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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134000
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H01R13/11 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044061
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】重本 賢史朗
(57)【要約】
【課題】接続信頼性をより向上させることが可能な端子を提供する。
【解決手段】端子1は、コネクタハウジング7の空間S3内に嵌合されてコネクタハウジング7に抜け止め状態で係止されることが可能な壁部20を備えている。また、壁部20は、コネクタハウジング7に壁部20を嵌合した状態で、空間S3を画成するコネクタハウジング7の同一の内壁面73aに接触する第1突起2311および第2突起2312を備えている。そして、第1突起2311と第2突起2312とが、壁部20のコネクタハウジング7への嵌合方向で離間するように形成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングの空間内に嵌合されて前記コネクタハウジングに抜け止め状態で係止されることが可能な壁部を備える端子であって、
前記壁部は、前記コネクタハウジングに前記壁部を嵌合した状態で、前記空間を画成する前記コネクタハウジングの同一の内壁面に接触する第1突起および第2突起を備えており、
前記第1突起と前記第2突起とが、前記壁部の前記コネクタハウジングへの嵌合方向で離間するように形成されている、
端子。
【請求項2】
前記壁部には、前記嵌合方向に延在する突条が形成されており、
前記突条は、前記第1突起と、前記第2突起と、前記嵌合方向において前記第1突起と前記第2突起との間に位置する凹部と、を備えている、
請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記第1突起、前記第2突起および前記凹部が、前記突条に絞り加工を施すことで形成された絞り加工部である、
請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記壁部の前記嵌合方向の一方側の端部に前記第1突起が形成されており、前記壁部の前記嵌合方向の他方側の端部に前記第2突起が形成されている、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の端子としては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1には、コネクタハウジングのキャビティに嵌合されてこのキャビティ内に抜け止め状態で係止される端子金具(端子)が開示されている。また、特許文献1では、端子金具(端子)の側面に、キャビティの内壁との間に形成されるクリアランス幅と等しいかもしくはそれよりも大きい寸法で、対向するキャビティの内壁へ向けて突出するバネ部を形成している。そして、このバネ部が常時キャビティの内壁に弾性的に当接するようにしている。こうすることで、端子金具(端子)のがたつきを抑制できるようにし、以て、端子金具(端子)の接続信頼性を確保できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-044598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、バネ部を常時キャビティの内壁に弾性的に当接させることで、端子金具(端子)のがたつきを抑制するようにしている。そのため、このような端子金具(端子)を車両等の振動が発生する装置に搭載した場合には、振動によってバネ部が塑性変形してしまったり、疲労破壊してしまったりするおそれがある。そして、バネ部が塑性変形してしまったり、疲労破壊してしまったりすると、端子金具(端子)のがたつきを抑えることができなくなって、端子金具(端子)の接続信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、接続信頼性をより向上させることが可能な端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る端子は、コネクタハウジングの空間内に嵌合されて前記コネクタハウジングに抜け止め状態で係止されることが可能な壁部を備える端子であって、前記壁部は、前記コネクタハウジングに前記壁部を嵌合した状態で、前記空間を画成する前記コネクタハウジングの同一の内壁面に接触する第1突起および第2突起を備えており、前記第1突起と前記第2突起とが、前記壁部の前記コネクタハウジングへの嵌合方向で離間するように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接続信頼性をより向上させることが可能な端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る雌端子を示す平面図である。
図2】一実施形態に係る雌端子を示す正面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】一実施形態に係る電線付端子を示す斜視図である。
図5】一実施形態に係る雌ハウジングを裏側から見た斜視図である。
図6】一実施形態に係る雄コネクタと雌コネクタを裏側から見た斜視図である。
図7】一実施形態に係る雌コネクタを示す正面図である。
図8図7のB-B断面図である。
図9図7のC-C断面図である。
図10】一実施形態に係る雌コネクタと雄コネクタとの嵌合状態を示す図であって、雄コネクタの背面側から見た図である。
図11図10のD-D断面図である。
図12図10のE-E断面図である。
図13】変形例に係る雌コネクタと雄コネクタとの嵌合状態を示す図であって、図11に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る端子について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
また、以下の実施形態では、端子として、電線が圧着される雌端子(電線圧着用端子)を例示する。
【0011】
また、電線が延在する方向を前後方向(嵌合方向:第1方向)と規定し、弾性接触片が撓む方向を上下方向(厚さ方向:第2方向)と規定して説明する。また、前後方向(嵌合方向:第1方向)及び上下方向(厚さ方向:第2方向)と交差する方向を幅方向(第3方向)と規定して説明する。
【0012】
さらに、互いに嵌合させた雄コネクタ及び雌コネクタを弾性接触片の上方に雄タブが位置するように配置した状態で各部材の上下方向を規定して説明する。そして、雌コネクタについては、雄コネクタに嵌合させる際に雄コネクタと対向する側を前後方向(第1方向)の前側(一方側)と規定して説明する。また、雄コネクタについては、雌コネクタを嵌合させる際に雌コネクタと対向する側を前後方向(第1方向)の前側(一方側)と規定して説明する。
【0013】
本実施形態に係る雌端子(端子)1は、図1図3に示すように、本体部2と、本体部2の後部に連設されて、電線4を接続(圧着)することが可能な電線接続部3と、を備えている。この雌端子(端子)1は、例えば、金属製の平板状の素材を、素材の外形が所定形状になるように打ち抜き加工し、この打ち抜き加工された加工品に折り曲げ加工等の塑性加工を適宜施すことで形成することができる。
【0014】
本体部2は、内部に空間S1が形成された筒状部20を備えている。本実施形態では、筒状部20は、前後方向(第1方向)に沿って見た状態で、略矩形状をしている。すなわち、筒状部20は、天壁21と、天壁21と上下方向(厚さ方向:第2方向)で対向する底壁22と、天壁21及び底壁22の幅方向(第3方向)の端部に連設される一対の側壁23と、を備えており、矩形の筒状に形成されている。
【0015】
そして、天壁21には、天壁21の下面から下方に向けて突出し、空間S1内に挿入される雄タブ(相手側端子)82を受けることが可能な受け部211が形成されている。本実施形態では、前後方向(第1方向)に延在する一対の受け部211が幅方向(第3方向)に並ぶように形成されている。本実施形態では、天壁21に打ち出し加工を施すことで受け部211を形成している。
【0016】
さらに、天壁21には、雌端子(端子)1を後述する雌ハウジング(コネクタハウジング)7に挿入嵌合させる際に、誤った姿勢で挿入されてしまうことを防止する誤挿入防止片212が形成されている。本実施形態では、この誤挿入防止片212は、天壁21の後端に形成された延設片を、天壁21と重なり合う(天壁21に積層される)ように第2方向(上下方向)の上側かつ前方に折り曲げることで形成している。そして、この誤挿入防止片212を天壁21のみに設けることで、雌ハウジング(コネクタハウジング)7に対する雌端子(端子)1の挿入姿勢が決められた姿勢となるようにしている。
【0017】
また、底壁22には、空間S1内に挿入される雄タブ(相手側端子)82に接触することが可能な弾性接触片221が形成されている。本実施形態では、底壁22の前端から前方に延設された片部を上方かつ後方に湾曲させることで形成されている。すなわち、弾性接触片221は、後端が自由端となる片持ち梁状に形成されている。このように、本実施形態では、弾性接触片221は、第1方向(前後方向)と交差する第2方向(上下方向)に弾性変形可能な状態で空間S1内に配置されている。
【0018】
そして、この弾性接触片221は、一対の受け部211と第2方向(上下方向)で対向するようにした状態で、空間S1内に収容されている。このとき、弾性接触片221は、一対の受け部211との間に空間が形成されるようにしている。そして、弾性接触片221と受け部211との間に雄タブ(相手側端子)82を挿入することで、弾性接触片221と受け部211とで雄タブ(相手側端子)82が、上下方向(厚さ方向:第2方向)に弾性的に挟持されるようにしている。したがって、本実施形態では、弾性接触片221と受け部211との間に形成される空間が、雄タブ(相手側端子)82を挿入嵌合させることが可能な嵌合空間S2となっている。そして、この嵌合空間S2の前端が、雄タブ(相手側端子)82を嵌合空間S2(空間S1)に導入することが可能な開口部S2aとなっている。
【0019】
このように、本実施形態では、筒状部20は、少なくとも第1方向(前後方向)の一方側(前側)に開口部S2aが形成された空間S1を有している。
【0020】
また、本実施形態では、弾性接触片221の中央部には、嵌合空間S2内に挿入される雄タブ(相手側端子)82に接触し、雄タブ(相手側端子)82に電気的に接続される接点部2211が上方に突出するように形成されている。本実施形態では、接点部2211は、前後方向に関する位置が受け部211と対応するようにしている。すなわち、接点部2211は、受け部211と前後方向(第1方向)でオーバーラップする位置に形成されている。さらに、本実施形態では、接点部2211は、天壁21の誤挿入防止片212が存在する部位と第2方向(上下方向)で対向する位置に形成されている。このように、本実施形態では、天壁21の特に変形しにくい場所で、接点部2211が雄タブ(相手側端子)82を上方に押圧するようにしている。こうすることで、第2方向(上下方向)への振動によって天壁21が変形してしまうことが抑制されるようにし、接点部2211と雄タブ(相手側端子)82との接触信頼性をより向上させることができるようにしている。
【0021】
また、底壁22には、係止孔222が形成されている。この係止孔222は、雌端子(端子)1と雌ハウジング7とで雌コネクタ6を形成する際に、雌ハウジング7を係止するための孔である。本実施形態では、底壁22の中央部に、後方のみで連設される切り欠き片を設け、この切り欠き片を、後端を基点として上方に90度折り曲げることで形成されている。このとき、上方に立ち上げた切り欠き片が弾性接触片221の先端と第2方向(上下方向)で対向するようにしている。こうすることで、弾性接触片221の先端が下方に弾性変形した際に、切り欠き片に突き当たるようにし、弾性接触片221の先端がそれ以上下方に弾性変形してしまわないようにしている。このように、本実施形態では、係止孔222を形成する際に形成された立ち上がり片(切り欠き片)を、弾性接触片221の過度の撓みを抑制するための撓み防止部223として機能させている。
【0022】
さらに、本実施形態では、筒状部20の前端に保護壁24が形成されており、この保護壁24によって、雄タブ(相手側端子)82が弾性接触片221の折り曲げ部に突き当たってしまうことが抑制されるようにしている。こうすることでも、弾性接触片221の過度の撓みを抑制できるようにしている。
【0023】
また、電線接続部3は、前方に配置されて電線4の導体41をカシメ固定する導体カシメ片31と、導体カシメ片31の後方に配置されて電線4の被覆体42をカシメ固定する被覆体カシメ片32と、を備えている。
【0024】
そして、電線4を電線接続部3に接続(圧着)する際には、先端の導体41を露出させた電線4が用いられる。具体的には、露出させた導体41が、導体カシメ片31が形成された位置となるようにしつつ、被覆体42が、被覆体カシメ片32が形成された位置となるように、電線4を電線接続部3上に配置する。そして、導体カシメ片31で導体41をカシメ固定し、被覆体カシメ片32で被覆体42をカシメ固定する。こうすることで、本体部2の後部に導体圧着部51と被覆体圧着部52とを有する電線付端子5が形成されることになる(図4参照)。
【0025】
本実施形態では、このようにして形成された電線付端子5を用いることで、雌端子(端子)1と、雌ハウジング7とを備える雌コネクタ6を形成している(図6参照)。
【0026】
雌ハウジング7は、前後方向(第1方向)に沿って見た状態で、略矩形状をしている。すなわち、雌ハウジング7は、天壁71と、天壁71と上下方向(厚さ方向:第2方向)で対向する底壁72と、天壁71及び底壁72の幅方向(第3方向)の端部に連設される一対の側壁73と、を備えており、矩形の筒状に形成されている。
【0027】
そして、この雌ハウジング7には、電線付端子5の雌端子(端子)1部分が収容される雌端子収容空間S3が形成されている。この雌端子収容空間S3は、後方が開口部S3aとなるように形成されており、電線付端子5の雌端子(端子)1部分は、この開口部S3aから雌端子収容空間S3に挿入嵌合されて、雌端子収容空間S3に収容されるようになっている。
【0028】
このとき、天壁21に形成された誤挿入防止片212が、天壁71に形成された溝711に挿入されるようにしている(図9参照)。また、雌ハウジング7の底壁72には、ランス721が形成されており、このランス721の係止突起7211が雌端子(端子)1の係止孔222に係止されることで、電線付端子5の雌ハウジング7からの抜け止めがなされるようにしている。こうすることで、電線付端子5が雌ハウジング7に係合保持された雌コネクタ6が形成されることになる。
【0029】
このように、本実施形態では、雌端子(端子)1は、雌ハウジング(コネクタハウジング)7の雌端子収容空間(空間)S3内に嵌合されてコネクタハウジング7に抜け止め状態で係止されることが可能な筒状部20を有している。したがって、本実施形態では、この筒状部20が壁部に相当している。
【0030】
さらに、本実施形態では、底壁72にはロックアーム722が形成されており、このロックアーム722に形成された係止突起7221を後述する雄コネクタ8に係止させることで、雌ハウジング7(雌コネクタ6)が雄コネクタ8に係止されるようにしている。また、底壁72には、ガイド突起723が形成されており、雌ハウジング7(雌コネクタ6)を雄コネクタ8に挿入する際には、このガイド突起723によってスムーズに挿入されるようにしている。また、底壁72には、誤操作防止壁724が形成されている。この誤操作防止壁724を設けることで、雌コネクタ6を雄コネクタ8に挿入してロックした状態で、ロックアーム722を誤って操作してロックが解除されて雌コネクタ6が雄コネクタ8から外れてしまうことを抑制できるようにしている。
【0031】
なお、本実施形態では、雌ハウジング7には、前壁74が形成されており、この前壁74に雄タブ(相手側端子)82が挿入される挿通孔741が形成されている。
【0032】
そして、雌コネクタ6を雄コネクタ8に嵌合保持することで、雄タブ(相手側端子)82と弾性接触片221の接点部2211とが電気的に接続され、電線4と雄コネクタ8側の機器との間で電気的な通信を行うことができるようにしている。
【0033】
本実施形態では、雄コネクタ8は、フード81を備えている。このフード81は、例えば、雄コネクタ8側の機器の筐体に一体に形成することができる。
【0034】
本実施形態では、フード81は、前後方向(第1方向)に沿って見た状態で、略矩形状をしている。すなわち、フード81は、天壁811と、天壁811と上下方向(厚さ方向:第2方向)で対向する底壁812と、天壁811及び底壁812の幅方向(第3方向)の端部に連設される一対の側壁813と、を備えており、矩形の筒状に形成されている。
【0035】
そして、このフード81には、雌コネクタ6の雌ハウジング7が嵌合される嵌合空間S4が形成されている(図6等参照)。この嵌合空間S4は、前方が開口部S4aとなるように形成されており、雌ハウジング7は、この開口部S4aから嵌合空間S4に挿入されて、フード81に嵌合されるようになっている。また、この嵌合空間S4には、雄タブ(相手側端子)82が収容されている。
【0036】
そして、フード81の底壁812には、係合部8121が形成されており、この係合部8121が雌ハウジング7の係止突起7211に係止されることで、雌ハウジング7がフード81からの抜け止めがなされた状態で嵌合されるようになっている(図12参照)。また、フード81の底壁812には、ガイド突起723が挿入されるガイド溝8122が形成されている。
【0037】
さらに、本実施形態では、雌ハウジング7の一対の側壁73には、雌ハウジング7をフード81に嵌合させた状態で、一対の側壁813の内面にそれぞれ接触するリブ731が形成されている。このリブ731は、雌ハウジング7をフード81に嵌合させた状態で、雌ハウジング7とフード81との間に形成されるクリアランスをなくし、雌ハウジング7のフード81に対するガタ詰めを行う機能を有している。本実施形態では、側壁73の上下方向の略中央部に打ち出し加工を施すことでリブ731を形成している。そして、雌ハウジング7をフード81に嵌合させた際に、嵌合空間S4の開口部S4aの近傍でリブ731が側壁813の内面に接触するようにしている。
【0038】
なお、本実施形態では、雌ハウジング7(雌コネクタ6)は、雄コネクタ8に着脱可能に装着されており、雌端子(端子)1も、雌ハウジング7に着脱可能に装着されている。
【0039】
このようなコネクタ構造が用いられる雄コネクタ8側の機器としては、例えば、自動車等に搭載されるジャンクションボックスがあげられる。
【0040】
ところで、筒状部(壁部)20を雌ハウジング(コネクタハウジング)7に挿入嵌合させる際には、筒状部(壁部)20の外面と雌ハウジング(コネクタハウジング)7の内面との間に、挿入抵抗を小さくするための所定のクリアランスを設けることになる。
【0041】
このとき、自動車等に搭載される機器で雌端子(端子)1を用いると、車両の振動等により、雌端子(端子)1が、がたついてしまうおそれがある。特に、雌端子(端子)1は、ランス721による移動が制限されていない第3方向(幅方向)に移動しやすくなっている。そして、雌端子(端子)1に第3方向(幅方向)のがたつきが生じて、雌端子(端子)1が雌ハウジング(コネクタハウジング)7に対して第3方向(幅方向)に相対的に移動すると、接点部2211と雄タブ(相手側端子)82とが擦れ合うことになる。
【0042】
このように、接点部2211と雄タブ(相手側端子)82とが擦れ合うと、雄タブ(相手側端子)82や接点部2211に設けられたメッキや酸化膜の削れによる摩耗粉が生じてしまうおそれがある。そして、摩耗粉が生じてしまうと、弾性接触片221と雄タブ(相手側端子)82との間に摩耗粉が介在してしまい、電気的接続の信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、雌端子(端子)1と雄タブ(相手側端子)82との接続信頼性をより向上させることができるようにしている。
【0044】
具体的には、筒状部(壁部)20が、第1突起2311および第2突起2312を備えるようにしている。この第1突起2311および第2突起2312は、雌ハウジング(コネクタハウジング)7に筒状部(壁部)20を嵌合した状態で、雌端子収容空間(空間)S3を画成する雌ハウジング(コネクタハウジング)7の同一の内壁面73aに接触するものである。
【0045】
そして、第1突起2311と第2突起2312とが、筒状部(壁部)20の雌ハウジング(コネクタハウジング)7への嵌合方向で離間する位置に形成されるようにしている。
【0046】
このように、本実施形態では、雌ハウジング(コネクタハウジング)7に筒状部(壁部)20を嵌合した状態で、嵌合方向で離間する第1突起2311と第2突起2312の2点が、雌ハウジング7の同一の内壁面(平坦面)73aに接触するようにしている。
【0047】
こうすることで、第1突起2311及び第2突起2312によって、雌ハウジング(コネクタハウジング)7と筒状部(壁部)20との間に形成されるクリアランスをなくすことができるようにしている。そして、クリアランスをなくすことで、雌端子(端子)1のがたつきや傾きを抑制することができるようにしている。
【0048】
こうすれば、車両の振動等による雌端子(端子)1のがたつきをより確実に抑え続けることが可能になる。その結果、接点部2211と雄タブ(相手側端子)82とが擦れ合うことに起因する摩耗を抑制することが可能になって、雌端子(端子)1の接続信頼性を確保することが可能になる。
【0049】
また、雌端子(端子)1の挿入時における内壁面(平坦面)73aとの接触面積が小さくなるため、雌端子(端子)1の挿入作業性が悪化してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0050】
さらに、本実施形態では、第1突起2311及び第2突起2312は、接点部2211と第1方向(前後方向)に関して対応する位置に形成されている。すなわち、第1突起2311及び第2突起2312は、接点部2211と前後方向(第1方向)でオーバーラップする位置に形成されている。さらに、本実施形態では、第1突起2311及び第2突起2312は、雄タブ(相手側端子)82の挿入時に弾性変形した状態の接点部2211とほぼ同じ高さ位置となるようにしている。
【0051】
こうすることで、車両の振動等が接点部2211に伝達する影響力を極力抑えることができるようにし、接点部2211と雄タブ(相手側端子)82との接続信頼性をより一層向上させることができるようにしている。
【0052】
また、本実施形態では、一対の側壁23のそれぞれに第1突起2311及び第2突起2312を形成している。こうすることで、車両振動により雌端子(端子)1が傾きづらくなるようにし、雌端子(端子)1と雄タブ(相手側端子)82との接続信頼性をより一層確実に向上させることができるようにしている。
【0053】
さらに、本実施形態では、第1突起2311及び第2突起2312が剛性を有する剛体となっている。すなわち、本実施形態に係る第1突起2311及び第2突起2312は、雌ハウジング(コネクタハウジング)7の内壁面73aに弾性的に接触する構成にはなっていない。こうすることで、車両振動時に雌端子(端子)1が常時小さく揺れてしまうことを抑制することができる上、車両振動が大きくなった場合であっても第1突起2311や第2突起2312が変形してしまうことを抑制することができるようにしている。
【0054】
さらに、本実施形態では、筒状部(壁部)20に形成された突条231に、第1突起2311及び第2突起2312が形成されるようにしている。この突条231は、嵌合方向(前後方向)に延在するように形成されている。そして、突条231に形成された第1突起2311と第2突起2312との嵌合方向(前後方向)の間には、凹部2313が形成されるようにしている。
【0055】
こうすることで、第1突起2311と第2突起2312の突出量がばらついてしまう(第1突起2311の突出量と第2突起2312の突出量とが異なってしまう)ことを抑制できるようにしている。こうすれば、雌端子(端子)1のがたつきや傾きをより確実に抑制することが可能になる。
【0056】
なお、本実施形態では、この突条231は、側壁23に打ち出し加工を施すことで形成されている。
【0057】
また、本実施形態では、突条231に絞り加工を施すことで第1突起2311、第2突起2312および凹部2313を形成している。したがって、本実施形態では、第1突起2311、第2突起2312および凹部2313は、突条231に絞り加工を施すことで形成された絞り加工部232となっている。
【0058】
このように、第1突起2311、第2突起2312および凹部2313を絞り加工により形成された構成とすれば、外力に対する強度をより高めることができるようになる。そのため、雌ハウジング(コネクタハウジング)7の内壁面73aに接触した状態で車両振動が加えられた場合であっても、第1突起2311や第2突起2312が変形したり破損したりすることをより確実に抑制することができるようになる。その結果、より強固なガタ抑え構造とすることが可能になる。
【0059】
さらに、本実施形態では、凹部2313の底(幅方向の内側の端部)が、突条231が形成されていない部位の側壁23よりも外側に位置するように、第1突起2311、第2突起2312および凹部2313を形成している。こうすることで、第1突起2311と第2突起2312の実質的な突出量が小さくなるようにし、第1突起2311や第2突起2312が変形しにくくなるようにしている。
【0060】
なお、本実施形態では、受け部211も、第1突起2111と、第2突起2112と、第1突起2111と第2突起2112との間に形成される凹部2113と、を備えるようにしている。この第1突起2111、第2突起2112および凹部2113も第1方向(嵌合方向:前後方向)に並ぶように形成されている。
【0061】
こうすることで、雄タブ(相手側端子)82の挿入時における受け部211との接触面積を小さくして、雄タブ(相手側端子)82の挿入作業性が悪化してしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0062】
また、雌端子(端子)1は、図13に示す構成とすることも可能である。図13においても、雌端子(端子)1と雄タブ(相手側端子)82との接続信頼性をより向上させることができるようにしている。
【0063】
具体的には、筒状部(壁部)20が、第1突起2314および第2突起2315を備えるようにしている。この第1突起2314および第2突起2315は、雌ハウジング(コネクタハウジング)7に筒状部(壁部)20を嵌合した状態で、雌端子収容空間(空間)S3を画成する雌ハウジング(コネクタハウジング)7の同一の内壁面73aに接触するものである。図13においても、第1突起2314および第2突起2315は、剛性を有するように形成されている。
【0064】
ここで、図13においては、筒状部(壁部)20の嵌合方向(前後方向)の一方側の端部(前端部23a)に第1突起2314が形成されている。そして、筒状部(壁部)20の嵌合方向(前後方向)の他方側の端部(後端部23b)に第2突起2315が形成されている。そして、嵌合方向(前後方向)において第1突起2314と第2突起2315との間には、凹部が設けられていない。
【0065】
こうすることで、第1突起2314と第2突起2315との嵌合方向(前後方向)の距離を極力大きくすることができるようにし、より効果的に雌端子(端子)1が回動してしまうことを抑制することができるようにしている。
【0066】
なお、前端部23aから後端部23bにかけて突条231を形成し、この突条231の前端に第1突起、後端に第2突起が形成されるようにしてもよい。
【0067】
[作用・効果]
以下では、上記実施形態及びその変形例で示した端子の特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0068】
上記実施形態及びその変形例で示した雌端子(端子)1は、雌ハウジング(コネクタハウジング)7の雌端子収容空間(空間)S3内に嵌合されて雌ハウジング(コネクタハウジング)7に抜け止め状態で係止されることが可能な筒状部(壁部)20を備えている。また、筒状部(壁部)20は、第1突起2311および第2突起2312を備えている。この第1突起2311および第2突起2312は、雌ハウジング(コネクタハウジング)7に筒状部(壁部)20を嵌合した状態で、雌端子収容空間(空間)S3を画成する雌ハウジング(コネクタハウジング)7の同一の内壁面73aに接触するものである。
【0069】
そして、第1突起2311と第2突起2312とが、筒状部(壁部)20の雌ハウジング(コネクタハウジング)7への嵌合方向で離間するように形成されている。
【0070】
このように、雌ハウジング(コネクタハウジング)7に筒状部(壁部)20を嵌合した状態で、嵌合方向で離間する第1突起2311と第2突起2312の2点が、雌ハウジング(コネクタハウジング)7の同一の内壁面73aに接触するようにしている。
【0071】
こうすれば、第1突起2311及び第2突起2312によって、雌ハウジング(コネクタハウジング)7と筒状部(壁部)20との間に形成されるクリアランスをなくすことができ、雌端子(端子)1のがたつきや傾きを抑制することができるようになる。すなわち、車両の振動等による雌端子(端子)1のがたつきをより確実に抑え続けることが可能になる。その結果、接点部2211と雄タブ(相手側端子)82とが擦れ合うことに起因する摩耗を抑制することが可能になって、雌端子(端子)1の接続信頼性を確保することが可能になる。
【0072】
このように、上記実施形態及びその変形例で示した雌端子(端子)1とすれば、雌端子(端子)1の接続信頼性をより向上させることが可能になる。
【0073】
また、筒状部(壁部)20には、嵌合方向(前後方向)に延在する突条231が形成されていてもよい。そして、突条231は、第1突起2311と、第2突起2312と、嵌合方向(前後方向)において第1突起2311と第2突起2312との間に位置する凹部2313と、を備えていてもよい。
【0074】
こうすれば、第1突起2311と第2突起2312の突出量がばらついてしまう(第1突起2311の突出量と第2突起2312の突出量とが異なってしまう)ことを抑制することが可能になる。そのため、雌端子(端子)1のがたつきや傾きをより確実に抑制することが可能になる。
【0075】
また、第1突起2311、第2突起2312および凹部2313が、突条231に絞り加工を施すことで形成された絞り加工部232であってもよい。
【0076】
このように、絞り加工により形成された構成とすれば、外力に対する強度を高めることができるようになる。そのため、雌ハウジング(コネクタハウジング)7の内壁面73aに接触した状態で車両振動が加えられた場合であっても、第1突起2311や第2突起2312が変形したり破損したりすることをより確実に抑制することができるようになる。その結果、より強固なガタ抑え構造とすることが可能になる。
【0077】
また、筒状部(壁部)20の嵌合方向(前後方向)の一方側の端部(前端部23a)に第1突起2311が形成されており、筒状部(壁部)20の嵌合方向(前後方向)の他方側の端部(後端部23b)に第2突起2312が形成されていてもよい。
【0078】
こうすれば、第1突起2311と第2突起2312との嵌合方向(前後方向)の距離を極力大きくすることが可能になるため、より効果的に雌端子(端子)1が回動してしまうことを抑制することができるようになる。
【0079】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態では、天壁21に下方に突出する受け部211を設け、この受け部211と弾性接触片221とで雄タブ(相手側端子)82を挟持するようにしたものを例示している。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、例えば、受け部211を設けずに、天壁21と弾性接触片221とで雄タブ(相手側端子)82を挟持する構成とすることも可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、一対の側壁(壁部の一部)23のそれぞれに第1突起2311及び第2突起2312を設けたものを例示しているが、いずれか一方の側壁23のみに第1突起2311及び第2突起2312を設けた構成とすることも可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、端子として電線4が接続される電線圧着用端子を例示したが、電線圧着用端子以外の端子に本発明を適用することも可能である。
【0083】
また、雄コネクタや雌コネクタ、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 雌端子(端子)
20 筒状部(壁部)
23a 前端部
23b 後端部
231 突条
2311 第1突起
2312 第2突起
2313 凹部
2314 第1突起
2315 第2突起
232 絞り加工部
7 雌ハウジング(コネクタハウジング)
S3 雌端子収容空間(空間)
73a 内壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13