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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134019
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】洗浄ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/14 20060101AFI20240926BHJP
   B05B 3/02 20060101ALI20240926BHJP
   B08B 9/093 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B05B3/02 B
B08B9/093
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044092
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山上 典之
(72)【発明者】
【氏名】田村 晴海
(72)【発明者】
【氏名】竹井 一剛
【テーマコード(参考)】
3B116
4F033
【Fターム(参考)】
3B116AA33
3B116AA46
3B116AB53
3B116BB23
3B116BB33
3B116BB62
4F033AA04
4F033BA03
4F033DA05
4F033EA01
4F033LA12
4F033NA01
4F033PA01
4F033PB02
4F033PD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄後における清浄性が確保され易い洗浄ノズルの提供。
【解決手段】上部に開口部を備えた中空状の被洗浄体の内壁面を洗浄液で洗浄するために前記開口部に装着される洗浄ノズル21であって、前記被洗浄体の前記開口部に取付けられる固定部と、該固定部から下方に延びる中空状のノズル本体部とを有し、該ノズル本体部に複数の貫通孔が設けられ、前記開口部を通じて前記被洗浄体の内部に挿入された前記ノズル本体部に前記洗浄液が供給され、該洗浄液が前記貫通孔を通じて放出されるように構成されており、前記ノズル本体部の下端部には、円錐形状又は多角錐形状となって下方に突出した突出部が備えられている洗浄ノズル、を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を備えた中空状の被洗浄体の内壁面を洗浄液で洗浄するために前記開口部に装着される洗浄ノズルであって、
前記被洗浄体の前記開口部に取付けられる固定部と、
該固定部から下方に延びる中空状のノズル本体部とを有し、
該ノズル本体部に複数の貫通孔が設けられ、
前記開口部を通じて前記被洗浄体の内部に挿入された前記ノズル本体部に前記洗浄液が供給され、該洗浄液が前記貫通孔を通じて放出されるように構成されており、
前記ノズル本体部の下端部には、円錐形状又は多角錐形状となって下方に突出した突出部が備えられている洗浄ノズル。
【請求項2】
前記突出部に前記貫通孔が設けられている請求項1記載の洗浄ノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体部が、
前記固定部から下方に延びるパイプ部と、
該パイプ部の下端部に設けられたヘッド部とを有し、
該ヘッド部に前記貫通孔が設けられ、
該ヘッド部が前記パイプ部に固定され、
前記被洗浄体の内部での前記貫通孔の位置を固定して前記洗浄に用いられる固定式洗浄ノズルである請求項1又は2に記載の洗浄ノズル。
【請求項4】
前記ノズル本体部が、
前記固定部から下方に延びるパイプ部と、該パイプ部の下方に設けられたヘッド部とを有し、
前記下端部が該ヘッド部を下方から支持し、前記パイプ部に固定されており、
前記ヘッド部に前記貫通孔が設けられ、前記ヘッド部が前記パイプ部の中心軸周りに回転する回転式洗浄ノズルである請求項1又は2記載の洗浄ノズル。
【請求項5】
前記突出部は、下端部の頂角が120度以上170度以下の円錐形状である請求項1又は2記載の洗浄ノズル。
【請求項6】
最も下端側に位置する前記貫通孔から前記ノズル本体部の中心軸に向けて引いた垂線と該中心軸との交点から該ノズル本体部の最下端までの距離は、前記交点から前記貫通孔までの距離よりも短い請求項1又は2記載の洗浄ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上部に開口部を備えたタンクなどのような中空状の被洗浄体の内壁面を洗浄するために洗浄ノズルが用いられている。この種の洗浄ノズルとしては、被洗浄体に付着した除去対象物をより多く除去するために広範囲に洗浄液を放出させるように構成されたものが知られている。洗浄ノズルとしては、洗浄液が放出されるヘッド部がノズル本体部に固定配置されヘッド部がノズル本体部に対して相対回転しない固定式洗浄ノズルと、ノズル本体部のヘッド部が回転しながら洗浄液を放出するように構成された回転式洗浄ノズルとが知られており、例えば、下記特許文献1には、給液軸管と、該給液軸管の先端に回転可能に装着された回転体とを含む複数の部材でノズルの本体部を構成させ、該ノズル本体部に供給した洗浄液を前記回転体から放出させるように構成された回転式洗浄ノズルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6926137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄ノズルによる洗浄方法では、洗浄後の容器の清浄性を向上させる方法が検討されているものの洗浄ノズル自身の清浄性を向上させることについては十分な検討がされていない。洗浄を実施した後に洗浄ノズルの外表面に除去対象物質などが付着していると、この付着物が落下して容器の清浄性を損なうおそれがある。そこで、本発明は、洗浄後における清浄性が確保され易い洗浄ノズルの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべく、
上部に開口部を備えた中空状の被洗浄体の内壁面を洗浄液で洗浄するために前記開口部に装着される洗浄ノズルであって、
前記被洗浄体の前記開口部に取付けられる固定部と、
該固定部から下方に延びる中空状のノズル本体部とを有し、
該ノズル本体部に複数の貫通孔が設けられ、
前記開口部を通じて前記被洗浄体の内部に挿入された前記ノズル本体部に前記洗浄液が供給され、該洗浄液が前記貫通孔を通じて放出されるように構成されており、
前記ノズル本体部の下端部には、円錐形状又は多角錐形状となって下方に突出した突出部が備えられている洗浄ノズル、を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗浄後における清浄性が確保され易い洗浄ノズルが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、反応槽での洗浄ノズルの使用状態を示した概略正面図である。
図2図2は、洗浄ノズルの縦断面の様子を示した概略断面図である。
図3図3は、洗浄ノズルのヘッド部の縦断面の様子を示した概略断面図である。
図4図4は、洗浄ノズルの固定部とノズル本体部との接合状態を拡大して示した概略拡大図である。
図5A図5Aは、洗浄ノズルのノズル本体部を構成する部材どうしの接合状態を拡大して示した概略拡大図である。
図5B図5Bは、洗浄ノズルのノズル本体部を構成する部材どうしの接合状態を拡大して示した概略拡大図である。
図6図6は、洗浄ノズルのヘッド部の様子を示した概略正面図である。
図7図7は、他の態様の洗浄ノズルのヘッド部の様子を示した概略正面図である。
図8A図8Aは、他の態様の洗浄ノズルを示した概略正面図である。
図8B図8Bは、他の態様の洗浄ノズルを示した概略正面図である。
図9図9は、洗浄ノズルのヘッド部の様子を示した概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。尚、以下においては本実施形態の洗浄ノズルで洗浄される被洗浄体が反応装置における反応槽である場合を例にして本発明の実施の形態について説明する。本実施形態の反応槽は、内部を洗浄する機能を有する洗浄機能付容器である。
【0009】
図1は、本実施形態での反応装置1を示したもので、反応装置1は、前記洗浄機能付容器である反応槽10を備えている。反応槽10は中空状で被処理物を収容可能な内部空間を有する容器本体(以下「槽本体100」ともいう)を備えている。反応槽10は、該槽本体100より上方に向けて筒状に延びるノズル部(以下「容器ノズル110」ともいう)を更に有している。該容器ノズル110は、前記反応槽10の上部における開口部を構成し、上方に向けて開口している。
【0010】
槽本体100の内部空間は、該容器ノズル110の内部空間と連通している。本実施形態の反応槽10は、複数の容器ノズル110を有し、上部に複数の開口部を備えている。本実施形態の反応槽10は、槽本体100の内部空間が複数の容器ノズル110のそれぞれの内部空間と連通している。言い換えると複数の容器ノズル110の内の一つの容器ノズル110の内部空間と他の容器ノズル110の内部空間とは槽本体100の内部空間(以下「第1空間部100c」ともいう)を介して連通している。
【0011】
本実施形態での反応装置1は、前記槽本体100の内壁面100wを洗浄液で洗浄するための洗浄装置20を備えている。該洗浄装置20は、槽本体100のみならず容器ノズル110の内壁面110wなどにも洗浄液を吹付できるように備えられている。
【0012】
本実施形態での反応装置1は、前記槽本体100の内部で処理が施される被処理物を攪拌するための攪拌装置30を更に備えている。前記洗浄装置20は、当該攪拌装置30も洗浄可能となって反応装置1に備えられている。
【0013】
本実施形態の前記反応装置1は、前記第1空間部100cに収容された液状や粉粒状の被処理物に対する化学的処理が施される。本実施形態での洗浄機能付容器である反応槽10は、被処理物に含まれる化学物質や化合物を何らかの形で変化させる化学プロセスに用いられる機器及び/又はその付帯設備として用いられ得る。化学物質や化合物を変化させるために反応槽10に供給されるのは、変化させる化学物質や化合物と反応可能な別の化学物質や化合物だけでなく、例えば、熱エネルギー、光エネルギー、電気的エネルギー、磁気エネルギー、及び、運動エネルギーの内の少なくとも1つであってもよい。
【0014】
反応槽10での化学プロセスでは、被処理物に対し、別の化学物質や化合物の1種以上を供給するとともに上記エネルギーの1種以上が供給されてもよい。本実施形態の反応槽10を化学プロセスに用いられる機器及び/又はその付帯設備として用いる場合、被処理物は、化学物質や化合物のみを含むものであってもよく、化学物質や化合物を溶解可能な溶媒や分散媒を含んでいてもよい。
【0015】
被処理物は、変化させる化学物質や化合物を一つの成分として含む飲食品などであってもよく、化学物質や化合物を一成分として含む有機組成物(プラスチック組成物、ゴム組成物、薬剤など)や無機組成物(ガラス組成物、金属組成物、セラミック組成物など)などであってもよい。本実施形態の反応槽10は、例えば、医薬品製造、食品製造、半導体製造分野などでの機器及び/又はその付帯設備に用いられる。反応槽10は、被処理物に化学的な反応が施される反応装置だけでなく、化学反応以外の処理を行う装置に用いられてもよい。反応槽10は、混合、攪拌、ろ過、乾燥といった物理的な処理が施される処理装置(混合装置、攪拌装置、ろ過装置、乾燥装置など)に用いられてもよい。即ち、反応槽10で行われる化学的プロセスでは、化学的な反応と物理的処理との両方が行われても、両方の内の一方のみが行われてもよい。
【0016】
本実施形態の前記槽本体100は、縦型である。前記槽本体100は、平面視円形の底壁部102と、該底壁部102の外周縁より円筒状になって上方に延びる周側壁部103と、前記底壁部102と上下方向に対向して前記周側壁部103の上端部を塞ぐように配される平面視円形の天井壁部104とを備えている。
【0017】
本実施形態の槽本体100の中心軸Cx0は、円筒状の周側壁部103の中心を通って上下方向に延びている。槽本体100は、中心軸Cx0の向きが鉛直方向となるように反応装置1に配置されている。
【0018】
本実施形態の反応槽10は、前記天井壁部104に設けられた3つの開口部から上向きに筒状に延びる容器ノズル110を有している。3つの容器ノズル110は、前記天井壁部104の左右方向一端側から他端側に向けて横並びに並んで配され、図1正面視右側に設けられた第1の容器ノズル110(以下、「第1容器ノズル110a」ともいう)には、前記洗浄装置20が装着されている。尚、中央部に設けられた第2の容器ノズル110(以下、「第2容器ノズル110b」ともいう)には前記攪拌装置30が装着され、図1正面視左側の第3の容器ノズル110(以下、「第3容器ノズル110c」ともいう)には、覗き窓(ガラス窓)を備えた蓋が開閉自在となって装着されている。
【0019】
本実施形態の反応槽10は、上記の通り3つの容器ノズル110を有する。当該反応槽10の内部空間は、前記槽本体100の内部空間である第1空間部100cと、第1容器ノズル110aの内部空間である第2空間部110acと、第2容器ノズル110bの内部空間である第3空間部110bcと、第3容器ノズル110cの内部空間である第4空間部110ccとで構成されている。第2空間部110acと、第3空間部110bcと、第4空間部110ccとのそれぞれは、第1空間部100cの上端から上方に円柱状になって延びるように第1空間部100cに連通されている。
【0020】
前記第1空間部100cは、該槽本体100の内側の壁面によって画定されている。言い換えると、槽本体100の内壁面は、前記第1空間部100cに対して露出した露出面となっている。本実施形態の前記反応槽10は、ステンレス鋼などの金属製であってもよい。前記反応槽10は、上記のような各種の処理に好適に利用されるべく、金属製の母材の内側にグラスライニングが施されたグラスライニング製品であってもよい。該グラスライニング製品は、母材に被覆されたガラスの上に更にフッ素樹脂などのコーティングが施されたものであってもよい。即ち、第1空間部100cや前記第2空間部110acに対して露出する槽本体100の内壁面100wや容器ノズル110の内壁面110wは、金属面であってもよく、ガラス面であってもよく、樹脂面であってもよい。
【0021】
槽本体100より上方に延びる3つの前記容器ノズル110のそれぞれは天井壁部104の開口部より上方に向けて円筒状に延びる筒状部と該筒状部の上端部より当該容器ノズル110の径方向外向きに延びるフランジ部とを備えている。該フランジ部は容器ノズル110の上端に位置するとともに容器ノズル110の上端での開口縁を画定している。
【0022】
前記第1容器ノズル110aの下端となる部位での前記天井壁部104の開口は、該天井壁部104の外周縁(周側壁部103の上端縁)よりも内側に位置する。したがって、槽本体100の径方向での第1容器ノズル110aの内壁面110wの位置は、槽本体100の前記周側壁部103の内壁面よりも中心軸Cx0に近い。前記第3容器ノズル110cも同様に天井壁部104の外周縁(周側壁部103の上端縁)よりも内側に位置し、その内壁面は前記周側壁部103よりも中心軸Cx0の近くに位置する。
【0023】
本実施形態の天井壁部104は、上方に膨出したドーム型である。そのため、天井壁部104は、中央部の方が外周部よりも上下方向の位置が高くなっている。従って、中央部に位置する第2容器ノズル110bの下端縁に比べて第1容器ノズル110aの下端縁は、下方に位置している。また、第1容器ノズル110aの下端縁は、槽本体100の径方向外側と内側(槽中央側)とで上下方向の位置が異なっており、径方向外側の方が下方に位置する。より詳しくは、第1容器ノズル110aは、その下端縁が、槽本体100の径方向外側に向かうに従って先下がりとなっている。天井壁部104の中央部から外周部に向かうに従って下端縁の位置が下がるように設けられているのは第1容器ノズル110aだけでなく第3容器ノズル110cも同じである。
【0024】
第1容器ノズル110aや第3容器ノズル110cから径方向外向きに天井壁部104が先下がりとなるように設けられている本実施形態では、第1容器ノズル110aや第3容器ノズル110cの内壁面110wを伝って流れ落ちる洗浄液は、少なくとも一部が天井壁部104を伝って周側壁部103に供給され、該周側壁部103の洗浄にも利用されることになる。
【0025】
前記第1容器ノズル110aは、その筒状部(以下、「第1ノズル筒状部110a1」ともいう)の中心部を通る中心軸(以下「第1ノズル中心軸Cx1」ともいう)の延びる方向が鉛直方向となるように配されている。したがって、第1容器ノズル110aのフランジ部(以下、「第1ノズルフランジ部110a2」ともいう)は、本実施形態では水平方向に延びるように設けられている。
【0026】
前記第2容器ノズル110bの筒状部(以下、「第2ノズル筒状部110b1」ともいう)は、第1ノズル筒状部110a1と同様に、その中心軸(以下「第2ノズル中心軸Cx2」ともいう)の延びる方向が鉛直方向となっている。したがって、第2容器ノズル110bのフランジ部(以下、「第2ノズルフランジ部110b2」ともいう)も第1ノズルフランジ部110a2と同様に水平方向に延びるようにフランジ部の上端部に備えられている。尚、本実施形態の第2容器ノズル110bは、第2ノズル中心軸Cx2が前記槽本体100の中心軸Cx0と一つの直線上に並ぶように反応槽10に備えられている。
【0027】
上記のように第1容器ノズル110aと第2容器ノズル110bとが鉛直方向に立設されているのに対して前記第3容器ノズル110cは、斜め上向きに延びるように設けられている。より詳しくは、第3容器ノズル110cの筒状部(以下、「第3ノズル筒状部110c1」ともいう)の中心を通る中心軸(以下「第3ノズル中心軸Cx3」ともいう)は、本実施形態では、鉛直方向に対して傾き(例えば、5度~45度)を持っている。したがって、第3容器ノズル110cのフランジ部(以下、「第3ノズルフランジ部110c2」ともいう)は、水平方向に傾きをもって配されている。第3容器ノズル110cは、上方に向かうに従ってその中心軸(第3ノズル中心軸Cx3)が槽本体100の中心軸Cx0から離れるように設けられており、外側に傾斜するように立設されている。
【0028】
本実施形態の反応槽10では、例えば、被処理物の反応処理が回分式に実施される。本実施形態の反応装置1では、反応槽10の内壁面などは、内部空間に対して露出する露出面となっている。該露出面を有する機器類に何等かの異物等が付着していると、当該異物が被処理物に混入してしまうおそれがある。また、処理後には、一部の被処理物などが露出面に付着したままの状態となり得る。この付着した被処理物は次バッチでの異物となり得る。そこで、本実施形態においては、処理前又は処理後の少なくとも一方において異物による問題が生じないように洗浄装置20が第1容器ノズル110aに設けられている。
【0029】
本実施形態の反応槽10では、第2容器ノズル110bに前記攪拌装置30が装着されている。第2容器ノズル110bには、槽内の攪拌を行う攪拌翼31が挿通されている。該攪拌翼31は、第2ノズル筒状部110b1の中心部を通って下方に延びる攪拌軸31aと、該攪拌軸31aの下端部に取付けられている攪拌部材31bとを有している。前記攪拌軸31aは、軸周りに回転可能に設けられ、前記攪拌部材31bは前記攪拌軸31aとともに回転し得るように攪拌軸31aに固定されている。本実施形態では、この攪拌軸31aや攪拌部材31bも洗浄装置20による洗浄の対象とされ得る。
【0030】
前記第1容器ノズル110aに装着されている前記洗浄装置20は、前記第1空間部100cを画定する槽本体100の内壁面や前記第2空間部110acを画定する容器ノズル110の内壁面などに対して洗浄液による洗浄を実施するための該洗浄ノズル21と、該洗浄ノズル21に洗浄液を加圧状態で供給する給液管22とを備えている。
【0031】
洗浄ノズル21は、図1図2に示すように、第1容器ノズル110aの上端部に取付けられる固定部211と、該固定部211より下方に延びる中空状のノズル本体部212とを備える。本実施形態の洗浄装置20では、該給液管22が洗浄ノズル21の固定部211に接続されている。本実施形態の洗浄装置20は、給液管22から供給される洗浄液が固定部211を経由して前記ノズル本体部212の内部を流れ、当該ノズル本体部212の先端部に供給されるように構成されている。
【0032】
前記固定部211は、第1ノズル中心軸Cx1に沿った軸方向視での面積が第1容器ノズル110aの上部開口面積よりも大きく、該開口を閉塞するように第1容器ノズル110aに固定されている。従って、第2空間部110acを画定する壁面には第1容器ノズル110aの第1ノズル筒状部110a1の内壁面110a1sに加え、当該固定部211の壁面なども含まれる。
【0033】
本実施形態の固定部211は、当該固定部211を貫通して前記給液管22を通る洗浄液の流路を反応槽10まで延設するように設けられた管状の連結部2111を備えている。前記ノズル本体部212は、この連結部2111とともに洗浄液の流路を構成し、該流路を固定部211よりも下方に延設するように設けられている。
【0034】
本実施形態でのノズル本体部212は、固定部211から前記第2空間部110acを通って下方に延び、下端部が前記第1空間部100cに位置するように設けられている。ノズル本体部212は、鉛直方向に延びるように配置されてもよく、鉛直方向に対して角度をもって下方に延びていてもよい。該ノズル本体部212は、下端部を構成する中空状のヘッド部2122と、前記第2空間部110acを通って前記ヘッド部2122に向けて円筒状に延びるパイプ部2121とを有している。該ヘッド部2122には、図3に示すように、該ヘッド部2122の内部空間と外部空間(第1空間部100c)とを連通するように穿設された貫通孔THが複数設けられている。該ヘッド部2122は、前記固定部211と前記パイプ部2121とを通じて流れる洗浄液の流路の終端部を構成している。該ヘッド部2122は、所定の圧力で洗浄液が供給されることで貫通孔THから洗浄液を勢いよく放出して槽本体100の内部空間を通過して内壁面100wの特定の位置まで延びる洗浄液の筋状の流れ(直進流)を形成し得るように設けられている。
【0035】
本実施形態でのノズル本体部212は、槽本体100への挿入方向である第1の方向を備え、該第1の方向が鉛直方向となっている。本実施形態における洗浄ノズル21は、前記第1の方向に平行で当該洗浄ノズル21の中心部を通る中心軸C21を有する。洗浄ノズル21は、該中心軸C21に沿った方向が長さ方向XLとなっており、該中心軸C21と直交する方向が径方向XDとなっている。
【0036】
本実施形態での洗浄ノズル21は、その中心軸C21が第1ノズル中心軸Cx1と一つの直線上に並ぶように第1容器ノズル110aに装着されている。従って、洗浄ノズル21は、前記ヘッド部2122が下端部に位置し、該ヘッド部2122の下端縁が当該洗浄ノズル21の最下端となるように配されている。
【0037】
本実施形態での洗浄ノズル21は、貫通孔THより放出した洗浄液が、直接的にノズル本体部212の外表面に供給されたり、第2空間部110acを画定している壁面などに当たって跳ね返ってノズル本体部212の外表面に供給されたりしたときに、該洗浄液をノズル本体部212の外表面を伝って流下させ得るように構成されている。本実施形態での洗浄ノズル21は、そのようにしてノズル本体部212の外表面に供給された洗浄液の少なくとも一部が、ノズル本体部212の外表面から一度も離れることなくノズル本体部212の下端縁より落下し得るように構成されている。本実施形態での洗浄ノズル21は、洗浄開始前に外表面に被処理物などが付着していたとしても、洗浄時に自らを洗浄することができ、高いセルフクリーニング性を発揮する。
【0038】
本実施形態での洗浄ノズル21は、後段において詳述するようにノズル本体部212の外側に段差や凹みを形成しないようにしてセルフクリーニング性が高められている。本実施形態では、鉛直方向に延びている洗浄ノズル21の中心軸C21に対し、直角となる面や鋭角となる面をノズル本体部212の外表面に形成させない方が高いセルフクリーニング性を発揮させる上で有利となる。そのため、本実施形態の洗浄ノズル21のノズル本体部212の外表面は、空間側に延ばした法線が洗浄ノズル21の中心軸C21から離れる方向に向いている面がパイプ部2121からヘッド部2122の下端面に到達するまで連続している。以下に、そのような洗浄ノズル21について特定の例示により説明する。
【0039】
本実施形態の洗浄ノズル21は、固定式洗浄ノズルであり、前記固定部211に接合された前記パイプ部2121が前記固定部211との相対位置を固定して配されているとともに該パイプ部2121に対する前記ヘッド部2122の位置も固定されている。したがって、本実施形態の洗浄ノズル21は、前記ヘッド部2122に設けた前記貫通孔THの位置が前記パイプ部2121に対して固定されている。そして、本実施形態の洗浄ノズル21は、前記反応槽10の内部での前記貫通孔THの位置を固定して洗浄に用いられる。また、本実施形態での洗浄ノズル21は、貫通孔THによる洗浄液の放出方向を固定して用いられる。
【0040】
後述するように本実施形態の洗浄ノズル21は、回転式洗浄ノズルであってもよい。即ち、本実施形態の洗浄ノズル21は、前記ヘッド部2122が前記パイプ部2121の中心軸周りに回転する回転式洗浄ノズルであってもよい。
【0041】
該洗浄ノズル21が配されている前記第1容器ノズル110aは、前述のように下端縁110aeの位置が槽本体100の径方向内側と外側とで異なっている。該第1容器ノズル110aの下端縁の内、槽本体100の径方向において最も内側となる部位は、その位置が最も高く、逆に径方向で最も外側となる部位は、最も低位置となっている。即ち、前記第1容器ノズル110aの下端縁110aeは、高低差を有し、鉛直方向で最も上方に位置する最上部110ae1と最も下方に位置する最下部110ae2とを有する。前記ヘッド部2122は、その一部、又は全部が、第1容器ノズル110aの前記最上部110ae1よりも下方に位置していてもよく、前記最下部110ae2よりも下方に位置していてもよい。
【0042】
本実施形態での洗浄ノズル21は、前記ヘッド部2122だけでなく前記パイプ部2121にも前記貫通孔THが設けられている。即ち、本実施形態での洗浄ノズル21は、前記固定部211を通じてノズル本体部212に供給される洗浄液を前記ヘッド部2122だけでなくパイプ部2121からも放出させ得るように構成されている。
【0043】
本実施形態の固定部211は、板面が径方向XDに平行となる円板状のフランジ部を有する。固定部211は、該フランジ部の下面側を第2空間部110acに露出するように第1容器ノズル110aの上部開口を塞いでいる。従って、本実施形態の洗浄ノズル21は、該固定部211に対して洗浄液を供給することによっても当該洗浄液の一部をノズル本体部212の外表面に吹き付け得るように構成されている。
【0044】
前記固定部211について詳細に説明すると、本実施形態の固定部211は、第1フランジ部2112と第2フランジ部2113との複数のフランジ部を有する。第1フランジ部2112と第2フランジ部2113とは、洗浄ノズル21の中心軸C21がそれぞれの中心を通るように配され、長さ方向XLに距離を隔てて配されている。固定部211は、上方に配される第1フランジ部2112と下方に配される第2フランジ部2113との間にこれらを中心部どうしで連結するように前記連結部2111が備えられている。
【0045】
前記第2フランジ部2113は、前記第1容器ノズル110aの上部開口よりも径大であり、該第1容器ノズル110aの開口を外側(上側)から閉塞するように第1容器ノズル110aに固定されている。より詳しくは、本実施形態の固定部211での第2フランジ部2113は、第1容器ノズル110aの第1ノズルフランジ部110a2の外径に対応している。本実施形態では、第2フランジ部2113と第1容器ノズル110aとがフランジ接合されている。本実施形態では、第2フランジ部2113と第1容器ノズル110aのフランジ部(第1ノズルフランジ部110a2)との間にガスケット材が介装されてもよい。
【0046】
連結部2111、第1フランジ部2112、及び、第2フランジ部2113は、それぞれ中心部を長さ方向XLに貫通する貫通孔を備え、それぞれの貫通孔が長さ方向に連結されて洗浄ノズル21の基端側(上流側)での洗浄液の流路を構成している。第1フランジ部2112は、第2フランジ部2113よりも上方に位置し、第2フランジ部2113よりも径小な円板状である。そして、前記連結部2111は、第1フランジ部2112よりも径小な外径を有する円筒状である。即ち、本実施形態の固定部211は、長さ方向XLに延びる管状の連結部2111の両端部からそれぞれ径方向XD(外向き)に延びる2つのフランジ部を備えたボビン形状となっている。
【0047】
本実施形態の固定部211は、金属製部材である基体211aと、樹脂製部材であるカバー材211bとを備えた複合部材で構成されている。基体211aとカバー材211bとのそれぞれは、円筒状の管状部と、管状部の両端部からそれぞれ外向きに延びる2つのフランジ部を備えたボビン形状を有している。前記連結部2111では、基体211aの管状部211a1とカバー材211bの管状部211b1とがカバー材211bを内側に配置した2重管構造となっている。第1フランジ部2112と第2フランジ部2113とのそれぞれでは、基体211aのフランジ部211a2,211a3を外側(上流側及び下流側)からカバー材211bのフランジ部211b2,211b3が覆っている。
【0048】
前記基体211aは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金などの耐食性に優れた金属製とすることができる。前記カバー材211bは、例えば、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン-パーフロロアルコキエーテル共重合体(PFA)、テトラフロロエチレン-ヘキサフロロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-クロロトリフロロエチレン共重合体(ECTFE)などのフッ素樹脂;シリコーン樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612などのポリアミド樹脂;ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などの樹脂を含む樹脂組成物製とすることができる。
【0049】
なかでも前記カバー材をPTFEなどのフッ素樹脂を含むフッ素樹脂組成物で構成すると、耐薬品性、耐熱性に優れるだけでなく、表面自由エネルギーを低減することができ、基体211aに対して付着物を生じさせ難い点において好適である。樹脂組成物は、炭酸カルシウム、タルク、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、短繊維(セルロース、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、コットン、麻、金属繊維等)などの無機フィラーを含んでいてもよい。
【0050】
固定部211の基端側(上側)では、カバー材211bの管状部211b1が、基体211aの管状部211a1及びフランジ部211a2よりも基端側に突出している。この突出した部分から外向きに延びるカバー材211bのフランジ部211b2は、基体211aのフランジ部211a2を基端側から覆っている。固定部211の先端側でも同様にカバー材211bの管状部211b1が基体211aの管状部211a1及びフランジ部211a3よりも先端側(下側)に突出している。また、この突出した部分から外向きに延びるカバー材211bのフランジ部211b3は、基体211aのフランジ部211a3を先端側から覆っている。
【0051】
固定部211の基端側では、基体211aのフランジ部211a2がカバー材211bのフランジ部211b2よりも径大で、基体211aのフランジ部211a2がカバー材211bのフランジ部よりも径方向外側に延出している。第1フランジ部2112の外周側の端縁は、該基体211aのフランジ部211a2によって画定されている。
【0052】
固定部211の先端側は、基端側と同様に基体211aのフランジ部211a3がカバー材211bのフランジ部211b3よりも径大で、基体211aのフランジ部211a3がカバー材211bのフランジ部211b3よりも径方向外側に延出している。第2フランジ部2113の外周側の端縁が該基体211aのフランジ部211a3によって画定されている点も基端側と同じである。該フランジ部211a3の表面は、前記第2空間部110acに露出する固定部211の下面を構成している。
【0053】
ノズル本体部212の長さ方向XL(上下方向)におけるフランジ部211a3の厚さは、径方向内側に向かうに従って厚くなっていてもよい。即ち、固定部211の下面は、中心に向けて先下がりとなる傾斜面であってもよい。その場合、当該固定部211の下面に付着した洗浄液がそのまま落下してしまうことを抑制でき、該洗浄液を径方向中心側に誘導して前記ノズル本体部212の上端部に供給することができる。即ち、このような場合、固定部211に供給された洗浄液を固定部211だけでなくノズル本体部212の洗浄にも有効活用させることができる。
【0054】
固定部211の先端側には、カバー材211bの管状部211b1を先端側に延設するように設けられた本体取付部2114が設けられている。該本体取付部2114は、カバー材211bと同じ樹脂製であり管状部211b1、フランジ部211b2,211b3とともに一体化されている。即ち、本体取付部2114は、管状部211b1、フランジ部211b2,211b3を構成する一つの部材(樹脂成形品)の一部によって構成されている。
【0055】
本体取付部2114は、管状部211b1よりも内径が大きな円筒状である。該本体取付部2114は、ノズル本体部212と固定部211との接合に用いられる。前記カバー材211bの管状部211b1の内壁面が平滑面となっているのに対して当該本体取付部2114の内壁面には螺旋状に螺子切りが施されており、該内壁面には基端側から先端側に向けて螺子山と螺子溝とが交互となるように螺子切りが施されている。
【0056】
ノズル本体部212の前記パイプ部2121は、基端側が該本体取付部2114に取り付けられている。該パイプ部2121は、前記カバー材211bの管状部211b1と共通する内径を有する円筒状である。パイプ部2121は、前記本体取付部2114と螺合可能となるように基端側の端部の外側に螺子切りがされている。
【0057】
前記パイプ部2121は、前記固定部211の側と前記ヘッド部2122の側とで外径が異なっており、ヘッド部2122の側よりも径大な大径部を固定部211の側に有し、前記大径部よりも径小な小径部をヘッド部2122の側に有し、該小径部が前記ヘッド部2122に接続されており、該小径部と前記大径部との接続箇所には、外径の違いによる段差を解消するテーパー部が設けられている。
【0058】
本実施形態では、貫通孔THより放出した洗浄液を槽本体100や第1容器ノズル110aに勢いよく当てて当該洗浄液を跳ね返らせて固定部211やパイプ部2121に浴びせるようにすることで洗浄ノズル21自身も洗浄され得る。洗浄ノズル21のセルフクリーニングの為の洗浄液の放出は、流量を抑えた(噴出圧力を抑えた)ものであってもよく、貫通孔THから洗浄液がノズル本体部212の表面を伝って流れ落ちる程度のものであってもよい。
【0059】
セルフクリーニング後の洗浄ノズル21に対して清浄性を発揮させる上では、付着物が残り易い段差をノズル本体部212に設けないようにすることが好ましい。そこで、本実施形態の前記パイプ部2121は、長さ方向XLに沿って前記ヘッド部2122に達するまで外径を測定した時に急激な外径変化が生じないようになっている。
【0060】
垂直面と水平面とが交わる直角の角部は、外表面が鈍角に交わる角部に比べて滞留物が生じ易い。また、外表面が直角に交わっている角部でも角部から径方向外向きに広がる水平面が上向きの場合は、比較的洗浄液による洗浄作用が働き易いものの、水平面が下向きに形成されるような箇所では、当該水平面に洗浄液が回り込みにくいため、洗浄が十分に行き届き難くなる。そこで、本実施形態の前記洗浄ノズル21は、後者のような水平面が形成されないように径が縮小する箇所に緩やかなテーパーを設けている。また、本実施形態の前記洗浄ノズル21では、前者のような水平面が形成されることが無いように拡径する箇所にテーパーが設けられ得る。
【0061】
本実施形態でのノズル本体部212の固定は、基端側(上側)での本体取付部2114への固定のみで行われている。ノズル本体部212は、基端側が固定端となっている一方で先端側(下側)が自由端となっていて片持支持された状態で反応槽10に装着されている。本体取付部2114は、ノズル本体部212を強固に支持すべく先端部まで一定以上の厚さを有している。従って、本体取付部2114の先端側の端面は、径方向XDに広がっている。中心軸C21の方向に先端側から基端側を見たときの端面の形状は、円環状(ドーナツ状)である。そして、本実施形態の洗浄ノズル21は、本体取付部2114にノズル本体部212を取り付けただけの状態では、本体取付部2114の外周面に沿って先端側に移動した場合に該本体取付部2114の端縁を超えた時点で中心軸C21側に一段落ち込む段差を有する状態になっている。
【0062】
本実施形態の洗浄ノズル21では、図4に示すように、本体取付部2114とノズル本体部212との間に大きな段差が生じないように溶接材Fによって低段側(先端側)でノズル本体部212を構成する部材の外周面上に肉盛りがされている。ノズル本体部212は、固定部211のカバー材211bと同様に樹脂製である。前記本体取付部2114とノズル本体部212との固定が螺合のみで行われると緩みが生じる可能性があるため、両者を螺合した上で更に溶接材などで固定するようにしてもよい。本実施形態では、本体取付部2114の端面とノズル本体部212を構成する部材の外周面とが交わる角部において本体取付部2114の端面とノズル本体部212を構成する部材の外周面とに溶接材Fが熱融着するように溶接が施されている。
【0063】
該溶接材は、ノズル本体部212やカバー材211bの構成材料に親和性の高い材料を含むものを用いることができる。ノズル本体部212を構成する部材やカバー材211bがPTFEを含む樹脂組成物で構成されている場合、溶接材FはPFAを含んでいることが好ましい。固定部211やノズル本体部212を全体的に金属製とする場合、溶接材Fには一般的な電気溶接やアーク溶接などにおいて用いられているろう材を用いることができる。溶接は、溶射などであってもよい。本実施形態での溶接は、ろう材を用いない方式のものであってもよい。前記接続部を構成する溶接材は、接合される2つの部材の内の何れか一方又は両方の一部が溶融固化したものであってもよい。
【0064】
溶接材は、1種類の組成物で構成される必要はなく、複数種類のものであってもよい。例えば、溶接材が樹脂組成物で構成される場合、本体取付部2114の端面とノズル本体部212を構成する部材の外周面とが交わる角部には、それぞれの面に対して高い接着力を発揮することができる第1の樹脂組成物で溶接を実施した後に、ノズル本体部212に求められる表面性状に適した第2の樹脂組成物を第1の樹脂組成物に積層するように溶接してもよい。本体取付部2114やノズル本体部212が金属製で、溶接材を金属組成物で構成する場合も同様である。そのような場合、例えば、角部を第1の金属組成物によりアーク溶接し、アーク溶接された第1の金属組成物の上に第2の金属組成物を溶射するようにしてもよい。また、複数の組成物で構成される溶接材は異種組成物で構成されてもよく、例えば、角部のみを金属組成物でアーク溶接し、アーク溶接された金属組成物の上に樹脂組成物による肉盛り溶接を施してもよい。部材間に生じる段差に充填する溶接材を複数種類とし得ることは別の部材間における場合も同じである。さらに、溶接が施される段差が複数箇所である場合、一つの段差に充填する溶接材と他の段差に充填される溶接材とは共通していても異なっていてもよい。
【0065】
前述のように溶接材Fを充填せずに角部(段差)をそのままにしていると粉粒体や液体などが滞留し易いため、溶接材Fで段差を埋めるべく行われる肉盛溶接は、滞留物を減少させる上において有効である。このとき、図4に示すように、溶接材Fの基端側での端縁の径RFを本体取付部2114の先端側の端縁の径RMと一致させて段差を解消させるようにしてもよい。例えば、溶接材Fの外周面を先端側に向けてなだらかに縮径させ、本体取付部2114に螺合されている部材の外周面へと徐々に径を縮小させながら到達させるようにして、溶接材Fの外周面がテーパー状になるようにしてもよい。そのようにすることで固定部211とノズル本体部212との接合部において段差が形成されず、本体取付部2114から溶接材Fを超えて先端側へと至る間において外周面が滑らかに連続した状態になるため洗浄ノズル21に滞留物が生じる事をより一層抑制することができる。
【0066】
溶接材Fでそのような形状となる部位を形成するには、溶接自体をそのように実施してもよく、最終仕上り以上の肉盛り量での溶接を実施した後に余分な溶接材を切除するなどしてもよい。
【0067】
本実施形態のノズル本体部212は、複数の樹脂部材の接合体である。本実施形態のノズル本体部212は、パイプ部2121及びヘッド部2122とのそれぞれが複数の樹脂製部材で構成されている。本実施形態では、本体取付部2114とノズル本体部212との接合方法と同様に、ノズル本体部212を構成する各部材間の接合に螺合と溶接とを併用することができる。
【0068】
本実施形態でのノズル本体部212は、図2に示すように基端側から先端側にかけて並んだ4つの部材で構成されており、基端側から順に基端部材B1、第1中間部材M1、第2中間部材M2、及び、先端部材T1を備えている。基端部材B1は、本体取付部2114と螺合及び溶接されている部材である。該基端部材B1及び第1中間部材M1は、それぞれ前記パイプ部2121の一部を構成しており、第2中間部材M2は、パイプ部2121とヘッド部2122との接続部分に配されて両方の一部を構成している。より詳しくは、本実施形態の第2中間部材M2は、パイプ部2121の先端部を構成しているとともにヘッド部2122の基端側の約半分の部分を構成している。そして、先端部材T1は、ヘッド部2122の先端側の約半分の部分を構成している。
【0069】
基端部材B1と第1中間部材M1とは、外径及び内径が全長に亘って一定した円筒状である。両者は、外径が等しく、見掛け上、ひとつのパイプとなるように接合されている。前記第2中間部材M2の基端側は、基端部材B1や第1中間部材M1よりも外径の小さな円筒状である。一方で第2中間部材M2の基端側の内径は、基端部材B1や第1中間部材M1と共通している。即ち、本実施形態のパイプ部2121は、洗浄液の流路の面積(長さ方向XLに直交する平面で内部空間を切断した際の断面積)がヘッド部2122に至るまで一定している。一方で、パイプ部2121の外周面側では、図5A図5Bに示すように第1中間部材M1と第2中間部材M2との接合部においてこれらの間に段差が形成され、第2中間部材M2の側が第1中間部材M1の側よりも小径な小径部となっている。
【0070】
本実施形態では、本体取付部2114とノズル本体部212との接合箇所と同様に、第1中間部材M1の端面も径方向XDに平行な円環状で、該端面と第2中間部材M2の外周面とが交わる角部において溶接材Fがそれぞれの部材に熱融着するように溶接が施されている。溶接材Fでの肉盛りは、第1中間部材M1の外周面と端面とが交わる角(外角)に到達するように施されている。溶接材Fでの肉盛りは、先端部に向かうに従って高さが徐々に減少するように施されている。本実施形態では、溶接材Fで構成された接続部の外周面が先端側に向けて緩やかに縮径して第2中間部材M2の外周面へと到達しており、接続部の外周面が先端側に向かってテーパー状になって縮径している。そのようにして本実施形態の洗浄ノズル21では、溶接材Fによって第1中間部材M1と第2中間部材M2との間の段差が解消されている。
【0071】
上記のように上流側の部材と下流側の部材との接合部に外径の違いによる段差が生じている場合、上流側の部材の端面よりも下流側に生じる空間部に溶接材を補填することで段差を解消させることができる。この空間部を補って段差を解消させるための補填物は、溶接材Fに限らず、予め成形加工が施された成形品であってもよい。即ち、接続部は、成形品などによって構成されてもよい。該成形品は、例えば、高段側の部材の端面に当接される側に段差に相当する厚みが設けられ、該端面から離れるに従って厚みが徐々に減少するように成形されたリング状の成形品であってもよい。即ち、補填物は、周方向に直交する平面での断面形状が直角三角形となるようなリング状の成形品であってもよい。リング状の成形品は、周方向に分割可能なものであってもよい。即ち、リング状に連結可能な複数の分割片で構成されていてもよい。このような成形品は、第1中間部材M1に接合された後の第2中間部材M2に対して後から装着可能となり、接合部の形成を手軽にさせ得る。
【0072】
本実施形態での溶接は、ヘッド部2122に到達しないように施されている。即ち、接続部は、先端側の端縁とヘッド部2122との間に距離を設けるように形成されている。
【0073】
前記ヘッド部2122は、洗浄ノズル21の最も先端側に位置している。前記ヘッド部2122は、前記パイプ部2121の内部空間に連通する内部空間を有する中空状で、本実施形態では、パイプ部2121よりも径の大きな形状を有している。従って、本実施形態では、前記第2中間部材M2の先端部は、半球形のカップ形状となっており、先端部は先端側に向けて開口したカップ形状となっている。即ち、第2中間部材M2は、ヘッド部2122に洗浄液を導入する導入管M21と該導入管M21から洗浄液を受け入れる受入カップM22とが一体化された構造になっていて全体形状が逆漏斗状である。第2中間部材M2の先端側のカップ形状の部分(以下「上流カップ部2122a」ともいう)が先端側に向けて開口しているのに対して、前記先端部材T1で構成された部分(以下「下流カップ部2122b」)は、基端側に向けて開口した円錐形のカップ形状となっている。
【0074】
第2中間部材M2の先端側の開口径は、先端部材T1の外径に対応しており、第2中間部材M2と先端部材T1とは、該先端部材T1の基端側の一部を第2中間部材M2に挿入して接合されている。即ち、先端部材T1と第2中間部材M2との接合部では、先端部材T1と第2中間部材M2とが径方向において重なり合っており、第2中間部材M2が外側となり、先端部材T1が内側となるように重なりあっている。そのため、本実施形態では、先端部材T1と第2中間部材M2との接合部においても段差が形成されている。
【0075】
本実施形態では、第2中間部材M2の先端側の端面も径方向XDに平行な円環状で、図3図6示すように該端面と先端部材T1の外周面とが交わる角部において溶接材Fがそれぞれに熱融着するように溶接が施されている。そして、本実施形態の洗浄ノズル21では、第1中間部材M1と第2中間部材M2との接合部と同様に、第2中間部材M2の外周面と先端部材T1の外周面との間に生じる段差が溶接材Fを充填することで解消されている。
【0076】
本実施形態の洗浄ノズル21は、前記ノズル本体部212の下端部に円錐形状又は多角錐形状となって下方に突出した突出部212tが備えられており、当該洗浄ノズル21の最も下端に位置する部位が下方に突出した形状となっている。本実施形態では、該突出部212tが前記先端部材T1によって構成されている。
【0077】
前記突出部212tの形状は、上記のように円錐形状又は多角錐形状である。従って、突出部212tの上端縁と交わる水平面での突出部212tの断面形状は円形、又は多角形である。断面形状は、真円でなくてもよく、楕円であってもよい。前記多角形は、正多角形であってもよく、正多角形以外の多角形であってもよい。
【0078】
円錐形状や多角錐形状は、上記の断面の大きさが100mm以上となるように形成され得る。円錐形状や多角錐形状の断面の大きさは、200mm以上であってもよく、300mm以上であってもよく、400mm以上であってもよく、500mm以上であってもよい。断面の大きさは、例えば、10000mm以下とすることができる。当該断面の面積は、7500mm以下であってもよく、5000mm以下であってもよい。
【0079】
前記突出部212tの形状は、直円錐形状であっても斜円錐形状であってもよく、直多角錐形状であってもよく、斜多角錐形状であってもよい。前記突出部212tの先端(下端)形状は、尖鋭であってもよく、面取りされていてもよい。面取りは、R面取りであってもよく、C面取りであってもよい。即ち、該突出部212tの外表面212taには、円錐形状又は多角錐形状の側面であるテーパー面212ta1と、該テーパー面212ta1の下端縁から内向きに延びる下端面212ta2とが含まれ得る。そして、前記下端面212ta2は、平面であってもよく、下向きに凸となる曲面であってもよい。
【0080】
本実施形態の洗浄ノズル21は、下端面212ta2を有する突出部212tが形成されている。本実施形態の突出部212tは、前記ヘッド部2122の一部を構成しており、前記ヘッド部2122の下端部を構成している。本実施形態の洗浄ノズル21は、前記パイプ部2121から当該下端面212ta2に至る間の外表面に中心軸C21に対して直交する水平面や、中心軸C21に対して鋭角となる面が設けられておらず、法線方向が中心軸C21から離れる方向となっている面のみで構成されている。中心軸C21に対して鋭角となる面は、法線ベクトルを長さ方向XL(中心軸方向)と径方向XDとに分解したときに径方向XD内向きのベクトルを持つ内向面となる。このような内向面や水平面では、洗浄液の流れが滞り易い。法線が中心軸C21から離れる方向となる面は、径方向XD外向きのベクトル成分を持つ外向面であり、該外向き面での洗浄液の流れは、内向面や水平面に比べて良好となる。本実施形態では、前記パイプ部2121の上端部から下端面212ta2に至るまでの間の上下方向の全ての区間で当該外向面が連続して設けられている。また、本実施形態では、固定部211の下面(カバー材211bのフランジ部211b3の下面)も径方向XD内向きに先下がりとなるテーパーが設けられており、その形状としては法線方向が中心軸C21から離れる方向となっている。さらに本実施形態では、本体取付部2114とパイプ部2121との接合部にもテーパーが設けられており、固定部211を含めて洗浄ノズル21の外表面の全てが外向面となっている。このことにより、本実施形態の洗浄ノズル21は、反応槽10の洗浄に際して良好なセルフクリーニング性を発揮する。
【0081】
本実施形態の洗浄ノズル21は、該突出部212tに穿設された貫通孔THを有している。そのため、本実施形態の洗浄ノズル21は、槽本体100の下部に対しても良好な洗浄性を発揮する。本実施形態の洗浄ノズル21は、最も下端側に位置する前記貫通孔THから前記ノズル本体部212の中心軸に向けて引いた垂線と該中心軸との交点から該ノズル本体部212の最下端までの距離は、前記交点から前記貫通孔THまでの距離以下であってもよく、前記交点から前記貫通孔THまでの距離よりも短いことが好ましい。このことでヘッド部2122をコンパクトにすることができる。
【0082】
本実施形態の洗浄ノズル21は、洗浄ノズル21の中心軸C21に直交する方向(側方)の内、突出部212tの面積が最も小さくなる方向から突出部212tを見た時に先端部分(下端部分)の角度が170度以下となるように突出部212tが設けられてもよい。該角度は、160度以下であってもよく、150度以下であってもよく、140度以下であってもよい。該角度は、例えば、80度以上とすることができる。該角度は、90度以上であってもよく、100度以上であってもよく、110度以上であってもよく、120度以上であってもよい。
【0083】
本実施形態の洗浄ノズル21は、突出部212tを円錐形状とする場合、下端部の頂角(図3での符号“θt”)が170度以下となるように突出部212tが設けられてもよい。頂角θtは、160度以下であってもよく、150度以下であってもよく、140度以下であってもよい。頂角θtは、例えば、80度以上とすることができる。頂角θtは、90度以上であってもよく、100度以上であってもよく、110度以上であってもよく、120度以上であってもよい。突出部212tの頂角は、好ましくは120度以上170度以下とされる。突出部212tの頂角は、好ましくは120度以上170度以下とされる。
【0084】
本実施形態の突出部212tは、以下の(a1)~(a4)の内の少なくとも1つを満たすように構成されることが好ましい。
(a1)テーパー面212ta1を伝って流れる洗浄液が前記下端面212ta2に回り込む形状を有している。
(a2)テーパー面212ta1を伝って流れる洗浄液が前記下端面212ta2に回り込んで該下端面の中央部に達する形状を有している。
(a3)前記下端面212ta2の外周縁から該下端面212ta2の中心までの距離を「x」とし、テーパー面212ta1を伝って下端面212ta2に回り込んだ洗浄液が落下するまでに該下端面212ta2を濡らす領域の長さ(外周縁からの長さ)を「y」としたときに「x≦y」の関係を満たす形状を有している。
(a4)テーパー面212ta1を伝って流れる洗浄液が前記下端面212ta2全体を覆った後に落下する形状を有している。
【0085】
上記の(a1)~(a4)を満たすかどうかは、スポイトなどを用いてテーパー面212ta1の上端部から洗浄液を流して確認することができる。該スポイトとしては、例えば、末端側にベローズの設けられた吸い上げ量が10ml程度のポリエチレン製のスポイトを用いることができる。(a1)~(a4)を満たすかどうかは、このようにして洗浄液を流した様子を、例えば、ハイスピードカメラで撮影し、得られた画像から確認することができる。上記の(a1)~(a4)は、10ml程度の洗浄液を連続的に流す操作を周方向の複数箇所で実施した時に、少なくとも1か所で満たされることが好ましく、過半数の箇所で満たされることがより好ましく、全ての箇所で満たされることがさらに好ましい。突出部212tは、洗浄液を1滴ずつテーパー面212ta1の上端部から供給した時に上記の(a1)~(a4)の何れかが満たされることが特に好ましい。
【0086】
上記の(a1)~(a4)を満たすかどうかは、実際に使用される洗浄液を実際の使用温度に調節して確認してもよいが、通常、洗浄液の方が水に比べて固体表面に濡れ広がり易いため、常温(例えば、23℃)のイオン交換水などで代用して確認してもよい。
【0087】
本実施形態では、洗浄液として単なる水(例えば、イオン交換水)、界面活性剤などを含む水性洗浄剤(クエン酸水溶液、リン酸水溶液、アルコール水溶液、アルカリ電解水、アルカリ水溶液など)、有機溶媒などが用いられ得る。
【0088】
本実施形態の洗浄ノズル21は、テーパー面212ta1に開口した貫通孔THを有しているとともに下端面212ta2に開口した貫通孔THを有している。本実施形態での貫通孔THは、直進流を形成し得るものではあるが、一部の洗浄液は小さな飛沫となって周囲に飛散する場合がある。下端面212ta2に貫通孔THを有する本実施形態の洗浄ノズル21は、該飛沫が下端面212ta2に付着し易い。また、洗浄液の供給が停止されてヘッド部2122内での洗浄液の圧力が低下した場合には、下端面212ta2に設けた貫通孔THから滴下する洗浄液が該貫通孔THの周囲に濡れ広がりながら滴下し易い。そのため、下端面212ta2に貫通孔THを有する本実施形態の洗浄ノズル21は、テーパー面212ta1から回り込んで来る液滴よりも微小な液滴を下端面212ta2に付着させ易い。テーパー面212ta1から回り込んできた洗浄液は、この微小な液滴を取り込むことで下端面を伝って当該下端面の中心部まで伝わり易い。このように、本実施形態の洗浄ノズルは、テーパー面212ta1から回り込んできた洗浄液を下端面212ta2に付着している微小液滴によって中心部に誘導し易くなっている。
【0089】
ノズル本体部の下端面が面積の大きな水平面となっている従来の洗浄ノズルにおいては、洗浄液での洗浄後に下端面に被処理物などが残存し易く、洗い残しが生じ易いが、本実施形態の洗浄ノズル21は、上記のような構造を有するため高いセルフクリーニング性が発揮され得る。
【0090】
ノズル本体部212での前記下端面212ta2は、面積が小さい方が洗浄液による洗い残しが少なくなる。下端面212ta2の具体的な面積は、例えば、100mm以下とすることができる。下端面212ta2の面積は、90mm以下であってもよく、80mm以下であってもよく、70mm以下であってもよく、60mm以下であってもよい。
【0091】
ヘッド部が球状である場合、ノズル本体部の下端側の表面が下方に向けて突出した凸面となり、ノズル本体部の下端側が下方に向けて先細りする形状となり、下端面が実質的に0mmとなる。しかし、外表面が球面の場合、最下点に近付くに従って外接面が水平面に近い状態になるので外表面を伝って流れる洗浄液が最下点に到達する前に落下してしまうことにもなりかねない。一方で、本実施形態のヘッド部2122では、下端部が円錐形状となっているため、洗浄液が最下点まで到達し易い。そのような機能は、下端部が円錐形状ではなく多角錐形状であっても同じである。
【0092】
本実施形態のヘッド部2122は、例えば、洗浄液の流れ方向(上下方向)の中間部分に該流れ方向に筒状に延びる円筒状部を備え、ヘッド部2122に接続されている部位でのパイプ部2121の径よりも該円筒状部が大径で、該円筒状部の上端部よりパイプ部2121に向けて縮径する上向き縮径部と、該円筒状部の下端部よりノズル本体部212の下端に向け縮径する下向き縮径部とを備え、該下向き縮径部が前記突出部212tとなっていて、前記上向き縮径部は、図に例示のように半球状に縮径していてもよく、円錐形状や多角錐形状に縮径していてもよく、円筒状部の上端部とパイプ部2121の下端部とを水平面で接続するように縮径してもよい。本実施形態のヘッド部2122は、上向き縮径部、円筒状部、及び、下向き縮径部のそれぞれには、貫通孔THを設けることができ、上向き縮径部や下向き縮径部に貫通孔THを設けることで広範囲に向けた洗浄液の放出が可能となる。
【0093】
図に例示のヘッド部2122は、洗浄液の流れ方向(上下方向)の中間部分で接合が行われているが、前記円筒状部は、例えば、継ぎ目の無いパイプ(シームレスパイプ)によって構成されてもよい。上向き縮径部、円筒状部、及び、下向き縮径部は、別部材であってもよく、一つの成形体であってもよい。ヘッド部2122を金属製とする場合、鋳込み成形やヘラ絞りなどの成形法を用いることにより、上向き縮径部と円筒状部との間や円筒状部と下向き縮径部との間に継ぎ目のない成形体を作製することができる。また、ヘッド部2122を樹脂製とする場合、ブロー成型やトランスファーモールド成形により上向き縮径部と円筒状部との間や円筒状部と下向き縮径部との間に継ぎ目のない成形体を作製することができる。本実施形態のヘッド部2122は、そのような成形体で構成されてもよい。尚、上向き縮径部、円筒状部、及び、下向き縮径部を別部材とする場合、互いの接合には螺合、溶接などの方法を採用することができる。
【0094】
本実施形態の突出部212tは、外接面が水平面に対してなす仰角が10度以下となる範囲の面積が100mm以下であることが好ましい。該面積は、90mm以下であってもよく、80mm以下であってもよく、70mm以下であってもよく、60mm以下であってもよい。該面積は、50mm以下であってもよく、40mm以下であってもよく、30mm以下であってもよく、20mm以下であってもよく、10mm以下であってもよく、実質的に0mmであってもよい。
【0095】
本実施形態では、仰角が15度以下となる範囲の面積が上記のような面積以下であることがより好ましく、仰角が20度以下となる範囲の面積が上記のような面積以下であることがさらに好ましく、仰角が25度以下となる範囲の面積が上記のような面積以下であることが特に好ましく、仰角が30度以下となる範囲の面積が上記のような面積以下であることがとりわけ好ましい。
【0096】
本実施形態では、突出部212tだけでなく、ノズル本体部212の全ての外表面についても外接面が上記のような仰角以下となる領域が少ないことが好ましい。仰角が上記のように所定以下となる面積が、ノズル本体部212の全体において上記のように所定以下となることで、洗浄液がノズル本体部212の上端部に供給された際に、該洗浄液が下端面212ta2まで到達し易くなる。ノズル本体部212の外表面に対する洗浄液の供給は、例えば、前記貫通孔THから放出される洗浄液を槽本体100や第1容器ノズル110aに跳ね返させることで実施可能となる。
【0097】
本実施形態の洗浄装置20は、給液管22に設けられたフランジ部と、固定部211での第1フランジ部2112とがフランジ接合によって着脱自在に接合されており、前記給液管22から前記第1フランジ部2112の貫通孔へと洗浄液が供給されるように構成されている。
【0098】
洗浄ノズル21は、前記給液管22から供給された洗浄液を、固定部211の連結部2111、ノズル本体部212のパイプ部2121、及び、ヘッド部2122の順に流通させるように流路が形成されている。
【0099】
本実施形態のノズル本体部212の複数の貫通孔THの少なくとも一部は、ヘッド部2122に設けられている。前記先端部材T1の最下面となる位置に設けられる貫通孔THは、ドレンとしての機能も有する。該貫通孔THは、先端部材T1だけでなく、第2中間部材M2の先端側のカップ形状の部分(上流カップ部2122a)にも設けられ得る。ヘッド部2122は、先端部材T1で構成された部分(下流カップ部2122b)だけでなく上流カップ部2122aにも貫通孔THが設けられることで広範囲に洗浄液が供給できるようになる。そのため、本実施形態のようにパイプ部2121には、第2中間部材M2で構成される部分での外径を基端部材B1や第1中間部材M1よりも径小な小径部とし、上流カップ部2122aで貫通孔THを設け得る領域をより広く確保することが好ましい。
【0100】
上流カップ部2122aで貫通孔THを設け得る領域をより広く確保する上では、パイプ部2121全体を細径化することも考え得るが、本実施形態のノズル本体部212は、基端側だけでの片持支持となっているためパイプ部2121が細いと十分な強度が発揮されずに撓み易くなってしまう可能性がある。また、洗浄液の圧力をヘッド部2122まで伝搬させる上においてもパイプ部2121は、太い方が好ましい。従って、前記パイプ部2121は、前記ヘッド部2122に接続されている部位の外径が、該部位よりも上流側(基端側)に比べて径小になっていることが好ましい。即ち、ノズル本体部212は、パイプ部2121に相対的に外径の大きな大径部と該大径部に比べて径小な小径部とを設け、前記ヘッド部2122に接続されている部位を小径部とするとともに該小径部よりも上流側(基端側)に大径部を設けることが好ましい。また、本実施形態では、第2中間部材M2での最小径よりも第1中間部材M1の最小径の方が大径となっている。このことにより、本実施形態ではノズル本体部212に撓みが生じ難くなっている。尚、第2中間部材M2の最小径と第1中間部材M1の最小径は等しくてもよく、第2中間部材M2の最小径の方が第1中間部材M1の最小径よりも大径となっていてもよい。
【0101】
本実施形態のヘッド部2122では、先端部材T1の基端側の一部を第2中間部材M2の中に挿入してこれらの部材同士が接合されているが、図7に示すように先端部材T1の上方に向けての開口を第2中間部材M2の先端部を受入れ可能な大きさとして、先端部材T1が外側となり、第2中間部材M2が内側となるように、接合部においてこれらを重なり合わせるようにしてもよい。その場合も、上流カップ部2122aで貫通孔THを設け得る領域をより広く確保することができる。また、このような場合も先端部材T1と第2中間部材M2との接合部において形成される段差は、溶接材Fで解消させることができる。
【0102】
第2中間部材M2の外周面と先端部材T1の外周面との間に生じる段差を解消するための溶接による肉盛りは、第1中間部材M1と第2中間部材M2との間の段差を解消するための溶接による肉盛りと同様に行うことができる。第1中間部材M1と第2中間部材M2との間の溶接は、第1中間部材M1の端面と外周面との角に達するように施すことができ、径方向XDでの高さが第1中間部材M1の外周面の位置と同じになるように施され、第1中間部材M1の端面の全てを覆うように施され得る。第2中間部材M2の外周面と先端部材T1の溶接は、第2中間部材M2の端面と外周面とが交わる角に達するように施すことができ、径方向XDでの高さが第2中間部材M2の外周面の位置と同じになるように施され、第2中間部材M2の端面の全てを覆うように施され得る。
【0103】
図7に示すように先端部材T1の側が高段側となる場合、接続部の外周面は段差での高段側から低段側に(基端側に)向けてテーパー状に縮径するように設けられる。言い換えると、この場合の接続部の外周面は先端側に向かって拡径する拡径部となる。
【0104】
前記第1中間部材M1は、第2中間部材M2との接合箇所となる先端側において、外側の角部に面取りがされていて、外周面が先端側の端縁の直前においてテーパー状に縮径している。溶接は、この外周面の縮径を先端側に延長するように施されている。
【0105】
上記のように本実施形態の前記ノズル本体部212には、前記第1中間部材M1で構成された第1中間部と、前記第2中間部材M2で構成された第2中間部と、前記第1中間部と前記第2中間部とに接する溶接材で構成された第1の接続部(以下「第1接続部」ともいう)とが設けられている。また、本実施形態の前記ノズル本体部212には、基端部材B1で構成された本体基端部と、先端部材T1で構成された本体先端部とが設けられている。
【0106】
第1接続部は、長さ方向XLでの先端側に向かうに従って外周面の径が小さくなるように縮径している。また、第1接続部の先端縁は、実質的な段差を設けることなく第2中間部材M2に接している。
【0107】
第1接続部やノズル本体部212の他の部位において段差が生じているかどうかは、例えば、長さ方向XLに僅かな距離(例えば、0.5mm)の離れた2点で第1接続部の中心軸C21からの高さ(径方向XDでの高さ)を測定したときに高さの差が0.5mm以下であることで確認することができる。径方向XDでの高さの違いは、例えば、0.4mm以下であってもよく、0.3mm以下であってもよく、0.2mm以下であってもよく、0.1mm以下であってもよい。径方向XDでの高さの違いは、例えば、非接触式(例えば、レーザー式)の外形測定器などを使って測定することができる。
【0108】
本実施形態での前記ノズル本体部212の外周面は、前記反応槽10の内部空間に露出する露出面となっている。内部空間に露出するノズル本体部212の外周面には、基端部材B1の外周面で構成された基端領域AB1と、前記第1中間部の外周面で構成された第1中間領域AM1と、前記第2中間部の外周面で構成された第2中間領域AM2と、前記第1接続部の外周面で構成された第1接続領域AC1とが含まれている。本実施形態での前記ノズル本体部212の外周面は、先端部材T1の外周面で構成された先端領域AT1を更に有する。また、本実施形態では、第2中間部材M2と先端部材T1との間に第2の接続部(第2接続部)が設けられ、該第2接続部の外周面である第2接続領域AC2がノズル本体部212の外周面に含まれている。前記第1中間領域AM1の下流側の端縁部では、該第1中間領域AM1と前記第1接続領域AC1とが連続し、該第1接続領域AC1よりも下流側に前記第2中間領域AM2が設けられている。
【0109】
更に、本実施形態での第1接続部の外周面である第1接続領域AC1は、テーパー状になって縮径しており、基端側の端縁から先端側の端縁までの全区間に亘って段差が設けられていない。また、第1接続領域AC1とその下流側の第2中間領域AM2との間にも段差が設けられていない。そのため、本実施形態のノズル本体部212では、第1中間部材M1と第2中間部材M2との外径が異なる部材どうしが接合されながらも接続部に段差が形成されていないので被処理物や洗浄液が留まり難く、異物によるトラブルを発生させ難い。
【0110】
本実施形態では、洗浄液が第1中間領域AM1から第1接続領域AC1を通って第2中間領域AM2へとノズル本体部212の外周面を連続的に伝って流れることができる。そして、本実施形態では、第1中間部材M1の端縁から連続するように第1接続部が設けられ、該第1接続部の外周面が縮径部となっている。即ち、本実施形態では、長さ方向に外径が変化する縮径部が第1中間領域AM1の端縁から連続するように設けられており、第1中間領域AM1と当該縮径部とを洗浄液が連続的に伝って流れることができるようになっている。第1中間領域AM1の端縁から連続するように拡径部が設けられている場合も同じように洗浄液が連続的に流れるようにすることができる。本実施形態では、ノズル本体部212の外周面の複数の領域に亘って洗浄液が連続的に長さ方向XLに流れることができるため隣り合う領域間の境界部(部材間の境界部)などにも被処理物や洗浄液が留まり難く、異物によるトラブルを発生させ難い。
【0111】
ノズル本体部212は、縮径部や拡径部をそれぞれ複数備えていてもよい。例えば、第1中間領域AM1の端縁に連続して第1の縮径部を設け、該第1の縮径部よりも下流側に第2の縮径部を設けてもよい。該第2の縮径部は、第1の縮径部と同じく第1接続領域AC1に設けられてもよく、第2中間領域AM2に設けられてもよい。長さ方向XLに距離を隔てて複数の縮径部を第1接続領域AC1に設ける場合、上流側の第1の縮径部と下流側の第2の縮径部との間は、例えば、中心軸Cxからの距離が長さ方向XLに一定した定径部とすることができる。即ち、第1接続領域AC1は、縮径部と定径部とが交互に並んで長さ方向XLに段階的に径が変化するように形成されていてもよい。このような場合も、第1中間領域AM1から当該第1接続領域AC1に回り込んだ洗浄液が第2中間領域AM2へと流れることができるため被処理物や洗浄液が留まり難く、異物によるトラブルを発生させ難い。
【0112】
本実施形態では第2中間部材M2と先端部材T1との接合部においても溶接材Fで段差が解消されているために上記と同様の効果が第2中間部材M2と先端部材T1との接合部においても発揮される。即ち、本実施形態では、第2中間部材M2と先端部材T1との間の前記第2接続部の外周面である第2接続領域AC2が第2中間領域AM2の先端側の端縁部に連続するように設けられており、第2接続領域AC2と第2中間領域AM2との境界部に段差が形成されていないため異物によるトラブルが生じ難い。
【0113】
図5Aに例示のノズル本体部212では、第1中間領域AM1の先端部と前記接続領域とに下流側に向けて外径が縮径する縮径部が設けられている。縮径部は、第2中間領域AM2に設けられてもよい。縮径部は、第2中間領域AM2と前記接続領域との内の少なくとも一方に設けられることが好ましい。本実施形態では、下流側に向けて外径が縮径する縮径部に代えて、下流側に向けて外径が拡径する拡径部を設けてもよい。本実施形態のノズル本体部212では、第2中間領域AM2と前記接続領域との内の少なくとも一方に、下流側に向けて外径が縮径する縮径部と下流側に向けて外径が拡径する拡径部との内の少なくとも一方が設けられていることが好ましい。
【0114】
縮径部や拡径部は、縮径や拡径の程度が大きく変化して中心軸C21に対して直交する方向から見たときの輪郭線が曲線状となるようなものであってもよいが、直線状となっていることが好ましい。本実施形態での縮径部は、外径の変化が一定してテーパー状に縮径していることが好ましい。本実施形態での拡径部は、外径の変化が一定してテーパー状に拡径していることが好ましい。長さ方向XLに測定点を移動しながら中心軸C21から外周面までの寸法変化を測定した場合での縮径部や拡径部での寸法変化はある程度緩やかであることが好ましい。洗浄ノズル21は、テーパー状に縮径した前記縮径部を備え、前記洗浄液の流れ方向での該縮径部の長さ(図5BのL1)に比べ、該縮径部で前記外周面が前記ノズル本体部の中心に近付く距離(図5BのL2)の方が短い(L1>L2)ことが好ましい。洗浄ノズル21は、テーパー状に拡径した前記拡径部を備え、前記洗浄液の流れ方向での該拡径部の長さに比べ、該拡径部で前記外周面が前記ノズル本体部の中心から離れる距離の方が短いことが好ましい。
【0115】
縮径部の長さ(L1)や拡径部の長さは、例えば、0.5mm以上とすることができる。該長さは、1mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよく、2mm以上であってもよい。該長さは、例えば、25mm以下とすることができる。該長さは、20mm以下であってもよく、15mm以下であってもよい。
【0116】
中心軸C21を通る平面上で前記縮径部や前記拡径部が前記中心軸C21と成す角度(θd,θe)は、80°よりも小さいこと、75°よりも小さいこと、60°よりも小さいこと、更には45°よりも小さいことが好ましい。該角度(θd,θe)は、40°以下であってもよく、35°以下であってもよい。なお中心軸C21を通る平面上で前記縮径部や前記拡径部が前記中心軸C21と成す角度(θd,θe)は、15°以上であることが好ましい。該角度(θd,θe)は30°以上であってもよく、45°以上であっても良い。洗浄ノズル21が前記縮径部と前記拡径部とを有する場合、前記縮径部の角度θdと前記拡径部の角度θeとは共通していても異なっていてもよい。また、洗浄ノズル21が前記縮径部を複数有する場合、複数の縮径部の内の一縮径部の角度(θd1)と他縮径部の角度(θd2)とは、共通していても異なっていてもよい。洗浄ノズル21が前記拡径部を複数有する場合、複数の拡径部の内の一拡径部と他拡径部とは、それらの角度が共通していても異なっていてもよい。
【0117】
パイプ部2121やヘッド部2122がPTFEなどのフッ素樹脂製である場合、それらの表面に洗浄液が濡れ広がり難く、素早く落下してしまい易くなる。その点において、パイプ部2121やヘッド部2122は、PTFEなどのフッ素樹脂とともに無機フィラーを含むフッ素樹脂組成物で形成されてもよい。パイプ部2121やヘッド部2122を構成する樹脂組成物に無機フィラーを含有させると、表面にミクロな凹凸が形成され易く、洗浄液の濡れ広がり性における改善効果を期待できる。
【0118】
前記縮径部においては、該縮径部の上方から流れてくる洗浄液が縮径部の表面を伝うことなく下方に落下し易くなるため、縮径部の表面粗さ(溶接材で形成されている部分の表面粗さ)は、パイプ部2121やヘッド部2122を構成する部材の外周面での表面粗さよりも粗くてもよい。縮径部の表面粗さと構成部材の表面粗さとの比較は、算術平均粗さ(Ra)を比較することで求めることができる。表面粗さは、無作為に選択した数か所(例えば、5箇所)での測定値の算術平均によって求めることができる。縮径部の算術平均粗さ(Ra)は、部材表面の算術平均粗さ(Ra)の1.5倍以上であってもよく、2倍以上であってもよく、3倍以上であってもよい。但し、過度に粗い表面を有すると付着物が生じ易くなってしまうため、縮径部の算術平均粗さ(Ra)は、25μm以下であることが好ましい。縮径部の算術平均粗さ(Ra)は、12.5μm以下であってもよく、6.3μm以下であってもよく、3.2μm以下であってもよく、1.6μm以下であってもよい。尚、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601(カットオフ0.8mm)に基づいて測定することができる。
【0119】
本実施形態の洗浄ノズル21は、パイプ部2121がヘッド部2122に至るまでに縮径してヘッド部2122とパイプ部2121との接続部の面積が小さくなっているため上流カップ部2122aにも貫通孔THを設けやすい。そのため、貫通孔THから吹き出した洗浄液を直接的にパイプ部2121に吹き付けたり、反応槽10の壁面などに反射させて自身に降りかからせたりすることが容易である。即ち、本実施形態の洗浄ノズル21は、放出した洗浄液を固定部211やノズル本体部212に浴びせてこれらの表面を洗い流せるようになっていて、セルフクリーニング性に優れている。
【0120】
セルフクリーニング性を高める上において、本実施形態において洗浄液が放出される貫通孔THは、基端部材B1や第1中間部材M1などに設けるようにしてもよい。基端部材B1や第1中間部材M1は、反応槽10の第1容器ノズル110aの内壁面に近い位置に存在するため、これらに貫通孔を設けることで洗浄液の跳ね返りによる高いセルフクリーニング性を発揮することが期待できる。
【0121】
複数の貫通孔THには、前記第1空間部100cを画定する壁面に向けて洗浄液を放出する第1貫通孔TH1と、前記第2空間部110acを画定する壁面に向けて洗浄液を放出する第2貫通孔TH2とが含まれ得る。前記ノズル本体部212は、その内部に供給された前記洗浄液が該複数の貫通孔THから放出されるように構成され、前記第2貫通孔TH2から放出された前記洗浄液が当該ノズル本体部212の外表面に供給され、該外表面を伝って流れ落ちる前記洗浄液の少なくとも一部がヘッド部2122の最下端から滴下するように構成されていることが好ましい。更には、第1貫通孔TH1は、放出される洗浄液も少なくとも一部がノズル本体部212の外表面に供給されるように配されてもよく、放出した洗浄液の少なくとも一部がヘッド部2122の最下端から滴下されるように配されてもよい。
【0122】
第1貫通孔TH1と第2貫通孔TH2とのそれぞれは、洗浄液の放出形態を、直進型、扇形、空円錐型、充円錐型などとすることができる。直進型での洗浄液の形態は、棒状であってもよく、板状であってもよく、筒状であってもよい。同じ量の洗浄液を放出する場合、洗浄液を供給する相手部材に対する打力は、通常、強い方から順に、直進型、扇形、空円錐型、充円錐型となる。第1貫通孔TH1と第2貫通孔TH2とのそれぞれの洗浄液の放出形態は、目的に応じて適宜選択可能である。また、洗浄ノズル21に複数の第1貫通孔TH1を設ける場合、一つの第1貫通孔TH1と他の第1貫通孔TH1とは、洗浄液の放出形態を共通させても異ならせてもよい。洗浄ノズル21に複数の第2貫通孔TH2を設ける場合も同じであり、一つの第2貫通孔TH2と他の第2貫通孔TH2とで洗浄液の放出形態を共通させても異ならせてもよい。
【0123】
第2貫通孔TH2からの洗浄液の放出は、直進性の高いものであってもよく、洗浄液が円錐状に広がるような直進性の低いものであってもよい。第2貫通孔TH2は、第1貫通孔TH1に比べて直進性の低いものであってもよい。第2貫通孔TH2を直進型とする場合、容器ノズルの内壁面110wや固定部211の下面などといった第2空間部110acを画定する壁面に対して当該第2貫通孔TH2から放出される洗浄液の略全量を供給でき、ノズル本体部212の外表面を伝って流れる洗浄液の量(セルフクリーニングに利用可能な洗浄液の量)として十分な量の洗浄液を確保し易くなる。
【0124】
前記第2貫通孔から放出され、跳ね返りなどにより、ノズル本体部212の外表面に供給され、該外表面を伝って流れ落ちる前記洗浄液は、少なくとも一部がノズル本体部212の最下端から滴下される。
【0125】
ノズル本体部212の最下端から滴下されるかどうかは、ノズル本体部212の中心軸C21が鉛直方向となるようにノズル本体部212を配置し、該ノズル本体部212の外表面(例えば、固定部211の直近における外表面)にスポイトなどで、例えば、10mLの洗浄液を供給してノズル本体部212の外表面を伝って洗浄液が流れ落ちるようにし、該洗浄液の少なくとも一部が最下端から滴下されるかどうかを目視で観察することで確認できる。洗浄液として常温(23℃)の水(イオン交換水)を用い、水を重力の作用のみによって流下させたときに、該水の少なくとも一部がヘッド部2122の下端まで到達する状況であれば、該洗浄ノズル21には、より高いセルフクリーニング性が発揮され得る。
【0126】
本実施形態のノズル本体部212でのパイプ部2121の外表面の一部は、前記第1ノズル筒状部110a1の内壁面と対向する対向面(以下、「容器ノズル対向面」ともいう)となっている。即ち、パイプ部2121の外表面の一部は、法線方向に延ばした仮想線分が第1ノズル筒状部110a1の内壁面と交差する容器ノズル対向面となっている。本実施形態においては、前記基端部材B1の外周面で構成された基端領域AB1の一部が前記容器ノズル対向面となっている。本実施形態では該容器ノズル対向面に第2貫通孔TH2が穿設されている。
【0127】
ノズル本体部212の基端側に設けられた前記パイプ部2121は、前記第1容器ノズル110aに近い位置に設けられているため、該パイプ部2121に第2貫通孔TH2が設けられることで該第1容器ノズル110aに対して高い洗浄性が発揮され得る。また、容器ノズル対向面に第2貫通孔TH2を設けることで洗浄液を第1容器ノズル110aの内壁面110a1sに高い打力で供給することができ、洗浄液の跳ね返り量も増大させ得る。
【0128】
前記パイプ部2121には、複数の貫通孔THが設けられ得る。前記パイプ部2121に複数の貫通孔THを設ける場合、複数の貫通孔THの内の一貫通孔THと他貫通孔THとは、上下方向での位置が共通していてもよく、異なっていてもよい。また、複数の貫通孔THの内の一貫通孔THと他貫通孔THとは、周方向における位置が共通していても異なっていてもよい。即ち、前記パイプ部2121に複数の貫通孔THを設ける場合、該貫通孔THは、ノズル本体部212の中心軸C21の周りを周回する方向である周方向に並んでいてもよく、ノズル本体部212の長さ方向XLに並んでいてもよく、螺旋状になってノズル本体部212の先端に向かうように並んでいてもよく、ランダムに配置されていてもよい。
【0129】
前記パイプ部2121には、第1貫通孔TH1と第2貫通孔TH2との何れか一方のみが設けられても、両方が設けられていてもよい。第1貫通孔TH1と第2貫通孔TH2との何れか一方のみが設けられても両方が設けられていてもよい点については、前記ヘッド部2122についても同じである。尚、前記ヘッド部2122は、両方の貫通孔THが設けられる場合、通常、第1貫通孔TH1の方が第2貫通孔TH2よりも数が多くなるように構成される。
【0130】
前記パイプ部2121に複数の第2貫通孔TH2を設ける場合、該複数の第2貫通孔TH2の内の一つの第2貫通孔TH2と他の第2貫通孔TH2とは、洗浄液を放出する方向に延ばした仮想線分が前記第2空間部110acにおいて交わらないように設けられることが好ましい。複数の前記第2貫通孔TH2の内の一つの第2貫通孔TH2と他の前記第2貫通孔TH2とは、前記周方向における位置が異なっていることが好ましい。複数の前記第2貫通孔TH2の内の一つの前記第2貫通孔TH2と他の前記第2貫通孔TH2とは、前記長さ方向XLにおける位置が異なっていることが好ましい。
【0131】
第2貫通孔TH2は、洗浄液の放出方向(第2貫通孔TH2の貫通方向)がノズル本体部212の径方向XDであってもよい。該第2貫通孔TH2からの洗浄液の放出方向は、該径方向XDに対して上下方向に角度を持って傾斜していてもよく、左右方向に角度を持って傾斜していてもよく、上下左右の両方向に傾斜していてもよい。即ち、第1容器ノズル110aの内壁面110a1sの法線に直交する平面を基準平面とし、第2貫通孔TH2の貫通方向に引いた仮想線分が第1容器ノズル110aの内壁面110a1sと交わる点を洗浄液到達点とした場合、該洗浄液到達点での基準平面に対する前記仮想線分の向き(洗浄液の入射方向)は、垂直方向になっていなくてもよく、垂直方向に対して傾きを持った傾斜方向であってもよい。
【0132】
パイプ部2121に設けられる貫通孔THを斜め上向きや斜め下向きにする場合、その角度(水平面に対する仰角や俯角)は、例えば、10°以上であってもよく、15°以上であってもよく、20°以上であってもよく、25°以上であってもよい。該仰角や俯角は、例えば、45°以下であってもよく、40°以下であってもよく、35°以下であってもよい。
【0133】
パイプ部2121に設けられる貫通孔THを左右に傾斜させる場合、その角度(中心軸C21方向視での径方向XDに対する角度)は、例えば、10°以上であってもよく、15°以上であってもよく、20°以上であってもよく、25°以上であってもよい。角度は、例えば、45°以下であってもよく、40°以下であってもよく、35°以下であってもよい。
【0134】
第2貫通孔TH2から放出された洗浄液が第1容器ノズル110aの内壁面110a1sに対して斜めに当接されると洗浄液が該内壁面110a1sに沿って移動し易くなり、内壁面110a1sを広範囲に亘って洗浄し易くなる。第2貫通孔TH2が左右方向に傾きを持っている場合、洗浄液到達点を起点として第1容器ノズル110aの内壁面110a1sに沿って旋回しながら洗浄液が流下するようになり、洗浄効果を広範囲に及ばせ易くなる。
【0135】
パイプ部2121に設ける貫通孔THの貫通方向を径方向XDに対して傾けることは、ヘッド部に設けられる貫通孔THに対しても有利に作用する。前記ヘッド部2122に形成される第1貫通孔TH1などからは洗浄液を遠くまで到達させることが必要になる。パイプ部2121に設ける貫通孔THを該パイプ部2121の厚さ方向(ノズル本体部212の径方向XD)に形成するのに比べて傾きを持って形成すると貫通孔が長くなり、洗浄液の通過抵抗が大きくなる。その場合、パイプ部2121を通過する際に洗浄液の圧力低下が抑制されヘッド部2122での洗浄液の圧力を高めることができる。
【0136】
パイプ部2121やヘッド部2122に設けられる貫通孔THの内の1つは、前記攪拌軸31aに向けて設けられ得る。攪拌軸31aに洗浄液を供給する貫通孔THは、複数であってもよい。複数の貫通孔THは、攪拌軸31aの長さ方向(上下方向)に並んで配置されてもよい、そのように配置した複数の貫通孔THから洗浄液を放出し、攪拌軸31aの複数箇所に洗浄液を供給して洗浄を実施することで当該攪拌軸31a万遍無く洗浄することができる。
【0137】
前記攪拌軸31aに向けて設けられる貫通孔THは、先述の直進型であってもよく、扇形、空円錐型、及び、充円錐型洗浄液のいずれでもよい。洗浄液が扇形に広がる貫通孔THをパイプ部2121やヘッド部2122に設ける場合、洗浄液の広がる方向が攪拌軸31aの長さ方向となるように配置することが好ましい。その場合、一つの貫通孔THから放出される洗浄液が確実に攪拌軸31aに供給され易くなり、洗浄液の供給地点が攪拌軸31aの長さ方向に延びる帯状の領域となるため、一つの貫通孔THで攪拌軸31aの広い範囲を洗浄することができる。攪拌軸31aに向けて洗浄液が扇形に放出される貫通孔THは、ノズル本体部212に複数設けられてもよく、その場合はノズル本体部212の長さ方向に並ぶように配置されてもよい。
【0138】
パイプ部2121やヘッド部2122に設けられる貫通孔THの内の1つは、第2容器ノズル110bや第3容器ノズル110cの内壁面に向けて設けられ得る。洗浄ノズル21の設けられている第1容器ノズル110aから遠く離れた第3容器ノズル110cは、上方に向かうに従って第1容器ノズル110aから離れるように傾いている。言い換えると、第3容器ノズル110cは、洗浄液を迎え入れ易くなるように傾いており、覗き窓(ガラス窓)に対して洗浄性を発揮させ易い姿勢で備えられている。
【0139】
パイプ部2121に設ける第2貫通孔TH2は、複数であってもよく、該複数の第2貫通孔TH2には、貫通方向が径方向XDである第2貫通孔TH2と貫通方向が径方向XDに対して傾いた第2貫通孔TH2とが含まれてもよい。
【0140】
第2貫通孔TH2は、ヘッド部2122に設けてもよい。本実施形態の洗浄ノズル21は、ヘッド部2122の直前がパイプ部2121の径小部となっているため、ヘッド部2122に対して第2貫通孔TH2が設け易くなっている。ヘッド部2122に設けられた第2貫通孔TH2は、第1容器ノズル110aの内壁面110a1sに向けて形成されてもよく、第2空間部110acの上縁を画定している固定部211の第2フランジ部2113に向けて形成されてもよい。
【0141】
ヘッド部2122に第2貫通孔TH2を設ける場合、該第2貫通孔TH2は、その貫通方向に延ばした仮想線分がパイプ部2121に設けた貫通孔THから延ばした仮想線分と交差しない位置に設けてもよい。その場合、当該第2貫通孔TH2から放出される洗浄液に強い打力を生じさせる上で有利となる。また、ヘッド部2122に設ける第2貫通孔TH2は、放出した洗浄液がパイプ部2121に設けた貫通孔THから放出された洗浄液と衝突する位置に設けられてもよい。その場合、衝突によって飛び散った洗浄液の多くをノズル本体部212に浴びることができる。
【0142】
洗浄ノズル21による反応槽10の洗浄に際しては、パイプ部2121に設けられた貫通孔THから放出される洗浄液がパイプ部2121から完全に脱離して空中へと飛び出さないように洗浄液の圧力を低減し、パイプ部2121から放出される洗浄液の一部又は全部が貫通孔の開口部より垂れ落ちてパイプ部2121やヘッド部2122の表面を伝って流れ落ちるようにしてもよい。即ち、洗浄に際しては、反応槽10の洗浄を優先して相対的に高い圧力の洗浄液が給液管22から供給される高圧モードと、該高圧モードよりも低い圧力で洗浄液が給液管22から供給される低圧モードとを含む複数のモードで洗浄装置20が運転される洗浄方法が実施されてもよい。
【0143】
ここで低圧モードは上述の通り洗浄ノズルのパイプ部2121に設けられた貫通孔THから放出される洗浄液の少なくとも一部がパイプ部2121から完全に離脱して中空へ飛び出さないように吐出圧力を調整したモードとなる。高圧モードと低圧モードとはそれぞれ1回の洗浄工程において複数回ずつ実施されてもよい。
【0144】
上記の通り本実施形態の洗浄ノズルは、液体や粉粒体が留まり難いだけでなく、セルフクリーニング性に優れるため被洗浄体の洗浄後における清浄性が確保され易い。また、本実施形態の洗浄ノズル21は、セルフクリーニング性に優れるため洗浄後に反応槽10を利用して被処理物の処理を実施する場合に洗浄装置20を取り外したりしなくてもよく、被処理物の処理に要する手間を軽減することができる。
【0145】
上記のように本実施形態では、洗浄ノズル21に対する優れたセルフクリーニング性が発揮される。従って、本実施形態では、反応槽10の洗浄後における清浄性が確保され易い。本実施形態では、溶接材で構成される第1接続部や第2接続部での外周面(接続領域)が先端部に向けて縮径や拡径している態様を例示している。本実施形態の接続領域は、図8A図8Bに示すように第1中間領域AM1から接続領域(第1接続領域AC1)を通って第2中間領域AM2の端縁に達するまでの間が面一となるように形成されてもよい。この場合も第1中間領域AM1、接続領域(第1接続領域AC1)、及び、第2中間領域AM2の間を段差等の無い連続的なものとすることができるため、液体や粉粒体が留まり難く、セルフクリーニング性に優れる。
【0146】
尚、本実施形態では、上記のような反応槽10を例示しているが、反応槽は、上記例示のものとは構成等が異なっていてもよい。また、洗浄ノズルが用いて洗浄する被洗浄体は、反応槽でなくてもよい。上記においては洗浄ノズルとして固定式洗浄ノズルを例示しているが、本実施形態の洗浄ノズルは、図9に示すような回転体を有する回転式洗浄ノズルであってもよい。
【0147】
図9に例示の洗浄ノズル21は、前記ノズル本体部212が、前記固定部211から下方に延びるパイプ部2121と、該パイプ部2121の下方に設けられたヘッド部2122とを備える点や前記パイプ部2121を通じて前記ヘッド部2122に供給された洗浄液が該ヘッド部2122に設けられた貫通孔THから放出される点などについては上記例示の固定式洗浄ノズルと共通している。また、前記パイプ部2121が前記固定部211との相対位置が固定されている点においても上記例示の固定式洗浄ノズルと共通している。一方で、図9に例示の回転式洗浄ノズルは、前記ヘッド部2122が前記パイプ部2121の中心軸周りに回転するように構成され、ノズル本体部212の前記下端部が該ヘッド部2122を該下方から支持している。尚、ノズル本体部212の前記下端部に突出部212tが設けられていることは、図9に例示の洗浄ノズル21も図2図3に例示の固定式の洗浄ノズル21と同じである。
【0148】
図9に例示の洗浄ノズル21は、2つの中空状の回転体P1,P2がヘッド部2122の構成部材として用いられている。2つの回転体P1,P2は、洗浄ノズル21の外観において球体を上下に二分割したような形状を有している。そして、上流側(上側)の第1の回転体P1と下流側(下側)の第2の回転体P2とは、回転方向が異なる。
【0149】
第1の回転体P1と第2の回転体P2とは洗浄ノズル21の中心軸C21に沿った方向から見た際に、何れか一方が該中心軸C21の周りを時計回りに回転して、他方が中心軸C21の周りを反時計回りとなって回転するようになっている。
【0150】
第1の回転体P1と第2の回転体P2とは、貫通する方向が径方向に対して上下方向に傾斜した貫通孔THと、貫通する方向が径方向に対して左右に傾斜した貫通孔THとをそれぞれ有している。貫通する方向が径方向に対して左右に傾斜した貫通孔(以下、「横傾斜孔THY」ともいう)は、上下方向に傾斜した貫通孔(以下、「縦傾斜孔THT」ともいう)に比べて径大となっている。
【0151】
第1の回転体P1と第2の回転体P2とのそれぞれは、複数の横傾斜孔THYを有している。第1の回転体P1における横傾斜孔THYが傾斜する方向は左右の何れかに一方に統一されている。第2の回転体P2における横傾斜孔THYが傾斜する方向も左右の何れかに一方に統一されている。そして、第1の回転体P1での横傾斜孔THYと第2の回転体P2での横傾斜孔THYとでは、傾斜する方向が左右逆になっている。ここで例示している回転式洗浄ノズルは、該横傾斜孔THYから洗浄液を放出する際の反力を利用して2つの回転体P1,P2が互いに逆方向となるようになっている。
【0152】
第1の回転体P1と第2の回転体P2とのそれぞれは、複数の縦傾斜孔THTを有している。複数の縦傾斜孔THTは、第1の回転体P1と第2の回転体P2とのそれぞれにおいて縦に並んで設けられている。第1の回転体P1で最も上位に設けられた縦傾斜孔THTは第1の回転体P1の上端部に位置し、第1の回転体P1で最も下位に設けられた縦傾斜孔THTは第1の回転体P1の下端部に位置している。第2の回転体P2の縦傾斜孔THTも同様である。
【0153】
この洗浄ノズル21は、洗浄液の圧力が低下した場合、回転体P1,P2が回転速度を緩め、貫通孔THより放出された洗浄液の多くが回転体P1,P2の表面を伝って流れ落ち、第2の回転体P2の表面から突出部212tのテーパー面212ta1に流れ込んだ洗浄液が下端面212ta2に回り込んで滴下する。従って、本実施形態の洗浄ノズル21は、このような回転式であっても良好なセルフクリーニング性が発揮される。セルフクリーニング性を良好にするための突出部212tの具体的な形状については、固定式洗浄ノズルについて説明したのと同様である。
【0154】
本実施形態の洗浄ノズル21は、パイプ部2121に貫通孔THが設けられている。パイプ部に貫通孔が設けられていない場合、洗浄液の供給が止まると、ヘッド部の貫通孔から洗浄液が放出される際にパイプ部の内部が負圧となって洗浄液の放出がスムーズに行われなくなり得る。一方で本実施形態の洗浄ノズル21は、ヘッド部2122の貫通孔THから洗浄液がスムーズに放出される。洗浄液の供給停止時に内部の洗浄液が貫通孔THより放出され易くなって良好なセルフクリーニングが行われ得る点については洗浄ノズル21が固定式洗浄ノズルであっても回転式洗浄ノズルであっても共通する。また、回転体P1,P2に対しては、パイプ部2121に溜まった洗浄液による水頭圧を作用させることができるので回転が急停止されることを防止できる。その場合、洗浄液の供給が停止してから回転体P1,P2が停止するまでの周方向での移動距離が長くなるため貫通孔THから放出される洗浄液を広範囲に亘ってテーパー面212ta1に供給することができる。
【0155】
本実施形態では、横傾斜孔THYを洗浄液の直進性の高い貫通孔THとし、縦傾斜孔THTを横傾斜孔THYなどよりも直進性の低い(広がり易い)貫通孔THとすることで、洗浄液が通常通り供給されている状況においても該縦傾斜孔THTから放出される洗浄液を直接的に突出部212tに当てさせることも可能である。そのような場合は、更に高いセルフクリーニング性を期待することができる。
【0156】
このように本実施形態では、セルフクリーニング性を向上させるための種々の変更を洗浄ノズルに加えることができる。例えば、上記の回転式洗浄ノズルも本実施形態での洗浄ノズル21の限定的な例示に過ぎず、洗浄ノズルを回転式洗浄ノズルとする場合、2つの回転体が同方向に回転するものであってもよく、回転体が1つしかなく一方向にしか回転しないようなタイプのものであってもよい。回転式洗浄ノズルは、2次元回転ノズルであっても、3次元回転ノズルであってもよい。また、上記においては、鉛直方向に延びる第1容器ノズル10aに洗浄ノズル21を装着する態様を例示しているが、鉛直方向に対して斜め上方に延びる第3容器ノズル10cに洗浄ノズル21を設け、ノズル本体部212が固定部211から斜め下方に延びるように配置されてもよい。そのような態様も本発明が意図する範囲内のものである。さらには、第1容器ノズル10aと第3容器ノズル10cの両方に洗浄ノズル21を設けるような場合も本発明の意図する範囲内のものである。即ち、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
【0157】
上記のように本明細書は以下の開示を含む。
(1)
上部に開口部を備えた中空状の被洗浄体の内壁面を洗浄液で洗浄するために前記開口部に装着される洗浄ノズルであって、
前記被洗浄体の前記開口部に取付けられる固定部と、
該固定部から下方に延びる中空状のノズル本体部とを有し、
該ノズル本体部に複数の貫通孔が設けられ、
前記開口部を通じて前記被洗浄体の内部に挿入された前記ノズル本体部に前記洗浄液が供給され、該洗浄液が前記貫通孔を通じて放出されるように構成されており、
前記ノズル本体部の下端部には、円錐形状又は多角錐形状となって下方に突出した突出部が備えられている洗浄ノズル。
【0158】
(2)
前記突出部に前記貫通孔が設けられている(1)記載の洗浄ノズル。
【0159】
(3)
前記ノズル本体部が、
前記固定部から下方に延びるパイプ部と、
該パイプ部の下端部に設けられたヘッド部とを有し、
該ヘッド部に前記貫通孔が設けられ、
該ヘッド部が前記パイプ部に固定され、
前記被洗浄体の内部での前記貫通孔の位置を固定して前記洗浄に用いられる固定式洗浄ノズルである(1)又は(2)に記載の洗浄ノズル。
【0160】
(4)
前記ノズル本体部が、
前記固定部から下方に延びるパイプ部と、該パイプ部の下方に設けられたヘッド部とを有し、
前記下端部が該ヘッド部を下方から支持し、前記パイプ部に固定されており、
前記ヘッド部に前記貫通孔が設けられ、前記ヘッド部が前記パイプ部の中心軸周りに回転する回転式洗浄ノズルである(1)~(3)の何れかに記載の洗浄ノズル。
【0161】
(5)
前記突出部は、下端部の頂角が120度以上170度以下の円錐形状である(1)~(4)の何れかに記載の洗浄ノズル。
【0162】
(6)
最も下端側に位置する前記貫通孔から前記ノズル本体部の中心軸に向けて引いた垂線と該中心軸との交点から該ノズル本体部の最下端までの距離は、前記交点から前記貫通孔までの距離よりも短い(1)~(5)の何れかに記載の洗浄ノズル。
【符号の説明】
【0163】
10:反応槽、100:槽本体、100c:第1空間部、102:底壁部、103:周側壁部、104:天井壁部、110a:第1容器ノズル、110a1:第1ノズル筒状部、110a2:第1ノズルフランジ部、110ac:第2空間部、110a1s:(第1容器ノズルの)内壁面、110b:第2容器ノズル、110c:第3容器ノズル、
20:洗浄装置、21:洗浄ノズル、22:給液管
211:固定部、211a:基体、211b:カバー材
212:ノズル本体部、212t:突出部、212ta1:テーパー面、212ta2:下端面、2121:パイプ部、2122:ヘッド部
30:攪拌装置、31:攪拌翼、31a;攪拌軸、31b:攪拌部材、
AB1:基端領域、
AC1:第1接続領域(接続領域)、
AM1:第1中間領域(第1領域)
AM2:第2中間領域(第2領域)
AT1:先端領域
B1:基端部材
Cx0:(槽本体の)中心軸
Cx1:(第1容器ノズルの)中心軸
Cx2:(第2容器ノズルの)中心軸
Cx3:(第3容器ノズルの)中心軸
C21:(ノズル本体部の)中心軸
F:溶接材
T1:先端部材
TH:貫通孔、TH1:第1貫通孔、TH2:第2貫通孔、
XD:径方向
XL:長さ方向
θt:頂角
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9