(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133906
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240926BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20240926BHJP
B65H 85/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J11/00 C
B41J11/00 B
B65H85/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043918
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】記村 和芳
(72)【発明者】
【氏名】山本 良一
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真一
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 豊明
(72)【発明者】
【氏名】矢野 博之
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F100
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EB03
2C056EB12
2C056EB30
2C056EC03
2C056EC12
2C056EC14
2C056EC29
2C056FA13
2C056FA14
2C056FD20
2C056HA46
2C058AB09
2C058AB17
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE08
3F100AA01
3F100CA12
3F100CA17
3F100EA02
3F100EA03
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、部品数の増加を抑え、表裏両面においての温度制御を十分に行うことのできる画像形成装置を提供することである。
【解決手段】供給装置、温調機構、及び再供給機構を備えた画像形成装置であって、前記温調機構は、前記供給装置から供給された記録媒体を温度調整しながら搬送する第1の部位と、前記再供給機構から供給された前記記録媒体を温度調整しながら搬送する第2の部位とを有し、前記第1の部位と前記第2の部位とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を担持しながら搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を温度調整しながら前記搬送部へ供給する温調機構と、
前記記録媒体を前記温調機構へ供給する供給装置と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を排出する排出装置と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を前記温調機構に供給する再供給機構と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を前記排出装置に搬送するか、前記再供給機構に搬送するかを切り替える手段と、を備えた画像形成装置であり、
前記温調機構が、前記供給装置から供給された前記記録媒体を搬送する第1の部位と、
前記再供給機構から供給された前記記録媒体を搬送する第2の部位を有し、
前記第1の部位と前記第2の部位とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記温度調整部が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方を加熱する手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで材質が相違する熱媒体を供給して加熱する手段である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで温度が相違する熱媒体を供給して加熱する手段である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する量の熱媒体を供給して加熱する手段である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加熱する手段が、輻射熱を供給して加熱する手段である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位に相違する強度の輻射熱を供給して加熱する手段である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位に輻射熱を供給する時間を相違させて加熱する手段である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記温度調整部が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方を冷却する手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方に冷媒を供給して冷却する手段である
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する温度の冷媒を供給して冷却する手段である
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する量の冷媒を供給して冷却する手段である
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記再供給機構が、前記記録媒体を第2の部位に直接受け渡す機構である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記温調機構が、前記記録媒体を担持して回転して前記搬送部に供給する温調供給胴を有し、前記第1の部位及び前記第2の部位は前記温調供給胴の部位である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙及び布帛等の種々の記録媒体に対して比較的簡易な構成により高精細な画像を形成するため、インクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)のノズルからインクを吐出する方式の装置(以下、本明細書において単に「画像形成装置」ともいう。)が広く普及している。
【0003】
高精細な画像の品質を担保するためには、不具合や故障を事前に防止することが必要であり、そのために画像形成装置における様々な備品についての温度制御が行われている。
【0004】
上記の備品としては、例えばインク、当該インクを収容するタンク、ヘッド、記録媒体等が挙げられるが、ヘッドのノズルから吐出されるインクの記録媒体への濡れ広がり、及び均一性を確保することが重要であるため、特に記録媒体についての温度制御が重要となってくる。
【0005】
例えばヘッドのノズルから吐出されたインクが、記録媒体に着弾し、画像が記録される場合に、当該記録媒体の温度が画像の使用目的に応じた最適な温度(以下、単に「目標温度」ともいう。)から乖離している場合は、インクドットの濡れ広がりが悪くなり、記録画像の品質が低下するおそれがある。
【0006】
特に、記録媒体の両面(表面及び裏面)に画像を形成する場合において、当該記録媒体の一方の面へのインク着弾時の温度制御だけでなく、もう一方の面の温度制御を十分に行う、すなわち表裏両面においての温度制御を十分に行う必要がある。
【0007】
例えば特許文献1では、記録媒体の両面に画像を形成する際に当該記録媒体の表面の温度調整用の胴と裏面の温度調整用の胴とをそれぞれ設け、表裏両面における温度制御を行っている。
【0008】
しかしながら、部品数の増加を抑える観点から、改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、部品数の増加を抑え、記録媒体の表裏両面においての温度制御を十分に行うことのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、記録媒体の表面の温度調整機構と裏面の温度調整機構とを共通の機構とし、当該共通の機構の中の温度調整する部位を表面の温度調整と裏面の温度調整する部位とを分けることによって上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0012】
1.記録媒体を担持しながら搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を温度調整しながら前記搬送部へ供給する温調機構と、
前記記録媒体を前記温調機構へ供給する供給装置と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を排出する排出装置と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を前記温調機構に供給する再供給機構と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を前記排出装置に搬送するか、前記再供給機構に搬送するかを切り替える手段と、を備えた画像形成装置であり、
前記温調機構が、前記供給装置から供給された前記記録媒体を搬送する第1の部位と、
前記再供給機構から供給された前記記録媒体を搬送する第2の部位を有し、
前記第1の部位と前記第2の部位とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【0013】
2.前記温度調整部が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方を加熱する手段を備えることを特徴とする第1項に記載の画像形成装置。
【0014】
3.前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで材質が相違する熱媒体を供給して加熱する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成装置。
【0015】
4.前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで温度が相違する熱媒体を供給して加熱する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成装置。
【0016】
5.前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する量の熱媒体を供給して加熱する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成装置。
【0017】
6.前記加熱する手段が、輻射熱を供給して加熱する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成装置。
【0018】
7.前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位に相違する強度の輻射熱を供給して加熱する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成装置。
【0019】
8.前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位に輻射熱を供給する時間を相違させて加熱する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成装置。
【0020】
9.前記温度調整部が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方を冷却する手段を備えることを特徴とする第1項に記載の画像形成装置。
【0021】
10.前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方に冷媒を供給して冷却する手段であることを特徴とする第9項に記載の画像形成装置。
【0022】
11.前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する温度の冷媒を供給して冷却する手段であることを特徴とする第9項に記載の画像形成装置。
【0023】
12.前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する量の冷媒を供給して冷却する手段であることを特徴とする第9項に記載の画像形成装置。
【0024】
13.前記再供給機構が、前記記録媒体を第2の部位に直接受け渡す機構であることを特徴とする第1項に記載の画像形成装置。
【0025】
14.前記温調機構が、前記記録媒体を担持して回転して前記搬送部に供給する温調供給胴を有し、前記第1の部位及び前記第2の部位は前記温調供給胴の部位であることを特徴とする第1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明の上記手段により、装置の肥大化を防止し、部品数の増加を抑え、ヒーター消費電力を抑制することのできる画像形成装置を提供することができる。
【0027】
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0028】
本発明の画像形成装置は、記録媒体を温度調整しながら搬送部へ供給する温調機構を備え、前記温調機構が、前記記録媒体を搬送する第1の部位と、前記再供給機構から供給された前記記録媒体を搬送する第2の部位を有し、前記第1の部位と前記第2の部位とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備える。
【0029】
なお、「温調機構」とは、温度を調整する機能を有する手段を含む構造又は仕組みをいう。
【0030】
前述のように、従来技術では、特に記録媒体の両面への画像記録時に当該記録媒体の温度を目標温度から乖離しないように様々な工夫がなされていた。
【0031】
そして、その工夫の一つとして、記録媒体の両面に画像を形成する際に当該記録媒体の表面の温度調整用の胴と裏面の温度調整用の胴とをそれぞれ設け、表裏両面における温度制御を行っていた。
【0032】
本発明においては、温調機構が有する第1の部位で記録媒体表面の温度調整をし、第2の部位で裏面の温度調整をすることによって、一つの温調機構に表裏両面の温度調整機能を担わせた。
【0033】
これにより温度調整に表面と裏面とで別々の胴を設ける必要がなくなり、部品数の増加を抑え、表裏両面においての温度制御を十分に行うことを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の画像形成装置の一例の概略構成を示す側面図
【
図3】表面印刷時に記録媒体が温調機構から搬送部に供給される様子を表す部分拡大図
【
図4】表面印刷時に記録媒体が温調機構から搬送部に供給される搬送経路を表す部分拡大図
【
図5】本発明に係る搬送部の一例である印刷胴の斜視図
【
図6】本発明に係る再供給機構から記録媒体が温調機構に供給される様子を表す部分拡大図
【
図7】本発明に係る再供給機構から記録媒体が温調機構に供給される搬送経路を表す部分拡大図
【
図8】本発明の画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図
【
図9】画像形成ジョブの実行時における処理の概要のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の画像形成装置は、記録媒体を担持しながら搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体を温度調整しながら前記搬送部へ供給する温調機構と、前記記録媒体を前記温調機構へ供給する供給装置と、前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を排出する排出装置と、前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を前記温調機構に供給する再供給機構と、前記搬送部から搬送され、前記画像形成部で画像が形成された前記記録媒体を前記排出装置に搬送するか、前記再供給機構に搬送するかを切り替える手段と、を備えた画像形成装置であり、前記温調機構が、前記供給装置から供給された前記記録媒体を搬送する第1の部位と、前記再供給機構から供給された前記記録媒体を搬送する第2の部位を有し、前記第1の部位と前記第2の部位とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備えることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態(態様)に共通する又は対応する技術的特徴である。
【0036】
本発明の実施態様としては、前記温度調整部が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方を加熱する手段を備えることが、前記温調供給胴の温度上昇の観点から好ましい。
【0037】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで材質が相違する熱媒体を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで温度上昇の程度を相違させることができる観点から好ましい。
【0038】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで温度が相違する熱媒体を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで前記記録媒体を相違する温度にて加熱することができる観点から好ましい。
【0039】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する量の熱媒体を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで前記記録媒体への熱効率を相違させることができる観点から好ましい。
【0040】
前記加熱する手段が、輻射熱を供給して加熱する手段であることが、前記温調供給胴の温度を効率的に上昇させる観点から好ましい。
【0041】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位に相違する強度の輻射熱を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで温度上昇の程度を相違させることができる観点から好ましい。
【0042】
前記加熱する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位に輻射熱を供給する時間を相違させて加熱する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで前記記録媒体の温度上昇時間を相違させることができる観点から好ましい。
【0043】
前記温度調整部が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方を冷却する手段を備えることが、前記第1の部位と前記第2の部位に温度差をつける観点から好ましい。
【0044】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方に冷媒を供給して冷却する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位に温度差をつける観点からより好ましい。
【0045】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する温度の冷媒を供給して冷却する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで前記記録媒体を相違する温度にて冷却することができる観点から好ましい。
【0046】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位とで相違する量の冷媒を供給して冷却する手段であることが、前記第1の部位と前記第2の部位とで前記記録媒体の冷却効率を相違させることができる観点から好ましい。
【0047】
前記再供給機構が、前記記録媒体を第2の部位に直接受け渡す機構であることが、温度ロスの抑制及び安定的な記録媒体の温度調整の観点から好ましい。
【0048】
前記温調機構が、前記記録媒体を担持して回転して前記搬送部に供給する温調供給胴を有し、前記第1の部位及び前記第2の部位は前記温調供給胴の部位であることが、部品の増加を抑える観点から好ましい。
【0049】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0050】
[ 画像形成装置 ]
図1は、本発明の画像形成装置の一例の概略構成を示す側面図である。
なお、本発明の画像形成装置は
図1の構成に限定されない。
【0051】
本発明の画像形成装置(100)は、
記録媒体(P)を担持しながら搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記記録媒体(P)に画像を形成する画像形成部(322)と、
前記記録媒体(P)を温度調整しながら前記搬送部へ供給する温調機構と、
前記記録媒体(P)を前記温調機構へ供給する供給装置(221、223、231、311、312)と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部(322)で画像が形成された前記記録媒体(P)を排出する排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部(322)で画像が形成された前記記録媒体(P)を前記温調機構に供給する再供給機構(331、332、333)と、
前記搬送部から搬送され、前記画像形成部(322)で画像が形成された前記記録媒体(P)を前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)に搬送するか、前記再供給機構(331、332、333)に搬送するかを切り替える手段と、を備えた画像形成装置(100)であり、
前記温調機構が、前記供給装置(221、223、231、311、312)から供給された前記記録媒体(P)を搬送する第1の部位(313a)と、
前記再供給機構(331、332、333)から供給された前記記録媒体(P)を搬送する第2の部位(313b)を有し、
前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備える
ことを特徴とする。
【0052】
以下の説明においては、まず本発明の主要な構成要素である温調機構を先に説明し、その他の部分についてはその後説明する。
【0053】
1.温調機構
本発明に係る温調機構は、例えば後述する温調供給胴(313)を備え、供給装置(221、223、231、311、312)から供給された記録媒体(P)を搬送部に搬送する。
【0054】
一具体例では、温調機構は、
図1のように、温調供給胴(313)であり得る。
【0055】
なお、上記温調機構が、
図2のように第1の部位(313a)と第2の部位(313b)とをベルト状にて有する構成であってもよい。
【0056】
図1に示すように、温調機構は、温調供給胴(313)のみの構成としてもよく、供給装置(221、223、231、311、312)から供給された記録媒体(P)を当該温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)によって温度調整しながら搬送し、搬送部へ供給する機構である。
【0057】
なお、上記の「搬送部」は、例えば
図1における印刷胴(321)であり得るが、本発明に係る搬送部は「胴」の形状に限定されない。
【0058】
または、後述する再供給機構(331、332、333)から供給された前記記録媒体(P)を温調機構が有する第2の部位(313b)で受け取り、温度調整しながら搬送し、搬送部へ供給する機構である。
【0059】
図3は、表面印刷時に記録媒体が温調機構から搬送部に供給される様子を表す部分拡大図である。
【0060】
また、
図4は、表面印刷時に記録媒体が温調機構から搬送部に供給される搬送経路を表す部分拡大図である。
【0061】
なお、
図3及び
図4においては、温調機構は、一例として温調供給胴のみを示してあるが、本発明はこれに限定されることはない。
【0062】
図3において、第2供給胴(312)にて担持された記録媒体(P)の先端は、温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)へ位置Aで受け渡される。
【0063】
その後、温調供給胴(313)はF1方向に回転し、次に記録媒体(P)の後端が、当該温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)へ位置Aで受け渡される。
【0064】
これによって、記録媒体(P)は温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)のみに担持される。
【0065】
温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)にて担持された記録媒体(P)は、当該温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)にて温度調整されながらF1方向に搬送される。
【0066】
温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)によって担持された記録媒体(P)の先端は、印刷胴(321)へ位置Cで受け渡され、その後当該記録媒体(P)の後端が、印刷胴(321)へ位置Cで受け渡される。
【0067】
図4中の矢印は、記録媒体(P)が供給装置から温調供給胴へ供給され、当該温調供給胴から搬送部へ供給される際の搬送経路の一部を表している。
【0068】
そして、表面印刷時においては、当該温調供給胴にて当該記録媒体(P)は第2の部位(313b)にて搬送されることはない。
【0069】
前記第1供給胴(311)及び前記第2供給胴(312)は、前記供給装置(221、223、231、311、312)の一部であり、前記記録媒体(P)を前記温調供給胴(313)へ搬送する役割を担っている。
【0070】
このとき、例えば前記第2供給胴(312)から前記温調供給胴が有する第1の部位(313a)へ記録媒体(P)が位置Aで受け渡され、温度調整されながら位置Cまで搬送される。
その後、位置Cにて前記印刷胴(321)へ前記記録媒体(P)が供給される。
【0071】
なお、前記位置Aは、前記供給装置から当該温調供給胴に前記記録媒体が直接受け渡される箇所である。
【0072】
また、前記位置Cは、前記温調供給胴から前記搬送部に前記記録媒体が直接受け渡され供給される箇所である。
【0073】
なお、上記供給装置(221、223、231、311、312)が、第1供給胴(311)及び第2供給胴(312)を備えなくてもよい。
【0074】
このとき、前記供給装置(221、223、231)から前記温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)へ記録媒体(P)が位置Aで直接受け渡される。
【0075】
本発明の実施態様としては、前記供給装置(221、223、231、311、312)が、胴を一つ以上備えることにより搬送経路の設計自由度が増す。
【0076】
また、本発明の画像形成装置(100)が備える各種機構及びその他の胴が、閉じた状態で前記記録媒体(P)の搬送方向前端部を保持する開閉可能な複数の爪装置(図示せず)を備え、前記記録媒体(P)が、画像形成部(322)により前記記録媒体(P)の一方の面にインクを塗布されてから、他方の面にインクが塗布されるまでの間、当該記録媒体(P)が、下記三つの搬送経路にて搬送される際に、搬送方向上流側の胴に備えられた爪装置が開くとともに当該搬送方向下流側の胴に備えられた爪装置が閉じることにより前記記録媒体(P)の搬送方向前端部が前記搬送方向上流側の胴から前記搬送方向下流側の胴に順次受け渡され、搬送されることが、当該記録媒体(P)の両面に画像を形成する時の位置合わせの精度を向上させる観点から好ましい。
【0077】
搬送経路(1) 搬送部から再供給機構へと記録媒体を搬送する経路
搬送経路(2) 再供給機構から温調機構へと記録媒体を供給する経路
搬送経路(3) 温調機構から搬送部へと記録媒体を供給する経路
【0078】
(1.1)温調供給胴
本発明において、温調機構に含まれる「温調供給胴」とは、円柱面状の外周曲面(以下、「円柱面状の外周曲面」を、単に「外周面」ともいう。)に沿って記録媒体(P)を担持しながら温度調整して搬送し、搬送部へ供給する機能を有する胴である。
【0079】
なお、上記の「円柱面状」には、楕円状のものも含むものとする。
【0080】
また、前記温調供給胴(313)は、前記供給装置(221、223、231、311、312)から当該温調供給胴(313)へ供給された前記記録媒体(P)を温度調整しながら搬送する第1の部位(313a)と、前記再供給機構(331、332、333)から供給された前記記録媒体(P)を温度調整しながら搬送する第2の部位(313b)を有し、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とを異なる温度に調整可能な温度調整部をさらに備える。
【0081】
本発明に係る温調供給胴(313)には、例えば
図3及び
図4のように温度調整部材として第1の部位(313a)と第2の部位(313b)が設けられる。
【0082】
前記第1の部位(313a)は、温調機構において、記録媒体(P)を温度調整しながら搬送し、搬送部へ供給する温調供給胴(313)が有する部位である。
【0083】
なお、前記第2の部位は、後述する再供給機構(331、332、333)から前記温調機構へと供給された前記記録媒体(P)を温度調整しながら搬送する部位である。
【0084】
前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)には、例えば冷水や温水などの流体を流通させるための穴(313ah、313bh)が複数設けられている。
なお、本発明に係る温調供給胴(313)の構成はこれに限定されることはない。
【0085】
(1.1.1)温度調整部
本発明に係る「温度調整部」とは、制御部(40)を含む画像形成装置全体の一部に設けられる温度調整部材等のことをいう。
【0086】
なお、上記の温度調整部には、例えば温調供給胴を直接輻射熱で加熱する赤外線ヒーターのように、構造上温調供給胴の表面に位置するものを含む。
【0087】
また、例えば画像形成装置の外側に外部加熱装置を置いて、当該外部加熱装置からホース等により温調供給胴へ熱媒体等を用いて熱を伝えるといった方法による手段も「画像形成装置全体の一部に設けられる温度調整部材等」に含まれるものとする。
【0088】
そして、これにより前記温調供給胴(313)及び搬送部等の温度調整が行われる。
【0089】
なお、制御部(40)の詳細については後述し、以下、温調供給胴近傍の温度調整部について説明する。
【0090】
(加熱手段)
インクを記録媒体(P)に塗布し、画像を形成する際には、記録媒体(P)ごとに決められた所定の温度がある。
【0091】
これを担保するため、例えば供給装置(221、223、231、311、312)から供給されてきた室温レベルの記録媒体(P)を温調供給胴(313)が有する第1の部位(313a)で所定の温度近傍まで加熱し、搬送路である印刷胴(321)へ供給する。
【0092】
このとき、特に記録媒体(P)として厚紙が用いられた場合等は、第1の部位(313a)に接する当該記録媒体(P)の表面の熱が裏面へと移動する。
【0093】
上記のような熱移動もふまえて前記温調供給胴(313)は加熱条件を決定する。
【0094】
なお、搬送路である印刷胴(321)では、裏面に移動した熱がそれ以上低下しないように保温する必要があるため、搬送路である印刷胴(321)表面は外周を加熱するヒーター(以下、このようなヒーターを単に「ヒーターH2」とも称する。)で温度調整する。
【0095】
本発明の実施態様としては、前記温度調整部が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)の少なくとも一方を加熱する手段を備えることが、前記温調機構の温度上昇の観点から好ましい。
【0096】
前記加熱する手段が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで材質が相違する熱媒体を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで温度上昇の程度を相違させることができる観点から好ましい。
【0097】
なお、上記にいう熱媒体の「材質」とは、当該熱媒体の物質(素材)の種類(例えば水、油、空気等)、その組成、状態(例えば固体、液体、気体)等を含む概念である。
【0098】
前記加熱する手段が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで温度が相違する熱媒体を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで前記記録媒体(P)を相違する温度にて加熱することができる観点から好ましい。
【0099】
前記加熱する手段が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで相違する量の熱媒体を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで前記記録媒体(P)への熱効率を相違させることができる観点から好ましい。
【0100】
(伝熱方法)
温調供給胴への伝熱方法としては、直接温調供給胴に触れて伝える伝導による方法、風や空気等を介して伝える対流による方法、赤外線で伝える輻射による方法等が挙げられる。
【0101】
伝導による方法としては、例えば温度調整デバイスを内蔵した、すなわちシート状の素子が内蔵されたペルチェローラー又はベルト等を設ける方法等が挙げられる。
【0102】
上記のような温度調整デバイスは、シート状の素子に印加される電圧の極性(+と-)を切り替え、冷却動作と加熱動作との切り替えを行うことができ、好適である。
【0103】
また、例えば
図3及び
図4の温調供給胴(313)に設けられている前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)に設けられている穴(313ah、313bh)に温度調整を行うための温水などの流体を流通させて、通過する記録媒体(P)に、かかる流体の温度を熱伝導させる方式のものであってもよい。
【0104】
対流による方法としては、例えば送風ファンで熱風を当てる方法等が挙げられる。
【0105】
輻射による方法としては、例えば非接触型のヒーター(ハロゲンランプ等)によって赤外線照射を行う方法等が挙げられる。
【0106】
なお、
図1では、温調供給胴(313)近傍に設置される温度調整部材として非接触型のヒーターが用いられている例が示されているが、本発明はこれに限定されない(以下、「温調供給胴の近傍に設置される非接触型のヒーター」を単に「ヒーターH1」と称する。)。
【0107】
ヒーターH1は、制御部(40)の制御により稼働し、温調供給胴(313)を加熱(プレヒート)するための熱を放射することにより、温調供給胴(313)、ひいては記録媒体(P)を所定温度に加熱する。
【0108】
ここで、温調供給胴(313)の回転方向(F
1方向、時計回り方向)に、位置Cから位置Aまでの外周面に沿った部分(
図1参照。)は、記録媒体(P)が通過することがなく、当該部分を加熱するようにヒーターH1を設置すると、温調供給胴(313)にヒーターH1から発生した熱を直接放射することができる。
【0109】
前記加熱する手段が、輻射熱を供給して加熱する手段であることが、前記温調供給胴(313)の温度を効率的に上昇させる観点から好ましい。
【0110】
前記加熱する手段が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)に相違する強度の輻射熱を供給して加熱する手段であることが、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで温度上昇の程度を相違させることができる観点から好ましい。
【0111】
前記加熱する手段が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)に輻射熱を供給する時間を相違させて加熱する手段であることが、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)とで前記記録媒体(P)の温度上昇時間を相違させることができる観点から好ましい。
【0112】
(冷却手段)
前記温度調整部が、前記第1の部位(313a)と前記第2の部位(313b)の少なくとも一方を冷却する手段を備えることが、前記温調供給胴(313)の前記第1の部位と前記第2の部位に温度差をつける観点から好ましい。
【0113】
前記冷却する手段が、前記第1の部位と前記第2の部位の少なくとも一方に冷媒を供給して冷却する手段であることが、前記温調供給胴(313)の前記第1の部位と前記第2の部位に温度差をつける観点からより好ましい。
【0114】
(冷却方法)
温調供給胴(313)の冷却方法としては、直接温調供給胴(313)に触れて冷却する方法、風や空気等を介して冷却する方法等がある。
【0115】
直接温調供給胴(313)に触れて冷却する方法としては、例えば温度調整デバイスを内蔵した、すなわちシート状の素子が内蔵されたペルチェローラー又はベルト等を設ける方法等が挙げられる。
【0116】
上記のような温度調整デバイスは、シート状の素子に印加される電圧の極性(+と-)を切り替え、冷却動作と加熱動作との切り替えを行うことができ、好適である。
【0117】
また、例えば前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)に設けられている穴(313ah、313bh)に温度調整を行うための冷水などの流体を流通させて、通過する記録媒体(P)の温度を下げる方式のものであってもよい。
【0118】
風や空気等を介して冷却する方法としては、例えば送風ファンで冷風を当てる方法等が挙げられる。
【0119】
前記冷却する手段が、前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)とで相違する温度の冷媒を供給して冷却する手段であることが、前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)とで前記記録媒体(P)を相違する温度にて冷却することができる観点から好ましい。
【0120】
前記冷却する手段が、前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)とで相違する量の冷媒を供給して冷却する手段であることが、前記第1の部位(313a)及び前記第2の部位(313b)とで前記記録媒体(P)の冷却効率を相違させることができる観点から好ましい。
【0121】
(1.1.2)周長
本発明の実施形態としては、前記温調供給胴(313)の周長が、枚葉の前記記録媒体(P)の搬送方向最大長の二倍以上であることにより、前記記録媒体(P)が前記温調供給胴(313)に接触する長さが増え、温度調整する時間を十分確保することができ、安定的な温度調整ができる観点から好ましい。
【0122】
なお、「枚葉の記録媒体の搬送方向最大長」とは、一枚ずつにカット(切断)された記録媒体の一枚の搬送方向の最大長さをいう。
【0123】
(1.1.3)熱伝導率
記録媒体(P)への伝熱効果を高め、記録媒体(P)から再供給機構(331、332、333)への放熱を抑制する観点から、前記温調供給胴(313)に記録媒体(P)が接触する部位に用いられる材料は熱伝導率に優れている方が好ましく、前記再供給機構(331、332、333)が備える胴(331、332)に前記記録媒体(P)が接触する部位に用いられる材料の熱伝導率は前記温調供給胴(313)に記録媒体(P)が接触する部位に用いられる材料の熱伝導率よりも小さいことが好ましい。
【0124】
上記の例としては、例えば前記温調供給胴(313)に記録媒体(P)が接触する部位に用いられる材料がアルミニウム(熱伝導率 236[W/m・K])であり、前記再供給機構が備える胴(331、332)に前記記録媒体(P)が接触する部位に用いられる材料が鉄(熱伝導率 83.5[W/m・K])である場合が挙げられ、この場合、当該再供給機構(331、332、333)に当該記録媒体(P)の温度(熱エネルギー)が奪われることを抑制できる。
【0125】
(1.2)温度センサー
ヒーターH1の近傍であって、温調供給胴(313)の回転方向(F1方向、時計回り方向)に位置Cから位置Aまでの外周面に沿った部分に対向する位置には温度センサーが設置され(以下、このような温度センサーを「温度センサー(m1)」と称する。 図示せず)、当該温度センサー(m1)により、温調供給胴(313)の温度を直接検知し、制御部(40)に出力する。
【0126】
なお、上記の温度センサー(m1)が温調供給胴(313)の温度を直接検知できるのは、温調供給胴(313)の回転方向(F1方向、時計回り方向)に位置Cから位置Aまでの外周面に沿った部分は記録媒体(P)が通過することがないためである。
【0127】
上記の温度センサー(m1)の温度検出素子としては、熱電対やサーミスタなどの接触型のものを使用してもよいが、サーモパイルのような非接触型のものがより好ましい。
【0128】
制御部(40)は、温度センサー(m1)による検知温度に基づいて、温調供給胴(313)の外周面が所定の温度となるように、ヒーターH1やその他の温度調整部材の加熱動作又は冷却動作を制御する。
【0129】
(1.3)記録媒体の受け渡し
温調供給胴(313)には、閉じた状態で記録媒体(P)の搬送方向前端部を保持する開閉可能な爪部(313c 図示せず)が備えられており、これにより当該記録媒体(P)の受け渡しが行われ、当該爪部(313c)を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体(P)の受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
【0130】
温調供給胴(313)に関わる記録媒体(P)の受け渡し位置は、以下の三箇所である(
図1、
図3及び
図4参照。)。
【0131】
(位置A)
前記供給装置から当該温調供給胴に前記記録媒体が直接受け渡される箇所。
【0132】
(位置B)
再供給機構から温調機構に記録媒体が受け渡され、搬送される際に、当該再供給機構が備える胴(例えば後述する第2反転胴)から当該温調機構に当該記録媒体が直接受け渡される箇所。
【0133】
(位置C)
温調供給胴から搬送部に記録媒体が直接受け渡され供給される箇所である。
【0134】
前述のカム機構は、記録媒体(P)が第2供給胴(312)から温調供給胴(313)に受け渡される際や、再供給機構(331、332、333)が備える第2反転胴(332)から当該温調供給胴(313)に受け渡される際には、当該温調供給胴(313)の開いていた爪部の爪を閉じて記録媒体(P)を第2供給胴(312)又は再供給機構(331、332、333)が備える第2反転胴(332)から受け取る動作を行わせる。
【0135】
また、記録媒体(P)が温調供給胴(313)から印刷胴(321)に供給され受け渡される際には、閉じていた爪部(313c)の爪を開いて記録媒体(P)を受け渡す動作を行わせる。
【0136】
このとき、例えば第2反転胴(332)の直径を1、温調供給胴(313)の直径を2、印刷胴(321)の直径を3としたとき、第2反転胴(332)には爪部(332a 図示せず)が一つ、温調供給胴(313)には爪部(313c)が180°ごとに二つ、印刷胴(321)には爪部(321a 図示せず)が120°ごとに三つ設けられており、印刷胴(321)が
図1の反時計回り方向(F
2方向)に120°回転すると、第2反転胴(332)が同方向に一回転、温調供給胴(313)が時計回り方向(F
1方向)に180°回転を行い、各胴の爪部が対向する位置で開閉して記録媒体(P)が受け渡されるように連動が図られている。
【0137】
なお、本明細書において、再供給機構(331、332、333)が二つの胴を備える場合、温調機構に記録媒体(P)を供給し受け渡す胴であり、搬送部から当該記録媒体(P)を受け取らない胴を「第2反転胴」と称する。
【0138】
2.印刷胴
本発明に係る「搬送部」は、例えば
図1、
図3~
図7における印刷胴であり得る。
【0139】
本明細書において「印刷胴」とは、その外周面上で記録媒体(P)を担持しながら温度調整して搬送する機能を有し、搬送経路を切り替えることによって当該記録媒体(P)を前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)又は前記再供給機構(331、332、333)へと搬送し、前記温調機構から供給された記録媒体(P)を受け取る機能を有する胴のことをいう。
【0140】
図5は、本発明に係る搬送部の一例である印刷胴の斜視図である。
【0141】
印刷胴(321)には、その外周面上で記録媒体(P)を担持するための爪部(321a)及び吸気部(321s)が備えられている。
【0142】
本実施例では、印刷胴(321)、温調供給胴(313)、第1排出胴(411)及び第1反転胴(331)の直径は3:2:2:2であり、印刷胴(321)には、外周面三箇所に爪部(321a)が等間隔で配置されている。
【0143】
なお、再供給機構(331、332、333)が二つの胴を備える場合、印刷胴(321)から記録媒体(P)を受け取る機能を有する胴を「第1反転胴」と称する。
【0144】
また、温調供給胴(313)、第1排出胴(411)、第1反転胴(331)は、それぞれの外周面二箇所に爪部(313c、411a、331a 図示せず)が等間隔で配置されている。
【0145】
印刷胴の爪部(321a)は印刷胴(321)の回転に連動し、温調供給胴(313)、第1排出胴(411)、第1反転胴(331)にそれぞれ対向する位置で爪が開閉するよう図示しないカム機構により作動する。
【0146】
具体的には、例えば爪部(321a)は、温調供給胴(313)から記録媒体(P)の一端が受け渡されるタイミングで閉状態となることで、記録媒体(P)の一端を保持する。
【0147】
また、爪部(321a)は、第1排出胴(411)や第1反転胴(331)に記録媒体(P)の一端を受け渡すタイミングで開状態となることで、第1排出胴(411)の爪部(411a 図示せず)や第1反転胴(331)の爪部(331a 図示せず)に記録媒体(P)の一端を受け渡す。
【0148】
また、印刷胴(321)は、その外周面を三等分した三つの記録媒体(P)の保持領域を有しており、印刷胴(321)は、最大で三枚の記録媒体(P)を保持することが可能となっている。
【0149】
上記印刷胴(321)には、胴回転モーター(図示せず。)が連結され、制御部(40)の制御の下、当該胴回転モーターを駆動して記録媒体(P)を印刷胴(321)の外周面上に保持した状態で、
図1の紙面に垂直な方向に延びた回転軸の回りで胴回転モーターの回転量に比例した角度だけ搬送方向(
図1における反時計回り方向、F
2方向)に回転させ、当該記録媒体(P)を搬送する。
【0150】
なお、印刷胴(321)及び胴回転モーターは、記録媒体(P)をヘッド(322a、322b、322c、322d)のノズル面に対向させて搬送する役割を担っている。
【0151】
(2.1)温度調整部材
印刷胴(321)近傍には、当該印刷胴(321)以外の温度調整部材を設置してもよく、前記温調供給胴(313)と同様のものを用いることができる。
【0152】
なお、
図1においては、印刷胴(321)近傍に設置される温度調整部材として非接触型のヒーターが用いられている例が示されているが、本発明はこれに限定されない。
【0153】
また、
図1においては、印刷胴(321)の回転方向(記録媒体の搬送方向、F
2方向)に位置Eから位置Cまでの外周面に沿った部分に対向する位置に設置されるヒーターを、単に「ヒーターH2」と称する。
【0154】
ここで位置Eは、前記印刷胴から再供給機構が備える前記第1反転胴に前記記録媒体が直接受け渡される箇所である。
【0155】
図1の印刷胴(321)の回転方向(記録媒体の搬送方向、F
2方向)に位置Eから位置Cまでの外周面に沿った部分(
図1参照。)は、記録媒体(P)が通過することがないため、この部分を直接加熱できるようにヒーターH2を設置することが、記録媒体(P)を介さずに効率的に当該印刷胴(321)に熱を放射し、温度調整できるため好ましい。
【0156】
ヒーターH2は、制御部(40)の制御により稼働し、印刷胴(321)を加熱(プレヒート)するための熱を放射することにより、記録媒体(P)の裏面への画像形成プロセスに先立って印刷胴(321)、ひいては記録媒体(P)を所定温度に加熱する。
【0157】
よって、記録媒体(P)を介しない分、より効率的に印刷胴(321)を加熱することができるため、ヒーター消費電力を抑制する観点から好ましい。
【0158】
(2.2)温度センサー
ヒーターH2の近傍であって、印刷胴(321)の回転方向(記録媒体の搬送方向、F2方向、反時計回り方向)に位置Eから位置Cまでの外周面に沿った部分に対向する位置には温度センサーが設置され(以下、このような温度センサーを「温度センサー(m2)」と称する。図示せず)、当該印刷胴(321)の温度を直接検知し、制御部(40)に出力する。
【0159】
なお、上記の温度センサー(m2)が印刷胴(321)の温度を直接検知できるのは、印刷胴(321)の回転方向(F2方向、反時計回り方向)に位置Eから位置Cまでの外周面に沿った部分は記録媒体(P)が通過することがないためである。
【0160】
上記の温度センサー(m2)の温度検出素子としては、前述の温度センサー(m1)と同様のものを用いることができる。
【0161】
制御部(40)は、温度センサー(m2)による検知温度に基づいて、印刷胴(321)の外周面が所定の温度となるよう温度調整部材の加熱動作又は冷却動作を制御する。
【0162】
画像形成部の上流側近傍、かつ、位置Cの下流側には温度センサーが設置され(以下、このような温度センサーを「温度センサー(m3)」と称する。図示せず)、記録媒体(P)の温度を検知し、制御部(40)に出力する。
【0163】
上記の温度センサー(m3)の温度検出素子としては、前述の温度センサー(m1)と同様のものを用いることができる。
【0164】
なお、温度センサー(m3)は、記録媒体(P)が通過していないときには印刷胴(321)の温度を検知することもできる。
【0165】
(2.3)吸気部
吸気部(321s)は、
図5に示すように、爪部(321a)によって一端部が担持された記録媒体(P)が沿う印刷胴(321)の外周面上に設けられた複数の吸気孔と、当該吸気孔を介して印刷胴(321)内に気体を吸引するように吸引力を生じさせる吸引力発生部(図示せず)を備える。
【0166】
上記吸引力発生部に用いられる部材としては、例えばブロアー、ファン等が挙げられる。
【0167】
すなわち、吸気部(321s)は、吸気孔からの吸気により生じる吸引力により、記録媒体(P)を印刷胴(321)の外周面に沿わせるように吸い寄せる。
【0168】
なお、一具体例として、印刷胴(321)は、三つの記録媒体(P)の保持領域に対応して、胴の中空内部が三つに区画されており、各保持領域の吸気部(321s)毎に個別に選択して吸引力を付与することを可能とする吸気回路(図示せず)を備えている。
【0169】
これにより、記録媒体(P)を保持していない保持領域に対しては吸引力を付与しないように操作することができ、内部を区画しない場合のように、記録媒体(P)を保持していない保持領域における吸気部(321s)による吸引力低下を防止することが可能となっている。
【0170】
なお、
図5では、記録媒体(P)の一部が印刷胴(321)の外周面からめくれ上がっているが、これは吸気孔を図示することを目的としたものであり、画像形成部(322)による画像記録時には記録媒体(P)の全体が印刷胴(321)の外周面上に沿うよう担持される。
【0171】
(2.4)記録媒体の受け渡し
印刷胴(321)には、閉じた状態で記録媒体(P)の搬送方向前端部を保持する開閉可能な爪部(321a)が備えられており(
図5参照。)、当該記録媒体(P)の三つの保持領域の境界位置、すなわち、印刷胴(321)の回転軸を中心として120°間隔で設けられ、これら三つの爪部(321a)は、いずれも、印刷胴(321)の外周面において当該印刷胴の回転軸方向(
図5のX方向)に沿って一列に並んで設けられた複数の爪から構成されている。
【0172】
また、これらにより当該記録媒体(P)の受け渡しが行われ、爪部(321a)を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体(P)の受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
【0173】
なお、印刷胴(321)に関わる記録媒体(P)の受け渡し位置は、位置C、位置D及び位置Eの三箇所である(
図1参照。)。
【0174】
なお、位置Eは、印刷胴(321)から、再供給機構(331、332、333)が備える胴に記録媒体(P)が直接受け渡される箇所である。
【0175】
前述のカム機構は、記録媒体(P)を印刷胴(321)から排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)が備える第1排出胴(411)に受け渡す際や、当該印刷胴(321)から再供給機構(331、332、333)が備える第1反転胴(331)に受け渡す際には、当該印刷胴(321)の閉じていた爪部(321a)の爪を開いて記録媒体(P)を第1排出胴(411)、又は第1反転胴(331)に受け渡す動作を行わせる。
【0176】
また、記録媒体(P)が温調供給胴(313)から印刷胴(321)に受け渡される際には、当該印刷胴(321)の開いていた爪部(321a)の爪を閉じて記録媒体(P)を温調供給胴(313)から受け取る動作を行わせる。
【0177】
このとき、例えば第1排出胴(411)と温調供給胴(313)の直径を2、印刷胴(321)の直径を3としたとき、印刷胴(321)が
図1の反時計回り方向(F
2方向)に120°回転すると、第1排出胴(411)と温調供給胴(313)が時計回り方向(F
1方向)に180°回転を行うように連動が図られている。
【0178】
3.画像形成部
本発明において、「画像形成部」とは、前記記録媒体(P)の一方の面にインクを塗布し画像を形成する箇所をいい、互いに異なる色のインクを吐出する複数のヘッドと、これらヘッドを駆動するヘッド駆動部(30)と、を備えるインクジェット記録部(ヘッドどうしの間隔を含めた各ヘッドをまとめた部分)を含む。
【0179】
図1において、ヘッド(322a、322b、322c、322d)は、記録媒体(P)が保持された印刷胴(321)の回転に応じた適切なタイミングで、印刷胴(321)の搬送面に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から記録媒体(P)に対してインクを吐出して当該記録媒体(P)にインクを塗布し、画像を形成する。
【0180】
(インクジェットヘッド)
ヘッド(322a、322b、322c、322d)は、例えば
図1においては、そのインク吐出面と印刷胴(321)の搬送面との間が所定の距離だけ離隔されるように配置され、当該印刷胴(321)上で搬送される記録媒体(P)にインクを個別に吐出する複数のノズルが記録媒体(P)の搬送方向に直交するように設けられている。
【0181】
ヘッドには、インクを貯留し、各ヘッドにインクを供給するインクタンク(図示せず)が設けられており、また、吐出前のインクを加熱する手段としてインクヒーター等(図示せず)が備えられていてもよく、これにより吐出前のインクの温度の適正化を図ることが可能となり、適正な粘度でインクの吐出を行うことができ、さらに、品質が安定した画像記録を行うことができる。
【0182】
インクタンクから各ヘッド(322a、322b、322c、322d)に至るインク経路には、供給圧力の調節機構が設けられ、各ヘッド(322a、322b、322c、322d)のノズルからインクがこぼれ出ないように、大気圧よりも若干低い圧力に供給圧力が調整されている。
【0183】
また、各ヘッド(322a、322b、322c、322d)を駆動させるヘッド駆動部(30)が備えられており、制御部(40)の制御に基づいて各々のヘッドに対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給することにより、対応する各ヘッド(322a、322b、322c、322d)のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0184】
図1に示す例では、搬送方向の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクにそれぞれ対応する4つのヘッド(322a、322b、322c、322d)が、記録媒体(P)の搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0185】
図示しないが、一具体例では、各々のヘッド(322a、322b、322c、322d)には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。
【0186】
この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0187】
(インク)
インクに特に制限はないが、前記インクが、活性線硬化型インクであり、前記搬送部における前記画像形成部(322)の前記記録媒体(P)の搬送方向下流にインク硬化・乾燥装置(323)を備えることが、活性線の照射によりインクを短時間で硬化できる観点から好ましい。
【0188】
前記活性線硬化型インクは、その硬化特性が温度の影響を受けやすい場合が多いため、当該インクの使用時に搬送部の温度調整が適正化されることで、より良好で、かつ、品質が安定した画像形成を行うことが可能となる。
【0189】
活性線硬化型インクとしては、例えば紫外線の照射により硬化する性質のものであり得る。
【0190】
なお、上記の紫外線に限らず、赤外線、電子線及び他のエネルギー線等、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線に応じて置換される。
【0191】
また、上記活性線硬化型インクは、必要に応じて、ゲル化剤、重合開始剤、重合禁止剤、染料及び顔料などの色材、顔料を分散させるための分散剤、顔料を基材に定着させるための定着樹脂、界面活性剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤などを含有してもよい。
【0192】
上記その他の成分は、上記組成物中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
【0193】
また、前記インクが、相変化するインクであり、当該相変化が前記記録媒体(P)にインクが記録される前後で起こることが、良好、かつ品質が安定した画像形成を行う観点から好ましい。
【0194】
インクが温度により相変化する特性を有する場合には、前記搬送部の温度調整の適正化が図られることで、当該インクの粘度を制御し、インクジェットヘッド(322a、322b、322c、322d)の各ノズルから吐出されたインク滴どうしの混合を防止し、より良好で、かつ品質が安定した画像形成を行うことが可能となる。
【0195】
上記のインク以外を画像形成に用いる場合、例えばインクの温度により相変化する特性を有していないインクやエネルギー線を照射することにより硬化する特性を有していないインク、又はこれら双方の特性を有していないインクで画像形成を行う場合でも、適正な温度での画像形成が要求されるインクを用いる限りは、温調供給胴(313)、印刷胴(321)及びその他温度調整部材による温度制御は有意義である。
【0196】
なお、(以下、「温調供給胴、印刷胴、各ヒーター、第1の部位(313a)と第2の部位(313b)及びその他温度調整部材」をまとめて、単に「温調部材等」とも称する。)
【0197】
インクが、色材を含有する固形成分及び溶媒成分を含む場合には、前記インク硬化・乾燥装置(323)は、前記溶媒成分を蒸発させる乾燥装置としてもよい。
【0198】
乾燥装置としては、例えば赤外線ヒーターや熱風送風機のような非接触型の乾燥装置等が挙げられる。
【0199】
インクの色材としては、顔料と染料のいずれを用いてもよいが、耐候性が高い画像を形成する観点からは、色材は顔料であることが好ましい。
【0200】
また、従来公知ものを特に制限なく使用でき、例えば不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び酸化チタン等の無機顔料を好ましく用いることができる。
【0201】
インクを吐出する画像形成では、インクの粘度の適正化や画像形成後の乾燥定着を実現するため、当該インクに対する適正な温度管理が求められる場合が多い。
【0202】
吐出前のインクの温度の適正化を図るのであれば、ヘッド側でインクを加熱して適正温度を維持すればよいが、吐出後のインク、すなわち記録媒体(P)に吐出されたインク滴の温度について適正化を図るには、当該インクが着弾する記録媒体(P)の温度管理が重要であり、それには、当該記録媒体(P)又はそれに接する印刷胴(321)を加熱して適正温度を維持することが要求される。
【0203】
印刷胴(321)上で、特に厚さの薄く熱容量が小さい記録媒体(P)が搬送される場合、当該記録媒体(P)そのものを加熱するよりも、当該印刷胴(321)の表面を加熱し、熱エネルギーを伝播させる方が当該記録媒体(P)の適正温度を維持しやすい。
【0204】
そして、記録媒体(P)が当該印刷胴(321)の表面を覆っていないときに当該印刷胴(321)の表面を加熱することがより適正温度を維持するためにより効果的である。
【0205】
そのためには、前述のように、記録媒体(P)が通過することがない、印刷胴(321)の回転方向(F2方向、反時計回り方向)に位置Eから位置Cまでの外周面に沿った部分を加熱できるようにヒーターH2を設置することが効果的である。
【0206】
(インク硬化・乾燥装置)
前記搬送部における前記画像形成部の前記記録媒体搬送方向下流側で、搬送される当該記録媒体(P)に対向する位置に前記インク硬化・乾燥装置(323)が設けられ、前記インク硬化・乾燥装置(323)による前記インクの硬化・乾燥が、前記記録媒体(P)を前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)に搬送するか前記温調機構に搬送するかを切替える位置よりも搬送方向上流側の位置で行われることが、記録媒体(P)上のインク塗布面が、第1排出胴(411)や再供給機構(331、332、333)が備える第1反転胴(331)などに接触し、それらにインクが転移するのを防止する観点から好ましい。
【0207】
紫外線硬化型のインクが使用される場合、インク硬化・乾燥装置(323)には、例えばLEDや高圧水銀ランプ等が用いられ、搬送部に担持された記録媒体(P)に対して当該LEDやランプ等の発光により
図1の紙面に垂直な方向の幅にわたって配置された発光部から紫外線等の活性線を照射して、記録媒体(P)上に吐出されたインクに対してインクに含まれる例えば重合開始剤の特性に応じた波長の紫外線を照射することによりインクの重合反応を生じさせ、記録媒体(P)上のインクを硬化させて定着させる。
【0208】
上記のインク硬化・乾燥装置(323)は、例えば印刷胴(321)の外周面の近傍であって、印刷胴(321)の回転による記録媒体(P)の搬送方向について画像形成部(322)の下流側、かつ排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)の上流側に位置するよう設けられる。
【0209】
活性線硬化型のインクが使用される場合、インク硬化・乾燥装置(323)は、例えば印刷胴(321)に担持されてインクが吐出された記録媒体(P)に対して活性線を照射し、当該記録媒体(P)上のインクを硬化させる。
【0210】
活性線としては、例えば紫外線が挙げられるが、赤外線、電子線及び他のエネルギー線等、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよい。
【0211】
なお、光源としては、LEDや高圧水銀ランプに限らず、数百[Pa]~1メガ[Pa]程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ等が挙げられるが、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源であることが望ましい。
【0212】
色材を含有する固形成分及び溶媒成分を含むインクが使用される場合、前記インク硬化・乾燥装置(323)は、前記溶媒成分を蒸発させる乾燥装置としてもよい。
【0213】
乾燥装置としては、例えば赤外線ヒーターや熱風送風機のような非接触型の乾燥装置等が挙げられる。
【0214】
4.再供給機構
本発明に係る再供給機構(331、332、333)は、一方の面に画像が形成された記録媒体(P)の表裏を反転させることで画像対象面を変更させて温調機構へと誘導する。
【0215】
通常の場合、供給装置(221、223、231、311、312)から温調機構へ供給される記録媒体(P)よりも、一旦温度調整され一方の面にインクが塗布され、インク硬化・乾燥装置(323)によるインクの発熱もあり、再供給機構(331、332、333)から温調機構へ供給される記録媒体(P)の方が、温度が高い。
【0216】
そのため、本発明においては、再供給機構(331、332、333)から温調機構が備える第2の部位(313b)へ供給され、当該第2の部位(313b)にて搬送される際の温度調整機能は、前述の第1の部位(313a)とで分かれている必要がある。
【0217】
図6は、本発明に係る再供給機構から記録媒体が温調機構に供給される様子を表す部分拡大図である。
【0218】
また、
図7は、本発明に係る再供給機構から記録媒体が温調機構に供給される搬送経路を表す部分拡大図である。
【0219】
図6において、第2反転胴(332)にて担持された記録媒体(P)の先端は、温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)へ位置Bで受け渡される。
【0220】
その後、温調供給胴(313)はF1方向に回転し、次に記録媒体(P)の後端が、当該温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)へ位置Bで受け渡される。
【0221】
これによって、記録媒体(P)は温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)のみに担持される。
【0222】
温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)にて担持された記録媒体(P)は、当該温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)にて温度調整されながらF1方向に搬送される。
【0223】
温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)によって担持された記録媒体(P)の先端は、印刷胴(321)へ位置Cで受け渡され、その後当該記録媒体(P)の後端が、印刷胴(321)へ位置Cで受け渡される。
【0224】
図7中の矢印は、記録媒体の再供給機構での搬送経路及び温調機構への供給経路の一部を表している。
【0225】
また、印刷胴の回転方向における位置Eから位置Cまでの間を記録媒体が通過することはない。
【0226】
例えば
図7においては、前記再供給機構(331、332、333)は第1反転胴(331)、反転スイング装置(333)及び第2反転胴(332)を備え、そのうち前記印刷胴(321)から前記記録媒体(P)を受け取る機能を有する第1反転胴(331)は、前記温調供給胴(313)に当該記録媒体(P)を受け渡す第2反転胴(332)のほぼ二倍の径であり、後述する独立した駆動源であるモーター(以下、「独立駆動モーター」と称する。)(図示せず。)により回転動作を行うようになっている。
【0227】
なお、上記の再供給機構及び前記温調機構は、
図1及び
図7の構成に限定されない。
【0228】
前記再供給機構(331、332、333)が、第1供給胴(311)、第2供給胴(312)、温調供給胴(313)及び印刷胴(321)の記録媒体(P)の積載面の線速度と同じ速度で回転する胴及び異なる速度で回転する胴を備えることが、異なる長さの記録媒体(P)を反転させる観点から好ましい。
【0229】
前記再供給機構(331、332、333)が、前記記録媒体(P)を前記温調供給胴(313)が有する第2の部位(313b)に直接受け渡す機構であることが、温度ロスの抑制及び安定的な記録媒体(P)の温度調整の観点から好ましい。
【0230】
再供給機構(331、332、333)は、一方の面に前記インクが塗布された前記記録媒体(P)の面を反転し、その後前記温調機構に供給し受け渡す反転スイング装置(333)を備え、かつ、当該再供給機構(331、332、333)は、前記記録媒体(P)の搬送方向について前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)が備える第1排出胴(411)の下流側に備えられる。
【0231】
(4.1)第1反転胴
本発明に係る第1反転胴(331)は、例えば印刷胴(321)の爪部(321a)と同じ構造によって記録媒体(P)の一端部を挟持する爪部(331a 図示せず)を備えており、直径が第2反転胴(332)のほぼ二倍であり、前述した印刷胴(321)や下記の第2反転胴(332)等とは独立した駆動源である独立駆動モーターにより回転動作を行う。
【0232】
(4.2)反転スイング装置
反転スイング装置(333)は、第1反転胴(331)の外周面及び第2反転胴(332)の外周面からそれぞれ等距離となる位置に設けられている。
【0233】
記録媒体(P)の表裏両面(以下、「表裏両面」のことを単に「両面」とも称する。)に画像形成を行う場合には、記録媒体(P)の表裏の反転を行う機能上、例えば
図7の位置Eで印刷胴(321)から記録媒体(P)を受け取ることで、当該印刷胴(321)から当該記録媒体(P)を分離し、その後、当該再供給機構(331、332、333)が備える反転スイング装置(333)にて当該記録媒体(P)を反転させる。
【0234】
反転スイング装置(333)は、第1反転胴(331)上の記録媒体(P)の搬送方向後端が対向する位置に到達すると、当該後端を把持して第2反転胴(332)の外周面に沿うように誘導する。
【0235】
その後、記録媒体(P)は、第2反転胴(332)に搬送される。
【0236】
このとき、一度目の画像形成動作における記録媒体(P)の搬送方向後端が二度目の画像形成動作における搬送方向先端となる。
【0237】
(4.3)第2反転胴
第2反転胴(332)は、例えば
図7の位置Bで前記記録媒体(P)を前記温調機構の第2の部位(313b)に供給し受け渡す。
【0238】
前記再供給機構(331、332、333)が、
図1のように第2反転胴(332)を備えている場合、第2反転胴(332)は、閉じた状態で記録媒体(P)の搬送方向前端部を保持する開閉可能な爪部(332a)を備え、当該第2反転胴(332)には、当該爪部(332a)を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体(P)の受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
【0239】
(4.4)記録媒体の受け渡し
図1において、第1反転胴(331)には、閉じた状態で記録媒体(P)の搬送方向前端部を保持する開閉可能な爪部(331a)が備えられているが、前記印刷胴(321)から第1反転胴(331)へ記録媒体(P)が受け渡される位置は、前述の位置Eである。
【0240】
また、第2反転胴(332)から温調供給胴(313)への記録媒体(P)の受け渡しは、第2反転胴の爪部(332a)が、記録媒体(P)の端部を把持した状態で、温調供給胴(313)との近接対向位置である位置Bまで回動してから、第2反転胴の爪部(332a)が図示しないカム機構により開いて記録媒体(P)の端部を解放すると同時に、位置Bに到達した温調供給胴(313)の爪部(313c)の爪が図示しないカム機構により閉じることで行われる。
【0241】
このように、上記第1反転胴(331)、反転スイング装置(333)及び第2反転胴(332)は、記録媒体(P)の搬送方向の先端と後端とを入れ替えて温調供給胴(313)に再共有する再供給機構(331、332、333)を構成しているが、本発明に係る再供給機構(331、332、333)はこれに限定されない。
【0242】
5.供給装置
本発明に係る供給装置(221、223、231、311、312)は、例えば記録媒体(P)を格納する供給トレイ(231)と、供給トレイ(231)から温調機構又は供給装置(221、223、231、311、312)が備える胴に記録媒体(P)を供給する供給部(220)と、を備える(
図1参照。)。
【0243】
(供給トレイ)
供給トレイ(231)は、所定のサイズにカットされた複数の記録媒体(P)を表面を上面として重ねた状態で載置可能に設けられた板状の部材である。
【0244】
また、載置された記録媒体(P)の量に応じて上下動するよう設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体(P)が供給部(220)により温調機構又は供給装置(221、223、231、311、312)が備える胴に供給される位置に維持される。
【0245】
記録媒体(P)は、図示しない吸引部を備えた可動アームなどにより最上層の一枚が吸引され、供給ベルト(223)及びローラー(221)に運ばれる。
【0246】
(供給部)
供給部は、内側が複数(例えば二本)のローラー(221)により担持された輪状の供給ベルト(223)を駆動して、当該記録媒体(P)を載置した状態でローラー(221)を回転させ、当該供給ベルト(223)に沿わせるようにして温調機構又は供給装置(221、223、231、311、312)が備える胴へ当該記録媒体(P)を搬送する。
【0247】
(記録媒体)
供給トレイ(231)に載置される記録媒体(P)は、特に制限はなく、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙又はコート紙等の塗工された印刷用紙、水溶紙、市販されている和紙やはがき用紙、プラスチックフィルム、布、皮革等の各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、当該記録媒体(P)の色も特に限定されるものではない。
【0248】
6.排出装置
前記画像形成部(322)で画像が形成された前記記録媒体(P)は、前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)に搬送するか、前記再供給機構(331、332、333)に搬送するかを切り替える手段により前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)に搬送することが決定された後に、前記インクが塗布された前記記録媒体(P)が当該排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)へと搬送される。
【0249】
例えば
図1に示すように、印刷胴(321)から記録媒体(P)を受け取る第1排出胴(411)、第1排出胴(411)から記録媒体(P)を受け取る第2排出胴(412)、第2排出胴(412)から記録媒体(P)を受け取って排出部(420)へ搬送する一対の排出チェーン(415)、排出チェーン(415)を駆動する第2排出胴(412)側の一対のスプロケット(413)、排出部(420)に設置される一対のスプロケット(414)及び排出チェーン(415)を案内する複数のガイドローラー(416)が備えられており、当該排出装置にて、印刷胴(321)から受け渡された記録媒体(P)を搬送し、排出チェーン(415)を通じて排出部(420)にて排出する。
【0250】
前記排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)が備える第1排出胴(411)は、印刷胴(321)の爪部(321a)と同じ構造によって記録媒体(P)の一端部を挟持する爪部(411a 図示せず)を二組備えている。
【0251】
前記印刷胴(321)の爪部(321a)と第1排出胴(411)の爪部(411a)が、印刷胴(321)から排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)への受け渡し位置Dにある時に、前記印刷胴(321)の爪部(321a)と第1排出胴(411)の爪部(411a)を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体(P)の受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
【0252】
なお、このカム機構は、前記記録媒体(P)を排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)に搬送するか、前記再供給機構(331、332、333)に搬送するかどうかの決定を制御部(40)により切り替え可能となっている。
【0253】
(排出部)
第1排出胴(411)と同様に第2排出胴(412)にも爪部(412a 図示せず)が二組設けられており、また、排出チェーン(415)にも第1排出胴(411)及び第2排出胴(412)の周長の1/2の間隔で複数の爪部(415a 図示せず)が設けられている。
【0254】
さらに、第1排出胴(411)と第2排出胴(412)、第2排出胴(412)と排出チェーン(415)がそれぞれ対向する位置でそれぞれの爪部を構成する複数の爪を開閉するカム機構がそれぞれ設けられており、記録媒体(P)は、第1排出胴(411)から第2排出胴(412)を経て排出チェーン(415)に受け渡され、排出部(420)の位置で、排出チェーン(415)の爪部(図示せず)の爪を開閉させるカム機構により爪を開放し、記録媒体(P)は板状の排出トレイ(431)の上に載置される。
【0255】
排出部(420)は、画像形成後の記録媒体(P)がユーザーにより取り出されるまで排出トレイ(431)の上に記録媒体(P)を格納する。
【0256】
7.各胴の連動動作
例えば
図1のように、第1供給胴(311)、第2供給胴(312)、温調供給胴(313)、第1排出胴(411)、第2排出胴(412)及び複数のスプロケット(413、414)は、それぞれ図示しない歯車列により連結され、一つの胴回転モーターにより印刷胴(321)と連動して回転動作を行い、再供給機構(331、332、333)が備える第2反転胴(332)は、同じく図示しない歯車列により印刷胴(321)と連動して回動動作を行う。
【0257】
ただし、再供給機構(331、332、333)が備える胴(331、332)のうち第1反転胴(331)のみは、上記の回転動作とは独立した独立駆動モーターにより回転動作を行うようになっている。
【0258】
すなわち、印刷胴(321)の回転に連動したタイミングで反転スイング装置(333)が第1反転胴(331)から記録媒体(P)を受け取る位置Fに到達するときに、記録媒体(P)における爪部に担持されていない方の端部が反転スイング装置(333)に近接対向する位置に到達するように、記録媒体(P)のサイズに応じた回転速度制御が必要となるため、上記第1反転胴(331)の駆動源では、印刷胴(321)の回転からは独立して反転モーターの回転速度制御が行われる。
【0259】
8.制御部
制御部(40)は、各温度センサーから出力される検知信号に基づいて、所望の画像形成条件に応じ、温調部材等の設定温度の調整や、供給装置(221、223、231、311、312)、印刷胴(321)、排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)及び再供給機構(331、332、333)等、種々の制御を行う。
【0260】
図8は、本発明の画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0261】
なお、前述したが、本明細書では、温調供給胴、印刷胴、各ヒーター及びその他温度調整部材をまとめて、単に「温調部材等」と称している。
【0262】
上記の「画像形成条件」には、記録媒体(以下、便宜のため「記録媒体」を単に「用紙」という。)の表面に記録される画像(インク像)を構成するインクの量(同「表面インク量」という。)、用紙のサイズ(同「用紙サイズ」という。)、用紙の表面に形成される画像のサイズ(同「表面画像サイズ」という。)、使用されるインクの種類、用紙の種類(材質、坪量等)、装置の周囲の温湿度等、様々な条件を含めることができる。
【0263】
(8.1)表面インク量等
一具体例では、制御部(40)は、画像形成条件として、表面インク量、用紙サイズ、及び表面画像サイズを含め、これらの値(言い換えると用紙の表面に記録される画像の態様)に応じて温調部材等における設定温度を決定する。
【0264】
これらの値、特に表面インク量は、活性線が照射されたインクが硬化する際に発生する硬化熱のエネルギーを推定するのに重要な要素となる。
【0265】
(8.2)坪量等
他の具体例では、制御部(40)は、画像形成条件として、用紙の坪量と、印刷胴(321)又は用紙の温度変化量[℃]を含め、これらの値に応じて温調供給胴(313)における設定温度を決定する。
【0266】
(坪量が小さい場合:薄紙である場合)
上記の用紙搬送態様及び用紙の坪量に基づく熱容量ないし保温性を考慮すると、保温性(熱容量)の低い薄紙の場合、印刷胴(321)から用紙全体に伝搬される熱の影響が大きいため、用紙の温度変化量でなく、印刷胴(321)の温度変化量に応じて温調供給胴(313)における設定温度を決定した方がよいと考えられる。
【0267】
より具体的には、制御部(40)は、用紙の坪量が小さい場合、言い換えると保温性が低くなる薄紙の場合、印刷胴(321)の温度変化量[℃]に応じて温調供給胴(313)における設定温度を決定する。
【0268】
加えて、用紙が薄紙の場合、温調供給胴(313)における温度設定値を、印刷胴(321)の温度調整(冷却等)用の温度に設定することが望ましい。
【0269】
この例では、印刷胴(321)の温度変化量は、インクジェット記録部の最上流部(この例ではヘッド(322a))の直前における印刷胴(321)の表面温度と、インク硬化・乾燥装置(323)の位置の上流側近傍における印刷胴(321)の表面温度と、の差分[℃]である。
【0270】
なお、インクジェット記録部の最上流部の直前における記録媒体又は印刷胴の表面温度を検知するための温度センサーを、温度センサー(m3)と称する。
【0271】
また、インク硬化・乾燥装置の位置の上流側近傍における記録媒体又は印刷胴の表面温度を検知するための温度センサーを、温度センサー(m4)と称する。
【0272】
〔薄紙の画像形成条件と温調供給胴の設定温度との対応テーブルの作成〕
本実施の形態では、かかる差分の温度を、種々の画像形成条件(表面インク量又はインク硬化・乾燥装置(323)から出力される活性線のエネルギー量、種々の薄紙のサイズ等)の下で実験により求めておき、当該画像形成条件(差分の温度と、温調供給胴(313)における設定温度と、を含む)と印刷胴(321)の設定温度との対応テーブルを作成しておくことが好ましい。
【0273】
(坪量が大きい場合:厚紙である場合)
保温性(熱容量)の高い厚紙の場合、印刷胴(321)から用紙全体に伝搬される熱の影響が小さくなるので、実際の用紙(厚紙)の温度変化量を計測し、かつ、温調供給胴(313)における設定温度値を、当該用紙(厚紙)の裏面の温度調整(冷却等)用の温度に設定することが望ましい。
【0274】
より具体的には、制御部(40)は、用紙の坪量が大きい場合、言い換えると熱容量が大きく保温性が高い厚紙の場合、当該用紙(厚紙)の温度変化量[℃]に応じて温調供給胴(313)における設定温度を決定する。
【0275】
ここで、用紙の温度変化量は、画像形成前の温度センサー(m3)で測定される用紙の温度と、画像形成後(活性線照射後)の温度センサー(m4)で測定される用紙の温度との差分[℃]である。
【0276】
なお、上記の厚紙においても、画像形成条件(差分の温度と、温調供給胴(313)における設定温度と、を含む)と印刷胴(321)の設定温度との対応テーブルを作成しておくことが好ましい。
【0277】
(8.3)温度調整部材
図1~
図7には示していないものも含むが、両面画像形成される用紙の温度調整を行うために、前記印刷胴(321)及び前記温調供給胴(313)以外の温度調整部材としては、例えば赤外線照射を行う非接触型のヒーター(例えばハロゲンランプ等)、加温又は冷却用として送風ファン、熱電変換デバイスを内蔵したローラー及びベルト等を用いることもできる。
【0278】
また、前述の印刷胴(321)及び温調供給胴(313)自体に熱電変換デバイスを内蔵することができ、上記の温度調整部材を近傍に設置することにより当該印刷胴(321)及び温調供給胴(313)自体、又は用紙を加温又は冷却することもできる。
【0279】
温度調整部材としてファンを用いる場合、例えば公知のペルチェファンを用いるとよく、制御部(40)は、当該ファンの風速、又は送風するエアーの温度(風温)を変更することで用紙の温度調整を行うことができる。
【0280】
ただし、ファンの風速を上げ過ぎると、用紙の位置ずれ等の問題が発生する可能性があるため、制御部(40)は、主として風温(すなわち温度調整デバイスの設定温度)を変更する制御を行うことが望ましい。
【0281】
(8.4)画像形成装置を構成する各種要素の機能
本発明の画像形成装置(100)は、例えば
図1に示すように、大きく分けて、供給装置(221、223、231、311、312)、印刷胴(321)、排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)及び再供給機構(331、332、333)を備え、画像形成部(322)及び搬送経路切替工程部(20)を有するが、以下において機能構成の面から当該画像形成装置(100)を説明する。
【0282】
図8を参照すると、画像形成装置は、装置全体の制御を司る制御部(40)、画像形成ジョブに関する種々のデータが入力及び記憶されるデータ入力部(10)、ヘッド駆動部(30)を含むインクジェット記録部、インク硬化・乾燥装置(323)及び温度検知部(80)等を備えている。
【0283】
(データ入力部)
データ入力部(10)は、図示しないPC(personal computer)等の外部装置に接続される入力インターフェースやメモリー等を備える。
【0284】
メモリーとしては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等が併用されてもよい。
【0285】
データ入力部(10)は、制御部(40)の制御の下、外部装置から画像形成ジョブに関するデータ(ジョブ命令、印刷される画像の画像データや種々の設定データなど)を取得(入力及び記憶)し、画像形成ジョブの実行時に画像データをヘッド駆動部(30)に出力する。
【0286】
(インクジェット記録部)
「インクジェット記録部」は、画像形成部に設けられ、用紙の一方の面にインクを塗布し画像を形成する箇所であり、互いに異なる色のインクを吐出する複数のヘッド(322a、322b、322c、322d)と、これらヘッドを駆動するヘッド駆動部(30)と、を備える。
【0287】
図1においては、ヘッド(322a、322b、322c、322d)は、用紙が保持された印刷胴(321)の回転に応じた適切なタイミングで、印刷胴(321)の搬送面に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から用紙に対してインクを吐出して当該用紙にインクを塗布し、画像を形成する。
【0288】
〔ヘッド駆動部〕
ヘッド駆動部(30)は、制御部(40)の制御に基づいて各々のヘッド(322a、322b、322c、322d)に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給することにより、対応するヘッド(322a、322b、322c、322d)のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0289】
(インク硬化・乾燥装置)
インク硬化・乾燥装置(323)は、印刷胴(321)の
図1の紙面に垂直な方向の幅にわたって配置された発光部を有する。
【0290】
インク硬化・乾燥装置(323)は、印刷胴(321)に担持された用紙に対して発光部からインクの特性に応じたエネルギー線を照射して、用紙上に吐出されたインク用紙上のインクを硬化、又は、乾燥させて定着させる。
【0291】
図1に示す例では、ヘッド(322a、322b、322c、322d)から紫外線(UV)硬化型のインクが吐出される場合を前提とする。
【0292】
なお、インクジェット記録部で使用されるインクは、これに限定されず、例えば赤外線や電子線等の他のエネルギー線の照射により硬化、又は、乾燥する性質のものであってもよい。
【0293】
搬送方向におけるインク硬化・乾燥装置(323)の下流側には、印刷胴(321)に対向する第1排出胴(411)が設けられている。
【0294】
また、第1排出胴(411)の下流側には、第1反転胴(331)及び温調供給胴(313)が設けられている。
【0295】
上記のうち、第1排出胴(411)は画像形成ジョブ終了の際に用紙を排出装置(411、412、413、414、415、416、420、431)へと受け渡す役割を担い、第1反転胴(331)は、表面画像形成後、裏面画像形成の際に当該用紙を再供給機構(331、332、333)に受け渡す。
【0296】
上記再供給機構(331、332、333)にて用紙が反転された後、温調機構に供給され、当該温調機構は、当該再供給機構(331、332、333)から受け渡された用紙を第2の部位(313b)によって温度調整しながら印刷胴(321)に受け渡す役割を担う。
【0297】
また、上記の第1排出胴(411)及び第1反転胴(331)には、各々、制御部(40)の制御により開閉が切り替えられる爪部(411a)及び爪部(331a)を備えている。
【0298】
第1排出胴(411)及び第1反転胴(331)等の上述した各爪部は、用紙の搬送先を切り替えるための搬送経路切替工程部(20)(
図8参照。)の一部をなす。
【0299】
(温度検知部)
本発明の画像形成装置(100)に設けられる各温度センサーは、用紙、印刷胴(321)及び温調供給胴(313)の各々の温度を検知(以下、上記の各温度センサーが検知する各々の部分を単に「温度検知部」ともいう。)し、その検知結果(検知信号)を制御部(40)に出力する。
【0300】
温度センサー(m1)は、ヒーターH1の近傍であって、温調供給胴(313)の回転方向(F1方向、時計回り方向)に位置Cから位置Aまでの外周面に沿った部分に対向する位置に設置され、印刷胴(321)の温度を検知する。
【0301】
温度センサー(m2)は、ヒーターH2の近傍であって、印刷胴(321)の回転方向(用紙の搬送方向、F2方向、反時計回り方向)に位置Eから位置Cまでの外周面に沿った部分に対向する位置に設置され、印刷胴(321)の温度を検知する。
【0302】
温度センサー(m3)は、インクジェット記録部の最上流部の直前における用紙又は印刷胴の表面温度を検知し、制御部(40)に出力する。
【0303】
温度センサー(m4)は、インク硬化・乾燥装置の位置の上流側近傍における用紙又は印刷胴の表面温度を検知する。
【0304】
なお、その他の温度センサーとして、供給部に供給する前の用紙の温度を検知する温度センサーを温度センサー(m5)と称する。
【0305】
本発明の画像形成装置に設けられる各温度センサーの温度検出素子としては、熱電対やサーミスタなどの接触型のものを使用してもよいが、サーモパイルのような非接触型のものがより好ましい。
【0306】
そして、制御部(40)は、上述のように配置された各々の温度センサーから出力される検知信号に基づいて、温度制御に関する様々な処理を実行する。
【0307】
(その他)
制御部(40)は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only
Memory)を有する。
【0308】
(CPU)
上記のうち、CPUは、ROMに記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAMに記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。
また、CPUは、インクジェット記録システムの全体動作を統括制御する。
【0309】
(RAM)
RAMは、CPUに作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
なお、RAMは、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
【0310】
(ROM)
ROMは、CPUにより実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。
なお、ROMに代えて、EEPROM(Electrically Erasable
Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0311】
(8.5)画像形成ジョブの制御の手順
本発明の画像形成装置では、前述の制御部(40)の機能構成の下で、以下のような画像形成ジョブの制御が行われる。
【0312】
図9は、画像形成ジョブの実行時における処理の概要のフローチャートであり、以下当該フローチャートを参照して、画像形成ジョブの実行時における処理の概要を説明する。
【0313】
<開始>
画像形成ジョブの実行の際に、制御部(40)は、印刷胴(321)の回転動作を開始するように、胴回転モーターを駆動制御する。
【0314】
<ステップS1>
制御部(40)は、前述のようにあらかじめ作成しておいた薄紙又は厚紙の画像形成条件と温調供給胴(313)の設定温度との対応テーブルを参照して、現在の画像形成条件に対応した温調供給胴(313)の第1の部位(313a)、第2の部位(313b)及び印刷胴(321)の目標温度を決定し、温調部材等の設定温度を変更する。
【0315】
<ステップS2>
続いて、制御部(40)は、所定のタイミングで温調部材等を稼働させて、温調供給胴(313)の第1の部位(313a)、第2の部位(313b)及び印刷胴(321)の所定領域の表面温度を調整する処理を行い、ステップS3に移行する。
【0316】
ここで、「所定領域」とは、表裏反転動作前後の用紙(薄紙又は厚紙)が温調供給胴(313)へと搬送され、印刷胴(321)に搬送されるまでの領域である。
【0317】
<ステップS3>
制御部(40)は、印刷胴(321)及び温調供給胴(313)の温度検知に使用される各温度センサーの出力(検知信号)の監視を開始し、検知された温度を記憶する。
【0318】
<ステップS4>
続いて、制御部(40)は、ステップS3において記憶された値と、上述した種々の画像形成条件(表面インク量等)に基づいて、表裏反転前の用紙の画像形成位置における温度を推定する。
【0319】
一具体例では、ステップS4において、制御部(40)は、温度センサー(m1)により検知された温調供給胴(313)の温度と温度センサー(m2)により検知された印刷胴(321)の温度、及び用紙の厚さや比熱などに基づいて、用紙の画像形成位置、すなわち、温調供給胴(313)上のインクジェット記録部に対向する位置での用紙温度を推定する。
【0320】
<ステップS5>
次に、制御部(40)は、上記の推定された表裏反転前の用紙温度が目標温度(例えば40~50℃)の範囲内になるか否かを判定する。
【0321】
ここで、制御部(40)は、推定された表裏反転前の用紙温度が目標温度の範囲内となるように、推定された用紙温度と目標温度との乖離幅などに基づいて、温調供給胴、印刷胴、各ヒーター、第1の部位(313a)と第2の部位(313b)及びその他温度調整部材等(前述したが、以下単に「温調部材等」ともいう。)の設定温度を変更する。
【0322】
そして、推定された用紙の温度が目標温度の範囲内になると判定した場合、ステップS6に移行する。
【0323】
なお、制御部(40)は、表裏反転前の用紙が印刷胴(321)によって搬送される際には、温度センサー(m3)及び温度センサー(m4)の検知結果により、画像形成位置における用紙温度が実際に目標温度内に収まっているかを推定することができる。
【0324】
このため、制御部(40)は、温度センサー(m3)及び温度センサー(m4)の検知結果を、次に画像形成される用紙の温度調整にフィードバックしてもよい。
【0325】
<ステップS6>
制御部(40)は、印刷胴(321)及び温調供給胴(313)の温度検知に使用される各温度センサーの出力(検知信号)の監視を開始し、検知された温度を記憶する。
【0326】
<ステップS7>
続いて、制御部(40)は、ステップS6において記憶された値と、上述した種々の画像形成条件(表面インク量等)に基づいて、表裏反転後の画像形成位置、すなわち、印刷胴(321)上のインクジェット記録部に対向する位置での用紙温度を推定する。
【0327】
一具体例では、制御部(40)は、かかる用紙に吐出(着弾)される表面インク量及び画像の態様(記録される位置等)に基づいて、発生する硬化熱のエネルギー量及び用紙の表面温度上昇量[℃]を求める。
【0328】
そして、制御部(40)は、かかる温度上昇量をステップS4で推定した表裏反転前の画像形成位置における用紙温度に加えることで、インク硬化・乾燥装置(323)により活性線が照射された直後の表裏反転前の用紙温度を推定する。
【0329】
続いて、制御部(40)は、推定された活性線が照射された直後の表裏反転前の用紙温度と、各温度センサーによって検知された温調供給胴(313)及び印刷胴(321)の温度、保温性の指標となる当該用紙の坪量、機内の図示しない温度センサーによって検出される温度等から、表裏反転後の画像形成位置における用紙温度を推定する。
【0330】
<ステップS8>
制御部(40)は、推定された表裏反転後の用紙温度が目標温度の範囲内になるように、温調部材等の設定温度を変更する。
【0331】
より具体的には、制御部(40)は、推定された表裏反転後の画像形成位置における用紙温度が目標温度の上限を超えている場合は、前述の方法により温調部材等の設定温度を下げるため、送風ファン、温度調整デバイスを内蔵したローラー等の冷却能力を高めるべく、送風ファンの風量を上げ冷風を当てたり、熱電変換デバイスの設定温度を下げるように変更する。
【0332】
逆に、制御部(40)は、推定された表裏反転後の画像形成位置における用紙温度が目標温度の下限を超えている場合は、温調部材等の設定温度を上げるため、送風ファン、温度調整デバイスを内蔵したローラー等の冷却能力を低くするべく、送風ファンの風量を下げ温風を当てたり、熱電変換デバイスの設定温度を上げるように変更する。
【0333】
なお、制御部(40)は、表裏反転後の用紙が印刷胴(321)によって搬送される際には、温度センサー(m3)及び温度センサー(m4)の検知結果により、画像形成位置における用紙温度が実際に目標温度内に収まっているかを推定することができる。
【0334】
このため、制御部(40)は、温度センサー(m3)及び温度センサー(m4)の検知結果を、次に両面画像形成される用紙の温度調整にフィードバックしてもよい。
【0335】
<ステップS9>
続いて、制御部(40)は、用紙の温調機構への供給動作を開始するように供給装置(221、223、231、311、312)等を制御する。
【0336】
上述した各制御により、供給装置から供給された用紙は、温調機構が備える第1の部位(313a)を経由する。
【0337】
このとき、上記第1の部位(313a)によって用紙が搬送され、前述の方法によって所望の温度に温度調整される。
【0338】
なお、
図1中の反時計回り方向(F
2方向)に回転している印刷胴(321)のいずれかの爪部(321a)によって、その搬送方向先端が担持されながら搬送される。
【0339】
<ステップS10>
制御部(40)は、搬送経路を再供給機構(331、332、333)側に設定する。
【0340】
<ステップS11>
続いて、制御部(40)は、Y、M、C、Kのヘッド(322a、322b、322c、322d)を順次駆動して該当するヘッドからインクを吐出させて、用紙に画像を形成する処理を行う。
【0341】
<ステップS12>
続いて、制御部(40)は、インク硬化・乾燥装置(323)を駆動制御して、画像が形成された用紙に活性線を照射する処理を行う。
【0342】
<ステップS13>
その後、制御部(40)は、用紙に活性線の照射を行った後に、用紙の反転動作の処理を実行する。
【0343】
すなわち、制御部(40)は、印刷胴(321)に担持されている用紙の一端(搬送方向の先端)を、印刷胴(321)のいずれかの爪部(321a)から第1反転胴(331)の爪部(331a)へと受け渡す制御を行う。
【0344】
そして、制御部(40)は、
図1中の再供給機構(331、332、333)が備える第1反転胴(331)の爪部(331a)に担持されている用紙の搬送方向の先端が反転スイング装置(333)と接する位置Fを通過した後、反転スイング装置(333)が位置Fに到達するタイミングで同後端が位置Fに到達するように、記録媒体(P)の搬送方向の長さに応じた所定の速度で独立駆動モーターを制御する。
【0345】
反転スイング装置(333)は位置Fを通過するタイミングでカム機構(図示せず)により、記録媒体(P)の後端部をつかみ、スイングして第2反転胴(332)に受け渡す。
このような動作により用紙が反転される。
【0346】
<ステップS14>
制御部(40)は、各温度センサーの検知温度を参照して温調供給胴(313)の温度を温調部材等により調整する制御を行い、用紙を再供給機構(331、332、333)が備える第2反転胴(332)から温調機構へ供給する。
【0347】
前記ステップS16により、用紙の搬送方向が反転し、その後、用紙は、表面印刷時と表裏及び搬送方向の先端と後端とが反転された状態で再供給機構が備える第2反転胴(332)から温調機構が有する第2の部位(313b)へと受け渡される。
【0348】
<ステップS15>
続いて、制御部(40)は、各温度センサーの検知温度を参照して印刷胴(321)の温度を温調部材等により調整する制御を行い、用紙を温調機構から印刷胴(321)へ供給する。
【0349】
このとき、上記第2の部位(313b)によって用紙が搬送され、前述の方法によって所望の温度に温度調整される。
【0350】
その後、用紙は、印刷胴(321)によって画像形成部(322)に向けて搬送される。
【0351】
<ステップS16、S17及びS18>
続いて、制御部(40)は、搬送経路(上述した各爪部の開閉状態)を排出装置側に設定する処理を実行し、用紙の裏面に対する画像形成及び活性線照射の制御を実行した後に、ステップS22に移行する。
【0352】
<ステップS19>
この後、制御部(40)は、印刷胴(321)に担持されている上記の活性線照射処理が行われた用紙を第1排出胴(411)に受け渡し、第1排出胴(411)から第2排出胴(412)へ、第2排出胴(412)から複数の歯車(413)によって駆動される排出チェーン(415)へと当該用紙を順次受け渡すように搬送する制御を行う。
【0353】
<終了>
かかる制御により、Y、M、C、Kのインクによるフルカラーの画像が形成された用紙が排出部(420)へと搬送され、排出トレイ(431)上に載置される。
そして、その後胴回転停止を経て、処理を終了する。
【符号の説明】
【0354】
10 データ入力部
20 搬送経路切替工程部
30 ヘッド駆動部
40 制御部
80 温度検知部
100 画像形成装置
220 供給部
221 ローラー
223 供給ベルト
231 供給トレイ
311 第1供給胴
312 第2供給胴
313 温調供給胴
313a 第1の部位
313ah 穴
313b 第2の部位
313bh 穴
313c 爪部
314 温調機構の一部である胴
321 印刷胴
321a 爪部
322 画像形成部
322a、322b、322c、322d ヘッド
323 インク硬化・乾燥装置
331 第1反転胴
331a 爪部
332 第2反転胴
332a 爪部
333 反転スイング装置
411 第1排出胴
411a 爪部
412 第2排出胴
412a 爪部
413、414 スプロケット
415 排出チェーン
415a 爪部
416 ガイドローラー
420 排出部
431 排出トレイ
P 記録媒体
H1、H2 ヒーター