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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134017
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】作業服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20240926BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A41D13/005
A41D1/02 C
A41D1/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044089
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】村井 保雄
【テーマコード(参考)】
3B031
3B211
【Fターム(参考)】
3B031AA08
3B031AB06
3B031AB08
3B031AC01
3B031AC12
3B031AE01
3B211AB01
3B211AC17
3B211AC18
(57)【要約】
【課題】暑い時期に好適な伸縮性及び通気性を有する作業服を提供する。
【解決手段】前身頃と後身頃を含む作業服10であって、前身頃の脇下部から肩峰と上腕骨上部間を覆い、後身頃の肩峰と上腕骨上部間から少なくとも横腹部の肋骨を覆う位置まで1枚の連続生地11を配置し、前記1枚の連続生地11は身幅方向に伸縮性を有する通気性生地である。1枚の連続生地11は身幅方向に伸縮性を有する通気性ストレッチ織物生地であるのが好ましく、通気性織物生地の伸縮性は、ポリエステルマルチフィラメント伸縮糸で発現しているのが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と後身頃を含む作業服であって、
前身頃の脇下部から肩峰と上腕骨上部間を覆い、後身頃の肩峰と上腕骨上部間から少なくとも横腹部の肋骨を覆う位置まで1枚の連続生地を配置し、
前記1枚の連続生地は身幅方向に伸縮性を有する通気性生地であることを特徴とする作業服。
【請求項2】
前記1枚の連続生地は身幅方向に伸縮性を有する通気性ストレッチ織物生地である請求項1に記載の作業服。
【請求項3】
前記通気性織物生地の伸縮性は、ポリエステルマルチフィラメント伸縮糸で発現している請求項1又は2に記載の作業服。
【請求項4】
前記通気性織物生地は、
経糸がコットンとポリエステル短繊維の混紡糸であり、
緯糸がポリエステルマルチフィラメント伸縮糸であり、
織物組織において、経糸が1列又は2列の3本が連続して浮いている部分と、緯糸が1列の3本又は4本が連続して沈んでいる部分があり、前記浮いた部分の経糸と沈んだ部分の緯糸は中央で交差している請求項1又は2に記載の作業服。
【請求項5】
前記通気性織物生地の緯糸方向のJIS L1096:2010 B法(定荷重法)法における伸び率が8~30%である請求項1又は2に記載の作業服。
【請求項6】
前記通気性織物生地のJIS L1096:2010 A法(フラジール法)法の測定による通気性が35~80cm3/cm2・Sである請求項1又は2に記載の作業服。
【請求項7】
前記通気性織物生地の経糸及び緯糸から選ばれる少なくとも一方の糸の10~100本に1本の割合で制電糸が配置されている請求項1又は2に記載の作業服。
【請求項8】
前記作業服はブルゾンタイプの作業服である請求項1又は2に記載の作業服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業服に関する。
【背景技術】
【0002】
作業服は各種作業において広く着用されている。作業服は着用者の動作を妨げることなく円滑にするため、本出願人は、後身頃の肩背面部にアクションプリーツと呼ばれる襞を設け、腕を前方へ上げたときの肩背面部の伸びを許容してツッパリ感をなくし、これにより身体の活動性を向上させている提案をした(特許文献1)。しかし、プリーツを入れると、プリーツが出っ張り、作業の邪魔になったり、機械などに巻き込まれて危険になる場合がある。この問題を解消するため、本出願人は、背中部分と、肩甲骨から脇を覆う後袖部分と上腕背面を覆う上腕背面部分を立体縫製し、縫製後に肩付け根部の背面側が外方へ膨らむ丸みを帯びた形状にした作業服を提案している(特許文献2~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-129513号公報
【特許文献2】特開2002-038322号公報
【特許文献3】特開2021-085116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の作業服は、暑い時期には蒸し暑く、汗で濡れると生地の肌離れが悪くなり、ツッパリ感も出てしまい着用感に問題があり、また、着用者の動作を妨げてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するため、暑い時期に好適な伸縮性及び通気性を有する作業服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業服は、前身頃と後身頃を含む作業服であって、前身頃の脇下部から肩峰と上腕骨上部間を覆い、後身頃の肩峰と上腕骨上部間から少なくとも横腹部の肋骨を覆う位置まで1枚の連続生地を配置し、前記1枚の連続生地は身幅方向に伸縮性を有する通気性生地であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前身頃と後身頃を含み、前身頃の脇下部から肩峰と上腕骨上部間を覆い、後身頃の肩峰と上腕骨上部間から少なくとも横腹部の肋骨を覆う位置まで1枚の連続生地を配置し、前記1枚の連続生地は身幅方向に伸縮性を有する通気性生地である作業服としたことにより、暑い時期に好適な伸縮性及び通気性を有する作業服を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の一実施形態における作業服の模式的正面図である。
図2図2は同、作業服の模式的背面図である。
図3図3は本発明の一実施形態の通気性ストレッチ織物生地の織物組織図である。
図4図4は本発明の別の実施形態の通気性ストレッチ織物生地の織物組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の作業服は、前身頃の脇下部から肩峰と上腕骨上部間を覆い、後身頃の肩峰と上腕骨上部間から少なくとも横腹部の肋骨を覆う位置まで1枚の連続生地を配置し、前記1枚の連続生地は身幅方向に伸縮性を有する通気性織物生地である。これにより、作業者が腕を前に伸ばす作業の際のツッパリ感を解消し、着用者の動作を妨げることはなく、暑い時期に好適な伸縮性及び通気性を有する作業服を提供できる。
【0010】
前記において上腕骨上部とは、肩峰から肘先までの間の上部の半分以上をいう。また、横腹部とは、後身頃の脇部より下で少なくとも肋骨を覆う位置までが好ましい。より好ましくは、後身頃の裾部までである。一例として、後身頃の前記1枚の連続生地は、下部は肩峰から裾ベルトの上まで、脇丈と平行状に背中の両脇サイドに配置し、上部は下部の1.3~2倍の幅で配置するのが好ましい。
【0011】
前記1枚の連続生地は身幅方向に伸縮性を有する通気性ストレッチ織物生地であることが好ましい。通気性ストレッチ織物生地であれば、作業者が腕を前に伸ばす作業の際のツッパリ感をさらに解消し、着用者の動作を妨げることはなく、暑い時期に好適な伸縮性及び通気性を有する作業服を提供できる。通気性織物生地の伸縮性は、ポリエステルマルチフィラメント伸縮糸で発現しているのが好ましい。ポリエステルマルチフィラメント伸縮糸は適度な伸縮性があるとともに、ハリ、コシがあり、作業服に好適である。
【0012】
本発明の通気性ストレッチ織物生地は、経糸がコットンとポリエステル短繊維の混紡糸であり、緯糸がポリエステルマルチフィラメント伸縮糸であることが好ましい。ポリウレタン糸などの弾性糸は使用しない。経糸がコットンとポリエステル短繊維の混紡糸であることにより、コットンは吸水性が高く、ポリエステル短繊維は乾きやすいという利点がある。緯糸がポリエステルマルチフィラメント伸縮糸であること、及び経糸が1列又は2列の3本が連続して浮いている部分と、緯糸が1列の3本又は4本が連続して沈んでいる略十文字形部分が形成され、前記略十文字形部分では伸縮糸が交錯していないことが相俟って、伸縮性を発揮する。また、前記略十文字形部分の内部及び境界部には隙間が形成され、通気性を発揮する。本発明の作業服は、前記通気性ストレッチ織物生地の伸縮方向(緯糸方向)が、身幅方向になるように配置する。
【0013】
本発明の好ましい通気性ストレッチ織物生地は、経糸がコットンとポリエステル短繊維の混紡糸であり、緯糸がポリエステルマルチフィラメント伸縮糸であり、織物組織において、並んだ2本の経糸が連続して3本の緯糸の上に浮いている部分と、1本の緯糸が連続した4本の経糸の下に沈んでいる部分があり、前記浮いた部分の経糸と沈んだ部分の緯糸は中央で交差している生地である。これにより、通気性と伸縮性を良好な状態にできる。
【0014】
本発明の別の好ましい通気性ストレッチ織物生地は、経糸がコットンとポリエステル短繊維の混紡糸であり、緯糸がポリエステルマルチフィラメント伸縮糸であり、織物組織において、1本の経糸の連続した3本の緯糸の上に浮いている部分が隣の経糸上で3ステップの斜文線をつくり、緯糸は連続して3本の経糸の下に沈んでいる部分があり、前記浮いた部分の経糸と沈んだ部分の緯糸は中央で交差している生地である。これにより、通気性と伸縮性を良好な状態にできる。
【0015】
本発明の織物生地の緯糸方向のJIS L1096:2010 B法(定荷重法)法における伸び率は8~30%であることが好ましく、より好ましくは10~30%であり、さらに好ましくは11~28%である。これにより、暑い時期に着用する作業服に好適なストレッチ性を発揮し、作業性、運動機能を低下させることはない。
【0016】
前記生地のJIS L1096:2010 A法(フラジール法)法の測定による通気性が35~80cm3/cm2・Sであることが好ましく、より好ましくは35~75cm3/cm2・Sであり、さらに好ましくは40~70cm3/cm2・Sである。これにより、暑い時期に着用する作業服に好適な通気性を発揮し、着心地を良好に保てる。
【0017】
前記生地の単位面積当たりの質量(目付)は80~200g/m2であるのが好ましく、より好ましくは85~180g/m2であり、さらに好ましくは90~170g/m2である。これにより、暑い時期に着用する作業服に好適な軽さと着心地を良好に保てる。
【0018】
前記経糸及び緯糸から選ばれる少なくとも一方の糸の10~100本に1本の割合で制電糸が配置されていることが好ましい。これにより生地の帯電が防止でき、静電気によるショック、ガソリンスタンド等の安全を確保できる。制電糸としては、クラレ社製「クラカーボ」、KBセーレン社製「ベルトロン」等がある。
【0019】
前記作業服は、前記1枚の連続生地以外のパーツもポリエステルマルチフィラメント伸縮糸により伸縮性を有する通気性ストレッチ織物生地であることが好ましい。この通気性ストレッチ織物生地は作業服の身幅方向(胴体部であれば胴回り方向、腕部であれば腕回り方向)に伸縮性方向を配置するのが好ましい。
【0020】
本発明の作業服は、ブルゾンタイプの作業服であることが好ましい。ここでブルゾンとは、ウエスト丈か、それより長めの丈のジャケットで、裾はたるみを入れてベルト、又はひもで体に合うように絞った上着である。この作業服は、胸から上部が比較的身体にぴったりしたサイズで作製するので、作業者が腕を前に伸ばす作業の際のツッパリ感を解消し、伸縮性及び通気性を高めることは有用である。
【0021】
本発明の通気性ストレッチ織物生地の経糸に配置するコットンとポリエステル短繊維の混紡糸は、混紡糸100質量%としたとき、コットン10~70質量%、ポリエステル短繊維30~90質量%が好ましく、より好ましくはコットン20~60質量%、ポリエステル短繊維40~80質量%であり、さらに好ましくはコットン30~50質量%、ポリエステル短繊維50~70質量%である。これにより吸水性が高く、着心地を良好に保てる。この混紡糸の好ましい綿番手は20~60番手(繊度:98~295decitex)であり、より好ましい綿番手は25~55番手(繊度:107~236decitex)である。
【0022】
緯糸のポリエステルマルチフィラメント伸縮糸は、例えばポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の仮撚糸、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸などを使用できる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の仮撚糸(ウーリー糸)と、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸を交互に配置する。ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の異種のポリエステルを複合紡糸して得られる。これにより好ましい伸縮性となる。作業ズボンの場合、下半身の身丈方向に伸縮糸を配置すると、膝及び腰の折り曲げ作業動作が容易となる。また作業上着の場合、身幅方向に伸縮糸を配置すると、肩及び上腕の作業動作が容易となる。緯糸のポリエステルマルチフィラメント伸縮糸の好ましい繊度は100~400decitexであり、より好ましくは120~350decitexである。
【0023】
本発明の通気性ストレッチ織物生地の経糸密度は80~130本/インチが好ましく、より好ましくは85~120本/インチである。また、緯糸密度は50~80本/インチが好ましく、より好ましくは55~75本/インチである。通気性ストレッチ織物生地を100質量%としたときのコットンとポリエステル繊維と制電糸の割合は、コットン15~30質量%、ポリエステル繊維70~85質量%、制電糸1~3質量%が好ましい。
【0024】
以下図面によって本発明の通気性織物を説明する。以下の図面の説明においては、同一符号は同一物を示す。また、以下においては半身の説明をするが、とくに断らない限り左右対称である。図1は本発明の一実施形態における作業服10の模式的正面図、図2は作業服10の模式的背面図である。この作業服10は、前身頃の脇下部から肩峰P2と上腕骨上部P3間を覆い、後身頃の肩峰P2と上腕骨上部P3間から少なくとも横腹部の肋骨を覆う位置22まで1枚の連続生地11を配置している。この例では後身頃の裾ベルトの上まで、脇丈と平行状に背中の両脇サイドに配置している。1枚の連続生地11は身幅方向に伸縮性を有する通気性ストレッチ織物生地である。この実施形態における作業服10は、ブルゾンタイプの作業服である。
【0025】
以下は好ましい実施形態である。
(1)図1~2において、前身頃の襟19の周囲から肩のネックポイントP1間と肩甲骨の少なくとも一部を覆う位置に襟下パーツ12を配置する。
(2)前身頃の襟19の周囲から肩峰P2間と大胸筋上部までを覆う位置に肩前パーツ13を配置する。
(3)前身頃の腹部上部から大胸筋下部を覆う位置に大胸筋パーツ14を配置する。
(4)前身頃の胸上部から裾ベルトの上までを覆う位置に中央パーツ15を配置する。
(5)前身頃の腹部から裾丈部を覆う位置に腹部パーツ15を配置する。
(6)前身頃の1枚の連続生地11より腕側には袖パーツ16を配置する。これは長袖、七分袖、半袖のいずれであってもよい。
(7)前身頃の腰回りには裾ベルト20を配置する。
(8)前身頃の胸部には胸ポケット用ファスナー17、中央部には着脱用ファスナー18を配置する。
(9)後身頃の1枚の連続生地11より内側には背中パーツ21を配置する。
(10)後身頃の裾ベルトにはボタン23とボタン穴を配置し、ウエスト回りないしは腰回りサイズを調整できるようにする。
以上の各パーツは、前記通気性ストレッチ織物生地であり、伸縮性方向(緯糸方向)を身幅方向とする。
【0026】
図3は本発明の一実施形態の通気性ストレッチ織物生地の織物組織図、図4は本発明の別の実施形態の通気性ストレッチ織物生地の織物組織図である。図3及び図4の組織図において、斜線部及びドット部は経糸が浮いている部分であり、白抜き部は経糸が沈んでる部分である。緯糸から見ると逆になる。
図3は本発明の一実施形態の通気性ストレッチ織物生地1の織物組織図である。この例においては、経糸2が1列の3本が連続して浮いている部分と、緯糸3が1列の3本が連続して沈んでいる略十文字形部分4が形成されている。この略十文字形部分4の緯糸3(伸縮糸)が1列の3本が連続して沈んでいる部分では、糸が交錯していないため、伸縮性を発揮する。また、略十文字形部分4の内部及び境界部には隙間が形成され、通気性を発揮する。隙間が形成される理由は、略十文字形部分4の経糸2及び緯糸3は3本が連続して浮いている部分があり、前記3本の糸の隣の中央の糸は1本だけが浮き、両側の各1本の糸は沈んでいるから、糸の交錯点の厚さ方向及び平面に隙間が形成され、通気性が高くなる。また、同様な理由により、経糸方向に溝状凹凸部が形成され、汗をかいた時の肌への張り付き感のない織物とすることができる。これにより、暑い時期に着用する作業服に好適な通気性ストレッチ織物生地とすることができる。5は制電糸である。
【0027】
図4は本発明の別の実施形態の通気性ストレッチ織物生地6の織物組織図である。この通気性ストレッチ織物生地6は、経糸が2列の3本が連続して浮いている部分と、緯糸が1列の4本が連続して沈んでいる略十文字形部分7が形成されている。この略十文字形部分7も緯糸3(伸縮糸)が1列の4本が連続して沈んでいる部分では、糸が交錯していないため、伸縮性を発揮する。また、略十文字形部分7の内部及び境界部には隙間が形成され、通気性を発揮する。隙間が形成される理由は、略十文字形部分7の経糸2は3本が連続して浮いている部分があり、前記3本の糸の隣の中央の糸は1本だけが浮き、両側の各1本の糸は沈んでいるから、糸の交錯点の厚さ方向及び平面に隙間が形成され、通気性が高くなる。緯糸3は4本が連続して浮いている部分があり、前記4本の糸の隣の中央の糸2本は浮き、両側の各1本の糸は沈んでいるから、糸の交錯点の厚さ方向及び平面に隙間が形成され、通気性が高くなる。また、同様な理由により、経糸方向に溝状凹凸部が形成され、汗をかいた時の肌への張り付き感のない織物とすることができる。これにより、暑い時期に着用する作業服に好適な通気性ストレッチ織物生地とすることができる。
【実施例0028】
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例における各評価は次のとおりである。
<各物性>
各物性は日本工業規格(JIS)ないしは当業界で行われている測定に従って測定した。
【0029】
(実施例1)
経糸としてコットン35質量%とポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維65質量%の混紡糸(綿番手45番、131decitex)を110本/インチと、制電糸(綿番手35番、174decitex)を1.6本/インチで配置した。
緯糸として、PETマルチフィラメント仮撚りウーリー糸165decitexを35本/インチと、ポリエステルコンジュゲート糸を35本/インチを1本ずつ交互に配置した。
織物組織は図3に示す通りとし、織機はドビー機を使用した。得られた織物はPET80質量部、コットン20質量部、制電糸1.1質量部であった。得られた織物は常法により精練し、染色し、洗濯し、乾燥した。結果は表1にまとめて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
得られた生地を用いて、図1図2に示す作業服を縫製した。この作業服は、男性用Lサイズであり、着丈65cm、身幅58cm、肩幅46cm、袖丈63cmであった。得られた作業服は、作業者が腕を前に伸ばす作業の際のツッパリ感を解消し、着用者の動作を妨げることはなく、暑い時期に好適な伸縮性及び通気性を有する作業服であった。また、汗をかいてもべとつき感がなく、肌離れが良く、暑い時期に着用する作業服に好適であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の通気性ストレッチ織物生地は、作業服以外にも、ユニフォーム等、上衣、下衣、つなぎ服などに好適であるほか、シャツ、パンツなどのインナー衣料、Tシャツ、タオル、寝具類などにも有用である。
【符号の説明】
【0033】
1,6 通気性ストレッチ織物生地
2 経糸
3 緯糸
4,7 略十文字形部分
5 制電糸
10 作業服
11 1枚の連続生地
12 襟下パーツ
13 肩前パーツ
14 大胸筋パーツ
15 腹部パーツ
16 袖パーツ
17 胸ポケット用ファスナー
18 着脱用ファスナー
19 襟
20 裾ベルト
21 背中パーツ
22 横腹部の肋骨を覆う位置
23 ボタン
P1 肩のネックポイント
P2 肩峰
P3 上腕骨上部
図1
図2
図3
図4