(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134016
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】エナメル電線被覆剥離装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H02G1/12 075
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044087
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】523101855
【氏名又は名称】株式会社パワービジョン
(74)【代理人】
【識別番号】519437733
【氏名又は名称】冨山 久詞
(72)【発明者】
【氏名】冨山 久詞
【テーマコード(参考)】
5G353
【Fターム(参考)】
5G353BA02
5G353CA05
5G353EA08
(57)【要約】
【課題】エナメル電線被覆を簡易な構成で、速やかに剥離することを目的とする。
【解決手段】
エナメル電線5aの被覆を剥離するエナメル電線被覆剥離装置100は、200℃以上の水蒸気である過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生手段と、過熱水蒸気が流通する過熱水蒸気流通ダクト2aとの備え、過熱水蒸気流通ダクト2aにはエナメル電線5aの一部を内部に挿通するエナメル電線被覆剥離用孔2bが形成され、過熱水蒸気流通ダクト2a内においてエナメル電線5aの一部を過熱水蒸気に曝すことで当該部分の被覆を剥離する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナメル電線の被覆を剥離するエナメル電線剥離装置であって、200℃以上の水蒸気である過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生手段と、過熱水蒸気が流通するダクトとの備え、ダクトにはエナメル電線の一部を内部に挿通する孔が形成され、ダクト内においてエナメル電線の一部を過熱水蒸気に曝すことで当該部分の被覆を剥離することを特徴とするエナメル電線被覆剥離装置。
【請求項2】
ダクト内の温度を検知する検知手段と、過熱水蒸気の温度を制御する制御手段と、を更に備え、制御手段は、検知手段で検知されたダクト内の温度が第一所定温度となった場合に過熱水蒸気発生手段に供給する水噴霧量を増加させて、ダクト内の温度を低下させ、第二所定温度となった場合に過熱水蒸気発生手段に供給する水噴霧量を減少させて、ダクト内の温度を上昇させることを特徴とする請求項1に記載のエナメル電線被覆剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエナメル電線の被覆を剥離するエナメル電線剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では動力系がガソリン・ディーゼル・LPガス・ジェットエンジンなどの内燃機関から電機モータへと置き換わりつつある。また、多くのデバイスは電気化、電子化が進み至る所で系統電源との分離(感電防止・火災防止・漏電防止などの危険回避)のため絶縁トランス(スイッチングトランスを含む)が使われるようになってきている。また、逆に自然エネルギーの採用により系統電源との親和性もより強くなっておりそのための電力変換用トランスなども多様化してきている。
【0003】
このように私たちの生活の銅占有率は高まっていると言って過言でない。 現在では銅線にウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂或いはそれ以上の高耐久性樹脂などをコーティングして電気絶縁を確保している。これは電気絶縁用樹脂コーティング技術、樹脂材料の耐熱性、機械的な堅牢性技術が進歩したことによりピンホールの発生を抑制することが可能になったことによるものである。これらを総称してエナメル電線と呼んでいる。トランス、モータなどが多様化することで過酷な環境で使用されることも想定され高い温度環境での使用や振動・衝撃による耐久性をも併せ持つ電気絶縁用の樹脂コーティングされたエナメル電線が不可欠である。
【0004】
従来よりエナメル電線において、末端処理をするためにエナメル電線の絶縁被覆を剥離するためにレーザー剥離手法、切削・研磨剥離手法が知られている。(特許文献1及び特許文献2)
それ以外にも はんだ浸漬剥離手法、薬液浸漬剥離手法、超音波剥離手法などは既知技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-151319 号公報
【特許文献2】特開平10-174239 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザー剥離手法においては剥離部にレーザーを照射することで絶縁被覆をレーザー光で焼き切る方法であるが、レーザー照射範囲が小さいことでレーザー照射点を移動させて繰り返し往復させることで所望の範囲の絶縁被覆を剥離することになり時間を要する。また、絶縁被覆厚が厚ければ更に往復繰り返しのレーザー照射が必要となる。短時間に剥離処理を実施する場合は複数のレーザー光を並列に配置して一気に照射面を剥離することは可能であるが設備投資が問題となる。それでもレーザー照射面の反対側の絶縁被覆を剥離しようとすれば、電線、或いはレーザー光を180°回転させるなどの対応が必要となり、最低でも2工程を要するため被覆剥離に時間を要することに問題があった。
【0007】
当然ながらレーザー光を人に照射すれば眼障害・皮膚障害を及ぼす可能性が高いため、機器への立ち入り区域の制限を設けたり、自治体への届出が必要な場合がある。
一方、切削・研磨剥離手法においては、φ0.1以下の細くコシのないエナメル電線は不向きで、太い電線であっても芯線を傷つけたり、削ってしまったりすることに問題があった。
【0008】
本発明は、エナメル電線被覆を簡易な構成で、速やかに剥離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) エナメル電線の被覆を剥離するエナメル電線剥離装置であって、200℃以上の水蒸気である過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生手段と、過熱水蒸気が流通するダクトとの備え、ダクトにはエナメル電線の一部を内部に挿通する孔が形成され、ダクト内においてエナメル電線の一部を過熱水蒸気に曝すことで当該部分の被覆を剥離することを特徴とするエナメル電線被覆剥離装置。
【0010】
(2) ダクト内の温度を検知する検知手段と過熱水蒸気の温度を制御する制御手段と、を更に備え、制御手段は検知手段で検知されたダクト内の温度が第一所定温度となった場合に過熱水蒸気発生手段に供給する水噴霧量を増加させて、ダクト内の温度を低下させ、第二所定温度となった場合に過熱水蒸気発生手段に供給する水噴霧量を減少させて、ダクト内の温度を上昇させることを特徴とするエナメル電線剥離装置。
【発明の効果】
【0011】
発明によればエナメル電線被覆を簡易な構成で、速やかに剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】過熱水蒸気技術を活用したエナメル電線被覆剥離装置
【
図2】過熱水蒸気を用いたエナメル電線被覆剥離方法
【発明を実施するための形態】
【0013】
エナメル電線5aの被覆を剥離するエナメル電線被覆剥離装置100は、200℃以上の水蒸気である過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生手段と、過熱水蒸気が流通する過熱水蒸気流通ダクト2aとの備え、過熱水蒸気流通ダクト2aにはエナメル電線5aの一部を内部に挿通するエナメル電線被覆剥離用孔2bが形成され、過熱水蒸気流通ダクト2a内においてエナメル電線5aの一部を過熱水蒸気に曝すことで当該部分の被覆を剥離する。
【0014】
また、エナメル電線被覆剥離装置100は過熱水蒸気流通ダクト2a内の温度を検知する検知手段の一例である温度センサー12と過熱水蒸気の温度を制御する制御手段の一例であるコントローラ11と、を更に備え、制御手段は検知手段で検知された過熱水蒸気流通ダクト2a内の温度が、第一所定温度となった場合(例えば310℃)に過熱水蒸気発生手段に供給する水噴霧量を増加させて、過熱水蒸気流通ダクト2a内の温度を低下させ、第二所定温度(例えば290℃)となった場合に過熱水蒸気発生手段に供給する水噴霧量を減少させて、過熱水蒸気通流ダクト2a内の温度を上昇させる。これにより過熱水蒸気流通ダクト2aに流通する過熱水蒸気の平均温度(例えば300℃)を安定化させる。
【0015】
本発明の実施形態に係るエナメル電線被覆剥離装置100は、200℃から1,200℃までの範囲でLPガス、都市ガス、化石燃料での燃焼、或いは電気加熱による熱源と一般的な水道水を使用することにより適正に温度管理された過熱水蒸気にて各種のエナメル電線被覆の剥離に必要な温度に設定できると共に低酸素下で電線芯線の酸化を抑制でき、傷つけず剥離できることが特徴である。
【0016】
過熱水蒸気を用いたエナメル電線被覆剥離装置100の熱源は、LPガス・都市ガスなどの液化天然ガスの燃焼による熱源に加え、オイル・ガソリン・軽油・重油などの化石燃料の燃焼による熱源や電気ヒーター(誘導加熱:IH、シーズヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線ヒーター、赤外線ヒーター、ハロゲンヒータ等)による加熱による熱源を言う。
【0017】
エナメル電線被覆剥離装置100で使用する水は事前に浄化したり或いは事前に予熱したりする必要がなく水蒸気発生ボイラー室1bにそのまま水噴霧・水噴射アクチュエータ1dより水道水を噴霧或いは噴射して温度制御できるものである。
【0018】
過熱水蒸気は、対流熱に加えて凝縮熱、輻射熱の3種類の熱により熱伝搬することが分かっている。一般的な熱風では対流熱しか得られないが、過熱水蒸気では対流熱に加え、凝縮熱、輻射熱が加わることにより、エナメル電線の被覆を剥離するために必要な熱が直接エナメル電線被覆に伝わるため熱風で炙ったり、電気炉で加熱したり、はんだ槽に浸漬させて被覆剥離するより短時間で被覆剥離でき、消費エネルギー的にも省エネルギーである。むしろ対流熱だけでの被覆剥離方法だと電線の熱伝導が良いため、剥離したい肝心なエナメル被覆だけに熱が加わらず、熱は電線に吸い込まれてしまい、剥離したくない電線被覆部まで熱劣化させてしまうことがある。
【0019】
エナメル電線被覆剥離装置100はエナメル被覆剥離行うための過熱水蒸気発生ボイラー1と過熱水蒸気を流通させるための過熱水蒸気流通ダクト2a、そしてエナメル被覆を剥離した残渣を回収するためのサイクロン4aによって構成される。
過熱水蒸気発生ボイラー1は
図1で示す通り熱源発生ボイラー室1aと水蒸気発生ボイラー室1bが熱源発生ボイラー隔壁1eにより分離されている。この熱源発生ボイラー隔壁1eは水蒸気発生ボイラー室1bにて水を水噴霧・水噴射アクチュエータ1dより噴霧した際に水が水蒸気に変化する際の容積膨張により熱源発生ボイラー室1aに向かって逆風が発生し熱源発生バーナ1cを失火させないために設けられている。
【0020】
過熱水蒸気発生ボイラー1からは過熱水蒸気を流通させる過熱水蒸気通流ダクト2aが1本或いは複数本出力されており、その過熱水蒸気通流ダクト2aにはエナメル電線5aの一部を過熱水蒸気に曝すための孔であるエナメル電線被覆剥離用孔2bが形成されている。孔は必要に応じて複数個開けてある。(
図1の例では3孔)
過熱水蒸気流通ダクト2aの後段にはエナメル被覆剥離残渣を回収するためのサイクロン4aと排気ダクト4bが敷設されている。
【0021】
図2で示す通り過熱水蒸気流通ダクト2a付近には温度センサー12が敷設されており、過熱水蒸気の温度を一定にするためのコントローラ11と水の噴霧量を調節する水噴霧・水噴射アクチュエータ制御14を備えることで一定の温度の過熱水蒸気を供給できる構成となっている。過熱水蒸気流通ダクト2a付近には温度センサー12を配置し、温度センサー12で検出した温度をコントローラ11に入力することで、コントローラ上で設定した温度設定値13(上限値、下限値)を逸脱しないように水蒸気発生ボイラー室1bに敷設した水噴霧・噴射アクチュエータ1dの水噴霧量を水噴射・水噴射アクチュエータ制御14が調節する機能を有する。
【0022】
過熱水蒸気流通ダクト2a付近に設置した温度センサー12で検知した過熱水蒸気温度が温度設定値13より高い場合は水噴霧・水噴射アクチュエータ制御14により水噴霧・水噴射アクチュエータ1dの水の量を増大させ、過熱水蒸気温度を下げ、温度センサー12で検知した過熱水蒸気温度が温度設定値13より低い場合は水噴霧・水噴射アクチュエータ制御14により水噴霧・水噴射アクチュエータ1dの水の量を低減させることで過熱水蒸気温度を上昇させると言った制御で一定の過熱水蒸気温度を保つ構成となっている。
過熱水蒸気の温度設定は電線被覆材質や電線被覆の膜厚、電線材質によって異なるためコントローラ11に事前に温度設定値13を設定する。温度センサー12の感度及び温度コントローラ11の制御ゲインを高くすれば、過熱水蒸気の温度リップルは小さくできることは言うまでもない。
【0023】
過熱水蒸気発生ボイラー1、過熱水蒸気流通ダクト2a、サイクロン4aを設置し、温度センサー12及びコントローラ11を設けることにより、過熱水蒸気にて低酸素下でエナメル電線被覆剥離を行うことで、エナメル電線の芯線の酸化を抑えることができ次工程の末端処理(電線メッキ処理、圧着・圧接端子接続処理)の品質向上ができる。
【0024】
エナメル電線の被覆種類、電線線材、電線太さ、電線形状を選ばないエナメル電線被膜剥離装置100である。
【0025】
エナメル電線の線材には銅をはじめアルミ、銀、コバルト、真鍮や金などが存在し、電線の被覆種類、電線太さ、電線形状(丸、角)など各種が存在するが温度プロファイル(過熱水蒸気温度と暴露時間)を設定すれば いかなエナメル電線でも被覆剥離は可能である。
電線被覆剥離寸法においては過熱水蒸気流通ダクト2aに設けたエナメル電線被覆剥離用孔2bに剥離寸法設定治具などをセットすることにより正確な剥離寸法5bが実現できる。
【0026】
消費エネルギーも電気炉での剥離やレーザー剥離、はんだ浸漬剥離と比較すれば省力化でき、作業時間も短縮でき環境負荷が小さい装置である。
排気ダクト4bで外部に排気することで被覆剥離作業者の作業環境も良好である。
【0027】
エナメル電線被覆剥離装置100は、一般的なエナメル電線の被覆剥離はもちろんのこと、束線であるリッツ線や極太の平角エナメル電線やバイファイラー巻線においての被覆を剥離することができる。
【0028】
エナメル電線の被覆を剥離した部分(導通部分)には圧着端子を圧着接続するものもあれば、被覆を剥離した部分にはんだメッキさせる末端処理方法もある。
エナメル電線の被覆を剥離した部分の加工は様々である。
【0029】
図3を参照して、エナメル電線被覆剥離の手順について説明する。
ステップ1では、エナメル電線を指定寸法に切断する。
ステップ2では、エナメル電線の剥離寸法を指定する治具を必要に応じてセットする。
エナメル被覆部と剥離部のエッジを明確にするために治具をセットする場合がある。
ステップ3では温度プロファイルのセットする。
対象エナメル電線の被覆を剥離するために必要な過熱水蒸気の温度設定値13、エナメル電線を過熱水蒸気に暴露する時間をコントローラ11セットすることで、指定された温度の過熱水蒸気が過熱水蒸気ダクト2aに流入することができる。
もちろん、過熱水蒸気を暴露する時間については手動で電線をエナメル電線被覆剥離孔2bから引き抜くならばコントローラ11にセットしなくともよい。
ステップ4では、過熱水蒸気発生ボイラー1を起動する。
過熱水蒸気発生ボイラー1を起動することにより、過熱水蒸気流通ダクト2aに過熱水蒸気が流通する。
ステップ5では、エナメル電線被覆剥離を実行する。
エナメル電線被覆剥離用孔2bにセットされた治具が自動機であれば、コントローラ11に指示した暴露時間だけエナメル電線5aがエナメル電線被覆剥離用孔2bに挿入され、エナメル電線被覆剥離が実行される。
治具が自動機でなければ、手動でエナメル電線5aをエナメル電線被覆剥離用孔2bに差し込み、所定の時間過熱水蒸気に暴露させ電線被覆を剥離させた後に手動でエナメル電線5bをエナメル電線被覆剥離孔2bより引き抜けば被覆剥離は完了する。
ステップ6では、エナメル電線被覆剥離後に電線拭き取りを行う。
エナメル電線の被覆が過熱水蒸気により剥離された後、過熱水蒸気流通ダクト2aに流通する過熱水蒸気の自然風により被覆剥離残渣は吹き飛ばされる。
しかしながら被覆剥離した電線上には細かい残渣は残るので最終的には手作業でウエスやブラシなどで拭うことになる。
治具が自動機であれば電線上の細かい被覆残渣を拭う作業をロボットに実行させることも可能である。
ステップ7では、エナメル電線剥離残渣を回収する。
過熱水蒸気流通ダクト2aに流通する過熱水蒸気にてエナメル電線被覆剥離用孔2bにおいて剥離した残渣は過熱水蒸気に交じって、過熱水蒸気流通ダクト2aの終端に設置されているサイクロン4aにて回収される。
過熱水蒸気温度が十分に高い温度が維持できれば、炭化するまでサイクロン内で焼結及び炭化させることも可能である。
ステップ8では、作業終了である。
これで1サイクルのエナメル電線被覆剥離工程の完了となる。
電線は複数本同時に被覆剥離が可能である。
以上が過熱水蒸気発生装置を用いたエナメル電線被覆剥離手順である。
【0030】
エナメル電線被覆剥離装置100によれば、以下の効果を奏する。
エナメル電線のエナメル被覆種類を選ばず電線被覆を剥離できる。
エナメル電線の電線線種(電線線材、電線太さ、電線形状)を選ばず電線被覆を剥離できる。
各種エナメル被覆の剥離に適切な過熱水蒸気温度を所定の温度200℃から1200℃程度に設定できる。
エナメル被覆を剥離する適正温度で エナメル電線を複数本同時に被覆剥離できる。(バイファイラー線、リッツ線等)
従来のエナメル剥離方法(はんだ槽浸漬、被覆切削、レーザ剥離、薬液剥離など)と比較して短時間でエナメル被覆剥離できる。
各種エナメル電線の被覆剥離温度及び暴露時間のプロファイルを設定することで電線の芯線を傷つけず 更に芯線の酸化を抑制し剥離できる。
後工程においての圧着導通、端子接続、はんだメッキなどの品質が良好で不具合の発生が極小化にでき、手戻りがなく設計TAT・生産準備TATの短縮に寄与できる。
過熱水蒸気を生成する際に水が液体から気体に変化する際に爆発的な膨張(1700倍)が発生するため自然風が発生し その自然風により被覆剥離電線に過熱水蒸気が満遍なく行き渡りむらなく被覆剥離できる。
同時に被覆剥離した残渣を吹き飛ばすことが可能である。
機器の起動特性が優れており、10分以内の短時間で起動でき、予熱時間や始動時間を要する等の煩わしさがない。
【符号の説明】
【0031】
1 過熱水蒸気発生ボイラー
1a 熱源発生ボイラー室
1b 水蒸気発生ボイラー室
1c 熱源発生バーナ
1d 水噴霧・水噴射アクチュエータ
1e 熱源発生ボイラー隔壁
2a 過熱水蒸気流通ダクト
2b エナメル電線被覆剥離用孔
4a サイクロン
4b 排気ダクト
5a エナメル電線
5b 芯線
11 コントローラ
12 温度センサー
13 温度設定値
14 水噴霧・水噴射アクチュエータ制御
21 作業工程フローチャート
100 エナメル電線被覆剥離装置