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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133962
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】無線性能測定システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/00 20150101AFI20240926BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20240926BHJP
【FI】
H04B17/00
H04W24/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044000
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 仁也
(72)【発明者】
【氏名】山本 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森 俊樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA44
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定可能な技術を提供する。
【解決手段】無線性能測定システム100は、中央装置90と、車両に搭載された車上局91に含まれる無線機50である車上局無線機とを備える。車上局無線機である無線機50は、無線信号を出力する。無線機50は、無線信号の電力である送信電力を測定する。無線機50は、測定された送信電力である測定結果を、中央装置90に通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線性能測定システムであって、
中央装置と、
車両に搭載された車上局に含まれる無線機である車上局無線機とを備え、
前記車上局無線機は、ネットワークを介して、前記中央装置と通信する機能を有し、
前記車上局無線機は、無線信号を出力し、
前記車上局無線機は、前記無線信号の電力である送信電力を測定し、
前記車上局無線機は、測定された前記送信電力である測定結果を、前記中央装置に通知する、
無線性能測定システム。
【請求項2】
前記車上局無線機は、前記中央装置からの要求に応じて、前記無線信号を出力する、
請求項1に記載の無線性能測定システム。
【請求項3】
前記車上局無線機が運用されている期間において、前記車上局無線機は前記送信電力を測定する、
請求項1に記載の無線性能測定システム。
【請求項4】
前記中央装置は、前記車上局無線機から通知された前記測定結果に基づいて、前記車上局無線機の無線性能の劣化、または、前記車上局無線機の無線性能の劣化の予兆を検出する機能を有する、
請求項1に記載の無線性能測定システム。
【請求項5】
前記中央装置は、前記無線性能の劣化、または、前記無線性能の劣化の予兆の検出結果を外部へ出力する、
請求項4に記載の無線性能測定システム。
【請求項6】
無線性能測定システムであって、
中央装置と、
車両に搭載された車上局に含まれる無線機である車上局無線機と、
ネットワークを介して、前記中央装置と通信する機能を有する測定装置とを備え、
前記測定装置は、前記車上局無線機が出力した無線信号を受信し、
前記測定装置は、前記無線信号の周波数偏差を測定し、
前記測定装置は、測定された前記周波数偏差である測定結果を、前記中央装置に通知する、
無線性能測定システム。
【請求項7】
前記車上局無線機は、前記中央装置からの要求に応じて、前記無線信号を出力する、
請求項6に記載の無線性能測定システム。
【請求項8】
前記車上局無線機が運用されている期間において、前記測定装置は、前記無線信号の周波数偏差を測定する、
請求項6に記載の無線性能測定システム。
【請求項9】
前記中央装置は、前記測定装置から通知された前記測定結果に基づいて、前記車上局無線機の無線性能の劣化、または、前記車上局無線機の無線性能の劣化の予兆を検出する機能を有する、
請求項6に記載の無線性能測定システム。
【請求項10】
前記中央装置は、前記無線性能の劣化、または、前記無線性能の劣化の予兆の検出結果を外部へ出力する、
請求項9に記載の無線性能測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線機の無線性能の測定に関する無線性能測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業員等が基地局の設置場所に出向かなくても、統制局内で基地局の無線性能を把握するための構成(以下、「関連構成A」という)が開示されている。関連構成Aでは、例えば、基地局の無線性能を測定し、その測定結果を統制局に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-268021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、車両に搭載されている無線機については、現状、車両に作業員を派遣して、当該作業員が手動で当該無線機の無線性能の測定を実施している。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る無線性能測定システムは、中央装置と、車両に搭載された車上局に含まれる無線機である車上局無線機とを備え、前記車上局無線機は、ネットワークを介して、前記中央装置と通信する機能を有し、前記車上局無線機は、無線信号を出力し、前記車上局無線機は、前記無線信号の電力である送信電力を測定し、前記車上局無線機は、測定された前記送信電力である測定結果を、前記中央装置に通知する。
【0007】
本開示の別の態様に係る無線性能測定システムは、中央装置と、車両に搭載された車上局に含まれる無線機である車上局無線機と、ネットワークを介して、前記中央装置と通信する機能を有する測定装置とを備え、前記測定装置は、前記車上局無線機が出力した無線信号を受信し、前記測定装置は、前記無線信号の周波数偏差を測定し、前記測定装置は、測定された前記周波数偏差である測定結果を、前記中央装置に通知する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る無線性能測定システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る中央装置および車上局の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態2に係る無線性能測定システムの構成を示す図である。
図4】実施の形態2に係る中央装置、車上局および測定装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態3に係る無線性能測定システムの構成を示す図である。
図6】実施の形態3に係る中央装置および車上局の構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態4に係る無線性能測定システムの構成を示す図である。
図8】実施の形態4に係る中央装置、車上局および測定装置の構成を示すブロック図である。
図9】実施の形態5に係る無線性能測定システムの構成を示す図である。
図10】実施の形態5に係る中央装置の構成を示すブロック図である。
図11】無線性能測定システムのハードウェア構成の例を示す図である。
図12】無線性能測定システムのハードウェア構成の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。
【0011】
<実施の形態1>
(システムの構成)
図1は、実施の形態1に係る無線性能測定システム100の構成を示す図である。図1には、無線性能測定システム100に含まれない無線基地局93が示されている。
【0012】
無線性能測定システム100は、中央装置90と、複数の車上局91とを備える。図1には、一例として、3台の車上局91が示されている。なお、無線性能測定システム100に含まれる車上局91の数は、3に限定されず、1、2または4以上であってもよい。
【0013】
中央装置90は、通信を行う機能を有する。
【0014】
車上局91は、図示されない列車の車両に搭載された装置である。車上局91は、無線通信を行う機能を有する。車上局91は、例えば、無線基地局93に対し無線通信を行う。図示されない列車の車両に搭載されている車上局91は、無線機50を含む。すなわち、無線機50は、列車の車両に搭載されている。
【0015】
無線機50は、無線通信を行う機能を有する。以下においては、車上局91に含まれる無線機50を、「車上局無線機」ともいう。車上局無線機である無線機50は、無線性能測定システム100に含まれる。
【0016】
車上局無線機である無線機50は、ネットワークN1を介して、中央装置90と通信する機能を有する。すなわち、車上局無線機である無線機50は、ネットワークN1を介して、中央装置90と接続される。ネットワークN1は、例えば、保守用および監視用のネットワークである。また、無線機50は、無線信号を出力する機能を有する。
【0017】
本実施の形態では、車上局無線機である無線機50が、当該無線機50の無線性能の測定を実施し、測定結果を、中央装置90に通知する。
【0018】
以下においては、図1に示される3台の車上局91を、それぞれ、車上局91a,91b,91cともいう。無線性能測定システム100は、車上局91a,91b,91cを含む。
【0019】
(装置の構成)
図2は、実施の形態1に係る中央装置90および車上局91の構成を示すブロック図である。図2には、一例として、車上局91aとしての車上局91が示される。
【0020】
まず、中央装置90について説明する。中央装置90は、制御部C1と、記録部C2と、監視部3とを含む。記録部C2は、情報を格納する機能を有する。
【0021】
制御部C1は、様々な機能を有する。制御部C1は、例えば、測定対象の、車上局91の無線機50を指定し、その無線機50へ後述の測定要求信号RQを送信する機能を有する。また、制御部C1は、ネットワークN1経由で車上局91と通信を行う機能を有する。
【0022】
以下においては、車上局無線機である無線機50の無線性能の劣化を、「無線性能劣化」ともいう。また、以下においては、車上局無線機である無線機50の無線性能の劣化の予兆を、「無線性能劣化予兆」ともいう。
【0023】
詳細は後述するが、監視部3は、無線性能劣化、または、無線性能劣化予兆を検出する機能を有する。
【0024】
次に、車上局91aとしての車上局91について説明する。車上局91は、無線機50を含む。無線機50は、制御部V1と、記録部V2と、無線部12と、送信電力測定部13とを含む。記録部V2は、情報を格納する機能を有する。
【0025】
制御部V1は、様々な機能を有する。制御部V1は、例えば、無線部12に対し無線送信制御を行う機能を有する。また、制御部V1は、ネットワークN1経由で、中央装置90と通信を行う機能を有する。
【0026】
無線部12は、アンテナAt1と接続されている。無線部12は、制御部V1による無線送信制御に応じて、無線信号を出力する機能を有する。無線部12から出力される無線信号は、アンテナAt1を介して、無線機50の外部へ出力される。
【0027】
以下においては、無線信号の電力を、「送信電力」ともいう。送信電力は、出力される無線信号の電力である。
【0028】
送信電力測定部13は、無線部12から出力される無線信号の電力である送信電力を測定する機能を有する。
【0029】
以下においては、送信電力測定部13により、無線信号の送信電力が測定された時刻を、「測定時刻A」ともいう。また、以下においては、無線部12から出力される無線信号が、アンテナAt1を介して、無線機50の外部へ出力される時刻を、「送信時刻」ともいう。測定時刻Aは、送信時刻とほぼ一致する。すなわち、測定時刻Aは送信時刻に相当する。
【0030】
図1の車上局91b,91cの各々の構成は、図2の車上局91aの構成と同様である。そのため、車上局91b,91cの各々の構成の詳細な説明は省略する。車上局91b,91cの各々は、無線機50を含む。
【0031】
(動作)
次に、図1および図2を用いて、実施の形態1に係る無線性能測定システム100の動作について説明する。以下においては、無線性能測定システム100において行われる、無線機50の無線性能を測定するための処理を、「無線性能測定処理」ともいう。
【0032】
まず、車上局91aの無線機50に対する無線性能測定処理について説明する。中央装置90の制御部C1が、車上局91aの無線機50を指定して、無線性能測定処理が行われる。指定された無線機50は、測定対象の無線機である。
【0033】
無線性能測定処理では、中央装置90の制御部C1が、ネットワークN1を介して、測定要求信号RQを、車上局91aの無線機50へ送信する。測定要求信号RQは、無線機50の無線性能を測定することの要求である。
【0034】
これにより、車上局91aの無線機50の制御部V1は、測定要求信号RQを受信する。無線機50は、中央装置90からの要求に応じて、無線信号を出力する。具体的には、測定要求信号RQを受信した制御部V1は、無線部12に対し無線送信制御を行う。無線部12は、当該無線送信制御に応じて、無線信号を出力する。
【0035】
送信電力測定部13は、無線部12から出力される無線信号の電力である送信電力を測定する。送信電力測定部13による送信電力の測定は、制御部V1が測定要求信号RQを受信したことをトリガとして行われる。
【0036】
以下においては、送信電力測定部13により測定された送信電力を、「測定結果P」ともいう。測定結果Pは、送信電力である。測定結果Pの単位は、dBmである。以下においては、測定結果Pを示す情報を、「送信電力測定結果RS1」または「RS1」ともいう。
【0037】
送信電力測定部13は、測定結果Pを示す送信電力測定結果RS1を、記録部V2に格納する。
【0038】
その後、無線機50の制御部V1は、ネットワークN1を介して、測定結果Pを示す送信電力測定結果RS1を、中央装置90へ送信する。すなわち、車上局無線機である無線機50は、測定された送信電力である測定結果Pを、中央装置90に通知する。これにより、中央装置90の制御部C1は、送信電力測定結果RS1を受信する。
【0039】
以下においては、車上局91の無線機50を識別するための情報を、「固有情報」または「無線機固有情報」ともいう。固有情報は、例えば、固体番号である。車上局91a,91b,91cの各々に含まれる無線機50の固有情報は、異なる。例えば、車上局91aに含まれる無線機50の固有情報と、車上局91bに含まれる無線機50の固有情報とは異なる。
【0040】
送信電力測定結果RS1を受信した制御部C1は、結果格納処理を行う。結果格納処理では、制御部C1は、当該制御部C1が指定した、車上局91aの無線機50の固有情報を送信電力測定結果RS1に付加して、当該送信電力測定結果RS1を、記録部C2に格納する。ここで、送信電力測定結果RS1が示す測定結果Pは、車上局無線機である無線機50から中央装置90に通知された情報である。
【0041】
また、無線性能測定処理では、監視部3が性能監視処理を行う。監視部3は、車上局無線機である無線機50から通知された測定結果Pに基づいて、無線性能劣化、または、無線性能劣化予兆を検出する機能を有する。
【0042】
性能監視処理では、監視部3が、記録部C2に格納された送信電力測定結果RS1が示す測定結果Pを監視する。
【0043】
以下においては、測定結果Pを使用して無線性能劣化を検出するための閾値を、「閾値Tp1」または「Tp1」ともいう。閾値Tp1の単位は、dBmである。閾値Tp1は、例えば、「+24」である。閾値Tp1は、例えば、システムで規定されている閾値である。
【0044】
また、以下においては、測定結果Pを使用して無線性能劣化予兆を検出するための閾値を、「閾値Tp2」または「Tp2」ともいう。閾値Tp2の単位は、dBmである。閾値Tp2は、閾値Tp1より大きい。閾値Tp2は、例えば、「+27」である。
【0045】
性能監視処理では、測定結果Pが閾値Tp1未満であった場合、監視部3は、無線性能劣化があることを検出する。また、Tp1≦測定結果P<Tp2の関係式が成立する場合、監視部3は、無線性能劣化予兆があることを検出する。例えば、測定結果Pが「+26」である場合、監視部3は、無線性能劣化予兆があることを検出する。
【0046】
また、性能監視処理において、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された場合、外部出力処理が行われる。
【0047】
以下においては、無線性能劣化または無線性能劣化予兆の検出結果を、「劣化関連検出結果」ともいう。無線性能劣化が検出された状況における劣化関連検出結果は、無線性能劣化が検出されたという結果である。無線性能劣化予兆が検出された状況における劣化関連検出結果は、無線性能劣化予兆が検出されたという結果である。
【0048】
外部出力処理では、中央装置90が、劣化関連検出結果を外部へ出力する。例えば、劣化関連検出結果の外部への出力は、劣化関連検出結果を表現する画像または文字の表示により実現される。また、例えば、劣化関連検出結果の外部への出力は、劣化関連検出結果を表現する音声または通知音の出力により実現される。
【0049】
外部出力処理が行われることにより、中央装置90において、無線性能劣化または無線性能劣化予兆を確認することができる。
【0050】
なお、外部出力処理では、中央装置90が、劣化関連検出結果を外部装置へ送信してもよい。これにより、車両および中央装置以外の場所でも、無線性能劣化または無線性能劣化予兆を確認することができる。
【0051】
以上のように、無線性能測定処理は行われる。無線性能測定処理により、中央装置90が、車上局の無線機を指定して、遠隔操作により送信電力が測定される。また、中央装置90により測定結果が管理される。
【0052】
上記では、ある特定の車上局の無線機(例えば、車上局91aの無線機50)が指定されて、無線性能測定処理が行われるとしたが、複数台の車上局の無線機が、順次、指定されてもよい。例えば、図1のように、ネットワークN1に接続されている、車上局91bの無線機50、および、車上局91cの無線機50が、順次、中央装置90により指定されて、上記の無線性能測定処理と同様な処理が行われてもよい。これにより、複数台の無線機における送信電力の測定が可能である。
【0053】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、車上局無線機である無線機50は、無線信号を出力する。無線機50は、無線信号の電力である送信電力を測定する。無線機50は、測定された送信電力である測定結果を、中央装置90に通知する。
【0054】
これにより、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定できる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、無線機が測定した、無線機の無線性能に関する測定結果を中央装置に通知し、中央装置が、測定結果を処理および管理するシステムが構築される。これにより、遠隔無線性能測定が実現される。
【0056】
また、本実施の形態によれば、無線性能測定処理が行われることにより、列車の車両に搭載されている車上局91の無線機50における送信電力の測定を、遠隔操作で行うことができる。これにより、車両に作業員を派遣する必要がなくなった。すなわち、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定することができる。
【0057】
<実施の形態2>
実施の形態1では、送信電力の測定について説明した。本実施の形態では、周波数偏差の測定について説明する。周波数偏差は、無線機の性能を測定する上で主要な項目の一つである。
【0058】
(システムの構成)
図3は、実施の形態2に係る無線性能測定システム100Aの構成を示す図である。無線性能測定システム100Aは、無線性能測定システム100と比較して、測定装置92をさらに備える点が異なる。無線性能測定システム100Aのそれ以外の構成は、無線性能測定システム100と同様である。
【0059】
無線性能測定システム100Aは、中央装置90と、複数の車上局91と、測定装置92とを備える。図3には、一例として、3台の車上局91が示されている。なお、無線性能測定システム100Aに含まれる車上局91の数は、3に限定されず、1、2または4以上であってもよい。
【0060】
車上局91は、無線機50を含む。以下においては、図3に示される3台の車上局91を、それぞれ、車上局91a,91b,91cともいう。無線性能測定システム100Aは、車上局91a,91b,91cを含む。
【0061】
測定装置92は、地上に設置されている。測定装置92は、通信を行う機能を有する。測定装置92は、車上局91a,91b,91cの各々の無線機50と、無線通信を行う機能を有する。測定装置92のカバー範囲Rg1内には、車上局91a,91b,91cが存在する。カバー範囲Rg1とは、測定装置92が無線通信を行うことが可能な領域である。
【0062】
測定装置92は、ネットワークN1を介して、中央装置90と通信する機能を有する。
【0063】
(装置の構成)
図4は、実施の形態2に係る中央装置90、車上局91および測定装置92の構成を示すブロック図である。図4には、一例として、車上局91aとしての車上局91が示される。
【0064】
測定装置92は、制御部R1と、記録部R2と、無線測定解析部23と、無線性能測定器22とを含む。記録部R2は、情報を格納する機能を有する。
【0065】
制御部R1は、様々な機能を有する。制御部R1は、例えば、ネットワークN1を経由して、中央装置90と通信を行う機能を有する。制御部R1は、記録部R2に格納された情報を、ネットワークN1経由で中央装置90に送信する機能を有する。
【0066】
無線性能測定器22は、例えば、スペクトラムアナライザである。無線性能測定器22は、アンテナAt2と接続されている。アンテナAt2は、車上局91の無線機50から出力された無線信号を受信する機能を有する。無線性能測定器22は、アンテナAt2により受信された無線信号の周波数を測定する機能を有する。
【0067】
無線性能測定器22は、測定された周波数を、無線測定解析部23に通知する機能を有する。
【0068】
無線測定解析部23は、測定された周波数から、無線信号の周波数偏差を計算により測定する機能を有する。
【0069】
以下においては、無線測定解析部23により、無線信号の周波数偏差が測定された時刻を、「測定時刻B」ともいう。また、以下においては、無線信号がアンテナAt2により受信される時刻を、「受信時刻」ともいう。測定時刻Bは、受信時刻とほぼ一致する。すなわち、測定時刻Bは受信時刻に相当する。
【0070】
車上局91の無線機50から無線信号が出力される時刻は、前述の送信時刻である。無線機50から出力される無線信号がアンテナAt2により受信される状況において、当該無線機50から無線信号が出力される送信時刻は、当該無線信号がアンテナAt2により受信される受信時刻とほぼ一致する。そのため、同一の無線信号については、送信時刻に相当する前述の測定時刻Aは、受信時刻に相当する測定時刻Bとほぼ一致する。ただし、測定時刻Aに対応する無線信号が、測定時刻Bに対応する無線信号と異なる場合、測定時刻Aは、測定時刻Bとほぼ一致しない。
【0071】
以下においては、無線測定解析部23により測定された周波数偏差を、「測定結果F」ともいう。測定結果Fは、周波数偏差である。測定結果Fの単位は、ppmである。以下においては、測定結果Fを示す情報を、「周波数偏差測定結果RS2」または「RS2」ともいう。
【0072】
無線測定解析部23は、受信時刻に相当する測定時刻Bを、測定時刻として周波数偏差測定結果RS2に付加する機能を有する。
【0073】
(動作)
次に、図3および図4を用いて、実施の形態2に係る無線性能測定システム100Aの動作について説明する。以下においては、無線性能測定システム100Aにおいて行われる、無線機50の無線性能を測定するための処理を、「無線性能測定処理A」ともいう。
【0074】
まず、車上局91aの無線機50に対する無線性能測定処理Aについて説明する。中央装置90の制御部C1が、車上局91aの無線機50を指定して、無線性能測定処理Aが行われる。
【0075】
無線性能測定処理Aでは、中央装置90の制御部C1が、ネットワークN1を介して、測定要求信号RQを、車上局91aの無線機50へ送信する。
【0076】
これにより、車上局91aの無線機50の制御部V1は、測定要求信号RQを受信する。無線機50は、中央装置90からの要求に応じて、無線信号を出力する。具体的には、測定要求信号RQを受信した制御部V1は、無線部12に対し無線送信制御を行う。無線部12は、当該無線送信制御に応じて、無線信号を出力する。無線部12から出力される無線信号は、アンテナAt1を介して、車上局91aの無線機50の外部へ出力される。すなわち、無線機50は、無線信号を、当該無線機50の外部へ出力する。
【0077】
車上局91aの無線機50から出力される無線信号は、測定装置92のアンテナAt2により受信される。すなわち、測定装置92は、車上局無線機である無線機50が出力した無線信号を受信する。
【0078】
無線性能測定器22は、アンテナAt2により受信された無線信号の周波数を測定する。無線性能測定器22は、測定された周波数を、無線測定解析部23に通知する。
【0079】
無線測定解析部23は、測定された周波数から、無線信号の周波数偏差を計算により測定する。すなわち、無線測定解析部23は、無線信号の周波数偏差を測定する。無線測定解析部23は、周波数偏差である測定結果Fを示す周波数偏差測定結果RS2を、記録部R2に格納する。
【0080】
その後、測定装置92の制御部R1は、記録部R2に格納された周波数偏差測定結果RS2を、ネットワークN1を介して、中央装置90へ送信する。周波数偏差測定結果RS2は、周波数偏差である測定結果Fを示す。すなわち、測定装置92は、測定された周波数偏差である測定結果Fを、中央装置90に通知する。これにより、中央装置90の制御部C1は、測定結果Fを示す周波数偏差測定結果RS2を受信する。
【0081】
周波数偏差測定結果RS2を受信した制御部C1は、結果格納処理Aを行う。結果格納処理Aでは、制御部C1は、当該制御部C1が指定した、車上局91aの無線機50の固有情報を周波数偏差測定結果RS2に付加して、当該周波数偏差測定結果RS2を記録部C2に格納する。周波数偏差測定結果RS2が示す測定結果Fは、測定装置92から中央装置90に通知された情報である。
【0082】
また、無線性能測定処理Aでは、監視部3が性能監視処理Aを行う。監視部3は、測定装置92から通知された測定結果Fに基づいて、無線性能劣化、または、無線性能劣化予兆を検出する機能を有する。
【0083】
性能監視処理Aでは、監視部3が、記録部C2に格納された周波数偏差測定結果RS2が示す測定結果Fを監視する。
【0084】
以下においては、測定結果Fを使用して無線性能劣化を検出するための閾値を、「閾値Tf1」または「Tf1」ともいう。閾値Tf1の単位は、ppmである。閾値Tf1は、例えば、「±10」である。閾値Tf1は、例えば、システムで規定されている閾値である。
【0085】
また、以下においては、測定結果Fを使用して無線性能劣化予兆を検出するための閾値を、「閾値Tf2」または「Tf2」ともいう。閾値Tf2の単位は、ppmである。閾値Tf2の絶対値は、閾値Tf1の絶対値より小さい。閾値Tf2は、例えば、「±3」である。
【0086】
性能監視処理Aでは、測定結果Fの絶対値が閾値Tf1の絶対値より大きい場合、監視部3は、無線性能劣化があることを検出する。また、「Tf2の絶対値<測定結果Fの絶対値≦Tf1の絶対値」の関係式が成立する場合、監視部3は、無線性能劣化予兆があることを検出する。例えば、測定結果Fが「+4」である場合、監視部3は、無線性能劣化予兆があることを検出する。
【0087】
また、性能監視処理Aにおいて、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された場合、前述の外部出力処理が行われる。外部出力処理では、中央装置90が、劣化関連検出結果を外部へ出力する。外部出力処理は、実施の形態1と同様な処理であるので説明は省略する。
【0088】
以上のように、無線性能測定処理Aは行われる。無線性能測定処理Aにより、中央装置90が、車上局の無線機を指定して、遠隔操作により無線信号の周波数偏差が測定される。また、測定結果が中央装置90に蓄積され、中央装置90により測定結果が管理される。
【0089】
また、図3のように、ネットワークN1に接続されている、車上局91bの無線機50、および、車上局91cの無線機50が、順次、中央装置90により指定されて、上記の無線性能測定処理Aと同様な処理が行われてもよい。これにより、複数台の無線機における周波数偏差の測定が可能である。
【0090】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、測定装置92は、車上局無線機である無線機50が出力した無線信号を受信する。測定装置92は、無線信号の周波数偏差を測定する。測定装置92は、測定された周波数偏差である測定結果を、中央装置90に通知する。
【0091】
これにより、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定できる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、測定装置が測定した、無線機の無線性能に関する測定結果を中央装置に通知し、中央装置が、測定結果を処理および管理するシステムが構築される。これにより、遠隔無線性能測定が実現される。
【0093】
また、本実施の形態によれば、無線性能測定処理Aが行われることにより、列車の車両に搭載されている車上局91の無線機50における周波数偏差の測定を、遠隔操作で行うことができる。これにより、車両に作業員を派遣する必要がなくなった。すなわち、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定することができる。
【0094】
<実施の形態3>
実施の形態1では、中央装置90が各車上局の無線機に測定要求信号RQを送信し、無線機50が送信電力の測定を実施し、無線機50が測定結果を中央装置90に通知していた。
【0095】
本実施の形態では、各車上局の無線機が運用されている期間に、自動で送信電力の測定を実施し、測定結果を中央装置90に通知する。
【0096】
(システムの構成)
図5は、実施の形態3に係る無線性能測定システム100Bの構成を示す図である。無線性能測定システム100Bの構成は、図1の無線性能測定システム100の構成と同じである。そのため、無線性能測定システム100Bは、車上局91a,91b,91cを含む。図5には、任意の車上局が示される。図5には、任意の車上局の一例として、車上局91aが示される。
【0097】
車上局91aの無線機50は、ネットワークN1を介して、中央装置90と通信する。車上局91aの無線機50が運用されているときに、当該無線機50の無線性能の測定が実施される。
【0098】
(装置の構成)
図6は、実施の形態3に係る中央装置90および車上局91の構成を示すブロック図である。図6には、一例として、車上局91aとしての車上局91が示される。
【0099】
実施の形態3に係る中央装置90および車上局91の構成は、実施の形態1に係る中央装置90および車上局91の構成と同じである。
【0100】
(動作)
次に、図6を用いて、実施の形態3に係る無線性能測定システム100Bの動作について説明する。以下においては、無線性能測定システム100Bにおいて行われる、無線機50の無線性能を測定するための処理を、「無線性能測定処理B」ともいう。
【0101】
ここでは、車上局91aの無線機50を運用したときにおける、無線性能測定処理Bについて説明する。以下においては、車上局無線機である無線機50が運用されている期間を、「運用期間」ともいう。運用期間は、無線機50が無線通信を行っている期間である。
【0102】
無線性能測定処理Bでは、車上局91aにおいて、無線機50の運用が開始されると、無線部12は、無線信号を出力する。
【0103】
また、送信電力測定部13は、運用期間において、無線部12から出力される無線信号の電力である送信電力を測定する。送信電力測定部13は、送信電力である測定結果Pを示す送信電力測定結果RS1を、記録部V2に格納する。
【0104】
その後、無線機50の制御部V1は、前述の測定時刻Aとしての測定時刻、および、無線機50の固有情報を、送信電力測定結果RS1に付加する。固有情報は、例えば、固体番号である。これにより、送信電力測定結果RS1は、測定結果P、測定時刻および固有情報を示す。
【0105】
無線機50の制御部V1は、ネットワークN1を介して、測定結果P、測定時刻および固有情報を示す送信電力測定結果RS1を、中央装置90へ送信する。これにより、中央装置90の制御部C1は、送信電力測定結果RS1を受信する。
【0106】
送信電力測定結果RS1を受信した制御部C1は、測定結果P、測定時刻および固有情報を示す送信電力測定結果RS1を、記録部C2に格納する。
【0107】
また、無線性能測定処理Bでは、監視部3が性能監視処理を行う。性能監視処理は、実施の形態1と同様に行われる。性能監視処理は、実施の形態1と同様な処理であるので説明は省略する。
【0108】
また、性能監視処理において、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された場合、前述の外部出力処理が行われる。外部出力処理は、実施の形態1と同様な処理であるので説明は省略する。
【0109】
以上のように、無線性能測定処理Bは行われる。無線性能測定処理Bは、車上局91bの無線機50、および、車上局91cの無線機50に対しても同様に行われる。
【0110】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線機50が運用されている運用期間において、無線機50が送信電力の測定を行う。そのため、無線性能劣化または無線性能劣化予兆を早い段階で検出することができる。
【0111】
また、無線性能測定処理Bが行われることにより、運用期間において、列車の車両に搭載されている車上局91の無線機50における送信電力の測定を行う。これにより、車両に作業員を派遣する必要がなくなった。すなわち、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定することができる。
【0112】
なお、本実施の形態では、車上局91aの無線機50が無線信号を出力する毎に、中央装置90に、データとしての送信電力測定結果RS1を送信する。しかしながら、これに限定されない。例えば、無線機50が記録部V2にデータを蓄積し、中央装置90の制御部C1からのデータ要求信号を無線機50が受けた場合、当該無線機50がデータとしての送信電力測定結果RS1を送信するようにしてもよい。
【0113】
<実施の形態4>
実施の形態2では、中央装置90が各車上局の無線機に要求信号を送信し、無線機から無線信号を出力させて、その無線信号を測定装置で受信し、解析することで周波数偏差を測定していた。
【0114】
本実施の形態では、各車上局の無線機の運用中に、測定装置が周波数偏差を自動で測定し、その測定結果を中央装置に通知する。
【0115】
(システムの構成)
図7は、実施の形態4に係る無線性能測定システム100Cの構成を示す図である。無線性能測定システム100Cの構成は、図3の無線性能測定システム100Aの構成と同じである。そのため、無線性能測定システム100Cは、車上局91a,91b,91cを含む。図7には、任意の車上局が示される。図7には、任意の車上局の一例として、車上局91aが示される。
【0116】
車上局91aの無線機50は、ネットワークN1を介して、中央装置90と通信する。車上局91aの無線機50が運用されているときに、測定装置92は、当該無線機50の無線性能の測定を実施する。
【0117】
(装置の構成)
図8は、実施の形態4に係る中央装置90、車上局91および測定装置92の構成を示すブロック図である。図8には、一例として、車上局91aとしての車上局91が示される。
【0118】
実施の形態4に係る中央装置90、車上局91および測定装置92の構成は、実施の形態2に係る中央装置90、車上局91および測定装置92の構成と同じである。
【0119】
(動作)
次に、図8を用いて、実施の形態4に係る無線性能測定システム100Cの動作について説明する。以下においては、無線性能測定システム100Cにおいて行われる、無線機50の無線性能を測定するための処理を、「無線性能測定処理C」ともいう。
【0120】
ここでは、車上局91aの無線機50を運用したときにおける、無線性能測定処理Cについて説明する。
【0121】
無線性能測定処理Cでは、車上局91aにおいて、無線機50の運用が開始されると、無線部12は、無線信号を出力する。無線部12から出力される無線信号は、アンテナAt1を介して、車上局91aの無線機50の外部へ出力される。
【0122】
車上局91aの無線機50から出力される無線信号は、測定装置92のアンテナAt2により受信される。運用期間において、無線性能測定器22は、アンテナAt2により受信された無線信号の周波数を測定する。無線性能測定器22は、測定された周波数を、無線測定解析部23に通知する。
【0123】
また、運用期間において、無線測定解析部23は、測定された周波数から、無線信号の周波数偏差を計算により測定する。すなわち、運用期間において、無線測定解析部23は、無線信号の周波数偏差を測定する。無線測定解析部23は、前述の測定時刻Bとしての測定時刻と、周波数偏差である測定結果Fとを示す周波数偏差測定結果RS2を、記録部R2に格納する。
【0124】
測定装置92の制御部R1は、測定時刻および測定結果Fを示す周波数偏差測定結果RS2を、ネットワークN1を介して、中央装置90へ送信する。当該送信のタイミングは、例えば、周波数偏差測定結果RS2が記録部R2に格納されたときである。なお、当該送信のタイミングは、例えば、周波数偏差測定結果RS2が記録部R2に格納された後であってもよい。
【0125】
中央装置90の制御部C1は、測定時刻および測定結果Fを示す周波数偏差測定結果RS2を受信する。制御部C1は、周波数偏差測定結果RS2を記録部C2に格納する。
【0126】
また、無線性能測定処理Cでは、監視部3が性能監視処理Aを行う。性能監視処理Aは、実施の形態2と同様に行われる。性能監視処理Aは、実施の形態2と同様な処理であるので説明は省略する。
【0127】
また、性能監視処理Aにおいて、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された場合、前述の外部出力処理が行われる。外部出力処理は、実施の形態1と同様な処理であるので説明は省略する。
【0128】
以上のように、無線性能測定処理Cは行われる。無線性能測定処理Cは、車上局91bの無線機50、および、車上局91cの無線機50に対しても同様に行われる。
【0129】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線機50が運用されている運用期間において、測定装置92が周波数偏差を測定する。そのため、無線性能劣化または無線性能劣化予兆を早い段階で検出することができる。
【0130】
また、無線性能測定処理Cが行われることにより、運用期間において、列車の車両に搭載されている車上局91の無線機50の無線性能(すなわち、周波数偏差)が測定される。これにより、車両に作業員を派遣する必要がなくなった。すなわち、車両に作業員を派遣することなく、車両に搭載されている無線機の無線性能を測定することができる。
【0131】
なお、本実施の形態では、測定装置92が無線信号を受信する毎に、中央装置90に、データとしての周波数偏差測定結果RS2を送信する。しかしながら、これに限定されない。例えば、測定装置92が記録部R2にデータを蓄積し、中央装置90からのデータ要求信号を測定装置92が受けた場合、当該測定装置92がデータとしての周波数偏差測定結果RS2を送信するようにしてもよい。
【0132】
<実施の形態5>
実施の形態4では、無線機の運用中に、周波数偏差を測定する処理について述べた。実施の形態4では、測定装置92が受信した無線信号が、どの車上局の無線機から到来したかを特定することが難しい。
【0133】
本実施の形態では、実施の形態3と実施の形態4とを組み合わせて、受信された無線信号が、どの車上局の無線機からの無線信号であるかを特定するための方法について示す。具体的には、運用中の無線機が使用されている時に得られた測定結果が、どの無線機から得られた結果であるかを特定するための方法について示す。
【0134】
(システムの構成)
図9は、実施の形態5に係る無線性能測定システム100Dの構成を示す図である。図9の無線性能測定システム100Dの構成は、図3の無線性能測定システム100Aの構成と同じである。そのため、無線性能測定システム100Dは、車上局91a,91b,91cを含む。図9には、任意の車上局が示される。図9には、任意の車上局の一例として、車上局91aが示される。
【0135】
(装置の構成)
実施の形態5に係る中央装置90、車上局91および測定装置92の構成は、図8に示される中央装置90、車上局91および測定装置92の構成である。
【0136】
図10は、実施の形態5に係る中央装置90の構成を示すブロック図である。
【0137】
以下においては、車上局91aの無線機50を使用して得られる送信電力測定結果RS1を、「送信電力測定結果RS1a」または「RS1a」ともいう。また、以下においては、車上局91aの無線機50を使用して得られる周波数偏差測定結果RS2を、「周波数偏差測定結果RS2a」または「RS2a」ともいう。また、以下においては、送信電力測定結果RS1aおよび周波数偏差測定結果RS2aから得られる情報を、「総合情報RS3a」ともいう。
【0138】
また、以下においては、車上局91cの無線機50を使用して得られる送信電力測定結果RS1を、「送信電力測定結果RS1c」または「RS1c」ともいう。また、以下においては、車上局91cの無線機50を使用して得られる周波数偏差測定結果RS2を、「周波数偏差測定結果RS2c」または「RS2c」ともいう。また、以下においては、送信電力測定結果RS1cおよび周波数偏差測定結果RS2cから得られる情報を、「総合情報RS3c」ともいう。
【0139】
図10において、記録部C2には、一例として、送信電力測定結果RS1a、周波数偏差測定結果RS2aおよび総合情報RS3aが示される。また、記録部C2には、一例として、送信電力測定結果RS1c、周波数偏差測定結果RS2cおよび総合情報RS3cが示される。
【0140】
詳細は後述するが、制御部C1は、後述の紐づけ処理を行う。詳細は後述するが、監視部3は、総合情報を監視する。
【0141】
(動作)
次に、図8図9および図10を用いて、実施の形態5に係る無線性能測定システム100Dの動作について説明する。以下においては、無線性能測定システム100Dにおいて行われる、無線機50の無線性能を測定するための処理を、「無線性能測定処理D」ともいう。
【0142】
無線性能測定処理Dでは、車上局91aの無線機50を使用して、実施の形態3の無線性能測定処理Bが行われる。これにより、中央装置90に送信電力測定結果RS1aが送信され、記録部C2に送信電力測定結果RS1aが格納される。当該送信電力測定結果RS1aは、測定時刻、固有情報および測定結果Pを示す。前述したように、固有情報は、無線機50を識別するための情報である。固有情報は、例えば、固体番号である。
【0143】
また、車上局91bの無線機50を使用して、無線性能測定処理Bが行われる。また、車上局91cの無線機50を使用して、無線性能測定処理Bが行われる。これにより、例えば、中央装置90に送信電力測定結果RS1cが送信され、記録部C2に送信電力測定結果RS1cが格納される。
【0144】
また、無線性能測定処理Dでは、車上局91aの無線機50を使用して、実施の形態4の無線性能測定処理Cが行われる。これにより、中央装置90に周波数偏差測定結果RS2aが送信され、記録部C2に周波数偏差測定結果RS2aが格納される。当該周波数偏差測定結果RS2aは、測定時刻および測定結果Fを示す。
【0145】
また、車上局91bの無線機50を使用して、無線性能測定処理Cが行われる。また、車上局91cの無線機50を使用して、無線性能測定処理Cが行われる。これにより、例えば、中央装置90に周波数偏差測定結果RS2cが送信され、記録部C2に周波数偏差測定結果RS2cが格納される。
【0146】
次に、制御部C1は、紐づけ処理を行う。紐づけ処理では、制御部C1が、記録部C2に格納されている複数の送信電力測定結果が示す測定時刻と、記録部C2に格納されている複数の周波数偏差測定結果が示す測定時刻とを参照する。
【0147】
そして、制御部C1は、ほぼ同一の測定時刻を示す送信電力測定結果および周波数偏差測定結果を紐づけることにより総合情報を生成し、当該総合情報を記録部C2に格納する。ほぼ同一の測定時刻を示す送信電力測定結果および周波数偏差測定結果は、同一の無線機50に対応する情報である。
【0148】
例えば、図10のように、制御部C1は、ほぼ同一の測定時刻を示す送信電力測定結果RS1aおよび周波数偏差測定結果RS2aを紐づけることにより総合情報RS3aを生成し、当該総合情報RS3aを記録部C2に格納する。総合情報RS3aは、測定時刻、固有情報、測定結果Pおよび測定結果Fを示す。総合情報RS3aでは、固有情報に、測定結果Pおよび測定結果Fが対応づけられる。
【0149】
また、例えば、制御部C1は、ほぼ同一の測定時刻を示す送信電力測定結果RS1cおよび周波数偏差測定結果RS2cを紐づけることにより総合情報RS3cを生成し、当該総合情報RS3cを記録部C2に格納する。総合情報RS3cは、測定時刻、固有情報、測定結果Pおよび測定結果Fを示す。
【0150】
また、無線性能測定処理Dでは、監視部3が性能監視処理および性能監視処理Aを行う。本実施の形態の性能監視処理は、総合情報が示す測定結果Pに基づいて行われる。本実施の形態の性能監視処理は、実施の形態1と同様な処理であるので説明は省略する。
【0151】
本実施の形態の性能監視処理Aは、総合情報が示す測定結果Fに基づいて行われる。本実施の形態の性能監視処理Aは、実施の形態2と同様な処理であるので説明は省略する。
【0152】
性能監視処理または性能監視処理Aにより、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された場合、監視部3は、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された無線機50を、総合情報が示す固有情報により、特定することができる。
【0153】
また、性能監視処理または性能監視処理Aにより、無線性能劣化または無線性能劣化予兆が検出された場合、外部出力処理が行われる。外部出力処理は、実施の形態1と同様な処理であるので説明は省略する。
【0154】
以上のように、無線性能測定処理Dは行われる。
【0155】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態によれば、送信電力測定結果および周波数偏差測定結果が紐づけられることにより、各無線機の固有情報に、測定結果Pおよび測定結果Fが対応づけられる(図10参照)。これにより、運用中の無線機が使用されている時に得られた測定結果Pおよび測定結果Fが、どの無線機から得られた結果であるかを特定できる。
【0156】
(無線装置のハードウェア構成例)
以下においては、本技術に係る無線性能測定システムを、「無線性能測定システムHs1」ともいう。無線性能測定システムHs1は、無線性能測定システム100,100A,100B,100C,100Dのいずれかである。また、以下においては、無線性能測定システムHs1が有する、本技術に関わる主要な機能を、「主要機能」ともいう。無線性能測定システムHs1は、主要機能を有する。
【0157】
図11および図12の各々は、無線性能測定システムHs1のハードウェア構成の例を示す図である。無線性能測定システムHs1が有する主要機能は、例えば、図11に示す、1つの処理回路70により実現される。
【0158】
処理回路70は、無線信号の電力である送信電力を測定する。
【0159】
また、処理回路70は、測定された送信電力である測定結果を、中央装置に通知する。
【0160】
また、処理回路70は、無線信号の周波数偏差を測定する。
【0161】
また、処理回路70は、測定された周波数偏差である測定結果を、中央装置に通知する。
【0162】
処理回路70は、専用のハードウェアであってよい。また、処理回路70は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサを用いて構成されていてもよい。当該プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。
【0163】
以下においては、処理回路70が専用のハードウェアである状況を、「状況St1」ともいう。また、以下においては、処理回路70が、プロセッサを用いて構成される状況を、「状況St2」ともいう。
【0164】
状況St1では、処理回路70は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0165】
図12は、処理回路70が、プロセッサを用いて構成される状況St2における、無線性能測定システムHs1のハードウェア構成の例を示す図である。図12の構成は、図11の処理回路70を、プロセッサ71およびメモリ72で実現した構成である。
【0166】
状況St2では、無線性能測定システムHs1が有する主要機能は、ソフトウェアAにより実現される。ソフトウェアAは、ソフトウェアまたはファームウェアである。また、ソフトウェアAは、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで構成されてもよい。ソフトウェアAはプログラムとして記述され、メモリ72に格納される。
【0167】
また、状況St2では、プロセッサ71が、メモリ72に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムを実行することにより、無線性能測定システムHs1が有する主要機能は実現される。すなわち、メモリ72は、以下のプログラムを格納する。
【0168】
当該プログラムは、無線信号の電力である送信電力を測定する処理を、プロセッサ71に実行させるためのプログラムである。
【0169】
また、当該プログラムは、測定された送信電力である測定結果を、中央装置に通知する処理を、プロセッサ71に実行させるためのプログラムでもある。
【0170】
また、当該プログラムは、無線信号の周波数偏差を測定する処理を、プロセッサ71に実行させるためのプログラムでもある。
【0171】
また、当該プログラムは、測定された周波数偏差である測定結果を、中央装置に通知する処理を、プロセッサ71に実行させるためのプログラムでもある。
【0172】
また、当該プログラムは、無線性能測定システムHs1が有する主要機能が行う処理、当該処理を実行する方法等をコンピュータに実行させるものでもある。
【0173】
ここで、メモリ72は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。また、メモリ72は、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。また、メモリ72は、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0174】
以上のように、無線性能測定システムHs1は、ハードウェアまたはソフトウェアAによって、上述の各機能を実現することができる。
【0175】
また、本技術は、無線性能測定システムHs1が備える特徴的な構成部の動作をステップとする無線性能測定方法として実現してもよい。また、本技術は、そのような無線性能測定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。
【0176】
また、本技術は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。本技術に係る無線性能測定方法は、例えば、無線性能測定処理、および、無線性能測定処理A,B,C,Dのいずれかに相当する。
【0177】
(その他の変形例)
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0178】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0179】
(付記1)
無線性能測定システムであって、
中央装置と、
車両に搭載された車上局に含まれる無線機である車上局無線機とを備え、
前記車上局無線機は、ネットワークを介して、前記中央装置と通信する機能を有し、
前記車上局無線機は、無線信号を出力し、
前記車上局無線機は、前記無線信号の電力である送信電力を測定し、
前記車上局無線機は、測定された前記送信電力である測定結果を、前記中央装置に通知する、
無線性能測定システム。
【0180】
(付記2)
前記車上局無線機は、前記中央装置からの要求に応じて、前記無線信号を出力する、
付記1に記載の無線性能測定システム。
【0181】
(付記3)
前記車上局無線機が運用されている期間において、前記車上局無線機は前記送信電力を測定する、
付記1に記載の無線性能測定システム。
【0182】
(付記4)
前記中央装置は、前記車上局無線機から通知された前記測定結果に基づいて、前記車上局無線機の無線性能の劣化、または、前記車上局無線機の無線性能の劣化の予兆を検出する機能を有する、
付記1に記載の無線性能測定システム。
【0183】
(付記5)
前記中央装置は、前記無線性能の劣化、または、前記無線性能の劣化の予兆の検出結果を外部へ出力する、
付記4に記載の無線性能測定システム。
【0184】
(付記6)
無線性能測定システムであって、
中央装置と、
車両に搭載された車上局に含まれる無線機である車上局無線機と、
ネットワークを介して、前記中央装置と通信する機能を有する測定装置とを備え、
前記測定装置は、前記車上局無線機が出力した無線信号を受信し、
前記測定装置は、前記無線信号の周波数偏差を測定し、
前記測定装置は、測定された前記周波数偏差である測定結果を、前記中央装置に通知する、
無線性能測定システム。
【0185】
(付記7)
前記車上局無線機は、前記中央装置からの要求に応じて、前記無線信号を出力する、
付記6に記載の無線性能測定システム。
【0186】
(付記8)
前記車上局無線機が運用されている期間において、前記測定装置は、前記無線信号の周波数偏差を測定する、
付記6に記載の無線性能測定システム。
【0187】
(付記9)
前記中央装置は、前記測定装置から通知された前記測定結果に基づいて、前記車上局無線機の無線性能の劣化、または、前記車上局無線機の無線性能の劣化の予兆を検出する機能を有する、
付記6に記載の無線性能測定システム。
【0188】
(付記10)
前記中央装置は、前記無線性能の劣化、または、前記無線性能の劣化の予兆の検出結果を外部へ出力する、
付記9に記載の無線性能測定システム。
【符号の説明】
【0189】
50 無線機、70 処理回路、71 プロセッサ、72 メモリ、90 中央装置、91,91a,91b,91c 車上局、92 測定装置、100,100A,100B,100C,100D,Hs1 無線性能測定システム。
図1
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図12