(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133893
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】施設内のスタッフの業務量を管理するシステム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20240926BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043899
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水島 彰宏
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA11
(57)【要約】
【課題】スタッフが複数の入居者に対してケアを行なった場合であっても、スタッフがケアにかかった時間を正しく算出できる技術を提供する。
【解決手段】システムは、端末と、サーバーとを備える。端末は、スタッフが、入居者ごとに行なったケアの開始時刻および終了時刻を記録する。サーバーは、端末から開始時刻および終了時刻を収集し、開始時刻および終了時刻に基づいて、入居者ごとのケアにかかった第1時間を算出する。サーバーは、第1時間に基づいて、スタッフがケアを行なった第2時間の算出を行なう。当該第2時間の算出は、1人のスタッフが複数の入居者に対してケアを行なう並行ケアを検出し、並行ケアを行なったスタッフの第2時間を算出することを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の1以上のスタッフによる業務量を管理するシステムであって、
前記施設には、ケア対象者である複数人の入居者が入居しており、
前記システムは、
前記スタッフが、前記入居者ごとに行なったケアの開始時刻および終了時刻を記録する端末と、
前記端末から前記開始時刻および前記終了時刻を収集し、前記開始時刻および前記終了時刻に基づいて、前記入居者ごとのケアにかかった第1時間を算出するサーバーとを備え、
前記サーバーは、
前記第1時間に基づいて、前記スタッフがケアを行なった第2時間の算出を行ない、
前記第2時間の算出は、
1人の前記スタッフが複数の前記入居者に対してケアを行なう並行ケアを検出し、
前記並行ケアを行なった前記スタッフの前記第2時間を算出することを含む、システム。
【請求項2】
前記サーバーは、1人の前記スタッフによる、複数人の前記入居者に対しての同一の前記開始時刻と同一の前記終了時刻とで規定されるケアを並行ケアであると判定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サーバーは、
前記並行ケアに対応するケアに識別子を付し、
同一の前記識別子を付されたケアについては、そのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記サーバーは、前記スタッフが行なったケアの種類を取得し、前記ケアの種類ごとの前記第2時間を算出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記施設は、前記入居者が入居する居室を備え、
前記ケアの種類は、前記居室内で行なわれた居室内ケアと、前記居室外で行なわれた居室外ケアと、居室内ケアと居室外ケアとを支える間接業務とを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記スタッフごとの、前記ケアの種類ごとの前記第2時間を表示する、表示装置をさらに備える、請求項4または5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記サーバーは、前記施設内の、予め定められたユニットに対する、前記第2時間の集計を算出し、
前記ユニットは、施設のフロア、または、予め定められた入居者のグループであり、
前記システムは、前記ユニットごとの前記第2時間の集計を表示する表示装置をさらに備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
コンピューターによって実施される、施設内の1以上のスタッフによる業務の量を管理する方法であって、
前記施設には、ケア対象者である複数人の入居者が入居しており、
前記方法は、
前記スタッフが、前記入居者ごとに行なったケアの開始時刻および終了時刻を記録するステップと、
前記開始時刻および前記終了時刻に基づいて、前記入居者ごとのケアにかかった第1時間を算出するステップと、
前記第1時間に基づいて、前記スタッフがケアを行なった第2時間を算出するステップとを備え、
前記第2時間を算出するステップは、
1人の前記スタッフが複数人の前記入居者に対してケアを行なう並行ケアを検出するステップと、
前記並行ケアについての前記第2時間を算出するステップとを含む、方法。
【請求項9】
前記検出するステップは、
1人の前記スタッフによる、複数人の前記入居者に対しての同一の前記開始時刻と同一の前記終了時刻とで規定されるケアを並行ケアであると判定するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記並行ケアについての前記第2時間を算出するステップは、
前記並行ケアに対応するケアに識別子を付すステップと、
同一の前記識別子を付されたケアについては、そのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得するステップをさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
コンピューターによって実行されることにより、前記コンピューターに請求項8または9のいずれか1項に記載の方法を実施させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設内のスタッフの業務量を管理するシステム、方法およびプログラムに関し、より特定的には、施設内のスタッフの業務量を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、介護施設等において、スタッフの業務量の増加が問題となっている。また、スタッフの残業時間の削減、および、ケア対象者(たとえば入居者)への直接のケアの時間をより多く確保することも求められている。そのため、スタッフの業務量を算出し、施設内でのオペレーション、または、人員配置の見直しを容易にするための技術が着目されている。たとえば、特開2021-111186号公報(特許文献1)には、スタッフの業務スキルを適切に評価するための技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、要介護者の各々入居する部屋において、スタッフが要介護者の氏名の入力に対応する操作と、介護行為の開始時刻および終了時刻の入力に対応する操作を行なうことにより、介護行為が行なわれていた時間を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、スタッフと入居者が一対一で対応する場合を前提としている。一方で、スタッフに対して入居者が複数人いる場合(複数人でのレクリエーション、複数人での食事介護など)において、一人のスタッフがケアにかかった時間を算出するには問題がある。具体的には、複数の入居者の各々に対して、ケアの開始時刻および終了時刻が入力され、ケアにかかった時間が算出される。そして、一人のスタッフがケアにかかった時間として、当該複数の入居者の各々のケアにかかった時間の合算値が算出されてしまう。
【0005】
本開示は、係る課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スタッフが複数の入居者に対してケアを行なった場合であっても、スタッフがケアにかかった時間を正しく算出できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従うと、施設内の1以上のスタッフによる業務量を管理するシステムが提供される。施設には、ケア対象者である複数人の入居者が入居している。システムは、端末と、サーバーとを備える。端末は、スタッフが、入居者ごとに行なったケアの開始時刻および終了時刻を記録する。サーバーは、端末から開始時刻および終了時刻を収集し、開始時刻および終了時刻に基づいて、入居者ごとのケアにかかった第1時間を算出する。サーバーは、第1時間に基づいて、スタッフがケアを行なった第2時間の算出を行なう。当該第2時間の算出は、1人のスタッフが複数の入居者に対してケアを行なう並行ケアを検出し、並行ケアを行なったスタッフの第2時間を算出することを含む。
【0007】
ある局面において、サーバーは、1人のスタッフによる、複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアを並行ケアであると判定する。
【0008】
ある局面において、サーバーは、並行ケアに対応するケアに識別子を付し、同一の識別子を付されたケアについては、そのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得する。
【0009】
ある局面において、サーバーは、スタッフが行なったケアの種類を取得し、ケアの種類ごとの第2時間を算出する。
【0010】
ある局面において、施設は、入居者が入居する居室を備える。ケアの種類は、居室内で行なわれた居室内ケアと、居室外で行なわれた居室外ケアと、居室内ケアと居室外ケアとを支える間接業務とを含む。
【0011】
ある局面において、システムは、スタッフごとの、ケアの種類ごとの第2時間を表示する、表示装置をさらに備える。
【0012】
ある局面において、サーバーは、施設内の、予め定められたユニットに対する、第2時間の集計を算出する。ユニットは、施設のフロア、または、予め定められた入居者のグループである。システムは、ユニットごとの第2時間の集計を表示する表示装置をさらに備える。
【0013】
他の実施の形態に従うと、コンピューターによって実施される、施設内の1以上のスタッフによる業務の量を管理する方法が提供される。施設には、ケア対象者である複数人の入居者が入居している。上記方法は、スタッフが、入居者ごとに行なったケアの開始時刻および終了時刻を記録するステップと、開始時刻および終了時刻に基づいて、入居者ごとのケアにかかった第1時間を算出するステップと、第1時間に基づいて、スタッフがケアを行なった第2時間を算出するステップとを備える。第2時間を算出するステップは、1人のスタッフが複数人の入居者に対してケアを行なう並行ケアを検出するステップと、並行ケアについての第2時間を算出するステップとを含む。
【0014】
ある局面において、検出するステップは、1人のスタッフによる、複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアを並行ケアであると判定するステップを含む。
【0015】
ある局面において、並行ケアについての第2時間を算出するステップは、並行ケアに対応するケアに識別子を付すステップと、同一の識別子を付されたケアについては、そのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得するステップをさらに含む。
【0016】
他の実施の形態に従うと、コンピューターによって実行されることにより、コンピューターに上記施設内の1以上のスタッフによる業務の量を管理する方法を実施させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、スタッフが複数の入居者に対してケアを行なった場合であっても、スタッフがケアにかかった時間を正しく算出できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施の形態に従うシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施の形態に従うサーバーの構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施の形態に従う端末の構成の一例を示す図である。
【
図10】業務量の算出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
[1.システムの全体構成]
【0021】
まず、
図1を参照して本実施の形態に従う施設内のスタッフの業務量を可視化するシステム10の全体構成について説明する。
【0022】
本明細書において、「システム」は、1または複数の装置からなる構成、サーバー、クラウド環境に構築された仮想マシンもしくはコンテナ、または、これらの少なくとも一部からなる構成を包含する。また、装置は、パーソナルコンピューター、ワークステーション、サーバー装置、タブレット、スマートフォン等の情報処理装置を含んでいてもよく、また、これらの組合せであってもよい。ある実施の形態に従うと、システム10は、ディスプレイおよびキーボード等の入出力機器と接続され、これらの入出力機器を介してユーザーに使用される。他の実施の形態に従うと、システム10は、ネットワークを介して、クラウドサービスまたはウェブアプリケーションとして、ユーザーに各種機能を提供する。この場合、ユーザーは、自身の端末にインストールされたブラウザまたはクライアントソフトウェアを介して、システム10の機能を使用する。
【0023】
本明細書において、「施設」とは、入居者のための設備があり、入居者をケアするスタッフがいる任意の施設である。施設には、通常、複数人の入居者が入居している。施設は、病院、老人介護施設、リハビリ施設等の任意の施設を包含する。
【0024】
本明細書において、「居室」とは、一人または複数の入居者に割り当てられた部屋である。一例として、居室は、各入居者の寝室である。
【0025】
本明細書において、「共用部」とは、特定の入居者に割り当てられた居室外の、複数の入居者が使用可能なスペースである。一例として、共用部は、浴室、食堂、トイレ、リビングルーム、図書室等を含む。
【0026】
本明細書において、「ケア」とは、スタッフがケア対象者である入居者のために行なう業務である。ケアは、ケア対象者である入居者に直接的に関係する業務と、間接業務とを含む。ケア対象者である入居者に直接的に関係する業務は、居室内で行われるケア(居室内ケア)と、共用部内で行われるケア(居室外ケア)とを含む。居室内ケアは、起床介助、就寝介助、定期巡回、おむつ交換、コールでの駆けつけ対応等の任意の行為を包含する。居室外ケアは、食事の補助、排泄の補助、入力の補助等の居室内で行われる任意の行為を包含する。間接業務は、記録・申し送りなどの事務作業、清掃、洗濯等の共用部で行われる行為である。
【0027】
本明細書において、「ユーザー」とは、システム10を使用するユーザーであり、施設の責任者、入居者をケアするスタッフ、スタッフの監督者等を包含する。
【0028】
図1は、本実施の形態に従うシステム10の構成の一例を示す図である。
図1を参照して、システム10の構成および動作の概要について説明する。システム10は、端末1と、サーバー2と、コンピューター3とを備える。ある実施の形態に従うと、システム10は、端末1と、サーバー2とを備え、コンピューター3を備えない。この場合、サーバー2は、コンピューター3の機能として説明される機能を実現する外部のコンピューターと通信する。
【0029】
端末1は、スタッフが、ケアの業務記録を入力するための情報端末である。端末1は、たとえば、スマートフォンまたはタブレットである。業務記録は、ケアに関する情報を含む。ケアに関する情報は、スタッフが行なったケアの種類、ケアの対象者、ケアの開始時刻、および、ケアの終了時刻を含む。業務記録の入力の詳細については、後述する。端末1は、入力された業務記録をサーバー2に送信する。端末1は、業務記録と共に、端末1を使用するスタッフの名前、端末1のID、端末1の場所情報等をサーバー2に送信してもよい。
【0030】
サーバー2は、端末1からケアに関する業務記録を受信する。また、サーバー2は、各業務記録を予め定められたユニット単位に分類して管理する。サーバー2は、予め定められたユニット単位、スタッフ単位、または、入居者単位で業務量の可視化情報を出力する。本明細書において、業務量とは、スタッフが所定期間中に業務を行なった時間であり、より具体的には後述する第2時間の量である。ある実施の形態に従うと、サーバー2は、サーバー2に接続されたディスプレイに可視化情報を表示する。他の実施の形態に従うと、サーバー2は、ネットワークを介して、スタッフが保有するコンピューター3に可視化情報を送信する。この場合、スタッフは、コンピューター3のディスプレイに表示される可視化情報を確認する。
【0031】
本明細書において、「ユニット」とは、施設のフロア、または、予め定められた入居者のグループである。例えば、介護施設では、属性の近い入居者が同じフロア、または、近い居室に配置される。この場合の属性とは、認知症の進行具合、身体能力の衰え具合等である。介護施設では、通常のオフィスワーク等と異なり、責任者は、属性の近い入居者をグルーピングし(入居者をユニット分けし)、当該ユニット毎にスタッフを割り当てることがある。そのため、サーバー2は、オペレーションの見直し、および、人員配置の改善を容易にするために、ユニット単位での業務記録の可視化情報を提供する。
【0032】
コンピューター3は、スタッフが施設内で保有する端末である。コンピューター3は、サーバー2から送られてくる各種可視化情報、および、コメントもしくはレコメンドの表示を行なう。ある実施の形態に従うと、施設の責任者または一部のスタッフのコンピューター3のみが、サーバー2から各種可視化情報と、可視化情報に関連するコメントもしくはレコメンドを受信して表示する。一例として、施設の責任者は、ユニット単位の可視化情報を確認することで、ユニット毎に人員が足りているか否かを把握し得る。また、施設の責任者は、スタッフ単位の可視化情報を確認することで、個別のスタッフの業務量、および、各スタッフの得手不得手等を把握し得る。さらに、施設の責任者は、入居者単位の可視化情報を確認することで、手間のかかる入居者にベテランのスタッフを割り振る等の人員配置を行い得る。コンピューター3は、本明細書において「表示装置」の位置実施例に対応する。
【0033】
上記のように、サーバー2は、居室内でのケアの業務記録と、共用部でのケアの業務記録とを受信する。そして、これらの業務記録を分析して作成した可視化情報IM1を出力する。すなわち、サーバー2は、居室内でスタッフが行ったケアの量および共用部内でスタッフが行なったケアの量に関する、予め定められたユニット単位で集計された業務量の可視化情報IM1を出力する。また、システム10は、可視化情報IM1に関連するコメントもしくはレコメンドを出力する。例えば、システム10は、複数のユニットをまたいでのスタッフの配置の変更または改善のレコメンドを出力する。ユーザーは、出力されるこれらの情報を参照することで、施設内のオペレーションの見直し、および、人員配置の見直し等を行い得る。
【0034】
[2.端末の構成]
【0035】
図2は、端末1のハードウェアの構成例を示す図である。
図2を参照して、端末1は、プロセッサー11と、メモリー12と、RAM(Random Access Memory)13と、通信インターフェイス14と、ディスプレイ15と、入力デバイス16と、カメラ17と、マイク18と、スピーカー19とを含む。
【0036】
プロセッサー11は、端末1を統括的に制御する。プロセッサー11は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせ等によって構成される。
【0037】
RAM13は、メモリー12からロードされたプログラム等を一時的に保存する。プロセッサー11は、RAM13に読み込まれたプログラムを実行する。
【0038】
メモリー12は、例えば、eMMC(Embedded Multimedia Card)等の記憶媒体である。一例として、メモリー12は、プロセッサー11によって実行されるプログラムを格納するが、当該プログラムは、プロセッサー11がアクセス可能な記憶装置であれば、メモリー12以外の記憶装置に格納されていてもよい。
【0039】
通信インターフェイス14には、アンテナ(図示せず)等が接続される。端末1は、通信インターフェイス14を介して、外部の通信機器と通信する。外部の通信機器は、端末1およびコンピューター3を含む。
【0040】
ディスプレイ15は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイによって実現される。入力デバイス16は、例えばディスプレイ15に重ねられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、端末1に対する各種操作としてタッチ操作を受け付け、当該操作の内容をプロセッサー11へ送信する。入力デバイス16は、物理的なボタンであってもよい。
【0041】
カメラ17は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーまたはCCD(Charge Coupled Device)センサー等を有する撮像装置である。
【0042】
マイク18は、端末1の周囲の音声を集音するように構成される。マイク18で集音された音声データは、プロセッサー11へ送信される。
【0043】
スピーカー19は、メモリー12に保存された音声データに基づく音声を出力する。
【0044】
[3.サーバーの構成]
【0045】
図3は、本実施の形態に従うサーバー2の構成の一例を示す図である。
図3を参照して、サーバー2は、プロセッサー21と、メモリー22と、RAM23と、通信インターフェイス24と、出力インターフェイス25と、入力インターフェイス26と、外部機器インターフェイス27とを含む。
【0046】
プロセッサー21は、サーバー2を統括的に制御する。プロセッサー21は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせ等によって構成される。
【0047】
RAM23は、メモリー22からロードされたプログラム等を一時的に保存する。プロセッサー21は、RAM23に読み込まれたプログラムを実行する。
【0048】
メモリー22は、不揮発性メモリーであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリー等の記憶媒体である。一例として、メモリー22は、プロセッサー21によって実行されるプログラムを格納するが、当該プログラムは、プロセッサー21がアクセス可能な記憶装置であれば、メモリー22以外の記憶装置に格納されていてもよい。
【0049】
通信インターフェイス24は、有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して他の機器と接続される。通信インターフェイス24は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)モジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信インターフェイス24は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
【0050】
出力インターフェイス25は、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の任意の出力装置に接続され得る。ある局面において、出力インターフェイス25は、USB端子、D-sub端子、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子およびディスプレイポート端子等によって実現されてもよい。
【0051】
入力インターフェイス26は、キーボード、マウス、タッチパッドまたはゲームパッド等の任意の入力装置に接続され得る。ある局面において、入力インターフェイス26は、USB端子、PS/2端子およびBluetooth(登録商標)モジュール等によって実現されてもよい。
【0052】
外部機器インターフェイス27は、プリンター、スキャナーおよび外付けHDD等の任意の外部機器に接続され得る。ある局面において、外部機器インターフェイス27は、USB(Universal Serial Bus)端子等によって実現されてもよい。
【0053】
[4.ケアの種類]
【0054】
図4は、ケアの種類(業務の種類)の一例を示す図である。ケアの種類は、大分類である、居室内ケアと、居室外ケアと、間接業務とに大別される。大分類は、さらに小さな分類である、中分類を含む。中分類は、ケアの具体的な内容(食事、入浴等)を示す。中分類は、さらに小さな分類である小分類を含む。小分類は、中分類より細分化された、ケアの具体的な内容(配膳、おやつ、入浴準備、入浴介助等)を示す。
【0055】
居室内ケアは、居室内で入居者に対して行われたケアである。居室内ケアは、起床介助、就寝介助、おむつ交換等を含む。
【0056】
居室外ケアは、居室外(共用部)で入居者に対して行われたケアである。居室外ケアは、配膳、食事介助、服薬介助等を含む。
【0057】
間接業務は、入居者に対して直接行われるケアではないが、当該入居者に対して直接行われるケアを支える業務(事務作業、清掃、洗濯等)である。
【0058】
以下の例においては、スタッフは、居室内ケアおよび居室外ケアの両方の業務記録を、端末1において入力する。ただし、居室内ケアに関しては、居室に人の動きを検知するセンサー等を設置し、当該センサーの検知結果に基づいて業務内容を推定できるように構成してもよい。
【0059】
なお、本明細書において、「ケアの種類」と記載した場合、
図4の大分類、中分類、小分類の少なくとも1つであってもよいし、別の分類であってもよい。
【0060】
[5.業務記録の入力の例]
【0061】
図5~
図7は、業務記録の入力画面の一例を示す図である。
【0062】
まず、
図5を参照して、ケアの種類を入力する処理を説明する。スタッフは、入居者へのケアが終了すると、当該ケアの種類を端末1に入力する。
【0063】
一実施例において、端末1は、ディスプレイ15にケアの種類を選択する画面151を表示する。画面151は、ケアの種類を示すボタン51を含む。スタッフは、自身が行なったケアの種類を示すボタン51をタッチすることにより、ケアの種類を入力する。端末1は、スタッフがタッチした位置を感知して、スタッフがタッチしたケアの種類を判別する。端末1は、判別したケアの種類を記憶し、ケアを行なった入居者を選択する画面152(
図6)をディスプレイ15に表示する。
【0064】
次に、
図6の画面152を用いて、ケアを行なった入居者を入力する処理を説明する。スタッフは、画面152が表示されると、ケアを行なった入居者を端末1に入力する。
【0065】
一実施例において、画面152は、入居者の名前の一覧を含む。スタッフは、当該入居者の名前の一覧において、ケアの対象者の名前に対応するチェックボックスをタッチすることにより、チェックボックスにチェックマークをつけて、ケアを行なった入居者を選択する。画面152の例では、3人の入居者が選択されている。スタッフは入居者の選択が終了した場合、図示しない「次の入力に進む」ボタンをタッチする。そして、端末1は、チェックマークをつけられたチェックボックスに対応する入居者の名前を、スタッフが選択した入居者の名前として取得する。端末1は、チェックマークをつけられたチェックボックスの数を、スタッフが選択した入居者の人数として取得する。端末1は、取得した入居者の名前および人数を記憶し、ケアの開始時刻および終了時刻を入力する画面153をディスプレイ15に表示する。なお、一実施例において、画面152において、一度に複数人の入居者の名前が入力された場合、端末1は、1人のスタッフが複数人の入居者に対してケアを行なう「並行ケア」が行なわれた可能性があると判定し、後続の画面表示に反映する。
【0066】
次に、
図6の画面153~155を用いて、ケアの開始時刻および終了時刻を入力する処理を説明する。スタッフは、画面153~155が表示されると、ケアの開始時刻および終了時刻を端末1に入力する。
【0067】
一実施例において、ケアの開始時刻および終了時刻を入力する画面は、画面152で選択された入居者の数だけ表示される。
図6の例においては、画面152で選択した3人の入居者の各々に対応する、ケアの開始時刻および終了時刻を入力する画面153~155が表示されている。
【0068】
画面153~155の各々は、開始時刻と終了時刻とを入力するフォームを含む。スタッフは、当該フォームに、開始時刻と終了時刻とを入力する。ただし、終了時刻は、スタッフが業務記録を入力した時刻が自動的に入力されてもよい。当該業務記録を入力した時刻とは、たとえば、画面151においてケアの種類を入力した時刻である。
【0069】
端末1は、1人のスタッフが複数人の入居者に対して、同一の前記開始時刻と同一の前記終了時刻とで規定されるケアが入力された場合、並行ケアが実施されたと判定する。
【0070】
一実施例において、スタッフは、入居者の各々について、開始時刻と終了時刻とを入力するごとに送信ボタン53をタッチする。端末1は、送信ボタン53がタッチされたことを検知して、サーバー2に、業務記録を送信する。当該業務記録は、ケアの種類、ケアが行なわれた入居者の名前、および、ケアの開始時刻および終了時刻を含む。端末1は、業務記録と共に、ケアを行なったスタッフの名前をサーバー2に送信する。ケアを行なったスタッフの名前は、当該スタッフが入力してもよいし、端末1に登録されていてもよい。またスタッフの名前ではなく端末IDがサーバー2に送信され、サーバー2において端末IDに対応するスタッフの名前が判別されてもよい。一実施例において、端末1は、送信ボタン53がタッチされたことを検知して、ケアの開始時刻と終了時刻とを入力する入居者を切り替える。
【0071】
なお、業務記録の送信は、入居者ごとに行なわれなくてもよい。たとえば、送信ボタン53は、画面152で選択された全ての入居者に対するケアの開始時刻と終了時刻とが入力された後に、サーバー2に、当該全ての入居者の業務記録を一括して送信してもよい。
【0072】
端末1は、並行ケアが行なわれた可能性に基づいて、2人目以降の入居者については、1人目に入力した開始時刻および終了時刻と同じ開始時刻および終了時刻が入力された状態で画面154,155を表示してもよい(
図7参照)。換言すると、画面154,155においては、開始時刻と終了時刻との入力結果が、画面153から引き継がれる。さらに、端末1は、2人目以降の入居者については、開始時刻と終了時刻との入力画面を表示しないように構成してもよい。このような構成においては、端末1は、2人目以降の入居者に対するケアの開始時刻および終了時刻は、1人目の入居者に対するケアの開始時刻および終了時刻とそれぞれ同じ時刻が入力されたとみなす。
【0073】
なお、上記の例では、ケアに関する情報として、ケアの種類、入居者、開始時刻および終了時刻の順に入力されたが、ケアに関する情報の入力順は異なっていてもよい。たとえば、ケアの種類は、画面151ではなく、画面152において入居者が入力された後に、ボタン52を用いて選択されてもよい。この場合、スタッフが、ボタン52をタッチすると、端末1は、画面153を表示するように構成してもよい。
【0074】
関連して、ケアの種類、入居者、開始時刻および終了時刻の各々の入力は一度に行われず、複数回に分けて行なわれてもよい。たとえば、画面151にケアの種類の大分類に対応するボタン51が表示され、画面152においては画面151において選択された大分類に含まれる中分類または小分類が表示されるようにしてもよい。この場合、画面151ではケアの種類の大分類が選択され、画面152ではケアの種類の中分類または小分類が選択される。
【0075】
また、並行ケアが行なわれた場合も、並行ケアの対象である複数の入居者の一部について先に業務記録を入力して送信した後に、並行ケアの対象である残りの入居者について後で業務記録を入力して送信してもよい。このように構成すれば、たとえば、並行ケアの対象であった入居者の一部について業務記録を入力および送信し忘れた場合にも、当該入居者について後から業務記録を入力および送信することができる。
【0076】
[6.業務記録の集計表]
【0077】
【0078】
一実施例において、サーバー2は、端末1から受信した業務記録に従って、集計表を作成する。集計表は、たとえば、ケアを行なったスタッフ名、ケアの対象であった入居者、スタッフが行なったケアの種類、入居者ごとに行なったケアの開始時刻および終了時刻を含む。集計表は、さらに、たとえば、入居者ごとのケアにかかった第1時間、および、スタッフがケアを行なった第2時間を含む。集計表は、時間帯ごとに算出した第2時間を含んでもよい。
図8に例示した集計表は、「スタッフ」「入居者」「大分類」「中分類」「開始時刻」「終了時刻」「第1時間」「トランザクションID(以下、「T-ID」と示す)」「ケアごとの第2時間」「16時台」「17時台」を含む。
【0079】
項目「スタッフ」~項目「T-ID」に対応する列については、項目名が入力された第1行以外の各行には、入居者ごとに行なわれたケアごとの情報が値として入力されている。
【0080】
図8の例では、項目「スタッフ」の値として、端末1から受信した、ケアを行なったスタッフの名前である「X」が示される。
【0081】
項目「入居者」の値として、端末1から受信した、ケアの対象者であった入居者の名前である「A」「B」「C」が示される。
【0082】
続く項目「大分類」および「中分類」には、端末1から受信した、スタッフが行なった「ケアの種類」に基づいた値が示される。たとえば、項目「大分類」の値として、ケアの大分類である「居室外」が示される。項目「中分類」の値として、ケアの中分類である「食事」が示される。ケアの種類は、サーバー2が、ケアの種類ごとの第2時間を算出し、当該ケアの種類ごとの可視化情報(
図9のIM2,IM3)を作成するために用いられる。
【0083】
項目「開始時刻」の値として、端末1から受信した、ケアの開始時刻である「16時10分(
図8中では「16:10」と表記)」が示される。
【0084】
項目「終了時刻」の値として、端末1から受信した、ケアの終了時刻である「17時30分(
図8中では「17:30」と表記)」が示される。
【0085】
第1時間は、入居者ごとのケアにかかった時間である。ここで、第1時間を算出する処理を説明する。サーバー2は、ケアの終了時刻からケアの開始時刻を差分することにより第1時間を算出し、記憶する。
図8の例においては、項目「第1時間」の値として、16時10分から17時30分までの時間である「1時間20分(
図8中では「1:20」と表記)」が入力される。
【0086】
「T-ID」は、「並行ケア」に対応するケアの「識別子」の一実施例である。ここで、並行ケアを検出する処理を説明する。サーバー2は、1人のスタッフによる、複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアがあれば、当該ケアを並行ケアであると判定する。
図8においては、スタッフXによる、入居者A~Cに対しての、開始時刻16時10分と終了時刻17時30分とで規定されるケアが入力されている。したがって、サーバー2は当該ケアを並行ケアであると判定する。そして、サーバー2は、並行ケアに対応するケアにT-IDを付す。
図8においては、項目「T-ID」の値として、「ID1」が入力されている。
【0087】
なお、上記したように、並行ケアの対象である複数の入居者の一部について先に業務記録を受信した後に、並行ケアの対象である残りの入居者について業務記録を受信した場合、サーバー2は、後に業務記録を受信したケアについても、先に業務記録を受信したケアと同じT-IDを付す。具体的には、サーバー2は、業務記録を受信した時点に限らず、1人のスタッフによる、複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアがあれば、当該ケアを並行ケアであると判定する。
【0088】
項目「ケアごとの第2時間」~項目「17時台」に対応する列については、項目名が入力された第1行以外の各行には、第2時間に関する値が入力されている。
【0089】
第2時間は、スタッフがケアを行なった時間である。ここで、第2時間を算出する処理を説明する。
【0090】
T-IDが付されていないケアについては、サーバー2は、第1時間と同じ値を第2時間の値として取得する(図示せず)。したがって、並行ケアでないケアについては、第1時間の値と第2時間との値は同じである。当該「並行ケアでないケア」は、1人のスタッフが1人の入居者に対してマンツーマンで行なったケアを含む。
【0091】
一方、T-IDが付されたケアについては、サーバー2は、同一のT-IDが付されたケアのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得する。
図8の例では、T-IDとして「ID1」が付された3つのケアのうち、一番上の行のケアの第1時間のみが、第2時間として取得される。具体的には、入居者Aに対しての開始時刻16時10分と終了時刻17時30分とで規定されるケアについてのみ、値「1時間20分(
図8中では「1:20」と表記)」が、第2時間として取得され、記憶される。
【0092】
T-IDにより求められた第2時間を用いないシステムにおいては、第1時間の合計値が、スタッフがケアが行なった時間として算出されてしまう。たとえば、スタッフXが入居者A~Cに並行して行なった1時間20分のケアの時間が合算され、スタッフXがケアが行なった時間が4時間と算出されてしまう。換言すると、スタッフXが並行ケアを行なった時間が正確に算出できない。したがって、スタッフXの業務量が正しく算出できないおそれがある。
【0093】
しかし、本実施形態に係るシステム10においては、T-IDにより求められた第2時間を算出することにより、スタッフXがケアを行なった時間が1時間20分と正しく算出できる。つまり、スタッフXの業務量が正しく算出できる。以上のように、並行ケアを検出し、第2時間を算出することにより、スタッフが複数の入居者に対してケアを行なった場合であっても、スタッフがケアにかかった時間を正しく算出できる技術を提供できる。
【0094】
なお、サーバー2は、「同一のT-IDが付されたケアの第1時間を合算した値」を、「当該T-IDが付されたケアの数」で除算することにより、第2時間を算出してもよい。ただし、時間の計算を必要としないという点では、前述の「同一のT-IDが付されたケアのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得する処理」の方がシンプルである。
【0095】
項目「16時台」「17時台」は時間帯ごとに算出した第2時間の一例である。当該時間帯ごとに算出した第2時間は、所定の時間帯中に並行ケアが行なわれた時間を示す。具体的には、サーバー2は、ケアの開始時刻16時10分および終了時刻17時30分に基づいて、16時台に50分間(
図8中では「0:50」と表記)のケアが、17時台に30分間(
図8中では「0:30」と表記)のケアが行なわれたと判定し、その値を入力する。
【0096】
なお、上記の例では、「並行ケアを検出する処理」を、サーバー2が「複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアを並行ケアと判定する処理」により行なったが、これに限定されない。たとえば、スタッフが所定のケアが並行ケアであることを端末1に入力することにより、端末1またはサーバー2が並行ケアが行われたことを判定してもよい。しかし、サーバー2が「複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアを並行ケアと判定する処理」を自動で行なう方が、正確であり、手間もかからない。
【0097】
また、ユーザーが画面152において複数の入居者を選択した時点で並行ケアであると端末1が判定してもよい。もしくは、ユーザーが画面153~155において「複数人の入居者に対しての同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケア」が入力された時点で、端末1が当該ケアが並行ケアであると判定してもよい。
【0098】
同様にして、第1時間の算出、および、T-IDの付与についても、端末1において、ケアの開始時刻および終了時刻が入力された後の任意のタイミングで、行なわれてもよい。
【0099】
さらに、第2時間を算出する際には必ずしもT-IDを用いなくてもよい。たとえば、
図8の集計表において、同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアがあれば、当該ケアのうち1つのケアの第1時間のみを第2時間として取得してもよい。
【0100】
なお、
図8の表は、可視化情報の1つとして、コンピューター3において表示されてもよいし、内部情報として表示されなくてもよい。
【0101】
[7.業務量の表示画面]
【0102】
図9は、業務量の表示画面の一例を示す図である。一実施例において、画面300は、コンピューター3のディスプレイに表示される。画面300は、ユニット選択項目310と、期間指定項目320と、ユニット単位で集計された業務量の可視化情報IM2と、ユニット単位で集計された業務量の可視化情報IM2に関連するコメント340と、スタッフ単位で集計された業務量の可視化情報IM3と、スタッフ単位で集計された業務量の可視化情報IM3に関連するコメント370とを備える。
【0103】
ユニット選択項目310は、ユニットを選択するためのUI(User Interface)である。ある実施の形態に従うと、ユニット選択項目310は、プルダウン、テキストフィールドまたはその他の任意のUIである。ユーザーは、ユニット選択項目310により、ユニット(フロアまたは入居者のグループ等)を選択する。システム10は、選択されたユニットの可視化情報IM2を画面300に表示する。
【0104】
期間指定項目320は、期間を選択するためのUIである。ある実施の形態に従うと、期間指定項目320は、カレンダー、プルダウン、テキストフィールドまたはその他の任意のUIである。ユーザーは、期間指定項目320により、可視化される作業記録の期間を指定する。
【0105】
可視化情報IM2,IM3は、サーバー2によって算出された、ケアの種類ごとの第2時間の可視化情報である。一実施例として、
図9には、居室内ケア、居室外ケアおよび間接業務ごとの第2時間が可視化されている。可視化情報IM2は、ユニットごとの第2時間の集計の可視化情報である。可視化情報IM3は、スタッフごとの第2時間の集計の可視化情報である。以下に、可視化情報IM2,IM3についてより詳細に説明する。
【0106】
可視化情報IM2は、ユニット単位で集計された業務量の可視化情報である。より具体的には、可視化情報IM2は、ユニット選択項目310で選択されたユニットにおける、期間指定項目320で指定された期間内の業務量の可視化情報である。一例として、ユーザーは、入居者A,B,Cを含むユニットU1を選択したとする。この場合、可視化情報IM2は、ユニットU1に含まれる入居者A,B,Cに対して行われたケアの業務量を含む。
【0107】
コメント340は、可視化情報IM2に関連するコメントまたはレコメンドである。すなわち、コメント340は、ユニット単位で集計された業務量に対するコメントまたはレコメンドである。
【0108】
可視化情報IM3は、スタッフ毎の特定の時間の業務量の可視化情報である。ユーザーは、可視化情報IM2の一部分350を選択できる。一部分350が選択されると、システム10は、選択された一部分350の期間における、各スタッフの業務量の可視化情報IM3を画面300に表示する。
【0109】
コメント370は、可視化情報IM3に関連するコメントまたはレコメンドである。すなわち、コメント370は、スタッフ単位で集計された業務量に対するコメントまたはレコメンドである。
【0110】
以上のようにケアの種類ごとにかかった時間を算出し、表示することにより、ユーザーが、ケアの種類ごとにかかった時間を正確に把握し、必要に応じて業務を是正することが容易になる。たとえば、
図9の可視化情報IM2,IM3を参照すれば、居室内ケア、居室外ケア、および、間接業務の業務量を容易に把握することができる。これにより、居室内ケア、居室外ケア、および、間接業務量の適正化を計ることができる。たとえば、間接業務の時間が長い場合は、間接業務の方法を見直し、居室内ケアまたは居室外ケアの時間を増やすように試みることができる。また、たとえば、ケアの中分類ごとにかかった時間を算出し表示した結果、食事に時間がかかりすぎていた場合、食事を担当するスタッフの数を増やすことができる。
【0111】
また、ユニットごとの第2時間の集計を表示することにより、ユニットごとに業務を行なうためにどれだけの時間がかかったかを容易に理解できる。換言すると、ユニットごとに必要な業務を行なうためにどれだけの人員が必要であるかを容易に理解できる。
図9の可視化情報IM2では、所定のユニットにおいて、時間帯ごとに、ケアの種類ごとの第2時間が算出された結果が表示されている。可視化情報IM2を参照すれば、どのユニットに対して何時の時間帯にどの種類のケアを行なうのにどれだけの人員が必要であるかを把握することができる。このように、ユニットごと、時間帯ごとの人員の過不足の可視化情報を表示することにより、ユーザーは、当該可視化情報を、業務順序の是正、シフトの見直しに活用できる。たとえば、ユーザーは、所定のユニットにおいて、業務に余裕がある時間帯にスタッフを休憩させる、業務に余裕がない時間帯には業務に余裕がある他のユニットからスタッフを派遣してもらう等の措置をとることができる。コメント340は、ユーザーが可視化情報IM2のグラフを理解するための助けとなる。
【0112】
さらに、スタッフごとの、ケアの種類ごとの第2時間を表示することにより、どのスタッフがどの種類のケアに時間を割いているかが容易に理解できる。たとえば、居室内ケアおよび居室外ケアの合計時間が長いスタッフを容易に把握し、他のスタッフに業務を分散することを薦めることができる。また、たとえば、居室内ケアおよび居室外ケアの合計時間が比較的短く、間接業務時間が比較的長いスタッフに、間接業務を効率よく行なう指導を行なうことができる。コメント370は、ユーザーが可視化情報IM2のグラフを理解するための助けとなる。
【0113】
なお、可視化情報はIM2,IM3の例に限定されず、たとえば、入所者別の業務量を可視化してもよい。この場合、たとえば、対応時間が特に長い、または、短い特殊な入所者を見いだし、当該入居者に対するケアの見直しを行なうことができる。
【0114】
以上のように、システム10によれば、スタッフが並行ケアが行なわれた場合であっても、スタッフがケアにかかった時間を正しく算出できる。そして、
図9の例のように、その結果を集計することにより、施設の時間帯別業務量を可視化し、オペレーションや人員配置の最適化に活用することができる。これにより、業務負荷および残業を削減し、入居者への直接的なケアを行なう時間を増やすことが容易になる。
【0115】
[8.フローチャート]
【0116】
図10は、業務量の算出処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、一実施例において、サーバー2のプロセッサー21において実施される。
【0117】
S02において、プロセッサー21は、端末1から、ケアごとに、ケアを行なったスタッフの名前、ケアが行なわれた入居者の名前、ケアの種類、ケアの開始時刻、ケアの終了時刻を受信することにより、取得する。
【0118】
S04において、プロセッサー21は、開始時刻および終了時刻に基づいて、入居者ごとのケアにかかった第1時間を算出する。
【0119】
続くS06~S12において、プロセッサー21は、スタッフがケアを行なった第2時間を算出する。
【0120】
S06において、プロセッサー21は、スタッフが複数人の入居者に対してケアを行なう並行ケアを検出する。一実施例によれば、プロセッサー21は、1人のスタッフによる、複数人の入居者に対しての、同一の開始時刻と同一の終了時刻とで規定されるケアを並行ケアであると判定する。
【0121】
続くS08~S10において、プロセッサー21は、並行ケアについての第2時間を算出する。
【0122】
S08において、プロセッサー21は、並行ケアに対応するケアにT-IDを付す。
【0123】
S10において、プロセッサー21は、T-IDを付されたケアについては、そのうち1つのケアの第1時間のみを、第2時間として取得する。
【0124】
S12において、プロセッサー21は、並行ケア以外のケアについての第2時間を算出する。具体的には、プロセッサー21は、T-IDを付されなかったケアについては、第1時間をそのまま、第2時間として取得する。
【0125】
S14において、プロセッサー21は、ケアの種類ごとの第2時間の可視化情報を作成する。当該ケアの種類ごとの第2時間の可視化情報は、たとえば、スタッフごとに、ケアの種類ごとの第2時間を算出した、可視化情報IM3である。また、たとえば、ユニットごとの第2時間の集計の可視化情報である、可視化情報IM2である。
【0126】
S16において、プロセッサー21は、作成した可視化情報を表示する。作成した情報は、コンピューター3に送信され、コンピューター3において表示されてもよい。
【0127】
なお、上記において、端末1、サーバー-2およびコンピューター3の各々は独立した装置として記載したが、当該3つの装置のうち、少なくとも2つは同一の装置であってもよい。また、当該3つの装置の各々で行なうと記載した処理は、発明の効果を奏する範囲で、他の装置によって行なわれてもよい。たとえば、所定の端末1において、他の端末1から業務記録を受信し、第2時間を算出し、業務量の表示画面を表示してもよい。また、たとえば、サーバー2において集計された業務量の表示画面を、端末1において表示してもよい。
【0128】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0129】
1 端末、2 サーバー、3 コンピューター、10 システム、11,21 プロセッサー、12,22 メモリー、13,23 RAM、14,24 通信インターフェイス、15 ディスプレイ、16 入力デバイス、17 カメラ、18 マイク、19 スピーカー、25 出力インターフェイス、26 入力インターフェイス、27 外部機器インターフェイス、51,52 ボタン、53 送信ボタン、151,152,153,154,155,300 画面、310 ユニット選択項目、320 期間指定項目、340,370 コメント、IM1,IM2,IM3 可視化情報。