(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134023
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】紙葉類処理方法、紙葉類処理装置、および紙葉類処理システム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/235 20190101AFI20240926BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20240926BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20240926BHJP
【FI】
G07D11/235
G07D11/16
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044099
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檀上 博史
(72)【発明者】
【氏名】土井 一宏
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141CA02
3E141CA13
3E141DA06
3E141FJ07
3E141FJ09
(57)【要約】
【課題】カール癖が付いた紙葉類を受け付けたときでも不具合を生じさせない紙葉類処理方法、紙葉類処理装置、および紙葉類処理システムを提供する。
【解決手段】本開示の紙葉類処理方法は、紙葉類の入金を受け付ける紙葉類処理装置に実行させる方法であって、外部の収納装置から前記紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得し、前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを報知するカール報知を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類処理装置に実行させる方法であって、
外部の収納装置から紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得し、
前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを報知するカール報知を行う、
紙葉類処理方法。
【請求項2】
前記判断情報に基づいて、前記収納装置における前記紙葉類の収納状態を判断する、
請求項1に記載の紙葉類処理方法。
【請求項3】
前記判断情報は、前記収納装置を識別する装置識別情報、および、前記紙葉類処理装置に対して前記紙葉類の入金を実行するユーザーを識別するユーザー識別情報、のうちの少なくともいずれかである、
請求項1または2に記載の紙葉類処理方法。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記装置識別情報が示す前記収納装置が特定の収納装置である場合に満たされる、
請求項3に記載の紙葉類処理方法。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記ユーザー識別情報が示す前記ユーザーが予め特定の収納装置に関連付けられている場合に満たされる、
請求項3または4に記載の紙葉類処理方法。
【請求項6】
前記判断情報は、前記収納装置が巻き取り式の収納庫に前記紙葉類を収納するか否かを示す収納庫情報、および、前記収納装置に収納されてから前記紙葉類処理装置に回収されるまでの時間に関する収納時間情報、をさらに含む、
請求項3に記載の紙葉類処理方法。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記収納庫が巻き取り式であることを前記収納庫情報が示す場合に満たされる、
請求項6に記載の紙葉類処理方法。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記収納庫が巻き取り式であることを前記収納庫情報が示しており、かつ、前記収納時間情報が示す時間が所定時間より長い場合に満たされる、
請求項6または7に記載の紙葉類処理方法。
【請求項9】
前記判断情報の取得において、前記紙葉類処理装置に対して前記紙葉類の入金を実行するユーザーによる前記判断情報の入力操作を受け付ける、
請求項1から8のいずれか一項に記載の紙葉類処理方法。
【請求項10】
前記判断情報を記憶する記憶部を有する搬送装置を用いて前記紙葉類の入金が行われるとき、前記判断情報の取得において、前記搬送装置から前記判断情報を受信する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の紙葉類処理方法。
【請求項11】
前記カール報知の後、前記紙葉類の入金を実行するユーザーによる所定の操作を受け付けた場合に、前記入金を受け付けた前記紙葉類を、前記紙葉類処理装置が有する収納部に搬送する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の紙葉類処理方法。
【請求項12】
前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記入金を受け付けた前記紙葉類を、前記紙葉類処理装置が有しており、収納された前記紙葉類を繰り出さない第1収納部に搬送し、
前記判断情報が所定の条件を満たさない場合に、前記入金を受け付けた前記紙葉類を、前記紙葉類処理装置が有しており、収納された前記紙葉類を繰り出し可能な第2収納部に搬送する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の紙葉類処理方法。
【請求項13】
前記入金を受け付けた前記紙葉類が収納される収納部に入金される前記紙葉類のうち、入金のための搬送中に斜行している前記紙葉類が所定枚数以上あった場合に、入金を中止するとともに、斜行していることを報知する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の紙葉類処理方法。
【請求項14】
外部の収納装置から紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得する取得部と、
報知部と、
前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを示すカール報知を前記報知部に行わせる制御部と、
を備える、紙葉類処理装置。
【請求項15】
紙葉類を収納する収納装置と、
前記収納装置が収納していた前記紙葉類の入金を受け付ける紙葉類処理装置と、
を備え、
前記紙葉類処理装置は、
前記収納装置から前記紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得する取得部と、
報知部と、
前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを示すカール報知を前記報知部に行わせる制御部と、
を備える、紙葉類処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類処理方法、紙葉類処理装置、および紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣、有価証券などの紙葉類を取り扱うことができる紙葉類処理装置が普及している。一方で、紙葉類を収納する収納庫として、紙葉類を一枚ずつテープなどに挟持しながら回転体であるドラムに巻き付けて収納する巻き取り式の収納庫がある。
【0003】
巻き取り式の収納庫に収納される紙葉類には、ドラムに巻き付けられることにより生じるカール癖が付くことがある。
【0004】
特許文献1には、紙幣のカール癖を防止するために、第1、第2の直線部分を有するテープ式収納部を設け、テープ式収納部の回転停止時に、2枚のテープの間に把持された紙幣が、第1または第2の直線部分に停止するようにテープの巻き取りを制御する紙葉類収納装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された紙葉類収納装置では、カール癖を防止するためのメカニズムを追加する必要があり、装置構成や制御が複雑になるとともに、製造コストが増大してしまう。一方で、カール癖が付いた紙葉類を紙葉類処理装置が取り扱うとき、カール癖に起因して様々な不具合が生じることがある。
【0007】
本開示は、カール癖が付いた紙葉類を受け付けたときに不具合を生じることを低減できる紙葉類処理方法、紙葉類処理装置、および紙葉類処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法は、紙葉類処理装置に実行させる方法であって、外部の収納装置から前記紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得し、前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを報知するカール報知を行う。
【0009】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記判断情報に基づいて、前記収納装置における前記紙葉類の収納状態を判断してもよい。
【0010】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記判断情報は、前記収納装置を識別する装置識別情報、および、前記紙葉類処理装置に対して前記紙葉類の入金を実行するユーザーを識別するユーザー識別情報、のうちの少なくともいずれかであってもよい。
【0011】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記所定の条件は、前記装置識別情報が示す前記収納装置が特定の収納装置である場合に満たされてもよい。
【0012】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記所定の条件は、前記ユーザー識別情報が示す前記ユーザーが予め特定の収納装置に関連付けられている場合に満たされてもよい。
【0013】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記判断情報は、前記収納装置が巻き取り式の収納庫に前記紙葉類を収納するか否かを示す収納庫情報、および、前記収納装置に収納されてから前記紙葉類処理装置に回収されるまでの時間に関する収納時間情報、をさらに含んでもよい。入金される紙葉類の1枚ごとに、判断情報が条件を満たすかどうかを判断してもよい。条件を満たす紙葉類は収納した紙葉類を繰り出さない第1収納部に搬送し、条件を満たさない紙葉類は収納した紙葉類を繰り出し可能な第2収納部に搬送してもよい。
【0014】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記所定の条件は、前記収納庫が巻き取り式であることを前記収納庫情報が示す場合に満たされてもよい。
【0015】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記所定の条件は、前記収納庫が巻き取り式であることを前記収納庫情報が示しており、かつ、前記収納時間情報が示す時間が所定時間より長い場合に満たされてもよい。
【0016】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法では、前記判断情報の取得において、前記紙葉類処理装置に対して前記紙葉類の入金を実行するユーザーによる前記判断情報の入力操作を受け付けてもよい。ユーザーにより入力される前記判断情報とカール状態とを紐づけて、予め記憶しておいてもよい。ユーザーにより入力される前記判断情報と、収納庫のタイプを紐づけて記憶しておいてもよい。所定のタイプの収納庫に該当する場合に、条件を満たすものとして、カール報知を実行してもよい。予め記憶している情報は、ユーザー操作により上書き可能であってもよい。入金動作中に、入金している紙葉類が収納されていた外部の収納装置の判断情報を上書きできてもよい。
【0017】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記判断情報を記憶する記憶部を有する搬送装置を用いて前記紙葉類の入金が行われるとき、前記判断情報の取得において、前記搬送装置から前記判断情報を受信してもよい。
【0018】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記カール報知の後、前記紙葉類の入金を実行するユーザーによる所定の操作を受け付けた場合に、前記入金を受け付けた前記紙葉類を、前記紙葉類処理装置が有する収納部に搬送してもよい。
【0019】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記入金を受け付けた前記紙葉類を、前記紙葉類処理装置が有しており、収納された前記紙葉類を繰り出さない第1収納部に搬送し、前記判断情報が所定の条件を満たさない場合に、前記入金を受け付けた前記紙葉類を、前記紙葉類処理装置が有しており、収納された前記紙葉類を繰り出し可能な第2収納部に搬送してもよい。
【0020】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記入金を受け付けた前記紙葉類が収納される収納部に入金される前記紙葉類のうち、入金ための搬送中に斜行している前記紙葉類が所定枚数以上あった場合に、入金中止するとともに、斜行していることを報知する斜行報知を行ってもよい。前記入金を受け付けた前記紙葉類が収納される収納部から出金される前記紙葉類のうち、出金のための搬送中に斜行している前記紙葉類が所定枚数以上あった場合に、出金を中止するとともに、斜行していることを報知してもよい。前記判断情報が所定の条件を満たさなかった場合に、前記斜行を判断して、入金又は出金の中止および斜行の報知をしてもよい。
【0021】
本開示の一態様に掛かる紙葉類処理装置は、外部の収納装置から前記紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得する取得部と、報知部と、前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを示すカール報知を前記報知部に行わせる制御部と、を備える。
【0022】
本開示の一態様に係る紙葉類処理システムは、紙葉類を収納する収納装置と、前記収納装置が収納していた前記紙葉類の入金を受け付ける紙葉類処理装置と、を備え、前記紙葉類処理装置は、前記収納装置から前記紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける前記紙葉類が収納されていた前記収納装置に係る判断情報を取得する取得部と、報知部と、前記判断情報が所定の条件を満たす場合に、前記紙葉類がカールしていることを示すカール報知を前記報知部に行わせる制御部と、を備える。
【0023】
本開示の一態様に係る紙葉類処理方法において、前記判断情報が前記所定の条件を満たさなかった場合、かつ、前記入金を受け付けた前記紙葉類が収納される収納部から出金される前記紙葉類のうち、出金のための搬送中に斜行している前記紙葉類が所定枚数以上あった場合に、斜行していた前記紙葉類が前記紙葉類処理装置に入金される前に収納されていた前記収納装置を、前記特定の収納装置に加えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、カール癖が付いた紙葉類を受け付けたときでも不具合を生じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】紙葉類処理装置の第1の動作例を説明するためのフローチャート
【
図5】紙葉類処理装置の第2の動作例を説明するためのフローチャート
【
図6】紙葉類処理装置の第3の動作例を説明するためのフローチャート
【
図7】紙葉類処理装置の第4の動作例を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
【0027】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態では、本開示に係る紙葉類処理装置10の構成の第1の例について説明する。
図1は、紙葉類処理装置10の構成の第1の例を示す図である。
【0028】
紙葉類処理装置10は、紙幣、有価証券などの紙葉類に対して種々の処理を実行する。紙葉類処理装置10が実行可能な処理の中には、紙葉類処理装置10が紙葉類の入金を受け付ける処理が含まれる。
【0029】
紙葉類処理装置10は、取得部11と、報知部12と、制御部13と、を備える。
【0030】
取得部11は、外部の収納装置20から紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける紙葉類が収納されていた収納装置20に係る収納状態を判断するための判断情報を取得する。より詳細には、判断情報は、紙葉類処理装置10が、収納装置における前記紙葉類の収納状態を判断するために用いる情報である。なお、
図1に示す例では、紙葉類処理装置10と収納装置20とを含むシステムが、紙葉類収納システム100として示されている。
【0031】
報知部12は、紙葉類処理装置10のユーザーに対して、種々の報知を行う。
【0032】
制御部13は、判断情報が所定の条件を満たす場合に、紙葉類がカールしていることを報知するカール報知を報知部12に行わせる。制御部13は、メモリに予め記憶されている対応するプログラムを展開して実行することにより、報知部12を含む各部を制御して、紙葉類収納システム100の機能及び動作を実現する。制御部13は、例えば、CPUなどのプロセッサまたはマイクロプロセッサである。
【0033】
図2は、紙葉類処理装置10の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
【0034】
ステップS1において、紙葉類処理装置10は、外部の収納装置20から紙葉類の入金を受け付けるとき、受け付ける紙葉類の収納装置20における収納状態を判断するための判断情報を取得する。
【0035】
ステップS2において、紙葉類処理装置10は、判断情報が所定の条件を満たす場合に、紙葉類がカールしていることを報知するカール報知を行う。カール報知に、紙葉類処理装置10に入金する前の紙葉類に対し、手で扱く、カールした方向と反対側に反らせる、などのカール低減措置をガイダンスするアニメーションなどの表示を含めてもよい。
【0036】
第1の実施の形態に係る紙葉類処理装置10によれば、判断情報に基づいて、外部の収納装置20から入金を受け付けた紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いと判断される場合に、紙葉類がカールしていることをユーザーに対して報知する。これにより、例えばユーザーが手などを用いてカール癖を伸ばすなどの対応を行うことができるので、紙葉類処理装置10における紙葉類の入金時に、カール癖が付いた紙葉類による不具合を防止することができる。
【0037】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態において取得部11が取得する判断情報、および、当該判断情報に基づいて判断される所定の条件について説明する。
【0038】
第2の実施の形態において、判断情報は、外部の収納装置20を識別する装置識別情報、および、紙葉類処理装置10に対して紙葉類の入金を実行するユーザーを識別するユーザー識別情報、のうちの少なくともいずれかである。
【0039】
装置識別情報は、紙葉類処理装置10に入金される紙葉類を収納していた収納装置20を識別する情報である。具体例を挙げると、装置識別情報には、収納装置20毎に予め付与されているIDに関する情報、収納装置20を製造した企業に関する情報、収納装置20のタイプを示す情報、などが含まれる。
【0040】
そして、判断情報が装置識別情報である場合、所定の条件は、装置識別情報が示す収納装置20が特定の収納装置20である場合に満たされる。具体例を挙げると、制御部13は、例えば収納装置20のIDが、予め設定されている特定の収納装置20を示す特定のIDと合致する場合に、所定の条件が満たされたと判断する。または、制御部13は、例えば収納装置20を製造した企業が、予め設定されている特定の企業ではない場合に、所定の条件が満たされたと判断する。または、制御部13は、例えば収納装置20のタイプが、収納する紙幣にカール癖が付きやすい特定のタイプである場合に、所定の条件が満たされたと判断する。
【0041】
例えばカール癖が付きやすい収納装置20を示すIDが予め特定のIDとして設定されているとき、制御部13は、装置識別情報に基づいて、入金される紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いことを精度よく判断できる。また、制御部13は、装置識別情報に基づいて、例えば特定の企業が製造した収納装置20であるときには、入金される紙葉類にカール癖が付いている可能性があると判断できる。また、制御部13は、収納する紙幣にカール癖が付きやすい特定のタイプの収納装置20から紙葉類が入金された場合には、装置識別情報に基づいて、入金される紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いことを精度よく判断できる。
【0042】
ユーザー識別情報は、紙葉類処理装置10に紙葉類の入金を実行しようとするユーザーを識別する情報である。具体例を挙げると、ユーザー識別情報には、ユーザー毎に予め付与されているIDに関する情報、ユーザーの職位または役割などを示す情報、等が含まれる。
【0043】
判断情報がユーザー識別情報である場合、所定の条件は、ユーザー識別情報が示すユーザーが予め特定の収納装置20に関連付けられている場合に満たされる。
【0044】
例えば収納装置20が複数あり、ユーザー毎に予め担当する収納装置20が設定されているとき、制御部13は、装置識別情報およびユーザー識別情報に基づいて、入金される紙葉類にカール癖が付いている可能性があるかを判断することができる。ユーザーが担当する収納装置20がカール癖の付きやすい収納装置20である場合に、入金される紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いことを精度よく判断できる。
【0045】
第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置10によれば、装置識別情報およびユーザー識別情報の少なくともいずれかを含む判断情報に基づいて、所定の条件が満たされるか否かの判断を行う。これにより、外部の収納装置20から入金を受け付けた紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いことを精度よく判断することができる。
【0046】
なお、第2の実施の形態では、紙葉類処理装置10の制御部13が、判断情報に基づいて所定の条件が満たされるか否かの判断を行う例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、判断情報に基づいて所定の条件が満たされるか否かの判断を、紙葉類処理装置10以外の他の構成が行ってもよい。この場合、紙葉類処理装置10は、他の構成が行った判断結果を受信し、当該判断結果に基づいて、カール報知を行う、または行わなければよい。
【0047】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、第1の実施の形態において取得部11が取得する判断情報、および、当該判断情報に基づいて判断される所定の条件について、第2の実施の形態に加えて採用される例について説明する。
【0048】
第3の実施の形態において、判断情報は、装置識別情報およびユーザー識別情報の少なくともいずれかに加えて、収納装置20が巻き取り式の収納庫に紙葉類を収納するか否かを示す収納庫情報、および、収納装置20に収納されてから紙葉類処理装置に回収されるまでの時間に関する収納時間情報、を含む。
【0049】
収納庫情報は、収納装置20が有する収納庫が、紙葉類を一枚ずつテープなどに挟持しながら回転体であるドラムに巻き付けて収納する巻き取り式の収納庫であるか否かを示す情報である。
【0050】
判断情報として収納庫情報が採用される場合、所定の条件は、収納庫が巻き取り式であることを収納庫情報が示す場合に満たされる。
【0051】
収納装置20が有する収納庫が巻き取り式である場合、その収納庫に収納されていた紙幣にはカール癖が付きやすい。このため、制御部13は、巻き取り式の収納庫を有する収納装置20から紙葉類が入金された場合に、入金される紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いことを精度よく判断できる。
【0052】
収納時間情報は、収納装置20に収納されてから紙葉類処理装置に回収されるまでの時間を示す情報である。巻き取り式の収納庫に紙葉類が収納された場合、収納されてからの時間が長い方が、時間が短い場合に比べて、紙葉類にカール癖が付きやすい。
【0053】
判断情報として収納時間情報が採用される場合、所定の条件は、収納庫が巻き取り式であることを収納庫情報が示しており、かつ、収納時間情報の示す時間が所定時間より長い場合に満たされる。
【0054】
第3の実施の形態に係る紙葉類処理装置10によれば、収納庫情報および収納時間情報を含む判断情報に基づいて、所定の条件が満たされるか否かの判断を行うことにより、外部の収納装置20から入金を受け付けた紙葉類にカール癖が付いている、またはその可能性が高いことを精度よく判断することができる。
【0055】
なお、第3の実施の形態においても、判断情報に基づいて所定の条件が満たされるか否かの判断を、紙葉類処理装置10以外の他の構成が行ってもよい。この場合、紙葉類処理装置10は、他の構成が行った判断結果を受信し、当該判断結果に基づいて、カール報知を行う、または行わなければよい。
【0056】
上述した第3の実施の形態において、判断情報としての収納庫情報は、収納装置20が巻き取り式の収納庫に紙葉類を収納するか否かを示す情報だけでなく、巻き取り式の収納庫のどの位置に収納されていた紙葉類であるかを示す情報を、さらに含んでいてもよい。巻き取り式の収納庫では、最初に収納された紙葉類が最もドラムに近い奥側に収納され、収納される数が増えるに従って、次第にドラムから遠い手前側に収納される。ドラムに近い奥側に収納される紙葉類の方が、よりカール癖が付きやすいと言える。このため、巻き取り式の収納庫のどの位置に収納されていた紙葉類であるかを示す情報に基づいて、巻き取り式の収納庫の最奥側からn枚目までに収納されていた紙葉類は、カール癖が付いている可能性が高い、と判断することができる。また、巻き取り式の収納庫の最奥側からn+1枚目以降に収納されていた紙葉類は、カール癖が付いている可能性が低い、と判断することができる。
【0057】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、本開示に係る紙葉類処理装置10の構成について、第1の実施の形態より詳細な第2の例について説明する。
図3は、紙葉類処理装置10の構成の第2の例を示す図である。
図4は、紙葉類処理装置10の一部の外観を示す斜視図である。以下において、前後方向、左右方向、および上下方向などの方向を用いて説明する際には、
図4に示すように、紙葉類処理装置10に対して正対する人物にとっての前後方向、左右方向、および上下方向を採用する。
【0058】
紙葉類処理装置10は、下部筐体14と、上部筐体15と、を備える。
【0059】
上部筐体15は、下部筐体14の上に配置される。上部筐体15には、紙葉類処理装置10の表示および操作に用いられる表示操作部16が設けられている。表示操作部16は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイにタッチパネルが重ねられて構成されている。なお、上部筐体15は、表示操作部16以外に、ハードウェアとしての操作デバイス、すなわちキーボード、マウス、トラックボール、各種ボタン、各種キー類を有していてもよい。
【0060】
表示操作部16は、
図1に示す報知部12の一例である。すなわち、報知部12は、表示操作部16に種々の表示を行うことにより、報知を実行する。なお、報知部12は表示操作部16に限られるものではなく、例えば図示しないスピーカー、またはアラームランプなどであってもよい。この場合、報知部12は、音声、またはアラームランプの発光などによって報知を実行する。
【0061】
上部筐体15には、入金口151および出金口152が設けられている。
図4に示す例では、入金口151は、出金口152より後ろ側に設けられている。
【0062】
また、上部筐体15には、後述のカセット装着部52を構成する装着口153が設けられている。
図4に示す例では、装着口153は、出金口152の後ろ側に設けられている。装着口153には開閉可能な蓋が設けられており、
図4に示す例では、蓋が閉じられた状態が示されている。蓋が開かれた装着口153には、収納カセット200が装着される。
【0063】
収納カセット200は、紙葉類を収納した状態でユーザーが持ち運ぶことができるカセットである。収納カセット200は、例えばインターフェースカセットなどとも呼ばれる搬送装置である。収納カセット200は、紙葉類処理装置10などの特定の装置に装着されているときには、当該特定の装置との間で紙葉類を授受することができ、特定の装置から離脱しているときには、内部の紙葉類を取り出せないように設計されている。
【0064】
収納カセット200は、少なくとも、紙葉類を収納する収納庫と、収納した紙葉類を排出するための排出部と、を有している。なお、本第4の実施の形態において、収納カセット200の収納庫は、巻き取り式の収納庫である。
【0065】
次に、紙葉類処理装置10の内部構成について説明する。
図3に示すように、紙葉類処理装置10は、入金部51と、カセット装着部52と、カセット処理部53と、出金部54と、識別部55と、リサイクル部56と、回収部57と、一時保留部60と、紙葉類搬送機構61と、取得部11と、制御部13と、記憶部62と、を備える。
【0066】
入金部51、カセット装着部52、カセット処理部53、出金部54、識別部55、一時保留部60、取得部11、および制御部13は、上部筐体15に設けられている。リサイクル部56および回収部57は、下部筐体14に設けられている。なお、取得部11および制御部13は、下部筐体14に設けられていてもよい。
【0067】
紙葉類搬送機構61は、下部筐体14と上部筐体15との間で紙葉類Sを搬送できるように構成されている。紙葉類搬送機構61は、例えば、少なくとも一対のローラまたは少なくとも一つのローラ上に案内されたエンドレスベルトと、これらを駆動させるためのモーターと、を有する。
【0068】
入金部51は、入金口151を介してユーザーの手作業により投入された複数枚の紙葉類Sを重ねた状態で集積し、集積した複数枚の紙葉類Sを1枚ずつ取り込む。
【0069】
カセット装着部52は、装着口153に挿入された収納カセット200の装着を受け付ける。カセット装着部52に収納カセット200が装着されると、カセット装着部52のコネクタと収納カセット200のコネクタとが接続される。これにより、取得部11が収納カセット200に設けられたメモリにアクセス可能になり、制御部13が収納カセット200を制御できるようになる。
【0070】
カセット処理部53は、カセット装着部52に装着された収納カセット200から取り出された紙葉類Sを紙葉類搬送機構61に繰り出す。
【0071】
出金部54は、紙葉類搬送機構61から搬送される紙葉類Sを出金口152に集積する。
【0072】
識別部55は、紙葉類搬送機構61によって搬送される紙葉類Sの金種、真偽、正損を示す信号を生成する。これらの信号は制御部13に送信される。識別部55は、搬送中の紙葉類Sの姿勢、サイズ、紙葉類S間の間隔を検出するための信号を生成し、制御部13に送信してもよい。
【0073】
リサイクル部56および回収部57は、紙葉類Sを1枚ずつ受け入れて収納する。リサイクル部56は、制御部13の制御に基づいて、収納した紙葉類Sを繰り出すことができる。一方、回収部57は、制御部13の制御による紙葉類Sの繰り出しができないように設定されている。本明細書では、制御部による繰り出しができないように紙葉類を収納することを、回収する、と記載している。リサイクル部56および回収部57は、本第1の実施の形態において、本開示の受入機構の一例である。
【0074】
リサイクル部56は、例えば複数の収納庫を有する。本第4の実施の形態において、リサイクル部56が有する複数の収納庫は、それぞれ、紙葉類Sを重ねて収納するスタック式収納部である。リサイクル部56が有する複数の収納庫は、紙葉類Sを1枚ずつ取り込んで収納し、制御部13の制御により、収納した紙葉類を1枚ずつ繰り出すことができる。複数の収納庫にそれぞれ収納される金種が、予め設定されていてもよい。
【0075】
図3に示す例では、リサイクル部56は、4個の収納庫を有しているが、これは一例であり、収納庫の数は3個未満、または5個以上であってもよい。
【0076】
一時保留部60は、例えば、入金処理の際、紙葉類Sを一時的に収納する。
【0077】
紙葉類搬送機構61は、入金部51、カセット処理部53、出金部54、リサイクル部56、回収部57、および一時保留部60の間で、紙葉類の搬送を行う。紙葉類搬送機構61は、例えば紙葉類処理装置10内部の各所に配置されたプーリー、およびプーリーに掛け回されたベルトなどによって構成される。
【0078】
紙葉類搬送機構61の途中には、識別部55が設けられている。
【0079】
取得部11は、紙葉類処理装置10の入金動作において、第1~第3の実施の形態で説明した各種の判断情報を取得する。
【0080】
制御部13は、紙葉類処理装置10全体を制御する。制御部13は、プロセッサ、またはマイクロコンピュータである。制御部13は、例えば、記憶部62などのメモリに予め記憶されている対応するプログラムを展開して実行することにより、各部を制御して、紙葉類処理装置10全体の機能及び動作を実現する。
【0081】
記憶部62は、取得部11が取得した判断情報を含む、紙葉類処理装置10の各種動作に必要な種々の情報などを記憶する。制御部13は、紙葉類処理装置10の動作に応じて、記憶部62から必要な情報を読み出して使用する。
【0082】
第4の実施の形態において、紙葉類処理装置10は、例えば小売店、銀行、役所、または駅など、各種の紙葉類が取り扱われる施設に設置されることが想定されている。紙葉類処理装置10は、例えば施設のオフィスに設置されており、施設の従業員などのユーザーが、施設の他の位置に設置された収納装置から、紙葉類を紙葉類処理装置まで運んできて入金する。または、ユーザーは紙葉類処理装置から紙葉類を出金して、他の収納装置に補充する。
【0083】
紙葉類処理装置10の使用形態について、より詳細な具体例を説明する。紙葉類処理装置10は、小売店の店舗のオフィスに設置されている。一方で、店舗の売り場には、店舗の顧客が商品購入の代金を支払うレジ装置が複数設置されている。レジ装置は本開示の収納装置の一例であり、レジ装置には売上および釣銭払い出し用の紙幣が複数枚収納されている。
【0084】
例えば営業時間終了後など、当日の売上を回収するため、店舗の責任者などのユーザーは、各レジ装置から紙幣を取り出し、オフィスの紙葉類処理装置10に紙幣を入金する。各レジ装置から紙葉類処理装置10まで紙幣を運搬する方法としては、ユーザーが手で、またはカバンなどに入れて運搬する方法と、例えば、上述した収納カセット200(
図3参照)などの搬送装置を使って運搬する方法と、が挙げられる。
【0085】
収納カセット200を使用する場合、ユーザーは、各レジ装置に装着した収納カセット200に紙幣を収納させた後、収納カセット200を取り外して運搬し、紙葉類処理装置10に収納カセット200を装着した上で、収納カセット200から紙葉類処理装置10への紙幣の入金を行わせる。なお、収納カセット200を各レジ装置に装着したとき、各レジ装置から、収納カセット200が有するメモリに、第1~第3の実施の形態で説明した各種の判断情報が格納されてもよい。
【0086】
また、営業時間の開始前など、各レジ装置に釣銭払い出し用の紙幣を補充するため、ユーザーは、紙葉類処理装置10から紙幣を出金して各レジ装置に入金する。この場合も、紙幣の運搬方法については、上記と同様に、ユーザーが手またはカバンなどを用いて運搬する方法、または収納カセット200を使って運搬する方法、のいずれかが採用されればよい。
【0087】
なお、本開示に係る紙葉類処理装置10において、運搬方法として、ユーザーが手またはカバンなどを用いて運搬する方法、または収納カセット200を使って運搬する方法、のいずれかのみが採用されてもよい。ユーザーが手またはカバンなどを用いて運搬する方法のみが採用される場合、紙葉類処理装置10は、
図3に例示したカセット装着部52およびカセット処理部53を有していなくてもよい。また、収納カセット200を使って運搬する方法のみが採用される場合、紙葉類処理装置10は、
図4に例示した入金口151および
図3に例示した入金部51を有していなくてもよい。
【0088】
[入金動作]
第4の実施の形態に係る、紙葉類処理装置10の第2の動作例を説明する。
図5は、紙葉類処理装置10の第2の動作例を説明するためのフローチャートである。紙葉類処理装置10の第2の動作例は、ユーザーが紙葉類処理装置10に紙葉類を入金する動作である。
【0089】
ステップS11において、紙葉類処理装置10は、表示操作部16を介したユーザーの入金開始操作を受け付ける。入金開始操作は、例えば、表示操作部16に表示された選択肢のうち、入金開始する選択肢をユーザーが選択する操作である。
【0090】
また、ステップS11における入金開始操作は、第1~第3の実施の形態で説明した各種の判断情報をユーザーが入力する操作を含んでもよい。判断情報の入力操作は、例えば、表示操作部16に表示された選択肢のうち、該当する判断情報をユーザーが選択する操作、または、表示操作部16に表示されたソフトウェアキーボード、もしくはハードウェアとしてのキーボードを用いてユーザーが判断情報を示す文字列を入力する操作、の少なくともいずれかである。
【0091】
ステップS12において、紙葉類処理装置10の取得部11は、判断情報を取得する。取得部11は、ステップS11における判断情報の入力操作に基づいて、判断情報を取得する。
【0092】
ステップS13において、紙葉類処理装置10の制御部13は、第1から第3の実施の形態にて説明した各種の所定の条件が満たされるか否かを判断する。ステップS13で所定の条件が満たされると判断した場合(ステップS13:YES)、処理はステップS14に進み、そうでない場合(ステップS13:NO)、処理はステップS16に進む。
【0093】
ステップS14において、制御部13は、報知部12の一例である表示操作部16に、カール報知を実行させる。カール報知とは、例えば、表示操作部16に「!カールした紙幣が入金されている可能性があります!」、または「!カールした紙幣が入金されています!」などのメッセージ、およびユーザーの注目を集めやすい図形や図案などを表示させることである。カール報知の他の例として、報知部12がスピーカーである場合、報知部12は、音声メッセージやアラーム音を発することにより報知を実行してもよい。また、報知部12がアラームランプである場合、報知部12は、アラームランプの点灯、または点滅などによって報知を実行してもよい。報知部12は、上述した例のいずれか1つでなく、複数または全てを用いて報知を実行してもよい。また、カール報知には、カールを低減するようにユーザーに促すメッセージなどが含まれていてもよい。
【0094】
判断情報に紐付けて予め紙葉類がカールする度合いを示す度合い情報が予め記憶部62に記憶されており、カールする度合いがある程度以上であることが判断された場合には、カール報知の際に、カールを低減する措置をユーザーに促すようにしてもよい。
【0095】
ステップS14のカール報知により、ユーザーが手またはカバンを用いて紙葉類を運搬してきた場合、ユーザーは、紙葉類処理装置10に入金する前の紙葉類に対し、手で扱く、カールした方向と反対側に反らせる、などのカール低減措置を行うことにより、カール癖を取り除く努力をすることができる。なお、表示操作部16におけるカール報知が、紙葉類処理装置10に入金する前の紙葉類に対し、手で扱く、カールした方向と反対側に反らせる、などのカール低減措置をガイダンスするアニメーションなどの表示を含んでいてもよい。
【0096】
ステップS15において、紙葉類処理装置10は、入金再開操作を受け付けたか否かを判断する。入金再開操作とは、カール報知を止め、入金を再開するための操作である。具体的には、入金再開操作は、表示操作部16に表示された選択肢のうち、入金を再開する選択肢をユーザーが選択する操作である。例えば、カール報知が表示されている場合に、表示操作部16に表示された「OK」ボタンが押下または選択されたことに応じて、入金を再開する選択肢を選択する操作がされたと判断してもよい。
【0097】
ステップS15で入金再開操作を受け付けたと判断した場合(ステップS15:YES)、処理はステップS16に進み、そうでない場合(ステップS15:NO)、入金再開操作が受け付けられるまで、ステップS15の処理が繰り返される。
【0098】
ステップS16において、紙葉類処理装置10の入金部51は、入金口151を介して、紙葉類の入金を受け付ける。
【0099】
ステップS17において、制御部13は、紙葉類搬送機構61を制御して、入金された紙葉類を、リサイクル部56に搬送させる。これにより紙葉類(ユーザーによりカール低減措置が行われた紙葉類を含む)が、制御部13の制御による繰り出しが可能なリサイクル部56に収納される。
【0100】
なお、ステップS17で入金された紙葉類をリサイクル部56に搬送するときに、識別部55により紙葉類が斜行している状態を検出した場合は、斜行している紙葉類を回収部57に搬送してもよい。斜行紙幣は、一時保留部60に収納し、入金処理完了後に回収部57に搬送してもよい。斜行状態が所定枚数以上検知された場合には、入金処理を中断してもよい。
【0101】
ステップS18において、制御部13は、リサイクル部56に収納された紙葉類毎に、当該紙葉類と対応する判断情報を記憶部62に記憶しておく。具体的には、リサイクル部56にn番目に収納された紙葉類が、Bという収納装置から入金されたものである場合、記憶部62には、リサイクル部56にn番目に収納された紙葉類が、Bという収納装置から入金されたものであることを示す情報が記憶される。
【0102】
ステップS13で所定の条件が満たされなかった場合、すなわち入金される紙葉類にカール癖が付いていない可能性が高い場合、ステップS14のカール報知、およびステップS15の入金再開操作の有無の判断を行わずに、処理はステップS16に進む。
【0103】
以上説明したように、紙葉類処理装置10の入金動作において、判断情報が所定の条件を満たす場合、報知部12によるカール報知が行われると共に、入金された紙葉類は回収部57に搬送されて収納される。
【0104】
このように、判断情報が所定の条件を満たす場合のみカール報知が行われるので、入金される紙葉類がカールしていないにもかかわらずカール報知が行われることを防止できる。これにより、入金動作における、不必要なカール報知への対応などに起因する、余分な時間や労力を減らすことができる。
【0105】
判断情報が装置識別情報を含む場合、上述したように、収納装置が特定の収納装置である場合に所定の条件が満たされる。特定の収納装置とは、例えば、年式が古い収納装置や、特定の企業が製造する収納装置、特定の機種の収納装置などである。
【0106】
なお、判断情報がユーザー識別情報を含む場合、上述したように、ユーザーが特定のユーザーである場合に所定の条件が満たされる。例えば店舗によっては、レジ装置(収納装置)毎に紙葉類の回収および補充を行う担当者が決まっていることがある。この場合、紙葉類処理装置10は、カール癖が付きやすい収納装置を担当するユーザーが特定のユーザーに設定される。これにより、特定のユーザーに対しては毎回カール報知が行われ、そうでない収納装置を担当するユーザーに対しては、他の条件が満たされない限りカール報知が行われない。これにより、ユーザーに掛かる余分な時間や労力を減らすことができる。
【0107】
[収納カセットを介した入金動作]
第4の実施の形態に係る、紙葉類処理装置10の第3の動作例を説明する。
図6は、紙葉類処理装置10の第3の動作例を説明するためのフローチャートである。紙葉類処理装置10の第3の動作例は、収納カセット200を介して、紙葉類処理装置10に紙葉類を入金する動作である。
【0108】
ステップS21において、紙葉類処理装置10は、表示操作部16を介したユーザーの入金開始操作を受け付ける。入金開始操作は、例えば、表示操作部16に表示された選択肢のうち、収納カセット200から入金を開始する選択肢をユーザーが選択する操作である。なお、紙葉類処理装置10は、収納カセット200がカセット装着部52に装着されたことに応じて、入金開始操作を判断してもよい。
【0109】
収納装置から紙葉類処理装置10への紙葉類の運搬に収納カセット200が使用される場合、ユーザーによる判断情報の入力操作が行われなくてもよいし、確認のためユーザーによる判断情報の入力操作が必ず行われるようにしてもよい。
【0110】
ステップS22において、紙葉類処理装置10の取得部11は、判断情報を取得する。取得部11は、表示操作部16を介したユーザーの入力操作に基づいて判断情報を取得してもよいし、収納カセット200に設けられたメモリから、判断情報を取得してもよい。
【0111】
ステップS23において、紙葉類処理装置10の制御部13は、第1から第3の実施の形態にて説明した各種の所定の条件が満たされるか否かを判断する。ステップS13で所定の条件が満たされると判断した場合(ステップS23:YES)、処理はステップS24に進み、そうでない場合(ステップS23:NO)、処理はステップS27に進む。
【0112】
ステップS23で所定の条件が満たされると判断したとき、ステップS24において、紙葉類処理装置10のカセット処理部53は、収納カセット200からカセット装着部52を介して、紙葉類の入金を受け付ける。
【0113】
ステップS25において、制御部13は、紙葉類搬送機構61を制御して、入金された紙葉類を、回収部57に搬送させる。これにより、ステップS23で所定の条件が満たされる、すなわちカール癖が付いている可能性が高いと判断された紙葉類が、制御部13の制御による繰り出しができない回収部57に収納される。
【0114】
ステップS26において、制御部13は、回収部57に収納された紙葉類毎に、当該紙葉類と対応する判断情報を記憶部62に記憶しておく。
【0115】
判断情報として、第1~第3の実施の形態で説明した装置識別情報、ユーザー識別情報、収納庫情報、収納時間情報に加えて、収納カセット200を使った運搬時間を示す運搬時間情報が含まれてもよい。上述したように、収納カセット200は巻き取り式の収納庫を採用しているため、長時間収納されている紙葉類には、カール癖が付きやすい。収納カセット200は、収納を開始してから紙葉類処理装置10へ入金されるまでの時間を計測し、運搬時間情報として紙葉類処理装置10へ送信し、紙葉類処理装置10は、当該運搬時間情報が所定の条件(例えば、運搬時間が所定時間以上)を満たすか否かの判断を行えばよい。
【0116】
さらに、収納装置が有する収納庫に収納される際に紙葉類がカールする方向と、収納カセット200の収納庫に収納される際に紙葉類がカールする方向と、に関するカール方向情報が判断情報に含まれてもよい。例えば収納装置が有する収納庫に収納される際に紙葉類がカールする方向と、収納カセット200の収納庫に収納される際に紙葉類がカールする方向とが反対であった場合、収納カセット200に収納されていた時間によっては、カール癖が低減されることがある。このため、運搬時間情報およびカール方向情報が判断情報に含まれることにより、紙葉類処理装置10は、より精度が高い判断を行うことができる。
【0117】
ステップS23で所定の条件が満たされないと判断したとき、ステップS27において、紙葉類処理装置10のカセット処理部53は、収納カセット200からカセット装着部52を介して、紙葉類の入金を受け付ける。
【0118】
ステップS28において、制御部13は、紙葉類搬送機構61を制御して、入金された紙葉類を、リサイクル部56に搬送させる。これにより、ステップS23で所定の条件が満たされない、すなわちカール癖が付いている可能性が低いと判断された紙葉類は、繰り出し可能なリサイクル部56に収納される。
【0119】
ステップS29において、制御部13は、ステップS26と同様に、回収部57に収納された紙葉類毎に、当該紙葉類と対応する判断情報を記憶部62に記憶しておく。
【0120】
図6に示す紙葉類処理装置10の第3の動作例において、収納カセット200から紙葉類処理装置10に入金される場合、紙葉類処理装置10は、紙葉類1枚毎に搬送先を判断してもよい。この場合、カールが付いていると判断された紙葉類は、回収部57に搬送して収納され、カールが付いている可能性が低いと判断された紙葉類は、リサイクル部56に収納される。
【0121】
なお、
図6のステップS27において、入金された紙葉類をリサイクル部56に搬送するときに、識別部55により紙葉類が斜行している状態を検出した場合は、斜行している紙葉類を回収部57に搬送してもよい。斜行紙幣は、一時保留部60に収納し、入金処理完了後に回収部57に搬送してもよい。斜行状態が所定枚数以上検知された場合には、入金処理を中断してもよい。
【0122】
仮に、カールした紙葉類が制御部13の制御によって繰り出し可能なリサイクル部56に収納されたとすると、出金動作において当該リサイクル部56から出金部54などまで搬送される際、斜行などの搬送不良が発生しやすい。ステップS28で、カールした紙幣を入金動作時に回収部57に収納することにより、出金動作時における搬送不良を未然に防止できる。
【0123】
図6に示す紙葉類処理装置10の第3の動作例において、
図5に示す紙葉類処理装置10の第2の動作例の場合と同様に、カール報知を実行してもよい。この場合、ユーザーが手などで紙葉類のカール癖を低減する措置はできないため、カール報知は、例えば、カールの可能性があるため、回収部57に搬送する旨の報知を含んでもよい。
【0124】
第2の動作例および第3の動作例で説明した入金動作において、入金する紙葉類をリサイクル部56に搬送させる指示を含む強制搬送指示操作を、表示操作部16が受付可能であってもよい。表示操作部16が強制搬送指示操作を受け付けた場合、制御部13は、入金された紙葉類が所定の条件を満たすか否かにかかわらず、リサイクル部56に搬送してもよい。
【0125】
また、入金動作において、所定の条件が満たされると制御部13が判断した場合、紙葉類処理装置10に取得された判断情報を上書きする判断情報上書き操作を、表示操作部16が受付可能であってもよい。例えば、その紙葉類を収納していた収納装置Aにおいてカール癖を低減するための対策が行われた場合に、当該収納装置Aが特定の収納装置に該当しないことを示すように上書きできてもよい。表示操作部16が判断情報上書き操作を受け付けた場合、紙葉類処理装置10は、取得部11が取得した判断情報において、収納装置Aが特定の収納装置に該当しないように上書きを行えばよい。
【0126】
さらに、入金動作において、カール報知を行うか否か自体を、ユーザーが選択する報知是非操作を、表示操作部16が受付可能であってもよい。
【0127】
強制搬送指示操作、判断情報上書き操作、または報知是非操作は、例えばユーザー識別情報が示す、ユーザーの役職によっては不可能であってもよい。具体的には、例えばユーザーが店舗マネージャーであることがユーザー識別情報から特定された場合には、表示操作部16に強制搬送指示操作、判断情報上書き操作、または報知是非操作を受け付ける選択肢を表示する。一方で、ユーザーが単なるキャッシャーである場合にはこのような選択肢を表示しないようにしてもよい。
【0128】
[出金動作]
次に、第4の実施の形態に係る、紙葉類処理装置10の第4の動作例を説明する。
図7は、紙葉類処理装置10の第4の動作例を説明するためのフローチャートである。紙葉類処理装置10の第4の動作例は、紙葉類処理装置10への紙葉類の出金動作の例である。
【0129】
ステップS31において、紙葉類処理装置10は、表示操作部16を介したユーザーの出金開始操作を受け付ける。出金開始操作は、例えば、表示操作部16に表示された選択肢のうち、出金開始する選択肢をユーザーが選択する操作である。また、出金開始操作は、出金する紙葉類の金種、および枚数を指定する操作を含んでいてもよい。
【0130】
ステップS32において、制御部13は、出金する紙葉類をリサイクル部56から繰り出させ、紙葉類搬送機構61により搬送させる。
【0131】
ステップS33において、制御部13は、搬送中の紙葉類において、所定枚数以上の斜行が発生したか否かを判断する。この判断は、例えば紙葉類搬送機構61に設けられているセンサなどから得られる紙葉類の位置情報や姿勢情報などに基づいて行われればよい。ステップS33で、所定枚数以上の斜行が発生したと判断した場合(ステップS33:YES)、処理はステップS34に進み、そうでない場合(ステップS33:NO)、処理はステップS39に進む。
【0132】
ステップS34において、制御部13は、紙葉類の搬送を中止させる。これにより、斜行した紙葉類は、紙葉類搬送機構61に残った状態となる。
【0133】
ステップS35において、制御部13は、報知部12に斜行報知を実行させる。斜行報知とは、例えば、表示操作部16に「!斜行が発生しています!」などのメッセージ、およびユーザーの注目を集めやすい図形や図案などを表示させることである。カール報知の場合と同様に、報知部12がスピーカーまたはアラームランプである場合、音声メッセージ、アラーム音、ランプ点灯または点滅などによって斜行報知が行われてもよい。
【0134】
この斜行報知により、出金処理のユーザーは、搬送途中に斜行が発生したことを認識することができる。この場合、ユーザーは、例えば紙葉類処理装置10のメンテナンスドアなどから上部筐体15または下部筐体14内の紙葉類搬送機構61にアクセスし、斜行した紙葉類を取り出す、または斜行した紙葉類の姿勢を直す、などの措置を行うことができる。
【0135】
ステップS36において、制御部13は、斜行した紙葉類が入金動作の前に収納されていた収納装置に対応する装置識別情報を、特定の収納装置であるように上書きする。
【0136】
ステップS36の処理について詳細に説明する。上述したように、入金動作において、リサイクル部56または回収部57に収納された紙葉類が、それぞれどの収納装置から入金されたものであるのかを示す情報が、記憶部62に記憶されている。従って、制御部13は、所定枚数以上の斜行が発生した場合、斜行した紙葉類がどの収納装置から入金されたものであるか、を把握することができる。
【0137】
出金搬送中に斜行が検知された紙葉類には、カール癖が付いているなど、何らかの不具合があることが想定される。このため、ステップS36の処理において、斜行した紙葉類が紙葉類処理装置10に入金される前に収納されていた収納装置Bがカールが発生する可能性のある特定の収納装置に該当するものであるように、記憶部62に記憶されている判断情報を上書きすることによって、以降の入金動作では、収納装置Bから入金される場合に所定の条件を満たすようにすることができる。これにより、収納装置Bから入金された紙葉類が、それ以上斜行などの不具合を発生させる事態を防止できる。
【0138】
なお、流通する紙葉類の品質が高くなく、カール癖以外に斜行の原因が考えられる環境に紙葉類処理装置10が設置される場合などには、ステップS36の処理を実行しないように設定可能であってもよい。このような設定は、例えば特定の役職のユーザーによってのみ行うことができる。
【0139】
出金動作の説明に戻る。ステップS37において、紙葉類処理装置10は、出金再開操作を受け付けたか否かを判断する。出金再開操作とは、カール報知を止め、出金を再開するための操作である。具体的には、出金再開操作は、表示操作部16に表示された選択肢のうち、出金を再開する選択肢をユーザーが選択する操作である。ユーザーは、例えば斜行を直す措置を実行した後に、出金再開操作を行えばよい。
【0140】
ステップS37で出金再開操作を受け付けたと判断した場合(ステップS37:YES)、処理はステップS38に進み、そうでない場合(ステップS37:NO)、出金再開操作が受け付けられるまで、ステップS37の処理が繰り返される。
【0141】
ステップS38において、紙葉類処理装置10は、出金動作の対象となる紙葉類の搬送を実行する。
【0142】
ステップS39において、紙葉類処理装置10は、出金動作の対象となる全ての紙葉類が出金部54まで搬送されたか否かを判断する。全ての紙葉類の搬送が完了したと判断した場合(ステップS39:YES)、出金動作は終了し、そうでない場合(ステップS39:NO)、処理はステップS38に戻る。これにより、全ての紙葉類の搬送が完了するまで搬送が行われる。
【0143】
以上説明したように、紙葉類処理装置10の出金動作において、所定枚数以上の斜行が発生した場合、斜行報知を実行すると共に、斜行した紙葉類が以前に収納されていた収納装置を特定の収納装置とするように、記憶部62に記憶された判断情報を上書きする。
【0144】
これにより、斜行に起因するさらなる不具合を防止することができると共に、以降の入金処理において、紙葉類処理装置10は、斜行した紙葉類が以前に収納されていた収納装置から紙葉類が入金される場合に所定の条件を満たすと判断できるようになる。このような出金動作および入金動作を繰り返すことにより、記憶部62に記憶される判断情報を随時更新することができ、判断情報に基づく、所定の条件を満たすか否かの判断の精度を向上させることができる。
【0145】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態では、第1から第4の実施の形態にて説明した紙葉類処理装置10を含む紙葉類収納システム100について説明する。
【0146】
図8は、紙葉類収納システム100の構成の一例を示す図である。
図8に示すように、紙葉類収納システム100は、紙葉類処理装置10と、収納装置20と、管理装置30と、を備える。
図8に示す例では、紙葉類処理装置10と、収納装置20と、管理装置30とは、インターネットや施設内LAN(Local Area Network)などにより、互いに通信可能に接続されている。
【0147】
収納装置20は、紙葉類を収納する装置である。上述した第1~第4の実施の形態にて説明したように、収納装置20からユーザーにより回収された紙葉類が、入金動作において紙葉類処理装置10へ入金される。また、出金動作において紙葉類処理装置10から出金された紙葉類が、収納装置20へ補充される。
【0148】
管理装置30は、紙葉類処理装置10および収納装置20と通信可能に接続されており、紙葉類処理装置10および収納装置20の動作をそれぞれ管理する。上述した第1~第4の実施の形態においては、紙葉類処理装置10の制御部13が紙葉類処理装置10の全体動作を制御していたが、本第5の実施の形態では、管理装置30が制御部13の代わりに、紙葉類処理装置10の全体動作を制御してもよい。この場合、判断情報が所定の条件を満たすか否かの判断は、管理装置30によって行われてもよく、管理装置30から判断結果が紙葉類処理装置10に送信されることにより、紙葉類処理装置10における各種動作が実行されればよい。
【0149】
また、第5の実施の形態において、収納装置20は、ユーザーが紙葉類を回収するときに、判断情報を自動的に管理装置30へ送信するようにしてもよい。この場合、紙葉類処理装置10は、判断情報を取得する取得部11を有していなくてもよい。入金動作時に紙葉類処理装置10によって取得された判断情報は、管理装置30に送信され、管理装置30によって管理されればよい。この場合、紙葉類処理装置10の入金動作における、判断情報が所定の条件を満たすか否かの判断は、管理装置30が行ってもよいし、管理装置30から判断情報を受信した紙葉類処理装置10が行ってもよい。
【0150】
なお、第5の実施の形態は、本開示の一例に過ぎず、本開示に係る紙葉類処理システムは、管理装置を備えていなくてもよい。この場合、第1から第4の実施の形態にて説明したように、紙葉類処理装置10が自ら各種の判断を行うようにすればよい。
【0151】
第5の実施の形態に示す、紙葉類処理装置10および収納装置20の動作を、管理装置30が一括管理する形態は、例えば紙葉類処理装置10と収納装置20とが同一の企業によって製造されている場合など、紙葉類処理装置10と収納装置20とを連係して動作させることが予め想定されている場合に有用である。例えば紙葉類処理装置10と収納装置20とが別の企業によって製造されている場合など、収納装置20が判断情報を生成することは期待できないときは、上述した第1~第4の実施の形態にて説明したように、判断情報はユーザーの操作によって紙葉類処理装置10へ入力されればよい。
【0152】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態では、複数の収納装置20間で、収納カセット200を用いて紙葉類を移動させる場合について説明する。
【0153】
収納装置20には、受け入れることができる金種が予め設定されていることがある。例えば、収納装置20_1は10000円紙幣のみを受け付けることができるように設定されており、収納装置20_2は5000円紙幣と10000円紙幣とを受け付けることができるように設定されているとする。
【0154】
収納装置20_1において、収納されている10000円紙幣の数が減り、補充の必要が生じたとする。紙葉類処理装置10からの補充が不可能である場合、収納装置20_2から10000円紙幣を補充することが考えられる。
【0155】
収納装置20_2には収納カセット200を装着することができ、収納装置20_2に収納されている紙幣を収納カセット200に移すことができる。ただし、収納装置20_2は、金種を選んで収納カセット200に移すことはできず、収納カセット200には、収納装置20_2において受付可能な5000円紙幣と10000円紙幣の両方が無作為に格納されるものとする。
【0156】
このような収納カセット200を使って収納装置20_2から収納装置20_1へ10000円紙幣を補充する場合、例えば以下のような方法が採用されうる。すなわち、収納装置20_1が、収納カセット200に収納されている複数の紙幣のうち、5000円紙幣が繰り出されるまで、10000円紙幣を受け取る方法である。以下ではこの方法を第1方法と記載する。
【0157】
上述したように、収納カセット200は、巻き取り式の収納庫を有する。このため、収納カセット200から紙幣が繰り出されるとき、紙幣は、ドラムのより外周に近い側から順番に繰り出される。
【0158】
収納カセット200から繰り出される紙幣が、例えば、10000円、10000円、10000円、5000円、10000円、の順番で繰り出されるとする。この場合、収納装置20_1は、1枚目から3枚目までの10000円紙幣を受け付けることができる。4枚目は5000円紙幣であり、収納装置20_1は受け付けることができない紙幣であるため、収納カセット200を介した収納装置20_1への紙幣の補充は、そこで中断される。
【0159】
上述したように、収納カセット200には無作為に5000円紙幣と10000円紙幣とが収納されるため、第1方法では、例えば収納カセット200から1枚目に繰り出される紙幣が5000円紙幣であった場合、収納装置20_1は補充を受け付けることができない。
【0160】
これを解決するためには、収納装置20が、受け付けることができない金種の紙幣を一時格納するための一時収納部を有していればよい。以下では、収納装置20_1が、一時収納部を使って補充を受ける第2方法について説明する。
【0161】
第2方法では、収納カセット200から繰り出される紙幣が5000円紙幣である場合、一時収納部に一時収納し、10000円紙幣である場合、補充を受け付けるようにすればよい。収納カセット200が空になったら、収納装置20_1は、一時収納部に一時収納していた5000円紙幣を、収納カセット200に戻す。この後、収納カセット200が収納装置20_2に戻されることにより、収納カセット200に収納された5000円紙幣が、収納装置20_2に戻されてもよい。
【符号の説明】
【0162】
100 紙葉類収納システム
10 紙葉類処理装置
11 取得部
12 報知部
13 制御部
14 下部筐体
15 上部筐体
151 入金口
152 出金口
153 装着口
16 表示操作部
51 入金部
52 カセット装着部
53 カセット処理部
54 出金部
55 識別部
56 リサイクル部
57 回収部
60 一時保留部
61 紙葉類搬送機構
62 記憶部
20,20_1,20_2 収納装置
30 管理装置
200 収納カセット