(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133912
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】電気機器ユニットの連結構造および電気機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240926BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20240926BHJP
F16B 21/04 20060101ALI20240926BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20240926BHJP
H01R 9/24 20060101ALN20240926BHJP
H01R 13/62 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
H05K5/02 V
F16B5/07 C
F16B21/04 Z
H05K7/12 A
H01R9/24
H01R13/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043932
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 正和
(72)【発明者】
【氏名】松本 敦
(72)【発明者】
【氏名】新内 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】寺口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 康夫
【テーマコード(参考)】
3J001
3J037
4E353
4E360
5E021
5E086
【Fターム(参考)】
3J001FA15
3J001GA06
3J001JD00
3J001JD32
3J001KA19
3J001KB06
3J001KB12
3J037AA01
3J037BA02
3J037BB03
3J037BB04
3J037CA15
4E353AA05
4E353AA21
4E353AA30
4E353CC04
4E353CC07
4E353CC32
4E353DD02
4E353DD05
4E353DD14
4E353DD15
4E353DR05
4E353DR06
4E353DR08
4E353DR13
4E353DR14
4E353DR46
4E353DR47
4E353DR49
4E353DR53
4E353DR55
4E353GG21
4E360AB17
4E360AB18
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4E360EC13
4E360EC14
4E360ED13
4E360ED14
4E360ED23
4E360GA04
4E360GA53
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC14
5E021FA03
5E021FA09
5E021FB07
5E021FC31
5E021HC04
5E021HC09
5E086DD06
5E086HH07
5E086HH20
5E086LL20
(57)【要約】
【課題】 電気機器ユニットの連結をワンアクションで容易に行える連結構造を提供する。
【解決手段】 電気機器ユニットを相互に連結するための連結構造を構築する。電気機器ユニットとしての端子台ブロック1A、1Bが、一方の側に係合突部31、32、33を有し、各係合突部31、32、33に対応する係合凹部21、22、23を他方の側に有する。一方の端子台ブロック1Bの各係合突部31、32、33が他方の端子台ブロック1Aの各係合凹部21、22、23に対して、一方向からの接近のみによってワンアクションで係合することにより、各端子台ブロック1A、1Bが相互に連結される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器ユニットを相互に連結するための連結構造であって、
前記電気機器ユニットが、一方の側に係合部を有しかつ他方の側に前記係合部に対応する被係合部を有し、
一の前記電気機器ユニットの前記係合部が他の前記電気機器ユニットの前記被係合部に対して、一方向からの接近のみまたは回転のみによってワンアクションで係合することにより、前記各電気機器ユニットが相互に連結されるようになっている、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記係合部が前記被係合部に対して弾性係合している、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項3】
請求項1において、
前記係合部の前記被係合部に対する係合状態が前記一方向の逆方向への離反または逆転によって解除されないように規制する解除規制部材がさらに設けられており、前記解除規制部材により前記係合部の前記被係合部に対する係合状態が維持されている、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項4】
請求項1において、
前記係合部が軸方向に突出する係合突部であり、前記被係合部が軸方向またはこれと交差する方向に延びかつ前記係合突部が係脱可能に係合する係合凹部である、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項5】
請求項1において、
前記接近の方向が、前記電気機器ユニットの軸方向またはこれと交差する方向である、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項6】
請求項1において、
前記回転の方向が、前記電気機器ユニットの軸方向と直交する面に沿って回転する方向である、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項7】
請求項1において、
前記係合部が軸方向に突出する係合突部であり、前記被係合部が軸方向および周方向に延びるとともに前記係合突部が係脱可能に係合する係合凹部であって、前記係合突部の前記係合凹部に対する係合状態は、前記係合突部を前記係合凹部に対して周方向に移動させることにより解除されるようになっている、
ことを特徴とする電気機器ユニットの連結構造。
【請求項8】
請求項1に記載の前記連結構造により複数の前記電気機器ユニットを連結してなる電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば端子台やブレーカー、サーキットプロテクタ、リレー、リレーソケット、電源等の電気機器ユニットを相互に連結するための連結構造に関し、詳細には、その構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
端子台を相互に連結する連結構造として、たとえば、ねじとナットを用いて連結するねじ止め方式や、凸部を凹部に圧入して連結する圧入方式が用いられている。ねじ止め方式においては、特開2005-340142号公報に示すように、端子台に形成した貫通孔を挿通するねじを用意し、複数の端子台を並設して各端子台の各貫通孔にねじを挿通させるとともに、ねじの先端にナットを装着して締め付けることにより、各端子台を相互に連結するようにしている(同公報の
図13および段落[0007]参照)。また、圧入方式においては、前記公報に示すように、端子台の一方の側に凸部を、他方の側に凹部を設け、複数の端子台を並設して一方の端子台の凸部をこれと隣り合う他方の端子台の凹部に圧入することにより、各端子台を相互に連結するようにしている(同公報の
図14および段落[0008]参照)。
【0003】
しかしながら、ねじ止め方式による連結構造では、端子台の極数が増減すると、それに応じて使用するねじの長さが変化する。そのため、端子台の極数に応じた長さのねじをその都度用意しなければならない。極数に応じたねじを予め在庫しておこうとすると、管理コストが発生して、コストアップにつながる。また、圧入方式による連結構造では、凸部を凹部に完全に圧入するためには、一般に専用の冶具や装置、工具が必要となる。さらに、圧入方式においては、凸部が凹部に一旦圧入されてしまうと、各端子台を分離するのが難しく、そのため、連結後の端子台の組み換えは困難である。
【0004】
一方、実開平5-62970号公報に示すものでは、個々の連結端子台の一方の側面(1)に円弧状の2個の溝(2)を点対称の位置に設けるとともに、他方の側面(3)において各溝(2)に対応する位置に2個の突起(4)を設けている(同公報の段落[0008]、[0009]、
図1、
図2参照)。
【0005】
各連結端子台の連結の際には、一つの連結端子台の側面(3)の各突起(4)を他の連結端子台の側面(1)の各々対応する各溝(2)の大径側の一端に進入させた後、連結端子台を回転させ、各突起(4)を各溝(2)に沿って各溝(2)の他端側に移動させて係合させることにより、各連結端子台が相互にロックされて連結状態となる。当該公報には、各連結端子台を相互に連結する際に、連結のためのねじや専用の治具等が不要になり、各連結端子台がワンタッチで連結可能になると記載されている(同公報の段落[0006]、[0012]参照)、
【0006】
また、実開平5-48237号公報に示すものでは、コネクタハウジング(10)の側面(10a)に雄型係合体(11)を設け、コネクタハウジング(12)の側面(12a)に雌型係合部(13)を設けている(同公報の段落[0008]、
図1参照)。さらに、雄型係合体(11)の周壁(11a)に係合部(11b)を、端面(11d)にロック凹部(11e)をそれぞれ設けるとともに、雌型係合部(13)の内壁(13a)に係止部(13b)を、底壁(13c)にロック片(13d)をそれぞれ設けている(同公報の段落[0009]、[0010]、
図1、
図2参照)。
【0007】
各コネクタハウジング(10、12)の結合の際には、雄型係合体(11)の係合部(11b)を雌型係合部(13)の隣り合う各係止部(13b)間の間隙に合わせて嵌入した後(同公報の段落[0011]および
図4参照)、コネクタハウジング(10)を図示矢印方向に回転させて係止部(13b)に係止突起(11c)を当接させるとともに、ロック片(13d)をロック凹部(11e)に係合させることにより、各コネクタハウジング(10、12)を結合している(同公報の段落[0011]および
図5参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、実開平5-62970号公報に記載のものでは、各連結端子台の連結の際には、各突起(4)を各溝(2)に接近させて各溝(2)内に進入させ、進入後、連結端子台を回転させるというツーアクションが必要である。
【0009】
また、実開平5-48237号公報に示すものでは、各コネクタハウジング(10、12)の結合の際には、雄型係合体(11)の係合部(11b)を雌型係合部(13)の隣り合う各係止部(13b)間に嵌入し、嵌入後、雄型係合体(11)(または雌型係合部(13))を回転させるというツーアクションが同様に必要である。
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、電気機器ユニットの連結をワンアクションで容易に行える連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、電気機器ユニットを相互に連結するための連結構造において、電気機器ユニットが、一方の側に係合部を有しかつ当該係合部に対応する被係合部を他方の側に有している。一の電気機器ユニットの係合部が他の電気機器ユニットの被係合部に対して、一方向からの接近のみまたは回転のみによってワンアクションで係合することにより、各電気機器ユニットが相互に連結されるようになっている。
【0012】
本発明において、電気機器ユニットを相互に連結する際には、一の電気機器ユニットの係合部を他の電気機器ユニットの被係合部に対して、一方向からの接近のみまたは回転のみによってワンアクションで係合させる。これにより、各電気機器ユニットが相互に連結される。
【0013】
本発明によれば、電気機器ユニットを相互に連結するのに、一の電気機器ユニットの係合部を他の電気機器ユニットの被係合部に対してワンアクションで係合させるだけでよいので、電気機器ユニットの連結をワンアクションで容易に行え、これにより、作業時間を短縮でき、作業効率を向上できる。
【0014】
本発明では、係合部が被係合部に対して弾性係合している。
【0015】
本発明では、係合部の被係合部に対する係合状態が一方向の逆方向への離反または逆転によって解除されないように規制する解除規制部材がさらに設けられており、当該解除規制部材により係合部の被係合部に対する係合状態が維持されている。
【0016】
本発明では、係合部が軸方向に突出する係合突部であり、被係合部が軸方向またはこれと交差する方向に延びかつ係合突部が係脱可能に係合する係合凹部である。
【0017】
本発明では、接近の方向が電気機器ユニットの軸方向またはこれと交差する方向である。
【0018】
本発明では、回転の方向が電気機器ユニットの軸方向と直交する面に沿って回転する方向である。
【0019】
本発明では、係合部が軸方向に突出する係合突部であり、被係合部が軸方向および周方向に延びるとともに係合突部が係脱可能に係合する係合凹部であって、係合突部の係合凹部に対する係合状態は、係合突部を係合凹部に対して周方向に移動させることにより解除されるようになっている。
【0020】
本発明に係る電気機器は、前記連結構造により複数の電気機器ユニットを連結して構成されている。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る電気機器ユニットの連結構造によれば、電気機器ユニットの連結をワンアクションで容易に行えるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施例による連結構造を備えた電気機器ユニットの前面側斜視図である。
【
図2】前記電気機器ユニット(
図1)の後面側斜視図である。
【
図3】前記電気機器ユニット(
図1)の前面図である。
【
図4】前記電気機器ユニット(
図1)の側面図である。
【
図5】前記電気機器ユニット(
図1)の後面図である。
【
図6】
図5のVI-VI線断面図であって、前記電気機器ユニット(
図5)の後面に形成された係合凹部を斜め後方から見た図である。
【
図7】
図5のVII-VII線断面図であって、前記電気機器ユニット(
図5)の後面に形成された係合凹部を側方から見た拡大図であって、他の電気機器ユニットの連結時に当該係合凹部に挿入された他の電気機器ユニットの係合突部を一点鎖線で示している。
【
図8】
図7において他の電気機器ユニットの分離時に係合突部が係合凹部内を移動して弾性変形した状態を示している。
【
図9】前記連結構造(
図1)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結前の前面側斜視図である。
【
図10】前記連結構造(
図1)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結前の後面側斜視図である。
【
図11】前記連結構造(
図1)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結後の前面側斜視図である。
【
図12】前記連結構造(
図1)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結後の後面側斜視図である。
【
図13】連結後の各電気機器ユニット(
図11、
図12)を分離する際の手順を説明するための前面側斜視図である。
【
図14】連結後の各電気機器ユニット(
図11、
図12)を分離する際の手順を説明するための前面図である。
【
図15】連結後の各電気機器ユニット(
図11、
図12)を分離する際の手順を説明するための後面図である。
【
図16】本発明の第2の実施例による連結構造を備えた電気機器ユニットの前面側斜視図である。
【
図17】前記電気機器ユニット(
図16)の後面側斜視図である。
【
図18】前記電気機器ユニット(
図16)の底面側斜視図である。
【
図20】
図19のXX-XX線断面部分図であって、他の電気機器ユニットの連結時に係合凹部に挿入された他の電気機器ユニットの係合突部を一点鎖線および二点鎖線で示している。
【
図21】前記連結構造(
図16)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結前の後面側斜視図である。
【
図22】前記連結構造(
図16)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結前の前面側斜視図である。
【
図23】前記連結構造(
図16)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結後の後面側斜視図である。
【
図24】前記連結構造(
図16)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、連結後の各電気機器ユニットを下面側から見た前面側斜視図である。
【
図25】本発明の第3の実施例による連結構造を備えた電気機器ユニットの前面側斜視図である。
【
図26】前記電気機器ユニット(
図25)の後面側斜視図である。
【
図28】前記電気機器ユニット(
図25)を底面側から見た後面側斜視図である。
【
図29】前記連結構造(
図25)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結前の前面側斜視図である。
【
図30】前記連結構造(
図25)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、連結前の各電気機器ユニットを下面側から見た前面側斜視図である。
【
図31】前記連結構造(
図25)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、各電気機器ユニットの連結後の前面側斜視図である。
【
図32】前記連結構造(
図25)を備えた2つの電気機器ユニットを連結する際の手順を説明するための図であって、連結後の各電気機器ユニットを下面側から見た前面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
<第1の実施例>
図1ないし
図15は、本発明の第1の実施例による電気機器ユニットの連結構造を説明するための図であって、
図1ないし
図8は、電気機器ユニットの構成を説明するための図であり、
図9ないし
図15は、2つの電気機器ユニットを相互に連結/分離する際の手順を説明するための図である。ここでは、電気機器ユニットとして端子台ブロックを例にとり、端子台ブロックとしてねじ式のものを例にとる。また、説明の便宜上、
図4(側面図)において、図示左方を前方(前側/前面側/軸方向前方)、図示右方を後方(後側/後面側/軸方向後方)、図示左右方向を前後方向(軸方向)、図示上下方向を上下方向と呼称し、
図3(前面図)において図示左右方向を左右方向と呼称する。
【0024】
図1ないし
図5に示すように、絶縁性樹脂からなる端子台ユニット(電気機器ユニット)1は、後側に概略矩形板状の壁部2を有している。壁部2の後面20には、3つの係合穴(係合凹部/被係合部)21、22、23が形成されている(
図2、
図5参照)。各係合穴21、22、23は、前方(軸方向前方)に向かって所定の深さを有している。係合穴21は、後面20の上側に配置され、係合穴22、23は後面20の下側に配置されている。各係合穴21、22、23は、軸心Oを中心とする円周上に概略均等間隔で配置されており、それぞれ円弧状に(つまり周方向に)延びている(
図5参照)。
【0025】
壁部2の前側には、前方に向かって概略逆T字状に張り出す張出部3が壁部2と一体に設けられている。張出部3の端部寄りの位置には、張出部3の前面30からそれぞれ前方(軸方向前方)に突出する係合突部(係合部)31、32、33が設けられている(
図1ないし
図4参照)。各係合部31、32、33は、各係合穴21、22、23にそれぞれ対応する位置(つまり、壁部2を挟んでそれぞれ軸方向に相対する位置)に配置されており、他の端子台ブロックの各係合穴21、22、23に係脱可能に係合するように設けられている。
【0026】
係合突部31は、
図4に示すように、壁部3の前面30から前方に延びる軸部31Aと、その先端に設けられ、半径方向外方に膨出する膨出部31Bとを有している。膨出部31Bは、その後端側に配置され、軸方向と直交する方向に延びる立壁面31b
1と、前端側に配置され、軸方向に対して傾斜する方向に延びる傾斜面31b
2とを有しており、これら立壁面31b
1および傾斜面31b
2により、膨出部31Bは、半径方向外方に向かうに従い先細りとなるテーパー状に形成されている。また、軸部31Aおよび膨出部31Bは、
図3に示すように、前方から見て円弧状(つまり周方向)に延びている。
【0027】
係合突部32、33は、係合部31と同様の構成を有しており、
図4に示すように、係合突部32は、壁部3の前面30から前方に延びる軸部32Aおよびその先端の膨出部32Bを有し、係合突部33は、壁部3の前面30から前方に延びる軸部33Aおよびその先端の膨出部33Bを有している。各膨出部32B、33Bは、膨出部31Bと同様に、テーパー状に形成されている。
【0028】
図1および
図3に示すように、壁部3の前面側には、左右一対の結線用ねじ10、11が設けられている。ねじ10、11はそれぞれ台座12、13を挿通して上下方向に延びている。各台座12、13は上下方向移動可能に設けられている。ねじ10、11の上方には、各ねじ10、11の頭部10A、11Aをそれぞれ上方から覆う一対の略L字状または略逆L字状のカバープレート14が設けられている。各カバープレート14には、各ねじ10、11の頭部10A、11Aにそれぞれ対応する位置に上下方向の貫通孔14a、14bがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔14a、14bは、ねじ10、11の各頭部10A、11Aに対して工具(たとえばプラスドライバー)をアクセスさせるための孔である。また、各ねじ10、11の下方には、ベースプレート15が配設されており、ベースプレート15において各ねじ10、11に対応する位置には、上下方向の雌ねじ孔15a、15bがそれぞれ形成されている。
【0029】
結線の際には、ねじ10、11および雌ねじ孔15a、15bの間にそれぞれ電線の端子(図示せず)を配置するとともに、工具(図示せず)をカバープレート14の各貫通孔14a、14bから挿入し、工具の先端を各ねじ10、11の各頭部10A、10Bに押し付けつつ締付方向に回転させる。すると、工具とともに各ねじ10、11および台座12、13が下方に移動するとともに、各ねじ10、11の先端がベースプレート15の各雌ねじ孔15a、15bに当接して螺合する。これにより、電線の端子が端子台ユニット1に取り付けられるようになっている。
【0030】
次に、係合穴21、22、23の詳細について
図5ないし
図8を用いて説明する。ここでは、係合穴21を例にとって説明するが、他の係合穴22、23についても同様の構成を有する。
【0031】
図5およびそのVI-VI線断面の後方側斜視図である
図6に示すように、係合穴21は、下方(半径方向内方/内周側)に配置され、周方向に延びる円弧状の下面21aと、上方(半径方向外方/外周側)に配置され、下面21aの円弧形状と概ね同心で周方向に延びる円弧状の上面21bと、上下面21a、21bの左右端に配置され、概ね半径方向に延びるとともに上下面21a、21bを連結する立壁面21c、21dと、係合穴21の底側(
図5紙面奥側)に配置され、上下面21a、21bおよび各立壁面21c、21dに接続された底壁面21eとを有している。なお、
図6においては、係合穴21の各面の凹凸状態を明確に表示するために、係合穴21の一部をグレーで着色表示している。
【0032】
係合穴21の開口端の上側縁部には、
図5、
図6に示すように、係合穴21の底側に向かって延びつつ上面21aに接続される傾斜面21b
1が形成されている。傾斜面21b
1および下面21a間の半径方向間隔(つまり開口高さ)は、壁部3の前面30に向かうに従い徐々に大きくなっている。傾斜面21b
1は、
図5において係合穴21の図示右側の領域において上面21bに沿ってその周方向長さの略半分の距離に配設されている。傾斜面21b
1の後方側(
図5紙面奥側)には、
図6に示すように、上方に凹む段差を構成する立壁面21b
2および上面21b
3が形成されている。立壁面21b
2および上面21b
3は、
図5において係合穴21の図示左側の領域において上面21bに対して傾斜面21b
4を介して接続されている。傾斜面21b
4および下面21a間の半径方向間隔(つまり開口高さ)は、
図5において図示右側に向かうに従い徐々に大きくなっている。
【0033】
上述したように、他の係合穴22、23は、係合穴21と同様の構成を有しており、
図5に示すように、半径方向内方に配置され、周方向に延びる円弧状の下面22a、23aと、半径方向外方に配置され、下面21aの円弧形状と概ね同心で周方向に延びる円弧状の上面22b、23bと、上下面22a、22b;23a、23bの左右端に配置され、概ね半径方向に延びるとともに上下面22a、22b;23a、23bを連結する立壁面22c、22d;23c、23dと、係合穴22、23の底側(
図5紙面奥側)に配置され、上下面22a、22b;23a、23bおよび各立壁面22c、22d;23c、23dに接続された底壁面22e、23eと、係合穴22、23の開口端の上側縁部に形成された傾斜面22b
1、23b
1とを有している。
【0034】
次に、本実施例の作用効果について
図9ないし
図15を用いて説明する。
ここでは、2つの端子台ブロックを連結/分離する場合を例にとる。
図9ないし
図12は各端子台ブロックを連結する際の手順を、
図13ないし
図15は各端子台ブロックを分離する際の手順をそれぞれ示している。
【0035】
2つの端子台ブロック1A、1Bを連結する際には、
図9および
図10に示すように、各端子台ブロック1A、1Bを同じ向きに配置して所定間隔を隔てた状態にする。この例では、一の端子台ブロック1Aの壁部2の後面20が他の端子台ブロック1Bの前面30と対向配置されている。
【0036】
この状態から、各端子台ブロック1A、1Bを相対的に接近させ(つまり、いずれかまたは双方の端子台ブロック1A、1Bを接近側に向かって軸方向に移動させ)、端子台ブロック1Aの各係合穴21、22、23に端子台ブロック1Bのそれぞれ対応する各係合突部31、32、33を接近させて、各係合突部31、32、33の先端の各膨出部31B、32B、33B(
図4)を各係合穴21、22、23の各傾斜面21b
1、22b
1、23b
1(
図5)に向かって進入させる。すると、各膨出部31B、32B、33Bの前面側の各傾斜面31b
2、32b
2、33b
2(
図3、
図4)が係合穴21、22、23の各傾斜面21b
1、22b
1、23b
1(
図5)に当接した状態で、各膨出部31B、32B、33Bが各係合穴21、22、23内に進入する。
【0037】
このとき、各膨出部31B、32B、33Bには、各傾斜面21b
1、22b
1、23b
1から半径方向内方に向かう押付力が作用することにより、樹脂製の各係合突部31、32、33は先端側が半径方向内方に向かって弾性変形する。この状態からさらに各係合突部31、32、33を各係合穴21、22、23内に進入させると、
図7二点鎖線に示すように(同図は係合突部31について示すが、各係合突部32、33についても同様)、各係合突部31、32、33の先端の各膨出部31B、32B、33Bが各係合穴21、22、23の上面21b、22b、23b(
図5、
図6)に沿って各係合穴21、22、23の内部に進入する。そして、各膨出部31B、32B、33Bが各係合穴21、22、23の奥側まで移動すると、弾性変形していた各係合突部31、32、33が元の状態に戻ることにより、
図7一点鎖線に示すように、各膨出部31B、32B、33Bの立壁面31b
1等が各係合穴21、22、23の立壁面21b
2等に係合する。
【0038】
このようにして、各係合突部31、32、33がそれぞれ対応する各係合穴21、22、23に係合して、2つの端子台ブロック1A、1Bが連結されて端子台(電気機器)が構成される(つまり組み立てられる)ことになる(
図11、
図12)。なお、各係合突部31、32、33の先端の各膨出部31B、32B、33Bが各係合穴21、22、23の奥側まで移動したとき、弾性変形していた各係合突部31、32、33が完全に弾性変形前の状態に戻るようにしなくてもよく、わずかに弾性変形量を残しておくことにより、各係合突部31、32、33の各膨出部31B、32B、33Bが各係合穴21、22、23に弾性係合するようにしてもよい。これにより、各端子台ブロック1A、1Bの連結時に相互のガタツキをなくすことができる。
【0039】
各係合突部31、32、33の各膨出部31B、32B、33Bが各係合穴21、22、23に係合した状態(
図7一点鎖線参照)から、各端子台ブロック1A、1Bを接近方向と逆方向に移動(離反)させようとしても、各膨出部31B、32B、33Bの立壁面31b
1等が各係合穴21、22、23の立壁面21b
2等に干渉するので(同図一点鎖線参照)、当該係合状態を解除することができず、各端子台ブロック1A、1Bを接近方向と逆方向に分離することはできない。よって、各膨出部31B、32B、33Bの立壁面31b
1等および各係合穴21、22、23の立壁面21b
2等は、係合状態の解除を規制することによって係合状態を維持するための解除規制部材として機能している。
【0040】
次に、連結状態の2つの端子台ブロック1A、1B(
図11、
図12)を分離する際には、
図13ないし
図15に示すように、端子台ブロック1Bを端子台ブロック1Aに対して軸心O(
図2、
図5)の回りを後面20側から見て反時計回りに回転させる(
図15参照)。または、端子台ブロック1Aを端子台ブロック1Bに対して軸心O(
図2、
図5)の回りを前面30側から見て反時計回りに回転させる(
図15参照)。あるいは、各端子台ブロック1A、1Bを軸心O(
図2、
図5)の回りを相対的に回転させる(
図15参照)。
【0041】
このとき、端子台ブロック1Bの各係合突部31、32、33が端子台ブロック1Bの各係合穴21、22、23の内部を各係合穴21、22、23の円弧形状に沿って周方向に回転移動する。この回転時には、端子台ブロック1Bの各係合突部31、32、33の各膨出部31B、32B、33Bが、各係合穴21、22、23内において傾斜面21b
4等に当接するので(
図8一点鎖線、
図6参照)、各膨出部31B、32B、33Bが傾斜面21b
4等から押付力を受けて弾性変形する(
図8一点鎖線参照)。
【0042】
これにより、各膨出部31B、32B、33Bの立壁面31b
1等が各係合穴21、22、23の立壁面21b
2等から離れて係合状態が解除され(
図8一点鎖線参照)、各膨出部31B、32B、33Bは、係合穴21、22、23の立壁面21c等寄りの位置において軸方向に段差なく延びる上面21b等に当接している(同図一点鎖線、
図6参照)。
【0043】
この状態から、各端子台ブロック1A、1Bを互いに離反する側に向かって軸方向に移動させると、係合突部31、32、33の膨出部31B、32B、33Bが係合穴21、22、23の上面21b、22b、23b(
図5、
図6)に沿って軸方向に移動することにより(
図8二点鎖線参照)、係合突部31、32、33が係合穴21、22、23から外れる。このようにして、各端子台ブロック1A、1Bを分離することができる。
【0044】
このような本実施例によれば、端子台ブロック1A、1Bを相互に連結するのに、一の端子台ブロック1B(または1A)の各係合突部31、32、33を他の端子台ブロック1A(または1B)の各係合穴21、22、23内に進入させるだけで(すなわち、各係合穴21、22、23に対して一方向(軸方向)からの接近のみによって)、各係合突部31、32、33を各々対応する各係合穴21、22、23にワンアクションで係合できるので、各端子台ブロック1A、1Bの連結をワンアクションで容易に行えるようになる。これにより、作業時間を短縮でき、作業効率を向上できる。
【0045】
しかも、本実施例によれば、各端子台ブロック1A、1Bの分離の際には、端子台ブロック1A、1Bのいずれかまたは双方を円弧状の係合穴21、22、23に沿って回転させた後、端子台ブロック1A、1Bを軸方向に離反させればよいので、ねじ止め方式や圧入方式に比べて、各端子台ブロック1A、1Bの分離を容易に行えるようになる。これにより、各端子台ブロックの組み換え(たとえば極数の増減のための追加・削減や交換、誤組立ての場合の組直し等)も容易に行える。さらに、別の言い方をすれば、ねじ止め方式や圧入方式に比べると各端子台ブロック1A、1Bの分離は容易になるものの、分離の際には、各端子台ブロック1A、1Bの回転および軸方向への離反という、連結時とは異なるツーアクションが要求されるので、連結時のようにワンアクションで容易に分離することはできず、これにより、安定した連結状態を実現できる。
【0046】
また、本実施例によれば、連結時の係合状態が、複数の係合突部31、32、33およびこれらに対応する複数の係合穴21、22、23により実現されており(このとき、好ましくは、各係合突部31、32、33の各膨出部31B、32B、33Bおよび各係合穴21、22、23が弾性係合しており)、これに加えて、各膨出部31B、32B、33Bの各立壁面31b1等および各係合穴21、22、23の各立壁面21b2等により、係合状態の解除を規制する解除規制部材が設けられていることにより、組立後に衝撃や振動に強い端子台を実現できる。
【0047】
<第2の実施例>
図16ないし
図24は、本発明の第2の実施例による電気機器ユニットとしてのねじ式の端子台ブロックの連結構造を説明するための図であって、
図16ないし
図20は、電気機器ユニットの構成を説明するための図であり、
図21ないし
図24は、電気機器ユニットを相互に連結/分離する際の手順を説明するための図である。各図中、前記第1の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。また、説明の便宜上、
図19(底面図)において、図示左方を前方(前側/前面側/軸方向前方)、図示右方を後方(後側/後面側/軸方向後方)、図示左右方向を前後方向(軸方向)、図示上下方向を左右方向、紙面垂直方向を上下方向と呼称する。
【0048】
図16ないし
図20に示すように、絶縁性樹脂からなる端子台ユニット(電気機器ユニット)1は、後側に概略矩形板状の壁部2を有している。壁部2の後面20において、上端には、後方に突出する係合突部(係合部)24が設けられている(
図16ないし
図18参照)。係合突部24は、平面視逆三角形状(または逆台形状)を有しており、先端側に向かうにしたがい徐々に幅広に形成されている。一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の上端には、下方に凹む係合凹部(被係合部)34が形成されている(
図16参照)。係合凹部34は、係合突部24に対応する平面視逆三角形状(または逆台形状)を有しており、前面30から奥側に向かうにしたがい徐々に幅広に形成されている。係合凹部34は、他の端子台ブロックにおける係合突部24が上下方向から係脱可能に係止し得るように設けられており、係合突部24に対してアリとアリ溝の関係にある。
【0049】
壁部2の後面20の下部において左右端寄りの位置には、上下方向に延びる係合凹部(被係合部)25、26が設けられている(
図17参照)。各係合凹部25、26は、横断面逆三角形状(または逆台形状)を有しており、後面20側に向かうにしたがい徐々に幅広に形成されている。一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の下端において、左右端寄りの位置には、上下方向に延びる平面視逆三角形状(または逆台形状)の係合突部(係合部)35、36が設けられている(
図16参照)。係合突部35、36は、他の端子台ブロックにおける係合凹部25、26に上下方向から係脱可能に係止し得るように設けられており、係合凹部25、26に対してアリ溝とアリの関係にある。
【0050】
壁部2の後面20の下部中央には、壁部2および張出部3の内部において上下方向に延びる係合凹部(被係合部)27が設けられている(
図17参照)。係合凹部27は、後面20の下部中央の上方において後面20に開口するスリット27’を有しており、スリット27’は、壁部2および張出部3の内部において係合凹部27に連通している。係合凹部27は、壁部2および張出部3の底面側にも開口しており、
図19に示すように、底面視矩形状の幅広の開口部27Aと、これに連続する底面視矩形状の幅狭の開口部27Cとを有している。係合凹部27は、
図20に示すように、壁部2の内部において、傾斜面27cと、上下方向に延びる立壁面27bとを有している。
【0051】
一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の下端中央には、係合突部(係合部)37が設けられている(
図16参照)。係合突部37は前面30から前方に延びる基部37Aと、基部37Aの先端から上方に柱状に延びる柱状部37Bと、柱状部37Bの上端から前後方向に突出する突出部37Cとを有している。係合突部37は、他の端子台ブロックにおける係合凹部27に上下方向から係脱可能に係止し得るように設けられている。突出部37Cには、上下方向に延びる貫通孔37cが形成されている。
【0052】
次に、本実施例の作用効果について
図20ないし
図24を用いて説明する。
ここでは、2つの端子台ブロックを連結/分離する場合を例にとる。
図21ないし
図24は各端子台ブロックを連結/分離する際の手順を示している。
【0053】
2つの端子台ブロック1A、1Bを連結する際には、
図21および
図22に示すように、端子台ブロック1Bを端子台ブロック1Aの若干下方に位置させた状態で、端子台ブロック1Aの後側に端子台ブロック1Bの前側を配置して端子台ブロック1Aの後面20に端子台ブロック1Bの前面30を当接させる。なお、各端子台ブロック1A、1Bの前後の位置関係は逆でもよい。
【0054】
この状態から、端子台ブロック1Aを下方に(および/または端子台ブロック1Bを上方に)移動させる。このとき、各係合突部24、35、36、37および各係合凹部34、25、26、27は互いの接近方向である、軸方向との直交方向に移動する。すると、
図23に示すように、端子台ブロック1Aの係合突部24が端子台ブロック1Bの係合凹部34に上方から係合する。また、端子台ブロック1Bの係合突部35、36が端子台ブロック1Aの係合凹部25、26に下方から係合するとともに、
図24に示すように、端子台ブロック1Bの係合突部37が端子台ブロック1Aの係合凹部27に下方から係合する。
【0055】
係合突部37の係合凹部27への係合時には、
図20一点鎖線に示すように、係合突部37の突出部37Cが係合凹部27内部の傾斜面27cに当接し、このとき、突出部37Cが傾斜面27cから押付力の作用を受けることにより、樹脂製の係合突部31の柱状部37Bが弾性変形する。この状態から、係合突部37が係合凹部27内を上方に移動すると、突出部37Cが立壁面27b上を摺動しつつ上方に移動する。そして、突出部37Cがスリット27’と対向する位置まで移動すると、弾性変形していた柱状部37Bが元の状態に戻ることにより、突出部37Cがスリット27’に係合する(
図20二点鎖線参照)。
【0056】
このようにして、2つの端子台ブロック1A、1Bが連結されて端子台(電気機器)が構成されることになる(
図23、
図24)。なお、係合突部37の突出部37Cが係合凹部27のスリット27’の位置まで移動したとき、弾性変形していた係合突部37が完全に弾性変形前の状態に戻るようにしなくてもよく、わずかに弾性変形量を残しておくことにより、係合突部37の突出部37Cが係合凹部27のスリット27’に弾性係合するようにしてもよい。これにより、各端子台ブロック1A、1Bの連結時に相互のガタツキをなくすことができる。
【0057】
各係合突部24、35、36、37が各係合凹部34、25、26、27に係合した状態から、各端子台ブロック1A、1Bを軸方向に離反する方向に移動させようとしても、係合突部24および係合凹部34の係合状態、ならびに、各係合突部35、36および各係合凹部25、26の係合状態がいずれもアリおよびアリ溝による係合なので、各端子台ブロック1A、1Bを軸方向に分離させることはできない。
【0058】
また、各係合突部24、35、36、37が各係合凹部34、25、26、27に係合した状態から、各端子台ブロック1A、1Bを接近方向と逆方向(上下方向)に移動(離反)させようとしても、係合突部37の突出部37Cが係合凹部27のスリット27’の底壁面27’cと干渉するので(
図20参照)、当該係合状態を解除することができず、各端子台ブロック1A、1Bを接近方向と逆方向に分離することはできない。よって、係合突部37の突出部37Cおよび係合凹部27のスリット27’の底壁面27’cは、係合状態の解除を規制することによって係合状態を維持するための解除規制部材として機能している。
【0059】
次に、連結状態の2つの端子台ブロック1A、1B(
図23、
図24)を分離する際には、係合凹部27内に壁部2および張出部3の底面側から(
図18ないし
図20参照)、たとえばマイナスドライバー等の工具の先端を挿入して係合突部37の突出部37Cの貫通孔37cに係止させ、突出部37Cがスリット27’から外れる側に押付力を作用させる。すると、係合突部37の柱状部37Bが弾性変形することにより、係合突部37の突出部37Cとスリット27’との係合状態が解除される。この状態から、各端子台ブロック1A、1Bを分離方向に移動させると、突出部37Cが係合凹部27の立壁面27bおよび傾斜面27cに沿って移動して、端子台ブロック1Aの底面側の開口部27A、27C(
図19)から下方に抜ける。このようにして、各端子台ブロック1A、1Bを分離することができ
【0060】
このような本実施例によれば、端子台ブロック1A、1Bを相互に連結するのに、一方の端子台ブロック1A(または1B)の各係合突部24、35、36、37を他方の端子台ブロック1B(または1A)の各係合凹部34、25、26、27内に進入させるだけで(すなわち、各係合凹部34、25、26、27に対して一方向からの接近のみによって)、各係合突部24、35、36、37を各々対応する各係合凹部34、25、26、27にワンアクションで係合できるので、各端子台ブロック1A、1Bの連結をワンアクションで容易に行えるようになる。これにより、作業時間を短縮でき、作業効率を向上できる。
【0061】
しかも、本実施例によれば、各端子台ブロック1A、1Bの分離の際には、端子台ブロック1A、1Bのいずれかまたは双方を接近方向と逆方向に移動させればよいので、ねじ止め方式や圧入方式に比べて、各端子台ブロック1A、1Bの分離を容易に行えるようになる。これにより、各端子台ブロックの組み換え(たとえば極数の増減のための追加・削減や交換、誤組立ての場合の組直し等)も容易に行える。さらに、別の言い方をすれば、ねじ止め方式や圧入方式に比べると各端子台ブロック1A、1Bの分離は容易になるものの、分離の際には、係合凹部27のスリット27’からマイナスドライバー等の工具の先端を差し込んで係合突部37の突出部37Cを弾性変形させる作業が別途必要になるので、連結時のようにワンアクションで容易に分離することはできず、これにより、安定した連結状態を実現できる。
【0062】
<第3の実施例>
図25ないし
図32は、本発明の第3の実施例による電気機器ユニットとしてのねじ式の端子台ブロックの連結構造を説明するための図であって、
図25ないし
図28は、電気機器ユニットの構成を説明するための図であり、
図29ないし
図32は、電気機器ユニットを相互に連結/分離する際の手順を説明するための図である。各図中、前記第1、第2の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。また、説明の便宜上、
図27(前面図)において、紙面手前側を前方(前側/前面側/軸方向前方)、紙面奥側を後方(後側/後面側/軸方向後方)、紙面垂直方向を前後方向(軸方向)、図示左右方向を左右方向、図示上下方向を上下方向と呼称する。
【0063】
図25ないし
図28に示すように、絶縁性樹脂からなる端子台ユニット(電気機器ユニット)1は、後側に概略矩形板状の壁部2を有している。壁部2の後面20において、上端の一方の角部には、後方に突出する係合突部(係合部)39
1が設けられている(
図25、
図26参照)。係合突部39
1は、後面20から延びる軸部39
1Aと、その先端から壁部2の内方に向かって軸方向と直交する方向に屈曲するフック部39
1Bとを有している。一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の上端において、係合突部39
1と相対する位置には、壁部2の内方(つまり軸方向と直交する方向)に凹む係合凹部(被係合部)29
1が形成されている(
図25、
図26参照)。係合凹部29
1は、係合突部39
1に対応する相補的形状を有しており、他の端子台ブロックにおける係合突部39
1が周方向から係脱可能に係止し得るように設けられている。係合凹部29
1の前側には立壁部29
1Bが設けられており、他の端子台ブロックの係合突部39
1の係合後は、係合突部39
1のフック部39
1Bが係合凹部29
1の立壁部29
1Bに干渉することにより、当該係合状態が軸方向への移動によって解除されないようになっている。
【0064】
壁部2の後面20において、前記一方の角部に対して対角線方向の角部には、後方に突出する係合突部(係合部)39
2が設けられている(
図26参照)。係合突部39
2は、係合突部39
1と同様の構成を有しており、後面20から延びる軸部39
2Aと、その先端から壁部2の内方に向かって軸方向と直交する方向に屈曲するフック部39
2Bとを有している。一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の下端において、係合突部(係合部)39
2と相対する位置には、壁部2の内方(つまり軸方向と直交する方向)に凹む係合凹部(被係合部)29
2が形成されている(
図25参照)。係合凹部29
2は、係合突部39
2に対応する相補的形状を有しており、他の端子台ブロックにおける係合突部39
2が周方向から係脱可能に係止し得るように設けられている。係合凹部29
2の前側には立壁部29
2Bが設けられており、他の端子台ブロックの係合突部39
2の係合後は、係合突部39
2のフック部39
2Bが係合凹部29
2の立壁部29
2Bに干渉することにより、当該係合状態が軸方向への移動によって解除されないようになっている。
【0065】
壁部2の後面20において、前記一方の角部の側方の角部には、壁部2の内方に凹む係合凹部(被係合部)28
1が形成されている(
図25、
図26参照)。一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の上端において、係合凹部28
1と相対する位置には、前方に突出する係合突部(係合部)38
1が設けられている(
図25、
図26参照)。係合突部38
1は、係合突部39
1と同様の構成を有しており、前面30から延びる軸部38
1Aと、その先端から壁部2の内方に向かって軸方向と直交する方向に屈曲するフック部38
1Bとを有している。係合凹部28
1は、係合突部38
1に対応する相補的形状を有しており、他の端子台ブロックにおける係合突部38
1が周方向から係脱可能に係止し得るように設けられている。係合凹部28
1の後側には立壁部28
1Bが設けられており、他の端子台ブロックの係合突部38
1の係合後は、係合突部38
1のフック部38
1Bが係合凹部28
1の立壁部28
1Bに干渉することにより、当該係合状態が軸方向への移動によって解除されないようになっている。
【0066】
壁部2の後面20において、前記一方の角部の下方の角部には、壁部2の内方に凹む係合凹部(被係合部)28
2が形成されている(
図26参照)。一方、壁部2の前側に配置された概略逆T字状の張出部3の前面30の下端において、係合凹部28
2と相対する位置には、前方に突出する係合突部(係合部)38
2が設けられている(
図25、
図26参照)。係合突部38
2は、係合突部39
2と同様の構成を有しており、前面30から延びる軸部38
2Aと、その先端から壁部2の内方に向かって軸方向と直交する方向に屈曲するフック部38
2Bとを有している。係合凹部28
2は、係合突部38
2に対応する相補的形状を有しており、他の端子台ブロックにおける係合突部38
2が周方向から係脱可能に係止し得るように設けられている。係合凹部28
2の後側には立壁部28
2Bが設けられており、他の端子台ブロックの係合突部38
2の係合後は、係合突部38
2のフック部38
2Bが係合凹部28
2の立壁部28
2Bに干渉することにより、当該係合状態が軸方向への移動によって解除されないようになっている。
【0067】
次に、本実施例の作用効果について
図29ないし
図32を用いて説明する。
ここでは、2つの端子台ブロックを連結/分離する場合を例にとる。
図29ないし
図32は各端子台ブロックを連結/分離する際の手順を示している。
【0068】
2つの端子台ブロック1A、1Bを連結する際には、
図29および
図30に示すように、端子台ブロック1Aの後側に端子台ブロック1Bの前側を配置し、各端子台ブロック1A、1Bを互いに斜めに交差させた状態(すなわち、対応する上下面および両側面が整列して面一にならずに角度をなした状態)で、端子台ブロック1Aの後面20に端子台ブロック1Bの前面30を当接させる。なお、各端子台ブロック1A、1Bの前後の位置関係は逆でもよい。
【0069】
この状態から、端子台ブロック1Aを前面側から見て時計回りに(または、端子台ブロック1Bを後面側から見て時計回りに)回転させる。なお、双方の端子台ブロック1A、1Bを回転させるようにしてもよい。このとき、端子台ブロック1A、1Bは、軸方向と直交する後面20および前面30に沿って相対的に回転することにより、各係合突部38
1、38
2、39
1、39
2がそれぞれ対応する各係合凹部28
1、28
2、29
1、29
2に対して回転移動して接近する。これにより、
図31、
図32に示すように、各係合突部38
1、38
2、39
1、39
2がそれぞれ対応する各係合凹部28
1、28
2、29
1、29
2に係合する。このようにして、2つの端子台ブロック1A、1Bが連結されて端子台(電気機器)が構成されることになる(
図31、
図32)。
【0070】
各係合突部381、382、391、392が各係合凹部281、282、291、292に係合した状態から、各端子台ブロック1A、1Bを軸方向に離反させようとしても、各係合突部381、382、391、392が各係合凹部281、282、291、292の対応する各立壁部281B、282B、291B、292Bに干渉するので、当該係合状態を解除することができず、各端子台ブロック1A、1Bを軸方向に離反する側に分離することはできない。
【0071】
また、当該係合状態から、各係合突部381、382、391、392を各係合凹部281、282、291、292に対して連結時の接近方向とは逆方向に回転移動(つまり逆回転)させようとする際に、すべての係合突部381、382、391、392を連結時の接近方向に沿って正確に逆方向に回転移動(逆回転)させるのは容易ではなく、いずれかの係合突部381、382、391、392が対応する係合凹部281、282、291、292と干渉する状態が発生し得る。これにより、当該係合状態を容易に解除することができず、各端子台ブロック1A、1Bを接近方向と逆方向に容易に分離することはできない。さらに付言すると、この場合には、各係合突部381、382、391、392の回転移動の際に各係合突部381、382、391、392を回転中心から等距離に保持するような支軸も存在していないので、各係合突部381、382、391、392の回転中心がずれないように回転させるのは容易ではない。
【0072】
なお、図示していないが、各係合突部381、382、391、392が各係合凹部281、282、291、292に係合した際の係合状態が連結時の接近方向とは逆方向の回転移動(逆回転)によって不用意に解除されるのを規制するための解除規制部材を設けるようにしてもよい。このような解除規制部材としては、たとえば、各係合凹部281、282、291、292の立壁部281B、282B、291B、292Bの各内側面に半球状の凹部をそれぞれ設け、各係合突部381、382、391、392のフック部381B、382B、391B、392Bの各内側面に、各係合凹部281、282、291、292の半球状の凹部に係脱可能に係合し得る半球状の凸部をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0073】
このような本実施例によれば、端子台ブロック1A、1Bを相互に連結するのに、端子台ブロック1A、1Bの各係合突部381、382、391、392を対応する各係合凹部281、282、291、292内に進入させるだけで(すなわち、各係合凹部281、282、291、292に対して一方向からの回転のみによって)、各係合突部381、382、391、392を各々対応する各係合凹部281、282、291、292にワンアクションで係合できるので、各端子台ブロック1A、1Bの連結をワンアクションで容易に行えるようになる。これにより、作業時間を短縮でき、作業効率を向上できる。
【0074】
しかも、本実施例によれば、各端子台ブロック1A、1Bの分離の際には、端子台ブロック1A、1Bのいずれかまたは双方を連結時の接近方向とは逆方向に回転移動させればよいので、ねじ止め方式や圧入方式に比べて、各端子台ブロック1A、1Bの分離を容易に行えるようになる。これにより、各端子台ブロックの組み換え(たとえば極数の増減のための追加・削減や交換、誤組立ての場合の組直し等)も容易に行える。なお、分離に関しては、連結時のようにワンアクションで容易に分離できるわけではないので、安定した連結状態を実現できるといえる。
【0075】
以上、本発明に好適な実施例について説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が含まれる。以下に変形例のいくつかの例を挙げておく。
【0076】
〔第1の変形例〕
端子台ブロックの係合部が、前記第1の実施例では3つの係合突部31、32、33から構成され、前記第2の実施例では4つの係合突部24、35、36、37から構成され、前記第3の実施例では4つの係合突部381、382、391、392から構成された例を示したが、係合突部の個数や配置は前記各実施例に示すものには限定されない。係合突部の個数や配置の変更に応じて、これに対応する係合穴や係合凹部の個数や配置も適宜変更される。
【0077】
〔第2の変形例〕
前記第1の実施例では、係合突部31、32、33の各膨出部31B、32B、33Bが半径方向外方に膨出する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。各膨出部31B、32B、33Bは半径方向内方に膨出するようにしてもよい。この場合、係合穴21、22、23の構造もそれに応じて適宜変更される(たとえば、傾斜面21b1、22b1、23b1等が各係合穴21、22、23の内周側に形成される等)。
【0078】
〔第3の変形例〕
前記第2の実施例では、各端子台ブロック1A、1Bを相対的に上下方向に移動させることにより各端子台ブロック1A、1Bを連結するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。各端子台ブロック1A、1Bを相対的に左右方向に移動させることで各端子台ブロック1A、1Bを連結するようにしてもよい。この場合には、前記第2の実施例における各係合突部および各係合凹部を図示位置から略90度回転した位置に配置することが考えられる。
【0079】
〔その他の変形例〕
上述した各実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【0080】
〔他の適用例〕
前記実施例では、本発明による電気機器ユニットの連結構造がねじ式の端子台ブロックに適用された例を示したが、本発明は、ねじのないスクリューレスタイプの端子台ブロックにも同様に適用できる。また、前記実施例では、2つの端子台ブロックを連結する場合を例にとったが、本発明が、3つ以上の端子台ブロックを連結する場合にも同様に適用できることはいうまでもない。さらに、本発明の適用は端子台ブロックに限定されるものではなく、本発明は、ブレーカーやサーキットプロテクタ、リレー、リレーソケット、電源等の他の電気機器ユニットにも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明は、電気機器ユニットの連結構造に有用であり、電気機器ユニットの連結をワンアクションで容易に行えるようにするための連結構造に適している。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B: 端子台ブロック(電気機器ユニット)
21、22,23: 係合穴(係合凹部/被係合部)
31、32、33: 係合突部(係合部)
25、26、27、34: 係合凹部(被係合部)
24、35、36、37: 係合突部(係合部)
281、282、291、292: 係合凹部(被係合部)
381、382、391、392: 係合突部(係合部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2005-340142号公報(段落[0007]、[0008]、
図13、
図14参照)
【特許文献2】実開平5-62970号公報(段落[0006]、[0008]、[0009]、[0012]、
図1、
図2参照)。
【特許文献3】実開平5-48237号公報(段落[0009]、[0010]、[0011]、
図1、
図2、
図4、
図5参照)。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】