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特開2024-133955車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133955
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240926BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B60H1/00 102R
B60H1/34 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043993
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】黒田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】金沢 正秋
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 秀憲
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA52
3L211DA14
3L211DA95
3L211DA96
(57)【要約】
【課題】より容易に組み立て可能な車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法を提供する。
【解決手段】車両用ダクト構造は、車両に配設されるダクト1と、前記ダクト1の少なくとも一部を前記車両の車室2内側から覆うカバー部材10と、を備える。前記ダクト1が、前記カバー部材10に固定されると共に支持される下方ダクト部材20と、前記下方ダクト部材20に接続される上方ダクト部材30とから形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設されるダクトと、
前記ダクトの少なくとも一部を前記車両の車室内側から覆うカバー部材と、
を備え、
前記ダクトが、前記カバー部材に固定されると共に支持される第1ダクト部材と、前記第1ダクト部材に接続される第2ダクト部材とから形成された、車両用ダクト構造。
【請求項2】
前記車両に前記カバー部材を取付けたことに応じて、前記カバー部材に固定された前記第1ダクト部材及び前記第2ダクト部材のうち一方のダクト部材が、他方のダクト部材の端部に挿入される、請求項1に記載の車両用ダクト構造。
【請求項3】
前記他方のダクト部材の前記端部には、前記一方のダクト部材を前記他方のダクト部材に挿入する際に、当該一方のダクト部材を案内するガイド部が形成され、
前記ガイド部の、前記一方のダクト部材の挿入方向に垂直な断面における開口面は、前記挿入方向とは反対向きの方向に向かうに従って拡大される、請求項2に記載の車両用ダクト構造。
【請求項4】
前記他方のダクト部材は前記第2ダクト部材であって、前記端部には前記第1ダクト部材が下方から挿入され、
前記ガイド部は下方に向かうに従って広がっている、請求項3に記載の車両用ダクト構造。
【請求項5】
前記他方のダクト部材の前記端部の外周には、前記端部の少なくとも一部を、当該端部に挿入された前記一方のダクト部材の外周面に押圧する押圧部材が配設されている、請求項2に記載の車両用ダクト構造。
【請求項6】
前記第1ダクト部材は、弾性部材を介して前記カバー部材に固定されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用ダクト構造。
【請求項7】
車両に配設されるダクトを形成する第1ダクト部材と、前記第1ダクト部材に接続される第2ダクト部材とのうち、前記ダクトの少なくとも一部を前記車両の車室内側から覆うカバー部材に固定された前記第1ダクト部材を形成する形成工程と、
前記車両に、前記第1ダクト部材が固定された前記カバー部材を取付けて前記ダクトを形成する取付工程と、
を備える、車両用ダクトの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1が開示する車室前部構造は、車両のステアリングコラムと、ステアリングコラムよりも車幅方向外側にフェイス吹出口が形成されたインストルメントパネルと、を備える。また、当該車室前部構造はステアリングコラムよりも車幅方向中央側でインストルメントパネル内に設けられた空調装置本体を備える。また、当該車室前部構造は、ステアリングコラムの車両下方に配置され、インストルメントパネルの車両下方側へ向けてニーエアバッグを膨張展開させるニーエアバッグ装置を備える。また、当該車室前部構造は、ニーエアバッグ装置の車両後方側を通る経路で空調装置本体からフェイス吹出口へ延びるフェイスダクトを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-26218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばステアリングコラムシャフトの周囲に配設された空調ダクトは、複数のダクト部材の各々同士を接続することにより構成される場合が有った。そのような場合には、当該複数のダクト部材の各々同士を例えばボルト等で締結して空調ダクトを組み立て、その後、ステアリングコラムシャフトの下方にカバー部材を取付ける作業を行う場合が有る。その際、ステアリングコラムシャフトの下方に十分な作業空間を確保することができず、当該作業が煩雑になるおそれが有った。即ち、ダクトの組み立て作業が煩雑になるおそれが有った。
【0005】
本発明の目的は、より容易に組み立て可能な車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両用ダクト構造は、ダクトと、カバー部材と、を備え、前記ダクトが、前記カバー部材に固定されると共に支持される第1ダクト部材と、前記第1ダクト部材に接続される第2ダクト部材とから形成される。
【0007】
本発明の一態様に係る車両用ダクトの組み立て方法は、車両に配設されるダクトを形成する第1ダクト部材と、前記第1ダクト部材に接続される第2ダクト部材とのうち、カバー部材に固定された第1ダクト部材を形成する形成工程と、前記車両に、前記第1ダクト部材が固定された前記カバー部材を取付けて前記ダクトを形成する取付工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より容易に組み立て可能な車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る車両用ダクト構造のダクトの配設位置を説明するための図であり、インストルメントパネル内部におけるシャフト部材とダクトとの位置関係を示す、インストルメントパネルの部分断面図である。
図2】第1実施形態に係る車両用ダクト構造のダクトの配設位置を説明するための図であり、インストルメントパネル内部におけるシャフト部材とダクトとの位置関係を示す、インストルメントパネル内部の部分正面図である。
図3】第1実施形態に係る車両用ダクト構造のカバー部材と、第1ダクト部材と、第2ダクト部材と、の配設関係を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る車両用ダクト構造の第1ダクト部材の端部、及び第2ダクト部材の端部の斜視図である。
図5】第1実施形態に係る車両用ダクト構造の、第1ダクト部材を第2ダクト部材に挿入する際の態様を説明するための図であり、第1ダクト部材の端部を第2ダクト部材の端部に挿入する前の状態を示す、図4のV-V線に沿った断面図である。
図6】第1実施形態に係る車両用ダクト構造の、第1ダクト部材を第2ダクト部材に挿入する際の態様を説明するための図であり、第1ダクト部材の端部を第2ダクト部材の端部に挿入した後の状態を示す、図5に相当する断面図である。
図7】第1実施形態に係る車両用ダクト構造の、第1ダクト部材を第2ダクト部材に挿入する際の態様を説明するための図であり、第1ダクト部材の端部を第2ダクト部材の端部に挿入する前の状態を示す、図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図8】第1実施形態に係る車両用ダクト構造の、第1ダクト部材を第2ダクト部材に挿入する際の態様を説明するための図であり、第1ダクト部材の端部を第2ダクト部材の端部に挿入した後の状態を示す、図6のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9】第2実施形態に係る車両用ダクト構造のカバー部材と、第1ダクト部材と、の配設関係を示す斜視図である。
図10】第3実施形態に係る車両用ダクト構造のカバー部材と、第1ダクト部材と、の配設関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法について説明する。なお、各図中のFR,RRは、車両前後方向前方、後方のそれぞれを示す。LH,RHは、車幅方向左方、右方のそれぞれを示す。UP,DNは、車両上下方向上方、下方のそれぞれを示す。以下の説明では、車両前後方向前方、後方、車幅方向左方、右方、車両上下方向上方、下方を、それぞれ単に「車両前方」「車両後方」「車両左方」「車両右方」「上方」「下方」と称する。なお、以下の説明では同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態に係る車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法は、車両に配設されるダクト1の構造として適用することができる。図1に例示されるように、ダクト1は、例えば車両の車室2に取付けられたインストルメントパネル3の内部の空間Sに配設されてもよい。
【0012】
インストルメントパネル3は、例えば車室2における車両のドライバーシート(不図示)の車両前方の領域に配置されている。そのため、インストルメントパネル3は車室2における車両前方側の内装を構成する。インストルメントパネル3の所定位置には、空調装置(不図示)から送られた気流を車室2に向けて放出する送風口(不図示)が配設されていてもよい。また、ダクト1は気流を内部に流通可能な配管部材であり、当該空調装置から送られた気流を当該送風口に向けて導く部材であってもよい。即ち、ダクト1は空調装置と送風口とを接続する空調ダクトであってもよい。なお、ダクト1の内部を向く方向を「ダクト内方」と称し、ダクト内方とは反対を向く方向を「ダクト外方」と称する。
【0013】
図1及び図2に例示されるインストルメントパネル3では、車両右方側の部分、及び車幅方向中央近傍の部分に送風口が形成されている。なお、送風口が形成される領域は特に限定されず、例えば車室2の形状、大きさ等に応じて適宜設定されてもよい。インストルメントパネル3の下方側にはカバー部材10が取付けられていてもよい。カバー部材10はダクト1の少なくとも一部を車両の車室2内側から覆う。
【0014】
図に例示されたカバー部材10はインストルメントパネル3の下方側を構成するパネル部材である。即ち、カバー部材10はインストルメントパネル3の外装面の少なくとも一部を構成する。カバー部材10は車幅方向に所定の範囲で延在し、平面視で略矩形の形状を有してもよく、例えば樹脂から構成されてもよい。また、カバー部材10は車幅方向に垂直な断面において、車両後下方に向けて凸となるように湾曲した形状を有してもよい。図示された例では、カバー部材10は空間Sの下方側を画成している。即ち、カバー部材10は車室2とダクト1が配設される空間Sとを仕切る。
【0015】
図1に例示されたインストルメントパネル3にはステアリング部4が配設されている。ステアリング部4は、例えば、ステアリングホイール5と、シャフト部材6と、を含む。シャフト部材6は、ステアリングホイール5の回転中心軸を構成するシャフト、当該シャフト等を支持する部材等を組み合わせることにより構成されたステアリングコラムシャフトであってもよい。シャフト部材6の車室2側端部に、ステアリングホイール5が直接的に又は間接的に回転可能に支持される。なお、図に例示されるようにインストルメントパネル3にはシャフト部材6の外周の少なくとも一部を覆うコラムカバー7が配設されてもよい。
【0016】
図2に例示されるダクト1は、インストルメントパネル3の内部において、全体として車幅方向に延在するように配設されてもよい。ダクト1の各部は、その延在方向に垂直な断面において略矩形の形状を有し、樹脂から構成されてもよい。ダクト1の車両右方側の端部32bは、インストルメントパネル3の車両右方側の部分に形成された送風口に、直接的に又は間接的に接続されてもよい。ダクト1の車両左方側の端部36bは、インストルメントパネル3の車両中央近傍の部分に形成された送風口に、直接的に又は間接的に接続されてもよい。なお、ダクト1の形状、寸法、位置等は図示された例に限定されない。例えばダクト1が配設される領域の形状、寸法等に応じて、ダクト1の形状、寸法、位置等を適宜設定してもよい。
【0017】
図に例示されたインストルメントパネル3では、車幅方向においてダクト1の端部32bと端部36bとの間にシャフト部材6が配設されている。そのため、ダクト1のうち端部32bと端部36bとの間の少なくとも一部は、シャフト部材6を避けて下方に湾曲するように形成されている。即ち、ダクト1の少なくとも一部は、シャフト部材6の下方において車幅方向にシャフト部材6を横切るように形成されてもよい。換言すれば、ダクト1は、その少なくとも一部がシャフト部材6が配設された領域の下方に隣接する領域に位置するように、湾曲しながら延在してもよい。
【0018】
図2に例示されるダクト1は、複数のダクト部材の各々同士を互いに接続することにより形成されている。当該複数のダクト部材は、第1ダクト部材を含む。また、当該複数のダクト部材は、第1ダクト部材と接続される第2ダクト部材を含んでもよい。図示された例では、第1ダクト部材としての後述する下方ダクト部材20と、第2ダクト部材としての後述する上方ダクト部材30と、を接続することにより、ダクト1が形成される。
【0019】
第1ダクト部材は、ダクト1の下方側の部分を構成する下方ダクト部材20であってもよい。下方ダクト部材20は車両前後方向に平行な軸方向視で略U字状の形状を有してもよく、例えば樹脂製であってもよい。図に例示された下方ダクト部材20は、その延在方向に垂直な断面において略矩形の形状を有するが、これに限定されない。例えば、下方ダクト部材20は当該断面において略円形の形状を有してもよい。下方ダクト部材20は中間部21と、側方部22,23と、を有してもよい。なお、中間部21と、側方部22,23と、は一体成形されていてもよい。
【0020】
図に例示された中間部21は、シャフト部材6の下方の領域で車幅方向にシャフト部材6を横切るように延在している。側方部22は下方ダクト部材20の車両右方側の部分を構成しており、中間部21の車両右方側に形成されている。側方部22は、中間部21の車両右方側を湾曲させて、上方に向けて延出させることにより形成されてもよい。側方部23は下方ダクト部材20の車両左方側の部分を構成しており、中間部21の車両左方側に形成されている。側方部23は、中間部21の車両左方側を湾曲させて、上方に向けて延出させることにより形成されてもよい。
【0021】
図3に例示されるように、側方部22は、下方ダクト部材20の車両右方側の端部である端部22aを有する。端部22aは側方部22の上方側の端部であってもよい。端部22aにおいて側方部22は上下方向に延在する。また、側方部23は、下方ダクト部材20の車両左方側の端部である端部23aを有する。端部23aは側方部23の上方側の端部であってもよい。端部23aにおいて側方部23は上下方向に延在する。中間部21は側方部22と側方部23とを滑らかに連結する。また、車幅方向において、端部22aはシャフト部材6よりも車両右方に位置し、端部23aはシャフト部材6よりも車両左方に位置してもよい(図2参照)。
【0022】
下方ダクト部材20は、カバー部材10に固定されると共に支持される。即ち、下方ダクト部材20とカバー部材10とを一体的に組み合わせて、ユニット11を構成してもよい。図3に示す例では、カバー部材10の内面10aに下方ダクト部材20の下方側の部分が固定されている。内面10aはカバー部材10のうち車室2側とは反対側の面を構成しており、インストルメントパネル3の内面の一部を構成してもよい。即ち、内面10aは空間Sの少なくとも一部を画成してもよい。内面10aは空間Sの下方側を画成してもよい(図1参照)。
【0023】
図3に示される例では、カバー部材10と下方ダクト部材20との間に弾性部材80が介在している。弾性部材80の材質は特に限定されず、例えば発泡ウレタンのような弾性を有する任意の樹脂材料から構成されてもよい。図に例示された弾性部材80の下方側の部分は、接着等の接合手段を用いて内面10aの所定領域に接合されてもよい。また、弾性部材80の上方側の部分は、接着等の接合手段を用いて下方ダクト部材20の中間部21の下方側に接合されてもよい。即ち、下方ダクト部材20は、弾性部材80を介してカバー部材10に固定されてもよい。また、これにより、下方ダクト部材20は弾性部材80を介してカバー部材10に支持されることとなる。
【0024】
なお、下方ダクト部材20とカバー部材10とを固定する手段は図示された例に限定されない。例えば、中間部21の下方側の壁部に下方に延出する凸部(不図示)を設け、当該凸部をカバー部材の所定領域に形成した凹部(不図示)に嵌合させてもよい。これにより、下方ダクト部材20とカバー部材10とをより確実に固定し、カバー部材10で下方ダクト部材20をより確実に支持したユニット11を形成することができる。
【0025】
図2に例示される上方ダクト部材30は、第1上方ダクト部材31と、第2上方ダクト部材35と、を含んでもよい。第1上方ダクト部材31は、ダクト1の車両右方側の部分を構成する配管部材である。第2上方ダクト部材35は、ダクト1の車両左方側の部分を構成する配管部材である。第1上方ダクト部材31又は第2上方ダクト部材35の各部は、その延在方向に垂直な断面において略矩形の形状を有してもよく、例えば樹脂製であってもよい。もっとも、当該断面における第1上方ダクト部材31又は第2上方ダクト部材35の形状は特に限定されない。例えば、第1上方ダクト部材31又は第2上方ダクト部材35は当該断面において略円形の形状を備えてもよい。
【0026】
図に例示された第1上方ダクト部材31は、シャフト部材6よりも車両右方に配設されており、上下方向に延在する側方部32を備える。側方部32の下方側には端部32aが形成されており、端部32aにおいて第1上方ダクト部材31は上下方向に延在する。側方部32の上方側は車両右後方に向けて湾曲しながら延出し、端部32bでインストルメントパネル3の送風口に直接的又は間接的に接続されてもよい。
【0027】
図に例示された第2上方ダクト部材35は、シャフト部材6よりも車両左方に配設されており、車幅方向に延在する中間部36を備える。中間部36の車両左方側には端部36bが形成されている。また、中間部36の、その延在方向における端部36bとは反対側の部分には端部36aが形成されている。第2上方ダクト部材35は端部36bから端部36aにかけて滑らかに湾曲しながら延在してもよい。また、図示された例では端部36aにおいて第2上方ダクト部材35は上下方向に延在する。
【0028】
下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続することにより、ダクト1が形成される。図3に示される例では、図中の矢印Aに示されるように、端部22aを下方から端部32aに挿入し、端部23aを下方から端部36aに挿入することにより、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とが接続される。ここで、下方ダクト部材20とカバー部材10とは固定され、ユニット11を形成している。そのため、ユニット11をインストルメントパネル3に取付けた際に、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とが接続されてもよい。即ち、車両にカバー部材10を取付けたことに応じて、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とが接続されてもよい。
【0029】
また、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続する際の態様は図示された例に限定されない。例えば、インストルメントパネル3の下方側にカバー部材10を取付ける際に、端部22aに端部32aを上方から挿入し、端部23aに端部36aを上方から挿入することにより、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続してもよい。即ち、車両にカバー部材10を取付けたことに応じて、カバー部材10に固定された下方ダクト部材20、及び上方ダクト部材30のうち一方のダクト部材が、他方のダクト部材の端部に挿入されてもよい。
【0030】
次に、図4を参照しながら、端部22a及び端部32aを例にとって、下方ダクト部材20及び上方ダクト部材30の端部の構成について更に説明する。なお、本実施形態に係る車両用ダクト構造では、端部23aは端部22aと同様に構成されており、端部36aは端部32aと同様に構成されているため、端部23a及び端部36aの説明を省略する。もっとも、ある実施形態では端部22aとは異なる形状に端部23aを構成してもよく、端部32aとは異なる形状に端部36aを構成してもよい。
【0031】
図4に例示された下方ダクト部材20は、上下方向に垂直な断面において略矩形の形状を有し、前壁部24aと、後壁部24bと、側壁部24cと、側壁部24dと、を備える。前壁部24aは端部22aの車両前方側の部分を構成する。後壁部24bは端部22aの車両後方側の部分を構成する。側壁部24cは端部22aの車両左方側の部分を構成する。側壁部24dは端部22aの車両右方側の部分を構成する。前壁部24a、後壁部24b、側壁部24c、及び側壁部24dの各々のダクト外方側の面によって、端部22aの外周面25が構成される。
【0032】
下方ダクト部材20の端部22aは、側方部22の上方側の縁部から下方に向けて所定の範囲で延在してもよい。また、端部22aは端部32aに挿入可能に構成されている。図視された例では、上下方向に垂直な断面において、端部22aの外周面25は、端部32aの後述する内周面33の形状よりも小さな略相似形の形状を有している。そのため、図中の矢印Aに示すように端部22aを端部32aに挿入することができる。
【0033】
外周面25には樹脂等から形成されたシール部材81が配設されてもよい。シール部材81は、端部32aに端部22aを挿入した際に、外周面25と内周面33との間に介在し、両者の間に形成される隙間を閉塞する。そのため、端部22aと端部32aとが接続される部分の気密性をより向上させることができる。なお、シール部材81は端部22aの上方側の縁に沿うように配設されてもよい。
【0034】
端部22aには凸部50が形成されてもよい。凸部50は後述する膨出部60に嵌合する部分である。図に例示される凸部50は後壁部24bから車両後方に突出するように形成されており、車幅方向に垂直な断面において略三角形の形状を有する。凸部50の上方側には傾斜面51が形成されている。傾斜面51は車両後方に向けて下り勾配に傾斜する。また、凸部50の車両後方側の部分には後壁面52が形成されてもよい。後壁面52は、傾斜面51の下方側縁部から下方に延在する。凸部50の車両左方側の部分、及び車両右方側の部分には上下方向に延在する側面が形成されてもよい。なお、凸部50の形状は図示された例に限定されず、例えば膨出部60の形状に応じて、適宜その形状が設定されてもよい。
【0035】
図に例示された側方部32は、上下方向に垂直な断面において略矩形の形状を有し、前壁部34aと、後壁部34bと、側壁部34cと、側壁部34dと、を備える。前壁部34aは端部22aの車両前方側を構成する壁部である。後壁部34bは端部22aの車両後方側を構成する壁部である。側壁部34cは端部22aの車両左方側を構成する壁部である。側壁部34dは端部22aの車両右方側を構成する壁部である。前壁部34a、後壁部34b、側壁部34c、及び側壁部34dの各々のダクト内方側に延在する面によって、端部32aの内周面33が構成される。
【0036】
端部32aはガイド部40を備えてもよい。ガイド部40は、下方ダクト部材20及び上方ダクト部材30のうち一方のダクト部材が挿入される、他方のダクト部材の端部に形成される。ガイド部40は、当該一方のダクト部材を当該他方のダクト部材に挿入する際に、当該一方のダクト部材を案内する。ガイド部40は第1ガイド部41を備えてもよい。第1ガイド部41の、当該一方のダクト部材の挿入方向に垂直な断面における開口面は、挿入方向とは反対向きの方向に向かうに従って拡大されてもよい。なお、図1図10に示された例では、当該一方のダクト部材は下方ダクト部材20に相当し、当該他方のダクト部材は上方ダクト部材30に相当し、上方が挿入方向に相当するが、これに限定されない。当該一方のダクト部材が上方ダクト部材30に相当し、当該他方のダクト部材が下方ダクト部材20に相当し、下方が挿入方向に相当してもよい。
【0037】
図示された例では、第1ガイド部41は端部32aに形成されている。第1ガイド部41は、下方ダクト部材20を上方ダクト部材30に下方から挿入する際に、下方ダクト部材20を案内可能である。また、第1ガイド部41は下方に向かうに従って広がるように形成されてもよい。第1ガイド部41では、前壁部34aは車両前方に向けて下り勾配に傾斜し、後壁部34bは車両後方に向けて下り勾配に傾斜し、側壁部34cは車両左方に向けて下り勾配に傾斜し、側壁部34dは車両右方に向けて下り勾配に傾斜してもよい。
【0038】
また、ガイド部40は第2ガイド部42を有してもよい。第2ガイド部42は、第1ガイド部41の、下方ダクト部材20を上方ダクト部材30に挿入する際の挿入方向とは反対方向側の縁部から、当該反対方向に向けて延出してもよい。図示された例では、第2ガイド部42は、第1ガイド部41の下方側の縁部から下方に延出するように形成されている。これにより、第2ガイド部42は上下方向に延在する、断面略矩形の配管部を形成してもよい。また、第2ガイド部42の上下方向に垂直な断面における開口面は、端部32aのうち第1ガイド部41よりも上方の部分の、当該断面における開口面よりも大きく形成される。
【0039】
端部32aには膨出部60が形成されてもよい。図に例示された膨出部60は、後壁部34bの一部を車両後方に向けて膨出させることにより形成されている。端部32aに端部22aを挿入する際、膨出部60の内部に凸部50を嵌合させることができる。これにより、上方ダクト部材30に対して下方ダクト部材20をより確実に位置決めすることができる。
【0040】
図に例示されるように、膨出部60は傾斜壁部61と、後壁部62と、を備えてもよい。傾斜壁部61は膨出部60の上方側を形成しており、車両後方に向けて下り勾配に傾斜してもよい。後壁部62は膨出部60の車両後方側を形成しており、傾斜壁部61の下方側縁部から下方に延在してもよい。
【0041】
また、図示された例では膨出部60には開口部63aと、開口部63bと、が形成されている。開口部63a及び開口部63bは車幅方向に貫通している。開口部63a,63bは車幅方向と平行な軸方向視で略矩形の形状を備え、車両前後方向に延在してもよい。図示された例のように、開口部63aは、膨出部60の車両左方側を形成し上下方向に延在する側壁部に形成されてもよい。また、開口部63bは、膨出部60の車両右方側を形成し上下方向に延在する側壁部に形成されてもよい。
【0042】
端部32aの外周には押圧部材70が取付けられてもよい。押圧部材70は、端部32aの少なくとも一部を、端部32aに挿入された下方ダクト部材20の外周面25に押圧する部材である。図に例示された押圧部材70は端部32aの外周を取り囲むように延在し、帯状の形状を有する。押圧部材70は、端部32aのうちガイド部40よりも上方の部分において、端部32aの外周を取り囲むように配設されてもよい。また、押圧部材70は例えば金属、又は樹脂から構成されてもよい。
【0043】
押圧部材70の端部はボルト等の締結具により構成された固定部71で端部32aに固定されてもよい。図示された例では、固定部71は端部32aのうち膨出部60の車両左方の領域において、開口部63aと隣接するように配設されている。また、押圧部材70は当接部72を備えてもよい。当接部72は、押圧部材70の延在方向における、固定部71とは反対側の端部に形成されてもよい。なお、固定部71及び当接部72の位置は図示された例に限定されず、例えば端部32aの形状に応じて、適宜設定されてもよい。
【0044】
押圧部材70は、固定部71と当接部72との間に延在する延在部であるバンド73を含んでもよい。バンド73は、下方ダクト部材20の挿入方向に交差する方向に延在してもよい。また、バンド73の一部は、膨出部60の内部を横切るように配設されてもよい。図示された例では、バンド73のうち当接部72から車両右方に延出する部分は、開口部63a及び開口部63bを貫通するように配設されている。即ち、バンド73の少なくとも一部は膨出部60を貫通してもよい。
【0045】
図に例示された当接部72は膨出部60の車両左方の領域に配設されている。また、当接部72の上下方向の寸法は、開口部63aの上下方向の寸法よりも大きい。そのため、例えばバンド73のうち当接部72から車両右方に延出する部分に車両右方向きの力が入力された場合であっても、当接部72が開口部63aの周縁部に当接し、当該部分の車両右方に向けた移動が規制される。即ち、当接部72は膨出部60と当接することによって、バンド73のうち膨出部60を貫通する部分が、膨出部60から引き抜かれることを防止する。
【0046】
端部32aにはスリット37が形成されてもよい。図に例示されたスリット37は、端部32aの一部の領域を、ダクト内外方向に貫通するように切り欠くことにより形成されている。スリット37は第2ガイド部42の下端から上方に向けて所定の幅で延在してもよい。また、スリット37はバンド73よりも上方まで延在してもよい。即ち、スリット37は、端部32aのうち押圧部材70よりも上方の領域から下方に向けて延在する切り欠き部であってもよい。なお、図示された例ではスリット37は後壁部34bのうち、膨出部60の車両右方の領域に形成されているが、これに限定されない。例えば、スリット37は前壁部34a、側壁部34c、又は側壁部34dに形成されてもよい。
【0047】
次に、図3、及び図5図8を参照しながら、本実施形態に係る車両用ダクトの組み立て方法について説明する。また、当該説明では端部22aを端部32aに挿入する場合を例にとって、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続する方法について説明する。なお、端部23aを端部36aに挿入する場合も同様の方法を用いて、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続してもよい。
【0048】
本実施形態に係る車両用ダクトの組み立て方法は、形成工程と、取付工程と、を備える。
【0049】
形成工程では、カバー部材10に固定された下方ダクト部材20を形成する。これにより、ユニット11(図3参照)が形成される。カバー部材10は、例えば樹脂を成形することによりを予め形成されてもよい。また、下方ダクト部材20は例えば樹脂を成形することによりを予め形成されてもよい。そのようにして得られたカバー部材10に下方ダクト部材20を固定することにより、ユニット11を形成することができる。
【0050】
また、カバー部材10と下方ダクト部材20との間に弾性部材80を介在させてもよい。その場合には、カバー部材10の所定位置に予め弾性部材80を例えば接着剤を用いて接合し、次に、弾性部材80に下方ダクト部材20を例えば接着剤を用いて接合することにより、ユニット11を形成してもよい。なお、弾性部材80を予め下方ダクト部材20の所定位置に接合し、次に、カバー部材10を弾性部材80に接合することにより、ユニット11を形成してもよい。
【0051】
取付工程では、車両に下方ダクト部材20が固定されたカバー部材10を取付けてダクト1を形成する。例えば、インストルメントパネル3の下方側にカバー部材10を下方から取付けることにより、ダクト1を形成してもよい。なお、車両にカバー部材10を取付ける際の取付方法は特に限定されない。例えばカバー部材10を取付けようとする部分の形状、構造等に応じて、接合、締結等の方法を適宜用いてもよい。
【0052】
図5に示された例では、矢印Aで示すように端部22aを下方から端部32aに挿入する。これにより、図6に示されるように下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とが接続される。ここで、カバー部材10と下方ダクト部材20とはユニット11を形成しているため、車両にカバー部材10を取付ける作業を行うのと同時に、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続する作業を行うことができる。例えば、インストルメントパネル3の下方側にカバー部材10を取付ける作業を行う際に、端部32aに端部22aを下方から挿入することにより、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続することができる。
【0053】
また、図に例示された端部32aには第1ガイド部41及び第2ガイド部42が形成されている。そのため、端部22aを端部32aに挿入する際に、第2ガイド部42の内部に端部22aを配置することにより、端部22aの車両前後方向又は車幅方向への移動が、第2ガイド部42の内面によって規制される。即ち、端部22aの端部32aに対する位置を大まかに決定することができる。更に、側方部22を上方に移動させることにより、端部22aを第1ガイド部41の内面の少なくとも一部に当接させながら、上方へと移動させることができる。そして、端部22aが端部32aの内部に配設される。ここで、端部22aの外周面25と、内周面33との間に隙間が形成される場合には、当該隙間はシール部材81により閉塞されてもよい。
【0054】
また、端部32aに端部22aを挿入する際には、凸部50が膨出部60の内部に挿入され、両者が嵌合してもよい。ここで、図7に例示されるように、膨出部60の内部ではバンド73が車幅方向に延在している。そのため、バンド73のうち膨出部60の内部に位置する部分73aは、端部32aに端部22aが挿入される際に傾斜面51と接触して押され、図中の矢印Bに示されるようにダクト外方に向けて変位する。また、押圧部材70は端部32aに対して固定部71で固定されている。そのため、部分73aは図中の矢印Cに示すように車両右方に向けて変位するが、図8に例示されるように、当接部72が開口部63aの周縁部に当接するため、部分73aの車両右方への移動が規制される。換言すれば、端部22aが端部32aに挿入されたとき、当接部72が端部32aに当接すると共に、バンド73の少なくとも一部は端部32aのダクト外方に変位する。その結果、バンド73から端部32aにダクト内方を向いた力が入力されることとなる。即ち、端部32aは押圧部材70によって端部22aの外周面25に向けて押圧される。これにより、端部32aの内周面33と端部22aの外周面25との間における隙間の形成が抑制され、端部32aと端部22aとがより確実に接続される。
【0055】
また、図8に例示されるように、端部32aにはスリット37が形成されている。そのため、端部32aが押圧部材70によって端部22aに向けて押圧された際に、スリット37の幅が小さくなる。これにより、端部32aで端部22aをより確実に押圧することができる。その結果、内周面33と外周面25との間における隙間の形成をより確実に抑制することができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、図9を参照しながら第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法では、カバー部材10と下方ダクト部材20との固定の態様が第1実施形態とは異なる。また、下方ダクト部材20の形成方法が第1実施形態とは異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0057】
図9に示された例では、下方ダクト部材20は複数のダクト部材の各々同士を接続することにより形成されている。即ち、図に例示された下方ダクト部材20は、中間部21を構成する第1部材121と、側方部22を構成する第2部材122と、側方部23を構成する第3部材123と、を接続することより構成されている。
【0058】
カバー部材10と下方ダクト部材20とは一体成形により形成されてもよい。図示された例では、カバー部材10と中間部21とが一体成形されている。これにより、カバー部材10と下方ダクト部材20とをより確実に固定すると共に、カバー部材10で下方ダクト部材20をより確実に支持することができる。
【0059】
また、第1部材121の車両右方側端部に第2部材122を接続し、車両左方側端部に第3部材123を接続して、下方ダクト部材20を形成してもよい。これにより、第2部材122又は第3部材123の形状、寸法等を適宜設定することにより、所望の形状、寸法等を有した下方ダクト部材20をより容易に形成することができる。そのため、例えばインストルメントパネル3の形状、寸法等に応じた、形状、寸法等を有する下方ダクト部材20をより容易に形成することができる。なお、第1部材121と、第2部材122と、第3部材123と、を接続する方法は特に限定されない。例えば、これらの部材は接着、振動溶着等の手段を用いることにより接合されてもよい。
【0060】
本実施形態に係る形成工程では、カバー部材10に固定された下方ダクト部材20を形成する際に、予めカバー部材10と第1部材121とを一体成形により形成してもよい。その後、第1部材121に第2部材122及び第3部材123を接続することにより、下方ダクト部材20の中間部21とカバー部材10とが一体成形されたユニット111が得られる。なお、ユニット111はユニット11に相当する部材である。
【0061】
(第3実施形態)
次に、図10を参照しながら第3実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法は、カバー部材10と下方ダクト部材20との固定の態様が第1実施形態とは異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0062】
図10に示された例では、下方ダクト部材20はカバー部材10の内面10aに接合されると共に支持されている。なお、図示された例では、中間部21の下方側と、内面10aとが接合されることにより接合部82が形成されている。接合部82は中間部21の車両左方側端部から車両右方側端部にかけて形成されてもよい。即ち、中間部21は車両左方側端部から車両右方側端部にかけてカバー部材10に接合されてもよい。これにより、カバー部材10と下方ダクト部材20とをより広い範囲で接合し、両者をより強固に固定することができる。
【0063】
本実施形態に係る形成工程では、カバー部材10と下方ダクト部材20とが接合されたユニット211を形成する。ユニット211はユニット11に相当する部材である。当該形成工程では、予め成形されたカバー部材10の内面10aと、予め成形された下方ダクト部材20の中間部21とを、例えば接着剤を用いて接合してもよい。その場合には、接合部82は当該接着剤が固化することにより形成された接着層である。また、カバー部材10と下方ダクト部材20とは直接接合されてもよい。例えば、予め成形されたカバー部材10の内面10aと、予め成形された下方ダクト部材20の中間部21とを、振動溶着により直接接合してもよい。その場合には、接合部82は振動溶着により形成された樹脂層である。
【0064】
以下、実施形態に係る車両用ダクト構造及び車両用ダクトの組み立て方法の作用効果について説明する。
【0065】
(1)実施形態に係る車両用ダクト構造は、車両に配設されるダクト1と、ダクト1の少なくとも一部を車両の車室2内側から覆うカバー部材10と、を備える。ダクト1が、カバー部材10に固定されると共に支持される下方ダクト部材20と、下方ダクト部材20に接続される上方ダクト部材30とから形成される。当該車両用ダクト構造によれば、例えばシャフト部材6の周囲に配設されたダクト1を構成する複数のダクト部材のうち、下方ダクト部材20はカバー部材10に固定されると共に支持される。これにより、複数のダクト部材の各々同士が接続される部分をより簡易な構造とすることができる。そのため、複数のダクト部材の各々同士を接続してダクト1を形成する作業をより容易に行うことができる。
【0066】
(2)上記車両用ダクト構造では、車両にカバー部材10を取付けたことに応じて、カバー部材10に固定された下方ダクト部材20及び上方ダクト部材30のうち一方のダクト部材が、他方のダクト部材の端部に挿入されてもよい。これにより、カバー部材10を車両に取付ける作業と同時に、複数のダクト部材の各々同士を接続する作業を行い、ダクト1を形成することができる。従ってダクト1をより容易に組み立てることができる。
【0067】
(3)上記車両用ダクト構造では、他方のダクト部材の端部には、一方のダクト部材を他方のダクト部材に挿入する際に、当該一方のダクト部材を案内するガイド部40が形成されてもよい。ガイド部40の、一方のダクト部材の挿入方向に垂直な断面における開口面は、挿入方向とは反対向きの方向に向かうに従って拡大されてもよい。これにより、例えば下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続する際に、両者の位置をより確実に合わせることができる。そのため、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とを接続し、ダクト1を形成する作業をより容易に行うことができる。
【0068】
(4)上記車両用ダクト構造では、他方のダクト部材は上方ダクト部材30であって、端部32aには下方ダクト部材20が下方から挿入され、ガイド部40は下方に向かうに従って広がってもよい。これにより、下方ダクト部材20が上方ダクト部材30に下方から挿入された際に、例えば側方部22のうち端部22aの下方の部分が、ガイド部40によって上方から覆われる。そのため、外周面25と内周面33との間に水滴、塵等の異物が浸入することをより確実に抑制することができる。即ち、ダクト1内部への異物が侵入を抑制することができる。
【0069】
(5)上記車両用ダクト構造では、他方のダクト部材の端部の外周には、端部の少なくとも一部を、当該端部に挿入された一方のダクト部材の外周面に押圧する押圧部材が配設されてもよい。これにより、例えば下方ダクト部材20を上方ダクト部材30に挿入した際に、押圧部材70によって端部32aが端部22aに押し付けられ、下方ダクト部材20と上方ダクト部材30とが接続される。そのため、空調ダクトをより容易に組み立てることができる。
【0070】
(6)上記車両用ダクト構造では、下方ダクト部材20は、弾性部材80を介してカバー部材10に固定されてもよい。これにより、複数のダクト部材の各々同士を接続してダクト1を形成する際に、例えば下方ダクト部材20のカバー部材10に対する位置又は姿勢が変化した場合であっても、弾性部材80の弾性変形により当該変化を吸収することができる。そのため、カバー部材10をより適切な位置で車両に取付けることができる。更に、例えば車両の走行に起因してダクト1又はカバー部材10に振動が生じた場合であっても、当該振動を弾性部材80により吸収し、異音の発生を抑制することができる。
【0071】
(7)実施形態に係る車両用ダクトの組み立て方法は、車両に配設されるダクト1を形成する下方ダクト部材20と、下方ダクト部材20に接続される上方ダクト部材30とのうち、カバー部材10に固定された下方ダクト部材20を形成する形成工程を備える。カバー部材10はダクト1の少なくとも一部を車両の車室2内側から覆う。また、当該方法は、車両に、下方ダクト部材20が固定されたカバー部材10を取付けてダクト1を形成する取付工程を備える。当該車両用ダクトの組み立て方法によれば、形成工程において、カバー部材10に下方ダクト部材20が固定されると共に支持されたユニット11を形成することができる。そして、取付工程で例えばインストルメントパネル3にユニット11を取付けることにより、ダクト1が形成される。これにより、複数のダクト部材の各々同士が接続される部分をより簡易な構造にすると共に、ダクト1を形成する作業をより容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
S 空間
1 ダクト
2 車室
10 カバー部材
20 下方ダクト部材(第1ダクト部材)
30 上方ダクト部材(第2ダクト部材)
32a 端部
40 ガイド部
70 押圧部材
80 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10