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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133977
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】トラップ装置
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/22 20060101AFI20240926BHJP
   F16T 1/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
F16T1/22 A
F16T1/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044025
(22)【出願日】2023-03-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
(57)【要約】
【課題】製造コストの上昇を抑えながら、使用期間の長短にかかわらず閉弁時における高いシール性を確保することができるトラップ装置を提供する。
【解決手段】トラップ装置1は、ケーシング10とフロート20とを備える。ケーシング10は、側壁内面10gの下端から斜め上向きに突出形成された弁座10iを有する。弁座10iにおける弁孔10eの開口から所定深さまでの領域は、弁孔10eの中心軸に対して角度を有する斜面で構成されたテーパ面で弁孔10eの周囲が囲まれている。フロート20は、正六面体の外観形状を有するフロート本体部21とフロート本体部21の下面21cに接合された弁体部22とを有する。弁体部22の先端部は、テーパ面と平行であって、フロート20が下降端まで下降した状態でテーパ面と面接触可能な当接面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を含む流体から復水を排出するトラップ装置であって、
前記流体の流入部、前記復水の流出部、および前記流入部から導入された前記流体を収容する収容部を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記収容室に収容され、当該収容室内の前記復水の量に応じて上下動可能なフロートと、
を備え、
前記ケーシングは、前記流出部と前記収容室とを連通する連通路と、当該ケーシングの底壁内面または側壁内面から前記収容室に向けて突出形成された弁座と、前記連通路における前記収容室側の端部であって、前記弁座の先端部で前記収容室に開口する弁孔と、をさらに有し、
前記フロートは、内部に中空部を有するフロート本体部と、前記フロート本体部から下方に向けて突設された弁体部とを有し、
前記弁座における前記弁孔の周囲を囲む面は、前記弁孔の前記開口から所定深さまでの領域において、前記開口から前記弁孔の奥側へと行くのに従って開口面積が漸減するテーパ面で構成されており、
前記弁体部の先端部は、前記弁座における前記テーパ面と平行であって、当該フロートが下降端に位置する状態で前記テーパ面と面接触可能な当接面を有する、
トラップ装置。
【請求項2】
前記弁座における前記テーパ面は、前記フロートの下降に際して前記弁座における前記領域への前記弁体部における前記先端部の侵入を許すように形成されている、
請求項1に記載のトラップ装置。
【請求項3】
前記弁体部における前記先端部は、前記先端部から根元部側へと行くのに従って断面径が漸増する円錐台形状に形成されている、
請求項2に記載のトラップ装置。
【請求項4】
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の一方の面は、他方の面に向けて突出するとともに、上下方向に延びるように形成された線状凸部を有し、
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側閉内面に対向する外面の内の他方の面は、前記線状凸部の填まり込みを許容するとともに、上下方向に延びるように形成された案内溝を有する、
請求項1から請求項3の何れかに記載のトラップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気が流通する配管設備から復水を排出するのに用いられるトラップ装置に関し、特にフロートにレバーが連結されていないレバーフリータイプのトラップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備では、当該配管設備から復水(ドレン)を排出するスチームトラップ等のトラップ装置が設けられる。トラップ装置には、ケーシング内に収容されたフロートにレバーが連結されていないレバーフリータイプのものが含まれる(特許文献1等)。従来技術に係るトラップ装置について、図8を用いて説明する。
【0003】
図8に示すように、従来技術に係るトラップ装置9は、ケーシング90と、フロート91と、スクリーン93と、エアベント94とを備える。ケーシング90は、フロート91が矢印Cのように上下動可能な収容室90aを有する。また、ケーシング90は、蒸気や復水が流入される流入部90b、および復水が流出される流出部90cと、収容室90aに開口する弁孔90eとを有する。弁孔90eは、ケーシング90の側壁内面における多分部分から斜め上向きに突出形成されたパイプ状部分(弁座90i)の先端部で収容室90aに開口されている。弁座90iにおける弁孔90eの開口周辺は、フロート91の外面91aに接触する。弁孔90eは、内部連通路90hにより流出部90cに接続されている。さらに、ケーシング90は、フロート91が下降端まで下降した際にフロート91を保持するバルブホルダ90jも有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4002724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8を用いて説明した従来技術に係るトラップ装置9では、製造コストの上昇を抑えながら閉弁時の高いシール性を確保すること、および耐久性を確保することが困難である。即ち、従来技術に係るトラップ装置9では、球形状のフロート91が採用されているため、弁孔90eの開口を閉弁する際の弁座90iとフロート91の外面91aとの接触が線接触となっている。
【0006】
また、フロート91における弁座90iとの接触箇所は、フロート91が下降する際の姿勢によって都度変化する。このため、従来技術に係るトラップ装置9では、フロート91の外面91aのどの部分が弁座90iに当接してもよいように、高い真球度のフロート91を採用することが必要となり、製造コストの上昇を招いてしまう。
【0007】
また、従来技術に係るトラップ装置9では、上述のようにフロート91の外面91aと弁座90iのバルブシート(弁孔90eの開口周辺部)とが線接触するとともに、当該フロート91の外面91aにおける接触箇所が下降時におけるフロート91の姿勢によって都度変化するので、フロート91の外面91aが偏摩耗を生じることになる。このため、使用が長期に及んだ場合には、フロート91の外面91aの偏摩耗によって弁孔90eの開口を完全に閉じることができなくなるため、従来技術に係るトラップ装置9では、耐久性という観点からも問題を生じる。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、製造コストの上昇を抑えながら、使用期間の長短にかかわらず閉弁時における高いシール性を確保することができるトラップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るトラップ装置は、蒸気を含む流体から復水を排出するトラップ装置であって、ケーシングとフロートとを備える。前記ケーシングは、前記流体の流入部、前記復水の流出部、および前記流入部から導入された前記流体を収容する収容部を有する。前記フロートは、前記ケーシングの前記収容室に収容され、当該収容室内の前記復水の量に応じて上下動可能である。
【0010】
本態様に係るトラップ装置において、前記ケーシングは、前記流出部と前記収容室とを連通する連通路と、当該ケーシングの底壁内面または側壁内面から前記収容室に向けて突出形成された弁座と、前記連通路における前記収容室側の端部であって、前記弁座の先端部で前記収容室に開口する弁孔と、をさらに有する。また、前記フロートは、内部に中空部を有するフロート本体部と、前記フロート本体部から下方に向けて突設された弁体部とを有する。
【0011】
本態様に係るトラップ装置において、前記弁座における前記弁孔の周囲を囲む面は、前記弁孔の前記開口から所定深さまでの領域において、前記開口から前記弁孔の奥側へと行くのに従って開口面積が漸減するテーパ面で構成されている。そして、前記弁体部の先端部は、前記弁座における前記テーパ面と平行であって、当該フロートが下降端に位置する状態で前記テーパ面と面接触可能な当接面を有する。
【0012】
上記態様に係るトラップ装置では、弁座におけるテーパ面に対してフロートにおける弁体部の当接面が平行であって、フロートが下降端まで下降した状態でテーパ面に面接触可能なように当接面が構成されている。よって、上記態様に係るトラップ装置では、フロートにおける弁体部の当接面と、弁座におけるテーパ面との平行度を確保するだけで閉弁時における高いシール性を確保することができ、従来技術に係るトラップ装置のように全体の高い真球度が必要とされるフロートを備える場合に比べて、製造コストの抑制が可能である。即ち、上記態様に係るトラップ装置では、弁体として機能する部分をフロート本体部とは別の弁体部とすることにより、従来技術のようにフロート自体に弁体としての機能を担わせる場合に比べて、製造コストの抑制が可能である。
【0013】
また、上記態様に係るトラップ装置では、弁座におけるテーパ面とフロートにおける弁体部の当接面との面接触により閉弁されるので、小さな閉弁力Pで閉弁時における高いシール性を確保することができる。即ち、閉弁力P=シール係数ρ/閉弁面積Sの関係で定義されるので、上記の面同士の面接触で閉弁する上記態様に係るトラップ装置では、球形状のフロートの外面と弁座のバルブシート(弁孔における開口周辺部)との線接触で閉弁する従来技術に係るトラップ装置に対して、小さな閉弁力で閉弁時における高いシール性を確保することができる。
【0014】
また、上記態様に係るトラップ装置では、閉弁に際して弁座におけるテーパ面とフロートにおける弁体部の当接面とが面接触するので、弁座におけるテーパ面およびフロートにおける弁体部の当接面のそれぞれに入力される荷重が分散され、弁座におけるテーパ面およびフロートにおける弁体部の当接面の磨滅を小さく抑えることができる。よって、上記態様に係るトラップ装置では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を維持することができる。
【0015】
前記弁座における前記テーパ面は、前記フロートの下降に際して前記弁座における前記領域への前記弁体部における前記先端部の侵入を許すように形成されている、としてもよい。
【0016】
上記態様に係るトラップ装置では、弁座におけるテーパ面がフロートの下降に際して弁座の上記領域(テーパ面で囲まれた領域)への弁体部の先端部の侵入を許すように形成されているので、フロートの下降に際して弁座におけるテーパ面と弁体部の先端部との干渉が避けられる。よって、上記態様に係るトラップ装置では、フロートの上下動に際して弁座におけるテーパ面やフロートにおける弁体部の当接面に傷がついたり磨滅したりするのを抑制することができ。これより、上記態様に係るトラップ装置では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を維持することができる。
【0017】
前記弁体部における前記先端部は、前記先端部から根元部へと行くのに従って断面径が漸増する円錐台形状に形成されている、としてもよい。
【0018】
上記態様に係るトラップ装置では、弁体部における先端部が円錐台形状に形成されているので、上記のような回転体を以って構成された弁座のテーパ面に対して閉弁時に大きな面積で面接触可能となる。よって、上記態様に係るトラップ装置では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を確保するのに優位である。
【0019】
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の一方の面は、他方の面に向けて突出するとともに、上下方向に延びるように形成された線状凸部を有する、としてもよい。また、前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側閉内面に対向する外面の内の他方の面は、前記線状凸部の填まり込みを許容するとともに、上下方向に延びるように形成された案内溝を有する、としてもよい。
【0020】
上記態様に係るトラップ装置では、ケーシングの側壁内面およびフロート本体部の側面の内の一方が線状凸部を有し、他方が案内溝を有するように構成されている。即ち、上記態様に係るトラップ装置では、案内溝に線状凸部が填まり込み、案内溝に沿って線状凸部が摺動する。よって、上記態様に係るトラップ装置では、フロートの上下動の際にフロートの姿勢の乱れを抑制することができる。これより、上記態様に係るトラップ装置では、フロートが下降端まで下降した状態で、弁座のテーパ面と弁体部の当接面とを確実に面接触させることができ、閉弁時の高いシール性を確保するのに優位である。
【発明の効果】
【0021】
上記の各態様に係るトラップ装置では、製造コストの上昇を抑えながら、使用期間の長短にかかわらず閉弁時における高いシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係るトラップ装置の構成を示す断面図である。
図2】トラップ装置が備えるフロートの構成を示す下面図である。
図3】トラップ装置が備えるケーシングの一部を示す断面図である。
図4】(a)は開弁時における弁座と弁体部とを示す断面図であり、(b)は閉弁時における弁座と弁体部とを示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るトラップ装置の構成を示す断面図である。
図6図5のVI-VI線断面を示す断面図である。
図7】(a)は変形例1に係るトラップ装置が備えるフロートの構成を示す側面図であり、(b)は変形例2に係るトラップ装置が備えるフロートの構成を示す側面図である。
図8】従来技術に係るトラップ装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0024】
[第1実施形態]
1.トラップ装置1の全体構成
本発明の第1実施形態に係るトラップ装置1は、蒸気を含む流体から復水を排出するトラップ装置である。トラップ装置1の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0025】
図1に示すように、トラップ装置1は、ケーシング10と、フロート20と、スクリーン30と、エアベント40と、エアベントプラグ50とを備える。ケーシング10は、流入部10bと、流出部10cと、収容部10aと、ベント室10dと、内部連通路(連通路)10hと、弁座10iとを有する。流入部10bは、蒸気を含む流体が流入する部位であり、X方向左向きに開口されている。該開口にはスチーム配管等が接続される。流出部10cは、空気や復水が流出する部位であり、X方向右向きに開口されている。該開口にはドレン配管等が接続される。収容室10aは、流入部10bを読織導入された流体(蒸気、復水)が収容される部位であって、流入部10bに連通されている。
【0026】
ベント室10dは、エアベント40の一部を収容する部位であって、流出部10cと連通されている。ベント室10dは、収容室10aの上方に形成されており、上部開口がエアベントプラグ50で塞がれている。内部連通路10hは、ケーシング10における側壁内および底壁内の各一部に設けられており、収容室10aと流出部10cとを連通する。
【0027】
なお、ケーシング10は、Z方向上部のボディ11とZ方向下部のボトムカバ12とを気密接合することで構成されている。このため、ボディ11とボトムカバ12との接合部分での収容室10aおよび内部連通路10hの気密性は確保されている。
【0028】
本実施形態において、弁座10iは、ケーシング10の側壁内面10gの下端であって、底壁内面10fの側壁側端部から、収容室10aに向けて斜め上向きに突設形成されている。弁座10iには、内部連通路10hの収容室10a側の端部であって、弁座10iの先端部で収容室10aに開口する弁孔10eが設けられている。弁座10iの詳細な構成については、後述する。
【0029】
フロート20は、六面体(本実施形態では、一例として正六面体)の外観形状を有するフロート本体部21と、フロート本体部21の下面から斜め下方に向けて突設され、根元部でフロート本体部21の下面21cに接合された軸状の弁体部22とを有する。フロート20は、収容室10a内の復水の量に応じて、矢印Aのように上下動可能に収容室10a内に収容されている。なお、フロート20の上下動の下降端は、弁体部22の下側の先端部が弁座10iの上端部に嵌め込まれる位置である。
【0030】
フロート本体部21は、内部に中空部を有し、上面21a、側面21b、および下面21cのそれぞれにリブ21rを有する。フロート本体部21は、Z方向に直交する方向において、側面21bの各リブ21rの外面がケーシング10の側壁内面10gに対して僅かな隙間を空けて配されている。具体的には、フロート本体部21の側面21bにおけるリブ21rの外面とケーシング10の側壁内面10gとの間の隙間は1mm~10mm程度に設定されている。
【0031】
スクリーン30は、流体の導入経路における流入部10bと収容室10aとの間に設けられている。スクリーン30は、収容室10aへのゴミやスケールの侵入を抑制する。エアベント40は、通気初期の段階などにおいて、収容室10a内などに溜まった空気を流出部10cへと排出する。
【0032】
2.フロート20における弁体部22の構成
フロート20における弁体部22の構成について、図2を用いて説明する。図2は、フロート20をZ方向下方から見た下面図である。
【0033】
図2に示すように、フロート20の弁体部22は、根元部がフロート本体部21の下面21cに接合された軸部22aにより構成されている。軸部22aは、一例として円柱形状を有し、先端側の端面部22bが軸部22aの中心軸に直交する面で構成されている。軸部22aは、端面部22bよりも根元部側の一部領域が円錐台形状を有する。即ち、弁体部22における先端部は、先端部から根元部側へと行くのに従って断面径が漸増するように形成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、弁体部22の軸部22aの中心軸とケーシング10の弁座10iの中心軸とは、フロート20が下降端まで下降した状態で互いに一直線上にのるように形成されている。
【0035】
3.弁座10iの構成
弁座10iの構成、特に弁孔10eの開口周辺の構成について、図3を用いて説明する。
【0036】
図3に示すように、弁座10iは、弁孔10eがX方向およびZ方向に対して30°~60°傾き、Y方向(図3の紙面に直交する方向)に対して直交するように延びるように形成されている。一例として、本実施形態では、弁孔10eの中心軸Ax1がX方向およびZ方向に対して45°傾き、Y方向に対して直交するように設定されている。そして、弁孔10eにおける収容室10a側の開口10jは、ケーシング10の底壁内面10fよりもZ方向上方に位置する。
【0037】
図3の拡大部分に示すように、弁座10iの先端部における開口10jの周囲には、中心軸Ax1に直交する面で構成された開口周辺面10kが設けられている。即ち、開口周辺面10kに沿う仮想線Ln1を引く場合に、開口周辺面10kは、仮想線Ln1が中心軸Ax1に対して直交するように設けられている。ただし、開口周辺面10kについては、必須の構成ではない。
【0038】
弁座10iにおける弁孔10eの周囲を囲む面は、中心軸Ax1が延びる方向において、開口10jから所定深さまでの領域で、開口10jから弁孔10eの奥側へと行くのに従って開口面積が漸減するようにテーパ面10lで構成されている。所定深さは、例えば、弁孔10eの内径に対して30%~40%程度の範囲(一例として、35%)である。なお、弁孔10eの内径が長手方向に一様でない場合には、テーパ面10lに最も近い箇所での内径を基準とすることができる。
【0039】
ここで、テーパ面10lは、フロート20の弁体部22における当接面22c(図2を参照。)と平行となるように形成されている。そして、テーパ面10lは、中心軸Ax1に対して角度θ1で傾くとともに、弁孔10eの奥側で中心軸Ax1に交差する母線Ln2を、中心軸Ax1廻りに回転させて得られる回転面をもって構成されている。
【0040】
なお、上記の角度θ1は、例えば、65°~85°の範囲であって、本実施形態では一例として75°である。
【0041】
また、中心軸Ax1と母線Ln2との交点から鉛直方向(上下方向)に延びる仮想線Ln3を引く場合に、中心軸Ax1と仮想線Ln3とがなす角度θ2は、上記角度θ1よりも小さい。即ち、テーパ面10lは、Z方向上部において、フロート20が下降してくる際に弁体部22の軸部22aの先端部の通過を許すように形成されている。
【0042】
弁座10iにおけるテーパ面10lの面積については、特に限定はないが、大きい方が閉弁力Pを小さくすることができるため望ましい。具体的には、弁座10iのシール係数(金属材料の場合は、2.0~3.0程度)をρとし、閉弁面積をSとするとき、閉弁力Pは次の式で表すことができる。
P=ρ/S ・・(1)
上記関係式(1)より、閉弁面積(弁体部22の当接面22cと弁座10iのテーパ面10lとの接触面積)Sが大きいほど閉弁力Pを小さくすることができる。このように閉弁力Pを小さくすることにより、フロート20が生み出すある一定の力で閉弁時の高いシール性を確保することができる。
【0043】
4.トラップ装置1における閉弁メカニズム
トラップ装置1における閉弁メカニズムについて、図4を用いて説明する。
【0044】
図4(a)に示すように、収容室10a内の復水の量に応じて、フロート20が下降してくる(矢印B)。この場合に、弁体部22についても、フロート本体部21と一体に下降してくる。弁体部22の下降に際して、弁座10iのテーパ面10lは、図3を用いて説明したように構成されているので、弁体部22の軸部22aにおける端面部22bがテーパ面10lのZ方向上部に干渉することなく通過できる。
【0045】
図4(b)に示すように、フロート20が下降端まで下降した状態では、弁座10iのテーパ面10lと平行に形成された弁体部22の当接面22cが、テーパ面10lに対して面接触する。これにより、弁孔10eは閉じられ、トラップ装置1は閉弁する。
【0046】
収容室10a内の復水の量が増えてきた場合には、図4(b)に示す状態からフロート20の浮力によって当該フロート20が上方へと上昇して、トラップ装置1は開弁する。
【0047】
5.効果
本実施形態に係るトラップ装置1では、弁座10iにおけるテーパ面10lに対してフロート20における弁体部22の当接面22cが平行であって、フロート20が下降端まで下降した状態でテーパ面10lに面接触するように当接面22cが構成されている。よって、トラップ装置1では、フロート20における弁体部22の当接面22cと、弁座10iにおけるテーパ面10lとの平行度を確保するだけで閉弁時における高いシール性を確保することができ、従来技術に係るトラップ装置9のように全体の高い真球度が必要とされるフロート91を備える場合に比べて、製造コストの抑制が可能である。
【0048】
また、本実施形態に係るトラップ装置1では、弁座10iにおけるテーパ面10lとフロート20における弁体部22の当接面22cとの面接触により閉弁されるので、上記関係式(1)を用いて説明したように、小さな閉弁力Pで閉弁時における高いシール性を確保することができる。
【0049】
また、本実施形態に係るトラップ装置1では、閉弁に際して弁座10iにおけるテーパ面10lとフロート20における弁体部22の当接面22cとが面接触するので、弁座10iにおけるテーパ面10lおよびフロート20における弁体部22の当接面22cのそれぞれに入力される荷重が分散され、弁座10iにおけるテーパ面10lおよびフロート20における弁体部22の当接面22cの磨滅を小さく抑えることができる。よって、トラップ装置1では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を維持することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るトラップ装置1では、弁座10iにおけるテーパ面10lがフロート20の上下動に際して弁体部22の先端部(端面部20bおよび当接面22cが形成された部分)の通過を許すように形成されているので、フロート20が上下動する際に弁座10iにおけるテーパ面10lと弁体部22の先端部との干渉が避けられる。よって、トラップ装置1では、フロート20の上下動に際して弁座10iにおけるテーパ面10lやフロート20における弁体部22の当接面22cに傷がついたり磨滅したりするのを抑制することができ。これより、トラップ装置1では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を維持することができる。
【0051】
また、本実施形態に係るトラップ装置1では、弁座10iのテーパ面10lが、弁孔10eの中心軸Ax1に対して65°~85°(本実施形態では、一例として、75°)だけ傾いた母線Ln2を回転させてなる回転面をもって構成されているので、弁座10iのテーパ面10lと弁体部22の当接面22cとの接触面積を大きくとりながら、互いの面10l,22cの接触・離間時の互いの干渉を抑制するのに優位である。即ち、弁座10iのテーパ面10lを弁孔10eの中心軸Ax1により平行に近い急峻なテーパ面にしようとする場合には、弁孔10eの奥深くまでの領域で弁体部22の当接面22cで面接触するようにしなければ、接触面積を確保するのが難しくなる。よって、このような場合には、互いの面10l,22cの接触・離間時の互いの干渉が生じ易くなると考えられる。これに対して、弁孔10eの中心軸Ax1に対する回転面の角度を65°~85°の範囲とすることで、接触面積を大きく確保しながら、弁座10iに対する弁体部22の先端部の干渉を生じ難くすることができる。
【0052】
なお、閉弁力Pは上記関係式(1)で定義されるので、弁孔10eの中心軸Ax1に対する母線Ln2の傾斜角度が65°~85°である回転面をもって構成されるので、広い面積のテーパ面10lを実現することができ、テーパ面10lと当接面22cとの面接触で閉弁するトラップ装置1では、フロート91の外面91aと弁座90iのバルブシート(弁孔の開口周辺)との線接触で閉弁する従来技術に係るトラップ装置9に対して、小さな閉弁力Pで閉弁時における高いシール性を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態に係るトラップ装置1では、弁体部22における先端部が円錐台形状に形成されているので、上記のような回転体を以って構成された弁座10iのテーパ面10lに対して閉弁時に大きな面積で面接触可能となる。よって、トラップ装置1では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を確保するのに優位である。
【0054】
また、本実施形態に係るトラップ装置1では、正六面体の外観形状を有するフロート本体部21を採用するので、同じ容積および同じ肉厚の球形状のフロート(例えば、図8のフロート91)をフロート本体部として備える場合に比べて、フロート本体部21の寸法(X,Y,Z方向の各寸法)を小さくすることができる。即ち、球形状のフロート本体部と正六面体形状のフロート本体部21において、容積が同じであるとし、フロート91のような球形状のフロート本体部の外径をD、フロート本体部21の一辺の長さ(リブ21rを除く長さ)をXとするとき、次に関係を満たす。
(4π/3)×(D/2)=X ・・(2)
上記関係式(2)より、DとXとの関係は次のようになる。
0.806D=X ・・(3)
上記関係式(3)より、球形状のフロート本体部の肉厚とフロート本体部21の肉厚とが等しいとする場合に、同じ容積の内空間を確保するには、正六面体形状のフロート本体部21の一辺の長さを球形状のフロート本体部の外径寸法Dよりも約20%小さくできる。よって、トラップ装置1では、フロート本体部21のサイズを球形状のフロート本体部の外径寸法Dよりも小さくでき、これに伴って、ケーシング10のサイズについても小さくすることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係るトラップ装置1では、製造コストの上昇を抑えながら、使用期間の長短にかかわらず閉弁時における高いシール性を確保することができる。
【0056】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るトラップ装置2の構成について、図5および図6を用いて説明する。なお、以下では、上記第1実施形態に係るトラップ装置1と同様の構成については、説明を省略するか簡略的に説明する。
【0057】
本実施形態に係るトラップ装置2は、フロート120およびケーシング110の一部構造が上記第1実施形態との構成上の差異点である。
【0058】
図5に示すように、フロート120は、互いに接合されたフロート本体部121と弁体部122とで構成されている。この内、弁体部122は、上記第1実施形態の弁体部22と同様に、軸部の先端部に当接面122cを有する。当接面122cは、ケーシング110における弁座110iのテーパ面110lと平行であって、図5に示すようにフロート120が下降端まで下降した状態でテーパ面110lに面接触する。これにより、内部連通路110hの収容室110a側の部分である弁孔110eが閉じられる。
【0059】
フロート120のフロート本体部121は、上記第1実施形態のフロート本体部21と同様に、六面体(一例として、正六面体)の外観形状を有し、上面121a、側面121b、および下面121cのそれぞれに複数のリブ121rを有する。
【0060】
図5および図6に示すように、ケーシング110は、収容室110aに面する4面の側壁内面110gのそれぞれに形成された案内溝110mを有する。各案内溝110mは、Z方向に延び、各壁の厚み方向内側に向けて凹入するように設けられている。なお、図5では、3条の案内溝110mのみを図示している。
【0061】
図5および図6に示すように、フロート本体部121の4面の側面121bのそれぞれには、Z方向に延び、ケーシング110の案内溝110mに填まり込みように突設形成された4条の線状凸部121dを有する。各線状凸部121dは、側面121bに設けられたリブ121rよりも横断面方向の外側に向けて突出するように形成されている。これより、線状凸部121dが案内溝110mに填まり込んだ状態において、側面121bのリブ121rはケーシング110の側壁内面110gに対して隙間を空けて配されている。
【0062】
本実施形態に係るトラップ装置2でも、上記第1実施形態に係るトラップ装置1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、本実施形態に係るトラップ装置2では、ケーシング110の側壁内面110gに案内溝110mを設け、フロート本体部121の側面121bに線状凸部121dを設けることにより、図5および図6に示すように案内溝110mに線状凸部121dが填まり込み、案内溝110mに沿って線状凸部121dが摺動する。よって、トラップ装置2では、フロート120の上下動の際に、案内溝110mと線状凸部121dとの組み合わせでフロート120の案内機構が構成され、フロート120の姿勢の乱れを抑制することができる。これより、トラップ装置2では、フロート120が下降端まで下降した状態で、弁体部122の当接面122cと弁座110iのテーパ面110lとを確実に面接触させることができ、閉弁時の高いシール性を確保することができる。
【0064】
また、フロート本体部121では、線状凸部121dを側面121bに設けることにより、中空部121sを有するフロート本体部121において、線状凸部121dがリブとしても機能する。
【0065】
なお、本実施形態では、ケーシング110の側壁内面110gに案内溝110mを設け、フロート本体部121の側面121bに線状凸部121dを設けることとしたが、逆に、ケーシングの側壁内面に線状凸部を設け、フロート本体部の側面に案内溝を設けることとしてもよい。
【0066】
[変形例1]
変形例1に係るトラップ装置について、図7(a)を用いて説明する。なお、図7(a)では、本変形例1に係るトラップ装置と上記第2実施形態に係るトラップ装置2との構成上の差異点であるフロート220のみを図示しており、他の構成の図示を省略している。また、以下では、上記第2実施形態との共通部分についての説明を省略する。
【0067】
図7(a)に示すように、フロート220は、球形状のフロート本体部221と、フロート本体部221の外面221aの斜め下部に接合された弁体部222とを有する。フロート本体部221の外面221aには、4条の線状凸部221dが設けられている。4条の線状凸部221dのそれぞれは、Z方向に延び、Z方向に直交する方向に突出形成されている。そして、4条の線状凸部221dのそれぞれは、ケーシングの側壁内面に設けられた案内溝(上記第2実施形態の案内溝110mに填まり込み、案内溝に沿って線状凸部221dが摺動する。
【0068】
フロート本体部221は、内部に中空部を有する(図示を省略)。弁体部222は、上記第1実施形態の弁体部22と同様に、軸部221aの先端部に端面部222bおよび当接面222cを有する。当接面222cは、ケーシングにおける弁座のテーパ面と平行であって、フロート220が下降端まで下降した状態で弁座のテーパ面に面接触可能である。
【0069】
本変形例に係るトラップ装置は、フロート本体部221が球形状の外観形状を有する点で上記第2実施形態に係るトラップ装置2と構成上の差異を有するが、上記第2実施形態に係るトラップ装置2と同様の効果を得ることができる。
【0070】
なお、本変形例では、球形状の外観形状を有するフロート本体部221を採用するが、従来技術のフロート91のように高い真球度は求められない。これは、本変形例のフロート本体部221は、その外面221aが弁座に直接接するものではないためであり、閉弁時におけるシール性に影響を及ぼすものではないためである。
【0071】
[変形例2]
変形例2に係るトラップ装置について、図7(b)を用いて説明する。なお、図7(b)では、本変形例2に係るトラップ装置と上記第2実施形態に係るトラップ装置2との構成上の差異点であるフロート320のみを図示しており、他の構成の図示を省略している。また、以下では、上記第2実施形態との共通部分についての説明を省略する。
【0072】
図7(b)に示すように、フロート320は、六面体(一例として、正六面体)の外観形状を有するフロート本体部321と、フロート本体部321の下面321cに接合された弁体部322とを有する。
【0073】
フロート本体部321は、上記第2実施形態のフロート本体部121と同様に、六面体(一例として、正六面体)の外観形状を有し、上面321a、側面321b、および下面321cのそれぞれに複数のリブ321rを有する。また、4面の側面321bのそれぞれには、Z方向に延び、各面の法線方向外向きに突出する線状凸部321dが設けられている。
【0074】
弁体部322は、フロート本体部321の下面321cからZ方向下向きに突設された軸部322aを有する。軸部322aの先端部には、端面部322bおよび当接面322cが設けられている。当接面322cは、ケーシングにおける弁座のテーパ面と平行であって、フロート320が下降端まで下降した状態で弁座のテーパ面に面接触可能である。
【0075】
なお、本変形例に係るトラップ装置では、図示を省略しているが、弁座はケーシングの底壁内面からZ方向上向きに突出するように形成され、弁座のテーパ面が弁体部322の当接面322cと平行となるように形成されている。
【0076】
本変形例に係るトラップ装置は、弁体部322における軸部322aの突出方向が上記第2実施形態に係るトラップ装置2と構成上の差異点であるが、上記第2実施形態に係るトラップ装置2と同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、本変形例では、フロート本体部321の側面321bに線状凸部321dを設けることとしたが、フロート本体部321の側面に案内溝を設け、ケーシングの側壁内面に線状凸部を設けることとしてもよい。また、上記第1実施形態のように、フロート本体部321の側面321bに線状凸部や案内溝を必ずしも設けなくてもよい。
【0078】
また、フロート本体部321の外観形状については、変形例1のフロート本体部221のように球形状とすることもできる。
【0079】
[その他の変形例]
上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記変形例1,2では、スクリーン30、エアベント40、およびエアベントプラグ50を備えるトラップ装置1,2を採用したが、本発明では、スクリーン30、エアベント40、およびエアベントプラグ50は必須の構成ではない。
【0080】
また、上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記変形例2では、上面21a,121a,321a、側面21b,121b,321b、および下面21c,121c,321cのそれぞれにX字形状をしたリブ21r,121r,321rを有するフロート本体部21,121,321を採用することとしたが、本発明では、リブの形状はX字形状に限定されるものではない。例えば、フロート本体部の外面における外辺に沿って延びる直線状のリブや、平面視円形のリブなどを採用することもできる。
【0081】
また、上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記変形例2では、正六面体のフロート本体部21,121,321を採用することとしたが、本発明では、Z方向に長い直方体やZ方向に扁平な直方体など種々の六面体のフロートを採用することができる。また、フロート本体部の外観形状については、六面体や球形状である必要もない。種々の多面体形状や回転体形状のような外観形状を有するフロート本体部を採用することもできる。
【0082】
また、フロート本体部における中空部の下部に錘を収容することで、フロートが下降する際の姿勢の安定を図ることもできる。
【0083】
また、上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記変形例1,2では、フロート本体部21,121,221,321への弁体部22,122,222,322の具体的な接合方法については、特に言及しなかったが、種々の方法を採用することができる。例えば、溶接や接着剤を用いた接合方法を採用することができる。
【0084】
また、上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記変形例1,2では、弁孔10e,110eの開口10jと流出部10cとを内部連通路10h,110hで繋ぐこととしたが、本発明では、必ずしもこれに限定を受けない。例えば、ケーシング10,110の側壁外部に配設されたパイプなどで弁孔の開口と流出部とを繋いでもよい。
【符号の説明】
【0085】
1,2 トラップ装置
10,110 ケーシング
10e,110e 弁孔
10i,110i 弁座
10j 開口
10k 開口周辺部
10l テーパ面
20,120,220,320 フロート
21,121,221,321フロート本体部
22,122,222,322 弁体部
22c,122c,222c,322c 当接面
110m 案内溝
121d,221d,321d 線状凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を含む流体から復水を排出するトラップ装置であって、
前記流体の流入部、前記復水の流出部、および前記流入部から導入された前記流体を収容する収容部を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記収容室に収容され、当該収容室内の前記復水の量に応じて上下動可能なフロートと、
を備え、
前記ケーシングは、前記流出部と前記収容室とを連通する連通路と、当該ケーシングの底壁内面または側壁内面から前記収容室に向けて突出形成された弁座と、前記連通路における前記収容室側の端部であって、前記弁座の先端部で前記収容室に開口する弁孔と、をさらに有し、
前記フロートは、内部に中空部を有するフロート本体部と、前記フロート本体部から下方に向けて突設された弁体部とを有し、
前記弁座における前記弁孔の周囲を囲む面は、前記弁孔の前記開口から所定深さまでの領域において、前記開口から前記弁孔の奥側へと行くのに従って開口面積が漸減するテーパ面で構成されており、
前記弁体部の先端部は、前記弁座における前記テーパ面と平行であって、当該フロートが下降端に位置する状態で前記テーパ面と面接触可能な当接面を有し、
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の一方の面は、他方の面に向けて突出するとともに、上下方向に延びるように形成された線状凸部を有し、
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の他方の面は、前記線状凸部の填まり込みを許容するとともに、上下方向に延びるように形成された案内溝を有する、
トラップ装置。
【請求項2】
前記弁座における前記テーパ面は、前記フロートの下降に際して前記弁座における前記領域への前記弁体部における前記先端部の侵入を許すように形成されている、
請求項1に記載のトラップ装置。
【請求項3】
前記弁体部における前記先端部は、前記先端部から根元部側へと行くのに従って断面径が漸増する円錐台形状に形成されている、
請求項2に記載のトラップ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本態様に係るトラップ装置において、前記弁座における前記弁孔の周囲を囲む面は、前記弁孔の前記開口から所定深さまでの領域において、前記開口から前記弁孔の奥側へと行くのに従って開口面積が漸減するテーパ面で構成されている。そして、前記弁体部の先端部は、前記弁座における前記テーパ面と平行であって、当該フロートが下降端に位置する状態で前記テーパ面と面接触可能な当接面を有する。
本態様に係るトラップ装置において、前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の一方の面は、他方の面に向けて突出するとともに、上下方向に延びるように形成された線状凸部を有する、としてもよい。また、前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側閉内面に対向する外面の内の他方の面は、前記線状凸部の填まり込みを許容するとともに、上下方向に延びるように形成された案内溝を有する、としてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、上記態様に係るトラップ装置では、閉弁に際して弁座におけるテーパ面とフロートにおける弁体部の当接面とが面接触するので、弁座におけるテーパ面およびフロートにおける弁体部の当接面のそれぞれに入力される荷重が分散され、弁座におけるテーパ面およびフロートにおける弁体部の当接面の磨滅を小さく抑えることができる。よって、上記態様に係るトラップ装置では、使用期間が長期に及んだ場合にも閉弁時の高いシール性を維持することができる。
上記態様に係るトラップ装置では、ケーシングの側壁内面およびフロート本体部の側面の内の一方が線状凸部を有し、他方が案内溝を有するように構成されている。即ち、上記態様に係るトラップ装置では、案内溝に線状凸部が填まり込み、案内溝に沿って線状凸部が摺動する。よって、上記態様に係るトラップ装置では、フロートの上下動の際にフロートの姿勢の乱れを抑制することができる。これより、上記態様に係るトラップ装置では、フロートが下降端まで下降した状態で、弁座のテーパ面と弁体部の当接面とを確実に面接触させることができ、閉弁時の高いシール性を確保するのに優位である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
蒸気を含む流体から復水を排出するトラップ装置であって、
前記流体の流入部、前記復水の流出部、および前記流入部から導入された前記流体を収容する収容を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記収容室に収容され、当該収容室内の前記復水の量に応じて上下動可能なフロートと、
を備え、
前記ケーシングは、前記流出部と前記収容室とを連通する連通路と、当該ケーシングの底壁内面または側壁内面から前記収容室に向けて突出形成された弁座と、前記連通路における前記収容室側の端部であって、前記弁座の先端部で前記収容室に開口する弁孔と、をさらに有し、
前記フロートは、内部に中空部を有するフロート本体部と、前記フロート本体部から下方に向けて突設された弁体部とを有し、
前記弁座における前記弁孔の周囲を囲む面は、前記弁孔の前記開口から所定深さまでの領域において、前記開口から前記弁孔の奥側へと行くのに従って開口面積が漸減するテーパ面で構成されており、
前記弁体部の先端部は、前記弁座における前記テーパ面と平行であって、当該フロートが下降端に位置する状態で前記テーパ面と面接触可能な当接面を有し、
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の一方の面は、他方の面に向けて突出するとともに、上下方向に延びるように形成された線状凸部を有し、
前記ケーシングの前記側壁内面および前記フロート本体部における前記側壁内面に対向する外面の内の他方の面は、前記線状凸部の填まり込みを許容するとともに、上下方向に延びるように形成された案内溝を有する、
トラップ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様に係るトラップ装置は、蒸気を含む流体から復水を排出するトラップ装置であって、ケーシングとフロートとを備える。前記ケーシングは、前記流体の流入部、前記復水の流出部、および前記流入部から導入された前記流体を収容する収容を有する。前記フロートは、前記ケーシングの前記収容室に収容され、当該収容室内の前記復水の量に応じて上下動可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図1に示すように、トラップ装置1は、ケーシング10と、フロート20と、スクリーン30と、エアベント40と、エアベントプラグ50とを備える。ケーシング10は、流入部10bと、流出部10cと、収容10aと、ベント室10dと、内部連通路(連通路)10hと、弁座10iとを有する。流入部10bは、蒸気を含む流体が流入する部位であり、X方向左向きに開口されている。該開口にはスチーム配管等が接続される。流出部10cは、空気や復水が流出する部位であり、X方向右向きに開口されている。該開口にはドレン配管等が接続される。収容室10aは、流入部10bを読織導入された流体(蒸気、復水)が収容される部位であって、流入部10bに連通されている。