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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133907
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/32 20200101AFI20240926BHJP
【FI】
D06F33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043926
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】細糸 強志
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE05
3B167AE06
3B167AE07
3B167AE12
3B167AE13
3B167BA82
3B167GB03
3B167KA63
3B167LB12
3B167LC02
3B167LC05
3B167LC08
3B167LC09
3B167LC19
3B167LC20
(57)【要約】
【課題】配線長が長くなる場合でも不具合の発生を抑制することができる洗濯機を提供することである。
【解決手段】実施形態の洗濯機は、モータと、電力変換回路と、ドライバ回路と、シャント抵抗と、サージ電圧吸収素子とを備える。前記電力変換回路は、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子を有し、前記第4から第6のスイッチング素子が下アームに含まれる。前記ドライバ回路は、グラウンド端子を有する。前記シャント抵抗は、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、および前記第6スイッチング素子のうちいずれか1つを第1素子とする場合、前記第1素子とグラウンドとの間に接続されている。前記サージ電圧吸収素子は、前記第1素子と前記シャント抵抗との接続点と、前記ドライバ回路の前記グラウンド端子と前記グラウンドとの接続点との間に接続されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
直流電力を交流電力に変換して前記モータに出力する電力変換回路であって、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子と、前記第1から第6のスイッチング素子に対して電気的に逆並列に接続された第1から第6のダイオードとを有し、前記第1から第3のスイッチング素子が上アームに含まれ、前記第4から第6のスイッチング素子が下アームに含まれた電力変換回路と、
前記第4から第6のスイッチング素子の各々の制御端子に接続され、前記第4から第6のスイッチング素子を制御するとともに、グラウンド端子を有したドライバ回路と、
前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、および前記第6スイッチング素子のうちいずれか1つを第1素子とする場合、前記第1素子とグラウンドとの間に接続されたシャント抵抗と、
前記第1素子と前記シャント抵抗との接続点と、前記ドライバ回路の前記グラウンド端子と前記グラウンドとの接続点との間に、前記電力変換回路および前記ドライバ回路と電気的に並列に接続されたサージ電圧吸収素子と、
を備えた洗濯機。
【請求項2】
前記シャント抵抗を第1シャント抵抗とし、前記サージ電圧吸収素子を第1サージ電圧吸収素子とし、前記グラウンド端子と前記グラウンドとの接続点を電源用グラウンド接続点とするとともに、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、および前記第6スイッチング素子のうち前記第1素子ではない残りの2つの素子を第2素子および第3素子とする場合、
前記第2素子と前記グラウンドとの間に接続された第2シャント抵抗と、
前記第3素子と前記グラウンドとの間に接続された第3シャント抵抗と、
前記第2素子と前記第2シャント抵抗との接続点と、前記電源用グラウンド接続点との間に、前記電力変換回路および前記ドライバ回路と電気的に並列に接続された第2サージ電圧吸収素子と、
前記第3素子と前記第3シャント抵抗との接続点と、前記電源用グラウンド接続点との間に、前記電力変換回路および前記ドライバ回路と電気的に並列に接続された第3サージ電圧吸収素子と、
をさらに備えた、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記電力変換回路と前記ドライバ回路とを含むパッケージ部品を備え、
前記第1素子と前記第1シャント抵抗との接続点は、前記パッケージ部品の第1端子であり、前記第2素子と前記第2シャント抵抗との接続点は、前記パッケージ部品の第2端子であり、前記第3素子と前記第3シャント抵抗との接続点は、前記パッケージ部品の第3端子であり、前記電源用グラウンド接続点は、前記パッケージ部品の第4端子であり、
前記第1サージ電圧吸収素子は、前記第1端子と前記第4端子との間に接続され、
前記第2サージ電圧吸収素子は、前記第2端子と前記第4端子との間に接続され、
前記第3サージ電圧吸収素子は、前記第3端子と前記第4端子との間に接続された、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記シャント抵抗を第1シャント抵抗とし、前記サージ電圧吸収素子を第1サージ電圧吸収素子とし、前記グラウンド端子と前記グラウンドとの接続点を電源用グラウンド接続点とするとともに、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、および前記第6スイッチング素子のうち前記第1素子ではない残りの2つの素子を第2素子および第3素子とする場合、
前記第2素子と前記グラウンドとの間に接続された第2シャント抵抗と、
前記第2素子と前記第2シャント抵抗との接続点と、前記電源用グラウンド接続点との間に、前記電力変換回路および前記ドライバ回路と電気的に並列に接続された第2サージ電圧吸収素子と、
をさらに備えた、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記電力変換回路と前記ドライバ回路とを含むパッケージ部品を備え、
前記第1素子と前記第1シャント抵抗との接続点は、前記パッケージ部品の第1端子であり、前記第2素子と前記第2シャント抵抗との接続点は、前記パッケージ部品の第2端子であり、前記第3素子は、前記パッケージ部品の第3端子に接続され、前記電源用グラウンド接続点は、前記パッケージ部品の第4端子であり、
前記第1サージ電圧吸収素子は、前記第1端子と前記第4端子との間に接続され、
前記第2サージ電圧吸収素子は、前記第2端子と前記第4端子との間に接続された、
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記第1サージ電圧吸収素子は、前記パッケージ部品の外部で前記第1端子と前記第4端子との間に接続され、
前記第2サージ電圧吸収素子は、前記パッケージ部品の外部で前記第2端子と前記第4端子との間に接続された、
請求項3または請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記第1サージ電圧吸収素子および前記第2サージ電圧吸収素子の各々は、セラミックコンデンサである、
請求項2または請求項4に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記パッケージ部品が実装された第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを含む回路基板をさらに備え、
前記第1サージ電圧吸収素子および前記第2サージ電圧吸収素子は、前記回路基板の前記第2面側に配置された、
請求項6に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記第1サージ電圧吸収素子および前記第2サージ電圧吸収素子の各々の少なくとも一部は、前記回路基板の厚さ方向で見た場合、前記パッケージ部品と重なる領域内に配置された、
請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記モータを第1モータとし、前記電力変換回路を第1電力変換回路とし、前記ドライバ回路を第1ドライバ回路とする場合、
前記第1モータと比べて使用電流が小さい第2モータと、
直流電力を交流電力に変換して前記第2モータに出力する電力変換回路であって、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子と、前記第1から第6のスイッチング素子に対して電気的に逆並列に接続された第1から第6のダイオードとを有し、前記第1から第3のスイッチング素子が上アームに含まれ、前記第4から第6のスイッチング素子が下アームに含まれた第2電力変換回路と、
前記第2電力変換回路の前記第4から第6のスイッチング素子の各々の制御端子に接続され、前記第4から第6のスイッチング素子を制御するとともに、グラウンド端子を有した第2ドライバ回路と、
前記第2電力変換回路の前記第4スイッチング素子と前記グラウンドとの間に接続されたシャント抵抗と、
をさらに備え、
前記第2電力変換回路および前記第2ドライバ回路に関しては、前記サージ電圧吸収素子と同種のサージ電圧吸収素子が設けられていない、
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項11】
モータと、
直流電力を交流電力に変換して前記モータに出力する電力変換回路であって、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子と、前記第1から第6のスイッチング素子に対して電気的に逆並列に接続された第1から第6のダイオードとを有し、前記第1から第3のスイッチング素子が上アームに含まれ、前記第4から第6のスイッチング素子が下アームに含まれた電力変換回路と、
前記第4から第6のスイッチング素子の各々の制御端子に接続され、前記第4から第6のスイッチング素子を制御するとともに、グラウンド端子を有したドライバ回路と、
前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、および前記第6スイッチング素子の接続点である第1接続点と、グラウンドとの間に接続されたシャント抵抗と、
前記第1接続点と、前記ドライバ回路の前記グラウンド端子と前記グラウンドとの接続点である第2接続点との間に、前記電力変換回路および前記ドライバ回路と電気的に並列に接続されたサージ電圧吸収素子と、
を備えた洗濯機。
【請求項12】
前記電力変換回路と前記ドライバ回路とを含むパッケージ部品を備え、
前記第4スイッチング素子は、前記パッケージ部品の第1端子に接続され、
前記第5スイッチング素子は、前記パッケージ部品の第2端子に接続され、
前記第6スイッチング素子は、前記パッケージ部品の第3端子に接続され、
前記第2接続点は、前記パッケージ部品の第4端子であり、
前記第1端子、前記第2端子、および前記第3端子は、互いに接続され、
前記サージ電圧吸収素子は、前記第1端子、前記第2端子、または前記第3端子のうちいずれか1つと、前記第4端子との間に接続された、
請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記サージ電圧吸収素子は、前記パッケージ部品の外部で、前記第1端子、前記第2端子、または前記第3端子のうちいずれか1つと、前記第4端子との間に接続された、
請求項12に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記パッケージ部品が実装された第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを含む回路基板をさらに備え、
前記サージ電圧吸収素子は、前記回路基板の前記第2面側に配置された、
請求項13に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記サージ電圧吸収素子の少なくとも一部は、前記回路基板の厚さ方向で見た場合、前記パッケージ部品と重なる領域内に配置された、
請求項14に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動するためのインバータ回路を備えた洗濯機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-24371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、配線長が長くなる場合でも不具合の発生を抑制することができる洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、モータと、電力変換回路と、ドライバ回路と、シャント抵抗と、サージ電圧吸収素子とを備える。前記電力変換回路は、直流電力を交流電力に変換して前記モータに出力する電力変換回路であって、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子と、前記第1から第6のスイッチング素子に対して電気的に逆並列に接続された第1から第6のダイオードとを有し、前記第1から第3のスイッチング素子が上アームに含まれ、前記第4から第6のスイッチング素子が下アームに含まれる。前記ドライバ回路は、前記第4から第6のスイッチング素子の各々の制御端子に接続され、前記第4から第6のスイッチング素子を制御するとともに、グラウンド端子を有する。前記シャント抵抗は、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、および前記第6スイッチング素子のうちいずれか1つを第1素子とする場合、前記第1素子とグラウンドとの間に接続されている。前記サージ電圧吸収素子は、前記第1素子と前記シャント抵抗との接続点と、前記ドライバ回路の前記グラウンド端子と前記グラウンドとの接続点との間に、前記電力変換回路および前記ドライバ回路と電気的に並列に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態にかかる洗濯機を示す断面図。
図2】第1実施形態にかかる洗濯機の内部の制御系の構成を示す図。
図3】第1実施形態にかかる洗濯機で使用できるインバータ回路の構成を示す図。
図4】第1実施形態にかかるインバータ回路を用いてモータを駆動する場合の基本的な回路構成を示す図。
図5】第1実施形態にかかるドラムを回転させるときのモータの制御を示す図。
図6】第1実施形態にかかる洗濯機における実装構造を示す図。
図7】第1実施形態にかかる洗濯機における実装構造を示す図。
図8】第1実施形態にかかる洗濯機における実装構造を示す図。
図9】第1実施形態にかかる洗濯機における実装構造を示す図。
図10】第1実施形態におけるサージ電圧吸収素子の実装構造を示す図。
図11】第2実施形態におけるサージ電圧吸収素子の実装構造を示す図。
図12】実施形態の第3変形例にかかるインバータ回路を用いてモータを駆動する場合の基本的な回路構成を示す図。
図13】実施形態の第3変形例にかかる洗濯機における実装構造を示す図。
図14】実施形態の第3変形例におけるサージ電圧吸収素子の実装構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の洗濯機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本出願で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。本出願で「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。XXおよびYYは、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0008】
(第1実施形態)
<全体構成>
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態にかかる洗濯機100を示す断面図である。図1において、外箱1は前板と後板と左側板と右側板と底板と天板を有する中空状をなすものであり、外箱1の前板には貫通孔状の出入口2が形成されている。この外箱1の前板には扉3が装着されている。この扉3は使用者が前方から閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能なもので、扉3の閉鎖状態では出入口2が閉鎖され、扉3の開放状態では出入口2が開放される。外箱1の内部には水受槽4が固定されている。この水受槽4は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、軸心線CLが前から後に向けて下降する傾斜状態に配置されている。この水受槽4は前面が開口するものであり、扉3の閉鎖状態では扉3が水受槽4の前面を気密状態に閉鎖する。
【0009】
水受槽4の後板には、水受槽4の外部に位置して、ドラムを回転させるためのモータ40aが固定されている。このモータ40aは、速度制御可能な3相ブラシレスDCモータであり、モータ40aの回転軸6は水受槽4の内部に突出している。この回転軸6は水受槽4の軸心線CLに重ねて配置されたものであり、回転軸6には水受槽4の内部に位置してドラム7が固定されている。回転軸6は、例えば、減速ギアを介さずにドラム7のドラム軸に直結されている。ドラム7は後面が閉鎖された円筒状をなすもので、モータ40aの運転状態で回転軸6と一体的に回転する。このドラム7の前面は水受槽4の前面を介して出入口2に後方から対向しており、ドラム7の内部には扉3の開放状態で前方から出入口2と水受槽4の前面とドラム7の前面を通して洗濯物が出し入れされる。
【0010】
ドラム7には、複数の貫通孔8が形成されており、ドラム7の内部空間は複数の貫通孔8のそれぞれを通して水受槽4の内部空間に接続されている。このドラム7には複数のバッフル9が固定されている。これら複数のバッフル9のそれぞれはドラム7が回転することに応じて軸心線CLを中心に円周方向へ移動するものであり、ドラム7内の洗濯物は複数のバッフル9のそれぞれに引掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。
【0011】
外箱1の内部には、給水弁10が固定されている。この給水弁10は入口および出口を有するものであり、給水弁10の入口は水道の蛇口に接続されている。この給水弁10は図示しない給水弁モータを駆動源とするものであり、給水弁10の出口は給水弁モータの回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この給水弁10の出口は、注水ケース12に接続されており、給水弁10の開放状態では水道水が給水弁10を通して注水ケース12内に注入され、給水弁10の閉鎖状態では水道水が注水ケース12内に注入されない。この注水ケース12は外箱1の内部に水受槽4より高所に位置して固定されたものであり、筒状の注水口13を有している。この注水口13は水受槽4の内部に挿入されており、給水弁10から注水ケース12内に注入された水道水は注水口13から水受槽4の内部に注入される。
【0012】
水受槽4には、最底部に位置して排水管14の上端部が接続されており、排水管14には排水弁15が介在されている。この排水弁15は図示しない排水弁モータを駆動源とするものであり、排水弁モータの回転量に応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この排水弁15の閉鎖状態では注水口13から水受槽4内に注入された水道水が水受槽4内に貯留され、排水弁15の開放状態では水受槽4内の水道水が排水管14を通して水受槽4の外部に排出される。
【0013】
外箱1の底板には、水受槽4の下方に位置してメインダクト17が固定されている。このメインダクト17は前後方向へ指向する筒状をなすものであり、メインダクト17の前端部には前ダクト18の下端部が接続されている。この前ダクト18は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、前ダクト18の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の前端部で接続されている。メインダクト17の後端部にはファンケーシング19が固定されている。このファンケーシング19は貫通孔状の吸気口20および筒状の排気口21を有するものであり、ファンケーシング19の内部空間は吸気口20を介してメインダクト17の内部空間に接続されている。
【0014】
ファンケーシング19には、ファンケーシング19の外部に位置してファンを回転させるモータ40bが固定されている。このモータ40bは、速度制御可能な3相ブラシレスDCモータである。モータ40bは、ファンケーシング19の内部に突出する回転軸23を有するものであり、回転軸23にはファンケーシング19の内部に位置してファン24が固定されている。このファン24は軸方向から空気を吸込んで径方向へ吐出する遠心式のものであり、ファンケーシング19の吸気口20はファン24にファン24の軸方向から対向し、ファンケーシング19の排気口21はファン24にファン24の径方向から対向している。
【0015】
ファンケーシング19の排気口21には、後ダクト25の下端部が接続されている。この後ダクト25は上下方向へ指向する筒状をなすものであり、後ダクト25の上端部は水受槽4の内部空間に水受槽4の後端部で接続されている。これら後ダクト25とファンケーシング19とメインダクト17と前ダクト18と水受槽4は水受槽4の内部空間を始点および終点のそれぞれとする環状の循環ダクト26を構成するものであり、扉3の閉鎖状態でモータ40bが運転されている場合にはファン24が一定方向へ回転することに基づいて水受槽4内の空気が前ダクト18内からメインダクト17内を通してファンケーシング19内に吸引され、ファンケーシング19内から後ダクト25内を通して水受槽4内に戻される。
【0016】
外箱1の内部には、コンプレッサ(圧縮機)27が固定されている。このコンプレッサ27は循環ダクト26の外部に配置されたものであり、冷媒を吐出する吐出口および冷媒を吸込む吸込口を有している。このコンプレッサ27はモータ40c(図2参照)を駆動源とするものであり、モータ40cは速度制御可能な3相ブラシレスDCモータである。
【0017】
メインダクト17の内部には、コンデンサ(凝縮器)29が固定されている。このコンデンサ29は空気を加熱するものであり、蛇行状に曲折する1本の冷媒管30の外周面に板状をなす複数の加熱フィン31のそれぞれを接触状態で固定することから構成されている。このコンデンサ29の冷媒管30はコンプレッサ27の吐出口に接続されており、モータ40cの運転状態ではコンプレッサ27の吐出口から吐出された冷媒がコンデンサ29の冷媒管30内に進入する。
【0018】
<制御系の構成>
図2は、第1実施形態にかかる洗濯機の内部の制御系の構成を示す図である。図2において、インバータ回路50a、50b、50cは、それぞれ、モータ40a、モータ40b、モータ40cを駆動する駆動回路である。インバータ回路50a、50b、50cは、電源回路71からの直流電力を三相交流電力に変換する電力変換回路48a、48b、48cと、電力変換回路48a、48b、48cをそれぞれ駆動するドライバ回路49a、49b、49cを実現する。モータ40aは、ドラム7を回転させるモータである。モータ40bは、ファン24を回転させるモータである。モータ40cは、コンプレッサを駆動するモータである。
【0019】
制御回路70a、70bは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)からなる。制御回路70a、70bは、例えばシリアル通信により、双方向にデータ通信を行うことができる。また、制御回路70aには、操作パネル73が接続されている。また、制御回路70aには、給水弁10や排水弁15等の制御を行うための各種アクチュエータ74が接続されている。制御回路70aは、モータ40aを駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号をインバータ回路50aに供給する。制御回路70bは、モータ40bおよびモータ40cを駆動するためのPWM制御信号をインバータ回路50bおよびインバータ回路50cに供給する。また、制御回路70aには、センサ41aから、ロータ位置やモータの回転を検出する検出信号が供給される。
【0020】
電源回路71は、100Vの交流電源に対し、倍圧整流により、例えば280Vの直流電力を生成する。そして、この高電圧の直流電力を各インバータ回路50a、50b、50cに供給する。
【0021】
制御用電源回路72は、制御用の低電圧の直流電源を生成する。制御用電源回路72からの直流電源は、制御回路70a、70b、70cおよびインバータ回路50a、50b,50cに供給される。
【0022】
<モータ駆動系の回路>
次に、第1実施形態にかかる洗濯機100におけるモータ駆動系の構成について説明する。本実施形態にかかる洗濯機には、図2に示したように、モータ40として、ドラム7を回転させるモータ40aと、ファン24を回転させるモータ40bと、コンプレッサを駆動するモータ40cが設けられている。そして、これらのモータ40(40a、40b,40c)を駆動するためのインバータ回路50(50a、50b、50c)が設けられている。本実施形態にかかる洗濯機では、インバータ回路50(50a、50b、50c)として、IPM(Intelligent Power Module)モジュールのパッケージ部品が使用される。IPMモジュールのパッケージ部品は、スイッチング素子のようなディスクリート部品と、駆動回路や保護回路とを一体的に統合したものである。IPMモジュールを使用すると、回路を小型化でき、また、コストの低減も図れる。
【0023】
図3は、本実施形態にかかる洗濯機で使用できるインバータ回路50の構成を示す。図3に示すように、インバータ回路50には、第1から第6のスイッチング素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)52a~52fと、スイッチング素子を制御するドライバ回路51a、51bとが含まれている。なお、スイッチング素子としては、IGBT52a~52fの代わりに、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などを用いてもよい。
【0024】
インバータ回路50は、直流電力を三相の交流電力に変換する電力変換回路48(図2の電力変換回路48a~48cに対応する)と、電力変換回路48を制御するドライバ回路51aおよび51b(図2のドライバ回路49a~49cに対応する)を実現する。電力変換回路48は、第1のスイッチング素子(IGBT52a)から第6のスイッチング素子(IGBT52f)と、第1のスイッチング素子(IGBT52a)から第6のスイッチング素子(IGBT52f)に対して電気的に逆並列に接続された第1のダイオード(ダイオード53a)から第6のダイオード(ダイオード53f)とを含む。第1スイッチング素子(IGBT52a)、第2スイッチング素子(IGBT52b)、および第3スイッチング素子(IGBT52c)が電気的に並列に正極線81に接続される。第1スイッチング素子(IGBT52a)と第4スイッチング素子(IGBT52d)とが電気的に直列に接続されるとともに、第1スイッチング素子(IGBT52a)と第4スイッチング素子(IGBT52d)との接続点91aがモータ40の第1端子(U相の端子)に接続される。第2スイッチング素子(IGBT52b)と第5スイッチング素子(IGBT52e)とが電気的に直列に接続されるとともに、第2スイッチング素子(IGBT52b)と第5スイッチング素子(IGBT52e)との接続点91bがモータ40の第2端子(V相の端子)に接続される。第3スイッチング素子(IGBT52c)と第6スイッチング素子(IGBT52f)とが電気的に直列に接続されるとともに、第3スイッチング素子(IGBT52c)と第6スイッチング素子(IGBT52f)との接続点91cがモータ40の第3端子(W相の端子)に接続される。
【0025】
6つのIGBT52a~52fは三相ブリッジ接続されており、3つのIGBT52a~52cが上アームに含まれる素子となり、3つのIGBT52d~52fが下アームに含まれる素子となる。上アームのIGBT52a~52cのゲート(制御端子)は、ドライバ回路51a(高電圧側ドライバ回路)に接続される。下アームのIGBT52d~52fのゲート(制御端子)は、ドライバ回路51b(低電圧側ドライバ回路)に接続される。
【0026】
本実施形態では、第4スイッチング素子(IGBT52d)、第5スイッチング素子(IGBT52e)、および第6スイッチング素子(IGBT52f)のうちいずれか任意の1つは、「第1素子」の一例である。第4スイッチング素子(IGBT52d)、第5スイッチング素子(IGBT52e)、および第6スイッチング素子(IGBT52f)のうち任意の別の1つは、「第2素子」の一例である。第4スイッチング素子(IGBT52d)、第5スイッチング素子(IGBT52e)、および第6スイッチング素子(IGBT52f)のうち残りの1つは、「第3素子」の一例である。
【0027】
IGBT52a~52fには、それぞれ、ダイオード53a~53fが電気的に並列に逆接続される。ダイオード53a~53fは、フライホイールダイオードであり、IGBT52a~52fとそれぞれ逆方向に導通するように接続されている。
【0028】
ドライバ回路51aは、上アームのIGBT52a~52cのゲートにPWM駆動信号を供給する。ドライバ回路51aは、後述するパッケージ部品PKGの端子VNC(制御電源のグラウンド端子)に接続されるグラウンド端子51g1を有する。
【0029】
ドライバ回路51bは、下アームのIGBT52d~52fのゲートに反転PWM駆動信号を供給する。ドライバ回路51bは、後述するパッケージ部品PKGの端子VNC(制御電源のグラウンド端子)に接続されるグラウンド端子51g2を有する。
【0030】
インバータ回路50のパッケージ部品PKGは、ケースPCと、複数の端子とを有する。ケースPCは、上述したIGBT52a~52f、ダイオード53a~53f、およびドライバ回路51a、51bを一体に収容する収容体である。複数の端子は、ケースPCの外部に突出している。複数の端子は、例えば、以下に説明する端子を含む。例えば、端子U、端子V、端子Wは、それぞれ、U相、V相、W相の出力端子である。端子NU、端子NV、端子NWは、それぞれ、U相、V相、W相の下アーム側スイッチング素子(IGBT52d~52f)のエミッタに接続された端子である。端子UFB、端子VFB、端子WFBは、それぞれ、U相、V相、W相のブートストラップ用の端子である。端子UP、端子VP、端子WPは、それぞれ、U相、V相、W相のPWM制御信号の入力端子である。端子UN、端子VN、端子WNは、それぞれ、U相、V相、W相の反転PWM制御信号の入力端子である。端子Pは、高電圧電源の端子である。端子CPおよび端子CNは、制御電源の端子である。端子VNCは、制御電源のグラウンド端子である。端子VNCは、制御電源のグラウンドGND2に接続される(図4参照)。端子VNCは、ドライバ回路51a,51bのグラウンド端子51g1,51g2と、グラウンドGND2との接続点であり、「電源用グラウンド接続点」の一例である。グラウンドGND2は、グラウンドGND1と接続されている(図4参照)。本実施形態では、グラウンドGND1およびグラウンドGND2により「グラウンド」の一例が実現される。
【0031】
すなわち、図3において、上アームのIGBT52a、52b、52cのコレクタには、端子Pから高圧電源が供給される。上アームのIGBT52aのエミッタと下アームのIGBT52dのコレクタとが接続され、IGBT52aのエミッタとIGBT52dのコレクタとの接続点91aからU相の出力端子Uが導出される。上アームのIGBT52bのエミッタと下アームのIGBT52eのコレクタとが接続され、IGBT52bのエミッタとIGBT52eのコレクタとの接続点91bからV相の出力端子Vが導出される。上アームのIGBT52cのエミッタと下アームのIGBT52fのコレクタとが接続され、IGBT52cのエミッタとIGBT52fのコレクタとの接続点91cからW相の出力端子Wが導出される。
【0032】
下アームのIGBT52d、52e、52fのエミッタから、それぞれ、端子NU、NV、NWが導出される。端子UFB、端子VFB、端子WFBには、それぞれ、ブートストラップ用のコンデンサ62a、62b、62cが接続される(図4参照)。端子UP、端子VP、端子WPからのPWM制御信号は、ドライバ回路51aに供給される。端子UN、端子VN、端子WNからの反転PWM制御信号は、ドライバ回路51bに供給される。制御電源の端子CPは、ドライバ回路51aに接続されている。制御電源の端子CNは、ドライバ回路51bに接続されている。制御電源のグラウンド端子VNCは、ドライバ回路51bに接続されている。
【0033】
図4は、上述のインバータ回路50を用いてモータ40を駆動する場合の基本的な回路構成を示す。図4に示すように、インバータ回路50の端子U、端子V、端子Wは、モータ40のU相、V相、W相の端子に接続される。端子NU、端子NV、端子NWは、それぞれ、シャント抵抗61a、61b、61cの一端に接続される。シャント抵抗61a、61b、61cの他端は、それぞれ、高圧電源のグラウンドGND1に接続される。また、シャント抵抗61a、61b、61cに対して、それぞれ、コンデンサ68a、68b、68cが電気的に並列に接続される。
【0034】
端子UFB、端子VFB、端子WFBには、それぞれ、ブートストラップ用のコンデンサ62a、62b,62cの一端が接続される。コンデンサ62a、62b,62cの他端は、それぞれ、端子U、端子V、端子Wに接続される。端子UP、端子VP、端子WPは、PWM制御信号を入力するために、制御回路70に接続される。端子UN、端子VN、端子WNは、反転PWM制御信号を入力するために、制御回路70に接続される。
【0035】
端子Pには高圧電源が供給される。高圧電源としては、例えば100Vの商用交流電源を倍電圧整流して得られた直流280Vが用いられる。そして、端子Pと、高圧電源のグラウンドGND1との間には、スナバコンデンサ65が接続される。
【0036】
端子CP、CNには、それぞれ、例えば15Vの制御電源から電力が供給される。また、端子VNCは、制御電源のグラウンド端子となる。端子CNと端子VNCとの間には、ツェナーダイオード63およびコンデンサ64が設けられ、電圧の安定化が図られている。
【0037】
このようなインバータ回路50では、以下のようにして、モータ40が駆動される。図4において、モータ40を駆動するために、制御回路70からは、U相、V相、W相のPWM制御信号および反転PWM信号が出力される。このPWM制御信号および反転PWM制御信号は、端子UP、VP、WPおよび端子UN、VN、WNから、ドライバ回路51aおよびドライバ回路51bに供給される。ドライバ回路51aおよびドライバ回路51bは、制御回路70からのPWM制御信号(例えば3.3V)から、IGBT52a~52fを駆動するために必要な電圧(例えば15V)のPWM駆動信号および反転PWM駆動信号を生成する。このPWM駆動信号および反転PWM駆動信号は、上アームのIGBT52a~52cおよび下アームのIGBT52d~52fのゲートに供給される。このPWM駆動信号および反転PWM駆動信号により、一方がオンのとき他方がオフとなるように、上アームのIGBT52a~52cおよび下アームのIGBT52d~52fがスイッチング制御される。これにより、端子Pからの直流の高圧電源が三相の交流電源に変換されて、モータ40に供給される。
【0038】
なお、上アームのIGBT52a~52cと下アームのIGBT52d~52fとをブリッジ接続した構成では、上アームのIGBT52a~52cのエミッタ電圧が高電圧となる。このため、上アームのIGBT52a~52cのゲート・エミッタ間電圧が所定の制御電圧(例えば15V)に維持できるように、ブートストラップ回路により、コンデンサ62a~62cの充放電が繰り返される。
【0039】
ここで、インバータ回路50を用いてモータ40を駆動する場合には、インバータ回路50の端子NU、端子NV、端子NWには、それぞれ、シャント抵抗61a、61b、61cが接続される。シャント抵抗61a、61b、61cは、モータ40を流れる電流をモニタするために用いられる。洗濯機100のモータ40aの制御では、洗い攪拌で、モータ40aを正反転させたり、脱水でモータ40aを高速回転させたり、モータ40aを回生ブレーキさせたり等、制御が複雑となる。このため、本実施形態では、3つのシャント抵抗61a、61b、61cを用いて、U相、V相、W相の各相の電流をモニタできるようにしている。
【0040】
すなわち、図5は、ドラム7を回転させるときのモータ40aの制御を示す図である。図5において、横軸は経過時間を示し、縦軸は回転数を示す。図5に示すように、洗濯機100のモータ40aでは、洗い、すすぎ、脱水等の各行程で、モータの回転数や回転方向が様々に遷移する。図中の期間T1は、ドラム7を低い回転数で回転させ、主に正反転動作を行う状態であり、水を溜めて洗浄やすすぎを行う行程や排水し布ほぐしを行う行程が含まれる。期間T1では、モータ40aを流れる電流は、水が多めで洗濯物の量がドラム7内で半量程度の場合に大きくなりやすい。期間T2は、ドラム7を高い回転数で回転させて、脱水を行う行程を示す。このように、ドラム7を回転させるモータ40aでは、回転数の範囲が広く、反転動作も含む。このため、確実性が高く、多くの電流情報が検出可能となるように、3個のシャント抵抗61a、61b、61cを配置した方式が採用される。また、洗濯機100には、モータ40a、モータ40b、モータ40cなど、複数のモータ40が配置される。このため、相互のインバータ回路50a~50cのノイズ干渉が発生することなどがある。そこで、U相、V相、W相の電流をそれぞれ検出できるように、3個のシャント抵抗61a、61b、61cを配置した構成となっている。
【0041】
上述のインバータ回路50では、ドライバ回路51aおよび51bは、端子CP、端子CNから供給される制御電源(例えば15V)で駆動される。これに対して、IGBT52a~52fは、端子Pからの高圧電源(例えば280V)をスイッチングする。したがって、ドライバ回路51aおよび51bを駆動させるための制御電源と、IGBT52a~52fによりスイッチングする高圧電源との2系統の直流電源が用いられることになる。ここで、高圧電源のグラウンドGND1と制御電源のグラウンドGND2との間に電位差が生じると、サージノイズが発生し、誤動作の要因となる。
【0042】
高圧電源のグラウンドGND1と制御電源のグラウンドGND2とは、シャント抵抗61a~61cの部分で接続される。シャント抵抗61a~61cの部分には大電流が流れることから、高圧電源のグラウンドGND1と制御電源のグラウンドGND2との間の電位差が生じやすい。また、シャント抵抗61a~61cの部分の配線La~Lcが長くなると、配線インダクタンスが増加し、IGBT52a~52fのスイッチングによる電流変化により、高圧電源のグラウンドGND1と制御電源のグラウンドGND2との間の電位差が大きくなる。このことから、シャント抵抗61a~61cの部分の配線La~Lcは、最短にすることが望まれる。
【0043】
しかしながら、インバータ回路50のパッケージ部品PKGを基板上に実装する場合には、物理的な制約により、シャント抵抗61a~61cの部分の配線La~Lcの長さを短くすることには限界がある。つまり、インバータ回路50のパッケージ部品PKGを基板上に実装する場合には、放熱のためのヒートシンクが必要になる。また、シャント抵抗61a~61cには大電流が流れるため、シャント抵抗61a~61cとしてセメント抵抗等の定格電力の大きいものを用いる必要がある。シャント抵抗61a~61cとしてセメント抵抗を用いた場合には、シャント抵抗61a~61cを配置するための実装位置を確保する必要がある。このため、インバータ回路50のパッケージ部品PKGに近接してシャント抵抗61a~61cをレイアウトすることは難しく、その結果、シャント抵抗61a~61cの部分の配線La~Lcが長くなってしまう。
【0044】
図6図7、および図8は、基板60上でのシャント抵抗61a~61cの実装構造を示している。
【0045】
図6は、例えば、表面実装型のシャント抵抗61a~61cが設けられる場合を示す。表面実装型のシャント抵抗61a~61cを設ける場合、各シャント抵抗の実装エリア(実装面積)を確保するため、パッケージ部品PKGと3つのシャント抵抗61a~61cを接続する配線は、3つのシャント抵抗61a~61cが並ぶ方向に広がる。このため、各配線La~Lcの配線長が長くなる。
【0046】
図7および図8は、例えば、セメント型で背が高いシャント抵抗61a~61cが設けられる場合を示す。ここで、インバータ回路50のパッケージ部品PKGには、放熱のための大きなヒートシンク55が取り付けられる。このため、背が高いシャント抵抗61a~61cが配置される場合、シャント抵抗61a~61cは、ヒートシンク55の下側には実装できない。この場合には、シャント抵抗61a~61cの取り付け位置は、回路基板56の厚さ方向から見た場合にヒートシンク55の外側の領域(ヒートシンク55と重ならない領域)となる。このため、インバータ回路50のパッケージ部品PKGの端子とシャント抵抗61a~61cとの距離が長くなる。その結果、各配線La~Lcの配線長が長くなる。
【0047】
そこで、本実施形態では、下アームのIGBT52d~52fのエミッタとシャント抵抗61a~61cの接続点(端子NU、端子NV、端子NW)と、制御電源のグラウンドGND2との間に、サージ電圧吸収素子として、高周波特性の優れたセラミックコンデンサを接続するようにしている。より、具体的には、図9に示すように、端子NUと端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67a(第1サージ電圧吸収素子)が接続され、端子NVと端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67b(第2サージ電圧吸収素子)が接続され、端子NWと端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67c(第3サージ電圧吸収素子)が接続される。
【0048】
つまり、図3に示したように、インバータ回路50を構成するパッケージ部品PKGからは、端子NU(第1端子)、端子NV(第2端子)、端子NW(第3端子)と、端子VNC(第4端子)が外部に導出されている。端子NU、端子NV、端子NWは、それぞれ、U相、V相、W相の下アームのIGBT52d~52fのエミッタに接続されている。また、端子VNCは、制御電源のグラウンドGND2の端子である。なお、パッケージ部品PKGでは、端子NU、NV、NWと、端子VNCとは、対向する位置に配置されている。
【0049】
したがって、図9に示すように、端子NUと端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67a(第1サージ電圧吸収素子)を接続し、端子NVと端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67b(第2サージ電圧吸収素子)を接続し、端子NWと端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67c(第3サージ電圧吸収素子)を接続することで、下アームのIGBT52d~52fのエミッタとシャント抵抗61a~61cの接続点と、制御電源のグラウンドGND2との間に、それぞれ、セラミックコンデンサ67a~67cを接続されたことになる。
【0050】
インバータ回路50のパッケージ部品PKGを回路基板56に実装する場合には、図10に示すように、回路基板56の上面56a(第1面、図8参照)にインバータ回路50のパッケージ部品PKGが実装され、回路基板56の上面56aとは反対側の下面56b(第2面)において、端子NUと端子VNCとの間、端子NUと端子NVとの間、および端子NWと端子VNCとの間に、それぞれ、セラミックコンデンサ67a、67b、および67cが接続される。この場合、端子NU、端子NV、および端子NWと、端子VNCとは対向して配置されているので、端子NUと端子VNCとの間、端子NUと端子NVとの間、および端子NWと端子VNCとの間を跨ぐように、セラミックコンデンサ67a、67b、67cを接続すれば、最短距離でセラミックコンデンサ67a、67b、67cを配置できる。また、セラミックコンデンサ67a、67b、および67cは、回路基板56に対して、インバータ回路50のパッケージ部品PKGとは反対側に配置されている。セラミックコンデンサ67a、67b、67cの各々の少なくとも一部は、回路基板56の厚さ方向で見たとき、インバータ回路50のパッケージ部品PKGと重なる領域内に配置される。
【0051】
このように、端子NUと端子VNCとの間、端子NUと端子NVとの間、および端子NWと端子VNCとの間に、それぞれ、セラミックコンデンサ67a、67b、および67cを接続すると、IGBT52a~52fがスイッチングを行うときに発生する高圧電源のグラウンドGND1と制御電源のグラウンドGND2との間の電位差がセラミックコンデンサ67a~67cにより吸収され、サージノイズの影響を軽減できる。
【0052】
なお、ドライバ回路51aおよび51bの耐圧は例えば20Vであり、サージが-5Vを超えると、制御電圧15Vとの差分が20Vとなる。また、サージ変動がプラス側になると、下アームのIGBT52d~52のゲートドライブ電圧が低下した動作となり、コレクタ・エミッタ間の飽和電圧が上昇し、損失が上昇し、素子が故障する可能性がある。シャント抵抗61a~61cの部分の配線La~Lcが数十mm(例えば50mm)の場合、セラミックコンデンサ67a~67cとして数μF(例えば1μF)のものを用いることで、サージを±5V以内に抑えることが可能となることが確認されている。
【0053】
図に示したように、本実施形態にかかる洗濯機では、モータ40として、ドラム7を回転させるモータ40aと、循環ファンを起動するためのモータ40bと、コンプレッサ用のモータ40cとの3個が配置されている。そして、これらのモータ40a、41b、40cを駆動するために、3個のインバータ回路50a、50b,50cが設けられている。
【0054】
ドラム7を回転させるモータ40aの制御は、制御回路70aにより行われ、循環ファンを起動するためのモータ40bとコンプレッサ用のモータ40cは、制御回路70bにより行われ、合計、2個の制御回路70a、70bで、モータ40a~40cの制御が行われている。2個の制御回路70a、70bは、シリアル通信で接続され、協調して動作する。
【0055】
ここで、ドラム7を回転させるモータ40aは、駆動軸にロータが直結されたダイレクトドライブ方式のブラシレスDCモータが採用されており、特に洗い正反転時の起動トルクが大きくなり、電流は増加しやすい。コンプレッサを駆動するモータ40cについても、乾燥が進行し、コンデンサ29の温度が高くなると、冷媒圧力が上昇し、負荷トルクが高くなり、電流が増加する。このことから、ドラム7を回転させるモータ40aとコンプレッサ用のモータ40cは、上述のセラミックコンデンサ67a~67cからなるサージ吸収用素子を接続して、サージノイズの発生を抑えることが望まれる。これに対して、ファンを起動するためのモータ40bについては、流れる電流は小さいので、サージノイズの発生は少なく、上述のセラミックコンデンサ67a~67cからなるサージ吸収用素子を接続する必要はない。
【0056】
(利点)
本実施形態は、モータ40と、直流電力を交流電力に変換して前記モータ40に出力する電力変換回路48であって、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子(IGBT52a~52e)と、前記第1から第6のスイッチング素子(IGBT52a~52e)に対して電気的に逆並列に接続された第1から第6のダイオード53a~53fとを有し、前記第1から第3スイッチング素子(IGBT52a~52c)が上アームに含まれ、前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52d~52f)が下アームに含まれた電力変換回路48と、前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52d~52f)の各々の制御端子(ゲート)に接続され、前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52d~52f)を制御するとともに、グラウンド端子51g2を有したドライバ回路51bと、前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52d~52f)のうちいずれか1つを第1素子とする場合、前記第1素子とグラウンドとの間に接続されたシャント抵抗61aと、前記第1素子と前記シャント抵抗61aとの接続点と、前記ドライバ回路51bのグラウンド端子51g2と前記グラウンドとの接続点との間に、前記電力変換回路48および前記ドライバ回路51bと電気的に並列に接続されたサージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a)とを備える。
本実施形態によれば、配線長が長くなる場合でも、グラウンド端子51g2と前記グラウンドとの間の電位差によるサージ発生を抑制することができる。
【0057】
本実施形態は、前記シャント抵抗を第1シャント抵抗61aとし、前記サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a)を第1サージ電圧吸収素子とし、前記ドライバ回路51bのグラウンド端子51g2と前記グラウンドとの接続点を電源用グラウンド接続点とするとともに、前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52d~52f)のうち前記第1素子ではない残りの2つ素子を第2素子および第3素子とする場合、前記第2素子と前記グラウンドとの間に接続された第2シャント抵抗61bと、前記第3素子と前記グラウンドとの間に接続された第3シャント抵抗62cと、前記第2素子と前記第2シャント抵抗61bとの接続点と、前記電源用グラウンド接続点との間に、前記電力変換回路48および前記ドライバ回路51bと電気的に並列に接続された第2サージ電圧吸収素子67bと、前記第3素子と前記第3シャント抵抗62cとの接続点と、前記電源用グラウンド接続点との間に、前記電力変換回路48および前記ドライバ回路51bと電気的に並列に接続された第3サージ電圧吸収素子67cと、をさらに備える。
本実施形態によれば、3個のシャント抵抗61a、61b,61cを設けた構成で、シャント抵抗61a、61b,61cにより発生するサージを抑制することができる。
【0058】
本実施形態は、前記電力変換回路48と前記ドライバ回路51bとを含むパッケージ部品PKGを備え、前記第4スイッチング素子(IGBT52d)と前記第1シャント抵抗61a、との接続点は、前記パッケージ部品PKGの第1端子(端子NU)であり、前記第5スイッチング素子(IGBT52d)と前記第2シャント抵抗61bとの接続点は、前記パッケージ部品PKGの第2端子(端子NV)であり、前記第6スイッチング素子(IGBT52e)と前記第3シャント抵抗62cとの接続点は、前記パッケージ部品PKGの第3端子(端子NW)であり、前記電源用グラウンド接続点は、前記パッケージ部品PKGの第4端子(端子VNC)であり、前記第1サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a)は、前記第1端子(端子NU)と前記第4端子(端子VNC)との間に接続され、前記第2サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67b)は、前記第2端子(端子NV)と前記第4端子(端子VNC)との間に接続され、前記第3サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67b)は、前記第3端子(端子NW)と前記第4端子(端子VNC)との間に接続される。
本実施形態によれば、3個のシャント抵抗61a、61b,61cを設けた構成で、シャント抵抗61a、61b,61cにより発生するサージを抑制するための第1~第3のサージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a~67c)を配線基板上に実装できる。
【0059】
本実施形態では、前記第1サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a)は、前記パッケージ部品PKGの外部で前記第1端子(端子NU)と前記第4端子(端子VNC)との間に接続され、前記第2サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67b)は、前記パッケージ部品PKGの外部で前記第2端子(端子NV)と前記第4端子(端子VNC)との間に接続され、前記第3サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67c)は、前記パッケージ部品PKGの外部で前記第3端子と前記第4端子(端子VNC)との間に接続される。
本実施形態によれば、サージを抑制するための第1~第3のサージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a~67c)を、短い配線で接続できる。
【0060】
本実施形態では、前記第1から第3サージ電圧吸収素子の各々は、セラミックコンデンサ67a~67cである。
本実施形態によれば、サージ電圧吸収素子として高周波特性の優れたセラミックコンデンサを用いることで、サージノイズを確実に減少させることができる。
【0061】
本実施形態では、前記パッケージ部品PKGが実装された第1面(上面56a)と、前記第1面とは反対側に位置した第2面(下面56b)とを含む回路基板56をさらに備え、前記第1サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a)、前記第2サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67b)、および前記第3サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67c)は、前記回路基板56の前記第2面(下面56b)側に配置される。
本実施形態によれば、サージ電圧吸収素子を短い配線で接続することができる。
【0062】
本実施形態では、前記第1サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67a)、前記第2サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67b)、および前記第3サージ電圧吸収素子(セラミックコンデンサ67c)は、前記回路基板56の厚さ方向で見た場合、前記パッケージ部品PKGと重なる領域内に配置される。
本実施形態によれば、ヒートシンクや部品の物理的な影響を受けずに、サージ電圧吸収素子を短い配線で接続することができる。
【0063】
本実施形態は、前記モータを第1モータ40aとし、前記電力変換回路48を第1電力変換回路48aとし、前記ドライバ回路を第1ドライバ回路49aとする場合、前記第1モータ40aと比べて使用電流が小さい第2モータ40bと、直流電力を交流電力に変換して前記第2モータ40bに出力する電力変換回路48bであって、3相ブリッジ接続された第1から第6のスイッチング素子(IBGT52a~52f)と、前記第1から第6のスイッチング素子(IBGT52a~52f)に対して電気的に逆並列に接続された第1から第6のダイオード53a~53fとを有し、前記第1から第3スイッチング素子(IBGT52a~52c)が上アームに含まれ、前記第4から第6スイッチング素子(IBGT52e~52f)が下アームに含まれた第2電力変換回路48bと、前記第2電力変換回路48bの前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52e~52f)の各々の制御端子に接続され、前記第4から第6スイッチング素子(IGBT52e~52f)を制御するとともに、グラウンド端子を有した第2ドライバ回路51bと、前記第2電力変換回路48bの第4スイッチング素子(IGBT52e)と前記グラウンドとの間に接続されたシャント抵抗(セラミックコンデンサ67a)と、をさらに備え、前記第2電力変換回路48bおよび前記第2ドライバ回路49bに関してはサージ電圧吸収素子(同種のサージ電圧吸収素子)が設けられていない。
本実施形態によれば、複数のモータがある場合に、電流の小さいインバータ回路には、サージ電圧吸収素子を設けないことで、サージノイズの発生を抑圧しつつ、回路規模の削減とコストダウンを図ることができる。
【0064】
(第2実施形態)
前述の第1実施形態では、サージ電圧吸収素子として、セラミックコンデンサ67a~67cを用いている。これに対して、この第2実施形態では、サージ電圧吸収素子として、ショットキーダイオードを用いている。すなわち、図11は、第2実施形態におけるサージ電圧吸収素子の接続の説明図である。図11に示すように、第2実施形態では、インバータ回路50のパッケージ部品PKGの端子NU、端子NV、および端子NWと、端子VNCとの間に、サージ電圧吸収素子として、それぞれショットキーダイオード167a、167b、167cを接続している。これにより、下アームのIGBT52d~52fのエミッタとシャント抵抗61a~61cとの接続点と、制御電源のグラウンドGND2との間に、サージ電圧吸収素子として、ショットキーダイオード167a、167b、167cを接続している。ここで、回路基板56の第1面56aにインバータ回路50のパッケージ部品PKGが実装される場合、ショットキーダイオード167a、167b、167cは、回路基板56の第2面56b側に配置されている。ショットキーダイオード167a、167b、167cの各々の少なくとも一部は、回路基板56の厚さ方向で見たとき、インバータ回路50のパッケージ部品PKGと重なる領域内に配置される。
【0065】
(変形例)
以下、いくつかの変形例について説明する。なお各変形例において、以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。なお以下では、サージ電圧吸収素子として、セラミックコンデンサが設けられる場合の変形例について説明する。ただし、これら変形例では、第2実施形態と同様に、サージ電圧吸収素子として、ショットキーダイオードまたは別の素子が設けられてもよい。
【0066】
(第1変形例)
上述の実施形態では、3個のシャント抵抗61a、61b、61cにそれぞれ接続された3つのスイッチング素子(例えばIGBT52d~52f)に対応して3つのサージ電圧吸収素子(例えばセラミックコンデンサ67a~67c)が設けられている。これに代えて、3個のシャント抵抗61a、61b、61cにそれぞれ接続された3つのスイッチング素子(例えばIGBT52d~52f)のうち、配線長が相対的に長くなる1つまたは2つのスイッチング素子のみに対応して1個または2個のサージ電圧吸収素子が設けられてもよい。すなわち、3シャントの構造に対して1個または2個のサージ電圧吸収素子が設けられてもよい。この場合、例えば3つのスイッチング素子のなかで配線長が最も長くなるスイッチング素子は、「第1素子」の一例である。
【0067】
(第2変形例)
上述の実施形態では、U相、V相、W相に対応して3個のシャント抵抗61a、61b、61cが設けられている。これに代えて、洗濯機100は、U相、V相、W相のうちいずれか任意の2相に対応して(すなわち上記第1素子および第2素子に対応して)2個のシャント抵抗(例えばシャント抵抗61a、61b)のみを有してもよい。この場合、洗濯機100は、サージ圧吸収素子として、U相、V相、W相のうちシャント抵抗が設けられた2相に対応して2個のサージ電圧吸収素子(例えばセラミックコンデンサ67a、67b)のみが設けられてもよい。
【0068】
2個のサージ電圧吸収素子(例えばセラミックコンデンサ67a、67b)は、例えば、パッケージ部品PKGの外部に設けられ、回路基板56の下面56b側(第2面側)に配置されている。2個のサージ電圧吸収素子(例えばセラミックコンデンサ67a、67b)の各々の少なくとも一部は、回路基板56の厚さ方向で見たとき、インバータ回路50のパッケージ部品PKGと重なる領域内に配置される。
【0069】
(第3変形例)
上述の実施形態では、インバータ回路50のパッケージ部品PKGの端子NU、端子NV、端子NWと、高圧電源のグラウンドGND1との間に、3個のシャント抵抗61a、61b、61cを接続している。これにより、モータ40のU相、V相、W相の電流をそれぞれ検出することができる。インバータ回路50のパッケージ部品PKGの端子NU、端子NV、端子NWと、高圧電源のグラウンドGND1との間は、1つのシャント抵抗を接続する構成としてもよい。シャント抵抗が1つの場合には、下アームのIGBT52d~52fのエミッタと接続する端子NU、端子NV、および端子NWを1つにまとめられる。このため、サージ電圧吸収素子は1個でもよい。
【0070】
図12は、第3変形例にかかるインバータ回路50を用いてモータ40を駆動する場合の基本的な回路構成を示す。本第3変形例では、例えば、下アームのIGBT52d~52fのエミッタ(または端子NU、端子NV、および端子NW)が互いに接続された接続点である第1接続点(合流点)C1と、グラウンドGND1との間に1つのシャント抵抗61aが接続される。シャント抵抗61aには、コンデンサ68aが電気的に並列に接続される。
【0071】
本第3変形例では、下アームのIGBT52d~52fのエミッタの接続点(第1接続点C1)と、制御電源のグラウンドGND2との間に、サージ電圧吸収素子としてセラミックコンデンサ67a(図13参照)が接続される。言い換えると、セラミックコンデンサ67aは、下アームのIGBT52d~52fのエミッタの接続点である第1接続点C1と、ドライバ回路51bのグラウンド端子51gとグラウンドGNDとの接続点である第2接続点C2(例えば端子VNC)との間に接続される。セラミックコンデンサ67aは、電力変換回路48およびドライバ回路51bと電気的に並列に接続される。
【0072】
図13は、第3変形例にかかる洗濯機100における実装構造を示す。第3変形例では、例えば、パッケージPKGの端子NU、端子NV、および端子NWは、例えば、回路基板56上で互いに接続されている(例えば回路基板56に含まれる配線パターンにより互いに接続されている)。そして、端子NU、端子NV、または端子NWのうち任意の1つの端子(例えば端子NV)と端子VNCとの間に、セラミックコンデンサ67a(サージ電圧吸収素子)が接続される。なお、セラミックコンデンサ67aは、上記構成に代えて、端子NUと端子VNCとの間に接続されてもよく、端子NWと端子VNCとの間に接続されてもよい。
【0073】
図14は、本第3変形例におけるサージ電圧吸収素子の実装構造を示す。セラミックコンデンサ67aは、回路基板56の上面56a(第1面、図8参照)にインバータ回路50のパッケージ部品PKGが実装され、回路基板56の上面56aとは反対側の下面56b(第2面)において、端子NUと端子NVとの間に接続される。セラミックコンデンサ67aの少なくとも一部は、回路基板56の厚さ方向で見たとき、インバータ回路50のパッケージ部品PKGと重なる領域内に配置される。
【0074】
(その他の変形例)
サージ電圧吸収用素子は、セラミックコンデンサやショットキーダイオードにかぎらず、他のコンデンサやサージキラー、またはバリスタでもよい。
【0075】
また、サージ電圧吸収用素子の挿入箇所は、ドライバ回路の制御電源のグラウンド端子と、下アーム側のスイッチング素子のエミッタ端子との間に、直接挿入しなくてもよい。ドライバ回路のパッケージPKGの近くで、レイアウト上で挿入しやすい箇所に挿入すればよい。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
40、40a~40c…モータ、50、50a~50c…インバータ回路、51a、51b…ドライバ回路、52a~52f…IGBT、53a~53f…ダイオード、61a~61c…シャント抵抗、67a~67c…セラミックコンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14