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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133921
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240926BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240926BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240926BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240926BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20240926BHJP
   F21V 14/00 20180101ALI20240926BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240926BHJP
【FI】
F21S2/00 330
F21S2/00 340
F21S2/00 350
F21S2/00 312
F21V5/00 510
F21V5/04 200
F21V5/00 320
F21V8/00 221
F21V8/00 261
F21V8/00 265
F21V9/08 400
F21V14/00 200
F21Y115:10 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043944
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 延幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(57)【要約】
【課題】必要な輝度を有し、かつ、小さな光スポットを形成することが可能な照明装置を実現する。
【解決手段】
上記課題を実現するために、本発明は、次のような構成をとる。リフレクタレンズと光源を有する照明装置であって、前記リフレクタレンズは、出射面、側面、前記出射面と対向した空間を有し、前記光源は、ロッドレンズとLEDを含み、前記ロッドレンズは、側面と、面積の大きい第1の面と、前記第1の面と対向した面積の小さい第2の面を有し、前記第1の面には、前記LEDが取り付けられ、前記第2の面は、前記リフレクタレンズの前記空間に配置し、前記第2の面から前記LEDからの光が前記リフレクタレンズに供給されることを特徴とする照明装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレクタレンズと光源を有する照明装置であって、
前記リフレクタレンズは、出射面、側面、前記出射面と対向した空間を有し、
前記光源は、ロッドレンズとLEDを含み、
前記ロッドレンズは、側面と、面積の大きい第1の面と、前記第1の面と対向した面積の小さい第2の面を有し、
前記第1の面には、前記LEDが取り付けられ、
前記第2の面は、前記リフレクタレンズの前記空間に配置し、
前記第2の面から前記LEDからの光が前記リフレクタレンズに供給されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記リフレクタレンズの前記空間において、前記リフレクタレンズには、前記ロッドレンズの前記第2の面に対向する面に、前記第2の面に対して凸の曲面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記リフレクタレンズの前記第1の面には、透明接着材を介してLEDが貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記LEDは、外形が矩形であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ロッドレンズは円錐台であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ロッドレンズは四角錐台であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
リフレクタレンズと光源を有する照明装置であって、
前記リフレクタレンズは、出光面、側面、及び、前記出光面と対向した空間を有し、
前記光源は、光ファイバ、光カプラー、LEDを含み、
前記光ファイバの第1の端部は前記リフレクタレンズの前記空間に配置し、
前記光ファイバの第2の端は、前記カプラーの第1の接続部に接続し、
前記カプラーの、前記第1の接続部に対向する第2の接続部には、前記LEDがとりつけられており、
前記光ファイバの前記第1の端部から前記リフレクタレンズの前記空間に光が放射されることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
前記リフレクタレンズの前記空間において、前記リフレクタレンズには、前記ロッドレンズの前記第2の面に対向する面に、前記第2の面に対して凸の曲面が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記カプラーは円錐台のロッドレンズで構成され、
前記ロッドレンズの面積の大きい第2の底面には、前記LEDが貼り付けられ、
前記ロッドレンズの面積の大きい第1の底面には、前記光ファイバの前記第2の端部が接続することを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記カプラーは四角錐台のロッドレンズで構成され、
前記ロッドレンズの面積の大きい第2の底面には、前記LEDが貼り付けられ、
前記ロッドレンズの面積の大きい第1の底面には、前記光ファイバの前記第2の端部が接続することを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項11】
前記リフレクタレンズの前記出光面には、出射光のスポット径を変化させることが可能な液晶レンズが配置していることを特徴とする、請求項1、または、請求項7に記載の照明装置。
【請求項12】
前記リフレクタレンズの前記出光面には、出射光のスポットの位置を変化させることが可能な液晶レンズが配置していることを特徴とする、請求項1または、請求項7に記載の照明装置。
【請求項13】
前記液晶レンズは、第1の液晶レンズと第2の液晶レンズのペアで構成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の照明装置。
【請求項14】
前記液晶レンズは、第1の液晶レンズ、第2の液晶レンズ、第3の液晶レンズ及び第4の液晶レンズの組で構成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光スポットの、輝度、スポット径、スポット位置を制御することが可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)が用いられるようになってきている。LEDは発光効率が良く、消費電力低減に有利である。しかし、照明装置として、そのまま用いることはできない。
【0003】
照明装置にも色々な用途がある。例えば、種々の光学装置に用いるためには、コリメート光が必要な場合がある、特許文献1には、LEDからの光を、リフレクタレンズを用いて平行光に変換する構成が記載されている。
【0004】
特許文献2には、LEDからの光を、ロッドレンズを介して、十分に混色させた後、リフレクタ、あるいは、集光レンズを用いて、スポット径の小さな、色むらの小さいスポット光を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002-528861
【特許文献2】特開2008-234908
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光学装置の光源として使用する場合は平行光(コリメート光)であり、かつ、十分に輝度が大きいものが要求される場合がある。また、スポットライトでは、光スポット径を十分に小さくでき、かつ、光スポット径と位置を制御することが要求される場合がある。本発明は、このような要求に応えることが出来る照明装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0008】
(1)リフレクタレンズと光源を有する照明装置であって、前記リフレクタレンズは、出射面、側面、前記出射面と対向した空間を有し、前記光源は、ロッドレンズとLEDを含み、前記ロッドレンズは、側面と、面積の大きい第1の面と、前記第1の面と対向した面積の小さい第2の面を有し、前記第1の面には、前記LEDが取り付けられ、前記第2の面は、前記リフレクタレンズの前記空間に配置し、前記第2の面から前記LEDからの光が前記リフレクタレンズに供給されることを特徴とする照明装置。
【0009】
(2)リフレクタレンズと光源を有する照明装置であって、前記リフレクタレンズは、出光面、側面、及び、前記出光面と対向した空間を有し、
前記光源は、光ファイバ、光カプラー、LEDを含み、前記光ファイバの第1の端部は前記リフレクタレンズの前記空間に配置し、前記光ファイバの第2の端は、前記カプラーの第1の接続部に接続し、前記カプラーの、前記第1の接続部に対向する第2の接続部には、前記LEDがとりつけられており、前記光ファイバの前記第1の端部から前記リフレクタレンズの前記空間に光が放射されることを特徴とする照明装置。
【0010】
(3)前記リフレクタレンズの前記出光面には、出射光のスポット径を変化させることが可能な液晶レンズが配置していることを特徴とする、(1)または(2)に記載の照明装置。
【0011】
(4)前記リフレクタレンズの前記出光面には、出射光のスポットの位置を変化させることが可能な液晶レンズが配置していることを特徴とする、(1)または(2)に記載の照明装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】照明装置の斜視図である。
図2】配光角度の定義を示す図である。
図3】リフレクタレンズ内において、LEDの中央を出射した光の光路を示す断面図である。
図4】リフレクタレンズ内において、LEDの端部を出射した光の光路を示す断面図である。
図5】LEDのサイズが小さい場合の、リフレクタレンズ内における光の光路を示す断面図である。
図6】本発明の実施例1の照明装置の断面図である。
図7】実施例1の照明装置の寸法例を示す断面図である。
図8】LEDの平面図である。
図9図8のA-A断面図である。
図10】LED付近の詳細断面図である。
図11】ロッドレンズが円錐台の場合の、LEDとロッドレンズの底面の関係を示す平面図である。
図12】ロッドレンズが四角錐台の場合の、LEDとロッドレンズの底面の関係を示す平面図である。
図13】実施例2の照明装置の断面図である。
図14】実施例3の照明装置の断面図である。
図15】液晶レンズの動作を説明する断面図である。
図16】液晶レンズの動作を説明する他の断面図である。
図17】液晶レンズの動作を説明するさらに他の断面図である。
図18】第1液晶レンズの断面図である。
図19】第1液晶レンズの電極形状を示す平面図である。
図20】第1液晶レンズと第2液晶レンズの動作を示す斜視図である。
図21】第1液晶レンズと第2液晶レンズを積層した状態を示す断面図である。
図22】第1液晶レンズ、第2液晶レンズ、第3液晶レンズ、第4液晶レンズの動作を示す斜視図である。
図23】液晶レンズを光偏向装置として使用する場合の説明図である。
図24図23の液晶レンズの電極構造を示す平面図である。
図25図23の液晶レンズの他の例の電極構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1はスポットライトに使用される照明装置1000の例である。この照明装置1000からの光は、コリメートされており、光出射部1100から、被表示面2000にスポット状の光2100が照射される。スポット状の光2100を得るために、通常の照明装置では、出射光の配光角度は例えば12度程度となっている。
【0014】
図2は、配光角度の定義を示す図である。図2は、例えば天井に配置された光出射部1100から床面に向けて光スポットを照射した場合の図である。光出射部110の法線方向の光強度が最も大きく、極角が大きくなるにしたがって、光の強度は小さくなる。法線方向の光の強度を100%とし、光強度が50%となるときの極角をθとした場合、配向角は2θである。一般的なコリメート光において要求される配光角度は12度以下である。
【0015】
このようなコリメータ光を得るために、従来は、放物面ミラー等が使用されてきた。しかし。近年、光学装置では、配光角が6度以下、場合によっては、3度以下のコリメート光が要求されるようになってきている。また、スポットライトでも、スポットライトの径をさらに小さくすることが要求されている
しかし、このような要求は、従来の照明装置では満たすことが出来ない。特許文献1には、リフレクタレンズの作用について記載されているが、単に、特許文献1に記載のリフレクタレンズを用いても、以上のような配光角は実現することが出来ない。また、特許文献2は、ロッドレンズとリフレクタ(あるいは集光レンズ)を用いて、3色のLEDを十分混色させたうえ、点光源を形成する個性が記載されている。しかし、引用文献2の構成は、ロッドレンズをからの点光源の位置が、配光角に対して非常に敏感であり、小さな配光角を実現するためには、非常に正確なセッティングが必要とされる。
【0016】
本発明は、リフレクタレンズ10、ロッドレンズ50、SMD(Surface Mount Device)型LED20を用いることによって、配光角を3度以下に抑え、かつ必要輝度を確保できる照明装置を実現することが出来る。本発明は、さらに、液晶レンズを用いることによって、スポット径を変え、かつ、スポットの位置を容易に変えることが出来る照明装置を実現することが出来る。
【0017】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例0018】
図3は、光源にLED20を使用し、リフレクタレンズ10を用いてコリメータ光を形成する場合の断面図である。図3において、リフレクタレンズ10は、回転対称体であり、側面は、例えば、双曲面である。リフレクタレンズ10の中央部は、くり抜かれて空間11になっている。光源であるLED20は、リフレクタレンズ10の底面の空間に配置されている。図3では図示していないが、LED20は支持板に配置している。LED20は、リフレクタレンズ10の底面に配置しているので、LED20の位置決めは容易である。
【0019】
リフレクタレンズ10の空間11の上面には、LED20と対向して、表面が非球面である、非球面レンズ12が形成されている。非球面レンズ12はリフレクタレンズ10の他の部分と同時に形成される。また、非球面レンズ12の材料は、リフレクタレンズ10の他の部分と同じである。リフレクタレンズ10の材料は、透明樹脂、あるいは、ガラスで形成することが出来る。透明樹脂で形成すれば、射出成型で形成できるので、合理的である。透明樹脂としては、例えば、アクリル、あるいは、ポリカーボネイトを使用することが出来る。
【0020】
図3における矢印は、光源であるLED20の中心から出射した光の進行方向を示す。図3の矢印に示すように、LED20の中心から出射した光は、かなり良くコリメートされてリフレクタレンズ10の出射面13から出射される。しかし、図3に示すように、LED20は、ある大きさを有している。したがって、LED20の中心から出射した光とLED20の周辺から出射した光は異なる動作をする。
【0021】
図4は、LED20の右端面付近から出射した光の光路を示す断面図である。図4に示すように、LED20の端面近くを出た光は、出射面の法線方向に対して角度を持ち、しかも、出射面の場所によって、光の進行方向が異なる。
【0022】
図4では、LED20の右端面から出射する光の光路を表している。図示しないが、LED20の左端面が出射する光は、図4と逆方向に光が曲げられる。したがって、出射光の配光角度は大きくなる。
【0023】
つまり、単純にリフレクタレンズ10を使用したからと言って小さな配光角を実現できるわけではない。ところで、引用文献1には、リフレクタレンズ10の作用が記載されているが、この内容は、LED20の大きさについて考慮されておらず、現実には、上記の図4で示すような光も含むことになるので、配光角の小さなコリメート光を得ることはできない。
【0024】
仮に、図5に示すように、非常に小さなLED20を実現することが出来れば、光は、疑似的にリフレクタレンズ10の中央からのみ出射することになるので、十分にコリメートされた光を得ることが出来る。しかし、LED20の外形を小さくすると、必要な輝度を得るために、LED20に十分な電流を流すことが出来ない。スポットライトを1個のLED20で形成しようとすると、LED20の外形は、例えば、1.7mm□程度の大きさが必要になる。
【0025】
一方、リフレクタレンズ10を大きくすると、LED20の外形がリフレクタレンズ10に対して相対的に小さくなる。しかし、この場合は、照明装置のサイズが大きくなるという問題が生ずる。
【0026】
図6は、以上の問題を解決した本発明の実施例1の構成を示す断面図である。図6において、リフレクタレンズ10は、図3乃至図5で説明したのと同様である。図6において、リフレクタレンズ10と光源であるLED20との間にロッドレンズ50が配置している。ロッドレンズ50は角錐台型でも円錐台型でもよい。明細書の説明では、便宜上、ロッドレンズ50は円錐台型であるとして説明する。
【0027】
図6において、ロッドレンズ50の広いほうの底面である第1の面にLED20が配置している。ロッドレンズ50の第1の面には、1A程度の電流を流すことが出来る、外形が、1.7mm□程度のLED20が配置している。第1の面は、1.7mm□程度のLED20を配置できるように、径が2mm程度の円となっている。
【0028】
一方、ロッドレンズ50の面積の小さい第2の面は、点光源とみなせる程度に十分に小さな面になっている。第2の面の径は、例えば、0.35mm程度である。そして、この第2の面からLED20からの光がリフレクタレンズ10内に放射される。ロッドレンズ50の第2の面は、リフレクタレンズ10の底面と一致して、あるいは、底面付近に配置されるので、位置合わせが容易である。図6において、ロッドレンズ50の第2の面の面積は十分に小さく、点光源とみなすことが出来るので、図5に示したのと同様に、配光角が小さく、かつ、小さなビーム径のビームスポットを得ることが出来る。
【0029】
図7は、実施例1における、ロッドレンズ50、LED20、及びリフレクタレンズ10の寸法例を記載した断面図である。図7において、円錐台形のロッドレンズ50の面積の大きい第1の面は、直径d1が2mm程度の円である。この第1の面に、光源であるLED20が接着している。LED20は図8以後に示すように、外形が正方形であり、対角径d3が1.7mmである。LED20は、外形が大きいので、1A程度の電流を流すことが可能である。
【0030】
図7において、ロッドレンズ50の第2の面は、直径が0.35mm程度の円である。この第2の面から、LED20からの光がリフレクタレンズ10内に放射される。リフレクタレンズ10の外形d4は、例えば、9.6mm、リフレクタレンズ10の底面の径d5は、例えば、4mmであり、リフレクタレンズ10の高さh2は、例えば、4.7mmである。図7において、ロッドレンズ50の第2の面の径d2は、リフレクタレンズ10の径d4に比べて十分に小さいので、ロッドレンズ50の第2の面から放射される光は、点光源とみなすことが出来る。
【0031】
ところで、ロッドレンズ50の第2の面の形状は、ロッドレンズ50が円錐台であれば円であり、四角錐台であれば矩形である。しかし、いずれの場合にも、点光源とみなせることが出来るので、リフレクタレンズ10を出射するコリメート光にはほとんど影響が無い。
【0032】
図7において、ロッドレンズ50の高さh1は、例えば、6.7mmである。ロッドレンズ50の高さh1は、第1の面と第2の面を滑らかに繋ぐことが出来、かつ、第1の面から入射したLED20からの光が全反射しながら、第2の面に効率よく到達できるような側面を形成することが出来れば、どのような高さであっても良い。
【0033】
ロッドレンズ50の側面は、LED20からの光が外に洩れないように、外面に銀等を蒸着してもよい。これによって、ロッドレンズ50の設計自由度を増すことが出来る。
【0034】
実施例1の構成では、照明装置の組み立てやすさ、及び組み立て精度の出しやすさの観点から、光源であるLED20は、ロッドレンズ50の第1の面に、透明接着材、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)で接着する。図8及び図9は、実施例1において使用されるLED20の例である。
【0035】
LED20には、砲弾型とSMD(Surface Mount Device)型とが存在する。砲弾型は、光の出射面の平面形状は円とすることが出来るが、輝度が小さい。一方、SMD型は、輝度は大きくできるが、平面で視た形状は矩形である。本実施例では、輝度を大きく出来る点、及び、ロッドレンズ50の第1面に接着しやすいという観点からSMD型のLED20を用いる。
【0036】
図8は、SMD型LED20の平面図である。図8において、最上層にはp層が形成され、その上にp電極26が形成されている。p層24は一部に切り欠きが形成され、この切り欠き部分にn層22が露出しており、n層22の上にn電極25が形成されている。
【0037】
図9は、図8のA-A断面図である。図9において、例えばサファイアで形成された基板21の上にn層22が形成され、その上に発光層23が形成され、発光層23の上にp層24が形成される。n層22の上のn電極25とp層24の上のp電極26間に電圧を印加すると、発光層23において、発光する。
【0038】
図9において、電極25及び電極26を覆って、透明樹脂によるバッファー層27が形成されている。LED20をロッドレンズ50の第1の面にOCAを介してLED20を接着させやすくするためである。LED20の表面段差をOCAによってカバー出来れば、透明バッファー層27は不要である。
【0039】
図10は、ロッドレンズ50の第1の面にLED20が接着した状態を示す断面図である。図10において、OCA30を介してLED20がロッドレンズ50の第1の面に接着している。十分な輝度を得るために、LED20には、1A程度の大きな電流を流すこともある。そうすると、LED20は高温になる。LED20が高温になると発光効率が低下するので、LED20から熱を逃がす必要がある。
【0040】
実施例1では、照明装置の筐体1000のうち、少なくとも光源付近は金属で形成し、これをヒートシンクとして作用させる。そして、LED20と筐体1000との間にヒートパイプ40を用いて熱を伝導させる。なお、ヒートパイプ40の代わりに、熱伝導率の大きい、Al、Cu等の金属を使用することも出来る。
【0041】
図11は、ロッドレンズ50が円錐台で形成されている場合における、図10のB-Bよりも上側を見た状態を示す底面図である。図11において、LED20からの光をロッドレンズ50内に十分に取り込むためと、組み立て誤差を考慮して、LED20の対角端部とロッドレンズ50の第1の面との間に片側でg1の差がとられている。g1は例えば、0.1mm乃至0.15mmである。
【0042】
図12は、ロッドレンズ50が四角錐台で形成されている場合における、図10のB-Bよりも上側を見た状態を示す底面図である。図12において、LED20からの光をロッドレンズ50内に十分に取り込むためと、組み立て誤差を考慮して、LED20の辺とロッドレンズ50の第1の面の辺との間に片側でg2の差がとられている。g2は例えば、0.1mm乃至0.15mmである。
【0043】
以上説明したように、実施例1の構成によれば、必要な輝度を確保しつつ、小さなスポット径を有するスポットライト、あるいは、十分にコリメートされた光を得ることが出来る。
【実施例0044】
図13は、本発明の実施例2を示す断面図である。図13の構成は、照明装置にて光を放射するリフレクタレンズ10とLED20を含む光源を離し、この間を光ファイバ60で接続したものである。図13の構成では、照明装置としての厚さは、リフレクタレンズ10の高さh2で決まるので、実施例1の照明装置に比べて、薄く出来る。
【0045】
光源部は、LED20がロッドレンズ50の第1の面に貼り付けられた構成となっている。この構成は、実施例1で説明したのと同じである。図13において、ロッドレンズ50の第2の面には、光ファイバ60が取り付けられている。光ファイバ60の他の端は、リフレクタレンズ10の底面、あるいは、底面近くに配置している。LED20からの光は、光ファイバ60を介してリフレクタレンズ10に供給される。
【0046】
図13において、光ファイバ60とLED20をロッドレンズ50によって接続している。しかし、光ファイバ60とLED20の接続は、ロッドレンズ50に限る必要はない。LED20と光ファイバ60を接続することが出来れば、どのような構成であってもよい。したがって、図13におけるロッドレンズ50は、カプラー50と言い換えることも出来る。
【0047】
光ファイバ60は0.3mm程度の径で作成することは可能である。つまり、光ファイバ60の端部から放射される光は、リフレクタレンズ10内において、点光源として作用する。したがって、図13の構成においても、十分にコリメートした光を得ることが出来る。
【0048】
光ファイバ60の長さは、任意に設定することが出来るので、照明装置の設置の自由度を大きくすることが出来る。その他の構成は、実施例1において説明したのと同じである。
【実施例0049】
図14は実施例3を示す断面図である。図14は、実施例1における照明装置のリフレクタレンズ10の出射面に液晶レンズ100を配置した構成である。これによって、光スポットを任意の径に設定することが出来る。さらに、液晶レンズ100によって光スポットの位置を変えることも出来る。
【0050】
図14において、リフレクタレンズ10、ロッドレンズ50、LED20等は、実施例1で説明したのと同じである。図14において、リフレクタレンズ10の出射面13に透明接着材31によって液晶レンズ100が接着している。図14における液晶レンズは2枚の液晶レンズ110、120がペアになった構成である。2枚の液晶レンズ110、120は、例えば、透明接着材32によって接着している。透明接着材31、32としては、例えばOCAを用いることが出来る。
【0051】
液晶レンズ100による光スポット径の制御、及び、光スポットの位置制御は、液晶レンズ100に入射する光がコリメートされていればより正確に行うことが出来る。したがって、実施例1及び実施例2で説明したような構成と、以下に説明するような液晶レンズ100を組み合わせることによって、正確に制御された光スポットを得ることが出来る。
【0052】
図15は、液晶レンズ100の原理を示す断面図である。図15において、液晶層300の左側からコリメートされた光が入射している。図15におけるPは入射光の偏向方向の意味である。通常の光の偏向方向はランダム分布しているが、液晶は屈折率に異方性があるので、図15はP方向に偏向している光についての作用を示すものである。
【0053】
図15において、液晶層300には、電極によって液晶分子301が液晶層300の周辺に行くにしたがって、傾きが大きくなるように配向している。液晶分子301は細長い形状であり、液晶分子301の長軸方向の実効屈折率は、液晶分子301の短軸方向の実効屈折率よりも大きいので、液晶層300の周辺ほど屈折率が大きくなるため、凸レンズが形成される。図15における点線は光波面WFであり、fはレンズのフォーカス距離である。
【0054】
液晶は、屈折率に異方性があるので、レンズを形成するには、第1のレンズが作用する光の偏向方向と直角方向に偏向する光に作用する第2のレンズが必要になる。図16はこのレンズ構成を示す分解斜視図である。図16において、左側の平行四辺形は光の波面である。つまり、X方向とY方向に偏向した光が液晶層300に入射する。第1液晶レンズ110はX偏光光に作用するレンズであり、第2液晶レンズ120はY偏光光に作用するレンズである。
【0055】
図16において、第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120では液晶分子301の初期配向方向が90度異なっている。液晶分子301の初期配向は、液晶レンズ内の配向膜の配向方向によって決定される。つまり、図16では、2枚の液晶レンズ110、120において、光が入射する側の基板における配向膜の配向方向が互いに直角方向になっている。
【0056】
図17は液晶レンズによって凹レンズを形成する場合である。図17において、波面WFが液晶層300に平行で、1方向に偏向した光が、左側から液晶層300に入射する。図17において、液晶層300における液晶分子301は、電極によって光軸付近において最も大きく配向され、周辺に行くにしたがって、配向角度が小さくなっている。このような液晶配向によるレンズ構成によって、液晶層300を通過した光の波面WFは図9の点線で示すような曲線になって凹レンズが形成される。なお、凹レンズの場合も、図16に示すように、2枚の液晶レンズが必要なことは同じである。
【0057】
図18は、液晶レンズ110の詳細断面図である。図18において、TFT基板111の上には、第1電極112が形成され、第1電極112を覆って第1配向膜113が形成されている。第1配向膜113の配向方向によって、入射光のうちの、液晶レンズによって作用を受ける方向の偏光光が決められる。対向基板115の内側には、第2電極116が形成され、第2電極116を覆って第2配向膜117が形成されている。第1配向膜113の配向方向と第2配向膜117の配向方向の関係は、どのような液晶を使用するかによって決められる。TFT基板111と対向基板115の間に液晶層300が挟持されている。
【0058】
図19の左側は第1基板111に形成された第1電極112の平面図である。第1電極112は同心円状の円となっている。円状の各電極112には電圧を印加するための引き出し配線114が接続されている。図19の右側の図は、対向基板115に形成された第2電極116の形状を示す平面図である。第2電極116は、平面電極であり、対向基板115のほぼ全面にわたって形成されている。
【0059】
図19において、第1電極112と第2電極116間の電圧を変化させることによって種々の強度のレンズを形成することができる。図18図19の例は、第1電極111が同心円で形成されているので、円形のレンズを容易に形成できるという特徴を有している。
【0060】
図18及び図19で説明した液晶レンズ110は、1方向、例えば偏光光PXに対して作用するレンズである。しかし、LED20からの光は、あらゆる方向に偏光しているので、少なくとも、PXと直角方向に偏光した光PYに対して作用する液晶レンズが必要である。
【0061】
図20はこの構成を示す斜視図である。図20において、LED20からの光LLが左側から入射すると、第1液晶レンズ110によってPX方向に偏光した光が液晶レンズの作用を受ける。PY方向に偏光した光は第1液晶レンズ110の影響を受けない。PY方向に偏光した光は、第2液晶レンズ120によって液晶レンズの作用を受ける。PX方向に偏光した光は、第2液晶レンズ120の作用は受けない。これによって、x方向に偏光した光もy方向に偏光した光も液晶レンズの作用を受けることが出来る。
【0062】
図21は、第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120を積層した状態を示す断面図である。第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120は透明接着材200によって接着している。図21において、第2液晶レンズ120の電極構成は、第1液晶レンズ110と同じである。つまり、第2液晶レンズ120において、TFT基板121に第3電極122が形成され、その上に第3配向膜123が形成されている。対向基板125の上に第4電極126が形成され、その上に第4配向膜127が形成されている。
【0063】
第2液晶レンズ120が第1液晶レンズ110と異なる点は、配向膜123の配向方向である。図21において、ALは配向膜113の配向方向を示している。図21において、第1液晶レンズ110におけるTFT基板111に形成された第1配向膜113の配向方向は例えばx方向である。第2液晶レンズ120のTFT基板121に形成された第3配向膜123の配向方向は、例えばy方向である。つまり、x方向に偏光した光もy方向に偏光した光も、2枚の液晶レンズ110及び120によって作用を受けることが出来る。
【0064】
なお、第1液晶レンズ110における対向基板115に形成された第2配向膜117の配向方向、及び第2液晶レンズ120の対向基板125に形成された第4配向膜127の配向方向は、液晶300としてどのような液晶を使用するかによって決まる。つまり、第1液晶レンズ110における第2配向膜117は第1配向膜113と同じ方向に配向する場合もあるし、直角方向に配向する場合もある。第2液晶レンズ120における第3配向膜123と第4配向膜127の関係も同じである。
【0065】
ところで、LED2010からの光は、全方向に偏光しているので、PXあるいはPYの偏光光にのみ作用したのでは、液晶レンズの十分な作用を得られない場合がある。この場合は、図22に示すように、例えば、x方向に対して45度方向に偏光している光P45に対して作用する液晶レンズ130、x方向に対して135度方向に偏光している光P135に対して作用する液晶レンズ140を加えればよい。
【0066】
図23は液晶レンズ110によって、光を左方向に偏向する場合の原理を示す図である。図23において、上側の図は、液晶レンズ110の断面図である。液晶レンズ110の第1基板111の上に第1電極112が形成され、その上に第1配向膜113が形成されている。第2基板115の上に第2電極116が形成され、その上に第2配向膜117が形成されている。第1配向膜113と第2配向膜117の間に液晶層300が存在している。液晶層300はシール材150によって封止されている。
【0067】
図23の第1電極112と第2電極116の間に、図23の下側のグラフに示すように、電位差が左から右に大きくなるような電圧vを印加すると、液晶分子301の配向角度が場所ごとに変化し、液晶層300の実効複屈率Δnがグラフのように変化する。このような液晶層300の構成によって、液晶レンズ110に下側から入射した光LLは左方向に偏向されて出射することになる。
【0068】
入射光に対して右方向に屈折させたい場合は、図23の場合と逆に、電位差が右から左に徐々に大きくなるように、各電極に電圧を印加すればよい。そうすると、液晶分子301の配向角度が場所ごとに変化し、液晶層300の実効複屈率Δnが図23の下側のグラフと逆に変化し、下側から液晶レンズに入射した光は右方向に偏向されることになる。
【0069】
図24図23に対応する第1液晶レンズ110の電極構成を示す平面図である。第1電極112も第2電極116もITO(Indium Tin Oxide)等のような、透明導電膜で形成される。図24の上側は、対向基板115に形成された第2電極116の形状を示す。第2電極116は、第2基板115全体に平面的に形成されている。
【0070】
図24の下側は、TFT基板111であり、ストライプ状の電極112が形成されている。図24において、ストライプ状の電極112はy方向に延在し、x方向に配列している。液晶レンズ110を動作させる場合は、各ストライプ状の電極112には、一方の端から順に電圧が上昇、あるいは低下するように印加される。
【0071】
第1液晶レンズ110のTFT基板111及び対向基板115の電極構造は、第2液晶レンズ120も同じである。第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120が異なる点は、第1液晶レンズ110における第1配向膜113及び第2配向膜117の配向方向と、第2液晶レンズ120における第1配向膜123及び第2配向膜127の配向方向とが互いに90度の角度をなしている点である。
【0072】
図24の第1液晶レンズの電極構成は、光を、平面で視て、左右方向に偏光させる場合である。図25は、光を、平面で視て、上下方向に偏光させる場合の電極構成を示す図である。図25において、対向基板115に形成された第2電極116は平面形状であり、図24と同じである。図25の下側に示すTFT基板111に形成された第1電極112は、x方向に延在し、y方向に配列している。つまり、図24の第1電極112と直交関係にある。したがって、図23で説明したと同様な作用によって、光を上下方向に偏光させることが出来る。
【符号の説明】
【0073】
10…リフレクタレンズ、 11…空間、 12…非対称レンズ面、 13…出射面、20…LED、 21…基板、 22…n層、 23…発光層、 24…p層、 25…n電極、 26…p電極、 27…透明バッファー層、30…透明接着材、31…透明接着材、32…透明接着材、40…ヒートパオプ、50…ロッドレンズ、60…光ファイバ、 100…液晶レンズ、 110…第1液晶レンズ、 111…TFT基板、 112…第1電極、 113…第1配向膜、 114…引き出し配線、 115…対向基板、 116…第2電極、 117…第2配向膜、 120…第2液晶レンズ、 121…TFT基板、 122…第3電極、 123…第3配向膜、 125…対向基板、 126…第4電極、 127…第4配向膜、 150…シール材、 300…液晶層、 301…液晶分子、 1000…照明装置、 1100…出射面、 2000…照射面、 2100…光スポット
図1
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