(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133954
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】スイッチ装置、およびハードディスク装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/687 20060101AFI20240926BHJP
H02H 11/00 20060101ALI20240926BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H02H11/00 130
H02H3/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043992
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 貴重
【テーマコード(参考)】
5G004
5J055
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004BA03
5G004BA04
5G004EA01
5J055AX44
5J055BX16
5J055CX23
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5J055EZ10
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5J055EZ56
5J055FX05
5J055FX13
5J055FX38
5J055GX01
5J055GX02
(57)【要約】
【課題】スイッチ素子の周辺に設ける素子のレイアウトサイズを小さくすることが可能となるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置(2)は、ゲートと、ドレインと、ソースと、バックゲートと、を有し、前記ドレインと前記バックゲートの間に第1ボディダイオード(1A)が形成され、前記ソースと前記バックゲートの間に第2ボディダイオード(1B)が形成されるスイッチ素子(1)と、前記バックゲートとグランド電位の印加端との間に接続される第1スイッチ(SW1)を有する第1スイッチ回路(21)と、前記バックゲートと前記ソースとの間に接続される第2スイッチ(SW2)を有する第2スイッチ回路(22)と、を備える構成としている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートと、ドレインと、ソースと、バックゲートと、を有し、前記ドレインと前記バックゲートの間に第1ボディダイオードが形成され、前記ソースと前記バックゲートの間に第2ボディダイオードが形成されるスイッチ素子と、
前記バックゲートとグランド電位の印加端との間に接続される第1スイッチを有する第1スイッチ回路と、
前記バックゲートと前記ソースとの間に接続される第2スイッチを有する第2スイッチ回路と、
を備える、スイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチ素子の前記ドレインに印加される入力電圧と、前記スイッチ素子の前記ソースに印加される出力電圧とが入力されるように構成されるコンパレータを備え、
前記コンパレータの出力に基づいて前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、オンオフ制御される、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1スイッチ回路は、前記スイッチ素子の前記ドレインと前記第1スイッチの制御端との間に接続される第1ハイパスフィルタを有する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記第2スイッチは、前記バックゲートと、前記スイッチ素子の前記ソースとの間に並列に接続される第1NMOSトランジスタと第1PMOSトランジスタを有する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記第1PMOSトランジスタは、ボディダイオードが互いに逆方向に接続されるように接続される2つのPMOSトランジスタから構成される、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記第2スイッチ回路は、前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続されるドレインを有する第2NMOSトランジスタを有し、
当該スイッチ装置は、前記スイッチ素子の前記ドレインと前記第1NMOSトランジスタのゲートおよび前記第2NMOSトランジスタのゲートとの間に接続される第1プルアップ抵抗をさらに備える、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記スイッチ素子の前記ゲートとグランド電位の印加端との間に接続される第3スイッチと、前記スイッチ素子の前記ドレインと前記第3スイッチの制御端との間に接続される第2プルアップ抵抗と、を有する第3スイッチ回路をさらに備える、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記第3スイッチ回路は、前記第3スイッチの制御端とグランド電位の印加端との間に接続される第3NMOSトランジスタをさらに有し、
前記第3NMOSトランジスタのゲートには、第1ロジック部から第1制御信号を印加可能である、請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記スイッチ素子の前記ドレインに印加される入力電圧の起動後に、前記第1制御信号はハイレベルに切り替えられる、請求項8に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記スイッチ素子の前記ゲートと前記スイッチ素子の前記ソースとの間に接続される第4スイッチと、前記第4スイッチの制御端とグランド電位の印加端との間に接続される第4NMOSトランジスタと、前記スイッチ素子の前記ドレインと前記第4NMOSトランジスタのゲートとの間に接続される第2ハイパスフィルタと、を有する第4スイッチ回路をさらに備える、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
前記第4スイッチは、ボディダイオードが互いに逆方向に接続されるように接続される2つの第2PMOSトランジスタを有する、請求項10に記載のスイッチ装置。
【請求項12】
前記第4スイッチ回路において、前記スイッチ素子の前記ゲートと前記スイッチ素子の前記ソースとの間に、互いに逆方向に接続される2つのダイオードを有するダイオード対が接続される、請求項10に記載のスイッチ装置。
【請求項13】
前記第4NMOSトランジスタのゲートには、第2ロジック部から第2制御信号を印加可能であり、異常検知の場合に前記第2制御信号がハイレベルに切り替えられる、請求項10に記載のスイッチ装置。
【請求項14】
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、当該スイッチ装置のチップにおけるチップエッジに沿って配置される、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のスイッチ装置と、前記スイッチ素子の前記ソースから出力される出力電圧を供給されるように構成されるHDDと、を備える、ハードディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチ素子を用いてヒューズ機能を実現するスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1)。例えば過電流が検知されると、スイッチ素子が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスイッチ装置において、スイッチ素子の周辺に設ける素子のレイアウトサイズを小さくすることが要望される。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、スイッチ素子の周辺に設ける素子のレイアウトサイズを小さくすることが可能となるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係るスイッチ装置は、
ゲートと、ドレインと、ソースと、バックゲートと、を有し、前記ドレインと前記バックゲートの間に第1ボディダイオードが形成され、前記ソースと前記バックゲートの間に第2ボディダイオードが形成されるスイッチ素子と、
前記バックゲートとグランド電位の印加端との間に接続される第1スイッチを有する第1スイッチ回路と、
前記バックゲートと前記ソースとの間に接続される第2スイッチを有する第2スイッチ回路と、
を備える構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るスイッチ装置によれば、スイッチ素子の周辺に設ける素子のレイアウトサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例に係るスイッチシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示に係るスイッチ素子の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、スイッチ素子の比較例に係る使用形態を示す図である。
【
図4】
図4は、スイッチ素子の本開示に係る使用形態を示す図である。
【
図5】
図5は、サーバ装置の構成例を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、本開示のスイッチ装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、スイッチ装置におけるスイッチ素子の周辺回路を示す図である。
【
図8】
図8は、スイッチ装置のチップにおけるチップエッジ付近のレイアウトを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<1.比較例>
図1は、比較例に係るスイッチシステムの構成を示す図である。
図1に示すスイッチシステムは、ヒューズ機能(eFUSE)を担うスイッチ装置10と、逆流防止機能(ISOFET)を担うスイッチ装置20と、を有する。
【0011】
スイッチ装置10は、スイッチ素子101と、内部回路102と、を1チップに集積化して有する。スイッチ素子101は、NMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor))により構成される。スイッチ素子101は、ボディダイオード(寄生ダイオード)101Aを内蔵する。スイッチ素子101のドレインは、入力電圧Vinの印加端に接続される。内部回路102は、スイッチ素子101のゲートを制御することで、スイッチ素子101のオンオフを制御する。
【0012】
スイッチ装置20は、スイッチ素子201と、内部回路202と、を1チップに集積化して有する。スイッチ素子201は、NMOSトランジスタにより構成される。スイッチ素子201は、ボディダイオード201Aを内蔵する。スイッチ素子201のソースは、スイッチ素子101のソースに接続される。スイッチ素子201のドレインは、出力電圧Voutの印加端に接続される。内部回路202は、スイッチ素子201のゲートを制御することで、スイッチ素子201のオンオフを制御する。
【0013】
例えば、スイッチ装置10,20を流れる過電流が検知された場合に内部回路102によりスイッチ素子101がオフされることで、ヒューズ機能が実現される。しかしながら、スイッチ装置10のみでは、スイッチ素子101がオフ状態であっても、ボディダイオード101Aを介して出力電圧Vout側から入力電圧Vin側に電流が逆流する可能性があるため、スイッチ装置20を設けて、ボディダイオード101Aおよびボディダイオード201Aが互いに逆方向に接続されるようにし、逆流を抑制している。なお、スイッチ素子101がオフ状態の場合、スイッチ素子201も内部回路202によってオフ状態に制御される。
【0014】
これに対し、
図2は、本開示に係るスイッチ素子1の構成を示す図である。スイッチ素子1は、1つのNMOSトランジスタにより構成される。スイッチ素子1によれば、1つのFETによってヒューズ機能と逆流防止機能を実現することができる。スイッチ素子1は、ドレイン(D)と、ソース(S)と、ゲート(G)と、バックゲート(BG)と、を有する。スイッチ素子1では、バックゲートをソースおよびドレインと短絡していないため、バックゲートとドレインの間に接続されるボディダイオード1A、およびバックゲートとソースの間に接続されるボディダイオード1Bが有効となる。ボディダイオード1Aとボディダイオード1Bは、互いに逆方向に接続される。
【0015】
このようなスイッチ素子1により、比較例に係るスイッチシステムに比して、同じオン抵抗を同じ素子耐圧で構成するならば、面積を小さくすることができる。
【0016】
スイッチ素子1を使用する場合、
図3に示す使用形態がある。
図3においては、スイッチ素子1のドレインが入力電圧Vinの印加端に接続され、スイッチ素子1のソースが出力電圧Voutの印加端に接続される。また、スイッチ素子1のドレインとバックゲートの間に第1スイッチSW1が接続され、スイッチ素子1のソースとバックゲートの間に第2スイッチSW2が接続される。
【0017】
図3の左方には、Vin>Voutの場合に制御されるスイッチSW1,SW2の状態を示す。具体的には、スイッチSW1はオフ状態、スイッチSW2はオン状態とされる。これにより、ボディダイオード1Aが有効、ボディダイオード1Bが無効となる。従って、Vin>Voutの場合に、スイッチ素子1がオフ状態のときにVin側からVout側へ電流が流れることを阻止できる。
【0018】
一方、
図3の右方には、Vin<Voutの場合に制御されるスイッチSW1,SW2の状態を示す。具体的には、スイッチSW1はオン状態、スイッチSW2はオフ状態とされる。これにより、ボディダイオード1Aが無効、ボディダイオード1Bが有効となる。従って、Vin<Voutの場合に、スイッチ素子1がオフ状態のときにVout側からVin側へ電流が流れることを阻止できる(逆流防止機能)。
【0019】
しかしながら、
図3に示すような使用方法では、第1スイッチSW1がドレインとバックゲートの間に接続され、ドレインには高電圧が印加される場合があり、第1スイッチSW1を高耐圧素子で構成する必要があり、レイアウトサイズが大きくなる課題があった。
【0020】
<2.本開示の実施形態>
<2-1.スイッチ素子の使用方法>
そこで、スイッチ素子1の本開示に係る使用方法では、
図4のようにしている。先述した
図3との相違点として、第1スイッチSW1をドレインに接続せず、グランド電位の印加端に接続している。これにより、第1スイッチSW1を高耐圧素子により構成する必要がなく、レイアウトサイズを小さくすることができる。例えば、後述するように第1スイッチSW1を1つのNMOSトランジスタにより実現できる。
【0021】
<2-2.スイッチ装置>
以下、上記のような使用方法のスイッチ素子1を用いた本開示のスイッチ装置について説明する。
【0022】
図5は、本開示のスイッチ装置の適用アプリケーションの一例としてのサーバ装置5の構成を概略的に示す図である。なお、スイッチ装置は、サーバ装置に限らず、例えば充電器などに適用することも可能である。
【0023】
図5に示すサーバ装置5は、ハードディスク装置4を備える。ハードディスク装置4は、スイッチ装置2と、HDD(ハードディスクドライブ)3と、を有する。
【0024】
スイッチ装置2には、スイッチ素子1が設けられる。スイッチ装置2は、スイッチ素子1と、その他の回路を1チップに集積化して有するLSI(large-scale integration)である。サーバ装置5から供給された入力電圧Vinがスイッチ素子1に印加され、スイッチ素子1から出力電圧Voutが出力される。出力電圧Voutは、HDD3に供給される。
【0025】
ハードディスク装置4は、サーバ装置5の電源をシャットダウンしないで、サーバ装置5に対して着脱することが可能である。すなわち、いわゆるホットプラグが可能である。
【0026】
図6は、本開示のスイッチ装置2の構成を示す図である。スイッチ装置2は、スイッチ素子1と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチ回路23と、第4スイッチ回路24と、ロジック部25と、過電流検知部26と、コンパレータ27と、バックゲート制御部28と、LDO(Low Dropout)29と、を備える。
【0027】
先述したように、スイッチ素子1は、互いに逆方向に接続されたボディダイオード1A,1Bを内蔵する。第1スイッチSW1は、バックゲートとグランド電位の印加端の間に接続され、第2スイッチSW2は、バックゲートとソースの間に接続される。なお、後述するように、第1スイッチSW1は、第1スイッチ回路21に設けられ、第2スイッチSW2は、第2スイッチ回路22に設けられる。すなわち、スイッチ装置2は、第1スイッチ回路21および第2スイッチ回路22を備える。スイッチ素子1のドレインは、入力端子Tinに接続される。入力端子Tinに入力電圧Vinが印加される。スイッチ素子1のソースは、出力端子Toutに接続される。出力端子Toutから出力電圧Voutが出力される。
【0028】
第3スイッチ回路23は、第3スイッチSW3を有し、スイッチ素子1のゲート電圧を制御する。第4スイッチ回路24は、第4スイッチSW4を有し、スイッチ素子1のVgs(ゲート・ソース間電圧)を制御する。第3スイッチ回路23および第4スイッチ回路24の詳細については、後述する。
【0029】
ロジック部25は、第3スイッチ回路23および第4スイッチ回路24などを制御する。過電流検知部26は、スイッチ素子1を流れる過電流を検知するための回路である。
【0030】
コンパレータ27の非反転入力端は、入力電圧Vinの印加端に接続される。コンパレータ27の反転入力端は、出力電圧Voutの印加端に接続される。これにより、コンパレータ27は、入力電圧Vinと出力電圧Voutを比較し、比較出力信号Cpoutをバックゲート制御部28に出力する。バックゲート制御部28は、比較出力信号Cpoutのレベルに応じて第1スイッチSW1および第2スイッチSW2のオンオフを制御する。
【0031】
LDO29は、入力電圧Vinに基づいて出力電圧Voutを生成するシリーズレギュレータであり、エラーアンプAPと、スイッチ素子1と、分圧抵抗Ra,Rbと、を有する。エラーアンプAPの非反転入力端には、入力信号Sinが入力される。スイッチ素子1のソースとグランド電位の印加端との間に分圧抵抗Ra,Rbが直列に接続される。分圧抵抗Ra,Rbが接続されるノードは、エラーアンプAPの反転入力端に接続される。これより、出力電圧Voutを分圧抵抗Ra,Rbにより分圧して得られる帰還電圧FBがエラーアンプAPに入力される。エラーアンプAPの出力端は、スイッチ素子1のゲートに接続される。エラーアンプAPは、入力信号Sinと帰還信号FBの差分を増幅した信号を上記ゲートに印加させる。
【0032】
これにより、帰還電圧FBが入力信号Sinと一致するように制御され、出力電圧Voutが制御される。ここで、起動時にスイッチ素子1がオフ状態からオン状態に切り替えられたときに出力端子Toutに外部接続される大容量の出力コンデンサCoutに突入電流が流れることを回避するため、入力信号Sinを時間経過に従って徐々に電圧値が上昇するランプ信号としている。これにより、出力電圧Voutをソフトスタートさせることができる。
【0033】
<2-3.スイッチ素子の周辺回路>
図7は、スイッチ装置2におけるスイッチ素子1の周辺回路を示す図である。
【0034】
第1スイッチ回路21は、第1スイッチSW1と、キャパシタC1と、ツェナーダイオードD1と、抵抗R1と、を有する。第1スイッチSW1は、先述したように高耐圧素子で構成する必要がなく、NMOSトランジスタにより構成される。第1スイッチSW1のドレインは、スイッチ素子1のバックゲートに接続される。第1スイッチSW1のソースは、グランド電位の印加端に接続される。
【0035】
キャパシタC1の一端は、入力端子Tinに接続される。キャパシタC1の他端は、第1スイッチSW1のゲートに接続される。キャパシタC1の他端は、抵抗R1の一端に接続される。キャパシタC1と抵抗R1により、ハイパスフィルタが構成される。これにより、ホットプラグにより入力電圧Vinにサージが発生した場合に、第1スイッチSW1がオン状態とされ、バックゲートをグランド電位とすることができる。従って、スイッチ素子1に形成される寄生NPNトランジスタTrが動作してブレークダウンが発生することを抑制できる。
【0036】
ツェナーダイオードD1は、第1スイッチSW1のゲート電圧をクランプするために用いる。
【0037】
第2スイッチ回路22は、第2スイッチSW2と、抵抗R3,R4と、NMOSトランジスタNM1と、を有する。
【0038】
第2スイッチSW2は、NMOSトランジスタN1と、PMOSトランジスタP1,P2と、を有する。NMOSトランジスタN1のドレインは、スイッチ素子1のバックゲートに接続される。NMOSトランジスタN1のソースは、出力端子Toutに接続される。なお、NMOSトランジスタN1のバックゲートは、グランド電位の印加端に接続される。NMOSトランジスタN1のボディダイオードを介した逆流を阻止するためである。
【0039】
第2スイッチSW2のオン抵抗を低くするために、NMOSトランジスタN1に加えてPMOSトランジスタP1,P2を用いている。NMOSトランジスタN1と、PMOSトランジスタP1,P2の直列接続構成は、スイッチ素子1のバックゲート・ソース間に並列接続される。これにより、第2スイッチSW2がオン状態の場合に寄生NPNトランジスタTrが動作することを抑制できる。なお、オン抵抗の低いNMOSトランジスタを使用できる場合は、必ずしもPMOSトランジスタを用いる必要はない。
【0040】
また、逆流を阻止するため、2つのPMOSトランジスタP1,P2を用いている。具体的には、PMOSトランジスタP1のドレインは、スイッチ素子1のバックゲートに接続される。PMOSトランジスタP1のソースは、PMOSトランジスタP2のソースに接続される。PMOSトランジスタP2のドレインは、出力端子Toutに接続される。これにより、PMOSトランジスタP1,P2の各ボディダイオードは、互いに逆方向に接続される。
【0041】
PMOSトランジスタP1のゲート・ソース間に抵抗R3が接続される。PMOSトランジスタP1のボディダイオードおよび抵抗R3を介して電流が流れることで、PMOSトランジスタP1をオン状態とするためのVgsが生成される。PMOSトランジスタP2のゲートは、抵抗R4の一端に接続される。抵抗R4の他端は、NMOSトランジスタNM1のドレインに接続される。NMOSトランジスタNM1のソースは、グランド電位の印加端に接続される。
【0042】
バックゲート制御部28は、プルアップ抵抗28Aと、インバータ28Bと、ツェナーダイオード28Cと、を有する。コンパレータ27の出力端は、NMOSトランジスタN1,NM1のゲートとともにインバータ28Bの入力端に接続される。インバータ28Bの出力端は、第1スイッチSW1のゲートに接続される。
【0043】
これにより、Vin>Voutの場合、比較出力信号Cpoutがハイレベルとなり、NMOSトランジスタN1がオン状態、NMOSトランジスタNM1がオン状態となる。これにより、PMOSトランジスタP1,P2がオン状態となる。すなわち、第2スイッチSW2がオン状態となる。一方、第1スイッチSW1はオフ状態となる。
【0044】
一方、Vin<Voutの場合、比較出力信号Cpoutがローレベルとなり、NMOSトランジスタN1がオフ状態、NMOSトランジスタNM1がオフ状態となる。これにより、PMOSトランジスタP1,P2がオフ状態となる。すなわち、第2スイッチSW2がオフ状態となる。一方、第1スイッチSW1はオン状態となる。
【0045】
プルアップ抵抗28Aの一端は、入力端子Tinに接続される。プルアップ抵抗28Aの他端は、NMOSトランジスタN1のゲートとともにNMOSトランジスタNM1のゲートに接続される。これにより、入力電圧Vinの投入時に第2スイッチSW2をオン状態とし、スイッチ素子1のバックゲート・ソース間をより確実に0Vに固定して起動できる。なお、ツェナーダイオード28Cは、NMOSトランジスタN1,NM1のゲート電圧をクランプするために用いられる。
【0046】
第3スイッチ回路23は、第3スイッチSW3と、プルアップ抵抗R5と、ツェナーダイオードD2と、NMOSトランジスタNM2と、を有する。
【0047】
第3スイッチSW3は、NMOSトランジスタにより構成される。第3スイッチSW3のドレインは、スイッチ素子1のゲートに接続される。第3スイッチSW3のソースは、グランド電位の印加端に接続される。プルアップ抵抗R5の一端は、入力端子Tinに接続される。プルアップ抵抗R5の他端は、第3スイッチSW3のゲートに接続される。プルアップ抵抗R5により、入力電圧Vinの投入時に第3スイッチSW3をオン状態とし、スイッチ素子1のゲート電圧をより確実に0Vに固定して起動できる。
【0048】
NMOSトランジスタNM2のドレインは、第3スイッチSW3のゲートに接続される。NMOSトランジスタNM2のソースは、グランド電位の印加端に接続される。NMOSトランジスタNM2のゲートには、制御信号S1がロジック部25(
図6)により印加される。入力電圧Vinが起動するときに制御信号S1をローレベルとし、NMOSトランジスタNM2をオフ状態とする。そして、入力電圧Vinが起動後に制御信号S1をハイレベルとし、NMOSトランジスタNM2をオン状態とする。これにより、第3スイッチSW3は、オフ状態とされる。これにより、LDO29(
図6)によるスイッチ素子1のゲート制御が有効となる。
【0049】
ツェナーダイオードD2は、第3スイッチSW3のゲート電圧をクランプするために用いる。
【0050】
第4スイッチ回路24は、第4スイッチSW4と、ダイオード対24Aと、抵抗R6,R7,R8と、NMOSトランジスタNM3と、ツェナーダイオードD3,D4と、キャパシタC2と、を有する。
【0051】
第4スイッチSW4は、PMOSトランジスタP3,P4から構成される。逆流を阻止するため、2つのPMOSトランジスタP3,P4を用いている。具体的には、PMOSトランジスタP3のドレインは、スイッチ素子1のゲートに接続される。PMOSトランジスタP3のソースは、PMOSトランジスタP4のソースに接続される。PMOSトランジスタP4のドレインは、出力端子Toutに接続される。これにより、PMOSトランジスタP3,P4の各ボディダイオードは、互いに逆方向に接続される。
【0052】
PMOSトランジスタP3のゲート・ソース間に抵抗R7が接続される。PMOSトランジスタP3のボディダイオードおよび抵抗R7を介して電流が流れることで、PMOSトランジスタP3をオン状態とするためのVgsが生成される。PMOSトランジスタP3,P4のゲートは、抵抗R8の一端に接続される。抵抗R8の他端は、NMOSトランジスタNM3のドレインに接続される。NMOSトランジスタNM3のソースは、グランド電位の印加端に接続される。
【0053】
なお、ツェナーダイオードD4は、PMOSトランジスタP3,P4のゲート・ソース間に接続され、PMOSトランジスタP3,P4のVgsをクランプするために用いられる。また、互いに逆方向に接続されたツェナーダイオードから構成されるダイオード対24Aは、スイッチ素子1のゲート・ソース間に接続される。これにより、スイッチ素子1のVgsをクランプしつつ、逆流を阻止できる。
【0054】
キャパシタC2の一端は、入力端子Tinに接続される。キャパシタC2の他端は、NMOSトランジスタNM3のゲートとともに抵抗R6の一端に接続される。抵抗R6の他端は、グランド電位の印加端に接続される。キャパシタC2と抵抗R6によりハイパスフィルタが構成される。これにより、ホットプラグにより入力電圧Vinにサージが発生した場合、NMOSトランジスタNM3をオン状態とし、第4スイッチSW4をオン状態とし、スイッチ素子1のゲート・ソース間を短絡させる。従って、スイッチ素子1のセルフターンオンを抑制できる。
【0055】
また、NMOSトランジスタNM3のゲートには、制御信号S2がロジック部25(
図6)により印加される。通常時には制御信号S2がローレベルのため、NMOSトランジスタNM3はオフ状態であり、第4スイッチSW4はオフ状態である。一方、過電流検知部26により過電流が検知された場合等には、制御信号S2がハイレベルとされるため、NMOSトランジスタNM3がオン状態とされ、第4スイッチSW4がオン状態とされ、スイッチ素子1はオフ状態とされる。これにより、ヒューズ機能が実現される。
【0056】
なお、ツェナーダイオードD3は、NMOSトランジスタNM3のVgsをクランプするために用いられる。
【0057】
<2-4.スイッチのレイアウト>
図8は、スイッチ装置2のチップにおけるチップエッジ付近のレイアウトを示す概略図である。スイッチ素子1をチップコーナーに配置すると、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をチップエッジ2Aに沿って配置することで、フリースペースを有効活用できる。
<3.その他>
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。これまでに説明してきた各種の実施形態及び変形例は、矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
【0058】
<4.付記>
以上の通り、本開示の一態様に係るスイッチ装置(2)は、
ゲートと、ドレインと、ソースと、バックゲートと、を有し、前記ドレインと前記バックゲートの間に第1ボディダイオード(1A)が形成され、前記ソースと前記バックゲートの間に第2ボディダイオード(1B)が形成されるスイッチ素子(1)と、
前記バックゲートとグランド電位の印加端との間に接続される第1スイッチ(SW1)を有する第1スイッチ回路(21)と、
前記バックゲートと前記ソースとの間に接続される第2スイッチ(SW2)を有する第2スイッチ回路(22)と、
を備える構成としている(第1の構成)。
【0059】
また、上記第1の構成において、前記スイッチ素子(1)の前記ドレインに印加される入力電圧(Vin)と、前記スイッチ素子の前記ソースに印加される出力電圧(Vout)とが入力されるように構成されるコンパレータ(27)を備え、
前記コンパレータの出力に基づいて前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、オンオフ制御される構成としてもよい(第2の構成)。
【0060】
また、上記第1または第2の構成において、前記第1スイッチ回路(21)は、前記スイッチ素子(1)の前記ドレインと前記第1スイッチ(SW1)の制御端との間に接続される第1ハイパスフィルタ(C1,R1)を有する構成としてもよい(第3の構成)。
【0061】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記第2スイッチ(SW2)は、前記バックゲートと、前記スイッチ素子の前記ソースとの間に並列に接続される第1NMOSトランジスタ(N1)と第1PMOSトランジスタ(P1,P2)を有する構成としてもよい(第4の構成)。
【0062】
また、上記第4の構成において、前記第1PMOSトランジスタは、ボディダイオードが互いに逆方向に接続されるように接続される2つのPMOSトランジスタ(P1,P2)から構成されることとしてもよい(第5の構成)。
【0063】
また、上記第4または第5の構成において、前記第2スイッチ回路(22)は、前記第1PMOSトランジスタ(P1,P2)のゲートに接続されるドレインを有する第2NMOSトランジスタ(NM1)を有し、
当該スイッチ装置(2)は、前記スイッチ素子(1)の前記ドレインと前記第1NMOSトランジスタ(N1)のゲートおよび前記第2NMOSトランジスタのゲートとの間に接続される第1プルアップ抵抗(28A)をさらに備える構成としてもよい(第6の構成)。
【0064】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記スイッチ素子(1)の前記ゲートとグランド電位の印加端との間に接続される第3スイッチ(SW3)と、前記スイッチ素子の前記ドレインと前記第3スイッチの制御端との間に接続される第2プルアップ抵抗(R5)と、を有する第3スイッチ回路(23)をさらに備える構成としてもよい(第7の構成)。
【0065】
また、上記第7の構成において、前記第3スイッチ回路(23)は、前記第3スイッチ(SW3)の制御端とグランド電位の印加端との間に接続される第3NMOSトランジスタ(NM2)をさらに有し、
前記第3NMOSトランジスタのゲートには、第1ロジック部(25)から第1制御信号(S1)を印加可能である構成としてもよい(第8の構成)。
【0066】
また、上記第8の構成において、前記スイッチ素子(1)の前記ドレインに印加される入力電圧(Vin)の起動後に、前記第1制御信号(S1)はハイレベルに切り替えられる構成としてもよい(第9の構成)。
【0067】
また、上記第1から第9のいずれかの構成において、前記スイッチ素子(1)の前記ゲートと前記スイッチ素子の前記ソースとの間に接続される第4スイッチ(SW4)と、前記第4スイッチの制御端とグランド電位の印加端との間に接続される第4NMOSトランジスタ(NM3)と、前記スイッチ素子の前記ドレインと前記第4NMOSトランジスタのゲートとの間に接続される第2ハイパスフィルタ(C2,R6)と、を有する第4スイッチ回路(24)をさらに備える構成としてもよい(第10の構成)。
【0068】
また、上記第10の構成において、前記第4スイッチ(SW4)は、ボディダイオードが互いに逆方向に接続されるように接続される2つの第2PMOSトランジスタ(P3,P4)を有する構成としてもよい(第11の構成)。
【0069】
また、上記第10または第11の構成において、前記第4スイッチ回路(24)において、前記スイッチ素子(1)の前記ゲートと前記スイッチ素子の前記ソースとの間に、互いに逆方向に接続される2つのダイオードを有するダイオード対(24A)が接続される構成としてもよい(第12の構成)。
【0070】
また、上記第10から第12のいずれかの構成において、前記第4NMOSトランジスタ(NM3)のゲートには、第2ロジック部(25)から第2制御信号(S2)を印加可能であり、異常検知の場合に前記第2制御信号がハイレベルに切り替えられる構成としてもよい(第13の構成)。
【0071】
また、上記第1から第13のいずれかの構成において、前記第1スイッチ(SW1)および前記第2スイッチ(SW2)は、当該スイッチ装置(2)のチップにおけるチップエッジに沿って配置される構成としてもよい(第14の構成)。
【0072】
また、本開示の一態様に係るハードディスク装置(4)は、上記第1から第14のいずれかの構成のスイッチ装置(2)と、前記スイッチ素子(1)の前記ソースから出力される出力電圧(Vout)を供給されるように構成されるHDD(3)と、を備える(第15の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示は、例えば、ハードディスク装置などに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 スイッチ素子
1A,1B ボディダイオード
2 スイッチ装置
3 HDD
4 ハードディスク装置
5 サーバ装置
10,20 スイッチ装置
21 第1スイッチ回路
22 第2スイッチ回路
23 第3スイッチ回路
24 第4スイッチ回路
24A ダイオード対
25 ロジック部
26 過電流検知部
27 コンパレータ
28 バックゲート制御部
28A プルアップ抵抗
28B インバータ
28C ツェナーダイオード
29 LDO
101 スイッチ素子
101A ボディダイオード
102 内部回路
201 スイッチ素子
201A ボディダイオード
202 内部回路
AP エラーアンプ
C1,C2 キャパシタ
Cout 出力コンデンサ
D1~D4 ツェナーダイオード
N1 NMOSトランジスタ
NM1~NM3 NMOSトランジスタ
P1~P4 PMOSトランジスタ
R1,R3,R4 抵抗
R5 プルアップ抵抗
R6~R8 抵抗
Ra,Rb 分圧抵抗
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 第3スイッチ
SW4 第4スイッチ
Tin 入力端子
Tout 出力端子
Tr 寄生NPNトランジスタ