IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東北電力株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社永木精機の特許一覧

特開2024-133940工具装置、工具、および、工具装置の使用方法
<>
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図1
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図2
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図3
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図4
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図5
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図6
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図7
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図8
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図9
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図10
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図11
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図12
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図13
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図14
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図15
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図16
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図17
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図18
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図19
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図20
  • 特開-工具装置、工具、および、工具装置の使用方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133940
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】工具装置、工具、および、工具装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 1/12 20060101AFI20240926BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240926BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20240926BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20240926BHJP
   B25J 1/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B25J1/12
H02G1/02
B66F9/06 W
B66F11/04
B25J1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043971
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】宮古 尚
(72)【発明者】
【氏名】大場 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 順二
(72)【発明者】
【氏名】西條 直樹
【テーマコード(参考)】
3C707
3F333
5G352
【Fターム(参考)】
3C707CU02
3C707CY12
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707HT20
3C707HT22
3C707XF05
3F333AA08
3F333AC13
5G352AB09
5G352AE04
5G352AE05
5G352AJ01
5G352AJ09
5G352AJ11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ターゲットに工具を容易にアプローチさせることが可能な工具装置、工具、および、工具装置の使用方法を提供する。
【解決手段】工具装置は、伸縮可能な第1棒部材と、第1棒部材に取り付けられる工具と、を具備する。工具は、第1棒部材に取り付けられる取付部と、取付部によって回動可能に支持されるアームと、アームによって支持され、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタと、アームを取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能な第1棒部材と、
前記第1棒部材に取り付けられる工具と
を具備し、
前記工具は、
前記第1棒部材に取り付けられる取付部と、
前記取付部によって回動可能に支持されるアームと、
前記アームによって支持され、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタと、
前記アームを前記取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、
前記エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と
を備える
工具装置。
【請求項2】
前記工具は、
リモートコントローラと通信可能な通信部と、
前記通信部が受信する信号に基づいて、前記アーム駆動装置および前記エンドエフェクタ駆動装置を制御する制御回路と
を備える
請求項1に記載の工具装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記リモートコントローラと無線通信可能であり、
前記第1棒部材は、電気絶縁性の棒部材であり、
前記工具は、電気工事用工具である
請求項2に記載の工具装置。
【請求項4】
第2棒部材と、
前記第2棒部材と前記第1棒部材とを接続する第1接続部と
を更に具備し、
前記第1接続部は、前記第1棒部材と前記第2棒部材との間の角度を変更可能なように前記第2棒部材と前記第1棒部材とを接続する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具装置。
【請求項5】
前記第1棒部材と前記第2棒部材との間の前記角度を手動で変更可能である
請求項4に記載の工具装置。
【請求項6】
前記第1接続部は、
前記第2棒部材に対する前記第1棒部材の傾動を防止するロック機構と、
前記ロック機構によるロックを解除するロック解除操作部と
を備える
請求項4に記載の工具装置。
【請求項7】
前記第1接続部は、前記工具または前記第1棒部材に作用する重力に起因して前記第1棒部材が前記第2棒部材に対して傾動するときに、前記第2棒部材に対する前記第1棒部材の傾動速度を抑制する傾動速度抑制機構を備える
請求項4に記載の工具装置。
【請求項8】
前記第1接続部に設けられ、前記第1棒部材を保持可能な保持部と、
前記保持部によって前記第1棒部材が保持される第1状態と、前記保持部による前記第1棒部材の保持が解除される第2状態との間で、前記保持部の状態を変更する第1操作部と
を更に具備する
請求項4に記載の工具装置。
【請求項9】
前記第1棒部材は、前記第2棒部材の中心軸まわりに回転可能なように、前記第1接続部を介して前記第2棒部材によって支持される
請求項4に記載の工具装置。
【請求項10】
前記工具は、前記力付与対象物を把持可能な把持機構を備え、
前記把持機構は、
第1把持部と、
前記エンドエフェクタ駆動装置によって駆動され、前記第1把持部に対して相対移動可能な第2把持部と
を有し、
前記エンドエフェクタは、前記把持機構を含む
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具装置。
【請求項11】
前記工具は、前記エンドエフェクタ駆動装置によって駆動され、第1回転軸まわりを回転可能な回転体を有し、
前記エンドエフェクタは、前記回転体を含む
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具装置。
【請求項12】
前記工具は、前記エンドエフェクタとは別に設けられ、他の工具を取り外し可能に保持する工具保持部を備える
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具装置。
【請求項13】
棒部材に取り付け可能な取付部と、
前記取付部によって回動可能に支持されるアームと、
前記アームによって支持され、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタと、
前記アームを前記取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、
前記エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と
を具備する
工具。
【請求項14】
工具装置の使用方法であって、
前記工具装置は、
伸縮可能な第1棒部材と、
前記第1棒部材に取り付けられる工具と
を具備し、
前記工具は、
前記第1棒部材に取り付けられる取付部と、
前記取付部によって回動可能に支持されるアームと、
前記アームによって支持されるエンドエフェクタと、
前記アームを前記取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、
前記エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と
を備え、
前記使用方法は、
前記第1棒部材を伸長させること、および、前記アーム駆動装置を用いて前記アームを前記取付部に対して回動させることのうちの少なくとも一方を実行することにより、前記工具をターゲットにアプローチさせるアプローチ工程と、
前記第1棒部材が手動で操作されることにより、前記工具の位置を調整する位置調整工程と、
前記エンドエフェクタ駆動装置を用いて前記エンドエフェクタを駆動することにより、前記エンドエフェクタから力付与対象物に力を付与する力付与工程と
を具備する
工具装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具装置、工具、および、工具装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工具が取り付けられる棒部材を伸長させることにより、工具を電線等に接近させる技術が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、アーム装置が開示されている。特許文献1に記載のアーム装置は、高所作業車のバケットに設けられる基部と、基部に設けられ、進退可能なアーム部と、を備える。アーム部は、基部に対して進退可能な第一アーム部と、第一アーム部に設けられ、第一アーム部が進退する方向と平行な方向において第一アーム部に対して進退可能な第二アーム部とを有する。第二アーム部には、工具を取り付け可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-34931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、アーム部が基部に対して直線的に進退可能な構成と、アーム部が基部に対して傾動可能な構成とが示されている。当該傾動は、基部側において行われるため、傾動に伴う工具の移動量が大きい。このため、当該傾動を用いて、工具をターゲットにアプローチさせる作業の難易度が高い。また、当該傾動が、基部側において行われるため、工具をターゲットにアプローチさせる方向についての自由度が低い。換言すれば、バケットとターゲットとの間の位置関係によって、工具をターゲットにアプローチさせる方向が1つの方向に決まってしまう。よって、ターゲットの周囲に障害物がある等の状況では、工具をターゲットにアプローチさせる作業の難易度が更に高くなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ターゲットに工具を容易にアプローチさせることが可能な工具装置、工具、および、工具装置の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す工具装置、工具、および、工具装置の使用方法に関する。
【0008】
(1)伸縮可能な第1棒部材と、
前記第1棒部材に取り付けられる工具と
を具備し、
前記工具は、
前記第1棒部材に取り付けられる取付部と、
前記取付部によって回動可能に支持されるアームと、
前記アームによって支持され、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタと、
前記アームを前記取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、
前記エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と
を備える
工具装置。
(2)前記工具は、
リモートコントローラと通信可能な通信部と、
前記通信部が受信する信号に基づいて、前記アーム駆動装置および前記エンドエフェクタ駆動装置を制御する制御回路と
を備える
上記(1)に記載の工具装置。
(3)前記通信部は、前記リモートコントローラと無線通信可能であり、
前記第1棒部材は、電気絶縁性の棒部材であり、
前記工具は、電気工事用工具である
上記(2)に記載の工具装置。
(4)第2棒部材と、
前記第2棒部材と前記第1棒部材とを接続する第1接続部と
を更に具備し、
前記第1接続部は、前記第1棒部材と前記第2棒部材との間の角度を変更可能なように前記第2棒部材と前記第1棒部材とを接続する
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の工具装置。
(5)前記第1棒部材と前記第2棒部材との間の前記角度を手動で変更可能である
上記(4)に記載の工具装置。
(6)前記第1接続部は、
前記第2棒部材に対する前記第1棒部材の傾動を防止するロック機構と、
前記ロック機構によるロックを解除するロック解除操作部と
を備える
上記(4)に記載の工具装置。
(7)前記第1接続部は、前記工具または前記第1棒部材に作用する重力に起因して前記第1棒部材が前記第2棒部材に対して傾動するときに、前記第2棒部材に対する前記第1棒部材の傾動速度を抑制する傾動速度抑制機構を備える
上記(4)に記載の工具装置。
(8)前記第1接続部に設けられ、前記第1棒部材を保持可能な保持部と、
前記保持部によって前記第1棒部材が保持される第1状態と、前記保持部による前記第1棒部材の保持が解除される第2状態との間で、前記保持部の状態を変更する第1操作部と
を更に具備する
上記(4)に記載の工具装置。
(9)前記第1棒部材は、前記第2棒部材の中心軸まわりに回転可能なように、前記第1接続部を介して前記第2棒部材によって支持される
上記(4)に記載の工具装置。
(10)前記工具は、前記力付与対象物を把持可能な把持機構を備え、
前記把持機構は、
第1把持部と、
前記エンドエフェクタ駆動装置によって駆動され、前記第1把持部に対して相対移動可能な第2把持部と
を有し、
前記エンドエフェクタは、前記把持機構を含む
上記(1)乃至(3)に記載の工具装置。
(11)前記工具は、前記エンドエフェクタ駆動装置によって駆動され、第1回転軸まわりを回転可能な回転体を有し、
前記エンドエフェクタは、前記回転体を含む
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の工具装置。
(12)前記工具は、前記エンドエフェクタとは別に設けられ、他の工具を取り外し可能に保持する工具保持部を備える
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の工具装置。
(13)棒部材に取り付け可能な取付部と、
前記取付部によって回動可能に支持されるアームと、
前記アームによって支持され、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタと、
前記アームを前記取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、
前記エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と
を具備する
工具。
(14)工具装置の使用方法であって、
前記工具装置は、
伸縮可能な第1棒部材と、
前記第1棒部材に取り付けられる工具と
を具備し、
前記工具は、
前記第1棒部材に取り付けられる取付部と、
前記取付部によって回動可能に支持されるアームと、
前記アームによって支持されるエンドエフェクタと、
前記アームを前記取付部に対して回動させるアーム駆動装置と、
前記エンドエフェクタを駆動するエンドエフェクタ駆動装置と
を備え、
前記使用方法は、
前記第1棒部材を伸長させること、および、前記アーム駆動装置を用いて前記アームを前記取付部に対して回動させることのうちの少なくとも一方を実行することにより、前記工具をターゲットにアプローチさせるアプローチ工程と、
前記第1棒部材が手動で操作されることにより、前記工具の位置を調整する位置調整工程と、
前記エンドエフェクタ駆動装置を用いて前記エンドエフェクタを駆動することにより、前記エンドエフェクタから力付与対象物に力を付与する力付与工程と
を具備する
工具装置の使用方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ターゲットに工具を容易にアプローチさせることが可能な工具装置、工具、および、工具装置の使用方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態における工具装置を模式的に示す概略斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態における工具装置を模式的に示す概略側面図である。
図3図3は、第1の実施形態における工具装置を模式的に示す概略側面図である。
図4図4は、第2の実施形態における工具装置を模式的に示す概略側面図である。
図5図5は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略側面図である。
図6図6は、ロック機構の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略斜視図である。
図8図8は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略正面図である。
図9図9は、傾動速度抑制機構の一部分を模式的に示す図である。
図10図10は、第2の実施形態における工具装置を模式的に示す概略側面図である。
図11図11は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略斜視図である。
図12図12は、保持部の一例を模式的に示す図である。
図13図13は、第2の実施形態における工具装置を模式的に示す概略平面図である。
図14図14は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略側面図である。
図15図15は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略正面図である。
図16図16は、第2の実施形態の第1変形例における工具装置の一部分を模式的に示す概略側面図である。
図17図17は、第2の実施形態の第2変形例における工具装置の一部分を模式的に示す概略側面図である。
図18図18は、第2の実施形態における工具装置の一部分を模式的に示す概略側面図である。
図19図19は、第3の実施形態における工具を模式的に示す概略側面図である。
図20図20は、位置調整工程を実行中の様子を模式的に示す図である。
図21図21は、実施形態における工具装置の使用方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における工具装置1、工具2、および、工具装置1の使用方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、第1の実施形態における工具装置1Aについて説明する。図1は、第1の実施形態における工具装置1Aを模式的に示す概略斜視図である。図2および図3は、第1の実施形態における工具装置1Aを模式的に示す概略側面図である。
【0013】
図1に例示されるように、第1の実施形態における工具装置1Aは、第1棒部材3と、第1棒部材3に取り付けられる工具2とを具備する。
【0014】
第1棒部材3は、伸縮可能である。第1棒部材3が伸長されることにより、工具2を、ターゲットDにアプローチさせることができる。ターゲットDは、例えば、架空電線、あるいは、他の工具である。ただし、実施形態において、ターゲットDは、架空電線、他の工具に限定されず任意である。
【0015】
第1棒部材3が収縮されることにより、工具2が第1棒部材3の基端部3bに近づく。この場合、工具装置1Aを運搬するのが容易となる。また、工具2が作業者に近づくため、作業者による工具2の調整作業(例えば、工具2に他の工具を取り付ける作業)が容易となる。なお、第1棒部材3の基端部側には、作業者が存在することが想定されるが、工具装置1Aが全自動の装置である場合には、作業者は存在しなくてもよい。
【0016】
第1棒部材3は、例えば、FRP製(換言すれば、繊維強化複合材料製)である。工具2が、電気工事用工具である場合には、第1棒部材3は、電気絶縁性の棒部材であることが好ましい。
【0017】
工具2は、取付部21と、アーム22と、エンドエフェクタ25と、アーム駆動装置AM(より具体的には、アーム駆動モータMT)と、エンドエフェクタ駆動装置M1(より具体的には、第1モータMT1)とを備える。
【0018】
取付部21は、第1棒部材3に取り付けられる。図1に記載の例では、取付部21は、第1棒部材3の先端部3aに取り付けられている。取付部21は、複数の部品によって構成される。
【0019】
アーム22は、取付部21によって回動可能に支持される。アーム22は、1つの部品によって構成されてもよいし、複数の部品によって構成されてもよい。
【0020】
エンドエフェクタ25は、アーム22によって支持される。エンドエフェクタ25は、力付与対象物に力を作用させる。例えば、エンドエフェクタ25が、把持機構G1を含むとき、エンドエフェクタ25は、力付与対象物に把持力を作用させる。また、エンドエフェクタ25が、フック等を有する回転部を含むとき、エンドエフェクタ25は、力付与対象物に回転力を作用させる。例えば、力付与対象物が、他の工具の操作環である場合、エンドエフェクタ25は、操作環に回転力を作用させて、操作環を回転させる。エンドエフェクタ25は、1つの部品によって構成されてもよいし、複数の部品によって構成されてもよい。なお、本明細書において、エンドエフェクタとは、対象物に、把持力、切断力、操作力等の任意の力を作用させる機械要素を意味する。
【0021】
図1に記載の例では、工具2を近接させるべきターゲットDと、エンドエフェクタ25から力を付与されるべき力付与対象物とが同一である。代替的に、ターゲットDと力付与対象物とが異なっていてもよい。例えば、工具2のエンドエフェクタ25によって他の工具を把持し、当該他の工具が電線にアプローチされてもよい。この場合、「他の工具」がエンドエフェクタ25から力を付与される力付与対象物であり、「電線」がターゲットDである。
【0022】
アーム駆動装置AMは、アーム22を取付部21に対して回動(より具体的には、傾動)させる。アーム駆動装置AMの駆動力によって、アーム22が取付部21に対して回動されることにより、工具2をターゲットDにアプローチさせることができる。
【0023】
エンドエフェクタ駆動装置M1は、エンドエフェクタ25を駆動する。エンドエフェクタ25がエンドエフェクタ駆動装置M1によって駆動されることにより、エンドエフェクタ25は、力付与対象物に力を作用させることができる。
【0024】
第1の実施形態における工具装置1Aは、第1棒部材3と、第1棒部材3に取り付けられる取付部21と、取付部21に対して回動可能なアーム22と、アーム22によって支持されるエンドエフェクタ25とを備える。この場合、第1棒部材3の伸縮と、アーム22の回動とを用いて、ターゲットDに工具2を容易にアプローチさせることができる。アーム22が取付部21に対して回動可能であることにより、例えば、ターゲットD(例えば、電線)の背面側から、ターゲットDに工具2をアプローチさせることができる。
【0025】
第1の実施形態における工具装置1Aは、アーム22を取付部21に対して回動させるアーム駆動装置AMを備える。この場合、工具2の質量が大きい場合でも(あるいは、工具2によって支持される他の工具の質量が大きい場合でも)、アーム22を取付部21に対して容易に回動させることができる。また、第1の実施形態における工具装置1Aは、エンドエフェクタ25を駆動するエンドエフェクタ駆動装置M1を備える。この場合、工具2の位置あるいは工具2の姿勢に関わらず、エンドエフェクタ駆動装置M1を用いて、エンドエフェクタ25から力付与対象物に、所望の力を作用させることができる。
【0026】
また、第1の実施形態における工具装置1Aでは、作業の少なくとも一部が駆動装置(M1、AM)によって実行されるため、少ない作業者で、あるいは、無人で、工具装置1Aの工具2を用いて所望の作業を遂行することができる。
【0027】
また、アーム駆動装置AMが工具2に配置されていることにより、アーム駆動装置AMからアーム22に駆動力を伝達する駆動力伝達系をコンパクトにすることができる。また、エンドエフェクタ駆動装置M1が工具2に配置されていることにより、エンドエフェクタ駆動装置M1からエンドエフェクタ25に駆動力を伝達する駆動力伝達系をコンパクトにすることができる。
【0028】
続いて、図2および図3を参照して、第1の実施形態における工具装置1A(あるいは、後述の第2の実施形態における工具装置1B、または、後述の第3の実施形態における工具2)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0029】
(通信部27および制御回路28)
図2(a)に例示されるように、工具2は、通信部27と、制御回路28とを有していてもよい。
【0030】
通信部27は、リモートコントローラCと通信可能である。また、制御回路28は、通信部27がリモートコントローラCから受信する信号に基づいて、アーム駆動装置AMおよびエンドエフェクタ駆動装置M1を制御する。制御回路28は、制御チップに含まれていてもよいし、小型のコンピュータに含まれていてもよい。
【0031】
工具2が、通信部27および制御回路28を備える場合、作業者は、リモートコントローラCを用いて、工具2を遠隔操作することができる。
【0032】
図2(a)に記載の例において、リモートコントローラCのアーム操作部C1が操作されると、リモートコントローラCは、第1操作信号を通信部27に送信し、制御回路28は、通信部27が受信する第1操作信号に基づいて、アーム駆動装置AMを制御する。こうして、アーム駆動装置AMは、取付部21に対してアーム22を回動させる(図2(b)を参照。)。また、図2(a)に記載の例において、リモートコントローラCのエンドエフェクタ操作部C2が操作されると、リモートコントローラCは、第2操作信号を通信部27に送信し、制御回路28は、通信部27が受信する第2操作信号に基づいて、エンドエフェクタ駆動装置M1を制御する。こうして、エンドエフェクタ駆動装置M1は、エンドエフェクタ25を駆動する(図2(b)における矢印AR1を参照。)。図2に記載の例では、作業者は、リモートコントローラCを操作するだけで、アーム22を回動させることができ、エンドエフェクタ25を駆動させることができる。
【0033】
通信部27は、リモートコントローラCと無線通信可能であることが好ましい。通信部27とリモートコントローラCとの間の通信が無線通信である場合、第1棒部材3に沿って通信線を配置する必要がない。この場合、工具2を第1棒部材3に取り付けることに付随して、第1棒部材3に沿って通信線を配線する必要がないため、工具装置1Aを少ない工数で組み立てることができる。また、第1棒部材3に沿って通信線が配置されないため、工具2が電気工事用工具である場合でも、通信線を介して電線からの電流が第1棒部材3の基端部3bに伝わることがない。よって、作業者の感電が防止される。例えば、第1棒部材3を電気絶縁性の棒部材にすることにより、作業者の感電が確実に防止される。
【0034】
(第1バッテリE1)
図2(a)に記載の例では、工具2は、アーム駆動装置AMおよびエンドエフェクタ駆動装置M1に電力を供給する第1バッテリE1を有する。工具2が、通信部27および制御回路28を備える場合、第1バッテリE1は、アーム駆動装置AMおよびエンドエフェクタ駆動装置M1に加えて、通信部27および制御回路28に電力を供給する。第1バッテリE1は、1つのバッテリによって構成されていてもよく、複数のバッテリにより構成されていてもよい。
【0035】
(第1軸AX1まわりのアーム22の回動)
図2(a)に記載の例では、アーム22は、取付部21に対して第1軸AX1まわりに回動可能なように、取付部21によって支持されている。図2(a)に記載の例では、アーム22は、取付部21に対し、1つの軸である第1軸AX1まわりにのみ回動可能である。また、図2(a)に記載の例では、第1軸AX1は、第1棒部材3の長手方向に垂直な軸である。代替的に、アーム22は、ユニバーサルジョイントを介して、取付部21によって支持されていてもよい。この場合、アーム22は、取付部21に対して任意の軸まわりに回動可能となる。
【0036】
図2(b)に記載の例では、第1軸AX1まわりの、取付部21に対するアーム22の可動角度αは、360度よりも小さく、より具体的には、180度程度である。代替的にアーム22は、取付部21に対して、第1軸AX1まわりに360度回転可能であってもよい。
【0037】
(第1棒部材3の伸縮)
図3(a)に記載の例では、工具装置1Aは、第1棒部材3を伸縮させる第3モータMT3を備える。代替的に、第1棒部材3の伸縮は、手動で実行されてもよい。
【0038】
図3(a)に記載の例では、第3モータMT3の駆動は、リモートコントローラCからの指令に基づいて実行される。工具装置1Aは、リモートコントローラCと通信可能な第2通信部37と、第2通信部37がリモートコントローラCから受信する信号に基づいて、第3モータMT3を制御する第2制御回路38とを備えていることが好ましい。
【0039】
図3(a)に記載の例では、第1棒部材3は、基端部3bを有する第1シャフト31と、先端部3aを有する第2シャフト32とを有する。第2シャフト32の一部は、第1シャフト31の内側に挿入されている。また、第2シャフト32は、第3モータMT3の駆動により(あるいは、手動で)、第1棒部材3の中心軸AT1に平行な方向に、第1シャフト31に対して相対移動可能である。
【0040】
図3(a)に記載の例では、第1シャフト31の一部と第2シャフト32の一部とがオーバーラップしており、第1シャフト31と第2シャフト32との間には他のシャフトが配置されていない。換言すれば、第1棒部材3が2つのシャフトによって構成されている。この場合、第1棒部材3の長さは、第1シャフト31の長さと、第2シャフト32の長さとの和から、第1シャフト31と第2シャフト32との間のオーバーラップ部分の長さを減算することにより得られる長さである。代替的に、第1棒部材3は、多段階式で伸縮可能な棒部材であってもよい(換言すれば、第1棒部材3は、互いに相対移動可能な3個以上のシャフトによって構成されていてもよい。)。
【0041】
第3モータMT3の駆動による第1棒部材3の伸縮は、ボールねじ機構を用いて行われてもよいし、ラックとピニオンとを用いて行われてもよいし、その他の機構を用いて行われてもよい。
【0042】
図3(a)には、第1棒部材3が最も収縮された状態が示され、図3(b)には、第1棒部材3が最も伸長された状態が示されている。最も伸長された状態における第1棒部材3の長さと、最も収縮された状態における第1棒部材3の長さとの差(換言すれば、第1棒部材3の伸縮ストロークL1)は、例えば、10cm以上、20cm以上、あるいは、30cm以上であることが好ましい。また、伸縮ストロークL1は、例えば、300cm以下、200cm以下、あるいは、100cm以下であることが好ましい。
【0043】
図3(a)に記載の例では、工具装置1Aは、第3モータMT3に電力を供給する第2バッテリE2を有する。工具装置1Aが、第2通信部37および第2制御回路38を備える場合、第2バッテリE2は、第3モータMT3に加えて、第2通信部37および第2制御回路38に電力を供給する。
【0044】
(第2の実施形態)
図4乃至図18を参照して、第2の実施形態における工具装置1Bについて説明する。図4は、第2の実施形態における工具装置1Bを模式的に示す概略側面図である。なお、図4において、工具装置1Bが固定される固定対象物B、および、作業者は、破線によって示されている。図5は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略側面図である。図6は、ロック機構50の一例を模式的に示す図である。図7は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略斜視図である。図8は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略正面図である。図9は、傾動速度抑制機構55の一部分を模式的に示す図である。図10は、第2の実施形態における工具装置1Bを模式的に示す概略側面図である。図11は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略斜視図である。図12は、保持部60の一例を模式的に示す図である。図13は、第2の実施形態における工具装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図14は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略側面図である。図15は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略正面図である。図16は、第2の実施形態の第1変形例における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略側面図である。図17は、第2の実施形態の第2変形例における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略側面図である。図18は、第2の実施形態における工具装置1Bの一部分を模式的に示す概略側面図である。
【0045】
第2の実施形態における工具装置1Bは、工具2および第1棒部材3に加えて、第2棒部材4等を備える点で、第1の実施形態における工具装置1Aとは異なる。
【0046】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0047】
(第2棒部材4)
図4に記載の例では、工具装置1Bは、第2棒部材4を備える。第2棒部材4は、例えば、FRP製(換言すれば、繊維強化複合材料製)である。また、工具装置1Bは、第2棒部材4と第1棒部材3とを接続する第1接続部5を備える。第1接続部5は、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を変更可能なように第2棒部材4と第1棒部材3とを接続する。
【0048】
工具装置1Bが、第2棒部材4および第1接続部5を備え、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を変更可能である場合、工具2をターゲットDにアプローチさせる経路の選択肢が増加する。
【0049】
図4に例示されるように、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を手動で変更可能であることが好ましい。第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を手動で変更可能である場合、工具2の位置を迅速に調整することができる。例えば、第1棒部材3の伸長あるいはアーム22の回動によって、工具2の位置がターゲットDの近傍の所望の位置に到達しなかった場合、あるいは、風など外乱によってターゲットDの位置が移動する場合を想定する。この場合、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を手動で変更することにより、ターゲットDの位置に向けて、あるいは、ターゲットDの位置変化に追従させて、工具2の位置を迅速に調整することができる。
【0050】
図4に例示されるように、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を手動で変更可能であり、かつ、工具2が、リモートコントローラCと通信可能な通信部27と、通信部27が受信する信号に基づいて、アーム駆動装置AMおよびエンドエフェクタ駆動装置M1を制御する制御回路28と、を備える場合を想定する。この場合、第1棒部材3の基端部3bを片手で支持して、第2棒部材4に対する第1棒部材3の角度を調整しつつ、別の手でリモートコントローラCを操作してアーム22を第1棒部材3に対して回動(より具体的には、傾動)させることができる。
【0051】
続いて、図4乃至図18を参照して、第2の実施形態における工具装置1B(あるいは、第1の実施形態における工具装置1A、または、後述の第3の実施形態における工具2)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0052】
(第2軸AX2まわりの第1棒部材3の回動)
図4に記載の例では、第1棒部材3は、第2軸AX2まわりに第2棒部材4に対して相対回転可能なように、第1接続部5を介して第2棒部材4に接続されている。図4に記載の例では、第2軸AX2は、第2棒部材4の長手方向に垂直な軸である。また、第2軸AX2は、第1棒部材3の長手方向に垂直な軸である。代替的に、第1棒部材3は、ユニバーサルジョイント形式の第1接続部を介して、第2棒部材4に支持されていてもよい。この場合、第1棒部材3は、第2棒部材4に対して任意の軸まわりに回動可能となる。
【0053】
図4に記載の例では、第2軸AX2まわりの、第2棒部材4に対する第1棒部材3の可動角度βは、360度よりも小さく、180度よりも小さく、より具体的には、120度程度である。代替的に、第1棒部材3は、第2棒部材4に対して、第2軸AX2まわりに360度回転可能であってもよい。
【0054】
第2棒部材4が鉛直方向に沿って配置された状態において、第1棒部材3を第2軸AX2まわりに回転させることにより、第1棒部材3の長手方向を、鉛直方向と平行にできるように構成されていてもよい(より具体的には、第1棒部材3の先端部3aを第1棒部材3の基端部3bの鉛直上方に位置させるのが可能であってもよい。)。また、第2棒部材4が鉛直方向に沿って配置された状態において、第1棒部材3を第2軸AX2まわりに回転させることにより、第1棒部材3の長手方向を、水平方向と平行にできるように構成されていてもよい。
【0055】
(第1接続部5)
図4に記載の例では、第1接続部5は、第1棒部材3が、第2棒部材4に対して、第2軸AX2まわりを傾動可能なように、第1棒部材3と第2棒部材4とを接続している。
【0056】
第1接続部5は、第1棒部材3に取り付けられる第1部分51と、第2棒部材4に取り付けられる第2部分52とを有する。また、第1部分51は、第2部分52に対して回動可能なように、第2部分52に連結される。図4に記載の例では、第1部分51は、複数の部品によって構成され、第2部分52は、複数の部品によって構成されている。
【0057】
図5(a)に例示されるように、第1接続部5は、第2棒部材4に対する第1棒部材3の傾動を防止するロック機構50と、ロック機構50によるロックを解除するロック解除操作部53とを備えていてもよい。図5(a)に記載の例では、ロック機構50は、第1棒部材3が、第2棒部材4に対して第2軸AX2まわりに回転することを防止する。
【0058】
ロック機構50は、第1係合部510(例えば、爪510a)と、第1係合部510に係合可能な第2係合部520(例えば、歯車520a)と、を有する。第1係合部510と第2係合部520とが係合した状態(図5(a)を参照。)が、第1棒部材3が第2棒部材4に対して第2軸AX2まわりに回転することが防止されるロック状態に対応し、第1係合部510と第2係合部520との間の係合が解除された状態(図5(b)を参照。)が、ロック解除状態に対応する。第1係合部510と第2係合部520との間の係合は、ロック解除操作部53が操作されることにより解除される。図5(a)に記載の例では、第1係合部510およびロック解除操作部53が上述の第1部分51に設けられ、第2係合部520が第2部分52に設けられている。
【0059】
第1接続部5が、ロック機構50を備える場合、作業者が第1棒部材3から手を離した場合でも、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度が変化しない。また、第1接続部5が、ロック解除操作部53を有する場合、ロック機構によるロックが解除された後、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を変更することができる。
【0060】
なお、上述のロック状態において、第1棒部材3が、第2棒部材4に対して、第2軸AX2まわりの第1回転方向R1に回転することが禁止され、第2軸AX2まわりの第2回転方向R2(第1回転方向R1とは反対の第2回転方向R2)に回転することが許容されてもよい。例えば、上述のロック状態において、第1棒部材3の先端部3aが下方に移動するように、第1棒部材3が第2軸AX2まわりを回転することが禁止され、第1棒部材3の先端部3aが上方に移動するように、第1棒部材3が第2軸AX2まわりを回転することが許容されてもよい。例えば、歯車520aをラチェット歯車にすることにより、第1回転方向R1への第1棒部材3の回転が禁止され、第2回転方向R2への第1棒部材3の回転が許容されてもよい。
【0061】
代替的に、上述のロック状態において、第1棒部材3が、第2棒部材4に対して、第2軸AX2まわりの第1回転方向R1に回転することが禁止され、かつ、第2軸AX2まわりの第2回転方向R2(第1回転方向R1とは反対の第2回転方向R2)に回転することが禁止されてもよい。
【0062】
図6(a)に記載の例では、第1接続部5は、第1係合部510および第2係合部520のうちの一方を、第1係合部510および第2係合部520のうちの他方に向かう方向に付勢する付勢部材54(より具体的には、バネ)を有する。この場合、ロック解除操作部53が操作されていない状態では、付勢部材54による付勢力によって、第1係合部510と第2係合部520とが互いに係合する。他方、図6(b)に示されるように、ロック解除操作部53が操作されると、付勢部材54による付勢力に抗して、第1係合部510と第2係合部520とが互いに離間され、第1係合部510と第2係合部520との間の係合が解除される。
【0063】
(傾動速度抑制機構55)
上述のロック機構50によるロックが解除された状態において(あるいは、工具装置1Bがロック機構50を備えていない場合において)、作業者が第1棒部材3から手を離すと、工具2または第1棒部材3に作用する重力によって、第1棒部材3が第2軸AX2(図4を参照。)まわりを速い角速度で傾動する可能性がある。そこで、図7に記載の例では、第1接続部5は、工具2または第1棒部材3に作用する重力に起因して第1棒部材3が第2棒部材4に対して傾動するときに、第2棒部材4に対する第1棒部材3の傾動速度を抑制する傾動速度抑制機構55を備える。傾動速度抑制機構55は、第2棒部材4に対する、第2軸AX2(図4を参照。)まわりの第1棒部材3の傾動速度を抑制する機構であることが好ましい。なお、図7には、第1棒部材3が明記されていないが、工具装置1Bの使用時に、第1棒部材3は、第1部分51に取り付けられている。
【0064】
図8に記載の例では、傾動速度抑制機構55は、摩擦板56と、摩擦板56を押圧する押圧部材57とを有する。摩擦板56および押圧部材57のうちの一方は第1部分51に設けられ、摩擦板56および押圧部材57のうちの他方は第2部分52に設けられる。この場合、摩擦板56と押圧部材57との間の接触により、第2部分52に対する第1部分51の回転速度が抑制され、第2部分52に取り付けられた第2棒部材4に対する、第1部分51に取り付けられた第1棒部材3の傾動速度が抑制される。
【0065】
傾動速度抑制機構55は、摩擦板56と押圧部材57との間に圧力を作用させる付勢部材58(例えば、バネ58a)を有していてもよい。また、傾動速度抑制機構55は、摩擦板56と押圧部材57との間に作用する圧力を調整する圧力調整部59(例えば、圧力調整ハンドル59a)を有していてもよい。図8に記載の例において、圧力調整ハンドル59aが第1操作方向に操作されると、押圧部材57が摩擦板56に向かう方向に進出し、バネ58aが圧縮される。こうして、摩擦板56と押圧部材57との間に作用する圧力が増加する。他方、圧力調整ハンドル59aが第1操作方向とは反対の第2操作方向に操作されると、押圧部材57が摩擦板56から離れる方向に移動し、バネ58aの圧縮量が少なくなる。こうして、摩擦板56と押圧部材57との間に作用する圧力が減少する。
【0066】
図8に記載の例では、押圧部材57は、摩擦板56を押圧する押圧部57aと、押圧部57aと圧力調整ハンドル59aとを接続するネジ棒57bとを有する。また、図8に記載の例では、ネジ棒57bと螺合し、ネジ棒57bの移動をガイドするガイド部材515が第1部分51に設けられている。この場合、圧力調整ハンドル59aおよびネジ棒57bが、ガイド部材515に対して相対回転されることにより、押圧部材57が摩擦板56に向かう方向(あるいは、摩擦板56から離れる方向)に移動する。こうして、摩擦板56と押圧部材57との間に作用する圧力が調整される。
【0067】
図9に例示されるように、第1接続部5(より具体的には、第2部分52)は、摩擦板56を支持するシャフト525を有していてもよい。図9に記載の例では、摩擦板56は、シャフト525に対して回転不能なように、かつ、シャフト525の軸方向に沿ってスライド移動可能なように、シャフト525によって支持されている(矢印AR2を参照。)。シャフト525の軸に沿って、摩擦板56がスライド移動されることにより、付勢部材58の付勢力(より具体的には、バネ58aの圧縮量)が変更される。
【0068】
第1接続部5が、傾動速度抑制機構55を備える場合、作業者が第1棒部材3から手を離した場合でも、工具2が、第1棒部材3とともに、第2軸AX2まわりを速い角速度で傾動することが防止される。よって、作業者の安全性が確保され、工具2と他の部材との衝突による、工具2あるいは他の部材の損傷が防止される。
【0069】
(第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回動)
図10に例示されるように、第1棒部材3は、第1棒部材3の中心軸AT1まわりに回転可能なように、第1接続部5によって支持されていてもよい(矢印AR3を参照。)。この場合、第1軸AX1の延在方向を、中心軸AT1に垂直な面内で、任意の方向に変更することができる。よって、ターゲットDの位置あるいは向きに合わせて、第1軸AX1の延在方向を調整することができる。
【0070】
図11に記載の例では、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転角の調整は、手動で実行可能である。より具体的には、図11に記載の例では、工具装置1Bは、第1接続部5に設けられ、第1棒部材3を保持可能な保持部60と、保持部60の状態を変更する第1操作部61を有する。第1操作部61は、保持部60によって第1棒部材3が保持される第1状態と、保持部60による第1棒部材3の保持が解除される第2状態との間で、保持部60の状態を変更する。
【0071】
保持部60の状態が第1状態であるとき、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転が、保持部60によって防止される。他方、保持部60の状態が第2状態であるとき、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転が許容される。
【0072】
第1操作部61が手動で操作されることにより、保持部60の状態が第2状態に切り替えられる(図12(c)を参照。)。また、保持部60の状態が第2状態であるときに、第1棒部材3が中心軸AT1まわりに手動で回転されることにより、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転角の調整が行われる。
【0073】
図11に記載の例では、第1操作部61は、作業者によって握られることにより、保持部60の状態を第1状態から第2状態に切り替える操作部である。第1操作部61は、第1レバー61aと、第1レバー61aに対して相対移動可能な第2レバー61bとを有していてもよい。図11に記載の例では、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔が縮小されるように、第1操作部61が操作されると、保持部60の状態が第1状態から第2状態に切り替えられる。
【0074】
図12に記載の例では、保持部60は、第1保持部材60aと、第1保持部材60aに対して相対移動可能な第2保持部材60bとを有する。第1保持部材60aと第2保持部材60bとの間の間隔が縮小されることにより、保持部60によって第1棒部材3が保持される(図12(a)および図12(b)を参照。)。他方、第1保持部材60aと第2保持部材60bとの間の間隔が拡大されることにより、保持部60による第1棒部材3の保持が解除される(図12(c)を参照。)。図12に記載の例では、第1操作部61が握られることにより、第1保持部材60aと第2保持部材60bとの間の間隔が拡大され、保持部60の状態が第1状態から第2状態に切り替えられる。
【0075】
図12に記載の例では、工具装置1Bは、保持部60の状態が第1状態に維持されるように、保持部60または第1操作部61に付勢力を作用させる付勢部材62(例えば、バネ)を有する。図12に記載の例では、付勢部材62は、第1レバー61aと第2レバー61bとの間に配置されている。
【0076】
第1棒部材3が保持部60によって保持される第1状態と、保持部60による第1棒部材3の保持が解除される第2状態との間で、保持部60の状態を切り替える第1操作部61が設けられる場合、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転角の調整と、当該回転角の維持とを容易に実行することができる。また、工具装置1Bが、保持部60または第1操作部61に付勢力を作用させる付勢部材62を有する場合、第1操作部61から手を離すだけで、保持部60の状態が第1状態に維持され、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転角が維持される。
【0077】
なお、図10および図11に記載の例では、第1棒部材3の中心軸AT1まわりの第1棒部材3の回転角の調整は、手動によって行われるが、当該回転角の調整は、モータによって行われてもよい。
【0078】
(脱落防止部材64)
図12(c)に記載の例では、第1接続部5は、保持部60の状態が第2状態であるときに、第1棒部材3が第1接続部5から脱落するのを防止する脱落防止部材64を有する。脱落防止部材64は、例えば、第1棒部材3を囲むように配置される。保持部60の状態が第2状態であるとき、脱落防止部材64は、保持部60と第1棒部材3との間の相対移動を許容する。保持部60と第1棒部材3との間の相対移動を許容するため、脱落防止部材64の内面64nと第1棒部材3の外面との間には隙間が形成されていることが好ましい。
【0079】
(第2ロック機構66)
図11に例示されるように、工具装置1Bは、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔が縮小されることを防止する第2ロック機構66と、第2ロック機構66によるロックを解除する第2ロック解除操作部67と、を有していてもよい。
【0080】
図12(a)に記載の例では、第2ロック機構66は、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔が縮小されるのを防止するネジ部材66aを有し、第2ロック解除操作部67は、ネジ部材66aを回転操作するための摘み部67aを有する。図12(a)に記載の例では、ネジ部材66aは、第1レバー61aに螺合している。
【0081】
ネジ部材66aの先端が第2レバー61bに接触している状態では、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔を縮小させることができない(図12(a)を参照。)。換言すれば、ネジ部材66aの先端が第2レバー61bに接触している状態が、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔が縮小されることが防止されるロック状態に対応する。
【0082】
図12(a)に記載の例において、第2ロック解除操作部67(より具体的には、摘み部67a)が回転操作されると、ネジ部材66aの先端が第2レバー61bから離間する(図12(b)を参照。)。ネジ部材66aの先端が第2レバー61bから離間している状態では、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔を縮小させることができる。換言すれば、ネジ部材66aの先端が第2レバー61bから離間している状態が、第1レバー61aと第2レバー61bとの間の間隔が縮小されることが許容されるロック解除状態に対応する。
【0083】
ロック解除状態(換言すれば、第2ロック機構66のロックが解除された状態)において、第1操作部61(より具体的には、第1レバー61aおよび第2レバー61b)が作業者によって握られると、保持部60の状態が、第1状態(図12(b)を参照。)から第2状態(図12(c)を参照。)に切り替えられる。
【0084】
なお、図12(a)に記載の例では、第2ロック機構66は、付勢部材62による付勢力よりも大きな力で、保持部60の状態を第1状態(すなわち、保持部60によって第1棒部材3が保持される第1状態)に維持することができる。より具体的には、ネジ部材66aが第2レバー61bを押圧するように、第2ロック解除操作部67(より具体的には、摘み部67a)が回転操作されることにより、保持部60の状態を第1状態に維持する力を増加させることができる。保持部60の状態を第1状態に維持する力が増加されることにより、第1棒部材3が、意図せずして、保持部60に対して相対移動すること(より具体的には、保持部60に対してスライド移動すること、あるいは、保持部60に対して相対回転すること)が、より確実に防止される。
【0085】
図12(a)および図12(b)に記載の例では、第2ロック機構66は、保持部60の状態を第1状態に維持する力の大きさが、付勢部材62による付勢力の大きさと実質的に等しい状態(図12(b)を参照。)から、保持部60の状態を第1状態に維持する力の大きさが、付勢部材62による付勢力の大きさよりも大きい状態(図12(a)を参照。)に切り換えることができる。
【0086】
(第1棒部材3のスライド移動)
図10に例示されるように、第1棒部材3は、第1棒部材3の長手方向に沿って、第1接続部5に対してスライド移動可能なように、第1接続部5によって支持されていてもよい(矢印AR4を参照。)。この場合、第1接続部5から第1棒部材3の先端部3aまでの距離を調整することができる。例えば、第1棒部材3の伸縮動作だけでは、工具2をターゲットDにアプローチさせることが困難な場合、第1接続部5に対する第1棒部材3のスライド移動と、第1棒部材3の伸縮動作とを組み合わせて、工具2がターゲットDにアプローチされてもよい。
【0087】
図11に記載の例では、第1接続部5に対する第1棒部材3のスライド移動は、手動によって行われる。より具体的には、第1操作部61が手動で操作されることにより、保持部60の状態が上述の第1状態から上述の第2状態に切り替えられる。また、保持部60の状態が第2状態であるときに、第1棒部材3を、第1棒部材3の長手方向に沿って手動で移動させることにより、第1棒部材3が第1接続部5に対してスライド移動される。
【0088】
(第2棒部材4の中心軸AT2まわりの第1棒部材3の回動)
図10に記載の例では、第1棒部材3は、第2棒部材4の中心軸AT2まわりに回転可能なように、第1接続部5を介して、第2棒部材4によって支持されている(矢印AR5を参照。)。この場合、第1棒部材3の先端部3aに取り付けられた工具2の位置を、中心軸AT2に垂直な面内で、変更することができる(図13(a)を参照。)。より具体的には、第1棒部材3の先端部3aに取り付けられた工具2の、平面視における位置を変更することができる。
【0089】
第2棒部材4の中心軸AT2まわりの第1棒部材3の角度位置が、ロック部材によって維持可能であってもよい。代替的に、当該角度位置を維持するロック部材は設けられなくてもよい。
【0090】
第2棒部材4の中心軸AT2まわりの第1棒部材3の回転は、手動で実行可能であることが好ましい。当該回転を手動で実行可能であることにより、第2棒部材4の中心軸AT2まわりの工具2の位置を迅速に調整することができる。ただし、実施形態において、中心軸AT2まわりの第1棒部材3の回転がモータによって実行されることは排除されない。
【0091】
第2棒部材4の中心軸AT2まわりの第1棒部材3の可動角度は、180度以上であることが好ましい。第1棒部材3は、第2棒部材4の中心軸AT2まわりに360度旋回可能であってもよい。
【0092】
例えば、第2棒部材4の中心軸AT2まわりに、第1棒部材3を180度旋回させることにより、平面視で、高所作業車のバケットB1の外側に位置する工具2(図13(a)を参照。)を、平面視で、高所作業車のバケットB1の近傍(または、高所作業車のバケットB1の内側)に移動させることができる(図13(b)を参照。)。この場合、バケットB1内の作業者に工具2が近づくため、作業者による工具2の調整作業(例えば、工具2に他の工具を取り付ける作業等)が容易である。
【0093】
(第2棒部材4の伸縮)
図10に例示されるように、第2棒部材4は、伸縮可能であることが好ましい(矢印AR6を参照。)。第2棒部材4が伸縮可能である場合、高さ方向における第1棒部材3の位置を調整することができる。例えば、ターゲットDが高い位置にある場合、第2棒部材4が伸長され、第1棒部材3および第1棒部材3によって支持される工具2が上方に向けて移動されてもよい。
【0094】
また、第2棒部材4が収縮されることにより、第1棒部材3が第2棒部材4の基端部4bに近づく。この場合、工具装置1Bの運搬が容易となる。また、第1棒部材3および第1棒部材3によって支持される工具2が作業者に近づくため、作業者による工具2の調整作業(例えば、工具2に他の工具を取り付ける作業等)が容易である。
【0095】
図10に例示されるように、工具装置1Bは、第2棒部材4を伸縮させる第4モータMT4を備えていてもよい。第4モータMT4の駆動は、例えば、リモートコントローラCからの指令に基づいて実行される。換言すれば、工具装置1Bは、リモートコントローラCと通信可能な第3通信部47と、第3通信部47がリモートコントローラCから受信する信号に基づいて、第4モータMT4を制御する第3制御回路48とを備えていてもよい。第2棒部材4の伸縮は、第4モータMT4の駆動力を用いて実行される代わりに、手動で実行されてもよい。
【0096】
図14(b)に記載の例では、第2棒部材4は、基端部4bを有する第3シャフト41と、先端部4aを有する第4シャフト42とを有する。第4シャフト42の一部は、第3シャフト41の内側に挿入されている。また、第4シャフト42は、第4モータMT4の駆動により(あるいは、手動で)、第2棒部材4の中心軸AT2に平行な方向に、第3シャフト41に対して相対移動可能である。
【0097】
図14(b)に記載の例では、第3シャフト41の一部と第4シャフト42の一部とがオーバーラップしており、第3シャフト41と第4シャフト42との間には他のシャフトが配置されていない。換言すれば、第2棒部材4は2つのシャフトによって構成されている。この場合、第2棒部材4の長さは、第3シャフト41の長さと、第4シャフト42の長さとの和から、第3シャフト41と第4シャフト42との間のオーバーラップ部分の長さを減算することにより得られる長さである。代替的に、第2棒部材4は、多段階式で伸縮可能な棒部材であってもよい(換言すれば、第2棒部材4は、互いに相対移動可能な3個以上のシャフトによって構成されていてもよい。)。
【0098】
第4モータMT4の駆動による第2棒部材4の伸縮は、ボールねじ機構を用いて行われてもよいし、ラックとピニオンとを用いて行われてもよいし、その他の機構を用いて行われてもよい。
【0099】
図14(a)には、第2棒部材4が最も収縮された状態が示され、図14(b)には、第2棒部材4が最も伸長された状態が示されている。最も伸長された状態における第2棒部材4の長さと、最も収縮された状態における第2棒部材4の長さとの差(換言すれば、第2棒部材4の伸縮ストロークL2)は、10cm以上、20cm以上、あるいは、30cm以上であることが好ましい。また、伸縮ストロークL2は、例えば、300cm以下、200cm以下、あるいは、100cm以下であることが好ましい。
【0100】
図14(a)に記載の例では、工具装置1Bは、第4モータMT4に電力を供給する第3バッテリE3を有する。工具装置1Bが、第3通信部47および第3制御回路48を備える場合、第3バッテリE3は、第4モータMT4に加えて、第3通信部47および第3制御回路48に電力を供給する。
【0101】
(ベース7、および、第2接続部8)
図10に例示されるように、工具装置1Bは、ベース7と、第2棒部材4とベース7とを接続する第2接続部8と、を備えていてもよい。
【0102】
ベース7は、固定対象物B(例えば、高所作業車のバケットB1)に固定される。図10に記載の例では、ベース7は、ベース本体71と、ベース本体71に対して相対移動可能な押圧部材72と、を有する。ベース本体71と、押圧部材72とは、ベース7を固定対象物Bに固定するための固定部70を構成する。
【0103】
ベース7は、押圧部材72を移動させる押圧部材操作部73(例えば、ハンドル73a)を有していてもよい。図10に記載の例において、押圧部材操作部73(より具体的には、ハンドル73a)が操作されると、押圧部材72とベース本体71との間の間隔が縮小され、押圧部材72とベース本体71とによって、固定対象物Bが挟持される。こうして、ベース7が固定対象物Bに固定される。なお、ベース7を固定対象物Bに固定する固定部70の構成は、図10に記載の例に限定されず任意である。換言すれば、ベース7は、どのような方法で、固定対象物Bに固定されても構わない。
【0104】
工具装置1Bが、第2棒部材4を支持するベース7を備える場合、第2棒部材4がベース7によって安定的に支持される。また、ベース7が固定対象物Bに固定される場合、第2棒部材4が、ベース7および固定対象物Bによって安定的に支持される。
【0105】
図15(a)に記載の例において、第2接続部8は、第2棒部材4が、ベース7に対して、第2棒部材4の長手方向に垂直な第1方向DR1(例えば、水平方向)に沿って移動可能なように、第2棒部材4とベース7とを接続する(矢印AR7を参照。)。
【0106】
第2接続部8は、第2棒部材4に取り付けられる第3部分81と、ベース7に取り付けられる第4部分82とを有する。また、第3部分81は、第1方向DR1に沿って第4部分82に対して相対移動可能なように、第4部分82に連結される。図15(a)に記載の例では、第3部分81は、複数の部品によって構成され、第4部分82は、複数の部品によって構成されている。
【0107】
図15(a)に記載の例では、第3部分81は、第2棒部材4を支持する支持部811と、支持部811に接続され、第1方向DR1に沿って移動可能なスライダ812とを有する。スライダ812は、複数のローラ812aを有していてもよい。
【0108】
図15(a)に記載の例では、第4部分82は、第1方向DR1に沿う方向におけるスライダ812の移動をガイドするガイド部材822を有する。ガイド部材822は、複数のローラ812aの移動をガイドするガイドレール822aを含んでいてもよい。
【0109】
図15(a)に例示されるように、第2接続部8は、第3部分81を第1方向DR1に沿って移動させる移動操作部84を有していてもよい。移動操作部84は、例えば、ハンドル84aによって構成される。図15(a)に記載の例において、移動操作部84(より具体的には、ハンドル84a)が第1操作方向に操作されると、第3部分81は、第4部分82に対して第1方向DR1に相対移動する。他方、図15(b)に記載の例において、移動操作部84が第1操作方向とは反対の第2操作方向に操作されると、第3部分81は、第4部分82に対して第1方向DR1とは反対の第2方向DR2に相対移動する。
【0110】
図15(a)に記載の例では、移動操作部84にはネジ棒85が連結されており、ネジ棒85の雄ネジ部は、第3部分81の雌ネジ部と螺合している。この場合、移動操作部84が回転操作されると、ネジ棒85がネジ棒85の軸まわりに回転する。ネジ棒85がネジ棒85の軸まわりに回転すると、第3部分81は、ネジ棒85に沿って移動する。こうして、第3部分81、および、第3部分81に取り付けられた第2棒部材4が、第1方向DR1に沿って移動する。
【0111】
図15(a)に記載の例では、第3部分81を移動させる機構が、ネジ棒85の雄ネジ部と、第3部分81の雌ネジ部と、ガイドレール822aと、スライダ812とを含む。代替的に、ネジ棒85の雄ネジ部および第3部分81の雌ネジ部と、ガイドレール822aおよびスライダ812とのうちの一方が省略されてもよい。更に代替的に、第3部分81を移動させる機構は、雄ネジ部および雌ネジ部の代わりに、ラックおよびピニオンを含んでいてもよい。
【0112】
工具装置1Bが、第2棒部材4とベース7とを接続する上述の第2接続部8を備える場合、横方向における第2棒部材4の位置を容易に調整することができる。
【0113】
図15に記載の例では、第2棒部材4が、ベース7に対して、横方向(換言すれば、第1方向DR1に平行な方向)に移動可能であるが、第2棒部材4が、ベース7に対して、横方向に移動不能であってもよい。また、図15に記載の例では、ベース7に対する第2棒部材4の相対移動が、手動によって行われるが、ベース7に対する第2棒部材4の相対移動は、モータを用いて行われてもよい。
【0114】
(第1把持部25a、および、第2把持部25b)
図2または図10に記載の例では、工具2は、力付与対象物を把持可能な把持機構G1を備える。また、当該把持機構G1は、第1把持部25aと、第1把持部25aに対して相対移動可能な第2把持部25bとを含む。
【0115】
図2または図10に記載の例では、把持機構G1は、アーム22によって支持されている。また、把持機構G1は、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタ25の少なくとも一部を構成する。換言すれば、エンドエフェクタ25は、把持機構G1を含む。図2または図10に記載の例では、第2把持部25bは、エンドエフェクタ駆動装置M1によって駆動されることにより、第1把持部25aに対して相対移動する。
【0116】
図2または図10に記載の例では、工具装置1(より具体的には、工具2)は、アーム22を取付部21に対して回動させるアーム駆動装置AMと、第2把持部25bを駆動するエンドエフェクタ駆動装置M1とを備える。この場合、例えば、アーム駆動装置AMを用いて、アーム22を取付部21に対して回動させることにより、工具2をターゲットDにアプローチさせ、その後、エンドエフェクタ駆動装置M1を用いて第2把持部25bを駆動することにより、力付与対象物であるターゲットDに所望の把持力を作用させることができる。代替的に、エンドエフェクタ駆動装置M1を駆動させて第2把持部25bを移動させることにより、把持機構G1に力付与対象物である他の工具を把持させ、その後、アーム駆動装置AMを用いて、アーム22を取付部21に対して回動させることにより、当該他の工具を、電線等のターゲットDにアプローチさせてもよい。
【0117】
図2または図10に記載の例では、工具2は、第2把持部25bの雌ネジ部に螺合するネジ棒201と、第2把持部25bの移動をガイドするガイドシャフト202とを有する。この場合、エンドエフェクタ駆動装置M1(より具体的には、第1モータMT1)が、ネジ棒201を第1回転方向に回転させることにより、ネジ棒201に螺合する第2把持部25bが第1把持部25aに近づく方向に移動する。また、エンドエフェクタ駆動装置M1(より具体的には、第1モータMT1)が、ネジ棒201を第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させることにより、ネジ棒201に螺合する第2把持部25bが第1把持部25aから離れる方向に移動する。
【0118】
図2または図10に記載の例では、第1把持部25aは、エンドエフェクタ駆動装置M1によって駆動されない固定把持部であり、第2把持部25bは、エンドエフェクタ駆動装置M1によって駆動される可動把持部である。代替的に、第1把持部25aと第2把持部25bとをリンク機構を介して接続することにより、エンドエフェクタ駆動装置M1が、第1把持部25aおよび第2把持部25bの両方を駆動するようにしてもよい。換言すれば、第1把持部25aおよび第2把持部25bの両方が可動把持部であってもよい。また、把持機構G1によって把持される力付与対象物の形状等にあわせて、第1把持部25a、および/または、第2把持部25bに任意のアタッチメントが取り付けられてもよい。更に代替的に、工具2は、第1把持部25aの代わりに第1刃体を有し、第2把持部25bの代わりにエンドエフェクタ駆動装置M1によって駆動される第2刃体を有していてもよい。換言すれば、工具2は、第1刃体および第2刃体を有する切断工具であってもよい。
【0119】
(回転体25c)
図16に例示されるように、第1の実施形態、第2の実施形態、あるいは、後述の第3の実施形態において、工具2は、エンドエフェクタ駆動装置M1(より具体的には、第1モータMT1)によって駆動され、第1回転軸AS1まわりを回転可能な回転体25cを有していてもよい。
【0120】
図16に記載の例では、回転体25cは、アーム22によって支持されている。また、回転体25cは、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタ25の少なくとも一部を構成する。換言すれば、エンドエフェクタ25は、回転体25cを含む。この場合、例えば、アーム駆動装置AMを用いて、アーム22を取付部21に対して回動させることにより、工具2をターゲットDにアプローチさせ、その後、エンドエフェクタ駆動装置M1を用いて回転体25cを回転駆動することにより、力付与対象物であるターゲットDに回転力を作用させることができる。
【0121】
図16に記載の例では、工具2は、エンドエフェクタ駆動装置M1(より具体的には、第1モータMT1)と、回転体25cとを連結するシャフト203を有する。この場合、エンドエフェクタ駆動装置M1(より具体的には、第1モータMT1)が、シャフト203を回転させることにより、回転体25cが第1回転軸AS1まわりに回転する。
【0122】
図16に記載の例では、回転体25cは、フック251cを有する。この場合、例えば、他の工具の操作環にフック251cの先端を挿入し、その後、フック251cを第1回転軸AS1まわりに回転させることにより、他の工具の操作環がフック251cによって回転操作される。代替的に、回転体25cは、ネジ部材の頭部等と係合可能なドライバーを有していてもよいし、ナットあるいはボルトの頭部等と係合可能なスパナを有していてもよい。更に代替的に、回転体25cは、電線の被覆層を電線の心線から分離する刃体を有していてもよい。
【0123】
(複数のエンドエフェクタ(25、25’))
第1の実施形態、第2の実施形態、あるいは、後述の第3の実施形態において、工具2は、エンドエフェクタ駆動装置M1によって駆動される複数のエンドエフェクタ(25、25’)を備えていてもよい。
【0124】
図17に記載の例では、工具2は、第1エンドエフェクタ25および第2エンドエフェクタ25’を有し、エンドエフェクタ駆動装置M1は、第1モータMT1および第2モータMT2を有する。第1モータMT1の駆動は、例えば、リモートコントローラCからの操作信号に基づいて制御回路28によって制御され、第2モータMT2の駆動は、例えば、リモートコントローラCからの操作信号に基づいて制御回路28によって制御される。
【0125】
図17に記載の例において、第1エンドエフェクタ25は、把持機構G1を含む。把持機構G1の第2把持部25bは、第1モータMT1によって駆動されることにより、第1把持部25aに対して相対移動する。図17に記載の例において、第2エンドエフェクタ25’は、回転体25cを含む。回転体25cは、第2モータMT2によって駆動されることにより、第1回転軸AS1まわりを回転する。回転体25cは、フック251cを含んでいてもよく、ドライバーを含んでいてもよく、スパナを含んでいてもよく、刃体を含んでいてもよい。
【0126】
工具2が、複数のエンドエフェクタ(25、25’)を有する場合、1つの工具装置1を用いて、複数の異なる作業を実行することができる。例えば、第1エンドエフェクタ25を用いて実行される作業と、第2エンドエフェクタ25’を用いて実行される作業とを、選択的または連続的に実行することが可能である。
【0127】
(工具保持部23)
図2または図10に記載の例では、工具2は、エンドエフェクタ25とは別に設けられ、他の工具を取り外し可能に保持する工具保持部23(換言すれば、他の工具を交換可能に保持する工具保持部23)を備える。工具保持部23は、フック24(図18を参照。)、ドライバー、スパナ、スリーブ圧縮工具等の工具を選択的に保持可能である。
【0128】
工具2が、工具保持部23を備える場合、任意の工具を工具保持部23に取り付けることができ、第1棒部材3およびアーム22を用いて、当該任意の工具を、ターゲットDにアプローチさせることができる。また、工具2が、エンドエフェクタ25および工具保持部23を備える場合、エンドエフェクタ25を用いて実行される作業と、工具保持部23に保持された工具を用いて実行される作業とを、選択的または連続的に実行することが可能である。
【0129】
(第3の実施形態)
図1乃至図19を参照して、第3の実施形態における工具2について説明する。図19は、第3の実施形態における工具2を模式的に示す概略側面図である。
【0130】
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第3の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第3の実施形態において、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0131】
図19に例示されるように、第3の実施形態における工具2は、(1)棒部材に取り付け可能な取付部21と、(2)取付部21によって回動可能に支持されるアーム22と、(3)アーム22によって支持され、力付与対象物に力を作用させるエンドエフェクタ25と、(4)アーム22を取付部21に対して回動させるアーム駆動装置AMと、(5)エンドエフェクタ25を駆動するエンドエフェクタ駆動装置M1と、を具備する。
【0132】
第3の実施形態における工具2は、第1の実施形態における工具装置1Aのうちの工具2と同じ構成を有していてもよいし、第2の実施形態における工具装置1Bのうちの工具2と同じ構成を有していてもよい。工具2の各構成(例えば、取付部21、アーム22、エンドエフェクタ25、工具保持部23、通信部27、制御回路28、第1バッテリE1等)については、第1の実施形態または第2の実施形態における説明を援用し、工具2の各構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0133】
(工具装置1の使用方法)
続いて、図1乃至図21を参照して、実施形態における工具装置1の使用方法について説明する。図20は、位置調整工程を実行中の様子を模式的に示す図である。図21は、実施形態における工具装置1の使用方法の一例を示すフローチャートである。
【0134】
実施形態における工具装置1の使用方法において使用される工具装置1は、第1の実施形態における工具装置1Aであってもよいし、第2の実施形態における工具装置1Bであってもよいし、その他の工具装置であってもよい。
【0135】
工具装置1は、(1)伸縮可能な第1棒部材3と、(2)第1棒部材3に取り付けられる工具2と、を具備する。工具2は、(3)第1棒部材3に取り付けられる取付部21と、(4)取付部21によって回動可能に支持されるアーム22と、(5)アーム22によって支持されるエンドエフェクタ25と、(6)アーム22を取付部21に対して回動させるアーム駆動装置AMと、(7)エンドエフェクタ25を駆動するエンドエフェクタ駆動装置M1と、を備える。(8)工具装置1は、第2棒部材4と、第1棒部材3と第2棒部材4とを接続する第1接続部5と、を有していてもよい。(9)工具装置1は、第1棒部材3を保持可能な保持部60と、保持部60の状態を変更する第1操作部61と、を有していてもよい。(10)工具装置1は、第1棒部材3を伸縮させる第3モータMT3、および/または、第2棒部材4を伸縮させる第4モータMT4を有していてもよい。(11)工具装置1は、ベース7と、第2棒部材4とベース7とを接続する第2接続部8と、を有していてもよい。「第1棒部材3」、「工具2」、「第2棒部材4」、「第1接続部5」、「保持部60」、「第1操作部61」、「第3モータMT3」、「第4モータMT4」、「ベース7」、「第2接続部8」については、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0136】
第1ステップST1において、工具装置1が準備される。第1ステップST1は準備工程である。準備工程において準備される工具装置1は、第1の実施形態における工具装置1Aであってもよいし、第2の実施形態における工具装置1Bであってもよいし、その他の工具装置であってもよい。
【0137】
工具2と、第1棒部材3とが分離されている場合には、準備工程(第1ステップST1)は、第1棒部材3の先端部3aに工具2の取付部21を取り付けることを含んでいてもよい。また、工具装置1が、ベース7を備える場合には、準備工程(第1ステップST1)は、ベース7を、固定対象物B(例えば、高所作業車のバケットB1)に固定することを含んでいてもよい。また、工具装置1が、工具保持部23を備える場合には、準備工程(第1ステップST1)は、工具保持部23に、他の工具(例えば、フック24、ドライバー、スパナ、スリーブ圧縮工具等)を取り付けることを含んでいてもよい。また、工具装置1において、エンドエフェクタを他のエンドエフェクタ25に交換可能な場合には、準備工程(第1ステップST1)は、工具2に配置されているエンドエフェクタを、他のエンドエフェクタ25に交換することを含んでいてもよい。
【0138】
第2ステップST2において、第1棒部材3の先端部3aに取り付けられた工具2が、ターゲットDにアプローチされる。第2ステップST2は、アプローチ工程である。アプローチ工程は、第1棒部材3を伸長させること(図3を参照。)、および、アーム駆動装置AM(より具体的には、アーム駆動モータMT)を用いてアーム22を取付部21に対して回動させること(図2を参照。)のうちの少なくとも一方を実行することにより、工具2をターゲットDにアプローチさせることを含む。
【0139】
アーム22の回動は、例えば、リモートコントローラCからの第1操作信号に基づいてアーム駆動装置AMがアーム22を駆動することにより実行される。第1棒部材3の伸長は、リモートコントローラCからの第3操作信号に基づいて、第3モータMT3が第1棒部材3の第2シャフト32を第1シャフト31に対して移動させることにより実行されてもよいし、手動で実行されてもよい。
【0140】
工具装置1が、第1接続部5を介して第1棒部材3に接続される第2棒部材4を備える場合には、アプローチ工程(第2ステップST2)は、第2棒部材4を伸長させることを含んでいてもよい(図14における矢印AR6を参照。)。第2棒部材4の伸長は、リモートコントローラCからの第4操作信号に基づいて、第4モータMT4が第2棒部材4の第4シャフト42を第3シャフト41に対して移動させることにより実行されてもよいし、手動で実行されてもよい。
【0141】
工具装置1が、第1接続部5を介して第1棒部材3に接続される第2棒部材4を備える場合には、アプローチ工程(第2ステップST2)は、第1棒部材3の全体を第1接続部5に対してスライド移動させることを含んでいてもよい(図11における矢印AR4を参照。)。第1棒部材3の全体をスライド移動させることは、モータの駆動力を用いて実行されてもよいし、手動で実行されてもよい。
【0142】
図11に記載の例では、アプローチ工程(第2ステップST2)は、(1)第1操作部61が操作されることにより、保持部60の状態を、保持部60によって第1棒部材3が保持された第1状態から、保持部60による第1棒部材3の保持が解除される第2状態に変更することと、(2)当該第2状態において、第1棒部材3の全体が第1接続部5に対してスライド移動されることと(矢印AR4を参照。)、(3)第1操作部61が操作されることにより(より具体的には、第1操作部61から手が離されることにより)、保持部60の状態を、第2状態から、保持部60によって第1棒部材3が保持された第1状態に変更することと、を含む。
【0143】
工具装置1が、第1接続部5を介して第1棒部材3に接続される第2棒部材4を備える場合には、アプローチ工程(第2ステップST2)は、第1棒部材3を、第1接続部5に対して第1棒部材3の中心軸AT1まわりに相対回転させることを含んでいてもよい(図11における矢印AR3を参照。)。第1棒部材3を中心軸AT1まわりに回転させることは、モータの駆動力を用いて実行されてもよいし、手動で実行されてもよい。
【0144】
図11に記載の例では、アプローチ工程(第2ステップST2)は、(1)第1操作部61が操作されることにより、保持部60の状態を、上述の第1状態から上述の第2状態に変更することと、(2)当該第2状態において、第1棒部材3が、第1接続部5に対して第1棒部材3の中心軸AT1まわりに相対回転されることと(矢印AR3を参照。)、(3)第1操作部61が操作されることにより(より具体的には、第1操作部61から手が離されることにより)、保持部60の状態を、上述の第2状態から上述の第1状態に変更することと、を含む。
【0145】
第2棒部材4が伸縮可能な棒部材である場合には、アプローチ工程(第2ステップST2)は、第2棒部材4を伸長させることを含んでいてもよい(図14を参照。)。第2棒部材4の伸長は、リモートコントローラCからの第4操作信号に基づいて第4モータMT4が駆動されることにより実行されてもよいし、手動で実行されてもよい。
【0146】
工具装置1が、第2接続部8を介して第2棒部材4に接続されるベース7を備える場合には、アプローチ工程(第2ステップST2)は、第2棒部材4の全体を、第2棒部材4に垂直な方向に、ベース7に対して相対移動させることを含んでいてもよい(図15を参照。)。第2棒部材4の全体をベース7に対して相対移動させることは、モータの駆動力を用いて実行されてもよいし、手動で実行されてもよい。
【0147】
第3ステップST3において、第1棒部材3が手動で操作されることにより、第1棒部材3の先端部3aに取り付けられた工具2の位置が調整される。第3ステップST3は、位置調整工程である。位置調整工程は、アプローチ工程(第2ステップST2)の後に実行されてもよいし、アプローチ工程(第2ステップST2)と同時に実行されてもよいし、アプローチ工程(第2ステップST2)の前に実行されてもよい。
【0148】
位置調整工程(第3ステップST3)は、第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度を手動で変更することを含んでいてもよい。第1棒部材3と第2棒部材4との間の角度の変更は、第1棒部材3の基端部3bを移動させることにより、第1棒部材3を第2軸AX2まわりに回転させることを含んでいてもよい(図20における矢印AR8を参照。)。
【0149】
位置調整工程(第3ステップST3)は、第1棒部材3を、手動で、第2棒部材4の中心軸AT2まわりに回転させることを含んでいてもよい(図13(a)を参照。)。第1棒部材3を中心軸AT2まわりに回転させることは、第1棒部材3の基端部3bを手動で移動させることにより実行されてもよい。
【0150】
第4ステップST4において、エンドエフェクタ25から力付与対象物に力が付与される。第4ステップST4は、力付与工程である。力付与工程は、エンドエフェクタ駆動装置M1を用いてエンドエフェクタ25を駆動することにより実行される。エンドエフェクタ25が、把持機構G1を有する場合には(図2図10、または、図17を参照。)、エンドエフェクタ25から力付与対象物に把持力が付与される。また、エンドエフェクタ25が、回転体25cを有する場合には(図16、または、図17を参照。)、エンドエフェクタ25から力付与対象物に回転力が付与される。また、エンドエフェクタ25が、刃体を有する場合には、エンドエフェクタ25から力付与対象物に切断力が付与される。
【0151】
エンドエフェクタ25から力付与対象物への力の付与は、例えば、リモートコントローラCからの第2操作信号に基づいて、エンドエフェクタ駆動装置M1がエンドエフェクタ25を駆動することにより実行される。
【0152】
力付与工程(第4ステップST4)は、アプローチ工程(第2ステップST2)および位置調整工程(第3ステップST3)の後に実行されてもよい。例えば、力付与対象物とターゲットDとが同一である場合(例えば、空中に存在する電線等のターゲットDに力を付与する場合)、アプローチ工程および位置調整工程の実行により、エンドエフェクタ25がターゲットDに接近され、その後、力付与工程に実行により、エンドエフェクタ25からターゲットDに力が付与される。
【0153】
代替的に、力付与工程(第4ステップST4)は、アプローチ工程(第2ステップST2)および位置調整工程(第3ステップST3)の前に実行されてもよい。例えば、力付与対象物とターゲットDとが異なる場合(例えば、工具2によって把持された他の工具をターゲットDに作用させる場合)、力付与工程に実行により、エンドエフェクタ25を駆動させて他の工具を工具2に把持させ、その後、アプローチ工程および位置調整工程の実行により、工具2に把持された他の工具がターゲットDに接近される。
【0154】
実施形態における工具装置1の使用方法は、(1)第1棒部材3を伸長させること、および、アーム駆動装置AMを用いてアーム22を取付部21に対して回動させることのうちの少なくとも一方を実行することにより、工具2をターゲットDにアプローチさせることと、(2)第1棒部材3が手動で操作されることにより、工具2の位置を調整すること、とを含む。よって、例えば、第1棒部材3の伸長あるいはアーム22の回動によって、工具2の位置がターゲットDの近傍の所望の位置に到達しなかった場合、あるいは、風など外乱によってターゲットDの位置が移動する場合に、第1棒部材3が手動で操作されることにより、工具2の位置を迅速に調整することができる。
【0155】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態または他の変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の工具装置、工具、および、工具装置の使用方法を用いると、ターゲットに工具を容易にアプローチさせることができる。したがって、工具を用いてターゲットに対する作業を行う業者、および、工具装置または工具を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0157】
1、1A、1B…工具装置、2…工具、3…第1棒部材、3a…先端部、3b…基端部、4…第2棒部材、4a…先端部、4b…基端部、5…第1接続部、7…ベース、8…第2接続部、21…取付部、22…アーム、23…工具保持部、24…フック、25…エンドエフェクタ、25'…第2エンドエフェクタ、25a…第1把持部、25b…第2把持部、25c…回転体、27…通信部、28…制御回路、31…第1シャフト、32…第2シャフト、37…第2通信部、38…第2制御回路、41…第3シャフト、42…第4シャフト、47…第3通信部、48…第3制御回路、50…ロック機構、51…第1部分、52…第2部分、53…ロック解除操作部、54…付勢部材、55…傾動速度抑制機構、56…摩擦板、57…押圧部材、57a…押圧部、57b…ネジ棒、58…付勢部材、58a…バネ、59…圧力調整部、59a…圧力調整ハンドル、60…保持部、60a…第1保持部材、60b…第2保持部材、61…第1操作部、61a…第1レバー、61b…第2レバー、62…付勢部材、64…脱落防止部材、64n…内面、66…第2ロック機構、66a…ネジ部材、67…第2ロック解除操作部、67a…摘み部、70…固定部、71…ベース本体、72…押圧部材、73…押圧部材操作部、73a…ハンドル、81…第3部分、82…第4部分、84…移動操作部、84a…ハンドル、85…ネジ棒、201…ネジ棒、202…ガイドシャフト、203…シャフト、251c…フック、510…第1係合部、510a…爪、515…ガイド部材、520…第2係合部、520a…歯車、525…シャフト、811…支持部、812…スライダ、812a…ローラ、822…ガイド部材、822a…ガイドレール、AM…アーム駆動装置、B…固定対象物、B1…バケット、C…リモートコントローラ、C1…アーム操作部、C2…エンドエフェクタ操作部、D…ターゲット、E1…第1バッテリ、E2…第2バッテリ、E3…第3バッテリ、G1…把持機構、M1…エンドエフェクタ駆動装置、MT…アーム駆動モータ、MT1…第1モータ、MT2…第2モータ、MT3…第3モータ、MT4…第4モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21