(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133917
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】センサユニット及び車載表示装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/16 20060101AFI20240926BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240926BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240926BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240926BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01K7/16 Z
B60K35/00 A
G09F9/00 362
G09F9/00 304C
G02F1/1333
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043938
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優輝
【テーマコード(参考)】
2H189
2H199
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA18
2H189HA12
2H189HA13
2H189LA10
2H189MA08
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA43
3D344AA03
3D344AA20
3D344AA21
3D344AA27
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD13
5G435AA12
5G435AA17
5G435BB12
5G435BB19
5G435EE49
5G435GG41
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】構造が簡潔で組付けが容易なセンサユニット、及び、これを備える車載表示装置を提供する。
【解決手段】センサユニット30は、液晶表示パネル10の画像表示領域を覆い、液晶表示パネル10の前面の側に配置される。センサユニット30は、透明な第1基板31aと、第1基板31aにおける画像表示領域と重なる位置に形成された透明電極であって、抵抗加熱によって発熱可能なヒータ用電極36と、第1基板31aにおける画像表示領域と重ならない位置に形成された部分を含む電極であって、当該電極の抵抗の変化に基づいて液晶表示パネル10の想定温度を検出するための温度センサ用電極と、を備える。温度センサ用電極は、周辺配線35である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルの画像表示領域を覆い、前記液晶表示パネルの前面の側に配置されるセンサユニットであって、
透明な基板と、
前記基板における前記画像表示領域と重なる位置に形成された透明電極であって、抵抗加熱によって発熱可能なヒータ用電極と、
前記基板における前記画像表示領域と重ならない位置に形成された部分を含む電極であって、当該電極の抵抗の変化に基づいて前記液晶表示パネルの想定温度を検出するための温度センサ用電極と、を備える、
センサユニット。
【請求項2】
前記基板の前面の側に位置し、前記画像表示領域と重なる位置に形成され、前記センサユニットの前方にある物体を静電容量方式で検出するための物体センサ用電極をさらに備え、
前記物体センサ用電極は、透明電極からなる第1電極と、前記第1電極と絶縁され、前記第1電極と交差する透明電極からなる第2電極と、を有し、
前記温度センサ用電極は、
前記第1電極と導通接続された第1導線と、
前記第2電極と導通接続された第2導線と、を有して前記基板の前面に形成され、
前記ヒータ用電極は、前記基板の背面に形成されている、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記ヒータ用電極は、前記温度センサ用電極と前記基板を挟んで対向する部分を含む、
請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
車両のダッシュボードの内部に設けられる、請求項2又は3に記載のセンサユニット及び前記液晶表示パネルと、
前記物体センサ用電極の静電容量に基づき前記物体があるか否かを判別可能であり、前記温度センサ用電極の抵抗の変化に基づき前記想定温度を検出可能であり、前記ヒータ用電極の発熱動作を制御可能である制御部と、を備え、
前記液晶表示パネルは、前記車両のフロントガラスに向けて画像を表す光を発する、
車載表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記物体があるか否かを判別して、前記物体がないと判別すると前記想定温度を検出し、
検出した前記想定温度が予め定められた温度よりも低い場合に前記ヒータ用電極を発熱させる、
請求項4に記載の車載表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示パネルの前面の側に配置されるセンサユニット、及び、これを備える車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、液晶表示パネルの背面の側に配置され、低温下における液晶の応答速度を向上すべく液晶表示パネルの液晶を暖めるためのパネルヒータが記載されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、液晶表示パネルのガラス基板及びブラックマトリクスの面方向における端部面に接触して配置されたサーミスタが記載されている。このサーミスタは、偏光板の温度を近似温度として検出する温度センサとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-49558号公報
【特許文献2】特開2023-14698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のヒータ、特許文献2に記載の温度センサを、それぞれ別部品で液晶表示パネルに実装すると、構造の複雑化を招き、組付けが容易でない虞がある。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、構造が簡潔で組付けが容易なセンサユニット、及び、これを備える車載表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係るセンサユニットは、
液晶表示パネルの画像表示領域を覆い、前記液晶表示パネルの前面の側に配置されるセンサユニットであって、
透明な基板と、
前記基板における前記画像表示領域と重なる位置に形成された透明電極であって、抵抗加熱によって発熱可能なヒータ用電極と、
前記基板における前記画像表示領域と重ならない位置に形成された部分を含む電極であって、当該電極の抵抗の変化に基づいて前記液晶表示パネルの想定温度を検出するための温度センサ用電極と、を備える。
(2)上記(1)に記載のセンサユニットは、
前記基板の前面の側に位置し、前記画像表示領域と重なる位置に形成され、前記センサユニットの前方にある物体を静電容量方式で検出するための物体センサ用電極をさらに備え、
前記物体センサ用電極は、透明電極からなる第1電極と、前記第1電極と絶縁され、前記第1電極と交差する透明電極からなる第2電極と、を有し、
前記温度センサ用電極は、
前記第1電極と導通接続された第1導線と、
前記第2電極と導通接続された第2導線と、を有して前記基板の前面に形成され、
前記ヒータ用電極は、前記基板の背面に形成されていてもよい。
(3)上記(2)に記載のセンサユニットにおいて、
前記ヒータ用電極は、前記温度センサ用電極と前記基板を挟んで対向する部分を含んでいてもよい。
【0008】
(4)上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係る車載表示装置は、
車両のダッシュボードの内部に設けられる、上記(2)又は(3)に記載のセンサユニット及び前記液晶表示パネルと、
前記物体センサ用電極の静電容量に基づき前記物体があるか否かを判別可能であり、前記温度センサ用電極の抵抗の変化に基づき前記想定温度を検出可能であり、前記ヒータ用電極の発熱動作を制御可能である制御部と、を備え、
前記液晶表示パネルは、前記車両のフロントガラスに向けて画像を表す光を発する。
(5)上記(4)に記載の車載表示装置において、
前記制御部は、
前記物体があるか否かを判別して、前記物体がないと判別すると前記想定温度を検出し、
検出した前記想定温度が予め定められた温度よりも低い場合に前記ヒータ用電極を発熱させてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、構造が簡潔で組付けが容易なセンサユニット、及び、これを備える車載表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る車載表示装置の車両への搭載態様を示す図。
【
図2】同上実施形態に係る車載表示装置の構成を示す模式図。
【
図3】同上実施形態に係るセンサユニットを前方から見た概略平面図。
【
図4】同上実施形態に係るセンサユニットの
図3のA-A線に沿う概略断面図。
【
図5】同上実施形態に係る制御基板を説明するためのブロック図。
【
図6】同上実施形態に係るセンシング処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る車載表示装置100は、
図1に示すように、車両1のダッシュボード2(インストルメントパネル)の内部に設けられ、車両1のフロントガラス3(ウインドシールド)に向けて画像を表す光(以下、表示光L)を発する。
【0013】
例えば、車載表示装置100は、フロントガラス3の透明領域に向けて表示光Lを発するヘッドアップディスプレイ(HUD)装置である。フロントガラス3で反射した表示光Lに基づき、主に車両の運転者であるユーザ4は、表示光Lが表す画像の虚像を視認することができる。虚像Vは、車両に関する各種情報(以下、車両情報と言う。)を表示する。なお、車両情報は、車両自体の情報のみならず、車両の外部情報も含む。
【0014】
なお、車載表示装置100は、フロントガラス3の下端領域に設けられたセラミック形成部に向けて表示光Lを発するものであってもよい。当該セラミック形成部は、フロントガラス3のうち、黒色のセラミックが焼付塗装によって形成された部分(通称、黒セラ部)である。この場合、セラミック形成部の内面には、表示光Lをユーザ4に向けて反射させる反射鏡面が形成される。
【0015】
以下では、車載表示装置100の各部を説明する際に、車載表示装置100が表示光Lを発する方向を「前」、その反対方向を「後」と呼んだり、前方に向く面を「前面」、その反対面を「背面」と呼んだりすることがある。また、「上」、「下」という方向を用いる場合は、各図における上下方向に対応する。
【0016】
車載表示装置100は、
図2に示すように、液晶表示パネル10と、透明接着剤20と、センサユニット30と、制御基板40と、を備える。
【0017】
液晶表示パネル10は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型であり、画像を表示することで、その画像を表す表示光Lを前方に発する。液晶表示パネル10が発した表示光Lは、センサユニット30を透過して、フロントガラス3に向かう。
【0018】
液晶表示パネル10としては、周知の構成を適宜採用することができる。例えば、液晶表示パネル10は、一対の偏光板、及び、当該一対の偏光板の間に配置された液晶セルを有するパネル部と、パネル部を背後から照明するバックライトと、を有する。液晶セルは、互いの対向面に透明電極が形成された一対の基板と、当該一対の基板の間に封入された液晶層と、を有する。
【0019】
透明接着剤20は、液晶表示パネル10にセンサユニット30を固定するための構成であり、シリコーン、アクリル類などからなる。透明接着剤20は、液晶表示パネル10の前面とセンサユニット30の背面との間に介在し、両者を固定する。
【0020】
センサユニット30は、
図3、
図4に示すように、第1基板31aと、第2基板31bと、物体センサ用電極32と、絶縁膜33と、透明接着剤34と、周辺配線35と、ヒータ用電極36と、可撓性基板37と、を備える。
【0021】
図3は、センサユニット30を前方から見た概略平面図である。
図3では、見易さを考慮して、第2基板31b、絶縁膜33及び透明接着剤34を省略している。また、
図3において想像線(二点鎖線)で表した矩形の領域は、液晶表示パネル10の画像表示領域11の一例である。液晶表示パネル10は、画像表示領域11において各種画像を表示可能である。
図4は、センサユニット30の
図3のA-A線に沿う概略断面図である。
【0022】
第1基板31a及び第2基板31bは、
図4に示すように、互いに対向する透明基板であり、それぞれ、無機ガラス又は有機ガラスから形成される。なお、当該基板は、その板厚が限定されるものでなく、フィルム状、シート状であってもよい。本実施形態では、第1基板31aは、第2基板31bよりも液晶表示パネル10の近くに位置する。つまり、第2基板31bは、第1基板31aの前方に位置する。
【0023】
物体センサ用電極32は、第1基板31aの前面の側に位置する。物体センサ用電極32は、画像表示領域11と重なる位置に形成され、センサユニット30の前方にある物体を静電容量方式で検出するための構成である。
【0024】
センサユニット30の前面は、液晶表示パネル10から発せられセンサユニット30を透過した表示光Lがフロントガラス3に向かって発せられる発光面30aとなる。ここで、発光面30aの上に本来有るべきではない物体を、固体、液体の別を問わず「異物」と呼ぶ。特に、ここで言う異物とは、車載表示装置100による画像表示の妨げになってしまう物を言う。この実施形態の車載表示装置100は、
図1に示すように、ダッシュボード2の内部に設けられ、且つ、発光面30aがダッシュボード2の天面2aよりも低い位置にある。さらに、発光面30aがフロントガラス3の下端の近傍に位置し、ユーザ4から遠く、見えづらい箇所にある。したがって、コイン、カード、液体(例えば、こぼした飲み物)などの異物が発光面30aの上に有ったとしても、その事についてユーザ4が気付きづらい。このような異物が有ると、車載表示装置100によってユーザ4に表示すべき画像の一部が欠ける表示欠けが生じてしまうが、何の対策も施さなければ、表示欠けが異物の存在によるのか、車載表示装置100の故障によるかは、ユーザ4には判別が困難である。
【0025】
本実施形態で物体センサ用電極32によって検出すべき、センサユニット30の前方にある物体とは、上記の異物である。なお、異物が載る虞のある発光面30aは、センサユニット30の前面に限られず、センサユニット30を覆うカバーガラスの前面などであってもよい。
【0026】
物体センサ用電極32は、透明電極からなる第1電極32aと、第1電極32aと絶縁され、第1電極32aと交差する透明電極からなる第2電極32bと、を有する。第1電極32aは、Y方向(
図3の縦方向)に延びる帯状をなすとともに、X方向(
図3の横方向)に間隔を空けて複数配列されている。第2電極32bは、X方向に延びる帯状をなすとともに、Y方向に間隔を空けて複数配列されている。第1電極32a及び第2電極32bは、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成され、互いに絶縁され、交差して配置されている。
【0027】
第1電極32a及び第2電極32bの一方は検出電極として機能し、他方は駆動電極として機能する。この実施形態では、第1電極32aが第1基板31aの前面上に形成され、その前方を覆う絶縁膜33の前面上に第2電極32bが形成されている。なお、第1電極32a及び第2電極32bのいずれを前方に配置するか、いずれを検出電極または駆動電極とするかは、設計に応じて任意であり、適宜変更可能である。
【0028】
絶縁膜33は、第1電極32aと第2電極32bとの間に介在し、両者を絶縁する。絶縁膜33は、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)等からなる。透明接着剤34は、絶縁膜33と、絶縁膜33の前面に形成された第2電極32bとを覆って設けられ、第1基板31aに対して第2基板31bを固定する。透明接着剤34は、シリコーン、アクリル類などからなる。
【0029】
図3に模式的に示す周辺配線35は、物体センサ用電極32と可撓性基板37とを導通接続するための配線である。詳細構造は図示しないが、周辺配線35は、第1電極32aと導通接続された第1導線と、第2電極32bと導通接続された第2導線と、を有する。第1導線は、一端が第1電極32aと接続され、他端が可撓性基板37と接続される。第2導線は、一端が第2電極32bと接続され、他端が可撓性基板37と接続される。なお、絶縁膜33の上に位置する第2電極32bは、例えば、絶縁膜33に形成されたVIAホールを介して第2導線と導通接続されればよい。第1導線は複数の第1電極32aの各々に対応して設けられ、第2導線は複数の第2電極32bの各々に対応して設けられる。第1導線と第2導線は互いに絶縁されている。周辺配線35を構成する第1導線と第2導線は、例えば、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、チタンの合金又は積層膜からなる。
【0030】
周辺配線35は、
図4に示すように、第1基板31aの前面の端部に形成され、且つ、
図3に示すように、画像表示領域11と重ならない位置に形成されている。なお、周辺配線35の一部が、液晶表示パネル10による表示を阻害しない限りにおいては、当該一部は、画像表示領域11と重なる位置に形成されてもよい。
【0031】
本実施形態に係る周辺配線35は、その抵抗の変化に基づいて液晶表示パネル10の想定温度を検出するための温度センサ用電極としても機能する。
【0032】
つまり、周辺配線35は、第1基板31aにおける画像表示領域11と重ならない位置に形成された部分を含む電極であって、当該電極の抵抗の変化に基づいて液晶表示パネル10の想定温度を検出するための温度センサ用電極として機能する。
【0033】
なお、
図3に示した周辺配線35の形状はあくまで模式的なものであることに留意されたい。周辺配線35を構成する第1導線及び第2導線のそれぞれの経路であって、物体センサ用電極32から可撓性基板37への経路は、任意に変更可能である。また、物体センサ用電極32を構成する第1電極32a及び第2電極32bの各々の本数も設計に応じて任意である。
【0034】
ヒータ用電極36は、低温下での液晶の応答速度を向上すべく液晶表示パネル10を暖めるための構成である。ヒータ用電極36は、第1基板31aにおける画像表示領域11と重なる位置に形成され、抵抗加熱によって発熱可能である。
【0035】
ヒータ用電極36は、ITOなどから構成される透明電極であり、第1基板31aの背面に形成されている。ヒータ用電極36は、
図3に破線で示すように、画像表示領域11だけでなく、周辺配線35(温度センサ用電極)と重なる位置に形成されている。例えば、ヒータ用電極36は、第1基板31aの背面にベタ状に形成される。
【0036】
なお、ヒータ用電極36は、液晶表示パネル10を暖め、且つ、液晶表示パネル10の視認性を妨げない限りにおいては、ベタ状に限られず、任意のパターンで形成されていてもよい。ただし、ヒータ用電極36は、周辺配線35(温度センサ用電極)と第1基板31aを挟んで対向する部分を含んでいることが好ましい。
【0037】
可撓性基板37は、
図4に示すように、第1基板31aの端部を挟むように形成されたFPC(Flexible Printed Circuits)であり、周辺配線35及びヒータ用電極36の各々と異方性導電粒子38を介して導通接続される。なお、可撓性基板37は、FFC(Flexible Flat Cable)であってもよい。
【0038】
制御基板40は、液晶表示パネル10及びセンサユニット30の各々の動作を制御する構成である。制御基板40は、各種回路が実装されたPCB(Printed Circuit Board)であり、例えば、ダッシュボード2の内部に配設される。制御基板40による液晶表示パネル10の表示動作制御は周知の方法によるため、以下では、センサユニット30との関係について説明する。
【0039】
制御基板40は、
図5に示すように、制御部41と、ドライバ42と、電源回路43と、を備える。
【0040】
制御部41は、マイクロコンピュータからなり、各種データを格納するメモリと、メモリに格納された動作プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを備える。
【0041】
ドライバ42は、物体センサ用電極32の駆動回路であり、可撓性基板37及び周辺配線35を介して物体センサ用電極32と導通接続される。
【0042】
電源回路43は、物体センサ用電極32、ヒータ用電極36及び制御部41の各々に電力を供給する。電源回路43は、可撓性基板37及び周辺配線35を介して物体センサ用電極32と導通接続され、可撓性基板37を介してヒータ用電極36と導通接続される。また、電源回路43は、制御基板40に形成された配線により制御部41と導通接続される。
【0043】
制御部41は、物体センサ用電極32の複数の駆動電極に駆動信号を順次供給するとともに、複数の検出電極を順次選択し、駆動信号が供給されている駆動電極と選択された検出電極との交差箇所における静電容量を取得する。そして、制御部41は、取得した静電容量に基づき、センサユニット30の前方に物体(上記の異物)があるか否かを判別する。なお、静電容量方式での物体の検出手法としては、周知の手法を適宜採用することができる。
【0044】
また、制御部41は、電源回路43を制御することで、電源回路43からヒータ用電極36に電流を供給し、ヒータ用電極36の電気抵抗によってヒータ用電極36を発熱させる。このように、制御部41は、ヒータ用電極36の発熱動作を制御可能である。
【0045】
また、周辺配線35の抵抗が温度によって変化することを利用し、制御部41は、図示せぬ抵抗計によって周辺配線35(温度センサ用電極)の抵抗値を測定し、測定した抵抗値に基づき温度を検出する。抵抗値と温度の対応関係を示すデータは、予め制御部41のメモリに格納されていればよい。なお、周辺配線35のどの部分で抵抗値を測定するかは、設計に応じて任意である。
【0046】
ここで、センサユニット30が液晶表示パネル10に固定されていることから、制御部41が検出する温度は、想定される液晶表示パネル10の温度と見做せる。したがって、本稿では、制御部41が検出する温度を、「液晶表示パネル10の想定温度」あるいは単に「想定温度」と呼ぶ。
【0047】
上記のように機能する制御部41は、物体(異物)の検出、想定温度の検出、ヒータ用電極36の発熱動作制御を任意の契機で実行可能であるが、本実施形態に特有のセンシング処理を実行することで、効率的に各種センシングを実行する。以下、センシング処理について
図6を参照して説明する。
【0048】
(センシング処理)
制御部41は、ユーザ4が車両1に対して行った所定の操作に基づき、センシング処理を開始する。当該所定の操作は、ユーザ4が車両1の運転をこれから行うと想定される操作であり、例えば、イグニッションオン、ACC(アクセサリー)オン、パワースイッチオンである。なお、センシング処理の開始時には、制御部41は、ヒータ用電極36を発熱させていない状態であるものとする。
【0049】
まず、制御部41は、センサユニット30の前方に物体(異物)があるか否かを判別する(ステップS1)。異物があれば(ステップS1;Yes)、制御部41は、報知処理を実行する(ステップS2)。報知処理では、液晶表示パネル10と、車両1に搭載された他の報知手段との少なくともいずれかに、当該異物が有ることを報知させる。報知手段は、車両1のインストルメントパネルに設けられたメータ装置、車両1に設けられたCID(Center Information Display)、車両1に設けられたスピーカなどであればよい。例えば、報知処理は、「ダッシュボード上のディスプレイに異物が載っていますので、取り除いてください」といった内容を示す画像と音声の少なくともいずれかにより実行されればよい。例えば、報知処理は、異物が取り除かれてステップS1でNoとなるまで継続される。
【0050】
異物がない場合(ステップS1;No)、制御部41は、想定温度を検出し(ステップS3)、検出した想定温度が予め定められた温度(メモリに予め記憶された温度)よりも低いか否かを判別する(ステップS4)。
【0051】
想定温度が予め定められた温度よりも低い場合(ステップS4;Yes)、制御部41は、ヒータ用電極36を発熱させ(ステップS5)、ステップS3に処理を戻す。一方、想定温度が予め定められた温度以上の場合(ステップS4;No)、制御部41は、ヒータ用電極36を発熱させず(ステップS6)、ステップS3に処理を戻す。これにより、想定温度が予め定められた温度よりも低い状態から、当該温度以上になるまでの期間では、ヒータ用電極36の発熱が継続して行われる。なお、想定温度が予め定められた温度以上である限りは、制御部41は、ヒータ用電極36を発熱させないまま制御する。
【0052】
例えば、制御部41は、センシング処理を車載表示装置100の電源がオフになるまで継続して実行する。以上がセンシング処理である。
【0053】
(変形例)
車載表示装置100は、フロントガラス3に向かって表示光Lを発するものに限られず、ユーザ4に向かって表示光Lを発し、当該表示光Lが表す画像をユーザ4に直接表示する装置であってもよい。この場合、物体センサ用電極32を有するセンサユニット30をタッチパッドとして機能させ、制御部41は、センサユニット30の前方にある物体として、ユーザ4の指を検出してもよい。そして、制御部41は、周知の手法でタッチ入力操作を検出してもよい。また、ヒータ用電極36は、他の電極との絶縁を確保できる限りにおいては、第1基板31aの前面に形成されていてもよい。
【0054】
なお、本発明は以上の実施形態、変形例及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0055】
以下、車載表示装置100が奏する主な効果について纏めて述べる。
【0056】
(効果)
(1)以上に説明したセンサユニット30は、透明な基板(第1基板31a)と、基板における画像表示領域11と重なる位置に形成されたヒータ用電極36と、基板における画像表示領域11と重ならない位置に形成された部分を含む温度センサ用電極(周辺配線35)と、を備える。
この構成によれば、ユニット化されたセンサユニット30を液晶表示パネル10に組み付けるだけでよいため、構造が簡潔で組付けが容易である。また、センサユニット30の存在により、液晶表示パネル10の視認性が低下することを抑制することができる。
【0057】
(2)センサユニット30は、基板の前面の側に位置し、画像表示領域11と重なる位置に形成された物体センサ用電極32をさらに備える。また、温度センサ用電極(周辺配線35)は、第1電極32aと導通接続された第1導線と、前記第2電極32bと導通接続された第2導線と、を有して基板の前面に形成される。また、ヒータ用電極36は、基板の背面に形成されている。
この構成によれば、物体センサ用電極32のために形成された周辺配線35を、温度センサ用電極としても使用することができ、部品点数を削減することができる。また、物体センサ用電極32及び周辺配線35と、ヒータ用電極36とは、基板を挟んで互いに反対に位置するため、ヒータ用電極36への電流の供給時のノイズが、物体検出及び想定温度検出の精度に影響を与えることを抑制することができる。例えば、ヒータ用電極36へは、物体センサ用電極32及び周辺配線35に比べて、10倍以上の電流が流れるためである。
【0058】
(3)ヒータ用電極36は、温度センサ用電極(周辺配線35)と基板を挟んで対向する部分を含む。
この構成によれば、ヒータ用電極36の発熱に応じた想定温度の変化を検出し易いため、良好に液晶表示パネル10の温度を調整することができる。
【0059】
(4)車載表示装置100は、センサユニット30及び液晶表示パネル10と、制御部41とを備え、液晶表示パネル10は、車両1のフロントガラス3に向けて画像を表す光(表示光L)を発する。
この構成の装置では、前述のように、異物の存在がユーザ4にとって分かりづらいため、異物(物体)検出の有用性がある。また、液晶表示パネル10がフロントガラス3の近傍にあり、外気温の影響を受けやすいため、ヒータ用電極36で液晶表示パネル10を暖める有用性がある。
【0060】
(5)制御部41は、物体があるか否かを判別して、物体がないと判別すると想定温度を検出し、検出した想定温度が予め定められた温度よりも低い場合にヒータ用電極36を発熱させる。
この構成によれば、物体検出と温度検出のタイミングをずらすことができるため、消費電量を低減でき、ヒータ用電極36への電流の供給時のノイズが物体検出の精度に影響を与えることを抑制することができる。
【0061】
以上の説明では、本開示の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0062】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0063】
100…車載表示装置
10…液晶表示パネル、11…画像表示領域
20…透明接着剤
30…センサユニット、30a…発光面
31a…第1基板(基板)
31b…第2基板
32…物体センサ用電極、32a…第1電極、32b…第2電極
33…絶縁膜、34…透明接着剤
35…周辺配線(温度センサ用電極)
36…ヒータ用電極
37…可撓性基板、38…異方性導電粒子
40…制御基板、41…制御部、42…ドライバ、43…電源回路
1…車両、2…ダッシュボード、2a…天面、3…フロントガラス
4…ユーザ、L…表示光