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特開2024-133993上位に順位付けされた複数の動画像の同時提供
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133993
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】上位に順位付けされた複数の動画像の同時提供
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2665 20110101AFI20240926BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240926BHJP
   H04N 21/239 20110101ALI20240926BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20240926BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240926BHJP
【FI】
H04N21/2665
H04B7/08 800
H04N21/239
H04N23/45
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044050
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(72)【発明者】
【氏名】益子 宗
(72)【発明者】
【氏名】高見 啓佑
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C122DA03
5C122EA42
5C122EA67
5C122FA18
5C122FH11
5C122FH12
5C122GC23
5C122GC37
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
5C164SA26S
5C164SB29P
5C164SB41S
5C164SC04P
5C164YA21
5C164YA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】視聴者の嗜好に適合する動画像を含む複数の動画像を同時提供可能なネットワーク管理装置及びその通信制御方法を提供する。
【解決手段】ネットワーク管理装置において実行される通信制御方法は、複数の無線通信端末のカメラで、あるイベント会場にて行われるイベントを同時に撮影している複数の動画像を順位付けする順位付け処理S21と、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させるスループット増加処理S22と、上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する全体動画像信号生成処理S24と、動画像が再生される少なくとも1つの再生装置に、全体動画像信号を、再生装置で複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給する全体動画像信号供給処理S25と、を含む。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信端末のカメラで、あるイベント会場にて行われるイベントを同時に撮影している複数の動画像を順位付けする順位付け処理と、
前記順位付け処理で上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させるスループット増加処理と、
前記スループット増加処理で上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する全体動画像信号生成処理と、
動画像が再生される少なくとも1つの再生装置に、前記全体動画像信号生成処理で生成された前記全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給する全体動画像信号供給処理と、
を実行するプロセッサ
を備えるネットワーク管理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記順位付け処理において、少なくとも動画像の解像度および動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率に基づいて、前記解像度が良好な動画像を上位に、かつ前記面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする
請求項1に記載のネットワーク管理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記順位付け処理において、動画像内の所望のオブジェクトへの距離が近いカメラで撮影されている動画像を上位に順位付けする
請求項2に記載のネットワーク管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記順位付け処理を一度実行し、
前記順位付け処理の後、前記無線通信端末から継続的に供給される動画像に基づいて、前記全体動画像信号生成処理と前記全体動画像信号供給処理とを繰り返し実行する
請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク管理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記順位付け処理で決定された動画像を撮影した無線通信端末を順位とともに格納し、
前記全体動画像信号生成処理で使用された動画像が当該動画像に対応する無線通信端末から供給されなくなると、当該動画像の供給を停止した無線通信端末の後続順位の無線通信端末の順位を繰り上げる繰り上げ処理を実行し、
前記繰り上げ処理の実行後、前記繰り上げ処理で新たに上位に順位付けされた無線通信端末について上りリンクスループットを増加させる
請求項4に記載のネットワーク管理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、再生される動画像のオブジェクトが異なる複数のモードについて、前記順位付け処理と、前記スループット増加処理と、前記全体動画像信号生成処理とを並行して実行する
請求項1に記載のネットワーク管理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記イベントで特別な展開が予測されると、前記特別な展開に関連する複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させる特別スループット増加処理と、
前記特別スループット増加処理で上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む特別全体動画像信号を生成する特別全体動画像信号生成処理と、
前記再生装置に、前記特別全体動画像信号生成処理で生成された特別全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給する特別全体動画像信号供給処理と、
を実行する
請求項1に記載のネットワーク管理装置。
【請求項8】
前記特別な展開での注目オブジェクトの移動方向の少なくとも1つの候補を推定し、特別全体動画像信号生成処理において、推定された前記移動方向の候補に対応する区画を撮影した少なくとも1つの動画像を前記特別全体動画像信号内で推奨動画像としてマークする
請求項7に記載のネットワーク管理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記イベントで特別な展開が予測される限り、前記特別スループット増加処理と前記特別全体動画像信号生成処理と前記特別全体動画像信号供給処理とを、前記全体動画像信号生成処理と前記全体動画像信号供給処理に並行して実行する
請求項7または8に記載のネットワーク管理装置。
【請求項10】
複数の無線通信端末のカメラで、あるイベント会場にて行われるイベントを同時に撮影している複数の動画像を順位付けすることと、
上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させることと、
上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成することと、
動画像が再生される少なくとも1つの再生装置に、前記全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給することと、
を備える通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、上位に順位付けされた複数の動画像の同時提供に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスポーツなどのイベントの動画像を視聴する場合、視聴者の希望に応じた動画像を視聴者の表示装置に表示することができると便利である。特許文献1は、複数の競技者が参加するゲームの動画像の提供を開示する。特許文献1では、所定の切替条件が満たされると所定の表示条件を満たす競技者の動画像が自動的に表示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-010115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自動的に選択された動画像が必ずしも視聴者の嗜好に適合するとは限らない。
【0005】
そこで、本開示は、視聴者の嗜好に適合する動画像を含む複数の動画像を同時提供する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様は、ネットワーク管理装置を提供する。ネットワーク管理装置はプロセッサを有する。プロセッサは、複数の無線通信端末のカメラで、あるイベント会場にて行われるイベントを同時に撮影している複数の動画像を順位付けする順位付け処理と、前記順位付け処理で上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させるスループット増加処理と、前記スループット増加処理で上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する全体動画像信号生成処理と、動画像が再生される少なくとも1つの再生装置に、前記全体動画像信号生成処理で生成された前記全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給する全体動画像信号供給処理とを実行する。
【0007】
本開示の一態様においては、上位に順位付けされた複数の動画像を含む全体動画像を再生装置に供給するので、視聴者の嗜好に適合する動画像を含む複数の動画像を同時提供することができる。特に、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させるので、再生装置で再生される全体動画像の中の複数の動画像のフレームレートを向上させることができ、違和感なく精細な動画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る通信ネットワークを示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るネットワーク管理装置のブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る無線アンテナユニットの概略ブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る上りリンクの受信ビームフォーミングの概念図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係るスライシングの概念図である。
図6図6は、本開示の実施形態が適用されるサッカースタジアムの平面図である。
図7図7は、本開示の実施形態において全体動画像信号を受信する再生装置のブロック図である。
図8図8は、再生装置の表示装置に表示されるモード選択画面を示す図である。
図9図9は、再生装置の表示装置に表示されるプレイヤー選択画面を示す図である。
図10図10は、再生装置の表示装置に表示される区画選択画面を示す図である。
図11図11は、区画継続観察モードで再生装置の表示装置に表示される観戦画面を示す図である。
図12図12は、ボール追跡モードで再生装置の表示装置に表示される他の観戦画面を示す図である。
図13図13は、プレイヤー全身追跡モードで再生装置の表示装置に表示される観戦画面を示す図である。
図14図14は、プレイヤー全身追跡モードで再生装置の表示装置に表示される他の観戦画面を示す図である。
図15図15は、区画継続観察モードで再生装置の表示装置に表示される観戦画面を示す図である。
図16図16は、区画継続観察モードで再生装置の表示装置に表示される他の観戦画面を示す図である。
図17図17は、ゴール予測モードで再生装置の表示装置に表示される観戦画面を示す図である。
図18図18は、ゴール予測モードで再生装置の表示装置に表示される他の観戦画面を示す図である。
図19図19は、再生装置での動作を示すフローチャートである。
図20図20は、本開示の実施形態に係るネットワーク管理装置で実行される通信制御方法のフローチャートである。
図21図21は、図20の方法においてネットワーク管理装置に記憶される順位付け結果を示す概念図である。
図22図22は、本開示の実施形態に係るネットワーク管理装置で実行される他の通信制御方法のフローチャートである。
図23図23は、図22の方法においてネットワーク管理装置に記憶される順位付け結果を示す概念図である。
図24図24は、本開示の実施形態に係る通信制御方法のうちゴール予測モードでのネットワーク管理装置で実行される動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら本開示に係る実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
【0010】
図1に示すように、本開示の実施形態に係る通信ネットワークは、eNodeB(携帯電話基地局)、バックホールのトランスポートネットワーク10および交換局11を有する。説明の簡略化のため、図1は単一のeNodeBを示すが、通信ネットワークは、複数のeNodeBを有する。この通信ネットワークは、第5世代(5G)無線通信システムのためのネットワークである。
【0011】
各eNodeBは、1つのCU(Central Unit)1、複数のDU(Distributed Unit)および複数のRU(Radio Unit)20を備える。複数のDUはCU1に接続されている。
【0012】
CU1は、無線リソース制御、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)に従った動作、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)に従った動作などを行う。CU1は本開示のネットワーク管理装置に相当する。
【0013】
DUは、ユーザデータの変調・復調、符号化・復号化、スクランブリング、メディアアクセス制御などを行う。
【0014】
複数のRU20は1つのDUに接続されている。各RU20は、フェーズドアレイ型のアンテナ装置を有する無線アンテナユニットである。フェーズドアレイ型のアンテナ装置は多数の無線アンテナ素子を有する。アンテナ装置を用いて、各RU20は、複数のUE(ユーザ装置、User Equipment)30と無線通信することができる。
【0015】
UE(無線通信端末)30からの上りリンクのユーザデータは、少なくとも1つのRU20で受信され、そのRU20からDUおよびCU1に伝達される。CU1は、有線のバックホールのトランスポートネットワーク10を介して上りリンクのユーザデータを交換局11に送信する。交換局11は、インターネット12を介して、そのユーザデータを宛先の通信装置に向けて送信する。
【0016】
また、交換局11は、UE30を宛先とするユーザデータを受信すると、バックホールのトランスポートネットワーク10を介してそのユーザデータをUE30が在圏するeNodeBのCU1に送信する。CU1は、そのユーザデータを下りリンクのユーザデータとして、UE30が通信する少なくとも1つのRU20に接続されたDUに伝送する。DUは下りリンクのユーザデータをRU20に送信し、RU20は下りリンクのユーザデータを宛先のUE30に送信する。
【0017】
本開示の実施形態においては、各UE30は、5G無線通信可能なスマートフォンまたはタブレット端末であってもよいし、5G無線通信可能なウェアラブルカメラであってもよい。いずれにせよ、各UE30は、動画像を撮影するカメラ32を有する。
【0018】
CU1は、複数のUE30のカメラ32で撮影された動画像をRU20およびDUを介して上りリンクで受信し、これらの動画像を順位付けし、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する。そして、CU1は、トランスポートネットワーク10および交換局11を介して、インターネット12に接続された動画像が再生される少なくとも1つの再生装置13に全体動画像信号を供給する。CU1は、再生装置13で複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で、全体動画像信号を再生装置13に供給する。
【0019】
再生装置13は、他のeNodeBに在圏する無線通信端末(例えば、タブレット端末)であってもよいし、インターネット12に有線で接続された有線通信可能なコンピュータであってもよい。
【0020】
図2に示すように、CU1は、CPU(Central Processing Unit)すなわちプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、複数の通信インタフェイス(I/F)を有する。
【0021】
ROMまたはHDDには、CU1の動作に必要とされるコンピュータプログラムが格納されている。また、ROMまたはHDDには、CU1の動作に必要とされるパラメータなどのデータが格納されている。
【0022】
CPUは、ROMまたはHDDに格納されたデータを用いながら、ROMまたはHDDに格納されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って動作する。具体的には、CPUは上記のユーザデータの転送を行い、それに伴うPDCPに従った動作、SDAPに従った動作を行う。また、CPUは、無線リソース制御、すなわちCU1の圏内にある各UE30とRU20との通信設定を制御する。例えば、後述するように、CPUは、RU20のビームフォーミングの設定を制御する。さらに、CPUは、複数のUE30のカメラ32で撮影された動画像を上りリンクで受信し、これらの動画像を順位付けし、全体動画像信号を生成し、全体動画像信号を再生装置13に供給する。
【0023】
RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。
【0024】
複数の通信インタフェイスは、それぞれDUとバックホールのトランスポートネットワーク10に接続されている。
【0025】
図3は無線アンテナユニットであるRU20の概略ブロック図である。図3に示すように、RU20は、プリコーダ22、送信ビームフォーマー23、多数の送信アンテナ素子24a~24n、ポストコーダ25、受信ビームフォーマー26、および多数の受信アンテナ素子27a~27nを有する。
【0026】
図3には示さないが、RU20は、通信を実行するためのCPUすなわちプロセッサ、ROM、RAM、HDD、および通信インタフェイスを有する。ROMまたはHDDには、RU20の動作に必要とされるコンピュータプログラムが格納されている。また、ROMまたはHDDには、RU20の動作に必要とされるパラメータなどのデータが格納されている。CPUは、ROMまたはHDDに格納されたデータを用いながら、ROMまたはHDDに格納されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って動作する。具体的には、CPUはUE30とのユーザデータの無線通信と、DUとのユーザデータの有線通信を制御する。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。通信インタフェイスはDUに接続されている。
【0027】
送信アンテナ素子24a~24nはフェーズドアレイ型のアンテナ装置を構成する。プリコーダ22には、RU20から送信される複数のUE30を宛先とする下りリンクの信号が入力される。すなわち、プリコーダ22に入力される信号の数は、RU20から送信される下りリンクのストリーム(レイヤまたはランクとも呼ばれる)の数である。プリコーダ22は、下りリンクの送信ビームフォーミングに必要なプリコーディングを行う。プリコーディングは、UE30間およびストリーム間の干渉を低減する。プリコーダ22はディジタルプリコーダであってもよいし、アナログプリコーダであってもよいし、両者のハイブリッド型であってもよい。
【0028】
プリコーダ22の出力は送信ビームフォーマー23に供給される。送信ビームフォーマー23は、送信アンテナ素子24a~24nに与える信号の位相と振幅を調節する。送信ビームフォーマー23はディジタルビームフォーマーであってもよいし、アナログビームフォーマーであってもよいし、両者のハイブリッド型であってもよい。送信ビームフォーマー23から出力される信号の数は、送信アンテナ素子24a~24nの数である。
【0029】
受信アンテナ素子27a~27nはフェーズドアレイ型のアンテナ装置を構成する。受信ビームフォーマー26には、受信アンテナ素子27a~27nからの信号が供給される。受信ビームフォーマー26に供給される信号の数は、受信アンテナ素子27a~27nの数である。受信ビームフォーマー26は、受信アンテナ素子27a~27nから供給される信号の位相と振幅を調節する。受信ビームフォーマー26はディジタルビームフォーマーであってもよいし、アナログビームフォーマーであってもよいし、両者のハイブリッド型であってもよい。
【0030】
受信ビームフォーマー26の出力はポストコーダ25に供給される。ポストコーダ25は、上りリンクの受信ビームフォーミングに必要なポストコーディングを行い、RU20に在圏する複数のUE30から受信される上りリンクの信号を分離する。すなわち、ポストコーダ25から出力される信号の数は、UE30からRU20に送信された上りリンクのストリームの数である。ポストコーディングは、UE30間およびストリーム間の干渉を低減する。ポストコーダ25はディジタルポストコーダであってもよいし、アナログポストコーダであってもよいし、両者のハイブリッド型であってもよい。
【0031】
5G無線通信システムでは、高い伝送スループットを確保するため、ミリ波スループットの搬送波が使用されている。ミリ波スループットの搬送波の到達距離は短いため、多数のアンテナ素子を利用したMassive-MIMO伝送方式が採用され、ビームフォーミングの使用により、実質的に到達距離が伸長されている。
【0032】
図4は上りリンクの受信ビームフォーミングの概念を示す。前提として、RU20は、定期的またはUE30からの要求に応じて、多方向に被測定ビームを送信する(被測定ビームをスイープする)。各UE30は、これらの被測定ビームで送信される信号、例えばCSI-RS(チャネル状態情報参照信号)の受信電力または受信品質を測定し、測定結果を報告する。測定結果の報告(チャネル状態情報報告)に基づいて、RU20の受信ビームフォーマー26は、各UE30にメインローブ40が向くように、上りリンクの受信ビームを形成する。より正確にいえば、あるUE30からの搬送波のRU20での受信品質がRU20にとってのそのUE30の方向で最大になるように、受信アンテナ素子27a~27nから供給される信号の位相と振幅を調節する。メインローブ40は、ビームフォーミングの結果、多数の受信アンテナ素子27a~27nが送信アンテナ素子であると仮定したならば、これらの送信アンテナ素子の協働作用で形成されるビームの形状に相当する。また、ビームフォーミングの結果、サイドローブ41も形成される。各UE30からの上りリンクのユーザデータ、すなわちPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)のデータは、当該UE30からのビームで搬送される。
【0033】
RU20は、各UE30のために個別に上りリンクの受信ビームフォーミングを行う。しかし、あるUE30の近隣のUE30からの上りリンクのビームは、そのUE30の上りリンクのビームに干渉し、そのUE30のためのユーザデータのRU20での受信品質を低減させる。つまり、あるUE30からのビームは、同方向の他のUE30からのビームにとって有害である。ポストコーダ25は、干渉を低減するためにポストコーディングを行う。
【0034】
上りリンクのポストコーディング技術として、例えば、線形分離としてZFおよびMMSE法が知られており、非線形分離としてMLD(Maximum Likelihood Detection)が知られている。
【0035】
ZFポストコーディングでは、RU20(受信側)での複数UE30からのビームの相互の干渉が最小となるよう、ポストコーディングの重み付けが設定される。MMSEポストコーディングでは、受信側(RU20)での干渉成分と受信側での熱雑音成分の両方の影響を考慮して、ポストコーディングの重み付けが設定される。MLDポストコーディングでは、最尤判例に基づいて信号分離が行われる。
【0036】
MLDポストコーディングでは、ZFポストコーディングおよびMMSEポストコーディングに比べて、受信側であるRU20での受信品質、例えば、PUSCHのSNRおよび/またはSINRを向上させることができる。すなわち、MLDポストコーディングは、上りリンクのビームフォーミングにおける受信側(RU20)での受信品質を向上させる技術である。
【0037】
本実施形態において、各RU20は、2つのポストコーディング手法を実行することができる。1つは、上りリンクのビームフォーミングにおけるRU20での受信品質が高いMLDポストコーディングであり、他の1つは上りリンクのビームフォーミングにおけるRU20での受信品質が低いZFポストコーディングまたはMMSEポストコーディングである。2つのポストコーディング技術を実行するため、各RU20は2つのポストコーダ25を有していてもよい。
【0038】
以下、あるUE30について、そのUE30からの送信ビームのRU20での受信品質を向上させるようにポストコーディング手法を切り替える(すなわちZFまたはMMSEからMLDにポストコーディング手法を切り替える)ことを第1のポストコーディング調整処理と呼ぶ。逆に、あるUE30について、そのUE30からの送信ビームのRU20での受信品質を低下させるようにポストコーディング手法を切り替える(すなわちMLDからZFまたはMMSEにポストコーディング手法を切り替える)ことを第2のポストコーディング調整処理と呼ぶ。
【0039】
図5は本実施形態に係るスライシングの概念を示す。図5の利用可能な通信リソースは、RAN(無線アクセスネットワーク)、バックホールのトランスポートネットワーク10(図1)、およびコアネットワークを有する。ここで、RANはeNodeB内の有線のフロントホールネットワークであり、コアネットワークは交換局11内の有線ネットワークである。
【0040】
本実施形態において、利用可能な通信リソースは、複数のUEのために利用可能な共用スライスと、個別のUEのために利用可能な通信リソースに分類される。図5は、個別のUEのために利用可能な通信リソースの一部が3つのUEのための専用スライスとして現在利用されていることを示す。残りの利用可能な通信リソースは未利用スライスである。本開示に係るスライシングされる通信リソースは、主に有線リソースであるが、有線リソースに限定されず、無線リソースであってもよい。
【0041】
図1に示すように、交換局11は、E2EO(End to End orchestrator)、スライスマネージャ、およびUPF(User Plane Function)を有する。本実施形態では、E2EOはスライスの管理を行う。具体的には、CU1からの要求に従って、E2EOは特定のUE30のために専用スライスを割り当てたり、専用スライスの割り当てを廃止したりするための指令をスライスマネージャに与える。スライスマネージャは、この指令に従って、専用スライスの割り当ておよび廃止を行う。スライスマネージャによる専用スライスの割り当てが完了すると、CU1およびUPFは、専用スライスの割り当てに従って、対応するUE30のために通信リソースを使用する。スライスマネージャによる専用スライスの割り当ての廃止が完了すると、CU1およびUPFは、割り当ての廃止に従って、対応するUE30が共用スライスを使用するように制御する。
【0042】
図6は、本開示の実施形態が適用されるスタジアムの平面図である。図示のスタジアムは、サッカーゲーム(イベント)が行われるサッカースタジアム(イベント会場)である。
【0043】
サッカースタジアムは、ピッチまたはフィールドF、フィールドFの周囲の1階席(first-floor seats or ground-floor seats)1F、1階席1Fの周囲の2階席(second-floor seats or balcony seats)2Fを有する。サッカーゲームが行われている間、フィールドFには、複数の人間Pがいる。人間Pはプレイヤー、レフェリー、ラインズマンを含む。プレイヤーはボールBを奪い合う。
【0044】
サッカースタジアムの観客席エリア(1階席1Fおよび2階席2F)には、1つのDUに接続された多数のRU20が互いに間隔をおいて配置されている。これらのRU20の各々の位置に関する情報は、CU1の例えばHDDに格納されている。
【0045】
また、観客席エリアには、多数のUE30が存在する。多数のUE30はそれぞれ観客の人に携帯されている。現在、多くのUE30はカメラ32を有する。サッカースタジアムの観客の中には、フィールドFにUE30のカメラ32を向けて、ゲームの動画像を撮影する者もいる。図6において、UE30から延びる2つの線は、そのような撮影に使用されているカメラ32の視野を表現する。上記の通り、各UE30は、5G無線通信可能なスマートフォンまたはタブレット端末であってもよいし、5G無線通信可能なウェアラブルカメラであってもよい。
【0046】
UE30のカメラ32でゲームの動画像を撮影している観客の中には、RU20を介して動画像をCU1に継続的にアップロードする者もいる。後述するように、CU1は、複数のUE30のカメラ32でゲームを同時に撮影している複数の動画像を順位付けし、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を再生装置13(図1参照)に供給する。
【0047】
本開示の実施形態では、観客席エリアは、複数の(実施形態では8つの)領域R1~R8に区分されている。領域R1,R5はサイドエリアであり、領域R3,R7はエンドエリアであり、領域R2,R4,R6,R8はコーナーエリアである。領域R1は、フィールドFの中央の区画Z1に最も近く、区画Z1の観察に最適である。換言すれば、領域R1にあるUE30のカメラ32で撮影された動画像は、区画Z1の観察に最適である。領域R2は、フィールドFのコーナーの区画Z2に最も近く、区画Z2の観察に最適である。領域R3は、フィールドFのゴール裏の区画Z3に最も近く、区画Z3の観察に最適である。領域R4は、フィールドFのコーナーの区画Z4に最も近く、区画Z4の観察に最適である。領域R5は、フィールドFの中央の区画Z5に最も近く、区画Z5の観察に最適である。領域R6は、フィールドFのコーナーの区画Z6に最も近く、区画Z6の観察に最適である。領域R7は、フィールドFのゴール裏の区画Z7に最も近く、区画Z7の観察に最適である。領域R8は、フィールドFのコーナーの区画Z8に最も近く、区画Z8の観察に最適である。但し、どの領域にいても、フィールドF全体を見渡すことは可能である。
【0048】
区画Z1~Z8は、後述する区画継続観察モードで利用される。区画Z1~Z8は互いに重なっていない。区画Z1は区画Z2,Z3,Z5,Z7,Z8と接し、区画Z2は区画Z1,Z3と接する。区画Z3は区画Z1,Z2,Z4,Z5と接し、区画Z4は区画Z3,Z5と接する。区画Z5は区画Z1,Z3,Z4,Z6,Z7と接し、区画Z6は区画Z5,Z7と接する。区画Z7は区画Z1,Z5,Z6,Z8と接し、区画Z8は区画Z1,Z7と接する。
【0049】
各領域は、1階席1Fと2階席2Fを含み、各領域には、少なくとも1つのRU20が配置されている。各RU20の位置に関する情報は、CU1の例えばHDDに格納されている。観客席エリアにあるUE30の位置もCU1に把握されている。例えば、各UE30のMACアドレスおよびまたはIMSIは、ビームフォーミングを行うRU20によって把握されるので、各UE30がどのRU20に在圏するかをCU1に報告することができる。すなわち、UE30が領域R1~R8のいずれにあるのかは、CU1に把握されている。さらに、スタジアムの観客席エリアのUE30がGPS(Global Positioning System)からの電波を受信することができるのであれば、GPS測位を利用して、UE30がUE30自身の位置を特定し、RU20を通じてCU1にUE30の具体的な位置を報告してもよい。あるいは、UE30の所有者が観客席エリアのチケット番号をCU1に報告してもよい。
【0050】
また、観客席エリアではないサイドエリアの中央には、動画像を撮影するメインカメラMCが設置されている。メインカメラMCの位置は、例えば領域R1の前方である。メインカメラMCは、例えばプロフェッショナルカメラマンがゲームのホットシーン(主にボールBとその周囲を撮影したシーン)を追跡するために使用される。メインカメラMCは、CU1に有線または無線で接続されており、メインカメラMCで撮影された動画像の信号はCU1に供給されるようになっている。メインカメラMCがCU1に無線で接続される場合には、メインカメラMCは、1つのUEであり、RU20およびDUを介して、メインカメラMCで撮影された動画像の信号はCU1に供給される。メインカメラMCで撮影された動画像は、常にフィールドFのサイドから撮影されている。
【0051】
5Gに準拠したUE30は、観客席エリアに入ると、いずれか1つまたは複数のRU20を利用して、5G無線通信を行う。したがって、そのUE30が観客席エリアに入ると、そのUE30の近傍のRU20が直ちに下りリンクの送信ビームフォーミングと上りリンクの受信ビームフォーミングを開始する。このサッカースタジアムでは、通常、上りリンクの受信ビームフォーミングにおいては、RU20での受信品質が低いZFポストコーディングまたはMMSEポストコーディングが使用される。
【0052】
上記のように、CU1は、サッカースタジアム内の複数のUE30のカメラ32で撮影された動画像をRU20およびDUを介して上りリンクで受信し、これらの動画像を順位付けし、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する。そして、CU1は、インターネット12に接続された動画像が再生される少なくとも1つの再生装置13(図1参照)に全体動画像信号を供給する。再生装置13は、サッカースタジアムの中にあってもよいが、多くの場合にはサッカースタジアムの外にある。
【0053】
図7に示すように、再生装置13は、CPUすなわちプロセッサ、ROM、RAM、HDD、通信インタフェイス(I/F)およびGUI(Graphical User Interface)を有する。
【0054】
ROMまたはHDDには、再生装置13の動作に必要とされるコンピュータプログラムが格納されている。また、ROMまたはHDDには、再生装置13の動作に必要とされるパラメータなどのデータが格納されている。
【0055】
CPUは、ROMまたはHDDに格納されたデータを用いながら、ROMまたはHDDに格納されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って動作する。具体的には、CPUはコンピュータプログラムに従って図19に示す動作を実行する。
【0056】
RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。
【0057】
通信インタフェイスは、無線または有線を介してインターネット12に接続されている。
【0058】
GUIは、表示装置とポインティングデバイス(例えばマウスまたはタッチパッド)の組み合わせであってもよいし、表示装置とポインティングデバイスの両方の機能を有するタッチパネルであってもよい。
【0059】
図8は、再生装置13の表示装置に表示されるモード選択画面SSを示す。モード選択画面SSは、CU1から再生装置13に供給される動画像を再生装置13のユーザが視聴する前に、表示装置に提示される。モード選択画面SSには、ユーザが選択可能なモードの候補としての「ボール追跡モード」、「プレイヤー全身追跡モード」、「プレイヤー顔追跡モード」および「区画継続観察モード」のボタンが表示される。ボール追跡モードでは、サッカースタジアムのゲームで使用されるボールがオブジェクトとして継続的に追跡された複数の動画像が表示装置に表示される。プレイヤー全身追跡モードでは、サッカースタジアムのゲームに参加する1人のプレイヤーの全身がオブジェクトとして継続的に追跡された複数の動画像が表示装置に表示される。プレイヤー顔追跡モードでは、サッカースタジアムのゲームに参加する1人のプレイヤーの顔がオブジェクトとして継続的に追跡された複数の動画像が表示装置に表示される。区画継続観察モードでは、フィールドFの区画Z1~Z8の1つをオブジェクトとして撮影した複数の動画像が表示装置に表示される。
【0060】
モード選択画面SSには、再生装置13のユーザにとってオプションとしての「ゴール予測モード予約」のボタンがさらに表示される。ゴール予測モードでは、特別な展開であるゴールシーンが予測されると、得点に関連しそうなプレイヤーたちを追跡する複数の動画像が表示装置に表示される。ゴール予測モードが選択されると、ユーザがボール追跡モード、プレイヤー全身追跡モード、プレイヤー顔追跡モードおよび区画継続観察モードのいずれかを選択した場合であっても、ゴールシーンが予測されると、プレイヤーが選択したモードを中断し、ゴール予測モードが実行される。つまり、ゴール予測モードは、割り込み処理として実行される。
【0061】
再生装置13のユーザは、ボール追跡モード、プレイヤー全身追跡モード、プレイヤー顔追跡モードおよび区画継続観察モードのいずれかのうち好みのモードを示すボタンをポインティングデバイス(例えばマウス、タッチパッドまたはタッチパネル)でクリックまたはタッチする(モードを選択する)。ユーザは、ゴール予測モードを選択する場合には、ゴール予測モードを示すボタンをクリックする。ユーザは、モードの選択終了後、モード選択画面SSの「決定」ボタンをクリックまたはタッチする。これにより、再生装置13のプログラム上でユーザが決定したモードが反映される。
【0062】
図9は、再生装置13の表示装置に表示されるプレイヤー選択画面PSを示す。特定人物をオブジェクトして追跡する特定人物追跡モードであるプレイヤー全身追跡モードおよびプレイヤー顔追跡モードを再生装置13のユーザが選択した場合に、プレイヤー選択画面PSが表示される。プレイヤー選択画面PSには、ユーザにプレイヤーの選択を促す表示と、ゲームに参加するすべてのプレイヤーの名前のボタンPNが表示される。再生装置13のユーザは、ポインティングデバイスで好みのプレイヤーを示すボタンPNをクリックまたはタッチする(人物を選択する)。ユーザは、プレイヤーの選択終了後、プレイヤー選択画面PSの「決定」ボタンをクリックまたはタッチする。これにより、再生装置13のプログラム上でユーザが決定したプレイヤーが反映される。
【0063】
図10は、再生装置13の表示装置に表示される区画選択画面ZSを示す。ある区画をオブジェクトして追跡する区画継続観察モードを再生装置13のユーザが選択した場合に、区画選択画面ZSが表示される。区画選択画面ZSには、ユーザに区画の選択を促す表示と、区画Z1~Z8のボタンZNが表示される。区画Z1~Z8のボタンZNはフィールドにスーパーインポーズされている。再生装置13のユーザは、ポインティングデバイスで好みの区画を示すボタンZNをクリックまたはタッチする(区画を選択する)。ユーザは、区画の選択終了後、区画選択画面ZSの「決定」ボタンをクリックまたはタッチする。これにより、再生装置13のプログラム上でユーザが決定した区画が反映される。
【0064】
図11は、ボール追跡モードで再生装置13の表示装置に表示される観戦画面SC1の初期画面を示す。後述する他の観戦画面と同様に、観戦画面SC1は、メイン表示部MSと、複数の(実施形態では9つの)サムネイル表示部T1~T9を有する。
【0065】
後述する他の観戦画面と同様に、メイン表示部MSは、観戦画面SC1の左半分の領域を占め、サムネイル表示部T1~T9は観戦画面SC1の右半分が9つに等分割されて得られる。メイン表示部MSに表示される動画像をメイン動画像、サムネイル表示部T1~T9に表示される動画像をサムネイル動画像と呼ぶことができる。メイン動画像とすべてのサムネイル動画像を全体動画像と呼ぶことができる。
【0066】
ボール追跡モードの初期画面では、メインカメラMC(図6参照)で撮影された動画像がメイン表示部MSに表示され、スタジアム内の観客のUE30のカメラ32で撮影された動画像がサムネイル表示部T1~T8に表示される。中央のサムネイル表示部T9には何も表示されない。このモードでは、サムネイル表示部T1~T8の動画像は、スタジアム内の領域R1~R8または区画Z1~Z8に関わらず、サッカーボールを観客のUE30が撮影した複数の動画像のうち、上位(実施形態では1番から8番)に順位付けされた動画像である。したがって、ボール追跡モードの初期画面では、再生装置13のユーザは、メインカメラMCでスタジアムの1地点で撮影された大きい動画像をメイン表示部MSで見守り、多方向から撮影されたボールを追跡する個々の小さい動画像をサムネイル表示部T1~T8で見守ることができる。
【0067】
再生装置13のユーザは、ユーザが注目したい動画像をポインティングデバイスで選択することができる。例えば、サムネイル表示部T2で表示された動画像をユーザが気に入った場合、ユーザはポインティングデバイスでサムネイル表示部T2をクリックまたはタッチする。ユーザがポインティングデバイスでサムネイル表示部をクリックまたはタッチすると、GUIから画像切り替え指令がCPUに供給される。
【0068】
すると、図12に示すように、サムネイル表示部T2で表示されていた動画像がメイン表示部MSに拡大されて表示される。一方、メイン表示部MSで表示されていたメインカメラMCの動画像は、空白だったサムネイル表示部T9に縮小されて表示される。このように画像が切り替えられる。サムネイル表示部T2には、空白が表示されてもよいが、ボール追跡モードにおいて次位(実施形態では9番)に順位付けされた動画像が表示されてもよい。こうして、ユーザは、あるUE30で撮影された最も関心がある動画像をメイン表示部MSで拡大された形式で見守り、メインカメラMCおよび他の8つのUE30で撮影された動画像をサムネイル表示部T1~T9で見守ることができる。
【0069】
この後、ユーザはこの状態を続行してもよいし、観戦画面SC1内のサムネイル表示部T1~T9で表示された他の動画像に関心が移れば、サムネイル表示部T1~T9のいずれかをクリックまたはタッチして、他の動画像をポインティングデバイスで選択することができる。選択された動画像はメイン表示部MSに拡大されて表示される。中央のサムネイル表示部T9をクリックまたはタッチすれば、メインカメラMCで撮影された動画像が初期画面と同様にメイン表示部MSに拡大されて表示される。このようにして、ユーザは複数の動画像を見守りながら、メイン表示部MSで注目したいメイン動画像を切り替えることが可能である。
【0070】
図13は、プレイヤー全身追跡モードで再生装置13の表示装置に表示される観戦画面SC2の初期画面を示す。
【0071】
プレイヤー全身追跡モードの初期画面でも、メインカメラMC(図6参照)で撮影された動画像がメイン表示部MSに表示され、スタジアム内の観客のUE30のカメラ32で撮影された動画像がサムネイル表示部T1~T8に表示される。中央のサムネイル表示部T9には何も表示されない。このモードでは、サムネイル表示部T1~T8の動画像は、スタジアム内の領域R1~R8または区画Z1~Z8に関わらず、再生装置13のユーザが選択したプレイヤーの全身を観客のUE30が撮影した複数の動画像のうち、上位(実施形態では1番から8番)に順位付けされた動画像である。したがって、プレイヤー全身追跡モードの初期画面では、再生装置13のユーザは、メインカメラMCでスタジアムの1地点で撮影された大きい動画像をメイン表示部MSで見守り、多方向から撮影されたプレイヤー全身を追跡する個々の小さい動画像をサムネイル表示部T1~T8で見守ることができる。
【0072】
再生装置13のユーザは、ユーザが注目したい動画像をポインティングデバイスで選択することができる。例えば、サムネイル表示部T4で表示された動画像をユーザが気に入った場合、ユーザはポインティングデバイスでサムネイル表示部T4をクリックまたはタッチする。ユーザがポインティングデバイスでサムネイル表示部をクリックまたはタッチすると、GUIから画像切り替え指令がCPUに供給される。
【0073】
すると、図14に示すように、サムネイル表示部T4で表示されていた動画像がメイン表示部MSに拡大されて表示される。一方、メイン表示部MSで表示されていたメインカメラMCの動画像は、空白だったサムネイル表示部T9に縮小されて表示される。このように画像が切り替えられる。サムネイル表示部T2には、空白が表示されてもよいが、プレイヤー全身追跡モードにおいて次位(実施形態では9番)に順位付けされた動画像が表示されてもよい。こうして、ユーザは、あるUE30で撮影された最も関心がある動画像をメイン表示部MSで拡大された形式で見守り、メインカメラMCおよび他の8つのUE30で撮影された動画像をサムネイル表示部T1~T9で見守ることができる。
【0074】
この後、ユーザはこの状態を続行してもよいし、観戦画面SC2内のサムネイル表示部T1~T9で表示された他の動画像に関心が移れば、サムネイル表示部T1~T9のいずれかをクリックまたはタッチして、他の動画像をポインティングデバイスで選択することができる。選択された動画像はメイン表示部MSに拡大されて表示される。中央のサムネイル表示部T9をクリックまたはタッチすれば、メインカメラMCで撮影された動画像が初期画面と同様にメイン表示部MSに拡大されて表示される。このようにして、ユーザは複数の動画像を見守りながら、メイン表示部MSで注目したいメイン動画像を切り替えることが可能である。
【0075】
プレイヤー顔追跡モードの観戦画面の図示はしない。プレイヤー顔追跡モードの観戦画面は、プレイヤーの顔がオブジェクトとしてメイン表示部MSとサムネイル表示部T1~T9に大きく表示されることが、プレイヤー全身追跡モードの観戦画面SC2と異なる。図13および図14と上記の関連説明から当業者には、プレイヤー顔追跡モードの観戦画面が理解されるであろう。プレイヤー顔追跡モードの観戦画面でも、ユーザは、メイン表示部MSで注目したいメイン動画像を切り替えることが可能である。
【0076】
図15は、区画継続観察モードで再生装置13の表示装置に表示される観戦画面SC3の初期画面を示す。図15の観戦画面SC3については、再生装置13のユーザが区画Z5を選択したと想定する。
【0077】
区画継続観察モードの初期画面は、メインカメラMC(図6参照)で撮影された動画像がメイン表示部MSに表示され、スタジアム内の観客のUE30のカメラ32で撮影された動画像がサムネイル表示部T1~T8に表示される。中央のサムネイル表示部T9には何も表示されない。このモードでは、サムネイル表示部T1~T8の動画像は、スタジアム内の領域R1~R8にそれぞれ対応する。つまり、サムネイル表示部T1に表示される動画像は、領域R1にいる観客のUE30が撮影した動画像であり、サムネイル表示部T2に表示される動画像は、領域R2にいる観客のUE30が撮影した動画像であり、サムネイル表示部T8に表示される動画像は、領域R8にいる観客のUE30が撮影した動画像である。より具体的には、各サムネイル表示部に表示される動画像は、そのサムネイル表示部に対応する領域にいる観客のUE30が撮影した複数の動画像のうち、上位(実施形態では1番)に順位付けされた動画像である。したがって、区画継続観察モードの初期画面では、再生装置13のユーザは、メインカメラMCでスタジアムの1地点で撮影された大きい動画像をメイン表示部MSで見守り、領域R1~R8から撮影された選択された区画を撮影する個々の小さい動画像をサムネイル表示部T1~T8で見守ることができる。
【0078】
ゲーム展開に応じて、多くの観客はサッカーボールの動きを追うため、1つの区画を継続的に注視または撮影する観客は少ない。しかし、お気に入りのプレイヤーを追跡する観客もいる。また、どの領域にいても、フィールドF全体を見渡すことは可能である。特に、2階席2Fに位置するUE30のカメラ32の視野には、離れた区画が他の区域とともに入ることがあるであろう。例えば、区画Z8にボールがある場合、領域R6の2階席2Fに位置するUE30のカメラ32は、区画Z8に向けられるだろうが、それでもそのカメラ32は区画2を撮影することがあるかもしれない。しかし、ユーザが選択した区画を撮影している動画像が1つの領域にない場合には、その領域に対応するサムネイル表示部には、何も表示しなくてよい。例えば、ユーザが区画Z2を選択し、領域R8に位置して区画Z2を撮影しているUE30がない場合には、区画Z2に対応するサムネイル表示部T2は空白を表示してよい。ユーザは、他のサムネイル表示部で区画Z2を観察することができる。
【0079】
再生装置13のユーザは、ユーザが注目したい動画像をポインティングデバイスで選択することができる。例えば、サムネイル表示部T8で表示された動画像をユーザが注目したい場合、ユーザはポインティングデバイスでサムネイル表示部T8をクリックまたはタッチする。ユーザがポインティングデバイスでサムネイル表示部をクリックまたはタッチすると、GUIから画像切り替え指令がCPUに供給される。
【0080】
すると、図16に示すように、サムネイル表示部T8で表示されていた動画像がメイン表示部MSに拡大されて表示される。一方、メイン表示部MSで表示されていたメインカメラMCの動画像は、空白だったサムネイル表示部T9に縮小されて表示される。このように画像が切り替えられる。サムネイル表示部T8には、空白が表示されてもよいが、区画継続観察モードにおいて領域R8で次位(実施形態では2番)に順位付けされた動画像が表示されてもよい。こうして、ユーザは、あるUE30で撮影された最も関心がある動画像をメイン表示部MSで拡大された形式で見守り、メインカメラMCおよび他の8つのUE30で撮影された動画像をサムネイル表示部T1~T9で見守ることができる。
【0081】
この後、ユーザはこの状態を続行してもよいし、観戦画面SC3内のサムネイル表示部T1~T9で表示された他の動画像(すなわちメインカメラMCの動画像または他の区画の動画像)に関心が移れば、サムネイル表示部T1~T9のいずれかをクリックまたはタッチして、他の動画像をポインティングデバイスで選択することができる。選択された動画像はメイン表示部MSに拡大されて表示される。中央のサムネイル表示部T9をクリックまたはタッチすれば、メインカメラMCで撮影された動画像が初期画面と同様にメイン表示部MSに拡大されて表示される。このようにして、ユーザは複数の動画像を見守りながら、メイン表示部MSで注目したい動画像を切り替えることが可能である。
【0082】
図17は、ゴール予測モードで再生装置13の表示装置に表示される観戦画面SC4の初期画面を示す。
【0083】
ゴール予測モードの初期画面でも、メインカメラMC(図6参照)で撮影された動画像がメイン表示部MSに表示され、スタジアム内の観客のUE30のカメラ32で撮影された動画像がサムネイル表示部T1~T8に表示される。中央のサムネイル表示部T9には何も表示されない。このモードでは、サムネイル表示部T1~T8の動画像は、スタジアム内の領域R1~R8または区画Z1~Z8に関わらず、得点に関連しそうなプレイヤーたちを観客のUE30が撮影した複数の動画像のうち、上位(実施形態では1番から8番)に順位付けされた動画像である。したがって、ゴール予測モードの初期画面では、再生装置13のユーザは、メインカメラMCでスタジアムの1地点で撮影された大きい動画像をメイン表示部MSで見守り、多方向から撮影された得点に関連しそうなプレイヤーたちを追跡する個々の小さい動画像をサムネイル表示部T1~T8で見守ることができる。
【0084】
ゴール予測モードでは、このモードでの注目オブジェクトであるサッカーボールBの移動方向がCU1のCPUによって推定される。ゴール予測モードの観戦画面SC4では、推定されたサッカーボールBの移動方向の候補に対応する区画を撮影した少なくとも1つの動画像(推奨動画像)に推奨マークRMが付与される。図17において、サムネイル表示部T1,T3,T4の輪郭が太い線で表現されている。太い線で表現された輪郭が推奨マークRMの例であり、サムネイル表示部T1,T3,T4で表示されている動画像が推奨動画像である。但し、推奨マークRMは、サムネイル表示部の輪郭を点滅させることであってもよいし、輪郭を特別な色で表示することであってもよい。
【0085】
再生装置13のユーザは、ユーザが注目したい動画像をポインティングデバイスで選択することができる。例えば、サムネイル表示部T8で表示された動画像をユーザが気に入った場合、ユーザはポインティングデバイスでサムネイル表示部T8をクリックまたはタッチする。ユーザがポインティングデバイスでサムネイル表示部をクリックまたはタッチすると、GUIから画像切り替え指令がCPUに供給される。
【0086】
すると、図18に示すように、サムネイル表示部T8で表示されていた動画像がメイン表示部MSに拡大されて表示される。一方、メイン表示部MSで表示されていたメインカメラMCの動画像は、空白だったサムネイル表示部T9に縮小されて表示される。このように画像が切り替えられる。サムネイル表示部T8には、空白が表示されてもよいが、ゴール予測モードにおいて次位(実施形態では9番)に順位付けされた動画像が表示されてもよい。こうして、ユーザは、あるUE30で撮影された最も関心がある動画像をメイン表示部MSで拡大された形式で見守り、メインカメラMCおよび他の8つのUE30で撮影された動画像をサムネイル表示部T1~T9で見守ることができる。推奨マークRMは、この全体動画像においても表示される。
【0087】
この後、ユーザはこの状態を続行してもよいし、観戦画面SC1内のサムネイル表示部T1~T9で表示された他の動画像に関心が移れば、サムネイル表示部T1~T9のいずれかをクリックまたはタッチして、他の動画像をポインティングデバイスで選択することができる。選択された動画像はメイン表示部MSに拡大されて表示される。中央のサムネイル表示部T9をクリックまたはタッチすれば、メインカメラMCで撮影された動画像が初期画面と同様にメイン表示部MSに拡大されて表示される。このようにして、ユーザは複数の動画像を見守りながら、メイン表示部MSで注目したい動画像を切り替えることが可能である。
【0088】
図19は、再生装置13での動作を示すフローチャートである。この動作は、図8のモード選択画面SSにおいて、再生装置13のユーザがボール追跡モードを選択して、決定ボタンをクリックまたはタッチすると開始する。また、この動作は、図8のモード選択画面SSにおいて、再生装置13のユーザがプレイヤー全身追跡モードまたはプレイヤー顔追跡モードを選択して、決定ボタンをクリックまたはタッチした後、図9のプレイヤー選択画面PSで好みのプレイヤーを選択して、決定ボタンをクリックまたはタッチすると開始する。また、この動作は、図9のモード選択画面SSにおいて、再生装置13のユーザが区画継続観察モードを選択して、決定ボタンをクリックまたはタッチした後、図10の区画選択画面ZSで好みの区画を選択して、決定ボタンをクリックまたはタッチすると開始する。
【0089】
ステップS1で、再生装置13のCPUは、通信インタフェイスを介してインターネット12から全体動画像信号を受信する。ステップS1で受信される全体動画像信号は、ボール追跡モード、プレイヤー全身選択モード、プレイヤー顔選択モードおよび区画継続観察モードのすべての全体動画像信号であってもよいが、トラフィックの削減のため、ユーザが選択したモード(およびユーザが選択したオブジェクト)の全体動画像信号であることが好ましい。すなわち、ユーザがボール追跡モードを選択した場合、ステップS1で受信される全体動画像信号は、図11および図12に例示される複数の動画像を示す動画像信号を含む。ユーザがプレイヤー全身追跡モードを選択した場合、ステップS1で受信される全体動画像信号は、図13および図14に例示される複数の動画像を示す動画像信号を含む。ユーザが区画継続観察モードを選択した場合、ステップS1で受信される全体動画像信号は、図15および図16に例示される複数の動画像を示す動画像信号を含む。いずれにせよ、全体動画像信号は、再生装置13で複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式を有し、各動画像がメイン表示部MSおよびサムネイル表示部T1~T9のどこに表示されるべきであるかの指定を有する。
【0090】
ステップS2で、再生装置13のCPUは、全体動画像信号に基づいて複数の動画像を表示装置に表示する。ユーザがボール追跡モードを選択した場合、再生装置13のCPUは、例えば初期画面として図10に例示される観戦画面SC1を表示する。ユーザがプレイヤー全身追跡モードを選択した場合、再生装置13のCPUは、例えば初期画面として図13に例示される観戦画面SC2を表示する。ユーザが区画継続観察モードを選択した場合、再生装置13のCPUは、例えば初期画面として図15に例示される観戦画面SC3を表示する。
【0091】
ステップS3で、再生装置13のCPUは、再生装置13のユーザが画像切り替え指令を行ったか否か判断する。上記の通り、画像切り替え指令は、ユーザが観戦画面のサムネイル表示部T1~T9のいずれかをクリックまたはタッチすると、GUIからCPUに供給される。
【0092】
ステップS3の判断が肯定であれば、動作はステップS4に進み、ここで再生装置13のCPUは、ユーザの画像切り替え指令に従って、観戦画面を切り替える。例えば、上記のように、図11,13または15の観戦画面を図12,14または16の観戦画面に切り替える。この後、動作はステップS5に進む。
【0093】
ステップS3の判断が否定であれば、動作はステップS5に進む。ステップS5では、再生装置13のCPUは、ユーザがゴール予測モードを予約済みか否か判断する(図8参照)。
【0094】
ステップS5の判断が否定であれば、動作はステップS6に進む。ステップS6では、再生装置13のCPUは、ユーザが観戦終了指令を行ったか否か判断する。観戦終了指令は、ユーザが観戦を終了したい指令をGUIに与えると、GUIからCPUに供給される。ステップS6の判断が肯定であれば、動作は終了する。ユーザが現在観戦中のモードと異なるモードで観戦したい場合には、ユーザは観戦を終了したい指令をGUIに与え、その後、図8のモード選択画面SSでモードを選択することができる。
【0095】
ステップS6の判断が否定であれば、動作はステップS1に戻り、ユーザは現在観戦中のモードで複数の動画像を見守ることができる。
【0096】
一方、ステップS5の判断が肯定であれば、動作はステップS7に進み、ここで再生装置13のCPUは、通信インタフェイスを介してインターネット12から特別全体動画像信号を受信したか否か判断する。特別全体動画像信号は、ゴールが予測されると(イベントで特別な展開が予測されると)、CU1が生成する信号であって、ゴール予測モードのための複数の動画像信号を含む。特別全体動画像信号は、スタジアムで行われているサッカーゲームでゴールすなわち得点が予測されるとCU1が判断する場合のみ、CU1から供給される。したがって、通常のゲーム展開の場合、ステップS7の判断は否定である。ステップS7の判断が否定であれば、動作はステップS6に進む。
【0097】
特別全体動画像信号が受信され、ステップS7の判断が肯定であれば、動作はステップS8に進み、ここで再生装置13のCPUは、特別全体動画像信号に基づいて複数の動画像を表示装置に表示する。つまり、再生装置13はゴール予測モードに入る。再生装置13のCPUは、例えば初期画面として図17に例示される観戦画面SC4を表示する。
【0098】
ステップS9で、再生装置13のCPUは、再生装置13のユーザが画像切り替え指令を行ったか否か判断する。上記の通り、画像切り替え指令は、ユーザが観戦画面SC4のサムネイル表示部T1~T9のいずれかをクリックまたはタッチすると、GUIからCPUに供給される。
【0099】
ステップS9の判断が肯定であれば、動作はステップS10に進み、ここで再生装置13のCPUは、ユーザの画像切り替え指令に従って、観戦画面SC4を切り替える。例えば、上記のように、図17の観戦画面SC4を図18の観戦画面SC4に切り替える。この後、動作はステップS7に戻る。
【0100】
ステップS9の判断が否定であれば、動作はステップS7に戻る。したがって、CU1から特別全体動画像信号が供給される限り、ステップS7からS9またはS10のループが繰り返され、再生装置13ではゴール予測モードが継続する。
【0101】
図20は、ネットワーク管理装置であるCU1で実行される全体動画像信号を供給する通信制御方法のフローチャートである。この方法は、ボール追跡モード、プレイヤー全身追跡モードおよびプレイヤー顔追跡モードのために実行される。
【0102】
ステップS20で、CU1のCPUは、スタジアム内のUE30からアップロードされる動画像を解析する。解析されるポイントは、少なくとも動画像の解像度および動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率である。さらに、解析されるポイントは、動画像の画角、UE30の位置(例えば、1階席1Fまたは2階席2F、オブジェクトへの距離)およびUE30からの動画像のアップロード速度を含んでもよい。
【0103】
動画像の解像度は、動画像を撮影したUE30のカメラ32の解像度であり、UE30のMACアドレスおよび/またはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)からUE30の機種を特定することにより、特定される。
【0104】
所望のオブジェクトは、再生される動画像のオブジェクトが異なる複数のモードによって異なる。具体的には、所望のオブジェクトは、ボール追跡モードではサッカーボールであり、プレイヤー全身追跡モードでは個々のプレイヤーの全身であり、プレイヤー顔追跡モードでは個々のプレイヤーの顔である。CU1のCPUは、これらのモードの各々について、さらにこれらの個々のオブジェクトについて、動画像内のオブジェクトの面積の比率を計算する。
【0105】
ステップS21で、CU1のCPUは、複数のモードについて順位付け処理を並行して実行する。順位付け処理では、スタジアムで行われるサッカーゲームを同時に撮影している複数の動画像を順位付けする。この場合、解像度が良好な動画像を上位に、かつ動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする。例えば、ボール追跡モードについては、動画像の解像度および動画像内のサッカーボールの面積の比率に基づいて、解像度が良好な動画像を上位に、かつ面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする。
【0106】
例えば、各動画像に、解像度が良好なほど大きい第1の重み付けと、動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率が大きいほど大きい第2の重み付けを与え、第1の重み付けと第2の重み付けの和または積を計算してよい。そして、これらの重み付けの和または積が大きい動画像に高い順位を与えてよい。CU1のCPUは、CU1のRAMまたはHDDに順位付け結果をCU1のRAMまたはHDDに格納する。
【0107】
順位付け処理において、解像度と動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率を考慮するだけでなく、所望のオブジェクトへの距離が近いUE30のカメラ32の動画像を上位に順位付けしてもよい。例えば、各動画像に、カメラ32から所望のオブジェクトへの距離が小さいほど大きい第3の重み付けを与え、第1の重み付けと第2の重み付けと第3の重み付けの和または積を計算してよい。そして、これらの重み付けの和または積が大きい動画像に高い順位を与えてよい。この結果、例えば、プレイヤー全身追跡モードについては、順位付け処理において、プレイヤーごとに、プレイヤーへの距離が近いUE30の動画像を上位に順位付けすることができる。さらに、UE30からの動画像のアップロード速度を順位付け処理で考慮してもよい。
【0108】
図21は、図20の方法において、CU1のRAMまたはHDDに格納される順位付け結果を概念的に示す。
【0109】
図21に示すように、ボール追跡モードについては、上位の動画像を撮影したUE30のIDが順位とともに格納される。格納されるIDは、IMSIでもよいし、MACアドレスでもよいし、スタジアムのCU1だけに識別されるID、例えばUE30の持ち主のチケット番号であってもよい。格納されるUE30の数は、サムネイル表示部T1~T8に表示される初期のサムネイル動画像の数(実施形態では8)以上である。つまり、少なくとも1位~8位のUE30のIDが格納される。上位の動画像の撮影者が撮影を停止することを考慮すると、サムネイル動画像の数より多いUE30のIDを格納することが好ましい。
【0110】
プレイヤー全身追跡モードおよびプレイヤー顔追跡モードについては、各オブジェクトすなわち各プレイヤーについて、上位の動画像を撮影したUE30のIDが順位とともに格納される。各プレイヤーについて、格納されるUE30の数は、所期のサムネイル動画像の数以上である。
【0111】
ステップS22で、CU1のCPUはスループット増加処理を実行する。スループット増加処理では、順位付け処理で上位に順位付けられた複数の動画像に対応する、CU1のRAMまたはHDDに格納された複数のUE30について上りリンクスループットを増加させる。
【0112】
CU1のCPUは、前記複数のモードについてスループット増加処理を並行して実行する。ボール追跡モードについては、少なくとも1位~8位のUE30が選択され、これらのUE30の上りリンクスループットが増加する。プレイヤー全身追跡モードおよびプレイヤー顔追跡モードについては、各プレイヤーについて、少なくとも1位~8位のUE30が選択され、これらのUE30の上りリンクスループットが増加する。
【0113】
具体的な上りリンクスループットの増加の方式は、以下の手法のいずれか1つまたは適切な組み合わせである。
CU1のCPUは、第1のポストコーディング調整処理を実行してよい。第1のポストコーディング調整処理では、CU1のCPUは、選択されたUE30が通信するRU20に、ZFポストコーディングまたはMMSEポストコーディングからMLDポストコーディングにポストコーディング手法を切り替えるよう、指令する。RU20は、指令に従って、ポストコーディング手法を切り替える。したがって、上りリンクの受信ビームフォーミングにおいて、選択されたUE30への他のUEからの干渉が低減し、選択されたUE30からの送信ビームのRUでの受信品質が向上する。受信品質の向上に伴い、RUからの自動再送要求の回数が減り、結果的に無線通信スループットを高めることができる。したがって、選択されたUE30について上りリンクの無線通信品質および無線通信スループットを高めることができる。
【0114】
ポストコーディング手法を切り替えるのではなく、CU1のCPUが、第1のポストコーディング調整処理で、選択されたUE30からRU20に報告されるチャネル状態情報報告の受信電力または受信品質よりも低い受信電力または受信品質をRU20のポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方に入力するようRU20に指令してもよい。実際に測定された受信電力または受信品質よりも低い受信電力または受信品質がポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方に入力されることにより、選択されたUE30からの送信ビームのRUでの受信品質が向上する。受信品質の向上に伴い、RUからの自動再送要求の回数が減り、結果的に無線通信スループットを高めることができる。したがって、選択されたUE30について無線通信品質および無線通信スループットを高めることができる。この場合には、RU20のポストコーディング手法が変わらないため、選択されたUE30の近隣にある複数の他のUEからの送信ビームのRUでの受信品質は向上しない。
【0115】
CU1のCPUは、選択されたUE30のための通信に使用される専用スライスをそのUEに割り当てるように、E2EOに要求してもよい。要求に応じて、E2EOは専用スライスをそのUE30に割り当てる指令をスライスマネージャに与える。したがって、選択されたUE30について上りリンクの通信品質およびスループットを高めることができる。
【0116】
CU1のCPUは、選択されたUE30のためのPUSCHのリソースブロックを通常より多く割り当てるように、選択されたUE30が通信するRU20に指令してもよい。指令に従って、RU20は選択されたUE30に通常より多いリソースブロックを割り当てる。したがって、選択されたUE30について上りリンクのスループットを高めることができる。
【0117】
ステップS23で、CU1のCPUは上位順位の動画像信号を選択する。選択は、前記複数のモードについて並行して実行する。ボール追跡モードについては、1位~8位のUE30が選択される。プレイヤー全身追跡モードおよびプレイヤー顔追跡モードについては、各プレイヤーについて、1位~8位のUE30が選択される。こららの動画像を撮影したUE30については、ステップS22で上りリンクスループットが増加されている。
【0118】
ステップS24で、CU1のCPUは、前記複数のモードの各々について、全体動画像信号生成処理を並行して実行する。全体動画像信号生成処理では、上りリンクスループットが増加された複数のUE30に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する。
【0119】
ステップS25で、CU1のCPUは、全体動画像信号供給処理を実行する。全体動画像信号供給処理では、全体動画像信号を要求する少なくとも1つの再生装置13に、全体動画像信号生成処理で生成された全体動画像信号を供給する。全体動画像信号供給処理で供給される全体動画像信号は、再生装置13で全体動画像信号に含まれる複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式を有する。また、全体動画像信号は、各動画像がメイン表示部MSおよびサムネイル表示部T1~T9のどこに表示されるべきであるかの指定を有する。
【0120】
したがって、ボール追跡モードが選択された再生装置13の表示画面には、図11に例示される観戦画面SC1が表示される。プレイヤー全身追跡モードが選択された再生装置13の表示画面には、図13に例示される観戦画面SC2が表示される。
【0121】
上記のように、CU1のCPUは、各再生装置13に選択可能なすべてのモードの全体動画像信号を供給してもよいが、トラフィックの削減のため、各再生装置13のユーザが選択したモードの(さらにユーザが選択した所望のオブジェクトについての)全体動画像信号を供給することが好ましい。異なる再生装置13で異なるモードが選択されている場合には、ステップS25でCU1のCPUは、複数のモードについての全体動画像信号を宛先の再生装置13での選択に合致するように宛先の再生装置13に供給する。
【0122】
ステップS26では、CU1のCPUは、メインカメラMCで撮影された動画像からゲームが終了したか否か判断する。ステップS26の判断が肯定であれば、動作は終了するが、ステップS26の判断が否定であれば、動作はステップS27に進む。
【0123】
ステップS27では、所定時間経過したか否か判断する。動作が最初にステップS27に進んだ場合には、所定時間は動作のスタートから起算される。動作が2回目以降にステップS27に進んだ場合には、所定時間は直前のステップS27から起算される。所定時間は、例えば10分、15分または20分である。ステップS27の判断が肯定であれば、動作はステップS20に戻り、再び動画像解析(ステップS20)と動画像の順位付け(ステップS21)が行われる。一方、ステップS27の判断が否定であれば、動作はステップS28に進む。
【0124】
ステップS28では、CU1のCPUは、ボール追跡モード、プレイヤー全身追跡モード、およびプレイヤー顔追跡モードの各々において、全体動画像信号に含まれる(全体動画像信号生成処理で使用された)動画像に対応する上位のUE30からのその動画像の供給すなわちアップロードが停止したか否か判断する。
【0125】
ステップS28の判断が否定であれば、動作はステップS23に戻る。一方、ステップS28の判断が肯定であれば、動作はステップS29に進み、ここで上位のUE30から動画像のアップロードが停止したモードについて、繰り上げ処理を実行する。繰り上げ処理では、動画像のアップロードを停止したUE30の後続順位のUE30の順位を繰り上げる。
【0126】
次に、ステップS30で、CU1のCPUは、繰り上げられた結果、新たに上位に順位付けされたUE30について上りリンクスループットを増加させる。具体的な上りリンクスループットの増加の方式は、ステップS22のスループット増加処理と同じである。すなわち、ポストコーディング手法の切り替え、低い受信電力または受信品質のポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方への入力、専用スライスの割り当て、およびPUSCHのリソースブロック数の増加のいずれか1つまたは適切な組み合わせが行われる。
【0127】
次に、ステップS31で、CU1のCPUは、動画像のアップロードを停止した上位順位にあったUE30について上りリンクスループットを低減する。
【0128】
具体的な上りリンクスループットの低減は、以下の手法のいずれか1つまたは適切な組み合わせである。
CU1のCPUは、第2のポストコーディング調整処理を実行してよい。第2のポストコーディング調整処理では、CU1のCPUは、選択されたUE30が通信するRU20に、MLDポストコーディングからZFポストコーディングまたはMMSEポストコーディングにポストコーディング手法を切り替えるよう、指令する。RU20は、指令に従って、ポストコーディング手法を切り替える。したがって、上りリンクの受信ビームフォーミングにおいて、そのUE30への他のUEからの干渉が増加し、そのUE30からの送信ビームのRUでの受信品質が低下する。受信品質の低下に伴い、RUからの自動再送要求の回数が増え、結果的に無線通信スループットが低下する。したがって、そのUE30について上りリンクの無線通信品質および無線通信スループットが低下する。
【0129】
ポストコーディング手法を切り替えるのではなく、CU1のCPUが、第1のポストコーディング調整処理で、選択されたUE30からRU20に報告されるチャネル状態情報報告の受信電力または受信品質をRU20のポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方に入力するようRU20に指令してもよい。実際に測定された受信電力または受信品質がポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方に入力されることにより、そのUE30からの送信ビームのRUでの受信品質が低下する(通常の上りリンクのビームフォーミング時の受信品質に戻る)。受信品質の低下に伴い、RUからの自動再送要求の回数が増え、結果的に無線通信スループットが低下する。したがって、そのUE30について無線通信品質および無線通信スループットが低下する。
【0130】
CU1のCPUは、そのUE30のための専用スライスの割り当てを廃止するように、E2EOに要求してもよい。E2EOはそのUEへの専用スライスの割り当てを廃止する指令をスライスマネージャに与える。したがって、そのUE30について上りリンクの通信品質およびスループットが低下する。
【0131】
CU1のCPUは、選択されたUE30のためのPUSCHのリソースブロックを通常に戻すように、そのUE30が通信するRU20に指令してもよい。指令に従って、RU20はそのUE30に通常のリソースブロックを割り当てる。したがって、選択されたUE30について上りリンクのスループットが低下する。
【0132】
ステップS28~S31は、プレイヤー全身追跡モードおよびプレイヤー顔追跡モードについては、各プレイヤーを撮影するUEについて実行される。
【0133】
動作がステップS23に戻ることにより、CU1のCPUは、上位の複数のUE30から継続的にアップロードされる動画像に基づいて、全体動画像信号生成処理(ステップS24)と全体動画像信号供給処理(ステップS25)とを繰り返し実行する。実施形態においては、CU1のCPUは、順位付け処理(ステップS21)を一度実行し、順位付け処理の後、所定時間が経過するまでは(ステップS27の判断が肯定になるまでは)、UE30から継続的に供給される動画像に基づいて、全体動画像信号生成処理(ステップS24)と全体動画像信号供給処理(ステップS25)とを繰り返し実行する。したがって、順位付け処理の回数が最小限化される。
【0134】
一方、順位付け処理で上位に順位付けされた動画像のアップロードが停止されると、後続順位のUEの順位が繰り上げられ(ステップS29)、新たに上位に順位付けされたUE30について上りリンクスループットが増加する。したがって、全体動画像信号に使用されている動画像のアップロードが停止されても、CU1で受信されるすべての動画像について、新たに順位付けする必要がない。
【0135】
所定時間が経過すると(ステップS27の判断が肯定になると)、動作がステップS20に戻るのは、撮影者が同じオブジェクトを撮影し続けるとは限らないからである。しかし、ステップS27は省略してもよい。
【0136】
図20の動作によれば、上位に順位付けされた複数の動画像を含む全体動画像を再生装置13に供給するので、視聴者の嗜好に適合する動画像を含む複数の動画像を同時提供することができる。特に、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数のUE30について上りリンクスループットを増加させるので、再生装置13の表示装置で再生される全体動画像の中の複数の動画像のフレームレートを向上させることができ、違和感なく精細な動画像を提供することができる。
【0137】
再生装置13のユーザつまり視聴者は、いずれかのサムネイル動画像を注目したい場合には、サムネイル表示部をポインティングデバイスでクリックまたはタッチして、そのサムネイル動画像を拡大したメイン動画像をメイン表示部MSで見守ることができる。
【0138】
図20の動作では、再生される動画像のオブジェクトが異なる複数のモードについて、順位付け処理(ステップS21)と、スループット増加処理(ステップS22)と、全体動画像信号生成処理(ステップS24)とを並行して実行するので、視聴者の多様な嗜好に適合した複数のモードの動画像を提供することができる。
【0139】
順位付け処理(ステップS21)では、解像度が良好な動画像を上位に、動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けするので、視聴者の嗜好になるべく適合した動画像を全体動画像に含めることができる。さらに、動画像内の所望のオブジェクトへの距離が近いカメラの動画像を上位に順位付けすることにより、視聴者の嗜好になるべく適合した動画像を全体動画像に含めることができる。
【0140】
図22は、ネットワーク管理装置であるCU1で実行される全体動画像信号を供給する他の通信制御方法のフローチャートである。この方法は、区画継続観察モードのために実行される。CU1のCPUは図20の動作と図22の動作を並行して実行する。
【0141】
ステップS40で、CU1のCPUは、スタジアム内のUE30からアップロードされる動画像を解析する。解析されるポイントは、少なくとも動画像の解像度および動画像内の所望のオブジェクト(区画Z1~Z8の1つ)の面積の比率である。さらに、解析されるポイントは、UE30の位置(例えば、1階席1Fまたは2階席2F)およびUE30からの動画像のアップロード速度を含んでもよい。
【0142】
動画像の解像度は、動画像を撮影したUE30のカメラ32の解像度であり、UE30のMACアドレスおよび/またはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)からUE30の機種を特定することにより、特定される。
【0143】
所望のオブジェクトは、区画継続観察モードでは個々の区画Z1~Z8である。CU1のCPUは、これらの個々の区画について、動画像内の区画の面積の比率を計算する。
【0144】
ステップS41で、CU1のCPUは、複数の区画について順位付け処理を並行して実行する。順位付け処理では、スタジアムで行われるサッカーゲームを撮影している複数の動画像について、スタジアムの各区画を同時に撮影している複数の動画像を順位付けする。この場合、解像度が良好な動画像を上位に、かつ動画像内の区画の面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする。例えば、区画Z1については、動画像の解像度および動画像内の区画Z1の面積の比率に基づいて、解像度が良好な動画像を上位に、かつ面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする。
【0145】
例えば、各動画像に、解像度が良好なほど大きい第1の重み付けと、動画像内の区画の面積の比率が大きいほど大きい第2の重み付けを与え、第1の重み付けと第2の重み付けの和または積を計算してよい。そして、これらの重み付けの和または積が大きい動画像に高い順位を与えてよい。CU1のCPUは、CU1のRAMまたはHDDに順位付け結果をCU1のRAMまたはHDDに格納する。
【0146】
順位付け処理において、解像度と動画像内の区画の面積の比率を考慮するだけでなく、フィールドFからの高さ(標高)が大きいUE30のカメラ32の動画像を上位に順位付けしてもよい。例えば、1階席1FのUE30よりも2階席2FのUEの動画像を上位に順位付けすることができる。例えば、各動画像に、フィールドFからの高さが大きいほど大きい第3の重み付けを与え、第1の重み付けと第2の重み付けと第3の重み付けの和または積を計算してよい。そして、これらの重み付けの和または積が大きい動画像に高い順位を与えてよい。さらに、UE30からの動画像のアップロード速度を順位付け処理で考慮してもよい。
【0147】
但し、ある区画を撮影している動画像がまったくない場合には、その区画に対する順位付けは行われない。
【0148】
UE30が位置する領域ごとに順位付け処理を行ってもよい。この結果、区画継続観察モードの観戦画面SC4において、領域R1~R8から撮影された動画像をサムネイル表示部T1~T8にそれぞれ配置することができる。したがって、様々な角度から撮影されたある区画の動画像を再生装置13のユーザは観察することができる。
【0149】
図23は、図22の方法において、CU1のRAMまたはHDDに格納される順位付け結果を概念的に示す。
【0150】
図23に示すように、区画継続観察モードについては、CU1のCPUは、順位付け処理において、各区画を撮影している動画像を撮影しているUEが位置する領域ごとに分類し、領域ごとに順位付けを行う。サムネイル表示部T1~T8が領域R1~R8にそれぞれ対応する場合、各区画に対する各領域について、格納されるUE30の数は1でよい。つまり、各区画に対する各領域について、1位のUE30のIDだけが格納されてよい。しかし、上位の動画像の撮影者が撮影を停止することを考慮すると、1より多いUE30のIDを格納することが好ましい。上記のようにある区画を撮影している動画像がまったくない場合には、その区画について格納されるIDはない。
【0151】
ステップS42で、CU1のCPUはスループット増加処理を実行する。スループット増加処理では、順位付け処理で上位に順位付けられた複数の動画像に対応する、CU1のRAMまたはHDDに格納された複数のUE30について上りリンクスループットを増加させる。
【0152】
CU1のCPUは、区画の各々についてスループット増加処理を並行して実行する。CU1のCPUは、区画Z1~Z8の各々に対して領域R1~R8の各々の上位に順位付けされた少なくとも1つの動画像(各領域について少なくとも最上位に順位付けされた動画像)を選択する。そして、複数の区画Z1~Z8で選択された複数の動画像に対応する複数のUE30について上りリンクスループットを増加させる。
【0153】
具体的な上りリンクスループットの増加の方式は、図20のステップS22のスループット増加処理と同じである。すなわち、ポストコーディング手法の切り替え、低い受信電力または受信品質のポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方への入力、専用スライスの割り当て、およびPUSCHのリソースブロック数の増加のいずれか1つまたは適切な組み合わせが行われる。
【0154】
ステップS43で、CU1のCPUは上位順位の動画像信号を選択する。選択は、複数の区画について並行して実行する。区画継続観察モードについては、区画Z1~Z8の各々に対する領域R1~R8の各々での最上位に順位付けされた1つの動画像が選択される。こららの動画像を撮影したUE30については、ステップS42で上りリンクスループットが増加されている。
【0155】
ステップS44で、CU1のCPUは、複数の区画について、全体動画像信号生成処理を並行して実行する。全体動画像信号生成処理では、上りリンクスループットが増加された複数のUE30に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する。したがって、各区画のための全体動画像信号が生成される。
【0156】
ステップS45で、CU1のCPUは、全体動画像信号供給処理を実行する。全体動画像信号供給処理では、区画継続観察モードの全体動画像信号を要求する少なくとも1つの再生装置13に、全体動画像信号生成処理で生成された全体動画像信号を供給する。全体動画像信号供給処理で供給される全体動画像信号は、再生装置13で全体動画像信号に含まれる複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式を有する。また、全体動画像信号は、各動画像がメイン表示部MSおよびサムネイル表示部T1~T9のどこに表示されるべきであるかの指定を有する。
【0157】
したがって、区画継続観察モードが選択された再生装置13の表示画面には、図15に例示される観戦画面SC3が表示される。
【0158】
上記のように、CU1のCPUは、各再生装置13に選択可能なすべての区画の全体動画像信号を供給してもよいが、トラフィックの削減のため、各再生装置13のユーザが選択した区画の全体動画像信号を供給することが好ましい。複数の再生装置13で異なる区画が選択されている場合には、ステップS45でCU1のCPUは、複数の区画についての全体動画像信号を宛先の再生装置13での選択に合致するように宛先の再生装置13に供給する。
【0159】
ステップS46では、CU1のCPUは、メインカメラMCで撮影された動画像からゲームが終了したか否か判断する。ステップS46の判断が肯定であれば、動作は終了するが、ステップS46の判断が否定であれば、動作はステップS47に進む。
【0160】
ステップS47では、所定時間経過したか否か判断する。動作が最初にステップS47に進んだ場合には、所定時間は動作のスタートから起算される。動作が2回目以降にステップS47に進んだ場合には、所定時間は直前のステップS47から起算される。所定時間は、例えば1分、2分または5分であり、ステップS27の所定時間より短い。ステップS47の判断が肯定であれば、動作はステップS40に戻り、再び動画像解析(ステップS40)と動画像の順位付け(ステップS41)が行われる。一方、ステップS47の判断が否定であれば、動作はステップS48に進む。ステップ47の所定時間が短いのは、サッカーゲームでは、同じ区画を撮影し続けるUE30が少ないと考えられるからである。
【0161】
ステップS48では、CU1のCPUは、区画Z1~Z8の各々において、全体動画像信号に含まれる(全体動画像信号生成処理で使用された)動画像に対応する上位のUE30からのその動画像の供給すなわちアップロードが停止したか否か判断する。
【0162】
ステップS48の判断が否定であれば、動作はステップS43に戻る。一方、ステップS48の判断が肯定であれば、動作はステップS49に進み、ここで上位のUE30から動画像のアップロードが停止した区画について、繰り上げ処理を実行する。繰り上げ処理では、動画像のアップロードを停止したUE30の後続順位のUE30の順位を繰り上げる。
【0163】
次に、ステップS50で、CU1のCPUは、繰り上げられた結果、新たに上位に順位付けされたUE30について上りリンクスループットを増加させる。具体的な上りスループットの増加の方式は、ステップS42のスループット増加処理と同じである。すなわち、ポストコーディング手法の切り替え、低い受信電力または受信品質のポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方への入力、専用スライスの割り当て、PUSCHのリソースブロック数の増加のいずれか1つまたは適切な組み合わせが行われる。
【0164】
次に、ステップS51で、CU1のCPUは、動画像のアップロードを停止した上位順位にあったUE30について上りリンクスループットを低減する。具体的な上りスループットの低減の方式は、図20のステップS22のスループット低減処理と同じである。すなわち、ポストコーディング手法の切り替え、チャネル状態報告の受信電力または受信品質のポストコーダ25と受信ビームフォーマー26の少なくとも一方への入力、専用スライスの割り当ての廃止、PUSCHのリソースブロック数の低減のいずれか1つまたは適切な組み合わせが行われる。
【0165】
ステップS48~S51は、各区画を撮影するUE30について、UE30が位置する領域ごとに実行される。
【0166】
動作がステップS43に戻ることにより、CU1のCPUは、上位の複数のUE30から継続的にアップロードされる動画像に基づいて、全体動画像信号生成処理(ステップS44)と全体動画像信号供給処理(ステップS45)とを繰り返し実行する。実施形態においては、CU1のCPUは、順位付け処理(ステップS41)を一度実行し、順位付け処理の後、所定時間が経過するまでは(ステップS47の判断が肯定になるまでは)、UE30から継続的に供給される動画像に基づいて、全体動画像信号生成処理(ステップS44)と全体動画像信号供給処理(ステップS45)とを繰り返し実行する。したがって、順位付け処理の回数が最小限化される。
【0167】
一方、順位付け処理で上位に順位付けされた動画像のアップロードが停止されると、後続順位のUEの順位が繰り上げられ(ステップS49)、新たに上位に順位付けされたUE30について上りリンクスループットが増加する。したがって、全体動画像信号に使用されている動画像のアップロードが停止されても、CU1で受信されるすべての動画像について、新たに順位付けする必要がない。
【0168】
図22の動作によれば、視聴者の注目したい区画を撮影した上位に順位付けされた複数の動画像を含む再生装置13に提供するので、視聴者の注目したい区画に関する複数の動画像を同時提供することができる。特に、上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数のUE30について上りリンクスループットを増加させるので、再生装置13の表示装置で再生される全体動画像の中の複数の動画像のフレームレートを向上させることができ、違和感なく精細な動画像を提供することができる。
【0169】
再生装置13のユーザつまり視聴者は、いずれかのサムネイル動画像を注目したい場合には、サムネイル表示部をポインティングデバイスでクリックまたはタッチして、そのサムネイル動画像を拡大したメイン動画像をメイン表示部MSで見守ることができる。
【0170】
図22の動作では、複数の区画について、順位付け処理(ステップS41)と、スループット増加処理(ステップS42)と、全体動画像信号生成処理(ステップS44)とを並行して実行するので、視聴者の多様な嗜好に適合した複数の区画の動画像を提供することができる。
【0171】
順位付け処理(ステップS41)では、解像度が良好な動画像を上位に、動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けするので、視聴者の嗜好になるべく適合した動画像を全体動画像に含めることができる。さらに、フィールドFからの高さ(標高)が大きいカメラの動画像を上位に順位付けすることにより、区画を俯瞰した動画像をできるだけ多く全体動画像に含めることができる。例えば、2階席2Fに位置するUE30のカメラ32の視野は、1つの区画全体が入りやすい。
【0172】
図20および図22に示す動作と並行して、CU1のCPUは、メインカメラMCで撮影された動画像でのサッカーボールとプレイヤーの動きから、例えば特開2019-19459号公報に記載された推定方法によって、特別な展開であるゴールシーンが予測されるか否か継続的に判断する。具体的には、ボールおよびフィールドプレイヤーの動きを推定モデルに適用して、ゴールシーンが予測されるか否か判断する。ゴールシーンが予測される場合には、CU1のCPUは、図24に示すゴール予測モードでの動作を実行する。
【0173】
図24において、ステップS60では、CU1のCPUは、スタジアム内のUE30からアップロードされる動画像を解析する。ここでは、ゴールシーンが予測されるエリアを撮影する複数の動画像に関して、動画像の解像度および動画像内のプレイヤーの全身の面積の比率を解析する。複数のプレイヤーが撮影されている動画像については、動画像内の複数のプレイヤーの全身の面積の比率を解析する。
【0174】
ステップS61で、CU1のCPUは、ゴール予測に適合した動画像の順位付け処理を実行する。この場合、解像度が良好な動画像を上位に、かつ動画像内の1人以上のプレイヤーの全身の面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする。例えば、各動画像に、解像度が良好なほど大きい第1の重み付けと、動画像内のプレイヤーの全身の面積の比率が大きいほど大きい第2の重み付けを与え、第1の重み付けと第2の重み付けの和または積を計算してよい。そして、これらの重み付けの和または積が大きい動画像に高い順位を与えてよい。但し、同じプレイヤーが撮影されている複数の動画像については、他のプレイヤーの動画像を再生装置13に提供するため、同じプレイヤーが撮影されている下位の動画像にさらに低い順位を与えてよい。
【0175】
順位付け処理において、解像度と動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率を考慮するだけでなく、プレイヤーへの距離が近いUE30のカメラ32の動画像を上位に順位付けしてもよい。例えば、各動画像に、カメラ32からプレイヤーへの距離が小さいほど大きい第3の重み付けを与え、第1の重み付けと第2の重み付けと第3の重み付けの和または積を計算してよい。そして、これらの重み付けの和または積が大きい動画像に高い順位を与えてよい。さらに、UE30からの動画像のアップロード速度を順位付け処理で考慮してもよい。
【0176】
CU1のCPUは、CU1のRAMまたはHDDに順位付け結果をCU1のRAMまたはHDDに格納する。上位の動画像を撮影したUE30のIDが順位とともに格納される。格納されるUE30の数は、所期のサムネイル動画像の数以上である。格納されるUE30は、ゴール予測に適合した複数の上位順位の動画像を撮影しているとみなすことができる。
【0177】
ステップS62で、CU1のCPUは特別スループット増加処理を実行する。特別スループット増加処理では、ステップS61で上位に順位付けられた複数の動画像に対応する、RAMまたはHDDに格納されたUE30について、上りリンクスループットを増加させる。具体的な上りリンクスループット増加の方式は、図20のステップS22に関して上記した通りである。したがって、これらのUE30について上りリンクのスループットを高めることができる。
【0178】
ステップS63で、CU1のCPUは、ゴール予測に適合した上位順位の動画像信号を選択する。
【0179】
ステップS64およびS65は、ゴール予測モードの観戦画面SC4に推奨マークRMを付与するために実行される。ステップS64で、CU1のCPUは、特別な展開での注目オブジェクトであるサッカーボールの移動方向の少なくとも1つの候補を推定する。ステップS65で、CU1のCPUは、推定された移動方向の候補に対応する区画を撮影した少なくとも1つの動画像を推奨動画像として指定する。この後の特別全体動画像信号生成処理(ステップS66)において、CU1のCPUは、特別全体動画像信号内でその動画像を推奨動画像としてマークする。したがって、図17および図18に示すように、ゴール予測モードの観戦画面SC4では、推定されたサッカーボールBの移動方向の候補に対応する区画を撮影した少なくとも1つの動画像(推奨動画像)に推奨マークRMが付与される。このため、再生装置13のユーザである視聴者に注目すべき動画像をアドバイスすることができる。
【0180】
但し、ステップS64およびS65は絶対必要というわけではない。
【0181】
ステップS66で、CU1のCPUは、特別全体動画像信号生成処理を実行する。特別全体動画像信号生成処理では、特別スループット増加処理(ステップS62)で上りリンクスループットが増加された複数のUE30に対応する複数の動画像信号を含む特別全体動画像信号を生成する。
【0182】
ステップS67で、CU1のCPUは、特別全体動画像信号供給処理を実行する。特別全体動画像信号供給処理では、特別全体動画像信号を要求する再生装置13、すなわちゴール予測モードが選択された再生装置13(図8参照)に、特別全体動画像信号を供給する。特別全体動画像信号供給処理で供給される特別全体動画像信号は、再生装置13で特別全体動画像信号に含まれる複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式を有する。また、特別全体動画像信号は、各動画像がメイン表示部MSおよびサムネイル表示部T1~T9のどこに表示されるべきであるかの指定を有する。
【0183】
したがって、ゴール予測モードが選択された再生装置13の表示画面には、図17に例示される観戦画面SC4が表示される。
【0184】
ステップS68では、CU1のCPUは、ゴールシーンの予測が継続しているか否か判断する。ステップS68の判断が肯定であれば、動作は終了するが、ステップS68の判断が否定であれば、動作はステップS60に戻る。動作がステップS60に戻ることにより、CU1のCPUは、ゴール予測モードに適合した特別全体動画像を生成して供給する。このように、ゴールシーンが予測される限り、図24の動作は継続する。したがって、ゴール予測モードを選択したユーザは、ゴール予測モードに対応する観戦画面SC4を楽しむことができる。
【0185】
以上の通り、イベントで特別な展開が予測されると、特別な展開に関連する好ましい複数の動画像を含む全体動画像を提供することができる。上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数のUE30について上りリンクスループットを増加させるので、再生装置13の表示装置で再生される特別全体動画像の中の複数の動画像のフレームレートを向上させることができ、違和感なく精細な動画像を提供することができる。
【0186】
図24に示すゴール予測モードでの動作は、図20および図22に示す動作と並行して実行される。したがって、CU1のCPUは、ゴールシーンが予測される限り、図24の特別スループット増加処理と特別全体動画像信号生成処理と特別全体動画像信号供給処理とを、図20および図22の全体動画像信号生成処理と全体動画像信号供給処理に並行して実行する。このため、ゴール予測モードが選択されたUE30は、ゴール予測に関連する特別全体動画像信号を受信することができ、ゴール予測モードが選択されないUE30は、UE30で選択されたモードの全体動画像信号を受信することができる。
【0187】
以上、本開示の好ましい実施形態を参照しながら本開示を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本開示の範囲に包含されるはずである。
【0188】
例えば、上りリンクビームフォーミングのためのポストコーディング技術として、ZFポストコーディング、MMSEポストコーディングおよびMLDポストコーディングが例示されている。そして、通常のポストコーディング技術(第2のポストコーディング調整処理の後に実行されるポストコーディング技術)としてZFポストコーディングおよびMMSEポストコーディングが例示され、高受信品質をもたらすポストコーディング技術(第1のポストコーディング調整処理の後に実行されるポストコーディング技術)としてMLDポストコーディングが例示されている。
【0189】
しかし、他のポストコーディング技術を利用してもよい。その場合、RUでの高受信品質をもたらすポストコーディング技術が第1のポストコーディング調整処理の結果として実行され、RUでの低受信品質をもたらすポストコーディング技術が第2のポストコーディング調整処理の結果として実行される。
【0190】
本開示の実施形態が実施されるイベント会場として、サッカースタジアムが例示されている。しかし、野球スタジアム、陸上競技スタジアム、公園、体育館、劇場、その他の施設に本開示を適用してもよい。イベントは、サッカーゲームに限られず、他のスポーツ競技、演劇、コンサートであってもよい。
【0191】
実施形態のゴール予測モードにおいて、推奨動画像の選定の基準とされる注目オブジェクトはサッカーボールである。しかし、イベントの種類に応じて、特別な展開での注目オブジェクトは異なる。
【0192】
上記の実施形態および変形例は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。
【0193】
ゴール予測モードは、モード選択画面SS(図8)で再生装置13のユーザに選択させるのではなくてもよい。すなわち、ボール追跡モード、プレイヤー全身追跡モード、プレイヤー顔追跡モード、または区画継続観察モードの全体動画像を受信しているUE30に、ゴールシーンが予測されると、それを通知するマークが表示されるようにし、UE30のユーザがゴール予測モードを選択できるようにしてもよい。
【0194】
上記の実施形態では、メインカメラMCで撮影されたメイン動画像以外の動画像が再生装置13のユーザによって選択されると、サムネイル表示部T1~T9の中央のサムネイル表示部T9にメイン動画像が表示される(図12図14図16図18参照)。しかし、この場合、メイン動画像は、観戦画面の他の位置に表示されてもよく、例えばメイン表示部MS内に小さいサイズで表示されてもよい。メイン表示部MS内にメイン動画像が小さいサイズで表示される場合、そのメイン動画像はユーザの操作によって移動可能であることが好ましい。いずれにせよ、メイン動画像は、ユーザがメイン動画像をクリックまたはタッチすれば、メイン表示部MSに拡大されて表示される。
【0195】
本開示の態様は、下記の番号付けされた条項にも記載される。
【0196】
[1] 複数の無線通信端末のカメラで、あるイベント会場にて行われるイベントを同時に撮影している複数の動画像を順位付けする順位付け処理と、
前記順位付け処理で上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させるスループット増加処理と、
前記スループット増加処理で上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成する全体動画像信号生成処理と、
動画像が再生される少なくとも1つの再生装置に、前記全体動画像信号生成処理で生成された前記全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給する全体動画像信号供給処理と、
を実行するプロセッサ
を備えるネットワーク管理装置。
【0197】
[2] 前記プロセッサは、
前記順位付け処理において、少なくとも動画像の解像度および動画像内の所望のオブジェクトの面積の比率に基づいて、前記解像度が良好な動画像を上位に、かつ前記面積の比率が大きい動画像を上位に順位付けする
[1]に記載のネットワーク管理装置。
【0198】
[3] 前記プロセッサは、
前記順位付け処理において、動画像内の所望のオブジェクトへの距離が近いカメラで撮影されている動画像を上位に順位付けする
[2]に記載のネットワーク管理装置。
【0199】
[4] 前記プロセッサは、
前記順位付け処理を一度実行し、
前記順位付け処理の後、前記無線通信端末から継続的に供給される動画像に基づいて、前記全体動画像信号生成処理と前記全体動画像信号供給処理とを繰り返し実行する
[1]から[3]のいずれか1項に記載のネットワーク管理装置。
【0200】
[5] 前記プロセッサは、
前記順位付け処理で決定された動画像を撮影した無線通信端末を順位とともに格納し、
前記全体動画像信号生成処理で使用された動画像が当該動画像に対応する無線通信端末から供給されなくなると、当該動画像の供給を停止した無線通信端末の後続順位の無線通信端末の順位を繰り上げる繰り上げ処理を実行し、
前記繰り上げ処理の実行後、前記繰り上げ処理で新たに上位に順位付けされた無線通信端末について上りリンクスループットを増加させる
[4]に記載のネットワーク管理装置。
【0201】
[6] 前記プロセッサは、再生される動画像のオブジェクトが異なる複数のモードについて、前記順位付け処理と、前記スループット増加処理と、前記全体動画像信号生成処理とを並行して実行する
[1]から[5]のいずれか1項に記載のネットワーク管理装置。
【0202】
[7] 前記プロセッサは、前記イベントで特別な展開が予測されると、前記特別な展開に関連する複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させる特別スループット増加処理と、
前記特別スループット増加処理で上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む特別全体動画像信号を生成する特別全体動画像信号生成処理と、
前記再生装置に、前記特別全体動画像信号生成処理で生成された特別全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給する特別全体動画像信号供給処理と、
を実行する
[1]から[6]のいずれか1項に記載のネットワーク管理装置。
【0203】
[8] 前記特別な展開での注目オブジェクトの移動方向の少なくとも1つの候補を推定し、特別全体動画像信号生成処理において、推定された前記移動方向の候補に対応する区画を撮影した少なくとも1つの動画像を前記特別全体動画像信号内で推奨動画像としてマークする
[7]に記載のネットワーク管理装置。
【0204】
[9] 前記プロセッサは、前記イベントで特別な展開が予測される限り、前記特別スループット増加処理と前記特別全体動画像信号生成処理と前記特別全体動画像信号供給処理とを、前記全体動画像信号生成処理と前記全体動画像信号供給処理に並行して実行する
[7]または[8]に記載のネットワーク管理装置。
【0205】
[10] 複数の無線通信端末のカメラで、あるイベント会場にて行われるイベントを同時に撮影している複数の動画像を順位付けすることと、
上位に順位付けされた複数の動画像に対応する複数の無線通信端末について上りリンクスループットを増加させることと、
上りリンクスループットが増加された複数の無線通信端末に対応する複数の動画像信号を含む全体動画像信号を生成することと、
動画像が再生される少なくとも1つの再生装置に、前記全体動画像信号を、前記再生装置で前記複数の動画像信号に対応する複数の動画像を同時に再生可能な形式で供給することと、
を備える通信制御方法。
【符号の説明】
【0206】
1…CU(ネットワーク管理装置)、13…再生装置、30…UE(無線通信端末)、32…カメラ、Z1~Z8…区画(オブジェクト)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図24