(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133960
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20240926BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240926BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B27/01
H05K7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043998
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】水落 正彦
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
4E352
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA15
2H199DA18
2H199DA28
3D344AA12
3D344AB01
3D344AC25
4E352AA07
4E352BB02
4E352CC01
4E352CC07
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4E352DD05
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4E352DR07
4E352DR23
4E352DR27
4E352DR34
4E352DR40
4E352GG17
(57)【要約】
【課題】ケーブルが噛み込まれることを抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置は、照明光を発する光源と、照明光を受けて表示光を発する表示パネルと、表示パネルを制御する制御基板と、光源基板を介して光源と制御基板とを電気的に接続するケーブルC2と、光源と制御基板の間に位置し、表示パネルを収容する表示器ケース15と、を備える。表示器ケース15は、ケーブルC2に沿ってケーブルC2の途中に形成される非露出領域L3を覆うように収容するケーブル収容部13cを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発する光源と、
前記照明光を受けて表示光を発する表示器と、
前記表示器を制御する制御基板と、
前記光源と前記制御基板を電気的に接続するケーブルと、
前記光源と前記制御基板の間に位置し、前記表示器を収容するケースと、を備え、
前記ケースは、前記ケーブルに沿って前記ケーブルの途中に形成される非露出領域を覆うように前記ケーブルの前記非露出領域を収容するケーブル収容部を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ケースは、
前記ケーブル収容部を有し、前記表示器が収容されるホルダと、
前記ホルダに装着されることにより前記ケーブル収容部を閉じつつ前記表示器を前記ホルダとの間で保持するカバーと、を備える、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記ケースの外で、前記ケーブルの前記非露出領域とは別の位置を保持するケーブル保持部を備える、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ヘッドアップディスプレイ装置は、前記ヘッドアップディスプレイ装置の外側を覆う筐体を備え、
前記ケースは、ビスにより前記筐体に固定され、
前記ケーブル収容部は、前記ビスに対応して位置する前記ケーブルの前記非露出領域を覆う、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
前記ケーブルは、前記非露出領域の少なくとも一部にわたって形成される目印材を有する、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ケーブルは、複数の配線を含むフレキシブルケーブルであり、
前記目印材は、前記複数の配線を束ねる結束材である、
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
前記表示光の光路を区画するブラインドカバー又は前記ケースは、前記ケーブルの端部を仮固定できる仮固定部を備える、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項8】
前記ケーブルは、前記非露出領域の少なくとも一部にわたって形成される目印材を有し、
前記目印材は、前記ケーブルの伸長方向の非中央に設けられ、
前記仮固定部は、前記制御基板と前記ケースの間に位置しており、
前記ケーブル収容部と前記制御基板との間の前記ケーブルの長さは、前記ケーブル収容部と前記光源が実装される光源基板との間の前記ケーブルの長さよりも長く形成され、
前記仮固定部は、前記ケーブルが正しい向きで前記ケーブル収容部に組み付けられた場合には前記ケーブルの端部が届く位置に設けられ、前記ケーブルが反対の向きで前記ケーブル収容部に組み付けられた場合には前記ケーブルの端部が届かない位置に設けられている、
請求項7に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置では、光源用基板と回路基板との間が光源用コードにより電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成においては、光源用コードが表示ユニットの外側を通過しており、光源用コード(ケーブル)が、他の部品、例えば、表示ユニットを隠すカバー等に噛み込まれるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、ケーブルが噛み込まれることを抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、照明光を発する光源と、前記照明光を受けて表示光を発する表示器と、前記表示器を制御する制御基板と、前記光源と前記制御基板を電気的に接続するケーブルと、前記光源と前記制御基板の間に位置し、前記表示器を収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記ケーブルに沿って前記ケーブルの途中に形成される非露出領域を覆うように前記ケーブルの前記非露出領域を収容するケーブル収容部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ケーブルが噛み込まれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の部分的な斜視図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る表示部カバーと基板カバーが取り外された状態のヘッドアップディスプレイ装置の部分的な斜視図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る表示部、照明部、ケーブル、ブラインドカバー及び制御基板等の斜視図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る中間組立体の斜視図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る表示パネルホルダとケーブルの斜視図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係るケーブルが組み付けられた表示パネルホルダと表示パネルカバーとの分解斜視図である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る表示パネルホルダとケーブルの部分的な斜視図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る表示パネルホルダの部分的な斜視図である。
【
図11】本開示の第1実施形態に係るケーブル保持孔内にケーブルの結束材を挿入する手順を示す図である。
【
図12】本開示の第2実施形態に係るケーブル、各結束材及び表示パネルホルダの位置関係を示す概略図である。
【
図13】本開示の変形例に係るケーブル、各結束材及び表示パネルホルダの位置関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200の被投射部材の一例であるフロントガラス201に向けて像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはフロントガラス201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、虚像Vが視認者1により視認可能に表示される。
【0010】
ヘッドアップディスプレイ装置100は、
図2に示すように、照明部18と、表示部10と、凹面鏡30と、筐体60と、制御基板70と、
図4に示すケーブルC1,C2と、を備える。以下の説明では、車幅方向をX方向と規定し、車両高さ方向をY方向と規定し、車両前後方向をZ方向と規定する。
【0011】
表示部10は、照明部18からの照明光を受けて像を表す表示光Lを出射する。
照明部18は、複数の光源18dが実装される光源基板18aと、光源18dからの照明光を調整する複数のレンズ18bと、複数のレンズ18bを収容するレンズホルダ18cと、を備える。
図5に示すように、光源基板18aは、ケーブルC2のコネクタCbが接続される接続部18eを備える。接続部18eは、光源基板18aの車両高さ方向の下側(
図4の上側)に位置する。
表示部10の具体的な構成については後述する。
【0012】
図2に示すように、凹面鏡30は、表示部10からの表示光Lをフロントガラス201に向けて拡大させつつ反射させる。
【0013】
筐体60は、非透光性の樹脂又は金属で形成されるとともに、中空の略直方体をなす。筐体60内には、ヘッドアップディスプレイ装置100の各構成が収納されている。詳しくは、筐体60は、上ケース60aと、下ケース60bと、ブラインドカバー62と、表示部カバー60dと、基板カバー60eと、を備える。
【0014】
下ケース60bは、上方向に向けて開口する箱状をなす。下ケース60b内には凹面鏡30が収容される。下ケース60bの内側壁には、表示部10からの表示光Lが通過する貫通孔60hが形成されている。また、下ケース60bには、表示部10及び照明部18が収容される収容部60fが形成されている。収容部60fは、下側に向けて開口しており、貫通孔60hを介して下ケース60b内の凹面鏡30が収容される空間と繋がっている。
【0015】
上ケース60aは、下ケース60bの上側開口部を塞ぐ蓋として機能する。上ケース60aには、フロントガラス201に対向する位置に開口部61が形成されている。上ケース60aは、開口部61を塞ぐ湾曲板状の窓部50を備える。窓部50は、表示光Lが透過するアクリル等の透光性の樹脂からなる。
ブラインドカバー62は、下ケース60bの貫通孔60hと表示部10の間に設けられ、表示部10が出射する表示光Lを貫通孔60hへ導く筒状をなす。ブラインドカバー62の具体的な構成については後述する。
【0016】
図3と
図4に示すように、表示部カバー60dは、表示部10及び照明部18が収容された収容部60fを覆うように下ケース60bの外底面に装着される。
基板カバー60eは、下ケース60bの外底面に設置された制御基板70を覆うように下ケース60bの外底面に装着される。
【0017】
制御基板70は、CPU(Central Processing Unit)等の各種電子部品が実装されたプリント回路基板からなり、表示部10及び照明部18を制御する。
制御基板70は、ケーブルC1を介して表示部10の後述する中継基板16に電気的に接続されている。制御基板70は、ブラインドカバー62に対して表示部10とは反対側に配置され、ブラインドカバー62よりも車両高さ方向の下側(
図4の上側)に位置する。ケーブルC1は、フレキシブルフラットケーブルである。
【0018】
また、制御基板70は、ケーブルC2を介して光源基板18aに電気的に接続されている。
図5と
図8に示すように、ケーブルC2は、フレキシブルケーブルである。ケーブルC2は、複数の配線Wと、各配線Wの両端に位置するコネクタCa,Cbと、ケーブルC2の延びる方向の各位置に設けられる複数の配線Wを束ねる筒状の複数の結束材K1~K3と、を備える。各結束材K1~K3は、片面に接着性を有するテープ材が複数の配線Wの外周から巻き付けられることにより形成されている。結束材K1~K3は、テープ材に限らず、その他、筒状又は紐状の樹脂部材であってもよい。
コネクタCaは、制御基板70の接続部71に接続可能に構成されている。コネクタCbは、光源基板18aの接続部18eに接続可能に構成されている。コネクタCa,Cbの種類は同一である。なお、コネクタCa,Cbの種類は異なっていてもよい。
【0019】
図5と
図8に示すように、ケーブルC2は、制御基板70から後述する表示器ケース15までの第1露出領域L1と、表示器ケース15内を通過して外部から隠される非露出領域L3と、表示器ケース15から光源基板18aまでの第2露出領域L2と、を備える。ケーブルC2の第1露出領域L1の長さは、ケーブルC2の第2露出領域L2の長さよりも長く形成されている。
非露出領域L3には結束材K2が設けられ、第1露出領域L1には結束材K3が設けられ、第2露出領域L2には結束材K1が設けられている。結束材K2は、ケーブルC2の伸長方向の非中央、詳しくは、ケーブルC2の中央よりも結束材K1寄りに位置している。
【0020】
図2に示すように、表示部10は、表示パネル14と、中継基板16と、光学素子17と、ホットミラー19と、表示パネル14及び光学素子17を収容する表示器ケース15と、を備える。表示器ケース15は、表示パネルホルダ12と、表示パネルカバー11と、を備える。
【0021】
表示パネル14は、制御基板70により制御されるTFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネルである。表示パネル14は、照明部18からの照明光を受けて表示光Lを出射する。表示パネル14は、
図4に示すフレキシブルフラットケーブルC3を介して中継基板16に電気的に接続されている。中継基板16は、表示パネルホルダ12の下側外面に収容されている。
光学素子17は、表示パネル14からの表示光Lを調整するプリズム、拡散板等からなる。
【0022】
図6~
図8に示すように、表示パネルホルダ12は、略矩形筒状をなす。表示パネルホルダ12内には表示パネル14と光学素子17が収容されている。
表示パネルホルダ12は、ホルダ本体部12aと、ホルダ固定部12b,12cと、ケーブル通過部13と、を備える。
ホルダ本体部12aは、表示パネル14の外周部に接する枠板部121と、表示パネル14の側面に沿う側壁部122と、を備える。枠板部121は、表示パネル14からの表示光Lが通過する光通過孔12Lを有する。
ホルダ本体部12aは、表示パネルカバー11の後述する係止部11bが嵌まる複数、本例では2つの突部12dを備える。
【0023】
ホルダ固定部12b,12cは、ケーブルC2の第1露出領域L1を部分的に保持しつつ、表示パネルホルダ12を下ケース60bに固定するための部位である。ホルダ固定部12b,12cは、側壁部122の外面に立設し、ホルダ本体部12aのX方向の両側に配置され、ホルダ本体部12aのY方向の中央部に位置する。ホルダ固定部12b,12cは、Z方向に長い長方形板状をなす。
図7に示すように、ホルダ固定部12bは、ケーブル保持孔12hと、ケーブル通過路12jと、ビス通過孔12iと、位置決めピン12pと、を備える。
ビス通過孔12iは、ホルダ固定部12bの厚さ方向に貫通する円形の孔として形成されている。ビス通過孔12iには、ビスB1の軸部が通過し、ビスB1の軸部は、下ケース60bのねじ穴(図示略)に螺合されている。
位置決めピン12pは、下ケース60bの位置決め穴(図示略)に嵌まる。位置決めピン12pは、ビス通過孔12iの近傍に設けられている。位置決めピン12pは、ホルダ固定部12bのZ方向の両端部のうち、ケーブル保持孔12hが形成される端部とは反対側の端部に位置する。
【0024】
ケーブル保持孔12hは、ホルダ固定部12bの厚さ方向に貫通する円形の孔として形成されている。ケーブル保持孔12h内にはケーブルC2、正確には、複数の配線Wを束ねた結束材K3が圧入されている。
ケーブル通過路12jは、ホルダ固定部12bの縁部からケーブル保持孔12hにわたってケーブルC2が通過可能に形成されている。
図6に示すように、ケーブル通過路12jは、ホットミラー19の側面にX方向に対向する位置に形成されている。ケーブル通過路12jの幅(Z方向の長さ)は、ケーブル保持孔12hの直径よりも小さい。この幅は、1本の配線Wの直径よりも大きい長さに設定されている。ケーブル通過路12jはX方向に延び、ケーブル通過路12jの一端は、ケーブル保持孔12hに到達し、ケーブル通過路12jの他端は、ホルダ固定部12bのX方向の内側の縁部に到達している。ケーブル通過路12jの他端は、ケーブルC2が挿入可能となるように開口している。
【0025】
ホルダ固定部12cは、ホルダ固定部12bと同一の形状で構成されており、ビスにより下ケース60bに固定されている。ホルダ固定部12cは、ケーブル保持孔とケーブル通過路を有するものの、ホルダ固定部12bと異なり、ケーブルC2を保持していない。
なお、ヘッドアップディスプレイ装置の機種によっては、ホルダ固定部12cのケーブル保持孔にケーブルC2が保持されていてもよい。
【0026】
図8~
図10に示すように、ケーブル通過部13は、ホルダ本体部12a内で、ケーブルC2の一部を保持する。ケーブル通過部13は、ホルダ本体部12aの側壁部122内に位置し、Y方向に対して傾斜して延びる側壁部122に沿って形成されている。ケーブル通過部13は、ホルダ本体部12a内のX方向の両側に同一の形状で形成されているが、以下では、ケーブルC2が通過するケーブル通過部13についてのみ説明する。なお、ヘッドアップディスプレイ装置の機種によっては、反対側のケーブル通過部にケーブルC2を通過させることもできる。
【0027】
ケーブル通過部13は、ケーブル出入口13a,13bと、ケーブル保持部13d,13eを有するケーブル収容部13cと、を備える。
ケーブル収容部13cは、ケーブルC2の非露出領域L3を収納可能なY方向に傾斜した方向に延びる凹状の空間として形成されている。ケーブル収容部13cの開口側は、表示パネルカバー11により閉じられる。
ケーブル出入口13a,13bは、ケーブルC2が表示パネルホルダ12から出入りする部位である。ケーブル出入口13a,13bは、それぞれ凹状の溝を有し、ケーブルC2の非露出領域L3のY方向の両端部を保持する。ケーブル出入口13aは、車両高さ方向の上側(
図8の下側)のケーブル収容部13cの端部に位置する。ケーブル出入口13aは、Y方向に傾斜した方向に延びる側壁部122の下端部に形成されている。ケーブル出入口13bは、車両高さ方向の下側(
図8の上側)のケーブル収容部13cの端部に位置する。ケーブル出入口13bは、車両高さ方向の下側に向けて開口する。
【0028】
ケーブル保持部13d,13eは、ケーブルC2の非露出領域L3に形成される結束材K2の両端部を保持する。結束材K2は非露出領域L3の略中央領域に位置し、非露出領域L3の両端部(ケーブル出入口13a,13bに嵌まる両端部)には結束材K2が位置しておらず、配線Wの束が露出している。
ケーブル保持部13d,13eは、非露出領域L3の延出方向に直交する方向に延びる板状をなし、表示パネルカバー11の後述する本体枠部11aに向けて開口するU字状の溝部を有する。この溝部内には、ケーブルC2の結束材K2の両端部が圧入された状態でケーブルC2が保持されている。
【0029】
図6と
図8に示すように、表示パネルカバー11は、表示パネル14と光学素子17が収容される表示パネルホルダ12を照明部18側から覆うように表示パネルホルダ12に装着可能に形成されている。
表示パネルカバー11は、本体枠部11aと、複数の係止部11bと、を備える。本体枠部11aは、表示パネル14の外周部に対応する矩形枠板状をなす。本体枠部11aは、照明光が通過する光通過孔11Lを有する。複数の係止部11bは、それぞれ、ホルダ本体部12aの複数の突部12dに嵌まる。これにより、表示パネルカバー11が表示パネルホルダ12に装着される。
【0030】
図2と
図6に示すように、ブラインドカバー62は、表示パネルホルダ12の光出射側に装着されている。ブラインドカバー62と表示パネルホルダ12の間には、ホットミラー19が設けられている。ブラインドカバー62は、本体筒部62aと、コードクランプ62bと、ケース固定部62cと、を備える。本体筒部62aは、表示部10からの表示光Lを下ケース60bの貫通孔60hを介して下ケース60bの凹面鏡30が収容される空間へ導くように筒状に形成されている。2つのケース固定部62cは、下ケース60bによりビス止めされる部位であり、コードクランプ62bのX方向の両側に配置されている。
【0031】
コードクランプ62bは、表示部10、ホットミラー19及びブラインドカバー62からなる中間組立体10Aにおいて、ケーブルC2のコネクタCa近傍の配線端部Ccを一時的に保持可能に形成されている。コードクランプ62bは、制御基板70の接続部71側のブラインドカバー62の外面に設けられ、制御基板70の接続部71の近傍に設けられる。コードクランプ62bは、互いに向き合う一対の片部62b1,62b2を備える。一対の片部62b1,62b2の隙間は、一対の片部62b1,62b2の開口側で狭くなっており、ブラインドカバー62側で広くなっている。一対の片部62b1,62b2の間でケーブルC2の配線端部Ccが抜け止め状態となる。この抜け止め状態においても、配線WがY方向に1列となるようにケーブルC2の向きを変えることにより一対の片部62b1,62b2の隙間が狭まっている箇所を通過させて、配線端部Ccをコードクランプ62bから取り外すことができる。
【0032】
仮に、2つのコネクタCa,Cbの位置が反対となるようにケーブルC2が逆向きで表示パネルホルダ12に取り付けられた場合には、コネクタCbがコードクランプ62bに届かないようにコードクランプ62bの位置が設定されている。一方、ケーブルC2が正しい向きで表示パネルホルダ12に取り付けられた場合には、コネクタCaがコードクランプ62bに届くようにコードクランプ62bの位置が設定されている。
【0033】
次に、表示部10、ホットミラー19及びブラインドカバー62からなる中間組立体10Aの組み立て方法について説明する。以下で説明する組み立ての順序は適宜変更可能である。
作業者は、まず、表示パネルホルダ12のケーブル収容部13cにケーブルC2の非露出領域L3を収容し、ケーブル保持部13d,13eにてケーブルC2の非露出領域L3の結束材K2を保持させる。また、ケーブル保持孔12h内に、後述するように、ケーブルC2の結束材K3を挿入する。そして、表示パネルホルダ12内に表示パネル14と光学素子17を収容し、表示パネルカバー11を表示パネルホルダ12に装着する。また、ブラインドカバー62を、ホットミラー19を介して表示パネルホルダ12の光出射側の端部に装着する。そして、ケーブルC2の配線端部Ccをコードクランプ62bに仮保持させる。この仮保持が実現されることにより、ケーブルC2が逆向きに取り付けられていないことを確認することができる。また、この仮保持により、ケーブルC2が組み立て作業の邪魔となることが抑制される。
以上で、中間組立体10Aの組み立てが完了となる。その後、中間組立体10Aは、照明部18とともに下ケース60bの収容部60f内に収容され、ケーブルC2の配線端部Ccをコードクランプ62bから取り外してコネクタCaが制御基板70の接続部71に接続され、表示部カバー60dにより収容部60fが閉じられる。
中間組立体10Aでは、ケーブルC2の非露出領域L3が表示パネルホルダ12内に覆い隠される。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て時、例えば、表示部カバー60dの組み付け時にケーブルC2が噛み込まれることが抑制される。また、ケーブルC2がたるむことが抑制され、ケーブルC2のバタつきにより異音が発生することが抑制される。
また、ケーブルC2の非露出領域L3は、ビスB1に対応する位置に形成されているため、ビスB1がケーブルC2を噛み込むことが抑制される。
【0034】
次に、
図11を参照しつつ、ケーブル保持孔12h内にケーブルC2の結束材K3を挿入する方法について説明する。
図11の左欄の各図はホルダ固定部12bを厚さ方向から見た概略図であり、
図11の右欄の各図はホルダ固定部12bを側方から見た概略図である。
まず、
図11の上段に示すように、結束材K3の外の配線Wをケーブル通過路12jが延びる方向に1列に並べた状態でケーブル通過路12j内を通過させていく。このとき、結束材K3は、ホルダ固定部12bの上面側(ビスB1の頭部が位置する面を表面として裏面側)に位置する。そして、
図11の中段に示すように、全ての配線Wをケーブル保持孔12h内に位置させる。次に、
図11の下段に示すように、結束材K3がケーブル保持孔12h内となるようにケーブルC2を伸長方向に移動させる。これにより、結束材K3がケーブル保持孔12h内で保持された状態となる。
【0035】
(効果)
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ヘッドアップディスプレイ装置100は、照明光を発する光源18dと、照明光を受けて表示光Lを発する表示器の一例である表示パネル14と、表示パネル14を制御する制御基板70と、光源基板18aを介して光源18dと制御基板70とを電気的に接続するケーブルC2と、光源18dと制御基板70の間に位置し、表示パネル14を収容する表示器ケース15と、を備える。表示器ケース15は、ケーブルC2の途中にケーブルC2の伸長方向に延びるように形成される非露出領域L3を覆うように収容するケーブル収容部13cを備える。
この構成によれば、ケーブル収容部13cにより、ケーブルC2の非露出領域L3が覆われることにより、表示器ケース15の外をケーブルC2が通過することが抑制され、ケーブルC2の噛み込みを抑制することができる。
【0036】
(2)表示器ケース15は、ケーブル収容部13cを有し、表示パネル14が収容されるホルダの一例である表示パネルホルダ12と、表示パネルホルダ12に装着されることによりケーブル収容部13cを閉じつつ表示パネル14を表示パネルホルダ12との間で保持するカバーの一例である表示パネルカバー11と、を備える。
この構成によれば、表示パネルカバー11により、ケーブルC2の非露出領域L3を収容するケーブル収容部13cが閉じられる。このため、ケーブルC2の非露出領域L3を外部から覆い隠すことが可能となる。よって、より確実に、ケーブルC2の噛み込みを抑制することができる。
【0037】
(3)表示器ケース15は、表示器ケース15の外で、ケーブルC2の非露出領域L3とは別の位置の第1露出領域L1の一部を保持するケーブル保持部の一例であるケーブル保持孔12hを備える。
この構成によれば、ケーブルC2のバタつきを抑制することができる。
【0038】
(4)ヘッドアップディスプレイ装置100は、ヘッドアップディスプレイ装置100の外側を覆う筐体60を備える。表示器ケース15は、筐体60にビスB1により固定されている。ケーブル収容部13cは、ケーブルC2がビスB1の周辺を避けて通過するように、ビスB1に対応して位置するケーブルC2の非露出領域L3を覆う。
この構成によれば、ケーブルC2がビスB1に噛み込むことが抑制される。
【0039】
(5)ケーブルC2は、非露出領域L3の一部にわたって形成される目印材の一例である結束材K2を有する。
この構成によれば、結束材K2をケーブル収容部13cに収容することにより、ケーブルC2を正しくケーブル収容部13cに組み付けることができる。
【0040】
(6)ケーブルC2は、複数の配線Wを含むフレキシブルケーブルである。結束材K1~K3は、配線Wを束ねるテープ材である。
この構成によれば、配線Wを束ねる結束材K1~K3を目印として、ケーブルC2を正しくケーブル収容部13cに組み付けることができる。
【0041】
(7)表示光Lの光路を区画するブラインドカバー62は、ケーブルC2の配線端部Ccを仮固定できる仮固定部の一例であるコードクランプ62bを備える。ケーブルC2の配線端部Ccを仮固定とは、配線端部Ccを一時的に固定することであり、配線端部Ccが必要に応じて工具等を用いずに取り外し可能な状態を言う。
この構成によれば、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て時に、コードクランプ62bにケーブルC2を仮固定しておくことで、ケーブルC2が邪魔になることが抑制される。
【0042】
(8)ケーブルC2は、非露出領域L3の一部にわたって形成される結束材K2を有する。結束材K2は、ケーブルC2の伸長方向の非中央に設けられる。コードクランプ62bは、制御基板70と表示器ケース15の間に位置している。ケーブル収容部13cと制御基板70の間のケーブルC2の第1露出領域L1の長さは、ケーブル収容部13cと光源基板18aの間のケーブルC2の第2露出領域L2の長さよりも長く形成されている。コードクランプ62bは、ケーブルC2が正しい向きでケーブル収容部13cに組み付けられた場合にはケーブルC2の配線端部Ccが届く位置に設けられ、ケーブルC2が反対の向きでケーブル収容部13cに組み付けられた場合にはケーブルC2の配線端部Ccが届かない位置に設けられる。
この構成によれば、ケーブルC2をケーブル収容部13cに組み付けた後、ケーブルC2の配線端部Ccがコードクランプ62bに届くか否かにより、ケーブルC2の向きが正しいか否かを知ることができる。よって、ケーブルC2の組み付け方向の向きの間違えを防止することができる。
【0043】
(第2実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
図12に模式的に示すように、ケーブルC2は、3つの結束材K1~K3を備える。結束材K1と結束材K3は、互いに異なる色で着色された部材である。例えば、結束材K1は赤色で着色された部材である。結束材K2とK3は黒色で着色された部材である。結束材K1と結束材K3の色により、ケーブルC2を表示パネルホルダ12に組み付ける際に、ケーブルC2の向きを逆にしてしまうことが抑制される。
この点を除き、上記第1実施形態と同様である。
【0044】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0045】
(変形例)
上記各実施形態においては、コードクランプ62bは、ブラインドカバー62に設けられていたが、これに限らず、表示パネルホルダ12又は表示パネルカバー11に設けられていてもよい。また、コードクランプ62bの形状及び構造は適宜変更可能であり、例えば、磁力によりコードクランプ62bが仮固定されてもよい。
また、コードクランプ62bは省略されてもよい。
【0046】
上記各実施形態においては、ケーブルC2は、他の種類のケーブル、例えば、フレキシブルフラットケーブルであってもよい。
上記各実施形態において、非露出領域L3に対応する位置にビスB1が設けられていたが、非露出領域L3に対応する位置以外にビスB1が設けられていてもよい。
上記各実施形態においては、表示パネルカバー11により、ケーブルC2の非露出領域L3を収容するケーブル収容部13cが閉じられていたが、ケーブル収容部13cが閉じられていなくてもよい。この場合でも、非露出領域L3がケーブル収容部13cにより3方向から囲まれる。
【0047】
ケーブル保持孔12hとケーブル通過路12jは省略されてもよい。
ケーブルC2の結束材K1~K3の位置及び数は、適宜変更可能である。
例えば、
図13に示すように、ケーブルC2は、互いに色が異なる2つの結束材Ka,Kbを有していてもよい。これにより、ケーブルC2の向きを間違えることが抑制される。
結束材K1~K3,Ka,Kbは、配線Wを束ねる機能を有していたが、目印として機能していればよく、例えば、配線Wに直接着色されてもよい。
また、結束材K1~K3,Ka,Kbの形状を異ならせること、又は結束材K1~K3,Ka,Kbに記号等を付することにより目印として機能させてもよい。
結束材K1~K3の少なくとも一つは省略されてもよい。
ケーブルC2の第1露出領域L1の長さは、ケーブルC2の第2露出領域L2の長さと同じ長さ、又は第2露出領域L2の長さよりも短く形成されてもよい。
ケーブルC2は、複数の配線Wの全周囲を囲む筒状の被覆材で覆われていてもよい。
結束材K2は、非露出領域L3の全域にわたって形成されていてもよい。
【0048】
上記各実施形態において、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示部10からの表示光Lを凹面鏡30に向けて反射する折り返しミラーを備えていてもよい。折り返しミラーは、平面鏡又は凹面鏡である。
【0049】
また、ケーブルC2の表示器ケース15内に隠される第2露出領域L2の位置は適宜変更可能である。上記各実施形態においては、第2露出領域L2は、ケーブルC2における表示パネル14の側面に沿う範囲に形成されていたが、これに限らず、表示光Lや照明光の進行方向に沿う範囲に形成されていてもよい。例えば、ケーブルC2におけるケーブル保持孔12hからケーブル出入口13aまでの領域が表示器ケース15内に隠されてもよい。
【0050】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200以外の飛行機、船等の乗り物に搭載されていてもよい。また、被投射部材はフロントガラスに限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 視認者
10 表示部
10A 中間組立体
11 表示パネルカバー
11L,12L 光通過孔
11a 本体枠部
11b 係止部
12 表示パネルホルダ
12a ホルダ本体部
12b,12c ホルダ固定部
12d 突部
12h ケーブル保持孔
12i ビス通過孔
12j ケーブル通過路
12p 位置決めピン
13 ケーブル通過部
13a,13b ケーブル出入口
13c ケーブル収容部
13d,13e ケーブル保持部
14 表示パネル
15 表示器ケース
16 中継基板
17 光学素子
18 照明部
18a 光源基板
18b レンズ
18c レンズホルダ
18d 光源
18e,71 接続部
19 ホットミラー
30 凹面鏡
50 窓部
60 筐体
60a 上ケース
60b 下ケース
60d 表示部カバー
60e 基板カバー
60f 収容部
60h 貫通孔
61 開口部
62 ブラインドカバー
62a 本体筒部
62b コードクランプ
62c ケース固定部
62b1,62b2 片部
70 制御基板
100 ヘッドアップディスプレイ装置
121 枠板部
122 側壁部
200 車両
201 フロントガラス
B1 ビス
C1,C2 ケーブル
C3 フレキシブルフラットケーブル
L 表示光
K1~K3,Ka,Kb 結束材
L1 第1露出領域
L2 第2露出領域
L3 非露出領域
V 虚像
W 配線
Ca,Cb コネクタ
Cc 配線端部