(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133990
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/20 20230101AFI20240926BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240926BHJP
H10B 43/23 20230101ALI20240926BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240926BHJP
H10B 43/00 20230101ALI20240926BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240926BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H10B43/20
H01L27/00 301C
H01L27/00 301B
H10B43/23
H10B43/27
H10B43/00
H01L29/78 371
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044047
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢口 達志
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽平
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀雄
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083EP76
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA12
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA18
5F083LA21
5F083MA01
5F083MA15
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR28
5F101BA42
5F101BA44
5F101BA46
5F101BB02
5F101BB08
5F101BC01
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】内部の半導体層がプラス側に帯電した場合であっても確実な除電が可能となる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、p型の半導体基板と、前記半導体基板上に絶縁層を介し積層されたn型の半導体層を有する。半導体装置は、前記絶縁層を厚さ方向に貫通して前記半導体基板と前記半導体層を接続した除電プラグを有する。前記除電プラグは半導体を含み、前記半導体基板から前記除電プラグを介し前記半導体層に至る経路に前記半導体基板のキャリア密度より高密度のp型半導体と該p型半導体に隣接するn型半導体の組合せを含むpn接合部を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型の半導体基板と、
前記半導体基板上に絶縁層を介し積層されたn型の半導体層と、
前記絶縁層を厚さ方向に貫通して前記半導体基板と前記半導体層を接続した除電プラグを有した半導体装置であって、
前記除電プラグは半導体を含み、
前記半導体基板から前記除電プラグを介し前記半導体層に至る経路に前記半導体基板のキャリア密度より高密度のp型半導体と該p型半導体に隣接するn型半導体の組合せを含むpn接合部を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板はp型のシリコンを含み、
前記半導体層がn型のポリシリコンを含み、
前記半導体基板において前記除電プラグが接触した部分と、前記除電プラグの少なくとも一部と、前記半導体層において前記除電プラグが接触した部分のいずれかに前記pn接合部を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体層はソースラインを含み、
前記ソースラインの下方に設けられた絶縁膜と電極層を積層した積層体と、
前記積層体の下方に絶縁膜を介して設けられたビットラインと、
前記ソースラインと前記ビットラインの間において前記積層体を貫通するように形成され、前記電極層との間にトランジスタを構成する柱状部を備えた、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1積層体と、
前記第1積層体に貼合された第2積層体を備え、
前記第1積層体は、第1半導体基板と、前記第1半導体基板上に第1絶縁膜に囲まれて設けられた論理回路と、前記論理回路に接続されるとともに前記第1積層体と前記第2積層体が貼合された貼合面に設けられた第1パッドを有し、
前記第2積層体は、第2絶縁膜に囲まれた機能アレイと、前記機能アレイに接続されるとともに前記貼合面に設けられた第2パッドと、前記機能アレイに積層された第2半導体層と、前記第2半導体層に積層された絶縁層を有し、
前記第2半導体層に前記絶縁層を厚さ方向に貫通する除電プラグが形成され、前記除電プラグは半導体を含み、前記除電プラグの先端に拡散層を有する、
半導体装置。
【請求項5】
前記第1パッドと前記第2パッドが接する様に、前記第1積層体と前記第2積層体は貼合され、
前記第2半導体層はソースラインを含み、
前記機能アレイが、
前記ソースラインの下方に設けられ、絶縁膜と電極層とビットラインを含み前記第2積層体と、
前記ソースラインと前記ビットラインの間において前記電極層を貫通するように形成され、前記電極層との間にトランジスタを構成する柱状部を備えた、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記除電プラグが、前記第2半導体層において前記機能アレイを設けた側と反対側の面に形成され、
前記第2半導体層において前記除電プラグを設けた側の面に前記絶縁層を介し配線層を有する、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
p型の半導体基板の表面にドーピングイオンを注入して前記半導体基板よりキャリア密度の高い高濃度領域を形成し、
前記半導体基板上に前記高濃度領域を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層に該絶縁層を厚さ方向に貫通して前記高濃度領域に達する透孔を形成し、
前記透孔を埋めるn型の半導体を含む除電プラグを形成するとともに前記絶縁膜上にn型の半導体層を設け、前記除電プラグと前記高濃度領域の接触部分にpn接合部を形成する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルが3次元に積層されたNAND型フラッシュメモリなどの半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0285383号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0085052号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/0310644号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2021/0375901号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/0210425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、内部の半導体層が帯電した場合であっても、確実な除電が可能となる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、p型の半導体基板と、前記半導体基板上に絶縁層を介し積層されたn型の半導体層を有する。半導体装置は、前記絶縁層を厚さ方向に貫通して前記半導体基板と前記半導体層を接続した除電プラグを有する。前記除電プラグは半導体を含み、前記半導体基板から前記除電プラグを介し前記半導体層に至る経路に前記半導体基板のキャリア密度より高密度のp型半導体と該p型半導体に隣接するn型半導体の組合せを含むpn接合部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置およびメモリコントローラを示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置に設けられているメモリセルアレイの一部の等価回路を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置において柱状部の近傍を拡大した断面図。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置において除電プラグの近傍を拡大した断面図。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置を製造する途中のウェハを示す断面図。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置を製造する途中のウェハを貼り合わせた状態を示す断面図。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置を製造する途中のウェハにおいて半導体層が帯電した状態を示す断面図。
【
図9】第2実施形態の半導体装置に適用される除電プラグの近傍を拡大した断面図。
【
図10】比較例の半導体装置において除電プラグの近傍を拡大した断面図。
【
図11】第1実施形態に係る半導体装置を製造する途中のウェハを貼り合わせる状態を示すための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体装置および半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。参照符号を構成する文字の後の数字は、同じ文字を含んだ参照符号によって参照され、かつ同様の構成を有する要素同士を区別するために使用される。同じ文字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素はそれぞれ文字のみを含んだ参照符号により参照される。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
本出願において「接続」とは、機械的に接続される場合に限定されず、電気的に接続される場合も含む。本出願において「平行」、「直交」、または「同一」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同一」である場合も含む。本出願において「A方向に延びている」とは、例えば、後述するX方向、Y方向、及びZ方向の各寸法のうち最小の寸法よりもA方向の寸法が大きいことを意味する。ここでいう「A方向」は任意の方向である。
【0009】
先に、X方向、Y方向、Z方向について定義する。X方向及びY方向は、後述する基板(第1基板)15の表面と略平行な方向である。X方向とY方向とは互いに直交する。Z方向は、X方向及びY方向と直交し、基板15から離れる方向あるいは基板15の厚さ方向である。ただしこれら表現は、便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。
【0010】
以下で参照される図面において、例えば、Y方向はビットラインBLの延伸方向に対応し、Z方向は半導体装置1の形成に使用される基板15の表面に対する鉛直方向に対応している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う場合がある。-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。
【0011】
また、以下で参照される図面において、斜視図には、図を見易くするために一部の構成にハッチングが適宜付加されている。斜視図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。斜視図及び断面図のそれぞれでは、図を見易くするために、配線、コンタクト、層間絶縁膜等の一部の構成要素の図示を適宜省略している。
【0012】
<1>第1実施形態
以下に、第1実施形態に係る半導体装置1について説明する。
【0013】
<1-1>半導体装置1の全体構成
図1は、半導体装置1およびメモリコントローラ2を示すブロック図である。半導体装置1は、不揮発性の半導体記憶装置であり、例えばNAND型フラッシュメモリである。半導体装置1は、例えば、メモリセルアレイ(機能アレイ)10、ロウデコーダ11、センスアンプ12、およびシーケンサ13を備える。
【0014】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含む。各ブロックBLKは、不揮発性のメモリセルトランジスタMT(
図2参照)の集合である。メモリセルアレイ10には、複数のビットラインBLおよび複数のワードラインWLが設けられている。各メモリセルトランジスタMTは、1本のビットラインBLと1本のワードラインWLとに接続されている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0015】
ロウデコーダ11は、外部のメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDに基づいて、1つのブロックBLKを選択する。ロウデコーダ11は、複数のワードラインWLのそれぞれに、所望の電圧を印可することで、メモリセルアレイ10に対するデータの書き込み動作及び読み出し動作を制御する。
【0016】
センスアンプ12は、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビットラインに所望の電圧を印加する。センスアンプ12は、ビットラインの電圧に基づいてメモリセルトランジスタMTに記憶されたデータを判定し、判定した読み出しデータDATをメモリコントローラ2に送信する。
【0017】
シーケンサ13は、メモリコントローラ2から受信したコマンドCMDに基づいて、半導体(記憶)装置1全体の動作を制御する。
【0018】
以上で説明した半導体装置1及びメモリコントローラ2は、これらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成してもよい。半導体装置は、例えばSD(登録商標)カードのようなメモリカードや、SSD(Solid State Drive)等の情報記憶装置が挙げられる。
【0019】
<1-2>メモリセルアレイ10の回路構成
次に、メモリセルアレイ10の電気的な構成について説明する。
図2は、メモリセルアレイ10の一部の等価回路を示す図である。
図2は、メモリセルアレイ10に含まれた一つのブロックBLKを抽出して示している。ブロックBLKは、複数(例えば4つ)のストリングSTR0、STR1、STR2、STR3を含む。
【0020】
各ストリングSTR0~STR3は、複数のNANDストリングスNSの集合体である。各NANDストリングスNSの一端は、ビットラインBL0~BLm(mは1以上の整数)のいずれかに接続されている。NANDストリングスNSの他端は、ソースラインSLに接続されている。各NANDストリングスNSは、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTn(nは1以上の整数)、第1選択トランジスタS1、及び第2選択トランジスタS2を含む。
【0021】
複数のメモリセルトランジスタMT0~MTnは、電気的に互いに直列に接続されている。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及びメモリ積層膜(例えば電荷蓄積膜)を含み、データを不揮発に記憶する。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートに印加された電圧に応じて、メモリ積層膜の状態を変化させる(例えば電荷蓄積膜に電荷を蓄積する)。メモリセルトランジスタMTの制御ゲートは、対応するワードラインWL0~WLnのいずれかに接続されている。メモリセルトランジスタMTは、ワードラインWLを介して、ロウデコーダ11と電気的に接続されている。
【0022】
各NANDストリングスNSにおける第1選択トランジスタS1は、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTnと、いずれかのビットラインBL0~BLmとの間に接続されている。第1選択トランジスタS1のドレインは、いずれかのビットラインBL0~BLmに接続されている。第1選択トランジスタS1のソースは、メモリセルトランジスタMTnに接続されている。各NANDストリングスNSにおける第1選択トランジスタS1の制御ゲートは、いずれかの選択ゲートラインSGD0~SGD3に接続されている。第1選択トランジスタS1は、選択ゲートラインSGDを介して、ロウデコーダ11と電気的に接続されている。第1選択トランジスタS1は、所定の電圧が選択ゲートラインSGD0~SGD3のいずれかに印加された場合に、NANDストリングスNSとビットラインBLとを接続する。
【0023】
各NANDストリングスNSにおける第2選択トランジスタS2は、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTnと、ソースラインSLとの間に接続されている。第2選択トランジスタS2のドレインは、メモリセルトランジスタMT0に接続されている。第2選択トランジスタS2のソースは、ソースラインSLに接続されている。第2選択トランジスタS2の制御ゲートは、選択ゲートラインSGSに接続されている。第2選択トランジスタS2は、選択ゲートラインSGSを介して、ロウデコーダ11と電気的に接続されている。第2選択トランジスタS2は、所定の電圧が選択ゲートラインSGSに印加された場合に、NANDストリングスNSとソースラインSLとを接続する。
【0024】
なお、メモリセルアレイ10は、前記で説明した以外のその他の回路構成であってもよい。例えば、各ブロックBLKが含む各ストリングSTRの個数、各NANDストリングスNSが含むメモリセルトランジスタMT、ならびに選択トランジスタSTD及びSTSの個数は、変更されてもよい。また、NANDストリングスNSが1つ以上のダミートランジスタを含んでいてもよい。
【0025】
<1-3>半導体装置の構造
以下に、本実施形態に係る半導体装置1の構造の一例について詳しく説明する。
尚、以下で参照される図面のうち、斜視図には、図を見易くするためにハッチングが適宜付加されている。斜視図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の詳細構造を示す部分断面図である。
図3に示す半導体装置1は、回路チップ100とアレイチップ200が貼り合わされた3次元メモリである。回路チップ100は「第1積層体」の一例であり、アレイチップ200は「第2積層体」の一例である。
アレイチップ200は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ10と、メモリセルアレイ10上の絶縁層52と、メモリセルアレイ10下の層間絶縁膜54を備えている。絶縁層52は例えば、シリコンと酸素を含む絶縁膜またはシリコンと窒素を含む絶縁膜である。層間絶縁膜54は例えば、シリコンと酸素を含む絶縁膜、またはシリコンと酸素を含む絶縁膜とその他の絶縁膜を含む積層膜である。
【0027】
回路チップ100は、
図3においてアレイチップ200下に設けられている。符号Sは、アレイチップ200と回路チップ100との貼合面を示す。回路チップ100は、層間絶縁膜(第1絶縁膜)53と、層間絶縁膜53下の基板(第1基板)15とを備えている。層間絶縁膜53は例えば、シリコンと酸素を含む絶縁膜、またはシリコンと酸素を含む絶縁膜とその他の絶縁膜を含む積層膜である。基板15は例えば、シリコン基板などのp型の半導体基板である。
【0028】
図3では、基板15の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板15の表面に垂直なZ方向とを示している。
【0029】
回路チップ100は、複数の回路側トランジスタ31を備えている。各回路側トランジスタ31は、基板15上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極32と、基板15内に設けられたソース拡散層31Aおよびドレイン拡散層31Bを備えている。
回路チップ100は、これら回路側トランジスタ31のゲート電極32上、ソース拡散層31A上、またはドレイン拡散層31B上に設けられた複数のコンタクトプラグ33を有する。更に、これらのコンタクトプラグ33上に設けられ、複数の配線を含む配線層34と、配線層34上に設けられ、複数の配線を含む複数層の配線層35を備えている。
【0030】
回路チップ100は、更に、配線層35上に設けられ、配線を含む複数の配線層36と、配線層36上に設けられた複数のビアプラグ37と、これらのビアプラグ37上に設けられた複数の金属パッド(第1パッド)38を備えている。配線層34、35、36、ビアプラグ37などは層間絶縁膜53により覆われている。
図3に示す層間絶縁膜53の上面が上面S10(
図6に図示)とされる。
配線層36は、例えば、W(タングステン)を含む。ビアプラグ37は、例えば、Cu(銅)またはWを含む。ビアプラグ37は「第1ビア」の例である。金属パッド38は、例えば、CuまたはAl(アルミニウム)を含む。
回路チップ100は、アレイチップ200の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。この制御回路は、回路側トランジスタ31などにより構成されており、回路側トランジスタ31は金属パッド38に電気的に接続されている。
【0031】
アレイチップ200は、メモリセルアレイ10内の電極層として複数のワードラインWLを備え、更にソースラインSLを備えている。
図3では、メモリセルアレイ10の階段構造部STを含めた複数のワードラインWLを示している。各ワードラインWLは、コンタクトプラグ22を介してワード配線層23と電気的に接続されている。複数のワードラインWLを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ24を介しビットラインBLと電気的に接続され、かつソースラインSLと電気的に接続されている。メモリセルアレイ10は、情報を記録するための「機能アレイ」の一例である。
【0032】
アレイチップ200は、回路チップ100の金属パッド38上に設けられた複数の金属パッド41と、金属パッド41上に設けられた複数のビアプラグ42を備えている。
図3に示すアレイチップ200の下面が上面S20(
図6に図示)とされ、金属パッド41の下面は上面S20に位置されている。
図3では、上面S10と上面S20との境界を、境界面Sとして図示している。
また、アレイチップ200は、前記ビアプラグ42上に設けられ、複数の配線を含む配線層43を備えている。金属パッド41は、ビアプラグ42を介して配線層43と電気的に接続され、上面S20において回路チップ側の金属パッド38と接合されている。配線層43は、例えば、Wを含む。ビアプラグ42は、例えば、CuまたはWを含む。金属パッド41は、例えば、Cuを含む。
【0033】
アレイチップ200はさらに、階段構造部STとX方向において隣り合う領域において、配線層43の上方に設けられた複数のビアプラグ45と、これらビアプラグ45の上方であって、絶縁層52上に設けられた金属パッド46を備えている。また、絶縁層52上に配線層55が形成されている。
ビアプラグ45上方に位置するソースラインSLをZ方向に貫通する透孔が形成され、この透孔の内周側を埋めるように絶縁層52aが形成されている。絶縁層52aの内側にソースラインSLと絶縁層52をZ方向に貫通し、ビアプラグ45と接続された金属パッド46が形成されている。
【0034】
金属パッド46は例えば、CuまたはAlを含む層であり、
図3に示す半導体装置1の外部接続パッドなどとして機能する。金属パッド46は、ボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプなどにより実装基板や他の装置に接続可能とされる。
【0035】
なお、ビアプラグ45は
図3では図示簡略化のために1つのみ示しているが、実際には必要な本数のビアプラグ45が設けられる。また、コンタクトプラグ22も
図3では図示簡略化のために1つのみ示しているが、ワードラインWLに対応する本数のコンタクトプラグ22が設けられている。また、ビアプラグ24も図示簡略化のために1つのみ示しているが、各ビットラインBLに対し柱状部CLを接続するために必要な本数のビアプラグ24が設けられている。
【0036】
図3に示すソースラインSLは、例えば、ポリシリコンなどのn型の半導体層を含む。
ソースラインSLは、詳細には、絶縁層52側に位置する第1層70と、第1層70よりワードラインWLに近い側に位置する第2層71と、これらの層間に介在された中間層72を有する。柱状部CLと絶縁層52の間に位置する領域では中間層72が形成されておらず、第1層70と第2層71はZ方向に連続する厚さに形成され、両層は一体化されている。第1層70と第2層71は同じ半導体材料を含み、例えばn型のポリシリコンを含む。中間層72はシリコンと酸素を含む絶縁膜あるいはシリコンと窒素を含む膜を含む
。
【0037】
柱状部CLと絶縁層52の間の領域において中間層72が形成されていない理由は、以下の通りである。回路チップ100とアレイチップ200は後に説明する製造方法において詳細に説明するように、別々の工程で製造した後、貼合される。例えば、
図6に示す基板15上に種々の層を形成した回路ウェハW1と、基板(第2基板)16上に種々の層を形成したアレイウェハW2を
図7に示すように貼合して製造される。
図6に示すアレイウェハW2において、柱状部CLを形成する場合のホール加工のためのエッチング時に、中間層72を除去した結果、中間層72が除去されている。よって、柱状部CLを形成した領域以外の領域、例えば、階段構造部STに対応する領域と、ビアプラグ45を形成した領域などは中間層72が形成されている。他に、柱状部CLを形成していない領域においては、ソースラインSLにおいて中間層72を有する断面構造となる場合がある。
【0038】
図3に示す金属パッド46に対し、X方向に若干離間した位置であって、ソースラインSLの+Z方向側に、
図3に示す+Z方向に突出する突型の除電プラグ47が複数隣接形成されている。
図3に示すソースラインSL上には絶縁層52が形成されているが、絶縁層52を膜厚方向(Z方向)に貫通する透孔52bが形成され、この透孔52bを埋めるように除電プラグ47が形成されている。
図3の例では3つの除電プラグ47がX方向に所定の間隔をあけて隣接形成されている。
除電プラグ47は、後述するアレイチップ200の製造方法において除電効果を得る目的で設けられている。
【0039】
除電プラグ47を設ける位置は、一例として
図3に示す階段領域STを設けた位置の+Z方向側などを選択できるが、第1層70の+Z方向側の一部であれば、何れの位置に設けても良い。除電プラグ47を設ける位置は、アレイチップ200の平面視外周側であることが好ましい。除電プラグ47を3つ設ける場合、一例として、X方向に沿う幅250nm程度、スペース350nm程度になるように、アレイチップ200の平面視外周側に形成することができる。除電プラグ47の形成位置は、後に説明する
図8に例示する他の位置であってもよい。いずれに位置に設けるとしても、除電プラグ47は、絶縁層52をZ方向(膜厚方向)に貫通し、基板16に接するように形成され、柱状部CLを設けたセル領域外に形成されていれば良い。除電プラグ47の拡大断面を
図5に示すが、除電プラグ47の詳細構造については、後に半導体装置1の製造方法を説明した後に説明する。
【0040】
図4は、第1実施形態に係る柱状部CLの構造を示す断面図である。
図4に示すように、メモリセルアレイ10は、層間絶縁膜54(第2絶縁膜:
図3参照)上に交互に積層された複数のワードラインWLと複数の絶縁膜61とを備えている。ワードラインWLは、例えばWを含む。絶縁膜61は、例えばシリコンと酸素を含む。
【0041】
柱状部CLは、メモリ膜60、半導体ボディ65、およびコア66を順に含んでいてよい。
コア66は、アレイチップ200においてZ方向に延び、柱状である。コア66は、例えば、シリコンと酸素を含む。コア66は、半導体ボディ65の内側にある。
【0042】
半導体ボディ65は、アレイチップ200においてZ方向に延びる。半導体ボディ65は、底を有する筒状である。半導体ボディ65は、コア66の外側面を被覆する。半導体ボディ65は、例えばシリコンを含む。シリコンは、例えばアモルファスシリコンを結晶化させたポリシリコンである。半導体ボディ65は、第1選択トランジスタS1、メモリセルトランジスタMTおよび第2選択トランジスタS2のそれぞれのチャネルとして機能する。チャネルは、ソース側とドレイン側との間におけるキャリアの流路である。
【0043】
メモリ膜60は、Z方向に延びる。メモリ膜60は、半導体ボディ65の外側面を被覆する。メモリ膜60は、例えば、トンネル絶縁膜64、電荷蓄積膜63およびブロック絶縁膜62を含む。トンネル絶縁膜64、電荷蓄積膜63、ブロック絶縁膜62の順に、半導体ボディ65に近い位置に形成されている。
【0044】
トンネル絶縁膜64は、電荷蓄積膜63と半導体ボディ65の間に位置する。トンネル絶縁膜64は、例えばシリコンと酸素、または、シリコンと酸素と窒素とを含む。トンネル絶縁膜64は、半導体ボディ65と電荷蓄積膜63の間の電位障壁である。
【0045】
電荷蓄積膜63は、それぞれのワードラインWLおよび絶縁膜61とトンネル絶縁膜64との間に位置する。電荷蓄積膜63は、例えばシリコンと窒素を含む。電荷蓄積膜63は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。電荷蓄積膜63と複数のワードラインWLのそれぞれとが交差する部分は、それぞれトランジスタとして機能してよい。電荷蓄積膜63が複数のワードラインWLと交差する部分(電荷蓄積部)内の電荷の有無、または、蓄積された電荷量によって、メモリセルトランジスタMTはデータを保持する。電荷蓄積部は、それぞれのワードラインWLと半導体ボディ65との間にあり、周りを絶縁材料で囲まれている。
【0046】
ブロック絶縁膜62は、例えば、それぞれのワードラインWLおよび絶縁膜61と電荷蓄積膜63との間に位置する。ブロック絶縁膜62は、例えばシリコンと酸素を含む。ブロック絶縁膜62は、加工時に電荷蓄積膜63をエッチングから保護する。
【0047】
第1実施形態の半導体装置1は、
図3を基に説明したように、回路チップ100とアレイチップ200が貼り合わされた3次元メモリである。その製造方法は、回路チップ100とアレイチップ200を別々に製造した後に、境界面Sにて互いに貼り合せる方法が採用される。
以下に半導体装置1の製造方法の一例について説明する。
【0048】
<半導体装置1の製造方法>
図6と
図7は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法を説明するための断面図である。
図6は、複数のアレイチップ200を含むアレイウェハW2の一部と、複数の回路チップ100を含む回路ウェハW1の一部を示している。アレイウェハW2は「メモリウェハ」とも呼ばれ、回路ウェハW1は「CMOSウェハ」とも呼ばれる。
【0049】
図6に示すアレイウェハW2のZ方向に対する向きは、
図3に示すアレイチップ200のZ方向に対する向きとは逆である。本実施形態では、アレイウェハW2と回路ウェハW1とを貼り合わせることで半導体装置1を製造する。
図6は、貼合のために向きを反転する前のアレイウェハW2を示しており、
図3は、アレイウェハW2の向きを反転して貼合し、ダイシングされた後のアレイチップ200を示している。
【0050】
図6において、符号S20はアレイウェハW2の上面を示し、符号S10は回路ウェハW1の上面を示している。アレイウェハW2は、絶縁層52下に設けられた基板(第2基板)16を備える。基板16は例えば、シリコン基板などのp型の半導体基板である。
【0051】
本実施形態ではまず、
図6に示すように、アレイウェハW2の基板16上に、絶縁層52、ソースラインSL、層間絶縁膜54、階段構造部STを備えたメモリセルアレイ10などを形成する。例えば、基板16上に複数のビアプラグ45、複数の配線層43、複数のビアプラグ42、および複数の金属パッド41が順に形成される。
【0052】
また、
図6に示すように、回路ウェハW1の基板15上に層間絶縁膜53、トランジスタ31、複数の金属パッド38などを形成する。例えば、基板15上にコンタクトプラグ33、複数の配線層34、複数の配線層35、複数の配線層36、複数のビアプラグ37、および複数の金属パッド38が順に形成される。
【0053】
なお、層間絶縁膜54内に形成された複数のワードラインWLは、製造工程の初期段階において、犠牲層を用いて形成できる。具体的には、異なる絶縁材料からなる層状の絶縁膜と層状の絶縁膜を交互に堆積して積層物を構成する。この後、積層物をZ方向に貫通するホールを複数形成し、このホールを介し一方の絶縁層をエッチングにより除去し、もう一方の絶縁層を残す。このエッチングにより、絶縁層を交互に除去した空洞領域を生成できるので、後工程において空洞領域に金属層を充填することにより複数のワードラインWLを形成できる。
【0054】
なお、ワードラインWLの形成時に設けるホールは、ソースラインSLに達する深さに形成しておき、必要なホールの内側に図示しない絶縁膜を成膜する。以上の工程により形成される図示しない絶縁膜は、
図1に示すブロックBLKの境界として機能する。
この後、必要な絶縁膜の堆積と絶縁膜の必要な位置へのホール加工、ホール加工部分への電極材料の埋め込み、絶縁膜上への配線層の形成、絶縁膜の堆積を必要回数繰り返す。これにより、
図6に示すビアプラグ24、ビットラインBL、配線層43、ビアプラグ42、金属パッド41の形成と絶縁膜の堆積を繰り返し、
図6に示す構造のアレイウェハW2を形成できる。
【0055】
次に、
図7に示すように、回路ウェハW1にアレイウェハW2を貼り合せる。貼り合わせに際し、アレイウェハW2のZ方向上端と下端を上下逆転し、アレイウェハW2の上面S20を下向きとして回路ウェハW1の上面S10に貼り合わせる。張り合わせにより、アレイウェハW2の金属パッド41と回路ウェハW1の金属パッド38が接触される。
アレイウェハW2と回路ウェハW1とは、機械的圧力により貼り合わせてよい。これにより、層間絶縁膜53と層間絶縁膜54が接着される。
【0056】
次に、貼合されたアレイウェハW2および回路ウェハW1を400℃程度の高温でアニールする。これにより、金属パッド41と金属パッド38を境界面Sにおいて接合することができる。
【0057】
その後、基板16をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去する。このとき、基板15をCMPにより薄膜化してもよい。こうして、
図3の半導体装置1に近い構造を製造する。
この後、絶縁層52とソースラインSLの必要位置にホール加工を行い、ホール内に絶縁膜を形成し、金属パッド46の形成、配線層55の形成などを行った後、アレイウェハW2および回路ウェハW1を複数のチップにダイシングにより切断して
図3に示す構造の半導体装置1を得ることができる。
図3は、複数の金属パッド38を含む回路チップ100と、各金属パッド38上に配置された金属パッド41を含むアレイチップ200を示している。
【0058】
図6に示すアレイウェハ200を製造する場合、柱状部CLの上に絶縁膜を堆積してビアプラグ24、ビットラインBLなどを形成した途中段階のアレイウェハの一例を
図8に示す。
図8では、柱状部CLの断面を簡略化して示し、コンタクトプラグ22を複数本記載し、ビアプラグ45を複数本記載している。
【0059】
図8に示すソースラインSLは、先に説明したように第1層70と第2層71と中間層72を有する。
図8に示す例では、第1層70の-Z方向側であって、ビアプラグ45を設けた位置より-X方向側に3つの除電プラグ47が形成されている。
図8に示す例では更に、第1層70の-Z方向側であって、+X方向端にも3つの除電プラグ47が示されている。除電プラグ47の形成位置は、
図3に示す構造と厳密には異なっているが絶縁層52を厚さ方向に貫通して基板16に接している構成は、
図3に示す構成と等価な例として以下に説明する。
【0060】
除電プラグ47は
図5に拡大して示すように、絶縁層52を貫通してp型の半導体を用いた基板16の上面に接触されている。基板16の上面において除電プラグ47の先端(
図5の下端)が基板16に接する部分には、p++領域である高濃度領域75が形成されている。この高濃度領域75のX方向幅およびY方向幅は、除電プラグ47の先端のX方向幅およびY方向幅より大きく形成されている。
【0061】
高濃度領域75は、p型の半導体である基板16の上面にアクセプターとなるイオンを注入して形成したP++領域である。高濃度領域75は、基板16よりもキャリア密度の高い高濃度領域である。これに対し、ソースラインSL(第1層70)を構成するポリシリコンはn型の半導体層を含み、
図5に示すようにn++領域と表記できる。また、除電プラグ47は第1層70に含まれる半導体と同じ半導体を含む。
除電プラグ47の先端側には、前述のアクセプターとなるイオンが拡散された拡散層76が形成されている。拡散層76は、一例として除電プラグ47のZ方向高さの1/5程度の領域に形成されている。アクセプターとなる元素はB(ボロン)などを選択できる。
【0062】
p++領域である高濃度領域75においては、一例として、1×1012個/mm3程度キャリア密度となるように不純物イオンがドーピングされている。高濃度領域75の不純物濃度は、例えば、1×1011個/mm3程度~1×1020個/mm3程度の範囲まで、p++領域を形成できる範囲の密度を選択することができる。
【0063】
図5に示す断面構造では、p++領域である高濃度領域75とn++領域である除電プラグ47が接触しているので、この接触部分に形成される空乏層は薄くなり、耐圧の低いpn接合部77を構成している。即ち、
図5に示す構造においては、ソースラインSLから除電プラグ47を介し基板16に至る経路の途中に耐圧の低いpn接合部77が設けられている。
【0064】
図8の構造を製造するには、イオンビームエッチングなどの方法を用いてワードライン形成用の絶縁膜の積層物に対しホールを形成し、このホールを介し一方の絶縁膜を除去して金属層を形成しワードラインWLを形成するとともに、ホール内に絶縁膜を形成する必要がある。また、ワードライン形成用の絶縁膜の積層物に対し柱状部CLを形成する必要がある。これらホールや柱状部CLを形成し、種々の加工を施す場合、製造時の種々の条件によりホールとその周囲のソースラインSLにプラスの電荷が蓄積される場合がある。
このプラスの電荷が蓄積された状態でそのまま加工を続行し、複数の絶縁膜の堆積とビアプラグ24、ビットラインBL、配線層43、ビアプラグ42などの形成を行うと、製造上の問題を生じ、製造歩留まりが低下することがある。例えば、ビットラインBLを構成するCuなどの金属の一部が消失するか、ビアプラグ42を構成する金属の一部が消失する場合が考えられる。
【0065】
ここで、前述のようにソースラインSLから除電プラグ47を介し基板16に至る経路の途中に耐圧の低いpn接合部77が設けられている。このため、仮にソースラインSLにプラスの電荷が蓄積されたとして、基板16に正極をソースラインSLに負極を接続して電圧を掛けてゆくと、何れ電流が流れるので、耐圧の低いpn接合部77を介し基板16側にプラスの電荷を逃がすことができる。このため、ソースライン(半導体層)SLの除電が可能であり前述の製造歩留まりの低下を抑制することができる。
p++型の半導体とn++型の半導体が接していると、接触界面に薄い空乏層が生成し、pn接合部77の耐圧が低下する結果、プラスの帯電量が増加すると電気が半導体基板16側に流れ易くなる。このため、
図5に示す構造を備えた
図8に示すアレイウェハW2では、除電が容易となる効果がある。
【0066】
これに対し、例えば、高濃度領域75が存在しない構造においては、ソースラインSLがn++型の半導体を含み、基板16の表面がp型の半導体の場合、
図10に示す構造となる。
図10に示す構造では、絶縁層52を貫通して設けられる除電プラグ49の全体がn++型の半導体からなり、基板16はp型半導体基板である。
図10に示す構造では、ソースラインSLにプラスの電荷がチャージされると逆バイアスとなり、プラスの電荷が基板16側に抜け難くなり、除電が十便にできない可能性がある。
【0067】
なお、プラスの電荷がソースラインSLに残留し、除電されない場合、そのまま製造工程を続行すると、以下の状態になるおそれがある。
例えば、ソースラインSLが正の電荷に帯電すると、ソースラインSLに接続されている柱状部CLも正の電荷に帯電し、柱状部CLに接続されているビアプラグ24、ビットラインBL、ビアプラグ42もプラスの電荷に帯電することとなる。
例えば、ビットラインBLの形成時、ビットラインBLを構成するCuに電荷が作用し、エッチングに用いる塩酸やフッ酸にコリン水溶液などのアルカリ系薬液の介在により局部電池が構成される。この結果、酸化還元反応によりCuが溶解する。このため、正の電荷を帯電させたまま次工程に至ると、ビットラインBLやビアプラグ24、42などの一部が溶解する場合が考えられる。
【0068】
これに対し、除電プラグ47を設けて耐圧の低いpn接合部77を形成し、除電可能な構造としておくならば、ビットラインBLの一部消失やビアプラグ42の一部消失などの問題を軽減できる。
【0069】
<除電プラグの製造方法>
図5に示す構造を製造するには、p型の半導体基板16の表面にドーピングイオンを注入して半導体基板16よりキャリア密度の高い高濃度領域75を形成し、半導体基板16上に高濃度領域75と半導体基板16の表面を覆う絶縁層52を形成する。次に、絶縁層52に該絶縁層52を厚さ方向に貫通して高濃度領域75に達する透孔52bを形成した後、透孔52bを埋めるn型の半導体を含む除電プラグ47を形成するとともに絶縁層52上にn型の半導体層である第1層70を形成する。
これにより、除電プラグ47と高濃度領域75の接触部分にpn接合部77を形成できる。
【0070】
第1層70を形成後、中間層72を積層し、第2層71を積層し、ソースラインSLを形成できる。この後、ソースラインSL上に層間絶縁膜54、電極層WL、電極層WLを貫通する柱状部CLを形成する。柱状部CLを形成するにあたり、柱状部CLを形成するためのホールを形成する際、各ホールが第1層70に到達するように形成する。各ホールを形成する場合、その下の中間層72は除去されるので、
図3、
図7、
図8などに示すように中間層72の一部を除去した構造が得られる。
【0071】
ところで、
図3に示す貼合構造の半導体装置1では、製造工程の途中において基板16が除去されているので、除電を行うタイミングは
図7に示すようにCMPにより基板16を除去する前段階で行う。
例えば、ビアプラグ24、ビットラインBL、ビアプラグ42などの作成時にソースラインSLがプラスに電荷に帯電しているとこれらの作成に支障が出る場合が考えられるので、これらの作成前の段階で必要な回数除電しておくことがより好ましい。また、プラスの電荷に帯電する可能性は、柱状部CLを作成する段階や犠牲層を除去する前段階におけるリアクティブイオンエッチングの段階であることを重要視する場合、柱状部CLを形成後または電極層WLの形成後、できるだけ早期に実施しても良い。
【0072】
除電後、半導体装置1の製造を進めると、基板16は除去されて
図3に示す構造となるが、除電プラグ47は
図3に示す半導体装置1の内部に残留することとなる。
貼合構造の半導体装置1の場合、貼合時にアレイウェハW2および回路ウェハW1を400℃程度の高温でアニールする工程が存在する。除電プラグ47の先端と高濃度領域77は接触しているため、このアニール工程により注入した元素の拡散がなされ、除電プラグ47の先端には注入元素の拡散層76が生成する。この拡散層76が存在することは、半導体装置1において、基板16の除去後の構造であっても除電プラグ47を備えた
図5に示す構造を適用したことの痕跡である。
【0073】
なお、一般的な半導体装置を製造する場合、基板上に絶縁層や導電層、半導体層などを複数積層した積層物を必然的に形成する。次に、前記積層物に対しエッチングによる加工や加工後の配線などを経て目的の層構造を有する半導体装置が作成される。
しかし、基板上に形成した半導体層などが加工途中にプラス側に帯電すると半導体層に正の電荷が蓄積される場合がある。この場合、後加工のエッチング時に電荷に起因する上述のような予定外の反応が発生し、目的の構造を作成できないことが考えられる。
【0074】
従って、半導体層がプラスの電荷に帯電した場合にプラスの電荷を半導体基板側に逃がして除電できる除電プラグを設けた構造が重要である。そして、除電プラグは前述の構成を採用できる。
前述の除電プラグは、これまで説明した構成の半導体装置1の除電に限らず、半導体基板上に絶縁層と半導体層を備える一般的な半導体装置の除電に広く適用することができ、有効な除電対策となる。
【0075】
図9は、p型のシリコンを用いた基板16と絶縁層52と第1層70を積層した構造において、絶縁層52を貫通する除電プラグ48を設けた場合、除電プラグ48をp++領域となる高濃度な半導体を用いて形成した第2実施形態の構造を示す。
図9に示す構造においても、ソースラインSLと除電プラグ48との接合界面に薄い空乏層を伴うpn接合部78を有するので、pn接合部78において耐圧を低下できる結果、除電可能な構造となる。
【0076】
図9に示す構造を製造するには、p型の半導体基板16の表面に絶縁層52を形成する。次に、絶縁層52に該絶縁層52を厚さ方向に貫通して半導体基板16の表面に達する透孔52bを形成した後、透孔52bを埋めるp++の高濃度領域の半導体を含む除電プラグ48を形成する。除電プラグ48を形成するには、p型の半導体層を透孔52bに充填形成した後、必要なドーピングイオンを注入して半導体基板16よりキャリア密度の高い高濃度領域となる除電プラグ48を形成できる。
次いで、絶縁層52上と除電プラグ48上にn型の半導体層である第1層70(ソースラインSL)を形成する。
これにより、第1層70と除電プラグ48の接触部分にpn接合部78を形成できる。
【0077】
なお、
図9では除電プラグ48の全体にp++の高濃度領域の半導体を含む例を説明したが、除電プラグ48の全体にp++の高濃度領域の半導体を含む必要はない。
例えば、
図9に示す除電プラグ48の上部にはp++の高濃度領域の半導体層を含み、除電プラグ48の下部には半導体基板16と同等の材料を含むようにしても良い。
例えば、
図9に示す除電プラグ48の下部にはp++の高濃度領域の半導体層を含み、除電プラグ48の上部にはソースラインSLの構成材料であるn++型の半導体層を含むようにしても良い。
例えば、
図9に示す除電プラグ48のZ方向中央部にはp++の高濃度領域の半導体層を含み、この半導体層の上部側にn++型の半導体層を第1層70(ソースラインSL)と接するように形成し、下部側にp++型の半導体層を半導体基板16に接するように形成することもできる。
これら何れの構造においても、半導体基板に対し除電プラグが接触した部分と、除電プラグの少なくとも一部と、半導体層において除電プラグが接触した部分のいずれかにpn接合部を有する構造であると説明できる。
【0078】
また、
図5に示す構造ではp++の高濃度領域75を基板16側に設けたが、ソースラインSL(第1層70)において除電プラグと接続する部分にp++の高濃度領域75を設け、除電プラグに基板16と同じ材料を含んでも良い。
【0079】
ところで、第1実施形態の半導体装置1は、複数のチップに切断された後の
図3の状態であっても良いし、複数のチップに切断される前の
図7の状態であってよい。
図3は、チップの状態の半導体装置を示し、
図7は、ウェハの状態の半導体装置を示している。第1実施形態では、1つのウェハ状の半導体装置(
図7)から、複数のチップ状の半導体装置(
図3)が製造される。
【0080】
図6、
図7に例示した回路ウェハW1とアレイウェハW2には、回路チップ100とアレイチップ200が1つずつ描かれている。実用的な生産モデルでは、
図11に示すように回路ウェハW1に複数の回路チップ100に相当する部分が複数形成され、アレイウェハW2に複数のアレイチップ200に相当する部分が複数形成されている。回路ウェハW1とアレイウェハW2を張り合わせ後、両ウェハからダイシングによりチップ状に切り出すことで、
図3に示す回路チップ100とアレイチップ200を貼り合わせた構造が得られる。
【0081】
なお、
図11に示す例において、アレイチップ200とアレイチップ200は隣接していなくとも良く、隣接されていても良い。同様に、回路チップ100と回路チップ100は隣接していなくともよく、隣接されていても良い。
【0082】
以上、複数の実施形態について説明したが、これら実施形態は前記した例に限定されない。例えば、メモリ積層膜は、分極の方向によりデータを記憶するFeFET(Ferroelectric FET)メモリに含まれる強誘電体膜であってもよい。強誘電体膜は、例えば、ハフニウム酸化物で形成される。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
1…半導体(記憶)装置、2…メモリコントローラ、
10…メモリセルアレイ(機能アレイ)、15…基板(第1基板)、
16…基板(第2基板:p型の半導体基板)、38…金属パッド(第1パッド)、
41…金属パッド(第2パッド)、47、48…除電プラグ、
52…絶縁層、53…層間絶縁膜(第1絶縁膜)、54…層間絶縁膜(第2絶縁膜)、
55…配線層、76…拡散層、77、78…pn接合部、
100…回路チップ(第1積層体:論理回路)、200…アレイチップ(第2積層体)、
BL…ビットライン、CL…柱状部、MT…メモリセルトランジスタ、S…貼合面、
SL…ソースライン(第2半導体層:n型の半導体層)、
WL…ワードライン(電極層)。