IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スイッチ装置 図1
  • 特開-スイッチ装置 図2
  • 特開-スイッチ装置 図3
  • 特開-スイッチ装置 図4
  • 特開-スイッチ装置 図5
  • 特開-スイッチ装置 図6
  • 特開-スイッチ装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133956
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20240926BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240926BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20240926BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/687 A
H02H3/087
H02H7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043994
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 貴重
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5J055
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004DA04
5G004EA01
5G053AA01
5G053BA04
5G053CA02
5G053EC03
5G053FA07
5J055AX03
5J055AX26
5J055AX44
5J055AX47
5J055AX60
5J055AX66
5J055BX16
5J055DX13
5J055DX54
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY03
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY21
5J055EZ09
5J055EZ14
5J055EZ24
5J055EZ34
5J055EZ54
5J055EZ55
5J055FX05
5J055FX08
5J055FX13
5J055FX19
5J055FX20
5J055FX21
5J055FX32
5J055FX38
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】外付け部品を削減することが可能となるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置(2)は、入力電圧(Vin)を印加可能な第1端と、出力電圧(Vout)を印加可能な第2端と、制御端と、を有するスイッチ素子(1)と、DAコンバータ(28)と、前記スイッチ素子を有して、前記出力電圧を制御するように構成される出力電圧制御部(26)と、を備え、前記出力電圧制御部は、前記DAコンバータの出力のランプ状の変化に応じて、前記出力電圧が徐々に上昇するように、前記制御端に印加する前記制御電圧(Vg)を生成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を印加可能な第1端と、出力電圧を印加可能な第2端と、制御端と、を有するスイッチ素子と、
DAコンバータと、
前記スイッチ素子を有して、前記出力電圧を制御するように構成される出力電圧制御部と、
を備え、
前記出力電圧制御部は、前記DAコンバータの出力のランプ状の変化に応じて、前記出力電圧が徐々に上昇するように、前記制御端に印加する前記制御電圧を生成する、スイッチ装置。
【請求項2】
クロックをカウントしてカウント値を前記DAコンバータへ出力するように構成されるカウンタをさらに備える、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記クロックの周波数は可変である、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記出力電圧制御部は、前記出力電圧を分圧して得られる帰還電圧と、前記DAコンバータの出力に基づく入力信号とが入力され、前記制御電圧を出力するように構成されるエラーアンプを有する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記入力信号が最大電圧に達したときの前記出力電圧が前記入力電圧よりも低い、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記出力電圧を昇圧して昇圧電源電圧を生成するように構成される昇圧回路をさらに備え、
前記昇圧電源電圧は、前記エラーアンプにおける出力段に供給可能であり、
前記入力信号が最大電圧に達するよりも前に前記出力電圧が前記入力電圧に達すると、前記エラーアンプがアンプ動作からコンパレータ動作に切り替わることで前記スイッチ素子がフルオン状態とされる、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記入力電圧の印加端に接続されるアノードを有する第1ダイオードと、
前記昇圧電源電圧の印加端に接続されるアノードを有する第2ダイオードと、をさらに備え、
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードの各カソードは、前記出力段に共通接続される、請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記出力電圧が前記入力電圧に達するときに、前記第2ダイオードのアノードとカソードを短絡させるように構成される短絡スイッチをさらに備える、請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記DAコンバータの出力側に設けられて前記入力信号を生成するように構成されるローパスフィルタをさらに備える、請求項4に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチ素子を用いてヒューズ機能を実現するスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1)。例えば過電流が検知されると、スイッチ素子が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-40482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスイッチ装置において、外部接続する部品の削減が要望される。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、外付け部品を削減することが可能となるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係るスイッチ装置は、
入力電圧を印加可能な第1端と、出力電圧を印加可能な第2端と、制御端と、を有するスイッチ素子と、
DAコンバータと、
前記スイッチ素子を有して、前記出力電圧を制御するように構成される出力電圧制御部と、
を備え、
前記出力電圧制御部は、前記DAコンバータの出力のランプ状の変化に応じて、前記出力電圧が徐々に上昇するように、前記制御端に印加する前記制御電圧を生成する構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るスイッチ装置によれば、外付け部品を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較例に係るスイッチシステムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示に係るスイッチ素子の構成を示す図である。
図3図3は、スイッチ素子の使用形態を示す図である。
図4図4は、本開示のスイッチ装置の構成を示す図である。
図5図5は、スイッチ装置の起動時の第1動作例を示すタイミングチャートである。
図6図6は、スイッチ装置の起動時の第2動作例を示すタイミングチャートである。
図7図7は、本開示の変形例に係るスイッチ装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<1.スイッチ素子>
図1は、比較例に係るスイッチシステムの構成を示す図である。図1に示すスイッチシステムは、ヒューズ機能(eFUSE)を担うスイッチ装置10と、逆流防止機能(ISOFET)を担うスイッチ装置20と、を有する。
【0011】
スイッチ装置10は、スイッチ素子101と、内部回路102と、を1チップに集積化して有する。スイッチ素子101は、NMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor))により構成される。スイッチ素子101は、ボディダイオード(寄生ダイオード)101Aを内蔵する。スイッチ素子101のドレインは、入力電圧Vinの印加端に接続される。内部回路102は、スイッチ素子101のゲートを制御することで、スイッチ素子101のオンオフを制御する。
【0012】
スイッチ装置20は、スイッチ素子201と、内部回路202と、を1チップに集積化して有する。スイッチ素子201は、NMOSトランジスタにより構成される。スイッチ素子201は、ボディダイオード201Aを内蔵する。スイッチ素子201のソースは、スイッチ素子101のソースに接続される。スイッチ素子201のドレインは、出力電圧Voutの印加端に接続される。内部回路202は、スイッチ素子201のゲートを制御することで、スイッチ素子201のオンオフを制御する。
【0013】
例えば、スイッチ装置10,20を流れる過電流が検知された場合に内部回路102によりスイッチ素子101がオフされることで、ヒューズ機能が実現される。しかしながら、スイッチ装置10のみでは、スイッチ素子101がオフ状態であっても、ボディダイオード101Aを介して出力電圧Vout側から入力電圧Vin側に電流が逆流する可能性があるため、スイッチ装置20を設けて、ボディダイオード101Aおよびボディダイオード201Aが互いに逆方向に接続されるようにし、逆流を抑制している。なお、スイッチ素子101がオフ状態の場合、スイッチ素子201も内部回路202によってオフ状態に制御される。
【0014】
これに対し、図2は、本開示に係るスイッチ素子1の構成を示す図である。スイッチ素子1は、1つのNMOSトランジスタにより構成される。スイッチ素子1によれば、1つのFETによってヒューズ機能と逆流防止機能を実現することができる。スイッチ素子1は、ドレイン(D)と、ソース(S)と、ゲート(G)と、バックゲート(BG)と、を有する。スイッチ素子1では、バックゲートをソースおよびドレインと短絡していないため、バックゲートとドレインの間に接続されるボディダイオード1A、およびバックゲートとソースの間に接続されるボディダイオード1Bが有効となる。ボディダイオード1Aとボディダイオード1Bは、互いに逆方向に接続される。
【0015】
このようなスイッチ素子1により、比較例に係るスイッチシステムに比して、同じオン抵抗を同じ素子耐圧で構成するならば、面積を小さくすることができる。
【0016】
スイッチ素子1を使用する場合、図3に示す使用形態が用いられる。図3においては、スイッチ素子1のドレインが入力電圧Vinの印加端に接続され、スイッチ素子1のソースが出力電圧Voutの印加端に接続される。また、スイッチ素子1のドレインとバックゲートの間に第1スイッチSW1が接続され、スイッチ素子1のソースとバックゲートの間に第2スイッチSW2が接続される。
【0017】
図3の左方には、Vin>Voutの場合に制御されるスイッチSW1,SW2の状態を示す。具体的には、スイッチSW1はオフ状態、スイッチSW2はオン状態とされる。これにより、ボディダイオード1Aが有効、ボディダイオード1Bが無効となる。従って、Vin>Voutの場合に、スイッチ素子1がオフ状態のときにVin側からVout側へ電流が流れることを阻止できる。
【0018】
一方、図3の右方には、Vin<Voutの場合に制御されるスイッチSW1,SW2の状態を示す。具体的には、スイッチSW1はオン状態、スイッチSW2はオフ状態とされる。これにより、ボディダイオード1Aが無効、ボディダイオード1Bが有効となる。従って、Vin<Voutの場合に、スイッチ素子1がオフ状態のときにVout側からVin側へ電流が流れることを阻止できる(逆流防止機能)。
【0019】
<2.スイッチ装置>
以下、上記のような使用方法のスイッチ素子1を用いた本開示のスイッチ装置について説明する。
【0020】
図4は、本開示のスイッチ装置2の構成を示す図である。スイッチ装置2は、スイッチ素子1と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、スイッチ回路21と、ロジック部22と、過電流検知部23と、コンパレータ24と、バックゲート制御部25と、出力電圧制御部26と、ローパスフィルタ27と、DAC(DAコンバータ)28と、カウンタ29と、を備える。
【0021】
先述したように、スイッチ素子1は、互いに逆方向に接続されたボディダイオード1A,1Bを内蔵する。第1スイッチSW1は、バックゲートとドレインの間に接続され、第2スイッチSW2は、バックゲートとソースの間に接続される。スイッチ素子1のドレインは、入力端子Tinに接続される。入力端子Tinに入力電圧Vinが印加される。スイッチ素子1のソースは、出力端子Toutに接続される。出力端子Toutから出力電圧Voutが出力される。
【0022】
スイッチ回路21は、第3スイッチSW3を有し、スイッチ素子1のVgs(ゲート・ソース間電圧)を制御する。第3スイッチSW3は、スイッチ素子1のゲート・ソース間に接続される。ロジック部22は、スイッチ回路21などを制御する。過電流検知部23は、スイッチ素子1を流れる過電流を検知するための回路である。過電流検知部23により過電流が検知されると、ロジック部22は、第3スイッチSW3をオン状態とする。これにより、スイッチ素子1のゲート・ソース間が短絡され、スイッチ素子1がオフ状態とされる。このように、スイッチ素子1のヒューズ機能による保護が実現される。
【0023】
コンパレータ24の非反転入力端は、入力電圧Vinの印加端に接続される。コンパレータ24の反転入力端は、出力電圧Voutの印加端に接続される。これにより、コンパレータ24は、入力電圧Vinと出力電圧Voutを比較し、比較出力信号Cpoutをバックゲート制御部25に出力する。バックゲート制御部25は、比較出力信号Cpoutのレベルに応じて第1スイッチSW1および第2スイッチSW2のオンオフを制御する。すなわち、VinとVoutの大小関係に応じて、図3に示すように制御される。
【0024】
出力電圧制御部26は、入力電圧Vinに基づいて出力電圧Voutを生成するLDO(Low Dropout)として構成され、エラーアンプAPと、スイッチ素子1と、分圧抵抗Ra,Rbと、を有する。エラーアンプAPの非反転入力端には、入力信号Sinが入力される。スイッチ素子1のソースとグランド電位の印加端との間に分圧抵抗Ra,Rbが直列に接続される。分圧抵抗Ra,Rbが接続されるノードは、エラーアンプAPの反転入力端に接続される。これより、出力電圧Voutを分圧抵抗Ra,Rbにより分圧して得られる帰還電圧FBがエラーアンプAPに入力される。エラーアンプAPの出力端は、スイッチ素子1のゲートに接続される。エラーアンプAPは、入力信号Sinと帰還信号FBの差分を増幅した信号を制御電圧Vgとして上記ゲートに印加させる。
【0025】
これにより、帰還電圧FBが入力信号Sinと一致するように制御され、出力電圧Voutが制御される。ここで、入力信号Sinは、カウンタ29、DAC28、およびローパスフィルタ27により生成される。
【0026】
カウンタ29は、クロックをカウントし、カウント値をDAC28に出力する。DAC28は、入力されたカウント値(デジタルデータ)をD/A変換して、アナログ電圧VAを出力する。アナログ電圧VAは、ローパスフィルタ27により平滑化されて入力信号Sinとなる。ローパスフィルタ27は、図4に示すようにRCフィルタにより構成している。
【0027】
カウンタ29によるカウント値が増加するに従ってアナログ電圧VAが上昇し、入力信号Sinも上昇する。アナログ電圧VAは、時間経過に従ってステップ状に上昇する。これにより、入力信号Sinを時間経過に従って電圧値が上昇するようなランプ状に変化させ、出力電圧制御部26の動作により出力電圧Voutをソフトスタートできる。従って、起動時にスイッチ素子1がオン状態となることで出力端子Toutに外付けされる大容量の出力コンデンサCoutへ突入電流が流れることを抑制できる。
【0028】
例えば、コンデンサに定電流を流すことでランプ状の信号を生成する方法では、コンデンサはスイッチ装置に対して外部接続する必要がある。コンデンサを内蔵した場合、定電流を微小にする必要があるためである。これに対し、本実施形態では、DAC28をスイッチ装置2に内蔵することでランプ状の入力信号Sinを生成するため、外付け部品を削減することができる。
【0029】
また、カウンタ29がカウントするクロックの周波数によってソフトスタート時間(入力信号Sinが0Vから最大電圧まで上昇するまでの時間)が決まる。従って、クロックの周波数精度でソフトスタート時間の精度が決まるため、ソフトスタート時間のばらつきを大幅に抑えることができる。また、クロックの周波数を可変とすることで、ソフトスタート時間を可変に設定してもよい。
【0030】
また、DAC28から出力されるアナログ電圧VAの切り替え時(ステップ状に上昇)の変動は、出力コンデンサCoutへ流れる電流のリップルとなるため、DAC28の出力側にローパスフィルタ27を設けることで上記リップルを抑制している。なお、DAC28の出力の分解能を上げることで上記リップルを抑制してもよい。
【0031】
<3.起動時の動作>
次に、スイッチ装置2における起動時の動作について説明する。図5は、スイッチ装置2の起動時の第1動作例を示すタイミングチャートである。図5および後述する図6においては、上段に入力電圧Vin、出力電圧Vout、制御電圧Vg、および昇圧電源電圧VHSDを示し、下段に入力信号Sinを示す。
【0032】
なお、図4に示すように、スイッチ装置2は、昇圧回路30を備える。昇圧回路30は、出力電圧Voutを昇圧して昇圧電源電圧VHSDを生成する。VHSD=Vout+αであり、昇圧回路30は、例えばチャージポンプにより構成される。図5および図6では、一例としてα=5Vである。
【0033】
エラーアンプAPにおける出力段(図示せず)には、図4に示すように入力電圧Vinまたは昇圧電源電圧VHSDが電源電圧として供給される。より具体的には、ダイオードD1のアノードに入力電圧Vinの印加端が接続され、ダイオードD2のアノードに昇圧電源電圧VHSDの印加端が接続される。ダイオードD1,D2の各カソードは、上記出力段に共通接続される。これにより、Vin>VHSDの場合、Vinが上記出力段に供給され、Vin<VHSDの場合、VHSDが上記出力段に供給される。ダイオードD1,D2により、逆流を阻止できる。
【0034】
図5を参照して説明すると、入力電圧Vinの起動された状態であるタイミングt0において、カウンタ29によるカウントが開始され、入力信号Sinが0Vから上昇を開始する。このとき、出力電圧Vout=0Vであり、制御電圧Vgが立ち上がる。
【0035】
その後、入力信号Sinの上昇に従って出力電圧Voutおよび制御電圧Vgが上昇する。入力信号Sinがランプ状に上昇するため、出力コンデンサCoutに流入する電流は定電流となり、スイッチ素子1のVgs(すなわちVoutとVgの差)は一定となる。タイミングt1で出力電圧Voutが所定電圧(ここでは一例として2.5V)に達する。すると、昇圧回路30が昇圧動作を開始し、昇圧電源電圧VHSDは、Vout+α(ここでは、α=5V)まで上昇する。その後、入力信号Sinの上昇に従って出力電圧Vout、制御電圧Vg、および昇圧電源電圧VHSDが上昇する。
【0036】
タイミングt2で昇圧電源電圧VHSDが入力電圧Vinを上回ると、上記出力段への電源電圧の供給が入力電圧Vinから昇圧電源電圧VHSDに切り替わる。
【0037】
その後、タイミングt3で入力信号Sinが最大電圧(ここでは一例として1.5V)に達すると、入力信号Sinは以降、一定となるが、本動作例では、入力信号Sinが最大電圧のときに出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも低いため、出力電圧Voutは、出力電圧制御部26によるレギュレーションにより出力される(ここでは、一例としてVout=5.7V、Vin=8V)。このとき、制御電圧Vg=Vout+Vtとなる(Vt:クランプ電圧)。
【0038】
図6は、スイッチ装置2の起動時の第2動作例を示すタイミングチャートである。図5では、入力電圧Vin=8Vとしていたが、図6では図5の場合よりも低いVin=5Vとしている。これにより、図6に示すように、入力信号Sinが最大電圧(=1.5V)に達するより前にタイミングt4で出力電圧Voutが入力電圧Vinに達する(Vout=5V)。
【0039】
これにより、タイミングt4でエラーアンプAPがアンプ動作からコンパレータ動作に切り替わり、エラーアンプAPの出力段から、ほぼ昇圧電源電圧VHSDである制御電圧Vgが出力され、スイッチ素子1がフルオン状態とされる。このとき、制御電圧Vgは入力電圧Vinよりも高い必要があるため、昇圧回路30が設けられている。
【0040】
<4.変形例>
図7は、変形例に係るスイッチ装置2の構成を示す図である。本構成では、図4との相違点として、昇圧電源電圧VHSD側のダイオードD2のアノード・カソード間を短絡させるスイッチSWAが設けられる。スイッチSWAは、先述した第2動作例(図6)のように、入力信号Sinが最大電圧に達するより前に出力電圧Voutが入力電圧Vinに達するとき、すなわちスイッチ素子1がフルオンとなるときに、オン状態とされる。これにより、ダイオードD2が無効となり、昇圧電源電圧VHSDからのダイオードD2の順電圧による低下を回避して、スイッチ素子1のオン抵抗をより抑制できる。
<5.その他>
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。これまでに説明してきた各種の実施形態及び変形例は、矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
【0041】
<6.付記>
以上の通り、本開示の一態様に係るスイッチ装置(2)は、
入力電圧(Vin)を印加可能な第1端と、出力電圧(Vout)を印加可能な第2端と、制御端と、を有するスイッチ素子(1)と、
DAコンバータ(28)と、
前記スイッチ素子を有して、前記出力電圧を制御するように構成される出力電圧制御部(26)と、
を備え、
前記出力電圧制御部は、前記DAコンバータの出力のランプ状の変化に応じて、前記出力電圧が徐々に上昇するように、前記制御端に印加する前記制御電圧(Vg)を生成する構成としている(第1の構成)。
【0042】
また、上記第1の構成において、クロックをカウントしてカウント値を前記DAコンバータ(26)へ出力するように構成されるカウンタ(29)をさらに備える構成としてもよい(第2の構成)。
【0043】
また、上記第2の構成において、前記クロックの周波数は可変である構成としてもよい(第3の構成)。
【0044】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記出力電圧制御部(26)は、前記出力電圧を分圧して得られる帰還電圧(FB)と、前記DAコンバータの出力に基づく入力信号(Sin)とが入力され、前記制御電圧(Vg)を出力するように構成されるエラーアンプ(AP)を有する構成としてもよい(第4の構成)。
【0045】
また、上記第4の構成において、前記入力信号(Sin)が最大電圧に達したときの前記出力電圧が前記入力電圧よりも低いこととしてもよい(第5の構成)。
【0046】
また、上記第4の構成において、前記出力電圧を昇圧して昇圧電源電圧(VHSD)を生成するように構成される昇圧回路(30)をさらに備え、
前記昇圧電源電圧は、前記エラーアンプにおける出力段に供給可能であり、
前記入力信号が最大電圧に達するよりも前に前記出力電圧が前記入力電圧に達すると、前記エラーアンプがアンプ動作からコンパレータ動作に切り替わることで前記スイッチ素子がフルオン状態とされることとしてもよい(第6の構成)。
【0047】
また、上記第6の構成において、前記入力電圧の印加端に接続されるアノードを有する第1ダイオード(D1)と、
前記昇圧電源電圧の印加端に接続されるアノードを有する第2ダイオード(D2)と、をさらに備え、
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードの各カソードは、前記出力段に共通接続される構成としてもよい(第7の構成)。
【0048】
また、上記第7の構成において、前記出力電圧が前記入力電圧に達するときに、前記第2ダイオードのアノードとカソードを短絡させるように構成される短絡スイッチ(SWA)をさらに備える構成としてもよい(第8の構成)。
【0049】
また、上記第4から第8のいずれかの構成において、前記DAコンバータの出力側に設けられて前記入力信号を生成するように構成されるローパスフィルタ(27)をさらに備える構成としてもよい(第9の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、例えば、サーバ装置、ハードディスク装置、充電器などに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 スイッチ素子
1A,1B ボディダイオード
2 スイッチ装置
10,20 スイッチ装置
21 スイッチ回路
22 ロジック部
23 過電流検知部
24 コンパレータ
25 バックゲート制御部
26 LDO
27 ローパスフィルタ
28 DAC
29 カウンタ
30 昇圧回路
101 スイッチ素子
101A ボディダイオード
102 内部回路
201 スイッチ素子
201A ボディダイオード
202 内部回路
AP エラーアンプ
Cout 出力コンデンサ
D1,D2 ダイオード
Ra,Rb 分圧抵抗
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 第3スイッチ
SWA 短絡スイッチ
Tin 入力端子
Tout 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7