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特開2024-133922地図情報表示処理装置及び地図情報表示処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133922
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】地図情報表示処理装置及び地図情報表示処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/909 20190101AFI20240926BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240926BHJP
   G06F 16/29 20190101ALI20240926BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240926BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G06F16/909
G06Q50/10
G06F16/29
G09B29/00 F
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043947
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩和
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏行
【テーマコード(参考)】
2C032
5B175
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C032HC11
2C032HC22
2C032HC27
5B175DA03
5B175JB02
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】 同じ住所に物品の配達先となる複数の建物が存在する場所を、簡単に、かつ、正確に把握できるようにする。
【解決手段】 地図DB104は、住所と、住所ポリゴンと、複数の建物が紐付けられた住所か否かを示す住所フラグとを含む地図情報を記憶する。要求受付部106が住所を含む地図提供要求を受け付けると、提供地図形成部107が、当該地図提供要求の住所に基づき、地図DB104から目的エリアの地図情報を抽出し、地図を表示するための提供データを形成する。当該提供データは、地図情報の住所フラグに基づき、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所を、住所ポリゴンを用いて、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示するものである。表示処理手段は、当該提供データに応じた地図を表示部に表示するように処理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住所と、前記住所に対応する領域を地図上に示すための住所領域データと、複数の建物が紐付けられた住所か否かを示す住所フラグとを含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
住所を含む地図提供要求を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて、前記地図提供要求を受け付けた場合に、当該地図提供要求に含まれる前記住所に基づいて、前記地図情報記憶手段から目的エリアの地図情報を抽出し、地図を表示するための提供データを生成する提供地図形成手段と、
前記提供地図形成手段で形成された前記提供データに応じた地図を表示部に表示するように処理する表示処理手段と
を備え、
前記提供地図形成手段は、抽出した前記地図情報の前記住所フラグに基づいて、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所については、前記住所領域データに基づいて、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示する前記提供データを生成する
ことを特徴とする地図表示処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示処理装置であって、
前記提供地図形成手段は、複数の建物が紐付けられている住所については、他の住所の領域とは異なる色で表示するように前記提供データを生成する
ことを特徴とする地図情報表示処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の地図表示処理装置であって、
前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報は、同じ住所に紐付けられた複数の建物のそれぞれの平面形状を地図上に示すための建物形状データを含むものであり、
前記提供地図形成手段は、複数の建物が紐付けられた当該住所の領域内に、当該複数の建物の前記建物形状データに基づいて、前記複数の建物のそのそれぞれの領域を区別可能な態様で表示する前記提供データを生成する
ことを特徴とする地図情報表示処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図情報表示処理装置であって、
前記提供地図形成手段は、同じ住所に紐付けられている前記複数の建物の領域を、色を付して表示する前記提供データを生成する
ことを特徴とする地図情報表示処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の地図情報表示処理装置であって、
詳細住所の入力を受け付ける詳細住所受付手段と、
前記詳細住所受付手段を通じて、詳細住所を受け付けた場合に、前記詳細住所に基づいて、前記地図情報記憶手段の前記地図情報を参照し、あるいは、表示す地図を形成する前記提供データを参照し、当該住所に複数の建物が紐付けられている場合に、当該複数の建物についての一覧情報を形成する建物一覧形成手段と、
前記建物一覧形成手段を表示部に表示するように処理する建物一覧表示処理手段と
を備えることを特徴とする地図情報表示処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の地図情報表示処理装置であって、
地図情報提供サーバ装置とユーザ端末装置とがネットワークを通じて接続されて構成されるものであり、
前記地図情報提供サーバ装置は、
前記地図情報記憶手段と、前記受付手段と、前記提供地図形成手段と、
前記ユーザ端末装置からの地図提供要求を受信する受信手段と、
前記提供地図形成手段で形成された前記提供データを要求元の前記ユーザ端末装置に提供する提供手段と
を備え、
前記受付手段は、前記受信手段を通じて受信した前記地図提供要求を受け付けることができるものであり、
前記ユーザ端末装置は、
住所の入力を受け付ける住所受付手段と、
前記住所受付手段を通じて受け付けた住所を含む前記地図提供要求を形成する要求形成手段と、
前記要求形成手段で形成され前記地図提供要求を前記地図情報提供サーバ装置に送信する送信手段と、
前記表示処理手段と
を備えることを特徴とする地図表示処理装置。
【請求項7】
住所と、前記住所に対応する領域を地図上に示すための住所領域データと、複数の建物が紐付けられた住所か否かを示す住所フラグとを含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段にアクセス可能なコンピュータにおいて実行される地図情報表示処理プログラムであって、
住所を含む地図提供要求を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップを通じて、前記地図提供要求を受け付けた場合に、当該地図提供要求に含まれる前記住所に基づいて、前記地図情報記憶手段から目的エリアの地図情報を抽出し、地図を表示するための提供データを生成する提供地図形成ステップと、
前記提供地図形成ステップで形成した前記提供データに応じた地図を表示部に表示するように処理する表示処理ステップと
を有し、
前記提供地図形成ステップでは、抽出した前記地図情報の前記住所フラグに基づいて、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所については、前記住所領域データに基づいて、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示する前記提供データを生成する
ことを特徴とする地図情報表示処理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の地図情報表示処理プログラムであって、
前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報は、同じ住所に紐付けられた複数の建物のそれぞれの平面形状を地図上に示すための建物形状データを含むものであり、
前記提供地図形成ステップにおいては、他の住所の領域とは異なる態様で表示された、複数の建物が紐付けられた当該住所の領域内に、当該複数の建物の前記建物形状データに基づいて、紐付けられている前記複数の建物のそのそれぞれを区別可能な態様で表示する前記提供データを生成する
ことを特徴とする地図情報表示処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、住宅などの建物の所在を適切に示すことができる地図を提供できるようにする装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
同じ住所に、居住者の異なる複数の建物が存在する場合が多々ある。例えば、もともと1の住所により特定可能であった広い土地が複数に分割され、そのそれぞれに建物が建設されて、貸し出されたり、譲渡されたりしたが、住所がそのままとされることにより発生する。この場合、同じ住所に居住者の異なる複数の建物が存在するために、郵便物や宅配物の誤配の原因になる。この問題に対処するため、後に記す特許文献1には、住所表記が同じ地域に複数の家枠(建物)が存在する場合においても、一軒一軒の家枠を特定することが可能な家枠位置特定装置に関する発明が開示されている。
【0003】
当該特許文献1に開示された発明は、地図情報を記憶しておき、当該住所情報を文字情報と数値情報に分割してコード化し、文字情報コードに続いて数値情報コードを結合して住所コードとして記憶する。また、名称(世帯主)は文字情報として記憶し、検索時には住所コードと名称の論理積からなる検索条件により検索し、該検索対象の名称の家枠を特定するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-256231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、住所情報に対して住所コードを新たに付与しなければならない。また、名称(世帯主)の記録も必要であり、検索時には住所コードと名称の論理積からなる検索条件により検索しなければならない。このため、実際に住所表記が同じ地域に複数の家枠が存在する場合に、家枠一軒一軒を特定できるようにするためには、手間がかかるし、名称(世帯主)が登録されていなかったり、不正確であったりする場合には、十分な検索ができない場合もあると考えられる。
【0006】
近年においては、郵便だけでなく、いわゆるインターネットショッピングで購入した物品の配達や飲食店で提供される飲食物の配達など、個人宅に種々の物品を配達する業務が大幅に増加している。このため、不慣れな地域で配達業務に当たらなければならない配達員も多く存在する。このような背景の下、目的とする配達先となる個人宅がどこかを、簡単かつ正確に特定できる手段の提供が望まれている。特に、上述したように、同じ住所に物品の配達先となる複数の建物が存在する場所についての対策が重要である。
【0007】
以上のことに鑑み、この発明は、同じ住所に物品の配達先となる複数の建物が存在する場所を、簡単に、かつ、正確に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の地図情報表示処理装置は、
住所と、前記住所に対応する領域を地図上に示すための住所領域データと、複数の建物が紐付けられた住所か否かを示す住所フラグとを含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
住所を含む地図提供要求を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて、前記地図提供要求を受け付けた場合に、当該地図提供要求に含まれる前記住所に基づいて、前記地図情報記憶手段から目的エリアの地図情報を抽出し、地図を表示するための提供データを生成する提供地図形成手段と、
前記提供地図形成手段で形成された前記提供データに応じた地図を表示部に表示するように処理する表示処理手段と
を備え、
前記提供地図形成手段は、抽出した前記地図情報の前記住所フラグに基づいて、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所については、前記住所領域データに基づいて、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示する前記提供データを生成する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、住所を含む地図提供要求があった場合に、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所の領域については、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示する提供データを生成し、これに応じと地図を表示でできる。これにより、表示される地図上において、複数の建物が紐付けられている住所の領域を、視覚を通じて明確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態の地図表示処理システムと当該システムを構成する各装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図2】実施の形態の地図情報提供サーバ装置の地図DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
図3】実施の形態のユーザ端末装置に表示される地図の表示例を説明するための図である。
図4】実施の形態のユーザ端末装置に表示される地図の表示例を説明するための図である。
図5】実施の形態のユーザ端末装置に表示される地図の表示例を説明するための図である。
図6】実施の形態の地図情報提供サーバ装置で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態のユーザ端末装置で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、プログラムの一実施の形態について説明する。この発明の装置は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレットPC(Personal Computer)などを用いて単体の装置(スタンドアロンの装置)として実現することもできる。しかし、この発明の装置は、例えば、物品の配達業務を行う配達員が使用するのに好適な地図を提供するものであり、外出先等においても手軽に利用できることが好ましい。
【0012】
そこで、以下に説明する実施の形態においては、この発明の装置の一実施の形態を、ネットワークを通じて接続されるサーバ装置と端末装置とにより、いわゆるシステムの態様で実現される場合を例にして説明する。従って、以下に説明する実施の形態においては、サーバ装置から提供される地図を、例えばスマートフォンやタブレットPCなどの通信機能を備えた端末装置を通じて利用できるようにしたものである。
【0013】
[地図表示処理システムと当該システムを構成する各装置の構成例]
図1は、実施の形態の地図表示処理システムと当該システムを構成する各装置(地図情報提供サーバ装置1とユーザ端末装置3)の構成例を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の地図情報表示処理システムシステムは、地図情報提供サーバ装置1とユーザ端末装置3とがネットワーク2を通じて接続されて構成される。すなわち、地図情報提供サーバ装置1とユーザ端末装置3とによって、この発明による地図情報表示処理装置の一実施の形態が実現される。
【0014】
地図情報提供サーバ装置1は、ユーザ端末装置3からの地図提供要求に応じたエリアの地図情報を、要求元のユーザ端末装置3に提供する機能を実現する。ネットワーク2は、主にインターネットであるが、地図情報提供サーバ装置1やユーザ端末装置3からインターネットまでを接続する、例えば、電話網、携帯電話網、種々のLAN(Local Area Network)等を含む。ユーザ端末装置3は、地図情報提供サーバ装置1に対して地図の提供要求を送信し、地図情報提供サーバ装置1から目的とするエリアの地図情報を取得して、これに応じた地図を、自己の表示部に表示する機能を実現する。なお、ユーザ端末装置3は、例えば、配達業務を行う配達員が所持するスマートフォンやタブレットPCにより実現される。
【0015】
なお、図1において、ユーザ端末装置3は、その構成も示しているため1台しか示していない。しかし、実際には、多数の配達員が所持する多数のユーザ端末装置3が、ネットワーク2を通じて地図情報提供サーバ装置1から地図の提供を受けることができるようになっている。
【0016】
<地図情報提供サーバ装置の構成例>
まず、地図情報提供サーバ装置1の構成例について説明する。図1においてネットワーク2の上側のブロック図が、地図情報提供サーバ装置1の構成例を示している。図1に示す地図情報提供サーバ装置1において、通信I/F101は、ネットワーク2を通じて受信した信号を自機が処理可能なデータに変換して取り込んだり、送信用の種々のデータをプロトコルに準拠した信号に変換してネットワーク2に送出したりする。従って、ユーザ端末装置3との通信は、通信I/F101を通じて行われる。
【0017】
制御部102は、地図情報提供サーバ装置1の各部を制御するものであり、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ等を備えて構成されたマイクロプロセッサである。制御部102は、種々のアプリケーションを実行するアプリケーション実行部としても機能する。記憶装置103は、例えばSSD(Solid State Drive)などの、記憶媒体とそのドライバとからなり、記録媒体に対して、データの書き込み、読み出し、変更、削除を行うことが可能なものである。記憶装置103は、処理に必要になる種々のデータやプログラムを記憶保持するほか、種々の処理において得られる途中結果を一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0018】
図DB104は、地図を表示(描画)するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記データ等の種々の地図情報(地図データ)を緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。具体的に、地図DB104に蓄積されている地図情報は、例えば、道路、鉄道、河川、山岳、商業施設、金融機関、住宅、標識などの所定の種別毎(レイヤ毎)に形成されている。この実施の形態の地図情報提供サーバ装置1は、主に配達業務を行う配達員のユーザ端末装置3に対して、配達先となる個々の住宅の特定が可能ないわゆる住宅地図を提供するものであり、住宅レイヤの情報が重要となる。
【0019】
図2は、地図DB104の格納データの一例を説明するための図である。図2においては、住宅レイヤの地図情報の例を示している。図2に示すように、住宅レイヤの地図情報は、種別、住所、住所ポリゴン、代表点、建物ポリゴン、表札情報、住所フラグ、その他の情報からなる。種別は、当該地図情報が住宅レイヤの地図情報であることを示すものである。住所は、住居表示を意味する。この住所は、基本的には、物品の配達先となり建物に対して、1対1に対応するものである。しかし、上述もしたように、種々の理由により、1つの住所に対して、複数の建物が紐付けられている場合も多々ある。
【0020】
住所ポリゴンは、各住所の所在位置に対応すると共に、住所の所在領域を示すデータであり、各住所の所在領域の位置と形状とを特定可能なように、所在領域の輪郭(外縁)上の複数の点の位置を示す複数の緯度・経度から構成される。従って、住所ポリゴンの欄に示したJA1、JA2、…、JB1、JB2.…との記載において、JA1、JA2、…、JB1、JB2、…などのそれぞれは、実際には(緯度、経度)からなる位置情報であり、地図上の1点を示す情報である。
【0021】
このため、住所ポリゴンを構成する隣り合う点(座標位置)を接続することにより、対応する住所の所在領域の形状(輪郭)を特定でき、更に当該所在領域の地図上の位置も特定できる。このように、住所ポリゴンは、住所の所在位置に対応すると共に、住所の所在領域(地図上における住所の占める面積範囲)を示すデータ(形状データ)である。したがって、住所ポリゴンと住所の所在領域とは等価であり、各住所が占める閉じた領域範囲(面積範囲)を意味する。
【0022】
また、図2においては、住所ポリゴンを複数の緯度、経度からなるものとして示したが、これに限るものではない。緯度・経度に変換可能な地図上の座標データを用いることも可能である。また、例えば、住所ポリゴンとして演算式を含め、例えば、円状や半円状の形状(輪郭)を示すことも可能である。図2の地図情報において、代表点は、この実施の形態では、住所の所在領域の例えば中心の緯度、経度であり、図2においては、x1、x2、x3,…が緯度を示し、y1、y2、y3、…が経度を示している。
【0023】
建物ポリゴンは、各建物の所在位置に対応すると共に、建物の所在領域を示すデータであり、各建物の所在領域の形状を特定可能なように、所在領域の輪郭(外縁)上の複数の点の位置を示す複数の緯度・経度から構成される。すなわち、建物ポリゴンは、各住所の所在領域内の建物の位置と形状とを示すものである。従って、建物ポリゴンの欄に示したPA1、PA2、…、PB1、PB2.…との記載において、PA1、PA2、…、PB1、PB2、…などのそれぞれは、実際には(緯度、経度)からなる情報であり、地図上の1点を示す情報である。
【0024】
このため、建物ポリゴンを構成する隣り合う点(座標位置)を接続することにより、対応する建物の所在領域の形状(輪郭)を特定でき、更に当該所在領域の地図上の位置も特定できる。このように、建物ポリゴンは、建物の所在位置に対応すると共に、建物の所在領域(地図上における建物の占める面積範囲)を示すデータ(形状データ)である。したがって、建物ポリゴンと建物の所在領域とは等価であり、各建物が占める閉じた領域範囲(面積範囲)を意味する。
【0025】
また、図2においては、建物ポリゴンを複数の緯度、経度からなるものとして示したが、これに限るものではない。建物ポリゴンについても住所ポリゴンと同様に、緯度・経度に変換可能な地図上の座標データを用いることも可能である。また、建物ポリゴンについても、建物ポリゴンとして演算式を含め、例えば、円状や半円状の形状(輪郭)を示すことも可能である。表札情報は、各建物に対応付け有れている名称であり、建物が住宅である場合には、通常、居住者の名前が、漢字、片仮名、平仮名で表されたものである。
【0026】
住所フラグは、この実施の形態の地図情報提供サーバ装置1の地図DB104において、新たに採用された情報であり、同じ住所に例えば物品の配達先となる複数の建物が存在する場所を特定するための情報である。図2に示した例においては、住所「〇〇市〇〇町8-1」である地図情報は1件しかなく、また、住所「〇〇市〇〇町8-3」である地図情報も1軒しかない。しかし、住所「〇〇市〇〇町8-2」である地図情報は6件存在し、そのそれぞれが、他とは異なる建物ポリゴンと他とは異なる表札情報とを有している。
【0027】
換言すれば、住所「〇〇市〇〇町8-1」には、1軒の建物しか紐付けられておらず、また、住所「〇〇市〇〇町8-3」にも、1軒の建物しか紐付けられていない。これに対して、住所「〇〇市〇〇町8-2」には、6軒の建物が紐付けられている。すなわち、住所「〇〇市〇〇町8-2」に対しては、それぞれが物品の配達先となる6軒の建物が存在していることになる。
【0028】
このため、住所が「〇〇市〇〇町8-1」である地図情報と、住所が「〇〇市〇〇町8-3」である地図情報との住所フラグは「0(オフ)」とされ、住所が同じ「〇〇市〇〇町8-2」である6軒分の地図情報の住所フラグは「1(オン)」とされている。これにより、1つの住所で特定される場所に物品の配達先となる複数の建物が存在する場所と、1つの住所で特定される場所に物品の配達先となる1つの建物しか存在しない場所とを、簡単かつ確実に把握することができるようにしている。
【0029】
なお、図2においては省略したが、地図情報は、都道府県コードや市区町村コードなどからなる地域コードや郵便番号などのいくつかの識別情報(ID)を有している。また、図2では省略したが、地図情報が有するその他の情報には、例えば出入口の位置を示す情報や建物の階数を示す情報などの種々の詳細情報が含まれる。
【0030】
住所フラグ設定部105は、制御部102の制御の下、地図DB104に蓄積されている既存の地図情報に対して、住所フラグを設定する処理を行う。具体的に、住所フラグ設定部105は、地図DB104に蓄積されている地図情報を読み出し、同じ住所を有する他の地図情報が存在する場合には、「1(オン)」にした住所フラグを、存在しない場合には、「0(オフ)」にした住所フラグを付加する。
【0031】
すなわち、住所フラグ設定部105は、図2に示したように構成される住所DB104の住所情報については、読み出した住所情報に対して、少なくとも直前または直後の住所情報と同じ住所を有していてれば、「1(オン)」となる住所フラグを付加する。これに対して、読み出した住所情報に対して、直前と直後の住所情報のいずれとも同じ住所でなければ、「0(オフ)」となる住所フラグを付加する。これにより、図2に示したように、同じ住所を有する地図情報には、「1(オン)」となる住所フラグが付加できる。なお、住所フラグは、地図情報の登録時において、分かっている場合にはオペレータが手入力することもできる。
【0032】
要求受付部106は、通信I/F101を通じて受信した情報を解析し、ユーザ端末装置3からの住所を含む地図提供要求である場合に、これを受け付けて制御部102に通知する処理を行う。提供地図形成部107は、要求受付部106を通じて、ユーザ端末装置3から住所を含む地図提供要求を受け付けた場合に機能する。この場合、提供地図形成部107は、制御部102の制御の下、受け付けた地図提供要求に含まれる住所に基づいて、地図DB104から目的エリアの地図情報を抽出し、地図を表示するための提供データを生成する。目的エリアは、地図情報に含まれる住所により特定される場所を含み、ユーザ端末装置3の表示部に表示可能なエリアを意味する。このため、ユーザ端末装置3からの地図提供要求には、ユーザ端末装置3の表示部の画面サイズなどの情報も含まれる場合がある。
【0033】
地図提供要求に含まれる住所は完全な住所ではなく、住所の一部を含んでいればよい。例えば、図2に示した地図情報の場合、「〇〇市〇〇町8-1」が住所の末端までを示す住所であるとすれば、「〇〇市〇〇町」までであれば、〇〇市の〇〇町の地図の提供要求となる。また、「〇〇市〇〇町8」までであれば、〇〇市の〇〇町の8番地の地図の提供要求となる。また、「〇〇市〇〇町8-1」までの末端までを含む住所の場合には、「〇〇市〇〇町8-1」の場所が明確に分かる地図の提供要求となる。
【0034】
また、この実施の形態の提供地図形成部107は、地図を表示するための提供データを形成する場合に、複数の建物が紐付けられている住所の領域と、複数の建物が紐付けられていない住所の領域とを区別可能にした地図を表示するための提供データを形成する。具体的に、提供地図形成部107は、抽出した地図情報の住所フラグに基づいて、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所の領域については、住所ポリゴンに基づいて、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示する提供データを生成する。
【0035】
この実施の形態の提供地図形成部107は、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所の領域の輪郭(外縁)を太線で示したり、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所の領域に色を付して示したりする提供データを形成する。更に、提供地図形成部107は、複数の建物が紐付けられていると特定できた住所の領域内に、抽出した地図情報の建物ポリゴンに基づいて、建物の領域を表示する提供データを形成する。
【0036】
また、この場合に、各建物の領域内を、住所の領域とは異なる色を付して表示する提供データを形成することもできる。なお、各建物の領域内を同じ色で塗り潰すようにすることもできるし、各建物の領域内を建物ごと、あるいは、複数の建物ごとに異なる色で塗り潰すようにすることもできる。すなわち、複数の建物の全てを異なる色で表示することもできるし、1軒または複数軒に一の色を付し、他の1軒または複数軒に他の色を付すといったことも可能である。
【0037】
地図情報提供部108は、提供地図形成部107で形成された地図を表示するための提供データを、通信I/F101及びネットワーク2を通じて要求元のユーザ端末装置3に提供する処理を行う。このように、この実施の形態の地図情報提供サーバ装置1は、住所を含む地図提供要求を受け付けた場合に、当該住所に基づいて、地図情報の検索を行い、目的エリアの地図を表示するための提供情報を形成して、要求元に提供する機能を実現する。
【0038】
すなわち、地図情報提供サーバ装置1は、複数の建物が紐付けられた住所の領域を、他の住所の領域と区別できるように表示することができるようにした地図情報を提供データとして要求元のユーザ端末装置3に提供できる。また、地図情報提供サーバ装置1は、複数の建物が紐付けられた住所の領域に、当該複数の建物のそれぞれの領域を区別可能に表示するようにした地図情報を提供データとして要求元のユーザ端末装置3に提供できる。
【0039】
[ユーザ端末装置3の構成例]
次に、ユーザ端末装置3の構成例について説明する。図1においてネットワーク2の下側のブロック図が、ユーザ端末装置3構成例を示している。図1に示すユーザ端末装置3において、無線通信部301は、ネットワーク2を通じて受信した信号を自機が処理可能なデータに変換して取り込んだり、送信用の種々のデータをプロトコルに準拠した信号に変換してネットワーク2に送出したりする。当該無線通信部301には、送受信アンテナ301Aが接続されている。従って、地図情報提供サーバ装置1との通信は、送受信アンテナ301A及び無線通信部301を通じて行われる。
【0040】
制御部302は、ユーザ端末装置3の各部を制御するものであり、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ等を備えて構成されたマイクロプロセッサである。また、制御部302は、種々のアプリケーションを実行するアプリ実行部としても機能する。記憶装置303は、記録媒体として不揮発性メモリを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等の不揮発性メモリへの書込み、読み出し、変更、削除を行うことが可能なものである。
【0041】
操作部304は、ユーザ端末装置3に設けられたハードウェアキーからなり、ユーザからの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部302に供給する。なお、操作部304に設けられたハードウェアキーは例えば電源のオン/オフキーや基本機能を実行するための幾つかのファンクションキー等である。GPS部305およびGPSアンテナ305Aは、複数の人工衛星からの信号を受信して、自機の現在位置を測位するものである。
【0042】
表示部306は、種々の画像データや映像データの供給を受けて、これを映像信号に変換し、当該映像信号に応じた画像や映像を自己の表示画面に表示するものである。また、表示部306の表示画面にはタッチセンサ307が設けられている。表示部306とタッチセンサ307とにより、表示機能と入力機能とを備えたユーザインターフェースとしてのタッチパネル308を構成する。したがって、制御部302は、タッチパネル308からのユーザの指示位置を示す情報と当該指示位置に対応する表示部306の表示画面上に表示された情報とに基づいて、ユーザからの指示入力が認識できるようになっている。
【0043】
音声出力部309は、制御部302から供給される種々の音声データをアナログ音声信号に変換してスピーカ310に供給する。これにより、音声出力部309に供給された音声データに応じた音声がスピーカ310から放音される。これら音声出力部309およびスピーカ310は、警告メッセージを放音したり、例えばナビゲーション機能の実行時において案内音声を放音したりする場合に機能する。
【0044】
要求形成部311は、制御部102の制御の下、住所を含む地図提供要求を形成し、これを無線通信部301及び送受信アンテナ301Aを通じて地図情報提供サーバ装置1に送信する機能を実現する。
【0045】
建物一覧形成部312は、自機からの住所を含む地図提供要求に応じて、地図情報提供サーバ装置1から地図情報の提供を受けて、これに応じた地図を表示部306に表示した後、更に詳細な情報を、タッチパネル308を通じて受け付けた場合に機能する。この場合、建物一覧形成部312は、制御部302の制御の下、受け付けた住所に基づいて、地図情報提供サーバ装置1から提供を受けた地図情報を参照し、指示された住所に複数の建物が紐付けられているか否かを確認する。建物一覧形成部312は、この確認処理で、指示された住所に対して、複数の建物が紐付けられていることが確認できた場合には、当該複数の建物の一覧情報(一覧リスト)を形成する。
【0046】
この場合の建物の一覧情報(一覧リスト)は、地図情報提供サーバ装置1から提供を受けた地図情報の各建物に対応づけられている表札情報の一覧リストとなる。もちろん、これに限るものではなく、各建物に対応付けられている他の情報の一覧リストとすることもできる。例えば、「建物ポリゴンの最初の緯度、経度」の一覧リストや出入口位置を備える場合には「出入口位置を示す緯度、経度」の一覧リストを形成することが可能である。建物一覧形成部312で形成された建物の一覧情報(一覧リスト)は、地図情報提供サーバ装置1から提供を受けた地図情報に応じた地図と共に、ユーザ端末装置3の表示部306に表示されることになる。
【0047】
なお、図1には図示しないがユーザ端末装置3は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する時計回路や加速度センサや方位センサ(地磁気センサ)や高度センサ(気圧センサ)などからなるセンサ部を備える。センサ部の機能により、ユーザ端末装置3の傾き、向き、所在位置の高度の検出が可能とされる。なお、センサ部は、3軸(前後、左右、上下)の加速度センサ他、加速度センサと角速度センサを組み合わせた6軸センサが用いられる場合もある。センサ部での検出出力は、ユーザ端末装置3における種々の制御に用いられる。
【0048】
このように構成されたユーザ端末装置3は、地図情報提供サーバ装置1にアクセスし、住所を含む地図提供要求を送信することにより、地図を表示するための提供データを得て、表示部306に当該地図を表示できる。これにより、ユーザ端末装置3のユーザ(利用者)は、表示部306に表示された地図を確認しながら、物品の配達を行うことができる。特に、1の住所に複数の建物が紐付けられている場所を明確に示した地図を表示部306に表示できるので、誤配の防止に資することができる。
【0049】
なお、ユーザ端末装置3は、上述もしたように、スマートフォンやタブレットPCにより実現可能なものである。このため、通話機能を実現するための処理部やカメラ機能部などをも備えるものである。しかし、この実施の形態のユーザ端末装置3は、地図情報提供サーバ装置1と協働することにより、配達業務に有用な地図を表示することができるものである。このため、地図の取得や表示に直接に関係のない通話機能を実現するための処理部やカメラ機能部など記載は省略している。
【0050】
[ユーザ端末装置3の表示部に表示される地図の具体例]
図3図5は、ユーザ端末装置3の表示部306に表示される地図の表示例を説明するための図である。ユーザ端末装置3は、所定のURL(Uniform Resource Locator)を用いて地図情報提供サーバ装置1が提供するWebページにアクセスし、地図を表示するための提供情報(地図情報)の提供を受けることができる。また、ユーザ端末装置3は、地図を閲覧するための専用アプリケーションソフトウェアを、所定のサーバよりダウンロードしておく。ユーザ端末装置3は、専用アプリケーションソフトウェアを実行することによって、地図情報提供サーバ装置1にアクセスし、地図を表示するための提供情報(地図情報)の提供を受けることができる。
【0051】
以下の説明においては、ユーザ端末装置3は、地図を閲覧するための専用アプリケーションソフトウェア(以下、地図アプリと記載する。)を用いて地図情報提供サーバ装置1にアクセスして、地図を表示するための提供データの提供を受けるものとして説明する。すなわち、ユーザ端末装置3のユーザ(使用者)は、自己のユーザ端末装置3を用いて、地図アプリをダウンロードしておき、自己のユーザ端末装置3において、いつでも実行できるようにしている。
【0052】
この実施の形態において、ユーザ端末装置3のユーザは、物品の配達員であり、配達業務に際して、自分が担当する配達エリアの地図を表示したい場合には、まず、ユーザ端末装置3において、地図アプリを実行(起動)する。これにより、ユーザ端末装置3の制御部302において地図アプリが実行され、ネットワーク2を通じて地図情報提供サーバ装置1にアクセスし、地図検索のための初期画面の提供を受けて、これを表示部306に表示する。
【0053】
地図検索のための初期画面は、例えば、図3(A)に示すように、所定の場所の地図と住所等の検索キー情報の入力欄N1と、終了キーEKとからなるものである。この場合の所定の場所の地図は、例えば、東京駅周辺のように、予め決められたエリアの地図やユーザ端末装置3のGPSアンテナ305A及びGPS部305を通じて測位した現在位置を含むエリアの地図である。住所等の検索キー情報の入力欄N1には、住所、郵便番号、ランドマークの名称など、地図の表示エリアとなる目的エリアを特定することが可能な情報を、表示部306に表示されたソフトウェアキーボードKBを通じて入力することができる。また、終了キーEKを選択すれば、当該地図アプリは終了するようにされる。
【0054】
なお、この実施の形態において、ユーザ端末装置3のユーザは、物品の配達員である。このため、以下においては説明を簡単にするため、住所等の入力欄N1には、住所が入力されるものとして説明する。また、終了キーEKは、他の表示画面にも設けられている場合もあり、終了キーEKが設けられている場合には、終了キーEKの選択により地図アプリを終了させることができる。
【0055】
初期画面(図3(A))が表示された後、配達エリアの一部である、例えば「〇〇市〇〇町8(番地)」の地図を表示したいとする。この場合、図3(B)に示すように、入力欄N1に「〇〇市〇〇町8」と入力し、ソフトウェアキーボードKBに設けられている実行キーを選択操作したとする。これにより、ユーザ端末装置3の要求形成部311が、「〇〇市〇〇町8」との住所を含む地図提供要求を形成し、これを地図情報提供サーバ装置1に送信する。
【0056】
当該地図提供要求は、地図情報提供サーバ装置1の通信I/F101を通じて受信され、要求受付部106によって受け付けられて、制御部302に提供される。制御部302は、提供地図形成部107に対して、「〇〇市〇〇町8」の地図を表示するための提供データを形成するように指示を出す。提供地図形成部107は、地図DB104から住所が「〇〇市〇〇町8」である全ての地図情報を、記憶装置103の作業領域に抽出する。従って、「〇〇市〇〇町8-1」や「〇〇市〇〇町8-2」等の「〇〇市〇〇町8」との住所を含むすべての住所情報(図2に示した1件1件の情報)が抽出される。更に、提供地図形成部107は、抽出した地図情報の住所フラグに基づいて、1つの住所に複数の建物が紐付けられていると特定できた住所の領域を、他の住所の領域とは区別可能な態様で表示する提供データを生成する。
【0057】
図2を用いて説明したように、地図情報において、各住所の領域は、住所ポリゴンにより特定可能である。このため、提供地図形成部107は、1つの住所に複数の建物が紐付けられていると特定できた当該住所の領域の輪郭(外縁)を太線で示したり、あるいは、当該住所の領域の内側を他の住所の領域とは異なる色で示したりするようにした住所情報を生成する。従って、住所ポリゴンで示される輪郭を太線にする情報(線種指示情報)や住所ポリゴンで示される輪郭の内側に色を付す情報(色彩指示情報)が付加された住所情報が生成される。
【0058】
また、この実施の形態の地図情報提供サーバ装置1の提供地図形成部107は、1つの住所に紐付けられている複数の建物については、それぞれの建物ポリゴンに基づいて、各建物の位置及び形状を区別可能にする提供データを形成する。この場合、1つの住所に紐付けられている複数の建物のそれぞれの領域の輪郭(外縁)を太線で示したり、当該複数の建物のそれぞれの領域内に色を付したりした地図情報を生成する。従って、建物ポリゴンで示される輪郭を太線にする情報(線種指示情報)や建物ポリゴンで示される輪郭の内側に色を付す情報(色彩指示情報)が付加された住所情報が生成される。
【0059】
このようにして、提供地図形成部107で形成された地図情報が、ユーザ端末装置3への提供データとなる。当該提供データは、1つの住所に複数の建物が紐付けられている当該住所の領域を他の住所の領域と区別可能にすると共に、1つの住所に複数の建物が紐付けられている当該住所の領域内に位置する複数の建物のそれぞれを区別可能にした住所情報である。
【0060】
地図情報提供サーバ装置1から地図を表示するための提供データである地図情報を受信した要求元のユーザ端末装置3では、制御部302の制御の下、当該地図情報は記憶装置303の所定の領域に一時記憶される。この後、制御部302が表示部306を制御し、記憶装置303に一時記憶した地図情報を用いて、図3(B)に示すように、「〇〇市〇〇町8(番地)」の地図を表示部306に表示する。この実施の形態においては、図2を用いて説明したように、住所「〇〇市〇〇町8-2」には、6軒の建物が紐付けられている。このため、図3(B)において符号Jを付して示したように、住所「〇〇市〇〇町8-2」の領域が他の住所の領域とは異なる態様で表示される。
【0061】
図4は、図3(B)に示した住所「〇〇市〇〇町8-2」の領域Jの部分を拡大して示したである。この実施の形態においては、図4に示すように、1つの住所に複数の住所が紐付けられていると特定できた当該住所の領域Jを、他の住所の領域とは異なる色で塗りつぶすことにより、他の住所の領域と区別可能にされる。また、この実施の形態の場合には、1つの住所に複数の建物が紐付けられていると特定できた当該住所の領域内に位置する複数の建物については、それらの建物の領域内に色を付して示している。図4において、符号PB、PC、PD、PE、PF、PGで示した領域が、各建物の建物ポリゴンによって特定される各建物の領域に対応する。従って、図3(B)に示したように、住所「〇〇市〇〇町8」を含む所定エリアの地図により、1の住所に複数の建物が紐付けられている場所があること、および、その場所には6軒の建物が紐付けられていることを、視覚を通じて明確に把握できる。
【0062】
更に、ユーザ端末装置3において、図3(B)に示した状態から、図5に示すように、住所等の入力欄N1に対して、図3(B)の入力欄N1に示した住所よりも詳細な住所が入力され、実行キーが選択操作されたとする。この場合においても、図5には示していないが、例えば、図3(A)に示した態様で表示されるソフトウェアキーボードを通じて入力され、当該ソフトウェアキーボードの実行キーが選択操作される。図5においては、入力欄N1に示したように、目的とする住所の全部(目的とする住所の末端まで)が入力されている。
【0063】
この場合、ユーザ端末装置3の制御部302は、記憶装置303に一時記憶している地図情報提供サーバ装置1からの地図情報を用いて、目的とする住所「〇〇市〇〇町8-2」の場所(位置)がよりわかるように拡大した地図を表示部306に表示する。次に、制御部302は、建物一覧形成部312を制御し、指示された住所「〇〇市〇〇町8-2」に紐付けられている建物の一覧リストを作成するようにする。建物一覧形成部312は、記憶装置303に一時記憶している地図情報提供サーバ装置1からの地図情報を参照し、住所「〇〇市〇〇町8-2」に紐付けられている建物の表札情報を取得して、建物の一覧リストを形成し、これを表示部306に表示する。
【0064】
これにより、図5に示したように、地図及び建物一覧リストW1が表示部306に表示される。この実施の形態においては、図2を用いて説明したように、住所「〇〇市〇〇町8-2」には、6軒の建物が紐付けられている。このため、図5に示したように、住所「〇〇市〇〇町8-2」の領域Jが他の住所の領域とは異なる態様で表示され、その近傍に建物一覧リストW1が表示される。この場合、地図は、図3(B)に示したものよりも拡大されたものであり、住所「〇〇市〇〇町8-2」の領域をより明確に示すようにされたものである。また、図5において記号MKで示されるマークは、当該場所が検索対象となった住所地であることを示すマークであり、当該住所の代表点を示すように表示される。また、マークMKが付された場所が、検索可能な最小の住所領域である。
【0065】
従って、図5に示したように、住所「〇〇市〇〇町8-2」の場所をより明確に示す地図が、ユーザ端末装置3の表示部306に表示される。この場合においても、住所「〇〇市〇〇町8-2」で示される場所は、1の住所に複数の建物が紐付けられている場所があること、および、その場所には6軒の建物が紐付けられていることを、視覚を通じて明確に把握できる。更に、住所「〇〇市〇〇町8-2」で示される場所に存在する6軒の建物のそれぞれには、建物一覧リストW1で示される異なる居住者が居住していることが示される。
【0066】
これにより、ユーザ端末装置3のユーザは、住所「〇〇市〇〇町8-2」で示される場所には、「1、BBさん」、「2、CCさん」、「3、DDさん」、「4,EEさん」、「5、FFさん」、「6、GGさん」の6軒の建物が存在することを把握できる。従って、ユーザ端末装置3のユーザである配達員は、配達先の住所が「〇〇市〇〇町8-2」である物品(荷物)については、6軒のうちのどの建物に配達しなければならないものなのかを意識することができる。これにより、複数の建物が紐付けられた1の住所により特定される場所に物品を配達する場合であっても、事前に注意することが可能になり、誤配することなく適切に配達することができる。
【0067】
[地図情報提供サーバ装置1の処理のまとめ]
図6は、実施の形態の地図情報提供サーバ装置1で実行される処理を説明するためのフローチャートである。地図情報提供サーバ装置1に電源が投入されると、制御部102において図6に示す処理が実行され、制御部102が各部を制御して処理が進められる。まず、制御部102は、通信I/F101及び要求受付部106を制御して、自機宛の要求を受け付けるようにし(ステップS101)、ステップS101において自機宛の要求を受け付けたか否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、自機宛の要求を受け付けていないと判別したときには、ステップS101からの処理を繰り返し、自機宛ての要求の到来を待つ。
【0068】
ステップS102の判別処理において、自機宛の要求を受け付けたと判別したときには、制御部102は、受け付けた自機宛の要求は、住所を含む地図提供要求か否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別処理において、地図提供要求ではないと判別したときには、制御部102は要求された処理を実行し(ステップS104)、ステップS101からの処理を行うようにする。なお、ステップS104で行われる処理は、例えば、ユーザ端末装置3のユーザなどの利用者についての情報の登録処理、利用者についての情報の変更処理などといった、地図情報の提供処理以外の種々の処理が含まれる。
【0069】
ステップS103の判別処理において、受け付けた自機宛ての要求は、地図情報の提供要求でると判別したときには、制御部102は、提供地図形成部107を制御し、要求元に提供すべき地図情報の形成処理を行う。具体的に、提供地図形成部107は、まず、地図提供要求に含まれる住所に基づいて、地図DB104を参照し、当該住所により特定される所定エリアの地図情報を抽出し、記憶装置103の作業エリアに一時記憶する(ステップS105)。
【0070】
次に、提供地図形成部107は、抽出した地図情報の住所フラグに基づいて、1の住所に複数の建物が紐付いた(紐付けられている)住所を特定する(ステップS106)。この後、提供地図形成部107は、特定した住所の住所ポリゴンにより特定される領域を、他の住所の領域と区別して表示するように処理する(ステップS107)。このステップS107の処理は、上述もしたように、住所ポリゴンで示される住所領域の輪郭を太線で表示すように線種を指示したり、住所ポリゴンで示される住所領域の内側に色を付すように色彩を指示したりする処理である。
【0071】
次に、提供地図形成部107は、ステップS106で特定した住所に紐付いた(紐付けられている)建物のそれぞれを区別して表示するように処理する(ステップS108)。このステップS108の処理は、ステップS107の処理と同様に、特定した住所に紐付いた建物のそれぞれの建物ポリゴンに基づいて、建物の領域の輪郭を太線で示したり、建物の領域の内側に色を付すようにしたりする処理である。なお、複数の建物の全部を同じ色で表示するようにしたり、複数の建物のそれぞれに異なる色を付すようにしたり、複数の建物の内のいくつかには例えば青色を付し、その他の建物には例えば赤色を付すというようにすることもできる。
【0072】
この後、制御部102は、地図情報提供部108を制御し、提供地図形成部107で形成された地図情報を、通信I/F101及びネットワーク2を通じて、例えば、ユーザ端末装置3などの要求元に提供する処理を実行する(ステップS109)。この後、ステップS101からの処理を繰り返し、次の要求に対応する。このように、地図情報提供サーバ装置1は、複数の建物が紐付けられている住所の領域とその他の住所の領域とを区別可能にすると共に、1の住所に紐付けられている複数の建物のそれぞれについても区別可能にした地図情報(提供データ)の提供ができるものである。
【0073】
[ユーザ端末装置3の処理のまとめ]
図7は、実施の形態のユーザ端末装置3で実行される処理を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートは、ユーザ端末装置3にダウンロードされた地図アプリが実行するようにされた場合に、制御部302において実行され、制御部302が各部を制御して処理が進められる。
【0074】
ユーザ端末装置3において、地図アプリの実行が指示されると、制御部302は、まず、地図情報提供サーバ装置1にアクセスし、図3(A)に示した態様の初期画面の提供を受けて、これを表示部306に表示する(ステップS201)。次に、制御部302は、タッチパネル308を通じて、入力欄N1への住所入力や終了キーEKの選択入力を受け付けるようにし(ステップS202)、受け付けた入力は終了キーEKの選択入力か否かを判別する(ステップS203)。
【0075】
ステップS203の判別処理において、受け付けた入力は終了キーの選択入力ではない、すなわち、入力欄N1への住所入力及実行キーの入力であると判別したとする。この場合、制御部302は、要求形成部311を制御し、入力された住所を含む地図提供要求を形成し、これを地図情報提供サーバ装置1に送信する(ステップS204)。この後、地図情報提供サーバ装置1から、自機からの地図提供要求に応じた地図情報(提供データ)が送信されて来る。このため、ユーザ端末装置3にでは、これを送受信アンテナ301A及び無線通信部301を通じて受信し、記憶装置303に一時記憶して、表示部306に表示する処理を行う(ステップS205)。
【0076】
これにより図3(B)に示した態様で地図が表示される。すなわち、ステップS205で表示部306に表示される地図は、複数の建物が紐付けられている住所については、他の住所(1の建物しか紐付けられていない住所)とは区別可能な態様で表示されたものである。更に、ステップS205で表示される地図は、複数の建物が紐付けられている住所の領域には、当該複数の建物のそれぞれが区別可能な態様で表示されたものである。
【0077】
この後、制御部302は、タッチパネル308を通じて、住所入力や終了キーの選択入力を受け付けるようにし(ステップS206)、受け付けた入力は終了キーの選択入力か否かを判別する(ステップS207)。ステップS207の判別処理において、受け付けた入力は終了キーの選択入力ではない、すなわち、入力欄N1への住所入力及び実行キーの入力であると判別したとする。この場合、制御部302は、受け付けた住所は、ステップS202で受け付けた住所を更に詳細にしたものか否かを判別する(ステップS208)。
【0078】
すなわち、ステップS208の判別処理は、ステップS202で受け付けた住所が、「〇〇市〇〇町8」である場合に、ステップS206で受け付けた住所が「〇〇市〇〇町8-2」というように、いわゆるドリルダウンした情報か否かを判別する処理である。ステップS208の判別処理において、ステップS206で受け付けた住所がドリルダウンした詳細情報ではないないと判別したときには、新たな住所を検索キーとする入力であるので、ステップS204からの処理を繰り返すようにする。
【0079】
ステップS206で受け付けた住所が、ドリルダウンした詳細情報であると判別したとする。この場合、制御部302は、まず、記憶装置303に一時記憶した地図情報提供サーバ装置1からの地図情報を用い、ステップS206で受け付けた住所に応じて更に表示エリアを絞り込むようにした地図を表示部306に表示する(ステップS209)。更に、制御部302は、建物一覧形成部312を制御し、記憶装置303に一時記憶した当該地図情報を用い、ステップS206で受け付けた住所に紐付けられている建物の一覧リストを形成して、表示部306に表示する処理を行う(ステップS210)。
【0080】
ステップS209の処理とステップS210の処理により、図5を用いて説明したように、目的とする住所の場所をより明確に示した地図が表示される。更に、指示された住所に複数の建物が紐付けられている場合には、当該複数の建物についての建物一覧リストW1が表示される。この例においては、建物一覧リストW1は、上述もしたように、各建物に紐付けられている表札情報の一覧リストである。なお、指示された住所に複数の建物が紐付けられていない場合、すなわち、まだドリルダウンして詳細情報を入力できる場合、当該状態は、記憶装置303に一時記憶している地図情報を参照することにより把握できる。この場合には、建物一覧リストの表示は行わない。但し、指示された住所に1の建物が紐付けられている場合には、建物一覧リストを表示しないこともできるし、1の建物についての建物一覧リストを表示することもできる。
【0081】
ステップS210の処理の後においては、ステップS206からの処理が繰り返され、更にドリルダウンした詳細住所を入力したり、ステップS202で入力した住所とは異なる住所を入力したり、終了キーEKの選択入力をしたりすることができる。また、ステップS203の判別処理において、ステップS202で終了キーEKの選択入力を受け付けたと判別した場合には、所定の終了処理を行って(ステップS211)、この図7に示す処理(地図アプリ)を終了させる。同様に、ステップS207の判別処理において、ステップS206で終了キーEKの選択入力を受け付けたと判別した場合には、所定の終了処理を行って(ステップS211)、この図7に示す処理(地図アプリ)を終了させる。
【0082】
このように、ユーザ端末装置3は、ユーザの指示に応じて、住所を含む地図提供要求を形成して地図情報提供サーバ装置1に送信できる。また、ユーザ端末装置3は、自機からの地図提供要求に応じて、地図情報提供サーバ装置1から提供される地図情報(提供データ)に応じた地図を表示部306に表示できる。更に、ユーザ端末装置3は、地図情報提供サーバ装置1から提供を受けた地図情報を用いて、建物一覧リストを形成して、これを表示部306に表示することもできる。
【0083】
[実施の形態の効果]
上述したように、地図情報提供サーバ装置1とユーザ端末装置3とが協働することにより、ユーザ端末装置3のユーザ(利用者)が目的とする住所が示す場所を含む地図を、ウザ端末装置の表示部306に表示できる。この際に、表示される地図に、1の住所に複数の建物が紐付けられている住所が存在する場合には、その住所の領域を他の住所の領域とは区別できるようにして表示できる。
【0084】
更に、1の住所に複数の建物が紐付けられている住所が存在する場合には、その住所の領域内に、当該複数の建物のそれぞれを区別できるように表示できる。また、複数の建物が紐付けられている住所が示す場所に位置する複数の建物についての建物一覧リストを表示することができる。
【0085】
これにより、ユーザ端末装置3を用いて、1つの住所に複数の建物が紐付けられている場所を、表示部306に表示された地図上で明確に把握できる。また、1つの住所に複数の建物が紐付けられている場所に何軒の建物が紐付けられているのか、また、当該複数の建物に関する建物一覧リストも表示でき、複数の建物のそれぞれの詳細についても把握できる。これにより、1つの住所に複数の建物が紐付けられている場所に物品を配達する場合の誤配の発生の防止に資することができる。
【0086】
[変形例]
上述した実施の形態では、まず、ユーザ端末装置3を通じて住所の入力を受け付け、当該住所を含む地図提供要求を地図情報提供サーバ装置1に送信して、当該住所が示す場所を含むエリアの地図情報を地図情報提供サーバ装置1から提供を受けた。この後、ユーザ端末装置3では、直前に入力された住所を更に詳細にした住所を受け付けた場合には、既に提供を受けている地図情報を用いて、目的とする住所が指示する場所をより明確に示す地図と建物一覧リストを形成して、表示するようにした。これにより、ユーザ端末装置3と地図情報提供サーバ装置1との間で送受するデータ量を少なくできる。
【0087】
しかし、これに限るものではない。ユーザ端末装置3では、直前に入力された住所を更に詳細にした住所を受け付けた場合には、当該住所を含む地図提供要求を形成して地図情報提供サーバ装置1に送信する。地図情報提供サーバ装置1では、新たに受け付けた地図提供要求に含まれる住所に応じて、再度、地図DB104から地図情報を抽出して、地図を表示するための地図情報(提供データ)を作り直して、要求元のユーザ端末装置3に提供するようにしてもよい。この場合に、建物一覧リストも地図情報提供サーバ装置1で形成して、要求元のユーザ端末装置3に提供するようにしてもよい。従って、ユーザ端末装置3が備えていた建物一覧形成部312は、地図情報提供サーバ装置1に設けることもできる。
【0088】
また、地図情報提供サーバ装置1は、1つのサーバ装置として実現されるものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、情報を記憶保持するサーバ装置とデータ処理を行うサーバ装置とを別々に設けるなどの複数のサーバ装置からなるクラウドシステムとして、地図情報提供サーバ装置1を構成することもできる。
【0089】
また、上述した実施の形態では、地図情報提供サーバ装置1とユーザ端末装置3とからなる地図情報表示処理システムとして、この発明による地図情報表示処理装置を構成したが、これに限るものではない。例えば、パーソナルコンピュータやタブレットPCに対して、地図情報提供サーバ装置1の機能とユーザ端末装置3の機能との両方を搭載するようにして、単体の地図情報表示処理装置を構成することももちろん可能である。
【0090】
また、上述した実施の形態では、建物一覧リストを複数の建物が紐付けられている住所の領域の近傍に表示する例を示したが、これは一例であり、種々の表示態様を取ることができる。例えば、表示部306の表示画面の上端側や下端側などの決められた位置に表示するようにしたり、複数の建物が紐付けられている住所の領域をタップした場合に、建物一覧リストを別画面として表示したりするなどのことが考えられる。
【0091】
上述した実施の形態においては、図2に示した住所フラグは、1の住所に複数の建物が紐付いている場合には「1(オン)」となり、1の住所に1つの建物しか紐付いていない場合には「0(オフ)」となるものであることを説明した。この場合の建物は、物品の配達先となるものである。しかし、住所フラグは、上述のように、オン/オフのフラグに限るものではない。1の住所に紐付いている建物の数そのものを、住所フラグとして用いるようにすることもできる。
【0092】
すなわち、1の住所に1つの建物が紐付いている場合には、住所フラグは「1」となり、1の住所に2つの建物が紐づいている場合には、住所フラグは「2」となる。図2に示した例の場合には、住所「〇〇市〇〇町8-2」に紐付いた6軒の住所フラグは、いずれも「6」となる。これより、地図情報提供サーバ装置1の提供地図形成部107は、複数の建物が紐づいて住所については、その住所の住所ポリゴン内を、紐付けられている建物の数(件数)に応じて、異なる色を付すようにできる。
【0093】
例えば、1つの建物が紐付いている住所の住所ポリゴン内には「薄いグレー」を付し、2つの建物が紐付いている住所の住所ポリゴン内には「青色」を付し、3つの建物が紐付いている住所の住所ポリゴン内には「緑色」を付す。というようにできる。このように、1つ住所に紐付いている建物の数に応じて、当該住所の住所ポリゴン内を異なる色で表示することにより、物品の配達を行う者に対して、効果的に注意喚起を促すことができる。
【0094】
なお、1の住所に紐付いている複数の建物の建物ポリゴン内は、建物ごとに異なる色を付すようにすることもできるし、全部の建物ポリゴン内に同じ色を付すこともできる。また、隣り合う建物には異なる色を付すようにすることも可能である。すなわち、建物ごとの色の付し方は、種々の態様が可能である。
【0095】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の地図情報記憶手段の機能は、実施の形態の地図情報提供サーバ装置1の地図DB104が実現している。また、請求項の受付手段の機能は、主に地図情報提供サーバ装置1の通信I/F101及び要求受付部が実現している。また、請求項の提供地図形成手段の機能は、地図情報提供サーバ装置1の提供地図形成部107が実現している。また、請求項の表示処理手段の機能は、ユーザ端末装置3の制御部302及び表示部306が実現している。また、請求項の詳細情報受付手段の機能は、ユーザ端末装置3のタッチパネル308が実現し、請求項の建物一覧形成手段の機能は、ユーザ端末装置3の建物一覧形成部312が実現している。
【0096】
また、図6図7のフローチャートに示した処理を実行するプログラムが、この発明による地図情報表示処理プログラムの一実施の形態が適用されたものである。従って、図6に示す処理を実行するプログラムをネットワーク2に接続されたサーバ装置に搭載して実行することにより、実施の形態の地図情報提供サーバ装置1を実現できる。また、図7に示す処理を実行するプログラムをスマートフォンやタブレットPCに搭載して実行することにより、実施の形態のユーザ端末装置3を実現できる。これら地図情報提供サーバ装置1とユーザ端末装置3とからなる地図情報表示処理装置を実現できる。
【符号の説明】
【0097】
1…地図情報提供サーバ装置、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…地図DB、105…住所フラグ設定部、106…要求受付部、107…提供地図形成部、108…地図情報提供部、2…ネットワーク、3…ユーザ端末装置、301A…送受信アンテナ、301…無線通信部、302…制御部、303…記憶装置、304…操作部、305…GPS部、305A…GPSアンテナ、306…表示部、307…タッチセンサ、308…タッチパネル、309…音声出力部、310…スピーカ、311…要求形成部、312…建物一覧形成部、N1…入力欄、EK…終了キー、KB…ソフトウェアキーボード、J…住所の領域、PA、PB、PC、PD、PE、PF、PG…建物の領域、MK…目的住所の代表点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7