向けて回動し、立設される。これにより、側面開口部23における車幅方向両側が閉塞される。また、側壁部材40Rにおける換気扇45,45の排気側(フード46側)が、車幅方向外側に向くように配置される。
【0053】
一方、図6に示すように、作業者が、上昇端(実線位置)にある上部枠体20を下方側に引っ張ることにより、上下伸縮ユニット30,30のリンク部材34A,34Bが収縮し、上部枠体20が下降端に達する。これに伴い、図7に示すように、側壁部材40L,40Rが、下方側の荷室6A内部方向に向けて回動し、収容空間7内に収容される。また、換気扇45,45(フード46,46を含む)が、収容空間7内に収容される。
【0054】
以上が、荷箱6の伸縮動作であり、次に本発明の一実施形態に係る車両1の作用効果について、以下に説明する。
【0055】
上述した車両1は、上部枠体20が基部枠体10に対して昇降自在に連結されているので、上部枠体20を上昇させることにより、荷箱6における荷室2Aを上方側に拡張することができる。そのため、上述した車両1は、停車状態において、例えば、荷室2A内で、調理したものを販売する場合など、作業者のスペースを広くとることができる。これにより、上述した車両1は、荷室6A内での作業性を向上させることができる。また、上述した車両1は、上部枠体20の上昇に伴って、換気扇45が設けられた側壁部材40Rを立設することができるので、上部枠体20の上昇による拡張スペースを有効に利用しながら、換気扇45を設置できる。また、上述した車両1は、側壁部材40L,40Rを基部枠体10に対して回動できるので、上部枠体20の下降に伴って、側壁部材40L,40Rを換気扇45,45と共に、基部枠体10及び上部枠体20の間の収容空間7内に収容することができる。これにより、上述した車両1は、停車状態では、より広く荷箱6を利用でき、走行状態では、法規(例えば、道路交通法)等の要件を満たすものとすることができる。
【0056】
また、上述した車両1は、上部枠体20が下降端に達した際に、側壁部材40Rが略水平状態となることにより、換気扇45が上方向きとなって、収容空間7内に効率良く収容される。これにより、上述した車両1は、荷箱6内の空間を広くとることができる。
【0057】
また、上述した車両1において、上部枠体20における天井面21には、側壁部材40L,40Rの回転軸線(回転軸32U,32D)と交差する方向にレール31,35が敷設されている。側壁部材40L,40Rは、上端側に設けられたスライド部材33D,33Uが、レール31,35と摺動可能に嵌合されている。
【0058】
したがって、上述した車両1は、上部枠体20の上昇に伴って、側壁部材40L,40Rを立設でき、上部枠体20の下降に伴って、側壁部材40L,40Rを略水平状態に畳むことができる。そのため、上述した車両1は、停車状態において、上部枠体20を上昇させて、荷箱6を上下方向に拡張しつつ、側壁部材40Rを立設させて、換気扇45を設置できる。他方、上述した車両1は、走行状態とする際に、上部枠体20を下降させて、荷箱6を縮小させつつ、側壁部材40L,40Rを畳むことにより、関連法規等の要件を満たす荷箱サイズとすることができる。
【0059】
以上が、本発明の一実施形態に係る車両1の構成及び作用効果であるが、本発明の車両1は、上述した実施形態には限定されず、各種の変形を行うことができる。
【0060】
本実施形態では、荷箱6が荷台3に着脱可能に搭載されているが、荷箱6は、車体1Aと一体的に形成されていてもよい。また、本実施形態では、車両1がキッチンカー等の移動販売用の軽トラックとしたが、これには限定されず、各種の車両に適用することができる。また、基部枠体10及び上部枠体20の形状や大きさも法規等に応じて、各種の形状や大きさのものとすることができる。本実施形態では、上部枠体20が箱体として形成されているが、上部枠体20は、例えば、板状に形成されていてもよい。かかる場合は、収容空間7が、基部枠体10側に形成されるようにするとよい。また、基部枠体10に対する上部枠体20の上昇量も各種のものとすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、側壁部材40L,40Rが基部枠体10に対して回動により立設されるものとしたが、側壁部材40L,40Rは、上部枠体20と同期して立設状態と、収容状態とをとることができる各種の手段を利用することができる。また、本実施形態では、車幅方向右側の側壁部材40Rに換気扇45が設けられているが、換気扇45は、荷室6Aの利用形態に応じて、各種の位置に設けることができる。例えば、換気扇45が、車両後方側の側壁部材に設けられていてもよい。かかる場合は、当該側壁部材が車両前後方向に回動するようにし、側壁部材の立設状態において換気扇45の排気側が後方外側向きに位置するように配置するとよい。また、換気扇45の形状・大きさ・数量は、荷箱6の形状や大きさ、あるいは荷箱6内の調理器具等の配置など利用形態に応じて、適宜変更することができる。例えば、換気扇45がフード46を備えないものとしてもよい。
【0062】
また、側壁部材40L,40Rは、関連法規等に応じて各種の素材で形成することができる。例えば、移動販売用車両として利用する場合において、保健所による営業許可を受ける場合は、側壁部材40L,40Rをテント生地以外の素材で形成するとよい。また、上下伸縮ユニット30は、上述した実施形態のものに限定されず、上下伸縮が可能な各種の手段を用いて構成することができる。例えば、上下伸縮ユニット30が、パンタグラフ機構によって構成されていてもよい。また、本実施形態では、上部枠体20の天井面21に、一対の把持部24,24が設けられているが、把持部24は、必要に応じて設ければよく、把持部24を設けない構成とすることもできる。また、把持部24の形状・大きさ・数量は、各種のものに変更できる。
【0063】
また、本実施形態では、側壁部材40Rが、上部枠体20の下降と連動(同期)して、回動しながら収容空間7に収容されるものとしたが、側壁部材40L,40Rの基部枠体10に対しての回動は、例えば、上部枠体20を下降させる前に予め行うものなど、上部枠体20と干渉しない範囲の各種のタイミングで行うことができる。
【0064】
以上が、本発明に係る車両の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の車両は、キッチンカー等の各種の移動販売用車両として利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 :車両
1A:車体
3 :荷台
6 :荷箱
6A:荷室
10 :基部枠体
20 :上部枠体
21 :天井面
30 :上下伸縮ユニット
31 :レール
33U:スライド部材
33D:スライド部材
34A:リンク部材
34B:リンク部材
35 :レール
40L:側壁部材
40R:側壁部材
45 :換気扇
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7