(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134034
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】指示装置及び指示方法
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B60C23/04 140D
B60C23/04 110D
B60C23/04 130D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044117
(22)【出願日】2023-03-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(72)【発明者】
【氏名】目黒 貴之
(57)【要約】
【課題】加速度の解析精度の向上及びセンサの消費電力の低減を両立させる。
【解決手段】指示装置4は、車両の車輪に設けられて車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサ3から加速度を受信する受信部441と、加速度が閾値以上である場合にはセンサ3が検出した加速度を第1周期で送信させて、加速度が閾値未満である場合にはセンサ3が検出した加速度を第1周期よりも長い第2周期で送信させる指示部442と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられて前記車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサから前記加速度を受信する受信部と、
前記加速度が閾値以上である場合には前記センサが検出した前記加速度を第1周期で送信させ、前記加速度が前記閾値未満である場合には前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期よりも長い第2周期で送信させる指示部と、
を有する指示装置。
【請求項2】
前記センサから前記第1周期で送信された車軸方向の前記加速度に基づいて前記車輪が脱輪するか否かを判定する判定部を有する、
請求項1に記載の指示装置。
【請求項3】
前記指示部は、前記第2周期で送信させた前記加速度が前記閾値以上の場合に、前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期で送信させる、
請求項1に記載の指示装置。
【請求項4】
前記指示部は、前記車輪が脱輪しないと判定された場合、前記センサが検出した前記加速度を前記第2周期で送信させる、
請求項2又は3に記載の指示装置。
【請求項5】
前記指示部は、前記車輪が装着された場合には、前記車輪が装着されてから所定時間が経過するまでの間、前記加速度が前記閾値未満であっても前記第1周期で前記センサが検出した前記加速度を送信させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の指示装置。
【請求項6】
前記指示部は、
前記車両の複数の前記車輪の各々に設けられた前記センサのうちの前記閾値以上の前記加速度を送信した前記センサに前記第1周期で前記加速度を送信させ、
複数の前記センサのうちの前記閾値未満の前記加速度を送信した前記センサに前記第2周期で前記加速度を送信させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の指示装置。
【請求項7】
車両に搭載されたコンピュータが実行する、
車両の車輪に設けられて前記車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサが検出した前記加速度が閾値以上である場合には前記センサが検出した前記加速度を第1周期で送信させるステップと、
前記加速度が前記閾値未満である場合には前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期よりも長い第2周期で送信させるステップと、
前記センサが前記第1周期又は前記第2周期で送信した前記加速度を受信するステップと、
を有する指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの送信タイミングを指示する指示装置及び指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪に関する情報を取得する技術が知られている。特許文献1には、車輪に設けられたセンサが、所定の周期で検出した加速度を無線通信で送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加速度を用いた解析精度を高めるためには周期を短くして単位時間あたりの加速度の検出と送信の回数を増加させるのが望ましい。しかし、単位時間あたりの加速度の検出と送信の回数を増加させるとセンサの消費電力が大きくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、加速度の解析精度の向上及びセンサの消費電力の低減を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両の車輪に設けられて前記車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサから前記加速度を受信する受信部と、前記加速度が閾値以上である場合には前記センサが検出した前記加速度を第1周期で送信させ、前記加速度が前記閾値未満である場合には前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期よりも長い第2周期で送信させる指示部と、を有する指示装置を提供する。
【0007】
前記センサから前記第1周期で送信された車軸方向の前記加速度に基づいて前記車輪が脱輪するか否かを判定する判定部を有してもよい。
【0008】
前記指示部は、前記第2周期で送信させた前記加速度が前記閾値以上の場合に、前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期で送信させてもよい。
【0009】
前記指示部は、前記車輪が脱輪しないと判定された場合、前記センサが検出した前記加速度を前記第2周期で送信させてもよい。
【0010】
前記指示部は、前記車輪が装着された場合には、前記車輪が装着されてから所定時間が経過するまでの間、前記加速度が前記閾値未満であっても前記第1周期で前記センサが検出した前記加速度を送信させてもよい。
【0011】
前記指示部は、前記車両の複数の前記車輪の各々に設けられた前記センサのうちの前記閾値以上の前記加速度を送信した前記センサに前記第1周期で前記加速度を送信させ、複数の前記センサのうちの前記閾値未満の前記加速度を送信した前記センサに前記第2周期で前記加速度を送信させてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、車両に搭載されたコンピュータが実行する、車両の車輪に設けられて前記車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサが検出した前記加速度が閾値以上である場合には前記センサが検出した前記加速度を第1周期で送信させるステップと、前記加速度が前記閾値未満である場合には前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期よりも長い第2周期で送信させるステップと、前記センサが前記第1周期又は前記第2周期で送信した前記加速度を受信するステップと、を有する指示方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加速度の解析精度の向上及びセンサの消費電力の低減を両立させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】車輪にかかる加速度を説明するための図である。
【
図4】指示装置が実行する脱輪するか否かを判定する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[指示システムSの構成]
図1は、指示システムSを説明するための図である。指示システムSは、車両1の車輪2に設けられたセンサ3が加速度を検出する周期を指示するシステムである。指示システムSは、センサ3及び指示装置4を含む。センサ3は、車輪2のホイール21に設けられている。具体的には、センサ3は、左前輪のホイール21、左後輪のホイール21、右前輪のホイール及び右後輪のホイールに設けられている。
【0016】
センサ3は、車輪2の加速度を検出する加速度センサである。
図2は、車輪2にかかる加速度を説明するための図である。センサ3は、車輪2の車軸方向Xの加速度と、半径方向Yの加速度と、車軸方向X及び半径方向Yに垂直な円周方向Zの加速度とを検出する。
【0017】
センサ3は、指示装置4と通信するための無線通信モジュールを有する。センサ3は、指示装置4から加速度を検出する周期の指示を無線通信で受信する。センサ3は、指示装置4から指示された周期で加速度を検出する。センサ3は、検出した加速度を指示装置4に無線通信で送信する。具体的には、センサ3は、指示された周期で加速度を検出する毎に指示装置4に検出した加速度を送信する。つまり、センサ3は、指示装置4から指示された周期で加速度を検出して送信する。
【0018】
センサ3は、電池を内蔵しており、電池の電力で動作する。センサ3に内蔵された電池は、例えばリチウムイオン電池又はアルカリ電池であるが、これに限定するものではない。センサ3は、内蔵された電池の電力を全て消費するまで加速度を検出して送信する。
【0019】
ところで、加速度を用いて車輪2が脱輪するか否かを判定することができる。加速度を用いて車輪2が脱輪するか否かを判定する場合、多くの数の加速度を用いて判定する方が、少ない数の加速度を用いて判定するよりも判定精度を向上させることができる。したがって、判定精度を上げるためには、単位時間あたりの加速度の送信回数を増やすことが望ましい。しかし、単位時間あたりの加速度の送信回数を常に増加させているとセンサ3の消費電力が大きくなってしまう。
【0020】
そこで、指示装置4は、車輪2が脱輪する蓋然性が高い場合にはセンサ3が加速度を検出して送信する周期を短くして、車輪2が脱輪する蓋然性が低い場合にはセンサ3が加速度を検出して送信する周期を長くする。これにより、指示装置4は、加速度を用いた車輪2の脱輪判定の精度の向上及びセンサ3の消費電力の低減を両立させる。以下、
図3を参照しながら指示装置4の構成を説明する。
【0021】
図3は、指示装置4の構成を説明するための図である。指示装置4は、通信部41、報知部42、記憶部43及び制御部44を有する。通信部41は、無線通信で情報を送受信するための無線通信モジュールである。通信部41とセンサ3は、無線通信で通信することができる。通信部41とセンサ3が無線通信する周波数は、例えば315MHzであるが、これに限定するものではない。
【0022】
報知部42は、車両1のユーザに情報を報知する。例えば、報知部42は、ディスプレイを有し、文字情報及び画像情報の少なくともいずれかをディスプレイに表示させる。また、報知部42は、スピーカを有していてもよく、情報を示すメッセージをスピーカに出力させる。
【0023】
記憶部43は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部43は、制御部44が実行するプログラムを記憶する。
【0024】
制御部44は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部44は、記憶部43に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部441、指示部442、判定部443及び報知制御部444としての機能を実現する。
【0025】
受信部441は、通信部41を介した無線通信でセンサ3から加速度を受信する。具体的には、受信部441は、指示部442が指示した周期で送信された加速度をセンサ3から受信する。受信部441は、受信した加速度を指示部442と判定部443に通知する。
【0026】
指示部442は、センサ3が加速度を検出して送信する周期を、通信部41を介した無線通信で通知する。例えば、指示部442は、センサ3に加速度を送信させる第1周期又は第2周期を通知することで、センサ3に加速度を第1周期又は第2周期で送信させる。第1周期は、加速度を用いた車輪2が脱輪するか否かの判定に適した周期として定められている。第1周期の具体的な値は、例えば8.3ミリ秒(120Hz)であるが、これに限定するものではない。第2周期は、第1周期よりも長い。第2周期は、異常な加速度を検出するための周期であって、具体的な値は、例えば10秒(0.1Hz)であるが、これに限定するものではない。
【0027】
指示部442は、受信部441が受信した加速度が閾値未満である場合にはセンサ3が検出した加速度を第2周期で送信させる。具体的には、指示部442は、受信された加速度が閾値未満である間、センサ3に第2周期を通知して加速度を第2周期で送信させる。閾値は、検出された加速度が異常な値であるか否かを判定するための値である。例えば、指示部442は、加速度の移動標準偏差に応じた閾値を決定する。また、指示部442は、現時点から所定時間前の間に検出された加速度の平均値と係数の積を閾値としてもよい。所定時間は適宜定めればよく、例えば1分であるが、これに限定するものではない。係数は、車輪2の仕様に応じて適宜定めればよい。これにより、指示部442は、異常な加速度が検出されておらず車輪2が脱輪する蓋然性が低い場合には、センサ3に第2周期で加速度を送信させことでセンサ3の消費電力を低減できる。
【0028】
指示部442は、第2周期で送信させた加速度が閾値以上の場合には、センサ3に加速度を送信させる周期を第2周期から第1周期に変更して、センサ3に加速度を第1周期で送信させる。つまり、指示部442は、異常な値の加速度が検出されて車輪2が脱輪する蓋然性が高くなった場合には、加速度を用いた車輪2の脱輪判定に適した第1周期でセンサ3に加速度を送信させることができる。
【0029】
判定部443は、センサ3から第1周期で送信された加速度に基づいて車輪2が脱輪するか否かを判定する。例えば、判定部443は、所定期間内に第1周期で送信された車軸方向Xの加速度の統計量に基づいて車輪2が脱輪するか否かを判定する。所定期間は、実験などにより適宜定めればよく、所定期間の具体的な値は例えば1分であるが、これに限らない。加速度の統計量は、所定期間内の加速度の平均値、中央値、最頻値又は積算値である。判定部443は、所定期間内に取得された車軸方向Xの複数の加速度の統計量が判定閾値以上の場合には車輪2が脱輪すると判定する。判定部443は、加速度の統計量が判定閾値未満の場合には車輪2が脱輪しないと判定する。加速度の統計量では路面からのノイズの影響が低減されるので、判定部443は、加速度の統計量に基づいて脱輪するか否かを判定することにより判定精度を向上できる。
【0030】
指示部442は、車輪2が脱輪しないと判定された場合、センサ3に加速度を送信させる周期を第1周期から第2周期に変更して、センサ3が検出した加速度を第2周期で送信させる。このように、指示部442は、脱輪する蓋然性が低い場合にはセンサ3が加速度を送信する周期を第1周期よりも長い第2周期にするので、センサ3の消費電力を低減できる。
【0031】
指示部442は、車輪2が脱輪しないと判定された後、再度加速度が閾値以上になった場合には、加速度を第1周期で送信させる。これにより、指示部442は、脱輪する蓋然性が高くなったら、センサ3が加速度を送信する周期を第2周期よりも短い第1周期にすることで、判定部443が脱輪するか否かを判定する精度を向上できる。
【0032】
ところで、車輪2は、車両1の車軸に装着される際に車輪2のホイール21を車軸に締結する力として定められた力よりも弱い力で装着されてしまうことがある。つまり、車輪2は、車両1に適切に装着されていないことがあり、車輪2が車両1に装着された直後に脱輪しやすい。
【0033】
そこで、指示部442は、車両1に車輪2が装着された場合には、車輪2が装着された後、車両1が走行を開始してから所定時間が経過するまでの間、加速度が閾値未満であっても第1周期でセンサ3が検出した加速度を送信させる。所定時間は、脱輪の蓋然性が高くなる期間として実験や過去の統計データなどにより適宜定めればよく、所定期間の具体的な値は例えば10分であるが、これに限らない。判定部443は、車輪2が装着されてから所定時間が経過するまでの間に検出された加速度の統計量に基づいて車輪2が脱輪するか否かを判定する。判定部443は、第2周期よりも短い第1周期で検出された加速度に基づいて脱輪するか否かを判定するので、判定精度を向上できる。
【0034】
指示部442は、車両1が走行を開始してから所定時間が経過した後に車輪2が脱輪しないと判定された場合、センサ3が検出した加速度を第2周期で送信させる。これにより、指示部442は、車輪2が装着された直後の脱輪する蓋然性が高い期間では第1周期で加速度を送信させることで脱輪するか否かの判定精度を向上できる。また、指示部442は、脱輪する蓋然性が高い期間が経過した後に車輪2が脱輪しないと判定されたら第1周期よりも長い第2周期で加速度を送信させることでセンサ3の消費電力を低減できる。
【0035】
指示部442は、閾値以上の加速度を送信したセンサ3に第1周期で加速度を送信させ、閾値未満の加速度を送信したセンサ3に第2周期で加速度を送信させてもよい。これにより、指示部442は、異常な値を検出したセンサ3が設けられている車輪2が脱輪するか否かの判定精度を向上でき、異常な値を検出していないセンサ3の消費電力を低減できる。
【0036】
判定部443は、半径方向Y及び円周方向Zのセンサ3が第1周期で検出した加速度に基づいて路面状態を判定してもよい。例えば、判定部443は、所定期間内に第1周期で検出された半径方向Y及び円周方向Zの加速度から鉛直方向の加速度を算出し、算出した鉛直方向の加速度の統計量が所定の値未満であれば路面状態が舗装路であると判定する。判定部443は、第1周期で検出された各車輪2の加速度の統計量が全て所定の値以上であれば路面状態が未舗装道路であると判定する。これにより、判定部443は、例えば、舗装路を走行している際に、車輪2が路面の凸部や異物を踏んでしまって閾値以上の異常な加速度を検出した場合に未舗装道路であると誤判定することを抑制できる。
【0037】
報知制御部444は、車輪2が脱輪すると判定されたら、車輪2が脱輪することを報知する。例えば、報知制御部444は、報知部42に脱輪すること示す文字情報や画像情報をディスプレイに表示させる。また、報知制御部444は、脱輪することを示すメッセージを報知部42のスピーカに出力させる。
【0038】
[脱輪するか否かを判定する処理]
図4は、指示装置4が実行する脱輪するか否かを判定する処理の一例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、車両1が始動している間、繰り返し実行される。
【0039】
指示部442は、センサ3に第2周期で加速度を送信させる(ステップS1)。例えば、指示部442は、第2周期で加速度を検出して送信させる指示をセンサ3に通知する。センサ3は、指示装置4の指示部442から通知された第2周期で加速度を検出して指示装置4に無線通信で送信する。受信部441は、無線通信でセンサ3から第2周期で送信された加速度を受信する(ステップS2)。
【0040】
指示部442は、受信された加速度が閾値以上か否かを判定する(ステップS3)。指示部442は、受信された加速度が閾値未満の場合(ステップS3でNo)、ステップS1に戻って、センサ3に第2周期で加速度を検出させる。
【0041】
指示部442は、受信された加速度が閾値以上の場合(ステップS3でYes)、センサ3に第1周期で加速度を検出させる(ステップS4)。例えば、指示部442は、第1周期で加速度を検出して送信させる指示をセンサ3に通知する。センサ3は、第1周期で加速度を検出して指示装置4に無線通信で送信する。受信部441は、無線通信でセンサ3から第1周期で送信された加速度を受信する(ステップS5)。
【0042】
判定部443は、第1周期で検出された加速度が判定閾値以上か否かを判定する(ステップS6)。指示部442は、第1周期で検出された加速度が判定閾値未満であると判定部443が判定した場合(ステップS6でNo)、ステップS1に戻って、センサ3に第2周期で加速度を送信させる。判定部443は、第1周期で検出された加速度が判定閾値以上の場合(ステップS6でYes)、車輪2が脱輪すると判定する。報知制御部444は、車輪2が脱輪すると判定された場合、車輪2が脱輪することを報知する(ステップS7)。例えば、報知制御部444は、報知部42に脱輪すること示す文字情報や画像情報をディスプレイに表示させる。
【0043】
(変形例)
なお、報知制御部444は、車輪2が脱輪することを示す情報を、通信部41を介して、ネットワーク上に設けられたクラウドサーバに出力する機能を有してもよい。この場合、通信部41は、例えばインターネットを介して、クラウドサーバと接続できる。クラウドサーバに設けられた車両1の管理装置は、車輪2が脱輪することを示す情報を受信した場合、あらかじめ定められた管理者に対して、異常が発生したことを報知する。また、管理装置は、車輪2が脱輪することを示す情報を記憶媒体に記録するものであってもよい。これにより、管理者が車両1に関する車両情報の1つとして、当該情報をモニタリングすることが可能となる。
【0044】
[指示装置4の効果]
以上説明したとおり、指示装置4は、車両1の車輪2に設けられて車輪2の加速度を検出して無線通信で送信するセンサ3が検出した加速度が閾値以上である場合にはセンサ3が検出した加速度を第1周期で送信させる。また、指示装置4は、加速度が閾値未満である場合にはセンサ3が検出した加速度を第1周期よりも長い第2周期で送信させる。そして、指示装置4は、センサ3が第1周期又は第2周期で送信した加速度を受信する。
【0045】
これにより、指示装置4は、検出された加速度が、例えば異常な加速度であるか否かを判定するための閾値以上の場合には、加速度を検出する周期を第1周期にすることで単位時間あたりの加速度の送信の回数を増加させて加速度を用いた車輪2の脱輪判定の精度を高められる。また、指示装置4は、検出された加速度が閾値未満の場合には、第1周期よりも短い第2周期で加速度を送信させることによりセンサ3の消費電力を低減できる。その結果、指示装置4は、加速度を用いた解析精度の向上及びセンサの消費電力の低減を両立させることができる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0047】
S 指示システム
1 車両
2 車輪
21 ホイール
3 センサ
4 指示装置
41 通信部
42 報知部
43 記憶部
44 制御部
441 受信部
442 指示部
443 判定部
444 報知制御部
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられて前記車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサから、第1周期又は前記第1周期よりも長い第2周期で送信された前記加速度を受信する受信部と、
前記第2周期で送信された前記加速度が、現時点から所定時間前の間に検出された前記加速度の平均値に応じた閾値以上である場合には、前記センサに前記第1周期を通知して、前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期で送信させ、
前記第2周期で送信された前記加速度が前記閾値未満である間は、前記センサが検出した前記加速度を前記第2周期で送信させ続ける指示部と、
を有する指示装置。
【請求項2】
前記センサから前記第1周期で送信され、かつ所定期間内に取得された車軸方向の前記加速度の統計量が判定閾値以上の場合、前記車輪が脱輪すると判定し、前記統計量が前記判定閾値未満の場合、前記車輪が脱輪しないと判定する判定部を有する、
請求項1に記載の指示装置。
【請求項3】
前記指示部は、前記車輪が脱輪しないと判定された場合、前記センサが検出した前記加速度を前記第2周期で送信させる、
請求項2に記載の指示装置。
【請求項4】
前記指示部は、
前記車両の複数の前記車輪の各々に設けられた前記センサのうちの前記閾値以上の前記加速度を送信した前記センサに前記第1周期で前記加速度を送信させ、
複数の前記センサのうちの前記閾値未満の前記加速度を送信した前記センサに前記第2周期で前記加速度を送信させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の指示装置。
【請求項5】
車両に搭載されたコンピュータが実行する、
車両の車輪に設けられて前記車輪の加速度を検出して無線通信で送信するセンサが検出した前記加速度を、第1周期よりも長い第2周期で送信させるステップと、
前記センサから前記第2周期で送信された前記加速度を受信するステップと、
前記第2周期で送信された前記加速度が、現時点から所定時間前の間に検出された前記加速度の平均値に応じた閾値以上である場合には、前記センサに前記第1周期を通知して、前記センサが検出した前記加速度を前記第1周期で送信させるステップと、
前記センサが前記第1周期で送信した前記加速度を受信するステップと、
前記第2周期で送信された前記加速度が前記閾値未満である間は前記センサが検出した前記加速度を前記第2周期で送信させ続けるステップと、
を有する指示方法。